説明

塗布装置および塗布方法

【課題】吸水シートの消費量を低減しつつ、良好な拭き取り性を維持できる塗布装置を提供する。
【解決手段】基板に溶液をインクジェット方式によって塗布する塗布装置100であり、基板に溶液を吐出するノズル12を含むヘッドユニット10と、ノズル12をワイピングするワイピングユニット20とを備える。ワイピングユニット20は、ノズル12の吐出面12aを拭き取る拭き取り部22を有し、拭き取り部22は、吸水シート21から構成された凸状形状を有している。ワイピングユニット20には、拭き取り部22の中心部に、多孔質からなる芯部23のみが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布装置および塗布方法に関し、特に、基板に溶液をインクジェット方式によって塗布する塗布装置および塗布方法に関する。さらには、本発明は、液晶パネルの配向膜などをインクジェット方式によって形成する塗布装置および塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の構成部品である液晶パネルは、一対の基板を所定のギャップを確保した状態で対向させた構造を有している。この基板間のギャップには、液晶分子を含む液晶層が封入されている。また、両基板の液晶層側の表面には、液晶分子を配向させる配向膜が形成されている。
【0003】
この配向膜は、ポリイミドを含んだ溶液を基板の表面に塗布することによって形成される。ポリイミド溶液を基板に塗布する方法としては、スピンコート法およびスプレー法の他に、インクジェット法が提案されている(例えば、特許文献1、2など)。
【0004】
インクジェット法によって配向膜を形成する場合、インクジェットヘッドの吐出面にポリイミド溶液が残存していると、次の塗布工程の際に、ポリイミド溶液の吐出を妨げて、不均一に塗布される部分が発生し得る。そのようなことが生じないように、ゴムからなる弾性体ブレードをインクジェットヘッドの吐出面に押し付けながら、余剰のポリイミド溶液(塗布液)を掻き取る手法が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−264597号公報
【特許文献2】特開2006−248102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、弾性体ブレードを用いるものでは、インクジェットヘッドの噴霧面と弾性体ブレードとの摩擦によって弾性体ブレードが削れ、弾性体の粉が発生するおそれがある。発生した弾性体粉がノズルに侵入したり、ノズル面に付着すると、それが塗布液に混入して、基板に形成される膜の品質を損ねてしまうことがある。また、弾性体ブレードの劣化等によって掻き取りが不完全になる場合がある。さらには、弾性体ブレード自体に付着した余剰塗布液を除去することが難しいことがあり、そして、掻き取った余剰液が再びインクジェットヘッドのノズル面に付着してしまうことがある。
【0007】
そのような弾性体ブレードの問題を避けるべく、特許文献2では、吸水性を有する帯状の清掃体を間欠搬送して、ヘッドのノズル面に押し付ける手法が提案されている。この手法によれば、ヘッドのノズル面に余剰吐出液が残ることが防止できるので、拭き取った後のノズル面からの溶液の吐出を安定させることができる。また、清掃体を間欠搬送させることによって、溶液の付着していない清掃体でノズル面を清掃することができるので、拭き取り性能を向上させることができる。
【0008】
ただし、特許文献2に開示された手法では、帯状の清掃体を間欠搬送してノズル面に押し付けることから、インクジェット塗布装置の構造が複雑になるという問題がある。すなわち、帯状の清掃体を供給するための供給リール、帯状の清掃体をノズル面の前面に繰り出す繰り出し機構、その清掃体をノズル面に押し付けるローラ、清掃体の巻取リールなどが必要となる。
【0009】
インクジェット塗布装置の構造が複雑になると、装置のコストが上がるだけでなく、装置の故障の要因も増えることになる。また、清掃体を間欠搬送した場合、確かに拭き取り性能は向上させることができるが、清掃体の消費量が増大してコスト高になってしまう。このことは、ひいては、液晶パネルの製造コストの増大につながる。
【0010】
本願発明者は、清掃体の消費量を抑えるべく、帯状の清掃体を供給リールから供給するのではなく、吸水シートで凸状形状を作り、それによって、インクジェットヘッドのノズル面をワイピングする手法を検討した。
【0011】
図1は、本願発明者が検討したワイピング手法を説明するための工程断面図(模式図)である。図1には、複数のインクジェットヘッド1000が示されており、ヘッド1000の下面にはノズル面(吐出面)1100が位置している。塗布液(例えば、ポリイミド液)を吸収可能な吸水シート1210からなる拭き取り部1200は凸状形状をしており、吸水シート1210は保持部1250によって保持されている。
