変異型CFTRプロセシングの修正において活性を有する化合物及びその用途
本発明は、膿疱性線維症(CF)の治療に有用な、変異型−膿疱性線維症膜貫通気管調節タンパク質(例えばΔF508 CFTR)の細胞性プロセシング(例えば、折り畳み、トラフィッキング、又は翻訳後修飾)を修復するための組成物、製薬製剤及び方法を提供する。本発明の組成物及び製薬製剤は、一又はそれ以上のアミノベンゾチアゾール含有化合物、アミノアリールチアゾール含有化合物、キナゾリニルアミノピリミジノン含有化合物、ビスアミノメチルビチアゾール含有化合物、又はフェニルアミノキノリン含有化合物、又はその類似物又は誘導体の一又はそれ以上を含んでいてよい。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
連邦政府に後援を受けた研究に関する陳述
本発明は、国立衛生研究所によって与えられた認可番号HL73856、EB00415、 HL59198、EY13574、及びDK35124の下で政府の援助のを受けてなされた。政府は本発明において一定の権利を持ちうる。
【0002】
本発明の業績は、嚢胞性線維症財団(Cystic Fibrosis Foundation)及び/又はCystic Fibrosis Foundation Therapeutics社からの認可によっても支援されている。
(背景技術)
【0003】
嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス調節タンパク質(CFTR)は、哺乳動物の気道、腸、膵臓、及び精巣における上皮細胞で発現されるcAMP−活性化塩化物(Cl−)チャンネルである。CFTRは、cAMP−仲介のCl−分泌に関与する塩化物チャンネルである。β−アドレナリン拮抗薬等のホルモン、又はコレラ毒素等の毒素は、cAMPの上昇、cAMP−依存性プロテインキナーゼ、及びCFTR Cl−チャンネルのリン酸化を誘発し、それによりチャンネルが開放される。細胞におけるCa2+ 濃度の上昇も異なる頂端膜チャンネルを活性化する。プロテインキナーゼCによるリン酸化は、頂端膜チャンネルにおけるCl−チャンネルを開放又は閉鎖できる。CFTRは主に上皮に局在化し、そこで頂端膜を介するCl−イオンの移動のための経路を提供し、上皮を介する塩及び水の輸送速度を調節するキーポイントを与えている。CFTR塩化物チャンネル機能は、嚢胞性線維症(CF)を含む広範な疾患、幾つかの形態の男性不妊症、に関連しており、多発性嚢胞腎疾患、及び分泌性下痢に関連している。
【0004】
遺伝性の致命的疾患であるCFは、CFTRタンパク質、気道、腸、膵臓、及び他の分泌性及び吸収性上皮で発現されるcAMP−活性化塩化物(Cl−)チャンネルをコードする遺伝子における変異が原因となる。CFにおける第一の臨床的問題は、再発性の肺感染であり、それは肺機能の劣化を進行させる。最もありふれたCFTR変異であるフェニルアラニン−508の欠失(ΔF508−CFTR)は、CF患者の約90%における少なくとも1つのアレルに存在する(Egan et al., (2004) Science 304:600-602)。ΔF508-CFTRは、正しくプロセシングされないため、Cl−の不透過を起こすので、(形質膜ではなく)小胞体での停滞を引き起こす。またΔF508-CFTRは、野生型CFTRに対して低下した内在性Cl−コンダクタンスを有する。
【0005】
ΔF508−CFTR 細胞性プロセシング及び細胞における内在性機の欠陥を修正するための方法が研究されてきた。低温(<30℃)(Denning et al., (1992) Nature 358, 761-764)又は高濃度のグリセロール等の化学シャぺロン(Sato et al., (1996) J. Biol. Chem. 271, 635-638; Brown, et al., (1996) Cell Stress & Chaperones 1, 117-125)での細胞成長は、タンパク質折り畳み及び安定性を向上に関係しうるメカニズムによるΔF508−CFTRの細胞性プロセシングの欠陥を部分的に修正する(Sharma et al., (2001) J. Biol. Chem. 276, 8942-8950)。タプシガルギン(thapsigargin)により細胞内カルシウム濃度を徐々に上昇させることも、おそらく分子シャペロンとの相互作用を阻害することにより、ΔF508-CFTRプロセシングの欠陥を修正できる(Egan et al., (2002) Nature Med. 8, 485-492)。フェニルブトリエート(phenylbutryate)のような化合物は、シャペロン機能及び/又は転写促進を変更することによってΔF508-CFTR細胞性プロセシングを促進する(Rubenstein et al., (2000) Am. J. Physiol. 278, C259-C267; Kang et al., (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99, 838-843)。これらの試みは小胞体でのΔF508−CFTR残留のメカニズムについての洞察を与えるが、臨床的に有効な治療法は提供しないであろう。
【0006】
[0006] ΔF508-CFTRは、細胞質膜に存在する場合でもチャンネル活性を有意に損なう(Dalemans et al., (1991) Nature 354, 526-528)。細胞接着パッチ−クランプ測定(Cell-attached patch-clamp measurements)により、 showed reduced ΔF508-CFTR開放チャンネル確率が低下すると、最大のcAMP刺激であっても、閉鎖時間が延長されることが示された(Haws et al., (1996) Am. J. Physiol. 270, C 1544- C1555; Hwang et al., (1997) Am. J. Physiol. 273, C988-C998)。励起された膜におけるパッチ−クランプ測定は、リン酸化後に野生型CFTRに比較して7倍低下したΔF508-CFTR 活性化を示した。比較的高濃度のフラボンゲニステイン(>50 μM, Hwang, et al., (1997) Am. J. Physiol. 273, C988-C998; Wang et al., (2000) J. Physiol. 524, 637-638)又はキサンチン・イソブチルメチルキサンチン(>1 mM, Drumm et al., (1991) Science 254, 1797-1799)とcAMPアゴニストの組み合わせは、ΔF508-CFTRチャンネル活性を向上させた。しかし、これらの研究は臨床的に有用な治療法を提供していない。
【0007】
従って、変異型CFTR、例えばΔF508−CTFRの折り畳み又は細胞性プロセシングを修正することのできる化合物、及び, それらの化合物を使用してCFを研究及び治療する方法、並びに他の分泌性疾患を治療又は抑制する方法が未だに必要とされている。本発明は、これら及び他の必要性に対処するものである。
【0008】
(発明の概要)
本発明は、嚢胞性線維症(CF)の治療に有用な、変異型−嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス調節タンパク質(例えば、ΔF508CFTR)の細胞性プロセシング(例えば、折り畳み、トラフィッキング又は翻訳後改変)のための組成物、医薬調製物及び方法を提供する。本発明の組成物及び医薬調製物は、アミノベンゾチアゾールガン入化合物、アミノアリールチアゾール含有化合物、キナゾーリニルアミノピリミジノンガン入化合物、ビスアミノメチルビチアゾール含有化合物、又はフェニルアミノキノリンガン入化合物、又はその類似物又は誘導体の1又はそれ以上を含む。
【0009】
本発明は、下記式(II):
(式中、R1は、独立して、水素又はR2に融合したC(=O又は=S)NH基から選択され、R2は独立して、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、又は置換又は非置の芳香環、及び置換又は非置換のヘテロ芳香環に対するN=CH 又は N−アルキル結合から選択される)の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物を提供する。一実施態様では、前記組成物は、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む。一実施態様では、前記組成物は、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない。
【0010】
或る実施態様では、R1は水素であり、式(I)の化合物は下記式(Ia):
(式中、R3は独立して、置換又は非置換のフェニル基から選択され、R4は置換又は非置換のアルキル基である)の化合物である。一実施態様では、R3は、4−(メトキシ)フェニル基、3−(ニトロ)フェニル基、4−(ニトロ)フェニル基、又は4−(クロロ)フェニル基から選択される。他の実施態様では、R4が、水素及びメチル基から選択される。
【0011】
他の実施態様では、前記化合物は下記式(Ib):
(式中、R5及びR6は、置換又は非置換のアルキル基、又は融合した置換又は非置換のシクロアルキル環基から選択される)の化合物である。一実施態様では、R5はエチル基である。一実施態様では、R6はエチル基である。他の一実施態様では、R5及びR6が、融合したtert-(ブチル)シクロヘキサン基である。
【0012】
代表的な実施態様では、前記化合物は、以下:
から選択される。
【0013】
また、本発明は、下記式(II):
(式中、R1 は独立して、置換又は非置換のフェニル基から選択され、R2 は独立して、水素又はアルキル基から選択され、R3 は独立して、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のヘテロ芳香族基、置換アミノ基、置換アシル機から選択される)の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物を提供する。一実施態様では、前記組成物は、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む。他の一実施態様では、前記組成物は、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない。
【0014】
一実施態様では、R1は、置換フェニル基、非置換ビフェニル基、3−,4−ジ(メチル)フェニル基、4−(メチル)フェニル基、3−,4−ジ(メトキシ)フェニル基、3−, 4−ジ(ヒドロキシ)フェニル基、4−(ブロモ)フェニル基、4−(プロペン)フェニル基、3−(メチル)−4−(メトキシ)フェニル基、又は3−(ニトロ)−4(メチル)フェニル基から選択される。一実施態様では、R2は水素又はメチル基から選択される。さたに他の一実施態様では、R3は、非置換フェニル基、3−(クロロ)フェニル基、4−(フルオロ)フェニル基、2−(メチル)フェニル基、2−(エトキシ)フェニル基、2−,5−ジ(メトキシ)−4−(クロロ)フェニル基、4−(アセタミド)フェニル基、非置換ピリミジン基、3−(メチル)ピリジン基、ジ(メチル)ブチリデンアミン基、アシル−チオフェン基、アシル(4−t−ブチル−フェニル)基、又はアシル−メチルチオ−イミダゾール−5−フェニル基から選択される。代表的な実施態様では、前記化合物は、以下:
から選択される。
【0015】
また、本発明は、下記式(III):
(式中、R1 は、水素、アルキル基、又はアルコキシ基から選択され、R2 は、水素、アルキル基、又はアルコキシ基から選択され、R3 はアルキル基であり、R4 は、ヒドロキシル基又はカルボニル基から選択され、R5 及びR6 は、融合したシクロアルキル基、水素、アルキル基、又は置換又は非置換のフェニル基から選択される)の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物を提供する。一実施態様では、前記組成物は、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む。他の一実施態様では、前記組成物は、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない、請求項19に記載の医薬組成物。
【0016】
一実施態様では、R1は、水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、又はエトキシ基から選択される。他の一実施態様では、R2は、水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、又はエトキシ基から選択される。さらに他の一実施態様では、R3は、メチル基又はエチル基から選択される。さらに一実施態様では、R4は、ヒドロキシ基又はカルボニル基から選択される。さらに他の一実施態様では、R5は、水素、メチル基、エチル基、非置換フェニル基、又は2−メチルチオ−1H−ベンゾイミザゾール基から選択される。さらに他の一実施態様では、R6は、水素、メチル基、エチル基、非置換フェニル基、又は2−メチルチオ−1H−ベンゾイミザゾール基から選択される。さらに他の一実施態様では、R5及びR6は、融合したシクロフェニル基である。代表的な実施態様では、前記化合物は、以下:
から選択される。
【0017】
また、本発明は、下記式(IV):
(式中、R1はアルキル基であり、R2は、置換又は非置換のフェニル基であり、又は置換又は非置換のフェニル基である)の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物を提供する。一実施態様では、前記組成物は、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む。他の一実施態様では、前記組成物は、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない。
【0018】
一実施態様では、R1はメチル基である。他の実施態様では、R2は、3−(ニトロ)フェニル基、2−メトキシフェニル、2−エトキシフェニル、1−フェニルエチル−l−オン基、又は3−クロロ−6−メトキシフェニル基から選択される。代表的な実施態様では、前記化合物は、以下:
から選択される。
【0019】
また、本発明は、下記式(V):
(式中、R1は、水素、又はアルキル基から選択され、R2は、水素、又はアルキル基から選択され、R3はアルキル基であり、R4は、水素、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン基から選択され、R5は、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基から選択される)の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物を提供する。一実施態様では、前記組成物は、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む。他の一実施態様では、前記組成物は、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない。
【0020】
一実施態様では、R1は、水素又はメチル基から選択される。他の実施態様では、R2は、水素又はメチル基から選択される。さらに他の一実施態様では、R3は、水素又はメチル基から選択される。さらに他の一実施態様では、R4は、水素、臭化物基、塩化物基、メトキシ基から選択される。さらに他の実施態様では、R5は、水素、臭化物基、塩化物基、メトキシ基から選択される。代表的な実施態様では、前記化合物は、以下:
から選択される。
【0021】
また、本発明は、変異型−CFTRに関連する病状を有する患者を治療する方法を提供し、前記方法は、本発明の化合物から選択される化合物の治療的有効量を患者に投与することを含む。或る実施態様では、前記病状は嚢胞性線維症である。或る実施態様では、前記患者は、治療の後、肺において粘膜又は細菌力価が減少し、咳又は喘鳴が減少し、膵機能不全が低下し、又は汗の電解質が減少する。或る実施態様では、前記患者は非−ヒト動物である。特に興味深い実施態様では、前記動物は哺乳動物である。或る実施態様では、変異型−CFTRはΔF508−CFTRである。
【0022】
また本発明は、変異型−CFTRタンパク質を産生する細胞のイオン透過性を向上させる方法を提供し、当該方法は、細胞を本発明の化合物の有効量と接触させることを含み、前記接触が前記細胞のCFTR−仲介イオン透過性を上昇させるのに有効である。或る実施態様では、前記細胞は、前記変異型−CFTRタンパク質をコードする組み換え発現カセットを含む。他の実施態様では、それは前記変異型−CFTRタンパク質をコードするゲノムを含む。更に他の実施態様では、前記変異型−CFTRはΔF508−CFTRである。
【0023】
また本発明は、変異型−CFTRに関連する病状を有する患者を治療する方法を提供し、前記方法は、本発明の化合物から選択される化合物の治療的有効量を患者に投与することを含む。或る実施態様では、前記病状は嚢胞性線維症である。或る実施態様では、前記患者は、治療の後、肺において粘膜又は細菌力価が減少し、咳又は喘鳴が減少し、膵機能不全が低下し、又は汗の電解質が減少する。或る実施態様では、前記患者は非−ヒト動物である。特に興味深い実施態様では、前記動物は哺乳動物である。或る実施態様では、変異型−CFTRはΔF508−CFTRである。
【0024】
また本発明は、変異型−CFTRタンパク質を産生する細胞のイオン透過性を向上させる方法を提供し、当該方法は、細胞を前記細胞のイオン透過性を上昇させるのに有効な量の化合物と接触させることを含み、前記化合物が本発明の化合物から選択される。或る実施態様では、前記細胞は、前記変異型−CFTRタンパク質をコードする組み換え発現カセットを含む。他の実施態様では、細胞は前記変異型−CFTRタンパク質をコードするゲノムを含む。更に他の実施態様では、イオン透過性はイオン輸送活性を向上させ、それは前記細胞の細胞質膜を解するイオンの輸送速度を向上させる。更に他の実施態様では、前記変異型−CFTRはΔF508−CFTRである。
【0025】
本発明のこれら及び他の目的は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0026】
本発明は、添付の図面を参照することによって更に完全に理解されるが、それらの図面は単なる例示を目的とするものである。
【0027】
本発明を記載する前に、本発明はここに記載される特定の実施例に限定されるものではなく、当然に、それ自体変化するものであることが理解されている。また、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定されるものであるため、ここで使用される用語法は、特定の実施例を記述することのみを目的とし、限定されることを意図するものではないことも理解される。
【0028】
値の範囲が示される場合、その範囲の上限と下限の間の各介在値は、他に文脈が明確に指示しない限り下限の単位の10分の1まで、特異的に開示されている。各全ての記述される値間のより小さな範囲、又は記述される範囲の介在値及び他の全ての記述又は記述される範囲における介在値は本発明に含まれる。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、非依存的に範囲に含まれるか又は除かれ、いずれか又は両方の限定がより小さな範囲に含まれるような各範囲は、本発明に含まれ、全ての特異的に除かれた記述される範囲における限定を対象とする。記述される範囲は限定の1又は両方を含む場合、限定に含まれるものいずれか又は両方を除外する範囲は本発明に含まれる。
【0029】
他に定義しない限り、ここで使用される全ての技術的及び化学的用語は本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じような意味を持つ。ここで記述されるものと類似又は等価な全ての方法及び材料を本発明の実施又は試験に用いることができるが、より好ましい方法及び材料をここに記載する。ここで言及される全ての刊行物は、該刊行物が関連するとして挙げられている方法及び/又は材料を開示し記述することに言及することによってここに取り込まれる。本開示内容は、取り込まれた刊行物の全ての開示内容を矛盾のある範囲で更新することが理解される。
【0030】
本明細書中及び添付の請求の範囲で使用されるように、文脈が明らかに別途指示しない限り、単数形の「a」、「an」、「the」には複数の対象物が含まれる。従って、例えば、「化合物(a compound)」に対する言及には、そのような化合物(群)が含まれ、「細胞」に対する言及には、1又は複数の細胞及び当業者に既知の等価物に対する言及が含まれる。
【0031】
ここで議論される公開は、本出願の出願時に先立つ開示に関し単に提供されるものである。本発明には、前の発明の効力によってそのような公開の日付を早めるために資格はないという許可として理解されるものはない。さらに、提供される公開日は、独立して確認される必要がある実際の公開日と異なるかもしれない。
【0032】
発明の詳細な説明
本発明は、特にCFTR中の変異が、CFTRの細胞内の間違ったプロセッシング(例えば、折り畳み、輸送、又は翻訳後修飾)と関連するような変異である、変異型の嚢胞性線維性膜貫通調節因子(CFTR)タンパク質を持つ対象を治療ことに関連する少なくとも1つの使用を見出す、組成物、医薬品、方法に関する。そのような変異型CFTRの例として、ΔF508CFTRを挙げることができる。理論に固執することなく、本発明の化合物及び方法は、嚢胞性線維症(CF)の治療に有用な変異型CFTRなどの細胞内における間違ったプロセッシングなどの「修復」を提供する。
【0033】
一般に、本発明の組成物及び医薬品には、アミノベンゾチアゾール含有化合物、アミノアリルチアゾール含有化合物、キナゾリニルアミノピリミヂン含有化合物、ビスアミノメチルビチアゾール含有化合物及びフェニルアミノキノリン含有化合物など、1又は複数のN含有複素環式芳香族化合物が含まれ、それらのアナログ又は誘導体、特に興味のあるものが含まれる。
【0034】
定義
「変異型嚢胞性膜貫通透過性調節因子」又は「変異型CFTR」は、例えば、野生型と比較した、CFTR遺伝子の欠失変異、挿入変異又は点(置換)変異の結果生じるタンパク質のことである。ここで用いられる「変異型嚢胞性膜貫通透過性調節因子」又は「変異型CFTR」は、機能的(例えば、野生型)CFTRと比較して機能障害を示すが、ここで、機能障害には、以下の1又は複数のものが含まれる:(i)異常なCFTRの生産(例えば、転写又は翻訳のレベルにおいて);(ii)異常な折り畳み及び/又は輸送;(iii)異常な透過制御;(iv)塩化物透過性の減少;(v)合成の減少;など。「変異型CFTR遺伝子」は、変異型CFTRをコードする遺伝子又はコード化配列である。本願の目的において、「ゲノム」と「遺伝子」、例えば、「変異型CFTRをコードするゲノム」と「変異型CFTRをコードする遺伝子」は交換可能に使用される。
【0035】
「ゲーティング欠陥変異型嚢胞性膜貫通透過性調節因子」又は「ゲーティング欠陥変異型CFTR」は、細胞表面に存在し、チャンネルと介したイオンのゲーティング(例えば、イオン輸送の制御)に欠陥を持つ変異型CFTRのことである。従って、ここで使用されるように、「ゲーティング欠陥変異型CFTR」には(i)異常な透過性の制御;及び又は(ii)塩化物透過性の減少に関連する機能障害が含まれる。
【0036】
「変異型CFTRタンパク質媒介状態」は、例えば、ΔF508−CFTRなどの変異型CFTRの存在によって生じるか又は関連する、例えば、野生型CFTRと比較したイオン輸送におけるΔF508−CFTRの減少した活性によって引き起こされる塩化物イオンの不透過性などの全ての状態、疾患又は疾病、あるいは、そのような状態、疾患又は疾病の症候のことを意味する。「変異型CFTRタンパク質媒介状態」には少なくとも1つのアリル上のΔF508CFTR変異の存在と関連する患者の状態が含まれる。従って、ΔF508−CFTR変異を両方のアリルに保持する対象、並びに、例えば、ΔF508−CFTRの1コピー及び異なる変異型CFTRの1コピーを持つ対象などの、2つの異なる変異型CFTRを保持する合成異型接合性の対象が含まれる。
【0037】
そのような状態、疾患、疾病又は兆候は、変異型-CFTR活性の特異的活性化、例えば、変異型−CFTRイオン輸送の活性化により治療可能である。ΔF508-CFTRは、膿疱性線維症(CF)の存在、及びその兆候を含む外疾患の記述に関係し、National Institute of Healthの世界的なウェブサイトncbi.nlm.nih.govのようにOnline Mendelian Inheritance of Man databaseの登録番号602421 (膿疱性線維症膜貫通透過性調節剤;CFTRと命名)、及登録番号219700(膿疱性線維症;CFと命名)において見出される。
【0038】
「F508-膿疱性線維症膜貫通透過性調節タンパク質」又は「ΔF508-CFTR」は、 DFTR遺伝子産物のアミノ酸位置508の残基が欠失した結果生成されるタンパク質である。
【0039】
本明細書で使用される「変異型-CFTR活性化剤」とは、 変異型−CFTRによるイオン輸送の、特に塩化物イオンの輸送についてのレベルを化合物が無い場合に比較して増加させる化合物である。
【0040】
本発明で使用される「ゲーティング欠陥変異型−CFTR活性化剤」とは、ゲーティング欠陥変異型−CFTRによるイオン輸送の、特に塩化物イオンの輸送についてのレベルを化合物が無い場合に比較して増加させる化合物である。
【0041】
本明細書で使用される「ΔF508-CFTR活性化剤」とは、ΔF508-CFTRによるイオン輸送の、特に塩化物イオンの輸送についてのレベルを化合物が無い場合に比較して増加させる化合物である。
【0042】
本明細書及び膿疱性線維症の分野で使用される「変異型CFTR増強剤」とは、変異型CFTR(例えば、ΔF508CFTR, G551D-CFTR, G1349D-CFTR,又はDl 152H-CFTR)によるイオン輸送の基底レベルを向上させる化合物であり、ここで、変異型CFTR(前記化合物が無い場合)は野生型に比較して異常に低いイオン輸送レベルを示す。
【0043】
本明細書及び膿疱性線維症の分野で使用される「変異型CFTR修復剤」とは、変異型CFTRによるイオン輸送のレベルを前記化合物が無い場合に比較して向上させる化合物であり、それは、原因となるCFTRポリペプチドの欠陥、例えば、翻訳後プロセシングに起因する欠陥(例えば、折り畳み、トラフィッキング、又は翻訳後修飾、例えば翻訳後グリコシル化)を修復することによる。
【0044】
本明細書における「組み合わせて」とは、例えば、第1の化合物が第2の化合物投与の全過程の間に投与される場合等を含む。
【0045】
