説明

塗布膜の乾燥方法および塗布膜の乾燥装置

【課題】 基板に塗布された塗布膜を乾燥させるための装置の小形化および装置コストの削減を図るとともに、乾燥された塗布膜に関して平坦性の低下および平坦性のばらつきを抑えることができる乾燥方法および塗布膜の乾燥装置を提供する。
【解決手段】 ステージ8によって基板2を保持し、プレート状ヒータ9によって、前記基板2に塗布されたインク膜3を、その上方から加熱し、これによってインク膜3を乾燥させる。しかもインク膜3の、乾燥のために加熱される被加熱領域26は、インク膜3の塗布領域22よりも小さい。すなわち、インク膜3を加熱するためのプレート状ヒータ9は、インク膜3の一部を加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に塗布された液体状の塗布膜を乾燥させる塗布膜の乾燥方法および塗布膜の乾燥装置に関する。本発明は、たとえば液晶表示装置のカラーフィルタの製造にあたって、カラーフィルタ用基板に塗布されたインク膜の乾燥に、好適に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板に塗布された液体状の塗布膜、たとえばレジスト膜を乾燥させる技術として、炉内ベーク方式、ホットプレート方式および減圧方式などが知られている。炉内ベーク方式を用いた技術では、ベーク炉とも呼ばれる加熱炉内に基板を配置して、基板に塗布された塗布膜を加熱して乾燥させる。ホットプレート方式を用いた技術では、ホットプレートとも呼ばれるプレートに基板を載置して、基板に塗布された塗布膜を加熱して乾燥させる。減圧方式を用いた技術では、密閉可能なチャンバ内に基板を配置して、チャンバ内を減圧し、これによって基板に塗布された塗布膜を減圧乾燥させる。
【0003】
これらの従来の技術には、塗布膜を乾燥させるための装置が大形化してしまうとともに、装置コストが増大してしまうという問題がある。炉内ベーク方式を用いた技術では、基板を収容可能な加熱炉が必要である。ホットプレート方式を用いた技術では、基板全体を均一に加熱するために、基板下面部の全体にわたって接触するようなホットプレートが必要である。減圧方式を用いた技術では、基板を収容可能なチャンバが必要である。それ故、これらの従来の技術では、塗布膜を乾燥させるための装置が大形化してしまうとともに、装置コストが増大してしまう。
【0004】
また、ホットプレート方式を用いた技術および減圧方式を用いた技術には、塗布膜が乾燥されたときに、乾燥された塗布膜における微小な塗布膜部分で、膜厚の不均一化および表面あれが生じてしまうという問題がある。換言すると、これらの従来の技術には、塗布膜部分における平坦性が低下してしまうという問題がある。
【0005】
ホットプレート方式を用いた技術では、基板を接触加熱し、この基板を介して塗布膜を加熱するので、塗布膜の温度が急激に上昇し、これによって塗布膜に含まれる溶媒が、その塗布膜の表面から急速に蒸発する。また、減圧方式を用いた技術では、減圧速度が大きいと、塗布膜に含まれる溶媒が、その塗布膜の表面から急速に蒸発する。これらの従来の技術では、塗布膜に含まれる溶媒の急速な蒸発に起因して、塗布膜部分で、膜厚の不均一化および表面あれが生じてしまい、塗布膜部分における平坦性が低下してしまう。
【0006】
塗布膜部分における平坦性の低下は、特に、液晶表示装置などに用いられるカラーフィルタでは、大きな問題となる。詳細に述べると、カラーフィルタとして、塗布膜であるインク膜がカラーフィルタ用基板に形成されたものがある。このようなカラーフィルタは、カラーフィルタ用基板に塗布された液体状のインク膜が乾燥される。インク膜が乾燥されたときに、1画素に相当するインク膜部分における平坦性が低下すると、このインク膜部分の一部の膜厚が所定の膜厚よりも小さいことに起因して、色抜けが発生することがある。この色抜けは、カラーフィルタの色特性の低下を招き、このカラーフィルタを用いた液晶表示装置の表示品質の低下を招く。
【0007】
炉内ベーク方式およびホットプレート方式のような加熱乾燥技術には、さらに、基板の面内で、塗布膜部分における平坦性にばらつきが生じてしまうという問題がある。これらの従来の技術では、基板の面内で基板の温度差が生じることによって、基板の面内で塗布膜の温度差が生じる。これによって基板の面内で、塗布膜に含まれる溶媒がその塗布膜の表面から蒸発する蒸発速度に差が生じて、基板の面内で塗布膜の乾燥速度に差が生じる。また、これらの従来の技術では、基板の面内で塗布膜上の揮発蒸気雰囲気の不均一さが生じる。これによっても、基板の面内で、塗布膜に含まれる溶媒がその塗布膜の表面から蒸発する蒸発速度に差が生じて、基板の面内で塗布膜の乾燥速度に差が生じる。それ故、塗布膜を均一に乾燥させることができず、基板の面内で塗布膜部分における平坦性にばらつきが生じてしまう。
【0008】
特に、基板からの取れ数を増やすために基板が大形化されると、基板に塗布された塗布膜全体を均一に乾燥させることが困難となる。したがって基板の面内で、塗布膜部分における平坦性にばらつきが生じやすくなる。
【0009】
平坦性の低下の問題および平坦性のばらつきの問題は、特許文献1に開示されている従来の技術を用いれば、解決することができる。この従来の技術では、貫通孔が形成された蒸発抑制カバーが設けられる。蒸発抑制カバーは、基板全体を、その基板の上方から覆うように設けられる。基板に塗布された塗布膜を加熱するとき、蒸発抑制カバーによって、塗布膜に含まれる溶媒がその塗布膜の表面から蒸発するのを抑制して、蒸発速度を制御する。このようにして基板の面内で蒸発速度の均一化を図り、これによって塗布膜を均一に乾燥させることができ、平坦性の低下および平坦性のばらつきを抑えることができる。
【0010】
しかしながら特許文献1の従来の技術を用いる場合、前述のように、基板全体を、その基板の上方から覆う蒸発抑制カバーが必要である。それ故、塗布膜を乾燥させるための装置がさらに大形化してしまうとともに、装置コストがさらに増大してしまうという問題がある。
【0011】
基板に塗布された塗布膜は、その塗布膜を乾燥させるための乾燥装置に基板が搬送されるまでに、ある程度、自然乾燥してしまう。このように塗布膜が自然乾燥された場合も、平坦性の低下の問題および平坦性のばらつきの問題が生じる。自然乾燥に起因する平坦性の低下の問題および平坦性のばらつきの問題は、特許文献2に開示されている従来の技術を用いれば、解決することができる。
【0012】
特許文献2の従来の技術は、カラーフィルタなどのフィルタを製造するためのフィルタ製造装置に関する。フィルタ製造装置は、基板にインクを着弾させるインク着弾手段と、基板に着弾されたインクを予備乾燥するインク予備乾燥手段と、基板に着弾されたインクを本乾燥するインク本乾燥手段とを有する。インク予備乾燥手段は、インク着弾手段の近傍に設けられる。フィルタ製造装置は、インク着弾手段で基板に着弾されたインクを、インク本乾燥手段によって本乾燥する前に、インク予備乾燥手段によって予備乾燥する。これによって、基板を搬送しているときに、インクが自然乾燥することを可及的に防止することができ、自然乾燥に起因する平坦性の低下および平坦性のばらつきを抑えることができる。
【0013】
しかしながら特許文献2の従来の技術では、インク予備乾燥手段として、ホットプレートが用いられているので、この従来の技術を用いても、平坦性の低下の問題および平坦性のばらつきの問題を十分に解決することはできない。すなわち、前述のホットプレート方式を用いた技術にように、塗布膜に含まれる溶媒の急速な蒸発に起因して、塗布膜部分で、膜厚の不均一化および表面あれが生じてしまい、塗布膜部分における平坦性が低下してしまう。また、塗布膜を均一に予備乾燥させることができず、基板の面内で塗布膜部分における平坦性にばらつきが生じてしまう。
【0014】
【特許文献1】特開2003−159558号公報
【特許文献2】特開2002−169013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、基板に塗布された塗布膜を乾燥させるための装置の小形化および装置コストの削減を図るとともに、乾燥された塗布膜に関して平坦性の低下および平坦性のばらつきを抑えることができる乾燥方法および塗布膜の乾燥装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、基板に塗布された液体状の塗布膜を乾燥させる塗布膜の乾燥方法であって、
塗布膜を、その上方から加熱して乾燥させ、かつ、塗布膜の、乾燥のために加熱される被加熱領域は、塗布膜の塗布領域よりも小さいことを特徴とする塗布膜の乾燥方法である。
【0017】
また本発明は、被加熱領域は、塗布領域を少なくとも2つ以上に分断することを特徴とする。
【0018】
また本発明は、被加熱領域は、塗布領域の中央部分を含むことを特徴とする。
また本発明は、被加熱領域の面積は、塗布領域の面積の20%以上に選ばれることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、基板に塗布された液体状の塗布膜を乾燥させる塗布膜の乾燥方法であって、
塗布膜を予備乾燥させる予備乾燥工程と、
予備乾燥工程の後に、予備乾燥された塗布膜を本乾燥させる本乾燥工程とを有し、
予備乾燥工程では、塗布膜を、その上方から加熱して予備乾燥させ、かつ、塗布膜の、予備乾燥のために加熱される被加熱領域は、塗布膜の塗布領域よりも小さいことを特徴とする塗布膜の乾燥方法である。
【0020】
また本発明は、予備乾燥工程では、被加熱領域は、塗布領域を少なくとも2つ以上に分断することを特徴とする。
【0021】
また本発明は、予備乾燥工程では、被加熱領域は、塗布領域の中央部分を含むことを特徴とする。
