説明

多層プラスチック基板及びその製造方法

本発明は、低い線膨張係数、優れた寸法安定性による高温熱変形性の改善、及び優れたガス遮断性を同時に満足し、また、層間の線膨張係数の差異に起因した問題点がなく、割れやすくて且つ重い短所を有するガラス基板を代替することができる多層プラスチック基板及びその製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層プラスチック基板及びその製造方法に関し、より詳細には、高温熱変形及びガス遮断性が向上した多層構造のプラスチック基板及びその製造方法に関する。本出願は、2008年11月19日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2008−0115390号及び第10−2008−0115392号の出願日の利益を主張し、その内容全部は、本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
表示装置、額縁、工芸、容器などに使用されるガラス基板は、小さい線膨張係数、優れたガスバリア性、高い光透過度、表面平坦度、優れた耐熱性及び耐化学性などの多くの長所を有しているが、衝撃に弱いため割れやすく、密度が高いため重いという短所がある。
【0003】
最近、液晶や有機発光表示装置、電子紙に対する関心が急増するに伴い、これら表示装置の基板をガラスからプラスチックに代替する研究が活発に進行されている。すなわち、ガラス基板をプラスチック基板に代替すれば、表示装置の全体重さが軽くなり、デザインの柔軟性を付与することができ、衝撃に強くて、且つ連続工程で製造する場合、ガラス基板に比べて経済性を有することができる。
【0004】
一方、表示装置のプラスチック基板に使用されるためには、トランジスタ素子の工程温度及び透明電極の蒸着温度に耐えることができる高いガラス転移温度、液晶と有機発光材料の老化を防止するための酸素及び水蒸気遮断特性、工程温度変化による基板の反りを防止するための小さい線膨張係数及び寸法安定性、従来のガラス基板に使用される工程機器と互換性を有する高い機械的強度、エッチング工程に耐えることができる耐化学性、高い光透過度、少ない複屈折率及び表面の耐スクラッチ性などの特性が要求される。
【0005】
しかし、このような条件をすべて満足する高機能性高分子基材フィルム(高分子フィルムと高分子−無機物複合フィルムを含む)は存在しないので、高分子基材フィルムに多層の機能性コーティングを行い、上記物性を満足させようとする努力が行われている。
【0006】
代表的なコーティング層の例としては、高分子表面の欠陥を低減し、平坦性を付与する有機平坦化層、酸素及び水蒸気などのガス遮断のための無機物よりなるガスバリア層、及び表面の耐スクラッチ性付与のための有機または有機−無機ハードコーティング層などを挙げることができる。
【0007】
従来、様々な多層プラスチック基板の場合、高分子基材に無機物ガスバリア層をコーティングし、ガスバリア層上にハードコーティング層を形成する過程を進行し、このような多層構造で製造する時の問題点は、高分子基材とガスバリア層との間の大きい線膨張係数の差異による高分子基材の変形と無機薄膜のクラック、及び剥離が発生することができるという点である。したがって、各層の界面での応力を最小化することができる適切な多層構造の設計とコーティング層間の接着性が非常に重要であると言える。
【0008】
米国のバイテックス(Vitex Systems)社の高分子基材フィルムに単量体薄膜を形成し、これに紫外線(UV)を照射し、重合反応させて高分子化(固体化した有機層)と、その上にスパッタリング方法で無機薄膜を成膜する過程を繰り返して多層の有機−無機層を製造し、優れたガス遮断性を有する柔軟な基板を製造した。
【0009】
しかし、たとえ上記方法によって優れたガス遮断性を有する製品を得ることはできるが、低い線膨張係数が要求されるディスプレイの用途としては適していないし、これに対する解決策に対しても提示していない。
【0010】
特許文献1では、酸素と水蒸気に敏感な有機発光機器にプラスチック基板を使用するために、流入される酸素及び水蒸気と反応し得るゲッター粒子をプラスチック基板に分散させる方法を提示した。ゲッター粒子の大きさは、発光される特定波長の大きさより充分に小さくて、且つ分散が均一に行われ、発光される光が散乱されずに基板を透過しなければならない。また、このような方法は、プラスチック基板に無機物よりなるガスバリア膜をコーティングすることによって、流入される酸素と水蒸気の量を最小化しようとした。しかし、上記方法は、100〜200nm大きさのナノ粒子を均一に分散させて基板を製造することが難しく、酸素及び水蒸気と反応し得るゲッター粒子を多量含有させるためにプラスチック基板の厚さが厚くなければならないし、プラスチック基板の上に無機物ガスバリア膜が直接コーティングされるので、温度変化によってガスバリア膜にクラックや剥離が発生することができる。
【0011】
特許文献2には、反応押出して製造した1mm厚さ以内のポリグルタイミドシートの一面または両面に、場合によってシリカ粒子などを含む架橋が可能な組成物(多官能基アクリレート系モノマーまたはオリゴマー、アルコキシシランなどとこれらの混合物)をコーティングした後、これを光硬化または熱硬化させて架橋コーティング膜を製造し、その上にガスバリア膜をコーティングした後、場合によってさらに架橋コーティング膜をバリア膜にコーティングし、表示装置用プラスチック基板を製造したことが開示されている。しかし、上記方法は、いくつかの特殊な場合にのみ、酸素透過率と水蒸気透過率が液晶表示装置に利用することができるほどに小さいだけであり、ガラス代替用基板として使用するために必須に要求される低い線膨張係数及び優れた寸法安定性については相変らず改善されていない。
【0012】
特許文献3には、有機−無機ハイブリッドであるORMOCERと酸化ケイ素層を1つの高分子基材の上に、または2つの高分子基材の中間層にコーティングし、酸素透過率がコーティングする前の高分子基材の1/30以下、水蒸気透過率がコーティングする前の高分子基材の1/40以下の多層フィルムを提示した。しかし、上記方法は、酸素、水蒸気透過率がコーティングする前の高分子基材に比べて非常に減少し、包装材の材料に使用されることができる可能性を提示したが、線膨張係数及び寸法安定性改善に対する言及はない。
【0013】
特許文献4には、高分子フィルムに金属酸化物層、ポリシラザンから形成されたセラミックス層及びアルコキシシランの部分加水分解物よりなる硬化層を順次に積層したガスバリア性積層フィルムを提示した。しかし、この場合、高分子フィルムに金属酸化物が直接積層されているので、線膨張係数の差異による問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許登録第6,465,953号明細書
【特許文献2】米国特許登録第6,322,860号明細書
【特許文献3】米国特許登録第6,503,634号明細書
【特許文献4】日本国特開平10−016142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、低い線膨張係数、優れた寸法安定性による高温熱変形性の改善、及び優れたガス遮断性を同時に満足し、また、層間の線膨張係数の差異に起因した問題点がなく、割れやすくて、且つ重いという短所を有するガラス基板を代替することができる多層プラスチック基板及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、多層プラスチック基板は、表示装置の基板以外にガス遮断性が要求される包装材及び多様な用途の容器材料に使用されることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は、高分子基材と;上記高分子基材の上面及び下面にUV硬化及び熱硬化可能なバッファー組成物のUV硬化及び熱硬化による硬化物を含む第1バッファー層と;上記高分子基材の上面に形成された第1バッファー層と上記高分子基材の下面に形成された第1バッファー層のうち少なくとも1つの第1バッファー層の一面に順次に備えられたガス遮断層及び第2バッファー層と;を含む多層プラスチック基板を提供する。本発明において、上記高分子基材は、単一層構造であってもよく、2層以上の高分子層が接合された構造であってもよい。
【0017】
また、本発明は、(a)高分子基材の一面にUV硬化及び熱硬化可能なバッファー組成物をコーティングし、第1バッファー層を形成する段階と、(b)上記(a)段階で形成した第1バッファー層をUV硬化する段階と、(c)上記第1バッファー層を一面に具備した高分子基材の他面にUV硬化及び熱硬化可能なバッファー組成物をコーティングし、第1バッファー層を形成する段階と、(d)上記(c)段階で形成した第1バッファー層をUV硬化する段階と、(d)高分子基材の両面に備えられたUV硬化された第1バッファー層を同時に熱硬化する段階と、(e)上記高分子基材の両面に形成された第1バッファー層のうち少なくとも1つの第1バッファー層の一面にガス遮断層及び第2バッファー層を順に形成する段階とを含む多層プラスチック基板の製造方法を提供する。
【0018】
また、本発明は、(a)高分子基材の一面にUV硬化及び熱硬化可能なバッファー組成物をコーティングし、第1バッファー層を形成する段階と;(b)上記第1バッファー層をUV硬化する段階と;(c)上記UV硬化された第1バッファー層を熱硬化する段階と;(d)上記第1バッファー層上にガス遮断層を形成する段階と;(e)上記ガス遮断層に第2バッファー層を形成し、高分子基材、第1バッファー層、ガス遮断層及び第2バッファー層が順次に積層された構造の多層フィルムを形成する段階と;(f)上記(a)〜(e)の過程を繰り返して上記e)段階と同一の構造の別の多層フィルムを製造する段階と;(g)上記(e)段階及び上記(f)段階で各々製造した多層フィルムを高分子基材面が隣接するように互いに接合し、対称構造の多層フィルムを形成する段階と;を含む多層プラスチック基板の製造方法を提供する。
