説明

基板処理方法、その基板処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体及び基板処理システム

【課題】基板を露光処理する前に、各種の処理モジュールにより基板に各種の処理を行う際に基板に発生した塵埃が、露光装置の基板保持機構の接触部に付着することを防止できる基板処理方法を提供する。
【解決手段】回転可能に保持した基板に形成されている切欠部の回転角度位置が基準位置から所定範囲内になるように位置合わせする位置合わせ工程と、位置合わせされた基板を所定の処理を行う基板処理部23に搬送し、基板処理部23に設けられた第1の接触部82と接触させることによって基板を保持する第1の保持工程と、基板に所定の処理を行った後、基板を露光装置に搬送し、露光装置に設けられた第2の接触部と接触させることによって基板を保持する第2の保持工程とを有する。第1の接触部82は、回転角度位置が所定範囲内のとき、基板が第1の接触部82に接触する領域が、基板が第2の接触部に接触する領域と重ならないように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理方法、その基板処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体及び基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおけるフォトリソグラフィー工程では、基板上、すなわち例えば半導体ウェハ等のウェハ上に、塗布処理、露光処理、及び現像処理などを順次行うことによって、所定のレジストパターンが形成される。塗布処理では、レジスト液を塗布し、塗布したレジスト液を熱処理することによってレジスト膜を形成する。露光処理では、形成されたレジスト膜を所定の回路パターンに露光する。現像処理では、露光されたレジスト膜を現像する。
【0003】
上述のレジストパターンの形成に係るフォトリソグラフィー工程では、塗布モジュールにより行う塗布処理において、ウェハの裏面に塵埃が発生することがある。ウェハの裏面に塵埃が発生すると、露光装置により行う露光処理において、ウェハの裏面と、露光装置の基板保持機構のウェハとの接触部との間に、発生した塵埃が挟まれることがある。ウェハの裏面と接触部との間に塵埃が挟まれた状態で露光処理が実施されると、ウェハの水平度及び高さ位置の位置精度が悪化し、所定の回路パターンの転写精度が悪化するおそれがある。
【0004】
そこで、塗布処理を行う塗布モジュールの基板保持台のウェハとの接触部と、露光装置の基板保持機構のウェハとの接触部とが、互いに異なる位置でウェハと接触するように、それぞれの接触部を配置させる方法が用いられている(例えば特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2978619号公報
【特許文献2】特許第2615179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述したように、塗布モジュール及び露光装置のそれぞれの接触部が互いに異なる位置でウェハに接触するように配置して、塗布処理及び露光処理を行う場合、次のような問題がある。
【0007】
塗布モジュールの接触部に対するウェハの水平面内の相対位置と、露光装置の接触部に対するウェハの水平面内の相対位置とがずれたときは、ウェハが塗布モジュールの接触部に接触する領域と、ウェハが露光装置の接触部に接触する領域とが重なるおそれがある。
【0008】
例えば、塗布モジュールの接触部に対するウェハの回転角度位置と、露光装置の接触部に対するウェハの回転角度位置とがずれたときは、ウェハが塗布モジュールの接触部に接触する領域と、ウェハが露光装置の接触部に接触する領域とが重なるおそれがある。
【0009】
また、上記した塵埃の発生する課題は、基板を露光処理する前に塗布モジュールにより基板に塗布処理を行う場合に限られず、基板を露光処理する前に各種の処理モジュールにより基板に加熱処理又は冷却処理等の各種の処理を行う場合に共通する課題である。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、基板を露光処理する前に、各種の処理モジュールにより基板に各種の処理を行う際に基板に発生した塵埃が、露光装置の基板保持機構の接触部に付着することを防止できる基板処理方法及び基板処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の一実施例によれば、基板を露光装置により露光する前に、前記基板に所定の処理を行う基板処理方法において、基板を、前記基板の略中心を回転軸として回転可能に保持し、保持した前記基板に形成されている切欠部の回転角度位置が基準位置から所定範囲内になるように、前記回転角度位置を位置合わせする位置合わせ工程と、前記回転角度位置が位置合わせされた前記基板を、前記所定の処理を行う基板処理部に搬送し、搬送した前記基板と前記基板処理部に設けられた第1の接触部とを接触させることによって、前記基板を保持する第1の保持工程と、前記基板に前記所定の処理を行った後、前記基板を前記露光装置に搬送し、搬送した前記基板と前記露光装置に設けられた第2の接触部とを接触させることによって、前記基板を保持する第2の保持工程とを有し、前記第1の接触部は、前記回転角度位置が前記基準位置から前記所定範囲内のとき、前記基板が前記第1の接触部に接触する領域が、前記基板が前記第2の接触部に接触する領域と重ならないように設けられている、基板処理方法が提供される。
【0013】
