説明

塗布装置と塗布方法

【課題】
装置の大型化に伴い、複数の塗布ヘッドを設けた門型フレームのフレームが熱伸びにより変形して、塗布位置の精度が低下し、正確な塗布ができないという課題が発生した。
【解決手段】
フレームの一端側を固定として、他端側をフレームの長手方向に移動可能に直動リニアガイド支持する構成として、熱伸びによるフレームに熱応力(フレームの曲がり)が発生しないようすると共に、熱伸びによるヘッド位置のズレを基準器により熱伸び量を求めて補正することで解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルの製造過程で、基板上にペーストを塗布や液晶を滴下するための塗布装置と塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術としては、特許文献1に記載されているように、ガラス基板をXYθ方向に移動可能なテーブル上に載置し、ガラス基板の主面に対してノズルの吐出口に対向するようにし、ペースト収納筒に充填したペーストを該吐出口から該基板上に吐出させながら該基板と該ノズルとの相対位置関係を変化させることにより、該基板上に所望形状のペーストパタ−ンを塗布する構成のものがある。
【0003】
【特許文献1】特開平7−275770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、LCDなどのフラットパネルの分野においては、ガラス基板サイズの大型化が進んでおり、塗布ヘッドの塗布範囲も拡大し、これにより、塗布ヘッドを支持する門型フレームも長く、大きくなり、装置の運搬途中やクリーンルームへの搬入そして、クリーンルームの室温変動など、装置の温度状態が変化するため、門型フレームには、熱伸びによる熱応力が発生し、門型フレームの変形とペーストパターンを所望の形状に塗布描画することが困難な状況にある。
【0005】
前述のように、ガラス基板サイズの大型化に伴い、塗布ヘッドを支持する門型フレームも長く、大きくなり、装置の運搬途中やクリーンルームへの搬入そして、クリーンルームでの室温変動など、装置の温度状態が変化する。このため、門型フレームには、熱伸びによる熱応力が発生し、ペーストパターンを所望の形状と位置に塗布描画することが困難な状況になる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、熱伸びによる門型フレームの変形と塗布位置精度の低下を防止し、ペーストパターンの形状を所望の形状にする装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、該ノズルを含む塗布ヘッド部を直動案内により複数支持する門型フレームの長手方向の熱伸びを直動ガイドにて支持するようにしたことにより、フレームに生じる熱応力の発生を防止できるように構成し、また、装置設置環境でのフレームの熱伸び長さを、基準器により計測し、該ノズルを該基板上の所望の位置に位置決めし、所望のペーストパターンを塗布描画できるように補正制御できるようにペースト塗布機とした。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、基板主面に四画状のペーストパターンを塗布描画する際に、装置の設置環境による熱伸びによる門型フレームの熱変形を防止し、また、ペーストパターンの塗布位置誤差を低減し、所望のパターン形状を得るペースト塗布機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、ノズルを含む複数の塗布ヘッド部を直動案内する塗布ヘッドX軸移動機構を備えた門型フレーム部のフレーム(横梁)備えている。装置の大型化に伴い、このフレームが周囲の温度環境等により伸びが発生しフレームが湾曲し、塗布位置に誤差が発生し、正確なペースト塗布や、液晶滴下ができなくなる問題が発生した。そこで、本発明では、このフレームの長手方向の熱伸び(X軸方向の伸び)による変形を防止するため、前記フレーム(横梁)の一方側を固定支持し、他方側をX軸方向に可動(Y軸方向は固定)できる直動ガイドにて支持するよう構成した。これにより、フレームに生じる熱応力の発生を防止できるように構成した。また、装置設置環境でのフレームの熱伸び長さを、基準器により計測し、該ノズルを該基板上の所望の位置に位置決めし、所望のペーストパターンを塗布描画できるように補正制御する方法を採用した。以下の実施例にて詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
