塗工方法および塗工装置並びに粘着テープ
【課題】粘着剤に含まれる分散物の分布を均一に保ちながら基材に塗工することのできる塗工方法および塗工装置並びに粘着テープを提供する。
【解決手段】上下一対のコーティングロール1とバックロール2のうち、バックロール4側に複数個の孔の形成された撹拌板7を近接するよう対向配備する。両ロール1,2の回転に伴って発生する粘着剤sの自然循環を妨げることなく、撹拌板7の孔に粘着剤sを通過させつつ、両ロール1,2の間隙に粘着剤sを供給しながら支持体4に塗工する。
【解決手段】上下一対のコーティングロール1とバックロール2のうち、バックロール4側に複数個の孔の形成された撹拌板7を近接するよう対向配備する。両ロール1,2の回転に伴って発生する粘着剤sの自然循環を妨げることなく、撹拌板7の孔に粘着剤sを通過させつつ、両ロール1,2の間隙に粘着剤sを供給しながら支持体4に塗工する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基材に塗工液として例えば粘着剤を供給塗工する塗工方法および塗工装置並びに粘着テープに係り、特に、不溶性の粒子を含んだ粘着剤を基材に均一に塗工する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
塗工手段としては、紙やプラスチック製フィルム等の長尺状の基材に塗工液を塗工するロールを用いたダイレクト方式やリバース方式などが知られている。また、塗工液を着色するために不溶性の顔料や染料を分散させたり、または、フィラーとして不溶性の無機物や有機物の粒子を分散させたりしている。
【0003】
しかしながら、これら塗工液を前記方式で基材に塗工する場合、液溜め部内において、ロールの回転に伴って塗工液が滞留や流動するので分散物がかたよってしまう。その結果、分散物が不均一な状態で基材に塗工され、顔料の不均一による色ムラやフィラーの不均一による物性のバラツキによる不良が発生するといった問題があった。
【0004】
これら問題を解消するために、図9に示すように、コンマロール30とコータロール31に対向するよう液溜め部3内にロール状の回転体32を配備し、モータなどの駆動源33を介して回転させることにより粘着剤sを強制的に循環させ、粘着剤sを攪拌して分散物の分布を均一にしている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2000−225370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来の手段では、次のような問題ある。
上記手段によって、不溶性かつ比重の異なる粉体が塗工液に分散されている場合、液溜め部内で積極的に生じさせられる循環流によって比重の異なる分散物が分離や沈殿し、結果として顔料の色ムラやフィラーの分散が不均一となり、品質不良を解消することができないといった問題がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、塗工液である粘着剤に含まれる分散物の分布を均一に保ちながら基材に塗工することのできる塗工方法および塗工装置並びに粘着テープを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記目的を達成するために次のような構成をとる。
第1の発明は、液溜め部に貯留した粘着剤を、上下に対向配備したロール間に形成された間隙から送り出して各ロールの少なくともいずれか一方に巻回されて走行する基材に塗工してゆくロールコート方式の塗工方法において、
前記ロールに対向するよう液溜め部内に配備された複数個の孔が形成された撹拌部材を介して前記両ロール間に粘着剤を供給させながら前記基材に粘着剤を塗工する
ことを特徴とする。
【0008】
(作用・効果) 上記方法によれば、一対のロールが回転することにより液溜め部内で粘着剤の循環流が生じる。循環流に乗って粘着剤がロール間に引き込まれるとき、ロールに対向配備された撹拌部材の孔を通過する。このとき、孔を通過する粘着剤の流速が増し攪拌部材とロール間で撹拌作用が生じる。すなわち、攪拌作用によって単位流量当たりに含まれる分散物の含有量が均一化される。また、撹拌部材によって分散物が液溜め部の底部に沈殿するのを抑制することができる。
【0009】
したがって、顔料、染料またはフィラーなどの分散物が均一に分布した粘着剤を基材に塗工できるので、色ムラがなく、または物性の安定した高品位な粘着テープを製造することができる。
【0010】
第2の発明は、液溜め部に貯留された粘着剤を基材に塗工する塗工装置において、
前記液溜め部に臨設されるとともに一方に基材を巻回して対向配備された上下一対のロールと、
前液溜め部内で、かつ、前記ロールのうち少なくとも下側のロールに対向する複数個の孔が形成された撹拌部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
(作用・効果) この構成によれば、液溜め部内に配備された撹拌部材を通過する粘着剤を撹拌させる。また、粘着剤に含まれる分散物の沈殿が撹拌部材により抑制される。すなわち、第1の方法発明を好適に実現することができる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、