また、本発明の他の一実施例によれば、基板を露光装置により露光する前に、前記基板に所定の処理を行う基板処理システムにおいて、基板を、前記基板の略中心を回転軸として回転可能に保持し、保持した前記基板に形成されている切欠部の回転角度位置が基準位置から所定範囲内になるように、前記回転角度位置を位置合わせする位置合わせ部と、前記回転角度位置が位置合わせされた前記基板を搬送する基板搬送部と、前記基板搬送部により搬送された前記基板と接触させることによって前記基板を保持する第1の接触部を含み、保持した前記基板に前記所定の処理を行う基板処理部とを有し、前記露光装置は、前記基板と接触させることによって前記基板を保持する第2の接触部を含むものであって、前記第1の接触部は、前記回転角度位置が前記基準位置から前記所定範囲内のとき、前記基板が前記第1の接触部に接触する領域が、前記基板が前記第2の接触部に接触する領域と重ならないように設けられている、基板処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基板を露光処理する前に、各種の処理モジュールにより基板に各種の処理を行う際に基板に発生した塵埃が、露光装置の基板保持機構の接触部に付着することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態に係るレジストパターン形成装置の構成を示す平面図である。
【図2】実施の形態に係るレジストパターン形成装置の構成を示す概略斜視図である。
【図3】実施の形態に係るレジストパターン形成装置の構成を示す側面図である。
【図4】第3のブロックの構成を示す斜視図である。
【図5】フォークを拡大して示す平面図である。
【図6】受け渡しモジュールの概略の構成を示す側面図である。
【図7】受け渡しモジュールにおける検出部とウェハのノッチとの位置関係の概略を示す平面図である。
【図8】露光装置の概略の構成を示す説明図である。
【図9】露光装置におけるウェハチャックの上面図である。
【図10】ウェハの裏面が露光装置の柱状ピンに接触する領域と、ウェハの裏面がフォークの真空吸着ピンに接触する領域との位置関係を示す図である。
【図11】塗布モジュールの構成の概略を示す縦断面図である。
【図12】ウェハの裏面が露光装置の柱状ピンに接触する領域と、ウェハの裏面が塗布モジュールの真空吸着ピンに接触する領域との位置関係を示す図である。
【図13】加熱モジュールの構成の概略を示す縦断面図である。
【図14】ウェハの裏面が露光装置の柱状ピンに接触する領域と、ウェハの裏面が加熱モジュールの突き上げピンに接触する領域との位置関係を示す図である。
【図15】ウェハの裏面が露光装置の柱状ピンに接触する領域と、ウェハの裏面がそれぞれフォーク、塗布モジュール及び加熱モジュールの突き上げピン等に接触する領域との位置関係を示す図(その1)である。
【図16】ウェハの裏面が露光装置の柱状ピンに接触する領域と、ウェハの裏面がそれぞれフォーク、塗布モジュール及び加熱モジュールの突き上げピン等に接触する領域との位置関係を示す図(その2)である。
【図17】角度ずれΔθが許容上限値Δθ1を超えた場合であって、ウェハの裏面が各処理モジュールに設けられた突き上げピン等に接触して塵埃が発生したときに、ウェハを露光する際の塵埃の状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態)
始めに、本発明の実施の形態に係る基板処理方法及び基板処理システムについて説明する。
【0017】
先ず、図1から図4を参照し、本実施の形態に係る基板処理システムに露光装置を接続したレジストパターン形成装置について、図面を参照しながら簡単に説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係るレジストパターン形成装置の構成を示す平面図である。図2は、本実施の形態に係るレジストパターン形成装置の構成を示す概略斜視図である。図3は、本実施の形態に係るレジストパターン形成装置の構成を示す側面図である。図4は、第3のブロック(COT層)B3の構成を示す斜視図である。
【0019】
レジストパターン形成装置は、図1及び図2に示すように、キャリアブロックS1、処理ブロックS2、インターフェイスブロックS3を有する。また、レジストパターン形成装置のインターフェイスブロックS3側に、露光装置S4が設けられている。処理ブロックS2は、キャリアブロックS1に隣接するように設けられている。インターフェイスブロックS3は、処理ブロックS2のキャリアブロックS1側と反対側に、処理ブロックS2に隣接するように設けられている。露光装置S4は、インターフェイスブロックS3の処理ブロックS2側と反対側に、インターフェイスブロックS3に隣接するように設けられている。
【0020】
キャリアブロックS1は、キャリア20、載置台21及び受け渡し手段Cを有する。キャリア20は、載置台21上に載置されている。受け渡し手段Cは、キャリア20からウェハWを取り出し、処理ブロックS2に受け渡すとともに、処理ブロックS2において処理された処理済みのウェハWを受け取り、キャリア20に戻すためのものである。
【0021】
処理ブロックS2は、図2に示すように、棚ユニットU1、棚ユニットU2、第1のブロック(DEV層)B1、第2のブロック(BCT層)B2、第3のブロック(COT層)B3、第4のブロック(TCT層)B4を有する。第1のブロック(DEV層)B1は、現像処理を行うためのものである。第2のブロック(BCT層)B2は、レジスト膜の下層側に形成される反射防止膜の形成処理を行うためのものである。第3のブロック(COT層)B3は、レジスト液の塗布処理を行うためのものである。第4のブロック(TCT層)B4は、レジスト膜の上層側に形成される反射防止膜の形成処理を行うためのものである。
【0022】
棚ユニットU1は、各種のモジュールが積層されて構成されている。棚ユニットU1は、図3に示すように、例えば下から順に積層された、受け渡しモジュールTRS1、TRS1、CPL11、CPL2、BF2、CPL3、BF3、CPL4、TRS4を有する。また、図1に示すように、棚ユニットU1の近傍には、昇降自在な受け渡しアームDが設けられている。棚ユニットU1の各処理モジュール同士の間では、受け渡しアームDによりウェハWが搬送される。
【0023】
本実施の形態では、例えば棚ユニットU1の受け渡しモジュールTRS1は、ウェハWの切欠部(ノッチ)WNのウェハW中心を回転軸とする回転角度位置を位置合わせする位置合わせ機能を有している。受け渡しモジュールTRS1は、本発明における位置合わせ部に相当するものであり、受け渡しモジュールTRS1の詳細な構成については、後述する。
【0024】
棚ユニットU2は、各種の処理モジュールが積層されて構成されている。棚ユニットU2は、図3に示すように、例えば下から順に積層された、受け渡しモジュールTRS6、TRS6、CPL12を有する。
【0025】
