説明

基準電圧生成回路及びその起動制御方法

【課題】従来の基準電圧生成回路は、出力電圧が所定の電圧値を超えてしまう期間がある問題があった。
【解決手段】本発明にかかる基準電圧生成回路は、第1の電源Vddと第2の電源Vssとの間に設けられ、出力端子Voに対して出力電圧を出力する電圧生成回路10と、出力端子Voと第1の電源Vddの間に接続され、第1の電源Vddの電圧を出力端子Voに与える起動補助回路12と、出力端子Voの電圧の値に応じて起動補助回路12の動作状態と非動作状態とを切り替える制御回路13と、を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明にかかる基準電圧生成回路及びその起動制御方法は、特に電源電圧よりも低い電圧の基準電圧を生成する基準電圧生成回路及びその起動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微細なプロセスを採用した半導体装置(例えばマイクロコンピュータ)では、微細化に伴いトランジスタ素子耐圧が低下する。一方、半導体装置が搭載される基板上で半導体装置に供給される電源電圧は、半導体装置の使用者の要求から決まる。そのため、外部とのインターフェース機能を担うI/O回路には電源電圧以上の素子耐圧を有するトランジスタ素子を利用し、内部の機能回路は微細なプロセスによって構成することで、外部から供給される電圧に対する耐圧と、機能回路の高速化及び高集積化を実現している。このような場合、微細なプロセスで構成される機能回路には内蔵されるレギュレータから降圧電圧を供給する。このとき、レギュレータの出力電圧の値を設定するために基準電圧生成回路を必要とする場合がある。
【0003】
特許文献1には、出力電圧が設定電圧を上回ることなく、高速に起動を完了することを目的とした基準電圧生成回路が開示されている。特許文献1に記載の基準電圧生成回路100の回路図を図4に示す。図4に示す様に、基準電圧生成回路100は、PMOSトランジスタP1〜P6、NMOSトランジスタN1、N2、抵抗R1、R2、ダイオードD1〜D3を有する。PMOSトランジスタP1〜P6のソース端子は、高電位側電源端子Vddに接続され、電源電圧が供給される。PMOSトランジスタP1、P2、P3、P4のゲート端子は共通接続され、これらPMOSトランジスタはカレントミラーを構成する。PMOSトランジスタP4のドレイン端子は、コンデンサCの一端とPMOSトランジスタP5のゲート端子とPMOSトランジスタP6のゲート端子に接続される。PMOSトランジスタP1のドレイン端子は、NMOSトランジスタN1のドレイン端子に接続されている。なお、PMOSトランジスタP2のゲート端子とドレイン端子は共通に接続されている。PMOSトランジスタP2のドレイン端子は、NMOSトランジスタN2のドレイン端子に接続されている。NMOSトランジスタN1とNMOSトランジスタN2のゲート端子は共通接続され、カレントミラーを構成する。なお、NMOSトランジスタN1のゲート端子とドレイン端子は共通に接続されている。また、NMOSトランジスタN1、N2のゲート端子は、PMOSトランジスタP1、P5のドレイン端子に接続されている。
【0004】
NMOSトランジスタN1のソース端子は、ダイオードD1のアノード端子に接続されており、NMOSトランジスタN2のソース端子は、抵抗素子R1を介してダイオードD2のアノード端子に接続されている。ダイオードD1とダイオードD2の接合面積比は1:Nに設定されている。ダイオードD1とダイオードD2のカソード端子は、低電位側電源端子Vssに接続されて、接地電位が供給されている。PMOSトランジスタP3のドレイン端子は、抵抗素子R2を介してダイオードD3のアノード端子に接続されている。ダイオードD3のカソード端子は低電位側電源端子Vssに接続されている。PMOSトランジスタP3と抵抗R2と間のノードは、出力ノードとなっており、出力端子Voに接続される。PMOSトランジスタP3のソース端子は高電位側電源端子Vddに接続され、ドレイン端子は出力端子Voに接続され、ゲート端子は、PMOSトランジスタP4のドレイン端子に接続される。
【0005】
なお、基準電圧生成回路100では、PMOSトランジスタP4、P5、コンデンサCによってスタートアップ回路111を構成し、PMOSトランジスタP1〜P3、NMOSトランジスタN1、N2、抵抗R1、R2、ダイオードD1〜D3によって電圧生成回路110を構成し、PMOSトランジスタP6によって起動補助回路112を構成する。