前記液溜め部の液面下に出口を位置させて配備された粘着剤補給管と、
前記粘着剤補給管に粘着剤を圧送する粘着剤補給手段と、
前記液溜め部に貯留する粘着剤の液面が前記撹拌部材よりも高くなるように前記粘着剤補給手段を作動制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
(作用・効果) この構成によれば、粘着剤補給手段から供給される液溜め部内での粘着剤の液面高さを撹拌部材よりも高く維持するよう構成されているので、撹拌部材に粘着剤が付着して乾燥することがない。したがって、粘着剤の固形物が液中に混入して品質不良を起こすことがない。
【0014】
第4の発明は、第2または第3の発明において、
前記撹拌部材に形成された孔の直径は、3〜15mmであり、かつ、その開口率が30〜80%であることを特徴とする。
【0015】
(作用・効果) この構成によれば、粘着剤の循環流を妨げることなく孔に効率よく通過させる。つまり、粘着剤の撹拌効率を低下させない。その結果、粘着剤に含まれる分散物を均一に分布させることができる。
【0016】
第5の発明は、第1の方法発明である塗工方法によって粘着テープを製造したことを特徴とする。
【0017】
(作用・効果) この発明によれば、分散物が均一な状態の粘着剤が基材に塗工されている。したがって、色ムラがなく、または物性の安定した粘着剤となる。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係る塗工方法および塗工装置によれば、ローラと対向するように液溜め部内に複数個の孔の形成された撹拌部材を配備することにより、当該撹拌部材を通過する粘着剤の流速を増し、撹拌部材とロール間で粘着剤を撹拌させる。したがって、分散物の分布が均一な粘着剤を基材に塗工することができる高品位な粘着テープを製造できる。また、撹拌部材により、粘着剤に含まれる分散物が液溜め部の底部に沈殿するのを抑制することもできる。
【実施例1】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
【0020】
図1および図2に、この発明に係る塗工装置の概略構成が示されている。この塗工装置は、ロールコート方式であって、所定間隔をおいて上下に対向配備したコーティングロール1とバックロール2および液溜め部3から構成されている。
【0021】
コーティングロール1は、粘着剤sの転写量を制御する。バックロール2は、例えば帯状で可撓性を有する支持体4を巻回し、コーティングロール1とによって形成された間隙によって粘着剤sの転写量を制御する。
【0022】
液溜め部3は、粘着剤sを溜めるための液溜板5、および塗工幅を調整する一対の側板6とから構成されている。
【0023】
液溜め部内には、バックロール2に対向するよう撹拌板7が近接配備されている。撹拌板7は、図2から4に示すように、その表面に複数個の孔8が形成されているとともに、バックロール2の曲率に沿って屈折している。
【0024】
本実施例装置の孔8は円形であり、その直径は使用する粘着剤sによもよるが、3〜15mmの範囲に設定されており、好ましくは5〜12mmの範囲に設定される。また、このサイズおよび形状の孔8によって、撹拌板7の開口率を30〜80%、さらに好ましくは40〜70%となるように設定する。この構成により、液溜め部3に貯留した粘着剤sが、両ロール1,2の回転に伴って循環するのを妨げることなく、スムーズに粘着剤を孔8に通過させつつ、粘着剤sの流速を上げる。
【0025】
したがって、顔料や染料またはフィラーなどの分散物が含まれている粘着剤sであっても、バックロール2の回転に伴ってロール面に沿って両ロール1,2間に引き込まれる粘着剤sは、その引込み流と撹拌版7を通過する流速の早い流れとのによりバックロール2と撹拌板7の間で撹拌される。すなわち、撹拌作用により分散物を粘着剤s中で均一に分布させた状態で支持体4に粘着剤sが塗工されるよう構成されている。
【0026】
また、図4に示すように、撹拌板7の屈折角度θは、150〜170°に設定するのが好ましく、かつ、コーティングロール1やバックロール2との距離が5〜50mmの範囲に設定することが好ましい。この距離が50mmを超えると、両ロール1,2と撹拌板7との間で循環渦が生じる。この循環渦によって分散物が遠心分離されされて偏在してしまう。また、この距離が5mm未満になると、両ロール1,2と撹拌板7との間で作用する剪断力が大きくなり、粘着剤sの温度が上昇して物性を変化させてしまう。
【0027】
なお、撹拌板7の材料としては、粘着剤sによって変質しない材料が好ましく、例えば、ステンレス鋼が使用される。その厚みは、粘着剤sの循環を妨げず、かつ、撹拌作用を低下させない厚みに設定される。この実施例の場合、厚みは1〜3mmに設定されている。
【実施例2】
【0028】
この実施例では、図5に示すように、所定間隔をおいて上下一対のラミネートロール10,11を配備し、両ラミネートロール10,11のそれぞれに帯状のセパレータ12a,12bを巻回きし、両間隙に粘着剤sを供給しながら転写する以外は、上記実施例1と同じ構成である。
【0029】
次に、上記実施例1および2の装置と、両装置から撹拌板7を省いた従来装置を利用して粘着テープまたは両面粘着テープを製造実験した比較結果を示す。