【0012】
ヘッド1000のノズル面1100から塗布液の吐出が終わると、ノズル面1100に残存している余剰の塗布液を掻き取るために、矢印1500のように拭き取り部1200を移動させて、ワイピング動作をする。このワイピングによって、凸状形状の拭き取り部1200の先端がノズル面1100に接触して、拭き取り部1200による拭き取りが行われる。
【0013】
吸水シート1210からなる拭き取り部1200を用いたワイピング手法によれば、清掃体(吸水シート)の消費量を大幅に低減することができる。すなわち、吸水シート1210からなる拭き取り部1200は、余剰塗布液を何度も拭き取って吸収することができるので、繰り返しワイピング動作を行うことができる。また、吸水シート1210を折り畳んだ拭き取り部1200は弾力性もあるため、その弾力性を利用して、凸状形状の拭き取り部1200の先端をノズル面1100に押し込み、それによって、良好に拭き取りを行うことができる。
【0014】
しかしながら、拭き取り部1200によるワイピング動作を繰り返すと、拭き取り部1200を構成する吸水シート1210の吸水能力を超えてしまい、そのうちに、拭き取り部1200の拭き取り能力が低下してしまう。拭き取り部1200の拭き取り能力が低下すると、拭き取り不良が発生しやすくなり、その結果、膜形成の歩留まり低下をもたらす。したがって、ワイピング動作を連続して行う場合には、拭き取り部1200の拭き取り能力が低下することを予測して、拭き取り部1200を交換することが必要となる。拭き取り部1200の交換は、製造ラインを停止して行う必要があるため、膜形成工程のスループットが低下してしまう。ここで、拭き取り部1200が塗布液を吸収する能力を向上させることができれば、拭き取り部1200の交換を減らすことができ、その結果、膜形成工程のスループットの低下を抑制することができる。
【0015】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、吸水シートの消費量を低減しつつ、良好な拭き取り性を維持できる塗布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る塗布装置は、基板に溶液をインクジェット方式によって塗布する塗布装置であり、前記基板に前記溶液を吐出するノズルを含むヘッドユニットと、前記ヘッドユニットにおける前記ノズルをワイピングするワイピングユニットとを備え、前記ワイピングユニットは、前記ノズルの吐出面を拭き取る拭き取り部を有しており、前記拭き取り部は、前記溶液を吸収する吸水シートから構成されており、且つ、前記拭き取り部の中心部には、多孔質材料からなる芯部のみが設けられている。
ある好適な実施形態では、さらに、前記基板を保持するステージユニットを備え、前記基板は、液晶パネル用のガラス基板であり、前記溶液は、ポリイミド液である。
本発明に係る塗布方法は、基板に溶液をインクジェット方式によって塗布する塗布方法であり、ノズルを用いて前記基板に溶液を吐出する工程と、前記ノズルをワイピングする工程とを含み、前記ワイピング工程において、前記ノズルに、前記溶液を吸収する吸水シートから構成された拭き取り部を接触させるステップを実行し、かつ、前記ワイピング工程において、前記拭き取り部の中心部には、多孔質材料からなる芯部が設けられている。
ある好適な実施形態において、前記基板は、液晶パネル用のガラス基板であり、前記吐出する工程において、配向膜が形成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基板に溶液を吐出するノズルの吐出面を拭き取る拭き取り部が吸水シートから構成されており、拭き取り部の中心部には、多孔質材料からなる芯部が設けられている。多孔質材料からなる芯部は、吸水シートよりも吸水性に優れているので、吸水シートの吸水能力を超えたとしても、さらに芯部で溶液を吸収することができる。したがって、拭き取り部の吸収能力を向上させることができ、その結果、吸水シートの消費量を低減しつつ、良好な拭き取り性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ワイピング手法を説明するための工程断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る塗布装置100の構成を説明するための側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る塗布装置100の構成を模式的に示した図である。
【図4】(a)から(c)は、本発明の実施形態に係るワイピング工程について説明する工程図である。
【図5】(a)および(b)は、本発明の実施形態に係る塗布方法について説明する工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のために、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0020】
