基板処理装置
【課題】データの変更に容易に対応し、データを容易に管理することを可能にする。
【解決手段】制御コントローラ77〜79と、該制御コントローラによって駆動制御される制御対象物と、前記制御コントローラに前記制御対象物を駆動させるための指示を発する主制御部67とを備え、前記主制御部67は、前記制御対象物と、前記制御対象物が収集する収集可能データと、前記制御コントローラ77〜79の識別子とを関連付けたテーブルを有し、前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成する。
【解決手段】制御コントローラ77〜79と、該制御コントローラによって駆動制御される制御対象物と、前記制御コントローラに前記制御対象物を駆動させるための指示を発する主制御部67とを備え、前記主制御部67は、前記制御対象物と、前記制御対象物が収集する収集可能データと、前記制御コントローラ77〜79の識別子とを関連付けたテーブルを有し、前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に係り、特に基板処理装置の一部を構成するセンサやアクチュエータなどの制御対象物が収集する収集可能データの変更に対応し、収集可能データを管理することが可能な基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造の一工程を実行する基板処理装置は、所定枚数の基板を一度に処理するバッチ式の基板処理装置と、1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置とがあり、いずれの形式の基板処理装置においても、処理炉を具備し、処理炉内の処理室に収納された基板を処理温度に加熱し、又処理室に基板の処理内容に対応した処理ガスを導入しつつ排気して、基板処理を行っている。
【0003】
基板処理装置は、一般に、複数の制御コントローラ、各制御コントローラによって駆動制御される制御対象物、各制御コントローラに制御対象物を駆動させるための指示を発する主制御部を備える。制御コントローラは、装置に組み込まれる装置内制御コントローラと、装置に組み込まれない装置外コントローラとから構成される。制御対象物は、装置内制御コントローラによって制御される装置内制御対象物と、装置外コントローラによって制御される装置外制御対象物とから構成される。装置内制御コントローラ及び装置内制御対象物は、基板処理に直接寄与する制御系を構成する。装置外コントローラ及び装置外制御対象物は、基板処理に直接寄与しない制御系を構成する。
【0004】
装置内制御コントローラとしては、温度制御コントローラ、圧力制御コントローラ、ガス流量制御コントローラなどが挙げられる。また、装置内制御対象物は、アクチュエータやセンサを含む概念である。アクチュエータとしては、ヒータ、圧力調整装置(APC)、流量制御装置(MFC)等が挙げられる。センサとしては温度センサ、圧力センサ等が挙げられる。
【0005】
装置外コントローラは、基板処理に直接寄与する制御系(ツール)を構成しないことから、オフツールコントローラと呼ばれることもある。装置外コントローラとしては、例えば装置外制御対象物であるレシピ管理装置を制御するレシピ管理コントローラ、装置外制御対象物である成膜データ収集装置を制御する成膜データ収集コントローラが挙げられる。後者の成膜データ収集コントローラは、例えば一台または複数台の基板処理装置から取得した基板処理に関する各種のデータ(例えば、炉内温度やガス流量)をネットワークを介して収集して、データ収集装置に保存する。
【0006】
ここで、基板処理装置が基板処理を実行するためには、上記した主制御部に、装置内制御コントローラに装置内制御対象物を制御させる指示を発するための装置制御用ソフトウェアが必要になる。また、装置外コントローラにも、装置制御用ソフトウェアとは別に、装置外コントローラを制御するための装置外コントローラ用ソフトウェアが必要になる。
【0007】
基板処理装置が基板処理を実行すると、上記装置制御用ソフトウェアの指示にしたがって、制御コントローラが制御対象物を駆動させ、その駆動に伴って制御対象物を構成するセンサからデータが検出される。この検出されたデータは、各装置内制御コントローラを介して主制御部に格納される。また、各データが設定値となるように各装置内制御コントローラによるフィードバック制御等が行われる。
【0008】
また、装置外コントローラ用ソフトウェアの指示にしたがって、主制御部67に格納さ
れたデータは、装置外コントローラを介して装置外制御対象物に蓄積される。装置外制御対象物が例えば成膜データ収集装置である場合、データを正規分布化する等、統計的処理を行い、必要に応じて各種の統計データを表示画面に出力する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、基板処理装置を構成する制御コントローラや制御対象物は、成膜する膜種、制御対象物の機能に応じて、使用する制御対象物の型式やメーカが異なることが多々ある。したがって、膜種、機能に応じた基板処理装置を新たに開発する場合において、その基板処理装置を構成する制御コントローラや制御対象物が、開発前の基板処理装置と異なることとなるとき、異なるそれらに対応させるために、基板処理装置を制御する装置制御用ソフトウェアの開発が必要になる。
【0010】
従来、基板処理装置と装置制御用ソフトウェアとは一意的に定まっていた。このため、制御コントローラや制御対象物に変更があると、それらが収集することが可能なデータの組み合わせを変更しなければならず、新たな装置のためにプログラムを全く新規に開発する必要があった。このためプログラム開発が煩雑になり、上記制御コントローラや制御対象物の変更に収集可能データを対応させることも、開発装置毎に収集可能データを管理することも困難であった。例えば、センサやアクチュエータ等の型式やメーカが変更になると、その変更には、センサが収集する収集可能データの追加や削除、データ値に対応する定義の変更などを伴う。これらの変更は、基板処理装置と装置制御用ソフトウェアとが一意的であると、プログラム開発量が膨大になり、その対応に多大の時間を要し、上記対応や上記管理が困難であった。
【0011】
本発明の目的は、上述した従来技術の問題点を解消して、収集可能データの変更に容易に対応し、収集可能データを容易に管理することが可能な基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、基板を処理する基板処理装置であって、制御コントローラと、該制御コントローラによって駆動制御される制御対象物と、前記制御コントローラに前記制御対象物を駆動させるための指示を発する主制御部とを備え、前記主制御部は、前記制御対象物と、前記制御対象物が収集する収集可能データと、識別子とを関連付けたテーブルを有し、前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成する基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、収集可能データの変更に容易に対応し、収集可能データを容易に管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0015】
本発明はオブジェクトを用いることを前提としている。オブジェクトを用いることの特徴は、機能拡張やシステムの変更を行うときに、各オブジェクト単位で変更を考えれば良く、システムの変更に対してフレキシビリティが高いからである。
本発明の好ましい実施の形態では、基板処理装置の構成を複数のオブジェクトで定義する。基板処理装置で実現する膜種、機能の変更により、制御コントローラや制御対象物の型式やメーカが異なる結果、オブジェクトに変更、追加、削除がある場合を含めて、基板処理装置の主制御部に上記変更に応じた各種テーブルを予め用意しておく。このテーブル
には、各オブジェクトに識別子を付した収集可能データの組み合わせを含む。制御対象物等の型式やメーカの変更により、基板処理装置の収集可能データに変更があっても、識別子によりその変更に対応するテーブルを呼び出すことができるので、収集可能データの変更に容易に対応させることができる。また、テーブルに識別子を付したので収集可能データを容易に管理できる。
【0016】
先ず、本発明が実施される基板処理装置について説明する。図9,図10は基板処理装置の一例として縦型の基板処理装置を示している。なお、該基板処理装置に於いて処理される基板は、一例としてシリコン等から成るウェーハが示されている。
【0017】
図9及び図10に示されているように、基板処理装置1は筐体2を備えている。該筐体2の正面壁3の下部にはメンテナンス可能な様に設けられた開口部としての正面メンテナンス口4が開設され、該正面メンテナンス口4は正面メンテナンス扉5によって開閉される。
【0018】
前記筐体2の前記正面壁3にはポッド搬入搬出に16が前記筐体2の内外を連通するように開設されており、前記ポッド搬入搬出口6はフロントシャッタ(搬入搬出口開閉機構)7によって開閉され、前記ポッド搬入搬出口6の正面前方側にはロードポート(基板搬送容器受渡し台)8が設置されており、該ロードポート8は載置されたポッド9を位置合せするように構成されている。
【0019】
該ポッド9は、密閉式の基板搬送容器であり、図示しない工程内搬送装置によって前記ロードポート8上に搬入され、又、該ロードポート8上から搬出されるようになっている。
【0020】
前記筐体2内の前後方向の略中央部に於ける上部には、回転式ポッド棚(基板搬送容器格納棚)11が設置されており、該回転式ポッド棚11は複数個のポッド9を格納するように構成されている。
【0021】
前記回転式ポッド棚11は垂直に立設されて間欠回転される支柱12と、該支柱12に上中下段の各位置に於いて放射状に支持された複数段の棚板(基板搬送容器載置棚)13とを備えており、該棚板13はポッド9を複数個宛載置した状態で格納するように構成されている。
【0022】
前記回転式ポッド棚11の下方には、ポッドオープナ(基板搬送容器蓋体開閉機構)14が設けられ、該ポッドオープナ14は前記ポッド9を載置し、又該ポッド9の蓋を開閉可能な構成を有している。
【0023】
前記ロードポート8と前記回転式ポッド棚11、前記ポッドオープナ14との間には、ポッド搬送装置(容器搬送装置)15が設置されており、該ポッド搬送装置15は、前記ポッド9を保持して昇降可能、水平方向に進退可能となっており、前記ロードポート8、前記回転式ポッド棚11、前記ポッドオープナ14との間で前記ポッド9を搬送するように構成されている。
【0024】
前記筐体2内の前後方向の略中央部に於ける下部には、サブ筐体16が後端に亘って設けられている。該サブ筐体16の正面壁17にはウェーハ(基板)18を前記サブ筐体16内に対して搬入搬出するためのウェーハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)19が一対、垂直方向に上下二段に並べられて開設されており、上下段のウェーハ搬入搬出口19,19に対して前記ポッドオープナ14がそれぞれ設けられている。
【0025】
該ポッドオープナ14は前記ポッド9を載置する載置台21と、前記ポッド9の蓋を開閉する開閉機構22とを備えている。前記ポッドオープナ14は前記載置台21に載置された前記ポッド9の蓋を前記開閉機構22によって開閉することにより、前記ポッド9のウェーハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
【0026】
前記サブ筐体16は前記ポッド搬送装置15や前記回転式ポッド棚11が配設されている空間(ポッド搬送空間)から気密となっている移載室23を構成している。該移載室23の前側領域にはウェーハ移載機構(基板移載機構)24が設置されており、該ウェーハ移載機構24は、ウェーハを載置する所要枚数(図示では5枚)のウェーハ載置プレート25を具備し、該ウェーハ載置プレート25は水平方向に直動可能、水平方向に回転可能、又昇降可能となっている。前記ウェーハ移載機構24はボート(基板保持具)26に対してウェーハ18を装填及び払出しするように構成されている。
【0027】
前記移載室23の後側領域には、前記ボート26を収容して待機させる待機部27が櫛成され、該待機部27の上方には縦型の処理炉28が設けられている。該処理炉28の下端部は、炉口部となっており、該炉口部は炉口シャッタ(炉口開閉機構)29により開閉されるようになっている。
【0028】
前記筐体2の右側端部と前記サブ筐体16の前記待機部27の右側端部との間には前記ボート26を昇降させるためのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)31が設置されている。該ボートエレベータ31の昇降台に連結されたアーム32には蓋体としてのシールキャップ33が水平に取付けられており、該シールキャップ33は前記ボート26を垂直に支持し、前記処理炉28の下端部を気密に閉塞可能となっている。
【0029】
前記ボート26は複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば、50枚〜125枚程度)のウェーハ18を、その中心を揃えて水平姿勢で多段に保持するように構成されている。
【0030】
前記ボートエレベータ31側と対向した位置にはクリーンユニット34が配設され、該クリーンユニット34は、清浄化した雰囲気若しくは不活性ガスであるクリーンエア35を供給するよう供給フアン及び防塵フィルタで構成されている。前記ウェーハ移載機構24と前記クリーンユニット34との間には、ウェーハの円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合せ装置(図示せず)が設置されている。
【0031】
前記クリーンユニット34から吹出されたクリーンエア35は、ノッチ合せ装置(図示せず)及び前記ウェーハ移載機構24、前記ボート26に流通された後に、図示しないダクトにより吸込まれて、前記筐体2の外部に排気がなされるか、若しくは前記クリーンユニット34の吸込み側である一次側(供給側)に迄循環され、再び該クリーンユニット34によって、前記移載室23内に1次出されるように構成されている。
【0032】
前記基板処理装置1の作動について説明する。
【0033】
前記ポッド9が前記ロードポート8に供給されると、前記ポッド搬入搬出口6が前記フロントシャッタ7によって開放される。前記ロードポート8−上の前記ポッド9は前記ポッド搬送装置15によって前記筐体2の内部へ前記ポッド搬入搬出口6を通して搬入され、前記回転式ポッド棚11の指定された前記棚板13へ救置される。前記ポッド9は前記回転式ポッド棚11で一時的に保綴された後、前記ポッド搬送装置15により前記棚板13からいずれか一方のポッドオープナ14に搬送されて前記載置台21に移載されるか、若しくは前記ロードポート8から直接前記載置台21に移載される。
