外観検査装置及びPTP包装機
【課題】PTPシート等のシール不良等の外観不良を検査可能であり、かつ、検査精度の向上を図ることのできる外観検査装置、及び、PTP包装機を提供する。
【解決手段】外観検査装置24は、照明装置22、CCDカメラ23及び画像処理装置24を備えている。照明手段22及びCCDカメラ23によって、容器フィルムに形成されたシール線が画像データとして得られる。画像処理装置24においては、前記得られた画像データに対して、シール線によって囲まれた平行四辺形部と同一形状かつ同一角度の検査枠が設定されている。該検査枠における相対向する辺同士の合計輝度を比較することで、輝度の低い領域を抽出する。さらに、該領域を示す画像イメージデータを作成し、該画像イメージデータにおける前記領域外の連結成分の面積に基づき、外観不良を検出する。
【解決手段】外観検査装置24は、照明装置22、CCDカメラ23及び画像処理装置24を備えている。照明手段22及びCCDカメラ23によって、容器フィルムに形成されたシール線が画像データとして得られる。画像処理装置24においては、前記得られた画像データに対して、シール線によって囲まれた平行四辺形部と同一形状かつ同一角度の検査枠が設定されている。該検査枠における相対向する辺同士の合計輝度を比較することで、輝度の低い領域を抽出する。さらに、該領域を示す画像イメージデータを作成し、該画像イメージデータにおける前記領域外の連結成分の面積に基づき、外観不良を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポケット部の形成された容器フィルムに密封用フィルムが取着されたPTPシート等のシートのシール不良等の外観不良を検出するための外観検査装置、及び、該外観検査装置を備えたPTP包装機を含む技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、PTPシートは、錠剤等が充填されるポケット部が形成された樹脂製の容器フィルムと、その容器フィルムにポケット部の開口側を密封するように前記容器フィルムに取着されるアルミニウム製の密封用フィルムとから構成されている。
【0003】
前記容器フィルムに対し密封用フィルムを取着する際には、一対のロール間を両フィルムが加熱されつつ圧接状態で通過させられる。一方のロールの表面には、例えば、格子状の凸部が形成されており、前記圧接に際しては該凸部に対応した部分の加圧力が大きくなる。これにより、PTPシートの密封用フィルム側に格子状のシール線が形成されることとなる。
【0004】
ところで、前記PTPシートにおいて、取着された密封用フィルムにシール線が形成されない等の取着不良が生じると、密封性が低下してシール不良となり、充填された錠剤等の使用期限が早まってしまったりするおそれがある。このため、外観検査装置によってシール不良を検出する技術がある。
【0005】
外観検査装置としては、例えば、カメラによりPTPシートを撮像して得た画像をエッジ処理して、密封用フィルムのシール線の抽出された画像を得るものがある。該画像に対して、さらに、シール線幅の拡大処理やノイズ処理等を施した後、シール線のない部分を検出する。そして、検出部分の面積によって、シール不良か否かの判定を行うようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−193954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記外観検査装置におけるエッジ処理では、シールの強弱によってシール線の抽出度合いが変化してしまったり、シール線に沿って2本の線が抽出されてしまったりするおそれがある。また、検査精度の悪化を抑制するためには、エッジ処理後の画像から安定した画像を得る必要があり、複雑な画像処理を施さなければならない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、PTPシート等のシートのシール不良等の外観不良を検査するに際し、複雑な処理を必要とせず、検査精度の向上を図ることのできる外観検査装置、及び、PTP包装機を提供することを主たる目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0009】
手段1.主たるシール部分を格子状のシール線により形成するようにして、2枚のフィルムを互いに取着したシートの外観不良を検査するための外観検査装置であって、
少なくとも前記シートに対して光を照射する照明手段と、
前記照明手段により照射された面を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理装置とを備え、
前記画像信号は、少なくとも前記シール線の画像信号を含むものであり、
前記画像処理装置は、前記画像信号から得た画像データに対し、平行四辺形状の検査枠を用い、該検査枠の相対向する辺上の画素の輝度を比較することで、輝度の低い部分を抽出するとともに、検査範囲について該輝度の低い部分に基づいた画像イメージデータを作成し、該画像イメージデータに基づき、前記シートの外観不良を検査可能に構成されていることを特徴とする外観検査装置。
【0010】
上記手段1によれば、照明手段によって光が照射されたシートが、撮像手段によって撮像され、画像信号として出力される。また、画像信号は、画像処理装置によって処理される。画像信号には、主たるシール部分であるシール線の画像信号も含まれるため、画像信号から得られる画像データにおいて前記シール線を画像として捉えることができる。すなわち、該画像データにおいては、シール線とシール線の形成されていない領域との輝度が異なっており、例えば、シール線の形成された領域の輝度が低くなる。そして、前記画像データに対し、平行四辺形状の検査枠を用いて、該検査枠の相対向する辺上の輝度が比較され、輝度の低い部分が抽出される。これにより、シール線に対応した輝度の低い部分が簡易に抽出できる。該輝度の低い部分に基づき、検査範囲についての画像イメージデータが作成され、該画像イメージデータによって、検査範囲における輝度の低いシール線に対応した領域が認識できる。これにより、シール不良のためシール線が形成されていないノンシール部等が検出可能となる。このため、シートの外観不良を確実に検出・検査できる。また、前記シール線に対応した領域を認識できることにより、シール線を画像イメージデータとして捉えるために、複雑な演算処理や画像処理を施す必要がない。従って、検査処理の高速化を図ることができる。また、複雑な画像処理の際に誤差が生じたり、誤差が拡大したりするおそれがないため、より高精度の検査を行うことができる。加えて、検査枠は画像データに対して用いられており、シート領域の非常に狭い範囲内で輝度が比較されることとなる。このため、比較的巨視的に検査を行なう場合に生じるシールのムラの影響を最小限に抑えることができる。従って、高精度の検査を確実に行うことができる。
【0011】
手段2.前記画像処理装置は、前記画像イメージデータの前記輝度の低い部分を除く部分における連結成分の面積を個々に演算し、該連結成分のうち、少なくとも1つの連結成分の面積が所定値以上のときに、外観不良であると判定することを特徴とする手段1に記載の外観検査装置。
【0012】
上記手段2によれば、画像イメージデータの前記輝度の低い部分を除く部分における連結成分の面積が個々に演算される。輝度の低い部分がシール線に対応している場合には、シール線で囲まれた格子の内側の部分や、シール不良のためにノンシール部が存在する領域では、前記格子の内側の部分が連結したような面積の大きな部分が連結成分となる。このため、連結成分の面積が所定値以上であるか否かを判定することで、外観不良が容易に検出・検査できる。
【0013】
手段3.前記画像処理装置は、前記検査枠の各辺上の画素の合計輝度を用いて前記輝度の比較を行うことを特徴とする手段1または2に記載の外観検査装置。
【0014】
前記検査枠では、相対向する辺において、一方の辺の全体または大部分がシール線の領域内に入り、他方の辺の全体または大部分がシール線の領域外に入っているような場合には、前記相対向する辺上の画素の合計輝度が全く異なる筈である。尚、ここにいう「合計輝度」には、「平均輝度」といった概念も含まれる(手段4等においても同様)。これに対し、相対向する辺の双方がシール線の領域外に入っているような場合には、前記合計輝度(平均輝度も含む)がほぼ同一になる筈である。手段3では、検査枠の相対向する辺上の画素の合計輝度(平均輝度も含む)を用いて比較が行われるため、シール線に対応した領域を容易に、かつ、確実に確認できる。ひいては、シートの外観不良を容易に、かつ、より確実に検出・検査できる。
【0015】
手段4.前記画像処理装置は、相対向する2組の辺に関し、それぞれ前記合計輝度及び前記合計輝度の差または比を演算することで前記輝度を比較し、前記合計輝度の差または比の値が所定の範囲外のとき、前記合計輝度の小さい辺上の画素を前記輝度が低い部分として抽出することを特徴とする手段3に記載の外観検査装置。
【0016】
上記手段4によれば、検査枠の相対向する辺同士で合計輝度の差または比が演算される。そして、検査枠における2つの前記合計輝度の差または比のうち、少なくとも一方の値が所定の範囲外のとき合計輝度の小さい辺上の画素が前記輝度の低い部分として抽出され、その抽出結果に基づきシートの外観不良が検出・検査される。このように、非常に簡易な演算処理を実施するだけで輝度の低い部分を抽出することができる。従って、演算処理に関して、複雑な演算をする必要がなく、処理の高速化を図ることができる。
【0017】
手段5.前記画像処理装置は、前記検査範囲内において前記検査枠を所定の間隔で移動する度に前記輝度の比較を行い、
前記輝度の比較に際して、前記輝度の低い部分を前記検査枠の辺単位で抽出し、
前記画像イメージデータの作成に際して、前記検査範囲内において輝度が低いと判定された辺上の画素全てを抽出することを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の外観検査装置。
【0018】
上記手段5によれば、検査範囲内において前記検査枠が所定の間隔で移動させられる度に、輝度の比較が行われる。この輝度の比較に際しては、検査枠の辺単位で輝度の低い部分が抽出される。このため、検査枠の辺上の輝度の低い部分を詳細な位置まで抽出する場合に比べ、処理を高速化できる。また、前記辺単位で輝度の低い部分を抽出する処理を繰り返すことで、検査範囲内における輝度の低い領域を示す画像イメージデータを容易に構築できる。このため、シール線を画像イメージデータとして捉えるために、複雑な演算処理や画像処理を施す必要がない。従って、検査処理のより一層の高速化を図ることができるとともに、より高精度の検査を行うことができる。
【0019】
手段6.前記シートは、二方向に延びる前記シール線が、各方向において、それぞれ同一幅をなし、等間隔で平行に配置されることで、前記シール線によって囲まれた部分が所定の平行四辺形をなすように取着されたものであって、