図2は、本実施形態の塗布装置100の構成を模式的に示している。本実施形態の塗布装置100は、基板に溶液をインクジェット方式によって塗布する装置(インクジェット塗布装置)である。
【0021】
本実施形態の塗布装置100は、基板に溶液を吐出するノズル12を含むヘッドユニット10と、ヘッドユニット10におけるノズル12をワイピングするワイピングユニット20とから構成されている。
【0022】
ヘッドユニット10は、基板に溶液を吐出するノズル12が形成されたヘッド(インクジェットヘッド)11を備えている。ヘッド11は、ノズル12から溶液が吐出される面(吐出面)12aを有している。1個のヘッド11には、1つ又は複数のノズル12が形成されており、図2に示した例では、2個のヘッド11がヘッドカバー13に収納された構造を示している。
【0023】
ワイピングユニット20は、ノズル12の吐出面12aを拭き取る拭き取り部22を有している。拭き取り部22は、ノズル12から吐出される溶液を吸収する吸水シート21から構成されている。さらに、拭き取り部22の中心部には、多孔質材料からなる芯部23が設けられている。
【0024】
本実施形態における拭き取り部22は凸状形状を有しており、この凸状形状は、芯部23に吸水シート21を巻き付けることによって形成されている。また、折り畳んだ吸水シート21で芯部23を包むことによって、拭き取り部22の凸状形状を形成してもよい。多孔質材料からなる芯部23は、樹脂製のスポンジ部材から構成されている。
【0025】
芯部23を含む吸水シート21は、保持部24によって保持されて固定されている。芯部23および保持部24によって、拭き取り部22の凸状形状が維持されている。拭き取り部22は、芯部23に吸水シート21を巻き付けて形成され、あるいは、折り畳んだ吸水シート21で芯部23を包むことによって形成されていることから弾力性を有している。したがって、拭き取り部22をノズル12の吐出面12aに接触させた際には、その弾力性を利用することによって、吐出面12aに残留する溶液(塗布液)の拭き取りを良好に行うことができる。ワイピングユニット20による拭き取り動作(ワイピング動作)は、拭き取り部22を吐出面12aに接触させた状態で矢印50の方向(ワイピング方向)に移動させることによって実行することができる。
【0026】
本実施形態の構成では、ワイピングユニット20における拭き取り部22の中心部には、多孔質材料からなる芯部23が設けられている。芯部23は多孔質材料からなるので、拭き取り部22を構成する吸水シート21よりも吸水性に優れている。したがって、拭き取り部22がノズル12の吐出面12aに残留する溶液(塗布液)を吸収していき、吸水シート21の吸水能力を超えたとしても、さらに、拭き取り部22の中心部に位置する芯部23で溶液を吸収することができる。すなわち、本実施形態の構成によれば、拭き取り部22の吸収能力を向上させることができるので、多孔質材料からなる芯部23を設けていない構成と比較して、拭き取り部22の連続ワイピング動作時間を延ばすことができる。
【0027】
本実施形態のインクジェット塗布装置100では、ヘッドユニット10におけるノズル12の吐出面12aを拭き取る拭き取り部22がワイピングユニット20に形成されている。拭き取り部22は、吸水シート21から構成されており、そして、拭き取り部22の中心部には、多孔質材料からなる芯部23が設けられている。したがって、本実施形態の構成によれば、多孔質材料からなる芯部23によって拭き取り部22の吸収能力を向上させることができるので、芯部23を設けていない構成と比較して、拭き取り部22の連続ワイピング動作時間を延ばすことができる。その結果、良好な拭き取り性を維持しながら、拭き取り部22の交換時期を延ばすことができるので、吸水シート21の消費量を低減することができる。さらには、帯状の吸水シートを間欠搬送してワイピング動作する手法と比較すると、吸水シート21の消費量をさらに大幅に低減することができる。
【0028】
加えて、ワイピング動作によって拭き取り部22が溶液(塗布液)を吸収して重くなっていくと、拭き取り部22の自重が増加することによって凸状形状が傾きやすくなる。しかしながら、本実施形態の構成では、拭き取り部22の中心部に芯部23が設けられているので、芯部23の弾性(復元力)によって、拭き取り部22の自重が増加することによって斜めになっていくことを抑制することができる。拭き取り部22の凸状形状が斜めになると、ワイピング動作が不良(拭き取り不良)になることがあるが、本実施形態の構成によれば、そのような不良の発生を低減することができる。
【0029】
次に、図3を参照しながら、本実施形態のインクジェット塗布装置100の一例を説明する。図3は、本実施形態のインクジェット塗布装置100の構成を模式的に示した図である。
【0030】