【0034】
この際、前記ウェーハ搬入搬出口19は前記開閉機構22によって閉じられており、前記移載室23には前記クリーンエア35が流通され、充満している。例えば、前記移載室23にはクリーンエア35として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、前記筐体2の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遥かに低く設定されている。
【0035】
前記載置台21に載置された前記ポッド9はその開口側端面が前記サブ筐体16の前記正面壁17に於ける前記ウェーハ搬入搬出口19の開口縁辺部に押付けられると共に、蓋が前記開閉機構22によって取外され、ウェーハ出し入れ口が開放される。
【0036】
前記ポッド9が前記ポッドオープナ14によって開放されると、ウェーハ18は前記ポッド9から前記ウェーハ移載機構24によって取り出され、ノッチ合せ装置(図示せず)に移送され、該ノッチ合せ装置にてウェーハ18を整合した後、前記ウェーハ移載機構24はウェーハ18を前記移載室23の後方にある前記待機部27へ搬入し、前記ボート26に装填(チャージング)する。
【0037】
該ボート26にウェーハ18を受渡した前記ウェーハ移載機構24はポッド9に戻り、次のウェーハ18を前記ボート26に装填する。
【0038】
一方(上段又は下段)のポッドオープナ14に於ける前記ウェーハ移載機構24によるウェーハ18の前記ボート26への装填作業中に、他方(下段又は上段)のポッドオープナ14には前記回転式ポッド棚11から別のポッド9が前記ポッド搬送装置15によって搬送されて移載され、前記他方のポッドオープナ14によるポッド9の開放作業が同時進行される。
【0039】
予め指定された枚数のウェーハ18が前記ボート26に装填されると、前記炉口シャッタ29によって閉じられていた前記処理炉28の炉口部が、前記炉口シャッタ29によって開放される。続いて、前記ボート26は前記ボートエレベータ31によって上昇され、前記処理炉28内へ搬入(ローディング)される。
【0040】
ローディング後は、前記シールキャップ33によって炉口部が気密に閉塞され、前記処理炉28にてウェーハ18に所要の処理が実行される。
【0041】
処理後は、ノッチ合せ装置(図示せず)でのウェーハ18の整合工程を除き、上記との手順で、ウェーハ18及びポッド9は前記筐体2の外部へ払出される。
【0042】
次に、前記処理炉28について図11により説明する。
【0043】
該処理炉28は加熱手段としてのヒータユニット37を有する。該ヒータユニット37は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース38に支持されることにより垂直に設置されている。又、前記ヒータユニット37は垂直方向に複数の加熱ゾーンに分割(例えば4分割)され、各加熱ゾーンに対応してそれぞれヒータが設けられ、該ヒータは独立して制御可能となっている。
【0044】
前記ヒータユニット37の内側には、該ヒータユニット37と同心円状に反応管39が配設されている。該反応管39は内部反応管41と、その外側に同心に設けられた外部反応管42とから構成されている。
【0045】
前記内部反応管41は、例えば石英(SiO2)又は炭化シリコン(SiC)等の耐熱
性材料からなり、上端及び下端が開口した円筒形状であり、前記外部反応管42は、例えば石英又は炭化シリコン等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状
となっている。
【0046】
前記内部反応管41の内部には処理室43が画成され、ウェーハ18は前記ボート26によって保持され、該ボート26に保持された状態で、前記処理室43に収納可能となっている。
【0047】
前記ボート26は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなり、所定枚数のウェーハ18を水平姿勢で且つ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。なお、前記ボート26の下部には、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなる円板形状をした断熱部材としての断熱板44が水平姿勢で多段に複数枚配置されており、前記ヒータユニット37からの熱が炉口側に伝わり難くなるよう構成されている。
【0048】
前記外部反応管42の下方には、該外部反応管42と同心円状にマニホールド45が配設されている。該マニホールド45は、例えばステンレス等からなり、上端及び下端が開口した円筒形状となっており、該マニホールド45の上端に前記外部反応管42が気密に立設され、前記マニホールド45の内壁に突設された内フランジ46に前記内部反応管41が立設されている。該内部反応管41と前記外部反応管42との間には筒状空間47が形成される。前記反応管39と前記マニホールド45により反応容器が形成され、前記マニホールド45の下端開口は炉口部を形成する。
【0049】
前記シールキャップ33にはガス導入部としてのノズル48が前記処理室43に連通するように設けられ、前記ノズル48にはガス供給管49が接続されている。該ガス供給管49には、ガス流量制御器51を介して図示しない処理ガス供給源や不活性ガス供給源が接続され、更に前記ガス供給管49にはガス給排のための開閉弁、例えば前記ガス流量制御器51の上流側、下流側には第1開閉弁52、第2開閉弁53が設けられている。
【0050】
前記ガス流量制御器51には、ガス流量制御コントローラ54が電気的に接続されており、供給するガスの流量が所望の量となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0051】
前記マニホールド45には、前記処理室43の雰囲気を排気する排気管55が設けられている。該排気管55は、前記筒状空間47の下端部に連通している。前記排気管55には圧力センサ56及び圧力調整装置57を介して真空ポンプ等の真空排気装置58が接続されており、前記処理室43の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。
【0052】
前記圧力調整装置57及び前記圧力センサ56には、圧力制御コントローラ59が電気的に接続されており、該圧力制御コントローラ59は前記圧力センサ56により検出された圧力に基づいて前記圧力調整装置57により前記処理室43の圧力が所望の圧力となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0053】
前記炉口部は前記シールキャップ33によって気密に閉塞可能である。該シールキャップ33は例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。該シールキャップ33の下面側には、前記ボート26を回転させる回転機構61が設置されている。該回転機構61の回転軸62は前記シールキャップ33を貫通してボート受け台63に連結されており、前記回転機構61を駆動することで前記ボート26を介してウェーハ18を回転させるように構成されている。又前記回転機構61は、回転速度を検出するエンコーダ等の速度センサ(図示せず)を具備し、該速度センサの検出結果に基づき所定の速度で前記ボート26を定速回転する。
【0054】
前記シールキャップ33は前記ボートエレベータ31によって垂直方向に昇降されるように構成されており、これにより前記ボート26を前記処理室43に対し装入引出しすることが可能となっている。前記回転機構61及び前記ボートエレベータ31には、駆動制御コントローラ64が電気的に接続されており、所望の作動をするよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0055】
前記筒状空間47には温度センサ65が前記内部反応管41の下部から上部に掛渡って立設され、前記ヒータユニット37と前記温度センサ65には、電気的に温度制御コントローラ66が接続されている。
【0056】
前記温度センサ65は、保護管(図示せず)内部に挿入された複数の熱電対を有し、該熱電対の温度検出部の位置は前記ヒータユニット37に対応するように高さ方向の位置が異なるように配置されており、前記温度制御コントローラ66は、前記熱電対からのそれぞれの検出温度に基づき前記ヒータユニット37への給電状態を独立して調整し、前記処理室43の温度が所望の温度、温度分布となるようにゾーン加熱制御可能となっている。
【0057】
前記ガス流量制御コントローラ54、前記圧力制御コントローラ59、前記駆動制御コントローラ64、前記温度制御コントローラ66は、操作部、入出力部をも構成し、基板処理装置全体を制御する主制御部67に電気的に接続されている。前記ガス流量制御コントローラ54、前記圧力制御コントローラ59、前記駆動制御コントローラ64、前記温度制御コントローラ66、前記主制御部67は制御装置68として構成されている。
【0058】
次に、上記構成に係る処理炉28を用いて、半導体デバイスの製造工程の1工程として、CVD法によりウェーハ18上に薄膜を生成する方法について説明する。なお、以下の説明に於いて、基板処理装置を構成する各部の作動は前記制御装置68により制御される。
【0059】
所定枚数のウェーハ18が前記ボート26に装填されると、該ボート26は、前記ボートエレベータ31によって上昇されて前記処理室43に装入される。この状態で、前記シールキャップ33は炉口部を気密に閉塞する。
【0060】
前記処理室43が所望の圧力(真空度)となるように前記真空排気装置58によって真空排気される。この際、前記処理室43の圧力は、前記圧力センサ56で検出され、検出結果に基づき前記圧力調整装置57が、前記処理室43の圧力をフィードバック制御する。
【0061】
又、前記処理室43が所望の温度分布となるように前記温度センサ65が検出した温度情報に基づき、前記温度制御コントローラ66によって前記処理室43が所望の温度となるように前記ヒータユニット37によってゾーン加熱制御される。続いて、前記回転機構61により、前記ボート26が回転される。該ボート26と一体にウェーハ18が回転され、該ウェーハ18に対する処理が均一化される。
【0062】
又、前記第1開閉弁52、前記第2開閉弁53等、前記ガス供給管49に設けられた開閉弁の開閉作動が行われ、処理ガス供給源(図示せず)から処理ガスの供給が開始される。前記ガス流量制御器51にて所望の流量となるように制御された処理ガスは、前記ガス供給管49を流通して前記ノズル48から前記処理室43に導入される。導入された処理ガスは該処理室43を上昇し、前記内部反応管41の上端開口で折返し、前記筒状空間47を流下して前記排気管55から排気される。処理ガスは前記処理室43を通過する際にウェーハ18の表面と接触し、この際に熱CVD反応によってウェーハ18の表面上に薄膜が成膜される。
【0063】
予め設定された処理時間が経過すると、不活性ガス供給源(図示せず)から不活性ガスが供給され、前記処理室43が不活性ガスに置換されると共に、該処理室43の圧力が常圧に復帰される。
【0064】
前記ボートエレベータ31により前記シールキャップ33を介して前記ボート26が降下される。
【0065】
処理後の処理済みウェーハ18の搬出については、上記説明と逆の手順で行われる。未処理のウェーハ18が、更に前記ボート26に装填され、ウェーハ18のバッチ処理が繰返される。
【0066】
上記したように、基板処理の過程で、ボートの回転はエンコーダによって検出され、前記回転機構61が前記駆動制御コントローラ64によって制御され、又処理ガスの供給量は前記ガス流量制御器51で検出、調整され、該ガス流量制御器51は前記ガス流量制御コントローラ54によって制御され、又前記処理室43の温度は前記温度センサ65によって検出され、該温度センサ65の検出温度に基づき前記温度制御コントローラ66によって前記ヒータユニット37による加熱が制御され、又前記圧力センサ56によって前記処理室43の圧力が検出され、検出結果に基づき該処理室43の圧力が所定圧となるように前記圧力制御コントローラ59によって前記圧力調整装置57が制御される。
【0067】
本実施の形態では、前記エンコーダ(図示せず)、前記ガス流量制御器51、前記圧力センサ56、前記温度センサ65に代表されるセンサ、前記回転機構61、前記ガス流量制御器51、前記圧力調整装置57、前記ヒータユニット37に代表されるアクチユエータ、更に前記駆動制御コントローラ64、前記ガス流量制御コントローラ54、前記圧力制御コントローラ59、前記温度制御コントローラ66に代表される制御コントローラを具備し、該制御コントローラには前記主制御部67から各パラメータのデータについての設定値の指示、制御信号等が発せられ、前記制御コントローラからは前記主制御部67に対して各データについて指示前の値と、現在の値等のデータが前記主制御部67に送出される。また、主制御部67は前記制御コントローラからのデータを格納する。
【0068】
ところで、本実施の形態の基板処理装置では、データ収集型のトランザクション処理が行われている。このデータ収集型は、通信回線を通して送られた情報をいったん装置外制御対象物のファイルなどに蓄積し、それを適当な周期で処理しデータベースを更新したり、処理結果を端末装置である基板処理装置に返送したりする処理形態である。
【0069】
以下、装置外制御対象物を制御する装置外コントローラを接続した基板処理装置について説明する。装置外コントローラには、群管理コントローラ、レシピ管理コントローラ、成膜データ収集コントローラなどがあるが、ここでは成膜データ収集コントローラの場合について説明する。
【0070】
図1は、基板に成膜処理を行う本実施の形態に係る基板処理装置100における制御系の構成の一例を示すブロック図である。また、図7は、上記基板処理装置100に、装置外コントローラとしての成膜データ収集コントローラ110を介して、装置外制御対象物としての成膜データ収集装置120を接続して拡大構成した基板処理装置における制御系の構成の一例を示すブロック図である。なお、本実施の形態では少なくとも上記基板処理装置100を後述するように複数のオブジェクトで構成している。
【0071】
上記成膜データ収集装置120及び成膜データ収集コントローラ110は汎用装置であって、任意の基板処理装置100に共通に使用できるものである。すなわち、基板処理装
