説明

塗布方法および塗料塗布装置

【課題】
塗布膜厚ムラが小さなウェブを得ることができる塗料塗布装置を提供すること。
【解決手段】
ウェブ上の塗布膜厚を検出する塗布膜厚計と、その結果に基づいて塗布装置上流側にある搬送ロールの高さを調整して塗布膜厚を自動制御する塗布装置からなる構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布方法および塗料塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連続して走行するウェブの表面に、例えば連続製膜されている樹脂フィルムの表面に塗料を塗布する装置として、メタリングバー方式の塗布装置が知られている。この塗布装置においては、例えば図1に示すように走行するウェブ101にファウンテン102から吐出された塗料103を過剰に塗布し、余剰の塗料をメタリングバー104で掻き落とし、所定の塗布厚みに計量しながらウェブ表面に塗膜105を形成する。
【0003】
本発明者らの知見によれば、このような塗料の塗布においては、メタリングバー104で余剰の塗料が掻き落とされるが、メタリングバーを据付固定するメタリングバー架台の幅方向左右の高さの走行するウェブに対する位置が崩れると幅方向で塗料の掻き落とされる量が変化してしまい、均一な塗布厚みが得られない。本発明者らの知見によれば、このような場合において、メタリングバー架台の左右の高さの調整は作業者がスケールを見ながら手動で行うしかなく、幅方向で均一な塗布厚みが得られるかどうかは、作業者の熟練度合いに依存しているのが現状である。
【0004】
また、メタリングバーが目詰まりすることや、塗料温度の変化により塗料粘度が変化するため、幅方向全体で見た塗布厚さが当初目標としていた塗布厚みから経時で変動してしまうこともある。
【0005】
本発明者らの知見によれば、現行では上述の課題の解決策として、それぞれメタリングバー交換、および作業者によりメタリングバー架台高さの調整を実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−102765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが従来の解決策による方法では、調整アクションに時間を要するため、その間、製品が採取できなくなる問題があった。一方、本発明者らは、メタリングバー架台高さの自動調整により幅方向の塗布厚みを自動制御することを試みたが、走行するウェブとメタリングバーの架台の間隙を直接的に制御するには、非常に高精度な高さ方向位置の制御が必要であり、0.1μmのオーダーで水膜厚みを制御することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、連続して走行するウェブに塗料を塗布し、過剰に塗布された塗料をメタリングバーで掻き落として所定厚みに塗液を塗布する方法において、メタリングバーのウェブ走行方向直下流側に位置するウェブ上の塗布膜厚を検出し、その結果に基づいて塗布装置上流側にある搬送ロールの高さを調整して塗布条件を制御する塗布方法を提供する。
【0009】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記の塗料塗布装置におけるメタリングバーの上流側からメタリングバーまで搬送されるウェブが最初に接する接点とメタリングバーの中心点とを結ぶ直線と、メタリングバーの下流側へ搬送されるウェブがメタリングバーから初めて離間する接点とメタリングバーの中心点とを結ぶ直線が成す抱き角θ[°]が下記範囲となる塗布方法を提供する。
【0010】
1.0°< θ < 5.0°
また、本発明の好ましい形態によれば、前記の塗料塗布装置におけるメタリングバーの上流側からメタリングバーまで搬送されるウェブが最初に接する接点とメタリングバーの中心点とを結ぶ直線と、メタリングバーの下流側へ搬送されるウェブがメタリングバーから初めて離間する接点とメタリングバーの中心点とを結ぶ直線が成す抱き角θ[°]と、ウェブの搬送張力、塗料粘度、メタリングバー径などに依存し、実験的に定めることができる係数W0[μm]、α[-]と塗布厚みW[μm]との関係が下記式で表される塗布方法を提供する。
