説明

基板表面処理装置、基板処理方法および光起電力装置の製造方法

【課題】水平搬送方式の基板表面処理装置において、低濃度薬液の滞留によるエッチング速度の低下を抑えることのできる基板表面処理装置を得ること。
【解決手段】基板表面処理装置1は、基板106の表面処理を行う薬液を収容する薬液槽101と、薬液槽内に回転自在に設けられて基板を搬送する複数の搬送ローラー103と、を有し、基板を搬送しながら薬液で基板を表面処理する基板表面処理装置であって、薬液槽内に配置されるとともに、薬液の通過可能な開口107が形成されて開口を通して薬液の移送を行う薬液移送手段122をさらに有し、薬液移送手段は、隣接する搬送ローラー同士の間に開口が位置するように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板表面を湿式エッチングするための装置、その処理方法およびその所領方法を用いた光起電力装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
結晶シリコン太陽電池の製造工程には、基板表面を薬液処理する、いわゆる湿式エッチング工程がいくつか存在する。主なものは、基板スライス時のダメージを除去するためのダメージエッチ工程、光閉じ込めのための凹凸構造すなわちテクスチャ構造を形成するためのテクスチャエッチ工程、基板表裏に形成されたpn接合のうち、裏面のpn接合を除去するためのpn分離エッチング工程などがある。
【0003】
一般的なエッチングの方法としては、基板ホルダに複数枚の基板を装着し、薬液を満たした薬液槽にホルダごと浸漬して、基板表裏面をエッチング液に接触させる方法がある。基板同士を2mm程度の空隙を設けて、面同士を対向させる配置でホルダに装着し、薬液液面に対して基板面を直交させた状態で浸漬するのが一般的である。以下、この方法を浸漬方式と呼ぶ。
【0004】
浸漬方式では、多数の基板を同時に処理できることが利点であるが、以下に示す課題がある。すなわち、ホルダと接触する基板部分でのエッチングむらが発生する。この部分では薬液の入れ替わりが周囲とは異なるため、その部分のエッチング進行が他の部分と異なりエッチングむらを生ずる。
【0005】
別の課題として、基板上部と下部でのエッチング量の差が挙げられる。シリコン基板をエッチングする際のエッチング液としてNaOHやKOH等のアルカリ水溶液、またはフッ酸硝酸混合液等を使用する場合、反応に応じて気泡が発生する。基板を立てて浸漬すると、基板間の空隙の下部よりも上部のほうの気泡密度が高くなり、エッチング速度が落ちる。このようにして基板上下でエッチングむらが発生する。
【0006】
また、pn分離エッチングでは、裏面のみをエッチングする必要があるが、浸漬方式では、エッチング液は基板表裏に接触するため、表裏ともエッチングされてしまう。これを防止するためには、エッチングを阻止するマスクの表面側への形成が必要となる。
【0007】
以上の課題を解決するために、例えば特許文献1では、薬液を満たした薬液槽の液面近くに略等間隔に基板搬送ローラーを配置し、その上に基板を転がしながら搬送する装置が提案されている。以下、この方式を水平搬送方式と呼ぶ。水平搬送方式は、基板下部が薬液へ接触するよう液面を上昇させているため、表面にはエッチング液が接触しにくい。したがって、pn分離エッチングのように裏面のみをエッチングする必要がある場合に好適である。また水平搬送方式において、液面を基板よりも上部まで上昇させれば、基板表裏ともにエッチングすることが可能である。反応により発生した気泡は、基板上部では液面に向かって浮上し、基板下部では基板搬送ローラーと基板との接触部に導かれて基板外へ排出される。このため、気泡によるエッチングむらは低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−196784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、エッチングに用いられる薬液は、基板と反応することでエッチングに寄与する成分の濃度が低下する。以下、エッチングに寄与する成分の濃度が低下した薬液を低濃度薬液といい、エッチングに寄与する成分が低下する前の薬液を高濃度薬液という。水平搬送方式では、基板搬送ローラーと基板とに囲まれた領域に薬液が滞留しやすく、薬液の入れ替えがなされにくい。