図3に示したインクジェット塗布装置100は、インクジェットヘッド11を含むヘッドユニット10と、ヘッド11のノズル12をワイピングするワイピングユニット20とから構成されている。ノズル12から吐出された溶液(塗布液)によって塗布が実行される基板90は、ステージユニット30にて保持される。
【0031】
本実施形態では、ヘッドユニット10とワイピングユニット20とステージユニット30とは、フィルタ付きのクリーンルーム内に設置することができる。ヘッドユニット10は、タンクユニットと接続されており、タンクユニットからヘッドユニット10に溶液(塗布液)が供給される。タンクユニットには廃液タンクを配置することが可能である。また、インクジェット塗布装置100の塗布工程およびワイピング工程は、クリーンルームの外に配置されたコンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ)によって制御することができる。
【0032】
ノズル12からの溶液で成膜される基板90は、ステージユニット30のステージ32の上に載置される。ステージ32には、基板90のためのリフトピン34が設けられており、リフトピン34によって基板90を移動することができる。また、ステージユニット30は、基板90をステージ32に載置した状態で移動可能なステージ移動機構35を備えている。ステージ移動機構35によって、インクジェットヘッド11のノズル12の直下に基板90を移動させることができる。
【0033】
基板90は、例えば、ガラス基板であり、本実施形態における基板90は、液晶パネル用のガラス基板である。また、基板90は、液晶パネルの寸法に切り出す前のマザーガラスであってもよいし、切り出した後の液晶パネルのサイズのガラスであってもよい。さらに、基板90は、薄膜トランジスタ(TFT)が作製されるアレイ基板(またはその作製途中のもの)であってもよいし、カラーフィルタ(CF)が形成されるCF基板(またはその作製途中のもの)であってもよい。なお、基板90は、ガラス基板の他、樹脂基板や、ウェハのような他の薄板であっても構わない。加えて、液晶パネル用の基板90に限らず、PDP、有機ELパネル、その他フラットパネルディスプレイまたは電子デバイスを製作する上での薄型の基板であってもよい。
【0034】
ワイピングユニット20には、拭き取り部22が設けられており、拭き取り部22の中心部には芯部23が配置されている。また、拭き取り部22は、保持部24によって保持されている。
【0035】
図示した例では、ワイピングユニット20は、ステージ移動機構35に連結されており、ステージ移動機構35によってワイピングユニット20を移動させることが可能である。なお、ワイピングユニット20をステージ移動機構35に連結せずに、ワイピングユニット20を移動させる機構を設けた構成にすることも可能である。また、ステージ移動機構35によって基板90をインクジェットヘッド11の直下に移動させる構成でなく、インクジェットヘッド11を移動させる構成を採用することも可能である。
【0036】
次に、図4(a)から(c)を参照しながら、ノズル12をワイピングする工程について説明する。図4(a)から(c)は、本実施形態のワイピング工程を説明するための工程図である。
【0037】
インクジェットヘッド11のノズル12の吐出面12aに、溶液(塗布液)が残留していると、ノズル12の吐出口(オリフィス)の液面が不均一になり、その結果、ノズル12から吐出される液滴が安定しなくなる。それゆえ、前回の塗布工程が終了したら、次の塗布工程を実行する前に、ノズル12のワイピングが実行される。
【0038】
まず、図4(a)に示すように、ノズル12の近傍に、ワイピングユニット20を配置する。ワイピングユニット20には、吸水シート21及び芯部23を含む拭き取り部22が設けられている。
【0039】
次に、図4(b)に示すように、ワイピングユニット20の拭き取り部22を、吐出面(ノズル面)12aに押し当てる。吸水シート21から構成された拭き取り部22は弾力性を有しているので、その弾力性を利用して、拭き取り部22が吐出面12aに押し当てられた時に、ノズル12の吐出口への密着性を良好にすることができる。次いで、拭き取り部22を吐出面12aに押し当てた状態で矢印50の方向に移動させると、ノズル12のワイピング動作が進み、ノズル12の吐出面12aの拭き取りが行われる。
【0040】
その後は、図4(c)に示すように、ワイピングユニット20は、インクジェットヘッド11から離れていく。図4(a)から(c)に示した一連のワイピング工程が実行されるごとに、拭き取り部22を構成する吸水シート21が溶液(残留した塗布液)を吸収していく。ただし、本実施形態の構成では、拭き取り部22の中心部には、多孔質材料からなる芯部23が設けられているので、拭き取り部22の吸水能力は、芯部23が無い場合と比較して顕著に向上している。
【0041】