「単離された化合物」とは、天然に存在する他の化合物類から実質的に分離された、又はそれらに対して豊富化されている化合物を意味する。
【0046】
「治療」又は「治療する」とは、(1)病態の少なくとも1つの兆候の抑止、(2)疾患の阻止、又は(3)疾患の緩和を含む。
【0047】
「治療的有効量」又は「有効量」とは、哺乳動物又は疾患治療の対象に投与したとき、その疾患治療に有効な化合物の量を意味する。
【0048】
「対象」及び「患者」なる用語は、本明細書に記載する投薬方法、組成物、及び治療を必要としうる任意の哺乳類又は非哺乳類種のメンバーを意味する。
【0049】
「哺乳動物」とは、哺乳類のメンバーを意味し、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、齧歯類等、霊長類、特にヒトを含む。
【0050】
本明細書における「単位投与形態」は、ヒト及び動物患者ての投与単位として適当な物理的に不連続が単位を指す。
【0051】
「生理学的状態」とは、生きている細胞に適用可能な状態、例えば、生きている細胞に適用可能な温度、pH、塩度などの水性状態を意味する。
【0052】
「製薬上許容される賦形剤」、「製薬上許容される希釈剤」、「製薬上許容される担体」、及び「製薬上許容されるアジュバント」は、一般的に安全で、非毒性であり、生物学的に望まれないものではない医薬組成物の製造に有用な賦形剤、希釈剤、担体又はアジュバントを意味する。
【0053】
本明細書で使用される「医薬組成物」は、哺乳動物、特にヒトなどの患者に投与するのに適した組成物を含む。
【0054】
本明細書で使用される本発明の化合物の「製薬上許容される誘導体」は、塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、アセタール、ケタール、オルトエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和、水和又はプロドラッグを含む。
【0055】
化合物の「製薬上許容される塩」とは、製薬上許容され、親化合物の所望の薬理学的活性を有している塩を意味する。
【0056】
本発明の化合物の「製薬上許容されるエステル」は、製薬上許容され、親化合物の所望の薬理学的活性を有しているエステルを意味する。
【0057】
本発明の化合物の「製薬上許容されるエノールエーテル」は、製薬上許容され、親化合物の所望の薬理学的活性を有しているエノールエーテルを意味する。
【0058】
本発明の化合物の「製薬上許容されるエノールエステル」は、製薬上許容され、親化合物の所望の薬理学的活性を有しているエノールエステルを意味する。
【0059】
本発明の化合物の「製薬上許容される溶媒和又は水和」は、製薬上許容され、親化合物の所望の薬理学的活性を有している溶媒和又は水和複合体を意味する。
【0060】
「プロドラッグ」は、それらプロドラッグが哺乳動物患者に投与されたときに、インビボで式(I)の親化合物を放出する任意の化合物を意味する。
【0061】
本明細書で使用される「有機基」及び「有機ラジカル」は、任意の炭素含有基であり、脂肪族基、環状基、芳香族基、それらの機能化誘導体及びそれらの組み合わせに分類される炭化水素基を含む。
【0062】
「有機基」は、機能化されていてもよく、保護されていてもいなくてもよいカルボキシル、アミノ、ヒドロキシル等の有機基に付随する付加的機能を有してもよい。
【0063】
「ハロ」及び「ハロゲン」とは、フッ化物、塩化物、臭化物、又はヨウ化物基を意味する。
【0064】
「ハロアルキル」とは、1又は複数のハロゲン原子で置換された、上記のアルキル基を指す。ハロゲン原子は同一でも異なってもよい。
【0065】
「シクロアルキル」は、モノ、ジ又はトリサイクリックの飽和環を意味し、完全に飽和していても一部が不飽和であってもよい。
【0066】
「(シクロアルキル)アルキル」とは、上記のシクロアルキル環の一つで置換された上記のアルキル基を意味する。
【0067】
「置換フェニル」種は、1又は複数の部分で置換されたフェニル基である。
【0068】
「置換フェニル」の例は、モノ又はジ(ハロ)フェイル基、例えば、2, 3 又は4-クロロフェニル, 2,6-ジクロロフェニル, 2,5-ジクロロフェニル, 3,4-ジクロロフェニル, 2, 3 又は4-ブロモフェニル, 3,4-ジブロモフェニル,等を含む。
【0069】
「置換(フェニル)アルキル」は、上記のアルキル基の一つに結合した上記の置換フェニル基の一つを意味する。
【0070】
上記したように「芳香族」又は「亜リール」とは、6員炭素環を意味する。
【0071】
さらに、上記の任意に置換された5員又は6員環は、任意に融合して芳香族5員又は6員環系を形成してもよい。
【0072】
以下の環系は、「ヘテロアリール」と記されるヘテロ環基(置換有無によらず)の例である:チエニル、フリル、ピロリル、ピロリイニル、イミダゾリル、イソキサゾリル、トリアゾイル、チアジアゾイル、オキサジアゾイル、テトラゾリル、チアトリアゾリル、オキサトリアゾリル、チアジアジニル、テトラゾロ、l,5-[b]ピリダジニル及びプリニル、並びに、ベンゾ-flised誘導体、例えば、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル及びインドリル。
【0073】
上記の任意の置換ヘテロアリール環についての置換基は、1〜3のハロ、トリア路メチル、アミノ、保護アミノ、アミノ塩、モノ置換アミノ、ジ置換アミノ、等である。
【0074】
「(モノ置換)アミノ」とは、一つの置換基を有するアミノ基である。
【0075】
「ヘテロアリール(アルキル)」は、任意の位置において上記のヘテロアリール基で置換された上記のアルキル基である。
【0076】
「任意の」又は「任意に」とは、それに続いて記載する事象、環境、特徴又は要素が、必須ではないが、起こり得ることを意味し、記載が、それらの事象、環境、特徴又は要素が起こる場合と起こらない場合を含んでいることを意味する。
【0077】
分子式は同じであるが、それらの原子の結合の性質又は配列、あるいは空間での原子の並びが相違する化合物を「異性体」と呼ぶ。
【0078】
本発明の化合物は、1又は複数の対象中心を有する場合があり、従って、それらの化合物は各々(R)又は(S)の立体異性体又はそれらの混合物を生成できる。
【0079】
概観
本発明は、変異型膿疱性線維症膜貫通気管調節タンパク質(変異型−CFTR)、例えばΔF508-CFTRにおけるイオン輸送を増大させる化合物の発見に基づくものである。そのような化合物は、変異型−CFTR仲介疾患及び病態、例えば膿疱性線維症(CF)の治療方法において用途が見出される。また、それらの化合物は、CFTRイオン輸送、特にΔF508-CFTRのイオン輸送の研究において用途が見出される。
【0080】
一実施態様では、本発明は、変異型−膿疱性線維症膜貫通気管調節タンパク質(例えばΔF508 CFTR)の細胞性プロセシング(例えば、折り畳み、トラフィッキング、又は翻訳後修飾)を修復する高親和性の小分子化合物を提供する。本発明で考慮される化合物は、以下の構造的クラスを含む:(1)アミノベンゾチアゾール含有化合物;(2)アミノアリールチアゾール含有化合物;(3)キナゾリニルアミノピリミジノン含有化合物(4)ビスアミノメチルビチアゾール含有化合物;及び(5)フェニルアミノキノリン含有化合物。
【0081】
対象化合物の発見は、変異型−CFTRの細胞性プロセシング(例えば、折り畳み又はトラフィッキング)を修復する化合物を同定するために設計されたアッセイを用いて多数の候補化合物をスクリーニングしたことに基づく。150,000の化学的に多様な化合物類をスクリーニングすることにより、数個の化合物及び類似物が、有効な変異型−CFTR増強剤として同定された。対象化合物は、変異型−CFTRの活性を向上させる機知の化合物類と化学的及び構造的に無関係である。
【0082】
ここで、本発明の組成物及び方法を更に詳細に記載する。
【0083】
組成物
2-アミノベンゾチアゾール含有化合物類
或る実施態様では、本発明の修復剤化合物は、本明細書に記載される2-アミノベンゼンチアゾール含有化合物類であり、それらは置換されたアミノベンゼンチアゾール基を有する。特別な実施態様では、対象化合物は一般に下記式(I):
(式中、R1は、独立して、水素又はR2に融合したC(=O又は=S)NH基から選択され、R2は独立して、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、又は置換又は非置の芳香環、及び置換又は非置換のヘテロ芳香環に対するN=CH 又は N−アルキル結合から選択される)
によって表される化合物、又はその製薬上許容される誘導体であり、個々の立体異性体又はその混合物としてである。R1 及びR2 の置換の例を以下の詳細に記載する。
【0084】
或る実施態様では、2-アミノベンゾチアゾール含有化合物は、一般に式(I)で表される化合物で、R1が水素である化合物である。そのような化合物は、一般に下記式(Ia):
(式中、R3は独立して、置換又は非置換のフェニル基から選択され、R4はアルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む)
で表される化合物、又はその製薬上許容される誘導体であり、個々の立体異性体又はその混合物としてである。R3 及びR4 の置換の例を以下の詳細に記載する。
【0085】
幾つかの実施態様では、R3 は独立して、非置換フェニル基、非置換ビフェニル記、又は置換フェニル基、例えばモノ-又はジ-(アルキル)フェニル、モノ- 又はジ-(アルコキシ)フェニル、モノ-又はジ-(ヒドロキシ)フェニル、モノ- 又はジ-(ハロ)フェニル、モノ-又はジ-(アルケニル)フェニル、モノ-又はジ-(ニトロ)フェニル、モノ(アルキル)-モノ(アルコキシ)フェニル、ジ(アルコキシ)-モノ(ハロ)フェニル、及びモノ(ニトロ)-モノ(アルキル)フェニルから選択され; R4 は独立して、水素及び低級アルキル基、例えばメチル基及びエチル基から選択される。
【0086】
代表的な実施態様では、R3 は独立して、モノ-(アルコキシ)フェニル基、例えば4-(メトキシ)フェニル、モノ-(ニトロ)フェニル基、例えば3-(ニトロ)フェニル基又は4-(ニトロ)フェニル基、又はモノ(ハロ)フェニル基、例えば4-(クロロ)フェニル基から選択され、R4 は独立して、水素及び低級アルキル基、例えばメチル及びエチル基から選択される。
【0087】
或る実施態様では、2−アミノベンゾチアゾール含有化合物は一般にしき(I)で表され、R1 及びR2 は、R5 基及びR6 基を有する融合チオン置換トリアゾリン環である。そのような化合物は、一般に下記式(Ib):
(式中、R5及びR6は、置換又は非置換のアルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、又は置換又は非置換のシクロアルキル環基から選択される)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体であり、個々の立体異性体又はその混合物としてである。R5 及びR6 の置換の例を以下の詳細に記載する。。
【0088】
幾つかの実施態様では、R5 は低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基及びエチル基であり、R6 は低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基及びエチル基である。他の実施態様では、R5 及びR6 は、置換又は非置換のシクロアルキル基、例えば(アルキル)シクロアルキル基、例えばtert(ブチル)シクロヘキサン基である。
【0089】
本発明の幾つかの実施態様では、2-アミノベンゾチアゾール含有化合物は、以下の化学式のものを含む。
【0090】
2-アミノ-4-アリールチアゾール含有化合物
或る実施態様では、本発明の修復剤化合物は、2-アミノ-4-アリールチアゾール含有化合物であり、それらはアミノ置換アリールチアゾール基を有する。特別な実施態様では、対象化合物は一般に
(式中、R1は独立して、置換又は非置換のフェニル基から選択され、R2は独立して、水素又はアルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含むから選択され、R3 は独立して、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のヘテロ芳香族基、置換アミノ基、置換ケト基から選択される)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体であり、個々の立体異性体又はその混合物としてである。R1 及びR2 の置換の例を以下の詳細に記載する。
【0091】
或る実施態様では、R1 は独立して、非置換フェニル基、非置換ビフェニル基、又は置換フェニル基、例えばモノ、ジ(アルキル)フェニル、モノ又はジ(アルコキシ)フェニル、モノ又はジ(ヒドロキシ)フェニル、モノ又はジ(ハロ)フェニル、モノ又はジ(アルケニル)フェニル、モノ又はジ(ニトロ)フェニル、モノ(アルキル)-モノ(アルコキシ)フェニル、ジ(アルコキシ)-モノ(ハロ)フェニル、及びモノ(ニトロ)-モノ(アルコキシ)フェニルから選択され、R2 は独立して、水素及び低級アルキル基(例えばC1-C4)、たとえなメチル基及びエチル基から選択され、R3 は独立して、非置換フェニル基、置換フェニル基、例えばモノ又はジ(ハロ)フェニル、モノ又はジ(アルキル)フェニル、モノ又はジ(アルコキシ)フェニル、モノ(アミノ)フェニル、又はもの又はジ(アルコキシ)-モノ又はジ(ハロ)フェニル、非置換ヘテロ芳香族基、例えば、ピリミジン、置換ヘテロ芳香族基、例えば、モノ又はジ(アルキル)ピリミジン、置換アミノ基、例えばモノ(アルケニル)アミノ、及びアシル基、例えばアシルチオフェン基、アシル非置換フェニル基、置換フェニル基、例えばモノ又はジ(ハロ)フェニル、モノ又はジ(アルキル)フェニル、モノ又はジ(アルコキシ)フェニル、モノ(アミド)フェニル,又はモノ又はジ(アルコキシ)-モノ又はジ-(ハロ)フェニル基、又はアシルアルキルチオ-イミダゾール-(5-非置換フェニル基、置換フェニル基、例えばモノ又はジ (ハロ)フェニル、モノ又はジ(アルキル)フェニル、モノ又はジ(アルコキシ)フェニル、モノ(アミド)フェニル、又はモノ又はジ(アルコキシ)-モノ又はジ(ハロ)フェニル基、又はそれらの製薬上許容される誘導体を、各々の立体異性体又はそれらの混合物として、から選択される。
【0092】
代表的な実施態様では、R1 は独立して、非置換フェニル基、非置換ビフェニル基、ジ(メチル)フェニル基、例えば、3-, 4- ジ(メチル)フェニル基、モノ(メチル)フェニル基、例えば4-(メチル)フェニル基、ジ(メトキシ)フェニル基、例えば3-, 4-ジ(メトキシ)フェニル基、ジ(ヒドロキシ)フェニル基、例えば3-, 4-ジ(ヒドロキシ)フェニル基、モノ(ブロモ)フェニル基、例えば4-(ブロモ)pフェニル基、モノ(プロペン)フェニル基、例えば4-(プロペン)フェニル基、モノ(メチル)-モノ(メトキシ)フェニル基、例えば3-(メチル)-4-(メトキシ)フェニル基、及びもの(ニトロ)-モノ(メチル)フェニル基、例えば3-(ニトロ)-4(メチル)フェニル基から選択され、R2 は独立して、水素及びメチル基から選択される。
【0093】
代表的な実施態様では、R3 は独立して、非置換フェニル基、モノ(クロロ)フェニル基、例えば3-(クロロ)フェニル基、モノ(フルオロ)フェニル基、例えば4-(フルオロ)フェニル基、モノ(メチル)フェニル基、例えば2-(メチル)フェニル基、モノ(エトキシ)フェニル基、例えば2-(エトキシ)フェニル基、ジ(メトキシ)-モノ(クロロ)フェニル基、例えば2-, 5-ジ(メトキシ)-4-(クロロ)フェニル基、モノ(アセタミド)フェニル基、例えば4-(アセタミド)フェニル基、非置換ピリミジン基、モノ(メチル)ピリミジン基、例えば3-(メチル)ピリミジン基、ジ(メチル)ブチリデンアミン基、アシルチオフェン基、アシル(4-t-ブチル-フェニル)基、又はアシルメチルチオ-イミダゾール-5-フェニル基から選択される。
【0094】
本発明の幾つかの実施態様では、2-アミノ-4-アリールチアゾール含有化合物は、以下の式で表されるものであってよい。
【0095】
2-キナゾリニル-4-アミノピリミジノン含有化合物類
或る実施態様では、本発明の修復剤は、本明細書に記載される2-キナゾリニル-4-アミノピリミジノン含有化合物類であり、それらは置換又は非置換のキナゾリン基及び置換又は非置換のピリミジン基を有する。特定の実施態様では、対象化合物は、一般に下記式(III):
(式中、R1及びR2は独立して、水素、アルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、又はアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基から選択され、R3はアルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、であり、R4は独立して、ヒドロキシル基又はカルボニル基から選択され、R5及びR6は独立して、融合したシクロアルキル基、水素、アルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、又は置換又は非置換のフェニル基、又は置換又は非置換の(ヘテロシクロアルキル)アルキル基から選択される)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体であり、個々の立体異性体又はその混合物としてである。R1 、R2 、R3 、R4 、R5 及びR6 の置換の例を以下の詳細に記載する。
【0096】
或る実施態様では、R1 は独立して、水素、低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基又はエチル基、又はアルコキシ基、例えばメトキシ基又はエトキシ基から選択され、R2 は独立して、水素、低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基又はエチル基、又はアルコキシ基、例えばメトキシ基又はエトキシ基から選択され、R3 は独立して、低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基又はエチル基から選択され、R4 は独立して、ヒドロキシル基、又はカルボニル基から選択され、R5 及びR6 は独立して、融合シクロアルキル基、例えばシクロペニル基、水素、低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基又はエチル基、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換の(ヘテロシクロアルキル)アルキル基、例えば2-メチルチオ-lH-ベンゾイミダゾール基から選択される。
【0097】
本発明の幾つかの実施態様では、2-キナゾリニル-4-アミノピリミジノン含有化合物は、下記式で表される化合物であってよい。
【0098】
ビスアミノメチルビチアゾール含有化合物類
或る実施態様では、本発明の修復剤は、本明細書に記載されるビスアミノメチルビチアゾール含有化合物類であり、それらは置換されたビチアゾール基及び非置換のヘテロ芳香族基を有する。特定の実施態様において、対象化合物は、一般に下記式(IV):
(式中、R1はアルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、であり、R2は、置換又は非置換のフェニル基である)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体であり、個々の立体異性体又はその混合物としてである。R1 及びR2 の置換の例を以下の詳細に記載する。
【0099】
或る実施態様では、R1 は低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基であり、R2 は、モノ又はジ置換フェニル基であって、アルコキシ機、例えばメトキシ基又はエトキシ基、ハロゲン、例えば塩化物、臭化物、ニトロ基、又は置換又は非置換の飽和直鎖状 炭化水素基又は鎖(例えばC1 to C8)ケト基、例えばエタノン基、プロパノン基、ブタノン基又はペンタオン基を有する基である。代表的な実施態様では、R1 はメチル基であり、R2 は独立して、モノ又はジ置換フェニル基、例えばモノ(ニトロ)フェニル基、モノ(アルコキシ)フェニル基、例えば2-, 3-, 4-, 又は5-メトキシフェニル又は2-, 3-, 4-, 又は5-エトキシフェニル、モノ(ケト)フェニル、例えば1-フェニルプロパン-1オン、又は1-フェニルエチル-1-オン、又はジ置換フェニル基、例えば2-,3-,4-, 又は5-(ハロ)- 2-,3-,4-, 又は5(アルコキシ)フェニル、例えば3-クロロ-6-メトキシフェニルから選択される。
【0100】
本発明の幾つかの実施態様では、ビスアミノメチルビチアゾール含有化合物は下記式で表されるものであってよい。
【0101】
2-(N-フェニルアミノ)キノリン含有化合物類
或る実施態様では、本発明の修復剤は、本明細書に記載される2-(N-フェニルアミノ)キノリン含有化合物類であり、それらは、置換又は非置換のフェニル基及び置換キノリン基を有する。特定の実施態様では、対象化合物は、一般に下記式(V):
(式中、R1は、水素、又はアルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、から選択され、R2は独立して、水素、又はアルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、から選択され、R3はアルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、であり、R4は独立して、水素、アルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、アルコキシ基、例えばメトキシ基又はエトキシ基、又はハロゲン、例えば臭化物、塩化物、フッ化物から選択され、R5は独立して、水素、アルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、アルコキシ基、例えばメトキシ基又はエトキシ基、又はハロゲン、例えば臭化物、塩化物、フッ化物から選択される)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体であり、個々の立体異性体又はその混合物としてである。R1, R2, R3, R4, 及びR5 の置換については以下に詳細に説明する。
【0102】
或る実施態様では、R1 は独立して、水素又は低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基又はエチル基から選択され、R2 は独立して、低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基又はエチル基から選択され、R3 は独立して、水素又は低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基から選択され、R4 は独立して、水素、ハロゲン、例えば臭化物又は塩化物、又はアルコキシ基、例えばメトキシ基又はエトキシ基から選択され、R5 は独立して、水素、ハロゲン、例えば臭化物又は塩化物、又はアルコキシ基、例えばメトキシ基又はエトキシ基から選択される。
【0103】
本発明の幾つかの実施態様では、2-(N-フェニルアミノ)キノリン含有化合物は、下記式で表されるものであってよい。
【0104】
類似物及び誘導体化合物
また本発明は、上記の対象化合物の類似物及び誘導体も提供する。「類似物」及び「誘導体」とは、本発明の対象化合物と構造的に類似する、あるいは同様な機能又は活性を有する分子を意味する。そのような対象化合物の類似物及び誘導体は、変異型CFTR、例えばΔF605−CFTRの折り畳み又は細胞性プロセシングの修復における有効性についてスクリーニングすることができる。
【0105】
幾つかの実施態様において、変異型CFTR、例えばΔF605−CFTRへの結合又は折り畳み又は細胞性プロセシングの修復における活性についての3次元ライブラリをスクリーニングするためにインシリコのモデリングを使用することができる。
【0106】
発明の化合物の投与形態
製薬投与形態において、本発明の対象化合物は、それらの製薬上許容される塩の形態で投与してもよく、あるいは単独で又は適当なアソシエーションで用いても、他の製薬上活性な化合物と組み合わせて用いてもよい。以下の方法及び賦形剤は単なる例示であり、限定を意味するものではない。
【0107】
薬剤は、全身又は局所経路をむ従来の薬物のデリバリーに適したあらゆる利用可能な従来の方法及び経路を用いてホストに投与できる。
【0108】
投与のための従来の製薬上許容される経路は、鼻内、肺内、筋肉内、気管内、腫瘍内、皮下、皮内、局所適用、静脈内、経腸、経鼻、経口及び他の腸管外投与経路を含む。
【0109】
特に興味深い一実施態様では、本発明の化合物は、エアロゾル製剤として、気管内吸入される。
【0110】
治療用製品を気管内デリバリーするために設計された機械的デバイスは、限定されないが、噴霧器、定量吸入器、及び粉末吸入器を含み、全て当業者に馴染み深いものである。
【0111】
定量吸入器デバイスで使用する製剤は、一般に微細に粉砕した粉末を含む。この粉末は、液状複合製剤を凍結乾燥し、次いで製粉することにより製造でき、ヒト血清アルブミン(HSA)を安定化剤として含みうる。
【0112】
適当なサイズの粒子を、次いで界面活性剤の助けをかりて推進剤中に分散させる。推進剤は、この目的のために従来から採用されている材料でよく、例えば、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、又はトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、及び1,1,1,2-テトラフルオロエタンを含む炭化水素、又はこれらの組み合わせである。
【0113】
粉末吸入器のための製剤は微細に粉砕された乾燥粉末を含み、それは複合体を含有し、膨張性薬剤、例えばラクトース、ソルビトール、スクロース、又はマンイトールを、粉末が柄バイスから離間するのを促進する量、例えば製剤重量の50%から90%含んでもよい
【0114】
経口用製剤では、対象化合物は単独で、又は錠剤、粉末、顆粒又はカプセルを製造するのに適当な添加剤と共に用いられ、従来の添加剤の例は、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ又はポテトスターチであり、バインダーとしては、例えば結晶性セルロース、セルロール誘導体、アカシア、コーンスターチ又はゼラチンであり、分解剤としては、例えばコンスターチ、ポテトスターチ、オアカルボキシメチルセルロールナトリウムであり、潤滑剤としては、例えば、樽区又はステアリン酸マグネシウムであり、希釈剤、緩衝剤、加湿剤、防腐剤、芳香剤である。