【0006】
次に、基準電圧生成回路100の動作について説明する。以下の説明では、基準電圧生成回路において、PMOSトランジスタP1〜P3のゲート長及びゲート幅をそれぞれ同一サイズとし、かつ、NMOSトランジスタN1とN2のゲート長及びゲート幅を同一サイズと設定したものとする。このとき、設定電圧Vrefは(1)式から得られる。
Vref=M・(k・T/q)・lnN+VF(D3) ・・・ (1)
ここで、(1)式における各値は、Mは抵抗比((R2の抵抗値)/(R1の抵抗値))
Nは接合面積比((D2の接合面積)/(D1の接合面積))、qは電子の電荷量、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、VF(D3)はダイオードD3の順方向電圧である。
【0007】
スタートアップ回路111は、電圧生成回路110に対して電源投入後の起動を促す役目を担う。電源投入後、PMOSトランジスタP6のゲート端子はコンデンサCを介して接地されているので、PMOSトランジスタP6は導通状態となる。そのため、出力端子Voの電圧はPMOSトランジスタP6によりプルアップされることで高電位側電源端子Vddの電源電圧に追従し大きくなる。また、電源投入直後では、PMOSトランジスタP5のゲート端子も、コンデンサCを介して接地されることによりPMOSトランジスタP5は導通状態となる。そのため、NMOSトランジスタN1、N2も導通状態となり、速やかに電圧生成回路110に起動がかかる。その後、PMOSトランジスタP2とカレントミラーを構成するPMOSトランジスタP4のドレイン電流によってコンデンサCが充電される。そして、コンデンサCに充電される電荷量が多くなるとPMOSトランジスタP5、P6のゲート端子が電源電圧と同一電位になる。結果としてPMOSトランジスタP5,P6が非導通状態となる。これにより、スタートアップ回路111の非動作状態への移行及びPMOSトランジスタP6によるプルアップの解除が行われる。
【0008】
従って、基準電圧生成回路100は、電圧生成回路110に起動がかかるのを受けてスタートアップ回路111の非動作状態への移行及びプルアップの解除が行われるので、出力電圧Voが設定電圧Vrefを上回ることなく高速に起動することができる。同様の技術が特許文献2、3にも開示されている。
【特許文献1】特開平11−24768号公報
【特許文献2】特開平5−114291号公報
【特許文献3】特開平10−105258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来技術では、低消費電力化のために基準電圧生成回路で消費される電流を削減した場合、MOSトランジスタに付随する容量成分に対する充電を少ない電流で行うことになるため、電圧生成回路110の起動が遅くなる。また、スタートアップ回路111のコンデンサCの充電が完了するまでの時間も長くなる。その結果、電源電圧が設定電圧Vrefに達した後も、スタートアップ回路111及び起動補助回路112によるプルアップの解除が完了していない状態となる。
【0010】
この場合には、電源電圧が設定電圧Vrefを上回った後、コンデンサCが充電されてプルアップが解除されるまでの期間に出力端子Voの電圧が電源電圧Vddにプルアップされたままとなる。従って、従来技術においては、低消費電力化した場合に、出力電圧Voが設定電圧Vrefを上回ってしまう問題が発生する。このような問題が発生した場合の基準電圧生成回路100の動作を示すタイミングチャートを図5に示す。図5に示すように、従来の基準電圧生成回路では、起動開始から時間t0の期間に、出力電圧が電源電圧レベルまで上昇する。このような出力電圧の上昇が生じた場合、出力端子Voに接続される内部回路が破壊される問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、第1の電源と第2の電源との間に設けられ、出力端子に対して出力電圧を出力する電圧生成回路と、前記出力端子と前記第1の電源の間に接続され、前記第1の電源の電圧を前記出力端子に与える起動補助回路と、前記出力端子の電圧の値に応じて前記起動補助回路の動作状態と非動作状態とを切り替える制御回路と、を有する基準電圧生成回路である。
【0012】
