説明

基板収容器、基板収納方法

【課題】収納の利便性を向上させると共に物流コストを低減させることを可能とする基板収納容器等を提供する。
【解決手段】2枚の基板31の上端部分をテープ33により連結して基板対30を構成し、基板収納容器1の対向する側部7及び側部9間に架設される梁部材21にテープ33部分を跨がせて基板対30を懸架することにより、基板31を基板収納容器1に収納する。基板対30を懸架させる際、基板31の下端部分あるいは側端部分は、案内部23により所定の位置に誘導される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイに用いるガラス基板等の基板を収納する基板収納容器等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基板に用いられるガラスは、厚さが薄くなると共に、生産性を向上させるため、ガラスサイズが大型化しており、例えば、厚さ1mm以下、1500mm×1800mm(G6)、1900mm×2200mm(G7)等のサイズのものが用いられる。
従来、ガラス等の基板を収納する基板収納箱には、樹脂製の箱の内面に基板を固定するための溝(スリット)が設けられている(例えば、[特許文献1][特許文献2]参照。)。
【0003】
図17は、従来の基板収納箱500を示す斜視図である([特許文献2]の図3参照。)。
図18は、従来の基板収納箱500の本体501を示す平面図である。
【0004】
基板収納箱500は、蓋501及び本体502から構成される。本体502は、基板504を挿入及び固定するための溝503が設けられる。
溝503の間隔505は、基板504を出し入れするスペースを考慮して決定される。
【0005】
【特許文献1】特開平7−132986号公報
【特許文献2】特開平7−257681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の基板収納箱では、最近大型化しているガラスを収納する際、ガラスの撓みが大きく、ガラスを出し入れするためのスペースが必要になるという問題点がある。また、ガラスの撓みが発生する分、ガラス間の隙間を広くとるために収納枚数が少なくなり、結果として物流コストが増大するという問題点がある。
図17及び図18に示すように、従来の基板収納箱500では、基板504が大型のガラスの場合、基板504は撓みを生じるので、溝503の間隔505を撓みの分さらに大きくする必要があり、ガラスの収納枚数を犠牲にせざるを得ないという問題点がある。
【0007】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、収納の利便性を向上させると共に物流コストを低減させることを可能とする基板収納容器等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために第1の発明は、側部を有し基板を収納する基板収納容器であって、対向する前記側部内面間に架設される複数の梁部材を具備することを特徴とする基板収納容器である。
【0009】
第1の発明では、2枚の基板の上端部分をテープにより連結して基板対を構成し、基板収納容器の対向する側部内面間に架設される梁部材にテープ部分を跨がせて基板対を懸架することにより、基板を基板収納容器に収納する。
【0010】
基板は、ガラス等の各種基板である。
梁部材は、対向する側部間に複数架設され、基板の長さに対応する高さに設けられる棒状の部材である。梁部材の形状は、特に限定されず、例えば、断面形状は、円、楕円、半円、円弧、楕円弧、U字、V字、矩形等である。
また、梁部材の側部側の太さを内部側の太さより大きくしてもよい。この場合、基板対が側部方向にずれ動くことを防止することができる。
また、側部、底部等に案内部を設けるようにしてもよい。案内部は、梁部材の設置位置に基づいて、側部、底部等に設けられる邪魔板、当止部材等であり、基板毎にそれぞれの周縁部を異なる位置に誘導案内する。
【0011】
第1の発明では、基板収納容器に収納される基板は、梁部材に吊された状態で収納されるので、基板の撓みの発生を防止することができる。従って、撓みが発生しない分、収納枚数を増加させて、物流コスト等を低減させることができる。また、撓みの影響を考慮する必要がないので、基板を取り扱う際、高性能のロボットによる制御等を行う必要がなく、取扱が容易である。
【0012】
第2の発明は、側部を有し基板を収納する基板収納容器であって、対向する前記側部内面にそれぞれ対になって複数対設けられ、前記側部内面に片持状態で支持される、梁部材を具備することを特徴とする基板収納容器である。
【0013】