【0115】
吸入投与以外の腸管外経路は、限定する必要はないが、局所、経皮、皮下、筋肉内、眼窩内、神経管内、脊髄内、胸骨内、及び静脈内、例えば、腸管を介する以外の他の任意の投与経路を含む。
【0116】
皮膚又は粘膜を介する薬剤の投与方法は、限定する必要は無いが、適当な製薬製剤の局所適用、経皮輸送、注射及び表皮投与を含む。
【0117】
本発明の対象化合物は、それらを水性又は非水性溶媒、例えば、植物油又は他の類似油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸エステル又はプロピレングリコールなど、。に溶解、懸濁、又は乳化させることにより注射用製剤に調製することができ、必要ならば、従来の添加剤、例えば可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤及び防腐剤を含める。
【0118】
薬剤は、経腸投与によって患者にデリバーすることもできる。経腸投与経路は、限定されないが、経口及び直腸(たとえば座薬を用いて)デリバリーを含む。
【0119】
さらに、対象化合物は、種々の基剤、例えば乳化剤基剤又は水溶性基剤と混合することによって、座薬を作製することができる。本発明の化合物は、座薬を介して直腸に投与することができる。
【0120】
治療される患者及び病状及び投与経路に応じて、対象化合物は、例えば体重1kg当たり、1日に0.1 μg to 10 mgの投与量で投与されうる。
【0121】
典型的な投与は、静脈内投与に適した溶液、1日に2〜6回陥る錠剤、又は活性成分を適度に高い含有量で含む1日に1回用いられる時間放出カプセル又は錠剤などである。
【0122】
当業者であれば、投与量レベルが、特定の化合物、兆候の重篤さ及び患者の副作用に対する感受性によって変化しうることを容易に理解するであろう。与えられた化合物について好ましい投与量は、種々の手段によって当業者により容易に決定される。
【0123】
用いられる投与量は、達成されるゴールによって変化するが、好ましい投与量範囲は、対象動物において兆候を抑制するために、約1 μg から約1,000 μg 又は約10,000 μg の対象化合物である。
【0124】
経口又は直腸投与のための単位投与形態、例えばシロップ、エリキシル剤、及び懸濁物は、各投与単位が、例えば、茶匙、大さじ、錠剤又は座薬が所定量の化合物(1又は複数の本発明の化合物を含む)を含有するように与えられる。
【0125】
対象の使用方法では、対象化合物は、他の変異型CFTR活性化剤又は変異型CFTR増強剤を含む他の製薬活性剤と組み合わせて調製される。
【0126】
他のCFTR活性化剤の例は、限定されないが、細胞内cAMPレベルのエンハンサー、例えば、限定されないが、フォルスコリン、ロリプラム、8-ブロモ-cAMP、テオフィリン、パパベリン、cAMP及びその塩、類似物又は誘導体を含む。
【0127】
上記の化合物は、他のCF治療と組み合わせてもよく、経口コルチコステロイド、イブプロフェン、リボバリン又は抗生物質、例えばジクロキサシリン、セファロスポリン、セファレキシン、エリスロマイシン、アモキシシリン−クレブラネート、アmピシリン、テトラサイクリン、トリメトプリン−スルファメトキサゾール、クロランフェニコール、シプロフロキサシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、セファロスポリン、モノバクタムなどを含む。
【0128】
本発明の化合物との組み合わせ治療で用いるための本明細書に記載した化合物は、化合物が投与されるのと同じ経路(例えば、肺内、経口、経腸など)によって投与してよい
【0129】
対象化合物の単位投与量を持つキットが提供され、通常は経口又は注射可能の投与用である。そのようなキットでは、単位投与量を含む容器に加えて、目的とする生理学的状態の治療における薬剤の使用及び付随する効果を記載した情報パッケージも具備する。好ましい化合物及び単位投与量は、本明細書に記載した。
【0130】
方法
変異型CFTR細胞の塩化物イオン透過性を向上させる方法
本発明は、変異型CFTRタンパク質を生成する細胞の塩化物イオン透過性を向上させる方法を提供し、折り畳み又はプロセシング欠陥範囲型CFTRを持つ細胞、特にΔF508-CFTR を持つ細胞が特に対象となる。
【0131】
多くの実施態様において、細胞変異型CFTRタンパク質は、細胞の細胞質膜上に存在する。細胞質膜上に存在する変異型CFTRタンパク質を検出する方法は当該分野でよく知られ、限定されないが、例えば、CFTRタンパク質に結合する分子を蛍光、化学的又は生物学的タグでラベルすることを含む。
【0132】
多くの実施態様において、細胞は向上した塩化物イオン透過性を持ち、細胞を本発明の化合物に接触させることは、特にへに型CFTR活性化剤又は増強剤と組み合わせた場合、細胞の細胞質膜を介する塩化物イオン透過性を向上させる。細胞を本発明の化合物に接触させることは、通常は変異型CFTRタンパク質の活性を向上させ、イオン透過性を向上させる。
【0133】
殆どの実施態様では、変異型CFTRのイオン透過活性、又は細胞のイオン透過性は、約10%まで、約20%まで、約50%まで、約100%まで、約150%まで、約200%まで、約300%まで、約400%まで、約500%まで、約800%まで、又は約1000%又はそれ以上向上させる。
【0134】
変異型CFTRの活性及び/又はイオン透過性は、従来の方法を用いて測定でき。それは、分子マーカー、例えばハロゲン化物感受性GFP又は他の分子マーカー(例えば、Galietta et al., (2001) FEBS Lett. 499, 220-224)、パッチクランプアッセイ、及び短絡回路アッセイである。
【0135】
好ましい細胞は、内因性又は導入された変異型CFTR遺伝子を持つような細胞を含む。好ましい細胞は、変異型CFTRの発現の発現カセットを持つ構築物を収穫する哺乳動物細胞系(例えば、COS, CHO, BHK, 293, 3T3 cells など) を含む。
【0136】
膿疱性線維症の治療方法
本発明は、変異型CFTRに関連する病状、例えば膿疱性線維症を有する患者を治療する方法も提供する。一般に、当該方法は、本発明の化合物の変異型CFTRタンパク質を活性化してイオン透過性を向上させるのに有効な量を患者に投与することを含み、それにより病状を治療する。
【0137】
本明細書に記載した化合物は、変異型CFTR仲介状態の治療に有効であり、例えば、状態、疾患又は疾病又は兆候であって、野生型CFTRに比較した場合の変異体CFTRの活性及び/又は存在により生ずる状態、疾患又は疾病であり、例えば、イオン透過性における変異型CFTRの活性である。
【0138】
膿疱性線維症は、幼児、小児及び若年者に多く、外分泌腺の機能不全が広がり、慢性の気管疾患(気管における粘液過剰生成による)、膵臓不全、汗の電解質レベル異常、及び希に胆汁性肝硬変の兆候に特徴がある。また、疾患に付随して、肺における最近に対する免疫防御の不全がある。
【0139】
病理的には、膵臓は好酸球性の結石による膵管の閉塞を示し、続いて膵臓酵素の不全を起こし、結果的に脂肪便症となって腸の吸収不全を生じる。
【0140】
殆ど全ての外分泌腺は、様々な寄与及び重篤度で膿疱性線維症の影響を受ける。
【0141】
肺の兆候を示す膿疱性線維症患者の50%は、通常は再発性又は慢性的な肺感染に伴い慢性的な咳及び喘鳴を示す。、
【0142】
膵臓不全は、CF患者の85から90%で臨床的に発症し、通常は人生の早期に存在し、進行的である。
【0143】
暑い天候又は熱による過剰な汗は、低張脱水症状及び循環不全の症状を導きうる。乾燥気候において、幼児は慢性的な代謝性アルカローシスを生じうる。皮膚の塩結晶形成及び塩味はCFであることを強く示唆している。
【0144】
インシュリン依存性糖尿病は、CFを有する成人患者の10%で発症し、水痘及び門脈圧亢進症を伴う多房性胆汁性肝硬変が、青年及び成人の4から5%で発症する。
【0145】
上記のCFの任意の兆候は、本発明の化合物を用いて治療でき、それらの化合物を第二の変異型CFTR活性化剤又は増強剤と組み合わせるのが特に興味深い。
【0146】
上記の方法は、ヒト及び動物におけるCF及びその兆候の治療に使用できる。CFについての幾つかの動物モデルが当該分野で知られている。
【0147】
これらの動物の多くは、ヒトCFの兆候を示す。特に、これらの動物の多くは、ヒトCF組織で示されるのに類似した気道及び腸上皮のイオン透過性の測定可能な欠陥及び細菌感染の感受性を示す。
【0148】
対象方法を用いて治療するのに適した動物は、変異型CFTR関連状態を持つ任意の動物を含み、特に、哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類(例えばサル、チンパンジー、ゴリラなど)、齧歯類(例えばラット、マウス、アレチネズミ、ハムスター、フェレットなど)、ウサギ、ブタ(例えばピッグ、ミニチュアピッグ)、ウマ、イヌ、ネコ、等を含む。
【0149】
それらの動物は、対象化合物の活性及び有効性を検定するために試験してもよい。肺機能の向上は、例えば、治療前及び治療中に、患者の強制肺活量(FVC)、一酸化炭素核酸能力(DLco)及び/又は休憩時のpθ2 >55 mmHg をモニターすることにより測定できる。
【0150】
治療に適した対象
本発明の方法による治療に適する対象には、変異型CFTRタンパク質媒介状態、疾患又は疾病、又は通常は変異型CFTRの2つのアリルである、変異型CFTRの存在によって生じ、又はそれに関連する、そのような状態、疾患又は疾病の症候を呈している個体が含まれる。さらに、本発明による治療に適する対象には、嚢胞性線維症(CF)の個体が含まれる。多くの実施例の中で特に興味深いのは、CFのヒトの治療である。
【0151】
変異型CFTRタンパク質媒介状態の症候には、胎便性イレウス、胆道の閉塞及び狭窄を含む肝臓疾患、膵臓不全、慢性緑膿菌完成及び他の肺の感染症を含む肺疾患、異常な輸精管発達又は異常な頸管粘液に関連する不妊症、及びアデノカルチノーマを含むカルチノーマが含まれる。
【0152】
本発明の化合物は、ΔF508−CFTRなどの変異型CFTRによって媒介されるイオン輸送の減少レベルを助長することによって、変異型CFTRのイオン輸送能に影響を与える。このように、本発明の化合物は、原形質膜に発現し、折り畳み又は細胞内でのプロセッシングにおける欠陥(即ち、該変異型CFTRは折り畳み又は細胞内プロセッシングの欠陥型である)に起因する塩化物透過能力の減少を示す変異型CFTRを生じる、CFTR遺伝子の変異を持つ一群のCF患者を治療する上で特別な臨床的有用性を有する。このように、本発明の化合物はΔF508−CFTRなどの折り畳み又は細胞内プロセッシングの変異型CFTRを持つCF甘受亜の治療において臨床的有用性を有する。さらに、本発明の化合物は、ΔF508−CFTR、G551D−CFTR、G1349D−CFTR又はD1152H−CFTRなどのゲーティングに欠陥を持つ変異型CFTRを活性化又は増強する化合物と併せて用いる場合にも、CF患者の治療上臨床的有用性を有する。
【0153】
CFと関連するCFTR変異は、当該技術分野において周知である。これらの変異はCFTRタンパク質に関する5つの一般的なカテゴリーに分類される。これらのCFTR機能障害のクラスには、CFTRの生産における制限(例えば、転写及び/又は翻訳)(クラスI)、異常な折り畳み及び/又は輸送(クラスII)、透過の異常制御(クラスIII)、塩化物透過の減少(クラスIV)、及び合成の減少(クラスV)が含まれる。機能的CFTRの欠失に起因して、クラスI、II及びIII変異は、典型的には、非常に低いレベルの機能的CFTR発現を示すクラスIV又はV変異型よりも、CFにおけるより重篤な表現型(即ち、膵臓不全)と関連づけられる。CFTR遺伝子中に同定されている種々の変異のリストは、その全体について参照としてここに特に取り込まれる、genet.sickkids.on.ca/cgi-bin/WebObjects/MUTATIONにおける、嚢胞性線維症変異データーベースのワールドワイドウェッブサイトで見つけられる。
【0154】
本発明の方法による治療に適する対象は、特異的変異型CFTR、即ち、例えばΔF508−CFTRなどの2コピーの特異的変異型CFTRを持つ同型接合性の対象でもよい。さらに、本発明の方法による治療に適する対象は、即ち、例えば、1つのΔF508−CFTRのコピーと異なる変異型のCFTRの1つのコピーを持つ対象のように、該対象のゲノムにCFTRの2つの異なる変異型が含まれるような、異なるCFTR変異に対する合成異型接合体であってもよい。
【0155】
本発明のいくつかの実施例において、変異型CFTRポリペプチドはΔF508−CFTRである。しかし、本発明は本変異型のCFTRを持つCF患者の治療にのみ限定して解釈されるべきではない。むしろ、本発明は、原形質膜中に変異型CFTRを発現させ、低減した塩化物透過性を示すか又は透過性の異常な制御を示す、類似の性質を示す他の変異型CFTRの持つCF患者の治療を含むと解釈されるべきである。
【実施例】
【0156】
以下の実施例は、本発明を作り、使用する方法の完全なる開示及び詳細を当業者に提供するために提示されるもので、発明者が彼らの発明として考慮する範囲を限定することを意図したものではなく、それらは、以下の実験が行われた全ての又は唯一の実験であることを説明することを意図したものである。使用された数(例えば、量、温度など)に関する正確さを保証するべく努力されているが、いくつかの実験エラー及び偏差については釈明されるべきである。他に示されない限り、部分とは重量の部分であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧又はその付近である。
【0157】
以下の方法及び材料を以下の実施例において使用した。
【0158】
細胞株
ヒトΔF508−CFTRと高感受性ハロゲン感受緑色蛍光アナログYFP−H148Q/I152L(Galiettaら,FEBS Lett 499:220−224 (2001))を安定に共発現するフィッシャーラット甲状腺(FRT)上皮細胞は、既述のように作製した(Galiettaら,JBC 276:19723−19728(2001);Maら,JBC 277:37235−37241(2002))。P574H−CFTRを判定に発現するFRT細胞は、同様に作製した。FRT細胞は、10%胎児ウシ血清、2mM L−グルタミン、100U/ml ペニシリン、及び100μg/ml ストレプトマイシンを添加したクーン(Coon‘s)変法F12培地中、プラスティック上で培養した。第1次スクリーニングのため、LabSystmsマルチドロップディスペンサーを用いて、50,000細胞/ウェルとなるように細胞を黒色の96−ウェルマイクロプレート(Corning−Costar社)中にプレーティングした。プレーティング後18−19時間後にスクリーニングを行った。短絡電流の測定のため、500,000細胞/インサートとなるように、細胞をスナップウェル用パーミアブルサポート(Corning−Costar社)上で培養した。ΔF508/ΔF508同型接合体のCF患者(又はN1303K/N1303K同型接合体の患者)からのヒト鼻上皮細胞をスナップウェルのインサート上で培養し、既述の通り(Galiettaら,Am.J.Physiol.275:L917−L923(1998))、ホルモン添加培地中で分化させた。
【0159】
150,000の多様性薬剤様化合物のコレクション(90%を超える部分がサイズ
250−500ダルトンである、ChemCiv and ChemBridge,San Diego,CA)を初期スクリーニングに使用した。至適化のため、第1次スクリーニングで同定された1500を超える市販の活性化合物のアナログをテストした。スクリーニングのためウェルあたり1又は4化合物を含むプレートを調製した(1mM DMSO中)。第2次スクリーニングのための化合物をNMR及び液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリーで確認を行った。
【0160】
スクリーニング手順
スクリーニングは、3mのロボットアームを具備したベックマン社のインテグレイテッドシステム、マイクロプレートカルーセルを具備したCO2インキュベーター、プレートウォッシャー、液体ハンドリングワークステーション、バーコードリーダー、デリッディング(delidding)ステーション、プレートシーラー、及び各々デュアルシリンジポンプ、500±10nm励起及び535±15nm発光フィルター(Chroma)を備えた2台のFluoStar蛍光プレートリーダー(Optima,BMG Lab Technologies)を用いて行った。FRT細胞を37℃(90%湿度、5%CO2)で18−24時間インキュベートし、その後、テスト化合物(最終濃度10μM)を含む50μLの培地で18−24時間インキュベートした。各ウェルは、蛍光を2秒間(ベースライン)連続的に(ポイントあたり200ms)記録し、その後、137mM Cl−がI−によって置換された165μLのPBSを添加後すぐに(<1秒)12秒間記録することにより、プレートリーダー中のI−インフラックスに関し、個別にアッセイした。I−インフラックス率は、最初のスロープの推定のためデータの最後の11.5秒を指数関数にフィッティングし、バックグラウンドを差し引いた最初の蛍光に対して正規化することにより算出した。全ての化合物プレートにはネガティブコントロール(DMSOビークル)とポジティブコントロール(4−PBA,4mM)が含まれ、別に低温度のレスキュー(27℃、18−24時間)ポジティブコントロールプレートが含まれた。アッセイ分析はZ‘ファクター>0.6を示した。
【0161】
経上皮電流測定
ΔF508−CFTR発現FRT細胞をスナップウェル用インサート中、7−9日間培養した。テスト化合物は、測定前18−24時間後に添加した。基底外側溶液は以下を含む(mM):130 NaCl,2.7 KCl,1.5 KH2PO4,1 CaCl2,0.5 MgCl2,10 グルコース,10 Na−Hepes(pH7.3)。尖端側ベージング溶液、65mM NaClはグルコン酸ナトリウムで置換し、CaCl2を2mMに増加した。溶液は空気で泡立たせ、37℃で維持した。基底外側膜は250μg/mlのアンフォテリシンBで透過性にした。ヒト気管上皮細胞に関し、頂端側及び基底側チャンバーは、126mM NaCl,0.38mM KH2PO4,2.1mM K2HPO4,1mM MgSO4,1mM CaCl2,24mM NaHCO3及び10mM グルコースを含んでいた(基底外側膜は透過性ではない)。ヘミチャンバー(Hemichamber)は、Ag/AgCl電極を介してDVC−1000ボルトクランプ(World Precision Instruments)につなぎ、頂端膜又は短絡電流の記録のため1M KClアガーブリッジにつないだ。
【0162】
修復剤のメカニズムの解析
生化学的研究では野生型、ΔF508−CFTRのHAタグ変異型で安定に形質移入したBHK細胞を使用した。CFTRは、C末端テイル(CFT R−CtHA)又はその4番目の細胞外ループを3つのHAエピトープ(CFTR−3HA)でタグ化した。複合体グリコシル化CFTRの蓄積は、既述のイムノブロットにより解析した(Sharmaら,JBC 276:8942−8950(2001))。原形質膜での発現は、既述の通り(Sharmaら,JCB 164:923−933(2004))ヨウ化2次抗マウス抗体を、又は基質であるアンプレックスレッドと共にホースラディッスペルオキシダーゼ結合2次抗体用いてHA抗体の結合(非透過性細胞)により解析した。非特異的な抗体の結合は非形質導入細胞(同じアッセイ条件)及び1次抗体を省略して形質導入細胞中で測定した。折り畳み効率は、既述の内容(Duら,Nat.Struct.Mo.Biol.(2005))に変更を加えてアッセイした。ΔF508−CFTR−CtHA発現BHK細胞は、修復剤の存在下で、内在性のメチオニンとシステインを除去した。折り畳みをモニターするために、細胞を0.2mCi/ml 35S−メチオニンと35S−システインの存在下で150分間インキュベートし、さらに150分間完全培地中でチェイスを行った。新規に合成されたCFTRに取り込まれた放射活性は、チェイスすることなく等しい数の細胞をパルスラベルすることにより測定した。CFTRを免疫沈降法で担利子、フルオログラフィーで視覚化し、既述のようにホスホイメージ解析により定量化した(Lukacsら,EMBO J.,13:6076−6086(1994))。
【0163】
実施例1
ΔF508−CFTR修復剤の発見及び性質決定
図1に示すように、ΔF508−CFTRと蛍光YFPハロゲンセンサーを共発現するFRT細胞を、96ウェル形式でテスト化合物(10μM)と共に、18−24時間、37℃でインキュベートした。その後、化合物を洗い流し、増強因子であるフォルスコリンとゲニステインを添加した後、ΔF508−CFTR媒介ヨウ化物インフラックスをアッセイした。150,000化合物の1次スクリーニングにより、ヨウ化物インフラックス(Δd[I−]/dt)を>0.10mM/sのレベルで増強する45化合物と、ヨウ化物インフラックスを>0.20mM/sのレベルで増強する15化合物が見出された。個々のウェルに由来するオリジナルデータを図2に示す。ネガティブコントロールはビークル(DMSO)のみ(「37℃」)とラベルしたで、ポジティブコントロールは4−フェニルブチル酸(4−PBA)及び低温(27℃)インキュベーションレスキューであった。2つの活性化合物を示す。
【0164】
活性化合物を再テストし、ΔF508−CFTR特異性をCFTRinh−172によるヨウ化物インフラックスの増大の阻害、及びFRTヌル細胞への修復剤効果の不存在により確認した。修復剤化合物活性の最初の至適化を市販のアナログのスクリーニングにより行った。5チャンネルスキャフォルドの>1500化合物による3ラウンドの至適化により、アミノゲンゾチアゾール、アミノアリルチアゾール、キナゾリニルアミノプリミジノン、ビスアミノメチルビチアゾール及びフェニルアミノキノリン
化学クラスの活性修復剤が得られ、そのうち4つについて図3、パネルAに示した。量依存性のデータを図3、パネルBに示し、破線で示す27℃レスキューに対する対照とした。37修復剤のリスト及びその有効性(Ka,Vmax)を、5つの修復剤クラスに対する構造活性データセットを示す表1に提示した。図4に、いくつかの修復剤のVmaxデータをまとめ、ポジティブ又はネガティブコントロールと比較している。いくつかの化合物は、27℃レスキューよりも大きなVmaxを示し、27℃レスキューと組み合わせるとヨウ化物インフラックスに対する相加的な効果を与えることが見出された。
【0165】
図5は、基底膜を透過性にし、塩化物勾配(頂端側65mM、基底側130mM)の存在下において頂端膜の塩化物の流れを測定したUssingチャンバー実験について示している。頂端膜の塩化物の流れをベースラインで測定した後、高濃度の増強因子フォルスコリン(20μM)と次いでゲニステイン(50μM)を添加した;CFTRinh−172(10μM)を各実験の最後に添加した。電気生理学的検討により、蛍光アッセイから得られたデータを確認した。図5の左のパネルには、27℃対37℃(上と中のカーブ)で生育させたΔF508−CFTR発現細胞中のより大きな流れと、FRTヌル細胞(下)に対する修復剤効果の欠如が示される。測定に先立ちΔF508−CFTR発現細胞中、37℃で修復剤と共にインキュベートすると、27℃レスキューによって産み出される流れと同等か又はそれを超える、フォルスコリン/ゲニステインにより増強的に促進され、CFTRinh−172で阻害される塩化物の流れ(図、右のパネル)が産み出された。
【0166】
図6,パネルAには、4つの修復剤化合物に関する修復の時間依存性(37℃でインキュベート)を比較のために示す27℃レスキューと4−PBAのデータと共にまとめる。修復は化合物の添加後3時間程度で見られ、12−30時間後に最大の効果が見られた。これに対し、27℃インキュベーション又は4−PBAによる修復は、比較的遅く効果が認められ始めた。化合物を洗い流した(又は27℃から37℃に温度を戻した)後の修復の持続に関するデータは、図6、パネルBに要約した。多くの化合物において、洗浄後12時間を越えて修復が持続し、24時間後において2つの修復剤に関し実質的な活性が残っていた。これに対し、27℃のレスキュー細胞では、24時間後には修復の持続はほとんどみられなかった。
【0167】
修復剤化合物が、cAMP上昇剤や増強化合物に対する感受性などのΔF508−CFTRの特性を変更するかどか検討するために実験を行った。図7に、フォルスコリン単独(20μM)対フォルスコリン+ゲニステイン(50μM)に関するVmaxを要約する。興味深いことに、フォルスコリン対フォルスコリン+ゲニステインによる1/Vmaxは修復剤対低温で処理した細胞よりも大きかった。従って、いくつかの修復剤化合物は、フォルスコリン単独によりΔF508−CFTR活性を増大させた。化合物corr−2bは最も効果的で、Vmaxの〜80 %を示すフォルスコリン応答を示した。図8は、フォルスコリン濃度依存性データ(ゲニステイン非存在下)を示す。Vmaxは異なるが、フォルスコリン応答に対するKaは、各ケースにおいて〜3μMであった。Ussingチャンバー実験(図9)において見られるように、20μM(及び50μMであっても)の化合物corr−2bは、フォルスコリン応答の相対的な増幅を増加させた。このことは、27℃レスキュー細胞においてCFTRを増強することはできないので、化合物corr−2bの固有の増強活性に起因するものではなかった。ポジティブコントロールのゲニステインと共に示す(図9、右のパネル)。
【0168】
ハイスループットスクリーニングにより、ΔF508−CFTRの細胞内の間違ったプロセッシングを修復し、原形質膜での発現と低温レスキューによって達成されるレベルを超えるハロゲン透過性を回復させるいくつかの小分子のクラスが見出された。修復は、電気生理学的及び生化学的測定、並びにコントロール細胞(非発現性)及びCFTR選択阻害剤を使用することにより、確認された。
【0169】
1次スクリーニングに使用された細胞株は、上皮由来の細胞(天然のCFTR発現細胞に類似する)であって、細胞単層注の塩化物流の迅速な評価を可能とし、強い低温レスキュー応答を示すように選択した。ハイスループットスクリーニングのための細胞株に関するさらなる必要条件には、テストプレート中での早い生育、安定で明るいYFP−H148Q/I152Lの発現、及び低い基底側のハロゲン透過性が含まれた。YFP−H148Q/I152L蛍光ハロゲン標識は、明るい細胞内発現性及びヨウ化物への超高感受性を持つように既に開発されてあるものであった(Galiettaら,FEBS Lett.499:220−224(2001))。使用される形質移入したFRT細胞株は、100を超えるΔF508−CFTR/YFP−H148Q/I152L形質移入FRT細胞クローンのみならず、多くの形質移入及び天然に発現する上皮細胞株をスクリーニングした後に選択された。
