説明

多層光ディスクのデータ消去方法及び光ディスク装置

【課題】多層光ディスクの層数の増加に対応し、装置構成が簡単で処理時間を短縮するデータ消去方法及び光ディスク装置を提供する。
【解決手段】光ディスク試験装置により、各光ディスクに対し、消去用レーザパワーPeと光ヘッド3のデフォーカス量Δfを変えて、各記録層のデータの試し消去を行う。試し消去の結果から、同時に最も多くの記録層を消去可能な最適消去条件と、各記録層のデータを最小回数で消去可能な最適シーケンスを決定し、光ディスク装置のメモリ19に登録する。光ディスク装置では、メモリ19から消去対象の光ディスクに対する最適消去条件と最適シーケンスを読み出し、この条件に従い各記録層のデータを本消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の記録層を有する多層光ディスクのデータ消去方法及び光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ディスクの記憶容量増大のため、複数の記録層を積層させた構造の多層光ディスク(多層ディスク)の開発が進められている。例えば高密度記録が可能なブルーレイディスク(BD)では、1層当たりの容量25GBを16層積層することで、総容量400GBを実現することなどが発表されている。多層ディスクにおいて層数が増加すると、表面から遠い記録層(すなわち深い層)での記録再生性能をいかに確保するか、また複数の記録層のデータをいかに効率良く消去するか、などが課題となる。例えば、1層ごとに全部の記録層のデータを消去する場合、層数に比例した多大の処理時間を要することになる。
【0003】
これに関し特許文献1では、多層媒体の初期化において、単層媒体と同程度の時間で初期化することを目的とし、各記録層に同時に光照射を行って各記録層の初期化を同時的に行う技術が開示されている。そのための光照射手段として、記録層ごとに対応する複数の光ヘッド(または対物レンズ)を備えて複数の光を照射する構成(実施例1,2,3)が開示される。さらには光照射手段として、単一の光ヘッド(対物レンズ)の焦点深度を深くして複数の記録層に渡って光照射を行う構成(実施例4)が開示される。
【0004】
【特許文献1】特開平9−91700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術によれば、複数の記録層を有する多層ディスクにおいて、単層ディスクの場合と同程度の時間で初期化処理(消去処理)を行うことが可能となる。しかしながら、実施例1,2,3の構成では、光照射手段として層数に等しい複数の光ヘッド(対物レンズ)を設けなければならず、層数の増加に伴い装置の構造が複雑化し部品コストも増大する。また実施例4の構成は、単一の対物レンズにて構成するものであるが、焦点深度を深くしても単一照射光で有効に照射できる範囲は限られている。よって、多層ディスクにおいて同時に初期化処理のできる層数には限界があり、層数の増加に伴い初期化が不十分な記録層が残ってしまう恐れがある。その都度初期化をやり直すのであれば、効率が低下する。さらには、記録品質低下の問題がある。対物レンズの焦点深度を深くするとレーザビームの絞込みが不十分になり、特にBDなどの高密度記録時の記録再生品質を劣化させる要因となる。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を鑑み、多層光ディスクの層数の増加に対応し、装置構成が簡単で処理時間を短縮するデータ消去方法及び光ディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の記録層を有する多層光ディスクのデータ消去方法において、光ディスク試験装置により、試験対象となる各光ディスクのテスト領域において、消去条件を変えて消去用レーザ光を照射し各記録層のデータの試し消去を行うステップと、試し消去の結果から同時に最も多くの記録層を消去可能な最適消去条件を決定するステップと、最適消去条件に従い各記録層のデータを最小回数で消去可能な最適シーケンスを決定するステップと、各光ディスクに対する最適消去条件と最適シーケンスを光ディスク装置のメモリに登録するステップと、光ディスク装置により、メモリから消去対象となる光ディスクに対する最適消去条件と最適シーケンスを読み出すステップと、読み出した最適消去条件と最適シーケンスにて、消去対象となる光ディスクの各記録層のデータを消去するステップとを備える。
【0008】
ここに試し消去の消去条件として、消去用レーザパワーと、レーザ光を照射する光ヘッドの目標の記録層に対するデフォーカス量を変化させる。
ここに試し消去の結果の判定では、各記録層に対し、消去したテスト領域においてダミーデータを記録し、そのダミーデータを再生してジッタまたはエラーレートを測定し、測定値が許容値以下であればその記録層について消去効果ありと判定する。