【0022】
また本発明は、予備乾燥工程では、被加熱領域の面積は、塗布領域の面積の20%以上に選ばれることを特徴とする。
【0023】
また本発明は、基板に塗布された液体状の塗布膜を乾燥させる塗布膜の乾燥装置であって、
基板を保持する保持手段と、
保持手段によって保持される基板に塗布された塗布膜を、その上方から加熱する加熱手段とを含み、
前記塗布膜の、加熱手段によって加熱される被加熱領域は、塗布膜の塗布領域よりも小さいことを特徴とする塗布膜の乾燥装置である。
【0024】
また本発明は、保持手段および加熱手段を相対的に移動させる移動手段をさらに含むことを特徴とする。
【0025】
また本発明は、移動手段は、保持手段を水平方向に移動させる水平移動機構および保持手段を鉛直軸線まわりに角変位させる角変位機構の少なくともいずれか一方であることを特徴とする。
【0026】
また本発明は、移動手段は、保持手段によって保持される基板と加熱手段との間の距離を調整する距離調整機構であることを特徴とする。
【0027】
また本発明は、加熱手段は、プレート状ヒータ、ロッドヒータおよび赤外線照射ランプの少なくともいずれか1つであることを特徴とする。
【0028】
また本発明は、前記塗布膜の乾燥装置と、
保持手段によって保持される基板に、液体状の塗布膜を塗布する塗布装置とを含むことを特徴とする塗布膜の塗布乾燥システムである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、基板に塗布された液体状の塗布膜を、その上方から加熱して乾燥させる。すなわち、非接触加熱によって塗布膜を乾燥させる。それ故、前記ホットプレート方式を用いた技術および減圧方式を用いた技術のように、塗布膜に含まれる溶媒が、急速に蒸発して、塗布膜が急激に乾燥されてしまうことが防がれる。したがって、塗布膜が乾燥されたときに、乾燥された塗布膜における微小な塗布膜部分で、膜厚の不均一化および表面あれが生じてしまうことが防がれ、塗布膜部分における平坦性の低下を抑えることができる。
【0030】
また、基板に塗布された液体状の塗布膜を、その上方から加熱して乾燥させるので、塗布膜は、その表面から乾燥が進み、まず平坦性の高い表面形状が決定される。この後、塗布膜は、その内部の乾燥が進む。このとき、塗布膜の表面形状は維持される。したがって乾燥された塗布膜における微小な塗布膜部分で、膜厚の不均一化および表面あれが生じてしまうことが防がれ、塗布膜部分における平坦性の低下を抑えることができる。
【0031】
塗布膜の、乾燥のために加熱される被加熱領域は、必ずしも、塗布膜の塗布領域と一致する必要はない。すなわち被加熱領域は、塗布領域よりも小さくてもよい。このような場合でも、塗布膜全体にわたってその表面から乾燥が進む。したがって基板の面内で塗布膜の乾燥速度に差が生じても、基板の面内で塗布膜部分における平坦性のばらつきを抑えることができる。
【0032】
被加熱領域は、塗布領域よりも小さいので、塗布膜を加熱するための加熱手段は、塗布膜の一部を加熱することができればよい。それ故、炉内ベーク方式を用いた技術のような、基板を収容可能な加熱炉が必要なく、ホットプレート方式を用いた技術のような、基板下面部の全体にわたって接触するようなホットプレートが必要なく、減圧方式を用いた技術のような、基板を収容可能なチャンバが必要ない。したがって、基板に塗布された塗布膜を乾燥させるための装置の小形化および装置コストの削減を図ることができる。
【0033】
つまり、基板に塗布された塗布膜を乾燥させるための装置の小形化および装置コストの削減を図るとともに、乾燥された塗布膜に関して平坦性の低下および平坦性のばらつきを抑えることができる。
【0034】
乾燥された塗布膜に関して平坦性の低下および平坦性のばらつきを抑えるにあたって、塗布領域の大きさに対する被加熱領域の大きさについては、選択の自由度が高い。それ故、塗布膜の塗布領域の大きさが異なっていても、共通の装置を用いることができる。したがって、塗布領域の大きさ毎に異なる装置を用意する必要がない。すなわち、装置の汎用性を高くすることができる。
【0035】
また本発明によれば、被加熱領域が塗布領域を少なくとも2つ以上に分断するので、被加熱領域を塗布領域よりも小さくしても、基板の面内で塗布膜の温度差を小さくすることができる。これによって、基板の面内で塗布膜の乾燥速度に差が生じることを抑えることができる。したがって基板の面内で塗布膜部分における平坦性のばらつきを、さらに抑えることができる。
【0036】
本発明において、塗布領域が基板に複数、存在する場合には、被加熱領域が、塗布領域を少なくとも2つ以上に分断するとは、被加熱領域が、各塗布領域をそれぞれ2つ以上に分断することを意味する。
【0037】
また本発明によれば、被加熱領域が塗布領域の中央部分を含むので、塗布領域の中央部分から両端部分に向かって、塗布膜の乾燥が対称的に進行する。それ故、基板の面内で塗布膜の乾燥速度の差を可及的に小さくすることができる。したがって基板の面内で塗布膜部分における平坦性のばらつきを、さらに抑えることができる。
【0038】
本発明において、塗布領域が基板に複数、存在する場合には、被加熱領域が、塗布領域の中央部分を含むとは、被加熱領域が、各塗布領域の中央部分を含むことを意味する。
【0039】
また本発明によれば、被加熱領域の面積が塗布領域の面積の20%以上に選ばれる。被加熱領域の面積が塗布領域の面積の20%未満であると、塗布領域のうち被加熱領域から離れた部分では、塗布膜の乾燥が進行するのに時間がかかる。それ故、前記離れた部分では、自然乾燥が進行してしまい、塗布膜部分における平坦性が低下する。被加熱領域の面積が塗布領域の面積の20%以上であることによって、前記離れた部分で自然乾燥が進行してしまうことが防がれ、前記離れた部分で塗布膜部分における平坦性の低下を抑えることができる。また、被加熱領域の面積が塗布領域の面積の20%以上であることによって、塗布膜の乾燥に必要な加熱時間を、短縮することができる。
【0040】
本発明において、塗布領域が基板に複数、存在する場合には、被加熱領域の面積が、塗布領域の面積の20%以上に選ばれるとは、各塗布領域について、被加熱領域の面積が、塗布領域の面積の20%以上に選ばれることを意味する。
【0041】
また本発明によれば、予備乾燥工程で、基板に塗布された塗布膜を予備乾燥させ、この予備乾燥工程の後に、本乾燥工程で、予備乾燥された塗布膜を本乾燥させる。したがって本乾燥工程に移るまでに、基板を搬送する過程で、塗布膜が自然乾燥することを可及的に防止することができ、自然乾燥に起因する平坦性の低下および平坦性のばらつきを抑えることができる。
【0042】
しかも予備乾燥工程では、基板に塗布された液体状の塗布膜を、その上方から加熱して乾燥させる。すなわち、非接触加熱によって塗布膜を乾燥させる。それ故、前記ホットプレート方式を用いた技術および減圧方式を用いた技術のように、塗布膜に含まれる溶媒が、急速に蒸発して、塗布膜が急激に乾燥されてしまうことが防がれる。したがって、塗布膜が乾燥されたときに、乾燥された塗布膜における微小な塗布膜部分で、膜厚の不均一化および表面あれが生じてしまうことが防がれ、塗布膜部分における平坦性の低下を抑えることができる。
【0043】
また予備乾燥工程では、基板に塗布された液体状の塗布膜を、その上方から加熱して乾燥させるので、塗布膜は、その表面から乾燥が進み、まず平坦性の高い表面形状が決定される。この後、塗布膜は、その内部の乾燥が進む。このとき、塗布膜の表面形状は維持される。したがって乾燥された塗布膜における微小な塗布膜部分で、膜厚の不均一化および表面あれが生じてしまうことが防がれ、塗布膜部分における平坦性の低下を抑えることができる。
【0044】
予備乾燥工程では、塗布膜の、乾燥のために加熱される被加熱領域は、必ずしも、塗布膜の塗布領域と一致する必要はない。すなわち被加熱領域は、塗布領域よりも小さくてもよい。このような場合でも、塗布膜全体にわたってその表面から乾燥が進む。したがって基板の面内で塗布膜の乾燥速度に差が生じても、基板の面内で塗布膜部分における平坦性のばらつきを抑えることができる。
【0045】
被加熱領域は、塗布領域よりも小さいので、塗布膜を加熱するための加熱手段は、塗布膜の一部を加熱することができればよい。それ故、炉内ベーク方式を用いた技術のような、基板を収容可能な加熱炉が必要なく、ホットプレート方式を用いた技術のような、基板下面部の全体にわたって接触するようなホットプレートが必要なく、減圧方式を用いた技術のような、基板を収容可能なチャンバが必要ない。したがって、基板に塗布された塗布膜を乾燥させるための装置の小形化および装置コストの削減を図ることができる。
【0046】
前述のように予備乾燥工程で、平坦性の高い表面形状が予め決定されるので、本乾燥工程で、前記従来の乾燥技術を用いても、乾燥された塗布膜に関して平坦性の低下および平坦性のばらつきを抑えることができる。本乾燥工程では、前記従来の乾燥技術を用いてもよいので、本乾燥のために、新たな設備投資をする必要がなく、コストを削減することができる。
【0047】
また本発明によれば、予備乾燥工程では、被加熱領域が塗布領域を少なくとも2つ以上に分断するので、被加熱領域を塗布領域よりも小さくしても、基板の面内で塗布膜の温度差を小さくすることができる。これによって、基板の面内で塗布膜の乾燥速度に差が生じることを抑えることができる。したがって基板の面内で塗布膜部分における平坦性のばらつきを、さらに抑えることができる。
【0048】
本発明において、塗布領域が基板に複数、存在する場合には、被加熱領域が、塗布領域を少なくとも2つ以上に分断するとは、被加熱領域が、各塗布領域をそれぞれ2つ以上に分断することを意味する。
