説明

増幅回路

【課題】ゲインリダクション量を大きくした場合のリターンロスを抑制できる増幅回路を提供すること。
【解決手段】一対の増幅用FET4、5と、一対の増幅用FET4、5のソース間に接続され、ゲインリダクション量を調整可能とした電流帰還回路15と、各増幅用FET4、5のドレイン−ゲート間に接続され、電圧帰還量を調整可能とした電圧帰還回路16、17とを備え、電流帰還回路15によるゲインリダクション量に応じて、各電圧帰還回路16、17の電圧帰還量を変更可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波信号を増幅する増幅回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高周波信号を増幅する増幅回路として、半導体増幅素子としてのFETのソースの抵抗を可変して電流帰還量を調整するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。図3に示すように、増幅回路は、それぞれ入力信号が入力される一対の増幅用FET42、43と、一対の増幅用FET42、43のソース間に設けられた電流帰還回路45と、各増幅用FET42、43のドレイン−ゲート間にそれぞれ設けられた電圧帰還回路46、47とを有して構成されている。また、各増幅用FET42、43のソース−グランド間には、それぞれ定電流回路48、49が接続されており、この定電流回路48、49により増幅用FET42、43それぞれに流れる電流が一定に制御される。
【0003】
電流帰還回路45は、2つの固定抵抗とスイッチング用FETとを直列に接続した複数の直列回路を3段に縦続接続して構成されている。また、各直列回路のスイッチング用FET51、52、53のゲートは、制御回路55に接続されている。そして、制御回路55の制御により、各スイッチング用FET51、52、53のいずれかがONにされることにより、複数の固定抵抗R21−R26が選択的に直列接続されて一対の増幅用FET42、43の電流帰還用抵抗の抵抗値が可変される。
【0004】
各電圧帰還回路46、47は、それぞれ各増幅用FET42、43のドレイン−ゲート間に設けられた固定抵抗R27、R28を有し、この固定抵抗R27、R28を介して出力信号の一部を入力側に負帰還させている。そして、この増幅回路では、電流帰還回路45の抵抗が調整されてゲインリダクション量が可変され、各電圧帰還回路46、47において出力信号の一部が入力側に負帰還されて出力信号の周波数に対するゲイン特性がフラットにされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−270643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の増幅回路41においては、図4に示すように、さらにゲインリダクション量を大きくしたい場合には、入力インピーダンスが増加して入力信号のリターンロスが悪化するという問題があった。したがって、ゲインリダクション量を大きくして増幅率の範囲を広げることが困難であった。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ゲインリダクション量を大きくした場合のリターンロスを抑制できる増幅回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の増幅回路は、半導体増幅素子と、前記半導体増幅素子の接地側端子に接続され、ゲインリダクション量を調整可能とした電流帰還回路と、前記半導体増幅素子の入力端子と出力端子との間に接続され、電圧帰還量を調整可能とした電圧帰還回路とを備え、前記電流帰還回路によるゲインリダクション量に応じて、前記電圧帰還回路の電圧帰還量を変更可能としたことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、電流帰還回路によるゲインリダクション量に応じて電圧帰還回路の電圧帰還量を変更可能としたため、ゲインリダクション量を大きくしたときに電圧帰還量を大きくすることで、入力インピーダンスの増加を抑えることができる。したがって、ゲインリダクション量を大きくした場合に、入力インピーダンスの増加による入力信号のリターンロスを抑制することができる。
【0010】
本発明は、上記増幅回路において、前記電流帰還回路によるゲインリダクション量を大きくするのに従って、前記電圧帰還回路の電圧帰還量を大きくし、前記電流帰還回路によるゲインリダクション量を小さくするのに従って、前記電圧帰還回路の電圧帰還量を小さくしたことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、ゲインリダクション量を大きくしたときに電圧帰還量を大きくすることで、入力インピーダンスの増加を抑え、ゲインリダクション量を小さくしたときに電圧帰還量を小さくすることで、入力インピーダンスの減少を抑えて、入力インピーダンスの過度な変動を抑えることができる。