置100で実現する膜種、機能よって、使用する制御コントローラや制御対象物であるアクチュエータの型式やメーカが異り、そのため新たな基板処理装置の開発が必要になっても、成膜データ収集コントローラ110のソフトウェアを変更することによって、新たな基板処理装置に対応できる。
【0072】
まず、図1に示す基板処理装置100における制御系ついて説明する。なお、説明を簡略化するため、図11で説明した各種センサを第1センサ71、第2センサ72,第3センサ73等として示し、同じく各種アクチュエータを第1アクチユエータ74、第2アクチュエータ75、第3アクチュエータ76等として示し、同じく各種制御コントローラを第1コントローラ77、第2コントローラ78、第3コントローラ79等として示している。
【0073】
ここで、上記センサと上記アクチュエータとは必ずしも対応したものではなく、状態を判断するためにセンサのみが設けられる場合もあり、前記コントローラによる制御対象物はセンサとアクチュエータ、又はセンサ、又はアクチュエータである。
【0074】
前記第1コントローラ77、前記第2コントローラ78、前記第3コントローラ79には前記主制御部67から設定値の指示、或は処理シーケンスに従った指令信号が入力され、該主制御部67は前記第1コントローラ77、前記第2コントローラ78、前記第3コントローラ79を統括して制御する。
【0075】
前記主制御部67には記憶部81が接続されており、該記憶部81には処理を実行するためのシーケンスプログラム、処理内容、処理条件を設定したレシピ、前記第1コントローラ77、前記第2コントローラ78、前記第3コントローラ79から送信される前記第1センサ71、前記第2センサ72、前記第3センサ73の検出結果等を処理するための各種プログラムが格納されている。
また、前記記憶部81はデータ格納領域を具備しており、該データ格納領域には前記第1センサ71、前記第2センサ72、前記第3センサ73の設定値、検出結果、処理の状態等のデータを含むテーブルが格納される。
【0076】
主制御部67についての制御を、例えば、第1コントローラ77、第1アクチユエータ74、第1センサ71について説明する。主制御部67に、操作部(図示せず)或は中央制御装置等からレシピの決定、処理開始の命令が入力されると、前記主制御部67は前記第1アクチュエータ74を駆動するために、駆動条件となる設定値、及び動作完了を判断するための完了条件を、前記第1コントローラ77に発する。
【0077】
前記第1コントローラ77は、設定値の指令が入力されると、センサ、アクチュエータについての情報収集を開始する。
【0078】
先ず、前記第1コントローラ77により、前記第1センサ71の現在値が取得され、次に前記主制御部67から送出された設定値条件が取得される。
【0079】
前記第1コントローラ77は取得した設定値条件に基づき、前記第1センサ71が検出する値が設定値となるように前記第1アクチュエータ74を駆動する。
【0080】
なお、上述した制御は、第2コントローラ78、第2アクチユエータ75、第2センサ72、及び第3コントローラ79、第3アクチユエータ76、第3センサ73についても同様である。
【0081】
[A:オブジェクトの定義]
ところで、本実施の形態では、上述した基板処理装置100における、複数の制御コントローラ77〜79と制御に使用する複数のセンサ71〜73、制御対象物(アクチュエータ)74〜76を個々のオブジェクトとする。また、基板処理装置の機能や処理対象となる材料(基板等)、材料を運ぶコンテナ(キャリア)など、基板処理装置の構成上実在しないものもオブジェクトとする。オブジェクトは状態や設定値などさまざまなデータに対応し、データを容易に管理する器の役割を果たす。
【0082】
また、オブジェクトが持つ収集可能データの有無、データ型(ビット数、浮動小数点)、サイズは、基板処理装置で実現する膜種・機能により異なるため、様々な組み合わせが発生する。この収集可能データの組み合わせを識別するための識別子を定義する。
【0083】
基板処理装置、オブジェクト、識別子、及び収集可能データの関係は、例えば、図2に示す通りである。図2(a)は、基板処理装置A(以下、単に装置Aという)における装置−オブジェクト関連定義、図2(b)は装置Aにおけるオブジェクト−識別子関連定義及び識別子−データ関連定義を示す。図2(c)は、新たに開発が必要になった基板処理装置B(以下、単に装置Bという)におけるデータの組み合わせ変更時のオブジェクト−識別子関連定義、及び識別子−データ関連定義を示す。
【0084】
図2(a)において、装置Aは、複数のオブジェクトA〜Fにより定義される。各オブジェクトは、装置Aを構築するために階層化されている。図示例では、オブジェクトAは1層目、オブジェクトAの下位に並列にあるオブジェクトB、D、Eは2層目、オブジェクトBの下位にあるオブジェクトC、及びオブジェクトD、Eの下位に共通にあるオブジェクトFは3層目である。このようにオブジェクトを階層化して、各オブジェクトがどの制御コントローラ、センサ、制御対象物(アクチュエータ)、基板、キャリア等上で実現されるかを定義していく。これらの定義は主制御部67の記憶部81に格納される。
【0085】
例えば、オブジェクトAは装置Aそのもの、オブジェクトBはプロセスモジュール、オブジェクトDはロードポート、オブジェクトEはキャリア棚、オブジェクトCは温度コントローラ、オブジェクトFはマテリアルロケーション(在荷センサ)とされる。なお、図2(a)は例示であるから、装置Aを異なるオブジェクトで定義することも可能である。また、装置A以外の装置の装置−オブジェクト関連も定義されて、主制御部67の記憶部81に格納される。
【0086】
また、上述したオブジェクトA〜Fについて、それぞれオブジェクト−識別子関連定義、及び識別子−データ関連定義がなされる。例えば、オブジェクトA及びBについて例示すると、それらは図2(b)に示すようになる。なお、後述するテーブルが、装置の制御系を制御する装置制御用ソフトウェアの一部を構成する。
【0087】
オブジェクトAは、クラス部、データ部、メソッド部から構成される。図2(b)は、そのうちのデータ部を示している。オブジェクトAのデータ部は、オブジェクトB、D、Eに対応する各センサにより検出可能な制御対象物から収集することが可能な収集可能データ(以下、単にデータという)A〜Gの組み合わせを有する。これらのデータA〜Gの組み合わせに、識別子A−1を関連付けて、オブジェクトAのテーブルが形成される。
【0088】
オブジェクトBのデータ部は、オブジェクトCに対応する各センサにより検出可能な制御対象物から収集することが可能なデータA〜C、H〜Jの組み合わせを有する。これらのデータA〜C、H〜Jの組み合わせに、識別子B−1を関連付けて、オブジェクトBのテーブルが形成される。なお、オブジェクトBの各データに付けた符号は便宜上のものであり、オブジェクトAの各データに付けた符号と同じであっても、データは同一ではない。
【0089】
図2(c)は、装置Bにおけるデータの組み合わせ変更時のオブジェクト−識別子関連定義、及び識別子−データ関連定義を示す。これは、例えば、異なる膜種に対応するために装置Bの開発が必要になったとき、装置Aと基本的な装置構成が変化しないが、オブジェクトBがもつデータの組み合わせに変更が入る場合は、識別子を変更して対応するというものである。
【0090】
装置BのオブジェクトBは、オブジェクトCに対応する各センサにより検出可能な制御対象物から収集することが可能なデータA〜C、H、K〜Mの組み合わせを有する。これらのデータA〜C、H、K〜Mの組み合わせに、識別子B−1から変更した識別子B−2を関連付けて、装置BにおけるオブジェクトBのテーブルが形成される。なお、装置Bの階層構造、及びオブジェクトBを除く他のオブジェクトは装置Aと共通する。
【0091】
このように本実施の形態では、各装置を複数のオブジェクトでそれぞれ構成し、各装置に対応して、装置−オブジェクト関連(図2(a))、オブジェクト−識別子関連、識別子−データ関連を定義した多数のテーブルを予め作成する(図2(b)、(c))。作成した多数のテーブルは主制御部67の記憶部81に格納しておく。この格納した多数のテーブルの中から、特定の装置に対応した識別子の付いたテーブルを用いて、当該装置を初期化、ないし当該装置及び装置外コントローラを初期化できるようにする。これにより、データの変更に容易に対応できるようにするとともに、データを容易に管理することを可能にする。
【0092】
[B:装置制御用ソフトウェアの開発]
上述したように装置内の主制御部67の記憶部81に、種々の装置に対応できるように、識別子で識別することが可能な多数のテーブルを作成する。この場合、各装置の開発条件に合わせて装置制御用ソフトウェアの開発は次のように行う。
(1)装置を新規に開発する場合は、当該装置の構成を複数のオブジェクトで定義し、また、オブジェクトの関連を定義して対応する(図2(a)、(b))。
(2)基本的な装置構成は変化しないが、装置を構成するオブジェクトが持つデータの組み合わせに変更が入る場合は、識別子を変更して対応する(図2(c)、図8(b))。
(3)基本的な装置構成は変化しないが、装置内に新規に制御コントローラないし制御対象物を増設する必要がある場合は、増設対象を新規なオブジェクトとして定義して対応する(図8(a))。
(4)基本的な装置構成は変化しないが、装置内に不要な制御コントローラないし制御対象物が発生する場合は、装置内の不要な制御コントローラないし制御対象物として定義されているオブジェクトを削除して対応する(図8(c))。
このようにして装置毎に関連定義化して作成した複数のテーブルを、主制御部67の記憶部81に格納する。
【0093】
[C:装置外コントローラ用ソフトウェアの開発]
上述した関連定義を使用して、図3に示す手順により、装置及び装置外コントローラを初期化することにより、装置外コントローラは、装置に変更があっても、データの判別ができるようになる。
【0094】
図3は、装置と装置外コントローラのオブジェクト間の情報の流れを時間的に示すメッセージフローを示す。このメッセージフローにしたがい、主制御部67の記憶部81に格納されたオブジェクト関連定義を使用することにより、装置制御用ソフトウェアウェアと共に、装置外コントローラ用ソフトウェアの作成がなされる。
【0095】
本実施例で示される装置は、電源投入され、あるいはリセットされたりすると初期化処理を行う。初期化処理の中には、装置と装置外コントローラ間の初期化処理、および装置外コントローラからの設定情報取得も含まれる。また、装置外コントローラの設定データを特定する際に必要となる情報も初期化処理時に装置から取得するものとする。
【0096】
メッセージM101は、装置から装置外コントローラへ初期化開始要求を発するメッセージ示す。メッセージM102は、メッセージM101の要求に対して装置外コントローラから装置へ初期化開始応答を発するメッセージである。
【0097】
メッセージM103は、装置外コントローラから装置へ関連定義要求を発するメッセージである。メッセージM104は、メッセージM103の要求に対して、装置から装置外コントローラへ装置−オブジェクト関連定義を伝送するメッセージである。図2(a)の例では、装置Aが複数のオブジェクトA〜Fから構成されていることが定義される。メッセージM105は、装置から装置外コントローラへオブジェクト−識別子関連定義を伝送するメッセージである。図2(b)の例では、オブジェクトAに識別子A−1が定義され、オブジェクトBに識別子B−1が定義される。オブジェクトC以降についても同様にそれぞれ異なる識別子が定義される。なお、図2(c)の場合には、オブジェクトBに、変更した識別子B−2が定義され新規にテーブルが作成される。
【0098】
また、メッセージM106は、装置から装置外コントローラへ識別子−データ関連定義を伝送するメッセージである。例えば、図2(b)の例では、識別子A−1にデータA〜Gの組み合わせが定義され、識別子B−1にデータA〜C、H〜Jの組み合わせが定義される。なお、図2(c)の場合には、識別子B−2にデータA〜C、H、K〜Mの組み合わせが定義される。メッセージM107は、前述したメッセージM103の要求に対して、装置が装置外コントローラへ関連定義の全てについて応答した旨を伝えるメッセージである。
【0099】
メッセージM2n0(nは正の整数、以下同じ)は、装置外コントローラから装置へn層目オブジェクト要求を発するメッセージである。メッセージM2n1は、メッセージM2n0の要求に対して、装置から装置外コントローラへn層目のオブジェクト#1を伝送するメッセージである。メッセージM2n2は、メッセージM2n0の要求に対して、装置から装置外コントローラへn層目のオブジェクト#2を伝送するメッセージである。メッセージM2n3は、メッセージM2n0の要求に対して、装置から装置外コントローラへn層目のオブジェクト#3を伝送するメッセージである。メッセージM2n5は、メッセージM2n0の要求に対して、装置が、装置外コントローラへn層目のオブジェクトの全てについて応答した旨を伝えるメッセージである。上記メッセージM2n0〜M2n5は装置階層分繰り返される。
【0100】
メッセージM2n0〜メッセージM2n5を装置階層分繰り返すのは、次の理由からである。成膜データ収集装置120を装置100に接続する場合、成膜データ収集装置120に、装置100を構成する複数のオブジェクトが収集する全てのデータを収集させるために、成膜データ収集コントローラ110用のソフトウェアは、装置−オブジェクト関連にて定義された各オブジェクトのうち、装置を構成するオブジェクトについての階層構造も把握する必要がある。成膜収集コントローラ(装置外コントローラ)110が、装置100におけるオブジェクトの位置付けを認識できなければ、当該オブジェクトに対応するデータの判別が不可能になるからである。このため、上記メッセージM2n0〜M2n5を装置階層分繰り返しているのである。
【0101】
メッセージM301は、装置から装置外コントローラへ初期化完了通知を発するメッセージである。メッセージM302は、メッセージM301の通知に対して、装置外コント
ローラから装置へ初期化完了応答を発するメッセージである。
このようにして、複数のテーブルの中から当該装置の識別子が識別され、装置側ではオブジェクトのデータ部を含む装置制御用ソフトウェアが、また装置外コントローラ側ではオブジェクトのデータ部を含む装置外コントローラ用ソフトウェアが作成される。
【0102】