【0049】
また本発明によれば、予備乾燥工程では、被加熱領域が塗布領域の中央部分を含むので、塗布領域の中央部分から両端部分に向かって、塗布膜の乾燥が対称的に進行する。それ故、基板の面内で塗布膜の乾燥速度の差を可及的に小さくすることができる。したがって基板の面内で塗布膜部分における平坦性のばらつきを、さらに抑えることができる。
【0050】
本発明において、塗布領域が基板に複数、存在する場合には、被加熱領域が、塗布領域の中央部分を含むとは、被加熱領域が、各塗布領域の中央部分を含むことを意味する。
【0051】
また本発明によれば、予備乾燥工程では、被加熱領域の面積が塗布領域の面積の20%以上に選ばれる。被加熱領域の面積が塗布領域の面積の20%未満であると、塗布領域のうち被加熱領域から離れた部分では、塗布膜の乾燥が進行するのに時間がかかる。それ故、前記離れた部分では、自然乾燥が進行してしまい、塗布膜部分における平坦性が低下する。被加熱領域の面積が塗布領域の面積の20%以上であることによって、前記離れた部分で自然乾燥が進行してしまうことが防がれ、前記離れた部分で塗布膜部分における平坦性の低下を抑えることができる。また、被加熱領域の面積が塗布領域の面積の20%以上であることによって、塗布膜の乾燥に必要な加熱時間を、短縮することができる。
【0052】
本発明において、塗布領域が基板に複数、存在する場合には、被加熱領域の面積が、塗布領域の面積の20%以上に選ばれるとは、各塗布領域について、被加熱領域の面積が、塗布領域の面積の20%以上に選ばれることを意味する。
【0053】
また本発明によれば、保持手段によって基板を保持し、加熱手段によって、前記基板に塗布された塗布膜を、その上方から加熱し、これによって塗布膜を乾燥させる。すなわち、非接触加熱によって塗布膜を乾燥させる。それ故、前記ホットプレート方式を用いた技術および減圧方式を用いた技術のように、塗布膜に含まれる溶媒が、急速に蒸発して、塗布膜が急激に乾燥されてしまうことが防がれる。したがって、塗布膜が乾燥されたときに、乾燥された塗布膜における微小な塗布膜部分で、膜厚の不均一化および表面あれが生じてしまうことが防がれ、塗布膜部分における平坦性の低下を抑えることができる。
【0054】
また、基板に塗布された液体状の塗布膜を、その上方から加熱して乾燥させるので、塗布膜は、その表面から乾燥が進み、まず平坦性の高い表面形状が決定される。この後、塗布膜は、その内部の乾燥が進む。このとき、塗布膜の表面形状は維持される。したがって乾燥された塗布膜における微小な塗布膜部分で、膜厚の不均一化および表面あれが生じてしまうことが防がれ、塗布膜部分における平坦性の低下を抑えることができる。
【0055】
塗布膜の、乾燥のために加熱される被加熱領域は、必ずしも、塗布膜の塗布領域と一致する必要はない。すなわち被加熱領域は、塗布領域よりも小さくてもよい。このような場合でも、塗布膜全体にわたってその表面から乾燥が進む。したがって基板の面内で塗布膜の乾燥速度に差が生じても、基板の面内で塗布膜部分における平坦性のばらつきを抑えることができる。
【0056】
被加熱領域は、塗布領域よりも小さいので、塗布膜を加熱するための加熱手段は、塗布膜の一部を加熱することができればよい。それ故、炉内ベーク方式を用いた技術のような、基板を収容可能な加熱炉が必要なく、ホットプレート方式を用いた技術のような、基板下面部の全体にわたって接触するようなホットプレートが必要なく、減圧方式を用いた技術のような、基板を収容可能なチャンバが必要ない。したがって、乾燥装置の小形化および装置コストの削減を図ることができる。
【0057】
つまり、乾燥装置の小形化および装置コストの削減を図るとともに、乾燥された塗布膜に関して平坦性の低下および平坦性のばらつきを抑えることができる。
【0058】
乾燥された塗布膜に関して平坦性の低下および平坦性のばらつきを抑えるにあたって、塗布領域の大きさに対する被加熱領域の大きさについては、選択の自由度が高い。それ故、塗布膜の塗布領域の大きさが異なっていても、共通の乾燥装置を用いることができる。したがって、塗布領域の大きさ毎に異なる乾燥装置を用意する必要がない。すなわち、乾燥装置の汎用性を高くすることができる。
【0059】
また本発明によれば、移動手段によって、保持手段および加熱手段を相対的に移動させることができる。それ故、保持手段によって保持される基板に塗布された塗布膜と、加熱手段との相対位置を変化させることができる。これによって、保持手段および加熱手段に関して、所望の位置関係を実現することができる。
【0060】
また本発明によれば、保持手段を水平方向に移動させる水平移動機構および保持手段を鉛直軸線まわりに角変位させる角変位機構の少なくともいずれか一方によって、移動手段が実現される。水平移動機構または角変位機構によって、保持手段を、加熱手段に対して移動させることによって、塗布領域の任意の部分を、被加熱領域として設定することができる。
【0061】
また本発明によれば、保持手段によって保持される基板と加熱手段との間の距離を調整する距離調整機構によって、移動手段が実現される。距離調整機構によって、基板と加熱手段との間の距離を調整することによって、加熱手段による塗布膜の加熱温度を変更することができる。また距離調整機構によって、基板と加熱手段との間の距離が調整されることによって、被加熱領域の大きさを変更することもできる。
【0062】
また本発明によれば、プレート状ヒータ、ロッドヒータおよび赤外線照射ランプの少なくともいずれか1つによって、加熱手段が実現される。このような加熱手段によって、平坦性に応じて、塗布膜の加熱温度および被加熱領域の大きさを設定することができる。
【0063】
また本発明によれば、保持手段によって保持される基板に、塗布装置によって液体状の塗布膜を塗布し、加熱手段によって、前記基板に塗布された塗布膜を、その上方から加熱し、これによって塗布膜を乾燥させる。このように、保持手段によって基板が保持された状態で、塗布膜の塗布および乾燥が行われる。それ故、基板に塗布膜を塗布してから、加熱手段による塗布膜の乾燥を開始するまでの間に、基板を搬送する必要がない。
【0064】
したがって基板に塗布膜を塗布してから、加熱手段による塗布膜の乾燥を開始するまでの間の時間を可及的に短くすることができる。これによって加熱手段による塗布膜の乾燥を開始するまでに、塗布膜が自然乾燥することを可及的に防止することができ、自然乾燥に起因する平坦性の低下および平坦性のばらつきを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
図1は、本発明の実施の一形態の乾燥装置1を簡略化して示す斜視図である。この乾燥装置1は、基板の厚み方向一方側の表面部に塗布された液体状の塗布膜を乾燥させる塗布膜の乾燥装置である。
【0066】
本実施の形態では、液晶表示装置などに用いられるカラーフィルタの製造工程で、カラーフィルタ用基板2の厚み方向D一方側の表面部に塗布されたインク膜3を乾燥させることを想定して説明する。本実施の形態においては、カラーフィルタ用基板2が基板に相当し、インク膜3が塗布膜に相当する。以下、カラーフィルタ用基板を、単に基板という。
【0067】
乾燥装置1は、乾燥装置本体6およびコントロールユニット7を含んで構成される。乾燥装置本体6は、保持手段、加熱手段および移動手段を有する。保持手段は、基板2を、この基板2の厚み方向D他方側から保持する。加熱手段は、保持手段によって保持される基板2に塗布されたインク膜3を、その上方から加熱する。すなわち加熱手段は、前記インク膜3を、このインク膜3に関して基板2とは反対側から非接触加熱する。移動手段は、保持手段および加熱手段を相対的に移動させる。コントロールユニット7は、移動手段に含まれる後述の水平移動機構12および角変位機構13を駆動制御する。
【0068】
このような乾燥装置1では、移動手段によって、保持手段および加熱手段を相対的に移動させて、保持手段によって保持される基板2と、加熱手段との相対位置を変化させることができる。これによって、保持手段および加熱手段に関して、所望の位置関係を実現することができる。
【0069】
詳細に述べると、保持手段は、ステージ8によって実現される。ステージ8は、基板2を水平に保持する。ステージ8は、基板2を真空引きすることによって、すなわち基板2を吸着することによって、その基板2を保持する。
【0070】
加熱手段は、プレート状ヒータ9、たとえばホットプレートによって実現される。プレート状ヒータ9は、発熱部分10、温度測定部および出力制御部を有する。発熱部分10は、熱を発生する部分であり、長尺板状に形成されている。発熱部分10は、ステージ8に対向するように設けられる。温度測定部は、発熱部分10の表面温度を測定し、測定結果を出力制御部に与える。出力制御部は、温度測定部から与えられる測定結果と予め定める設定温度とが一致するように、発熱部分10への出力を制御する。このようなプレート状ヒータ9は、発熱部分10の表面温度を、予め定める設定温度に、常に保つことができる。プレート状ヒータ9の設定温度は、操作者によって予め設定される。
【0071】
移動手段は、水平移動機構12、角変位機構13および距離調整機構14を有する。水平移動機構12は、ステージ8を水平方向に移動させる。水平移動機構12は、水平な仮想一平面内で直交するX方向およびY方向に、ステージ8を移動させる。角変位機構13は、ステージ8を鉛直軸線Lまわりに角変位させる。距離調整機構14は、プレート状ヒータ9の発熱部分10を鉛直方向Zに移動させて、プレート状ヒータ9の発熱部分10と、ステージ8との間の鉛直方向Zに関する距離を調整する。この距離調整機構14によって、ステージ8によって保持される基板2と、プレート状ヒータ9の発熱部分10との間の距離Hを調整する。