なお、図3において、CPLが付されている受け渡しモジュールは、温調用の冷却モジュールを兼ねており、BFが付されている受け渡しモジュールは、複数枚のウェハWを載置可能なバッファモジュールを兼ねている。
【0026】
第1のブロック(DEV層)B1は、図1及び図3に示すように、現像モジュール22、搬送アームA1及びシャトルアームEを有する。現像モジュール22は、1つの第1のブロック(DEV層)B1内に、上下2段に積層されている。搬送アームA1は、2段の現像モジュール22にウェハWを搬送するためのものである。すなわち、搬送アームA1は、2段の現像モジュール22にウェハWを搬送する搬送アームが共通化されているものである。シャトルアームEは、棚ユニットU1の受け渡しモジュールCPL11から棚ユニットU2の受け渡しモジュールCPL12にウェハWを直接搬送するためのものである。
【0027】
第2のブロック(BCT層)B2、第3のブロック(COT層)B3、及び第4のブロック(TCT層)B4は、各々塗布モジュール、加熱・冷却系の処理モジュール群、及び搬送アームA2、A3、A4を有する。処理モジュール群は、塗布モジュールにおいて行われる処理の前処理及び後処理を行うためのものである。搬送アームA2、A3、A4は、塗布モジュールと処理モジュール群との間に設けられており、塗布モジュール及び処理モジュール群の各処理モジュールの間でウェハWの受け渡しを行う。
【0028】
第2のブロック(BCT層)B2から第4のブロック(TCT層)B4の各ブロックは、第2のブロック(BCT層)B2及び第4のブロック(TCT層)B4における薬液が反射防止膜用の薬液であり、第3のブロック(COT層)B3における薬液がレジスト液であることを除き、同様の構成を有する。
【0029】
ここで、図4を参照し、第2のブロック(BCT層)B2、第3のブロック(COT層)B3、及び第4のブロック(TCT層)B4を代表し、第3のブロック(COT層)B3の構成を説明する。
【0030】
第3のブロック(COT層)B3は、塗布モジュール23、棚ユニットU3及び搬送アームA3を有する。棚ユニットU3は、加熱モジュール、冷却モジュール等の熱処理モジュール群を構成するように積層された、複数の処理モジュールを有する。棚ユニットU3は、塗布モジュール23と対向するように配列されている。
【0031】
なお、塗布モジュール23は、本発明における基板処理部に相当するものであり、塗布モジュール23の詳細な構成については、後述する。
【0032】
搬送アームA3は、塗布モジュール23と棚ユニットU3との間に設けられている。図4中24は、各処理モジュールと搬送アームA3との間でウェハWの受け渡しを行うための搬送口である。
【0033】
搬送アームA3は、2枚のフォーク3A、3B、基台31、回転機構32、及び昇降台34を有する。
【0034】
2枚のフォーク3A、3Bは、上下に重なるように設けられている。基台31は、回転機構32により、鉛直軸周りに回転自在に設けられている。また、フォーク3A、3Bは、図示しない進退機構により、基台31から、例えば、後述する塗布モジュール23のスピンチャック81に進退自在に設けられている。
【0035】
次に、フォーク3A、3Bの構成について説明する。また、以下では、フォーク3A、3Bを代表してフォーク3Aについて説明するが、フォーク3Bもフォーク3Aと同様の構成とすることができる。
【0036】
図5は、フォーク3Aを拡大して示す平面図である。
【0037】
フォーク3Aは、円弧状に形成され、搬送するウェハWの周囲を囲むように設けられている。また、フォーク3Aには、保持爪4A、4B、4C、4Dが形成されている。保持爪4A〜4Dは、フォーク3Aの内縁から各々内側に突出するとともに、内縁に沿って互いに間隔を隔てて設けられており、ウェハWの周辺部に接触することによってウェハWを保持するものである。図5に示す例では、ウェハWの周辺部を異なる4箇所で保持するために、4個の保持爪4A〜4Dが設けられている。
【0038】
保持爪4A〜4Dの各々には、真空吸着ピン41A〜41Dが設けられている。真空吸着ピン41A〜41Dは、保持爪4A〜4DがウェハWの周辺部に接触するときに、ウェハWの周辺部を真空吸着することによって、ウェハWを保持爪4A〜4Dに保持するものである。また、図5に示すように、真空吸着ピン41A〜41Dは、上面が円形形状を有しており、その上面に吸着孔42A〜42Dが形成されている。吸着孔42A〜42Dは、図示しない真空配管を介し、図示しない真空排気部に接続されている。これにより、真空吸着ピン41A〜41Dは、ウェハWの裏面の周辺部を例えば異なる4箇所で真空吸着して支持できるように設けられている。
【0039】
なお、搬送アームA3は、本発明における基板搬送部に相当する。また、真空吸着ピン41A〜41DがウェハWの裏面に接触する領域は、図10を用いて後述する。
【0040】
昇降台34は、図4に示すように、回転機構32の下方側に設けられている。昇降台34は、上下方向(図4中Z軸方向)に直線状に延びる図示しないZ軸ガイドレールに沿って、昇降機構により昇降自在に設けられている。昇降機構としては、ボールネジ機構やタイミングベルトを用いた機構等、周知の構成を用いることができる。この例ではZ軸ガイドレール及び昇降機構は夫々カバー体35により覆われており、例えば上部側において接続されて一体となっている。またカバー体35は、Y軸方向に直線状に伸びるY軸ガイドレール36に沿って摺動移動するように構成されている。
【0041】
インターフェイスブロックS3は、図1に示すように、インターフェイスアームFを有する。インターフェイスアームFは、処理ブロックS2の棚ユニットU2の近傍に設けられている。棚ユニットU2の各処理モジュール同士の間及び露光装置S4との間では、インターフェイスアームFによりウェハWが搬送される。
【0042】
図6は、受け渡しモジュールTRS1の概略の構成を示す側面図である。また、図7は、受け渡しモジュールTRS1における検出部52とウェハWのノッチWNとの位置関係の概略を示す平面図である。
【0043】