本発明の別の態様は、第1の電源と第2の電源との間に設けられ、出力端子に対して出力電圧を出力する電圧生成回路と、前記出力端子と前記第1の電源の間に接続され、前記第1の電源の電圧を前記出力端子に与える起動補助回路と、を有する基準電圧生成回路の起動制御方法であって、前記出力端子の電圧の値に応じて前記起動補助回路の動作状態と非動作状態とを切り替える基準電圧生成回路の起動制御方法である。
【0013】
本発明にかかる基準電圧生成回路は、電圧生成回路が出力する基準電圧の値に応じて、起動補助回路の動作と非動作とを切り替える。そのため、出力ノードの値が設定電圧を超えることなく、起動補助回路による高速な起動が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる基準電圧生成回路によれば、出力電圧が設定電圧を超えることなく、かつ、高速な起動を実現することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。基準電圧生成回路1のブロック図を図1に示す。図1に示すように、基準電圧生成回路1は、電圧生成回路10、スタートアップ回路11、起動補助回路12、制御回路13を有する。
【0016】
電圧生成回路10は、予め設定された設定電圧の電圧値となる基準電圧を出力する。電圧生成回路10は、PMOSトランジスタP1〜P3、NMOSトランジスタN1、N2、抵抗R1、R2、ダイオードD1〜D3を有する。スタートアップ回路11は、電源投入後の電圧生成回路10の動作を補助する。スタートアップ回路11は、PMOSトランジスタP4、P5、コンデンサCを有する。起動補助回路12は、電圧生成回路10の出力ノードから出力される出力電圧の立ち上がりを補助する。起動補助回路12は、PMOSトランジスタP6を有する。制御回路13は、基準電圧の電圧値に基づき起動補助回路12の動作と非動作とを切り替える制御を行う。制御回路13は、PMOSトランジスタP7、P8、NMOSトランジスタN3、N4を有する。
【0017】
まず、電圧生成回路10の素子の接続について説明する。PMOSトランジスタP1〜P3のソース端子は、第1の電源(例えば、電源端子)Vddに接続され、電源電圧が供給される。PMOSトランジスタP1〜P3のゲート端子は、共通に接続されている。また、PMOSトランジスタP2のゲート端子とドレイン端子は共通に接続される。つまり、PMOSトランジスタP1〜P3は、カレントミラーを構成する。NMOSトランジスタN1、N2のゲート端子は共通に接続され、NMOSトランジスタN1のゲート端子とドレイン端子は共通に接続される。つまり、NMOSトランジスタN1、N2はカレントミラーを構成する。
【0018】
NMOSトランジスタN1のドレイン端子は、PMOSトランジスタP1のドレイン端子と接続される。NMOSトランジスタN1のソース端子は、ダイオードD1のアノード端子に接続される。ダイオードD1のカソード端子は、第2の電源(例えば、接地端子)Vssに接続され、接地電圧が供給される。NMOSトランジスタN2のドレイン端子は、PMOSトランジスタP2のドレイン端子と接続される。NMOSトランジスタN2のソース端子は、抵抗R1を介してダイオードD2のアノード端子に接続される。ダイオードD2のカソード端子は、接地端子Vssに接続される。PMOSトランジスタP3のドレイン端子は、抵抗R2を介してダイオードD3のアノード端子に接続される。ダイオードD3のカソード端子は、接地端子Vssに接続される。PMOSトランジスタP3と抵抗R2との接続点は出力ノードであり、出力端子Voに接続される。
【0019】
ここで、電圧生成回路10が出力する基準電圧について説明する。PMOSトランジスタP1〜P3のゲート長及びゲート幅をそれぞれ同一サイズとし、かつ、NMOSトランジスタN1とN2のゲート長及びゲート幅を同一サイズと設定した場合、設定電圧Vrefは(2)式から得られる。電圧生成回路10は、設定電圧Vrefによって示される電圧値を有する出力電圧を後段に接続される回路の基準電圧として出力する。
Vref=M・(k・T/q)・lnN+VF(D3) ・・・ (2)
ここで、(2)式における各値は、Mは抵抗比((R2の抵抗値)/(R1の抵抗値))
Nは接合面積比((D2の接合面積)/(D1の接合面積))、qは電子の電荷量、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、VF(D3)はダイオードD3の順方向電圧である。
