説明

塗布、現像装置及び塗布、現像装置の制御方法並びに記憶媒体

【課題】カセットステーションと処理ステーションとの間に検査ステーションが設けられた塗布、現像装置において、検査モジュールにて基板が無駄に滞在する時間を削減すること。
【解決手段】検査ステーション内の基板搬送手段は、カセットステーションと処理ステーションとの間の基板の受け渡しを優先し、処理ステーション内の基板搬送手段のサイクルタイム内の残り時間で検査モジュールに対して基板の受け渡しを行い、検査モジュールからの基板の搬出については、基板の追い越しを行える(処理の順番の大きい基板よりも処理の順番の小さい基板を搬出できる)ようにし、検査モジュールへの基板の搬入については、基板の追い越しを禁止している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハやLCD基板(液晶ディスプレイ用ガラス基板)などの基板に対して基板の洗浄処理やレジスト液の塗布処理及び露光後の現像処理を行う塗布、現像装置及び塗布、現像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやLCD基板などの基板に対してレジスト液を塗布し、フォトマスクを用いてそのレジスト膜を露光し、それを現像することによって所望のレジストパターンを基板上に作製する一連の処理は、レジスト液の塗布や現像を行う塗布、現像装置に露光装置を接続したシステムを用いて行われる。
【0003】
塗布、現像装置は、ウエハカセットが載置され、このウエハカセットとの間で半導体ウエハ(以下ウエハという)の受け渡しを行う受け渡しアームを備えたカセットステーションと、ウエハに対してレジストの塗布や現像処理を行う処理ステーションと、露光装置に接続されるインターフェイスステーションと、を一列に配列して構成されている。
【0004】
そしてレジストパターンが形成された基板については、所定の検査、例えばレジストパターンの線幅、レジストパターンと下地パターンとの重なり具合、及び現像欠陥などの検査が行われ、合格と判定された基板のみが次工程に送られる。このような検査は、塗布、現像装置とは別個に設けられたスタンドアローンの検査装置により行われる場合が多いが、塗布、現像装置内に検査装置を設けるインラインシステムを採用した方が便利である。
【0005】
そこで特許文献1には、カセットステーションと処理ステーションとの間に、複数の検査装置と搬送アームとを備えた検査ステーションを介在させた構成が記載されている。ここに記載されているシステムは、カセットステーションから検査ステーションを介して処理ステーションに基板を搬送し、処理を終えた基板を一旦カセットステーションのカセット内に戻した後、ここから基板を検査ステーションに搬送して検査を行うものである。
【0006】
図9は、このようなシステムを実際に構築した場合の構成例を示している。図9は塗布、現像装置を平面的に見た概略図であり、11はカセットステーション、12は検査ステーション、13は処理ステーション、14は、露光装置に接続されるインターフェイスステーションである。またCはウエハカセット、15はカセットステーション11内の受け渡しアーム、16は検査ステーション内の搬送アームである。TRSa、TRSb、TRSc及びTRSdは受け渡しモジュール、E1、E2及びE3は、検査モジュールであり、これらは便宜上平面に展開してあるが、例えば受け渡しモジュールは4段構成とされ、検査モジュールは3段構成とされる。
【0007】
図9の塗布、現像装置においては、カセットC内のウエハは、受け渡しアーム15→TRSa→搬送アーム16→処理ステーション13の経路で搬送される。そしてウエハは、処理ステーション13にてレジスト塗布に必要な種々の処理が各モジュールにて行われ、インターフェイスステーション14から露光装置に払い出されて、再び処理モジュール13に戻り、現像処理に必要な種々の処理がモジュールにて行われる。その後、ウエハは搬送アーム16→TRSb→搬送アーム15→カセットCに戻される。
【0008】
この場合、カセットC内のウエハには、処理される順序が決められており、例えば13枚収納用のウエハであれば、1番から13番まで割り当てられている。そして1番から順番に処理ステーション13に搬送され、予め決められたモジュールを順番に移動していく。処理ステーション13内の搬送アーム(メインアーム)は、予め設定された一連のモジュールの間を順番にサイクリックに移動するサイクル搬送を行い、これによりウエハが順番に移動していくことになる。なおメインアームは2枚のアームによりモジュール内のウエハを交換するという動作を行う。メインアームの搬送路を循環路と呼ぶことにすると、搬送アームが循環路を1周するサイクルタイムが予め決められており、また後戻りする動作、及び番号の大きいウエハ(後にカセットCから取り出されたウエハ)が番号の小さいウエハ(先にカセットCから取り出されたウエハ)を飛び越して搬送する動作は行われない。このような動作を禁止しているのは、搬送プログラムが極めて煩雑になり、現実的ではないからである。
【0009】
一方カセットCに戻されたウエハは、全数あるいは選択されたウエハが受け渡しアーム15により受け渡しモジュールTRScに払い出され、搬送アーム16により検査モジュールに搬送される。そしてウエハの中には、例えば検査モジュールE1のみの検査をおこなうもの、検査モジュールE2のみの検査を行うもの、検査モジュールE3のみの検査を行うもの、検査モジュールE2に続いて検査モジュールE3を行うものなどがある。検査ステーション12内のウエハの搬送においても、処理ステーション13内のサイクル搬送と同様な手法が採用されており、前記サイクル搬送に同期して行われていた。
【0010】
ところで、受け渡しモジュールTRSaのウエハは、処理ステーション13内のメインアームが受け取る図示しない受け渡しモジュールに、当該メインアームが受け取りにくるまでに置かれていることが必要である。そうしないとメインアームが空取りして先に進んでしまい、当該ウエハの搬送が1サイクル分遅れてしまうからである。
【0011】
