説明

塗布装置、印刷版製造装置、および塗布方法

【課題】高い表面精度を有する印刷版を形成する塗布装置、印刷版製造装置、および塗布方法を提供する。
【解決手段】載置台は、基板の一方の面を上に向けた状態で当該基板を載置する。版胴は、円筒状の円周側面を有し、当該円周側面の中心となる軸芯を中心に回転する。樹脂供給手段は、版胴の円周側面に樹脂を供給して、当該円周側面上に樹脂層を形成する。研削手段は、樹脂層の表面を、軸芯を基準に研削する。パターン形成手段は、研削手段が研削した樹脂層の表面に凹凸パターンを形成する。塗布液供給手段は、凹凸パターンが形成された樹脂層の表面に塗布液を供給する。相対移動手段は、基板の一方の面と凹凸パターンが形成された樹脂層の表面とを近接または当接させて対向させた状態で、軸芯を中心に版胴を回転させながら載置台と版胴とを相対移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布装置、印刷版製造装置、および塗布方法に関し、より特定的には、ステージ上に載置した基板に塗布液を印刷塗布する塗布装置および塗布方法、並びに当該印刷塗布に用いられる印刷版を製造する印刷版製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ELデバイスが照明やディスプレイに利用される動きが活発になっている。これらの有機ELデバイスを製造する際には、基板に対して比較的大きなサイズの薄膜状に有機EL材料、正孔輸送材料、電子輸送材料等を塗布したり、赤、緑、および青色発光の有機EL材料を微細なストライプ状に塗り分けたりすることが必要となる。これらの塗布作業を繰り返して層を重ねることによって、有機ELデバイスの発光層、正孔輸送層、および電子輸送層等が形成される。
【0003】
また、各種印刷法や特殊な塗布方法を用いて、有機EL材料の薄膜を基板上に形成する製造方法が試みられている。例えば、版胴に巻設された印刷版を用いて有機EL材料を基板に印刷塗布して、有機EL材料の薄膜形成する印刷装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008−6705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1で開示された印刷装置を用いて電子部品(例えば、有機EL材料)をフレキソ印刷法にて形成する場合、版胴に巻設された印刷版表面の真円度を高精度(例えば、±10μm程度)にする必要がある。しかしながら、上記特許文献1で開示された印刷装置では、完成した印刷版を版胴に巻設する際の印刷版の変形等も考慮する必要もあるため、必要な印刷版表面の精度が確保できないことがある。
【0005】
それ故に、本発明の目的は、高い表面精度を有する印刷版を形成する塗布装置、印刷版製造装置、および塗布方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下に述べるような特徴を有している。
第1の発明は、基板上に塗布液を印刷塗布する塗布装置である。塗布装置は、載置台、版胴、樹脂供給手段、研削手段、パターン形成手段、塗布液供給手段、および相対移動手段を備える。載置台は、基板の一方の面を上に向けた状態で当該基板を載置する。版胴は、円筒状の円周側面を有し、当該円周側面の中心となる軸芯を中心に回転する。樹脂供給手段は、版胴の円周側面に樹脂を供給して、当該円周側面上に樹脂層を形成する。研削手段は、樹脂層の表面を、軸芯を基準に研削する。パターン形成手段は、研削手段が研削した樹脂層の表面に凹凸パターンを形成する。塗布液供給手段は、凹凸パターンが形成された樹脂層の表面に塗布液を供給する。相対移動手段は、基板の一方の面と凹凸パターンが形成された樹脂層の表面とを近接または当接させて対向させた状態で、軸芯を中心に版胴を回転させながら載置台と版胴とを相対移動させる。
【0007】
第2の発明は、上記第1の発明において、樹脂硬化手段を、さらに備える。樹脂硬化手段は、樹脂供給手段によって版胴の円周側面に供給された樹脂を硬化させる。
【0008】
第3の発明は、上記第2の発明において、樹脂供給手段は、版胴の円周側面に光硬化性樹脂を供給する。樹脂硬化手段は、光硬化性樹脂を硬化させる光を、樹脂供給手段によって版胴の円周側面に供給された光硬化性樹脂に照射する。
【0009】
第4の発明は、上記第2の発明において、樹脂供給手段は、版胴の円周側面に熱硬化性樹脂を供給する。樹脂硬化手段は、熱硬化性樹脂を硬化させる熱量を、樹脂供給手段によって版胴の円周側面に供給された熱硬化性樹脂に加える。
【0010】
第5の発明は、上記第1または第2の発明において、切削手段は、吸引手段を含む。吸引手段は、樹脂層の表面を研削することによって生じる切削屑を吸引する。
【0011】
第6の発明は、上記第1または第2の発明において、パターン形成手段は、レーザ照射手段を含む。レーザ照射手段は、研削手段が研削した樹脂層の表面の一部にレーザ光を凹凸パターンに応じて照射して、当該表面を切削加工する。パターン形成手段は、軸芯を中心に版胴を回転させながらレーザ照射手段から出力されたレーザ光を樹脂層の表面の一部に照射して、レーザ照射手段を軸芯方向に移動させることによって、樹脂層の表面に凹凸パターンを形成する。
【0012】
第7の発明は、上記第6の発明において、パターン形成手段は、吸引手段を含む。吸引手段は、レーザ照射手段が生じさせたアブレーションによって樹脂層の表面が気化した気体を吸引する。
【0013】
第8の発明は、上記第1の発明において、樹脂供給手段、切削手段、およびパターン形成手段は、それぞれ塗布装置に対して着脱自在に構成される。
【0014】
第9の発明は、上記第1の発明において、樹脂供給手段は、当該樹脂供給手段全体を版胴に対して接離させる第1接離手段を含む。切削手段は、当該切削手段全体を版胴に対して接離させる第2接離手段を含む。パターン形成手段は、当該パターン形成手段全体を版胴に対して接離させる第3接離手段を含む。塗布液供給手段は、当該塗布液供給手段全体を版胴に対して接離させる第4接離手段を含む。
【0015】
第10の発明は、上記第1または第2の発明において、樹脂供給手段は、前記版胴の円周側面に撥液性を有する樹脂を供給して前記樹脂層形成した後、当該樹脂層の表面に親液化処理を行う。
【0016】
第11の発明は、上記第1または第2の発明において、樹脂供給手段は、版胴の円周側面に撥液性を有する樹脂を供給して樹脂層の下層部を形成した後、当該下層部の表層として親液性を有する樹脂を供給して樹脂層の表層部を形成する。
【0017】
第12の発明は、上記第1または第2の発明において、相対的に幅広の凸部の上に相対的に幅狭の凸部が重なった段付き凸部を含む凹凸パターンを樹脂層の表面に形成する。
【0018】
第13の発明は、基板上に塗布液を印刷塗布するための印刷版を形成する印刷版製造装置である。印刷版製造装置は、版胴、樹脂供給手段、研削手段、およびパターン形成手段を備える。版胴は、円筒状の円周側面を有し、当該円周側面の中心となる軸芯を中心に回転する。樹脂供給手段は、版胴の円周側面に樹脂を供給して、当該円周側面上に樹脂層を形成する。研削手段は、樹脂層の表面を、軸芯を基準に研削する。パターン形成手段は、研削手段が研削した樹脂層の表面に凹凸パターンを形成する。
【0019】