【0009】
本発明は、複数の記録層を有する多層光ディスクにデータを記録、再生、消去する光ディスク装置において、光ディスクにレーザ光を照射してデータを記録、再生、消去する光ヘッドと、光ヘッドの消去用レーザパワーを設定するレーザパワー設定部と、光ヘッドの目標の記録層に対するデフォーカス量を設定するデフォーカス量設定部と、各光ディスクに対する最適消去条件と最適シーケンスが登録されているメモリと、メモリから消去対象となる光ディスクに対する最適消去条件と最適シーケンスを読み出して、読み出した最適消去条件をレーザパワー設定部とデフォーカス量設定部に設定するマイコンとを備え、消去対象となる光ディスクの各記録層のデータを、最適シーケンスに従って消去する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多層光ディスクのデータ消去処理を簡単な装置構成で短時間で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本実施例の消去方法は、消去対象となる光ディスクの最適消去条件を求めておき、光ディスク装置のメモリに登録しておく(以下、学習工程)。光ディスク装置は、ローディングされた光ディスクに対する最適消去条件を読み出し、その条件に従ってデータの消去を行うものである(以下、消去工程)。そのために学習工程では、予め消去条件を変えながら光ディスクのテスト領域にて試し消去を行い、同時に最も多くの記録層を消去可能な最適な消去条件と、各記録層のデータを最小回数で消去可能な最適シーケンスを決定する。決定した最適消去条件を装置のメモリに登録しておく。
【0012】
図1は、本発明による多層光ディスクのデータ消去方法と光ディスク装置の一実施例を示す図である。これを用いて学習工程と消去工程に分けて説明する。学習工程では光ディスク試験装置を、消去工程ではユーザ向け光ディスク装置を使用するが、両者の装置は共通の機能を有するので、図1では簡単のため同じ図面で説明する。
【0013】
<学習工程>
多層光ディスクはその種類により、記録層の総数、層間距離、記録膜の感度などが異なるので、複数の記録層を最小回数で消去するための最適な消去条件(消去パワーなど)と消去時にフォーカスをかける記録層をディスクごとに決定する。この学習工程は光ディスク試験装置にて行い、決定した最適消去条件を、ユーザ向け光ディスク装置を出荷するとき装置のメモリに登録する。
【0014】
試験対象の光ディスク1として、5層の書換え可能な多層ディスクの例を示す。レーザ入射側から各層をL1,L2,L3,L4,L5とし、層間距離はdとする。各層にはデータが記録されており、全層のデータを全面消去する場合を説明する。テスト領域Tは試し消去に用いる領域である。
【0015】
試験装置の概要を述べる。光ディスク1は、スピンドルモータ2で回転させ、光ヘッド3にて各記録層にレーザ光を照射してデータを記録、再生、消去する。光ヘッド3は、レーザ光を発生するレーザ光源4、記録層にレーザビームを照射する対物レンズ5、対物レンズ5をディスク厚み方向およびディスク半径方向に駆動するアクチュエータ6、ディスクからの反射光を検出し電気信号に変換する光検出器7などを含む。ここに対物レンズ5は、記録媒体とフォーマットに合わせた開口数(NA)を有する。例えばBDディスクではNA=0.85とし、焦点深度を浅くして高密度記録品質に支障がないように設定する。光ヘッド3は、図示しないスレッドモータによりディスク上の所定の領域(半径位置)に移動する。レーザドライバ11はレーザ光源4に駆動信号を送る。記録信号生成部12は記録ストラテジに従いデータ記録信号を生成し、特に試し消去のときはダミーデータを生成する。消去信号生成部13はレーザパワーPeを変化させた消去信号を生成する。
【0016】
光検出器7からの検出信号は、フォーカス信号生成部14と再生信号処理部16に送られる。フォーカス信号生成部14は検出信号からフォーカスエラー(FE)信号を生成し、フォーカスサーボ部15はアクチュエータ6を駆動してフォーカス制御を行う。その際、フォーカスサーボ系にオフセットを与えることで、目標の記録層に対するフォーカス位置を、ジャストフォーカス位置から所定量だけずらして設定するようにした。このずらし量をデフォーカス量Δfと呼ぶ。デフォーカス量Δfを与えるには、オフセットを与える代わりに、フォーカス信号生成部15において生成したFE信号のバランスを崩すようにしても構わない。試し消去では、このデフォーカス量Δfと上記レーザパワーPeとをパラメータとして、テスト領域Tの各記録層のデータを消去する。
【0017】