【0030】
先ず、実施例1の装置による粘着テープの製造条件は、次の通りである。つまり、BA/BB=95部/5部でトルエンにベース30%で重合したアクリル系粘着剤に、コロネートLを3部、カーボンブラックを0.01部混入して着色した粘着剤塗工液を用いた。また、実施例1の装置において、裏面に剥離処理を施した厚み38μmのPET基材上に厚み100μmのWETを塗工する。
【0031】
塗工後に熱風式のオーブンにて120℃で2分間の乾燥処理を施し、巻き取り回収することで黒色の粘着テープを製造した。
【0032】
これに対して、上記実施例1の装置と同じ条件で、撹拌板7を備えない比較例装置で黒色の粘着テープを製造した。
【0033】
上記両製造実験の結果、実施例1の装置で製造した粘着テープは、その表面は均一な黒色であった。つまり、カーボンブラックが粘着剤中に均一に分散していたことが確認できた。これに対して、比較例装置で製造した粘着テープTは、図6に示すように、その表面に薄灰色の斑模様が発生していた。すなわち、カーボンブラックが偏在して不均一となっていることが確認された。
【0034】
次に、実施例2の装置による両面粘着テープの製造条件は、次の通りである。つまり、2EHAを90重量部、AAを10重量部、光開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンを0.1重量部撹拌式タンクに投入し、この攪拌式タンク内に光ファイバー式の紫外線装置を利用して紫外線を照射し、粘度を略30Pa・sに増粘する。その後、当該液100重量部に対して、光重合開始剤である2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンを0.3重量部、架橋剤であるヘキサンジオールジアクリレートを0.2重量部を混入して攪拌する。さらに、ガラスバルーン(東海工業株式会社)を10重量部混合した後、カーボンブラックを0.01部混合して着色した粘着剤塗工液を用いた。
【0035】
この粘着剤を図5に示す実施例2の装置に供給し、上下の支持体としては、非粘着性処理を施した厚み50μmの透明なPETのセパレータを使用し、ラミネート後の粘着剤の厚みが1mmとなるように、ラミネートロール10,11の間隙を調整した。また、セパレータの繰り出し速度を約5m/minとし、紫外線照射装置では、高圧水銀ランプを用いて最大照度約300mW/cm2、積算光量4000mJ/cm2で紫外線を粘着テープに照射して粘着剤の硬化処理をした。その後、巻き取り回収することで黒色の両面粘着テープを製造した。
【0036】
これに対して、上記実施例2の装置と同じ条件で、撹拌板7を備えない比較例装置で黒色の両面粘着テープを製造した(比較例1)。
【0037】
また、上記実施例2の装置と同じ条件で、孔8の形成されていない平板状の撹拌板7を用いて黒色の両面粘着テープを製造した(比較例2)。
【0038】
上記各製造実験の結果、実施例2の装置で製造した両面粘着テープは、その表裏面共に均一な黒色であった。つまり、カーボンブラックが粘着剤中に均一に分散していたことが確認できた。これに対して、比較例1および2の装置で製造した両面粘着テープは、図6に示すのと同様に、その表裏面に薄灰色の斑模様が発生していた。すなわち、カーボンブラックが偏在して不均一になっていることが確認された。さらに、比較例3の装置では、液溜め部3の底部にカーボンブラックが沈殿しているのが確認できた。つまり、比重の重いカーボンブラックが、液溜め部内で均一に撹拌されておらず、偏在していることが確認できた。
【0039】
以上のように、この実施例装置によれば、複数個の孔8の形成された撹拌板7を、コーティングロール1、バックロール2、またはラミネートロール11に対向するように近接配備することにより、孔8を通過する粘着剤sの流速を増してロール2または11と撹拌板7との間で粘着剤sを撹拌し、含まれる分散物を均一に分布させることができる。
【0040】
また、撹拌板7の撹拌作用により液溜め部3の底部に分散物が沈殿するのを回避することができる。
【0041】
本発明は上述した実施例のものに限らず、次のように変形実施することもできる。
【0042】
(1)上記各実施例では、撹拌板7をバックロール2または下方のラミネートロール11に対向させ、かつ、屈折形状であったが、両撹拌板7ともに上方のコーティングロール1またはラミネートロール10とにわたって対向配備してもよい。また、撹拌板7の形状として、図7に示すように、屈折形状ではなくバックロール2やコーティングロール11などのロールの曲率に合せて対向するよう湾曲形状にしてもよい。
【0043】
撹拌板7を当該湾曲形状にすることにより、バックロール1またはコーティングロール11の表面と撹拌板7の対向面までの距離を同じに保つことができるので、当該間隙での循環流の乱れを回避することができる。
【0044】
(2)図8に示すように、液溜め部3に上板15を備え、かつ、上板15の先端部分からラミネートロール10に臨設するように片持ち支持されたブレート16を備えるように構成する。つまり、液溜め部3を閉塞する。また、上板15とブレード16に接触するよう粘着剤sを液溜め部3に充填する。換言すれば、撹拌板7が、粘着剤sに常に浸漬している状態を維持する。