第14の発明は、基板上に塗布液を印刷塗布する塗布方法である。塗布方法は、樹脂層を形成する工程、研削する工程、凹凸パターンを形成する工程、塗布液を供給する工程、および転写する工程を含む。樹脂層を形成する工程は、軸芯を中心に回転する版胴が有する円筒状の円周側面に樹脂を供給して、当該円周側面上に樹脂層を形成する。研削する工程は、樹脂層の表面を、軸芯を基準に研削する。凹凸パターンを形成する工程は、研削した樹脂層の表面に凹凸パターンを形成する。塗布液を供給する工程は、凹凸パターンが形成された樹脂層の表面に塗布液を供給する。転写する工程は、基板の一方の面と凹凸パターンが形成された樹脂層の表面とを近接または当接させて対向させた状態で、軸芯を中心に版胴を回転させながら基板と版胴とを相対移動させて基板の一方の面に塗布液を転写する。
【発明の効果】
【0020】
上記第1の発明によれば、版胴の円周側面上に印刷版が直接形成されるため、完成した印刷版を版胴に巻設する際の印刷版の変形等を考慮する必要がなく、高精度な印刷版を版胴上に形成することができる。また、版胴の円周側面上に印刷版を形成する際、版胴に対して直接樹脂を塗布し、その後に研削およびパターンニング(製版)が行われる。つまり、剛体で構成される版胴の円周側面上に直接形成された樹脂層に対する加工となるため、樹脂層表面を加工する際に樹脂の弾性による形状変形を最小限に抑えることができ、その表面形状が非常に高精度な真円度となる。
【0021】
上記第2〜第4の発明によれば、版胴の円周側面上に直接塗布された樹脂を速やかに完全硬化させることができ、印刷版を形成する時間短縮と共に加工精度の向上が期待できる。
【0022】
上記第5の発明によれば、塗布装置内に切削屑が残存することを防止することができ、塗布液を塗布する際の品質向上につながる。
【0023】
上記第6の発明によれば、樹脂層の表面にエッジ角度が急峻な溝を形成することができ、高アスペクト比を有する凹凸パターンの形成が可能となる。
【0024】
上記第7の発明によれば、例えばアブレーションによって樹脂層表面が蒸発/侵食して気化した気体が塗布装置内に残存することを防止することができ、塗布液を塗布する際の品質向上につながる。
【0025】
上記第8の発明によれば、基板に塗布液を塗布する際は、樹脂供給手段、切削手段、およびパターン形成手段に関連する装置を取り外すことができるので、塗布作業中の作業スペースを広く確保することができる。
【0026】
上記第9の発明によれば、樹脂層を形成する際、研削する際、凹凸パターンを形成する際、塗布液を供給する際に、それぞれ不要となる装置を版胴から離間することができるので、各工程において不要な装置が樹脂層に与える影響を排除することができる。
【0027】
上記第10および第11の発明によれば、印刷版の表面部分および溝部分において撥液性/親液性の差異が生じるため、印刷版の表面と塗布液との接触角を制御することができる。
【0028】
上記第12の発明によれば、印刷版に微細な凸部を形成した場合、当該凸部に加わる応力等によって当該凸部が倒れるような現象が生じるが、段付き凸部にすることによって、下段部の剛性が強化されるために凸部の倒れ現象を防止することができ、さらに高精細な印刷版の形成が可能となる。
【0029】
本発明の印刷版製造装置および塗布方法によれば、上述した塗布装置と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る塗布装置1について説明する。説明を具体的にするために、塗布装置1が有機EL材料を溶解した溶液を塗布液として用いる有機ELデバイスを製造する塗布装置に適用された例を用いて、以下の説明を行う。なお、本明細書における有機EL材料は、有機ELデバイスにおける有機層(正孔注入層、正孔輸送層、赤色発光、緑色発光、青色発光の発光層、電子輸送層、電子注入層等のうちで有機物を含む層)を形成する材料であり、例えば、有機層を形成する材料のうちで溶媒に可溶な材料である。塗布装置1は、例えば有機EL材料を含む塗布液を、ステージ上に載置された被塗布体(例えば、ガラス基板)上に所定のパターン形状で印刷塗布することによって有機層を形成して有機ELデバイスを製造するものである。また、塗布装置1は、有機EL材料を含む塗布液を複数種類用いることも可能であるが、それらの代表として発光層を形成する有機EL材料を溶解した溶液を塗布液として用いる例として説明する。なお、図1は、塗布装置1の要部概略構成を示す斜視図である。なお、図1に示した塗布装置1は、印刷版12を形成するための各種機構が組み込まれている。また、以下の説明においては、有機EL材料を溶解した溶液を、単に有機EL材料と記載することがある。
【0031】
図1において、塗布装置1は、大略的に、印刷版12が円周表面上に形成された版胴11、塗布液供給部20、樹脂塗布部30、研削描画部40、基板搬送機構50、および昇降機構60を備えている。図1では、塗布液供給部20の構成の一部として、スリットノズル22、第1モータ28、および第2モータ29が図示されている。樹脂塗布部30の構成の一部として、第3モータ31および第4モータ32が図示されている。研削描画部40の構成の一部として、第5モータ41および第6モータ42が図示されている。基板搬送機構50は、基台51、一対の搬送ガイド部材52、搬送駆動部53、および搬送テーブル54を備えている。そして、昇降機構60は、昇降テーブル61、一対の昇降ガイド部材62、昇降駆動部63、および支持側板64を備えている。
【0032】
一対の搬送ガイド部材52は、版胴11の軸芯に対して垂直な水平方向に延設されて基台51の上面に固定される。搬送駆動部53は、一対の搬送ガイド部材52の延設方向を駆動方向とする、例えばリニアモータで構成される。搬送テーブル54は、その上面に被塗布体の一例である基板Pを載置する。そして、搬送テーブル54は、一対の搬送ガイド部材52および搬送駆動部53と連結されており、搬送駆動部53の駆動力を受けて、版胴11の軸芯と垂直な水平方向に、基板Pを載置して往復移動する。
【0033】
支持側板64は、昇降テーブル61に対して左右一対に構成され、それぞれ昇降テーブル61に固設される。一方、基台51には、それぞれ一対の昇降ガイド部材62が鉛直方向に延設される。昇降駆動部63は、昇降ガイド部材62の延設方向を駆動方向とし、例えば当該延設方向に設けられたボールねじと当該ボールねじを回転させるモータとによって構成される。昇降テーブル61には、版胴11、塗布液供給部20、樹脂塗布部30、および研削描画部40が搭載される。そして、昇降テーブル61に固設された支持側板64は、これらの昇降ガイド部材62と昇降駆動部63と連結され、昇降駆動部63からの駆動力を受けて昇降ガイド部材62に沿って昇降可能となる。したがって、版胴11、塗布液供給部20、樹脂塗布部30、および研削描画部40は、昇降駆動部63の駆動力を受けて昇降テーブル61とともに昇降可能となる。また、第1モータ28および第2モータ29は、それらの駆動に応じて、スリットノズル22を昇降させる。また、第3モータ31および第4モータ32は、それらの駆動に応じて、樹脂塗布部30全体を昇降させる。第5モータ41および第6モータ42は、それらの駆動に応じて、研削描画部40全体を前後(例えば、搬送ガイド部材52の延設方向)に移動させる。
【0034】
次に、図2を参照して、版胴11および塗布液供給部20の基本的な構成について説明する。なお、図2は、塗布装置1の要部を示す概要図である。
【0035】
図2において、版胴11の円周外面には印刷版12が円周表面上に形成されて固定され、その軸芯が水平方向に配置される。印刷版12の表面には、基板Pに転写する塗布液のパターンが凸状に形成されている。