受け渡しモジュールTRS1は、前述したように、ウェハWを位置合わせする位置合わせ工程を行うための機能を有する。各ウェハWには、位置合わせを行うための基準として、ウェハWの周縁の一部を直線的に切断した、いわゆるオリエンテーションフラット(WF)と称される切欠部(cut−out)や、ウェハWの周縁の一部に凹みを形成したいわゆるノッチ(WN)と称される切欠部が形成されている。従って、ウェハWに形成された小さな切欠部を基準として位置合わせを行うノッチアライメント処理するための機能であってもよい。以下では、ノッチWNを有するウェハWについて、ノッチWNの位置合わせを行う例について、説明する。
【0044】
図6に示すように、受け渡しモジュールTRS1は、ケーシング50の中に、載置台51と、載置台51に載置されたウェハWの周縁を例えば上下から挟むように対向して配設された検出部52とを備えている。載置台51はウェハWが載置されることによって、ウェハWを保持する。載置台51は、載置台51の中心を回転軸として回転可能に設けられており、回転駆動部53により回転される。検出部52は、例えば一対の発光素子54と受光素子55とを備えており、載置台51に保持されたウェハWのノッチWNの回転角度位置を検出する。すなわち、受け渡しモジュールTRS1は、載置台51に保持されたウェハWを回転駆動部53により回転させ、例えば一対の発光素子54と受光素子55とを備えた検出部52により、ウェハWのノッチWNの回転角度位置を検出する。そして、検出したノッチWNの回転角度位置が基準位置から所定範囲内になるように、載置台51を回転駆動部53により所定角度回転させることによって、ウェハWのノッチWNの回転角度位置を位置合わせする。後述するように、露光装置S4においてもウェハWのノッチWNの回転角度位置を位置合わせする。そのため、露光処理前のウェハWに所定の基板処理するときと、露光処理するときとで、ノッチWNの回転角度位置が同一になるように位置合わせすることができる。
【0045】
また、受け渡しモジュールTRS1は、載置台51に保持されたウェハWを回転駆動部53により回転させ、検出部52により、ウェハWの周辺部の位置を検出するものであってもよい。そして、フォーク3Aが、ウェハWを保持する際に、検出されたウェハWの周辺部の位置に基づいて、ウェハWの水平方向の位置を補正するものであってもよい。後述するように、露光装置S4においてもウェハWの周辺部の水平方向の位置を補正する。そのため、露光処理前のウェハWに所定の処理を行う時のノッチWNの回転角度位置を、露光処理する時のノッチWNの回転角度位置と等しくなるように位置合わせすることができる。
【0046】
図8は、露光装置S4の概略の構成を示す説明図である。図9は、露光装置S4におけるウェハチャック61の上面図である。
【0047】
図8に示すように、露光装置S4内には、ウェハチャック61が設けられており、表面にレジスト膜が形成されたウェハWは、ウェハチャック61により固定支持例えば真空吸着支持されるようになっている。ウェハチャック61は、X−Yテーブル62上に固定されている。X−Yテーブル62は、θ軸駆動用モータ63の駆動により、ウェハチャック61に支持されているウェハWをθ方向に回転駆動可能に設けられている。また、X−Yテーブル62は、X軸駆動用モータ64及びY軸駆動用モータ65の各駆動によって、ウェハチャック61に支持されているウェハWがX軸方向及びY軸方向にステップ駆動可能に設けられている。
【0048】
また、露光装置S4は、図示しない撮像装置によりウェハWのノッチWNを撮像しながらθ軸駆動用モータ63によりウェハWをθ回転させることで、ウェハWのノッチWNの回転角度位置を位置合わせできる。また、露光装置S4は、図示しない撮像装置によりウェハWに形成された例えばアライメントマークを撮像しながらX軸駆動用モータ64及びY軸駆動用モータ65によりウェハWを水平移動させることで、ウェハWの周辺部の水平位置を補正できる。
【0049】
ウェハチャック61の上方には、上側から下側に向かって順次、光源66、集光レンズ67、露光マスク68、縮小投影レンズ69が配置されている。露光用マスク68は、ウェハW上の一つのチップ面積を所定倍率で拡大した面積を有する。光源66より発せられた光を、集光レンズ67を介して露光用マスク68に導き、透過光パターンを、縮小投影レンズ69を介してウェハW上に投影することによって、ウェハW上の一つのチップに微細パターンを投影焼き付けすることができる。また、X−Yテーブル62のステップ移動によって、ウェハW上の全てのチップ上に投影焼き付けすることができる。
【0050】
図9に示すように、ウェハチャック61の上面は、一様に平坦な構造ではなく無数の柱状ピン70が上面から突出するように設けられている。具体的には、例えば柱状ピン70の直径D1を1mmとし、ピッチP1を3mmとすることができる。
【0051】
なお、柱状ピン70は、本発明における第2の接触部に相当する。
【0052】
図10は、ウェハWの裏面が露光装置S4の柱状ピン70に接触する領域70aと、ウェハWの裏面がフォーク3A、3Bの真空吸着ピン41A〜41Dに接触する領域41aとの位置関係を示す図である。
【0053】
図10に示すように、真空吸着ピン41A〜41Dは、ウェハWの裏面が真空吸着ピン41A〜41Dに接触する領域41aが、ウェハWの裏面が露光装置S4に設けられた柱状ピン70に接触する領域70aと重ならないような位置に、設けられている。例えば、ノッチWNの回転角度位置が位置合わせされた状態で、ウェハWの裏面が露光装置S4の柱状ピン70に接触する領域70aが、ウェハWが真空吸着ピン41A〜41Dの吸着孔42A〜42Dに吸着される領域に含まれていればよい。これにより、ウェハWをフォーク3A、3Bにより搬送する際に、ウェハWの裏面と真空吸着ピン41A〜41Dとが接触してウェハW裏面に発生した塵埃が、露光装置S4の柱状ピン70に付着することを防止できる。そして、ウェハWが露光される際に、ウェハWと柱状ピン70との間に塵埃が挟まることによって焦点が合わなくなることを防止できる。
【0054】
なお、真空吸着ピン41A〜41Dは、本発明における第3の接触部に相当する。
【0055】
図11は、塗布モジュール23の構成の概略を示す縦断面図である。図12は、ウェハWの裏面が露光装置S4の柱状ピン70に接触する領域70aと、ウェハWの裏面が塗布モジュール23の真空吸着ピン82に接触する領域82aとの位置関係を示す図である。
【0056】