従って検査ステーション12内の搬送アーム16においては、受け渡しモジュールTRSa及びTRSbと処理ステーション12との間のウエハの搬送を最優先する必要がある。そうすると搬送アーム16においては、サイクル搬送で行う場合には、受け渡しモジュールTRSaあるいはTRSbに対するウエハの搬送を終えてから、受け渡しモジュールTRSc、検査モジュールE1、E2、E3及びTRSdを順番に搬送することになるので例えば検査モジュールE1、E2にて同時に検査が終了すると、そのうちの一方のウエハは検査モジュールE1(E2)内にて1サイクル分待機することになる。
【0012】
そうすると検査フローのスループットが低下することから、本発明者はメインアームに対して搬送アーム16を非同期で動作させることを検討している。この場合には、搬送アーム16は、受け渡しモジュールTRSaからレディ信号が出力されたときあるいは処理ステーション13の受け渡しモジュールに処理終了のウエハが置かれてここからレディ信号が出力されたときには優先的に処理ステーションへの払い出し搬送あるいは処理ステーションからの取り込み搬送を行い、それ以外のときには検査モジュールE1(E2、E3)に対する受け渡しに専念でき、有利であると考えられる。
【0013】
しかしながらその場合でも次のような問題が起こる。今、塗布、現像装置において1時間当たり150枚の処理が要求されている。一方受け渡しアーム15の1回の搬送動作は、例えば8秒かかり、また搬送アーム16の1回の搬送動作は5秒かかる。1時間当たり150枚の処理を行うためには、上述のサイクル搬送におけるサイクルタイムは、3600秒/150枚=24秒を越えてはならない。そうすると、受け渡しアーム15については、1サイクルの間に3回の搬送動作しか行えなくなり(8秒×3=24秒)、また搬送アーム16については1サイクルの間に4回の搬送動作しか行えなくなる(5秒×4=20秒)。
【0014】
ここで既述のように受け渡しモジュールTRSa及びTRSbに対するウエハの受け渡しは最優先で行わなければならないので、1サイクル中に受け渡しアーム15が受け渡しモジュールTRSc及びTRSdに対して行うことのできる搬送動作は1回であり、また1サイクル中に搬送アーム16が検査モジュールE1(E2、E3)に対して行うことのできる搬送動作は2回になる。検査モジュールE1、E2、E3は互いに異なる検査を行うものであり、各々の検査時間が異なる。検査モジュールE1、E2、E3の検査時間が例えば夫々30秒、100秒及び140秒である場合、例えば検査モジュールE1に11番目のウエハが、検査モジュールE2に10番目のウエハが、検査モジュールE3に9番目のウエハが夫々入っているとすると、11番目のウエハの検査が終了した時点で9番目のウエハが終了していないと、11番目のウエハを検査モジュールE1から取り出すことができない。
【0015】
その理由は、検査ステーション内においてもウエハの飛び越しを許可すると、例えば検査モジュールE3に後のロットの先頭ウエハが入り、続いて先のロットの最後尾ウエハが入る場合が生じる。そうすると、検査モジュールE3のレシピを変更しなければならないという問題が起き、結果として搬送が滞ってしまう。
【0016】
しかしながらウエハの検査が終了した後にその検査モジュールから搬出できない状況を生み出すと、実施の形態において比較例として示すが、検査工程に長い時間がかかってしまう。
【0017】
【特許文献1】特開2005−175052(段落0042、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、検査モジュールにて基板が無駄に滞在する時間を削減し、これにより塗布、現像装置のスループットを向上することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、複数枚の基板を収納したカセットが載置され、カセットとの間で基板の受け渡しを行う受け渡し手段を備えたカセットステーションと、
カセットから取り出された基板に対してレジスト膜を形成するための処理モジュール及び現像のための処理モジュールが含まれる複数の処理モジュールと、これら処理モジュールに対し、循環路に沿って順次基板を搬送すると共に循環路を1周するサイクルタイムが予め決められている第1の基板搬送手段と、を備えた処理ステーションと、
処理を終えた基板に対して検査を行い、検査に要する時間が互いに異なる複数の検査モジュールと、前記カセットステーションと処理ステーションとの間の基板の受け渡し、及び検査モジュールに対して基板の受け渡しを行う第2の基板搬送手段と、を備えた検査ステーションと、
前記処理ステーションにて処理された検査前の基板を前記第2の基板搬送手段に受け渡すための一方の受け渡しモジュール及び検査後の基板が第2の基板搬送手段から受け渡される他方の受け渡しモジュールと、
前記第2の基板搬送手段を制御する制御部と、を備え、
前記処理ステーションで処理を終えた基板の中には、一の検査モジュールにて検査が行われた後、当該検査とは異なる検査を行う他の検査モジュールにて検査が行われる基板が含まれ、
前記制御部は、第2の基板搬送手段に対して、
a)前記カセットステーションから処理ステーションへの間の基板の受け渡し及び処理ステーションからの基板の受け取りを優先し、
b)基板に割り当てられた処理の順番の小さい基板から検査モジュールに対して搬送スケジュールに基づいて搬入を行い、
c)一の検査モジュールにて検査が行われた後、当該検査と異なる検査を行う他の検査モジュールにて検査が行われない基板に対して、基板に割り当てられた処理の順番に拘わらず、検査が終了している基板を検査モジュールから前記他方の受け渡しモジュールに搬出する
ように制御する機能を備えていることを特徴とする。
【0020】
本発明の具体的な態様としては、カセットステーション内の受け渡し手段と第2の基板搬送手段との間の基板の受け渡しのために設けられた一方の受け渡しモジュール及び他方の受け渡しモジュールを備え、
前記制御部は、処理ステーションにて処理を終えた基板をカセットに受け渡し、カセットから基板を取り出して前記一方の受け渡しモジュールに受け渡し、また検査が終了した基板を他方の受け渡しモジュールからカセットに受け渡すようにカセットステーション内の受け渡し手段を制御することが挙げられる。
【0021】
更に具体的な態様としては、前記制御部は、処理ステーションにて処理を終えた基板をカセットから取り出して前記一方の受け渡しモジュールに受け渡すように受け渡し手段を制御する態様、あるいは塗布、現像装置の外部から検査のために持ち込まれたカセットから基板を取り出して前記一方の受け渡しモジュールに受け渡すようにカセットステーション内の受け渡し手段を制御する態様が挙げられる。