【0036】
版胴11は、印刷版12が円周側面に形成された状態で軸芯を中心に図示矢印A方向へ回転可能に設けられ、図示しない回転駆動機構からの駆動力を受けて所定の回転速度で回転する。版胴11の下方空間には搬送テーブル54が配設される。上述したように、搬送テーブル54の上面には基板Pが載置されて水平移動可能に構成されており、搬送駆動部53からの駆動力を受けて所定の移動速度で水平移動する。そして、搬送テーブル54は、図示矢印B方向に水平移動することによって版胴11の下部空間を通過する。このとき、予め搬送テーブル54に載置された基板Pと版胴11に固定された印刷版12との間に生じる隙間または基板Pに対する押込量が所定の範囲内になるように、昇降テーブル61(図1参照)の位置が調整される。
【0037】
なお、上記隙間または押込量は、例えば搬送テーブル54に設けられたレーザ変位計55(図8参照)から得られるデータに基づいて行われる。レーザ変位計55は、基板Pを載置する搬送テーブル54の上面から印刷版12の表面までの高さを計測して、塗布装置1の制御部(図示せず)に当該高さを示すデータを出力する。そして、上記制御部は、レーザ変位計55から出力されたデータを用いて、上記隙間または押込量が所定の長さとなるように昇降テーブル61の位置を調整する。
【0038】
塗布装置1の制御部は、搬送駆動部53を制御することによって基板Pを載置した搬送テーブル54を図示矢印B方向に水平移動させて版胴11の下部空間を通過させる際、上記回転駆動機構を制御することによって搬送テーブル54の水平移動速度に応じて互いに速度差が生じないように図示矢印A方向へ版胴11を回転させる。これによって、搬送テーブル54に載置された基板Pと印刷版12とが所定の隙間または押込量を維持して対向しながら、印刷版12に供給された有機EL材料を含む塗布液が基板Pに転写されていく。
【0039】
塗布液供給部20は、図1で図示された構成の他に、塗布液供給ローラ21、洗浄機構23、および供給源24を備えている。塗布液供給ローラ21は、その軸芯が版胴11の軸芯と平行に配置される。例えば、塗布液供給ローラ21は、その円周側面が平滑な平ローラで構成される。そして、塗布液供給ローラ21は、版胴11の円周側面上に形成された印刷版12に当接させながら互いに反対方向(図示矢印C方向)に回転することによって、印刷版12の表面に有機EL材料を含む塗布液を供給する。
【0040】
供給源24は、基板Pに印刷塗布する有機EL材料を含む塗布液を貯留して、所定量の有機EL材料を含む塗布液をスリットノズル22へ供給する。スリットノズル22は、塗布液供給ローラ21の軸芯方向を長手方向とするスリットを有している。そして、スリットノズル22は、供給源24から供給される有機EL材料を含む塗布液を、スリットから塗布液供給ローラ21の円周側面上に所定の流量で吐出して、当該円周側面上に有機EL材料を含む塗布液の薄膜を形成する。なお、スリットノズル22のスリットから塗布液供給ローラ21の円周側面までは所定の距離だけ離間しており、その距離が第1モータ28および第2モータ29をそれぞれ駆動することによって調整される。そして、有機EL材料を含む塗布液を印刷版12の表面に供給した後の塗布液供給ローラ21の円周側面は、洗浄機構23によって洗浄される。なお、洗浄機構23の構造例については後述する。また、有機EL材料を含む塗布液を基板Pに転写した後の印刷版12の表面も、洗浄機構(図示せず)により洗浄してもかまわない。
【0041】
このように、塗布装置1においては、スリットノズル22から塗布液供給ローラ21の表面に有機EL材料を含む塗布液が供給され、塗布液供給ローラ21の表面に有機EL材料を含む塗布液の薄膜が形成される。そして、この有機EL材料を含む塗布液は、印刷版12に形成された凸状のパターンに転写され、印刷版12上に有機EL材料を含む塗布液の薄膜パターンが形成される。この印刷版12上に形成された有機EL材料を含む塗布液の薄膜パターンが、基板P上に印刷塗布される。例えば、印刷版12に微細なストライプ状の凸状パターンを形成することによって、基板P上において有機EL材料を含む塗布液を微細なストライプ状に塗り分けることができる。
【0042】
なお、塗布液供給ローラ21は、左右一対のローラ支持部により軸支されており、他の塗布液供給部20(スリットノズル22、洗浄機構23、および供給源24)もローラ支持部によって支持されている。また、版胴11も、左右一対の版胴支持部により軸支されている。そして、ローラ支持部が版胴支持部に対して接離可能な構成となることによって、塗布液供給部20全体が版胴11に対して接離可能な構成となっている。例えば、塗布液供給部20全体は、昇降テーブル61(図1参照)を基準として水平移動可能に構成されるが、基台51を基準として水平移動可能に構成されてもかまわない。
【0043】
次に、図3を参照して、洗浄機構23の構成例について説明する。なお、図3は、洗浄機構23の一例を示す概要図である。
【0044】
図3において、塗布液供給ローラ21の表面に有機EL材料を含む塗布液が残存した場合、さらにその上から有機EL材料を含む塗布液がスリットノズル22から供給される。この場合、塗布液供給ローラ21の表面における有機EL材料を含む塗布液の膜厚が増加して不均一となり、結果的に均一性に劣る有機EL材料を含む塗布液が基板Pに印刷塗布されてしまう。このような有機EL材料を含む塗布液の不均一を防止するために、有機EL材料を含む塗布液を印刷版12の表面に供給した後の塗布液供給ローラ21の表面は、洗浄機構23によって洗浄される。洗浄機構23は、洗浄液容器231、第1ブレード232、第2ブレード233、および回収管路234を備えている。
【0045】
第1ブレード232は、有機EL材料を含む塗布液を印刷版12の表面に供給した後の塗布液供給ローラ21の表面に残存する主な有機EL材料を含む塗布液を掻き落とす。そして、回収管路234は、第1ブレード232により掻き落とされた有機EL材料を含む塗布液を回収する。なお、第1ブレード232によって有機EL材料を含む塗布液を掻き落とす前に、有機EL材料を含む塗布液を印刷版12の表面に供給した後の塗布液供給ローラ21の表面にリンス液(例えば、有機EL材料を含む塗布液の溶媒)を供給してもかまわない。この場合、第1ブレード232は、塗布液供給ローラ21の表面に残存する主な有機EL材料を含む塗布液をリンス液とともに掻き落とすことになり、回収管路234が第1ブレード232により掻き落とされた有機EL材料を含む塗布液およびリンス液を回収する。このようにリンス液を供給することによって、残存する有機EL材料を含む塗布液の固化を防止することができる。
【0046】
洗浄液容器231は、上面が開放された容器であり、その内部に洗浄液CF(例えば、有機EL材料を含む塗布液の溶媒)を貯留する。そして、洗浄液容器231は、第1ブレード232によって主な有機EL材料を含む塗布液が掻き落とされた後となる塗布液供給ローラ21の表面の一部(具体的には、最下部表面)を、洗浄液CF内に浸漬させる。そして、第2ブレード233は、洗浄液CFに浸漬された後の塗布液供給ローラ21の表面に残存する洗浄液Cを掻き落とす。
【0047】
次に、図4および図5を参照して、樹脂塗布部30および研削描画部40の基本的な構成について説明する。なお、図4は、版胴11、塗布液供給部20、樹脂塗布部30、および研削描画部40の要部の一例を示す概要図である。図5は、樹脂塗布部30のスリットノズル33と、研削描画部40の描画ヘッド43および研削ヘッド44との構成の一例を示す斜視図である。