【0072】
コントロールユニット7は、信号ケーブル15を介して、水平移動機構12および角変位機構13に電気的に接続される。コントロールユニット7は、水平移動機構12および角変位機構13を駆動制御して、ステージ8と、プレート状ヒータ9の発熱部分10との相対的な位置を調整する。
【0073】
図2は、インク膜3が塗布されるべき基板2の正面図である。図3は、インク膜部分21の断面図である。インク膜3は、基板2の厚み方向D一方側の表面部に塗布される。本実施の形態では、1つの基板2に対して、インク膜3が塗布される塗布領域22は複数、たとえば5つ、存在する。各塗布領域22は、長方形であり、同一方向に延びる。
【0074】
各塗布領域22には、インク配置領域23が隣接して多数、形成されている。基板2の厚み方向D一方側の表面部には、バンク24が多数、設けられ、これらのバンク24によって、インク配置領域23が多数、形成されている。これらのインク配置領域23に対して、インクがそれぞれ配置される。前記バンク24は、インク配置領域23に配置された液体状のインクが、インク配置領域23の外に拡がることを防いでいる。つまり、基板2にバンク24が設けられることによって、所望のインク配置領域23にインクを配置することができる。
【0075】
塗布領域22の各インク配置領域23に対して、インクがそれぞれ配置される。これによって、基板2の厚み方向D一方側の表面部に、インク膜部分21が多数、形成される。各インク膜部分21を含んで、インク膜3が構成される。
【0076】
本実施の形態では、インク配置領域23に配置されるインクは、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のインクである。これらのインクは、所定のパターンで配置される。これらのインクは、インクジェット方式によって、配置される。インクジェット方式では、インクを吐出するインク吐出装置が用いられる。塗布装置であるインク吐出装置は、インクが収容されているインクジェットヘッドを有し、このインクジェットヘッドには、インク吐出用のノズルが多数、設けられている。ノズルから吐出されるインク量は、圧電素子などの動作によって制御される。
【0077】
図4〜図7は、ステージ8によって保持される基板2とプレート状ヒータ9の発熱部分10との位置関係を説明するための図であり、図4は乾燥装置本体6の簡略化した斜視図であり、図5は乾燥装置本体6の簡略化した平面図であり、図6は図5の矢符A方向から見た乾燥装置本体6の簡略化した側面図であり、図7は図5の矢符B方向から見た乾燥装置本体6の簡略化した側面図である。図8は、インク膜3の被加熱領域26を説明するための図であり、図8(1)は被加熱領域26および塗布領域22の位置関係を示し、図8(2)は基板2の温度分布を示す。図4〜図8を用いて、乾燥装置1を用いた乾燥方法を説明する。
【0078】
まず、ステージ8によって保持される基板2のインク配置領域23に、インクジェット方式によって、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のインクを配置する。このようにして、基板2にインク膜3を塗布する。次に、コントロールユニット7によって、水平移動機構12および角変位機構13を駆動制御して、ステージ8を所定位置に移動させる。この後、プレート状ヒータ9によってインク膜3を、その上方から所定時間、非接触加熱して乾燥させる。
【0079】
ステージ8が前記所定位置に移動されたとき、プレート状ヒータ9の発熱部分10は、ステージ8によって保持される基板2の上方に、配置される。プレート状ヒータ9の発熱部分10の長さ方向L10は、ステージ8によって保持される基板2の厚み方向Dに対して垂直である。したがってステージ8によって保持される基板2と、プレート状ヒータ9の発熱部分10との間の距離Hは、前記発熱部分10の長さ方向L10の全体にわたって同一となる。
【0080】
ステージ8によって保持される基板2と、プレート状ヒータ9の発熱部分10との間の距離Hは、距離調整機構14によって、予め設定される。ステージ8によって保持される基板2と、プレート状ヒータ9の発熱部分10との間の距離Hを調整することによって、基板2の加熱温度を調整することができる。
【0081】
プレート状ヒータ9においては、その発熱部分10の発熱によって室温以上となっている範囲を、プレート状ヒータ9の加熱可能範囲という。基板2の一表面を含む仮想一平面内で、前記加熱可能範囲に含まれる領域が、加熱領域27となる。プレート状ヒータ9の発熱部分10は平面であるので、基板2の一表面を含む仮想一平面内の加熱領域27は、プレート状ヒータ9の発熱部分10の平面形状とほぼ同一の形状となる。プレート状ヒータ9による加熱領域27は、基板2の一表面を含む仮想一平面内の長方形領域である。
【0082】
前記仮想一平面内で、加熱領域27の長さ方向L27は、塗布領域22の長さ方向L22に対して平行ではなく、本実施の形態では、図8(1)に示すように垂直である。塗布領域22の一部は、加熱領域27の一部と重なる。塗布領域22と加熱領域27とが重なる領域が、インク膜3の、乾燥のために加熱される被加熱領域26となる。
【0083】
各塗布領域22について、被加熱領域26は、インク膜の塗布領域22よりも小さい。本実施の形態では、各塗布領域22について、被加熱領域26の面積は、塗布領域22の面積の20%である。各塗布領域22について、被加熱領域26は、塗布領域22を2つに分断する。しかも各塗布領域22について、被加熱領域26は、塗布領域22の長さ方向L22の中央部分を含む。
【0084】
プレート状ヒータ9によってインク膜3を、その上方から非接触加熱しているとき、基板2の温度分布は、図8(2)のようになる。加熱領域27では、第1温度T1となる。加熱領域27から離れるにつれて、温度は低くなる。加熱領域27から最も離れた部分では、第1温度T1よりも低い第2温度T2(T2<T1)となる。加熱領域27から最も離れた部分であっても、室温Trよりも高い(T2>Tr)。
【0085】
図9は、乾燥途中のインク膜部分21の断面図である。インク膜部分21は、その上方から加熱されるので、インク膜部分21は、その表面から乾燥が進み、まずその表面側の部分31が乾燥される。これによって平坦性の高い表面形状が決定される。この後、インク膜部分21は、その内部32の乾燥が進む。このとき、インク膜部分21の表面形状は維持される。
【0086】
インク膜部分21における平坦性は、平坦度によって表すことができる。平坦度は、インク膜部分の平均膜厚に対する最大膜厚の割合とインク膜部分の平均膜厚に対する最小膜厚の割合との差によって表される。この差が小さいほど、平坦度が高い。平坦性のばらつきとは、このような平坦度のばらつきをいう。
【0087】
以上のような本実施の形態によれば、基板2に塗布された液体状のインク膜3を、その上方から加熱して乾燥させる。すなわち、非接触加熱によってインク膜3を乾燥させる。それ故、前記ホットプレート方式を用いた技術および減圧方式を用いた技術のように、インク膜3に含まれる溶媒が、急速に蒸発して、インク膜3が急激に乾燥されてしまうことが防がれる。したがって、インク膜3が乾燥されたときに、乾燥されたインク膜3における微小なインク膜部分21で、膜厚の不均一化および表面あれが生じてしまうことが防がれ、インク膜部分21における平坦性の低下を抑えることができる。
【0088】
また、基板2に塗布された液体状のインク膜3を、その上方から加熱して乾燥させるので、インク膜3は、その表面から乾燥が進み、まず平坦性の高い表面形状が決定される。この後、インク膜3は、その内部の乾燥が進む。このとき、インク膜3の表面形状は維持される。したがって乾燥されたインク膜3における微小なインク膜部分21で、膜厚の不均一化および表面あれが生じてしまうことが防がれ、インク膜部分21における平坦性の低下を抑えることができる。
【0089】
インク膜3の、乾燥のために加熱される被加熱領域26は、必ずしも、インク膜3の塗布領域22と一致する必要はない。すなわち被加熱領域26は、塗布領域22よりも小さくてもよい。このような場合でも、インク膜3全体にわたってその表面から乾燥が進む。したがって基板2の面内でインク膜3の乾燥速度に差が生じても、基板2の面内でインク膜部分21における平坦性のばらつきを抑えることができる。
【0090】
このように乾燥されたインク膜3に関して平坦性の低下および平坦性のばらつきを抑えることができるので、インク膜部分21の一部の膜厚が所定の膜厚よりも小さいことに起因して、透過光を照射したときに、色抜けなどの不良が発生してしまうことを防ぐことができる。したがってカラーフィルタの色特性を高くし、このカラーフィルタを用いた液晶表示装置の表示品質を高くすることができる。
【0091】
被加熱領域26は、塗布領域22よりも小さいので、プレート状ヒータ9は、インク膜3の一部を加熱することができればよい。それ故、炉内ベーク方式を用いた技術のような、基板2を収容可能な加熱炉が必要なく、ホットプレート方式を用いた技術のような、基板2下面部の全体にわたって接触するようなホットプレートが必要なく、減圧方式を用いた技術のような、基板2を収容可能なチャンバが必要ない。したがって、乾燥装置1の小形化および装置コストの削減を図ることができる。
【0092】
つまり、乾燥装置1の小形化および装置コストの削減を図るとともに、乾燥されたインク膜3に関して平坦性の低下および平坦性のばらつきを抑えることができる。
【0093】