そのため、エッチングで生じた低濃度薬液が基板搬送ローラーと基板とに囲まれた基板表面付近の領域に滞留し、エッチングの進行にしたがってエッチング速度が低下していくという問題があった。特に、薬液としてHF/HNO3を用いた場合には、基板との反応により薬液の温度が上昇するため、基板搬送ローラーと基板とに囲まれた基板表面付近の領域に、低濃度薬液が滞留しやすいという問題があった。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、水平搬送方式の基板表面処理装置において、低濃度薬液の滞留によるエッチング速度の低下を抑えることのできる基板表面処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、基板の表面処理を行う薬液を収容する薬液槽と、薬液槽内に回転自在に設けられて基板を搬送する複数の搬送ローラーと、を有し、基板を搬送しながら薬液で基板を表面処理する基板表面処理装置であって、薬液槽内に配置されるとともに、薬液の通過可能な開口が形成されて開口を通して薬液の移送を行う薬液移送手段をさらに有し、薬液移送手段は、隣接する搬送ローラー同士の間に開口が位置するように配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、隣接する搬送ローラー同士の間に位置する開口を通して薬液を移送することで、低濃度薬液と高濃度薬液との入れ替えを促進して、エッチング速度の低下を抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る基板表面処理装置の断面構造を示す模式図である。
【図2】図2は、薬液槽内部の斜視図である。
【図3】図3は、本実施の形態1の変形例に係る薬液移送手段の概略構成を示す斜視図である。
【図4】図4は、光起電力装置である太陽電池用の基板であるp型多結晶シリコン基板の断面図である。
【図5】図5は、光起電力装置の断面図である。
【図6】図6は、光起電力装置の平面図である。
【図7】図7は、光起電力装置の製造工程を説明するためのフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施の形態2に係る基板表面処理装置の薬液槽内部の側面図である。
【図9】図9は、本実施の形態2の変形例1に係る基板表面処理装置の薬液槽内部の側面図である。
【図10】図10は、本実施の形態2の変形例2に係る基板表面処理装置の薬液槽内部の側面図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態3に係る基板表面処理装置の概略構成を示す断面図である。
【図12】図12は、本実施の形態3の変形例に係る基板表面処理装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明にかかる基板表面処理装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る基板表面処理装置1の断面構造を示す模式図である。薬液槽101には薬液102が満たされている。薬液槽エッジ118からあふれた薬液102はオーバーフロー槽108内にこぼれ落ち、こぼれ落ちた薬液102はドレンライン115を経由して、バッファータンク113へ注入される。バッファータンク113内の薬液102は、循環ポンプ114により循環ライン116を経由して再び薬液槽101へ注入される。循環ライン116からの薬液流れが薬液槽101の薬液面に波立ちを発生させないように整流板117が設けられている。
【0016】
薬液槽101の外側と内側に、複数の搬送ローラー103が回転自在に設けられている。搬送ローラー103は、互いの回転軸が平行かつ略水平な直線に並列されて配置されている。搬送ローラー103を回転させることで、搬送ローラー103上の基板106を搬送することができる。基板106が基板搬送方向105に沿って搬送される間に、基板下面が薬液102に接触することで、エッチング処理がなされる。
【0017】