前記カセットステーション内の受け渡し手段は、例えば前記サイクルタイム内において前記一方または他方の受け渡しモジュールのどちらかに1回だけ基板の受け渡しができる。
【0022】
またカセットステーションからの処理ステーションに基板が受け渡されるときの受け渡し先が処理モジュールである場合、例えば冷却モジュールである場合は、前記制御部は、カセットステーションからの基板を処理ステーションに搬送する搬送時間と、処理ステーションからの基板を受け取って搬送する搬送時間と、を前記サイクルタイムから差し引いた残り時間の中で、検査モジュールに対して基板の受け渡しを行うように第2の基板搬送手段を制御することが好ましい。この場合には、カセットステーションからの基板が処理モジュールに搬入された時点からサイクルタイムが経過する時点をT0とすると、第2の搬送手段が検査モジュールに対して受け渡しが可能である場合でも、その受け渡しをすることにより、カセットステーションからの次の基板が処理モジュールに搬入される時点がT0を過ぎると判断される場合には、当該受け渡しを見合わせることになる。
【0023】
他の発明は、複数枚の基板を収納したカセットが載置され、カセットとの間で基板の受け渡しを行う受け渡し手段を備えたカセットステーションと、
カセットから取り出された基板に対してレジスト膜を形成するための処理モジュール及び現像のための処理モジュールが含まれる複数の処理モジュールと、これら処理モジュールに対し、循環路に沿って順次基板を搬送すると共に循環路を1周するサイクルタイムが予め決められている第1の基板搬送手段と、を備えた処理ステーションと、
この処理ステーションにて処理を終えた基板に対して検査を行い、検査に要する時間が互いに異なる複数の検査モジュールと、前記カセットステーションと処理ステーションとの間の基板の受け渡し、及び検査モジュールに対して基板の受け渡しを行う第2の基板搬送手段と、を備えた検査ステーションと、
前記処理ステーションにて処理された検査前の基板を前記第2の基板搬送手段に受け渡すための一方の受け渡しモジュール及び検査後の基板が第2の基板搬送手段から受け渡される他方の受け渡しモジュールと、を備え、
前記処理ステーションで処理を終えた基板の中には、一の検査モジュールにて検査が行われた後、当該検査とは異なる検査を行う他の検査モジュールにて検査が行われる基板が含まれる塗布、現像装置を制御する方法であって、
前記カセットステーションから処理ステーションへの基板の搬送準備を知らせるレディ信号が出力されたとき、または処理ステーションから搬送先への基板の搬送準備を知らせるレディ信号が出力されたときに、第2の基板搬送手段がその基板の搬送を優先して行う工程と、
基板に割り当てられた処理の順番の小さい基板から一の検査モジュールに対して、搬送スケジュールに基づいて搬入を行う工程と、
一の検査モジュールにて検査が行われた後、当該検査と異なる検査を行う他の検査モジュールにて検査が行われない基板に対して、基板に割り当てられた処理の順番に拘わらず、検査が終了している基板を検査モジュールから前記他方の受け渡しモジュールに搬出する工程と、を含むことを特徴とする。
【0024】
また更に他の発明に係る記憶媒体は、本発明方法を実施するためのコンピュータプログラムが記憶されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、基板に割り当てられた処理の順番の大きい基板よりも処理の順番の小さい基板を検査モジュールから先に搬出できるようにしているため、即ち、検査モジュールからの基板の搬出については、基板の追い越しが行えるようにしているため、処理の終えた基板が検査モジュールで待つ無駄な時間を削減でき、スループット(生産性)を向上することができる。そして検査モジュールへの基板の搬入については、基板の追い越しを禁止しているので、ある検査モジュールに後のロットの先頭基板が入り、続いて先のロットの最後尾基板が入ることによる、レシピ変更の発生という問題も起こらない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
先ず本発明の塗布、現像装置の一実施の形態について例の概略について図1の平面図及び図2の斜視図を参照しながら説明する。図1及び図2中、21は基板である例えば12インチサイズのウエハWが例えば13枚密閉収納されたカセットCを搬入出するためのカセットステーションであり、このカセットステーション21には前記カセットCを載置する載置部22と、この載置部22から見て前方の壁面に設けられる開閉部23と、開閉部23を介してカセットCからウエハWを取り出すための受け渡し手段である受け渡しアーム24とが設けられている。この受け渡しアーム24は、アームが昇降自在、左右、前後に移動自在かつ鉛直軸まわりに回転自在に構成されていて、後述する制御部200からの指令に基づいて制御されるようになっている。
【0027】
前記カセットステーション21の奥側には各々筐体にて周囲を囲まれる検査ステーション40及び処理ステーションS1がこの順に接続されている。
検査ステーション40は、4個の受け渡しモジュールTRSa〜TRSdと、検査モジュールE1〜E3と、これらモジュールTRSa〜TRSd、E1〜E3及び前記受け渡しモジュールTRS1、TRS4の間でウエハの受け渡しを行う第2の基板搬送手段をなす搬送アーム4と、を備えている。受け渡しモジュールTRSa〜TRSdは図3に示すように上下に積層されており、また検査モジュールE1〜E3についても上下に積層されている。検査ステーション40に関するより詳しい説明は後述することとし、処理ステーションS1について先に説明する。
【0028】
処理ステーションS1には手前側から順に加熱・冷却系のモジュールを多段化した3個の棚モジュール25(25A,25B,25C)と、後述する液処理モジュール間のウエハWの受け渡しを行うための2個の第1の基板搬送手段であるメインアーム26A,26Bとが交互に配列して設けられている。前記メインアーム26(26A,26B)は、いずれも2本のアームを備えており、前記アーム27が昇降自在、左右、前後に移動自在かつ鉛直軸まわりに回転自在に構成されていて、後述する制御部200からの指令に基づいて制御されるようになっている。