以下、本発明の1実施例について図面を用いて説明する。本実施例では、基板面上にペーストパターン(シール材パターン)を描画する装置を例に説明するが、同様に、門型フレーム構造で基板上に液晶を滴下する滴下装置にも適用できることは言うまでもない。
【0011】
図1は本発明によるペースト塗布機の一実施形態を示す斜視図である。尚、対向して設置した複数の塗布ヘッド各部の番号は、煩雑を避ける為、以下の説明において各部の番号にa〜fの添字を付し説明する。
各フレーム(横梁)2a,2bの一方端はX軸方向に移動できないように、支持脚31a、又はリニアモータ4bに固定されている。また、各横梁2a、2bの他端側はX軸方向に移動可能なように熱伸び案内ガイド25a,25bに支持されている。この熱伸び案内ガイドは、例えば一方側にX方向に設けられたレールと、そのレール上を移動するようにすべり軸受け又は転がり軸受け構造としてある。なお、X軸方向に自由に移動できる構造であれば上記構造に限定されるものではない。
【0012】
図1において、架台1上の一方側には、それぞれリニアモータ備えた複数の塗布ヘッド部を各々X軸方向に移動させる移動機構(リニアレール)を備えた横梁2aが支持部材31aに一方端側が固定され、他方端側に熱伸び案内ガイド25aが設けてある。横梁2aと対向する位置に、それぞれリニアモータを備えた他の複数の塗布ヘッド部を各々X軸方向に移動させる移動機構(リニアレール)を備えた横梁2bが設けてある。この横梁2bはY軸方向移動できるように、袈台1側に固定された塗布ヘッドの間隔を調整する機構3a、3bであるリニアレールが設けられ、横梁2b両端には間隔調整用リニアモータ4a,4bが設けられている。また、この横梁2bの一端側は、X軸方向には移動しないようにリニアモータ4bに固定支持され、他端側はX軸方向に移動可能に熱伸び案内ガイド25bを介して支持されている。また、横梁2a,2bと対向する袈台1上には基板7を支持してY軸方向に移動させるY軸移動テーブル6が設けられている。このY軸移動テーブル6は、その上に基板保持機構5が設けてある。
【0013】
複数の塗布ヘッドの横梁2a、2bには、直動ガイドが、塗布ヘッド部側にはリニアサーボモータが設けてあり、それぞれの塗布ヘッドがX軸方向に移動制御される。複数の塗布ヘッド部は、複数の塗布ヘッドを支持するためのX軸方向移動用リニアサーボモータを裏面側に設け、表側にZ軸サーボモータ10a〜10fを設けたZ軸移動テ−ブル支持ブラケット8a〜8f備えている。このZ軸サーボモータ10a〜10fにより、塗布部を上下に移動させるZ軸移動テ−ブル9a〜9fが設けられている。このZ軸移動テーブルに、ペースト収納筒(シリンジ)13aやノズルを設けたノズル支持具14aや、距離計16a、及び照明の可能な光源を備えた鏡筒と画像認識カメラ15aが取り付けてある。
【0014】
なお、照明の可能な光源を備えた鏡筒と画像認識カメラ15aは、各塗布ノズルの平行調整や間隔調整用に使用される他、基板の位置合わせやペーストパターンの形状認識などのために基板に対向するように設けられている。
【0015】
架台1の内部には、各機構の駆動を行なうリニアモータ4am、4bm、8am〜8fmとテーブルを移動するサーボモータ6mを制御する主制御部17aが設けられている。この主制御部17aはケーブル17eを介して副制御部17bに接続されている。副制御部17bはZ軸移動テーブルを駆動するサーボモータ10a〜10fを制御する。主制御部17aにはモニタ17fやキーボード17g、外部記憶装置であるハードディスク17c、フロッピディスク17dが接続されている。かかる主制御部17aでの各種処理のデータがキーボード17gから入力され、画像認識カメラ15a〜15fで捉えた画像や主制御部17aにおいて行った画像処理等による位置の算出からフレームの伸び量ををもとめ、これらの処理状況がモニタ17fで表示される。また、キーボード17gから入力されたデータなどは、外部記憶装置であるハードディスク17cやフロッピディスク17dなどの記憶媒体に記憶保管される。