前記検査枠は、前記所定の平行四辺形に内接する平行四辺形のサイズ以下に設定されてなることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の外観検査装置。
【0020】
上記手段6によれば、シール線の形成が規則的であり、シール線によって囲まれた部分が所定の平行四辺形をなしている。このようなシートの検査に関し、前記所定の平行四辺形に内接する平行四辺形のサイズ以下に設定された検査枠を用いることで、前記所定の平行四辺形を囲む四方にシール線が形成されているか否かをより確実に検出することができる。このため、検査精度の向上を図ることができる。なお、前記「内接する平行四辺形」には、所定の平行四辺形と同一形状、同一サイズのものも含まれる。
【0021】
手段7.前記二方向に延びるシール線のうち、一方向に延びる第1シール線の幅がxであり、他方向に延びる第2シール線の幅がyであり、
前記検査枠が、aライン、bライン、cライン、dラインからなる平行四辺形であるとともに、相対向し合うaライン及びcラインが前記第1シール線に対してθ1(−90°<θ1<90°)だけ傾き、相対向し合うbライン及びdラインが前記第2シール線に対してθ2(−90°<θ2<90°)だけ傾いている場合に、
前記aラインと前記cラインとの間隔が|x/cosθ1|以上であり、かつ、前記bラインと前記dラインとの間隔が|y/cosθ2|以上であることを特徴とする手段6に記載の外観検査装置。
【0022】
上記手段7のように、検査枠の大きさを設定することにより、検査枠の相対向する辺全体が双方ともに、輝度の低いシール線内に入ってしまうことがない。このため、輝度の比較に際して、検査枠の相対向する辺がともに輝度の低い部分に入ってしまい、輝度の低い部分を抽出することが困難となってしまうといった事態を抑制できる。従って、より確実に輝度の低い部分が抽出でき、その結果、検査精度の一層の向上を図ることができる。
【0023】
手段8.前記検査枠は、前記二方向に延びるシール線の傾斜に沿った平行四辺形であることを特徴とする手段6または7に記載の外観検査装置。
【0024】
検査枠がシール線に対して傾いている場合には、検査枠を構成するライン全体シール線内に治まりにくく、シール線の領域外の画素が輝度の低い部分として抽出されてしまうおそれがある。この点、手段8では、検査枠がシール線の傾斜に沿っているため、シール線の領域外の画素は、輝度の低い部分として抽出されにくい。従って、輝度の低い部分に基づいて作成される画像イメージデータが、シール線の位置を忠実に捉えたものとなり易い。その結果、検査精度のより一層の向上を図ることができる。
【0025】
手段9.前記照明手段は、前記シートの面に対して略垂直方向から照射光を照射可能であるとともに、
前記撮像手段は、前記照射光の照射方向と略同一方向から撮像可能であることを特徴とする手段1乃至8のいずれかに記載の外観検査装置。
【0026】
上記手段9によれば、照明手段による照射光の照射方向と、撮像手段による撮像方向とが略同一であり、シートの面に対して略垂直となっている。このため、シート面と同一方向の平面は明るく撮像され、エッジ等は暗く撮像される。従って、得られる画像データにおいて、シール線の明度が、シール線6により囲まれた部分の明度よりも低くなり、コントラストをはっきりさせることができる。その結果、より高精度の外観検査を行うことができる。
【0027】
手段10.手段1乃至9のいずれかに記載の外観検査装置を備えたことを特徴とするPTP包装機。
【0028】
上記手段10にように、外観検査装置をPTP包装機に備えることで、PTPシートの外観不良の検査において、処理を高速化できるとともに、精度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0030】
本実施形態では、外観検査装置をPTP包装機に装備することによって、PTP包装機内でPTPシートの外観不良が検査されるようになっている。図2(a),(b)に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着された密封用フィルム4とを有している。容器フィルム3は、例えば、PP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の比較的硬質で所定の剛性を有する熱可塑性樹脂材料によって構成され、光透過性を有している(ここでは、透明を呈している。)。密封用フィルム4は、アルミニウムによって構成されている。また、各ポケット部2には被充填物としての錠剤5が1つずつ収容されている。さらに、PTPシート1には、ポケット部2等の非取着部分を除いた取着領域全体において、密封用フィルム4側に微小なへこみによる模様が形成されている。前記へこみは、容器フィルム3と密封用フィルム4とが強固にシールされた部分であり、へこみが所定の格子模様として表れている。該模様は、本実施形態では、図2(c),(d)に示すように、複数のシール線6から構成されている。さらに詳しくは、シール線6は、二方向に延びており、各方向に延びるシール線6は、それぞれ同一幅をなし、等間隔で平行に配設されている。これにより、シール線6によって囲まれた領域には、同一形状の複数の平行四辺形部Qが形成されることとなる。本実施形態では、平行四辺形部Qとして、任意の平行四辺形状をなすこととしているが、これには、正方形、長方形、菱形も含まれる。
【0031】
図3に示すように、PTP包装機7は、錠剤5を容器フィルム3に自動的に包装するものである。具体的には、PP、PVCなどの帯状の樹脂フィルム8をフィルム送りロール9とテンションロール10,11とで、加熱装置12及び成形装置13に送り込み、錠剤5が充填されるポケット部2を樹脂フィルム8に成形する。そして、樹脂フィルム8にポケット部2が成形された容器フィルム3が、充填装置14の下まで送られてくると、充填装置14が各ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する。
【0032】
一方、帯状に形成された密封用フィルム4は、テンションロール16,17を介してフィルム受けロール18の方へと案内されている。フィルム受けロール18には、加熱ロール19が圧接可能となっており、該加熱ロール19の外周面には、僅かに凸状に形成された格子状の線(図示略)が設けられている。そして、両ロール18,19間に、容器フィルム3及び密封用フィルム4が送り込まれるようになっている。両フィルム3,4が、両ロール18,19間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3に密封用フィルム4が取着されるとともに、密封用フィルム4に格子状のシール線6が形成される。これによって、錠剤5が各ポケット部2に充填された長尺状のPTPフィルム20が製造される。
【0033】
前記フィルム受けロール18及び加熱ロール19の下流にはPTPフィルム20の移送経路に沿って、PTPフィルム20の外観不良を検査するための外観検査装置21が配設されている。この外観検査装置21は、密封用フィルム4の取着状態の異常を検出することで検査を行うものである。
【0034】
その後、PTPフィルム20は図示しない打抜装置によってPTPシート1単位に裁断される。なお、外観検査装置21によって不良品判定された場合、その不良品判定となったPTPシートは、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0035】
さて、PTP包装機7の概略は以上のとおりであるが、以下においては図1,4に基づき、外観検査装置21についてより具体的に説明する。
【0036】
外観検査装置21は、照明手段22、撮像手段としてのCCDカメラ23、画像処理装置24及びモニタ25を備えている。
【0037】
照明手段22は、近赤外光を照射可能な光源26、主として平行光を透過させるための平行光フィルター27、及び、近赤外光用のハーフミラー28を有している。CCDカメラ23は、照明手段22から照射される光の波長領域に感度を有するものである。
【0038】
ここで、CCDカメラ23と照明手段22との関係について説明する。CCDカメラ23と照明手段22とは、PTPフィルム20のポケット部2側において配置されている。CCDカメラ23は、PTPフィルム20の平面に対して、略垂直方向から撮像可能となっている。また、照明手段22において、光源26から照射された光は、ハーフミラー28によって反射され、前記CCDカメラ23の撮像方向と略同一方向から照射されるように構成されている。すなわち、照明手段22は、CCDカメラ23に対して同軸照明が可能となっている。そして、照明手段22から照射される近赤外光が、容器フィルム3越しに錠剤5及び密封用フィルム4を照らし、錠剤5及び密封用フィルム4から反射した光が、CCDカメラ23によって二次元撮像されるように構成されている。CCDカメラ23によって撮像された画像データは、画像処理装置24に入力されるようになっている。
【0039】
このとき、照射光は、密封用フィルム4の平面部分では正反射し、エッジ部分等では乱反射する。このため、CCDカメラ23で撮像された画像データにおいては、シール線6の明度が、シール線6により囲まれた平行四辺形部Qの明度よりも低くなり、前記平行四辺形部Qとシール線6とのコントラストが大きくなる(図5(b)参照)。なお、容器フィルム4に品種等の印刷された印刷部がある場合において、印刷部は近赤外光や赤外光を透過させやすいため、容器フィルム4自体と印刷部との明度差が極めて小さくなる。これにより、本実施形態では印刷部を無視して検査することができるようになっている。
【0040】
画像処理装置24は、A/D変換器31、第1の画像メモリ32、マスキング手段33、第2の画像メモリ34、二値化手段35、第3の画像メモリ36、判定用メモリ37、CPU及び入出力インターフェース38、外観検査結果及び統計データメモリ39、カメラタイミング制御手段40などから構成され、後述するような画像データの処理や、外観不良の判定等を実施可能なっている。
【0041】
A/D変換器31は、CCDカメラ23で撮像した二次元イメージデータを、アナログ信号からデジタル信号に変換するものである。A/D変換されたイメージデータは、第1の画像メモリ32に記憶される。
【0042】
また、前記イメージデータは、後述する処理に基づき、マスキング手段33によりマスキング処理が行われた後、第2の画像メモリ34に記憶され、同様に、二値化手段35により二値化された後、第3の画像メモリ36に記憶される。
【0043】
CPU及び入出力インターフェース38は、各種処理プログラムを判定用メモリ37の記憶内容などを使用しつつ実行するとともに、PTP包装機7に制御信号を送出し又はPTP包装機7から動作信号などの各種信号を受信するためのものである。これによって、例えば、PTP包装機7の不良シート排出機構などを制御することができるようになっている。また、CPU及び入出力インターフェース38は、モニタ25に表示データを送出する機能をも有する。かかる機能により、二値あるいは濃淡のイメージデータや外観検査結果などを、モニタ25に表示させることができるようになっている。