【0012】
本発明は、上記増幅回路において、前記電流帰還回路は、抵抗値を可変可能な第1の抵抗部を有し、前記第1の抵抗部の抵抗値に応じてゲインリダクション量を調整し、前記電圧帰還回路は、抵抗値を可変可能な第2の抵抗部を有し、前記第2の抵抗部の抵抗値に応じて電圧帰還量を調整し、前記第1の抵抗部の抵抗値を増加させた時に、前記第2の抵抗部の抵抗値を減少させ、前記第1の抵抗部の抵抗値を減少させた時に、前記第2の抵抗部の抵抗値を増加させることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、第1の抵抗部の抵抗値を増加させてゲインリダクション量を大きくしたときに、第2の抵抗部の抵抗値を減少させて電圧帰還量を大きくし、第1の抵抗部の抵抗値を減少させてゲインリダクション量を小さくしたときに、第2の抵抗部の抵抗値を増加させて電圧帰還量を小さくすることができる。
【0014】
本発明は、上記増幅回路において、前記第1の抵抗部を、固定抵抗とスイッチング素子とを直列に接続した直列接続回路を複数有し、前記複数の直列接続回路を多段に縦続接続して構成されており、前記複数の直列接続回路の前記スイッチング素子をオン又はオフすることにより前記第1の抵抗部の抵抗値を可変する構成とすることができる。
【0015】
本発明は、上記増幅回路において、前記第2の抵抗部を、可変抵抗用トランジスタを有し、前記可変抵抗用トランジスタのベース又はゲートに印加する電圧を制御することにより前記第2の抵抗部の抵抗値を可変する構成とすることができる。
【0016】
本発明は、上記増幅回路において、前記第2の抵抗部を、前記可変抵抗用トランジスタと固定抵抗とを直列に接続した直列接続回路で構成することができる。
【0017】
本発明は、上記増幅回路において、前記半導体増幅素子は、一対の前記半導体増幅素子からなる差動増幅回路を構成し、前記第1の抵抗部を前記一対の半導体素子の接地側端子間に接続したことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、一対の半導体増幅素子に入力される各入力信号のリターンロスを悪化させることなく、各入力信号の差分を広い範囲で増幅させることができる。
【0019】
本発明は、上記増幅回路において、前記半導体増幅素子は、1つであり、前記第1の抵抗部を前記1つの半導体増幅素子の接地側端子とグランドとの間に接続したことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、1つの半導体増幅素子に入力された入力信号のリターンロスを悪化させることなく、入力信号を広い範囲で増幅させることができる。
【0021】
本発明は、上記増幅回路において、前記半導体増幅素子をFETで構成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ゲインリダクション量を大きくした場合のリターンロスを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る増幅回路の実施の形態を示す図であり、差動増幅回路の回路構成図である。
【図2】本発明に係る増幅回路の実施の形態を示す図であり、ゲインリダクション量と入力インピーダンスとの関係を示す図である。
【図3】従来の差動増幅回路の回路構成図である。
【図4】従来の差動増幅回路におけるゲインリダクション量と入力インピーダンスとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、本発明を差動増幅回路に適用した構成を例示して説明するが、差動増幅回路だけでなく、本発明を他の構成の増幅回路に適用することも可能である。図1は、本発明の実施の形態に係る差動増幅回路の回路構成図である。
【0025】
図1に示すように、差動増幅回路1は、入力された2つの入力信号の差分を増幅するものであり、一対の増幅用FET4、5を有して構成されている。増幅用FET4のゲートは直流カット用のコンデンサC1を介して入力端子2に接続され、ソースは定電流回路7を介してグランドに接地されている。また、増幅用FET4のドレインは直流カット用のコンデンサC2を介して出力端子13に接続される。
【0026】
増幅用FET4のドレインは、固定抵抗R1を介して電源Vccに接続されている。電源Vccは固定抵抗R2を介して増幅用FET4のゲートに接続されている。固定抵抗R2および増幅用FET4の接続点とグランドとの間には固定抵抗R3が接続され、電源Vccから出力されたゲート電圧は、固定抵抗R2と固定抵抗R3とで分圧されて増幅用FET4のゲートに印加される。