第1の発明では、梁部材の両端はそれぞれ側部に支持されて架設されるが、第2の発明では、対になって設けられる梁部材はそれぞれ側部に片持状態で支持される。すなわち、第2の発明は、第1の発明の基板収納容器における梁部材の中央部分を切り出して2つの梁部材に分離したものに相当する。
【0014】
第3の発明は、側部を有し基板を収納する基板収納容器であって、前記側部内面に片持状態で支持される、複数の梁部材を具備することを特徴とする基板収納容器である。
第1の発明では、梁部材の両端はそれぞれ側部に支持されて架設されるが、第3の発明では、複数の梁部材の一端がそれぞれ側部に片持状態で支持される。すなわち、第3の発明は、第1の発明の基板収納容器における一方の側部を取り外したものに相当する。尚、取り外した側部を容器本体に装着可能としてもよい。さらに、装着する側部内面に支持部を設け、容器本体への装着状態において梁部材の他端を支持するようにしてもよい。
【0015】
第4の発明は、側部を有し基板を収納する基板収納容器であって、対向する前記側部内面にそれぞれ対になって複数設けられ、梁部材の端部を着脱可能に支持する、支持部を具備することを特徴とする基板収納容器である。
【0016】
第1の発明あるいは第2の発明では、梁部材は側部内面に予め架設あるいは片持支持されるが、第4の発明では、側部内面に、梁部材の端部を取り付け及び取り外し可能に支持する支持部が基板の長さに対応する高さに設けられる。
第4の発明では、2枚の基板の上端部分をテープにより連結して基板対を構成し、梁部材にテープ部分を跨がせて基板対を懸架し、基板対を懸架した梁部材を側部内面の支持部に取り付けて架設することにより、基板を収納する。
【0017】
支持部は、梁部材の端部を着脱可能に支持するものであれば特に限定されないが、例えば、上部にU字状、矩形状等の窪みを有する部材、横方向に円形等の窪みを有する部材を用いることができる。また、側部自体に溝、窪み等を設けるようにしてもよい。
上部に窪みを有する部材を用いる場合、梁部材の両端が支持部の窪みに上方から載置され、梁部材が側部内面間に架設される。
横方向に窪みを有する部材を用いる場合、対向する側部の一方を基板収納容器から取り外し、対になった一方の支持部の窪みに梁部材の一端を横方向から係合して取り付け、取り外した側部を基板収納容器に取り付ける際に、他方の支持部の窪みに梁部材の他端を横方向から係合して取り付け、梁部材を側部内面間に架設する。
【0018】
第4の発明では、基板対を懸架した梁部材を移動させることにより、基板対の搬送を行うことができ、当該梁部材を基板収納容器の側部内面間に架設することにより基板の収納を行うことができる。
【0019】
第5の発明は、側部を有する基板収納容器に基板を収納する基板収納方法であって、2枚の基板の各上端をテープにより連結するステップと、前記テープ部分を対向する前記側部内面間に前記基板の長さに対応する高さに設けられる複数の梁部材のうちの少なくとも1つに跨がせて、前記2枚の基板を懸架するステップと、を具備することを特徴とする基板収納方法である。
【0020】
第5の発明は、第1の発明の基板収納容器へ基板を収納する基板収納方法に関する発明である。
【0021】
第6の発明は、側部を有する基板収納容器に基板を収納する基板収納方法であって、2枚の基板の各上端をテープにより連結するステップと、前記テープ部分を対向する前記側部内面にそれぞれ対になって前記基板の長さに対応する高さに複数対設けられ前記側部内面に片持状態で支持される梁部材のうちの少なくとも1対に跨がせて、前記2枚の基板を懸架するステップと、を具備することを特徴とする基板収納方法である。
【0022】
第6の発明は、第2の発明の基板収納容器へ基板を収納する基板収納方法に関する発明である。
【0023】
第7の発明は、側部を有する基板収納容器に基板を収納する基板収納方法であって、2枚の基板の各上端をテープにより連結するステップと、前記テープ部分を前記基板の長さに対応する高さに設けられ前記側部内面に片持状態で支持される複数の梁部材のうちの少なくとも1つに跨がせて、前記2枚の基板を懸架するステップと、を具備することを特徴とする基板収納方法である。
【0024】
第7の発明は、第3の発明の基板収納容器へ基板を収納する基板収納方法に関する発明である。
【0025】
第8の発明は、側部を有する基板収納容器に基板を収納する基板収納方法であって、2枚の基板の各上端をテープにより連結するステップと、前記テープ部分を梁部材に跨がせて前記2枚の基板を懸架するステップと、前記2枚の基板が懸架された梁部材を対向する前記側部内面間に架設するステップと、を具備することを特徴とする基板収納方法である。
【0026】