図11に示すように、塗布モジュール23は、ケーシング80を有し、そのケーシング80内の中央部には、ウェハWを保持するスピンチャック81が設けられている。スピンチャック81は、水平な上面を有し、上面の周縁部には、ウェハWの裏面に接触する真空吸着ピン82がスピンチャック81の上面から突出するように設けられている。真空吸着ピン82の上面には、ウェハWを吸引する吸着孔83が形成されている。ウェハWの裏面と真空吸着ピン82とを接触させ、接触したウェハWの裏面を吸着孔83により吸引することによって、ウェハWをスピンチャック81上に保持できる。
【0057】
なお、塗布モジュール23は、本発明における基板処理部に相当し、真空吸着ピン82は、本発明における第1の接触部に相当する。
【0058】
スピンチャック81は、例えばモータなどを備えたチャック駆動機構84を有し、そのチャック駆動機構84により、スピンチャック81の中心を回転軸として所定の速度で回転可能である。また、チャック駆動機構84には、シリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック81は上下動可能である。
【0059】
スピンチャック81の周囲には、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ85が設けられている。カップ85の下面には、回収した液体を排出する排出管86と、カップ85内の雰囲気を排気する排気管87が接続されている。
【0060】
スピンチャック81の上方には、塗布液としてのレジスト液を吐出するレジスト液ノズル88が設けられている。レジスト液ノズル88には、レジスト液供給源88aに連通する供給管88bが接続されている。また、供給管88bには、バルブ88cが設けられており、このバルブ88cの開閉により、レジスト液の吐出をON・OFFできる。
【0061】
図12に示すように、真空吸着ピン82は、ウェハWの裏面が真空吸着ピン82に接触する領域82aが、ウェハWの裏面が露光装置S4の柱状ピン70に接触する領域70aと重ならないような位置に、設けられている。例えば、ノッチWNの回転角度位置が位置合わせされた状態で、ウェハWの裏面が露光装置S4の柱状ピン70に接触する領域70aが、ウェハWが真空吸着ピン82の吸着孔83に吸着される領域に含まれていればよい。これにより、ウェハWを塗布モジュール23により塗布処理する際に、ウェハWの裏面と真空吸着ピン82とが接触してウェハW裏面に発生した塵埃が、露光装置S4の柱状ピン70に付着することを防止できる。そして、ウェハWが露光される際に、ウェハWと柱状ピン70との間に塵埃が挟まることによって焦点が合わなくなることを防止できる。
【0062】
また、図12に示すように、ウェハWの裏面が塗布モジュール23の真空吸着ピン82に接触する領域82aは、4つの直線部分よりなる矩形形状を有していてもよい。すなわち、真空吸着ピン82の上面は、4つの直線部分よりなる矩形形状を有していてもよい。
【0063】
図13は、加熱モジュール90の構成の概略を示す縦断面図である。図14は、ウェハWの裏面が露光装置S4の柱状ピン70に接触する領域70aと、ウェハWの裏面が加熱モジュール90の突き上げピン93に接触する領域93aとの位置関係を示す図である。
【0064】
図13に示すように、加熱モジュール90は、処理容器91、熱板92、突き上げピン93、昇降機構94を有する。加熱モジュール90は、ウェハWに対して熱処理を行うものである。処理容器91内には、熱板92が設けられている。熱板92には、図示しないヒータが内蔵されているとともに、突き上げピン93が設けられている。昇降機構94は突き上げピン93を昇降させる。突き上げピン93は、フォーク3Aから熱板92にウェハWを受け取る際に、昇降機構94により突き上げピン93を上昇させ、上昇した突き上げピン93とウェハWの裏面とを接触させることによってウェハWを保持する。
【0065】
なお、加熱モジュール90は、本発明における基板処理部に相当し、突き上げピン93は、本発明における第1の接触部に相当する。
【0066】
図14に示すように、突き上げピン93は、ウェハWの裏面が突き上げピン93に接触する領域93aが、ウェハWの裏面が露光装置S4の柱状ピン70に接触する領域70aと重ならないような位置に、設けられている。これにより、ウェハWを加熱モジュール90により加熱処理する際に、ウェハWの裏面と突き上げピン93とが接触してウェハW裏面に発生した塵埃が、露光装置S4の柱状ピン70に付着することを防止できる。そして、ウェハWが露光される際に、ウェハWと柱状ピン70との間に塵埃が挟まることによって焦点が合わなくなることを防止できる。
【0067】
また、図14に示すように、ウェハWの裏面が加熱モジュール90の突き上げピン93に接触する領域93aは、十字形状を有していてもよい。すなわち、突き上げピン93の上面は、十字形状を有していてもよい。
【0068】
なお、本実施の形態では、突き上げピン93が、ウェハWの裏面が突き上げピン93に接触する領域93aが、ウェハWの裏面が露光装置S4の柱状ピン70に接触する領域70aと重ならないような位置に、設けられている例について説明した。しかし、熱板92に突き上げピン93以外の支持ピンが設けられているときは、支持ピンは、ウェハWの裏面が支持ピンに接触する領域が、ウェハWの裏面が露光装置S4の柱状ピン70に接触する領域70aと重ならないような位置に、設けられていてもよい。あるいは、冷却モジュール等各種の加熱・冷却系モジュールの突き上げピン又は支持ピンも、ウェハWの裏面がそれらの突き上げピン又は支持ピンと接触する領域が、ウェハWの裏面が露光装置S4の柱状ピン70に接触する領域70aと重ならないような位置に、設けられていてもよい。
【0069】
以上のような構成を有するレジストパターン形成装置における塗布現像処理は、図1に示すように、制御部100により制御される。制御部100は、演算処理部101、記憶部102及び表示部103を有する。
【0070】
演算処理部101は、例えばメモリ、CPU(Central Processing Unit)を有するデータ処理部であるコンピュータである。演算処理部101は、記憶部102に記録されたプログラムを読み取り、そのプログラムに含まれる命令(コマンド)に従って、レジストパターン形成装置の各部に制御信号を送り、レジストパターン形成処理に含まれる各種の基板処理を実行する。