【0044】
外観検査結果及び統計データメモリ39は、イメージデータに関する座標等のデータ、外観検査結果データ、及び、該外観検査結果データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶するものである。これらの外観検査結果データや統計データは、CPU及び入出力インターフェース38の制御に基づき、モニタ25に表示させることができる。また、これらの外観検査結果データや統計データに基づいてCPU及び入出力インターフェース38がPTP包装機7に制御信号を送出することもできる。
【0045】
カメラタイミング制御手段40は、CCDカメラ23が撮像するイメージデータを、A/D変換器31に取り込むタイミングを制御するものである。かかるタイミングはPTP包装機7に設けられた図示しないエンコーダからの信号に基づいて制御され、PTPフィルム20を所定量送るごとにCCDカメラ23の撮像が行われる。
【0046】
次に、PTPフィルム20の外観検査の手順とともに、外観不良品が検出される場合の具体例について説明する。図5(a)は、具体例としてのPTPフィルム20の外観検査範囲の一部を模式的に示す平面図であり、容器フィルム4には、シール不良であるシール線6の未形成部分(以降、ノンシール部N)があるものとする。このPTPフィルム20に対し、照射手段22によって照射光が照射される。該照射光の照射されたPTPフィルム20は、CCDカメラ23で撮像され、撮像された画像データが画像処理装置24に入力される。
【0047】
ここで撮像された画像データは、図5(b)に示すように、シール線6の明度が低くなり、シール線6で囲まれた平行四辺形部Qの明度が高くなる。また、シール線6の形成されていないノンシール部Nも平行四辺形部Qと同様に明度が高くなる。
【0048】
そして、画像処理装置24(主として、CPU)では前記撮像された画像データを用いて、図6のフローチャートに示すようなルーチンが実行される。当該ルーチンでは、まずステップS1において、マスキング手段33によって、第1の画像メモリ32に記憶されている画像データについて「マスキング処理」が行われ、第2の画像メモリ34に画像データが記憶される。該マスキング処理は、容器フィルム3と密封用フィルム4とが取着されていないポケット部2に対応する部分をマスキングするものである(マスキング処理の詳細については、公知であるため、ここでの図示及び詳細な説明を省略する。)。ここで、マスキングされた部分からは、外観不良が検出されないようになっている。
【0049】
次に、ステップS2において、第2の画像メモリ34に記憶された画像データに対して、「検査枠Wによる輝度判定処理」が行われる。検査枠Wは、シール線6に基づき設定されている。図7に示すように、本実施形態における検査枠Wは、シール線6の内側の前記平行四辺形部Qと同一形状、かつ、同一角度で設定されている。
【0050】
処理内容について説明すると、まず、前記のように設定されてなる検査枠Wが画像データに配置される。そして、検査枠Wのライン上の画素の輝度をライン毎に合計され、向かい合うラインの合計輝度が一致するか否かが確認される。より詳しくは、検査枠Wが4つの辺(A〜DラインLa,Lb,Lc,Ld)から構成され、AラインLaとCラインLcとが向かい合い、BラインLbとDラインLdとが向かい合うものとする。前記検査枠Wを構成するラインLa,Lb,Lc,Ld上に存在する画素の輝度を各ラインLa,Lb,Lc,Ld毎に合計した合計輝度Sa,Sb,Sc,Sdが算出される。次に、相対向する辺(向かい合うライン)の合計輝度差(絶対値)が算出される。すなわち、AラインLaの合計輝度SaとCラインLcの合計輝度Scとの差D1、及び、BラインLbの合計輝度SbとDラインLdの合計輝度Sdとの差D2が算出される。さらに、合計輝度差D1が判定用メモリ37に記憶されている所定の輝度差基準値Da以上の場合に、AラインLaの合計輝度SaとCラインLcの合計輝度Scとが不一致であると判定される。同様に、合計輝度差D2が判定用メモリ37に記憶されている所定の輝度差基準値Db以上の場合に、BラインLbの合計輝度SbとDラインLdの合計輝度Sdとが不一致であると判定される。
【0051】
具体的には、例えば、図8(a)に示すように、AラインLa全体がシール線6内に配置され、CラインLc全体が平行四辺形部Q内に配置され、BラインLb及びDラインLdの一部分(同一長さ)がシール線6にかかるように配置されている場合には、AラインLaの合計輝度SaとCラインLcの合計輝度Scとが不一致であると判定され、BラインLbの合計輝度SbとDラインLdの合計輝度Sdとが一致していると判定される。また、図8(b)に示すように、AラインLa及びBラインLb全体が平行四辺形部Q内に配置され、CラインLc及びDラインLdの一部分がシール線6にかかるように配置されている場合には、AラインLaの合計輝度Sa及びCラインLcの合計輝度Sc、並びに、BラインLbの合計輝度Sb及びDラインLdの合計輝度Sdの双方ともが不一致であると判定される。さらに、図8(c)に示すように、AラインLa及びCラインLcの一部分(同一長さ)、BラインLb及びDラインLdの一部分(同一長さ)がシール線6にかかるように配置されている場合には、AラインLaの合計輝度Sa及びCラインLcの合計輝度Sc、並びに、BラインLbの合計輝度Sb及びDラインLdの合計輝度Sdの双方ともが一致しているものと判定される。
【0052】
さらに、ステップS3において、前記輝度判定結果に基づき、二値化手段35によって、「二値化処理」が行われる。ここでは、予め検査対象領域に対応した全画素データが「1」(明)とされた二値化イメージデータが準備されている。そして、前記ステップS2で相対向する辺上の画素の合計輝度が不一致と判定された場合にのみ、合計輝度の小さい辺上の画素の二値化イメージデータが「0」(暗)に変換される。
【0053】
詳しくは、AラインLaの合計輝度SaとCラインLcの合計輝度Scとが不一致であると判定された場合には、AラインLaの合計輝度SaとCラインLcの合計輝度Scとが比較される。そして、AラインLaの合計輝度SaがCラインLcの合計輝度Scよりも小さければ、二値化イメージデータにおけるAラインLa上の画素が「0」(暗)に変換される。CラインLcの合計輝度ScがAラインLaの合計輝度Saよりも小さければ、二値化イメージデータにおけるCラインLc上の画素が「0」(暗)に変換される。また、BラインLb及びDラインLdに関しても、同様の処理が行われる。二値化処理された二値化イメージデータは第3の画像メモリ36に記憶される。
【0054】
より、具体的に説明すると、前述した図8(a)のように、AラインLaの合計輝度SaとCラインLcの合計輝度Scとが不一致であり、AラインLaの合計輝度Saが小さいような場合には、図9(a)に示すようにAラインLa上の画素Gが「0」(暗)に変換され、他のB〜DラインLb,Lc,Ld上の画素は変換されない。また、図8(b)のように、2組の相対向する辺における合計輝度が不一致であり、AラインLaの合計輝度Sa及びBラインLbの合計輝度Sbが小さいような場合には、図9(b)に示すようにAラインLa及びBラインLb上の画素Gが「0」(暗)に変換され、CラインLc及びDラインLd上の画素は変換されない。図8(c)のように、2組の相対向する辺における合計輝度が一致する場合には、図9(c)に示すように全てのラインLa〜Ld上の画素が変換されない。
【0055】
なお、ステップS2及びステップS3は、図10に示すように、検査枠Wを1画素ずつ移動させ、検査対象領域全てについて処理を行う。すると、明度の低い部分が「0」(暗)となった二値化イメージデータを得ることができる。すなわち、基本的には、シール線6については暗く、平行四辺形部Q及びノンシール部Nについては明るい二値化イメージデータが得られるのである。
【0056】
次に、図6に戻り、ステップS4において、第3の画像メモリ36に記憶された二値化イメージデータに対して色反転(ネガポジ反転)が行われた後、塊処理が実行される。塊処理としては、二値化イメージデータの「0」(暗)について各連結成分を特定する処理と、それぞれの連結成分についてラベル付けを行うラベル付け処理とがある。これにより、図11に示すように、平行四辺形部Qに対応した塊BQが抽出されることになる。また、ノンシール部Nがある場合には、隣接する平行四辺形部Qが連結した大きな領域に対応した塊BNが抽出される。
【0057】
さらに、ステップS5において、ステップ4で塊処理した連結成分の面積Sxが演算される。ここで、それぞれ特定される各連結成分の占有面積はCCDカメラ23の画素に応じたドット数で表される。
【0058】
そして、ステップS6において、連結成分の面積Sxが判定用メモリ37に記憶された判定基準値Pxと比較される。該判定基準値Pxは、1つの平行四辺形部Qに対応した塊BQのような小さな塊の面積と、ノンシール部Nの存在により複数の平行四辺形部Qが連結した大きな領域に対応した塊BNのような大きな塊の面積とを区別可能に設定されている。そして、連結成分の面積Sxが判定基準値Pxよりも小さい場合には、ステップS7において正常判定が行われる。一方、連結成分の面積Sxが判定基準値Px以上の場合は、ステップS8において異常判定が行われる。これにより、連結成分が平行四辺形部Qに対応した塊BQであれば、正常と判定され、ノンシール部Nが存在する塊BNであれば、異常と判定されることとなる。すなわち、連結成分が外観不良であるか否かが判定される。
【0059】
以上詳述したように、本実施形態によれば、CCDカメラ23によって撮像された画像データに対して、シール線6の内側の平行四辺形部Qに対応して検査枠Wを設定している。このため、シート領域の非常に狭い範囲内で輝度が比較されることとなる。前記画像データは、巨視的に捉えると、容器フィルム4の取着の際のシールのムラによって、シール線6と平行四辺形部Qとのコントラストや、シール線6の太さ等が異なってしまうおそれがある。この点、本実施形態では、非常に狭い範囲内で輝度が比較されることに基づいて不良判定が行われるため、シールのムラの影響を最小限に抑えることができる。従って、高精度の検査を確実に行うことができる。
【0060】
また、検査範囲において検査枠Wを移動させる度に、検査枠Wの相対向する辺上の画素の合計輝度が一致するか否かを判定し、一致しない場合に、二値化処理により検査枠Wにおいて合計輝度の低いライン上の画素を「0」とした二値化イメージデータを作成している。このように、検査枠Wを用いて輝度を比較することにより、シール線6に相当する明度の低い部分を簡易に判定し、ライン単位で二値化を行う処理を繰り返すことで、シール線6に対応した「0」(暗)の領域を非常に容易に構築することができる。このため、シール線6を二値化イメージデータとして捉えるために、複雑な演算処理や画像処理を施す必要がない。従って、検査処理の高速化を図ることができる。また、複雑な画像処理の際に誤差が生じたり、誤差が拡大したりするおそれがないため、より高精度の検査を行うことができる。