乾燥されたインク膜3に関して平坦性の低下および平坦性のばらつきを抑えるにあたって、塗布領域22の大きさに対する被加熱領域26の大きさについては、選択の自由度が高い。それ故、インク膜3の塗布領域22の大きさが異なっていても、共通の乾燥装置1を用いることができる。したがって、塗布領域22の大きさ毎に異なる乾燥装置1を用意する必要がない。すなわち、乾燥装置1の汎用性を高くすることができる。
【0094】
また基板2に塗布された液体状のインク膜3を、その上方から加熱して乾燥させるので、基板2を加熱しなくてもよい。したがって基板2を搬出するときに、基板2に蓄熱されて廃熱されることを抑えることができ、これによって乾燥のために必要なエネルギを削減し、運転コストを削減することができる。
【0095】
また本実施の形態によれば、被加熱領域26が塗布領域22を2つに分断するので、被加熱領域26を塗布領域22よりも小さくしても、基板2の面内でインク膜3の温度差を小さくすることができる。これによって、基板2の面内でインク膜3の乾燥速度に差が生じることを抑えることができる。したがって基板2の面内でインク膜部分21における平坦性のばらつきを、さらに抑えることができる。
【0096】
また本実施の形態によれば、被加熱領域26が塗布領域22の中央部分を含むので、塗布領域22の中央部分から両端部分に向かって、インク膜3の乾燥が対称的に進行する。それ故、基板2の面内でインク膜3の乾燥速度の差を可及的に小さくすることができる。したがって基板2の面内でインク膜部分21における平坦性のばらつきを、さらに抑えることができる。
【0097】
また本実施の形態によれば、被加熱領域26の面積が塗布領域22の面積の20%である。被加熱領域26の面積が塗布領域22の面積の20%未満であることによって、塗布領域22のうち被加熱領域26から離れた部分では、インク膜3の乾燥が進行するのに時間がかかる。それ故、前記離れた部分では、自然乾燥が進行してしまい、インク膜部分21における平坦性が低下する。
【0098】
本実施の形態において、自然乾燥とは、基板2が処理される室内環境下での乾燥をいう。詳しくは、自然乾燥とは、前記室内環境下における室温、たとえば25℃での乾燥をいう。
【0099】
被加熱領域26の面積が塗布領域22の面積の20%以上であることによって、前記離れた部分で自然乾燥が進行してしまうことが防がれ、前記離れた部分でインク膜部分21における平坦性の低下を抑えることができる。また、被加熱領域26の面積が塗布領域22の面積の20%以上であることによって、インク膜3の乾燥に必要な乾燥時間を、短縮することができる。
【0100】
被加熱領域26の面積は、塗布領域22の面積の20%以上50%以下に選ばれることが好ましい。20%以上50%以下に選ばれることによって、前記離れた部分でインク膜部分21における平坦性の低下を抑えたうえで、乾燥装置1を確実に小形化することができる。
【0101】
また本実施の形態によれば、水平移動機構12および角変位機構13によって、ステージ8を、プレート状ヒータ9の発熱部分10に対して移動させることができる。したがってステージ8を、プレート状ヒータ9の発熱部分10に対して移動させることによって、塗布領域22の任意の部分を、被加熱領域26として設定することができる。
【0102】
また前述のようにステージ8を、プレート状ヒータ9の発熱部分10に対して移動させることができる。それ故、プレート状ヒータ9の発熱部分10とインク吐出装置のインクジェットヘッドとが、ステージ8の上方に隣接して設けられる場合、基板2にインク膜3を塗布した後、ステージ8を直ちに移動させて、プレート状ヒータ9によってインク膜3を乾燥させることができる。したがって基板2に塗布されたインク膜3が自然乾燥するを可及的に防止することができる。
【0103】
また本実施の形態によれば、距離調整機構14によって、ステージ8によって保持される基板2とプレート状ヒータ9の発熱部分10との間の距離Hを調整することによって、加熱温度を変更することができる。また距離調整機構14によって、ステージ8によって保持される基板2とプレート状ヒータ9の発熱部分10との間の距離Hを調整することによって、被加熱領域26の大きさを変更することもできる。
【0104】
前述の実施の形態では、基板2に塗布されたインク膜3を、乾燥装置1によって完全に乾燥させるけれども、本発明の実施の他の形態の乾燥方法では、まず、基板2に塗布されたインク膜3を、前記乾燥装置1によって予備乾燥させ、この後、予備乾燥されたインク膜3を、前記乾燥装置1または他の乾燥装置によって本乾燥させる。つまり本実施の形態の乾燥方法は、インク膜3を予備乾燥させる予備乾燥工程と、予備乾燥工程の後に、予備乾燥されたインク膜3を本乾燥させる本乾燥工程とを有する。
【0105】
本実施の形態では、基板2に塗布されたインク膜3を、前記乾燥装置1によって予備乾燥させた後、基板2を、たとえばホットプレート上に載置して接触加熱して、インク膜3を本乾燥させる。本乾燥されたインク膜3は、流動性を示さない。予備乾燥されたが本乾燥されていないインク膜3は、流動性を示す。予備乾燥されたが本乾燥されていないインク膜3は、その表面側の部分が乾燥されているけれども、内部はまだ乾燥されていない。
【0106】
このような本実施の形態によれば、予備乾燥工程で、基板2に塗布されたインク膜3を予備乾燥させ、この予備乾燥工程の後に、本乾燥工程で、予備乾燥されたインク膜3を本乾燥させる。したがって本乾燥工程に移るまでに、基板2を搬送する過程で、インク膜3が自然乾燥することを可及的に防止することができ、自然乾燥に起因する平坦性の低下および平坦性のばらつきを抑えることができる。
【0107】
予備乾燥工程では、前記乾燥装置1が用いられるので、前述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また予備乾燥工程で、平坦性の高い表面形状が予め決定されるので、本乾燥工程で、前記従来の乾燥技術を用いても、乾燥されたインク膜3に関して平坦性の低下および平坦性のばらつきを抑えることができる。本乾燥工程で、基板2をたとえばホットプレート状に載置して加熱したときに、基板2の反りなどによって基板2が不均一に加熱されたとしても、乾燥されたインク膜3に関して平坦性の低下および平坦性のばらつきを抑えることができる。本乾燥工程では、前記従来の乾燥技術を用いてもよいので、本乾燥のために、新たな設備投資をする必要がなく、コストを削減することができる。
【0108】
図10は、乾燥装置1およびインク吐出装置を含む塗布乾燥システムを用いて行われるインク膜3の塗布乾燥方法の一例を説明するためのフローチャートである。ステージ8に基板2が載置されると、ステップc0で、インク膜3の塗布乾燥処理が開始される。
【0109】
次のステップc1では、インク吐出装置によって、基板2のインク配置領域23に赤色(R)のインクが配置される。このようにして、基板2に、赤色(R)のインク膜3が塗布される。この後、ステップc2では、乾燥装置1によって、赤色(R)のインク用の所定の加熱温度で、前記インク膜3を10分間、加熱して本乾燥させる。
【0110】
次のステップc3では、インク吐出装置によって、基板2のインク配置領域23に緑色(G)のインクが配置される。このようにして、基板2に、緑色(G)のインク膜3が塗布される。この後、ステップc4では、乾燥装置1によって、緑色(G)のインク用の所定の加熱温度で、前記インク膜3を10分間、加熱して本乾燥させる。
【0111】
次のステップc5では、インク吐出装置によって、基板2のインク配置領域23に青色(B)のインクが配置される。このようにして、基板2に、青色(B)のインク膜3が塗布される。この後、ステップc6では、乾燥装置1によって、青色(B)のインク用の所定の加熱温度で、前記インク膜3を10分間、加熱して本乾燥させる。次のステップc7では、インク膜3の塗布乾燥処理が終了される。
【0112】
基板2には、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のインクを、隣り合わせるように配置する。各色のインクは、成分がそれぞれ異なり、各色のインク毎に、乾燥させるための乾燥条件は異なる。図10に示す塗布乾燥方法では、各色のインク膜3を、それらに応じた所定の乾燥条件でそれぞれ乾燥させるために、インクを配置するインク配置工程とインク膜3を本乾燥させる本乾燥工程とを繰り返し行う。図10に示す塗布乾燥方法では、乾燥に要する時間は、30分間となる。
【0113】
図11は、乾燥装置1およびインク吐出装置を含む塗布乾燥システムを用いて行われるインク膜3の塗布乾燥方法の他の例を説明するためのフローチャートである。ステージ8に基板2が載置されると、ステップd0で、インク膜3の塗布乾燥処理が開始される。
【0114】
次のステップd1では、インク吐出装置によって、基板2のインク配置領域23に赤色(R)のインクが配置される。このようにして、基板2に、赤色(R)のインク膜3が塗布される。この後、ステップd2では、乾燥装置1によって、赤色(R)のインク用の所定の加熱温度で、前記インク膜3を5分間、加熱して予備乾燥させる。
【0115】
次のステップd3では、インク吐出装置によって、基板2のインク配置領域23に緑色(G)のインクが配置される。このようにして、基板2に、緑色(G)のインク膜3が塗布される。この後、ステップd4では、乾燥装置1によって、緑色(G)のインク用の所定の加熱温度で、前記インク膜3を5分間、加熱して予備乾燥させる。
【0116】
次のステップd5では、インク吐出装置によって、基板2のインク配置領域23に青色(B)のインクが配置される。このようにして、基板2に、青色(B)のインク膜3が塗布される。この後、ステップd6では、乾燥装置1によって、青色(B)のインク用の所定の加熱温度で、前記インク膜3を10分間、加熱して本乾燥させる。次のステップc7では、インク膜3の塗布乾燥処理が終了される。