【0045】
なお、ブレート16は、可撓性を有するものであって、その先端がテーパー状に略先鋭に加工が施されてものが好ましく、樹脂性のもが使用される。また、ブレード16は、上板15に取り付け固定されているネジ17を緩めることでラミネートロール10に対して前後方向にスライド移動調整が可能となっている。
【0046】
ブレード16の先端をラミネートロール10に接触させて液溜め部3を略密閉となるようにするとともに、粘着剤s内に撹拌板7を浸漬させておくことにより、ラミネートロール10,11の回転に伴って液面側からの空気の巻き込みよって発生する大きい数百〜数千μm径レベルの気泡の発生を抑制することができる。その結果、セパレータ12a,12b間にラミネート塗工された粘着剤sに紫外線照射して光重合により硬化処理を施して粘着テープを製造しても、その粘着層に気泡の混入による貫通孔の発生を抑制でき、外観不良がなく、かつ、高品質の粘着テープを製造することができる。
【0047】
また、撹拌板7に付着した粘着剤sが乾燥し、異物として粘着剤sに混入するのを防止できる。
【0048】
なお、ブレード16の取り付けは、次のように構成してもよい。つまり、ブレード16の幅方向に所定間隔で圧力センサを配備し、この圧力センサにより検出された結果に基づいて、ブレード16をシリンダなどの駆動装置でスライド移動させ、ラミネートロール10の幅方向に対してブレード16の先端が常に均一な圧力で接触するように調節する構成としてもよい。
【0049】
(3)上記各実施例および変形例装置において、液溜め部3の液面が撹拌板7の高さをよりも高く位置し続けるよう、粘着剤sを液溜め部3に供給し続けるように構成することが好ましい。この構成として、例えば実施例1の装置を例にとって説明すると、次にように構成することができる。
【0050】
粘着剤タンク18に貯留された粘着剤sを補給ポンプ19によって液溜め部3に圧送する。補給ポンプ19には、制御装置20に接続されたモータ駆動型あるいは電磁駆動型のものが利用され、その吐出量を任意に調節制御可能となっている。また、制御装置20には操作部21が接続されており、セパレータ12a,12bの送り速度、支持体幅、塗工厚さなどの稼働条件を入力することで塗工量が演算され、その消費量と同量の粘着剤補給が行われるように構成する。これら設定によって液溜め部3における液面の高さが撹拌板7の高さより高い位置を維持するように粘着剤sを安定供給することができる。
【0051】
この構成によれば、撹拌板7に付着した粘着剤sが乾燥することがない。すなわち、粘着剤sの乾燥した異物が塗工液に混入し、塗工不良となるのを回避することができる。
【0052】
(4)上記各実施例において、撹拌板7に代えて金属線を格子状にした物で構成してもよい。この場合の開口率の調整は、複数個の金属格子を多重に重ね合わせて調整する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施例1に係る塗工装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る塗工装置のロールコータの概略構成を示す斜視図である。
【図3】撹拌板の平面図である。
【図4】撹拌板の側面図である。
【図5】本発明の実施例2に係る塗工装置の概略構成を示す側面図である。
【図6】比較例装置で製造した粘着テープの表面状態を示した図である。
【図7】変形例装置の撹拌板の斜視図である。
【図8】変形例装置の概略構成を示す側面図である。
【図9】従来装置の概略構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 … コーティングロール
2 … バックロール
3 … 液溜め部
4 … 支持体
7 … 撹拌板
s … 粘着剤
【技術分野】
【0001】
この発明は、基材に塗工液として例えば粘着剤を供給塗工する塗工方法および塗工装置並びに粘着テープに係り、特に、不溶性の粒子を含んだ粘着剤を基材に均一に塗工する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
塗工手段としては、紙やプラスチック製フィルム等の長尺状の基材に塗工液を塗工するロールを用いたダイレクト方式やリバース方式などが知られている。また、塗工液を着色するために不溶性の顔料や染料を分散させたり、または、フィラーとして不溶性の無機物や有機物の粒子を分散させたりしている。
【0003】
しかしながら、これら塗工液を前記方式で基材に塗工する場合、液溜め部内において、ロールの回転に伴って塗工液が滞留や流動するので分散物がかたよってしまう。その結果、分散物が不均一な状態で基材に塗工され、顔料の不均一による色ムラやフィラーの不均一による物性のバラツキによる不良が発生するといった問題があった。
【0004】
これら問題を解消するために、図9に示すように、コンマロール30とコータロール31に対向するよう液溜め部3内にロール状の回転体32を配備し、モータなどの駆動源33を介して回転させることにより粘着剤sを強制的に循環させ、粘着剤sを攪拌して分散物の分布を均一にしている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2000−225370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来の手段では、次のような問題ある。