【0061】
さらに、検査枠Wは、シール線6に沿っている。検査枠がシール線6に対して傾いている場合には、検査枠を構成するライン全体シール線6内に治まりにくく、シール線6の領域外の画素が二値化処理において「0」(暗)に変更されてしまうおそれがある。この点、本実施形態では、二値化処理において「0」(暗)に変更される画素が、シール線6の領域内に治まり易い。従って、二値化処理によって得られる二値化イメージデータが、当初の画像データ(第2の画像メモリ34に記憶された画像データ)のシール線6や平行四辺形部Qの大きさや位置を忠実に捉えたものとなり易い。また、塊処理によって抽出される塊BQ,BNの面積が、平行四辺形部Qやノンシール部Nの存在する領域の面積に非常に近似することとなる。その結果、連結成分の面積Sxの判定基準値Pxに基づく判定をより確実なものとすることができる。
【0062】
加えて、検査枠Wは、シール線6に囲まれた平行四辺形部Qと同一の大きさとなっている。このため、平行四辺形部Qの周囲四方にシール線6が形成されているか否かをより確実に検出することができる。また、検査枠が小さい場合に比べ、検査枠の移動回数が低減でき、平行四辺形部Qの周囲四方のシール線6を効率よく抽出することができる。
【0063】
併せて、シール線6が形成されていないノンシール部Nが検出可能であるため、特に、シール不良がより確実に検出できる。
【0064】
以上説明した実施の形態において、例えば、次のように構成の一部を適宜変更して実施することも可能である。勿論、以下において例示しない他の変更例も当然可能である。
【0065】
(a)上記実施形態では、検査枠Wは、平行四辺形部Qと同一形状、かつ、同一角度となっているが、必ずしも、前記形態に限定されるものではない。
【0066】
ここで、図12(a),(b)に基づき、別の形態の検査枠について具体的に説明する。基本的には、図12(a)に示すように、検査枠W2は、第1及び第2シール線6a,6bによって囲まれた平行四辺形に内接する平行四辺形の大きさ以下であればよく、角度も特別に限定されるものではない。
【0067】
但し、当該検査枠の最小形状は、以下のようなものが好ましい。図12(b)に従って説明すると、検査枠W3が、a〜dラインla〜ldからなる平行四辺形とし、aラインlaとcラインlcとが第1シール線6aに対してθ1(−90°<θ1<90°)傾き、bラインlbとdラインldとが第2シール線6bに対してθ2(−90°<θ2<90°)傾くものとする。また、第1シール線6aの幅をx、第2シール線6の幅をyとする。このとき、aラインlaとcラインlcとの間隔lxを|x/cosθ1|とし、bラインlbとdラインldとの間隔lyを|y/cosθ2|としたものが最小の検査枠W3として設定される。なお、画像処理は、一般に画素単位で行われるため、前記a〜dラインla〜ldの最小値は1画素分とする。
【0068】
検査枠W3の最小形状を上記のように設定することで、検査枠W3の相対向する辺全体が双方ともに、輝度の低いシール線6内に入ってしまうことがない。このため、輝度の比較に際して、検査枠W3の相対向する辺がともに輝度の低い部分に入ってしまい、輝度の低い部分を抽出することが困難となってしまうといった事態を抑制できる。従って、より確実に輝度の低い部分が抽出でき、その結果、検査精度の一層の向上を図ることができる。
【0069】
(b)また、図13に示すような2つの検査枠W4,W5のそれぞれ相対向する1組の辺を用いて輝度判定処理を行なってもよい。この場合、一方の検査枠W4は、前記相対向する1組の辺m1,m2が第1シール線6aに対して平行な平行四辺形であり、他方の検査枠W5は、前記相対向する辺m3,m4が第2シール線6bに対して平行な平行四辺形である。これにより、一方の検査枠W4により、主として第1シール線6aの二値化処理が行われ、他方の検査枠W5により、主として第2シール線6bの二値化処理が行われることとなる。
【0070】
(c)外観検査装置21は、容器フィルム3側から撮像するようになっているが、密封用フィルム4側から撮像するようにしても差し支えない。また、帯状のPTPフィルム20の状態で検査を行っているが、シート単位に裁断されたPTPシート1を検査してもよい。
【0071】
(d)照明手段22は近赤外光を照射するようになっているが、赤外光や可視光を照射する照明手段であっても差し支えない。
【0072】
(e)検査枠Wによる輝度判定処理では、合計輝度差D1,D2に基づき判定を行っているが、検査枠Wの相対向する辺上の輝度が比較できればよいのであって、必ずしも合計輝度差D1,D2を用いる必要はない。例えば、各辺上の合計輝度の比に基づいて判定を行なってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】外観検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】(a)はPTPシートを示す斜視図であり、(b)はPTPシートを示す部分拡大断面図であり、(c)はPTPシートの一部を密封用フィルム側から見た場合の平面図であり、(d)は(c)の部分拡大図である。
【図3】PTP包装機等の概略構成を示す模式図である。
【図4】照明手段とCCDカメラの関係を示す模式図である。
【図5】ノンシール部の存在するPTPフィルムの外観検査範囲の一部を模式的に示す平面図であって、(a)は、密封用フィルムの部分拡大図であり、(b)は(a)を撮像して得た画像データである。
【図6】画像処理装置により実行されるルーチンを示すフローチャートである。
【図7】検査枠を説明するための図である。
【図8】検査枠とシール線の位置関係を示す図であって、(a)は検査枠の一辺がシール線内に入っている場合であって、(b)は検査枠の二辺がシール線内に入っている場合であって、(c)は検査枠の各辺の一部分がシール線内に入っている場合の図である。
【図9】二値化処理を説明するための図であって、(a),(b)はともに合計輝度が不一致と判定され、シール線内に入っているライン上の画素が「0」に変換された場合の二値化イメージデータを示す図であり、(c)は、合計輝度が一致と判定され、画素の「0」への変換が行われない場合の二値化イメージデータを示す図である。
【図10】検査枠を一画素数毎に移動させる様子を示す図である。
【図11】ノンシール部の存在する二値化処理後の二値化イメージデータを示す図である。
【図12】別の形態の検査枠を説明するための図であって、(a)は、シール線6によって囲まれた平行四辺形に内接する検査枠を示す図であり、(b)は最小形状の検査枠を説明するための図である。
【図13】別の形態の検査枠を説明するための図であって、2つの検査枠を用いる場合である。
【符号の説明】
【0074】
1…シートとしてのPTPシート、3…フィルムとしての容器フィルム、4…フィルムとしての密封用フィルム、6…シール線、7…PTP包装機、21…外観検査装置、22…照明手段、23…撮像手段としてのCCDカメラ、24…画像処理装置、W・W2・W3・W4・W5…検査枠、6a…第1シール線、6b…第2シール線、la…aライン、lb…bライン、lc…cライン、ld…dライン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポケット部の形成された容器フィルムに密封用フィルムが取着されたPTPシート等のシートのシール不良等の外観不良を検出するための外観検査装置、及び、該外観検査装置を備えたPTP包装機を含む技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、PTPシートは、錠剤等が充填されるポケット部が形成された樹脂製の容器フィルムと、その容器フィルムにポケット部の開口側を密封するように前記容器フィルムに取着されるアルミニウム製の密封用フィルムとから構成されている。
【0003】
前記容器フィルムに対し密封用フィルムを取着する際には、一対のロール間を両フィルムが加熱されつつ圧接状態で通過させられる。一方のロールの表面には、例えば、格子状の凸部が形成されており、前記圧接に際しては該凸部に対応した部分の加圧力が大きくなる。これにより、PTPシートの密封用フィルム側に格子状のシール線が形成されることとなる。
【0004】
ところで、前記PTPシートにおいて、取着された密封用フィルムにシール線が形成されない等の取着不良が生じると、密封性が低下してシール不良となり、充填された錠剤等の使用期限が早まってしまったりするおそれがある。このため、外観検査装置によってシール不良を検出する技術がある。
【0005】
外観検査装置としては、例えば、カメラによりPTPシートを撮像して得た画像をエッジ処理して、密封用フィルムのシール線の抽出された画像を得るものがある。該画像に対して、さらに、シール線幅の拡大処理やノイズ処理等を施した後、シール線のない部分を検出する。そして、検出部分の面積によって、シール不良か否かの判定を行うようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−193954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記外観検査装置におけるエッジ処理では、シールの強弱によってシール線の抽出度合いが変化してしまったり、シール線に沿って2本の線が抽出されてしまったりするおそれがある。また、検査精度の悪化を抑制するためには、エッジ処理後の画像から安定した画像を得る必要があり、複雑な画像処理を施さなければならない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、PTPシート等のシートのシール不良等の外観不良を検査するに際し、複雑な処理を必要とせず、検査精度の向上を図ることのできる外観検査装置、及び、PTP包装機を提供することを主たる目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0009】
手段1.主たるシール部分を格子状のシール線により形成するようにして、2枚のフィルムを互いに取着したシートの外観不良を検査するための外観検査装置であって、
少なくとも前記シートに対して光を照射する照明手段と、
前記照明手段により照射された面を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理装置とを備え、
前記画像信号は、少なくとも前記シール線の画像信号を含むものであり、
前記画像処理装置は、前記画像信号から得た画像データに対し、平行四辺形状の検査枠を用い、該検査枠の相対向する辺上の画素の輝度を比較することで、輝度の低い部分を抽出するとともに、検査範囲について該輝度の低い部分に基づいた画像イメージデータを作成し、該画像イメージデータに基づき、前記シートの外観不良を検査可能に構成されていることを特徴とする外観検査装置。
【0010】