【0117】
図11に示す塗布乾燥方法では、赤色(R)および緑色(G)のインク膜3は、予備乾燥されるので、乾燥されたインク膜3に関して平坦性の低下および平坦性のばらつきを抑えることができる。また図11に示す塗布乾燥方法では、乾燥に要する時間は、20分間となる。つまり、乾燥されたインク膜3に関して平坦性の低下および平坦性のばらつきを抑えるたうえで、前記図10に示す塗布乾燥方法に比べて乾燥に要する時間を短縮することができる。特に、完全に乾燥させるために要する時間が長いインクを用いる場合には、予備乾燥による乾燥時間の短縮の効果が高まる。
【0118】
前述の実施の各形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において構成を変更することができる。たとえば、前述の実施の各形態において、プレート状ヒータ9に代えて、ロッドヒータ41を、加熱手段として用いてもよい。
【0119】
図12は、加熱手段としてロッドヒータ41を用いた場合の、乾燥装置本体6の簡略化した側面図であり、図12(1)はステージ8によって保持される基板2とロッドヒータ41の発熱部分42との間の距離Hが予め定める第1距離H1に設定された状態を示し、図12(2)はステージ8によって保持される基板2とロッドヒータ41の発熱部分42との距離Hが第1距離H1よりも小さい第2距離H2(H2<H1)に設定された状態を示す。
【0120】
ロッドヒータ41は、プレート状ヒータ9に類似するので、異なる部分だけを説明して、同様の部分の説明は省略する。ロッドヒータ41は、プレート状ヒータ9における長尺板状の発熱部分10に代えて、円筒状の発熱部分42を有する。
【0121】
ロッドヒータ41の発熱部分42は、その表面が曲面である。この発熱部分42からの熱は、外方に向かって放射状に移動する。したがって温度分布は同心円状となる。このようなロッドヒータ41においては、その発熱部分42の発熱によって室温以上となっている範囲を、ロッドヒータ41の加熱可能範囲43という。基板2の一表面を含む仮想一平面内で、前記加熱可能範囲43に含まれる領域が、加熱領域27となる。
【0122】
ステージ8によって保持される基板2とロッドヒータ41の発熱部分42との間の距離Hを、第1距離H1から第2距離H2に変更すると、加熱領域27が大きくなる。ステージ8によって保持される基板2とロッドヒータ41の発熱部分42との間の距離Hを、第2距離H2から第1距離H1に変更すると、加熱領域27が小さくなる。このように、ステージ8によって保持される基板2とロッドヒータ41の発熱部分42との間の距離Hを、小さくすると、加熱領域27が大きくなる。ステージ8によって保持される基板2とロッドヒータ41の発熱部分42との間の距離Hを、大きくすると、加熱領域27が小さくなる。つまり、ステージ8によって保持される基板2とロッドヒータ41の発熱部分42との間の距離Hを調整することによって、ロッドヒータ41の設定温度を変更することなく、加熱領域27の大きさを自由に変更することができる。
【0123】
またロッドヒータ41の設定温度を変更することによって、ロッドヒータ41の加熱可能範囲43の大きさを変更し、これによって加熱領域27の大きさを自由に変更することができる。つまりロッドヒータ41の設定温度を変更することによって、ステージ8によって保持される基板2とロッドヒータ41の発熱部分42との間の距離Hを調整することなく、加熱領域27の大きさを自由に変更することができる。
【0124】
また前述の実施の各形態において、プレート状ヒータ9に代えて、赤外線照射ランプを、加熱手段として用いてもよい。また加熱手段は、プレート状ヒータ、ロッドヒータおよび赤外線照射ランプのいずれか1つが複数、設けられることによって実現されてもよい。また加熱手段は、プレート状ヒータ、ロッドヒータおよび赤外線照射ランプを組み合せることによって実現されてもよい。加熱手段は、基板2に塗布されたインク膜3をその上方から非接触加熱することができる手段であればよい。
【0125】
被加熱領域26の大きさおよび加熱温度は、加熱手段の発熱部分の大きさ、個数および形状によって設定することができる。被加熱領域26の大きさおよび加熱温度は、加熱手段の発熱部分と基板2との間の距離によって設定することもできる。したがって、乾燥されたインク膜3に求められている平坦性に応じた被加熱領域26の大きさおよび加熱温度に、設定することが可能である。
【0126】
また前述の実施の各形態では、被加熱領域26は、塗布領域22を2つに分断するけれども、被加熱領域26は、塗布領域22を3つ以上に分断してもよい。被加熱領域26が塗布領域22を少なくとも2つ以上に分断する場合は、被加熱領域26を塗布領域22よりも小さくしても、基板2の面内でインク膜3の温度差を小さくすることができる。これによって、基板2の面内でインク膜3の乾燥速度に差が生じることを抑えることができる。したがって基板2の面内でインク膜部分21における平坦性のばらつきを、さらに抑えることができる。
【0127】
前述の実施の各形態では、インクジェット方式によって、基板2のインク配置領域23にインクを配置するけれども、インク配置方法は、それに限定されるものではない。インク配置方法は、基板のインク配置領域にインクを配置することができれば、どのような方法であってもよい。たとえば、親液性のインク配置領域と撥液性のインク非配置領域とが形成される基板を用い、この基板を、インクに浸した後に取り出すことによって、インク配置領域にだけ、インクを配置してもよい。
【0128】
前述の実施の各形態では、バンク24によってインク配置領域23が形成される基板2を用いるけれども、バンクが設けられず、親液性のインク配置領域と撥液性のインク非配置領域とが形成された基板が用いられてもよい。
【0129】
前述の実施の各形態では、塗布領域22は長方形であるけれども、塗布領域の形状は、それに限られるものではない。塗布領域は、たとえば蛇行していてもよく、テーパ状であってもよい。また塗布領域は、これらの形状を組み合わせたものであってもよい。さらに塗布領域の輪郭線は、必ずしも直線である必要はなく、曲線およびジグザグ形状を含んでもよい。
【0130】
前述の実施の各形態では、バンク24によってインク配置領域23が形成される基板2を用いるけれども、基板には、バンクが設けられず、基板の厚み方向一方側の表面部全体にわたって液体を塗布して塗布膜を形成してもよい。
【0131】
前述の実施の各形態では、距離調整機構14は、プレート状ヒータ9の発熱部分を鉛直方向Zに移動させるけれども、距離調整機構は、ステージ8を鉛直方向Zに移動させて、プレート状ヒータ9の発熱部分と、ステージ8との間の鉛直方向Zに関する距離を調整するようにしてもよい。
【0132】
前述の実施の各形態では、インク膜3を加熱して乾燥させているときに、加熱手段の発熱部分10,42と基板2との位置関係を変化させないけれども、このときに、前記発熱部分10,42と基板2との位置関係を変化させてもよい。これによって、塗布領域22に対して被加熱領域26を移動させて、塗布領域22全体のインク膜3をさらに均一に乾燥させることができる。したがって、基板2の面内でインク膜部分21における平坦性のばらつきを、さらに抑えることができる。
【実施例】
【0133】
以下、実施例1〜3、比較例1〜2および実験例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
【0134】
表1〜表4、表6および表7において、断面形状は、インク膜部分21の断面形状を示す。凹型とは、図13(1)に示すように、インク膜部分21の中央部の膜厚がインク膜部分21の周縁部の膜厚よりも小さくなる断面形状をいう。凸型とは、図13(2)に示すように、インク膜部分21の中央部の膜厚がインク膜部分21の周縁部の膜厚よりも大きくなる断面形状をいう。
【0135】
また、最大膜厚および最小膜厚は、インク膜部分21の断面における平均膜厚を100%としたときの、その断面における最大膜厚および最小膜厚を示す。換言すると、最大膜厚は、前記平均膜厚に対する最大膜厚の割合を百分率で示し、最小膜厚は、前記平均膜厚に対する最小膜厚の割合を百分率で示す。膜厚差は、最大膜厚と最小膜厚との差を示す。この膜厚差が小さいほど、インク膜部分21における平坦性が高い。
【0136】
比較例1
まず、インクジェット方式によって、基板2のインク配置領域23に、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のインクを配置した。このようにして、基板2にインク膜3を塗布した。基板2にインク膜3を塗布した直後に、インク膜3が塗布された基板2を、ホットプレート上に載置した。そしてホットプレートによってインク膜3を、140℃で10分間、加熱して乾燥させた。
【0137】
比較例1の結果を表1に示す。表1において、断面形状、最大膜厚、最小膜厚および膜厚差は、塗布領域22全体のインク膜部分21について平均をとったものである。
【0138】
【表1】

【0139】
実施例1および2
加熱手段として、縦1.2cm、横5cmの長尺板状の発熱部分10を有するプレート状ヒータ9を用いた。プレート状ヒータ9の設定温度は、200℃とした。ステージ8によって保持される基板2とプレート状ヒータ9の発熱部分10との間の距離Hは、距離調整機構14によって、1cmとした。このとき、プレート状ヒータ9による加熱領域27は、基板2の一表面を含む仮想一平面内の1.2cm×5cmの長方形領域であった。加熱領域27内の平均加熱温度は、80℃であった。