上記手段によって、不溶性かつ比重の異なる粉体が塗工液に分散されている場合、液溜め部内で積極的に生じさせられる循環流によって比重の異なる分散物が分離や沈殿し、結果として顔料の色ムラやフィラーの分散が不均一となり、品質不良を解消することができないといった問題がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、塗工液である粘着剤に含まれる分散物の分布を均一に保ちながら基材に塗工することのできる塗工方法および塗工装置並びに粘着テープを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記目的を達成するために次のような構成をとる。
第1の発明は、液溜め部に貯留した粘着剤を、上下に対向配備したロール間に形成された間隙から送り出して各ロールの少なくともいずれか一方に巻回されて走行する基材に塗工してゆくロールコート方式の塗工方法において、
前記ロールに対向するよう液溜め部内に配備された複数個の孔が形成された撹拌部材を介して前記両ロール間に粘着剤を供給させながら前記基材に粘着剤を塗工する
ことを特徴とする。
【0008】
(作用・効果) 上記方法によれば、一対のロールが回転することにより液溜め部内で粘着剤の循環流が生じる。循環流に乗って粘着剤がロール間に引き込まれるとき、ロールに対向配備された撹拌部材の孔を通過する。このとき、孔を通過する粘着剤の流速が増し攪拌部材とロール間で撹拌作用が生じる。すなわち、攪拌作用によって単位流量当たりに含まれる分散物の含有量が均一化される。また、撹拌部材によって分散物が液溜め部の底部に沈殿するのを抑制することができる。
【0009】
したがって、顔料、染料またはフィラーなどの分散物が均一に分布した粘着剤を基材に塗工できるので、色ムラがなく、または物性の安定した高品位な粘着テープを製造することができる。
【0010】
第2の発明は、液溜め部に貯留された粘着剤を基材に塗工する塗工装置において、
前記液溜め部に臨設されるとともに一方に基材を巻回して対向配備された上下一対のロールと、
前液溜め部内で、かつ、前記ロールのうち少なくとも下側のロールに対向する複数個の孔が形成された撹拌部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
(作用・効果) この構成によれば、液溜め部内に配備された撹拌部材を通過する粘着剤を撹拌させる。また、粘着剤に含まれる分散物の沈殿が撹拌部材により抑制される。すなわち、第1の方法発明を好適に実現することができる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、
前記液溜め部の液面下に出口を位置させて配備された粘着剤補給管と、
前記粘着剤補給管に粘着剤を圧送する粘着剤補給手段と、
前記液溜め部に貯留する粘着剤の液面が前記撹拌部材よりも高くなるように前記粘着剤補給手段を作動制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
(作用・効果) この構成によれば、粘着剤補給手段から供給される液溜め部内での粘着剤の液面高さを撹拌部材よりも高く維持するよう構成されているので、撹拌部材に粘着剤が付着して乾燥することがない。したがって、粘着剤の固形物が液中に混入して品質不良を起こすことがない。
【0014】
第4の発明は、第2または第3の発明において、
前記撹拌部材に形成された孔の直径は、3〜15mmであり、かつ、その開口率が30〜80%であることを特徴とする。
【0015】
(作用・効果) この構成によれば、粘着剤の循環流を妨げることなく孔に効率よく通過させる。つまり、粘着剤の撹拌効率を低下させない。その結果、粘着剤に含まれる分散物を均一に分布させることができる。
【0016】
第5の発明は、第1の方法発明である塗工方法によって粘着テープを製造したことを特徴とする。
【0017】
(作用・効果) この発明によれば、分散物が均一な状態の粘着剤が基材に塗工されている。したがって、色ムラがなく、または物性の安定した粘着剤となる。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係る塗工方法および塗工装置によれば、ローラと対向するように液溜め部内に複数個の孔の形成された撹拌部材を配備することにより、当該撹拌部材を通過する粘着剤の流速を増し、撹拌部材とロール間で粘着剤を撹拌させる。したがって、分散物の分布が均一な粘着剤を基材に塗工することができる高品位な粘着テープを製造できる。また、撹拌部材により、粘着剤に含まれる分散物が液溜め部の底部に沈殿するのを抑制することもできる。
【実施例1】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
【0020】
図1および図2に、この発明に係る塗工装置の概略構成が示されている。この塗工装置は、ロールコート方式であって、所定間隔をおいて上下に対向配備したコーティングロール1とバックロール2および液溜め部3から構成されている。
【0021】