上記手段1によれば、照明手段によって光が照射されたシートが、撮像手段によって撮像され、画像信号として出力される。また、画像信号は、画像処理装置によって処理される。画像信号には、主たるシール部分であるシール線の画像信号も含まれるため、画像信号から得られる画像データにおいて前記シール線を画像として捉えることができる。すなわち、該画像データにおいては、シール線とシール線の形成されていない領域との輝度が異なっており、例えば、シール線の形成された領域の輝度が低くなる。そして、前記画像データに対し、平行四辺形状の検査枠を用いて、該検査枠の相対向する辺上の輝度が比較され、輝度の低い部分が抽出される。これにより、シール線に対応した輝度の低い部分が簡易に抽出できる。該輝度の低い部分に基づき、検査範囲についての画像イメージデータが作成され、該画像イメージデータによって、検査範囲における輝度の低いシール線に対応した領域が認識できる。これにより、シール不良のためシール線が形成されていないノンシール部等が検出可能となる。このため、シートの外観不良を確実に検出・検査できる。また、前記シール線に対応した領域を認識できることにより、シール線を画像イメージデータとして捉えるために、複雑な演算処理や画像処理を施す必要がない。従って、検査処理の高速化を図ることができる。また、複雑な画像処理の際に誤差が生じたり、誤差が拡大したりするおそれがないため、より高精度の検査を行うことができる。加えて、検査枠は画像データに対して用いられており、シート領域の非常に狭い範囲内で輝度が比較されることとなる。このため、比較的巨視的に検査を行なう場合に生じるシールのムラの影響を最小限に抑えることができる。従って、高精度の検査を確実に行うことができる。
【0011】
手段2.前記画像処理装置は、前記画像イメージデータの前記輝度の低い部分を除く部分における連結成分の面積を個々に演算し、該連結成分のうち、少なくとも1つの連結成分の面積が所定値以上のときに、外観不良であると判定することを特徴とする手段1に記載の外観検査装置。
【0012】
上記手段2によれば、画像イメージデータの前記輝度の低い部分を除く部分における連結成分の面積が個々に演算される。輝度の低い部分がシール線に対応している場合には、シール線で囲まれた格子の内側の部分や、シール不良のためにノンシール部が存在する領域では、前記格子の内側の部分が連結したような面積の大きな部分が連結成分となる。このため、連結成分の面積が所定値以上であるか否かを判定することで、外観不良が容易に検出・検査できる。
【0013】
手段3.前記画像処理装置は、前記検査枠の各辺上の画素の合計輝度を用いて前記輝度の比較を行うことを特徴とする手段1または2に記載の外観検査装置。
【0014】
前記検査枠では、相対向する辺において、一方の辺の全体または大部分がシール線の領域内に入り、他方の辺の全体または大部分がシール線の領域外に入っているような場合には、前記相対向する辺上の画素の合計輝度が全く異なる筈である。尚、ここにいう「合計輝度」には、「平均輝度」といった概念も含まれる(手段4等においても同様)。これに対し、相対向する辺の双方がシール線の領域外に入っているような場合には、前記合計輝度(平均輝度も含む)がほぼ同一になる筈である。手段3では、検査枠の相対向する辺上の画素の合計輝度(平均輝度も含む)を用いて比較が行われるため、シール線に対応した領域を容易に、かつ、確実に確認できる。ひいては、シートの外観不良を容易に、かつ、より確実に検出・検査できる。
【0015】
手段4.前記画像処理装置は、相対向する2組の辺に関し、それぞれ前記合計輝度及び前記合計輝度の差または比を演算することで前記輝度を比較し、前記合計輝度の差または比の値が所定の範囲外のとき、前記合計輝度の小さい辺上の画素を前記輝度が低い部分として抽出することを特徴とする手段3に記載の外観検査装置。
【0016】
上記手段4によれば、検査枠の相対向する辺同士で合計輝度の差または比が演算される。そして、検査枠における2つの前記合計輝度の差または比のうち、少なくとも一方の値が所定の範囲外のとき合計輝度の小さい辺上の画素が前記輝度の低い部分として抽出され、その抽出結果に基づきシートの外観不良が検出・検査される。このように、非常に簡易な演算処理を実施するだけで輝度の低い部分を抽出することができる。従って、演算処理に関して、複雑な演算をする必要がなく、処理の高速化を図ることができる。
【0017】
手段5.前記画像処理装置は、前記検査範囲内において前記検査枠を所定の間隔で移動する度に前記輝度の比較を行い、
前記輝度の比較に際して、前記輝度の低い部分を前記検査枠の辺単位で抽出し、
前記画像イメージデータの作成に際して、前記検査範囲内において輝度が低いと判定された辺上の画素全てを抽出することを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の外観検査装置。
【0018】
上記手段5によれば、検査範囲内において前記検査枠が所定の間隔で移動させられる度に、輝度の比較が行われる。この輝度の比較に際しては、検査枠の辺単位で輝度の低い部分が抽出される。このため、検査枠の辺上の輝度の低い部分を詳細な位置まで抽出する場合に比べ、処理を高速化できる。また、前記辺単位で輝度の低い部分を抽出する処理を繰り返すことで、検査範囲内における輝度の低い領域を示す画像イメージデータを容易に構築できる。このため、シール線を画像イメージデータとして捉えるために、複雑な演算処理や画像処理を施す必要がない。従って、検査処理のより一層の高速化を図ることができるとともに、より高精度の検査を行うことができる。
【0019】
手段6.前記シートは、二方向に延びる前記シール線が、各方向において、それぞれ同一幅をなし、等間隔で平行に配置されることで、前記シール線によって囲まれた部分が所定の平行四辺形をなすように取着されたものであって、
前記検査枠は、前記所定の平行四辺形に内接する平行四辺形のサイズ以下に設定されてなることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の外観検査装置。
【0020】
上記手段6によれば、シール線の形成が規則的であり、シール線によって囲まれた部分が所定の平行四辺形をなしている。このようなシートの検査に関し、前記所定の平行四辺形に内接する平行四辺形のサイズ以下に設定された検査枠を用いることで、前記所定の平行四辺形を囲む四方にシール線が形成されているか否かをより確実に検出することができる。このため、検査精度の向上を図ることができる。なお、前記「内接する平行四辺形」には、所定の平行四辺形と同一形状、同一サイズのものも含まれる。
【0021】
手段7.前記二方向に延びるシール線のうち、一方向に延びる第1シール線の幅がxであり、他方向に延びる第2シール線の幅がyであり、
前記検査枠が、aライン、bライン、cライン、dラインからなる平行四辺形であるとともに、相対向し合うaライン及びcラインが前記第1シール線に対してθ1(−90°<θ1<90°)だけ傾き、相対向し合うbライン及びdラインが前記第2シール線に対してθ2(−90°<θ2<90°)だけ傾いている場合に、
前記aラインと前記cラインとの間隔が|x/cosθ1|以上であり、かつ、前記bラインと前記dラインとの間隔が|y/cosθ2|以上であることを特徴とする手段6に記載の外観検査装置。
【0022】
上記手段7のように、検査枠の大きさを設定することにより、検査枠の相対向する辺全体が双方ともに、輝度の低いシール線内に入ってしまうことがない。このため、輝度の比較に際して、検査枠の相対向する辺がともに輝度の低い部分に入ってしまい、輝度の低い部分を抽出することが困難となってしまうといった事態を抑制できる。従って、より確実に輝度の低い部分が抽出でき、その結果、検査精度の一層の向上を図ることができる。
【0023】
手段8.前記検査枠は、前記二方向に延びるシール線の傾斜に沿った平行四辺形であることを特徴とする手段6または7に記載の外観検査装置。
【0024】
検査枠がシール線に対して傾いている場合には、検査枠を構成するライン全体シール線内に治まりにくく、シール線の領域外の画素が輝度の低い部分として抽出されてしまうおそれがある。この点、手段8では、検査枠がシール線の傾斜に沿っているため、シール線の領域外の画素は、輝度の低い部分として抽出されにくい。従って、輝度の低い部分に基づいて作成される画像イメージデータが、シール線の位置を忠実に捉えたものとなり易い。その結果、検査精度のより一層の向上を図ることができる。
【0025】
手段9.前記照明手段は、前記シートの面に対して略垂直方向から照射光を照射可能であるとともに、
前記撮像手段は、前記照射光の照射方向と略同一方向から撮像可能であることを特徴とする手段1乃至8のいずれかに記載の外観検査装置。
【0026】
上記手段9によれば、照明手段による照射光の照射方向と、撮像手段による撮像方向とが略同一であり、シートの面に対して略垂直となっている。このため、シート面と同一方向の平面は明るく撮像され、エッジ等は暗く撮像される。従って、得られる画像データにおいて、シール線の明度が、シール線6により囲まれた部分の明度よりも低くなり、コントラストをはっきりさせることができる。その結果、より高精度の外観検査を行うことができる。
【0027】
手段10.手段1乃至9のいずれかに記載の外観検査装置を備えたことを特徴とするPTP包装機。
【0028】
上記手段10にように、外観検査装置をPTP包装機に備えることで、PTPシートの外観不良の検査において、処理を高速化できるとともに、精度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0030】
本実施形態では、外観検査装置をPTP包装機に装備することによって、PTP包装機内でPTPシートの外観不良が検査されるようになっている。図2(a),(b)に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着された密封用フィルム4とを有している。容器フィルム3は、例えば、PP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の比較的硬質で所定の剛性を有する熱可塑性樹脂材料によって構成され、光透過性を有している(ここでは、透明を呈している。)。密封用フィルム4は、アルミニウムによって構成されている。また、各ポケット部2には被充填物としての錠剤5が1つずつ収容されている。さらに、PTPシート1には、ポケット部2等の非取着部分を除いた取着領域全体において、密封用フィルム4側に微小なへこみによる模様が形成されている。前記へこみは、容器フィルム3と密封用フィルム4とが強固にシールされた部分であり、へこみが所定の格子模様として表れている。該模様は、本実施形態では、図2(c),(d)に示すように、複数のシール線6から構成されている。さらに詳しくは、シール線6は、二方向に延びており、各方向に延びるシール線6は、それぞれ同一幅をなし、等間隔で平行に配設されている。これにより、シール線6によって囲まれた領域には、同一形状の複数の平行四辺形部Qが形成されることとなる。本実施形態では、平行四辺形部Qとして、任意の平行四辺形状をなすこととしているが、これには、正方形、長方形、菱形も含まれる。