【0016】
図2は図1におけるペースト収納筒13aと距離計16aとの部分を拡大して示す斜視図である。ペースト収納筒からノズル先端まではノズル支持具14aによって支持されている。図2において、図1に対応する部分には同一符号をつけている。
【0017】
距離計16aは、ノズルの先端部に対してガラスからなる基板7の表面(上面)までの距離を非接触の三角測法で計測する。即ち、距離計16の筐体内に発光素子が設けられ、この発光素子から放射されたレーザ光Lは基板7上の計測点で反射し、同じく筐体内に設けられた受光素子で受光される。また、基板7上でのレーザ光の計測点Sとノズル13anの直下位置とは、基板7上で僅かな距離だけずれているが、この僅かな距離程度のずれでは、基板7の表面の凹凸に差がないので、距離計16aの計測結果とノズル13anの先端部から基板7の表面(上面)までの距離との間に差は殆ど存在しない。従って、この距離計16の計測結果に基いてを制御することにより、基板7の表面の凹凸(うねり)に合わせてのノズル13an先端部から基板7の表面(上面)までの距離(間隔)を一定に維持することができる。
【0018】
このようにして、ノズル13aの先端部から基板7の表面(上面)までの距離(間隔)を一定に維持し、かつ、ノズル13anから吐出される単位時間当りのペースト量が定量に維持することにより、基板7上に塗布描画されるペーストパターンは幅や厚さが一様になる。
【0019】
次に、本実施例における制御方法について説明する。
【0020】
図3は、図1における主制御部の構成を示すブロック図であって、17aaはマイクロコンピュータ、17abはモータコントローラ、17acはデータ通信バス、17adは外部インターフェース、17aeは画像認識装置、17afは各塗布ヘッド移動用X軸リニアモータ用ドライバ、17ag、17ahは塗布ヘッドの間隔を調整するY軸リニアモータ用ドライバ、17aiはテーブル用Y軸モータ用ドライバ、17ajは塗布ヘッドY軸調整移動用モータ用ドライバであり、前出の図面に対応する部分には同一符号をつけている。
【0021】
同図において、主制御部17aは、マイクロコンピュータ17aaやモータコントローラ17ab、X軸,Y軸,テーブルY軸等の各軸ドライバ17f〜17j、画像認識カメラ15aで得られる映像信号を処理する画像処理装置17ae、副制御部17bとの間の信号伝送やレギュレータ22a〜22f、23a〜23f、バルブユニット24a〜24fの制御を行なう外部インターフェース17adを内蔵している。
【0022】
また、マイクロコンピュータ17aaには図示しないが、主演算部や後述する塗布描画を行なうための処理プログラムを格納したROM、主演算部での処理結果や外部インターフェース17ad及びモータコントローラ17abからの入力データを格納するRAM、外部インターフェース17adやモータコントローラ17abとデータをやりとりする入出力部などを備えている。
【0023】
各モータ8am〜8fm、4am、4bm、6mには、位置を検出するリニアスケールと回転量を検出するエンコーダが内蔵されており、その検出結果をX軸、Y軸、テーブルY軸等の各軸ドライバ17f〜17jに戻して位置制御を行なっている。
【0024】
また、図4は、図1における副制御部17bの構成を示すブロック図であって、17baはマイクロコンピュータ、17bbはモータコントローラ、17bcはデータ通信バス、17bdは外部インターフェース、17beはZ軸モータ用ドライバであり、前出の図面に対応する部分には同一符号をつけている。
【0025】