【0027】
同様に増幅用FET5のゲートはコンデンサC3を介して入力端子3に接続され、ソースは定電流回路8を介してグランドに接地され、ドレインはコンデンサC4を介して出力端子14に接続されている。また、増幅用FET5のドレインは、固定抵抗R4を介して電源Vccに接続されている。電源Vccは固定抵抗R5を介して増幅用FET5のゲートに接続され、固定抵抗R5および増幅用FET5の接続点とグランドとの間には固定抵抗R6が接続されている。そして、電源Vccから出力されたゲート電圧は、固定抵抗R5と固定抵抗R6とで分圧されて増幅用FET5のゲートに印加される。
【0028】
定電流回路7、8は、一対の増幅用FET4、5のそれぞれに流れる電流を一定に制御している。
【0029】
また、一対の増幅用FET4、5のソース間には、電流帰還回路15が接続されている。電流帰還回路15は、2つの固定抵抗とスイッチング用FETとを直列に接続した直列回路を3段に縦続接続して構成されている。この電流帰還回路15においては、第1のスイッチング用FET21のドレインは固定抵抗R7を介して増幅用FET4のソースに接続され、ソースは固定抵抗R8を介して増幅用FET5のソースに接続される。
【0030】
また、第2のスイッチング用FET22のドレインは固定抵抗R7、R9を介して増幅用FET4のソースに接続され、ソースは固定抵抗R8、R10を介して増幅用FET5のソースに接続される。さらに、第3のスイッチング用FET23のドレインは固定抵抗R7、R9、R11を介して増幅用FET4のソースに接続され、ソースは固定抵抗R8、R10、R12を介して増幅用FET5のソースに接続される。
【0031】
各スイッチング用FET21、22、23のゲートは、それぞれ制御回路25に接続されており、制御回路25の制御によりON/OFFが切り換えられる。この制御回路25による各スイッチング用FET21、22、23のON/OFFの切り換えにより、電流帰還回路15の抵抗値が可変される。
【0032】
例えば、第1のスイッチング用FET21をONにして、第2、第3のスイッチング用FET22、23をOFFにした場合には、固定抵抗R7、R8の合成抵抗が電流帰還回路15の抵抗値になり、第1、第2のスイッチング用FET21、22をOFFにして、第2のスイッチング用FET22をONにした場合には、固定抵抗R7−R12の合成抵抗が電流帰還回路15の抵抗値になる。
【0033】
このように、電流帰還回路15の抵抗値を可変することで、各増幅用FET4、5の電流帰還量を制御して入力信号の増幅率が可変される。この場合、電流帰還回路15の抵抗値を高くすると、一対の増幅用FET4、5の電流帰還量が大きくなる。すなわちゲインリダクション量が増加する。このとき、電流帰還回路15の抵抗値が高くなるため、入力インピーダンスが増加する。
【0034】
一方、電流帰還回路15の抵抗値を低くすると、一対の増幅用FET4、5の電流帰還量が小さくなる。すなわちゲインリダクション量が減少する。このとき、電流帰還回路15の抵抗値が低くなるため、入力インピーダンスが低下する。
【0035】
一方、増幅用FET4のドレイン―ゲート間には、固定抵抗R13および可変抵抗用FET27からなる電圧帰還回路16が接続されている。固定抵抗R13の一端は増幅用FET4のドレインに接続され、他端は可変抵抗用FET27のドレインに接続されている。可変抵抗用FET27のソースは増幅用FET4のゲートに接続されており、ゲートは制御回路25に接続されている。
【0036】
可変抵抗用FET27のドレイン−ソース間の抵抗値は、制御回路25から印加されるゲート電圧に応じて可変するように構成されており、ゲート電圧が高い場合に抵抗値が低くなり、ゲート電圧が低い場合に抵抗値が高くなる。そして、可変抵抗用FET27のドレイン−ソース間の抵抗値が可変されることで、増幅用FET4の入力側への電圧帰還量が調整される。
【0037】
同様に、増幅用FET5のドレイン−ゲート間にも固定抵抗R14および可変抵抗用FET28からなる電圧帰還回路17が接続されている。そして、制御回路25から可変抵抗用FET28に印加されるゲート電圧に応じて可変抵抗用FET28のドレイン−ソース間の抵抗値が可変されることで、増幅用FET5の入力側への電圧帰還量が調整される。このように、電圧帰還回路16、17により一対の増幅用FET4、5の入力側に負帰還する電圧帰還量が調整されることで、入力インピーダンスの増加が抑制される。
【0038】