【0011】
W = W0 ・ COS(αθ)
また、本発明の好ましい形態によれば、前記の抱き角について、前記の塗料塗布装置上を搬送されるウェブの左右それぞれの端部より150mm内側の位置における抱き角θ1[°]、θ2[°]の差の絶対値|θ1−θ2|が下記範囲となる塗布方法を提供する。
【0012】
0° ≦ |θ1−θ2| < 0.5°
また、本発明の好ましい形態によれば、前記の塗布膜厚測定に赤外線吸収型水分計を用いる塗布方法を提供する。
【0013】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記の塗液がポリエステル樹脂の水性塗料およびアクリル樹脂を主成分とする水性塗料である塗布方法を提供する。
【0014】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記の塗液がポリエステル樹脂の水性塗料およびアクリル樹脂を主成分とする水性塗料であり、その粘度が5〜200cPである塗布方法を提供する。
【0015】
また、本発明の別の形態によれば、連続して走行するウェブに塗料を塗布し、過剰に塗布された塗料をメタリングバーで掻き落として所定厚みに塗液を塗布する方法に用いられる装置であって、装置上流側に搬送ロールの両端高さを独立に調整する手段と、メタリングバーのウェブ走行方向直下流側に位置する塗料が塗布されたウェブの幅方向の両端部の塗料の塗布膜厚を搬送されるウェブの左端、右端のそれぞれ内側150mmの位置で測定する塗布膜厚測定手段の両方を備え、塗布膜厚測定手段の測定結果に基づいて搬送ロールの両端高さを独立に調整する手段を制御する塗料塗布装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、塗布装置上流側にある搬送ロールの高さを自動調整することで、得られる塗布膜の品質の安定化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来技術の塗布装置を示す側面図である。
【図2】本発明の塗布装置を示す側面図である。
【図3】ウェブの抱き角を示す、塗布装置の要部側面図である。
【図4】抱き角と塗布厚みの関係図である。
【図5】本発明における塗布厚み制御のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について以下に説明する。
【0019】
図2に本発明の実施の形態のメタリングバー方式の塗料塗布装置の構成を示す。ウェブ201はテンター202の張力により搬送され、搬送ロール203とメタリングバー204により支持されている。この走行するウェブ201にファウンテン205から吐出される塗料206を過剰に塗布し、余剰の塗料をメタリングバー204で掻き落とし、所定の塗布厚みに計量しながらウェブ表面に塗膜207を形成する。ウェブ表面の塗膜207の厚みはファウンテン上流側に位置する搬送ロール203の高さをエアシリンダー208のシリンダー圧を変えることで変動する。そのウェブ表面の塗膜207はメタリングバー下流側に位置する塗布膜厚計209で計測され、塗布膜厚計209の測定値を入力する制御装置210の搬送ロール高さ補正演算器211で搬送ロール203の高さ目標値―実測値から高さ補正値を演算し、塗布膜厚を調整するための補正計算を行う。この補正値によりエアシリンダー208を介し搬送ロール203の高さを調整することで、塗布膜厚を制御する。また、ウェブ表面に形成された塗布膜207はテンター202内で乾燥される。
【0020】
本発明者らの知見によれば、このような塗料の塗布においては図3で示すようにメタリングバー302の上流側からメタリングバー302まで搬送されるウェブ301が最初に接する接点とメタリングバー302の中心点とを結ぶ直線と、メタリングバー302の下流側へ搬送されるウェブ301がメタリングバー302から初めて離間する接点とメタリングバー302の中心点とを結ぶ直線が成す抱き角θ[°]と塗布厚みW[μm]との間に、図4および表1に示すような下式(1)で表される関係がある。
【0021】
W = W0・COS(α・θ) (1)