【0019】
また、本発明は、上記多層プラスチック基板を含む電子素子を提供する。
【発明の効果】
【0020】
前述のような構成を有する本発明の多層プラスチック基板は、低い線膨張係数、優れた寸法安定性による高温熱変形性の改善及び優れたガス遮断性を同時に満足させるので、表示装置用プラスチック基板をガラス基板の代わりに使用することができ、また、ガス遮断性が要求される包装材と容器の材質としても非常に有用に活用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の例示的な実施形態による多層プラスチック基板の断面を示す図である。
【図2】本発明の例示的な実施形態による多層プラスチック基板の断面を示す図である。
【図3】本発明の例示的な実施形態による多層プラスチック基板の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、高分子基材と;上記高分子基材の上面及び下面にUV硬化及び熱硬化可能なバッファー組成物のUV硬化及び熱硬化による硬化物を含む第1バッファー層と;上記高分子基材の上面に形成された第1バッファー層と上記高分子基材の下面に形成された第1バッファー層のうち少なくとも1つの第1バッファー層の一面に順次に備えられたガス遮断層及び第2バッファー層と;を含む多層プラスチック基板を提供する。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、図1に示されたように、第2バッファー層130、ガス遮断層120、第1バッファー層110、高分子基材100、第1バッファー層110、ガス遮断層120及び第2バッファー層130が順に積層された構造を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0024】
本発明の他の実施形態によれば、上記高分子基材の上面及び下面のうちいずれか一面に形成された第1バッファー層の一面にのみガス遮断層及び第2バッファー層が備られることもできる。例えば、図2に示されたように、第1バッファー層110、高分子基材100、第1バッファー層110、ガス遮断層120及び第2バッファー層130が順に積層された構造を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0025】
上記高分子基材は、図1または図2に示されたように、単一層構造であることもでき、本発明のさらに他の実施形態によれば、上記高分子基材は、2層以上の高分子層が接合された構造であることもできる。例えば、図3に示されたように、第2バッファー層130、ガス遮断層120、第1バッファー層110、高分子基材100、接合層111、高分子基材100、第1バッファー層110、ガス遮断層120及び第2バッファー層130が順に積層された構造を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0026】
上記高分子基材は、厚さが10〜2,000μmのフィルムまたはシート形態であることが好ましい。
【0027】
本発明では、UV硬化処理及び熱硬化処理が共に行われた第1バッファー層に起因して層間ストレスの差異による剥離、反り現象などが改善し、優れたガス遮断特性が確保されるだけでなく、従来のラミネート構造を有していなくても、高温での反り現象がない。したがって、上記高分子基材は、単一層よりなることができる。ただ、上記高分子基材は2層以上の高分子層が接合された構造であるかも知れない。接合された高分子基材を使用すれば、製造された最終の多層プラスチック基板が上下に対称の構造を有するので、フィルムの反り現象を最小に抑制することができる
【0028】
上記高分子基材が2層以上の高分子層が接合された構造である場合、これは、通常的なアクリル系接着剤または熱接合方法を利用して製造することができる。この時、接着剤を使用する場合、その含量は、特に限定されるものではないが、接着剤を含む接合層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましい。
【0029】
上記高分子基材は、溶液キャスティング方法やフィルム押出工程を通じて製造されることができ、製造後に温度による変形を最小化するために、ガラス転移温度付近で数秒〜数分間短くアニーリングすることが好ましい。アニーリング後には、コーティング性及び接着性を向上させるために、高分子基材の表面にプライマーコーティングを行うか、コロナ、酸素または二酸化炭素を使用したプラズマ処理、紫外線−オゾン処理、反応気体を流入したイオンビーム処理方法などで表面処理を行うこともできる。
【0030】
上記高分子基材としては、単一高分子、2種以上の高分子ブレンド、及び有機または無機添加物が含有された高分子複合材料よりなる群から1種以上選択して使用することができる。
【0031】
上記高分子の好ましい一例として、本発明の多層フィルムが液晶表示装置の基板に使用される場合、薄膜トランジスタと透明電極を形成する製造工程が200℃以上の高温で行われるので、このような高温に耐えることができる高耐熱性を有する高分子を利用することが好ましい。前述した特性を有する高分子としては、ポリノルボルネン、芳香族フルオレンポリエステル、ポリエーテルスルホン、ビスフェノールAポリスルホン、ポリイミドなどを挙げることができる。また、最近の高温基板工程温度を低温に下げる研究が進行されながら150℃付近の温度まで使用することができるので、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレン、ポリアリレート、ポリカーボネート、環状オレフイン共重合体などの高分子を使用することができる。
【0032】
また、上記高分子基材としては、高分子にナノ物質を分散させたもので、有機または無機添加物が含有された高分子複合材料を使用することもできる。
【0033】
上記高分子複合材料としては、クレイナノ物質が高分子マトリックスに分散されたポリマー−クレイナノ複合体を挙げることができる。上記ポリマー−クレイナノ複合体は、クレイの小さい粒子大きさ(1μm未満)と大きい縦横比の特性によって従来使用されたガラス繊維などの複合体に比べて小さい量のクレイで高分子の機械的物性、耐熱性、ガスバリア性、寸法安定性などの物性を向上させることができる。すなわち、前述した物性を向上させるためには、層状構造のクレイ層を取り外して高分子マトリックスによく分散させることが重要であるが、これを満足するものが上記ポリマー−クレイナノ複合体である。
【0034】
上記ポリマー−クレイナノ複合体に使用されることができる高分子としては、ポリスチレン、ポリメタアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレン、ポリアリレート、ポリカーボネート、環状オレフイン共重合体、ポリノルボルネン、芳香族フルオレンポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、エポキシレジン、多官能性アクリレートなどが挙げられ、クレイとしては、ラポナイト、モンモリロナイト、マガダイト(magadite)、などを使用することができる。
【0035】
上記第1バッファー層は、高分子基材とガス遮断層との大きい線膨張係数の差異を緩和させ、高分子基材とガス遮断層との接着力を向上させることができる役目をする。また、上記第1バッファー層は、高分子基材の表面を平坦化することができ、ガス遮断層の蒸着時に形成される欠陥を最小化することもできる。
【0036】
本発明において、上記第1バッファー層は、UV硬化及び熱硬化された硬化物を含むものであって、硬化後に未硬化されたエポキシ基含量が10重量%以上100重量%未満、好ましくは、30重量%〜95重量%、さらに好ましくは、50重量%〜90重量%であることが好ましい。
【0037】
例えば、上記バッファー層は、上記有機シラン及び金属アルコキシドのうち少なくとも1つの加水分解物と硬化型エポキシ樹脂の混合物のUV硬化及び熱硬化による硬化物を含むことができる。ここで、上記硬化物100重量部に対して有機シラン及び金属アルコキシドのうち少なくとも1つの加水分解物は、5〜95重量部であり、上記硬化型エポキシ樹脂は、5〜95重量部であることが好ましい。
【0038】
上記第1バッファー層は、UV硬化及び熱硬化可能なバッファー組成物を高分子基材上にコーティングした後、UV硬化及び熱硬化処理されることによって形成されることができる。具体的に、有機シラン及び金属アルコキシドのうち少なくとも1つを部分的に加水分解させてゾル状態の組成物を製造した後、これを硬化型エポキシ樹脂と混合し、これを高分子基材上にコーティングした後、製造されることができ、UV硬化及び熱硬化処理される。
【0039】
上記有機シランとしては、有機シラン基を含むものなら特に限定されず、下記化学式1〜化学式3で表示される化合物よりなる群から選択される1種以上を使用することができる。上記金属アルコキシドとしては、金属アルコキシドなら特に限定されず、下記化学式4で表示される化合物よりなる群から選択される1種以上を使用することができる。上記硬化型エポキシ樹脂は、エポキシ基を含むものなら特に限定されず、下記化学式5〜10で表示する脂環式エポキシ樹脂及び下記化学式11で示すトリグリシジルイソシアヌレートなどから選択される1種以上を含むことができる。
【0040】
【化1】