コーティングロール1は、粘着剤sの転写量を制御する。バックロール2は、例えば帯状で可撓性を有する支持体4を巻回し、コーティングロール1とによって形成された間隙によって粘着剤sの転写量を制御する。
【0022】
液溜め部3は、粘着剤sを溜めるための液溜板5、および塗工幅を調整する一対の側板6とから構成されている。
【0023】
液溜め部内には、バックロール2に対向するよう撹拌板7が近接配備されている。撹拌板7は、図2から4に示すように、その表面に複数個の孔8が形成されているとともに、バックロール2の曲率に沿って屈折している。
【0024】
本実施例装置の孔8は円形であり、その直径は使用する粘着剤sによもよるが、3〜15mmの範囲に設定されており、好ましくは5〜12mmの範囲に設定される。また、このサイズおよび形状の孔8によって、撹拌板7の開口率を30〜80%、さらに好ましくは40〜70%となるように設定する。この構成により、液溜め部3に貯留した粘着剤sが、両ロール1,2の回転に伴って循環するのを妨げることなく、スムーズに粘着剤を孔8に通過させつつ、粘着剤sの流速を上げる。
【0025】
したがって、顔料や染料またはフィラーなどの分散物が含まれている粘着剤sであっても、バックロール2の回転に伴ってロール面に沿って両ロール1,2間に引き込まれる粘着剤sは、その引込み流と撹拌版7を通過する流速の早い流れとのによりバックロール2と撹拌板7の間で撹拌される。すなわち、撹拌作用により分散物を粘着剤s中で均一に分布させた状態で支持体4に粘着剤sが塗工されるよう構成されている。
【0026】
また、図4に示すように、撹拌板7の屈折角度θは、150〜170°に設定するのが好ましく、かつ、コーティングロール1やバックロール2との距離が5〜50mmの範囲に設定することが好ましい。この距離が50mmを超えると、両ロール1,2と撹拌板7との間で循環渦が生じる。この循環渦によって分散物が遠心分離されされて偏在してしまう。また、この距離が5mm未満になると、両ロール1,2と撹拌板7との間で作用する剪断力が大きくなり、粘着剤sの温度が上昇して物性を変化させてしまう。
【0027】
なお、撹拌板7の材料としては、粘着剤sによって変質しない材料が好ましく、例えば、ステンレス鋼が使用される。その厚みは、粘着剤sの循環を妨げず、かつ、撹拌作用を低下させない厚みに設定される。この実施例の場合、厚みは1〜3mmに設定されている。
【実施例2】
【0028】
この実施例では、図5に示すように、所定間隔をおいて上下一対のラミネートロール10,11を配備し、両ラミネートロール10,11のそれぞれに帯状のセパレータ12a,12bを巻回きし、両間隙に粘着剤sを供給しながら転写する以外は、上記実施例1と同じ構成である。
【0029】
次に、上記実施例1および2の装置と、両装置から撹拌板7を省いた従来装置を利用して粘着テープまたは両面粘着テープを製造実験した比較結果を示す。
【0030】
先ず、実施例1の装置による粘着テープの製造条件は、次の通りである。つまり、BA/BB=95部/5部でトルエンにベース30%で重合したアクリル系粘着剤に、コロネートLを3部、カーボンブラックを0.01部混入して着色した粘着剤塗工液を用いた。また、実施例1の装置において、裏面に剥離処理を施した厚み38μmのPET基材上に厚み100μmのWETを塗工する。
【0031】
塗工後に熱風式のオーブンにて120℃で2分間の乾燥処理を施し、巻き取り回収することで黒色の粘着テープを製造した。
【0032】
これに対して、上記実施例1の装置と同じ条件で、撹拌板7を備えない比較例装置で黒色の粘着テープを製造した。
【0033】
上記両製造実験の結果、実施例1の装置で製造した粘着テープは、その表面は均一な黒色であった。つまり、カーボンブラックが粘着剤中に均一に分散していたことが確認できた。これに対して、比較例装置で製造した粘着テープTは、図6に示すように、その表面に薄灰色の斑模様が発生していた。すなわち、カーボンブラックが偏在して不均一となっていることが確認された。
【0034】
次に、実施例2の装置による両面粘着テープの製造条件は、次の通りである。つまり、2EHAを90重量部、AAを10重量部、光開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンを0.1重量部撹拌式タンクに投入し、この攪拌式タンク内に光ファイバー式の紫外線装置を利用して紫外線を照射し、粘度を略30Pa・sに増粘する。その後、当該液100重量部に対して、光重合開始剤である2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンを0.3重量部、架橋剤であるヘキサンジオールジアクリレートを0.2重量部を混入して攪拌する。さらに、ガラスバルーン(東海工業株式会社)を10重量部混合した後、カーボンブラックを0.01部混合して着色した粘着剤塗工液を用いた。
【0035】
この粘着剤を図5に示す実施例2の装置に供給し、上下の支持体としては、非粘着性処理を施した厚み50μmの透明なPETのセパレータを使用し、ラミネート後の粘着剤の厚みが1mmとなるように、ラミネートロール10,11の間隙を調整した。また、セパレータの繰り出し速度を約5m/minとし、紫外線照射装置では、高圧水銀ランプを用いて最大照度約300mW/cm2、積算光量4000mJ/cm2で紫外線を粘着テープに照射して粘着剤の硬化処理をした。その後、巻き取り回収することで黒色の両面粘着テープを製造した。