制御回路25は、電流帰還回路15の抵抗を調整してゲインリダクション量を制御すると共に、ゲインリダクション量に応じて電圧帰還回路16、17の抵抗値を調整して電圧帰還量を制御している。制御回路25は、反転出力部31、32を有して構成され、ゲインリダクション量が大きくなるのにしたがって、電圧帰還量を大きくするように制御し、ゲインリダクション量が小さくなるのにしたがって、電圧帰還量を小さくするように制御する。
【0039】
ここで、図2を参照して、制御回路による制御処理について説明する。図2は、ゲインリダクション量と入力インピーダンスとの関係を示す図である。なお、図2においては、横軸がゲインリダクション量、縦軸が入力インピーダンスを示している。また、図2の実線W1は電圧帰還回路の抵抗値を一定としたときの電流帰還回路のインピーダンス特性、破線W2は電流帰還回路の抵抗値を一定としたときの電圧帰還回路のインピーダンス特性、一点鎖線W3は本実施の形態に係る差動増幅回路のインピーダンス特性をそれぞれ示している。
【0040】
図2の実線W1に示すように、電圧帰還回路16、17の抵抗値を一定とした場合には、ゲインリダクション量が増加するのにしたがって、入力インピーダンスが増加する。一方、破線W2に示すように、電流帰還回路15の抵抗を一定にした場合には、電圧帰還量が増加してゲインリダクション量が増加するのにしたがって、入力インピーダンスが減少する。このように、ゲインリダクション量を増加させた場合には、電流帰還回路15は入力インピーダンスを増加させ、電圧帰還回路16、17は入力インピーダンスを減少させるように作用する。
【0041】
本実施の形態に係る差動増幅回路1は、電流帰還回路15および電圧帰還回路16のこれらの特性を利用して、一点鎖線W3に示すように、ゲインリダクション量の増加に伴う入力インピーダンスの増加を抑制している。具体的には、制御回路25は、電流帰還回路15の抵抗値を高く制御した場合には、可変抵抗用FET27、28のゲート電圧を高くして電圧帰還回路16、17の抵抗値を低く制御する。これにより、電流帰還回路15の抵抗値を高くしてゲインリダクション量を増加させても、電圧帰還回路16の抵抗値を低くして増幅用FET4、5の入力側への電圧帰還量を増加させているため、入力インピーダンスの増加が抑制される。
【0042】
一方、制御回路25は、電流帰還回路15の抵抗値を低く制御した場合には、可変抵抗用FET27、28のゲート電圧を低くして電圧帰還回路16、17の抵抗値を高く制御する。これにより、電流帰還回路15の抵抗値を低くしてゲインリダクション量を減少させても、電圧帰還回路16の抵抗値を高くして増幅用FET4、5の入力側への電圧帰還量を減少させているため、入力インピーダンスがフラットに制御される。このようにして、差動増幅回路1では、電流帰還回路15と電圧帰還回路16、17との相反する特性を利用して、ゲインリダクション量を可変した場合でも、入力インピーダンスの変動を小さく抑えると共に、ゲインリダクション量を大きくした際のリターンロスを抑制している。
【0043】
以上のように、本実施の形態に係る差動増幅回路1によれば、電流帰還回路15によるゲインリダクション量に応じて電圧帰還回路16、17の電圧帰還量を変更可能としたため、ゲインリダクション量を大きくしたときに電圧帰還量を大きくすることで、入力インピーダンスの増加を抑えることができる。したがって、ゲインリダクション量を大きくした場合に、入力インピーダンスの増加による入力信号のリターンロスを抑制することができる。
【0044】
なお、上記した実施の形態においては、半導体増幅素子をFETとして説明したが、この構成に限定されるものではない。増幅回路に用いられる半導体増幅素子であればよく、例えば、半導体増幅素子をバイポーラトランジスタで構成してもよい。
【0045】
また、上記した実施の形態においては、電流帰還回路のスイッチング素子をFETとして説明したが、この構成に限定されるものではない。制御回路に制御されてON、OFFを切り換え可能なものであればよく、例えば、スイッチング素子を他のトランジスタで構成してもよい。
【0046】
また、上記した実施の形態においては、電圧帰還回路の可変抵抗をFETとして説明したが、この構成に限定されるものではない。制御回路に制御されて抵抗値を可変なものであればよく、例えば、可変抵抗を他のトランジスタで構成してもよい。
【0047】
また、上記した実施の形態においては、電圧帰還回路を固定抵抗とFETとを直列に接続して構成したが、この構成に限定されるものではない。電圧帰還回路の電圧帰還量を制御可能な構成であればよく、例えば、FETのみで構成してもよい。
【0048】
また、上記した実施の形態においては、電流帰還回路を2つの固定抵抗とスイッチング用FETとを直列に接続した直列回路を3段に縦続接続して構成したが、この構成に限定されるものではない。電流帰還回路により増幅率を調整可能な構成であればよく、例えば、単一の可変抵抗器で構成してもよい。