【0048】
図4において、塗布装置1には、版胴11の円周側面上に印刷版12を形成するための各種機構(樹脂塗布部30および研削描画部40)が組み込まれている。樹脂塗布部30は、スリットノズル33および樹脂硬化部34を備えている。また、研削描画部40は、描画ヘッド43、研削ヘッド44、吸引機構45、およびベース46(図5)を備えている。
【0049】
樹脂塗布部30は、印刷版12の原料となる樹脂を供給源に貯留し、所定量の樹脂をスリットノズル33へ供給する。ここで、印刷版12の原料となる樹脂は、塗布装置1で用いる塗布液に対して充分な耐性を有するものが用いられ、例えば光(紫外線)硬化性樹脂が用いられる。なお、印刷版12の原料となる樹脂は、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ系樹脂)、2液硬化性樹脂、または自然硬化性樹脂等でもかまわない。
【0050】
スリットノズル33は、版胴11の軸芯方向を長手方向とするスリットを有している。そして、スリットノズル33は、版胴11が所定の回転速度で回転している状態で、樹脂塗布部30の供給源から供給される樹脂を上記スリットから版胴11の円周側面上に所定の流量で吐出して、当該円周側面上に上記樹脂の層を形成する。そして、版胴11の円周側面上に供給された樹脂は、樹脂硬化部34によって硬化される。例えば、スリットノズル33から光(紫外線)硬化性樹脂が供給される場合、樹脂硬化部34は、光(紫外線)硬化性樹脂が円周側面上に供給された版胴11に対して当該樹脂が硬化する光(紫外線)を照射することによって、光(紫外線)硬化性樹脂を版胴11の円周側面上で硬化させる。また、スリットノズル33から熱硬化性樹脂が供給される場合、樹脂硬化部34は、熱硬化性樹脂が円周側面上に供給された版胴11に対して所定の熱量を加えることによって、熱硬化性樹脂を版胴11の円周側面上で硬化させる。また、スリットノズル33から2液硬化性樹脂が供給される場合、樹脂硬化部34は、版胴11の円周側面上に塗布された2液硬化性樹脂に対して当該樹脂を硬化させるための液体(硬化剤)を供給することによって、2液硬化性樹脂を版胴11の円周側面上で硬化させる。なお、スリットノズル33から自然硬化性樹脂が供給される場合は樹脂硬化部34が不要となり、自然硬化性樹脂が硬化するまで版胴11を所定の回転速度で回転させることによって、円周側面上の自然硬化性樹脂を硬化させればよい。
【0051】
なお、スリットノズル33のスリットから版胴11の円周側面までは所定の距離だけ離間しており、その距離が第3モータ31および第4モータ32(図1参照)をそれぞれ駆動することによって調整される。また、第3モータ31および第4モータ32を駆動することによって、樹脂塗布部30全体が図示E方向に版胴11に対して接離可能な構成となっている。例えば、樹脂塗布部30全体は、昇降テーブル61(図1参照)を基準として昇降可能に構成されるが、基台51を基準として昇降可能に構成されてもかまわない。
【0052】
研削ヘッド44は、例えば所定の回転速度で回転する円柱型ツールを有し、樹脂塗布部30が樹脂を供給して硬化させることによって版胴11の円周側面上に形成された樹脂層の表面全体に当該円柱型ツールの円柱側面を当接させることによって、樹脂層表面を研削/研磨する。研削ヘッド44は、樹脂層の表面全体を研削/研磨することによって、版胴11の円周側面上に均一な厚み(0.1〜3.0mm程度)の樹脂層に加工すると同時に、樹脂層の表面全体の真円度精度を向上させる(例えば、±10μm以内)。また、研削ヘッド44は、樹脂層の表面全体に対する研磨粗さを調整することによって樹脂層の表面全体の表面粗さを調整して、印刷版12の表面と塗布液との接触角を制御することができる。例えば、印刷版12の表面粗さが鏡面状態では上記接触角が大きくなり、印刷版12の表面粗さが粗くなると上記接触角が小さくなる傾向がある。ただし、これらの接触角は、塗布装置1が用いる塗布液の種類によっても変化する。
【0053】
描画ヘッド43は、研削ヘッド44が研削した版胴11上の樹脂層の表面に、所定の凹凸パターンを描画する。例えば、描画ヘッド43は、レーザ(例えば、CO2レーザ)描画装置によって構成される。そして、描画ヘッド43は、塗布装置1の制御部の制御に応じてレーザを樹脂層の表面に照射することによって、当該表面にアブレーションを生じさせて所定の凹凸パターンを描画する。
【0054】
なお、描画ヘッド43をレーザ描画装置で構成することによって、上記樹脂層の表面にエッジ角度が急峻な溝を形成することができ、高アスペクト比を有する凹凸パターンの形成が可能である。なお、描画ヘッド43を構成するレーザ描画装置のレーザ変調方式は、形成された樹脂層に対する加工適応性に応じて選択すればよく、CO2レーザ等の各種変調方式のレーザ装置を用いることができる。
【0055】
また、第5モータ41および第6モータ42(図1参照)をそれぞれ駆動することによって、研削描画部40全体が図示F方向に版胴11に対して接離可能な構成となっている。例えば、研削描画部40全体は、昇降テーブル61(図1参照)を基準として水平移動可能に構成されるが、基台51を基準として水平移動可能に構成されてもかまわない。
【0056】
図5に示すように、描画ヘッド43および研削ヘッド44は、ベース46上に設置されている。ベース46は、塗布装置1の制御部の制御に応じて、版胴11の軸芯に対して垂直な水平方向(図示F方向)および版胴11の軸芯に対して平行な水平方向(図示G方向)にそれぞれ移動可能に構成されている。なお、ベース46には、吸引機構45も設置されるが、図5においては図示を省略している。
【0057】
版胴11表面に形成された樹脂層表面を研削/研磨する際、上記制御部は、研削ヘッド44の円柱型ツールを版胴11表面に形成された樹脂層に当接させて、樹脂層が所定の研削(研磨)深さで研削(研磨)される位置まで、ベース46を図示F方向へ移動させて版胴11に近づける。そして、上記制御部は、版胴11表面に樹脂層を形成した状態で軸芯を中心に版胴11を主走査方向Xへ回転させながら、ベース46を主走査方向Xと直交する副走査方向(図示G方向)に移動させることによって、所望の研削(研磨)深さで版胴11表面に形成された樹脂層表面が研削/研磨される。このような研削/研磨動作を何度か繰り返すことによって、版胴11の円周側面上に均一な厚みの樹脂層が加工されると同時に、樹脂層の表面全体の真円度精度が向上する。なお、吸引機構45は、その吸引口が研削ヘッド44の研削位置付近に設けられており、研削ヘッド44による研削加工中において当該吸引口から研削位置付近の気体を吸引する。
【0058】
次に、上記制御部は、表面が研削/研磨された樹脂層に対して、凹凸パターンを形成する。具体的には、上記制御部は、表面が研削/研磨された樹脂層が形成された状態で軸芯を中心に版胴11を主走査方向Xへ回転させながら、当該回転動作と同期させて描画ヘッド43から上記凹凸パターンを形成するためのレーザを当該樹脂層表面に照射して、当該表面にアブレーションを生じさせる。そして、上記制御部は、版胴11を主走査方向Xへ回転する回転動作と同期させてベース46を上記副走査方向(図示G方向)に移動させることによって、所望の凹凸パターンを樹脂層表面に形成する。なお、吸引機構45は、描画ヘッド43がアブレーションを生じさせる位置付近にその吸引口が設けられており、描画ヘッド43による描画加工中において当該吸引口からアブレーションを生じさせる位置付近の気体を吸引する。