【0041】
【化2】

【0042】
【化3】

【0043】
上記化学式1〜化学式3で、
Xは、互いに同じかまたは異なることができ、水素、ハロゲン、炭素数1〜12のアルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、または−N(Rであり、
は、互いに同じかまたは異なることができ、炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニル、アルキニル、炭素数6〜20のアリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールアルケニル、アルケニルアリール、アリールアルキニル、アルキニルアリール、ハロゲン、アミド、アルデヒド、ケトン、アルキルカルボニル、カルボキシ、メルカプト、シアノ、ヒドロキシ、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数1〜12のアルコキシカルボニル、スルホン酸、リン酸、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、エポキシ、またはビニル基であり、
は、水素、または炭素数1〜12のアルキルであり、
mは、1〜3の整数であり、
【0044】
【化4】

【0045】
ここで、Mは、アルミニウム、ジルコニウム及びチタンよりなる群から選択される金属を示し、
は、互いに同じかまたは異なることができ、ハロゲン、炭素数1〜12のアルキル、アルコキシ、アシルオキシ、またはヒドロキシ基であり、
Zは、3または4の整数である。
【0046】
【化5】

【0047】
【化6】

【0048】
【化7】

【0049】
【化8】

【0050】
化学式8で、R20は、アルキル基またはトリメチロールプロパン残基を示し、qは、1〜20である。
【0051】
【化9】

【0052】
ここで、R21及びR22は、同一または異なることができ、各々HまたはCHを示し、rは、0〜2である。
【0053】
【化10】

【0054】
ここで、sは、0〜2である。
【0055】
【化11】

【0056】
上記第1バッファー層を形成するための第1バッファー組成物は、有機シラン及び金属アルコキシドを単独あるいは混合物の形態で含むことができ、有機シランと金属アルコキシドの含量は、バッファー組成物100重量部に対して5〜95重量部であることが好ましい。
上記硬化型エポキシ樹脂は、バッファー組成物100重量部に対して5〜95重量部で使用することができ、バッファー組成物100重量部に対して1〜90重量部の硬化剤をさらに含むことができる。また、上記硬化型エポキシ樹脂は、バッファー組成物100重量部に対して0.1〜20重量部の触媒をさらに含むことができる。
【0057】
上記硬化型エポキシ樹脂を準備する段階は、バッファー組成物100重量部に対して1〜90重量部の硬化剤とバッファー組成物100重量部に対して0.1〜20重量部の触媒を混合する段階と;上記触媒が添加された硬化剤とバッファー組成物100重量部に対して1〜95重量部のエポキシ樹脂とを混合する段階と;を含むことが好ましい。さらに好ましくは、エポキシ硬化剤91重量部と触媒1重量部を混合し、加熱し、30分間撹拌した後、固体状態のエポキシ50重量部を10分間撹拌し、溶融した後、触媒が添加された硬化剤と溶融されたエポキシを混合し、撹拌し、透明な硬化型エポキシ樹脂を製造することができる。
【0058】
上記エポキシ樹脂は、上記化学式5〜10で示す脂環式エポキシ樹脂及び上記化学式11で示すトリグリシジルイソシアヌレートなどから選択される化合物を単独または2以上を組み合わせて使用することができる。上記組合は、樹脂組成物及び必要な場合、ガラス充填材の屈折率が同一になることができるように屈折率調整のために他のエポキシ樹脂を組み合わせて使用することができる。
【0059】
上記硬化剤としては、酸無水物形硬化剤が好ましく、例えば、フタル酸無水物、マレイン酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルナド酸無水物、ナド酸無水物、グルタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、水素化メチルナド酸無水物及び水素化ナド酸無水物などから1種以上選択して使用することができる。特に、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物及び水素化メチルナド酸無水物が透明性観点から好ましい。
【0060】
上記触媒は、硬化促進剤として酢酸、安息香酸、サリチル酸、パラ−トルエンスルホン酸、ボロントリフルオライド−アミン錯体、ボロントリフルオライドアンモニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩及びアルミニウム錯体含有陽イオン性触媒などを含む陽イオン性触媒である有機酸;1、8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7及びトリエチレンジアミンなどの3次アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール;トリフェニルホスフィン及びテトラフェニルホスフィニウムなどのリン化合物;テトラフェニルボレート;4次アンモニウム塩;有機金属塩;及びこれらの誘導体から選択される化合物を単独または2以上を組み合わせて使用することができる。
【0061】
上記第1バッファー組成物としては、上記例示された化合物から製造されることができ、場合によって上記組成物に充填剤及び溶媒を追加に添加することができる。
【0062】
上記充填剤は、金属、ガラス粉末、ダイヤモンド粉末、シリコンオキシド、クレイ、カルシウムホスフェート、マグネシウムホスフェート、バリウムスルフェート、アルミニウムフルオライド、カルシウムシリケート、マグネシウムシリケート、バリウムシリケート、バリウムカーボネート、バリウムヒドロキシド、及びアルミニウムシリケートよりなる群から1種以上選択して使用することができる。
【0063】
上記溶媒は、エポキシ、硬化剤及び触媒と相溶性あるいは溶解性がある溶媒なら、特に限定されるものではないが、メチレンクロライド(methylene chloride)、ジクロロエタン(dichloroehtane)、ジオキサン(dioxane)、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールのうち選択された1種以上の溶媒を使用することができる。
【0064】
上記充填剤及び溶媒の使用量は、必要によって添加されるものであって、特に限定されるものではない。
【0065】
前述の材料を利用して第1バッファー層を形成することによって、熱硬化時に変形が最小化し、高温でも平坦な表面を有するプラスチックフィルムを提供することができる。
【0066】
上記バッファー組成物のUV硬化は、UV光源によってラジカル反応を行うことができれば特に限定されるものではないが、水銀またはメタルハライドランプを単独あるいは組み合わせて使用することが好ましい。UV硬化によって上記第1バッファー層は、表面硬度が上昇することができる。
【0067】
上記第1バッファー層は、高分子基材とガス遮断層との大きい線膨張係数の差異を緩和させ、高分子基材とガス遮断層との接着力を向上させることができる役目をする。また、上記第1バッファー層は、高分子基材の表面を平坦化することができ、ガス遮断層の蒸着時に形成される欠陥を最小化することもできる。
【0068】
上記第2バッファー層は、特に限定されるものではないが、上記第1バッファー層の組成物と同一の組成物で形成することができる。上記化学式1〜化学式3で表示される化合物よりなる群から1種以上選択される有機シランの部分加水分解物を使用することができ、上記化学式1〜化学式3で表示される化合物よりなる群から1種以上選択される有機シランと上記化学式4で表示される化合物よりなる群から1種以上選択される金属アルコキシドのうち少なくとも1つを部分的に加水分解した組成物を使用することができ、あるいは上記化学式1〜化学式3で表示される化合物よりなる群から1種以上選択される有機シランと上記化学式4で表示される化合物よりなる群から1種以上選択される金属アルコキシドのうち少なくとも1つを部分的に加水分解した組成物と上記化学式5〜10で示す脂環式エポキシ樹脂及び上記化学式11で示すトリグリシジルイソシアヌレートなどを含む硬化型エポキシ樹脂を使用して製造することができる。
【0069】