W0[μm]:抱き角θを0°に設定して計測される塗布厚みであり、ウェブの搬送張力、塗料粘度、メタリングバー径などに依存し、実験的に定めることができる係数である。
α[-]:ウェブの搬送張力および塗料粘度、メタリングバー径などに依存し、実験的に定めることができる係数である。抱き角θ=5°での塗布厚みを測定し、W0と式(1)から決定する。
【0022】
【表1】

【0023】
このとき、搬送されるウェブ201の左右両端部それぞれの内側150mmの位置の塗布膜厚の測定結果に基づき搬送ロール203の両端高さを独立に調整することになるが、ロールの幅方向の水平度が狂うことで、搬送されるウェブ201が蛇行するなど、前後の別の搬送ロールへの影響が懸念される。ただ、今回のように0.1μmオーダーの塗布厚み調整という、非常に微細な調整を行うケースにおいて生じるロール水平度の、水平状態からのズレは非常に軽微なものであり、また、水平度の傾きを制限する意味でロール両端の抱き角の差に上限規定を設けることで、ウェブの蛇行等の問題が生じることはない。
【0024】
本実施の形態の制御のフローチャートは図5の通りである。図2において、まず、搬送ロール203の高さを、メタリングバー204の下流側のテンター202とメタリングバー204の頂点を結ぶ直線上にある高さ位置最高基準点より下の高さ位置に、かつ幅方向両端が同じ高さ位置となるように初期設定し、搬送されるウェブ201の左右端部から内側150mmの位置で測定される塗布膜厚の平均値が目標とする規格範囲の中心値付近になるようメタリングバー204の高さを手動で粗調整し塗布条件が整ったら、自動制御を有効にする。
【0025】
塗布膜厚計209のデータを制御装置210に送り、該制御装置では左右端部から内側150mmの位置各々の塗布膜厚データに基づき搬送ロール203の両端高さをそれぞれ自動調整するだけでウェブ201の上への塗布膜厚をなめらかに、かつ全幅方向に均一膜厚にコントロールすることができる。
【0026】
なお、塗布膜厚の補正は図5に示す通り、搬送されるウェブの左右端部から内側150mmの位置で測定される塗布膜厚の測定値が設定値より薄い場合は搬送ロール203の位置を高くし、塗布膜厚の測定値が設定値より厚い場合は搬送ロール203の位置を低くするように制御を行う。上記搬送ロール203の高さ補正値は塗布膜厚0.1μmのずれに対して0.3mmとし、1回の補正量は最大でも0.6mmとする。ここで、上記搬送ロール203の高さを急激に変化させないためには、1.0mmの高さ位置を変更する時間を10秒間以上に設定する必要がある。また、自動補正により左右の抱き角差(|θ1-θ2|が0.5°を超えてしまった場合は警報を発令し、再度、メタリングバー204の左右の高さバランスを手動で調整し直す。手動による再調整を行わずに搬送ロールの幅方向両端高さだけで塗布厚みを自動調整すると、搬送ロールの幅方向の高さの勾配がきつくなることで走行するウェブが蛇行し、シート上にキズが発生してしまう。
【0027】
以上の制御を行うことにより、作業者はウェブ201の上への塗料の塗布中に手動での調整を行う必要なく、高い精度で幅方向に均一な塗布厚みを得ることができ、作業者のスキルで品質が左右されることを避けることができる。更に、メタリングバー204の目詰まりなどによる経時での塗布厚み変動にも自動で対応可能である。
【0028】
また、粘度などの特性の違う塗料を使用する場合でも、ウェブ201の上への塗料の塗布膜厚変化に対する搬送ロール203の高さ位置の変化量をあらかじめ制御装置に設定しておくことで対応することが可能である。
【0029】
上記実施の形態によれば、塗料塗布膜厚を自動制御することで作業者のスキルに依存せず品質の安定化が図れる。また、塗料塗布後のウェブ201の左右端部からそれぞれ内側150mmの位置に設置された2台の塗布膜厚計209と対応させる形で搬送ロール203の幅方向端部の高さ位置を各個調整することで、ウェブ201の幅方向の塗布膜厚差を小さく調整することが可能である。
【0030】
また、メタリングバーの径や形状等については特に限定されるものではなく、最終塗布厚みに対応してメタリングバーの外周に所定の溝を幅方向に設けたものであったも、あるいはメタリングバーの外周に所定径のワイヤーを螺旋状に巻いたものであってもよいし、更に溝のない単なる丸棒でもよい。