【0029】
前記棚モジュール25(25A,25B,25C)及びメインアーム26A,26Bはカセットステーション21側から見て前後一列に配列されており、各々接続部位Gには図示しないウエハ搬送用の開口部が形成されているため、この処理ステーションS1内においてウエハWは一端側の棚モジュール25Aから他端側の棚モジュール25Cまで自由に移動することができるようになっている。またメインアーム26A,26Bは、カセットステーション21から見て前後方向に配置される棚モジュール25(25A,25B,25C)側の一面部と、例えば右側の液処理装置側の一面部と、左側の一面をなす背面部とで構成される区画壁により囲まれる空間内に置かれている。
【0030】
メインアーム26(26A,26B)により基板の受け渡しが行われる位置には、更に塗布装置4Aや現像装置4Bなどの液処理装置を多段化した液処理モジュール28(28A,28B)が設けられている。この液処理モジュール28(28A,28B)は例えば図2に示すように、塗布装置4A等が収納される処理容器29が複数段例えば5段に積層された構成とされている。
【0031】
また棚モジュール25(25A,25B,25C)については、例えば図3に示すように、ウエハの受け渡しを行うための受け渡し部をなす受け渡しモジュール(TRS1〜TRS4)や、レジスト液の塗布後や現像液の塗布後にウエハの加熱処理を行うための加熱装置をなす加熱モジュール(LHP1,LHP2)や、レジスト液の塗布の前後や現像処理の前にウエハの冷却処理を行うための冷却装置をなす冷却モジュール(CPL1,CPL2,CPL3)の他、露光処理後のウエハの加熱処理を行う加熱装置をなす加熱モジュール(PEB)などが例えば上下10段に割り当てられている。ここで前記TRS1,TRS4はカセットステーション21と処理ステーションS1との間、TRS2,TRS3は2個のメインアーム26A,26B同士の間で、夫々ウエハの受け渡しを行うために用いられる。
【0032】
この例では、加熱モジュール(LHP1,LHP2)、冷却モジュール(CPL1,CPL2,CPL3)、加熱モジュール(PEB)が処理モジュールに相当する。
【0033】
このような処理ステーションS1における棚モジュール25Cの奥側には第1のインターフェイス部S2及び第2のインターフェイス部S3を介して露光装置S4が接続されている。第1のインターフェイス部S2は昇降自在及び鉛直軸まわりに回転自在に構成され、後述するように処理ステーションS1の棚モジュール25CのCPL2やPEBとに対してウエハの受け渡しを行う受け渡しアーム31と、周辺露光装置と露光装置S4に搬入されるウエハを一旦収納するためのイン用バッファカセットと露光装置S4から搬出されたウエハを一旦収納するためのアウト用バッファカセットが多段に配置された棚モジュール32Aと、ウエハの受け渡しモジュールと高精度温調モジュールとが多段に配置された棚モジュール32Bと、を備えている。
【0034】
前記第2のインターフェイス部S3には、受け渡しアーム33が設けられており、これにより第1のインターフェイス部S1の受け渡しモジュールや高精度温調モジュール、露光装置S4のインステージ34及びアウトステージ35に対してウエハの受け渡しを行うようになっている。
【0035】
ここで処理ステーションS1の内部でのメインアーム26A,26Bの動きを説明すると、2個のメインアーム26A,26Bは、例えば図4に示すように、TRS1→CPL1→塗布装置(COT)→TRS2→LHP1→CPL2の経路でカセットステーション21から第1のインターフェイス部S2に向けてウエハを搬送し、この後PEB→CPL3→現像装置(DEV)→LHP2→TRS3→TRS4の経路で第1のインターフェイス部S2からカセットステーション21に向けてウエハを搬送するように移動する。なお処理ステーションS1と第1のインターフェイス部S2との間は、CPL2とPEBを介してウエハの受け渡しが行われる。
【0036】
この際この実施の形態では、図4にメインアーム26A,26Bの夫々の経路を点線で示すように、メインアーム26Aは、例えばTRS1→CPL1→COT→TRS2→TRS3→TRS4→TRS1の循環経路でウエハをサイクル搬送し、メインアーム26Bは、TRS2→LHP1→CPL2→PEB→CPL3→DEV→LHP2→TRS3→TRS2の経路でウエハを搬送する。このため例えば棚モジュール25A〜25Cのレイアウトの一例を図3に示すように、TRS1,TRS4は棚モジュール25A、TRS2,TRS3は棚モジュール25B、CPL2やPEBは棚モジュール25C、CPL1は棚モジュール25A又は棚モジュール25B、LHP1、LHP2は棚モジュール25B又は棚モジュール25Cに、夫々配置される。またメインアーム26A、26Bは、各々2枚のアーム体を備えており、受け渡し対象の処理モジュールに置かれているウエハWを取り出し、次いで保持している次のウエハWを当該モジュールに対して受け渡す。そしてメインアーム26A、26Bは、予め作成された搬送スケジュール(ウエハWを搬送するモジュールの順番)に従って、各モジュールに置かれたウエハWを次のモジュールに1枚づつ移し替えていくが、このとき搬送経路において、割り当てられた処理の順番の小さいウエハWが順番の大きいウエハWに追い越されることはない。例えば加熱モジュール→冷却モジュールの順番でウエハWが搬送されるとき、順番の大きいウエハWが順番の小さいウエハWよりも先に加熱モジュールに入ることはない。
【0037】
続いて処理ステーションS1にて基板に処理を行う場合の基板の流れについて説明する。先ず外部からウエハWが収納されたカセットCが前記カセットステーション21に搬入されると、開閉部23と共にカセットCの蓋体が外されて受け渡しアーム24によりウエハWが取り出される。そしてウエハWは受け渡しアーム24から受け渡しモジュールTRSaに受け渡され、図3及び図4に示すように検査モジュール40の搬送アーム4によりここから受け渡しモジュールTRS1に搬送される。次いでメインアーム26AがここからウエハWを受け取り、この後メインアーム26A,26Bとにより、既述のようにTRS1→CPL1→COT→TRS2→LHP1→CPL2の経路で搬送されて、CPL2を介してレジスト液の塗布が行われたウエハが第1のインターフェイス部S2に送られる。