【0020】
続いて、電圧生成回路10以外のブロックの素子の接続について説明する。PMOSトランジスタP4のゲート端子は、PMOSトランジスタP2のゲート端子と共通に接続され、PMOSトランジスタP1〜P3とともにカレントミラーを構成する。PMOSトランジスタP4のドレイン端子は、コンデンサCを介して接地端子Vssに接続される。PMOSトランジスタP5のソース端子は電源端子Vddに接続され、ゲート端子はPMOSトランジスタP4のドレイン端子に接続され、ドレイン端子はNMOSトランジスタN1のドレイン端子に接続される。PMOSトランジスタP5は、コンデンサCに蓄積される電荷量(あるいは、PMOSトランジスタP4のドレイン端子の電圧)に応じて導通状態となる。そして、PMOSトランジスタP5が導通している期間は、NMOSトランジスタN1のドレイン端子に電源端子Vddから電流が供給される。
【0021】
起動補助回路12のPMOSトランジスタP6は、ソース端子が電源端子Vddに接続され、ドレイン端子が出力端子Voに接続され、ゲート端子が制御回路の出力ノード(図中のノードB)に接続される。PMOSトランジスタP6は、ノードBがロウレベル(例えば接地電圧)である場合に導通状態となり、出力ノードに電源電圧を与える。一方、ノードBがハイレベル(例えば、電源電圧)である場合には非導通状態となる。
【0022】
制御回路13は、出力端子Voの電圧を監視する第1のトランジスタ(NMOSトランジスタN3)を有する。本実施の形態では、出力端子Voの電圧と予め設定される切り替え電圧(例えば、NMOSトランジスタN3の閾値)とを比較し、出力端子Voの電圧がNMOSトランジスタN3の閾値電圧よりも低ければノードBの値をロウレベルとし、高ければノードBの値をハイレベルとする。このノードBを介して出力される信号は、起動補助回路12に対する制御信号となる。この切り替え電圧は、設定電圧よりも低い値とすることが好ましい。
【0023】
NMOSトランジスタN3は、ソース端子が接地端子Vssに接続され、ゲート端子が電圧生成回路10の出力ノード(あるいは出力端子Vo)に接続され、ドレイン端子がPMOSトランジスタP7のドレイン端子に接続される。PMOSトランジスタP7は、ソース端子が電源端子Vddに接続され、ゲート端子がPMOSトランジスタP2のゲート端子と接続される。つまり、PMOSトランジスタP7は、PMOSトランジスタP1〜P3とともにカレントミラーを構成する。つまり、PMOSトランジスタP7は、NMOSトランジスタN3に対する電流源として動作する。また、PMOSトランジスタP7とNMOSトランジスタN3との接続点は、出力端子Voの電圧の検出結果が現れるノードであり以下ではノードAと称す。
【0024】
NMOSトランジスタN4とPMOSトランジスタP8は、電源端子Vddと接地端子Vssとの間に設けられるインバータを構成する。NMOSトランジスタN4のゲート端子とPMOSトランジスタP8のゲート端子とは、ともにノードAに接続される。また、NMOSトランジスタN4のドレイン端子とPMOSトランジスタP8のドレイン端子との接続点は、制御回路13の出力ノード(ノードB)となる。
【0025】
次に、基準電圧生成回路1の電源投入時における動作を示すタイミングチャートを図2に示す。この図2を参照して基準電圧生成回路1の動作について説明する。まず、電源が投入され、電源電圧が上昇すると、PMOSトランジスタP1〜P4が動作する。これに応じて、PMOSトランジスタP4はコンデンサCに充電を行う。このとき、コンデンサCが十分に充電されない期間は、PMOSトランジスタP5のゲート端子の電圧(あるいはコンデンサCとPMOSトランジスタP4の間のノードの電圧)は低いため、PMOSトランジスタP5は導通状態となる。これにより、スタートアップ回路11は、PMOSトランジスタP5を介して、電圧生成回路10のNMOSトランジスタN1に電流を供給し、電圧生成回路10の起動を補助する。
【0026】
一方、制御回路13では、電圧生成回路10の出力ノードの電圧(以下、出力電圧と称す)が低いため、NMOSトランジスタN3は非導通状態となる。これに対して、PMOSトランジスタP7は、PMOSトランジスタP1〜P3とともに動作し、ノードAに電流を流す。これにより、ノードAの電圧は上昇し、この電圧をPMOSトランジスタP8及びNMOSトランジスタN4によるインバータで反転することでノードB(制御信号)の電圧はロウレベルとなる。ノードB(制御信号)の電圧がロウレベルである場合、PMOSトランジスタP6は導通状態となるため、電圧生成回路10の出力電圧は、電源電圧とともに上昇することになる。