上記第2バッファー層を形成するための第2バッファー組成物は、上記例示された化合物から製造されることができ、場合によって上記組成物に充填剤を追加に添加することができる。
【0070】
上記充填剤は、金属、ガラス粉末、ダイヤモンド粉末、シリコンオキシド、クレイ、カルシウムホスフェート、マグネシウムホスフェート、バリウムスルフェート、アルミニウムフルオライド、カルシウムシリケート、マグネシウムシリケート、バリウムシリケート、バリウムカーボネート、バリウムヒドロキシド、及びアルミニウムシリケートよりなる群から1種以上選択して使用することができる。
【0071】
本発明のさらに他の実施形態は、(a)高分子基材の一面にUV硬化及び熱硬化可能なバッファー組成物をコーティングし、第1バッファー層を形成する段階と、(b)上記(a)段階で形成した第1バッファー層をUV硬化する段階と、(c)上記第1バッファー層を一面に具備した高分子基材の他面にUV硬化及び熱硬化可能なバッファー組成物をコーティングし、第1バッファー層を形成する段階と、(d)上記(c)段階で形成した第1バッファー層をUV硬化する段階と、(d)高分子基材の両面に備えられたUV硬化された第1バッファー層を同時に熱硬化する段階と、(e)上記高分子基材の両面に形成された第1バッファー層のうち少なくとも1つの第1バッファー層の一面にガス遮断層及び第2バッファー層を順に形成する段階とを含む多層プラスチック基板の製造方法を提供する。
【0072】
本発明のさらに他の実施形態は、(a)高分子基材の一面にUV硬化及び熱硬化可能なバッファー組成物をコーティングし、第1バッファー層を形成する段階と;(b)上記第1バッファー層をUV硬化する段階と;(c)上記UV硬化された第1バッファー層を熱硬化する段階と;(d)上記第1バッファー層上にガス遮断層を形成する段階と;(e)上記ガス遮断層に第2バッファー層を形成し、高分子基材、第1バッファー層、ガス遮断層及び第2バッファー層が順次に積層された構造の多層フィルムを形成する段階と;(f)上記(a)〜(e)の過程を繰り返して上記e)段階と同一の構造の別の多層フィルムを製造する段階と;(g)上記(e)段階及び上記(f)段階で各々製造した多層フィルムを高分子基材面が隣接するように互いに接合し、対称構造の多層フィルムを形成する段階と;を含む多層プラスチック基板の製造方法を提供する。
【0073】
上記第1バッファー層のコーティング方法は、特に限定されるものではないが、スピンコーティング、ロールコーティング、バーコーティング、ディップコーティング、グラビアコーティング及びスプレイコーティングなどの方法を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
前述したように形成された第1バッファー層は、硬化後の厚さが0.1〜50μmであることが好ましい。上記厚さが0.1μmより薄ければ、ピンホール欠陥による不良が生じやすく、漏洩電流が現われる制限を経験するようになり、また、上記厚さが50μmを超過する場合には、硬化中にフィルムの反り現象が発生することができ、表面凹凸が形成され、平坦度不良のような問題が発生する。
【0075】
上記第1バッファー層表面の平坦度Ra(average of roughness)は、非常に重要である。上記第1バッファー層が平坦でなければ、上記ガス遮断層が蒸着される時、欠陥が発生し、遮断性が低下することができる。
【0076】
前述した問題を解決するために、上記第1バッファー層の表面平坦度は、約1nm程度が好ましく、より好ましくは、約1nm以内の平坦度が良い。具体的に、表面平坦度は、0.1〜1.2nmのRa値を有することができる。
【0077】
上記製造方法において、UV硬化は、UV光源によってラジカル反応を行うことができれば、特に限定されるものではないが、水銀またはメタルハライドランプを単独あるいは併用して使用することが好ましい。例えば、UV硬化は、エネルギー20mJ/cm〜3000mJ/cmで1秒〜数時間、例えば、1分以下で行うことができる。一方、熱硬化は、例えば、100〜200℃の温度で1分〜数時間、例えば、1時間以下、好ましくは10〜20分間行うことができる。
【0078】
上記ガス遮断層は、小さい線膨張係数を有する高密度無機物層であって、酸素と水蒸気などのガスを遮断することができる。
【0079】
上記ガス遮断層は、SiO(ここで、xは1〜4の整数)、SiO(ここで、x及びyは各々1〜3の整数)、Al、及びITOよりなる群から選択される1種以上の無機物から形成されたことが好ましい。
【0080】
上記ガス遮断層は、その厚さが5〜1,000nmであることが好ましい。上記厚さが5nmより薄い場合には、酸化ケイ素を含む層状散乱体の分散状態が十分ではなく、ガス遮断性発現の1つの要件である迷路効果や、ガス遮断層の均質性が損傷され、高い酸素遮断性を得にくい。また、ガス遮断性の発現、取り扱い時のクラックの発生防止などを勘案すれば、その厚さは、1,000nmを超過しないことが好ましい。
【0081】
上記ガス遮断層を形成する方法は、高分子基材自体の酸素透過度と水蒸気透過度が通常数十から数千単位の値を有するので、密度が高い透明無機物やナノメートル単位の薄い金属薄膜を高分子フィルムの上に物理的または化学的方法で蒸着コーティングし、酸素と水蒸気を遮断する方法が使用されることができる。
【0082】
この時、透明無機物酸化薄膜の場合、ピンホールやクラックなどの欠陥が存在すれば、十分な酸素及び水蒸気遮断効果を得にくいし、薄い金属薄膜の場合には、欠点がない数ナノメートル厚さの均一な薄膜を得にくいと共に、可視光線領域の光透過度が80%を越えにくいという短所がある。そのため、上記方法を通じて形成されたガス遮断層の厚さは、5〜1,000nm、好ましくは10〜500nm、より好ましくは10〜300nmであることが好ましい。
【0083】
上記蒸着コーティング方法としては、スパッタリング法、化学蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマ化学蒸着法、ゾル−ゲル法などを使用することができる。
【0084】
また、上記ガス遮断層に存在することができるピンホール、クラックなどの欠陥部分でガス遮断層のヒドロキシ基と第1バッファー層及び第2バッファー層のヒドロキシ基との間に水和反応が起き、ガス遮断層の欠陥を除去し、ガス遮断性をさらに向上させることができる。
【0085】
上記ガス遮断層に積層される第2バッファー層の組成は、特に限定されるものではない。すなわち、一般的なアクリルを利用した有機コーティング用組成物、有機シラン、金属アルコキシド、有無機ハイブリッド組成物、及び上記第1バッファー組成物などを使用することができ、コーティングされる厚さは、場合によって異なることができる。
【0086】
上記第2バッファー層のコーティング方法は、スピンコーティング、ロールコーティング、バーコーティング、ディップコーティング、グラビアコーティング及びスプレイコーティングなどの方法で上記ガス遮断層にコーティングすることができる。
【0087】
上記第2バッファー層の硬化方法は、熱硬化、UV硬化、赤外線硬化及び高周波熱処理などの方法を使用して効果的な硬化を行うことができれば、方法が制限されない。
【0088】
上記第2バッファー層の硬化後の厚さは、0.1〜50μm、好ましくは0.2〜10μmであることができ、より好ましくは0.5〜20μmであることができる。上記厚さが0.1μm未満の場合には、十分な耐化学性及び耐スクラッチ性を付与することができ、また、上記厚さが50μmを超過する場合には、上記ガス遮断層のクラックを防止する保護層の役目を充分に行うことができないという問題がある。
【0089】
本発明において、上記第2バッファー層の平坦度も非常に重要であるが、LCD工程あるいはOLED工程で使用されるITOのような素子が第2バッファー層に直接蒸着されるので、このような素子は、第2バッファー層の平坦度が高ければ、電流が集中される現象に起因して本来の機能をすることができない。現在LCDよりは次世代ディスプレイであるOLEDでさらに優れた平坦度が要求される傾向にある。上記要求に満足されるように、上記第2バッファー層の表面平坦度も約1nm程度が好ましく、より好ましくは、約1nm以内の平坦度が好ましい。具体的に、平坦度は、0.1〜1.2nmのRa値を有することができる。
【0090】