再生信号処理部16は、検出信号からデータ信号を再生する。再生品質評価部17は、再生データの品質を評価する。特に、試し消去後に記録したダミーデータの再生品質として、ジッタまたはエラーレートを測定してマイコン18に送る。マイコン18は、ジッタまたはエラーレートの測定値が許容値以下であれば、試し消去の「消去効果あり」と判定する。測定値が許容値より大きければ「消去効果なし」と判定する。試し消去の判定結果は不揮発メモリ19に記憶しておく。マイコン18は、試し消去の結果から、同時に最も多くの記録層を消去可能な最適消去条件(パラメータ値)を決定する。そして、最適消去条件に従い最小の消去回数で全層を消去可能な最適シーケンス(フォーカスサーボをかける目標層)を決定する。不揮発メモリ19には、最適消去条件と最適シーケンスを記憶しておく。このようにして、各ディスクの最適消去条件を学習する。
置のメモリに登録する。
【0018】
<消去工程>
学習工程で取得した各ディスクの最適消去条件と最適シーケンスは、ユーザの光ディスク装置の不揮発メモリ19に予め登録されている。光ディスク装置の構成は、上記の光ディスク試験装置と同様であり説明を省略する。
【0019】
消去対象となる光ディスク1がローディングされると、マイコン18は、そのディスクのIDに対応する最適消去条件を不揮発メモリ19から読み出す。そして、消去用レーザパワーPeを消去信号生成部13に、デフォーカス量Δfをフォーカスサーボ部15に設定する。また最適シーケンスに従って、光ヘッド3のフォーカスサーボを指定された目標層Lfにかけてデータの消去を実行する。その結果、ローディングされた光ディスク1の全層のデータを最小の消去回数で消去することができる。
【0020】
本実施例の光ディスク装置では、単一の光ヘッド3(対物レンズ5)を有するので構成が簡単であり、層数の多い多層ディスクにも対応できる。また、その焦点深度は所定の値に設定しているので、記録再生性能に支障を与えることがない。
【0021】
次に、<学習工程>について詳細に説明する。
試し消去では、ディスク内のテスト領域Tを利用し、試し消去用レーザ光を照射して同時に消去できる層数を求める。その際、フォーカスサーボを中間層(5層ディスクならば3層目L3)にかけることで、上下両側の記録層の消去結果を得ることができる。テスト領域Tとして、各層の同一半径位置での数ブロックのデータ領域を利用する。試し消去は消去条件の数だけ複数回繰り返すが、テスト領域として毎回新しい領域に移動させても、同一領域を繰り返して用いても構わない。
【0022】
図2は、試し消去の消去条件と判定結果の一例を示す図である。(a)は試し消去のパラメータと消去判定を示し、(b)は最適消去条件とシーケンスを示す。
(a)の試し消去時のパラメータとして、DC消去のレーザパワーPeを例えば100,150,200(相対強度)と変化させ、一方層間距離dに対するデフォーカス量Δfを例えば0,0.25,0.5と変化させ、これらを組合わせる。
【0023】
1回の試し消去を行うごとに、各層ごとに消去効果の判定を行う。消去効果の判定では、試し消去した領域においてダミーデータを記録する。ダミーデータは最適パワー制御(OPC)などと同様に、特定パターンのデータでも任意のデータでも構わない。次に、記録したダミーデータを再生して再生品質を評価する。具体的には、再生品質評価部17にて再生データのジッタあるいはエラーレートを測定し、その測定値が許容値以下であれば試し消去の効果が十分であり、「消去効果あり」と判定する。
【0024】
図2(a)では、各パラメータの組合せにおいて、「消去効果あり」と判定された層を示している。例えばPe=100、Δf/d=0のときは、「消去効果あり」はL3層だけである。これに対し、Pe=200、Δf/d=0.25のときは、L2,L3,L4の3層が「消去効果あり」と判定された。この結果、図2(b)に示すように、同時に最も多くの記録層を消去可能とする最適消去条件はPe=200、Δf/d=0.25と決定する。そのときの最大消去層数Nは3層である。この最適条件に従い全層を最小回数で消去するためには、フォーカスサーボをかける目標層Lfを1回目はL2層に設定してL1,L2,L3層を消去し、2回目はL5層(またはL4層)に設定して残りのL4,L5層を消去すればよい。これを最適シーケンスとして決定する。不揮発メモリ19には、ディスクID(#0001)と共にこれらの最適消去条件とシーケンスを記憶する。
【0025】
図2(b)に示したディスクごとの最適消去条件とシーケンスは、ユーザ向けの光ディスク装置の不揮発メモリ19に登録される。光ディスク装置では、この消去条件に従って本消去動作を行う。
【0026】
図3は、本実施例の消去方法(学習工程)のフローチャートを示す図である。図1、図2の例(5層ディスク)に沿って説明する。以下の処理の流れは、処理プログラムに従い光ディスク試験装置のマイコン18が制御する。
【0027】
S101では、試験対象の光ディスクの中間層(5層ディスクではL3層)にフォーカスサーボをかける。
S102では、光ヘッドの消去用レーザパワーPeを予め決めた複数の条件の1つ(例えば相対値100)に設定する。