【0059】
次に、図6を参照して、塗布装置1が印刷版12を版胴11上に形成する動作および形成された印刷版12を用いて塗布液を塗布する動作について説明する。なお、図6は、塗布装置1が印刷版12を版胴11上に形成して塗布液を塗布する動作の一例を示すフローチャートである。なお、図6に示す塗布装置1の動作は、版胴11の円周側面上に印刷版12が形成されておらず、塗布液供給部20、樹脂塗布部30、および研削描画部40がそれぞれ版胴11から所定の隙間を開けて離間している状態で開始されるものとする。
【0060】
図6において、塗布装置1の制御部は、第3モータ31および第4モータ32を駆動させて、樹脂塗布部30全体を下降させ、スリットノズル33のスリットと版胴11の円周側面とを近接させる(ステップS51)。例えば、図7に示すように、塗布装置1の制御部は、樹脂塗布部30全体を図示E−方向に下降させることによって、スリットノズル33のスリットを版胴11の円周側面と対向させて近接させる。そして、塗布装置1の制御部は、版胴11を所定の回転速度で回転させながら、樹脂塗布部30の供給源から供給される樹脂を上記スリットから版胴11の円周側面上に所定の流量で吐出して、当該円周側面上に均一に樹脂を塗布していく(ステップS52)。つまり、版胴11の円周側面に、直接スリットノズル33から吐出される樹脂が塗布されることになる。
【0061】
次に、塗布装置1の制御部は、樹脂硬化部34による樹脂硬化処理を開始させて、版胴11の円周側面上に塗布された樹脂を硬化させる(ステップS53)。例えば、版胴11の円周側面上に紫外線硬化性樹脂が塗布されている場合、樹脂硬化部34は、塗布された紫外線硬化性樹脂に対して紫外線を照射することによって、紫外線硬化性樹脂を版胴11の円周側面上で硬化させる。なお、上記ステップS53の動作は、上記ステップS52の動作と同時に開始してもいいし、上記ステップS52の動作が完了した後に開始してもかまわない。
【0062】
上記ステップS51〜ステップS53の動作によって、版胴11の円周側面上に、スリットノズル33から吐出された樹脂の層が形成される。例えば、図10Aに示すように、上記ステップS51〜ステップS53の動作前は、版胴11の円周側面上には何もない状態である。そして、図10Bに示すように、上記ステップS51〜ステップS53の動作によって、版胴11の円周側面上に樹脂層RLが形成される。
【0063】
次に、塗布装置1の制御部は、第3モータ31および第4モータ32を駆動させて、樹脂塗布部30全体を上昇させ、スリットノズル33のスリットと版胴11の円周側面とを離間させる。そして、塗布装置1の制御部は、第5モータ41および第6モータ42を駆動させて、研削描画部40全体を移動させ、研削ヘッド44と版胴11の円周側面上に形成された樹脂層とを近接させる(ステップS54)。例えば、図8に示すように、塗布装置1の制御部は、樹脂塗布部30全体を図示E+方向に上昇させることによって、スリットノズル33と版胴11とを離間させる。そして、塗布装置1の制御部は、研削描画部40全体を図示F−方向に水平移動させることによって、研削ヘッド44と版胴11の円周側面上に形成された樹脂層とを近接させる。
【0064】
次に、塗布装置1の制御部は、研削ヘッド44を版胴11の円周側面上に形成された樹脂層の表面に当接させて、当該表面を粗研削する(ステップS55)。例えば、塗布装置1の制御部は、樹脂層が形成された版胴11および研削ヘッド44の円柱型ツールを所定の回転速度で回転させる。そして、塗布装置1の制御部は、ベース46(図5参照)を移動させて、所定の粗研削量となるように研削ヘッド44を版胴11の円周側面上に形成された樹脂層の表面に当接させた状態で、ベース46を副走査方向に移動させることによって、所望の研削深さで版胴11表面を粗研削する。なお、塗布装置1の制御部は、上記ステップS55における粗研削を開始する際、吸引機構45による吸引動作を開始させ、上記粗研削により発生する研削屑等を含む気体を吸引させる。
【0065】
次に、塗布装置1の制御部は、版胴11の円周側面上に形成された樹脂層の表面を計測(例えば、樹脂層の厚さを計測)して、当該計測結果に基づいて研削/研磨量を算出する(ステップS56)。例えば、塗布装置1の制御部は、レーザ変位計55から得られる搬送テーブル54の上面から樹脂層表面までの高さを示すデータを用いて、さらに版胴11の円周側面上に形成された樹脂層を精研削/研磨する研削/研磨量を算出する。なお、版胴11の円周側面上に形成された樹脂層の表面を計測する計測部は、レーザ変位計55でなくてもかまわない。例えば、塗布装置1に既に設けられている他の計測装置を用いてもいいし、ステップS56の動作の際に塗布装置1に計測機器を新たに設置して、当該計測機器によって計測されたデータを用いてもかまわない。
【0066】
次に、塗布装置1の制御部は、研削ヘッド44を用いて版胴11の円周側面上に形成された樹脂層の表面を精研削/研磨する(ステップS57)。例えば、塗布装置1の制御部は、樹脂層が形成された版胴11および研削ヘッド44の円柱型ツールを所定の回転速度で回転させる。そして、塗布装置1の制御部は、ベース46を移動させて、最終的に上記ステップS56で算出された研削/研磨量となるように研削ヘッド44を版胴11の円周側面上に形成された樹脂層の表面に当接させた状態で、ベース46を副走査方向に移動させることによって、版胴11表面を精研削/研磨する。なお、塗布装置1の制御部は、上記ステップS57における精研削/研磨を開始する際、吸引機構45による吸引動作を開始させ、上記精研削/研磨により発生する研削屑等を含む気体を吸引させる。
【0067】
上記ステップS54〜ステップS57の動作によって、版胴11の円周側面上に、その表面が精研削/研磨された樹脂層が形成される。例えば、図10Cに示すように、上記ステップS54〜ステップS57の動作によって、版胴11の円周側面上に表面が精研削/研磨された樹脂層RLが形成される。なお、版胴11の円周側面上に形成された樹脂層RLは、剛体で構成される版胴11の円周側面上に直接薄膜形成されているため、その表面を研削ヘッド44によって粗研削→精研削/研磨する際に樹脂の弾性による形状変形を最小限に抑えることができ、その表面形状において非常に高精度な真円度となる。また、上記ステップS56において、版胴11の円周側面上に形成された樹脂層RLの厚さを計測した後に研削/研磨量を決定しているため、版胴11の円周側面上に均一な厚みの樹脂層RLを形成することができる。
【0068】
次に、塗布装置1の制御部は、描画ヘッド43を用いて版胴11の円周側面上に形成された樹脂層の表面をパターンニング(製版)する(ステップS58)。例えば、塗布装置1の制御部は、軸芯を中心に版胴11を主走査方向X(図5参照)へ回転させながら、当該回転動作と同期させて描画ヘッド43から凹凸パターンを形成するためのレーザを精研削/研磨された樹脂層表面に照射して、当該樹脂層表面を切削加工する。例えば、描画ヘッド43は、レーザを樹脂層表面に照射することによって、当該表面にアブレーションを生じさせて切削加工する。そして、上記制御部は、版胴11を主走査方向Xへ回転する回転動作と同期させてベース46を副走査方向に移動させることによって、所望の凹凸パターンを樹脂層表面に形成する。なお、塗布装置1の制御部は、上記ステップS58におけるパターンニングを開始する際、吸引機構45による吸引動作を開始させ、上記アブレーションによって樹脂層表面が蒸発/侵食して気化した気体を吸引させる。