【実施例】
【0031】
本発明における塗布膜厚の測定方法は以下の通りである。
塗布膜厚
クラボウ(株)ファイバー式水分計・塗布膜厚計RF−60を2台用い、それらを搬送されるウェブの左右端部のそれぞれ内側150mmの位置に設置し、塗布層を設けたウェブ2の赤外線吸収量から換算される水膜厚みを計測した。
【0032】
また、自動調整により生じる搬送ロール左右両端の抱き角差|θ1−θ2|の値は小さいほど望ましいが、その良否判断の指標を下記の通り定めた。
【0033】
○:0.0≦|θ1‐θ2|≦0.4μm
△:0.4<|θ1‐θ2|≦0.8μm
×:0.8μm<|θ1‐θ2|
[実施例1]
実質的に粒子を含まないPET(固有粘度0.65dl/g)ペレットを十分に真空乾燥した後、280℃の加熱された押出機に供給し、T字型口金よりシート状に押し付けた。このシートを表面温度50℃の鏡面ドラムに巻きつけて冷却固化せしめて未延伸PETフィルムを作成した。このPETフィルムを95℃の加熱ロール群を通過させながら長手方向に3.5倍に延伸し、一軸配向フィルムとし、走行するウェブにファウンテンから吐出される塗料を過剰に塗布し、余剰の塗料をメタリングバーで掻き落とし、所定の塗布厚みに計量しながらウェブ表面に塗膜を形成する方法において、そのウェブ表面の塗膜がメタリングバー下流側に位置する塗布膜厚計で計測され、塗布膜厚計の測定値を入力する制御装置の搬送ロール高さ補正演算器で搬送ロールの高さ目標値―実測値から高さ補正値を演算し、塗布膜厚を調整するための補正計算を行いこの補正値によりエアシリンダーを介し搬送ロールの高さ制御する塗布方法により下方片面に以下に示す水系塗料を塗布した。塗布後、連続的に端部をクリップで把持(はじ)しながら110℃の加熱ゾーンに導き、予熱、乾燥を経て幅方向に4.0倍延伸し、更に210℃の加熱ゾーンで5%弛緩させつつ熱処理を施し、基材PETフィルム厚みが190μm、乾燥後塗布厚みが0.1μm、積層PETフィルムを得た。水系塗料としては、ポリエステル樹脂を対象とした。
【0034】
このとき、塗布装置は搬送ロールの高さをメタリングバーの下流側のテンターとメタリングバーの頂点を結ぶ直線上にある高さ位置最高基準点より下の高さ位置に、かつ幅方向両端が同じ高さ位置となるように初期設定し、走行するウェブの左右端部から内側150mmの位置で測定される塗布膜厚の平均値が目標とする規格範囲の中心値付近になるようメタリングバーの高さを手動で粗調整し塗布条件が整ったら、自動制御を有効にする。塗布膜厚計のデータを制御装置に送り、該制御装置では左右端部から内側150mmの位置各々の塗布膜厚データに基づき搬送ロールの両端高さをそれぞれ自動調整する。
【0035】
塗布膜厚計により測定される塗布厚み測定結果を表2に示す。
[実施例2]
実施例1で最初に実施する手動によるメタリングバー架台高さ調整で、メタリングバー架台の高さを実施例1より高い位置で粗調整し、その後搬送ロール高さによる塗布厚みの自動調整を実施した。結果を表2に示す。
[実施例3]
実施例1で最初に実施する手動によるメタリングバー架台高さ調整で、実施例2とは逆にメタリングバー架台の高さを実施例1より低い位置で粗調整し、その後搬送ロール高さによる塗布厚みの自動調整を実施した。結果を表2に示す。
[実施例4]
実施例1で最初に実施する手動によるメタリングバー架台高さを調整することによる塗布厚みの粗調整において、故意に幅方向両端部の厚み差が大きくなるようにメタリングバー架台の高さ調整を行い、その後搬送ロール高さによる塗布厚みの自動調整を実施した。結果を表2に示す。
[実施例5]
実施例1で故意に目標とする規格範囲を薄めに設定し、その後搬送ロール高さによる塗布厚みの自動調整を実施した。結果を表2に示す。
[実施例6]
実施例1で故意に目標とする規格範囲を厚めに設定し、その後搬送ロール高さによる塗布厚みの自動調整を実施した。結果を表2に示す。
[比較例1]