S103では、デフォーカス量Δfを予め決めた複数の条件の1つ(例えばΔf/d=0)に設定する。
S104では、光ヘッドをテスト領域Tに移動し、上記設定した条件にて所定範囲のデータを消去する。
【0028】
次にS105からS108では、各層(n=1から5)について消去効果を判定する。
S105では、Ln層にフォーカスサーボをかける。
S106では、消去したテスト領域Tにダミーデータを記録する。
S107では、ダミーデータを再生し品質を評価する。具体的には、ジッタまたはエラーレートを測定する。
S108では、評価した品質が許容範囲にあれば「消去効果あり」と判定し、不揮発メモリ19に記憶する。S105に戻り、次の層について消去効果の判定を繰り返す。
【0029】
S109では、デフォーカス量Δfのパラメータが全て終了したかどうか判定する。終了していなければS103へ戻り次の条件を設定する。
S110では、消去用レーザパワーPeのパラメータが全て終了したかどうか判定する。終了していなければS102へ戻り次の条件を設定する。
【0030】
S111では、不揮発メモリ19から各パラメータにおける消去効果の判定結果を読み出す。
S112では、同時に最も多くの記録層を消去可能な最適消去条件(Pe、Δf)と、そのときの最大消去層数Nを求める。図2の例では、Pe=200、Δf/d=0.25、N=3となる。
S113では、全層を最小回数で消去可能な最適シーケンスとして、フォーカスサーボをかける目標層Lfを決定する。図2の例では、Lf=L2、L5(またはL4)である。
S114では、当該ディスクIDと共に、上記消去条件とシーケンス(Pe、Δf、Lf)を光ディスク装置の不揮発メモリ19に登録する。
【0031】
このようにして、各ディスクについて最適消去条件と最適シーケンスを決定し、ユーザの光ディスク装置の不揮発メモリ19に登録することができる。
【0032】
図4は、本実施例の消去方法(消去工程)のフローチャートを示す図である。以下の処理の流れは、処理プログラムに従い光ディスク装置のマイコン18が制御する。
【0033】
S201では、ローディングされた光ディスクの管理情報領域から、ディスクIDを読み取る。
S202では、装置の不揮発メモリ19から、対象ディスクIDに対応して登録されている最適消去条件(消去用レーザパワーPe、デフォーカス量Δf、フォーカスサーボをかける目標層Lf)を読み出す。
【0034】
S203では、読み出した消去用レーザパワーPe(図2ではPe=200)を消去信号生成部13に、またデフォーカス量Δf(図2ではΔf/d=0.25)をフォーカスサーボ部15に設定する。
S204では、指定された目標層Lfに、光ヘッド3のフォーカスサーボをかける。図2の例では、Lf=L2層に設定する。
【0035】
S205では、上記設定した条件のもとでデータの消去動作を実行する。
S206では、全ての目標層Lfについて終了したかどうかを判定する。残りの目標層があれば、S204に戻り次の目標層Lfに設定する。図2では、L5層(またはL4層)について繰り返す。目標層Lfが全て終了すれば、消去工程を終了する。
【0036】
以上のように本実施例によれば、学習工程(図3)にて予め試し消去を行い、同時に最も多くの記録層を消去可能な最適消去条件と、最小回数で全層を消去可能な最適シーケンス(フォーカスサーボをかける目標層)を決定し、これらの条件を装置メモリに登録しておく。消去工程(図4)ではこの消去条件を読み出して適用することで、消去処理を最短時間で最も効率よく実行することができる。その際、試し消去の結果が反映されるので、消去の失敗がなくなり信頼性も向上する。
【0037】
上記実施例では全層を消去する場合について説明したが、特定の複数層を消去する場合においても適用できる。その場合には、フォーカスサーボをかける目標層を適宜変更して設定すれば良い。
【0038】
なお、光ディスク装置を出荷後に、新たなディスクについての消去条件を追加したり、既に登録している消去条件を変更する場合には、不揮発メモリ19の既登録内容(ファームウェア)を更新(アップデート)すれば良い。また、最適消去条件を装置内メモリでなく当該ディスクの管理情報領域に登録しておき、これから読み出すようにしても良い。
【0039】
本実施例のデータ消去方法は、書き換え不可能なライトワンスディスク(DVD−R)に対しても適用できる。その場合、消去パワーによるデータ上書きとなるため、ディスク上の記録済みデータを短時間で破壊することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による多層光ディスクのデータ消去方法と光ディスク装置の一実施例を示す図。
【図2】試し消去の消去条件と判定結果の一例を示す図。
【図3】本実施例の消去方法(学習工程)のフローチャートを示す図。
【図4】本実施例の消去方法(消去工程)のフローチャートを示す図。