ここで、図3のメッセージフローで実行される処理を、図2にの装置Bに対応させて、図4〜図6を用いて具体的に説明する。図4に示すように、メッセージM104及びM105により、装置BはオブジェクトA〜Fから構成され、オブジェクトAの識別子はA−1、オブジェクトBの識別子は変更したB−2…であることが、主制御部67の記憶部81から装置外コントローラへ転送される。また、図5に示すように、メッセージM106により、識別子A−1がデータA〜Gの組み合わせ、識別子B−2がデータA〜C、H、K〜Mの組み合わせであることが、主制御部67の記憶部81から装置外コントローラへ転送される。また、図6に示すように、メッセージM211〜M235により、装置Bを構成する複数のオブジェクトA〜Fについての階層構造が転送される。
【0103】
本実施の形態によれば、装置−オブジェト関連、オブジェクト−識別関連、識別子−データ関連の定義をすることにより、各オブジェクトのどの部分を、どの装置構成で構築するかのルールを確立するようにしている。そして、これらの関連定義を装置から装置外コントローラに通信により提供し、この提供を与えた装置及びこの提供を受けた装置外コントローラは、各関連定義を用いてデータの組み合わせを変更することにより初期化される。
【0104】
本実施の形態によれば、これらの関連定義情報を主制御部から装置外コントローラへ転送する際、各装置のプログラムとなる複数のテーブルの中から、当該装置に対応するテーブルが識別子により識別されて装置側に作成される。また、装置で実現する膜種、機能等に変更が生じても、新規に作成されているテーブルを識別子で識別して装置側に作成できるから、変更が生じた装置におけるデータが装置側で判別できるようになる。したがって、データの変更に容易に対応し、データを容易に管理することができる。その結果、基板処理内容(膜種)や基板処理機能(例えば外燃装置の追加)に変更があるために、装置を構成する制御対象物(センサやアクチュエータ)の型式やメーカ等に変更が生じても、予め作成しておいたテーブルから、変更に対応したテーブルを読み出すだけで良いので、装置制御用フトウェアを容易に開発することができる。
【0105】
また、これらの関連定義情報を主制御部から装置外コントローラへ転送することにより、プログラムであるテーブルが装置外コントローラ側に作成される。また、装置で実現する膜種、機能等に変更が生じても、新規に作成されるテーブルを識別子で識別して装置外コントローラに転送できるから、変更が生じた装置における収集可能なデータが判別できるようになる。したがって、装置外コントローラ用のプログラミングを主制御部とは別個に作成する必要がなくなり、装置外コントローラ用ソフトウェアの開発負担量を軽減することができる。
【0106】
また、本実施の形態によれば、装置の構成上実在するもののみならず、装置の構成上実在しないものもオブジェクトで定義して、各オブジェクトのどの部分を、どの装置構成で構築するかのルールを確立するようにしたので、装置で実現する膜種・機能等による変更の大部分を、装置ソフトウェアの変更だけで対応させることができる。
【0107】
なお、実施の形態では、各関連定義を装置外コントローラに通信により提供するようにした場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えばファイル共有等の手段により提供するようにしてもよい。
【0108】
なお、装置内制御コントローラとしては、温度制御コントローラ、圧力制御コントローラ、ガス流量制御コントローラ、駆動制御コントローラなどが挙げられる。また、装置内制御対象物は、アクチュエータやセンサを含む概念である。ここで、上記センサと上記アクチュエータとは必ずしも対応したものではなく、状態を判断するために装置内対象物としてセンサのみが設けられる場合もあり、前記制御コントローラによる制御対象物はセンサとアクチュエータ、又はセンサ、又はアクチュエータである。アクチュエータとしては、ヒータ、圧力調整装置(APC)、MFC(流量制御装置)、回転機構、ボートエレベータ、基板移載装置、真空排気装置、炉口ゲートバルブ、エアバルブ等が挙げられる。
【0109】
また、上述した各種オブジェクトとしては次のようものを例示することができる。
オブジェクトAは装置そのもの、そのデータは膜種等、オブジェクトBはプロセスモジュール、そのデータはモジュール状態値等、オブジェクトCは温度コントローラ、そのデータは温度等、オブジェクトDはロードポート、そのデータはロードポート状態値等、オブジェクトEはキャリア棚、そのデータはキャリア棚状態値等、オブジェクトFはマテリアルロケーション(在可センサ)、そのデータは、キャリア有無状態値等である。
【0110】
また、実施の形態では、装置外コントローラとして成膜データ収集コントローラの場合について説明したが、複数の装置を統括的に管理する群管理コントローラや、各装置のレシピ状況を管理するレシピ管理コントローラ等にも本発明は適用可能である。
【0111】
以下に本発明の好ましい形態を付記する。
【0112】
付記1は、基板を処理する基板処理装置であって、制御コントローラと、該制御コントローラによって駆動制御される制御対象物と、前記制御コントローラに前記制御対象物を駆動させるための指示を発する主制御部とを備え、前記主制御部は、前記制御対象物と、前記制御対象物が収集する収集可能データと、識別子とを関連付けたテーブルを有し、前記制御コントローラ又は前記制御対象物の変更に応じて前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成する基板処理装置である。
制御コントローラ又は前記制御対象物に変更が生じても、識別子によって容易に収集可能データに対応し、収集可能データを容易に管理することができ、また識別子によって収集可能データの変更に容易に対応することができる。
【0113】
付記2は、付記1に記載の基板処理装置であって、前記制御コントローラが、前記基板処理装置を構成し前記基板の処理に直接寄与する装置内制御対象物を制御する装置内制御コントローラと、前記基板処理装置を構成せず前記基板の処理に直接寄与しない装置外制御対象物を制御する装置外コントローラとから構成され、前記主制御部は、前記装置外コントローラからの要求に応答して、前記識別子に関連した前記テーブルを前記装置外コントローラへ転送し、前記テーブルに基づいて前記装置外コントローラに前記装置外制御対象物を制御させるための指示を発する基板処理装置である。
識別子に関連したテーブルを主制御部から装置外コントローラへ転送するようにしたので、装置外コントローラ用ソフトウェアの変更の大部分を、装置制御用ソフトウェアの変更だけで対応させることができる。
【0114】
付記3は、前記基板処理装置を複数のオブジェクトで階層化して構成した付記2に記載の基板処理装置である。
【0115】
付記4は、前記複数のオブジェクトで階層化された基板処理装置の各オブジェクトが、n(1以上の自然数)層目−オブジェクトで定義される付記3に記載の基板処理装置である。
【0116】
付記5は、前記装置外コントローラの初期化は、該装置外コントローラと前記基板処理装置との間で交わす関連定義要求とその応答を含むメッセージフローによって実施される付記2に記載の基板処理装置である。
【0117】
付記6は、前記メッセージフローは、前記装置−オブジェクト関連の定義と、前記オブジェクト−識別子関連の定義と、前記識別子−収集可能データ関連の定義と、n層目−オブジェクト情報の転送を装置階層分繰り返すことにより実施される付記5に記載の基板処理装置である。
【0118】
付記7は、前記装置−オブジェクト関連の定義は、装置を構成する手段をオブジェクトで構成することである付記6に記載の基板処理装置である。
【0119】
付記8は、前記オブジェクト−識別子関連の定義は、各オブジェクトに該オブジェクトを識別する識別子を付けることである付記6に記載の基板処理装置である。
【0120】
付記9は、前記識別子−データ関連の定義は、収集可能データに前記識別子を付することである付記6に記載の基板処理装置である。
【0121】
付記10は、制御コントローラと、該制御コントローラによって駆動制御される制御対象物と、前記制御コントローラに前記制御対象物を駆動させるための指示を発する主制御部とを具備する基板処理装置を用いた基板処理方法であって、前記主制御部は、前記制御対象物と、該制御対象物が収集する収集可能データと、前記識別子とを関連付けてテーブルを形成し、前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成し、前記テーブルに基づいて前記制御対象物を駆動させるための指示を前記制御コントローラに発することにより基板を処理するようにした基板処理方法である。
【0122】
付記11は、基板を移載する基板移載方法において、制御コントローラと、該制御コントローラによって駆動制御される基板移載手段と、前記制御コントローラに前記基板移載手段を駆動させるための指示を発する主制御部と、前記基板移載手段のデータを検出して前記主制御部に送るセンサとを具備する基板移載装置を用いた基板移載方法であって、前記主制御部は、前記センサにより検出可能な前記基板移載手段のデータであって収集可能なデータに、該収集可能データが当該基板移載手段のデータであることを識別させる識別子を関連付けてテーブルを形成し、新規な基板移載手段に対応させるために前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成し、当該基板移載手段に対応するテーブルに基づいて、前記基板移載手段を駆動させるための指示を前記制御コントローラに発する基板移載方法である。
【0123】
付記12は、制御コントローラと、該制御コントローラによって駆動制御される制御対象物と、前記制御コントローラに前記制御対象物を駆動させるための指示を発する主制御部と、前記制御対象物のデータを検出して前記主制御部に送るセンサとを具備する基板処理装置を用いた半導体デバイスの製造方法であって、前記主制御部は、前記センサにより検出可能な前記制御対象物のデータのうち収集することが可能な収集可能データに識別子を関連付けてテーブルを形成し、前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成する半導体デバイスの製造方法である。
【0124】
付記13は、制御コントローラと、該制御コントローラによって駆動制御される制御対象物と、前記制御コントローラに前記制御対象物を駆動させるための指示を発する主制御部と、前記制御対象物のデータを検出して前記主制御部に送るセンサとを具備する基板処理装置を用いた基板処理方法であって、前記主制御部は、前記センサにより検出可能な前記制御対象物のデータであって収集可能なデータに、該収集可能データが当該制御対象物
のものであることを識別させる識別子を関連付けてテーブルを形成し、新規な制御対象物に対応させるために前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成し、当該制御対象物に対応するテーブルに基づいて、前記制御対象物を駆動させるための指示を前記制御コントローラに発することにより基板を処理するようにした基板処理方法である。
【0125】
付記14は、基板を移載する基板移載方法において、制御コントローラと、該制御コントローラによって駆動制御される基板移載手段と、前記制御コントローラに前記基板移載手段を駆動させるための指示を発する主制御部と、前記基板移載手段のデータを検出して前記主制御部に送るセンサとを具備する基板移載装置を用いた基板移載方法であって、前記主制御部は、前記センサにより検出可能な前記基板移載手段のデータであって収集可能なデータに、該収集可能データが当該基板移載手段のデータであることを識別させる識別子を関連付けてテーブルを形成し、新規な基板移載手段に対応させるために前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成し、当該基板移載手段に対応するテーブルに基づいて、前記基板移載手段を駆動させるための指示を前記制御コントローラに発する基板移載方法である。
【0126】
付記15は、制御コントローラと、該制御コントローラによって駆動制御される制御対象物と、前記制御コントローラに前記制御対象物を駆動させるための指示を発する主制御部と、前記制御対象物のデータを検出して前記主制御部に送るセンサとを具備する基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法であって、前記主制御部は、前記センサにより検出可能な前記制御対象物のデータのうち収集することが可能な収集可能データに識別子を関連付けてテーブルを形成し、前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成する半導体装置の製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の制御系を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置のオブジェクト図であり、(a)は装置−オブジェクト関連定義、(b)はオブジェクト−識別子関連、及び識別子−データ関連定義、(c)は変更されたオブジェクト−識別子関連、及び識別子−データ関連定義を示す。
【図3】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置と装置外コントローラとの情報の遣り取りを示すメッセージフローである。
【図4】図3のメッセージフローの要部説明図である。
【図5】図3のメッセージフローの要部説明図である。
【図6】図3のメッセージフローの要部説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の制御系を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の一部を構成する制御コントローラを追加、変更、削除した説明図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の斜視図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の側断面図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置に用いられる処理炉の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0128】
100 基板処理装置
77〜79 制御コントローラ
74〜76 制御対象物