同図において、副制御部17bは、マイクロコンピュータ17baやモータコントローラ17bb、Z軸ドライバ17be、距離計16a〜16fで得られる高さデータの入力や主制御部17aとの信号伝送を行なう外部インターフェース17bdを内蔵している。また、マイクロコンピュータ17baには図示しないが、主演算部や後述する塗布描画時のノズル13anの高さ制御を行なうための処理プログラムを格納したROM、主演算部での処理結果や外部インターフェース17bd及びモータコントローラ17bbからの入力データを格納するRAM、外部インターフェース17bdやモータコントローラ17bbとデータをやりとりする入出力部などを備えている。Z軸モータ10a〜10fには、回転量を検出するエンコーダが内蔵されており、その検出結果をZ軸ドライバ17beに戻して位置制御を行なっている。
【0026】
主制御部17aと副制御部17bの連携した制御のもと、各モータ8am〜8fm、4am、4bm,6m、10a〜10fが、キーボード17gから入力されてマイクロコンピュータ17aaのRAMに格納されているデータに基いて移動・回転することにより、基板保持機構5(図1)に保持された基板7を、Y軸方向に任意の距離を移動し、かつ、ノズル部を上下に移動するZ軸移動テーブル9a〜9fを介して、支持したノズル13an(図2)〜13fnを、塗布ヘッドのX移動機構2a,2bにより、X軸方向に任意の距離を移動し、その移動中、ペースト収納筒13a〜13fに設定した気圧が継続して印加されてノズル13an〜13fnの先端部の吐出口からペーストが吐出され、基板7に所望のペーストパターンが塗布される。
【0027】
ノズル13an〜13fnがX軸方向へ水平移動中に距離計16a〜16fがノズル13an〜13fnと基板7との間隔を計測し、これを常に一定の間隔を維持するように、ノズル13an〜13fnがZ軸移動テーブル9a〜9fの上下移動で制御される。
【0028】
次に、図5により、この実施形態での装置の動作について説明する。
図5において、電源が投入されると(ステップ100)、まず、塗布機の初期設定が実行される(ステップ200)。この初期設定工程では、図1において、各軸移動用のモータ及びZ軸移動テーブル9を駆動することにより、基板保持機構5をY方向に移動させて所定の基準位置に位置決めし、また、ノズル13an(図2)を、そのペースト吐出口がペースト塗布を開始する位置(即ち、ペースト塗布開始点)となるように、所定の原点位置に設定すると共に、さらに、ペーストパターンデータや基板位置データ、ペースト吐出終了位置データの設定を行なうものである。
【0029】
かかるデータの入力はキーボード17g(図1)から行なわれ、入力されたデータは、前述したように、マイクロコンピュータ17aa(図3)に内蔵されたRAMに格納される。
【0030】
この初期設定工程(ステップ200)が終了すると、次に、熱伸び補正データ最終の採取処理を実行する。本発明では、基準器を用いてフレームの伸び量を測定するもので、基準器としては、先述べた各塗布ヘッドに設けてあるカメラと、テーブル側に搭載する基準基板、又はテーブル端部側に設けた基準部材等と、カメラ位置と、カメラで求めたマークや目盛の位置からフレーム伸び量を求める翔制御装置内の処理部から構成される。
【0031】
ここでは、手動操作など方法で、テーブル上に校正を行うための、図6に示す基準基板を搭載する。
【0032】
基準基板には、XY軸方向に設定したピッチで位置校正用のマークが所定の位置精度を確保して薄膜に形成されている。このマークを塗布ヘッドに搭載されているカメラにて撮像し、その位置座標から熱伸び長さを算出し、ステップ600のペーストパターンの塗布描画工程での、塗布位置の補正データとして使用する。
【0033】
また、図6に示すように、ペーストパターンを塗布する実基板の塗布面に位置校正マークを形成しておく事で、ステップ300の熱伸び補正データ採取工程をステップ400の基板搭載処理の後に、実施してもよい。
【0034】
また、熱による伸びの少ないガラス等からなり、基準目盛を設けた部材をテーブルの端部に設けて、この基準部材の目盛を測定してフレーム伸びを計測するようにしても良い。