【0071】
記憶部102は、演算処理部101に、各種の処理を実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。記録媒体として、例えば、フレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、光磁気(Magnetoptical;MO)ディスク等を用いることができる。
【0072】
表示部103は、例えばコンピュータの画面よりなる。表示部103では、各種の基板処理の選択や、各基板処理におけるパラメータの入力操作を行うことができる。
【0073】
次に、上記の如く説明したレジストパターン形成装置におけるレジストパターン形成方法について説明する。なお、レジストパターン形成方法は、本発明における基板処理方法に相当する。
【0074】
キャリアブロックS1からのウェハWは、棚ユニットU1の受け渡しモジュールTRS1に搬送され、受け渡しモジュールTRS1において、ノッチWNの回転角度位置が位置合わせされる。
【0075】
前述したように、載置台51に、載置台51の中心を回転軸として回転可能にウェハWを保持し、保持したウェハWのノッチWNの回転角度位置を、検出部52により検出する。そして、検出した回転角度位置が基準位置から所定範囲内になるように、回転駆動部53により回転角度位置を位置合わせする。例えば、検出した回転角度位置の基準位置からの角度ずれをΔθとするとき、角度ずれΔθがΔθ1以下になるように、回転角度位置を位置合わせする(位置合わせ工程)。
【0076】
なお、受け渡しモジュールTRS1において、ノッチWNの回転角度位置を位置合わせするとともに、載置台51に保持されたウェハWの周辺部の位置を検出部52により検出してもよい。
【0077】
そして、受け渡しモジュールTRS1によりノッチWNの回転角度位置が位置合わせされた後、ウェハWは、他の受け渡しモジュール、例えば第2のブロック(BCT層)B2に対応する受け渡しモジュールCPL2に、受け渡し手段Cにより、順次搬送される。受け渡しモジュールCPL2に搬送されたウェハWは、第2のブロック(BCT層)B2の搬送アームA2に受け渡され、搬送アームA2を介して各処理モジュール(塗布モジュール及び加熱・冷却系の処理モジュール群の各処理モジュール)に搬送され、各処理モジュールで処理が行われる。これにより、ウェハWに反射防止膜が形成される。
【0078】
このとき、塗布モジュール23での処理後、加熱モジュール90による処理前に、搬送アームA2により再び受け渡しモジュールTRS1にウェハWを搬送し、ノッチWNの回転角度位置の位置合わせを行うことが好ましい。
【0079】
反射防止膜が形成されたウェハWは、搬送アームA2、棚ユニットU1の受け渡しモジュールBF2、受け渡しアームD、棚ユニットU1の受け渡しモジュールCPL3を介し、第3のブロック(COT層)B3の搬送アームA3に受け渡される。そして、ウェハWは、搬送アームA3を介して各処理モジュール(塗布モジュール及び加熱・冷却系の処理モジュール群の各処理モジュール)に搬送され、各処理モジュールで処理が行われる。これにより、ウェハWにレジスト膜が形成される。
【0080】
このとき、受け渡しモジュールTRS1によりノッチWNの回転角度位置が位置合わせされたウェハWを搬送アームA3のフォーク3Aに設けられた真空吸着ピン41A〜41Dに接触させることによって、ウェハWを保持する。フォーク3AによりウェハWを保持する工程は、本発明における第3の保持工程に相当する。
【0081】
そして、フォーク3Aに保持されたウェハWを塗布モジュール23に搬送し、搬送したウェハWの裏面と塗布モジュール23の真空吸着ピン82とを接触させることによって、ウェハWをスピンチャック81により保持する。また、受け渡しモジュールTRS1によりノッチWNの回転角度位置が位置合わせされたウェハWを搬送アームA3により加熱モジュール90に搬送し、搬送したウェハWの裏面と加熱モジュール90の突き上げピン93とを接触させることによって、ウェハWを熱板92により保持する。なお、ウェハWをスピンチャック81又は熱板92により保持する工程は、本発明における第1の保持工程に相当する。
【0082】
なお、受け渡しモジュールTRS1において、ノッチWNの回転角度位置を位置合わせするとともに、載置台51に保持されたウェハWの周辺部の位置を検出部52により検出してもよい。このときは、ウェハWをスピンチャック81又は突き上げピン93により保持する際に、ウェハWは、ノッチWNの回転角度位置が位置合わせされているとともに、検出したウェハWの周辺部の位置に基づいて、水平方向の位置も補正されている。
【0083】
ウェハWの水平方向の位置が補正されていないときでも、載置台51が、ウェハWを、ウェハWの略中心として回転可能に保持した状態で、ノッチWNの回転角度位置を位置合わせすることができる。しかし、ウェハWの水平方向の位置が補正されているときは、ウェハWの中心位置を、載置台51の回転中心位置に精度よく位置合わせできる。従って、ノッチWNの回転角度位置をより精度よく位置合わせできる。
【0084】
また、塗布モジュール23でのレジスト液の塗布処理の後、加熱モジュール90による加熱処理の前に、搬送アームA3により再び受け渡しモジュールTRS1にウェハWを搬送し、ノッチWNの回転角度位置の位置合わせを行うことが好ましい。
【0085】
レジスト膜が形成されたウェハWは、搬送アームA3を介し、棚ユニットU1の受け渡しモジュールBF3に受け渡される。
【0086】
また、レジスト膜が形成されたウェハWは、第4のブロック(TCT層)B4において更に反射防止膜が形成される場合もある。この場合は、ウェハWは受け渡しモジュールCPL4を介し、第4のブロック(TCT層)B4の搬送アームA4に受け渡され、搬送アームA4を介して各処理モジュール(塗布モジュール及び加熱・冷却系の処理モジュール群の各処理モジュール)に搬送され、各処理モジュールで処理が行われる。これにより、ウェハWに反射防止膜が形成される。そして、反射防止膜が形成されたウェハWは、搬送アームA4を介し、棚ユニットU1の受け渡しモジュールTRS4に受け渡される。