第8の発明は、第4の発明の基板収納容器へ基板を収納する基板収納方法に関する発明である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、収納の利便性を向上させると共に物流コストを低減させることを可能とする基板収納容器等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る基板収納容器等の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、略同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0029】
最初に、図1〜図3を参照しながら、本発明の第1の実施の形態に係る基板収納容器1の構成について説明する。
図1は、基板収納容器1の概略斜視図である。
図2は、本体3の平面図である。
図3は、本体3のA−A’線側断面図である。
尚、図1は、側部9、側部11の一部を切り欠いた状態を示す。
【0030】
図1〜図3に示す基板収納容器1は、本体3及び蓋5から構成される。
本体3は、対向する側部7及び側部9、対向する側部11及び側部13、底部15により四方及び底方を囲まれる。
【0031】
側部7〜側部13は、それぞれ、底部15に立設する。
梁部材21は、側部7及び側部9の間に架設される梁状の部材である。梁部材21の両端は、側部7及び側部9の内面に固定支持される。
尚、梁部材21は、図5〜図8に示す基板31の上下方向の長さより高い位置に架設される。
【0032】
案内部23は、基板31を互いに非接触状態で保持するために、基板31毎に所定の位置に案内及び誘導するための部材であり、例えば、当止部材、邪魔板である。また、案内部23は、溝、スリット等により構成するようにしてもよい。
案内部23は、底部15、あるいは、側部7、側部9に設けられる。案内部23の設置位置は、梁部材21の架設位置に基づいて決定され、例えば、梁部材21の鉛直下方位置(案内部23−1)及びその中間位置(案内部23−2)である。
【0033】
尚、蓋5は、必要に応じて設けるようにすればよい。
また、図1〜図3では、側部7〜側部13、底部15は、板状の部材を用いるものとして説明するが、これに限られず、例えば、フレーム部材等を用いることもできる。
側部7及び側部9に関しては、梁部材21を支持するものであれば、必ずしも、壁面とする必要はない。
底部15に関しては、案内部23を支持するものであれば、必ずしも、床面とする必要はない。また、案内部23を側部7及び側部9に設ける場合は、底部15を設けずともよい。
【0034】
また、第1の実施の形態では、梁部材21の両端は、側部7及び側部9の内面に固定支持されるものとして説明したが、側部の一方(例えば、側部9)を設けず、他方の側部(例えば、側部7)に梁部材21の一端を片持状態で固定するようにしてもよい。さらに、取り外した側部(例えば、側部9)を本体5に着脱可能とするようにしてもよい。この場合、図12及び図13について後述するように、取り外した側部(例えば、側部9)の内面に支持部63を設け、当該側部を本体5に取り付けた状態において、梁部材21の他端を支持できるようにしてもよい。
【0035】
次に、図4〜図6を参照しながら、基板収納容器1に収納する基板対30について説明する。
図4は、基板対30を示す平面図である。
図5は、基板対30を示す正面図である。
図6は、基板対30を示す側面図である。
【0036】
図4に示すように、基板対30は、2枚の基板31−1及び基板31−2のそれぞれの上端部分がテープ33により連結されて構成される。
テープ33は、柔軟性を有する面状の基材であり、例えば、発塵のないPET(ポリエチレンテレフタレート)等のフィルムである。
また、テープ33は、一般的な帯状の粘着テープに限られず、基板31−1及び基板31−2を連結して持ち上げることができるものであれば、形状、材質等の種類を問わない。
【0037】
また、テープ33と基板31−1及び基板31−2との貼り合わせに用いる粘着剤は、再剥離可能であり、基板31−1及び基板31−2を保持するのに十分な強度を有することが望ましい。尚、粘着剤は、基板31−1及び基板31−2側に予め塗布してもよいし、テープ33側に予め塗布するようにしてもよい。
【0038】
図5及び図6に示すように、基板対30を基板収納容器1に収納する際は、テープ33の部分を湾曲させて2枚の基板31−1及び基板31−2を非接触に対面させる。
【0039】
尚、テープ33と基板31との段差35がテープ33の湾曲面の外側となるようにすることが望ましい。この場合、基板31−1及び基板31−2を基板収納容器1から取り出す際、梁部材21に引っ掛からずスムーズに取り出すことができる。一方、取り出しに支障がない場合、段差35をテープ33の湾曲面の内側となるようにしてもよい。