【0170】
実施例2
ΔF508−CFTR修復剤の力学的解析
修復剤存在下でのΔF508−CFTRの生合成プロセッシングに関する生化学的証拠を提供するため、成熟し、複合グリコシル化されたΔF508−CFTR−CtHAの蓄積をベビーハムスター腎臓(BHK)細胞のイムノブロット解析によってモニターした。修復剤と共に16−24時間、37℃でインキュベーションすると、複合グリコシル化されたΔF508−CFTR−CtHAの蓄積が生じた(図10、パネルA)。このことは、非処理細胞の主要な形体である、そのコアのグリコシル化相当物(みかけの分子量〜150kDa)と比較して、複合グリコシル化ΔF508−CFTRの免疫反応バンドはより遅い電気泳動度(みかけの分子量〜170kDa)を示すことから確認された。同様な結果はΔF508−CFTR発現FRT細胞でも得られた。修復剤処理細胞中での複合グリコシル化ΔF508−CFTRの蓄積は、修復剤無しの低温インキュベーションによって生じる場合と同等であった(図10、パネルB)。修復剤化合物は、ERシャペロンであるGrp78の一定した発現レベルに基づいたERストレス応答を引き起こさなかった。原形質膜でのΔF508−CFTR発現は、細胞外エピトープの認識に基づいた抗HA抗体結合アッセイを用いて確認した(Maら,JBC 277:37235−37241(2002))。修復剤化合物とのインキュベーションによって、原形質膜のΔF508−CFTRの存在量が、フォルスコリン/ゲニステインにより増強された頂端膜塩化物流の増加とほぼ比例して、顕著に増加した(図11、パネルA)。
【0171】
ΔF508変異は、ΔF508−CFTRの構造上の成熟及び小胞体のチャネルの排出能を減じ、ポストゴルジコンパートメント中の複合グリコシル化ΔF508−CFTRを不安定化する(Sharmaら,2001:Sharmaら,2004)。従って、修復剤化合物は、成熟し、複合グリコシル化されたΔF508−CFTRの安定性の増強と同様に、新規の合成緒されたΔF508−CFTRの翻訳後の折り畳みを促進する。修復作用の細胞内における根拠を立証するため、ΔF508−CFTRの翻訳後の折り畳み効果に対する修復効果を代謝的パルス・チェイス技術により、新規に合成され、コアグリコシル化されたΔF508−CFTRの複合グリコシル化形体への分画的変換を測定することにより定量した(図11、パネルB)。放射活性パルスラベルを15分から150分に延長することで、アッセイの検出感受性が顕著に増大した。ホスホイメージ解析によって、ΔF508−CFTRは、37℃において、BHK細胞中の野生型CFTR(31±5 %)と比較して、低いけれど測定可能な成熟効率(0.5±0.15%)を有することが明らかとなった。同様な結果が他の異種接合性発現システム中の野生型CFTRの成熟小売り乙に関して得られている(Wardら,1994;Lukacsら,EMBO J 13:6076−6086(1994))。ΔF508−CFTR折り畳み効率は、いくつかの修復剤の存在下において2−3倍増加した(図11、パネルC)。次に、ΔF508−CFTR−3HA細胞表面の安定性について評価した。ΔF508−CFTR−3HAは、低い温度では、最初に細胞表面に蓄積した(図1、パネルAのように)。その後、修復剤の存在下で温度を37℃に上昇させると、ΔF508−CFTR安定性が4℃におけるチャネルへの抗HA結合の消失によってモニターされた。レスキューされたΔF508−CFTRの細胞表面密度は、3時間のチェイスの間に〜20%に減少したが、修復剤化合物の存在下で50−90%のΔF508−CFTRタンパク質が細胞表面に残存した(図12、パネルB及びC)。従って、修復剤化合物は、細胞表面におけるレスキューされたΔF508−CFTRタンパク質の滞在時間の延長も行う。
【0172】
欠損型ΔF508−CFTRの間違ったプロセッシングの修復に対する化合物特異性の初期のテストのように、化合物がP574H−CFTRに対してテストされ、ΔF508−CFTRに類似の変異型CFTRは小胞体に維持されたが、レスキュー温度で24時間インキュベートすることでレスキューされた(Ostedgaardら,J.Cell.Sci.,112:2091−2098(1999))。細胞を24時間修復剤戸とも二インキュベートするか、又は低い温度でインキュベートした。頂端膜の塩化物流をフォルスコリン(本CFTR変異型を十分に活性化する)に対する応答として測定し、その後、CFTRinh−172に対して測定した。図12は、corr−4a化合物がΔF508−CFTR発現細胞中の強い塩化物流を引き起こし、低温レスキューのポジティブコントロールであるにも関わらず、P574H−CFTRには影響を与えなかったことを示す。Corr−3a化合物は塩化物流について2倍の増大を引き起こした。
【0173】
CFTRの細胞内プロセッシングは、翻訳、小胞体での折り畳み、ゴルジ輸送、翻訳後グリコシル化、及び頂端膜へのターゲティングに関与する。原形質膜CFTRはエンドサイトーシスによって内部移行し、その後、原形質膜に戻るか又はリソソーム分解に向かう(Sharmaら,2004;Gentzschら,MBC 5:2684−2696(2004))。ΔF508−CFTRの折り畳みは効果的ではない。BHK細胞中の新規に合成されたΔF508−CFTRの99.5%はゴルジに到達することなく分解へと向かった。他の戻るシステムでも同様に、ほぼ完全なΔF508−CFTRのERでの滞留が報告された。Corr−4b及びcorr−4c化合物はΔF508−CFTRの折り畳み効率を翻訳率に影響を与えることなくほぼ3倍にまで上昇させたが、このことは、修復剤化合物が翻訳後の折り畳みの障壁を部分的に克服したことを示唆する。最近の構造学的研究によれば、小分子がNBD2及び/又は膜貫通ドメインの折り畳みを促進し得ることが想定できる(Duら,Nat.Struct.Biol.,2005,Chenら,JBC 279:39620−39627(2004))。修復剤の末梢的な安定化効果の極単純な説明は、修復剤化合物の非存在下において、構造的に安定化された変異型は、レスキューされたΔF508−CFTRよりもユビキチン依存的末梢性品質コントロールメカニズム及びリソソーム分解の影響を受けにくいということである(Sharmaら,2004)。
【0174】
実施例3
ヒト気道上皮中のΔF508−修復剤
ΔF508−CFTR同型接合性患者由来のヒト気道上皮細胞の分化した初期培養についても修復剤化合物のテストを行った。透過性支持体上で分極化された細胞は、短絡電流解析による塩化物の分泌測定のためUssingチャンバー中にマウントされた。アミロリドによるNa+流ブロック後、DMSOビークルで処理した細胞はフォルスコリン、ゲニステイン又はCFTRinh−172に対する応答がほとんど見られなかった(図13)。27℃で24時間インキュベートすると、フォルスコリンとゲニステインにより増強された塩化物流で見られるような顕著な塩化物流が出現し、CFTRinh−172によって阻害された。この結果は、化合物corr−4aとの37℃、24時間のインキュベーションが塩化物流を同等に増大させることを示す。比較のため、非CF気管上皮細胞に関するデータを示す(図13、下のパネル)。図14のパネルAに示されるように、第2のビスアミノメチルビチアゾールのデータを含む、一連の測定に関するCFTRinh−172阻害によって引き起こされる短絡電流の変化をまとめる。これらの研究に対するネガティブコントロールとして、欠陥型CFTRプロセッシングが明らかであるN1303K−CFTR変異の同型接合体患者由来のヒト気管上皮細胞に対し(Gregoryら,MCB 11:3886−3893(1991))、同じ修復化合物をテストした。図14、パネルBは、図13に示すΔF508−CFTRについて用いたのと同じ化合物及び条件で測定した場合、N1303K−CFTR気管細胞に関する短絡電流の顕著な修復は認められなかった。
【0175】
これまでの記載は本発明の原理を単に説明したものである。ここで明示的記載され、示されていないが、当業者であれば、本発明の原理を具体化し、発明の精神及び範囲内に包含される種々の処理を工夫することが可能であることは十分に理解されることであろう。さらに、ここで挙げられた例示及び条件的言語は、基本的には、本発明の原理及び技術の促進に対し発明者によって貢献される概念を理解する上で読書に役立つことが意図されており、そのような特別に挙げられた例示及び条件に限定されることなく理解されるものである。さらに、ここに発明の原理、態様及び実施形態並びにその特定の実施例を挙げた全ての記述は、それらの構造的及び機能的な等価物のいずれをも包含すること意図されている。さらに、そのような等価物には、現在知られている等価物及び将来開発される等価物の両方、即ち、構造のいかんに関わらず、同じ機能を示す開発される要素が含まれる。従って、本発明の範囲は、ここで示され、記述される実施例に限定されることは意図されていない。むしろ、本発明の範囲及び精神は添付される請求の範囲によって具体化されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】対象とするスクリーニング方法を示す模式図である。ΔF508-CFTR及びハロゲン化物感受性YFPを共発現するFRT細胞を、試験化合物(10 μM)とともに37℃でインキュベートした。 フォルスコリン(20 μM) + ゲニステイン(50 μM)の存在下で、ヨウ化物によるYFP蛍光の消光によって、プレートリーダーで18−24時間においてΔF508-CFTR機能を評価した。
【図2】コントロール条件(37℃)でのヨウ化物流入、又は27℃での24時間インキュベーション後、又は4-PBA(4 mM)、又は修復剤化合物(10 μM, 370C)での代表的なトレースを示す図である。
【図3】パネルAにおいて代表的な修復剤化合物の化学構造、パネルBにおいて示された修復剤化合物に関する投与量ー応答データ(SE, n=5)を示す。
【図4】37℃又は27℃で示された修復剤化合物とともにインキュベートされたΔF508-CFTR発現FRT細胞における最大ヨウ化物流入(37℃コントロールに規格化)を要約したグラフである(SE, n=5)。ヨウ化物流入は、コントロール細胞に比較して全ての化合物で有意に増加した(p<0.01)。
【図5】側底膜透過性化後かつ塩化物勾配存在下でのウシングチャンバーにおける頂端膜塩化物流測定を示す。濃度フォルスコリン(20 μM)、ゲニステイン(50 μM)、CFTRinh-172 (10 μM)。下左は、FRTヌル細胞で実施した測定を示す(他のパネルはΔF508-CFTR発現FRT細胞)。
【図6】パネルAは、示された修復剤化合物での経時的な修復を示す。細胞は、27℃で又は示された修復剤又は4-PBA (4 mM)とともに37℃で、種々の時間インキュベートした。ΔF508-CFTR活性は、フォルスコリン/ゲニステイン存在下で検定した。パネルBは、示された修復剤化合物での修復の持続を示す。細胞は、示された修復剤化合物と共に(又は27℃で)24時間インキュベートした。ΔF508-CFTR活性は、洗浄後(又は270Cから370Cに戻して)異なる時間に検定した。
【図7】修復剤有無で37℃又は27℃に維持された細胞におけるフォルスコリン(20 μM)又はフォルスコリン+ゲニステイン(50 μM)の効果を示す。
【図8】フォルスコリンの投与量−応答関係を示すグラフである。ΔF508-CFTR発現FRT細胞は、示された修復剤化合物とともに37℃又は27℃においてインキュベートした後、フォルスコリン(ゲニステイン不存在)で刺激した。
【図9】DMSOビヒクル(左)又は化合物corr-2b (第2及び第3の曲線)とともに37℃で24時間インキュベートした後の頂端膜塩化物流測定を示す。右側の曲線は、示した化合物(20 μM フォルスコリン, 20 μM corr-2b, 50 μM ゲニステイン)とともに27℃で細胞成長させた結果を示す。
【図10】パネルAは、BHK細胞におけるΔF508-CFTR-QHAの発現パターンに対する示した修復剤化合物(10μM)の効果を示すウエスタンブロットである。表示した細胞は、修復剤有無で37℃において、又は27℃において24時間培養した。CFTRは、励起化学発光による抗−HA一次抗体及びHRP−複合二次抗体によって可視化した。黒い矢印は、複合したグリコシル化形態(バンドC)、白い矢印はコア−グリコシル化形態(バンドB)である。パネルBは、パネルAのデータを定量化したグラフである。
【図11】パネルAは、図10に示した条件で放射活性抗−HA抗体結合アッセイを用いて測定したΔF508-CFTRの表面密度を示すグラフであり、パネルAでは、FRT細胞で平行実施したΔF508-CFTR頂端膜流に対してプロットした。パネルBは、パルス−チェース分析で測定した折り畳み効率を示すウエスタンブロットである。翻訳速度は、15分パルス(P)間での放射活性取り込みから計算した。折り畳み効率を測定するために、細胞に150分間パルスをかけ、次いで120分間チェースした(C)。コア(白矢印)及び複合グリコシル化(黒矢印)形態の量は、リン酸画像化分析により決定した。)パネルCは、パネルBに示したようなパルス標識プールに対する成熟、複合グリコシル化 ΔF508-CFTRのパーセントとして表した変異効率を示すグラフである。
【図12】パネルAは、示された修復剤化合物の存在下で3時間のチェースの前後での抗−HA抗体結合アッセイにより測定したレスキューされたΔF508-CFTRの細胞表面安定性を示すグラフである。パネルBは、温度感受性変異型P574−CFTRを発現するFRT細胞における頂端膜塩化物流の結果を示す。パネルCは、パネルBにおける頂端膜塩化物流の結果を示すグラフである。
【図13】ΔF508同型患者(上側3つの曲線)及び非-CF患者(一番下の曲線)からのヒト気道上皮細胞の一次培地での代表的な短絡回路流を示す。ΔF508細胞は、DMSOビヒクル又は化合物corr-4bの存在下37℃で24時間維持し、又は27℃でインキュベートした。濃度:アミロライド(10 μM), フォルスコリン(20 μM), ゲニステイン(50 μM), CFTRinh-172 (10 μM)。
【図14】パネルAは、図13に示した一連の実験についてのCFTRjnI1-172 阻害性短絡回路流(ΔIS0)の概略である(SE, n=12-14)。 *, PO.05, **, PO.01。パネルBは、図13の条件で実施した同型N1303K-CFTR患者からのヒト気管上皮細胞の一次培地の短絡回路流記録を示す。
【発明の開示】
【0001】
連邦政府に後援を受けた研究に関する陳述
本発明は、国立衛生研究所によって与えられた認可番号HL73856、EB00415、 HL59198、EY13574、及びDK35124の下で政府の援助のを受けてなされた。政府は本発明において一定の権利を持ちうる。
【0002】
本発明の業績は、嚢胞性線維症財団(Cystic Fibrosis Foundation)及び/又はCystic Fibrosis Foundation Therapeutics社からの認可によっても支援されている。
(背景技術)
【0003】
嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス調節タンパク質(CFTR)は、哺乳動物の気道、腸、膵臓、及び精巣における上皮細胞で発現されるcAMP−活性化塩化物(Cl−)チャンネルである。CFTRは、cAMP−仲介のCl−分泌に関与する塩化物チャンネルである。β−アドレナリン拮抗薬等のホルモン、又はコレラ毒素等の毒素は、cAMPの上昇、cAMP−依存性プロテインキナーゼ、及びCFTR Cl−チャンネルのリン酸化を誘発し、それによりチャンネルが開放される。細胞におけるCa2+ 濃度の上昇も異なる頂端膜チャンネルを活性化する。プロテインキナーゼCによるリン酸化は、頂端膜チャンネルにおけるCl−チャンネルを開放又は閉鎖できる。CFTRは主に上皮に局在化し、そこで頂端膜を介するCl−イオンの移動のための経路を提供し、上皮を介する塩及び水の輸送速度を調節するキーポイントを与えている。CFTR塩化物チャンネル機能は、嚢胞性線維症(CF)を含む広範な疾患、幾つかの形態の男性不妊症、に関連しており、多発性嚢胞腎疾患、及び分泌性下痢に関連している。
【0004】
遺伝性の致命的疾患であるCFは、CFTRタンパク質、気道、腸、膵臓、及び他の分泌性及び吸収性上皮で発現されるcAMP−活性化塩化物(Cl−)チャンネルをコードする遺伝子における変異が原因となる。CFにおける第一の臨床的問題は、再発性の肺感染であり、それは肺機能の劣化を進行させる。最もありふれたCFTR変異であるフェニルアラニン−508の欠失(ΔF508−CFTR)は、CF患者の約90%における少なくとも1つのアレルに存在する(Egan et al., (2004) Science 304:600-602)。ΔF508-CFTRは、正しくプロセシングされないため、Cl−の不透過を起こすので、(形質膜ではなく)小胞体での停滞を引き起こす。またΔF508-CFTRは、野生型CFTRに対して低下した内在性Cl−コンダクタンスを有する。
【0005】
ΔF508−CFTR 細胞性プロセシング及び細胞における内在性機の欠陥を修正するための方法が研究されてきた。低温(<30℃)(Denning et al., (1992) Nature 358, 761-764)又は高濃度のグリセロール等の化学シャぺロン(Sato et al., (1996) J. Biol. Chem. 271, 635-638; Brown, et al., (1996) Cell Stress & Chaperones 1, 117-125)での細胞成長は、タンパク質折り畳み及び安定性を向上に関係しうるメカニズムによるΔF508−CFTRの細胞性プロセシングの欠陥を部分的に修正する(Sharma et al., (2001) J. Biol. Chem. 276, 8942-8950)。タプシガルギン(thapsigargin)により細胞内カルシウム濃度を徐々に上昇させることも、おそらく分子シャペロンとの相互作用を阻害することにより、ΔF508-CFTRプロセシングの欠陥を修正できる(Egan et al., (2002) Nature Med. 8, 485-492)。フェニルブトリエート(phenylbutryate)のような化合物は、シャペロン機能及び/又は転写促進を変更することによってΔF508-CFTR細胞性プロセシングを促進する(Rubenstein et al., (2000) Am. J. Physiol. 278, C259-C267; Kang et al., (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99, 838-843)。これらの試みは小胞体でのΔF508−CFTR残留のメカニズムについての洞察を与えるが、臨床的に有効な治療法は提供しないであろう。
【0006】
[0006] ΔF508-CFTRは、細胞質膜に存在する場合でもチャンネル活性を有意に損なう(Dalemans et al., (1991) Nature 354, 526-528)。細胞接着パッチ−クランプ測定(Cell-attached patch-clamp measurements)により、 showed reduced ΔF508-CFTR開放チャンネル確率が低下すると、最大のcAMP刺激であっても、閉鎖時間が延長されることが示された(Haws et al., (1996) Am. J. Physiol. 270, C 1544- C1555; Hwang et al., (1997) Am. J. Physiol. 273, C988-C998)。励起された膜におけるパッチ−クランプ測定は、リン酸化後に野生型CFTRに比較して7倍低下したΔF508-CFTR 活性化を示した。比較的高濃度のフラボンゲニステイン(>50 μM, Hwang, et al., (1997) Am. J. Physiol. 273, C988-C998; Wang et al., (2000) J. Physiol. 524, 637-638)又はキサンチン・イソブチルメチルキサンチン(>1 mM, Drumm et al., (1991) Science 254, 1797-1799)とcAMPアゴニストの組み合わせは、ΔF508-CFTRチャンネル活性を向上させた。しかし、これらの研究は臨床的に有用な治療法を提供していない。
【0007】
従って、変異型CFTR、例えばΔF508−CTFRの折り畳み又は細胞性プロセシングを修正することのできる化合物、及び, それらの化合物を使用してCFを研究及び治療する方法、並びに他の分泌性疾患を治療又は抑制する方法が未だに必要とされている。本発明は、これら及び他の必要性に対処するものである。
【0008】
(発明の概要)
本発明は、嚢胞性線維症(CF)の治療に有用な、変異型−嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス調節タンパク質(例えば、ΔF508CFTR)の細胞性プロセシング(例えば、折り畳み、トラフィッキング又は翻訳後改変)のための組成物、医薬調製物及び方法を提供する。本発明の組成物及び医薬調製物は、アミノベンゾチアゾールガン入化合物、アミノアリールチアゾール含有化合物、キナゾーリニルアミノピリミジノンガン入化合物、ビスアミノメチルビチアゾール含有化合物、又はフェニルアミノキノリンガン入化合物、又はその類似物又は誘導体の1又はそれ以上を含む。
【0009】
本発明は、下記式(II):
(式中、R1は、独立して、水素又はR2に融合したC(=O又は=S)NH基から選択され、R2は独立して、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、又は置換又は非置の芳香環、及び置換又は非置換のヘテロ芳香環に対するN=CH 又は N−アルキル結合から選択される)の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物を提供する。一実施態様では、前記組成物は、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む。一実施態様では、前記組成物は、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない。
【0010】
或る実施態様では、R1は水素であり、式(I)の化合物は下記式(Ia):
(式中、R3は独立して、置換又は非置換のフェニル基から選択され、R4は置換又は非置換のアルキル基である)の化合物である。一実施態様では、R3は、4−(メトキシ)フェニル基、3−(ニトロ)フェニル基、4−(ニトロ)フェニル基、又は4−(クロロ)フェニル基から選択される。他の実施態様では、R4が、水素及びメチル基から選択される。
【0011】
他の実施態様では、前記化合物は下記式(Ib):
(式中、R5及びR6は、置換又は非置換のアルキル基、又は融合した置換又は非置換のシクロアルキル環基から選択される)の化合物である。一実施態様では、R5はエチル基である。一実施態様では、R6はエチル基である。他の一実施態様では、R5及びR6が、融合したtert-(ブチル)シクロヘキサン基である。
【0012】
代表的な実施態様では、前記化合物は、以下:
から選択される。
【0013】
また、本発明は、下記式(II):
(式中、R1 は独立して、置換又は非置換のフェニル基から選択され、R2 は独立して、水素又はアルキル基から選択され、R3 は独立して、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のヘテロ芳香族基、置換アミノ基、置換アシル機から選択される)の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物を提供する。一実施態様では、前記組成物は、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む。他の一実施態様では、前記組成物は、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない。
【0014】
一実施態様では、R1は、置換フェニル基、非置換ビフェニル基、3−,4−ジ(メチル)フェニル基、4−(メチル)フェニル基、3−,4−ジ(メトキシ)フェニル基、3−, 4−ジ(ヒドロキシ)フェニル基、4−(ブロモ)フェニル基、4−(プロペン)フェニル基、3−(メチル)−4−(メトキシ)フェニル基、又は3−(ニトロ)−4(メチル)フェニル基から選択される。一実施態様では、R2は水素又はメチル基から選択される。さたに他の一実施態様では、R3は、非置換フェニル基、3−(クロロ)フェニル基、4−(フルオロ)フェニル基、2−(メチル)フェニル基、2−(エトキシ)フェニル基、2−,5−ジ(メトキシ)−4−(クロロ)フェニル基、4−(アセタミド)フェニル基、非置換ピリミジン基、3−(メチル)ピリジン基、ジ(メチル)ブチリデンアミン基、アシル−チオフェン基、アシル(4−t−ブチル−フェニル)基、又はアシル−メチルチオ−イミダゾール−5−フェニル基から選択される。代表的な実施態様では、前記化合物は、以下:
から選択される。
【0015】
また、本発明は、下記式(III):
(式中、R1 は、水素、アルキル基、又はアルコキシ基から選択され、R2 は、水素、アルキル基、又はアルコキシ基から選択され、R3 はアルキル基であり、R4 は、ヒドロキシル基又はカルボニル基から選択され、R5 及びR6 は、融合したシクロアルキル基、水素、アルキル基、又は置換又は非置換のフェニル基から選択される)の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物を提供する。一実施態様では、前記組成物は、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む。他の一実施態様では、前記組成物は、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない、請求項19に記載の医薬組成物。
【0016】
一実施態様では、R1は、水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、又はエトキシ基から選択される。他の一実施態様では、R2は、水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、又はエトキシ基から選択される。さらに他の一実施態様では、R3は、メチル基又はエチル基から選択される。さらに一実施態様では、R4は、ヒドロキシ基又はカルボニル基から選択される。さらに他の一実施態様では、R5は、水素、メチル基、エチル基、非置換フェニル基、又は2−メチルチオ−1H−ベンゾイミザゾール基から選択される。さらに他の一実施態様では、R6は、水素、メチル基、エチル基、非置換フェニル基、又は2−メチルチオ−1H−ベンゾイミザゾール基から選択される。さらに他の一実施態様では、R5及びR6は、融合したシクロフェニル基である。代表的な実施態様では、前記化合物は、以下:
から選択される。
【0017】
また、本発明は、下記式(IV):
(式中、R1はアルキル基であり、R2は、置換又は非置換のフェニル基であり、又は置換又は非置換のフェニル基である)の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物を提供する。一実施態様では、前記組成物は、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む。他の一実施態様では、前記組成物は、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない。
【0018】
一実施態様では、R1はメチル基である。他の実施態様では、R2は、3−(ニトロ)フェニル基、2−メトキシフェニル、2−エトキシフェニル、1−フェニルエチル−l−オン基、又は3−クロロ−6−メトキシフェニル基から選択される。代表的な実施態様では、前記化合物は、以下:
から選択される。
【0019】
また、本発明は、下記式(V):
(式中、R1は、水素、又はアルキル基から選択され、R2は、水素、又はアルキル基から選択され、R3はアルキル基であり、R4は、水素、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン基から選択され、R5は、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基から選択される)の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物を提供する。一実施態様では、前記組成物は、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む。他の一実施態様では、前記組成物は、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない。
【0020】
一実施態様では、R1は、水素又はメチル基から選択される。他の実施態様では、R2は、水素又はメチル基から選択される。さらに他の一実施態様では、R3は、水素又はメチル基から選択される。さらに他の一実施態様では、R4は、水素、臭化物基、塩化物基、メトキシ基から選択される。さらに他の実施態様では、R5は、水素、臭化物基、塩化物基、メトキシ基から選択される。代表的な実施態様では、前記化合物は、以下:
から選択される。
【0021】
また、本発明は、変異型−CFTRに関連する病状を有する患者を治療する方法を提供し、前記方法は、本発明の化合物から選択される化合物の治療的有効量を患者に投与することを含む。或る実施態様では、前記病状は嚢胞性線維症である。或る実施態様では、前記患者は、治療の後、肺において粘膜又は細菌力価が減少し、咳又は喘鳴が減少し、膵機能不全が低下し、又は汗の電解質が減少する。或る実施態様では、前記患者は非−ヒト動物である。特に興味深い実施態様では、前記動物は哺乳動物である。或る実施態様では、変異型−CFTRはΔF508−CFTRである。
【0022】
また本発明は、変異型−CFTRタンパク質を産生する細胞のイオン透過性を向上させる方法を提供し、当該方法は、細胞を本発明の化合物の有効量と接触させることを含み、前記接触が前記細胞のCFTR−仲介イオン透過性を上昇させるのに有効である。或る実施態様では、前記細胞は、前記変異型−CFTRタンパク質をコードする組み換え発現カセットを含む。他の実施態様では、それは前記変異型−CFTRタンパク質をコードするゲノムを含む。更に他の実施態様では、前記変異型−CFTRはΔF508−CFTRである。
【0023】
また本発明は、変異型−CFTRに関連する病状を有する患者を治療する方法を提供し、前記方法は、本発明の化合物から選択される化合物の治療的有効量を患者に投与することを含む。或る実施態様では、前記病状は嚢胞性線維症である。或る実施態様では、前記患者は、治療の後、肺において粘膜又は細菌力価が減少し、咳又は喘鳴が減少し、膵機能不全が低下し、又は汗の電解質が減少する。或る実施態様では、前記患者は非−ヒト動物である。特に興味深い実施態様では、前記動物は哺乳動物である。或る実施態様では、変異型−CFTRはΔF508−CFTRである。
【0024】
また本発明は、変異型−CFTRタンパク質を産生する細胞のイオン透過性を向上させる方法を提供し、当該方法は、細胞を前記細胞のイオン透過性を上昇させるのに有効な量の化合物と接触させることを含み、前記化合物が本発明の化合物から選択される。或る実施態様では、前記細胞は、前記変異型−CFTRタンパク質をコードする組み換え発現カセットを含む。他の実施態様では、細胞は前記変異型−CFTRタンパク質をコードするゲノムを含む。更に他の実施態様では、イオン透過性はイオン輸送活性を向上させ、それは前記細胞の細胞質膜を解するイオンの輸送速度を向上させる。更に他の実施態様では、前記変異型−CFTRはΔF508−CFTRである。
【0025】
本発明のこれら及び他の目的は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0026】
本発明は、添付の図面を参照することによって更に完全に理解されるが、それらの図面は単なる例示を目的とするものである。
【0027】
本発明を記載する前に、本発明はここに記載される特定の実施例に限定されるものではなく、当然に、それ自体変化するものであることが理解されている。また、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定されるものであるため、ここで使用される用語法は、特定の実施例を記述することのみを目的とし、限定されることを意図するものではないことも理解される。
【0028】
値の範囲が示される場合、その範囲の上限と下限の間の各介在値は、他に文脈が明確に指示しない限り下限の単位の10分の1まで、特異的に開示されている。各全ての記述される値間のより小さな範囲、又は記述される範囲の介在値及び他の全ての記述又は記述される範囲における介在値は本発明に含まれる。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、非依存的に範囲に含まれるか又は除かれ、いずれか又は両方の限定がより小さな範囲に含まれるような各範囲は、本発明に含まれ、全ての特異的に除かれた記述される範囲における限定を対象とする。記述される範囲は限定の1又は両方を含む場合、限定に含まれるものいずれか又は両方を除外する範囲は本発明に含まれる。
【0029】
他に定義しない限り、ここで使用される全ての技術的及び化学的用語は本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じような意味を持つ。ここで記述されるものと類似又は等価な全ての方法及び材料を本発明の実施又は試験に用いることができるが、より好ましい方法及び材料をここに記載する。ここで言及される全ての刊行物は、該刊行物が関連するとして挙げられている方法及び/又は材料を開示し記述することに言及することによってここに取り込まれる。本開示内容は、取り込まれた刊行物の全ての開示内容を矛盾のある範囲で更新することが理解される。
【0030】
本明細書中及び添付の請求の範囲で使用されるように、文脈が明らかに別途指示しない限り、単数形の「a」、「an」、「the」には複数の対象物が含まれる。従って、例えば、「化合物(a compound)」に対する言及には、そのような化合物(群)が含まれ、「細胞」に対する言及には、1又は複数の細胞及び当業者に既知の等価物に対する言及が含まれる。
【0031】
ここで議論される公開は、本出願の出願時に先立つ開示に関し単に提供されるものである。本発明には、前の発明の効力によってそのような公開の日付を早めるために資格はないという許可として理解されるものはない。さらに、提供される公開日は、独立して確認される必要がある実際の公開日と異なるかもしれない。
【0032】
発明の詳細な説明
本発明は、特にCFTR中の変異が、CFTRの細胞内の間違ったプロセッシング(例えば、折り畳み、輸送、又は翻訳後修飾)と関連するような変異である、変異型の嚢胞性線維性膜貫通調節因子(CFTR)タンパク質を持つ対象を治療ことに関連する少なくとも1つの使用を見出す、組成物、医薬品、方法に関する。そのような変異型CFTRの例として、ΔF508CFTRを挙げることができる。理論に固執することなく、本発明の化合物及び方法は、嚢胞性線維症(CF)の治療に有用な変異型CFTRなどの細胞内における間違ったプロセッシングなどの「修復」を提供する。
【0033】
一般に、本発明の組成物及び医薬品には、アミノベンゾチアゾール含有化合物、アミノアリルチアゾール含有化合物、キナゾリニルアミノピリミヂン含有化合物、ビスアミノメチルビチアゾール含有化合物及びフェニルアミノキノリン含有化合物など、1又は複数のN含有複素環式芳香族化合物が含まれ、それらのアナログ又は誘導体、特に興味のあるものが含まれる。
【0034】
定義
「変異型嚢胞性膜貫通透過性調節因子」又は「変異型CFTR」は、例えば、野生型と比較した、CFTR遺伝子の欠失変異、挿入変異又は点(置換)変異の結果生じるタンパク質のことである。ここで用いられる「変異型嚢胞性膜貫通透過性調節因子」又は「変異型CFTR」は、機能的(例えば、野生型)CFTRと比較して機能障害を示すが、ここで、機能障害には、以下の1又は複数のものが含まれる:(i)異常なCFTRの生産(例えば、転写又は翻訳のレベルにおいて);(ii)異常な折り畳み及び/又は輸送;(iii)異常な透過制御;(iv)塩化物透過性の減少;(v)合成の減少;など。「変異型CFTR遺伝子」は、変異型CFTRをコードする遺伝子又はコード化配列である。本願の目的において、「ゲノム」と「遺伝子」、例えば、「変異型CFTRをコードするゲノム」と「変異型CFTRをコードする遺伝子」は交換可能に使用される。
【0035】
「ゲーティング欠陥変異型嚢胞性膜貫通透過性調節因子」又は「ゲーティング欠陥変異型CFTR」は、細胞表面に存在し、チャンネルと介したイオンのゲーティング(例えば、イオン輸送の制御)に欠陥を持つ変異型CFTRのことである。従って、ここで使用されるように、「ゲーティング欠陥変異型CFTR」には(i)異常な透過性の制御;及び又は(ii)塩化物透過性の減少に関連する機能障害が含まれる。
【0036】
「変異型CFTRタンパク質媒介状態」は、例えば、ΔF508−CFTRなどの変異型CFTRの存在によって生じるか又は関連する、例えば、野生型CFTRと比較したイオン輸送におけるΔF508−CFTRの減少した活性によって引き起こされる塩化物イオンの不透過性などの全ての状態、疾患又は疾病、あるいは、そのような状態、疾患又は疾病の症候のことを意味する。「変異型CFTRタンパク質媒介状態」には少なくとも1つのアリル上のΔF508CFTR変異の存在と関連する患者の状態が含まれる。従って、ΔF508−CFTR変異を両方のアリルに保持する対象、並びに、例えば、ΔF508−CFTRの1コピー及び異なる変異型CFTRの1コピーを持つ対象などの、2つの異なる変異型CFTRを保持する合成異型接合性の対象が含まれる。
【0037】
そのような状態、疾患、疾病又は兆候は、変異型-CFTR活性の特異的活性化、例えば、変異型−CFTRイオン輸送の活性化により治療可能である。ΔF508-CFTRは、膿疱性線維症(CF)の存在、及びその兆候を含む外疾患の記述に関係し、National Institute of Healthの世界的なウェブサイトncbi.nlm.nih.govのようにOnline Mendelian Inheritance of Man databaseの登録番号602421 (膿疱性線維症膜貫通透過性調節剤;CFTRと命名)、及登録番号219700(膿疱性線維症;CFと命名)において見出される。
【0038】
「F508-膿疱性線維症膜貫通透過性調節タンパク質」又は「ΔF508-CFTR」は、 DFTR遺伝子産物のアミノ酸位置508の残基が欠失した結果生成されるタンパク質である。
【0039】
本明細書で使用される「変異型-CFTR活性化剤」とは、 変異型−CFTRによるイオン輸送の、特に塩化物イオンの輸送についてのレベルを化合物が無い場合に比較して増加させる化合物である。
【0040】
本発明で使用される「ゲーティング欠陥変異型−CFTR活性化剤」とは、ゲーティング欠陥変異型−CFTRによるイオン輸送の、特に塩化物イオンの輸送についてのレベルを化合物が無い場合に比較して増加させる化合物である。
【0041】
本明細書で使用される「ΔF508-CFTR活性化剤」とは、ΔF508-CFTRによるイオン輸送の、特に塩化物イオンの輸送についてのレベルを化合物が無い場合に比較して増加させる化合物である。
【0042】
本明細書及び膿疱性線維症の分野で使用される「変異型CFTR増強剤」とは、変異型CFTR(例えば、ΔF508CFTR, G551D-CFTR, G1349D-CFTR,又はDl 152H-CFTR)によるイオン輸送の基底レベルを向上させる化合物であり、ここで、変異型CFTR(前記化合物が無い場合)は野生型に比較して異常に低いイオン輸送レベルを示す。
【0043】
本明細書及び膿疱性線維症の分野で使用される「変異型CFTR修復剤」とは、変異型CFTRによるイオン輸送のレベルを前記化合物が無い場合に比較して向上させる化合物であり、それは、原因となるCFTRポリペプチドの欠陥、例えば、翻訳後プロセシングに起因する欠陥(例えば、折り畳み、トラフィッキング、又は翻訳後修飾、例えば翻訳後グリコシル化)を修復することによる。
【0044】
本明細書における「組み合わせて」とは、例えば、第1の化合物が第2の化合物投与の全過程の間に投与される場合等を含む。
【0045】
「単離された化合物」とは、天然に存在する他の化合物類から実質的に分離された、又はそれらに対して豊富化されている化合物を意味する。
【0046】
「治療」又は「治療する」とは、(1)病態の少なくとも1つの兆候の抑止、(2)疾患の阻止、又は(3)疾患の緩和を含む。
【0047】
「治療的有効量」又は「有効量」とは、哺乳動物又は疾患治療の対象に投与したとき、その疾患治療に有効な化合物の量を意味する。
【0048】
「対象」及び「患者」なる用語は、本明細書に記載する投薬方法、組成物、及び治療を必要としうる任意の哺乳類又は非哺乳類種のメンバーを意味する。
【0049】
「哺乳動物」とは、哺乳類のメンバーを意味し、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、齧歯類等、霊長類、特にヒトを含む。
【0050】
本明細書における「単位投与形態」は、ヒト及び動物患者ての投与単位として適当な物理的に不連続が単位を指す。
【0051】
「生理学的状態」とは、生きている細胞に適用可能な状態、例えば、生きている細胞に適用可能な温度、pH、塩度などの水性状態を意味する。
【0052】
「製薬上許容される賦形剤」、「製薬上許容される希釈剤」、「製薬上許容される担体」、及び「製薬上許容されるアジュバント」は、一般的に安全で、非毒性であり、生物学的に望まれないものではない医薬組成物の製造に有用な賦形剤、希釈剤、担体又はアジュバントを意味する。
【0053】
本明細書で使用される「医薬組成物」は、哺乳動物、特にヒトなどの患者に投与するのに適した組成物を含む。
【0054】
本明細書で使用される本発明の化合物の「製薬上許容される誘導体」は、塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、アセタール、ケタール、オルトエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和、水和又はプロドラッグを含む。
【0055】
化合物の「製薬上許容される塩」とは、製薬上許容され、親化合物の所望の薬理学的活性を有している塩を意味する。
【0056】
本発明の化合物の「製薬上許容されるエステル」は、製薬上許容され、親化合物の所望の薬理学的活性を有しているエステルを意味する。
【0057】
本発明の化合物の「製薬上許容されるエノールエーテル」は、製薬上許容され、親化合物の所望の薬理学的活性を有しているエノールエーテルを意味する。
【0058】
本発明の化合物の「製薬上許容されるエノールエステル」は、製薬上許容され、親化合物の所望の薬理学的活性を有しているエノールエステルを意味する。
【0059】
本発明の化合物の「製薬上許容される溶媒和又は水和」は、製薬上許容され、親化合物の所望の薬理学的活性を有している溶媒和又は水和複合体を意味する。
【0060】
「プロドラッグ」は、それらプロドラッグが哺乳動物患者に投与されたときに、インビボで式(I)の親化合物を放出する任意の化合物を意味する。
【0061】
本明細書で使用される「有機基」及び「有機ラジカル」は、任意の炭素含有基であり、脂肪族基、環状基、芳香族基、それらの機能化誘導体及びそれらの組み合わせに分類される炭化水素基を含む。
【0062】
「有機基」は、機能化されていてもよく、保護されていてもいなくてもよいカルボキシル、アミノ、ヒドロキシル等の有機基に付随する付加的機能を有してもよい。
【0063】
「ハロ」及び「ハロゲン」とは、フッ化物、塩化物、臭化物、又はヨウ化物基を意味する。
【0064】
「ハロアルキル」とは、1又は複数のハロゲン原子で置換された、上記のアルキル基を指す。ハロゲン原子は同一でも異なってもよい。
【0065】
「シクロアルキル」は、モノ、ジ又はトリサイクリックの飽和環を意味し、完全に飽和していても一部が不飽和であってもよい。
【0066】
「(シクロアルキル)アルキル」とは、上記のシクロアルキル環の一つで置換された上記のアルキル基を意味する。
【0067】
「置換フェニル」種は、1又は複数の部分で置換されたフェニル基である。
【0068】
「置換フェニル」の例は、モノ又はジ(ハロ)フェイル基、例えば、2, 3 又は4-クロロフェニル, 2,6-ジクロロフェニル, 2,5-ジクロロフェニル, 3,4-ジクロロフェニル, 2, 3 又は4-ブロモフェニル, 3,4-ジブロモフェニル,等を含む。
【0069】
「置換(フェニル)アルキル」は、上記のアルキル基の一つに結合した上記の置換フェニル基の一つを意味する。
【0070】
上記したように「芳香族」又は「亜リール」とは、6員炭素環を意味する。
【0071】
さらに、上記の任意に置換された5員又は6員環は、任意に融合して芳香族5員又は6員環系を形成してもよい。
【0072】
以下の環系は、「ヘテロアリール」と記されるヘテロ環基(置換有無によらず)の例である:チエニル、フリル、ピロリル、ピロリイニル、イミダゾリル、イソキサゾリル、トリアゾイル、チアジアゾイル、オキサジアゾイル、テトラゾリル、チアトリアゾリル、オキサトリアゾリル、チアジアジニル、テトラゾロ、l,5-[b]ピリダジニル及びプリニル、並びに、ベンゾ-flised誘導体、例えば、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル及びインドリル。
【0073】
上記の任意の置換ヘテロアリール環についての置換基は、1〜3のハロ、トリア路メチル、アミノ、保護アミノ、アミノ塩、モノ置換アミノ、ジ置換アミノ、等である。
【0074】
「(モノ置換)アミノ」とは、一つの置換基を有するアミノ基である。
【0075】
「ヘテロアリール(アルキル)」は、任意の位置において上記のヘテロアリール基で置換された上記のアルキル基である。
【0076】
「任意の」又は「任意に」とは、それに続いて記載する事象、環境、特徴又は要素が、必須ではないが、起こり得ることを意味し、記載が、それらの事象、環境、特徴又は要素が起こる場合と起こらない場合を含んでいることを意味する。
【0077】
分子式は同じであるが、それらの原子の結合の性質又は配列、あるいは空間での原子の並びが相違する化合物を「異性体」と呼ぶ。
【0078】
本発明の化合物は、1又は複数の対象中心を有する場合があり、従って、それらの化合物は各々(R)又は(S)の立体異性体又はそれらの混合物を生成できる。
【0079】
概観
本発明は、変異型膿疱性線維症膜貫通気管調節タンパク質(変異型−CFTR)、例えばΔF508-CFTRにおけるイオン輸送を増大させる化合物の発見に基づくものである。そのような化合物は、変異型−CFTR仲介疾患及び病態、例えば膿疱性線維症(CF)の治療方法において用途が見出される。また、それらの化合物は、CFTRイオン輸送、特にΔF508-CFTRのイオン輸送の研究において用途が見出される。
【0080】
一実施態様では、本発明は、変異型−膿疱性線維症膜貫通気管調節タンパク質(例えばΔF508 CFTR)の細胞性プロセシング(例えば、折り畳み、トラフィッキング、又は翻訳後修飾)を修復する高親和性の小分子化合物を提供する。本発明で考慮される化合物は、以下の構造的クラスを含む:(1)アミノベンゾチアゾール含有化合物;(2)アミノアリールチアゾール含有化合物;(3)キナゾリニルアミノピリミジノン含有化合物(4)ビスアミノメチルビチアゾール含有化合物;及び(5)フェニルアミノキノリン含有化合物。
【0081】
対象化合物の発見は、変異型−CFTRの細胞性プロセシング(例えば、折り畳み又はトラフィッキング)を修復する化合物を同定するために設計されたアッセイを用いて多数の候補化合物をスクリーニングしたことに基づく。150,000の化学的に多様な化合物類をスクリーニングすることにより、数個の化合物及び類似物が、有効な変異型−CFTR増強剤として同定された。対象化合物は、変異型−CFTRの活性を向上させる機知の化合物類と化学的及び構造的に無関係である。
【0082】
ここで、本発明の組成物及び方法を更に詳細に記載する。
【0083】
組成物
2-アミノベンゾチアゾール含有化合物類
或る実施態様では、本発明の修復剤化合物は、本明細書に記載される2-アミノベンゼンチアゾール含有化合物類であり、それらは置換されたアミノベンゼンチアゾール基を有する。特別な実施態様では、対象化合物は一般に下記式(I):
(式中、R1は、独立して、水素又はR2に融合したC(=O又は=S)NH基から選択され、R2は独立して、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、又は置換又は非置の芳香環、及び置換又は非置換のヘテロ芳香環に対するN=CH 又は N−アルキル結合から選択される)
によって表される化合物、又はその製薬上許容される誘導体であり、個々の立体異性体又はその混合物としてである。R1 及びR2 の置換の例を以下の詳細に記載する。
【0084】
或る実施態様では、2-アミノベンゾチアゾール含有化合物は、一般に式(I)で表される化合物で、R1が水素である化合物である。そのような化合物は、一般に下記式(Ia):
(式中、R3は独立して、置換又は非置換のフェニル基から選択され、R4はアルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む)
で表される化合物、又はその製薬上許容される誘導体であり、個々の立体異性体又はその混合物としてである。R3 及びR4 の置換の例を以下の詳細に記載する。
【0085】
幾つかの実施態様では、R3 は独立して、非置換フェニル基、非置換ビフェニル記、又は置換フェニル基、例えばモノ-又はジ-(アルキル)フェニル、モノ- 又はジ-(アルコキシ)フェニル、モノ-又はジ-(ヒドロキシ)フェニル、モノ- 又はジ-(ハロ)フェニル、モノ-又はジ-(アルケニル)フェニル、モノ-又はジ-(ニトロ)フェニル、モノ(アルキル)-モノ(アルコキシ)フェニル、ジ(アルコキシ)-モノ(ハロ)フェニル、及びモノ(ニトロ)-モノ(アルキル)フェニルから選択され; R4 は独立して、水素及び低級アルキル基、例えばメチル基及びエチル基から選択される。
【0086】
代表的な実施態様では、R3 は独立して、モノ-(アルコキシ)フェニル基、例えば4-(メトキシ)フェニル、モノ-(ニトロ)フェニル基、例えば3-(ニトロ)フェニル基又は4-(ニトロ)フェニル基、又はモノ(ハロ)フェニル基、例えば4-(クロロ)フェニル基から選択され、R4 は独立して、水素及び低級アルキル基、例えばメチル及びエチル基から選択される。
【0087】
或る実施態様では、2−アミノベンゾチアゾール含有化合物は一般にしき(I)で表され、R1 及びR2 は、R5 基及びR6 基を有する融合チオン置換トリアゾリン環である。そのような化合物は、一般に下記式(Ib):
(式中、R5及びR6は、置換又は非置換のアルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、又は置換又は非置換のシクロアルキル環基から選択される)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体であり、個々の立体異性体又はその混合物としてである。R5 及びR6 の置換の例を以下の詳細に記載する。。
【0088】
幾つかの実施態様では、R5 は低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基及びエチル基であり、R6 は低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基及びエチル基である。他の実施態様では、R5 及びR6 は、置換又は非置換のシクロアルキル基、例えば(アルキル)シクロアルキル基、例えばtert(ブチル)シクロヘキサン基である。
【0089】
本発明の幾つかの実施態様では、2-アミノベンゾチアゾール含有化合物は、以下の化学式のものを含む。
【0090】
2-アミノ-4-アリールチアゾール含有化合物
或る実施態様では、本発明の修復剤化合物は、2-アミノ-4-アリールチアゾール含有化合物であり、それらはアミノ置換アリールチアゾール基を有する。特別な実施態様では、対象化合物は一般に
(式中、R1は独立して、置換又は非置換のフェニル基から選択され、R2は独立して、水素又はアルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含むから選択され、R3 は独立して、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のヘテロ芳香族基、置換アミノ基、置換ケト基から選択される)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体であり、個々の立体異性体又はその混合物としてである。R1 及びR2 の置換の例を以下の詳細に記載する。
【0091】