【0140】
まず、ステージ8によって保持される基板2のインク配置領域23に、インクジェット方式によって、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のインクを配置した。このようにして、基板2にインク膜3を塗布した。次に、コントロールユニット7によって、水平移動機構12および角変位機構13を駆動制御して、ステージ8を所定位置に移動させた。基板2にインク膜3を塗布してから、ステージ8を所定位置に移動させるまでに必要な時間は、1分程度であった。この後、プレート状ヒータ9によってインク膜3を、その上方から15分間、非接触加熱して乾燥させた。
【0141】
実施例1では、前記所定位置は、各塗布領域22について、被加熱領域26が塗布領域22の中央部分を含むような位置であった。各塗布領域22について、被加熱領域26の面積は、塗布領域22の面積の20%であった。
【0142】
実施例1の結果を表2に示す。表2において、断面形状、最大膜厚、最小膜厚および膜厚差は、塗布領域22全体のインク膜部分21について平均をとったものである。
【0143】
【表2】

【0144】
実施例2では、前記所定位置は、各塗布領域22について、被加熱領域26が塗布領域22の中央部分を含まないような位置であった。図14は、被加熱領域26および塗布領域22の位置関係を説明するための図である。詳しくは、前記所定位置は、各塗布領域22について、塗布領域22を長さ方向に関して4等分したときに、分割された4つの領域のうち、塗布領域22の長さ方向L22一端部を含む領域に、被加熱領域26が含まれるような位置であった。各塗布領域22について、被加熱領域26の面積は、塗布領域22の面積の20%であった。
【0145】
実施例2の結果を表3および表4に示す。表3において、断面形状、最大膜厚、最小膜厚および膜厚差は、分割された4つの領域のうち、塗布領域22の長さ方向L22一端部を含む領域のインク膜部分21について平均をとったものである。表4において、断面形状、最大膜厚、最小膜厚および膜厚差は、分割された4つの領域のうち、塗布領域22の長さ方向L22他端部を含む領域のインク膜部分21について平均をとったものである。
【0146】
【表3】

【0147】
【表4】

【0148】
表1から、インク膜3が塗布された基板2をホットプレート上に載置して接触加熱した場合は、全ての色のインク膜部分21について、断面形状が凹型であることが判る。インク膜部分21の中央部では、膜厚が所定の膜厚よりも小さいことに起因して、透過光を照射したときに、色抜けなどの不良が発生した。
【0149】
表2から、基板2に塗布されたインク膜3をその上方から非接触加熱した場合は、全ての色のインク膜部分21について、断面形状が緩やかな凸型であることが判る。透過光を照射したときに、色抜けなどの不良は発生しなかった。
【0150】
表3から、基板2に塗布されたインク膜3をその上方から非接触加熱した場合、被加熱領域26およびその近傍では、全ての色のインク膜部分21について、断面形状が緩やかな凸型であることが判る。透過光を照射したときに、色抜けなどの不良は発生しなかった。
【0151】
表4から、基板2に塗布されたインク膜3をその上方から非接触加熱した場合、塗布領域22のうち被加熱領域26から離れた領域では、全ての色のインク膜部分21について、断面形状が凹型であることが判る。透過光を照射したときに、色抜けなどの不良はほとんどなかった。
【0152】
表1および表2から、基板2に塗布されたインク膜3をその上方から非接触加熱した場合は、インク膜3が塗布された基板2をホットプレート上に載置して接触加熱した場合に比べて、全ての色のインク膜部分21について、平坦性が高いことが判る。表3および表4から、基板2に塗布されたインク膜3をその上方から非接触加熱した場合、塗布領域22のうち被加熱領域26から離れた領域では、被加熱領域26に比べて、全ての色のインク膜部分21について、平坦性が低いことが判る。表1および表4から、基板2に塗布されたインク膜3をその上方から非接触加熱した場合は、塗布領域22のうち被加熱領域26から離れた領域であっても、インク膜3が塗布された基板2をホットプレート上に載置して接触加熱した場合に比べて、全ての色のインク膜部分21について、平坦性が高いことが判る。したがって、基板2に塗布されたインク膜3をその上方から非接触加熱することによって、インク膜部分21における平坦性を高くすることができるということが判る。
【0153】
表3および表4から、基板2に塗布されたインク膜3をその上方から非接触加熱した場合、塗布領域22のうち被加熱領域26から離れた領域と、被加熱領域26とでは、インク膜部分21における平坦性が異なることが判る。換言すると、基板2の面内でインク膜部分21における平坦性にばらつきがあることが判る。さらに換言すると、基板2の面内でインク膜部分21における平坦性に偏りが生じていることが判る。平坦性のばらつきは、塗布領域22の長さ方向L22両端部で乾燥が不均一に進行してしまうことによって、生じる。平坦性のばらつきを抑えるためには、被加熱領域26が塗布領域22の中央部分を含むようにすることが効果的であることが判る。
【0154】
実験例
加熱手段として、直径1cm、長さ5cmの円筒状の発熱部分を有するロッドヒータ41を用いた。ロッドヒータ41の設定温度は、200℃とした。ステージ8によって保持される基板2とロッドヒータ41の発熱部分42との間の距離Hは、距離調整機構14によって、0.7cm〜1.2cmの間で調整した。加熱領域27内の平均加熱温度は、70℃となるようにした。
【0155】
ロッドヒータ41による加熱領域27は、基板2の一表面を含む仮想一平面内の長方形領域であった。各塗布領域22について、被加熱領域26の面積は、塗布領域22の面積の0%、15%、20%、25%および40%となるようにした。ただし、0%のときは、室温(25℃)での自然乾燥のみでインク膜3を乾燥させ、ロッドヒータ41による加熱は行っていない。
【0156】
まず、ステージ8によって保持される基板2に、インクジェット方式によって、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のインクを配置した。このようにして、基板2にインク膜3を塗布した。次に、コントロールユニット7によって、水平移動機構12および角変位機構13を駆動制御して、ステージ8を所定位置に移動させた。前記所定位置は、各塗布領域22について、被加熱領域26が塗布領域22の中央部分を含むような位置であった。基板2にインク膜3を塗布してから、ステージ8を所定位置に移動させるまでに必要な時間は、1分程度であった。この後、ロッドヒータ41を用いて、インク膜3を、その上方から、非接触加熱して乾燥させた。
【0157】
実験例の結果を表5に示す。表5は、塗布領域22の面積に対する被加熱領域26の面積の割合と、塗布領域22の長さ方向L22両端部のインク膜3が乾燥されるまでに要する乾燥時間との関係を示す。乾燥時間は、基板2にインク膜3を塗布してから、塗布領域22の長さ方向L22両端部のインク膜3が乾燥されるまでに要する時間である。インク膜3が乾燥されたか否かを判断するにあたっては、塗布領域22の長さ方向L22両端部のインク膜3に、針を軽く接触させ、前記インク膜3が流動性を有するか否かを調べた。針を接触させてもインク膜3が流動性を示さなくなったとき、インク膜3が乾燥されたと判断した。
【0158】
【表5】

【0159】
表5から、被加熱領域26の面積が塗布領域22の面積の20%以上の場合は、その被加熱領域26の面積が大きくなるほど、乾燥時間が短縮されることが判る。被加熱領域26の面積が塗布領域22の20%未満の場合は、乾燥時間は、インク膜3を自然乾燥のみで乾燥させるために要する時間と、大きく変わらないことが判る。したがって乾燥時間を短縮するためには、被加熱領域26の面積を塗布領域22の面積の20%以上とすることが効果的であることが判る。
【0160】
被加熱領域26の面積が塗布領域22の20%未満の場合は、塗布領域22の長さ方向L22両端部のインク膜3は、自然乾燥が進行する。それ故、塗布領域22の長さ方向L22両端部では、塗布領域22の中央部分に比べて、インク膜部分21における平坦性が低下してしまう。この点を考慮して、基板2の面内で平坦性のばらつきを抑えるためには、被加熱領域26の面積を塗布領域22の面積の20%以上とすることが効果的であることが判る。
【0161】
比較例2
まず、インクジェット方式によって、基板2のインク配置領域23に、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のインクを配置した。このようにして、基板2にインク膜3を塗布した。基板2にインク膜3を塗布してから5分間、インク膜3を室温(25℃)で自然乾燥させた。この後、基板2を、ホットプレート上に載置した。そしてホットプレートによってインク膜3を、140℃で10分間、加熱して乾燥させた。
【0162】
比較例2の結果を表6に示す。表6において、断面形状、最大膜厚、最小膜厚および膜厚差は、塗布領域22全体のインク膜部分21について平均をとったものである。
【0163】
【表6】

【0164】
実施例3
加熱手段として、直径1cm、長さ5cmの円筒状の発熱部分を有するロッドヒータ41を用いた。ロッドヒータ41の設定温度は、200℃とした。ステージ8によって保持される基板2とロッドヒータ41の発熱部分42との間の距離Hは、距離調整機構14によって、1.5cmとした。ロッドヒータ41による加熱領域27は、基板2の一表面を含む仮想一平面内の1.5cm×5cmの長方形領域であった。加熱領域27内の平均加熱温度は、70℃であった。各塗布領域22について、被加熱領域26の面積は、塗布領域22の面積の25%であった。