【0040】
次に、図7及び図8を参照しながら、基板対30の収納について説明する。
図7は、基板対30の搬送を示す斜視図である。
図8は、基板対30の基板収納容器1への収納状態を示す斜視図である。
尚、図8は、側部9、側部11の一部を切り欠いた状態を示す。
【0041】
図7に示すように、基板対30の搬送は、テープ33の湾曲面内側にロボットアーム37等を挿入して基板対30全体を持ち上げることにより行う。
図8に示すように、基板対30の収納は、テープ33部分を梁部材21に跨がせて懸架することにより行う。
基板対30を懸架させる際、基板31−1及び基板31−2の下端部分あるいは側端部分は、案内部23により所定の位置に誘導される。従って、基板31間の接触を防止することができる。
【0042】
このように、第1の実施の形態では、梁部材21にテープ33部分を跨がせて基板対30を懸架することにより、基板31−1及び基板31−2を基板収納容器1に収納する。
【0043】
基板収納容器1に収納される基板31−1及び基板31−2は、梁部材21に吊された状態で収納されるので、側部7〜側部13あるいは底部15から作用力を受けず、自重に係る作用力(テープ33からの引張張力、重力)は、基板の31−1及び基板31−2の収納方向(鉛直方向)に作用するので、基板31−1及び基板31−2の撓みの発生を防止することができる。
従って、撓みが発生しない分、基板の収納間隔を小さくして収納可能枚数を増加させることができるので、基板収納容器1を用いることにより、物流コスト等を低減させることができる。また、撓みの影響を考慮する必要がないので、基板31を取り扱う際、高性能のロボットによる制御等を行う必要がない。
【0044】
次に、図9及び図10を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係る基板収納容器51について説明する。
図9は、基板収納容器51の概略斜視図である。
図10は、基板対30の搬送を示す図である。
図11は、基板対30の基板収納容器51への収納状態を示す図である。
尚、図9及び図11は、側部9、側部11の一部を切り欠いた状態を示す。
【0045】
図1に示す基板収納容器1は、対向する側部7及び側部9間に梁部材21が予め架設されるが、図9に示す基板収納容器51は、梁部材55を予め架設することに代えて、対向する側部7及び側部9の内面にそれぞれ梁部材55の端部を支持する支持部53が設けられる。支持部53は、上部にU字状、矩形状等の窪みを有する。
梁部材55は、梁部材21と同様のものであるが、予め基板収納容器51に架設されない。
尚、支持部53は、図5〜図8に示す基板31の上下方向の長さより高い位置に設けることが望ましい。
【0046】
図10に示すように、基板対30の搬送は、テープ33部分を梁部材55に跨がせて基板対30を懸架し、当該梁部材55をロボットアーム57等により把持することにより行うことができる。
図11に示すように、基板対30の収納は、基板収納容器51の支持部53の窪みに、当該基板対30が懸架された梁部材55の両端を上方から載置し、側部7及び側部9間に梁部材55を架設することにより行う。
【0047】
このように、第2の実施の形態では、予め梁部材55を基板収納容器51に設けることに代えて、梁部材55を支持する支持部53が設けられる。基板対30が懸架された梁部材55の両端を支持部53に載置して、基板対30を基板収納容器1に収納する。すなわち、基板収納容器51における梁部材55の架設は、基板31の収納時に行われる。
【0048】
基板収納容器51に収納される基板31は、梁部材55に吊された状態で収納されるので、撓みの発生を防止することができる。
尚、図9及び図11に示す支持部53は、上部にU字状の窪みを有するが、支持部53は、梁部材55の端部を支持するものであれば形状等は限定されず、例えば、梁部材55が角材である場合には、矩形状の窪みを設けることもできる。また、梁部材55を支持部53の窪みに載置した後に当該梁部材55を固定あるいは拘束するロック等を設けてもよい。
また、支持部53に関しては、側部7及び側部9の内面に支持部材を取り付けることに代えて、側部7及び側部9の内面自体に溝、窪み等を設けるようにしてもよい。
【0049】
また、第1の実施の形態の場合と同様に、案内部23(図1参照)を設けるようにしてもよい。この場合、案内部23は、底部15、あるいは、側部7、側部9に設けられる。案内部23の設置位置は、支持部53の位置に基づいて決定され、例えば、支持部53の鉛直下方位置(案内部23−1)及びその中間位置(案内部23−2)である。