【0069】
上記ステップS58の動作によって、版胴11の円周側面上に、その表面に凹凸パターンが形成された樹脂層が形成される。例えば、図10Dに示すように、上記ステップS58の動作によって、版胴11の円周側面上に所定のパターンで溝加工された樹脂層RLが形成される。
【0070】
なお、描画ヘッド43がレーザ描画装置で構成される場合、相対的に幅広の凸部の上に相対的に幅狭の凸部が重なった段付き凸部を樹脂層に形成することも可能である。例えば、図10Eに示すように、高さ0.5〜3.0mm、幅100μm以上の凸部の上に、高さ10〜100μm、幅30〜50μmの凸部をさらに形成した段付き凸部を形成することが可能となる。一般的に、印刷版12に微細な凸部を形成した場合、当該凸部に加わる応力等によって当該凸部が倒れるような現象が生じる。しかしながら、図10Eに示すような段付き凸部にすることによって、下段部の剛性が強化されるために上述した凸部の倒れ現象を防止することができ、さらに高精細な印刷版12の形成が可能となる。
【0071】
また、上記ステップS58の動作では、版胴11の円周側面上の樹脂層に溝加工することによって凹凸パターンを形成したが、様々な構造の凹凸パターンを形成することができる。例えば、版胴11の円周側面上の樹脂層にメッシュ構造、ハニカム構造、または波線状パターン等の凹凸パターンを形成することができる。
【0072】
次に、塗布装置1の制御部は、第5モータ41および第6モータ42を駆動させて、研削描画部40全体を移動させ、研削描画部40全体を版胴11から離間させる。そして、塗布装置1の制御部は、塗布液供給部20全体を移動させて、塗布液供給ローラ21と版胴11の円周側面上に形成された印刷版12とを当接させる(ステップS59)。例えば、図9に示すように、塗布装置1の制御部は、研削描画部40全体を図示F+方向に水平移動させることによって、研削描画部40全体と版胴11とを離間させる。そして、塗布装置1の制御部は、塗布液供給部20全体を図示D−方向に水平移動させることによって、塗布液供給ローラ21と版胴11の円周側面上に形成された印刷版12とを当接させる。
【0073】
次に、塗布装置1の制御部は、被塗布体となる基板Pを上面に載置した搬送テーブル54を矢印B方向(図2)に水平移動させて、版胴11の下部空間に基板Pを供給する(ステップS60)。そして、塗布装置1の制御部は、版胴11の円周側面上に形成された印刷版12を用いて、供給された基板Pに対して有機EL材料を含む塗布液を印刷塗布し(ステップS61)、当該フローチャートによる処理を終了する。具体的には、塗布装置1の制御部は、スリットノズル22および塗布液供給ローラ21を介して、供給源24に貯留された有機EL材料を含む塗布液を、印刷版12に形成された凸状のパターンに転写する。そして、上記制御部は、基板Pを載置した搬送テーブル54を矢印B方向に水平移動させて版胴11の下部空間を通過させる際、搬送テーブル54の水平移動速度に応じて互いに速度差が生じないように矢印A方向へ版胴11を回転させる。これによって、搬送テーブル54に載置された基板Pと印刷版12とが所定の隙間または押込量を維持して対向しながら、印刷版12に供給された有機EL材料を含む塗布液が上記凸状パターン形状で基板Pに印刷塗布されていく。
【0074】
このように、本実施形態に係る塗布装置1では、版胴11に対して印刷版12が直接形成されるため、完成した印刷版を版胴に巻設する際の印刷版の変形等を考慮する必要がなく、高精度な印刷版12を版胴11上に形成することができる。また、版胴11の円周側面上に印刷版12を形成する際、版胴11に対して直接樹脂を塗布して硬化させ、その後に研削/研磨工程およびパターンニング(製版)工程が行われる。つまり、剛体で構成される版胴11の円周側面上に直接薄膜形成された樹脂層に対する加工となるため、樹脂層表面を加工する際に樹脂の弾性による形状変形を最小限に抑えることができ、その表面形状が非常に高精度な真円度となる。
【0075】
なお、上述したように印刷版12が形成された版胴11に対して、別の印刷版を形成しようとする場合、既に形成されている印刷版12を版胴11から除去する。例えば、印刷版12が円周側面上に形成された版胴11の円周側面全面を切削加工することによって、既に形成されている印刷版12を版胴11から除去してもかまわない。この場合、既に形成されている印刷版12を除去した版胴11に対して、上述した印刷版形成動作を行うことによって、版胴11の円周側面上に新たな印刷版12を形成することができる。
【0076】
また、上述した説明では、基板Pに塗布液を塗布する機構を備えた塗布装置1に印刷版12を形成する各種機構を組み込んだ態様を用いたが、他の態様の装置で版胴11の円周側面上に印刷版12を形成してもかまわない。例えば、基板Pに塗布液を塗布するための機構(塗布液供給部20、基板搬送機構50、昇降機構60等)を、上述した塗布装置1から外した装置であっても、同様に版胴11の円周側面上に印刷版12を形成できることは言うまでもない。この場合、上記装置は、版胴11の円周側面上に印刷版12を形成する印刷版製造装置として機能し、当該印刷版製造装置によって印刷版12が形成された版胴11を、基板Pに塗布液を塗布する機構を備えた装置に取り付けることによって、高精細な印刷塗布が可能となる。
【0077】
また、上述した塗布装置1において、印刷版12を形成するための機構(樹脂塗布部30および研削描画部40)を着脱可能に構成してもかまわない。この場合、版胴11の円周側面上に印刷版12を形成する際に樹脂塗布部30および研削描画部40を塗布装置1に装着し、基板Pに塗布液を印刷塗布する際に樹脂塗布部30および研削描画部40を塗布装置1から取り外して用いられる。
【0078】
また、上述した説明では、描画ヘッド43をレーザ描画装置で構成し、レーザアブレーションによって版胴11の円周側面に形成された樹脂層をパターンニング(製版)する一例を用いたが、他の描画方式でパターンニングしてもかまわない。例えば、版胴11の円周側面に形成された樹脂層を切削加工することによって削成してパターンニングしてもかまわない。また、版胴11の円周側面に光変成する感光性材料によって樹脂層を形成して、当該感光性材料を所定の凹凸パターンに応じて露光することによって、パターンニングしてもかまわない。
【0079】
また、上述した説明では印刷版12を単一の樹脂材料で構成する一例を用いたが、複数の材料によって印刷版12を構成してもかまわない。例えば、樹脂塗布部30が版胴11の円周側面上に樹脂を供給する際、下層部に撥液性を有する材料(例えば、フッ素炭素樹脂、シリコン系樹脂等)を供給し、表層部に親液性を有する材料(例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリイミド樹脂、金属蒸着膜等)を供給して、異なる材料で構成される層状に樹脂層を形成してもかまわない。この場合、印刷版12の表面部分および溝部分において撥液性/親液性の差異が生じるため、印刷版12の表面と塗布液との接触角を制御することができる。
【0080】