【0038】
第1のインターフェイス部S2内では、イン用バッファカセット→周辺露光装置→高精度温調モジュールの順序で受け渡しアーム31により搬送され、棚モジュール32Bの受け渡しモジュールを介して第2のインターフェイス部S3に搬送され、第2のインターフェイス部S3のウエハは搬送手段33により露光装置S4のインステージ34を介して露光装置S4に搬送され、露光が行われる。
【0039】
露光後ウエハは第2のインターフェイスS3→第1のインターフェイス部S2を介して処理ステーションS1のPEBを介して処理ステーションS1まで搬送され、既述のようにPEB→CPL3→DEV→LHP2→TRS3→TRS4の経路で搬送され、こうして現像装置にて所定の現像処理が行われて、所定のレジストパターンが形成される。
【0040】
この際メインアーム26Aは、ロットのn番目のウエハWnをTRS1を介して次工程のCPL1に搬送し、次いでCOT→TRS2→TRS3→TRS4→TRS1の経路で1サイクルして再びTRS1に戻ってきて、次の(n+1)番目のウエハWn+1をTRS1を介してCPL1に搬送する。またメインアーム26Bは、TRS2のウエハを次工程のLHP1に搬送し、次いでCPL2→PEB→CPL3→DEV→LHP2→TRS3→TRS2の経路で1サイクルして再びTRS2に戻ってきて、次のウエハをTRS2を介してLHP1に搬送する。背景技術の項目においても述べたが、本装置により1時間当たり150枚のウエハWを処理しようとすると、この1サイクルの時間は24秒に設定される。
【0041】
次ぎに検査ステーション40に関して図4を参照しながら詳述する。受け渡しモジュールTRSaは、カセットCから取り出され、これから処理ステーションS1に払い出されたウエハWが載置されるためのものであり、受け渡しモジュールTRSbは、処理ステーションS1から戻ってきた処理済みのウエハWが載置されるためのものである。また受け渡しモジュールTRScは、この例では処理ステーションS1から戻ってきた処理済みのウエハWが入っているカセットCから処理済みのウエハWを受け取って、検査モジュールE1(E2、E3)に払い出されるまで待機するための載置台であり、受け渡しモジュールTRSdは、検査モジュールE1(E2、E3)にて検査されたウエハWが搬入されるための載置台である。なお受け渡しモジュールTRSa〜TRSd及び検査モジュールE1、E2、E3は各々積層されているが、図4では便宜上平面に配列して示してある。 前記搬送アーム4は、
a)前記カセットステーション21と処理ステーションS1との間のウエハWの受け渡しを優先するように制御される。
従って既述のサイクルタイムが24秒の場合、搬送アーム4の1回の搬送動作が5秒であるとすると、受け渡しモジュールTRSaからTRS1への搬送、及び受け渡しモジュールTRS4からTRSbへの搬送を優先しなければならないので、受け渡しモジュールTRSc、TRSdと検査モジュールE1(E2、E3)との間の搬送は、計算上は、1サイクル中に(1サイクルタイムの中で)2回しか行えない。しかし受け渡しモジュールTRSc、TRSdと検査モジュールE1(E2、E3)との間の搬送は、実際には各サイクルにおいて2回以上行える場合もある。例えば今、受け渡しモジュールTRS1上のウエハWがメインアーム26Aにより取り出され、続いて搬送アーム4により受け渡しモジュールTRSaからTRS1へ後続のウエハWが搬送されたとする。メインアーム26Aは、サイクルタイムが経過した後に、受け渡しモジュールTRS1から当該後続のウエハWを取り出していくが、この空になった受け渡しモジュールTRS1に更に後続のウエハWを搬入するタイミングは、次のサイクルタイムが経過する時点つまり次ぎにメインアーム26Aが受け渡しモジュールTRS1に取りにくるまでの時点であればよい。このためあるサイクルにおいてTRSdと検査モジュールE1(E2、E3)との間の搬送を3回行える場合もある。この例として、一のサイクルタイムが終了する直前に検査モジュールに対する基板の受け渡しが開始され、更にその直後に受け渡しモジュールTRSaからTRS1への基板の搬送が可能になった場合が挙げられる。
【0042】
なお受け渡しモジュールTRS1が処理モジュールを兼用する場合には、処理モジュール内におけるウエハWの滞在時間が決まっているので、このような搬送は許されず、必ず前記搬送は1サイクル中に2回となる。この点については後述する。
【0043】
更に搬送アーム4は、
b)ウエハWに割り当てられた処理の順番の小さいウエハWから検査モジュールE1(E2、E3)に対して搬入を行い、
c)ウエハWに割り当てられた処理の順番に拘わらず、検査が終了しているウエハWを検査モジュールE1(E2、E3)から搬出する
ように制御される。従って例えば1番から13番までのウエハWに対して順番通りに受け渡しモジュールTRScから検査モジュールE1(E2、E3)に搬送されるが、あるサイクルタイムの中で、例えば11番のウエハWは処理が終わっているが、9番のウエハWは処理が終わっていない場合には、9番のウエハWを追い越して11番のウエハWを検査モジュールE1(E2、E3)から搬出する。
【0044】
ここで検査モジュールに関して述べておくと、この例では、検査モジュールE1は、ウエハW上のマクロ欠陥を検出するマクロ検査モジュールであり、検査モジュールE2はウエハW上に形成された膜の厚みやパターンの線幅を測定する膜厚・線幅検査モジュールであり、検査モジュールE3は露光の重ね合わせのずれつまり今回形成されたパターンと下地のパターンとの位置ずれを検出する重ね合わせ検査モジュールである。この場合、検査モジュールE1、E2、E3の検査にかかる時間は、例えば夫々30秒、100秒及び140秒である。このように検査モジュールE1、E2、E3における検査時間が異なるため、後から搬入した順番の大きい(遅い)ウエハWの検査が、先に搬入した順番の小さい(早い)ウエハWよりも早く終了する場合が生じるのである。
【0045】
またカセットステーション21の受け渡しアーム24は、
a)カセットCから処理前のウエハWを受け取って受け渡しモジュールTRSaに受け渡し、
b)受け渡しモジュールTRSbから処理済みのウエハWを受け取ってカセットCに戻し、