【0031】
図3に示すように、PTP包装機7は、錠剤5を容器フィルム3に自動的に包装するものである。具体的には、PP、PVCなどの帯状の樹脂フィルム8をフィルム送りロール9とテンションロール10,11とで、加熱装置12及び成形装置13に送り込み、錠剤5が充填されるポケット部2を樹脂フィルム8に成形する。そして、樹脂フィルム8にポケット部2が成形された容器フィルム3が、充填装置14の下まで送られてくると、充填装置14が各ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する。
【0032】
一方、帯状に形成された密封用フィルム4は、テンションロール16,17を介してフィルム受けロール18の方へと案内されている。フィルム受けロール18には、加熱ロール19が圧接可能となっており、該加熱ロール19の外周面には、僅かに凸状に形成された格子状の線(図示略)が設けられている。そして、両ロール18,19間に、容器フィルム3及び密封用フィルム4が送り込まれるようになっている。両フィルム3,4が、両ロール18,19間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3に密封用フィルム4が取着されるとともに、密封用フィルム4に格子状のシール線6が形成される。これによって、錠剤5が各ポケット部2に充填された長尺状のPTPフィルム20が製造される。
【0033】
前記フィルム受けロール18及び加熱ロール19の下流にはPTPフィルム20の移送経路に沿って、PTPフィルム20の外観不良を検査するための外観検査装置21が配設されている。この外観検査装置21は、密封用フィルム4の取着状態の異常を検出することで検査を行うものである。
【0034】
その後、PTPフィルム20は図示しない打抜装置によってPTPシート1単位に裁断される。なお、外観検査装置21によって不良品判定された場合、その不良品判定となったPTPシートは、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0035】
さて、PTP包装機7の概略は以上のとおりであるが、以下においては図1,4に基づき、外観検査装置21についてより具体的に説明する。
【0036】
外観検査装置21は、照明手段22、撮像手段としてのCCDカメラ23、画像処理装置24及びモニタ25を備えている。
【0037】
照明手段22は、近赤外光を照射可能な光源26、主として平行光を透過させるための平行光フィルター27、及び、近赤外光用のハーフミラー28を有している。CCDカメラ23は、照明手段22から照射される光の波長領域に感度を有するものである。
【0038】
ここで、CCDカメラ23と照明手段22との関係について説明する。CCDカメラ23と照明手段22とは、PTPフィルム20のポケット部2側において配置されている。CCDカメラ23は、PTPフィルム20の平面に対して、略垂直方向から撮像可能となっている。また、照明手段22において、光源26から照射された光は、ハーフミラー28によって反射され、前記CCDカメラ23の撮像方向と略同一方向から照射されるように構成されている。すなわち、照明手段22は、CCDカメラ23に対して同軸照明が可能となっている。そして、照明手段22から照射される近赤外光が、容器フィルム3越しに錠剤5及び密封用フィルム4を照らし、錠剤5及び密封用フィルム4から反射した光が、CCDカメラ23によって二次元撮像されるように構成されている。CCDカメラ23によって撮像された画像データは、画像処理装置24に入力されるようになっている。
【0039】
このとき、照射光は、密封用フィルム4の平面部分では正反射し、エッジ部分等では乱反射する。このため、CCDカメラ23で撮像された画像データにおいては、シール線6の明度が、シール線6により囲まれた平行四辺形部Qの明度よりも低くなり、前記平行四辺形部Qとシール線6とのコントラストが大きくなる(図5(b)参照)。なお、容器フィルム4に品種等の印刷された印刷部がある場合において、印刷部は近赤外光や赤外光を透過させやすいため、容器フィルム4自体と印刷部との明度差が極めて小さくなる。これにより、本実施形態では印刷部を無視して検査することができるようになっている。
【0040】
画像処理装置24は、A/D変換器31、第1の画像メモリ32、マスキング手段33、第2の画像メモリ34、二値化手段35、第3の画像メモリ36、判定用メモリ37、CPU及び入出力インターフェース38、外観検査結果及び統計データメモリ39、カメラタイミング制御手段40などから構成され、後述するような画像データの処理や、外観不良の判定等を実施可能なっている。
【0041】
A/D変換器31は、CCDカメラ23で撮像した二次元イメージデータを、アナログ信号からデジタル信号に変換するものである。A/D変換されたイメージデータは、第1の画像メモリ32に記憶される。
【0042】
また、前記イメージデータは、後述する処理に基づき、マスキング手段33によりマスキング処理が行われた後、第2の画像メモリ34に記憶され、同様に、二値化手段35により二値化された後、第3の画像メモリ36に記憶される。
【0043】
CPU及び入出力インターフェース38は、各種処理プログラムを判定用メモリ37の記憶内容などを使用しつつ実行するとともに、PTP包装機7に制御信号を送出し又はPTP包装機7から動作信号などの各種信号を受信するためのものである。これによって、例えば、PTP包装機7の不良シート排出機構などを制御することができるようになっている。また、CPU及び入出力インターフェース38は、モニタ25に表示データを送出する機能をも有する。かかる機能により、二値あるいは濃淡のイメージデータや外観検査結果などを、モニタ25に表示させることができるようになっている。
【0044】
外観検査結果及び統計データメモリ39は、イメージデータに関する座標等のデータ、外観検査結果データ、及び、該外観検査結果データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶するものである。これらの外観検査結果データや統計データは、CPU及び入出力インターフェース38の制御に基づき、モニタ25に表示させることができる。また、これらの外観検査結果データや統計データに基づいてCPU及び入出力インターフェース38がPTP包装機7に制御信号を送出することもできる。
【0045】
カメラタイミング制御手段40は、CCDカメラ23が撮像するイメージデータを、A/D変換器31に取り込むタイミングを制御するものである。かかるタイミングはPTP包装機7に設けられた図示しないエンコーダからの信号に基づいて制御され、PTPフィルム20を所定量送るごとにCCDカメラ23の撮像が行われる。
【0046】
次に、PTPフィルム20の外観検査の手順とともに、外観不良品が検出される場合の具体例について説明する。図5(a)は、具体例としてのPTPフィルム20の外観検査範囲の一部を模式的に示す平面図であり、容器フィルム4には、シール不良であるシール線6の未形成部分(以降、ノンシール部N)があるものとする。このPTPフィルム20に対し、照射手段22によって照射光が照射される。該照射光の照射されたPTPフィルム20は、CCDカメラ23で撮像され、撮像された画像データが画像処理装置24に入力される。
【0047】
ここで撮像された画像データは、図5(b)に示すように、シール線6の明度が低くなり、シール線6で囲まれた平行四辺形部Qの明度が高くなる。また、シール線6の形成されていないノンシール部Nも平行四辺形部Qと同様に明度が高くなる。
【0048】
そして、画像処理装置24(主として、CPU)では前記撮像された画像データを用いて、図6のフローチャートに示すようなルーチンが実行される。当該ルーチンでは、まずステップS1において、マスキング手段33によって、第1の画像メモリ32に記憶されている画像データについて「マスキング処理」が行われ、第2の画像メモリ34に画像データが記憶される。該マスキング処理は、容器フィルム3と密封用フィルム4とが取着されていないポケット部2に対応する部分をマスキングするものである(マスキング処理の詳細については、公知であるため、ここでの図示及び詳細な説明を省略する。)。ここで、マスキングされた部分からは、外観不良が検出されないようになっている。
【0049】
次に、ステップS2において、第2の画像メモリ34に記憶された画像データに対して、「検査枠Wによる輝度判定処理」が行われる。検査枠Wは、シール線6に基づき設定されている。図7に示すように、本実施形態における検査枠Wは、シール線6の内側の前記平行四辺形部Qと同一形状、かつ、同一角度で設定されている。
【0050】
処理内容について説明すると、まず、前記のように設定されてなる検査枠Wが画像データに配置される。そして、検査枠Wのライン上の画素の輝度をライン毎に合計され、向かい合うラインの合計輝度が一致するか否かが確認される。より詳しくは、検査枠Wが4つの辺(A〜DラインLa,Lb,Lc,Ld)から構成され、AラインLaとCラインLcとが向かい合い、BラインLbとDラインLdとが向かい合うものとする。前記検査枠Wを構成するラインLa,Lb,Lc,Ld上に存在する画素の輝度を各ラインLa,Lb,Lc,Ld毎に合計した合計輝度Sa,Sb,Sc,Sdが算出される。次に、相対向する辺(向かい合うライン)の合計輝度差(絶対値)が算出される。すなわち、AラインLaの合計輝度SaとCラインLcの合計輝度Scとの差D1、及び、BラインLbの合計輝度SbとDラインLdの合計輝度Sdとの差D2が算出される。さらに、合計輝度差D1が判定用メモリ37に記憶されている所定の輝度差基準値Da以上の場合に、AラインLaの合計輝度SaとCラインLcの合計輝度Scとが不一致であると判定される。同様に、合計輝度差D2が判定用メモリ37に記憶されている所定の輝度差基準値Db以上の場合に、BラインLbの合計輝度SbとDラインLdの合計輝度Sdとが不一致であると判定される。
【0051】
具体的には、例えば、図8(a)に示すように、AラインLa全体がシール線6内に配置され、CラインLc全体が平行四辺形部Q内に配置され、BラインLb及びDラインLdの一部分(同一長さ)がシール線6にかかるように配置されている場合には、AラインLaの合計輝度SaとCラインLcの合計輝度Scとが不一致であると判定され、BラインLbの合計輝度SbとDラインLdの合計輝度Sdとが一致していると判定される。また、図8(b)に示すように、AラインLa及びBラインLb全体が平行四辺形部Q内に配置され、CラインLc及びDラインLdの一部分がシール線6にかかるように配置されている場合には、AラインLaの合計輝度Sa及びCラインLcの合計輝度Sc、並びに、BラインLbの合計輝度Sb及びDラインLdの合計輝度Sdの双方ともが不一致であると判定される。さらに、図8(c)に示すように、AラインLa及びCラインLcの一部分(同一長さ)、BラインLb及びDラインLdの一部分(同一長さ)がシール線6にかかるように配置されている場合には、AラインLaの合計輝度Sa及びCラインLcの合計輝度Sc、並びに、BラインLbの合計輝度Sb及びDラインLdの合計輝度Sdの双方ともが一致しているものと判定される。