次に、図5(a)および(b)を参照しながら、本実施形態の塗布方法について説明する。図5(a)および(b)は、本実施形態の塗布方法を説明するための工程図である。
【0042】
まず、図5(a)に示すように、これから塗布を実行する基板90をステージ32の上に配置する。この基板90を準備した状態で、ワイピングユニット20を用いてインクジェットヘッド11のワイピングを行う。具体的には、図4(a)から(c)に示したようにして、拭き取り部22をノズル12に接触させて、吐出面12aに残留している溶液(塗布液)の拭き取りを行う。
【0043】
図5(b)に示すように、インクジェットヘッド11のノズル12から溶液16を吐出することによって、基板90上に機能膜(例えば、ポリイミドからなる配向膜)を形成する。具体的には、ステージ32上に配置された基板90を移動させて(矢印55参照)、所定領域に機能膜を形成していく。なお、基板90を移動させる手法に限らず、インクジェットヘッド11を移動させて、機能膜を形成しても構わない。また、インクジェットヘッド11による機能膜の形成が完了した後に、次の成膜工程を実行する場合には、再び、図5(a)に示したようなワイピング工程が実行される。
【0044】
本実施形態の塗布方法によれば、ノズル12を用いて基板90に溶液(塗布液)を吐出する工程と、ノズル12をワイピングする工程とを含んでおり、ワイピング工程において、ノズル12に、吸水シート21から構成された拭き取り部22を接触させ、そして、そのワイピング工程において、拭き取り部22の中心部に芯部23を設けている。したがって、ワイピング工程を繰り返し行っても、吸水シート21の吸収能力を超えても芯部23にて溶液(塗布液)を吸収することができるので、拭き取り部22の吸収能力を顕著に向上させることができる。その結果、吸水シート21の消費量を低減しつつ、ワイピング工程における良好な拭き取り性を維持することができる。加えて、ワイピング工程における吸水シート21の消費量を減らすことができるので、製造品(例えば、液晶パネル)の製造コストの増大を抑制することができる。
【0045】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、吸水シートの消費量を低減しつつ、良好な拭き取り性を維持できる塗布装置および塗布方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0047】
10ヘッドユニット
11インクジェットヘッド
12ノズル
12a吐出面(ノズル面)
13ヘッドカバー
16 溶液(塗布液)
20 ワイピングユニット
21吸水シート
22拭き取り部
23 芯部
24保持部
30 ステージユニット
32ステージ
34リフトピン
35ステージ移動機構
50 ワイピング方向
90基板(ガラス基板)
100塗布装置(インクジェット塗布装置)
1000 インクジェットヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に溶液をインクジェット方式によって塗布する塗布装置であって、
前記基板に前記溶液を吐出するノズルを含むヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットにおける前記ノズルをワイピングするワイピングユニットと
を備え、
前記ワイピングユニットは、前記ノズルの吐出面を拭き取る拭き取り部を有しており、
前記拭き取り部は、前記溶液を吸収する吸水シートから構成されており、且つ、前記拭き取り部の中心部には、多孔質材料からなる芯部のみが設けられている、塗布装置。
【請求項2】
さらに、前記基板を保持するステージユニットを備え、
前記基板は、液晶パネル用のガラス基板であり、
前記溶液は、ポリイミド液である、請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
基板に溶液をインクジェット方式によって塗布する塗布方法であって、
ノズルを用いて前記基板に溶液を吐出する工程と、
前記ノズルをワイピングする工程と
を含み、
前記ワイピング工程において、
前記ノズルに、前記溶液を吸収する吸水シートから構成された拭き取り部を接触させるステップを実行し、かつ、
前記ワイピング工程において、前記拭き取り部の中心部には、多孔質材料からなる芯部が設けられている、塗布方法。
【請求項4】
前記基板は、液晶パネル用のガラス基板であり、
前記吐出する工程において、配向膜が形成される、請求項3に記載の塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−16089(P2011−16089A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162994(P2009−162994)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】