c)処理済みのウエハWをカセットCから受け渡しモジュールTRScに受け渡し、
d)検査されたウエハWを受け渡しモジュールTRSdからカセットCに戻す
役割を持っている。またa)、b)の搬送は、前記サイクルタイムの中で必ず行わなければならないので、サイクルタイムが24秒の場合には、1回の搬送動作に例えば8秒かかるとすると、1サイクルの中では、c)、d)のどちらか一方しか行えない。
【0046】
本装置は、コンピュータを含む制御部200を備えており、受け渡しアーム24、搬送アーム4の搬送動作も含めて一連の工程は、この制御部200の記憶部に格納されたコンピュータプログラムにより制御される。そして受け渡しモジュールについては、ウエハWが載置されたときあるいは払い出されたときにそのモジュールについてのレディ信号が出力され、また検査モジュールについてはウエハWの検査が終了したときあるいは払い出されたときにそのモジュールについてのレディ信号が出力される。より具体的には、例えばTRSaにウエハWが載置されたときに出力される信号は、搬送アーム4から見ると受け渡し準備完了信号となり、TRSaからウエハWが払い出されたときに出力される信号は、受け渡しアーム24から見ると受け渡し準備完了信号となる。従って両アーム24、4は、これらのレディ信号に基づいて、今どのモジュールからどのモジュールへの搬送が可能かを判断できることになり、その判断と先のルールとに基づいて搬送動作が決まってくる。
【0047】
次に本実施の形態における検査ステーション40に関する作用について説明する。図5は、各サイクル毎に、受け渡しモジュールTRSa、TRSb及び検査モジュールE1、E2、E3の各々に置かれるウエハWを示しており、数字はウエハに処理の管理上において割り当てられた順番である。即ちカセットC内のウエハWは、この順番通りに処理ステーションS1から戻り、この順番通りに検査ステーション40に払い出される。即ち、最上段の番号の配列の意味は、ここに配列されている番号に相当するウエハWはカセットC内に位置しているということである。また別の言い方をすれば、この表を縦に見ると、いわゆるスケジュール搬送の表であり、最上段の番号はサイクルの番号と読める。
【0048】
以後の説明では、最上段の番号はサイクルの番号として扱うものとすると、サイクル1では、各モジュールTRSc、TRSd、E1、E2及びE3のいずれにもウエハWは入っていない。
次のサイクル2では、TRScにウエハ「1」が置かれる。これは既述のように受け渡しアーム24が1サイクル中に行える検査に関連する搬送動作が1回であることによる。
サイクル3では、TRScのウエハ「1」を搬送アーム4により検査モジュールE1に搬送し、その後受け渡しアーム24によりTRScにウエハ「2」が置かれる。
サイクル4では、TRScのウエハ「2」が搬送アーム4により検査モジュールE2に搬送され、続いて受け渡しアーム24によりTRScにウエハ「3」が置かれる。このとき検査モジュールE1ではウエハ「1」の検査が終了しないのでそのままの状態である。
サイクル5では、搬送アーム4は、TRScからウエハ「3」を検査モジュールE3に搬送し、次いで検査モジュールE1にて検査が終了したウエハ「1」をTRSdに搬送する。また受け渡しアーム24は、次のウエハ「4」をTRScに受け渡す。
【0049】
こうしてサイクルが進み、サイクル27になると、先のウエハ「9」及び「10」は夫々検査モジュールE3及びE2にて検査中であるが、後のウエハ「11」は検査モジュールE1における処理を終了している。そこでこの場合には、先のウエハ「9」及び「10」の検査終了を待たずに後のウエハ「11」を先に検査モジュールE1から搬出してTRSdに受け渡す。続いてウエハ「12」がTRSdから検査モジュールE1に受け渡されると共に、TRSdにウエハ「13」が置かれる。
【0050】
図7(a)(b)は、夫々このサイクル27におけるレディ信号の出力と搬送経路とを示しており、搬送アーム4の制御動作が明らかになっている。先ず検査モジュールE1から検査終了の信号(搬出準備完了信号であるレディ信号)が出力されると、搬送アーム4は、ウエハ「11」をTRSdに搬送する。そしてこの搬送の途中でTRScから搬出準備完了を示すレディ信号が出力され、続いてTRS1から搬入準備完了を示すレディ信号が出力されると、カセットステーション21から処理ステーションS1への搬送は優先的に行われるので、TRSaからTRS1へのウエハ「n」の搬送を優先的に行い、その後、TRScからウエハ「12」を検査モジュールE1に搬送する。
【0051】
一方、本発明のようにウエハの追い越し搬送をせず、検査モジュールE1、E2、E3への搬入及び搬出ともに、ウエハの番号順に行う場合には、搬送スケジュールは図6に示すようになる。例えばサイクル31に着目すると、ウエハ「11」は検査が終了しているにもかかわらず、サイクル40まで検査モジュールE1にて待たされてしまい、無駄な時間が多い。従ってウエハ「22」をカセットCに戻すまで必要なサイクル数は、本発明では46サイクルであるのに対し、追い越し搬送をしない場合には61サイクルとなる。
【0052】
上述の実施の形態によれば、ウエハに割り当てられた処理の順番の大きいウエハよりも処理の順番の小さいウエハを検査モジュールE1(E2、E3)から先に搬出できるようにしているため、即ち、検査モジュールE1(E2、E3)からのウエハの搬出については、ウエハの追い越しが行えるようにしているため、処理の終えたウエハが検査モジュールE1(E2、E3)で待つ無駄な時間を削減でき、スループット(生産性)を向上することができる。そして検査モジュールE1(E2、E3)へのウエハの搬入については、ウエハの追い越しを禁止しているので、ある検査モジュールに後のロットの先頭ウエハが入り、続いて先のロットの最後尾ウエハが入ることによる、レシピ変更の発生という問題も起こらない。
【0053】
またウエハの搬送経路によっては、基板の受け渡しのみを行う受け渡しモジュールの他、基板の冷却を行う冷却モジュールや基板の加熱を行う加熱モジュールであって、基板の冷却又は加熱と、基板の受け渡しの両方を行うモジュールを、基板カセットから処理ステーションへのウエハの受け渡しに用いてもよく、この場合にはこの処理モジュールが受け渡しモジュールTRS1を兼用する。この場合には、搬送アーム4の制御に関する説明のところで既に述べたが、ウエハWの処理時間つまりTRS1における滞在時間が決められているので、カセットステーション21からのウエハWを処理ステーションS1に搬送する搬送時間と処理ステーションS1からのウエハWを受け取る搬送時間とを前記サイクルタイムから差し引いた残り時間の中で、検査モジュールE1(E2、E3)に対してウエハWの受け渡しを行う必要がある。