また、樹脂塗布部30が版胴11の円周側面上に樹脂を供給する際、上述した撥液性を有する材料を供給して樹脂層を形成した後、その表面を親水化処理してもかまわない。具体的には、撥液性樹脂(PFA(tetra fluoro ethylene−perfluoro alkylvinyl ether copolymer)、PTFE(poly tetra fluoro ethylene)等のフッ素炭素樹脂等)にて樹脂層を形成し、当該樹脂層の表面を研磨する。そして、研磨された樹脂層を表面改質(プラズマ処理や薬液処理等)を行うことによって、樹脂層の表面を親水化する。この場合も、印刷版12の表面部分および溝部分において撥液性/親液性の差異が生じるため、印刷版12の表面と塗布液との接触角を制御することができる。
【0081】
また、上述した実施形態においては、発光層を形成する有機EL材料を含む塗布液を塗布装置1が基板Pに印刷塗布する例を用いたが、赤色発光の有機EL材料、緑色発光の有機EL材料、および青色発光の有機EL材料を含む塗布液をそれぞれ印刷塗布できることは言うまでもない。また、本発明の塗布装置は、有機発光層材料の他に、正孔輸送層材料、正孔注入層材料、電子輸送層材料、および電子注入層材料等の他の有機EL材料を含む塗布液を印刷塗布する場合にも用いることができる。
【0082】
具体的には、上述した実施形態における塗布装置1が、赤、緑、および青色発光のうち、赤色発光の有機EL材料を含む塗布液を印刷塗布する場合、この塗布工程は、有機ELデバイスを製造する途中工程である。有機ELデバイスを製造する場合、正孔注入層材料印刷塗布、正孔輸送材料(例えば、PEDOT等)印刷塗布、赤色発光の有機EL材料印刷塗布、緑色発光の有機EL材料印刷塗布、青色発光の有機EL材料印刷塗布、電子輸送材料印刷塗布、電子注入層材料印刷塗布等の塗布工程があるが、本発明の塗布装置は、何れの印刷塗布工程でも用いることができる。
【0083】
また、上述した実施形態では、被塗布体の一例としてガラス基板を用いたが、他の部材を被塗布体にすることもできる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)等で構成される柔軟性を有した基板を、塗布装置1の被塗布体にしてもかまわない。
【0084】
上述した実施形態における塗布装置1が用いる赤、緑、青、および白色発光の有機発光材料としては、例えば、キノリノール系金属錯体、ベンゾキノリノール系金属錯体、ベンゾオキサゾール系金属錯体、フタロシアニン類、ポリフェリン類、アゾメチン系金属錯体、フェナントロリンユウロピウム錯体、スチリルおよびジスチリル化合物、ピレン、ルブレン、コロネン、クリセン、ジフェニルアントラセン等の縮合芳香族化合物、オキサジアゾール類、チアジアゾール類、トリアゾール類等のヘテロ芳香族化合物、キナクリドン類、クマリン類等のヘテロ縮合環化合物、ポリフェニレン、ポリピリジン、ポリチオフェン、ポリフルオニレン、ポリフェニレンビニレン等のπ共役系化合物等を用いることができ、印刷版12を構成する樹脂材料としてこれらの材料に対する耐性を有するものが用いられる。しかしながら、塗布装置1で用いる有機発光材料としては、例示したこれらの材料に限られるものではなく、印刷版12が耐性を有する他の材料を用いてもかまわない。
【0085】
また、上述した実施形態における塗布装置1が用いる正孔輸送材料としては、例えば、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリフェニレンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、トリアリールアミン骨格を有するポリオレフィン、ポリアクリル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド等を用いることができ、印刷版12を構成する樹脂材料としてこれらの材料に対する耐性を有するものが用いられる。しかしながら、塗布装置1で用いる正孔輸送材料としては、例示したこれらの材料に限られるものではなく、印刷版12が耐性を有する他の材料を用いてもかまわない。
【0086】
また、上述した実施形態では、塗布液として有機EL材料を含む塗布液とした有機EL表示装置の製造装置を一例にして説明したが、本発明は他の塗布装置にも適用できる。例えば、レジスト液やSOG(Spin On Glass)液やPDP(プラズマディスプレイパネル)を製造するのに使用される蛍光材料を薄膜転写塗布する装置にも適用することができる。また、TFT(Thin Film Transistor)配線パターンや、液晶カラーディスプレイをカラー表示するために液晶セル内に構成されるカラーフィルタを製造するために使用される色材のストライプパターンを薄膜転写塗布する装置にも適用することができる。
【0087】
また、上述した実施形態では、印刷版12を用いて薄膜印刷塗布を凸版印刷(フレキソ印刷)する例を用いているが、本発明は他の印刷方式でも適用することができる。例えば、薄膜印刷塗布をグラビア印刷等の凹版印刷、すなわち彫り込まれた溝部で塗布液を保持して当該塗布液を転写する態様においても、本発明を適用することができる。
【0088】
また、上述した説明では、基板Pを載置する搬送テーブル54を水平移動させながら版胴11を回転させて印刷塗布を行っているが、搬送テーブル54を固定して版胴11自体を上記水平移動方向とは逆の水平方向へ移動させながら回転させてもかまわない。版胴11と搬送テーブル54との少なくとも一方が相対的に水平方向に移動すれば、同様の印刷塗布が可能であることは言うまでもない。
【0089】
また、上述した実施形態においては、塗布液供給ローラ21の表面に塗布液を供給するためのノズルとして、塗布液供給ローラ21の軸線方向を長手方向とするスリットを有するスリットノズル22を用いている。また、版胴11の円周側面に樹脂を供給するノズルとして、版胴11の軸線方向を長手方向とするスリットを有するスリットノズル33を用いている。これらのスリットノズル22およびスリットノズル33は、他の構造のノズルを用いてもかまわない。塗布液供給ローラ21の表面に対し塗布液供給ローラ21の軸線方向に沿って所定流量の有機EL材料を含む塗布液を供給し得るものであれば、複数の吐出口を有するノズルを用いてもかまわない。例えば、塗布液供給ローラ21の軸線方向に多数の吐出口が列設されたノズルを用いてもかまわない。また、版胴11の円周側面に対し版胴11の軸線方向に沿って所定流量の樹脂を供給し得るものであれば、複数の吐出口を有するノズルを用いてもかまわない。例えば、版胴11の軸線方向に多数の吐出口が列設されたノズルを用いてもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明に係る塗布装置、印刷版製造装置、および塗布方法は、高い表面精度を有する印刷版を形成することができ、有機ELデバイスを製造する装置や方法や、液晶基板および半導体製造装置等においてレジストを塗布する装置や方法等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施形態に係る塗布装置1の要部概略構成を示す斜視図
【図2】図1の塗布装置1の要部を示す概要図
【図3】図2の洗浄機構23の一例を示す概要図
【図4】図1の塗布装置1の版胴11、塗布液供給部20、樹脂塗布部30、および研削描画部40の要部の一例を示す概要図
【図5】図4の樹脂塗布部30のスリットノズル33と、研削描画部40の描画ヘッド43および研削ヘッド44との構成の一例を示す斜視図
【図6】塗布装置1が印刷版12を版胴11上に形成して塗布液を塗布する動作の一例を示すフローチャート