【0052】
さらに、ステップS3において、前記輝度判定結果に基づき、二値化手段35によって、「二値化処理」が行われる。ここでは、予め検査対象領域に対応した全画素データが「1」(明)とされた二値化イメージデータが準備されている。そして、前記ステップS2で相対向する辺上の画素の合計輝度が不一致と判定された場合にのみ、合計輝度の小さい辺上の画素の二値化イメージデータが「0」(暗)に変換される。
【0053】
詳しくは、AラインLaの合計輝度SaとCラインLcの合計輝度Scとが不一致であると判定された場合には、AラインLaの合計輝度SaとCラインLcの合計輝度Scとが比較される。そして、AラインLaの合計輝度SaがCラインLcの合計輝度Scよりも小さければ、二値化イメージデータにおけるAラインLa上の画素が「0」(暗)に変換される。CラインLcの合計輝度ScがAラインLaの合計輝度Saよりも小さければ、二値化イメージデータにおけるCラインLc上の画素が「0」(暗)に変換される。また、BラインLb及びDラインLdに関しても、同様の処理が行われる。二値化処理された二値化イメージデータは第3の画像メモリ36に記憶される。
【0054】
より、具体的に説明すると、前述した図8(a)のように、AラインLaの合計輝度SaとCラインLcの合計輝度Scとが不一致であり、AラインLaの合計輝度Saが小さいような場合には、図9(a)に示すようにAラインLa上の画素Gが「0」(暗)に変換され、他のB〜DラインLb,Lc,Ld上の画素は変換されない。また、図8(b)のように、2組の相対向する辺における合計輝度が不一致であり、AラインLaの合計輝度Sa及びBラインLbの合計輝度Sbが小さいような場合には、図9(b)に示すようにAラインLa及びBラインLb上の画素Gが「0」(暗)に変換され、CラインLc及びDラインLd上の画素は変換されない。図8(c)のように、2組の相対向する辺における合計輝度が一致する場合には、図9(c)に示すように全てのラインLa〜Ld上の画素が変換されない。
【0055】
なお、ステップS2及びステップS3は、図10に示すように、検査枠Wを1画素ずつ移動させ、検査対象領域全てについて処理を行う。すると、明度の低い部分が「0」(暗)となった二値化イメージデータを得ることができる。すなわち、基本的には、シール線6については暗く、平行四辺形部Q及びノンシール部Nについては明るい二値化イメージデータが得られるのである。
【0056】
次に、図6に戻り、ステップS4において、第3の画像メモリ36に記憶された二値化イメージデータに対して色反転(ネガポジ反転)が行われた後、塊処理が実行される。塊処理としては、二値化イメージデータの「0」(暗)について各連結成分を特定する処理と、それぞれの連結成分についてラベル付けを行うラベル付け処理とがある。これにより、図11に示すように、平行四辺形部Qに対応した塊BQが抽出されることになる。また、ノンシール部Nがある場合には、隣接する平行四辺形部Qが連結した大きな領域に対応した塊BNが抽出される。
【0057】
さらに、ステップS5において、ステップ4で塊処理した連結成分の面積Sxが演算される。ここで、それぞれ特定される各連結成分の占有面積はCCDカメラ23の画素に応じたドット数で表される。
【0058】
そして、ステップS6において、連結成分の面積Sxが判定用メモリ37に記憶された判定基準値Pxと比較される。該判定基準値Pxは、1つの平行四辺形部Qに対応した塊BQのような小さな塊の面積と、ノンシール部Nの存在により複数の平行四辺形部Qが連結した大きな領域に対応した塊BNのような大きな塊の面積とを区別可能に設定されている。そして、連結成分の面積Sxが判定基準値Pxよりも小さい場合には、ステップS7において正常判定が行われる。一方、連結成分の面積Sxが判定基準値Px以上の場合は、ステップS8において異常判定が行われる。これにより、連結成分が平行四辺形部Qに対応した塊BQであれば、正常と判定され、ノンシール部Nが存在する塊BNであれば、異常と判定されることとなる。すなわち、連結成分が外観不良であるか否かが判定される。
【0059】
以上詳述したように、本実施形態によれば、CCDカメラ23によって撮像された画像データに対して、シール線6の内側の平行四辺形部Qに対応して検査枠Wを設定している。このため、シート領域の非常に狭い範囲内で輝度が比較されることとなる。前記画像データは、巨視的に捉えると、容器フィルム4の取着の際のシールのムラによって、シール線6と平行四辺形部Qとのコントラストや、シール線6の太さ等が異なってしまうおそれがある。この点、本実施形態では、非常に狭い範囲内で輝度が比較されることに基づいて不良判定が行われるため、シールのムラの影響を最小限に抑えることができる。従って、高精度の検査を確実に行うことができる。
【0060】
また、検査範囲において検査枠Wを移動させる度に、検査枠Wの相対向する辺上の画素の合計輝度が一致するか否かを判定し、一致しない場合に、二値化処理により検査枠Wにおいて合計輝度の低いライン上の画素を「0」とした二値化イメージデータを作成している。このように、検査枠Wを用いて輝度を比較することにより、シール線6に相当する明度の低い部分を簡易に判定し、ライン単位で二値化を行う処理を繰り返すことで、シール線6に対応した「0」(暗)の領域を非常に容易に構築することができる。このため、シール線6を二値化イメージデータとして捉えるために、複雑な演算処理や画像処理を施す必要がない。従って、検査処理の高速化を図ることができる。また、複雑な画像処理の際に誤差が生じたり、誤差が拡大したりするおそれがないため、より高精度の検査を行うことができる。
【0061】
さらに、検査枠Wは、シール線6に沿っている。検査枠がシール線6に対して傾いている場合には、検査枠を構成するライン全体シール線6内に治まりにくく、シール線6の領域外の画素が二値化処理において「0」(暗)に変更されてしまうおそれがある。この点、本実施形態では、二値化処理において「0」(暗)に変更される画素が、シール線6の領域内に治まり易い。従って、二値化処理によって得られる二値化イメージデータが、当初の画像データ(第2の画像メモリ34に記憶された画像データ)のシール線6や平行四辺形部Qの大きさや位置を忠実に捉えたものとなり易い。また、塊処理によって抽出される塊BQ,BNの面積が、平行四辺形部Qやノンシール部Nの存在する領域の面積に非常に近似することとなる。その結果、連結成分の面積Sxの判定基準値Pxに基づく判定をより確実なものとすることができる。
【0062】
加えて、検査枠Wは、シール線6に囲まれた平行四辺形部Qと同一の大きさとなっている。このため、平行四辺形部Qの周囲四方にシール線6が形成されているか否かをより確実に検出することができる。また、検査枠が小さい場合に比べ、検査枠の移動回数が低減でき、平行四辺形部Qの周囲四方のシール線6を効率よく抽出することができる。
【0063】
併せて、シール線6が形成されていないノンシール部Nが検出可能であるため、特に、シール不良がより確実に検出できる。
【0064】
以上説明した実施の形態において、例えば、次のように構成の一部を適宜変更して実施することも可能である。勿論、以下において例示しない他の変更例も当然可能である。
【0065】
(a)上記実施形態では、検査枠Wは、平行四辺形部Qと同一形状、かつ、同一角度となっているが、必ずしも、前記形態に限定されるものではない。
【0066】
ここで、図12(a),(b)に基づき、別の形態の検査枠について具体的に説明する。基本的には、図12(a)に示すように、検査枠W2は、第1及び第2シール線6a,6bによって囲まれた平行四辺形に内接する平行四辺形の大きさ以下であればよく、角度も特別に限定されるものではない。
【0067】
但し、当該検査枠の最小形状は、以下のようなものが好ましい。図12(b)に従って説明すると、検査枠W3が、a〜dラインla〜ldからなる平行四辺形とし、aラインlaとcラインlcとが第1シール線6aに対してθ1(−90°<θ1<90°)傾き、bラインlbとdラインldとが第2シール線6bに対してθ2(−90°<θ2<90°)傾くものとする。また、第1シール線6aの幅をx、第2シール線6の幅をyとする。このとき、aラインlaとcラインlcとの間隔lxを|x/cosθ1|とし、bラインlbとdラインldとの間隔lyを|y/cosθ2|としたものが最小の検査枠W3として設定される。なお、画像処理は、一般に画素単位で行われるため、前記a〜dラインla〜ldの最小値は1画素分とする。
【0068】
検査枠W3の最小形状を上記のように設定することで、検査枠W3の相対向する辺全体が双方ともに、輝度の低いシール線6内に入ってしまうことがない。このため、輝度の比較に際して、検査枠W3の相対向する辺がともに輝度の低い部分に入ってしまい、輝度の低い部分を抽出することが困難となってしまうといった事態を抑制できる。従って、より確実に輝度の低い部分が抽出でき、その結果、検査精度の一層の向上を図ることができる。
【0069】
(b)また、図13に示すような2つの検査枠W4,W5のそれぞれ相対向する1組の辺を用いて輝度判定処理を行なってもよい。この場合、一方の検査枠W4は、前記相対向する1組の辺m1,m2が第1シール線6aに対して平行な平行四辺形であり、他方の検査枠W5は、前記相対向する辺m3,m4が第2シール線6bに対して平行な平行四辺形である。これにより、一方の検査枠W4により、主として第1シール線6aの二値化処理が行われ、他方の検査枠W5により、主として第2シール線6bの二値化処理が行われることとなる。
【0070】
(c)外観検査装置21は、容器フィルム3側から撮像するようになっているが、密封用フィルム4側から撮像するようにしても差し支えない。また、帯状のPTPフィルム20の状態で検査を行っているが、シート単位に裁断されたPTPシート1を検査してもよい。
【0071】
(d)照明手段22は近赤外光を照射するようになっているが、赤外光や可視光を照射する照明手段であっても差し支えない。
【0072】
(e)検査枠Wによる輝度判定処理では、合計輝度差D1,D2に基づき判定を行っているが、検査枠Wの相対向する辺上の輝度が比較できればよいのであって、必ずしも合計輝度差D1,D2を用いる必要はない。例えば、各辺上の合計輝度の比に基づいて判定を行なってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】外観検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】(a)はPTPシートを示す斜視図であり、(b)はPTPシートを示す部分拡大断面図であり、(c)はPTPシートの一部を密封用フィルム側から見た場合の平面図であり、(d)は(c)の部分拡大図である。
【図3】PTP包装機等の概略構成を示す模式図である。