以上のような、本発明による多層プラスチック基板は、UV硬化によって表面硬度が瞬間的に向上し、熱硬化時に変形を最小化し、線膨張係数が6.5ppm/Kまでの非常に小さい値を有することができる。本発明による多層プラスチック基板の線膨張係数は、5〜30ppm/Kであることができ、6〜20ppm/Kであることがさらに好ましい。また、本発明による多層プラスチック基板は、2以上の鉛筆硬度を有し、好ましくは、2H以上8H以下の鉛筆硬度を有することができる。また、本発明による多層プラスチック基板は、酸素透過率が0.05cc/m2/day/atm未満であることが好ましく、光透過度が85%以上であることが好ましく、水蒸気透過率が0.005g/m2/day未満であることが好ましい。本発明による多層プラスチック基板は、酸素透過率が0.05cc/m2/dau/atm未満であり、水蒸気透過率が0.005g/m2/day未満であって、優れたガス遮断性を発揮することができる。
【0091】
したがって、本発明の多層プラスチック基板は、従来の表示装置などで主に使用された割れやすくて且つ重いガラス基板を代替することができ、その他、優れたガス遮断性が要求される材質にも使用されることができる。
【0092】
また、本発明のさらに他の実施形態として、上記多層プラスチック基板を含む画像表示装置のような電子素子を提供する。本発明による多層プラスチック基板は、画像表示装置の基板または表示素子のカバー材に使用されることができる。
【0093】
上記画像表示装置をはじめとした電子素子は、技術分野に知られた通常の方法で製造されることができる。
【実施例】
【0094】
以下、本発明を下記実施例によってさらに詳しく説明する。下記実施例は、本発明の理解を助けるために例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲が下記実施例にのみ限定されるものではない。
【0095】
実施例1−1
テトラエトキシシラン(TEOS)20重量部、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)10重量部を混合した後、これに蒸留水7重量部、エタノール20重量部及びHCl 0.01重量部を添加し、25℃で24時間部分加水分解して製造したゾル(sol)上にエポキシ化合物(商品名ERL−4221、Dow Chemical)100重量部、触媒としてのトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩(triarylsulfonium hexafluoro antimonite salts mixed)
【0096】
50w% in propylene carbonate)6重量部を混合し、有機−無機ハイブリッドバッファー組成物を製造した。
【0097】
上記バッファー組成物を基材であるPETの一面にバーコーティングし、90℃対流オーブンで5分間溶媒を除去し、UV硬化した後、PETの反上面にバーコーティングし、90℃対流オーブンで5分間溶媒を除去し、UV硬化し、PETの両面に第1のバッファー層を形成し、150℃対流オーブンで1時間熱硬化した。
【0098】
その後、熱硬化が終わった第1のバッファー層の一面にガス遮断層を形成するために、アタックシステム社のDC/RFマグネトロンスパッタ装置を使用してArガスを50sccm注入し、5mtorrの圧力下で1000WattのRF(13.56MHz)パワーで10分間蒸着し、酸化ケイ素(SiO、x=1−4の整数)薄膜を蒸着した。SEMで観察した酸化ケイ素膜の厚さは、100nmであった。酸化ケイ素薄膜の上にさらに上記バッファー組成物をバーコーティングした後、90℃対流オーブンで5分間溶媒を除去し、UV硬化した後、150℃対流オーブンで1時間熱硬化し、第2のバッファー層を形成することによって、多層フィルムを製造した。この時、硬化が終わった後、アルファステッパーで測定した第2のバッファー層の厚さは、0.5ミクロンであった。AFMの常温タッピングモードで測定した第2のバッファー層の表面粗さは、50ミクロン×50ミクロンの測定面積で0.4ナノメートル以下である。
【0099】
その後、上記と同一の方式で熱硬化が終わった第1のバッファー層の他面にガス遮断層と第2のバッファー層を順次に形成した。
【0100】
実施例1−1による基板は、平坦な底部に配置した時、屈曲がなかった。実施例1−1のプラスチック基板に対して表示装置用基板としての主要要求物性である光透過度、酸素透過率、水蒸気透過率、線膨張係数、鉛筆硬度を測定し、その結果を表1に示した。上記各物性測定方法は、下記の通りであり、以下、すべての実施例と比較例に同一に適用した。
1)光透過度:ASTM D 1003に基づいて各々Varian社のUV−分光計を使用して可視光線領域である380から780nmの範囲で測定した。
2)酸素透過率:MOCON社のOX−TRAN2/20を使用してASTM D3985の方法で常温で0%の相対湿度で測定した。
3)水蒸気透過率:PERMATRAN−W−3/33を使用してASTM F 1249の方法で100%の相対湿度で常温で48時間測定した。
4)線膨張係数:ASTMD 696に基づいて熱機械分析器(TMA;Thermomechnical Analysis)で5gfの応力下で分当たり10℃に昇温しながら測定し、鉛筆硬度は、200gの荷重下でASTM D3363の方法で測定した。
【0101】
記載されたすべての物性は、統計的な代表性を有することができるように最小限5個以上の測定値に対する平均値を示した。
【0102】
参照として、実施例1−1に使用されたPETフィルム自体の酸素、水蒸気透過率は、各々25cc/m2/day/atm、4.5g/m2/dayであり、線膨張係数は、22.4ppm/Kである。
【0103】
実施例1−2
硬化剤であるアンハイドライド(ANHYDRIDE)(MH700G、New Japan Chemical)10重量部を追加に投入することを除いて、実施例1−1と同一の方法でバッファー組成物を製造し、同一の構造の多層プラスチック基板を製造した。製造された多層プラスチック基板の物性を測定し、表1に示した。
【0104】
実施例1−3
テトラエトキシシラン80重量部、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10重量部を混合した後、これに蒸留水28重量部、エタノール80重量部及びHCl0.04重量部を添加することを除いて、実施例1−1と同一の方法でバッファー組成物を製造し、同一の構造の多層プラスチック基板を製造した。製造された多層プラスチック基板の物性を測定し、表1に示した。
【0105】
実施例1−4
コロイダルシリカ(MIBK−ST)30重量部を追加に添加することを除いて、実施例1−1と同一の方法でバッファー組成物を製造し、同一の構造の多層プラスチック基板を製造した。製造された多層プラスチック基板の物性を測定し、表1に示した。
【0106】
実施例1−5
金属アルコキシド[Al(OBu)]10重量部を追加に投入し、蒸留水10重量部、エタノール30重量部を投入し、コロイダルシリカ(MIBK−ST)30重量部を追加に投入することを除いて、実施例1−1と同一の方法でバッファー組成物を製造し、同一の構造の多層プラスチック基板を製造した。製造された多層プラスチック基板の物性を測定し、表1に示した。
【0107】
実施例1−6
ガス遮断層と第2のバッファー層をPETの一面にのみ形成することを除いて、実施例1−1と同一の方法で多層プラスチック基板を製造した。製造された多層プラスチック基板の物性を測定し、表1に示した。
【0108】
比較例1−1
実施例1−1と同一の方法で製造されたバッファーコーティング組成物を利用して同一の構造のプラスチック基板を製造した。但し、バッファーコーティング組成物の硬化は、UV硬化なしに120℃で1時間熱硬化だけで硬化した。
しかし、PETフィルムの一面に第1のバッファー層をコーティングした後、熱硬化すれば、フィルムの厚さ方向に対称構造を形成しないので、硬化中に反り(curl)現象が発生し、これにガス遮断層及び第2のバッファー層を順次に形成すれば、反り現象がさらに激しくなることを確認することができた。製造された多層プラスチック基板の物性を測定し、表1に示した。
【0109】
比較例1−2
実施例1−1と同一の方法で製造されたバッファーコーティング組成物を利用して同一の構造のプラスチック基板を製造した。但し、バッファーコーティング組成物の硬化は、90℃対流オーブンで5分間溶媒を除去し、UV硬化して製造し、熱硬化段階を省略した。
UV硬化だけを行う場合、硬化が完全に行われず、そのため、界面間の接着力が低くなり、鉛筆硬度などの物性が低いコーティングされたフィルムが製造された。
【0110】
製造された多層プラスチック基板の物性を測定し、表1に示した。表1で、a)機器測定範囲は、0.05cc/m2/day/atmであり、b)機器測定範囲は、0.005g/m2/dayである。
【0111】
【表1】

