説明

外装材

【課題】本発明は建築、構築物の外装材として使用でき、かつ、製造後に膨れ、反り等の変形がなく、張り替えが可能で、しかも防火性、耐火性、機械強度に優れた外装材に関するものである。
【解決手段】一端側表面に凹形状からなる固定溝8を有する固定部4を形成すると共に、他端側表面には前記固定部4の固定溝8の頭部β1の高さ以上に浅い固定溝14を形成し、かつ接続時に固定部4を表面側から覆うカバー兼固定部10を形成し、前記固定部4をカバー兼固定部10にて覆設した際に、表面側からカバー兼固定部10を押圧してこのカバー兼固定部10を前記固定部4に密着させ、接続時の離脱を防止する離脱防止手段を設けた外装材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築、構築物の外装材として使用でき、かつ、製造後に膨れ、反り等の変形がなく、張り替えが可能で、しかも防火性、耐火性、防音性、機械強度に優れた外装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、金属製表面材と裏面材にて合成樹脂発泡体からなる芯材をサンドイッチした屋根材は数多く発明、考案されて上市されている。(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−131411号公報
【特許文献2】特開平11−350671号公報
【特許文献3】特開2004−150259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような屋根材においては、一般的に芯材を各種合成樹脂発泡体とした際には、パネル自体の機械強度に劣り、しかも合成樹脂発泡体の経時変化により、パネル表面に凹凸が生じたり、反ったりする不具合が生じることがある場合があった。また、施工後の取り替えが殆ど不可能か、あるいは非常に面倒な作業であった。さらに、屋根材の両端を固定する構造でないために、施工後の取付強度に問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような欠点を解決するために、一端側表面に凹形状からなる固定溝を有する固定部を形成すると共に、他端側表面には前記固定部の固定溝の頭部の高さ以上に浅い固定溝を形成し、かつ接続時に固定部を表面側から覆うカバー兼固定部を形成し、前記固定部をカバー兼固定部にて覆設した際に、表面側からカバー兼固定部を押圧してこのカバー兼固定部を前記固定部に密着させ、接続時の離脱を防止する離脱防止手段を設けた外装材を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る外装材によれば、
(1) 外装材の両端を固定される構造であるため、固定強度が向上できる。
(2) 一端を固定後に他端を固定できるので、両端を一気に固定するよりも外装材がバタ付かず、施工が容易である。
(3) 施工後の張り替えが可能であると共に、熟練を要さず施工が容易である。
(4) 外壁材、屋根材として使用できる。
等の特徴、効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に図面を用いて本発明に係る外装材の実施例について詳細に説明する。
【実施例】
【0008】
すなわち、図1、図4(a)は本発明に係るの外装材に使用する外装材Pの構成材である金属製外装材Aを示す断面図、図2、図4(b)は本発明に係る外装材に使用する外装材Pの構成材である金属製化粧カバーBを示す断面図、図3(a)、(b)と図4は本発明に係る外装材に使用する外装材Pの施工状態を示す断面図と拡大断面図であり、αは躯体、βは固定具、Cはパッキング材である。
【0009】
金属製外装材Aは図1、図4(a)に示すように長尺状の表面材1と、表面材1の裏面に形成した芯材17と、芯材17の長手方向の少なくとも裏面を被覆した裏面材18とからサンドイッチ構造に形成したものである。
【0010】
表面材1は図1、図4(a)に示すように平面状の化粧面2と、化粧面2の両側縁を内方へ、化粧面2と垂直に、あるいは内方、外方に傾斜して屈曲した側壁3と、側壁3の下端を外側方へ屈曲し延長した突出片5−1、突出片5−2とからなる突出片5を形成したものである。
【0011】
化粧面2の一端には、突出片5−1の先端を外方に2本突出した第1防水片6、第2防水片7と、第1防水片6、第2防水片7とから形成された固定溝8と、第2防水片7の上端先端を内方に突出した当接片9とから形成した固定部4を形成したものである。
【0012】
化粧面2の他端には、突出片5−2と一体に形成し、先端をさらに外方に突出した立ち上がり片11と、立ち上がり片11の先端を内側方に突出した係止片12と、係止片12の先端を折り返し、外側方へ突出したカバー片13と、カバー片13の略中央部分を凹状に窪ませた固定溝14と、固定溝14により形成された挿入溝15、16と、カバー片13の先端を内側方に屈曲した係止片12とからカバー兼固定部10を形成したものである。また、17aは切り欠きであり、金属製外装材Aを図3(a)、(b)に示すように施工した際に、芯材17部分が邪魔にならないように形成した部分である。