このとき、搬送ローラー103と薬液液面104の位置関係を調整すれば、基板下面のみに薬液102を接触させることができ、基板下面のみのエッチング処理が可能となる。具体的には、基板106が載置されない場合の薬液液面104から、搬送ローラー103が2mmの高さまで突出する位置関係とする。基板106が搬送ローラー103に載置されると、表面張力によって基板下部まで薬液102が持ち上がり、基板下部のみに薬液102を接触させることができる。また、基板106に下向きにかかる表面張力は、基板106を搬送ローラー103に押し付ける力に加算され、基板106と搬送ローラー103の間の摩擦力の増大に繋がり、搬送の駆動力を基板106に伝える力の増大に寄与する。
【0018】
薬液槽101中の搬送ローラー103の間であって基板106に触れない位置に、スリット型の開口107を持つ薬液移送手段122が設置される。薬液移送用ポンプ121の動作により、バッファータンク113に貯められた薬液102が、スリット型の開口107から基板面に向けて噴出され、基板面へ新鮮な薬液102、すなわち高濃度薬液が供給される。
【0019】
図2は、薬液槽内部の斜視図である。図2は、搬送ローラー103上に基板106が載置された状態を示している。薬液移送手段122は、両端のとじられた管状体の側面にスリット型の開口107が設けられて構成されている。薬液移送手段122は、搬送ローラー103上に載置された基板106面に開口107が向くように配置される。
【0020】
薬液移送手段122は、それぞれがパイプで接続されており(図示せず)、薬液移送用ポンプ121に接続されている。薬液移送手段122内の圧力が均一になるように、薬液移送用ポンプ121の出力を調整することで、スリット型の開口107からの薬液噴出し量が一定となり、基板106の下面付近では一様に高濃度薬液が供給される。これにより、基板106の下面付近での薬液濃度の低下を抑えることができ、エッチング速度の低下を抑制することができる。
【0021】
図3は、本実施の形態1の変形例に係る薬液移送手段の概略構成を示す斜視図である。本実施の形態1では、スリット型の開口107から薬液102を噴出させることで、薬液移送手段122の長手方向での薬液噴出量の均一性を上げているが、図3に示すように、単純に薬液移送手段122をこう管状体に複数の小穴型の開口205を配するものでも同様の効果が得られる。ここでは説明のため、液面が基板下面に接する位置にある場合を例示したが、液面が基板より上にあって基板の両面を処理する構成の場合も薬液移送手段の効果は同様に得られる。
【0022】
図1に戻って、薬液槽101を通過した基板106の表面には薬液102が付着しているが、上下に配置されたエアナイフ109から噴出されるエアにより薬液102がふるい落とされて、オーバーフロー槽108内に落ちる。この構造により、付着した薬液102による基板106表面の変質が防止できる。また、リンス槽111への薬液102の持込みを防止することができる。
【0023】
リンス槽111まで到達した基板106は、上下に配置されたリンスシャワーノズル110から噴出されるリンス液112により十分洗浄される。リンス槽111にはリンス液112が周囲に飛散しないよう上部カバーが設けられている。基板106を洗浄したリンス液112は、下部リンス槽で受けられ、槽外へ排出される。リンス工程を経た基板106は、乾燥槽120に運搬され、上下に配された乾燥用エアナイフ119から噴出されるエアにより十分乾燥される。
【0024】
なお、本実施の形態1では、薬液移送手段122のスリット型の開口107や小穴型の開口205から、基板106の下面付近に薬液102を噴出させているが、これとは逆に、スリット型の開口107や小穴型の開口205で基板106の下面付近から薬液102を吸入してバッファータンクへ戻すように構成しても構わない。
【0025】
このように構成した場合には、薬液移送手段122に吸入された分の薬液102を補うために、周囲から新たな薬液102が供給されるので、基板106の下面付近の薬液濃度が低下するのを抑えることができる。また、薬液102を噴出させる構成では、噴出速度が高すぎると、薬液102の液面が波打ち、基板106の搬送が不安定になってしまう場合がある。一方、薬液移送手段で薬液102を吸入させた場合には、薬液槽下部から比較的低い液速度で薬液102が上昇してくるので、薬液102の液面で波立ちが発生しにくくなる。これにより、基板106の搬送が不安定になることを防いで、エッチング速度低下を抑制することができる。
【0026】