【0036】
これに対して、上記実施例2の装置と同じ条件で、撹拌板7を備えない比較例装置で黒色の両面粘着テープを製造した(比較例1)。
【0037】
また、上記実施例2の装置と同じ条件で、孔8の形成されていない平板状の撹拌板7を用いて黒色の両面粘着テープを製造した(比較例2)。
【0038】
上記各製造実験の結果、実施例2の装置で製造した両面粘着テープは、その表裏面共に均一な黒色であった。つまり、カーボンブラックが粘着剤中に均一に分散していたことが確認できた。これに対して、比較例1および2の装置で製造した両面粘着テープは、図6に示すのと同様に、その表裏面に薄灰色の斑模様が発生していた。すなわち、カーボンブラックが偏在して不均一になっていることが確認された。さらに、比較例3の装置では、液溜め部3の底部にカーボンブラックが沈殿しているのが確認できた。つまり、比重の重いカーボンブラックが、液溜め部内で均一に撹拌されておらず、偏在していることが確認できた。
【0039】
以上のように、この実施例装置によれば、複数個の孔8の形成された撹拌板7を、コーティングロール1、バックロール2、またはラミネートロール11に対向するように近接配備することにより、孔8を通過する粘着剤sの流速を増してロール2または11と撹拌板7との間で粘着剤sを撹拌し、含まれる分散物を均一に分布させることができる。
【0040】
また、撹拌板7の撹拌作用により液溜め部3の底部に分散物が沈殿するのを回避することができる。
【0041】
本発明は上述した実施例のものに限らず、次のように変形実施することもできる。
【0042】
(1)上記各実施例では、撹拌板7をバックロール2または下方のラミネートロール11に対向させ、かつ、屈折形状であったが、両撹拌板7ともに上方のコーティングロール1またはラミネートロール10とにわたって対向配備してもよい。また、撹拌板7の形状として、図7に示すように、屈折形状ではなくバックロール2やコーティングロール11などのロールの曲率に合せて対向するよう湾曲形状にしてもよい。
【0043】
撹拌板7を当該湾曲形状にすることにより、バックロール1またはコーティングロール11の表面と撹拌板7の対向面までの距離を同じに保つことができるので、当該間隙での循環流の乱れを回避することができる。
【0044】
(2)図8に示すように、液溜め部3に上板15を備え、かつ、上板15の先端部分からラミネートロール10に臨設するように片持ち支持されたブレート16を備えるように構成する。つまり、液溜め部3を閉塞する。また、上板15とブレード16に接触するよう粘着剤sを液溜め部3に充填する。換言すれば、撹拌板7が、粘着剤sに常に浸漬している状態を維持する。
【0045】
なお、ブレート16は、可撓性を有するものであって、その先端がテーパー状に略先鋭に加工が施されてものが好ましく、樹脂性のもが使用される。また、ブレード16は、上板15に取り付け固定されているネジ17を緩めることでラミネートロール10に対して前後方向にスライド移動調整が可能となっている。
【0046】
ブレード16の先端をラミネートロール10に接触させて液溜め部3を略密閉となるようにするとともに、粘着剤s内に撹拌板7を浸漬させておくことにより、ラミネートロール10,11の回転に伴って液面側からの空気の巻き込みよって発生する大きい数百〜数千μm径レベルの気泡の発生を抑制することができる。その結果、セパレータ12a,12b間にラミネート塗工された粘着剤sに紫外線照射して光重合により硬化処理を施して粘着テープを製造しても、その粘着層に気泡の混入による貫通孔の発生を抑制でき、外観不良がなく、かつ、高品質の粘着テープを製造することができる。
【0047】
また、撹拌板7に付着した粘着剤sが乾燥し、異物として粘着剤sに混入するのを防止できる。
【0048】
なお、ブレード16の取り付けは、次のように構成してもよい。つまり、ブレード16の幅方向に所定間隔で圧力センサを配備し、この圧力センサにより検出された結果に基づいて、ブレード16をシリンダなどの駆動装置でスライド移動させ、ラミネートロール10の幅方向に対してブレード16の先端が常に均一な圧力で接触するように調節する構成としてもよい。
【0049】
(3)上記各実施例および変形例装置において、液溜め部3の液面が撹拌板7の高さをよりも高く位置し続けるよう、粘着剤sを液溜め部3に供給し続けるように構成することが好ましい。この構成として、例えば実施例1の装置を例にとって説明すると、次にように構成することができる。
【0050】
粘着剤タンク18に貯留された粘着剤sを補給ポンプ19によって液溜め部3に圧送する。補給ポンプ19には、制御装置20に接続されたモータ駆動型あるいは電磁駆動型のものが利用され、その吐出量を任意に調節制御可能となっている。また、制御装置20には操作部21が接続されており、セパレータ12a,12bの送り速度、支持体幅、塗工厚さなどの稼働条件を入力することで塗工量が演算され、その消費量と同量の粘着剤補給が行われるように構成する。これら設定によって液溜め部3における液面の高さが撹拌板7の高さより高い位置を維持するように粘着剤sを安定供給することができる。