或る実施態様では、R1 は独立して、非置換フェニル基、非置換ビフェニル基、又は置換フェニル基、例えばモノ、ジ(アルキル)フェニル、モノ又はジ(アルコキシ)フェニル、モノ又はジ(ヒドロキシ)フェニル、モノ又はジ(ハロ)フェニル、モノ又はジ(アルケニル)フェニル、モノ又はジ(ニトロ)フェニル、モノ(アルキル)-モノ(アルコキシ)フェニル、ジ(アルコキシ)-モノ(ハロ)フェニル、及びモノ(ニトロ)-モノ(アルコキシ)フェニルから選択され、R2 は独立して、水素及び低級アルキル基(例えばC1-C4)、たとえなメチル基及びエチル基から選択され、R3 は独立して、非置換フェニル基、置換フェニル基、例えばモノ又はジ(ハロ)フェニル、モノ又はジ(アルキル)フェニル、モノ又はジ(アルコキシ)フェニル、モノ(アミノ)フェニル、又はもの又はジ(アルコキシ)-モノ又はジ(ハロ)フェニル、非置換ヘテロ芳香族基、例えば、ピリミジン、置換ヘテロ芳香族基、例えば、モノ又はジ(アルキル)ピリミジン、置換アミノ基、例えばモノ(アルケニル)アミノ、及びアシル基、例えばアシルチオフェン基、アシル非置換フェニル基、置換フェニル基、例えばモノ又はジ(ハロ)フェニル、モノ又はジ(アルキル)フェニル、モノ又はジ(アルコキシ)フェニル、モノ(アミド)フェニル,又はモノ又はジ(アルコキシ)-モノ又はジ-(ハロ)フェニル基、又はアシルアルキルチオ-イミダゾール-(5-非置換フェニル基、置換フェニル基、例えばモノ又はジ (ハロ)フェニル、モノ又はジ(アルキル)フェニル、モノ又はジ(アルコキシ)フェニル、モノ(アミド)フェニル、又はモノ又はジ(アルコキシ)-モノ又はジ(ハロ)フェニル基、又はそれらの製薬上許容される誘導体を、各々の立体異性体又はそれらの混合物として、から選択される。
【0092】
代表的な実施態様では、R1 は独立して、非置換フェニル基、非置換ビフェニル基、ジ(メチル)フェニル基、例えば、3-, 4- ジ(メチル)フェニル基、モノ(メチル)フェニル基、例えば4-(メチル)フェニル基、ジ(メトキシ)フェニル基、例えば3-, 4-ジ(メトキシ)フェニル基、ジ(ヒドロキシ)フェニル基、例えば3-, 4-ジ(ヒドロキシ)フェニル基、モノ(ブロモ)フェニル基、例えば4-(ブロモ)pフェニル基、モノ(プロペン)フェニル基、例えば4-(プロペン)フェニル基、モノ(メチル)-モノ(メトキシ)フェニル基、例えば3-(メチル)-4-(メトキシ)フェニル基、及びもの(ニトロ)-モノ(メチル)フェニル基、例えば3-(ニトロ)-4(メチル)フェニル基から選択され、R2 は独立して、水素及びメチル基から選択される。
【0093】
代表的な実施態様では、R3 は独立して、非置換フェニル基、モノ(クロロ)フェニル基、例えば3-(クロロ)フェニル基、モノ(フルオロ)フェニル基、例えば4-(フルオロ)フェニル基、モノ(メチル)フェニル基、例えば2-(メチル)フェニル基、モノ(エトキシ)フェニル基、例えば2-(エトキシ)フェニル基、ジ(メトキシ)-モノ(クロロ)フェニル基、例えば2-, 5-ジ(メトキシ)-4-(クロロ)フェニル基、モノ(アセタミド)フェニル基、例えば4-(アセタミド)フェニル基、非置換ピリミジン基、モノ(メチル)ピリミジン基、例えば3-(メチル)ピリミジン基、ジ(メチル)ブチリデンアミン基、アシルチオフェン基、アシル(4-t-ブチル-フェニル)基、又はアシルメチルチオ-イミダゾール-5-フェニル基から選択される。
【0094】
本発明の幾つかの実施態様では、2-アミノ-4-アリールチアゾール含有化合物は、以下の式で表されるものであってよい。
【0095】
2-キナゾリニル-4-アミノピリミジノン含有化合物類
或る実施態様では、本発明の修復剤は、本明細書に記載される2-キナゾリニル-4-アミノピリミジノン含有化合物類であり、それらは置換又は非置換のキナゾリン基及び置換又は非置換のピリミジン基を有する。特定の実施態様では、対象化合物は、一般に下記式(III):
(式中、R1及びR2は独立して、水素、アルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、又はアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基から選択され、R3はアルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、であり、R4は独立して、ヒドロキシル基又はカルボニル基から選択され、R5及びR6は独立して、融合したシクロアルキル基、水素、アルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、又は置換又は非置換のフェニル基、又は置換又は非置換の(ヘテロシクロアルキル)アルキル基から選択される)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体であり、個々の立体異性体又はその混合物としてである。R1 、R2 、R3 、R4 、R5 及びR6 の置換の例を以下の詳細に記載する。
【0096】
或る実施態様では、R1 は独立して、水素、低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基又はエチル基、又はアルコキシ基、例えばメトキシ基又はエトキシ基から選択され、R2 は独立して、水素、低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基又はエチル基、又はアルコキシ基、例えばメトキシ基又はエトキシ基から選択され、R3 は独立して、低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基又はエチル基から選択され、R4 は独立して、ヒドロキシル基、又はカルボニル基から選択され、R5 及びR6 は独立して、融合シクロアルキル基、例えばシクロペニル基、水素、低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基又はエチル基、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換の(ヘテロシクロアルキル)アルキル基、例えば2-メチルチオ-lH-ベンゾイミダゾール基から選択される。
【0097】
本発明の幾つかの実施態様では、2-キナゾリニル-4-アミノピリミジノン含有化合物は、下記式で表される化合物であってよい。
【0098】
ビスアミノメチルビチアゾール含有化合物類
或る実施態様では、本発明の修復剤は、本明細書に記載されるビスアミノメチルビチアゾール含有化合物類であり、それらは置換されたビチアゾール基及び非置換のヘテロ芳香族基を有する。特定の実施態様において、対象化合物は、一般に下記式(IV):
(式中、R1はアルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、であり、R2は、置換又は非置換のフェニル基である)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体であり、個々の立体異性体又はその混合物としてである。R1 及びR2 の置換の例を以下の詳細に記載する。
【0099】
或る実施態様では、R1 は低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基であり、R2 は、モノ又はジ置換フェニル基であって、アルコキシ機、例えばメトキシ基又はエトキシ基、ハロゲン、例えば塩化物、臭化物、ニトロ基、又は置換又は非置換の飽和直鎖状 炭化水素基又は鎖(例えばC1 to C8)ケト基、例えばエタノン基、プロパノン基、ブタノン基又はペンタオン基を有する基である。代表的な実施態様では、R1 はメチル基であり、R2 は独立して、モノ又はジ置換フェニル基、例えばモノ(ニトロ)フェニル基、モノ(アルコキシ)フェニル基、例えば2-, 3-, 4-, 又は5-メトキシフェニル又は2-, 3-, 4-, 又は5-エトキシフェニル、モノ(ケト)フェニル、例えば1-フェニルプロパン-1オン、又は1-フェニルエチル-1-オン、又はジ置換フェニル基、例えば2-,3-,4-, 又は5-(ハロ)- 2-,3-,4-, 又は5(アルコキシ)フェニル、例えば3-クロロ-6-メトキシフェニルから選択される。
【0100】
本発明の幾つかの実施態様では、ビスアミノメチルビチアゾール含有化合物は下記式で表されるものであってよい。
【0101】
2-(N-フェニルアミノ)キノリン含有化合物類
或る実施態様では、本発明の修復剤は、本明細書に記載される2-(N-フェニルアミノ)キノリン含有化合物類であり、それらは、置換又は非置換のフェニル基及び置換キノリン基を有する。特定の実施態様では、対象化合物は、一般に下記式(V):
(式中、R1は、水素、又はアルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、から選択され、R2は独立して、水素、又はアルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、から選択され、R3はアルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、であり、R4は独立して、水素、アルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、アルコキシ基、例えばメトキシ基又はエトキシ基、又はハロゲン、例えば臭化物、塩化物、フッ化物から選択され、R5は独立して、水素、アルキル基、例えば、置換又は非置換の、飽和直鎖状又は分岐状炭化水素基又は鎖(例えば C1 から C8)であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、へプチル、n-オクチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルを含む、アルコキシ基、例えばメトキシ基又はエトキシ基、又はハロゲン、例えば臭化物、塩化物、フッ化物から選択される)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体であり、個々の立体異性体又はその混合物としてである。R1, R2, R3, R4, 及びR5 の置換については以下に詳細に説明する。
【0102】
或る実施態様では、R1 は独立して、水素又は低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基又はエチル基から選択され、R2 は独立して、低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基又はエチル基から選択され、R3 は独立して、水素又は低級アルキル基(例えばC1-C4)、例えばメチル基から選択され、R4 は独立して、水素、ハロゲン、例えば臭化物又は塩化物、又はアルコキシ基、例えばメトキシ基又はエトキシ基から選択され、R5 は独立して、水素、ハロゲン、例えば臭化物又は塩化物、又はアルコキシ基、例えばメトキシ基又はエトキシ基から選択される。
【0103】
本発明の幾つかの実施態様では、2-(N-フェニルアミノ)キノリン含有化合物は、下記式で表されるものであってよい。
【0104】
類似物及び誘導体化合物
また本発明は、上記の対象化合物の類似物及び誘導体も提供する。「類似物」及び「誘導体」とは、本発明の対象化合物と構造的に類似する、あるいは同様な機能又は活性を有する分子を意味する。そのような対象化合物の類似物及び誘導体は、変異型CFTR、例えばΔF605−CFTRの折り畳み又は細胞性プロセシングの修復における有効性についてスクリーニングすることができる。
【0105】
幾つかの実施態様において、変異型CFTR、例えばΔF605−CFTRへの結合又は折り畳み又は細胞性プロセシングの修復における活性についての3次元ライブラリをスクリーニングするためにインシリコのモデリングを使用することができる。
【0106】
発明の化合物の投与形態
製薬投与形態において、本発明の対象化合物は、それらの製薬上許容される塩の形態で投与してもよく、あるいは単独で又は適当なアソシエーションで用いても、他の製薬上活性な化合物と組み合わせて用いてもよい。以下の方法及び賦形剤は単なる例示であり、限定を意味するものではない。
【0107】
薬剤は、全身又は局所経路をむ従来の薬物のデリバリーに適したあらゆる利用可能な従来の方法及び経路を用いてホストに投与できる。
【0108】
投与のための従来の製薬上許容される経路は、鼻内、肺内、筋肉内、気管内、腫瘍内、皮下、皮内、局所適用、静脈内、経腸、経鼻、経口及び他の腸管外投与経路を含む。
【0109】
特に興味深い一実施態様では、本発明の化合物は、エアロゾル製剤として、気管内吸入される。
【0110】
治療用製品を気管内デリバリーするために設計された機械的デバイスは、限定されないが、噴霧器、定量吸入器、及び粉末吸入器を含み、全て当業者に馴染み深いものである。
【0111】
定量吸入器デバイスで使用する製剤は、一般に微細に粉砕した粉末を含む。この粉末は、液状複合製剤を凍結乾燥し、次いで製粉することにより製造でき、ヒト血清アルブミン(HSA)を安定化剤として含みうる。
【0112】
適当なサイズの粒子を、次いで界面活性剤の助けをかりて推進剤中に分散させる。推進剤は、この目的のために従来から採用されている材料でよく、例えば、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、又はトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、及び1,1,1,2-テトラフルオロエタンを含む炭化水素、又はこれらの組み合わせである。
【0113】
粉末吸入器のための製剤は微細に粉砕された乾燥粉末を含み、それは複合体を含有し、膨張性薬剤、例えばラクトース、ソルビトール、スクロース、又はマンイトールを、粉末が柄バイスから離間するのを促進する量、例えば製剤重量の50%から90%含んでもよい
【0114】
経口用製剤では、対象化合物は単独で、又は錠剤、粉末、顆粒又はカプセルを製造するのに適当な添加剤と共に用いられ、従来の添加剤の例は、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ又はポテトスターチであり、バインダーとしては、例えば結晶性セルロース、セルロール誘導体、アカシア、コーンスターチ又はゼラチンであり、分解剤としては、例えばコンスターチ、ポテトスターチ、オアカルボキシメチルセルロールナトリウムであり、潤滑剤としては、例えば、樽区又はステアリン酸マグネシウムであり、希釈剤、緩衝剤、加湿剤、防腐剤、芳香剤である。
【0115】
吸入投与以外の腸管外経路は、限定する必要はないが、局所、経皮、皮下、筋肉内、眼窩内、神経管内、脊髄内、胸骨内、及び静脈内、例えば、腸管を介する以外の他の任意の投与経路を含む。
【0116】
皮膚又は粘膜を介する薬剤の投与方法は、限定する必要は無いが、適当な製薬製剤の局所適用、経皮輸送、注射及び表皮投与を含む。
【0117】
本発明の対象化合物は、それらを水性又は非水性溶媒、例えば、植物油又は他の類似油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸エステル又はプロピレングリコールなど、。に溶解、懸濁、又は乳化させることにより注射用製剤に調製することができ、必要ならば、従来の添加剤、例えば可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤及び防腐剤を含める。
【0118】
薬剤は、経腸投与によって患者にデリバーすることもできる。経腸投与経路は、限定されないが、経口及び直腸(たとえば座薬を用いて)デリバリーを含む。
【0119】
さらに、対象化合物は、種々の基剤、例えば乳化剤基剤又は水溶性基剤と混合することによって、座薬を作製することができる。本発明の化合物は、座薬を介して直腸に投与することができる。
【0120】
治療される患者及び病状及び投与経路に応じて、対象化合物は、例えば体重1kg当たり、1日に0.1 μg to 10 mgの投与量で投与されうる。
【0121】
典型的な投与は、静脈内投与に適した溶液、1日に2〜6回陥る錠剤、又は活性成分を適度に高い含有量で含む1日に1回用いられる時間放出カプセル又は錠剤などである。
【0122】
当業者であれば、投与量レベルが、特定の化合物、兆候の重篤さ及び患者の副作用に対する感受性によって変化しうることを容易に理解するであろう。与えられた化合物について好ましい投与量は、種々の手段によって当業者により容易に決定される。
【0123】
用いられる投与量は、達成されるゴールによって変化するが、好ましい投与量範囲は、対象動物において兆候を抑制するために、約1 μg から約1,000 μg 又は約10,000 μg の対象化合物である。
【0124】
経口又は直腸投与のための単位投与形態、例えばシロップ、エリキシル剤、及び懸濁物は、各投与単位が、例えば、茶匙、大さじ、錠剤又は座薬が所定量の化合物(1又は複数の本発明の化合物を含む)を含有するように与えられる。
【0125】
対象の使用方法では、対象化合物は、他の変異型CFTR活性化剤又は変異型CFTR増強剤を含む他の製薬活性剤と組み合わせて調製される。
【0126】
他のCFTR活性化剤の例は、限定されないが、細胞内cAMPレベルのエンハンサー、例えば、限定されないが、フォルスコリン、ロリプラム、8-ブロモ-cAMP、テオフィリン、パパベリン、cAMP及びその塩、類似物又は誘導体を含む。
【0127】
上記の化合物は、他のCF治療と組み合わせてもよく、経口コルチコステロイド、イブプロフェン、リボバリン又は抗生物質、例えばジクロキサシリン、セファロスポリン、セファレキシン、エリスロマイシン、アモキシシリン−クレブラネート、アmピシリン、テトラサイクリン、トリメトプリン−スルファメトキサゾール、クロランフェニコール、シプロフロキサシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、セファロスポリン、モノバクタムなどを含む。
【0128】
本発明の化合物との組み合わせ治療で用いるための本明細書に記載した化合物は、化合物が投与されるのと同じ経路(例えば、肺内、経口、経腸など)によって投与してよい
【0129】
対象化合物の単位投与量を持つキットが提供され、通常は経口又は注射可能の投与用である。そのようなキットでは、単位投与量を含む容器に加えて、目的とする生理学的状態の治療における薬剤の使用及び付随する効果を記載した情報パッケージも具備する。好ましい化合物及び単位投与量は、本明細書に記載した。
【0130】
方法
変異型CFTR細胞の塩化物イオン透過性を向上させる方法
本発明は、変異型CFTRタンパク質を生成する細胞の塩化物イオン透過性を向上させる方法を提供し、折り畳み又はプロセシング欠陥範囲型CFTRを持つ細胞、特にΔF508-CFTR を持つ細胞が特に対象となる。
【0131】
多くの実施態様において、細胞変異型CFTRタンパク質は、細胞の細胞質膜上に存在する。細胞質膜上に存在する変異型CFTRタンパク質を検出する方法は当該分野でよく知られ、限定されないが、例えば、CFTRタンパク質に結合する分子を蛍光、化学的又は生物学的タグでラベルすることを含む。
【0132】
多くの実施態様において、細胞は向上した塩化物イオン透過性を持ち、細胞を本発明の化合物に接触させることは、特にへに型CFTR活性化剤又は増強剤と組み合わせた場合、細胞の細胞質膜を介する塩化物イオン透過性を向上させる。細胞を本発明の化合物に接触させることは、通常は変異型CFTRタンパク質の活性を向上させ、イオン透過性を向上させる。
【0133】
殆どの実施態様では、変異型CFTRのイオン透過活性、又は細胞のイオン透過性は、約10%まで、約20%まで、約50%まで、約100%まで、約150%まで、約200%まで、約300%まで、約400%まで、約500%まで、約800%まで、又は約1000%又はそれ以上向上させる。
【0134】
変異型CFTRの活性及び/又はイオン透過性は、従来の方法を用いて測定でき。それは、分子マーカー、例えばハロゲン化物感受性GFP又は他の分子マーカー(例えば、Galietta et al., (2001) FEBS Lett. 499, 220-224)、パッチクランプアッセイ、及び短絡回路アッセイである。
【0135】
好ましい細胞は、内因性又は導入された変異型CFTR遺伝子を持つような細胞を含む。好ましい細胞は、変異型CFTRの発現の発現カセットを持つ構築物を収穫する哺乳動物細胞系(例えば、COS, CHO, BHK, 293, 3T3 cells など) を含む。
【0136】
膿疱性線維症の治療方法
本発明は、変異型CFTRに関連する病状、例えば膿疱性線維症を有する患者を治療する方法も提供する。一般に、当該方法は、本発明の化合物の変異型CFTRタンパク質を活性化してイオン透過性を向上させるのに有効な量を患者に投与することを含み、それにより病状を治療する。
【0137】
本明細書に記載した化合物は、変異型CFTR仲介状態の治療に有効であり、例えば、状態、疾患又は疾病又は兆候であって、野生型CFTRに比較した場合の変異体CFTRの活性及び/又は存在により生ずる状態、疾患又は疾病であり、例えば、イオン透過性における変異型CFTRの活性である。
【0138】
膿疱性線維症は、幼児、小児及び若年者に多く、外分泌腺の機能不全が広がり、慢性の気管疾患(気管における粘液過剰生成による)、膵臓不全、汗の電解質レベル異常、及び希に胆汁性肝硬変の兆候に特徴がある。また、疾患に付随して、肺における最近に対する免疫防御の不全がある。
【0139】
病理的には、膵臓は好酸球性の結石による膵管の閉塞を示し、続いて膵臓酵素の不全を起こし、結果的に脂肪便症となって腸の吸収不全を生じる。
【0140】
殆ど全ての外分泌腺は、様々な寄与及び重篤度で膿疱性線維症の影響を受ける。
【0141】
肺の兆候を示す膿疱性線維症患者の50%は、通常は再発性又は慢性的な肺感染に伴い慢性的な咳及び喘鳴を示す。、
【0142】
膵臓不全は、CF患者の85から90%で臨床的に発症し、通常は人生の早期に存在し、進行的である。
【0143】
暑い天候又は熱による過剰な汗は、低張脱水症状及び循環不全の症状を導きうる。乾燥気候において、幼児は慢性的な代謝性アルカローシスを生じうる。皮膚の塩結晶形成及び塩味はCFであることを強く示唆している。
【0144】
インシュリン依存性糖尿病は、CFを有する成人患者の10%で発症し、水痘及び門脈圧亢進症を伴う多房性胆汁性肝硬変が、青年及び成人の4から5%で発症する。
【0145】
上記のCFの任意の兆候は、本発明の化合物を用いて治療でき、それらの化合物を第二の変異型CFTR活性化剤又は増強剤と組み合わせるのが特に興味深い。
【0146】
上記の方法は、ヒト及び動物におけるCF及びその兆候の治療に使用できる。CFについての幾つかの動物モデルが当該分野で知られている。
【0147】
これらの動物の多くは、ヒトCFの兆候を示す。特に、これらの動物の多くは、ヒトCF組織で示されるのに類似した気道及び腸上皮のイオン透過性の測定可能な欠陥及び細菌感染の感受性を示す。
【0148】
対象方法を用いて治療するのに適した動物は、変異型CFTR関連状態を持つ任意の動物を含み、特に、哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類(例えばサル、チンパンジー、ゴリラなど)、齧歯類(例えばラット、マウス、アレチネズミ、ハムスター、フェレットなど)、ウサギ、ブタ(例えばピッグ、ミニチュアピッグ)、ウマ、イヌ、ネコ、等を含む。
【0149】
それらの動物は、対象化合物の活性及び有効性を検定するために試験してもよい。肺機能の向上は、例えば、治療前及び治療中に、患者の強制肺活量(FVC)、一酸化炭素核酸能力(DLco)及び/又は休憩時のpθ2 >55 mmHg をモニターすることにより測定できる。
【0150】
治療に適した対象
本発明の方法による治療に適する対象には、変異型CFTRタンパク質媒介状態、疾患又は疾病、又は通常は変異型CFTRの2つのアリルである、変異型CFTRの存在によって生じ、又はそれに関連する、そのような状態、疾患又は疾病の症候を呈している個体が含まれる。さらに、本発明による治療に適する対象には、嚢胞性線維症(CF)の個体が含まれる。多くの実施例の中で特に興味深いのは、CFのヒトの治療である。
【0151】
変異型CFTRタンパク質媒介状態の症候には、胎便性イレウス、胆道の閉塞及び狭窄を含む肝臓疾患、膵臓不全、慢性緑膿菌完成及び他の肺の感染症を含む肺疾患、異常な輸精管発達又は異常な頸管粘液に関連する不妊症、及びアデノカルチノーマを含むカルチノーマが含まれる。
【0152】
本発明の化合物は、ΔF508−CFTRなどの変異型CFTRによって媒介されるイオン輸送の減少レベルを助長することによって、変異型CFTRのイオン輸送能に影響を与える。このように、本発明の化合物は、原形質膜に発現し、折り畳み又は細胞内でのプロセッシングにおける欠陥(即ち、該変異型CFTRは折り畳み又は細胞内プロセッシングの欠陥型である)に起因する塩化物透過能力の減少を示す変異型CFTRを生じる、CFTR遺伝子の変異を持つ一群のCF患者を治療する上で特別な臨床的有用性を有する。このように、本発明の化合物はΔF508−CFTRなどの折り畳み又は細胞内プロセッシングの変異型CFTRを持つCF甘受亜の治療において臨床的有用性を有する。さらに、本発明の化合物は、ΔF508−CFTR、G551D−CFTR、G1349D−CFTR又はD1152H−CFTRなどのゲーティングに欠陥を持つ変異型CFTRを活性化又は増強する化合物と併せて用いる場合にも、CF患者の治療上臨床的有用性を有する。
【0153】
CFと関連するCFTR変異は、当該技術分野において周知である。これらの変異はCFTRタンパク質に関する5つの一般的なカテゴリーに分類される。これらのCFTR機能障害のクラスには、CFTRの生産における制限(例えば、転写及び/又は翻訳)(クラスI)、異常な折り畳み及び/又は輸送(クラスII)、透過の異常制御(クラスIII)、塩化物透過の減少(クラスIV)、及び合成の減少(クラスV)が含まれる。機能的CFTRの欠失に起因して、クラスI、II及びIII変異は、典型的には、非常に低いレベルの機能的CFTR発現を示すクラスIV又はV変異型よりも、CFにおけるより重篤な表現型(即ち、膵臓不全)と関連づけられる。CFTR遺伝子中に同定されている種々の変異のリストは、その全体について参照としてここに特に取り込まれる、genet.sickkids.on.ca/cgi-bin/WebObjects/MUTATIONにおける、嚢胞性線維症変異データーベースのワールドワイドウェッブサイトで見つけられる。
【0154】
本発明の方法による治療に適する対象は、特異的変異型CFTR、即ち、例えばΔF508−CFTRなどの2コピーの特異的変異型CFTRを持つ同型接合性の対象でもよい。さらに、本発明の方法による治療に適する対象は、即ち、例えば、1つのΔF508−CFTRのコピーと異なる変異型のCFTRの1つのコピーを持つ対象のように、該対象のゲノムにCFTRの2つの異なる変異型が含まれるような、異なるCFTR変異に対する合成異型接合体であってもよい。
【0155】
本発明のいくつかの実施例において、変異型CFTRポリペプチドはΔF508−CFTRである。しかし、本発明は本変異型のCFTRを持つCF患者の治療にのみ限定して解釈されるべきではない。むしろ、本発明は、原形質膜中に変異型CFTRを発現させ、低減した塩化物透過性を示すか又は透過性の異常な制御を示す、類似の性質を示す他の変異型CFTRの持つCF患者の治療を含むと解釈されるべきである。
【実施例】
【0156】