【0049】
また、上記した実施の形態においては、2つの増幅用FETのソース間に電流帰還回路を接続した差動増幅回路としたが、この構成に限定されるものではない。増幅回路であればよく、例えば、1つの増幅用FETのソース−グランドに電流帰還回路を接続する構成としてもよい。
【0050】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように、本発明は、ゲインリダクション量を大きくした場合のリターンロスを抑制できるという効果を有し、特に、高周波信号を増幅する増幅回路に有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 差動増幅回路(増幅回路)
4、5 増幅用FET(半導体増幅素子、FET)
7、8 定電流回路
15 電流帰還回路
16、17 電圧帰還回路
21、22、23 スイッチング用FET(第1の抵抗部、スイッチング素子)
25 制御回路
27、28 可変抵抗用FET(第2の抵抗部、可変抵抗用トランジスタ)
R7−R12 (第1の抵抗部)
R13、R14 固定抵抗R(第2の抵抗部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体増幅素子と、
前記半導体増幅素子の接地側端子に接続され、ゲインリダクション量を調整可能とした電流帰還回路と、
前記半導体増幅素子の入力端子と出力端子との間に接続され、電圧帰還量を調整可能とした電圧帰還回路とを備え、
前記電流帰還回路によるゲインリダクション量に応じて、前記電圧帰還回路の電圧帰還量を変更可能としたことを特徴とする増幅回路。
【請求項2】
前記電流帰還回路によるゲインリダクション量を大きくするのに従って、前記電圧帰還回路の電圧帰還量を大きくし、
前記電流帰還回路によるゲインリダクション量を小さくするのに従って、前記電圧帰還回路の電圧帰還量を小さくしたことを特徴とする請求項1に記載の増幅回路。
【請求項3】
前記電流帰還回路は、抵抗値を可変可能な第1の抵抗部を有し、前記第1の抵抗部の抵抗値に応じてゲインリダクション量を調整し、
前記電圧帰還回路は、抵抗値を可変可能な第2の抵抗部を有し、前記第2の抵抗部の抵抗値に応じて電圧帰還量を調整し、
前記第1の抵抗部の抵抗値を増加させた時に、前記第2の抵抗部の抵抗値を減少させ、
前記第1の抵抗部の抵抗値を減少させた時に、前記第2の抵抗部の抵抗値を増加させることを特徴とする請求項2に記載の増幅回路。
【請求項4】
前記第1の抵抗部は、固定抵抗とスイッチング素子とを直列に接続した直列接続回路を複数有し、前記複数の直列接続回路を多段に縦続接続して構成されており、
前記複数の直列接続回路の前記スイッチング素子をオン又はオフすることにより前記第1の抵抗部の抵抗値を可変するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の増幅回路。
【請求項5】
前記第2の抵抗部は、可変抵抗用トランジスタを有し、
前記可変抵抗用トランジスタのベース又はゲートに印加する電圧を制御することにより前記第2の抵抗部の抵抗値を可変するようにしたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の増幅回路。
【請求項6】
前記第2の抵抗部は、前記可変抵抗用トランジスタと固定抵抗とを直列に接続した直列接続回路で構成されたことを特徴とする請求項5に記載の増幅回路。
【請求項7】
前記半導体増幅素子は、一対の前記半導体増幅素子からなる差動増幅回路を構成し、
前記第1の抵抗部を前記一対の半導体素子の接地側端子間に接続したことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれかに記載の増幅回路。
【請求項8】
前記半導体増幅素子は、1つであり、
前記第1の抵抗部を前記1つの半導体増幅素子の接地側端子とグランドとの間に接続したことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれかに記載の増幅回路。
【請求項9】
前記半導体増幅素子をFETで構成したことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の増幅回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−219709(P2010−219709A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62271(P2009−62271)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】