【0051】
この構成によれば、撹拌板7に付着した粘着剤sが乾燥することがない。すなわち、粘着剤sの乾燥した異物が塗工液に混入し、塗工不良となるのを回避することができる。
【0052】
(4)上記各実施例において、撹拌板7に代えて金属線を格子状にした物で構成してもよい。この場合の開口率の調整は、複数個の金属格子を多重に重ね合わせて調整する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施例1に係る塗工装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る塗工装置のロールコータの概略構成を示す斜視図である。
【図3】撹拌板の平面図である。
【図4】撹拌板の側面図である。
【図5】本発明の実施例2に係る塗工装置の概略構成を示す側面図である。
【図6】比較例装置で製造した粘着テープの表面状態を示した図である。
【図7】変形例装置の撹拌板の斜視図である。
【図8】変形例装置の概略構成を示す側面図である。
【図9】従来装置の概略構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 … コーティングロール
2 … バックロール
3 … 液溜め部
4 … 支持体
7 … 撹拌板
s … 粘着剤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液溜め部に貯留した粘着剤を、上下に対向配備したロール間に形成された間隙から送り出して各ロールの少なくともいずれか一方に巻回されて走行する基材に塗工してゆくロールコート方式の塗工方法において、
前記ロールに対向するよう液溜め部内に配備された複数個の孔が形成された撹拌部材を介して前記両ロール間に粘着剤を供給させながら前記基材に粘着剤を塗工する
ことを特徴とする塗工方法。
【請求項2】
液溜め部に貯留された粘着剤を基材に塗工する塗工装置において、
前記液溜め部に臨設されるとともに一方に基材を巻回して対向配備された上下一対のロールと、
前液溜め部内で、かつ、前記ロールのうち少なくとも下側のロールに対向する複数個の孔が形成された撹拌部材と、
を備えたことを特徴とする塗工装置。
【請求項3】
請求項2に記載の塗工装置において、
前記液溜め部の液面下に出口を位置させて配備された粘着剤補給管と、
前記粘着剤補給管に粘着剤を圧送する粘着剤補給手段と、
前記液溜め部に貯留する粘着剤の液面が前記撹拌部材よりも高くなるように前記粘着剤補給手段を作動制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする塗工装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の塗工装置において、
前記撹拌部材に形成された孔の直径は、3〜15mmであり、かつ、その開口率が30〜80%である
ことを特徴とする塗工装置。
【請求項5】
請求項1に記載の塗工方法によって製造されたことを特徴とする粘着テープ。
【請求項1】
液溜め部に貯留した粘着剤を、上下に対向配備したロール間に形成された間隙から送り出して各ロールの少なくともいずれか一方に巻回されて走行する基材に塗工してゆくロールコート方式の塗工方法において、
前記ロールに対向するよう液溜め部内に配備された複数個の孔が形成された撹拌部材を介して前記両ロール間に粘着剤を供給させながら前記基材に粘着剤を塗工する
ことを特徴とする塗工方法。
【請求項2】
液溜め部に貯留された粘着剤を基材に塗工する塗工装置において、
前記液溜め部に臨設されるとともに一方に基材を巻回して対向配備された上下一対のロールと、
前液溜め部内で、かつ、前記ロールのうち少なくとも下側のロールに対向する複数個の孔が形成された撹拌部材と、
を備えたことを特徴とする塗工装置。
【請求項3】
請求項2に記載の塗工装置において、
前記液溜め部の液面下に出口を位置させて配備された粘着剤補給管と、
前記粘着剤補給管に粘着剤を圧送する粘着剤補給手段と、
前記液溜め部に貯留する粘着剤の液面が前記撹拌部材よりも高くなるように前記粘着剤補給手段を作動制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする塗工装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の塗工装置において、
前記撹拌部材に形成された孔の直径は、3〜15mmであり、かつ、その開口率が30〜80%である
ことを特徴とする塗工装置。
【請求項5】
請求項1に記載の塗工方法によって製造されたことを特徴とする粘着テープ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2009−45567(P2009−45567A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214628(P2007−214628)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
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