67 主制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に係り、特に基板処理装置の一部を構成するセンサやアクチュエータなどの制御対象物が収集する収集可能データの変更に対応し、収集可能データを管理することが可能な基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造の一工程を実行する基板処理装置は、所定枚数の基板を一度に処理するバッチ式の基板処理装置と、1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置とがあり、いずれの形式の基板処理装置においても、処理炉を具備し、処理炉内の処理室に収納された基板を処理温度に加熱し、又処理室に基板の処理内容に対応した処理ガスを導入しつつ排気して、基板処理を行っている。
【0003】
基板処理装置は、一般に、複数の制御コントローラ、各制御コントローラによって駆動制御される制御対象物、各制御コントローラに制御対象物を駆動させるための指示を発する主制御部を備える。制御コントローラは、装置に組み込まれる装置内制御コントローラと、装置に組み込まれない装置外コントローラとから構成される。制御対象物は、装置内制御コントローラによって制御される装置内制御対象物と、装置外コントローラによって制御される装置外制御対象物とから構成される。装置内制御コントローラ及び装置内制御対象物は、基板処理に直接寄与する制御系を構成する。装置外コントローラ及び装置外制御対象物は、基板処理に直接寄与しない制御系を構成する。
【0004】
装置内制御コントローラとしては、温度制御コントローラ、圧力制御コントローラ、ガス流量制御コントローラなどが挙げられる。また、装置内制御対象物は、アクチュエータやセンサを含む概念である。アクチュエータとしては、ヒータ、圧力調整装置(APC)、流量制御装置(MFC)等が挙げられる。センサとしては温度センサ、圧力センサ等が挙げられる。
【0005】
装置外コントローラは、基板処理に直接寄与する制御系(ツール)を構成しないことから、オフツールコントローラと呼ばれることもある。装置外コントローラとしては、例えば装置外制御対象物であるレシピ管理装置を制御するレシピ管理コントローラ、装置外制御対象物である成膜データ収集装置を制御する成膜データ収集コントローラが挙げられる。後者の成膜データ収集コントローラは、例えば一台または複数台の基板処理装置から取得した基板処理に関する各種のデータ(例えば、炉内温度やガス流量)をネットワークを介して収集して、データ収集装置に保存する。
【0006】
ここで、基板処理装置が基板処理を実行するためには、上記した主制御部に、装置内制御コントローラに装置内制御対象物を制御させる指示を発するための装置制御用ソフトウェアが必要になる。また、装置外コントローラにも、装置制御用ソフトウェアとは別に、装置外コントローラを制御するための装置外コントローラ用ソフトウェアが必要になる。
【0007】
基板処理装置が基板処理を実行すると、上記装置制御用ソフトウェアの指示にしたがって、制御コントローラが制御対象物を駆動させ、その駆動に伴って制御対象物を構成するセンサからデータが検出される。この検出されたデータは、各装置内制御コントローラを介して主制御部に格納される。また、各データが設定値となるように各装置内制御コントローラによるフィードバック制御等が行われる。
【0008】
また、装置外コントローラ用ソフトウェアの指示にしたがって、主制御部67に格納さ
れたデータは、装置外コントローラを介して装置外制御対象物に蓄積される。装置外制御対象物が例えば成膜データ収集装置である場合、データを正規分布化する等、統計的処理を行い、必要に応じて各種の統計データを表示画面に出力する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、基板処理装置を構成する制御コントローラや制御対象物は、成膜する膜種、制御対象物の機能に応じて、使用する制御対象物の型式やメーカが異なることが多々ある。したがって、膜種、機能に応じた基板処理装置を新たに開発する場合において、その基板処理装置を構成する制御コントローラや制御対象物が、開発前の基板処理装置と異なることとなるとき、異なるそれらに対応させるために、基板処理装置を制御する装置制御用ソフトウェアの開発が必要になる。
【0010】
従来、基板処理装置と装置制御用ソフトウェアとは一意的に定まっていた。このため、制御コントローラや制御対象物に変更があると、それらが収集することが可能なデータの組み合わせを変更しなければならず、新たな装置のためにプログラムを全く新規に開発する必要があった。このためプログラム開発が煩雑になり、上記制御コントローラや制御対象物の変更に収集可能データを対応させることも、開発装置毎に収集可能データを管理することも困難であった。例えば、センサやアクチュエータ等の型式やメーカが変更になると、その変更には、センサが収集する収集可能データの追加や削除、データ値に対応する定義の変更などを伴う。これらの変更は、基板処理装置と装置制御用ソフトウェアとが一意的であると、プログラム開発量が膨大になり、その対応に多大の時間を要し、上記対応や上記管理が困難であった。
【0011】
本発明の目的は、上述した従来技術の問題点を解消して、収集可能データの変更に容易に対応し、収集可能データを容易に管理することが可能な基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、基板を処理する基板処理装置であって、制御コントローラと、該制御コントローラによって駆動制御される制御対象物と、前記制御コントローラに前記制御対象物を駆動させるための指示を発する主制御部とを備え、前記主制御部は、前記制御対象物と、前記制御対象物が収集する収集可能データと、識別子とを関連付けたテーブルを有し、前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成する基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、収集可能データの変更に容易に対応し、収集可能データを容易に管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0015】
本発明はオブジェクトを用いることを前提としている。オブジェクトを用いることの特徴は、機能拡張やシステムの変更を行うときに、各オブジェクト単位で変更を考えれば良く、システムの変更に対してフレキシビリティが高いからである。
本発明の好ましい実施の形態では、基板処理装置の構成を複数のオブジェクトで定義する。基板処理装置で実現する膜種、機能の変更により、制御コントローラや制御対象物の型式やメーカが異なる結果、オブジェクトに変更、追加、削除がある場合を含めて、基板処理装置の主制御部に上記変更に応じた各種テーブルを予め用意しておく。このテーブル
には、各オブジェクトに識別子を付した収集可能データの組み合わせを含む。制御対象物等の型式やメーカの変更により、基板処理装置の収集可能データに変更があっても、識別子によりその変更に対応するテーブルを呼び出すことができるので、収集可能データの変更に容易に対応させることができる。また、テーブルに識別子を付したので収集可能データを容易に管理できる。
【0016】
先ず、本発明が実施される基板処理装置について説明する。図9,図10は基板処理装置の一例として縦型の基板処理装置を示している。なお、該基板処理装置に於いて処理される基板は、一例としてシリコン等から成るウェーハが示されている。
【0017】
図9及び図10に示されているように、基板処理装置1は筐体2を備えている。該筐体2の正面壁3の下部にはメンテナンス可能な様に設けられた開口部としての正面メンテナンス口4が開設され、該正面メンテナンス口4は正面メンテナンス扉5によって開閉される。
【0018】
前記筐体2の前記正面壁3にはポッド搬入搬出に16が前記筐体2の内外を連通するように開設されており、前記ポッド搬入搬出口6はフロントシャッタ(搬入搬出口開閉機構)7によって開閉され、前記ポッド搬入搬出口6の正面前方側にはロードポート(基板搬送容器受渡し台)8が設置されており、該ロードポート8は載置されたポッド9を位置合せするように構成されている。
【0019】
該ポッド9は、密閉式の基板搬送容器であり、図示しない工程内搬送装置によって前記ロードポート8上に搬入され、又、該ロードポート8上から搬出されるようになっている。
【0020】
前記筐体2内の前後方向の略中央部に於ける上部には、回転式ポッド棚(基板搬送容器格納棚)11が設置されており、該回転式ポッド棚11は複数個のポッド9を格納するように構成されている。
【0021】
前記回転式ポッド棚11は垂直に立設されて間欠回転される支柱12と、該支柱12に上中下段の各位置に於いて放射状に支持された複数段の棚板(基板搬送容器載置棚)13とを備えており、該棚板13はポッド9を複数個宛載置した状態で格納するように構成されている。
【0022】
前記回転式ポッド棚11の下方には、ポッドオープナ(基板搬送容器蓋体開閉機構)14が設けられ、該ポッドオープナ14は前記ポッド9を載置し、又該ポッド9の蓋を開閉可能な構成を有している。
【0023】
前記ロードポート8と前記回転式ポッド棚11、前記ポッドオープナ14との間には、ポッド搬送装置(容器搬送装置)15が設置されており、該ポッド搬送装置15は、前記ポッド9を保持して昇降可能、水平方向に進退可能となっており、前記ロードポート8、前記回転式ポッド棚11、前記ポッドオープナ14との間で前記ポッド9を搬送するように構成されている。
【0024】
前記筐体2内の前後方向の略中央部に於ける下部には、サブ筐体16が後端に亘って設けられている。該サブ筐体16の正面壁17にはウェーハ(基板)18を前記サブ筐体16内に対して搬入搬出するためのウェーハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)19が一対、垂直方向に上下二段に並べられて開設されており、上下段のウェーハ搬入搬出口19,19に対して前記ポッドオープナ14がそれぞれ設けられている。
【0025】
該ポッドオープナ14は前記ポッド9を載置する載置台21と、前記ポッド9の蓋を開閉する開閉機構22とを備えている。前記ポッドオープナ14は前記載置台21に載置された前記ポッド9の蓋を前記開閉機構22によって開閉することにより、前記ポッド9のウェーハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
【0026】
前記サブ筐体16は前記ポッド搬送装置15や前記回転式ポッド棚11が配設されている空間(ポッド搬送空間)から気密となっている移載室23を構成している。該移載室23の前側領域にはウェーハ移載機構(基板移載機構)24が設置されており、該ウェーハ移載機構24は、ウェーハを載置する所要枚数(図示では5枚)のウェーハ載置プレート25を具備し、該ウェーハ載置プレート25は水平方向に直動可能、水平方向に回転可能、又昇降可能となっている。前記ウェーハ移載機構24はボート(基板保持具)26に対してウェーハ18を装填及び払出しするように構成されている。
【0027】
前記移載室23の後側領域には、前記ボート26を収容して待機させる待機部27が櫛成され、該待機部27の上方には縦型の処理炉28が設けられている。該処理炉28の下端部は、炉口部となっており、該炉口部は炉口シャッタ(炉口開閉機構)29により開閉されるようになっている。
【0028】
前記筐体2の右側端部と前記サブ筐体16の前記待機部27の右側端部との間には前記ボート26を昇降させるためのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)31が設置されている。該ボートエレベータ31の昇降台に連結されたアーム32には蓋体としてのシールキャップ33が水平に取付けられており、該シールキャップ33は前記ボート26を垂直に支持し、前記処理炉28の下端部を気密に閉塞可能となっている。
【0029】
前記ボート26は複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば、50枚〜125枚程度)のウェーハ18を、その中心を揃えて水平姿勢で多段に保持するように構成されている。
【0030】
前記ボートエレベータ31側と対向した位置にはクリーンユニット34が配設され、該クリーンユニット34は、清浄化した雰囲気若しくは不活性ガスであるクリーンエア35を供給するよう供給フアン及び防塵フィルタで構成されている。前記ウェーハ移載機構24と前記クリーンユニット34との間には、ウェーハの円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合せ装置(図示せず)が設置されている。
【0031】
前記クリーンユニット34から吹出されたクリーンエア35は、ノッチ合せ装置(図示せず)及び前記ウェーハ移載機構24、前記ボート26に流通された後に、図示しないダクトにより吸込まれて、前記筐体2の外部に排気がなされるか、若しくは前記クリーンユニット34の吸込み側である一次側(供給側)に迄循環され、再び該クリーンユニット34によって、前記移載室23内に1次出されるように構成されている。
【0032】
前記基板処理装置1の作動について説明する。
【0033】
前記ポッド9が前記ロードポート8に供給されると、前記ポッド搬入搬出口6が前記フロントシャッタ7によって開放される。前記ロードポート8−上の前記ポッド9は前記ポッド搬送装置15によって前記筐体2の内部へ前記ポッド搬入搬出口6を通して搬入され、前記回転式ポッド棚11の指定された前記棚板13へ救置される。前記ポッド9は前記回転式ポッド棚11で一時的に保綴された後、前記ポッド搬送装置15により前記棚板13からいずれか一方のポッドオープナ14に搬送されて前記載置台21に移載されるか、若しくは前記ロードポート8から直接前記載置台21に移載される。
【0034】
この際、前記ウェーハ搬入搬出口19は前記開閉機構22によって閉じられており、前記移載室23には前記クリーンエア35が流通され、充満している。例えば、前記移載室23にはクリーンエア35として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、前記筐体2の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遥かに低く設定されている。
【0035】
前記載置台21に載置された前記ポッド9はその開口側端面が前記サブ筐体16の前記正面壁17に於ける前記ウェーハ搬入搬出口19の開口縁辺部に押付けられると共に、蓋が前記開閉機構22によって取外され、ウェーハ出し入れ口が開放される。
【0036】
前記ポッド9が前記ポッドオープナ14によって開放されると、ウェーハ18は前記ポッド9から前記ウェーハ移載機構24によって取り出され、ノッチ合せ装置(図示せず)に移送され、該ノッチ合せ装置にてウェーハ18を整合した後、前記ウェーハ移載機構24はウェーハ18を前記移載室23の後方にある前記待機部27へ搬入し、前記ボート26に装填(チャージング)する。