【0050】
次に、図12及び図13を参照しながら、本発明の第3の実施の形態に係る基板収納容器61について説明する。
図12は、基板収納容器61の概略斜視図である。
図13は、基板対30の基板収納容器61への収納状態を示す図である。
【0051】
図12に示す基板収納容器61は、図9に示す基板収納容器51と同様に、対向する側部7及び側部9の内面にそれぞれ梁部材65の端部を支持する支持部63が設けられる。
側部7及び側部9のうち少なくとも一方は、基板収納容器61の本体3に対して着脱可能である。
支持部63は、横方向に円形状、矩形状等の窪みを有する。支持部63は、梁部材65を片持状態で支持可能であることが望ましく、図5〜図8に示す基板31の上下方向の長さより高い位置に設けることが望ましい。
梁部材65は、梁部材55と同様のものであり、予め基板収納容器61に架設されない。
【0052】
図12及び図13に示すように、一旦、側部7あるいは側部9を基板収納容器61の本体3から取り外し、一方の支持部63(例えば、側部7の支持部63)の窪みに、基板対30が懸架された梁部材65の一端を横方向から挿入して支持させ、取り外した側部7あるいは側部9を基板収納容器61の本体3に取り付ける際、梁部材65の他端を他方の支持部63(例えば、側部9の支持部63)の窪みに横方向から挿入して支持させ、梁部材65を側部7及び側部9間に架設して基板対30を基板収納容器61に収納する。
【0053】
このように、第3の実施の形態では、一旦、側部7あるいは側部9を基板収納容器61から取り外し、取り外した側部7あるいは側部9を基板収納容器61に取り付ける際、梁部材65を側部7及び側部9間に架設して基板対30を基板収納容器61に収納する。
従って、基板収納容器61の上方での作業スペースに余裕がなくとも、基板対30の収納作業を行うことができる。また、基板対30の収納前後に渡って、蓋5を基板収納容器61に着脱する必要がない。
【0054】
また、基板収納容器61に収納される基板31は、梁部材65に吊された状態で収納されるので、撓みの発生を防止することができる。
尚、図12に示す支持部63は、横方向に円形状の窪みを有するが、支持部63は、梁部材65の端部を支持するものであれば形状等は限定されず、例えば、梁部材65が角材である場合には、矩形状の窪みを設けることもできる。また、梁部材65を支持部63の窪みに挿入した後に当該梁部材65を固定あるいは拘束するロック等を設けてもよい。
【0055】
また、第1の実施の形態の場合と同様に、案内部23(図1参照)を設けるようにしてもよい。この場合、案内部23は、底部15、あるいは、側部7、側部9に設けられる。案内部23の設置位置は、支持部63の位置に基づいて決定され、例えば、支持部63の鉛直下方位置(案内部23−1)及びその中間位置(案内部23−2)である。
【0056】
次に、図14〜図16を参照しながら、基板収納容器に用いる梁部材の形態について説明する。
上述した基板収納容器に用いる梁部材の形状、大きさ、材質等については、特に限定されず、種々の形態を採ることができる。例えば、梁部材の断面形状に関しては、円、楕円、半円、円弧、楕円弧、U字、V字、矩形等とすることができる。
【0057】
図14は、基板収納容器1の梁部材21の他の形態を示す図である。
尚、図14は、側部9、側部11の一部を切り欠いた状態を示す。
【0058】
図14に示す梁部材21は、対になった2つの梁部材21−1及び梁部材21−2がそれぞれ側部7及び側部9に片持状態で設けられる。
尚、梁部材21−1及び梁部材21−2間の間隔71は、基板対30を懸架可能な間隔とすることが望ましい。
このように、対になった2つの梁部材を用いることにより、梁部材使用量、梁部材の保守管理負担等を軽減することができる。
【0059】
図15は、基板収納容器1、51、61の梁部材21、55、65の他の形態を示す側面図である。
【0060】
図15に示す梁部材21、55、65は、上部に窪みを有する。窪みは、種々の形態を採ることができ、例えば、U字状、V字状である。
これらの梁部材21、55、65に基板対30を懸架した場合、テープ33部分と梁部材との間に空隙73が形成される。
【0061】
基板対30を梁部材21、55、65に懸架あるいは回収する場合、ロボットアーム等を空隙73に入れて基板対30を取り扱うことにより、ロボットアーム等が基板31−1及び基板31−2に接触することを防止し、安全性を向上させることができる。
【0062】
図16は、基板収納容器1、51、61の梁部材21、55、65の他の形態を示す斜視図である。