次に、上記基板表面処理装置1を用いた光起電力装置の製造方法について説明する。図4は、光起電力装置である太陽電池用の基板であるp型多結晶シリコン基板106aの断面図である。図5は、光起電力装置30の断面図、図6は、光起電力装置30の平面図である。図7は、光起電力装置の製造工程を説明するためのフローチャートである。光起電力装置30は、基板表層に第2導電型の不純物元素を拡散した不純物拡散層であるN層21aを有する第1導電型の半導体基板であるP型の半導体基板21と、半導体基板21の受光面側の面(表面)に形成された反射防止膜22と、半導体基板21の受光面側の面(表面)に形成された受光面側電極23と、半導体基板21の受光面と反対側の面(裏面)に形成された裏面電極24と、を備える。なお、N型の半導体基板にP層を備える構成としてもよい。また、受光面側電極23としては、光起電力装置のグリッド電極23aおよびバス電極23bを含む。図5においては、グリッド電極23aの長手方向に垂直な断面における断面図を示している。
【0027】
まず、p型多結晶シリコン基板106aの一面側の表面に、保護膜として、エッチング耐性を有する膜(耐エッチング性膜)2を形成する(ステップS1)。なお、耐エッチング性膜2は、プラズマCVD法により成膜された膜厚80nmの窒化シリコン膜(以下、SiN膜と称する)である。ここでは、耐エッチング性膜2としてSiN膜を用いたが、耐エッチング性膜2として酸化シリコン膜(SiO、SiO)、酸化窒化シリコン膜(SiON)、アモルファスシリコン膜(а−Si)、ダイアモンドライクカーボン膜等を用いてもよい。
【0028】
また、耐エッチング性膜2の膜厚は、10nm〜500nmとすることが好ましい。耐エッチング性膜2の膜厚が10nm以上であれば、後のステップにおいてp型多結晶シリコン基板106aの耐エッチング性膜2が形成された側の一面に対してエッチングを施す際に耐エッチング性膜が多少削られたとしても確実に耐エッチング性膜として機能する。また、耐エッチング性膜2の膜厚が500nm以下であれば、後のステップで耐エッチング性膜2に対して確実に微細穴加工を施すことができる。
【0029】
次に、耐エッチング性膜2に対して微細穴加工を施す(ステップS2)。具体的には、ブラスト加工処理により耐エッチング性膜2に複数の微細開口3を開ける。このときブラスト加工処理の砥粒としては、アルミナ砥粒を使用する。
【0030】
次に、微細穴加工が施された耐エッチング性膜2をマスクとして、p型多結晶シリコン基板106aの耐エッチング性膜2が形成された側の一面に対してエッチングを施し、テクスチャ窪み4を形成する(ステップS3)。ここで、上記基板表面処理装置1を用いてエッチングを行う。次に、耐エッチング性膜2を除去することで、テクスチャ窪み4を表出させる(ステップS4)。耐エッチング性膜2の除去には、例えばフッ酸水溶液を使用することができる。
【0031】
次に、p型多結晶シリコン基板106aを熱酸化炉へ投入し、オキシ塩化リン(POCl)蒸気の存在下で加熱してp型多結晶シリコン基板106aの表面にリンガラスを形成することで、p型多結晶シリコン基板106a中にリンを拡散させ、p型多結晶シリコン基板106aの表層にN層21aを形成する(ステップS5)。拡散温度は、例えば840℃とされる。
【0032】
次に、フッ酸溶液中でp型多結晶シリコン基板106aのリンガラス層を除去した後、反射防止膜22としてプラズマCVD法によりSiN膜をN層21a上に受光面側電極23の形成領域を除いて形成する(ステップS6)。反射防止膜22の膜厚および屈折率は、光反射を最も抑制する値に設定する。なお、屈折率の異なる2層以上の膜を積層してもよい。また、反射防止膜22は、スパッタリング法など、異なる成膜方法により形成しても良い。
【0033】
次に、基板106の受光面に銀の混入したペーストを櫛形にスクリーン印刷にて印刷し、基板106の裏面にアルミニウムの混入したペーストを全面にスクリーン印刷にて印刷した後、焼成処理を実施して受光面側電極23と裏面電極24とを形成する(ステップS7)。焼成は大気雰囲気中において例えば760℃で実施する。以上のようにして、光起電力装置30が製造される。