【0087】
レジスト膜が形成されたウェハW又はレジスト膜の上に更に反射防止膜が形成されたウェハWは、受け渡しアームD、受け渡しモジュールBF3、TRS4を介して受け渡しモジュールCPL11に受け渡される。受け渡しモジュールCPL11に受け渡されたウェハWは、シャトルアームEにより棚ユニットU2の受け渡しモジュールCPL12に直接搬送された後、インターフェイスブロックS3のインターフェイスアームFに受け渡される。
【0088】
インターフェイスアームFに受け渡されたウェハWは、露光装置S4に搬送され、所定の露光処理が行われる。このとき、搬送されたウェハWは、露光装置S4のウェハチャック61に受け渡され、ウェハWの裏面と柱状ピン70とを接触させることによって、ウェハチャック61に保持される。このウェハチャック61によりウェハWを保持する工程は、本発明における第2の保持工程に相当する。
【0089】
そして、ウェハチャック61に受け渡されたウェハWは、X−Yテーブル62のθ軸駆動用モータ63によりノッチWNの回転角度位置が位置合わせされ、ノッチWNの回転角度位置が位置合わせされた状態で、ウェハWが露光処理される。これにより、露光処理前の各種の基板処理の際にウェハWの裏面に発生した塵埃が、露光装置S4の柱状ピン70に付着することを防止できる。
【0090】
なお、露光装置S4のウェハチャック61に受け渡されたウェハWは、X−Yテーブル62のX軸駆動用モータ64及びY軸駆動用モータ65により周辺部の水平位置が補正され、周辺部の水平位置が補正された状態で、ウェハWが露光処理される。従って、受け渡しモジュールTRS1によりウェハWの水平方向の位置も補正されているときは、露光処理前の各種の基板処理の際のウェハWの中心位置を、露光処理の際のウェハWの中心位置に更に精度よく位置合わせできる。そのため、露光処理前の各種の基板処理の際にウェハWの裏面に発生した塵埃が、露光装置S4の柱状ピン70に付着することを更に防止できる。
【0091】
所定の露光処理が行われたウェハWは、インターフェイスアームFを介し、棚ユニットU2の受け渡しモジュールTRS6に載置され、処理ブロックS2に戻される。処理ブロックS2に戻されたウェハWは、第1のブロック(DEV層)B1において現像処理が行われる。現像処理が行われたウェハWは、搬送アームA1、棚ユニットU1のいずれかの受け渡しモジュール、受け渡し手段Cを介し、キャリア20に戻され、レジストパターン形成処理が終了する。
【0092】
次に、本実施の形態に係る基板処理方法であるレジストパターン形成方法によれば、露光処理前の各種の基板処理の際にウェハWの裏面に発生した塵埃が、露光装置S4の柱状ピン70に付着することを防止できることについて説明する。
【0093】
図15及び図16は、ウェハWの裏面が露光装置S4の柱状ピン70に接触する領域70aと、ウェハWの裏面がそれぞれフォーク3A、塗布モジュール23及び加熱モジュール90の突き上げピン93等に接触する領域41a、82a、93aとの位置関係を示す図である。図15は、基準位置からの回転角度位置の角度ずれΔθが許容上限値Δθ1以下のときを示す。図16は、基準位置からの回転角度位置の角度ずれΔθが許容上限値Δθ1を超えるときを示す。
【0094】
また、図17は、角度ずれΔθが許容上限値Δθ1を超えた場合であって、ウェハWの裏面が各処理モジュールに設けられた突き上げピン等に接触して塵埃DSが発生したときに、ウェハを露光する際の塵埃DSの状態を模式的に示す図である。
【0095】
各処理モジュール内で突き上げピン93等がウェハW裏面に接触する際(図17(a)参照。)、接触時の突き上げピン93等の勢い、突き上げピン93等の硬さ、突き上げピン93等の上面の平坦度等に影響され、ウェハWの裏面を傷付けることがある(図17(b)参照。)。すると、傷付けられたウェハWの裏面から発生した塵埃DSが突き上げピン93等に付着する(図17(c)参照。)。そして、塵埃DSが付着した突き上げピン93が再度ウェハWの裏面に接触することにより(図17(d)参照。)、ウェハWの裏面に塵埃DSが付着する(図17(e)参照。)
図16に示すように、角度ずれΔθが許容上限値Δθ1を超えるときは、ノッチWNの回転角度位置が本来の位置である基準位置近傍にはない。そのため、ウェハWの裏面が各処理モジュールの突き上げピン93等に接触する領域41a、82a、93aと、ウェハWの裏面が露光装置S4の柱状ピン70に接触する領域70aとが重なるおそれがある。このとき、裏面に塵埃DSが付着したウェハWが露光装置S4に搬入されると(図17(f)参照。)、ウェハWの裏面に付着した塵埃DSが柱状ピン70とウェハWとの間に挟まれ、ウェハWが変形することによって、露光の際の焦点が合わなくなる(図17(g)参照。)。
【0096】
一方、図15に示すように、角度ずれΔθが許容上限値Δθ1以下であるときは、ノッチWNの回転角度位置が本来の位置である基準位置近傍にある。そのため、ウェハWの裏面が各処理モジュールの突き上げピン93等に接触する領域41a、82a、93aは、ウェハWの裏面が露光装置S4の柱状ピン70に接触する領域70aに重ならない。従って、露光処理前の各種の基板処理の際にウェハWの裏面に発生した塵埃DSが、露光装置S4の柱状ピン70に付着することを防止できる。そして、塵埃DSが柱状ピン70とウェハWとの間に挟まれ、ウェハWが変形することを防止できるため、露光の際の焦点が合わなくなることを防止できる。
【0097】
このような許容上限値Δθ1は、以下のような方法により、予め調整することができる。レジストパターンを形成するためのウェハに代え、ダミーウェハを用いる。このダミーウェハとしては、例えば、フォーク3A、3Bの真空吸着ピン41A〜41D、塗布モジュール23の真空吸着ピン82の接触、加熱モジュール90の突き上げピン93の接触の履歴を記録できる、例えば圧力センサ機能を有するテストウェハであることが好ましい。そして、ダミーウェハを受け渡しモジュールTRS1の載置台51に保持し、ダミーウェハのノッチWNの回転角度位置を基準位置からずらした状態で、各処理モジュールでの処理を行う。その結果、ウェハWの裏面が各処理モジュールの突き上げピン93等に接触する領域41a、82a、93aと、ウェハWの裏面が露光装置S4の柱状ピン70に接触する領域70aとが重ならない回転角度位置であって、基準位置からの角度ずれが最大となるような回転角度位置を決定する。