【0013】
第1防水片6、第2防水片7は、外装材Pの連結部から雨水が躯体α内部に浸入するのを防止する部分である。なお、第1防水片6、第2防水片7により、防水片を2個形成しているが、1個、あるいは3個以上の構成とすることもできるものである。勿論、立地条件により、防水性が必要ない場合には、形成しない構成でも良いものである。
【0014】
固定溝8は、固定溝14と共に躯体αに固定される部分であり、金属製外装材Aの両端の金属製の表面材1が固定されることにより、一般的な外装材が一端固定であるのに対し強固に固定できるものである。また、固定溝14は、図4に示すように、固定具βの頭部β1の高さ分だけ浅く形成し、固定時に固定具4固定後にカバー兼固定部10を固定する際に、固定具βに頭部β1が邪魔にならないように浅く形成したものである。なお、10aは事前に形成した固定孔であり、必要に応じて形成するものである。
【0015】
係止片12は、後記する金属製化粧カバーBを固定するための部分である。
【0016】
挿入溝15、16は、固定部4の第1防水片6、第2防水片7が挿入される部分であり、溝状にすることにより、内部に出来る空間を極小にし、防水性をさらに向上するためのものである。
【0017】
化粧面2に形成した化粧溝2aは、意匠性の向上と共に、芯材17としてプラスチックフォームを形成した場合の、金属製外装材A自体の剛性の強化のために形成したものである。
【0018】
表面材1、裏面材18は以下のようなものからなるものである。
(1)金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)。
(2)塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をロール成形、プレス成形、押出成形等によって各種形状に成形したもの、あるいは無機質材を押出成形、プレス成形、オートクレーブ養生成形等して各種任意形状に形成したもの。
また、裏面材18は以下のようなものからなるものである。
(1)アルミニウム蒸着紙、アスベスト紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔(Al、Fe、Pb、Cu)、合成樹脂シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、ガラス繊維不織布、等の1種、または2種以上をラミネートしたもの。
(2)防水処理、難燃処理されたシート状物からなるもの。
【0019】
芯材17は以下のようなものからなるものである。
(1)ポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム等、のプラスチックフォームよりなり、例えばレゾール型フェノールの原液と、硬化剤、発泡剤を混合し、表面材1、もしくは裏面材18の裏面側に吐出させ、加熱して反応・発泡・硬化させて形成したもの。
(2)プラスチックフォーム中には各種難燃材として軽量骨材(パーライト粒、ガラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン、水酸化アルミニウム等)、繊維状物(グラスウール、ロックウール、カーボン繊維、グラファイト等)を混在させ、耐火性、防火性を向上させたもの。
【0020】
金属製化粧カバーBは、前記した金属製薄板材よりなり、その形状は図2、図4(b)に示すように、長尺状で平面状の化粧面部19と、化粧面部19の両端縁を下方に屈曲した側壁化粧面20と、側壁化粧面20の先端を内方に、前記した係止片12に係止し得る形状に屈曲した係合片21とからなるものである。
【0021】
さらに詳説すると、化粧面部19は、図4に示すように連結部に金属製化粧カバーBが金属製外装材Aにより固定されることにより、金属製外装材Aを躯体α上に固定する際に用いた固定具βを被覆し、固定具βが外部に露出しないようにするためのものである。
【0022】
また、係合片21は金属製外装材Aの係止片12に係止され、金属製化粧カバーBを金属製外装材Aに嵌着することにより、連結部上に金属製化粧カバーBを確実に、離脱なく固定するためのものである。
【0023】
パッキング材Cは連結部の防水性の強化のために形成するものであり、例えば定型で弾性のあるパッキング材Cとしては以下のようなものからなるものである。
(1)発泡ゴム、ポリ塩化ビニル系、クロロプレン系、クロロスルホン化ポリエチレン系、エチレンプロピレン系、アスファルト含浸ポリウレタン系、EPM、EPDM等の一般的に市販されているもの。
硬化型のパッキング材C(シーリング材)としては以下のようなものからなるものである。
(2)シリコーン系(反応硬化型、湿気硬化型)、変成シリコーン系(反応硬化型)、ポリサルファイド系(反応硬化型)、ポリウレタン系(反応硬化型、湿気硬化型)、SBR系(乾燥硬化型)、アクリル系(乾燥硬化型)等よりなるもの。