図16に示す梁部材21、55、65は、側部側75の太さは内部側77の太さより大きく、段差面81が形成される。尚、太さが小さくなっている部分の長さ79は、基板対30のテープ33の幅と対応する。また、段差面81は、垂直面状、テーパ状、コーン状等とすることができ、適宜、アールを設けてもよい。
【0063】
基板対30のテープ33部分を梁部材の内部側77に懸架すると、テープ33の周縁部は、側部側75と内部側77との段差面81により当て止めされる。
従って、基板対30全体が梁部材21、55、65上を側部方向にずれ動くことがないので、基板31−1及び基板31−2が側部7及び側部9と接触することを防止することができる。
【0064】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、2枚の基板の上端部分をテープにより連結して基板対を構成し、梁部材にテープ部分を跨がせて基板対を懸架することにより、基板を基板収納容器に収納する。梁部材は、予め、基板収納容器の対向する側部内面間に架設されるか、あるいは、収納時に基板収納容器の側部内面間に架設される。
【0065】
このように、基板収納容器に収納される基板は、梁部材に吊された状態で収納されるので、基板の撓みの発生を防止することができる。従って、撓みが発生しない分、収納可能枚数を増加させて、物流コスト等を低減させることができる。また、撓みの影響を考慮する必要がないので、基板を取り扱う際、高性能のロボットによる制御等を行う必要がなく、取扱が容易である。
【0066】
以上、添付図面を参照しながら、本発明にかかる基板収納容器等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0067】
尚、ガラスを基板収納容器に入れる際、テープに梁部材を通した後、梁部材を容器の入り口に設けた溝に掛けてもよいが、容器の入り口に予め梁部材を取り付け、ガラスをそこに掛ける構造でもよい。
また、ガラスを貼るテープは、一般的な帯状の粘着テープ以外にも、ガラス同士をつなげ、持ち上げられる形状であれば、これに限らない。
また、ガラスに粘着剤を塗り、その上から粘着剤が塗布していないテープを貼ってもよい。粘着剤は、はがす際、ガラスに粘着剤が残らないような材料が一般的だが、粘着剤の材料を水溶性にし、残った粘着剤を水で洗い流せるようにしてもよい。
また、ガラスとテープの前後関係が、収納の際、ガラスが外側になるようにすることが望ましいが、取り出しに支障がない場合は、前後関係を逆にしても差し支えない。
【0068】
また、上述の実施の形態では、1本の梁部材あるいは1対の梁部材に、1対の基板対を跨がせるものとして説明したが、これに限られない。各梁部材間の間隔を小さくしたり、梁部材自体を細くすることにより、2本以上の梁部材あるいは2対以上の梁部材に、1対の基板対を跨がせるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】基板収納容器1の概略斜視図
【図2】本体3の平面図
【図3】本体3のA−A’線側断面図
【図4】基板対30を示す平面図
【図5】基板対30を示す正面図
【図6】基板対30を示す側面図
【図7】基板対30の搬送を示す斜視図
【図8】基板対30の基板収納容器1への収納状態を示す斜視図
【図9】基板収納容器51の概略斜視図
【図10】基板対30の搬送を示す図
【図11】基板対30の基板収納容器51への収納状態を示す図
【図12】基板収納容器61の概略斜視図
【図13】基板対30の基板収納容器61への収納状態を示す図
【図14】基板収納容器1の梁部材21の他の形態を示す図
【図15】基板収納容器1、61、71の梁部材21、55、65の他の形態を示す側面図
【図16】基板収納容器1、61、71の梁部材21、55、65の他の形態を示す斜視図
【図17】従来の基板収納箱500を示す斜視図
【図18】従来の基板収納箱500の本体501を示す平面図
【符号の説明】
【0070】
1………基板収納容器
3………本体
5………蓋
7、9、11、13………側部
15………底部
21………梁部材
23………案内部
30………基板対
31………基板
33………テープ
35………段差
37………アーム
51、61………基板収納容器
53、63………支持部
55、65………梁部材
57………アーム
71………間隔
73………空隙
75………梁部材(側部側)
77………梁部材(内部側)
81………段差面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側部を有し基板を収納する基板収納容器であって、
対向する前記側部内面間に架設される複数の梁部材を具備することを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