【0034】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2に係る基板表面処理装置の薬液槽内部の側面図である。実施の形態1と同様の構成については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。本実施の形態2では、薬液移送手段222の設置位置に特徴がある。図8に示すように、薬液移送手段222の開口207が、搬送ローラー103同士の中央ではなく、いずれか一方の搬送ローラー103側に寄った位置に設置されている。これにより、開口から噴出された薬液が矢印401に示すように流れ、高濃度薬液を基板面へ効率よく供給することができる。これにより、エッチング速度低下を抑制することができる。
【0035】
図9は、本実施の形態2の変形例1に係る基板表面処理装置の薬液槽内部の側面図である。本実施の形態2の変形例1では、隣接する搬送ローラー103同士の間に薬液噴出用の薬液移送手段223と薬液吸入用の薬液移送手段224を備えていることを特徴とする。
【0036】
薬液の噴出によって高濃度薬液を基板106の下面付近に供給しつつ、エッチング能力の低下した低濃度薬液を吸入によって回収できるため、薬液槽の全体のエッチング能力の低下を抑制でき、より効果的なエッチング速度低下の抑制を図ることができる。
【0037】
図10は、本実施の形態2の変形例2に係る基板表面処理装置の薬液槽内部の側面図である。本実施の形態2の変形例2では、薬液移送手段222の開口207から噴出された薬液が搬送ローラー103に衝突するように、薬液移送手段222の位置や開口207の角度を調節していることを特徴とする。基板処理が発熱反応である場合、基板106の搬送過程で、基板106から搬送ローラー103へ熱が伝達され、搬送ローラー103の温度が上昇する。反応速度が温度依存性を持つ場合、搬送ローラー103の温度上昇によって反応速度が変化してしまい、安定したエッチングを行うことが困難になる場合がある。一方、本変形例2のように、薬液移送手段222から噴出された薬液を搬送ローラー103に衝突させることで、搬送ローラー103の表面温度の上昇を抑えることができる。これによりエッチング速度の変動を抑制することができる。
【0038】
実施の形態3.
図11は、本発明の実施の形態3に係る基板表面処理装置の概略構成を示す断面図である。なお、図11では、エッチング工程よりも下流で基板の処理を行うオーバーフロー層やリンス層を省略している。上記実施の形態と同様の構成については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。本実施の形態3では、エッチング速度の低下を検出して、その検出結果に応じて薬液の噴出量を制御することを特徴とする。
【0039】
図11に示すように、本実施の形態3に係る基板表面処理装置11は、濃度計(エッチング速度検出手段)350、および薬液制御手段351を備える。濃度計350は、薬液槽101内に設けられて、薬液の濃度を検出する。なお、濃度計350は、バッファータンク113内や、循環ライン116内に設けられてもよい。薬液制御手段351は、濃度計350の検出結果に応じて、薬液移送用ポンプ121を制御して、薬液移送手段122からの薬液の噴出量を調整する。より具体的には、濃度計350の検出結果により、薬液の濃度が低下したことを検出した場合には、薬液制御手段351は薬液移送手段122からの薬液の噴出量を増加させる。
【0040】
ここで、基板表面処理装置11は、薬液は薬液槽101とバッファータンク113に貯められた薬液を循環させて使用している。この場合、処理枚数の増加とともに薬液全体の濃度が低下し、処理能力も低下していく。エッチング速度の速い薬液の場合、基板面への薬液供給量によりエッチング速度を調整することができる。
【0041】
そこで、本実施の形態3では、薬液の濃度低下、すなわち処理能力の低下に応じて、薬液移送手段122からの薬液の噴出量を増加させることで、エッチング速度の安定化を図り、処理量を一定に維持することができる。
【0042】
図12は、本実施の形態3の変形例に係る基板表面処理装置の平面図である。なお、図12でも、エッチング工程よりも下流において基板の処理を行うオーバーフロー層やリンス層を省略している。
【0043】
本変形例では基板表面処理装置11が複数の処理レーンを有して構成されており、それぞれの処理レーンごとに薬液移送手段122、濃度計350、薬液移送用ポンプ121を備えている。薬液制御手段351は、処理レーンごとに薬液濃度の差、すなわち処理能力に差が見られた場合に、処理レーンごとに薬液移送用ポンプ121を制御して、薬液移送手段122からの薬液噴出量を調節する。これにより、処理レーンごとの処理能力の差を抑制することができる。