【0165】
まず、ステージ8によって保持される基板2のインク配置領域23に、インクジェット方式によって、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のインクを配置した。このようにして、基板2にインク膜3を塗布した。次に、コントロールユニット7によって、水平移動機構12および角変位機構13を駆動制御して、ステージ8を所定位置に移動させた。前記所定位置は、各塗布領域22について、被加熱領域26が塗布領域22の中央部分を含むような位置であった。基板2にインク膜3を塗布してから、ステージ8を所定位置に移動させるまでに必要な時間は、1分程度であった。
【0166】
ステージ8を所定位置に移動させた後、ロッドヒータ41によってインク膜3を5分間、加熱して予備乾燥させた。この後、基板2を、ホットプレート上に載置した。そしてホットプレートによってインク膜3を、140℃で10分間、加熱して本乾燥させた。
【0167】
実施例3の結果を表7に示す。表7において、断面形状、最大膜厚、最小膜厚および膜厚差は、塗布領域22全体のインク膜部分21について平均をとったものである。
【0168】
【表7】

【0169】
表6から、インク膜3を自然乾燥した後に基板2をホットプレート上に載置して接触加熱した場合は、全ての色のインク膜部分21について、断面形状は凹型であることが判る。表7から、インク膜3をその上方から非接触加熱して予備乾燥させた後に基板2をホットプレート上に載置して接触加熱した場合は、全ての色のインク膜部分21について、断面形状は緩やかな凸型であることが判る。
【0170】
前記表1および表6から、インク膜3を自然乾燥した後に基板2をホットプレート上に載置して接触加熱した場合は、インク膜3を塗布した直後に基板2をホットプレート上に載置して接触加熱した場合に比べて、全ての色のインク膜部分21について、平坦性が高いことが判る。しかしながら、インク膜3を自然乾燥した後に基板2をホットプレート上に載置して接触加熱した場合は、インク膜部分21の中央部では、膜厚が所定の膜厚よりも小さいことに起因して、透過光を照射したときに、色抜けなどの不良が発生した。
【0171】
表6および表7から、インク膜3をその上方から非接触加熱して予備乾燥させた後に基板2をホットプレート上に載置して接触加熱した場合は、インク膜3を自然乾燥した後に基板2をホットプレート上に載置して接触加熱した場合に比べて、全ての色のインク膜部分21について、平坦性が高いことが判る。インク膜3をその上方から非接触加熱して予備乾燥させた後に基板2をホットプレート上に載置して接触加熱した場合、透過光を照射したときに、色抜けなどの不良は発生しなかった。
【0172】
インク膜3をその上方から非接触加熱して予備乾燥させた後に基板2をホットプレート上に載置して接触加熱した場合は、インク膜部分21における平坦性が優れ、したがって優れた色特性を有するカラーフィルタを得ることができた。
【0173】
また、予備乾燥に要した時間は5分であり、かつ予備乾燥後の本乾燥によってインク膜部分21における平坦性が低下することはなかった。したがって、インクを配置するインク配置工程とインク膜3を乾燥させる乾燥工程とを繰り返し行うような製造方法においては、インク膜3をその上方から非接触加熱して予備乾燥させることによって、平坦性の低下を抑えたうえで、インク膜3の塗布および乾燥に要する時間を短縮することができることが判る。
【0174】
前述の実施例1および2では、加熱手段としてプレート状ヒータ9を用い、前述の実施例3では、加熱手段としてロッドヒータ41を用いたけれども、加熱手段として赤外線照射ランプを用いた場合も、同様の効果が得られた。またプレート状ヒータ、ロッドヒータおよび赤外線照射ランプを組み合せることによって加熱手段が実現された場合も、同様の効果が得られた。したがって加熱手段は、基板2に塗布されたインク膜3を上方から非接触加熱することができる手段であればよいことが判る。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】本発明の実施の一形態の乾燥装置1を簡略化して示す斜視図である。
【図2】インク膜3が塗布されるべき基板2の正面図である。
【図3】インク膜部分21の断面図である。
【図4】乾燥装置本体6の簡略化した斜視図である。
【図5】乾燥装置本体6の簡略化した平面図である。
【図6】図5の矢符A方向から見た乾燥装置本体6の簡略化した側面図である。
【図7】図5の矢符B方向から見た乾燥装置本体6の簡略化した側面図である。
【図8】インク膜3の被加熱領域26を説明するための図である。
【図9】乾燥途中のインク膜部分21の断面図である。
【図10】乾燥装置1およびインク吐出装置を含む塗布乾燥システムを用いて行われるインク膜3の塗布乾燥方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図11】乾燥装置1およびインク吐出装置を含む塗布乾燥システムを用いて行われるインク膜3の塗布乾燥方法の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図12】加熱手段としてロッドヒータ41を用いた場合の、乾燥装置本体6の簡略化した側面図である。
【図13】インク膜部分21の断面図である。
【図14】被加熱領域26および塗布領域22の位置関係を説明するための図である。
【符号の説明】
【0176】
1 乾燥装置
2 基板
3 インク膜
6 乾燥装置本体
7 コントロールユニット
8 ステージ
9 プレート状ヒータ
10 プレート状ヒータ9の発熱部分
12 水平移動機構
13 角変位機構
14 距離調整機構
21 インク膜部分
22 塗布領域
23 インク配置領域
26 被加熱領域
27 加熱領域
41 ロッドヒータ
42 ロッドヒータ41の発熱部分
43 加熱可能範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に塗布された液体状の塗布膜を乾燥させる塗布膜の乾燥方法であって、
塗布膜を、その上方から加熱して乾燥させ、かつ、塗布膜の、乾燥のために加熱される被加熱領域は、塗布膜の塗布領域よりも小さいことを特徴とする塗布膜の乾燥方法。
【請求項2】
被加熱領域は、塗布領域を少なくとも2つ以上に分断することを特徴とする請求項1記載の塗布膜の乾燥方法。
【請求項3】
被加熱領域は、塗布領域の中央部分を含むことを特徴とする請求項1または2記載の塗布膜の乾燥方法。
【請求項4】
被加熱領域の面積は、塗布領域の面積の20%以上に選ばれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の塗布膜の乾燥方法。
【請求項5】
基板に塗布された液体状の塗布膜を乾燥させる塗布膜の乾燥方法であって、
塗布膜を予備乾燥させる予備乾燥工程と、
予備乾燥工程の後に、予備乾燥された塗布膜を本乾燥させる本乾燥工程とを有し、
予備乾燥工程では、塗布膜を、その上方から加熱して予備乾燥させ、かつ、塗布膜の、予備乾燥のために加熱される被加熱領域は、塗布膜の塗布領域よりも小さいことを特徴とする塗布膜の乾燥方法。
【請求項6】
予備乾燥工程では、被加熱領域は、塗布領域を少なくとも2つ以上に分断することを特徴とする請求項5記載の塗布膜の乾燥方法。
【請求項7】
予備乾燥工程では、被加熱領域は、塗布領域の中央部分を含むことを特徴とする請求項5または6記載の塗布膜の乾燥方法。
【請求項8】
予備乾燥工程では、被加熱領域の面積は、塗布領域の面積の20%以上に選ばれることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載の塗布膜の乾燥方法。
【請求項9】
基板に塗布された液体状の塗布膜を乾燥させる塗布膜の乾燥装置であって、
基板を保持する保持手段と、
保持手段によって保持される基板に塗布された塗布膜を、その上方から加熱する加熱手段とを含み、
前記塗布膜の、加熱手段によって加熱される被加熱領域は、塗布膜の塗布領域よりも小さいことを特徴とする塗布膜の乾燥装置。
【請求項10】
保持手段および加熱手段を相対的に移動させる移動手段をさらに含むことを特徴とする請求項9記載の塗布膜の乾燥装置。
【請求項11】
移動手段は、保持手段を水平方向に移動させる水平移動機構および保持手段を鉛直軸線まわりに角変位させる角変位機構の少なくともいずれか一方であることを特徴とする請求項10記載の塗布膜の乾燥装置。
【請求項12】
移動手段は、保持手段によって保持される基板と加熱手段との間の距離を調整する距離調整機構であることを特徴とする請求項10または11記載の塗布膜の乾燥装置。
【請求項13】
加熱手段は、プレート状ヒータ、ロッドヒータおよび赤外線照射ランプの少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1つに記載の塗布膜の乾燥装置。
【請求項14】
請求項9〜13のいずれか1つに記載の塗布膜の乾燥装置と、
保持手段によって保持される基板に、液体状の塗布膜を塗布する塗布装置とを含むことを特徴とする塗布膜の塗布乾燥システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−7029(P2006−7029A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185222(P2004−185222)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】