【0112】
表1を通じて、本発明による実施例1−1〜1−6の場合、比較例1−1〜1−2に比べて酸素透過率、水蒸気透過率及び線膨張係数が低く、光透過度が高くて、鉛筆硬度は優秀であり、反り現象などの変形も生じないことを確認することができた。
【0113】
このように、本発明によれば、低い線膨張係数、優れた寸法安定性による高温熱変形性の改善、及び優れたガス遮断性を同時に満足する多層プラスチック基板を提供することができるようになる。
【0114】
実施例2−1
テトラエトキシシラン(TEOS)20重量部、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)10重量部を混合した後、これに蒸留水7重量部、エタノール20重量部及びHCl 0.01重量部を添加し、25℃で24時間部分加水分解して製造したゾル(sol)上にエポキシ化合物(商品名ERL−4221、Dow Chemical)100重量部、触媒としてのトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩(triarylsulfonium hexafluoro antimonite salts mixed)
【0115】
50w% in propylene carbonate)6重量部を混合し、有機−無機ハイブリッドバッファー組成物を製造した。
【0116】
上記バッファー組成物を基材としてのPETの一面にバーコーティングした後、90℃対流オーブンで5分間溶媒を除去し、UV硬化した後、120℃対流オーブンで1時間熱硬化し、PETフィルムの一面に第1バッファー層をコーティングした。硬化が終わった第1のバッファー層上にアタックシステム社のDC/RFマグネトロンスパッタ装置を使用してArガスを50sccmを注入し、5mtorrの圧力下で1000WattのRF(13.56MHz)パワーで10分間蒸着し、酸化ケイ素(SiO、x=1−4の整数)薄膜を蒸着した。SEMで観察した酸化ケイ素膜の厚さは、100nmであった。酸化ケイ素薄膜の上にさらに上記バッファー組成物をバーコーティングした後、90℃対流オーブンで5分間溶媒を除去し、UV硬化した後、120℃対流オーブンで1時間熱硬化し、第2のバッファー層を形成することによって、多層フィルムを製造した。この時、硬化が終わった後、アルファステッパーで測定した第2のバッファー層の厚さは、0.5ミクロンであった。AFMの常温タッピングモードで測定した第2のバッファー層の表面粗さは、50ミクロン×50ミクロンの測定面積で0.4ナノメートル以下である。
【0117】
その後、上記と同一の方式で別の多層フィルムを製造した。
【0118】
最後に、多官能基を有するアクリレートオリゴマーが主成分である接着剤組成物を上記の過程で製造された多層フィルム(100b)のコーティングされていないPET面にバーコーティングした後、上記と同一の方式で製造された多層フィルム(100b)の高分子基材をラミネートし、紫外線照射器(DYMAX 2000−EC)で6分間照射し、接着剤組成物の硬化反応を誘導し、対称構造のプラスチック基板を製作した。
【0119】
実施例2−1による基板は、平坦な底部に配置した時、屈曲がなかった。実施例2−1のプラスチック基板に対して表示装置用基板としての主要要求物性である光透過度、ヘイズ、酸素透過率、水蒸気透過率、線膨張係数、鉛筆硬度を測定し、その結果を表2に示した。
【0120】
実施例2−2
硬化剤であるアンハイドライド(ANHYDRIDE)(MH700G、New Japan Chemical)10重量部を追加に投入することを除いて、実施例2−1と同一の方法でバッファー組成物を製造し、同一の構造の多層プラスチック基板を製造した。製造された多層プラスチック基板の物性を測定し、表2に示した。
【0121】
実施例2−3
テトラエトキシシラン80重量部、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10重量部を混合した後、これに蒸留水28重量部、エタノール80重量部及びHCl 0.04重量部を添加することを除いて、実施例2−1と同一の方法でバッファー組成物を製造し、同一の構造の多層プラスチック基板を製造した。製造された多層プラスチック基板の物性を測定し、表2に示した。
【0122】
実施例2−4
コロイダルシリカ(MIBK−ST)30重量部を追加に添加することを除いて、実施例2−1と同一の方法でバッファー組成物を製造し、同一の構造の多層プラスチック基板を製造した。製造された多層プラスチック基板の物性を測定し、表2に示した。
【0123】
実施例2−5
金属アルコキシド[Al(OBu)]10重量部を追加に投入し、蒸留水10重量部、エタノール30重量部を投入し、コロイダルシリカ(MIBK−ST)30重量部を追加に投入することを除いて、実施例2−1と同一の方法でバッファー組成物を製造し、同一の構造の多層プラスチック基板を製造した。製造された多層プラスチック基板の物性を測定し、表2に示した。
【0124】
比較例2−1
実施例2−1と同一の方法で製造されたバッファーコーティング組成物を利用して同一の構造のプラスチック基板を製造した。但し、バッファーコーティング組成物の硬化は、UV硬化なしに120℃で1時間熱硬化だけで硬化した。
しかし、PETフィルムの一面に第1のバッファー層をコーティングした後に熱硬化すれば、フィルムの厚さ方向に対称構造を形成しないので、硬化中に反り(curl)現象が発生し、これにガス遮断層及び第2のバッファー層を順次に形成すれば、反り現象がさらに激しくなることを確認することができた。製造された多層プラスチック基板の物性を測定し、表2に示した。
【0125】
比較例2−2
実施例2−1と同一の方法で製造されたバッファーコーティング組成物を利用して同一の構造のプラスチック基板を製造した。但し、バッファーコーティング組成物の硬化は、90℃対流オーブンで5分間溶媒を除去し、UV硬化して製造し、熱硬化段階を省略した。
UV硬化だけを行う場合、硬化が完全に行われず、そのため、界面間の接着力が低くなり、鉛筆硬度などの物性が低いコーティングされたフィルムが製造された。
【0126】
製造された多層プラスチック基板の物性を測定し、表2に示した。表2で、a)機器測定範囲は、0.05cc/m2/day/atmであり、b)機器測定範囲は、0.005g/m2/dayである。
【0127】
【表2】