【0044】
なお、本実施の形態3では、エッチング速度検出手段として、薬液の濃度を検出する濃度計を例示したが、これに限られない。例えば、エッチング処理がなされたあとの基板面のエッチング量を検出するエッチング量検出手段であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上のように、本発明にかかる基板表面処理装置は、基板の表面処理に有用であり、特に、エッチング処理に適している。
【符号の説明】
【0046】
1,11 基板表面処理装置
2 耐エッチング性膜
3 微細開口
4 テクスチャ窪み
21a N層
22 反射防止膜
23 受光面側電極
24 裏面電極
30 光起電力装置
101 薬液槽
102 薬液
103 搬送ローラー
104 薬液液面
105 基板搬送方向
106 基板
106a p型多結晶シリコン基板
107 開口
108 オーバーフロー槽
109 エアナイフ
110 リンスシャワーノズル
111 リンス槽
112 リンス液
113 バッファータンク
114 循環ポンプ
115 ドレンライン
116 循環ライン
117 整流板
118 薬液槽エッジ
119 乾燥用エアナイフ
120 乾燥槽
121 薬液移送用ポンプ
122 薬液移送手段
205 開口
207 開口
222,223,224 薬液移送手段
350 濃度計
351 薬液制御手段
401 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面処理を行う薬液を収容する薬液槽と、前記薬液槽内に回転自在に設けられて前記基板を搬送する複数の搬送ローラーと、を有し、前記基板を搬送しながら前記薬液で前記基板を表面処理する基板表面処理装置であって、
前記薬液槽内に配置されるとともに、薬液の通過可能な開口が形成されて前記開口を通して薬液の移送を行う薬液移送手段をさらに有し、
前記薬液移送手段は、隣接する前記搬送ローラー同士の間に前記開口が位置するように配置されることを特徴とする基板表面処理装置。
【請求項2】
前記薬液移送手段は、前記開口から薬液を噴出して薬液を移送することを特徴とする請求項1に記載の基板表面処理装置。
【請求項3】
前記薬液移送手段の開口から前記搬送ローラーに向けて薬液が噴出されることを特徴とする請求項2に記載の基板表面処理装置。
【請求項4】
前記薬液移送手段は、前記開口から薬液を吸入して薬液を移送することを特徴とする請求項1に記載の基板表面処理装置。
【請求項5】
隣接する前記搬送ローラー同士の間に複数の前記開口が位置するように複数の前記薬液移送手段が配置され、少なくとも1の開口から前記薬液が噴出され、他の開口から前記薬液が吸入されることを特徴とする請求項1に記載の基板表面処理装置。
【請求項6】
基板の表面処理を行う薬液を収容する薬液槽内に回転自在に設けられた複数の搬送ローラーを回転させて基板を搬送し、
前記薬液槽内に配置される薬液移送手段に形成された開口を通して前記薬液を移送し、
前記薬液移送手段は、隣接する前記搬送ローラー同士の間に前記開口が位置するように配置されることを特徴とする基板処理方法。
【請求項7】
第1導電型の半導体基板の表面に保護膜を形成し、
前記保護膜に開口を形成し、
前記開口が形成された前記保護膜をマスクとして、前記半導体基板における前記保護膜が形成された面に対して、請求項6に記載の基板処理方法によりエッチングを施し、
前記保護膜を除去し、
前記半導体基板の一面側に、第2導電型の不純物元素を拡散して不純物拡散層を形成し、
前記半導体基板の一面側における電極形成領域および前記半導体基板の他面側に電極を形成することを特徴とする光起電力装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−100872(P2011−100872A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254992(P2009−254992)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「新エネルギー技術研究開発 太陽光発電システム未来技術研究開発 未来型超薄型多結晶シリコン太陽電池の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】