【0035】
次に、基板7を基板吸着機構5(図1)に搭載して保持させる(ステップ400)。
【0036】
続いて、基板予備位置決め処理(ステップ500)を行なう。この処理では、基板保持機構5に搭載された基板7の位置決め用マークを画像認識カメラ15a〜15f中から設定してあるカメラを使用して撮影し、位置決め用マークの重心位置を画像処理で求めて基板7のθ方向での傾きを検出し、これに応じてサーボモータ30am〜30fm(図3)を駆動し、塗布ヘッドをY軸方向に移動し、このθ方向の傾きを補正する。以上により、基板予備位置決め処理(ステップ500)を終了する。
【0037】
次に、ペーストパターン描画処理(ステップ600)を行なう。
【0038】
この処理では、基板7の塗布開始位置にノズル13an〜13fnの吐出口を位置移動させ、ノズル位置の比較・調整移動を行なう。ここでの比較・調整移動において、先のステップ300で、求めた熱伸び補正データを使用して、制御を進める。
【0039】
次に、サーボモータ10a〜10f及びZ軸移動テーブル9a〜9fを動作させてノズル13an〜13fnの高さをペーストパターン描画高さに設定する。
【0040】
ノズルの初期移動距離データに基づいてノズル13an〜13fnを初期移動距離分下降させる。続く動作では、基板7表面高さを距離計16a〜16fにより測定し、ノズル13an〜13fn先端がペーストパターンを描画する高さに設定されているか否かを確認し、描画高さに設定できていない場合は、ノズル13an〜13fnを微小距離下降させ、上記の基板7表面計測とノズル13an〜13fnの微小距離下降を繰返し動作をおこない、ノズル13an〜13fn先端をペーストパターンの塗布描画高さに設定する。
【0041】
以上の処理が終了すると、次に、マイクロコンピュータ17aaのRAMに格納されたペーストパターンデータとθ方向の傾きを補正に基づいてリニアモータモータ6m、8am〜8fmが駆動され、これにより、ノズル13an〜13fnのペースト吐出口が基板7に対向した状態で、このペーストパターンデータに応じて、ノズル13an〜13fnと基板7がそれぞれX,Y方向に移動するとともに、ペースト収納筒13a〜13fに設定した気圧を印加してノズル13an〜13fnのペースト吐出口からのペーストの吐出を開始する。これにより、基板7へのペーストパターンの塗布が開始する。
【0042】
そして、これとともに、先に説明したように、副制御部17bのマイクロコンピュータ17baは距離計16a〜16fからノズル13an〜13fnのペースト吐出口と基板7の表面との間隔の実測デ−タを入力し、基板7の表面のうねりを測定して、この測定値に応じてサーボモータ10a〜10fを駆動することにより、基板7の表面からのノズル13an〜13fnの設定高さが一定に維持される。これにより、所望の塗布量でペーストパターンを塗布することができる。
【0043】
以上ようにして、ペーストパターンの描画が進むが、ノズル13an〜13fnのペースト吐出口が基板7上の上記ペーストパターンデータによって決まる描画パターンの終端であるか否かの判断により、この終端でなければ、再び基板の表面うねりの測定処理に戻り、以下、上記の塗布描画を繰り返して、ペーストパターン形成が描画パターンの終端に達するまで継続する。
【0044】
そして、この描画パターン終端に達すると、サーボモータ10を駆動してノズル13aを上昇させ、このペーストパターン描画工程(ステップ600)が終了する。
【0045】
次に、基板排出処置(ステップ700)に進み、図1において、基板7の保持を解除し、装置外に排出する。
【0046】
そして、以上の全工程を停止するか否かを判定し(ステップ800)、複数枚の基板に同じパターンでペースト膜を形成する場合には、基板搭載処理(ステップ400)から繰り返され、全ての基板についてかかる一連の処理が終了すると、作業が全て終了(ステップ900)となる。
【0047】