【符号の説明】
【0041】
1…光ディスク
2…スピンドルモータ
3…光ヘッド
4…レーザ光源
5…対物レンズ
6…アクチュエータ
7…光検出器
11…レーザドライバ
12…記録信号生成部
13…消去信号生成部
14…フォーカス信号生成部
15…フォーカスサーボ部
16…再生信号処理部
17…再生品質評価部
18…マイコン
19…不揮発メモリ
Pe…消去用レーザパワー
Δf…デフォーカス量。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記録層を有する多層光ディスクのデータ消去方法において、
光ディスク試験装置により、試験対象となる各光ディスクのテスト領域において、消去条件を変えて消去用レーザ光を照射し各記録層のデータの試し消去を行うステップと、
試し消去の結果から同時に最も多くの記録層を消去可能な最適消去条件を決定するステップと、
上記最適消去条件に従い各記録層のデータを最小回数で消去可能な最適シーケンスを決定するステップと、
各光ディスクに対する上記最適消去条件と上記最適シーケンスを光ディスク装置のメモリに登録するステップと、
該光ディスク装置により、上記メモリから消去対象となる光ディスクに対する上記最適消去条件と上記最適シーケンスを読み出すステップと、
読み出した上記最適消去条件と上記最適シーケンスにて、消去対象となる光ディスクの各記録層のデータを消去するステップと、
を備えることを特徴とする多層光ディスクのデータ消去方法。
【請求項2】
請求項1に記載の多層光ディスクのデータ消去方法において、
前記試し消去の消去条件として、消去用レーザパワーと、レーザ光を照射する光ヘッドの目標の記録層に対するデフォーカス量を変化させることを特徴とする多層光ディスクのデータ消去方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の多層光ディスクのデータ消去方法において、
前記試し消去の結果の判定では、各記録層に対し、
前記消去したテスト領域においてダミーデータを記録し、
該ダミーデータを再生してジッタまたはエラーレートを測定し、
該測定値が許容値以下であればその記録層について消去効果ありと判定することを特徴とする多層光ディスクのデータ消去方法。
【請求項4】
複数の記録層を有する多層光ディスクにデータを記録、再生、消去する光ディスク装置において、
上記光ディスクにレーザ光を照射してデータを記録、再生、消去する光ヘッドと、
該光ヘッドの消去用レーザパワーを設定するレーザパワー設定部と、
上記光ヘッドの目標の記録層に対するデフォーカス量を設定するデフォーカス量設定部と、
各光ディスクに対する最適消去条件と最適シーケンスが登録されているメモリと、
該メモリから消去対象となる光ディスクに対する最適消去条件と最適シーケンスを読み出して、読み出した最適消去条件を上記レーザパワー設定部と上記デフォーカス量設定部に設定するマイコンとを備え、
消去対象となる上記光ディスクの各記録層のデータを、上記最適シーケンスに従って消去することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
複数の記録層を有する多層光ディスクに対しデータの消去条件を決定する光ディスク試験装置において、
上記光ディスクにレーザ光を照射してデータを記録、再生、消去する光ヘッドと、
該光ヘッドの消去用レーザパワーを設定するレーザパワー設定部と、
上記光ヘッドの目標の記録層に対するデフォーカス量を設定するデフォーカス量設定部と、
上記光ディスクから再生したデータの品質を評価する再生品質評価部と、
上記光ディスクのテスト領域にて消去条件を変えて試し消去を行い、試し消去の結果から最適消去条件と最適シーケンスを決定するマイコンと、
上記最適消去条件と上記最適シーケンスを記憶するメモリとを備え、
上記マイコンは、上記レーザパワー設定部と上記デフォーカス量設定部により消去用レーザパワーとデフォーカス量を変化させて試し消去を行い、各記録層において、上記消去したテスト領域にダミーデータを記録し、該ダミーデータを再生して上記再生品質評価部によりジッタまたはエラーレートを測定し、該測定値が許容値以下であればその記録層について消去効果ありと判定し、同時に最も多くの記録層を消去可能な最適消去条件と、該最適消去条件に従い各記録層のデータを最小回数で消去可能な最適シーケンスを決定することを特徴とする光ディスク試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−92557(P2010−92557A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263436(P2008−263436)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】