側部を有し基板を収納する基板収納容器であって、
対向する前記側部内面にそれぞれ対になって複数対設けられ、前記側部内面に片持状態で支持される、梁部材を具備することを特徴とする基板収納容器。
【請求項3】
側部を有し基板を収納する基板収納容器であって、
前記側部内面に片持状態で支持される、複数の梁部材を具備することを特徴とする基板収納容器。
【請求項4】
前記梁部材は、前記基板の長さに対応する高さに設けられることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の基板収納容器。
【請求項5】
前記側部または底部の少なくともいずれかに設けられ、前記基板毎にそれぞれの周縁部を異なる位置に案内する案内部を具備することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の基板収納容器。
【請求項6】
前記案内部の設置位置は、前記梁部材の設置位置に基づくことを特徴とする請求項5に記載の基板収納容器。
【請求項7】
前記梁部材の断面形状は、円、楕円、半円、円弧、楕円弧、U字、V字、矩形の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の基板収納容器。
【請求項8】
前記梁部材の側部側の太さは内部側の太さより大きいことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載の基板収納容器。
【請求項9】
側部を有し基板を収納する基板収納容器であって、
対向する前記側部内面にそれぞれ対になって複数設けられ、梁部材の端部を着脱可能に支持する、支持部を具備することを特徴とする基板収納容器。
【請求項10】
前記支持部は、前記基板の長さに対応する高さに設けられることを特徴とする請求項9に記載の基板収納容器。
【請求項11】
前記側部または底部の少なくともいずれかに設けられ、前記基板毎にそれぞれの周縁部を異なる位置に案内する案内部を具備することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の基板収納容器。
【請求項12】
前記案内部の設置位置は、前記支持部の設置位置に基づくことを特徴とする請求項11に記載の基板収納容器。
【請求項13】
側部を有する基板収納容器に基板を収納する基板収納方法であって、
2枚の基板の各上端をテープにより連結するステップと、
前記テープ部分を対向する前記側部内面間に前記基板の長さに対応する高さに設けられる複数の梁部材のうちの少なくとも1つに跨がせて、前記2枚の基板を懸架するステップと、
を具備することを特徴とする基板収納方法。
【請求項14】
側部を有する基板収納容器に基板を収納する基板収納方法であって、
2枚の基板の各上端をテープにより連結するステップと、
前記テープ部分を対向する前記側部内面にそれぞれ対になって前記基板の長さに対応する高さに複数対設けられ前記側部内面に片持状態で支持される梁部材のうちの少なくとも1対に跨がせて、前記2枚の基板を懸架するステップと、
を具備することを特徴とする基板収納方法。
【請求項15】
側部を有する基板収納容器に基板を収納する基板収納方法であって、
2枚の基板の各上端をテープにより連結するステップと、
前記テープ部分を前記基板の長さに対応する高さに設けられ前記側部内面に片持状態で支持される複数の梁部材のうちの少なくとも1つに跨がせて、前記2枚の基板を懸架するステップと、
を具備することを特徴とする基板収納方法。
【請求項16】
側部を有する基板収納容器に基板を収納する基板収納方法であって、
2枚の基板の各上端をテープにより連結するステップと、
前記テープ部分を梁部材に跨がせて前記2枚の基板を懸架するステップと、
前記2枚の基板が懸架された梁部材を対向する前記側部内面間に架設するステップと、
を具備することを特徴とする基板収納方法。
【請求項17】
前記側部または底部の少なくともいずれかに設けられる案内部により、前記基板毎にそれぞれの周縁部を異なる位置に案内するステップと、
を具備することを特徴とする請求項13から請求項16までのいずれかに記載の基板収納方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2006−36211(P2006−36211A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213897(P2004−213897)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】