【0037】
該ボート26にウェーハ18を受渡した前記ウェーハ移載機構24はポッド9に戻り、次のウェーハ18を前記ボート26に装填する。
【0038】
一方(上段又は下段)のポッドオープナ14に於ける前記ウェーハ移載機構24によるウェーハ18の前記ボート26への装填作業中に、他方(下段又は上段)のポッドオープナ14には前記回転式ポッド棚11から別のポッド9が前記ポッド搬送装置15によって搬送されて移載され、前記他方のポッドオープナ14によるポッド9の開放作業が同時進行される。
【0039】
予め指定された枚数のウェーハ18が前記ボート26に装填されると、前記炉口シャッタ29によって閉じられていた前記処理炉28の炉口部が、前記炉口シャッタ29によって開放される。続いて、前記ボート26は前記ボートエレベータ31によって上昇され、前記処理炉28内へ搬入(ローディング)される。
【0040】
ローディング後は、前記シールキャップ33によって炉口部が気密に閉塞され、前記処理炉28にてウェーハ18に所要の処理が実行される。
【0041】
処理後は、ノッチ合せ装置(図示せず)でのウェーハ18の整合工程を除き、上記との手順で、ウェーハ18及びポッド9は前記筐体2の外部へ払出される。
【0042】
次に、前記処理炉28について図11により説明する。
【0043】
該処理炉28は加熱手段としてのヒータユニット37を有する。該ヒータユニット37は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース38に支持されることにより垂直に設置されている。又、前記ヒータユニット37は垂直方向に複数の加熱ゾーンに分割(例えば4分割)され、各加熱ゾーンに対応してそれぞれヒータが設けられ、該ヒータは独立して制御可能となっている。
【0044】
前記ヒータユニット37の内側には、該ヒータユニット37と同心円状に反応管39が配設されている。該反応管39は内部反応管41と、その外側に同心に設けられた外部反応管42とから構成されている。
【0045】
前記内部反応管41は、例えば石英(SiO2)又は炭化シリコン(SiC)等の耐熱
性材料からなり、上端及び下端が開口した円筒形状であり、前記外部反応管42は、例えば石英又は炭化シリコン等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状
となっている。
【0046】
前記内部反応管41の内部には処理室43が画成され、ウェーハ18は前記ボート26によって保持され、該ボート26に保持された状態で、前記処理室43に収納可能となっている。
【0047】
前記ボート26は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなり、所定枚数のウェーハ18を水平姿勢で且つ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。なお、前記ボート26の下部には、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなる円板形状をした断熱部材としての断熱板44が水平姿勢で多段に複数枚配置されており、前記ヒータユニット37からの熱が炉口側に伝わり難くなるよう構成されている。
【0048】
前記外部反応管42の下方には、該外部反応管42と同心円状にマニホールド45が配設されている。該マニホールド45は、例えばステンレス等からなり、上端及び下端が開口した円筒形状となっており、該マニホールド45の上端に前記外部反応管42が気密に立設され、前記マニホールド45の内壁に突設された内フランジ46に前記内部反応管41が立設されている。該内部反応管41と前記外部反応管42との間には筒状空間47が形成される。前記反応管39と前記マニホールド45により反応容器が形成され、前記マニホールド45の下端開口は炉口部を形成する。
【0049】
前記シールキャップ33にはガス導入部としてのノズル48が前記処理室43に連通するように設けられ、前記ノズル48にはガス供給管49が接続されている。該ガス供給管49には、ガス流量制御器51を介して図示しない処理ガス供給源や不活性ガス供給源が接続され、更に前記ガス供給管49にはガス給排のための開閉弁、例えば前記ガス流量制御器51の上流側、下流側には第1開閉弁52、第2開閉弁53が設けられている。
【0050】
前記ガス流量制御器51には、ガス流量制御コントローラ54が電気的に接続されており、供給するガスの流量が所望の量となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0051】
前記マニホールド45には、前記処理室43の雰囲気を排気する排気管55が設けられている。該排気管55は、前記筒状空間47の下端部に連通している。前記排気管55には圧力センサ56及び圧力調整装置57を介して真空ポンプ等の真空排気装置58が接続されており、前記処理室43の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。
【0052】
前記圧力調整装置57及び前記圧力センサ56には、圧力制御コントローラ59が電気的に接続されており、該圧力制御コントローラ59は前記圧力センサ56により検出された圧力に基づいて前記圧力調整装置57により前記処理室43の圧力が所望の圧力となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0053】
前記炉口部は前記シールキャップ33によって気密に閉塞可能である。該シールキャップ33は例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。該シールキャップ33の下面側には、前記ボート26を回転させる回転機構61が設置されている。該回転機構61の回転軸62は前記シールキャップ33を貫通してボート受け台63に連結されており、前記回転機構61を駆動することで前記ボート26を介してウェーハ18を回転させるように構成されている。又前記回転機構61は、回転速度を検出するエンコーダ等の速度センサ(図示せず)を具備し、該速度センサの検出結果に基づき所定の速度で前記ボート26を定速回転する。
【0054】
前記シールキャップ33は前記ボートエレベータ31によって垂直方向に昇降されるように構成されており、これにより前記ボート26を前記処理室43に対し装入引出しすることが可能となっている。前記回転機構61及び前記ボートエレベータ31には、駆動制御コントローラ64が電気的に接続されており、所望の作動をするよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0055】
前記筒状空間47には温度センサ65が前記内部反応管41の下部から上部に掛渡って立設され、前記ヒータユニット37と前記温度センサ65には、電気的に温度制御コントローラ66が接続されている。
【0056】
前記温度センサ65は、保護管(図示せず)内部に挿入された複数の熱電対を有し、該熱電対の温度検出部の位置は前記ヒータユニット37に対応するように高さ方向の位置が異なるように配置されており、前記温度制御コントローラ66は、前記熱電対からのそれぞれの検出温度に基づき前記ヒータユニット37への給電状態を独立して調整し、前記処理室43の温度が所望の温度、温度分布となるようにゾーン加熱制御可能となっている。
【0057】
前記ガス流量制御コントローラ54、前記圧力制御コントローラ59、前記駆動制御コントローラ64、前記温度制御コントローラ66は、操作部、入出力部をも構成し、基板処理装置全体を制御する主制御部67に電気的に接続されている。前記ガス流量制御コントローラ54、前記圧力制御コントローラ59、前記駆動制御コントローラ64、前記温度制御コントローラ66、前記主制御部67は制御装置68として構成されている。
【0058】
次に、上記構成に係る処理炉28を用いて、半導体デバイスの製造工程の1工程として、CVD法によりウェーハ18上に薄膜を生成する方法について説明する。なお、以下の説明に於いて、基板処理装置を構成する各部の作動は前記制御装置68により制御される。
【0059】
所定枚数のウェーハ18が前記ボート26に装填されると、該ボート26は、前記ボートエレベータ31によって上昇されて前記処理室43に装入される。この状態で、前記シールキャップ33は炉口部を気密に閉塞する。
【0060】
前記処理室43が所望の圧力(真空度)となるように前記真空排気装置58によって真空排気される。この際、前記処理室43の圧力は、前記圧力センサ56で検出され、検出結果に基づき前記圧力調整装置57が、前記処理室43の圧力をフィードバック制御する。
【0061】
又、前記処理室43が所望の温度分布となるように前記温度センサ65が検出した温度情報に基づき、前記温度制御コントローラ66によって前記処理室43が所望の温度となるように前記ヒータユニット37によってゾーン加熱制御される。続いて、前記回転機構61により、前記ボート26が回転される。該ボート26と一体にウェーハ18が回転され、該ウェーハ18に対する処理が均一化される。
【0062】
又、前記第1開閉弁52、前記第2開閉弁53等、前記ガス供給管49に設けられた開閉弁の開閉作動が行われ、処理ガス供給源(図示せず)から処理ガスの供給が開始される。前記ガス流量制御器51にて所望の流量となるように制御された処理ガスは、前記ガス供給管49を流通して前記ノズル48から前記処理室43に導入される。導入された処理ガスは該処理室43を上昇し、前記内部反応管41の上端開口で折返し、前記筒状空間47を流下して前記排気管55から排気される。処理ガスは前記処理室43を通過する際にウェーハ18の表面と接触し、この際に熱CVD反応によってウェーハ18の表面上に薄膜が成膜される。
【0063】
予め設定された処理時間が経過すると、不活性ガス供給源(図示せず)から不活性ガスが供給され、前記処理室43が不活性ガスに置換されると共に、該処理室43の圧力が常圧に復帰される。
【0064】
前記ボートエレベータ31により前記シールキャップ33を介して前記ボート26が降下される。
【0065】
処理後の処理済みウェーハ18の搬出については、上記説明と逆の手順で行われる。未処理のウェーハ18が、更に前記ボート26に装填され、ウェーハ18のバッチ処理が繰返される。
【0066】
上記したように、基板処理の過程で、ボートの回転はエンコーダによって検出され、前記回転機構61が前記駆動制御コントローラ64によって制御され、又処理ガスの供給量は前記ガス流量制御器51で検出、調整され、該ガス流量制御器51は前記ガス流量制御コントローラ54によって制御され、又前記処理室43の温度は前記温度センサ65によって検出され、該温度センサ65の検出温度に基づき前記温度制御コントローラ66によって前記ヒータユニット37による加熱が制御され、又前記圧力センサ56によって前記処理室43の圧力が検出され、検出結果に基づき該処理室43の圧力が所定圧となるように前記圧力制御コントローラ59によって前記圧力調整装置57が制御される。
【0067】
本実施の形態では、前記エンコーダ(図示せず)、前記ガス流量制御器51、前記圧力センサ56、前記温度センサ65に代表されるセンサ、前記回転機構61、前記ガス流量制御器51、前記圧力調整装置57、前記ヒータユニット37に代表されるアクチユエータ、更に前記駆動制御コントローラ64、前記ガス流量制御コントローラ54、前記圧力制御コントローラ59、前記温度制御コントローラ66に代表される制御コントローラを具備し、該制御コントローラには前記主制御部67から各パラメータのデータについての設定値の指示、制御信号等が発せられ、前記制御コントローラからは前記主制御部67に対して各データについて指示前の値と、現在の値等のデータが前記主制御部67に送出される。また、主制御部67は前記制御コントローラからのデータを格納する。
【0068】
ところで、本実施の形態の基板処理装置では、データ収集型のトランザクション処理が行われている。このデータ収集型は、通信回線を通して送られた情報をいったん装置外制御対象物のファイルなどに蓄積し、それを適当な周期で処理しデータベースを更新したり、処理結果を端末装置である基板処理装置に返送したりする処理形態である。
【0069】
以下、装置外制御対象物を制御する装置外コントローラを接続した基板処理装置について説明する。装置外コントローラには、群管理コントローラ、レシピ管理コントローラ、成膜データ収集コントローラなどがあるが、ここでは成膜データ収集コントローラの場合について説明する。
【0070】
図1は、基板に成膜処理を行う本実施の形態に係る基板処理装置100における制御系の構成の一例を示すブロック図である。また、図7は、上記基板処理装置100に、装置外コントローラとしての成膜データ収集コントローラ110を介して、装置外制御対象物としての成膜データ収集装置120を接続して拡大構成した基板処理装置における制御系の構成の一例を示すブロック図である。なお、本実施の形態では少なくとも上記基板処理装置100を後述するように複数のオブジェクトで構成している。
【0071】
上記成膜データ収集装置120及び成膜データ収集コントローラ110は汎用装置であって、任意の基板処理装置100に共通に使用できるものである。すなわち、基板処理装
置100で実現する膜種、機能よって、使用する制御コントローラや制御対象物であるアクチュエータの型式やメーカが異り、そのため新たな基板処理装置の開発が必要になっても、成膜データ収集コントローラ110のソフトウェアを変更することによって、新たな基板処理装置に対応できる。
【0072】
まず、図1に示す基板処理装置100における制御系ついて説明する。なお、説明を簡略化するため、図11で説明した各種センサを第1センサ71、第2センサ72,第3センサ73等として示し、同じく各種アクチュエータを第1アクチユエータ74、第2アクチュエータ75、第3アクチュエータ76等として示し、同じく各種制御コントローラを第1コントローラ77、第2コントローラ78、第3コントローラ79等として示している。
【0073】
ここで、上記センサと上記アクチュエータとは必ずしも対応したものではなく、状態を判断するためにセンサのみが設けられる場合もあり、前記コントローラによる制御対象物はセンサとアクチュエータ、又はセンサ、又はアクチュエータである。
【0074】
前記第1コントローラ77、前記第2コントローラ78、前記第3コントローラ79には前記主制御部67から設定値の指示、或は処理シーケンスに従った指令信号が入力され、該主制御部67は前記第1コントローラ77、前記第2コントローラ78、前記第3コントローラ79を統括して制御する。
【0075】