または、
(3)上記パッキング材Cに無機材等の難燃材を混入した耐火性のあるもの。
【0024】
次に本発明に係る外装材の施工順序につき説明する。いま図4に示すような外装を構成するために、金属製外装材Aとしては図1、図4(a)に示すような、表面材1、裏面材18としては、0.35mm厚のカラー鋼板を使用し、プラスチックフォームよりなる芯材17としてはフェノールフォームからなる原料を表面材1と裏面材18間に充填し、反応、発泡させ次にキュアして一体に形成したものである。なお、躯体α上(躯体αと金属製外装材A間)には合板、木毛板、木毛セメント板、木片セメント板、シージングボード、シージングインシュレーションボード、等の硬質下地材を形成しても良いものである。
【0025】
まず、図6(a)に示すように躯体α上に一端を固定された金属製外装材A1の固定部4の固定溝8を固定具βにより固定する。その後、図6(b)、図7(a)に示すように、金属製外装材A2のカバー兼固定部10の切り欠き17aを覆い被せるようにして当接する。その後、図7(b)に示すように、固定溝14を固定具βにより長手方向に沿って一定ピッチで固定する。最後に、金属製外装材A1、金属製外装材A2間の連結部であるカバー兼固定部10に、図8(a)、図8(b)に示すように、図1に示すような0.35mm厚のカラー鋼板よりなる長尺状の金属製化粧カバーBの一方の係合片21aを矢印で示すように押し込んで嵌め、その後他方の係合片21bを矢印で示すよう嵌合して施工を完了するものである。このような行程を、外装面全面に対して横方向(例えば出隅から出隅方向)に順次行うことにより、外装材Pの施工を完了し、縦張りの壁を形成するものである。なお、施工例では外装として外壁を想定しているが、屋根材として外装材Aを使用することも可能である。
【0026】
以上説明したのは本発明に係る外装材の一実施例にすぎず、図9(a)〜(c)〜図11(a)、(b)に示すような金属製外装材A、金属製化粧カバーBを使用して形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る外装材に使用する金属製外装材の代表的一例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る外装材に使用する金属製化粧カバーの代表的一例を示す断面図である。
【図3】本発明に係る外装材の施工状態を示す断面図である。
【図4】本発明に係る外装材の施工状態を示す断面図である。
【図5】本発明に係る外装材に使用する金属製外装材と金属製化粧カバーの代表的一例を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る外装材の施工順序を示す断面図である。
【図7】本発明に係る外装材の施工順序を示す断面図である。
【図8】本発明に係る外装材の施工順序を示す断面図である。
【図9】本発明に係る外装材に使用する金属製外装材のその他の実施例を示す説明図である。
【図10】本発明に係る外装材に使用する金属製外装材と金属製化粧カバーのその他の実施例を示す説明図である。
【図11】本発明に係る外装材に使用する金属製外装材のその他の実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0028】

α 躯体
β 固定具
β1 頭部
P 外装材
A 金属製外装材
A1 金属製外装材
A2 金属製外装材
B 金属製化粧カバー
C パッキング材
1 表面材
2 化粧面
2a 化粧溝
3 側壁
4 固定部
5 突出片
5−1 突出片
5−2 突出片
6 第1防水片
7 第2防水片
8 固定溝
9 当接片
10 カバー兼固定部
10a 固定孔
11 立ち上がり片
12 係止片
13 カバー片
14 固定溝
15 挿入溝
16 挿入溝
17 芯材
17a 切り欠き
18 裏面材
19 化粧面部
20 側壁化粧面
21 係合片
21a 係合片
21b 係合片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側表面に凹形状からなる固定溝を有する固定部を形成すると共に、他端側表面には前記固定部の固定溝の深さより固定具の頭部の高さ以上に浅い固定溝を形成し、かつ接続時に固定部を表面側から覆うカバー兼固定部を形成し、前記固定部をカバー兼固定部にて覆設した際に、表面側からカバー兼固定部を押圧してこのカバー兼固定部を前記固定部に密着させ、接続時の離脱を防止する離脱防止手段を設けたことを特徴とする外装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−235768(P2009−235768A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82721(P2008−82721)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(390018463)アイジー工業株式会社 (100)
【Fターム(参考)】