【0098】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0099】
3A、3B フォーク
23 塗布モジュール
41A〜41D 真空吸着ピン
51 載置台
52 検出部
53 回転駆動部
61 ウェハチャック
70 柱状ピン
81 スピンチャック
82 真空吸着ピン
90 加熱モジュール
92 熱板
93 突き上げピン
100 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を露光装置により露光する前に、前記基板に所定の処理を行う基板処理方法において、
基板を、前記基板の略中心を回転軸として回転可能に保持し、保持した前記基板に形成されている切欠部の回転角度位置が基準位置から所定範囲内になるように、前記回転角度位置を位置合わせする位置合わせ工程と、
前記回転角度位置が位置合わせされた前記基板を、前記所定の処理を行う基板処理部に搬送し、搬送した前記基板と前記基板処理部に設けられた第1の接触部とを接触させることによって、前記基板を保持する第1の保持工程と、
前記基板に前記所定の処理を行った後、前記基板を前記露光装置に搬送し、搬送した前記基板と前記露光装置に設けられた第2の接触部とを接触させることによって、前記基板を保持する第2の保持工程と
を有し、
前記第1の接触部は、前記回転角度位置が前記基準位置から前記所定範囲内のとき、前記基板が前記第1の接触部に接触する領域が、前記基板が前記第2の接触部に接触する領域と重ならないように設けられている、基板処理方法。
【請求項2】
前記回転角度位置が位置合わせされた前記基板を、前記基板を搬送する基板搬送部に設けられた第3の接触部に接触させることによって、前記基板を保持する第3の保持工程を有し、
前記第3の接触部は、前記回転角度位置が前記基準位置から前記所定範囲内のとき、前記基板が前記第3の接触部に接触する領域が、前記基板が前記第2の接触部に接触する領域と重ならないように設けられている、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記位置合わせ工程は、前記基板を保持した基板保持部を、前記基板保持部の中心を回転軸として回転させながら、前記回転角度位置を検出部により検出し、検出した前記回転角度位置が前記基準位置から前記所定範囲内になるように、前記回転角度位置を位置合わせするものである、請求項1又は請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記位置合わせ工程は、前記回転角度位置を位置合わせするとともに、前記基板保持部により保持した前記基板の周辺部の位置を前記検出部により検出するものであり、
前記第1の保持工程は、前記第1の接触部に接触させることによって前記基板を保持する際に、検出された前記周辺部の位置に基づいて、前記基板の水平方向の位置を補正するものである、請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
コンピュータに請求項1から請求項4のいずれかに記載の基板処理方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項6】
基板を露光装置により露光する前に、前記基板に所定の処理を行う基板処理システムにおいて、
基板を、前記基板の略中心を回転軸として回転可能に保持し、保持した前記基板に形成されている切欠部の回転角度位置が基準位置から所定範囲内になるように、前記回転角度位置を位置合わせする位置合わせ部と、
前記回転角度位置が位置合わせされた前記基板を搬送する基板搬送部と、
前記基板搬送部により搬送された前記基板と接触させることによって前記基板を保持する第1の接触部を含み、保持した前記基板に前記所定の処理を行う基板処理部と
を有し、
前記露光装置は、前記基板と接触させることによって前記基板を保持する第2の接触部を含むものであって、
前記第1の接触部は、前記回転角度位置が前記基準位置から前記所定範囲内のとき、前記基板が前記第1の接触部に接触する領域が、前記基板が前記第2の接触部に接触する領域と重ならないように設けられている、基板処理システム。
【請求項7】
前記基板搬送部は、前記回転角度位置が位置合わせされた前記基板と接触させることによって前記基板を保持する第3の接触部を含み、
前記第3の接触部は、前記回転角度位置が前記基準位置から前記所定範囲内のとき、前記基板が前記第3の接触部に接触する領域が、前記基板が前記第2の接触部に接触する領域と重ならないように設けられている、請求項6に記載の基板処理システム。
【請求項8】
前記位置合わせ部は、
前記基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部の中心を回転軸として前記基板保持部を回転させる回転部と、
前記基板保持部に保持された前記基板の前記切欠部の回転角度位置を検出する検出部と
を有し、
前記基板を保持した前記基板保持部を前記回転部により回転させながら、前記回転角度位置を前記検出部により検出し、検出した前記回転角度位置が前記基準位置から前記所定範囲内になるように、前記回転角度位置を位置合わせするものである、請求項6又は請求項7に記載の基板処理システム。
【請求項9】
前記位置合わせ部は、前記回転角度位置を位置合わせするとともに、前記基板保持部に保持された前記基板の周辺部の位置を前記検出部により検出するものであり、
前記基板搬送部は、前記第1の接触部に接触させることによって前記基板を保持する際に、検出された前記周辺部の位置に基づいて、前記基板の水平方向の位置を補正するものである、請求項8に記載の基板処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−234987(P2012−234987A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102976(P2011−102976)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】