【0128】
表2から、本発明による実施例2−1〜2−5の場合、比較例2−1〜2−2に比べて酸素透過率、水蒸気透過率及び線膨張係数が低く、光透過度が高く、鉛筆硬度が優秀であり、反り現象などの変形も生じないことを確認することができた。
【0129】
このように、本発明によれば、低い線膨張係数、優れた寸法安定性による高温熱変形性の改善、及び優れたガス遮断性を同時に満足する多層プラスチック基板を提供することができる。
【符号の説明】
【0130】
100 高分子基材
110 第1バッファー層
120 ガス遮断層
130 第2バッファー層
111 接合層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子基材と;
上記高分子基材の上面及び下面に形成され、UV硬化及び熱硬化可能なバッファー組成物のUV硬化及び熱硬化による硬化物を含む第1バッファー層と
上記高分子基材の下面に形成された第1バッファー層のうち少なくとも1つの第1バッファー層の一面に順次に備えられたガス遮断層及び第2バッファー層と;
を含む多層プラスチック基板。
【請求項2】
上記高分子基材は、単一層構造または2層以上の高分子層が相互に接合された構造であることを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック基板。
【請求項3】
上記高分子基材は、単一高分子、1種以上の高分子ブレンド、及び有機または無機添加物を含有する高分子複合材料よりなる群から選択される少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック基板。
【請求項4】
上記単一高分子または1種以上の高分子ブレンドのための高分子は、ポリノルボルネン、芳香族フルオレンポリエステル、ポリエーテルスルホン、ビスフェノールAポリスルホン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレン、ポリアリレート、ポリカーボネート、及び環状オレフイン共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項3に記載の多層プラスチック基板。
【請求項5】
上記無機添加物を含有する高分子複合材料は、クレイナノ物質が高分子マトリックスに分散されたポリマー−クレイナノ複合体であることを特徴とする請求項3に記載の多層プラスチック基板。
【請求項6】
上記第1バッファー層または第2バッファー層の未硬化エポキシ基含量が、10重量%以上100重量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック基板。
【請求項7】
上記第1バッファー層及び第2バッファー層は、有機シラン及び金属アルコキシドのうち少なくとも1つの加水分解物と硬化型エポキシ樹脂の混合物のUV硬化及び熱硬化による硬化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック基板。
【請求項8】
上記有機シランは、下記化学式1〜化学式3で表示される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種以上を含み、上記金属アルコキシドは、下記化学式4で表示される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種以上を含み、上記硬化型エポキシ樹脂は、下記化学式5〜10で示す脂環式エポキシ樹脂及び下記化学式11で示すトリグリシジルイソシアヌレートよりなる群から選択される少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項7に記載の多層プラスチック基板:
【化1】