【0027】
そして、出力電圧がNMOSトランジスタN3の閾値に達すると、NMOSトランジスタN3は導通状態となり、ノードAの電圧を引き下げる。そのため、ノードAの電圧はロウレベルとなり、この電圧をPMOSトランジスタP8及びNMOSトランジスタN4によるインバータで反転することでノードB(制御信号)の電圧はハイレベルとなる。このノードBの電圧の変化に基づき、PMOSトランジスタP6は非導通状態となる。そのため、出力電圧は、NMOSトランジスタN3の閾値電圧に達した以降は、電圧生成回路10の動作に応じて設定電圧Vrefまで立ち上がる。なお、スタートアップ回路11のPMOSトランジスタP5は、コンデンサCへの充電が十分に行われ、PMOSトランジスタP4のドレイン端子の電圧が上昇すると非導通状態となる。
【0028】
つまり、基準電圧生成回路1は、出力電圧が切り替え電圧(本実施の形態では、NMOSトランジスタN3の閾値電圧)以下である場合に、PMOSトランジスタP6を導通状態とし、出力電圧を高速に上昇させる(図2の期間t1)。そして、出力電圧が切り替え電圧に達した以降は、電圧生成回路10の動作に基づき出力電圧を上昇させ、出力電圧を設定電圧とする。
【0029】
上記説明より、本実施の形態にかかる基準電圧生成回路1は、制御回路により出力電圧が低い期間はPMOSトランジスタP6による出力電圧の高速立ち上げを行う。また、出力電圧が切り替え電圧に達した以降は、電圧生成回路10の動作により出力電圧を設定電圧とする。これにより、基準電圧生成回路1が出力する出力電圧は、設定電圧を超えることなく、かつ、高速な出力電圧の立ち上がりを実現することができる。
【0030】
また、本実施の形態にかかる基準電圧生成回路1は、出力電圧が設定電圧を超えることがないため、後段に接続される回路に過大な電圧が印加されることを防止することができる。これにより、後段に接続される回路を耐圧の低い素子によって構成することができ、後段回路を微細化することが可能になる。
【0031】
さらに、本実施の形態では、スタートアップ回路11の動作によらずPMOSトランジスタP6によるプルアップ状態を解除することができる。つまり、スタートアップ回路11のコンデンサCへの充電電流を小さくした場合であっても、プルアップ状態の解除が高速に行われる。これにより、基準電圧生成回路1は、出力電圧の過電圧状態を防止しながら、電圧生成回路10及びスタートアップ回路11を低消費電力で設計することが可能になる。
【0032】
実施の形態2
実施の形態2にかかる基準電圧生成回路2の回路図を図3に示す。図3に示すように、基準電圧生成回路2は、制御回路13にPMOSトランジスタP9を追加した制御回路14を有する。制御回路13では、基準電圧生成回路1の出力電圧が設定電圧に達した状態で、NMOSトランジスタN3が導通状態であり、かつ、PMOSトランジスタP7が導通状態である。そのため、制御回路13では、基準電圧生成回路1の出力電圧が設定電圧に達した状態で、PMOSトランジスタP7及びNMOSトランジスタN3を介して電源端子Vddから接地端子Vssに貫通電流が流れる。PMOSトランジスタP9は、この貫通電流を防止する。
【0033】
PMOSトランジスタP9は、ソース端子がPMOSトランジスタP7のドレイン端子に接続され、ドレイン端子がNMOSトランジスタN3のドレイン端子に接続され、ゲートがPMOSトランジスタP4のドレイン端子に接続される。つまり、PMOSトランジスタP9は、PMOSトランジスタP5と同様に、スタートアップ回路11が動作する期間には、ゲート端子にPMOSトランジスタP9が導通する電圧が与えられ、スタートアップ回路11の非動作状態への移行とともに非導通状態となる。これにより、電源投入後であって、スタートアップ回路11が動作している期間においては、制御回路14は、制御回路13と同様に動作する。一方、スタートアップ回路11が非動作状態となった以降は、PMOSトランジスタP9により、PMOSトランジスタP7及びNMOSトランジスタN3を介して電源端子Vddから接地端子Vssに流れていた貫通電流は遮断される。
【0034】