前記主制御部67には記憶部81が接続されており、該記憶部81には処理を実行するためのシーケンスプログラム、処理内容、処理条件を設定したレシピ、前記第1コントローラ77、前記第2コントローラ78、前記第3コントローラ79から送信される前記第1センサ71、前記第2センサ72、前記第3センサ73の検出結果等を処理するための各種プログラムが格納されている。
また、前記記憶部81はデータ格納領域を具備しており、該データ格納領域には前記第1センサ71、前記第2センサ72、前記第3センサ73の設定値、検出結果、処理の状態等のデータを含むテーブルが格納される。
【0076】
主制御部67についての制御を、例えば、第1コントローラ77、第1アクチユエータ74、第1センサ71について説明する。主制御部67に、操作部(図示せず)或は中央制御装置等からレシピの決定、処理開始の命令が入力されると、前記主制御部67は前記第1アクチュエータ74を駆動するために、駆動条件となる設定値、及び動作完了を判断するための完了条件を、前記第1コントローラ77に発する。
【0077】
前記第1コントローラ77は、設定値の指令が入力されると、センサ、アクチュエータについての情報収集を開始する。
【0078】
先ず、前記第1コントローラ77により、前記第1センサ71の現在値が取得され、次に前記主制御部67から送出された設定値条件が取得される。
【0079】
前記第1コントローラ77は取得した設定値条件に基づき、前記第1センサ71が検出する値が設定値となるように前記第1アクチュエータ74を駆動する。
【0080】
なお、上述した制御は、第2コントローラ78、第2アクチユエータ75、第2センサ72、及び第3コントローラ79、第3アクチユエータ76、第3センサ73についても同様である。
【0081】
[A:オブジェクトの定義]
ところで、本実施の形態では、上述した基板処理装置100における、複数の制御コントローラ77〜79と制御に使用する複数のセンサ71〜73、制御対象物(アクチュエータ)74〜76を個々のオブジェクトとする。また、基板処理装置の機能や処理対象となる材料(基板等)、材料を運ぶコンテナ(キャリア)など、基板処理装置の構成上実在しないものもオブジェクトとする。オブジェクトは状態や設定値などさまざまなデータに対応し、データを容易に管理する器の役割を果たす。
【0082】
また、オブジェクトが持つ収集可能データの有無、データ型(ビット数、浮動小数点)、サイズは、基板処理装置で実現する膜種・機能により異なるため、様々な組み合わせが発生する。この収集可能データの組み合わせを識別するための識別子を定義する。
【0083】
基板処理装置、オブジェクト、識別子、及び収集可能データの関係は、例えば、図2に示す通りである。図2(a)は、基板処理装置A(以下、単に装置Aという)における装置−オブジェクト関連定義、図2(b)は装置Aにおけるオブジェクト−識別子関連定義及び識別子−データ関連定義を示す。図2(c)は、新たに開発が必要になった基板処理装置B(以下、単に装置Bという)におけるデータの組み合わせ変更時のオブジェクト−識別子関連定義、及び識別子−データ関連定義を示す。
【0084】
図2(a)において、装置Aは、複数のオブジェクトA〜Fにより定義される。各オブジェクトは、装置Aを構築するために階層化されている。図示例では、オブジェクトAは1層目、オブジェクトAの下位に並列にあるオブジェクトB、D、Eは2層目、オブジェクトBの下位にあるオブジェクトC、及びオブジェクトD、Eの下位に共通にあるオブジェクトFは3層目である。このようにオブジェクトを階層化して、各オブジェクトがどの制御コントローラ、センサ、制御対象物(アクチュエータ)、基板、キャリア等上で実現されるかを定義していく。これらの定義は主制御部67の記憶部81に格納される。
【0085】
例えば、オブジェクトAは装置Aそのもの、オブジェクトBはプロセスモジュール、オブジェクトDはロードポート、オブジェクトEはキャリア棚、オブジェクトCは温度コントローラ、オブジェクトFはマテリアルロケーション(在荷センサ)とされる。なお、図2(a)は例示であるから、装置Aを異なるオブジェクトで定義することも可能である。また、装置A以外の装置の装置−オブジェクト関連も定義されて、主制御部67の記憶部81に格納される。
【0086】
また、上述したオブジェクトA〜Fについて、それぞれオブジェクト−識別子関連定義、及び識別子−データ関連定義がなされる。例えば、オブジェクトA及びBについて例示すると、それらは図2(b)に示すようになる。なお、後述するテーブルが、装置の制御系を制御する装置制御用ソフトウェアの一部を構成する。
【0087】
オブジェクトAは、クラス部、データ部、メソッド部から構成される。図2(b)は、そのうちのデータ部を示している。オブジェクトAのデータ部は、オブジェクトB、D、Eに対応する各センサにより検出可能な制御対象物から収集することが可能な収集可能データ(以下、単にデータという)A〜Gの組み合わせを有する。これらのデータA〜Gの組み合わせに、識別子A−1を関連付けて、オブジェクトAのテーブルが形成される。
【0088】
オブジェクトBのデータ部は、オブジェクトCに対応する各センサにより検出可能な制御対象物から収集することが可能なデータA〜C、H〜Jの組み合わせを有する。これらのデータA〜C、H〜Jの組み合わせに、識別子B−1を関連付けて、オブジェクトBのテーブルが形成される。なお、オブジェクトBの各データに付けた符号は便宜上のものであり、オブジェクトAの各データに付けた符号と同じであっても、データは同一ではない。
【0089】
図2(c)は、装置Bにおけるデータの組み合わせ変更時のオブジェクト−識別子関連定義、及び識別子−データ関連定義を示す。これは、例えば、異なる膜種に対応するために装置Bの開発が必要になったとき、装置Aと基本的な装置構成が変化しないが、オブジェクトBがもつデータの組み合わせに変更が入る場合は、識別子を変更して対応するというものである。
【0090】
装置BのオブジェクトBは、オブジェクトCに対応する各センサにより検出可能な制御対象物から収集することが可能なデータA〜C、H、K〜Mの組み合わせを有する。これらのデータA〜C、H、K〜Mの組み合わせに、識別子B−1から変更した識別子B−2を関連付けて、装置BにおけるオブジェクトBのテーブルが形成される。なお、装置Bの階層構造、及びオブジェクトBを除く他のオブジェクトは装置Aと共通する。
【0091】
このように本実施の形態では、各装置を複数のオブジェクトでそれぞれ構成し、各装置に対応して、装置−オブジェクト関連(図2(a))、オブジェクト−識別子関連、識別子−データ関連を定義した多数のテーブルを予め作成する(図2(b)、(c))。作成した多数のテーブルは主制御部67の記憶部81に格納しておく。この格納した多数のテーブルの中から、特定の装置に対応した識別子の付いたテーブルを用いて、当該装置を初期化、ないし当該装置及び装置外コントローラを初期化できるようにする。これにより、データの変更に容易に対応できるようにするとともに、データを容易に管理することを可能にする。
【0092】
[B:装置制御用ソフトウェアの開発]
上述したように装置内の主制御部67の記憶部81に、種々の装置に対応できるように、識別子で識別することが可能な多数のテーブルを作成する。この場合、各装置の開発条件に合わせて装置制御用ソフトウェアの開発は次のように行う。
(1)装置を新規に開発する場合は、当該装置の構成を複数のオブジェクトで定義し、また、オブジェクトの関連を定義して対応する(図2(a)、(b))。
(2)基本的な装置構成は変化しないが、装置を構成するオブジェクトが持つデータの組み合わせに変更が入る場合は、識別子を変更して対応する(図2(c)、図8(b))。
(3)基本的な装置構成は変化しないが、装置内に新規に制御コントローラないし制御対象物を増設する必要がある場合は、増設対象を新規なオブジェクトとして定義して対応する(図8(a))。
(4)基本的な装置構成は変化しないが、装置内に不要な制御コントローラないし制御対象物が発生する場合は、装置内の不要な制御コントローラないし制御対象物として定義されているオブジェクトを削除して対応する(図8(c))。
このようにして装置毎に関連定義化して作成した複数のテーブルを、主制御部67の記憶部81に格納する。
【0093】
[C:装置外コントローラ用ソフトウェアの開発]
上述した関連定義を使用して、図3に示す手順により、装置及び装置外コントローラを初期化することにより、装置外コントローラは、装置に変更があっても、データの判別ができるようになる。
【0094】
図3は、装置と装置外コントローラのオブジェクト間の情報の流れを時間的に示すメッセージフローを示す。このメッセージフローにしたがい、主制御部67の記憶部81に格納されたオブジェクト関連定義を使用することにより、装置制御用ソフトウェアウェアと共に、装置外コントローラ用ソフトウェアの作成がなされる。
【0095】
本実施例で示される装置は、電源投入され、あるいはリセットされたりすると初期化処理を行う。初期化処理の中には、装置と装置外コントローラ間の初期化処理、および装置外コントローラからの設定情報取得も含まれる。また、装置外コントローラの設定データを特定する際に必要となる情報も初期化処理時に装置から取得するものとする。
【0096】
メッセージM101は、装置から装置外コントローラへ初期化開始要求を発するメッセージ示す。メッセージM102は、メッセージM101の要求に対して装置外コントローラから装置へ初期化開始応答を発するメッセージである。
【0097】
メッセージM103は、装置外コントローラから装置へ関連定義要求を発するメッセージである。メッセージM104は、メッセージM103の要求に対して、装置から装置外コントローラへ装置−オブジェクト関連定義を伝送するメッセージである。図2(a)の例では、装置Aが複数のオブジェクトA〜Fから構成されていることが定義される。メッセージM105は、装置から装置外コントローラへオブジェクト−識別子関連定義を伝送するメッセージである。図2(b)の例では、オブジェクトAに識別子A−1が定義され、オブジェクトBに識別子B−1が定義される。オブジェクトC以降についても同様にそれぞれ異なる識別子が定義される。なお、図2(c)の場合には、オブジェクトBに、変更した識別子B−2が定義され新規にテーブルが作成される。
【0098】
また、メッセージM106は、装置から装置外コントローラへ識別子−データ関連定義を伝送するメッセージである。例えば、図2(b)の例では、識別子A−1にデータA〜Gの組み合わせが定義され、識別子B−1にデータA〜C、H〜Jの組み合わせが定義される。なお、図2(c)の場合には、識別子B−2にデータA〜C、H、K〜Mの組み合わせが定義される。メッセージM107は、前述したメッセージM103の要求に対して、装置が装置外コントローラへ関連定義の全てについて応答した旨を伝えるメッセージである。
【0099】
メッセージM2n0(nは正の整数、以下同じ)は、装置外コントローラから装置へn層目オブジェクト要求を発するメッセージである。メッセージM2n1は、メッセージM2n0の要求に対して、装置から装置外コントローラへn層目のオブジェクト#1を伝送するメッセージである。メッセージM2n2は、メッセージM2n0の要求に対して、装置から装置外コントローラへn層目のオブジェクト#2を伝送するメッセージである。メッセージM2n3は、メッセージM2n0の要求に対して、装置から装置外コントローラへn層目のオブジェクト#3を伝送するメッセージである。メッセージM2n5は、メッセージM2n0の要求に対して、装置が、装置外コントローラへn層目のオブジェクトの全てについて応答した旨を伝えるメッセージである。上記メッセージM2n0〜M2n5は装置階層分繰り返される。
【0100】
メッセージM2n0〜メッセージM2n5を装置階層分繰り返すのは、次の理由からである。成膜データ収集装置120を装置100に接続する場合、成膜データ収集装置120に、装置100を構成する複数のオブジェクトが収集する全てのデータを収集させるために、成膜データ収集コントローラ110用のソフトウェアは、装置−オブジェクト関連にて定義された各オブジェクトのうち、装置を構成するオブジェクトについての階層構造も把握する必要がある。成膜収集コントローラ(装置外コントローラ)110が、装置100におけるオブジェクトの位置付けを認識できなければ、当該オブジェクトに対応するデータの判別が不可能になるからである。このため、上記メッセージM2n0〜M2n5を装置階層分繰り返しているのである。
【0101】
メッセージM301は、装置から装置外コントローラへ初期化完了通知を発するメッセージである。メッセージM302は、メッセージM301の通知に対して、装置外コント
ローラから装置へ初期化完了応答を発するメッセージである。
このようにして、複数のテーブルの中から当該装置の識別子が識別され、装置側ではオブジェクトのデータ部を含む装置制御用ソフトウェアが、また装置外コントローラ側ではオブジェクトのデータ部を含む装置外コントローラ用ソフトウェアが作成される。
【0102】
ここで、図3のメッセージフローで実行される処理を、図2にの装置Bに対応させて、図4〜図6を用いて具体的に説明する。図4に示すように、メッセージM104及びM105により、装置BはオブジェクトA〜Fから構成され、オブジェクトAの識別子はA−1、オブジェクトBの識別子は変更したB−2…であることが、主制御部67の記憶部81から装置外コントローラへ転送される。また、図5に示すように、メッセージM106により、識別子A−1がデータA〜Gの組み合わせ、識別子B−2がデータA〜C、H、K〜Mの組み合わせであることが、主制御部67の記憶部81から装置外コントローラへ転送される。また、図6に示すように、メッセージM211〜M235により、装置Bを構成する複数のオブジェクトA〜Fについての階層構造が転送される。
【0103】
本実施の形態によれば、装置−オブジェト関連、オブジェクト−識別関連、識別子−データ関連の定義をすることにより、各オブジェクトのどの部分を、どの装置構成で構築するかのルールを確立するようにしている。そして、これらの関連定義を装置から装置外コントローラに通信により提供し、この提供を与えた装置及びこの提供を受けた装置外コントローラは、各関連定義を用いてデータの組み合わせを変更することにより初期化される。
【0104】