以下の実施例は、本発明を作り、使用する方法の完全なる開示及び詳細を当業者に提供するために提示されるもので、発明者が彼らの発明として考慮する範囲を限定することを意図したものではなく、それらは、以下の実験が行われた全ての又は唯一の実験であることを説明することを意図したものである。使用された数(例えば、量、温度など)に関する正確さを保証するべく努力されているが、いくつかの実験エラー及び偏差については釈明されるべきである。他に示されない限り、部分とは重量の部分であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧又はその付近である。
【0157】
以下の方法及び材料を以下の実施例において使用した。
【0158】
細胞株
ヒトΔF508−CFTRと高感受性ハロゲン感受緑色蛍光アナログYFP−H148Q/I152L(Galiettaら,FEBS Lett 499:220−224 (2001))を安定に共発現するフィッシャーラット甲状腺(FRT)上皮細胞は、既述のように作製した(Galiettaら,JBC 276:19723−19728(2001);Maら,JBC 277:37235−37241(2002))。P574H−CFTRを判定に発現するFRT細胞は、同様に作製した。FRT細胞は、10%胎児ウシ血清、2mM L−グルタミン、100U/ml ペニシリン、及び100μg/ml ストレプトマイシンを添加したクーン(Coon‘s)変法F12培地中、プラスティック上で培養した。第1次スクリーニングのため、LabSystmsマルチドロップディスペンサーを用いて、50,000細胞/ウェルとなるように細胞を黒色の96−ウェルマイクロプレート(Corning−Costar社)中にプレーティングした。プレーティング後18−19時間後にスクリーニングを行った。短絡電流の測定のため、500,000細胞/インサートとなるように、細胞をスナップウェル用パーミアブルサポート(Corning−Costar社)上で培養した。ΔF508/ΔF508同型接合体のCF患者(又はN1303K/N1303K同型接合体の患者)からのヒト鼻上皮細胞をスナップウェルのインサート上で培養し、既述の通り(Galiettaら,Am.J.Physiol.275:L917−L923(1998))、ホルモン添加培地中で分化させた。
【0159】
150,000の多様性薬剤様化合物のコレクション(90%を超える部分がサイズ
250−500ダルトンである、ChemCiv and ChemBridge,San Diego,CA)を初期スクリーニングに使用した。至適化のため、第1次スクリーニングで同定された1500を超える市販の活性化合物のアナログをテストした。スクリーニングのためウェルあたり1又は4化合物を含むプレートを調製した(1mM DMSO中)。第2次スクリーニングのための化合物をNMR及び液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリーで確認を行った。
【0160】
スクリーニング手順
スクリーニングは、3mのロボットアームを具備したベックマン社のインテグレイテッドシステム、マイクロプレートカルーセルを具備したCO2インキュベーター、プレートウォッシャー、液体ハンドリングワークステーション、バーコードリーダー、デリッディング(delidding)ステーション、プレートシーラー、及び各々デュアルシリンジポンプ、500±10nm励起及び535±15nm発光フィルター(Chroma)を備えた2台のFluoStar蛍光プレートリーダー(Optima,BMG Lab Technologies)を用いて行った。FRT細胞を37℃(90%湿度、5%CO2)で18−24時間インキュベートし、その後、テスト化合物(最終濃度10μM)を含む50μLの培地で18−24時間インキュベートした。各ウェルは、蛍光を2秒間(ベースライン)連続的に(ポイントあたり200ms)記録し、その後、137mM Cl−がI−によって置換された165μLのPBSを添加後すぐに(<1秒)12秒間記録することにより、プレートリーダー中のI−インフラックスに関し、個別にアッセイした。I−インフラックス率は、最初のスロープの推定のためデータの最後の11.5秒を指数関数にフィッティングし、バックグラウンドを差し引いた最初の蛍光に対して正規化することにより算出した。全ての化合物プレートにはネガティブコントロール(DMSOビークル)とポジティブコントロール(4−PBA,4mM)が含まれ、別に低温度のレスキュー(27℃、18−24時間)ポジティブコントロールプレートが含まれた。アッセイ分析はZ‘ファクター>0.6を示した。
【0161】
経上皮電流測定
ΔF508−CFTR発現FRT細胞をスナップウェル用インサート中、7−9日間培養した。テスト化合物は、測定前18−24時間後に添加した。基底外側溶液は以下を含む(mM):130 NaCl,2.7 KCl,1.5 KH2PO4,1 CaCl2,0.5 MgCl2,10 グルコース,10 Na−Hepes(pH7.3)。尖端側ベージング溶液、65mM NaClはグルコン酸ナトリウムで置換し、CaCl2を2mMに増加した。溶液は空気で泡立たせ、37℃で維持した。基底外側膜は250μg/mlのアンフォテリシンBで透過性にした。ヒト気管上皮細胞に関し、頂端側及び基底側チャンバーは、126mM NaCl,0.38mM KH2PO4,2.1mM K2HPO4,1mM MgSO4,1mM CaCl2,24mM NaHCO3及び10mM グルコースを含んでいた(基底外側膜は透過性ではない)。ヘミチャンバー(Hemichamber)は、Ag/AgCl電極を介してDVC−1000ボルトクランプ(World Precision Instruments)につなぎ、頂端膜又は短絡電流の記録のため1M KClアガーブリッジにつないだ。
【0162】
修復剤のメカニズムの解析
生化学的研究では野生型、ΔF508−CFTRのHAタグ変異型で安定に形質移入したBHK細胞を使用した。CFTRは、C末端テイル(CFT R−CtHA)又はその4番目の細胞外ループを3つのHAエピトープ(CFTR−3HA)でタグ化した。複合体グリコシル化CFTRの蓄積は、既述のイムノブロットにより解析した(Sharmaら,JBC 276:8942−8950(2001))。原形質膜での発現は、既述の通り(Sharmaら,JCB 164:923−933(2004))ヨウ化2次抗マウス抗体を、又は基質であるアンプレックスレッドと共にホースラディッスペルオキシダーゼ結合2次抗体用いてHA抗体の結合(非透過性細胞)により解析した。非特異的な抗体の結合は非形質導入細胞(同じアッセイ条件)及び1次抗体を省略して形質導入細胞中で測定した。折り畳み効率は、既述の内容(Duら,Nat.Struct.Mo.Biol.(2005))に変更を加えてアッセイした。ΔF508−CFTR−CtHA発現BHK細胞は、修復剤の存在下で、内在性のメチオニンとシステインを除去した。折り畳みをモニターするために、細胞を0.2mCi/ml 35S−メチオニンと35S−システインの存在下で150分間インキュベートし、さらに150分間完全培地中でチェイスを行った。新規に合成されたCFTRに取り込まれた放射活性は、チェイスすることなく等しい数の細胞をパルスラベルすることにより測定した。CFTRを免疫沈降法で担利子、フルオログラフィーで視覚化し、既述のようにホスホイメージ解析により定量化した(Lukacsら,EMBO J.,13:6076−6086(1994))。
【0163】
実施例1
ΔF508−CFTR修復剤の発見及び性質決定
図1に示すように、ΔF508−CFTRと蛍光YFPハロゲンセンサーを共発現するFRT細胞を、96ウェル形式でテスト化合物(10μM)と共に、18−24時間、37℃でインキュベートした。その後、化合物を洗い流し、増強因子であるフォルスコリンとゲニステインを添加した後、ΔF508−CFTR媒介ヨウ化物インフラックスをアッセイした。150,000化合物の1次スクリーニングにより、ヨウ化物インフラックス(Δd[I−]/dt)を>0.10mM/sのレベルで増強する45化合物と、ヨウ化物インフラックスを>0.20mM/sのレベルで増強する15化合物が見出された。個々のウェルに由来するオリジナルデータを図2に示す。ネガティブコントロールはビークル(DMSO)のみ(「37℃」)とラベルしたで、ポジティブコントロールは4−フェニルブチル酸(4−PBA)及び低温(27℃)インキュベーションレスキューであった。2つの活性化合物を示す。
【0164】
活性化合物を再テストし、ΔF508−CFTR特異性をCFTRinh−172によるヨウ化物インフラックスの増大の阻害、及びFRTヌル細胞への修復剤効果の不存在により確認した。修復剤化合物活性の最初の至適化を市販のアナログのスクリーニングにより行った。5チャンネルスキャフォルドの>1500化合物による3ラウンドの至適化により、アミノゲンゾチアゾール、アミノアリルチアゾール、キナゾリニルアミノプリミジノン、ビスアミノメチルビチアゾール及びフェニルアミノキノリン
化学クラスの活性修復剤が得られ、そのうち4つについて図3、パネルAに示した。量依存性のデータを図3、パネルBに示し、破線で示す27℃レスキューに対する対照とした。37修復剤のリスト及びその有効性(Ka,Vmax)を、5つの修復剤クラスに対する構造活性データセットを示す表1に提示した。図4に、いくつかの修復剤のVmaxデータをまとめ、ポジティブ又はネガティブコントロールと比較している。いくつかの化合物は、27℃レスキューよりも大きなVmaxを示し、27℃レスキューと組み合わせるとヨウ化物インフラックスに対する相加的な効果を与えることが見出された。
【0165】
図5は、基底膜を透過性にし、塩化物勾配(頂端側65mM、基底側130mM)の存在下において頂端膜の塩化物の流れを測定したUssingチャンバー実験について示している。頂端膜の塩化物の流れをベースラインで測定した後、高濃度の増強因子フォルスコリン(20μM)と次いでゲニステイン(50μM)を添加した;CFTRinh−172(10μM)を各実験の最後に添加した。電気生理学的検討により、蛍光アッセイから得られたデータを確認した。図5の左のパネルには、27℃対37℃(上と中のカーブ)で生育させたΔF508−CFTR発現細胞中のより大きな流れと、FRTヌル細胞(下)に対する修復剤効果の欠如が示される。測定に先立ちΔF508−CFTR発現細胞中、37℃で修復剤と共にインキュベートすると、27℃レスキューによって産み出される流れと同等か又はそれを超える、フォルスコリン/ゲニステインにより増強的に促進され、CFTRinh−172で阻害される塩化物の流れ(図、右のパネル)が産み出された。
【0166】
図6,パネルAには、4つの修復剤化合物に関する修復の時間依存性(37℃でインキュベート)を比較のために示す27℃レスキューと4−PBAのデータと共にまとめる。修復は化合物の添加後3時間程度で見られ、12−30時間後に最大の効果が見られた。これに対し、27℃インキュベーション又は4−PBAによる修復は、比較的遅く効果が認められ始めた。化合物を洗い流した(又は27℃から37℃に温度を戻した)後の修復の持続に関するデータは、図6、パネルBに要約した。多くの化合物において、洗浄後12時間を越えて修復が持続し、24時間後において2つの修復剤に関し実質的な活性が残っていた。これに対し、27℃のレスキュー細胞では、24時間後には修復の持続はほとんどみられなかった。
【0167】
修復剤化合物が、cAMP上昇剤や増強化合物に対する感受性などのΔF508−CFTRの特性を変更するかどか検討するために実験を行った。図7に、フォルスコリン単独(20μM)対フォルスコリン+ゲニステイン(50μM)に関するVmaxを要約する。興味深いことに、フォルスコリン対フォルスコリン+ゲニステインによる1/Vmaxは修復剤対低温で処理した細胞よりも大きかった。従って、いくつかの修復剤化合物は、フォルスコリン単独によりΔF508−CFTR活性を増大させた。化合物corr−2bは最も効果的で、Vmaxの〜80 %を示すフォルスコリン応答を示した。図8は、フォルスコリン濃度依存性データ(ゲニステイン非存在下)を示す。Vmaxは異なるが、フォルスコリン応答に対するKaは、各ケースにおいて〜3μMであった。Ussingチャンバー実験(図9)において見られるように、20μM(及び50μMであっても)の化合物corr−2bは、フォルスコリン応答の相対的な増幅を増加させた。このことは、27℃レスキュー細胞においてCFTRを増強することはできないので、化合物corr−2bの固有の増強活性に起因するものではなかった。ポジティブコントロールのゲニステインと共に示す(図9、右のパネル)。
【0168】
ハイスループットスクリーニングにより、ΔF508−CFTRの細胞内の間違ったプロセッシングを修復し、原形質膜での発現と低温レスキューによって達成されるレベルを超えるハロゲン透過性を回復させるいくつかの小分子のクラスが見出された。修復は、電気生理学的及び生化学的測定、並びにコントロール細胞(非発現性)及びCFTR選択阻害剤を使用することにより、確認された。
【0169】
1次スクリーニングに使用された細胞株は、上皮由来の細胞(天然のCFTR発現細胞に類似する)であって、細胞単層注の塩化物流の迅速な評価を可能とし、強い低温レスキュー応答を示すように選択した。ハイスループットスクリーニングのための細胞株に関するさらなる必要条件には、テストプレート中での早い生育、安定で明るいYFP−H148Q/I152Lの発現、及び低い基底側のハロゲン透過性が含まれた。YFP−H148Q/I152L蛍光ハロゲン標識は、明るい細胞内発現性及びヨウ化物への超高感受性を持つように既に開発されてあるものであった(Galiettaら,FEBS Lett.499:220−224(2001))。使用される形質移入したFRT細胞株は、100を超えるΔF508−CFTR/YFP−H148Q/I152L形質移入FRT細胞クローンのみならず、多くの形質移入及び天然に発現する上皮細胞株をスクリーニングした後に選択された。
【0170】
実施例2
ΔF508−CFTR修復剤の力学的解析
修復剤存在下でのΔF508−CFTRの生合成プロセッシングに関する生化学的証拠を提供するため、成熟し、複合グリコシル化されたΔF508−CFTR−CtHAの蓄積をベビーハムスター腎臓(BHK)細胞のイムノブロット解析によってモニターした。修復剤と共に16−24時間、37℃でインキュベーションすると、複合グリコシル化されたΔF508−CFTR−CtHAの蓄積が生じた(図10、パネルA)。このことは、非処理細胞の主要な形体である、そのコアのグリコシル化相当物(みかけの分子量〜150kDa)と比較して、複合グリコシル化ΔF508−CFTRの免疫反応バンドはより遅い電気泳動度(みかけの分子量〜170kDa)を示すことから確認された。同様な結果はΔF508−CFTR発現FRT細胞でも得られた。修復剤処理細胞中での複合グリコシル化ΔF508−CFTRの蓄積は、修復剤無しの低温インキュベーションによって生じる場合と同等であった(図10、パネルB)。修復剤化合物は、ERシャペロンであるGrp78の一定した発現レベルに基づいたERストレス応答を引き起こさなかった。原形質膜でのΔF508−CFTR発現は、細胞外エピトープの認識に基づいた抗HA抗体結合アッセイを用いて確認した(Maら,JBC 277:37235−37241(2002))。修復剤化合物とのインキュベーションによって、原形質膜のΔF508−CFTRの存在量が、フォルスコリン/ゲニステインにより増強された頂端膜塩化物流の増加とほぼ比例して、顕著に増加した(図11、パネルA)。
【0171】
ΔF508変異は、ΔF508−CFTRの構造上の成熟及び小胞体のチャネルの排出能を減じ、ポストゴルジコンパートメント中の複合グリコシル化ΔF508−CFTRを不安定化する(Sharmaら,2001:Sharmaら,2004)。従って、修復剤化合物は、成熟し、複合グリコシル化されたΔF508−CFTRの安定性の増強と同様に、新規の合成緒されたΔF508−CFTRの翻訳後の折り畳みを促進する。修復作用の細胞内における根拠を立証するため、ΔF508−CFTRの翻訳後の折り畳み効果に対する修復効果を代謝的パルス・チェイス技術により、新規に合成され、コアグリコシル化されたΔF508−CFTRの複合グリコシル化形体への分画的変換を測定することにより定量した(図11、パネルB)。放射活性パルスラベルを15分から150分に延長することで、アッセイの検出感受性が顕著に増大した。ホスホイメージ解析によって、ΔF508−CFTRは、37℃において、BHK細胞中の野生型CFTR(31±5 %)と比較して、低いけれど測定可能な成熟効率(0.5±0.15%)を有することが明らかとなった。同様な結果が他の異種接合性発現システム中の野生型CFTRの成熟小売り乙に関して得られている(Wardら,1994;Lukacsら,EMBO J 13:6076−6086(1994))。ΔF508−CFTR折り畳み効率は、いくつかの修復剤の存在下において2−3倍増加した(図11、パネルC)。次に、ΔF508−CFTR−3HA細胞表面の安定性について評価した。ΔF508−CFTR−3HAは、低い温度では、最初に細胞表面に蓄積した(図1、パネルAのように)。その後、修復剤の存在下で温度を37℃に上昇させると、ΔF508−CFTR安定性が4℃におけるチャネルへの抗HA結合の消失によってモニターされた。レスキューされたΔF508−CFTRの細胞表面密度は、3時間のチェイスの間に〜20%に減少したが、修復剤化合物の存在下で50−90%のΔF508−CFTRタンパク質が細胞表面に残存した(図12、パネルB及びC)。従って、修復剤化合物は、細胞表面におけるレスキューされたΔF508−CFTRタンパク質の滞在時間の延長も行う。
【0172】
欠損型ΔF508−CFTRの間違ったプロセッシングの修復に対する化合物特異性の初期のテストのように、化合物がP574H−CFTRに対してテストされ、ΔF508−CFTRに類似の変異型CFTRは小胞体に維持されたが、レスキュー温度で24時間インキュベートすることでレスキューされた(Ostedgaardら,J.Cell.Sci.,112:2091−2098(1999))。細胞を24時間修復剤戸とも二インキュベートするか、又は低い温度でインキュベートした。頂端膜の塩化物流をフォルスコリン(本CFTR変異型を十分に活性化する)に対する応答として測定し、その後、CFTRinh−172に対して測定した。図12は、corr−4a化合物がΔF508−CFTR発現細胞中の強い塩化物流を引き起こし、低温レスキューのポジティブコントロールであるにも関わらず、P574H−CFTRには影響を与えなかったことを示す。Corr−3a化合物は塩化物流について2倍の増大を引き起こした。
【0173】
CFTRの細胞内プロセッシングは、翻訳、小胞体での折り畳み、ゴルジ輸送、翻訳後グリコシル化、及び頂端膜へのターゲティングに関与する。原形質膜CFTRはエンドサイトーシスによって内部移行し、その後、原形質膜に戻るか又はリソソーム分解に向かう(Sharmaら,2004;Gentzschら,MBC 5:2684−2696(2004))。ΔF508−CFTRの折り畳みは効果的ではない。BHK細胞中の新規に合成されたΔF508−CFTRの99.5%はゴルジに到達することなく分解へと向かった。他の戻るシステムでも同様に、ほぼ完全なΔF508−CFTRのERでの滞留が報告された。Corr−4b及びcorr−4c化合物はΔF508−CFTRの折り畳み効率を翻訳率に影響を与えることなくほぼ3倍にまで上昇させたが、このことは、修復剤化合物が翻訳後の折り畳みの障壁を部分的に克服したことを示唆する。最近の構造学的研究によれば、小分子がNBD2及び/又は膜貫通ドメインの折り畳みを促進し得ることが想定できる(Duら,Nat.Struct.Biol.,2005,Chenら,JBC 279:39620−39627(2004))。修復剤の末梢的な安定化効果の極単純な説明は、修復剤化合物の非存在下において、構造的に安定化された変異型は、レスキューされたΔF508−CFTRよりもユビキチン依存的末梢性品質コントロールメカニズム及びリソソーム分解の影響を受けにくいということである(Sharmaら,2004)。
【0174】
実施例3
ヒト気道上皮中のΔF508−修復剤
ΔF508−CFTR同型接合性患者由来のヒト気道上皮細胞の分化した初期培養についても修復剤化合物のテストを行った。透過性支持体上で分極化された細胞は、短絡電流解析による塩化物の分泌測定のためUssingチャンバー中にマウントされた。アミロリドによるNa+流ブロック後、DMSOビークルで処理した細胞はフォルスコリン、ゲニステイン又はCFTRinh−172に対する応答がほとんど見られなかった(図13)。27℃で24時間インキュベートすると、フォルスコリンとゲニステインにより増強された塩化物流で見られるような顕著な塩化物流が出現し、CFTRinh−172によって阻害された。この結果は、化合物corr−4aとの37℃、24時間のインキュベーションが塩化物流を同等に増大させることを示す。比較のため、非CF気管上皮細胞に関するデータを示す(図13、下のパネル)。図14のパネルAに示されるように、第2のビスアミノメチルビチアゾールのデータを含む、一連の測定に関するCFTRinh−172阻害によって引き起こされる短絡電流の変化をまとめる。これらの研究に対するネガティブコントロールとして、欠陥型CFTRプロセッシングが明らかであるN1303K−CFTR変異の同型接合体患者由来のヒト気管上皮細胞に対し(Gregoryら,MCB 11:3886−3893(1991))、同じ修復化合物をテストした。図14、パネルBは、図13に示すΔF508−CFTRについて用いたのと同じ化合物及び条件で測定した場合、N1303K−CFTR気管細胞に関する短絡電流の顕著な修復は認められなかった。
【0175】
これまでの記載は本発明の原理を単に説明したものである。ここで明示的記載され、示されていないが、当業者であれば、本発明の原理を具体化し、発明の精神及び範囲内に包含される種々の処理を工夫することが可能であることは十分に理解されることであろう。さらに、ここで挙げられた例示及び条件的言語は、基本的には、本発明の原理及び技術の促進に対し発明者によって貢献される概念を理解する上で読書に役立つことが意図されており、そのような特別に挙げられた例示及び条件に限定されることなく理解されるものである。さらに、ここに発明の原理、態様及び実施形態並びにその特定の実施例を挙げた全ての記述は、それらの構造的及び機能的な等価物のいずれをも包含すること意図されている。さらに、そのような等価物には、現在知られている等価物及び将来開発される等価物の両方、即ち、構造のいかんに関わらず、同じ機能を示す開発される要素が含まれる。従って、本発明の範囲は、ここで示され、記述される実施例に限定されることは意図されていない。むしろ、本発明の範囲及び精神は添付される請求の範囲によって具体化されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】対象とするスクリーニング方法を示す模式図である。ΔF508-CFTR及びハロゲン化物感受性YFPを共発現するFRT細胞を、試験化合物(10 μM)とともに37℃でインキュベートした。 フォルスコリン(20 μM) + ゲニステイン(50 μM)の存在下で、ヨウ化物によるYFP蛍光の消光によって、プレートリーダーで18−24時間においてΔF508-CFTR機能を評価した。
【図2】コントロール条件(37℃)でのヨウ化物流入、又は27℃での24時間インキュベーション後、又は4-PBA(4 mM)、又は修復剤化合物(10 μM, 370C)での代表的なトレースを示す図である。
【図3】パネルAにおいて代表的な修復剤化合物の化学構造、パネルBにおいて示された修復剤化合物に関する投与量ー応答データ(SE, n=5)を示す。
【図4】37℃又は27℃で示された修復剤化合物とともにインキュベートされたΔF508-CFTR発現FRT細胞における最大ヨウ化物流入(37℃コントロールに規格化)を要約したグラフである(SE, n=5)。ヨウ化物流入は、コントロール細胞に比較して全ての化合物で有意に増加した(p<0.01)。
【図5】側底膜透過性化後かつ塩化物勾配存在下でのウシングチャンバーにおける頂端膜塩化物流測定を示す。濃度フォルスコリン(20 μM)、ゲニステイン(50 μM)、CFTRinh-172 (10 μM)。下左は、FRTヌル細胞で実施した測定を示す(他のパネルはΔF508-CFTR発現FRT細胞)。
【図6】パネルAは、示された修復剤化合物での経時的な修復を示す。細胞は、27℃で又は示された修復剤又は4-PBA (4 mM)とともに37℃で、種々の時間インキュベートした。ΔF508-CFTR活性は、フォルスコリン/ゲニステイン存在下で検定した。パネルBは、示された修復剤化合物での修復の持続を示す。細胞は、示された修復剤化合物と共に(又は27℃で)24時間インキュベートした。ΔF508-CFTR活性は、洗浄後(又は270Cから370Cに戻して)異なる時間に検定した。
【図7】修復剤有無で37℃又は27℃に維持された細胞におけるフォルスコリン(20 μM)又はフォルスコリン+ゲニステイン(50 μM)の効果を示す。
【図8】フォルスコリンの投与量−応答関係を示すグラフである。ΔF508-CFTR発現FRT細胞は、示された修復剤化合物とともに37℃又は27℃においてインキュベートした後、フォルスコリン(ゲニステイン不存在)で刺激した。
【図9】DMSOビヒクル(左)又は化合物corr-2b (第2及び第3の曲線)とともに37℃で24時間インキュベートした後の頂端膜塩化物流測定を示す。右側の曲線は、示した化合物(20 μM フォルスコリン, 20 μM corr-2b, 50 μM ゲニステイン)とともに27℃で細胞成長させた結果を示す。
【図10】パネルAは、BHK細胞におけるΔF508-CFTR-QHAの発現パターンに対する示した修復剤化合物(10μM)の効果を示すウエスタンブロットである。表示した細胞は、修復剤有無で37℃において、又は27℃において24時間培養した。CFTRは、励起化学発光による抗−HA一次抗体及びHRP−複合二次抗体によって可視化した。黒い矢印は、複合したグリコシル化形態(バンドC)、白い矢印はコア−グリコシル化形態(バンドB)である。パネルBは、パネルAのデータを定量化したグラフである。
【図11】パネルAは、図10に示した条件で放射活性抗−HA抗体結合アッセイを用いて測定したΔF508-CFTRの表面密度を示すグラフであり、パネルAでは、FRT細胞で平行実施したΔF508-CFTR頂端膜流に対してプロットした。パネルBは、パルス−チェース分析で測定した折り畳み効率を示すウエスタンブロットである。翻訳速度は、15分パルス(P)間での放射活性取り込みから計算した。折り畳み効率を測定するために、細胞に150分間パルスをかけ、次いで120分間チェースした(C)。コア(白矢印)及び複合グリコシル化(黒矢印)形態の量は、リン酸画像化分析により決定した。)パネルCは、パネルBに示したようなパルス標識プールに対する成熟、複合グリコシル化 ΔF508-CFTRのパーセントとして表した変異効率を示すグラフである。