上記説明より、実施の形態2にかかる基準電圧生成回路2は、実施の形態1にかかる基準電圧生成回路1において流れていた貫通電流を防止する。これにより、基準電圧生成回路2は、基準電圧生成回路1よりも消費電力を低減することが可能である。
【0035】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記のスタートアップ回路及び電圧生成回路の回路構成は、一例であり、システムに応じて適宜変更することが可能である。例えば、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタの極性を入れ替えた構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施の形態1にかかる基準電圧生成回路の回路図である。
【図2】実施の形態1にかかる基準電圧生成回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図3】実施の形態2にかかる基準電圧生成回路の回路図である。
【図4】従来の基準電圧生成回路の回路図である。
【図5】従来の基準電圧生成回路における課題を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0037】
1、2 基準電圧生成回路
10 電圧生成回路
11 スタートアップ回路
12 起動補助回路
13、14 制御回路
P1〜P9 PMOSトランジスタ
N1〜N4 NMOSトランジスタ
R1、R2 抵抗
D1〜D3 ダイオード
C コンデンサ
Vdd 電源端子
Vss 接地端子
Vo 出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源と第2の電源との間に設けられ、出力端子に対して出力電圧を出力する電圧生成回路と、
前記出力端子と前記第1の電源の間に接続され、前記第1の電源の電圧を前記出力端子に与える起動補助回路と、
前記出力端子の電圧の値に応じて前記起動補助回路の動作状態と非動作状態とを切り替える制御回路と、
を有する基準電圧生成回路。
【請求項2】
前記制御回路は、前記出力端子の電圧が予め設定された切り替え電圧値以下である場合に前記起動補助回路を動作状態とする請求項1に記載の基準電圧生成回路。
【請求項3】
前記制御回路は、前記出力電圧の電圧値をモニタする第1のトランジスタを有し、前記第1のトランジスタの閾値に基づき前記起動補助回路の動作状態と非動作状態とを切り替える請求項1に記載の基準電圧生成回路。
【請求項4】
前記第1のトランジスタは、ソースが前記第2の電源に接続され、ドレインが電流源を介して前記第1の電源に接続され、ゲートが前記出力端子に接続され、
前記制御回路は、前記第1のトランジスタのドレインの電圧に応じて前記起動補助回路を制御する制御信号を出力する請求項3に記載の基準電圧生成回路。
【請求項5】
前記基準電圧生成回路は、前記第1の電源の立ち上がり時に動作し、前記電圧生成回路の動作を補助するスタートアップ回路を有し、前記制御回路は、前記第1の電源と前記第1のトランジスタとの間に設けられ、前記スタートアップ回路の非動作状態へ移行したことに応じて前記第1の電源から前記第1のトランジスタを介して前記第2の電源に流れる電流を遮断する第2のトランジスタを有する請求項3に記載の基準電圧生成回路。
【請求項6】
前記電圧生成回路は、半導体のバンドギャップ電圧に基づき前記出力電圧を生成するバンドギャップ電圧源である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基準電圧生成回路。
【請求項7】
第1の電源と第2の電源との間に設けられ、出力端子に対して出力電圧を出力する電圧生成回路と、前記出力端子と前記第1の電源の間に接続され、前記第1の電源の電圧を前記出力端子に与える起動補助回路と、を有する基準電圧生成回路の起動制御方法であって、
前記出力端子の電圧の値に応じて前記起動補助回路の動作状態と非動作状態とを切り替える基準電圧生成回路の起動制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−176237(P2009−176237A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16572(P2008−16572)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】