インラインでの塗布膜厚制御方法として、実施例1で実施の搬送ロールの高さ位置を調整する機構の代わりに、塗布膜圧計で測定される塗布膜厚に応じて、メタリングバーと走行するウェブの間隙を変え塗布膜圧を調整するためにメタリングバーの両端高さを自動調整する機構を持つ塗布装置で塗布膜厚の自動制御を行った。結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例1の搬送ロールの高さ位置の塗布膜厚に応じた自動調整を行わず、塗布開始時に実施するメタリングバーの両端高さの手動調整のみによる塗布膜厚調整を実施した。結果を表2に示す。
【0036】
【表2】

【符号の説明】
【0037】
101:ウェブ
102:ファウンテン
103:塗料
104:メタリングバー
105:ウェブ表面の塗膜
201:ウェブ
202:テンター
203:搬送ロール
204:メタリングバー
205:ファウンテン
206:塗料
207:ウェブ表面の塗膜
208:エアシリンダー
209:塗布膜厚計
210:制御装置
211:搬送ロール高さ補正演算器
301:ウェブ
302:メタリングバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続して走行するウェブに塗料を塗布し、過剰に塗布された塗料をメタリングバーで掻き落として所定厚みに塗液を塗布する方法において、メタリングバーのウェブ走行方向直下流側に位置するウェブ上の塗布膜厚を検出し、その結果に基づいて塗布装置上流側にある搬送ロールの高さを調整して塗布条件を制御することを特徴とする塗布方法。
【請求項2】
前記の塗料塗布装置におけるメタリングバーの上流側からメタリングバーまで搬送されるウェブが最初に接する接点とメタリングバーの中心点とを結ぶ直線と、メタリングバーの下流側へ搬送されるウェブがメタリングバーから初めて離間する接点とメタリングバーの中心点とを結ぶ直線が成す抱き角θ[°]が下記範囲となる請求項1に記載の塗布方法。
1.0°< θ < 5.0°
【請求項3】
前記の塗料塗布装置におけるメタリングバーの上流側からメタリングバーまで搬送されるウェブが最初に接する接点とメタリングバーの中心点とを結ぶ直線と、メタリングバーの下流側へ搬送されるウェブがメタリングバーから初めて離間する接点とメタリングバーの中心点とを結ぶ直線が成す抱き角θ[°]と、ウェブの搬送張力、塗料粘度、メタリングバー径などに依存し、実験的に定めることができる係数W0[μm]、α[-]と塗布厚みW[μm]との関係が下記式で表される、請求項1および2に記載の塗布方法。
W = W0 ・ COS(αθ)
【請求項4】
前記の抱き角について、前記の塗料塗布装置上を搬送されるウェブの左右それぞれの端部より150mm内側の位置における抱き角θ1[°]、θ2[°]の差の絶対値|θ1−θ2|が下記範囲となる請求項2または3に記載の塗布方法。
0° ≦ |θ1−θ2| < 0.5°
【請求項5】
前記の塗布膜厚測定に赤外線吸収型水分計を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の塗布方法。
【請求項6】
前記の塗液がポリエステル樹脂の水性塗料およびアクリル樹脂を主成分とする水性塗料である請求項1〜5のいずれかに記載の塗布方法。
【請求項7】
前記の塗液がポリエステル樹脂の水性塗料およびアクリル樹脂を主成分とする水性塗料であり、その粘度が5〜200cPである請求項1〜6のいずれかに記載の塗布方法。
【請求項8】
連続して走行するウェブに塗料を塗布し、過剰に塗布された塗料をメタリングバーで掻き落として所定厚みに塗液を塗布する方法に用いられる装置であって、装置上流側に搬送ロールの両端高さを独立に調整する手段と、 メタリングバーのウェブ走行方向直下流側に位置する塗料が塗布されたウェブの幅方向の両端部の塗料の塗布膜厚を搬送されるウェブの左端、右端のそれぞれ内側150mmの位置で測定する塗布膜厚測定手段の両方を備え、塗布膜厚測定手段の測定結果に基づいて搬送ロールの両端高さを独立に調整する手段を制御する塗料塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−210587(P2012−210587A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77715(P2011−77715)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】