【図12】パネルAは、示された修復剤化合物の存在下で3時間のチェースの前後での抗−HA抗体結合アッセイにより測定したレスキューされたΔF508-CFTRの細胞表面安定性を示すグラフである。パネルBは、温度感受性変異型P574−CFTRを発現するFRT細胞における頂端膜塩化物流の結果を示す。パネルCは、パネルBにおける頂端膜塩化物流の結果を示すグラフである。
【図13】ΔF508同型患者(上側3つの曲線)及び非-CF患者(一番下の曲線)からのヒト気道上皮細胞の一次培地での代表的な短絡回路流を示す。ΔF508細胞は、DMSOビヒクル又は化合物corr-4bの存在下37℃で24時間維持し、又は27℃でインキュベートした。濃度:アミロライド(10 μM), フォルスコリン(20 μM), ゲニステイン(50 μM), CFTRinh-172 (10 μM)。
【図14】パネルAは、図13に示した一連の実験についてのCFTRjnI1-172 阻害性短絡回路流(ΔIS0)の概略である(SE, n=12-14)。 *, PO.05, **, PO.01。パネルBは、図13の条件で実施した同型N1303K-CFTR患者からのヒト気管上皮細胞の一次培地の短絡回路流記録を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
(式中、R1は、独立して、水素又はR2に融合したC(=O又は=S)NH基から選択され、R2は独立して、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、又は置換又は非置の芳香環、及び置換又は非置換のヘテロ芳香環に対するN=CH 又は N−アルキル結合から選択される)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項2】
前記組成物が、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記組成物が、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
R1が水素であり、式(I)の化合物が下記式(Ia):
(式中、R3は独立して、置換又は非置換のフェニル基から選択され、R4は置換又は非置換のアルキル基である)
の化合物である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
R3が、4−(メトキシ)フェニル基、3−(ニトロ)フェニル基、4−(ニトロ)フェニル基、又は4−(クロロ)フェニル基から選択される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
R4が、水素及びメチル基から選択される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記化合物が下記式(Ib):
(式中、R5及びR6は、置換又は非置換のアルキル基、又は融合した置換又は非置換のシクロアルキル環基から選択される)
の化合物である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
R5がエチル基である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
R6がエチル基である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
R5及びR6が、融合したtert(ブチル)シクロヘキサン基である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記化合物が、以下:
から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
下記式(II):
(式中、R1 は独立して、置換又は非置換のフェニル基から選択され、R2 は独立して、水素又はアルキル基から選択され、R3 は独立して、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のヘテロ芳香族基、置換アミノ基、置換アシル基から選択される)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項13】
前記組成物が、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記組成物が、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
R1が、置換フェニル基、非置換ビフェニル基、3−,4−ジ(メチル)フェニル基、4−(メチル)フェニル基、3−,4−ジ(メトキシ)フェニル基、3−, 4−ジ(ヒドロキシ)フェニル基、4−(ブロモ)フェニル基、4−(プロペン)フェニル基、3−(メチル)−4−(メトキシ)フェニル基、又は3−(ニトロ)−4(メチル)フェニル基から選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項16】
R2が水素又はメチル基から選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項17】
R3 が、非置換フェニル基、3−(クロロ)フェニル基、4−(フルオロ)フェニル基、2−(メチル)フェニル基、2−(エトキシ)フェニル基、2−,5−ジ(メトキシ)−4−(クロロ)フェニル基、4−(アセタミド)フェニル基、非置換ピリミジン基、3−(メチル)ピリジン基、ジ(メチル)ブチリデンアミン基、アシル−チオフェン基、アシル(4−t−ブチル−フェニル)基、又はアシル−メチルチオ−イミダゾール−5−フェニル基から選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記化合物が、以下:
から選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項19】
下記式(III):
(式中、R1 は、水素、アルキル基、又はアルコキシ基から選択され、R2 は、水素、アルキル基、又はアルコキシ基から選択され、R3 はアルキル基であり、R4 は、ヒドロキシル基又はカルボニル基から選択され、R5 及びR6 は、融合したシクロアルキル基、水素、アルキル基、又は置換又は非置換のフェニル基から選択される)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項20】
前記組成物が、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記組成物が、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項22】
R1が、水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、又はエトキシ基から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項23】
R2が、水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、又はエトキシ基から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項24】
R3が、メチル基又はエチル基から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項25】
R4が、ヒドロキシ基又はカルボニル基から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項26】
R5 が、水素、メチル基、エチル基、非置換フェニル基、又は2−メチルチオ−1H−ベンゾイミザゾール基から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項27】
R6 が、水素、メチル基、エチル基、非置換フェニル基、又は2−メチルチオ−1H−ベンゾイミザゾール基から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項28】
R5及びR6が、融合したシクロフェニル基である、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記化合物が、以下:
から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項30】
下記式(IV):
(式中、R1はアルキル基であり、R2は、置換又は非置換のフェニル基であり、又は置換又は非置換のフェニル基である)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項31】
前記組成物が、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記組成物が、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項33】
R1がメチル基である、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項34】
R2が、3−(ニトロ)フェニル基、2−メトキシフェニル、2−エトキシフェニル、1−フェニルエチル−l−オン基、又は3−クロロ−6−メトキシフェニル基から選択される、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記化合物が、以下:
から選択される、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項36】
下記式(V):
(式中、R1は、水素、又はアルキル基から選択され、R2は、水素、又はアルキル基から選択され、R3はアルキル基であり、R4は、水素、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン基から選択され、R5は、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基から選択される)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項37】
前記組成物が、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記組成物が、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項39】
R1が、水素又はメチル基から選択される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項40】
R2が、水素又はメチル基から選択される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項41】
R3が、水素又はメチル基から選択される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項42】
R4が、水素、臭化物基、塩化物基、メトキシ基から選択される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項43】
R5が、水素、臭化物基、塩化物基、メトキシ基から選択される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記化合物が、以下
から選択される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項45】
変異型−CFTRに関連する病状を有する患者を治療する方法であって、当該方法が、請求項1、12、19、30又は36に記載の医薬組成物の治療的有効量を患者に投与することを含む方法。
【請求項46】
前記病状が、嚢胞性線維症である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記患者が、治療の後、肺において粘膜又は細菌力価が減少し、咳又は喘鳴が減少し、膵機能不全が低下し、又は汗の電解質が減少する、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記患者が非−ヒト動物である、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記動物が哺乳動物である、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記変異型−CFTRがΔF508−CFTRである、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
変異型−CFTRタンパク質を産生する細胞のイオン透過性を向上させる方法であって、当該方法は、前記細胞を請求項1、12、19、30又は36に記載の医薬組成物の有効量と接触させることを含み、前記接触が前記細胞のCFTR−仲介イオン透過性を上昇させるのに有効である方法。
【請求項52】
前記細胞が、前記変異型−CFTRタンパク質をコードする組み換え発現カセットを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記細胞が、前記変異型−CFTRタンパク質をコードするゲノムを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記変異型−CFTRがΔF508−CFTRである、請求項51に記載の方法。
【請求項1】
下記式(I):
(式中、R1は、独立して、水素又はR2に融合したC(=O又は=S)NH基から選択され、R2は独立して、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、又は置換又は非置の芳香環、及び置換又は非置換のヘテロ芳香環に対するN=CH 又は N−アルキル結合から選択される)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項2】
前記組成物が、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記組成物が、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
R1が水素であり、式(I)の化合物が下記式(Ia):
(式中、R3は独立して、置換又は非置換のフェニル基から選択され、R4は置換又は非置換のアルキル基である)
の化合物である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
R3が、4−(メトキシ)フェニル基、3−(ニトロ)フェニル基、4−(ニトロ)フェニル基、又は4−(クロロ)フェニル基から選択される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
R4が、水素及びメチル基から選択される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記化合物が下記式(Ib):
(式中、R5及びR6は、置換又は非置換のアルキル基、又は融合した置換又は非置換のシクロアルキル環基から選択される)
の化合物である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
R5がエチル基である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
R6がエチル基である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
R5及びR6が、融合したtert(ブチル)シクロヘキサン基である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記化合物が、以下:
から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
下記式(II):
(式中、R1 は独立して、置換又は非置換のフェニル基から選択され、R2 は独立して、水素又はアルキル基から選択され、R3 は独立して、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のヘテロ芳香族基、置換アミノ基、置換アシル基から選択される)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項13】
前記組成物が、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記組成物が、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
R1が、置換フェニル基、非置換ビフェニル基、3−,4−ジ(メチル)フェニル基、4−(メチル)フェニル基、3−,4−ジ(メトキシ)フェニル基、3−, 4−ジ(ヒドロキシ)フェニル基、4−(ブロモ)フェニル基、4−(プロペン)フェニル基、3−(メチル)−4−(メトキシ)フェニル基、又は3−(ニトロ)−4(メチル)フェニル基から選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項16】
R2が水素又はメチル基から選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項17】
R3 が、非置換フェニル基、3−(クロロ)フェニル基、4−(フルオロ)フェニル基、2−(メチル)フェニル基、2−(エトキシ)フェニル基、2−,5−ジ(メトキシ)−4−(クロロ)フェニル基、4−(アセタミド)フェニル基、非置換ピリミジン基、3−(メチル)ピリジン基、ジ(メチル)ブチリデンアミン基、アシル−チオフェン基、アシル(4−t−ブチル−フェニル)基、又はアシル−メチルチオ−イミダゾール−5−フェニル基から選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記化合物が、以下:
から選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項19】
下記式(III):
(式中、R1 は、水素、アルキル基、又はアルコキシ基から選択され、R2 は、水素、アルキル基、又はアルコキシ基から選択され、R3 はアルキル基であり、R4 は、ヒドロキシル基又はカルボニル基から選択され、R5 及びR6 は、融合したシクロアルキル基、水素、アルキル基、又は置換又は非置換のフェニル基から選択される)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項20】
前記組成物が、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記組成物が、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項22】
R1が、水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、又はエトキシ基から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項23】
R2が、水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、又はエトキシ基から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項24】
R3が、メチル基又はエチル基から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項25】
R4が、ヒドロキシ基又はカルボニル基から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項26】
R5 が、水素、メチル基、エチル基、非置換フェニル基、又は2−メチルチオ−1H−ベンゾイミザゾール基から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項27】
R6 が、水素、メチル基、エチル基、非置換フェニル基、又は2−メチルチオ−1H−ベンゾイミザゾール基から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項28】
R5及びR6が、融合したシクロフェニル基である、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記化合物が、以下:
から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項30】
下記式(IV):
(式中、R1はアルキル基であり、R2は、置換又は非置換のフェニル基であり、又は置換又は非置換のフェニル基である)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項31】
前記組成物が、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記組成物が、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項33】
R1がメチル基である、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項34】
R2が、3−(ニトロ)フェニル基、2−メトキシフェニル、2−エトキシフェニル、1−フェニルエチル−l−オン基、又は3−クロロ−6−メトキシフェニル基から選択される、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記化合物が、以下:
から選択される、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項36】
下記式(V):
(式中、R1は、水素、又はアルキル基から選択され、R2は、水素、又はアルキル基から選択され、R3はアルキル基であり、R4は、水素、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン基から選択され、R5は、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基から選択される)
の化合物、又はその製薬上許容される誘導体を、個々の立体異性体又はその混合物として、あるいはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項37】
前記組成物が、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、及び製薬上許容されるアジュバントの少なくとも1つを更に含む、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記組成物が、検出可能なジメチルスルホキシドを含まない、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項39】
R1が、水素又はメチル基から選択される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項40】
R2が、水素又はメチル基から選択される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項41】
R3が、水素又はメチル基から選択される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項42】
R4が、水素、臭化物基、塩化物基、メトキシ基から選択される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項43】
R5が、水素、臭化物基、塩化物基、メトキシ基から選択される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記化合物が、以下
から選択される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項45】
変異型−CFTRに関連する病状を有する患者を治療する方法であって、当該方法が、請求項1、12、19、30又は36に記載の医薬組成物の治療的有効量を患者に投与することを含む方法。
【請求項46】
前記病状が、嚢胞性線維症である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記患者が、治療の後、肺において粘膜又は細菌力価が減少し、咳又は喘鳴が減少し、膵機能不全が低下し、又は汗の電解質が減少する、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記患者が非−ヒト動物である、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記動物が哺乳動物である、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記変異型−CFTRがΔF508−CFTRである、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
変異型−CFTRタンパク質を産生する細胞のイオン透過性を向上させる方法であって、当該方法は、前記細胞を請求項1、12、19、30又は36に記載の医薬組成物の有効量と接触させることを含み、前記接触が前記細胞のCFTR−仲介イオン透過性を上昇させるのに有効である方法。
【請求項52】
前記細胞が、前記変異型−CFTRタンパク質をコードする組み換え発現カセットを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記細胞が、前記変異型−CFTRタンパク質をコードするゲノムを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記変異型−CFTRがΔF508−CFTRである、請求項51に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2008−538107(P2008−538107A)
【公表日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501913(P2008−501913)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/008267
【国際公開番号】WO2006/101740
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/008267
【国際公開番号】WO2006/101740
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】
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