【0054】
つまり検査モジュールE1(E2、E3)に対してウエハWの受け渡しが可能になっても、その動作を実施する前に、その動作を実施することにより、続く受け渡しモジュールTRSaからTRS1へのウエハWの受け渡しの終了時点がサイクルタイムの終了時点を過ぎるか否かを判断する必要がある。サイクルタイムの終了時点を過ぎる場合には、検査モジュールE1(E2、E3)に対するウエハWの受け渡しを実行しないように制御する必要がある。もしその受け渡しを実行すると、次のウエハWの受け渡しモジュールTRS1内の滞在時間(処理時間)が設定時間よりも短くなってしまうからである。
【0055】
図8はこのような様子を示す説明図である。T0はあるサイクルにおけるサイクルタイム終了時点であり、制御部200は、検査モジュールE1からウエハ「11」の搬出が可能になった場合に、その時点からT0までの時間が、搬送アーム4の搬送動作時間である5秒の2倍以上あるか否かを判断し、2倍以上あれば検査モジュールE1からウエハWを受け渡しモジュールTRSdに搬送し、2倍に満たなければこの搬送を保留する。このためその後にメインアーム26Aにより受け渡しモジュール(例えば冷却モジュール)TRS1から先のウエハが搬出されると、直ちに後続のウエハ「n」が受け渡しモジュールTRSaからTRS1に搬入されることになる。しかる後、搬送アーム4が検査モジュールE1からウエハ「11」を受け渡しモジュールTRSdに搬送する。
【0056】
また本発明では、カセットC内のウエハについて全数検査を行うようにしてもよいし、あるいは選択されたウエハについて検査を行うようにしてもよい。また処理ステーションS1にて処理され、カセットCに戻されたウエハを検査する代わりに、塗布、現像装置の外部から検査のために載置部22に持ち込まれたカセット内のウエハに対して受け渡しアーム24及び搬送アーム4を用いて同様にして検査モジュールE1(E2、E3)により検査を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の塗布、現像装置の一実施の形態を示す平面図である。
【図2】前記塗布、現像装置を示す外観斜視図である。
【図3】前記塗布、現像装置のレイアウトの概略を示す側面図である。
【図4】前記塗布、現像装置の基板の流れを示す説明図である。
【図5】本発明において、検査ステーション内の基板の動きを示す搬送スケジュールのシミュレーションを示す説明図である。
【図6】比較例において、検査ステーション内の基板の動きを示す搬送スケジュールのシミュレーションを示す説明図である
【図7】前記搬送スケジュールの一のサイクルにおいて、検査モジュール及び受け渡しモジュールのレディ信号と基板の動きとを対応させた説明図である。
【図8】前記搬送スケジュールの一のサイクルにおいて、検査モジュール及び受け渡しモジュールのレディ信号と基板の動きとを対応させた説明図である。
【図9】従来の塗布、現像装置における基板の流れを示す平面図である。
【符号の説明】
【0058】
W ウエハ
C カセット
21 カセットステーション
24 受け渡しアーム
26A、26B メインアーム
40 検査ステーション
4 搬送アーム
TRSa〜TRSd 受け渡しモジュール
TRS1〜TRS4 受け渡しモジュール
E1〜E3 検査モジュール
200 制御部
S1 処理ステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板を収納したカセットが載置され、カセットとの間で基板の受け渡しを行う受け渡し手段を備えたカセットステーションと、
カセットから取り出された基板に対してレジスト膜を形成するための処理モジュール及び現像のための処理モジュールが含まれる複数の処理モジュールと、これら処理モジュールに対し、循環路に沿って順次基板を搬送すると共に循環路を1周するサイクルタイムが予め決められている第1の基板搬送手段と、を備えた処理ステーションと、
処理を終えた基板に対して検査を行い、検査に要する時間が互いに異なる複数の検査モジュールと、前記カセットステーションと処理ステーションとの間の基板の受け渡し、及び検査モジュールに対して基板の受け渡しを行う第2の基板搬送手段と、を備えた検査ステーションと、
前記処理ステーションにて処理された検査前の基板を前記第2の基板搬送手段に受け渡すための一方の受け渡しモジュール及び検査後の基板が第2の基板搬送手段から受け渡される他方の受け渡しモジュールと、
前記第2の基板搬送手段を制御する制御部と、を備え、
前記処理ステーションで処理を終えた基板の中には、一の検査モジュールにて検査が行われた後、当該検査とは異なる検査を行う他の検査モジュールにて検査が行われる基板が含まれ、
前記制御部は、第2の基板搬送手段に対して、
a)前記カセットステーションから処理ステーションへの間の基板の受け渡し及び処理ステーションからの基板の受け取りを優先し、
b)基板に割り当てられた処理の順番の小さい基板から検査モジュールに対して搬送スケジュールに基づいて搬入を行い、
c)一の検査モジュールにて検査が行われた後、当該検査と異なる検査を行う他の検査モジュールにて検査が行われない基板に対して、基板に割り当てられた処理の順番に拘わらず、検査が終了している基板を検査モジュールから前記他方の受け渡しモジュールに搬出する
ように制御する機能を備えていることを特徴とする塗布、現像装置。
【請求項2】
カセットステーション内の受け渡し手段と第2の基板搬送手段との間の基板の受け渡しのために設けられた一方の受け渡しモジュール及び他方の受け渡しモジュールを備え、
前記制御部は、処理ステーションにて処理を終えた基板をカセットに受け渡し、カセットから基板を取り出して前記一方の受け渡しモジュールに受け渡し、また検査が終了した基板を他方の受け渡しモジュールからカセットに受け渡すようにカセットステーション内の受け渡し手段を制御することを特徴とする請求項1記載の塗布、現像装置。
【請求項3】