【図7】樹脂塗布部30全体が下降して版胴11に接近する一例を説明するための説明図
【図8】樹脂塗布部30全体が上昇して版胴11と離間し、研削描画部40全体が水平移動して版胴11に接近する一例を説明するための説明図
【図9】研削描画部40全体が水平移動して版胴11と離間し、塗布液供給部20全体が水平移動して版胴11に接近する一例を説明するための説明図
【図10A】円周側面上に何もない版胴11の円周側面の一部を示す図
【図10B】樹脂層RLが形成された版胴11の円周側面の一部を示す図
【図10C】表面が精研削/研磨された樹脂層RLが形成された版胴11の円周側面の一部を示す図
【図10D】所定のパターンで溝加工された樹脂層RLが形成された版胴11の円周側面の一部を示す図
【図10E】段付き溝加工された樹脂層RLが形成された版胴11の円周側面の一部を示す図
【符号の説明】
【0092】
1…塗布装置
11…版胴
12…印刷版
20…塗布液供給部
21…塗布液供給ローラ
22、33…スリットノズル
23…洗浄機構
231…洗浄液容器
232…第1ブレード
233…第2ブレード
234…回収管路
24…供給源
28…第1モータ
29…第2モータ
30…樹脂塗布部
31…第3モータ
32…第4モータ
34…樹脂硬化部
40…研削描画部
41…第5モータ
42…第6モータ
43…描画ヘッド
44…研削ヘッド
45…吸引機構
46…ベース
50…基板搬送機構
51…基台
52…搬送ガイド部材
53…搬送駆動部
54…搬送テーブル
55…レーザ変位計
60…昇降機構
61…昇降テーブル
62…昇降ガイド部材
63…昇降駆動部
64…支持側板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に塗布液を印刷塗布する塗布装置であって、
前記基板の一方の面を上に向けた状態で当該基板を載置する載置台と、
円筒状の円周側面を有し、当該円周側面の中心となる軸芯を中心に回転する版胴と、
前記版胴の円周側面に樹脂を供給して、当該円周側面上に樹脂層を形成する樹脂供給手段と、
前記樹脂層の表面を、前記軸芯を基準に研削する研削手段と、
前記研削手段が研削した前記樹脂層の表面に凹凸パターンを形成するパターン形成手段と、
前記凹凸パターンが形成された前記樹脂層の表面に前記塗布液を供給する塗布液供給手段と、
前記基板の一方の面と前記凹凸パターンが形成された前記樹脂層の表面とを近接または当接させて対向させた状態で、前記軸芯を中心に前記版胴を回転させながら前記載置台と前記版胴とを相対移動させる相対移動手段とを備える、塗布装置。
【請求項2】
前記樹脂供給手段によって前記版胴の円周側面に供給された樹脂を硬化させる樹脂硬化手段を、さらに備える、請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記樹脂供給手段は、前記版胴の円周側面に光硬化性樹脂を供給し、
前記樹脂硬化手段は、前記光硬化性樹脂を硬化させる光を、前記樹脂供給手段によって前記版胴の円周側面に供給された光硬化性樹脂に照射する、請求項2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記樹脂供給手段は、前記版胴の円周側面に熱硬化性樹脂を供給し、
前記樹脂硬化手段は、前記熱硬化性樹脂を硬化させる熱量を、前記樹脂供給手段によって前記版胴の円周側面に供給された熱硬化性樹脂に加える、請求項2に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記切削手段は、前記樹脂層の表面を研削することによって生じる切削屑を吸引する吸引手段を含む、請求項1または2に記載の塗布装置。
【請求項6】
前記パターン形成手段は、前記研削手段が研削した前記樹脂層の表面の一部にレーザ光を前記凹凸パターンに応じて照射して、当該表面を切削加工するレーザ照射手段を含み、
前記パターン形成手段は、前記軸芯を中心に前記版胴を回転させながら前記レーザ照射手段から出力されたレーザ光を前記樹脂層の表面の一部に照射して、前記レーザ照射手段を前記軸芯方向に移動させることによって、前記樹脂層の表面に前記凹凸パターンを形成する、請求項1または2に記載の塗布装置。
【請求項7】
前記パターン形成手段は、前記レーザ照射手段が生じさせたアブレーションによって前記樹脂層の表面が気化した気体を吸引する吸引手段を含む、請求項6に記載の塗布装置。
【請求項8】
前記樹脂供給手段、前記切削手段、および前記パターン形成手段は、それぞれ前記塗布装置に対して着脱自在に構成される、請求項1に記載の塗布装置。
【請求項9】
前記樹脂供給手段は、当該樹脂供給手段全体を前記版胴に対して接離させる第1接離手段を含み、
前記切削手段は、当該切削手段全体を前記版胴に対して接離させる第2接離手段を含み、
前記パターン形成手段は、当該パターン形成手段全体を前記版胴に対して接離させる第3接離手段を含み、
前記塗布液供給手段は、当該塗布液供給手段全体を前記版胴に対して接離させる第4接離手段を含む、請求項1に記載の塗布装置。
【請求項10】
前記樹脂供給手段は、前記版胴の円周側面に撥液性を有する樹脂を供給して前記樹脂層形成した後、当該樹脂層の表面に親液化処理を行う、請求項1または2に記載の塗布装置。
【請求項11】
前記樹脂供給手段は、前記版胴の円周側面に撥液性を有する樹脂を供給して前記樹脂層の下層部を形成した後、当該下層部の表層として親液性を有する樹脂を供給して前記樹脂層の表層部を形成する、請求項1または2に記載の塗布装置。
【請求項12】
前記パターン形成手段は、相対的に幅広の凸部の上に相対的に幅狭の凸部が重なった段付き凸部を含む凹凸パターンを前記樹脂層の表面に形成する、請求項1または2に記載の塗布装置。
【請求項13】
基板上に塗布液を印刷塗布するための印刷版を形成する印刷版製造装置であって、
円筒状の円周側面を有し、当該円周側面の中心となる軸芯を中心に回転する版胴と、
前記版胴の円周側面に樹脂を供給して、当該円周側面上に樹脂層を形成する樹脂供給手段と、
前記樹脂層の表面を、前記軸芯を基準に研削する研削手段と、
前記研削手段が研削した前記樹脂層の表面に凹凸パターンを形成するパターン形成手段とを備える、印刷版製造装置。
【請求項14】
基板上に塗布液を印刷塗布する塗布方法であって、
軸芯を中心に回転する版胴が有する円筒状の円周側面に樹脂を供給して、当該円周側面上に樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層の表面を、前記軸芯を基準に研削する工程と、
研削した前記樹脂層の表面に凹凸パターンを形成する工程と、
前記凹凸パターンが形成された前記樹脂層の表面に前記塗布液を供給する工程と、
前記基板の一方の面と前記凹凸パターンが形成された前記樹脂層の表面とを近接または当接させて対向させた状態で、前記軸芯を中心に前記版胴を回転させながら前記基板と前記版胴とを相対移動させて前記基板の一方の面に前記塗布液を転写する工程とを含む、塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【公開番号】特開2010−89461(P2010−89461A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264120(P2008−264120)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】