以上のように、本発明ではフレームが周囲環境の温度変化に伴って発生する熱伸びを押さえ込まずに、一方側に自由に伸ばすことでフレームに発生する熱応力によるフレームの曲がりの発生を抑制し、熱伸びにより変化するフレーム長の変化を補正しながら塗布や、滴下を行うように構成することで高精度の塗布や滴下を実現したものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明によるペ−スト塗布機の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示した実施形態での塗布ヘッドの構造を示す斜視図である。
【図3】図1に示した実施形態での主制御系統を示すブロック図である。
【図4】図1に示した実施形態での副制御系統を示すブロック図である。
【図5】図1に示した実施形態の全体動作を示すフロ−チャ−トである。
【図6】ペーストパターンの塗布状態を説明する図である。
【符号の説明】
【0049】
1…架台、2a、2b…塗布ヘッドX軸移動機構、3a、3b…塗布ヘッド間隔調整機構、4a、4b…間隔調整用リニアモータ、5…基板保持機構、6…テーブルY軸方向移動機構、7…基板、8a〜8f…Z軸移動テーブル支持ブラケット、9a〜9f…Z軸移動テーブル、10a〜10f…Z軸サーボモータ、13a〜13f…ペースト収納筒(シリンジ)、13an〜13fn…塗布ノズル、15a〜15f…照明の可能な光源を備えた鏡筒と画像認識カメラ、16a〜16f…距離計、17a…主制御部、18b…副制御部、17f…モニタ、17g…キーボード、17c、17d…外部記憶装置(ハードディスク、フロッピィーディスク)、17e…通信ケーブル、22v…負圧源、22a〜22f…負圧レギュレータ、23p正圧源、23a〜23f…正圧レギュレータ、24a〜24f…バルブユニット、25a、25b…熱伸び案内ガイド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の塗布ヘッドを備えたフレームを有する門型フレームと、前記塗布ヘッドに設けたノズルと、前記ノズルの吐出口に対向するように基板をテ−ブル上に載置し、収納筒に充填した塗布液を該吐出口から前記基板上に吐出させ、前記基板と前記ノズルとの相対位置関係を変化させることにより、前記基板上に所望形状又は所望の位置に前記塗布液を塗布する塗布装置において、
前記フレームの一方端側を固定し、他方端がフレームの長手方向に移動可能に直動ガイドで支持する構成としたことを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布装置において、
基準器を設け、前記基準器により計測した前記フレームの伸び量を計測し、前記計測結果に基づいて前記塗布ヘッドの位置補正を行うことを特徴とする塗布装置。
【請求項3】
請求項2に記載の塗布装置において、
前記基準器は、複数設けた位置合わせマークを設けた基準基板と、塗布ヘッド側に設けた前記位置合わせマークを観測するカメラと、前記カメラの撮像画像から前記フレームの伸び量を算出する処理部とからなること特徴とする塗布装置。
【請求項4】
フレーム上に前記フレームの長手方向に移動可能に設けられた複数の塗布ヘッドと、複数の塗布ヘッドに設けられてるノズルから、前記ノズルに対向して設けられた基板面上に塗布液を滴下又は塗布する塗布方法において、
前記塗布液の滴下又は塗布に当たり、塗布条件を設定し、各ノズル位置を原点に設定する工程と、
前記フレームの熱伸び量を計測する工程と、
前記計測された熱伸び量に応じて、各塗布ヘッドの原点位置を補正する工程と、
補正された原点位置から塗布を実行する工程とからなる塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−75780(P2006−75780A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−264805(P2004−264805)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000233077)株式会社 日立インダストリイズ (97)
【Fターム(参考)】