本実施の形態によれば、これらの関連定義情報を主制御部から装置外コントローラへ転送する際、各装置のプログラムとなる複数のテーブルの中から、当該装置に対応するテーブルが識別子により識別されて装置側に作成される。また、装置で実現する膜種、機能等に変更が生じても、新規に作成されているテーブルを識別子で識別して装置側に作成できるから、変更が生じた装置におけるデータが装置側で判別できるようになる。したがって、データの変更に容易に対応し、データを容易に管理することができる。その結果、基板処理内容(膜種)や基板処理機能(例えば外燃装置の追加)に変更があるために、装置を構成する制御対象物(センサやアクチュエータ)の型式やメーカ等に変更が生じても、予め作成しておいたテーブルから、変更に対応したテーブルを読み出すだけで良いので、装置制御用フトウェアを容易に開発することができる。
【0105】
また、これらの関連定義情報を主制御部から装置外コントローラへ転送することにより、プログラムであるテーブルが装置外コントローラ側に作成される。また、装置で実現する膜種、機能等に変更が生じても、新規に作成されるテーブルを識別子で識別して装置外コントローラに転送できるから、変更が生じた装置における収集可能なデータが判別できるようになる。したがって、装置外コントローラ用のプログラミングを主制御部とは別個に作成する必要がなくなり、装置外コントローラ用ソフトウェアの開発負担量を軽減することができる。
【0106】
また、本実施の形態によれば、装置の構成上実在するもののみならず、装置の構成上実在しないものもオブジェクトで定義して、各オブジェクトのどの部分を、どの装置構成で構築するかのルールを確立するようにしたので、装置で実現する膜種・機能等による変更の大部分を、装置ソフトウェアの変更だけで対応させることができる。
【0107】
なお、実施の形態では、各関連定義を装置外コントローラに通信により提供するようにした場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えばファイル共有等の手段により提供するようにしてもよい。
【0108】
なお、装置内制御コントローラとしては、温度制御コントローラ、圧力制御コントローラ、ガス流量制御コントローラ、駆動制御コントローラなどが挙げられる。また、装置内制御対象物は、アクチュエータやセンサを含む概念である。ここで、上記センサと上記アクチュエータとは必ずしも対応したものではなく、状態を判断するために装置内対象物としてセンサのみが設けられる場合もあり、前記制御コントローラによる制御対象物はセンサとアクチュエータ、又はセンサ、又はアクチュエータである。アクチュエータとしては、ヒータ、圧力調整装置(APC)、MFC(流量制御装置)、回転機構、ボートエレベータ、基板移載装置、真空排気装置、炉口ゲートバルブ、エアバルブ等が挙げられる。
【0109】
また、上述した各種オブジェクトとしては次のようものを例示することができる。
オブジェクトAは装置そのもの、そのデータは膜種等、オブジェクトBはプロセスモジュール、そのデータはモジュール状態値等、オブジェクトCは温度コントローラ、そのデータは温度等、オブジェクトDはロードポート、そのデータはロードポート状態値等、オブジェクトEはキャリア棚、そのデータはキャリア棚状態値等、オブジェクトFはマテリアルロケーション(在可センサ)、そのデータは、キャリア有無状態値等である。
【0110】
また、実施の形態では、装置外コントローラとして成膜データ収集コントローラの場合について説明したが、複数の装置を統括的に管理する群管理コントローラや、各装置のレシピ状況を管理するレシピ管理コントローラ等にも本発明は適用可能である。
【0111】
以下に本発明の好ましい形態を付記する。
【0112】
付記1は、基板を処理する基板処理装置であって、制御コントローラと、該制御コントローラによって駆動制御される制御対象物と、前記制御コントローラに前記制御対象物を駆動させるための指示を発する主制御部とを備え、前記主制御部は、前記制御対象物と、前記制御対象物が収集する収集可能データと、識別子とを関連付けたテーブルを有し、前記制御コントローラ又は前記制御対象物の変更に応じて前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成する基板処理装置である。
制御コントローラ又は前記制御対象物に変更が生じても、識別子によって容易に収集可能データに対応し、収集可能データを容易に管理することができ、また識別子によって収集可能データの変更に容易に対応することができる。
【0113】
付記2は、付記1に記載の基板処理装置であって、前記制御コントローラが、前記基板処理装置を構成し前記基板の処理に直接寄与する装置内制御対象物を制御する装置内制御コントローラと、前記基板処理装置を構成せず前記基板の処理に直接寄与しない装置外制御対象物を制御する装置外コントローラとから構成され、前記主制御部は、前記装置外コントローラからの要求に応答して、前記識別子に関連した前記テーブルを前記装置外コントローラへ転送し、前記テーブルに基づいて前記装置外コントローラに前記装置外制御対象物を制御させるための指示を発する基板処理装置である。
識別子に関連したテーブルを主制御部から装置外コントローラへ転送するようにしたので、装置外コントローラ用ソフトウェアの変更の大部分を、装置制御用ソフトウェアの変更だけで対応させることができる。
【0114】
付記3は、前記基板処理装置を複数のオブジェクトで階層化して構成した付記2に記載の基板処理装置である。
【0115】
付記4は、前記複数のオブジェクトで階層化された基板処理装置の各オブジェクトが、n(1以上の自然数)層目−オブジェクトで定義される付記3に記載の基板処理装置である。
【0116】
付記5は、前記装置外コントローラの初期化は、該装置外コントローラと前記基板処理装置との間で交わす関連定義要求とその応答を含むメッセージフローによって実施される付記2に記載の基板処理装置である。
【0117】
付記6は、前記メッセージフローは、前記装置−オブジェクト関連の定義と、前記オブジェクト−識別子関連の定義と、前記識別子−収集可能データ関連の定義と、n層目−オブジェクト情報の転送を装置階層分繰り返すことにより実施される付記5に記載の基板処理装置である。
【0118】
付記7は、前記装置−オブジェクト関連の定義は、装置を構成する手段をオブジェクトで構成することである付記6に記載の基板処理装置である。
【0119】
付記8は、前記オブジェクト−識別子関連の定義は、各オブジェクトに該オブジェクトを識別する識別子を付けることである付記6に記載の基板処理装置である。
【0120】
付記9は、前記識別子−データ関連の定義は、収集可能データに前記識別子を付することである付記6に記載の基板処理装置である。
【0121】
付記10は、制御コントローラと、該制御コントローラによって駆動制御される制御対象物と、前記制御コントローラに前記制御対象物を駆動させるための指示を発する主制御部とを具備する基板処理装置を用いた基板処理方法であって、前記主制御部は、前記制御対象物と、該制御対象物が収集する収集可能データと、前記識別子とを関連付けてテーブルを形成し、前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成し、前記テーブルに基づいて前記制御対象物を駆動させるための指示を前記制御コントローラに発することにより基板を処理するようにした基板処理方法である。
【0122】
付記11は、基板を移載する基板移載方法において、制御コントローラと、該制御コントローラによって駆動制御される基板移載手段と、前記制御コントローラに前記基板移載手段を駆動させるための指示を発する主制御部と、前記基板移載手段のデータを検出して前記主制御部に送るセンサとを具備する基板移載装置を用いた基板移載方法であって、前記主制御部は、前記センサにより検出可能な前記基板移載手段のデータであって収集可能なデータに、該収集可能データが当該基板移載手段のデータであることを識別させる識別子を関連付けてテーブルを形成し、新規な基板移載手段に対応させるために前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成し、当該基板移載手段に対応するテーブルに基づいて、前記基板移載手段を駆動させるための指示を前記制御コントローラに発する基板移載方法である。
【0123】
付記12は、制御コントローラと、該制御コントローラによって駆動制御される制御対象物と、前記制御コントローラに前記制御対象物を駆動させるための指示を発する主制御部と、前記制御対象物のデータを検出して前記主制御部に送るセンサとを具備する基板処理装置を用いた半導体デバイスの製造方法であって、前記主制御部は、前記センサにより検出可能な前記制御対象物のデータのうち収集することが可能な収集可能データに識別子を関連付けてテーブルを形成し、前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成する半導体デバイスの製造方法である。
【0124】
付記13は、制御コントローラと、該制御コントローラによって駆動制御される制御対象物と、前記制御コントローラに前記制御対象物を駆動させるための指示を発する主制御部と、前記制御対象物のデータを検出して前記主制御部に送るセンサとを具備する基板処理装置を用いた基板処理方法であって、前記主制御部は、前記センサにより検出可能な前記制御対象物のデータであって収集可能なデータに、該収集可能データが当該制御対象物
のものであることを識別させる識別子を関連付けてテーブルを形成し、新規な制御対象物に対応させるために前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成し、当該制御対象物に対応するテーブルに基づいて、前記制御対象物を駆動させるための指示を前記制御コントローラに発することにより基板を処理するようにした基板処理方法である。
【0125】
付記14は、基板を移載する基板移載方法において、制御コントローラと、該制御コントローラによって駆動制御される基板移載手段と、前記制御コントローラに前記基板移載手段を駆動させるための指示を発する主制御部と、前記基板移載手段のデータを検出して前記主制御部に送るセンサとを具備する基板移載装置を用いた基板移載方法であって、前記主制御部は、前記センサにより検出可能な前記基板移載手段のデータであって収集可能なデータに、該収集可能データが当該基板移載手段のデータであることを識別させる識別子を関連付けてテーブルを形成し、新規な基板移載手段に対応させるために前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成し、当該基板移載手段に対応するテーブルに基づいて、前記基板移載手段を駆動させるための指示を前記制御コントローラに発する基板移載方法である。
【0126】
付記15は、制御コントローラと、該制御コントローラによって駆動制御される制御対象物と、前記制御コントローラに前記制御対象物を駆動させるための指示を発する主制御部と、前記制御対象物のデータを検出して前記主制御部に送るセンサとを具備する基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法であって、前記主制御部は、前記センサにより検出可能な前記制御対象物のデータのうち収集することが可能な収集可能データに識別子を関連付けてテーブルを形成し、前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成する半導体装置の製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の制御系を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置のオブジェクト図であり、(a)は装置−オブジェクト関連定義、(b)はオブジェクト−識別子関連、及び識別子−データ関連定義、(c)は変更されたオブジェクト−識別子関連、及び識別子−データ関連定義を示す。
【図3】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置と装置外コントローラとの情報の遣り取りを示すメッセージフローである。
【図4】図3のメッセージフローの要部説明図である。
【図5】図3のメッセージフローの要部説明図である。
【図6】図3のメッセージフローの要部説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の制御系を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の一部を構成する制御コントローラを追加、変更、削除した説明図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の斜視図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の側断面図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置に用いられる処理炉の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0128】
100 基板処理装置
77〜79 制御コントローラ
74〜76 制御対象物
67 主制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置であって、
制御コントローラと、
該制御コントローラによって駆動制御される制御対象物と、
前記制御コントローラに前記制御対象物を駆動させるための指示を発する主制御部とを備え、
前記主制御部は、前記制御対象物と、前記制御対象物が収集する収集可能データと、識別子とを関連付けたテーブルを有し、
前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成する基板処理装置。
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置であって、
制御コントローラと、
該制御コントローラによって駆動制御される制御対象物と、
前記制御コントローラに前記制御対象物を駆動させるための指示を発する主制御部とを備え、
前記主制御部は、前記制御対象物と、前記制御対象物が収集する収集可能データと、識別子とを関連付けたテーブルを有し、
前記収集可能データを変更する場合、前記識別子を変更して新規にテーブルを作成する基板処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−117553(P2009−117553A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287842(P2007−287842)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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