前記制御部は、処理ステーションにて処理を終えた基板をカセットから取り出して前記一方の受け渡しモジュールに受け渡すように受け渡し手段を制御することを特徴とする請求項2記載の塗布、現像装置。
【請求項4】
前記制御部は、塗布、現像装置の外部から検査のために持ち込まれたカセットから基板を取り出して前記一方の受け渡しモジュールに受け渡すようにカセットステーション内の受け渡し手段を制御することを特徴とする請求項2記載の塗布、現像装置。
【請求項5】
前記カセットステーション内の受け渡し手段は、前記サイクルタイム内において前記一方または他方の受け渡しモジュールのどちらかに1回だけ基板の受け渡しができることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一つに記載の塗布、現像装置。
【請求項6】
カセットステーションからの基板は第2の基板搬送手段により処理ステーションの処理モジュールに受け渡され、
前記制御部は、カセットステーションからの基板を処理ステーションに搬送する搬送時間と、処理ステーションからの基板を受け取って搬送する搬送時間と、を前記サイクルタイムから差し引いた残り時間の中で、検査モジュールに対して基板の受け渡しを行うように第2の基板搬送手段を制御することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の塗布、現像装置。
【請求項7】
複数枚の基板を収納したカセットが載置され、カセットとの間で基板の受け渡しを行う受け渡し手段を備えたカセットステーションと、
カセットから取り出された基板に対してレジスト膜を形成するための処理モジュール及び現像のための処理モジュールが含まれる複数の処理モジュールと、これら処理モジュールに対し、循環路に沿って順次基板を搬送すると共に循環路を1周するサイクルタイムが予め決められている第1の基板搬送手段と、を備えた処理ステーションと、
この処理ステーションにて処理を終えた基板に対して検査を行い、検査に要する時間が互いに異なる複数の検査モジュールと、前記カセットステーションと処理ステーションとの間の基板の受け渡し、及び検査モジュールに対して基板の受け渡しを行う第2の基板搬送手段と、を備えた検査ステーションと、
前記処理ステーションにて処理された検査前の基板を前記第2の基板搬送手段に受け渡すための一方の受け渡しモジュール及び検査後の基板が第2の基板搬送手段から受け渡される他方の受け渡しモジュールと、を備え、
前記処理ステーションで処理を終えた基板の中には、一の検査モジュールにて検査が行われた後、当該検査とは異なる検査を行う他の検査モジュールにて検査が行われる基板が含まれる塗布、現像装置を制御する方法であって、
前記カセットステーションから処理ステーションへの基板の搬送準備を知らせるレディ信号が出力されたとき、または処理ステーションから搬送先への基板の搬送準備を知らせるレディ信号が出力されたときに、第2の基板搬送手段がその基板の搬送を優先して行う工程と、
基板に割り当てられた処理の順番の小さい基板から一の検査モジュールに対して、搬送スケジュールに基づいて搬入を行う工程と、
一の検査モジュールにて検査が行われた後、当該検査と異なる検査を行う他の検査モジュールにて検査が行われない基板に対して、基板に割り当てられた処理の順番に拘わらず、検査が終了している基板を検査モジュールから前記他方の受け渡しモジュールに搬出する工程と、を含むことを特徴とする塗布、現像装置の制御方法。
【請求項8】
カセットステーション内の受け渡し手段と第2の基板搬送手段との間の基板の受け渡しのために一方の受け渡しモジュール及び他方の受け渡しモジュールが設けられ、
処理ステーションにて処理を終えた基板を受け渡し手段によりカセットに受け渡す工程と、
カセットから基板を取り出して前記一方の受け渡しモジュールに受け渡す工程と、
検査が終了した基板を受け渡し手段により他方の受け渡しモジュールからカセットに受け渡す工程と、
を含むことを特徴とする請求項7記載の塗布、現像装置の制御方法。
【請求項9】
前記一方の受け渡しモジュールに受け渡される基板は、塗布、現像装置の外部から検査のために持ち込まれたカセットから取り出された基板であることを特徴とする請求項8記載の塗布、現像装置の制御方法。
【請求項10】
前記一方の受け渡しモジュールに受け渡される基板は、処理ステーションで処理された基板であることを特徴とする請求項8記載の塗布、現像装置の制御方法。
【請求項11】
前記カセットステーション内の受け渡し手段は、前記サイクルタイム内において前記一方または他方の受け渡しモジュールのどちらかに1回だけ基板の受け渡しができることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか一つに記載の塗布、現像装置の制御方法。
【請求項12】
カセットステーションからの基板は第2の基板搬送手段により処理ステーションの処理モジュールに受け渡され、
検査モジュールに対して基板の受け渡しを行う工程は、カセットステーションからの基板を処理ステーションに搬送する搬送時間と処理ステーションからの基板を受け取って搬送する搬送時間とを前記サイクルタイムから差し引いた残り時間の中で行われることを特徴とする請求項7ないし11のいずれか一つに記載の塗布、現像装置の制御方法。
【請求項13】
基板に対するレジストの塗布、レジストが塗布されかつ露光された後の基板に対する現像を行う塗布、現像装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項8ないし12のいずれか一つに記載の塗布、現像装置の制御方法を実施するためのものであることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−211218(P2011−211218A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124633(P2011−124633)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【分割の表示】特願2006−113331(P2006−113331)の分割
【原出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】