【図4】照明手段とCCDカメラの関係を示す模式図である。
【図5】ノンシール部の存在するPTPフィルムの外観検査範囲の一部を模式的に示す平面図であって、(a)は、密封用フィルムの部分拡大図であり、(b)は(a)を撮像して得た画像データである。
【図6】画像処理装置により実行されるルーチンを示すフローチャートである。
【図7】検査枠を説明するための図である。
【図8】検査枠とシール線の位置関係を示す図であって、(a)は検査枠の一辺がシール線内に入っている場合であって、(b)は検査枠の二辺がシール線内に入っている場合であって、(c)は検査枠の各辺の一部分がシール線内に入っている場合の図である。
【図9】二値化処理を説明するための図であって、(a),(b)はともに合計輝度が不一致と判定され、シール線内に入っているライン上の画素が「0」に変換された場合の二値化イメージデータを示す図であり、(c)は、合計輝度が一致と判定され、画素の「0」への変換が行われない場合の二値化イメージデータを示す図である。
【図10】検査枠を一画素数毎に移動させる様子を示す図である。
【図11】ノンシール部の存在する二値化処理後の二値化イメージデータを示す図である。
【図12】別の形態の検査枠を説明するための図であって、(a)は、シール線6によって囲まれた平行四辺形に内接する検査枠を示す図であり、(b)は最小形状の検査枠を説明するための図である。
【図13】別の形態の検査枠を説明するための図であって、2つの検査枠を用いる場合である。
【符号の説明】
【0074】
1…シートとしてのPTPシート、3…フィルムとしての容器フィルム、4…フィルムとしての密封用フィルム、6…シール線、7…PTP包装機、21…外観検査装置、22…照明手段、23…撮像手段としてのCCDカメラ、24…画像処理装置、W・W2・W3・W4・W5…検査枠、6a…第1シール線、6b…第2シール線、la…aライン、lb…bライン、lc…cライン、ld…dライン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主たるシール部分を格子状のシール線により形成するようにして、2枚のフィルムを互いに取着したシートの外観不良を検査するための外観検査装置であって、
少なくとも前記シートに対して光を照射する照明手段と、
前記照明手段により照射された面を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理装置とを備え、
前記画像信号は、少なくとも前記シール線の画像信号を含むものであり、
前記画像処理装置は、前記画像信号から得た画像データに対し、平行四辺形状の検査枠を用い、該検査枠の相対向する辺上の画素の輝度を比較することで、輝度の低い部分を抽出するとともに、検査範囲について該輝度の低い部分に基づいた画像イメージデータを作成し、該画像イメージデータに基づき、前記シートの外観不良を検査可能に構成されていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、前記画像イメージデータの前記輝度の低い部分を除く部分における連結成分の面積を個々に演算し、該連結成分のうち、少なくとも1つの連結成分の面積が所定値以上のときに、外観不良であると判定することを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、前記検査枠の各辺上の画素の合計輝度を用いて前記輝度の比較を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記画像処理装置は、相対向する2組の辺に関し、それぞれ前記合計輝度及び前記合計輝度の差または比を演算することで前記輝度を比較し、前記合計輝度の差または比の値が所定の範囲外のとき、前記合計輝度の小さい辺上の画素を前記輝度が低い部分として抽出することを特徴とする請求項3に記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記画像処理装置は、前記検査範囲内において前記検査枠を所定の間隔で移動する度に前記輝度の比較を行い、
前記輝度の比較に際して、前記輝度の低い部分を前記検査枠の辺単位で抽出し、
前記画像イメージデータの作成に際して、前記検査範囲内において輝度が低いと判定された辺上の画素全てを抽出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の外観検査装置。
【請求項6】
前記シートは、二方向に延びる前記シール線が、各方向において、それぞれ同一幅をなし、等間隔で平行に配置されることで、前記シール線によって囲まれた部分が所定の平行四辺形をなすように取着されたものであって、
前記検査枠は、前記所定の平行四辺形に内接する平行四辺形のサイズ以下に設定されてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の外観検査装置。
【請求項7】
前記二方向に延びるシール線のうち、一方向に延びる第1シール線の幅がxであり、他方向に延びる第2シール線の幅がyであり、
前記検査枠が、aライン、bライン、cライン、dラインからなる平行四辺形であるとともに、相対向し合うaライン及びcラインが前記第1シール線に対してθ1(−90°<θ1<90°)だけ傾き、相対向し合うbライン及びdラインが前記第2シール線に対してθ2(−90°<θ2<90°)だけ傾いている場合に、
前記aラインと前記cラインとの間隔が|x/cosθ1|以上であり、かつ、前記bラインと前記dラインとの間隔が|y/cosθ2|以上であることを特徴とする請求項6に記載の外観検査装置。
【請求項8】
前記検査枠は、前記二方向に延びるシール線の傾斜に沿った平行四辺形であることを特徴とする請求項6または7に記載の外観検査装置。
【請求項9】
前記照明手段は、前記シートの面に対して略垂直方向から照射光を照射可能であるとともに、
前記撮像手段は、前記照射光の照射方向と略同一方向から撮像可能であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の外観検査装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の外観検査装置を備えたことを特徴とするPTP包装機。
【請求項1】
主たるシール部分を格子状のシール線により形成するようにして、2枚のフィルムを互いに取着したシートの外観不良を検査するための外観検査装置であって、
少なくとも前記シートに対して光を照射する照明手段と、
前記照明手段により照射された面を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理装置とを備え、
前記画像信号は、少なくとも前記シール線の画像信号を含むものであり、
前記画像処理装置は、前記画像信号から得た画像データに対し、平行四辺形状の検査枠を用い、該検査枠の相対向する辺上の画素の輝度を比較することで、輝度の低い部分を抽出するとともに、検査範囲について該輝度の低い部分に基づいた画像イメージデータを作成し、該画像イメージデータに基づき、前記シートの外観不良を検査可能に構成されていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、前記画像イメージデータの前記輝度の低い部分を除く部分における連結成分の面積を個々に演算し、該連結成分のうち、少なくとも1つの連結成分の面積が所定値以上のときに、外観不良であると判定することを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、前記検査枠の各辺上の画素の合計輝度を用いて前記輝度の比較を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記画像処理装置は、相対向する2組の辺に関し、それぞれ前記合計輝度及び前記合計輝度の差または比を演算することで前記輝度を比較し、前記合計輝度の差または比の値が所定の範囲外のとき、前記合計輝度の小さい辺上の画素を前記輝度が低い部分として抽出することを特徴とする請求項3に記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記画像処理装置は、前記検査範囲内において前記検査枠を所定の間隔で移動する度に前記輝度の比較を行い、
前記輝度の比較に際して、前記輝度の低い部分を前記検査枠の辺単位で抽出し、
前記画像イメージデータの作成に際して、前記検査範囲内において輝度が低いと判定された辺上の画素全てを抽出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の外観検査装置。
【請求項6】
前記シートは、二方向に延びる前記シール線が、各方向において、それぞれ同一幅をなし、等間隔で平行に配置されることで、前記シール線によって囲まれた部分が所定の平行四辺形をなすように取着されたものであって、
前記検査枠は、前記所定の平行四辺形に内接する平行四辺形のサイズ以下に設定されてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の外観検査装置。
【請求項7】
前記二方向に延びるシール線のうち、一方向に延びる第1シール線の幅がxであり、他方向に延びる第2シール線の幅がyであり、
前記検査枠が、aライン、bライン、cライン、dラインからなる平行四辺形であるとともに、相対向し合うaライン及びcラインが前記第1シール線に対してθ1(−90°<θ1<90°)だけ傾き、相対向し合うbライン及びdラインが前記第2シール線に対してθ2(−90°<θ2<90°)だけ傾いている場合に、
前記aラインと前記cラインとの間隔が|x/cosθ1|以上であり、かつ、前記bラインと前記dラインとの間隔が|y/cosθ2|以上であることを特徴とする請求項6に記載の外観検査装置。
【請求項8】
前記検査枠は、前記二方向に延びるシール線の傾斜に沿った平行四辺形であることを特徴とする請求項6または7に記載の外観検査装置。
【請求項9】
前記照明手段は、前記シートの面に対して略垂直方向から照射光を照射可能であるとともに、
前記撮像手段は、前記照射光の照射方向と略同一方向から撮像可能であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の外観検査装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の外観検査装置を備えたことを特徴とするPTP包装機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−84289(P2006−84289A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−268436(P2004−268436)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
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