【化2】

【化3】

上記化学式1〜化学式3で、
Xは、それぞれ互いに独立して同一又は異なることができ、水素、ハロゲン、炭素数1〜12のアルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、または−N(Rであり、
は、それぞれ互いに独立して同一又は異なることができ、炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜12のアルケニル、アルキニル、炭素数6〜20のアリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールアルケニル、アルケニルアリール、アリールアルキニル、アルキニルアリール、ハロゲン、アミド、アルデヒド、ケトン、アルキルカルボニル、カルボキシ、メルカプト、シアノ、ヒドロキシ、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数1〜12のアルコキシカルボニル、スルホン酸、リン酸、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、エポキシ、またはビニル基であり、
は、水素、または炭素数1〜12のアルキルであり、
mは、1〜3の整数である。
【化4】

ここで、Mは、アルミニウム、ジルコニウム及びチタンよりなる群から選択される金属を示し、
は、それぞれ互いに独立して同一又は異なることができ、ハロゲン、炭素数1〜12のアルキル、アルコキシ、アシルオキシ、またはヒドロキシ基であり、
Zは、3または4の整数である。
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

化学式8で、R20は、アルキル基またはトリメチロールプロパン残基を示し、qは、1〜20である。
【化9】

ここで、R21及びR22は、同一または異なることができ、各々HまたはCHを示し、rは、0〜2である。
【化10】

ここで、sは、0〜2である。
【化11】

【請求項9】
上記硬化物100重量部に対して有機シラン及び金属アルコキシドのうち少なくとも1つの加水分解物は5〜95重量部であり、上記硬化型エポキシ樹脂は、5〜95重量部であることを特徴とする請求項7に記載の多層プラスチック基板。
【請求項10】
上記第1バッファー層及び第2バッファー層のうち少なくとも1つは、金属、ガラス粉末、ダイヤモンド粉末、シリコンオキシド、クレイ、カルシウムホスフェート、マグネシウムホスフェート、バリウムスルフェート、アルミニウムフルオライド、カルシウムシリケート、マグネシウムシリケート、バリウムシリケート、バリウムカーボネート、バリウムヒドロキシド及びアルミニウムシリケートよりなる群から少なくとも1種以上選択される充填剤;硬化剤、触媒及び溶媒をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の多層プラスチック基板。
【請求項11】
上記第1バッファー層及び第2バッファー層の厚さが0.1μm〜50μmであることを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック基板。
【請求項12】
上記ガス遮断層の厚さは、5〜1,000nmであることを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック基板。
【請求項13】
上記多層プラスチック基板の線形膨張係数は、5〜30ppm/KRであることを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック基板。
【請求項14】
上記多層プラスチック基板の鉛筆硬度は、2H〜8Hであることを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック基板。
【請求項15】
上記多層プラスチック基板の表面平坦度(Ra)は、0.1〜1.2nmであることを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック基板。
【請求項16】
上記多層プラスチック基板の酸素透過率が0.05cc/m2/day/atm未満であることを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック基板。
【請求項17】
上記多層プラスチック基板の光透過度は、85%以上であることを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック基板。
【請求項18】
上記多層プラスチック基板の水蒸気透過率は、0.005g/m2/day未満であることを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック基板。
【請求項19】
(a)高分子基材の一面にUV硬化及び熱硬化可能なバッファー組成物をコーティングし、第1バッファー層を形成する段階と、
(b)上記(a)段階で形成した第1バッファー層をUV硬化する段階と、
(c)上記第1バッファー層を一面に具備した高分子基材の他面にUV硬化及び熱硬化可能なバッファー組成物をコーティングし、第1バッファー層を形成する段階と、
(d)上記(c)段階で形成した第1バッファー層をUV硬化する段階と、
(e)高分子基材の両面に備えられたUV硬化された第1バッファー層を同時に熱硬化する段階と、
(f)上記高分子基材の両面に形成された第1バッファー層のうち少なくとも1つの第1バッファー層の一面にガス遮断層及び第2バッファー層を順に形成する段階と、を含む多層プラスチック基板の製造方法。
【請求項20】
(a)高分子基材の一面にUV硬化及び熱硬化可能なバッファー組成物をコーティングし、第1バッファー層を形成する段階と;
(b)上記第1バッファー層をUV硬化する段階と;
(c)上記UV硬化された第1バッファー層を熱硬化する段階と;
(d)上記第1バッファー層上にガス遮断層を形成する段階と;
(e)上記ガス遮断層に第2バッファー層を形成し、高分子基材、第1バッファー層、ガス遮断層及び第2バッファー層が順次積層された構造の多層フィルムを形成する段階と;
(f)上記(a)〜(e)の段階を繰り返して上記(e)段階と同一の構造の別の多層フィルムを製造する段階と;
(g)上記(e)段階及び上記(f)段階で各々製造した多層フィルムを高分子基材面が隣接するように互いに接合し、対称構造の多層フィルムを形成する段階と;を含む多層プラスチック基板の製造方法。
【請求項21】
UV硬化を、水銀またはメタルハライドランプを単独あるいは併用してエネルギー20mJ/cm〜3000mJ/cmで1秒〜数時間行い、熱硬化を、100〜200℃の温度で1分〜数時間行うことを特徴とする請求項19または20に記載の多層プラスチック基板の製造方法。
【請求項22】
請求項1から請求項18のいずれかに記載の多層プラスチック基板を含む電子素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−509213(P2012−509213A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537363(P2011−537363)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006842
【国際公開番号】WO2010/058988
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】