多層基板の製造方法および多層基板
【課題】過度に高温の加熱処理を施すことなくビア穴の十分でばらつきのない底上げが確実に行なえるようにして、電気的絶縁層の高温加熱の損傷等なく良好な電気的導通性を確保し、ビア穴の導通信頼性が向上した新規な構成の多層基板を提供する。
【解決手段】電気的絶縁層2の裏面側に第一の導電層3を形成し、電気的絶縁層2に形成され、第一の導電層3を底面とする有底のビア穴4を少なくとも一つ形成し、ビア穴4に導電性物質を一定の高さまで満たして導電性物質層5を形成し、導電性物質層5の形成後に電気的絶縁層2及び導電性物質層5の表面を覆うように第二の導電層6を形成し、第二の導電層6を加工して電気的絶縁性層2上に配線パターンを形成することで、高温の加熱処理を施すことなくビア穴4の十分でばらつきのない底上げを行なって多層基板1を製造する。
【解決手段】電気的絶縁層2の裏面側に第一の導電層3を形成し、電気的絶縁層2に形成され、第一の導電層3を底面とする有底のビア穴4を少なくとも一つ形成し、ビア穴4に導電性物質を一定の高さまで満たして導電性物質層5を形成し、導電性物質層5の形成後に電気的絶縁層2及び導電性物質層5の表面を覆うように第二の導電層6を形成し、第二の導電層6を加工して電気的絶縁性層2上に配線パターンを形成することで、高温の加熱処理を施すことなくビア穴4の十分でばらつきのない底上げを行なって多層基板1を製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多層基板の製造方法および多層基板に関し、詳しくは、多層基板の電気的絶縁層の表面側、裏面側に形成された導電層間を電気的に接続するビア(Via)穴の導通信頼性の向上に関する。尚、本発明が適用される多層基板は部品内蔵型のものを含む。又、本発明の「電気的絶縁層」は電気的絶縁性基板を含む。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の多層基板は、最も簡単には電気絶縁性基板の表面及び裏面に配線パターンの導体層を設けて形成され、より多層の構成の場合は、更に、電気的絶縁層、導体層を必要数だけ積層して形成される。なお、部品内蔵型の多層基板にあっては電気絶縁性基板等の電気的絶縁層内にモジュールの部品内蔵層が形成される。
【0003】
そして、各電気的絶縁層の表面側、裏面側の導体層は、電気的絶縁層の一又は複数個所に形成されたビア(Via)穴を通して電気的な導通が図られ、部品内蔵型の場合は前記ビア穴を通して部品内蔵層が両導体層に電気的に接続される。
【0004】
前記導体層間の電気的導通は、従来は、ビア穴の内壁をめっきして実現されている。
【0005】
しかしながら、ビア穴の内壁をめっきして導体層間の電気的導通を図る場合、アスペクト比(ビア穴の径(直径)に対するビア穴の深さの比)が大きいビア穴については、内部に十分なめっき膜を形成することが困難であり、ビア穴の導通信頼性が低下することが知られている。
【0006】
そこで、つぎに説明するように、ビア穴に金属粒を詰めてビア穴の底上げをし、その上から超微粒子金属ペーストをスピンコートして電気的絶縁層及び前記金属粒の上面を覆うように金属膜を形成し、前記の導体層間の導通をとることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
すなわち、この種の多層基板を製造する際、図22のビア穴形成の原理図に示すようにしてビア穴の穴埋め等を行なう。
【0008】
具体的には、まず、ビア穴101が穴開けしてある絶縁層(電気的絶縁層)102の下面に第1の導電層103を形成し、ビア穴101の中にこれに較べて粒径が遙かに小さい金属粒104を複数個挿入して充填し、ビア穴101を底上げする(同図a)。
【0009】
つぎに、絶縁層102の上に超微粒子金属ペーストをスピンコートし、超微粒子金属ペーストを、毛細管現象の働きによって、第1の導電層103に到るまで注入し、これを加熱し、絶縁層102の上に超微粒子金属ペーストよりなる金属膜105を形成する(同図b)。
【0010】
つぎに、クロム(Cr)の密着性強化金属膜106と銅(Cu)の導電層形成金属膜107をスパッタ法などにより成膜形成し、アスペクト比が小さい場合と同様にビア穴101の中に一様に膜形成する(同図c)。
【0011】
つぎに、この上にレジスト109を被覆した後、配線パターン形成位置を窓開けし、この位置に導電層をメッキ形成して配線110を形成する(同図d)。
【0012】
このようにして形成された多層基板は、レジスト109を除いた後、レジスト存在位置を第1の絶縁層102に達するまでエッチングすることにより、アスペクト比が大きいビア穴であっても、その導通信頼性を損ねることがなく、断線のないビア穴を備えた導電層が形成される。
【特許文献1】特開平7−86737号公報(要約書、段落[0011]−[0012]、[0014]、図2等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記特許文献1に記載のようにビア穴に金属粒を詰め、その上から金属ペーストの膜で覆ってビア穴を埋める場合、ビア穴内での導通異常が発生しないようにするため、超微粒子金属ペーストをビア穴に詰めた金属粒同士の隙間及び金属粒と電気的絶縁層との隙間に毛細管現象によって行き渡らせ、金属ペーストを金属粒等に密着させて金属膜を形成しなければならない。
【0014】
そのために、300℃もの高温の熱処理が必要とされ、このような高温の加熱処理では電気的絶縁層等に多大な熱的負荷(ストレス)がかかり、電気的絶縁層(部品内蔵型にあってはその内部の部品内蔵層も含む)が損傷(破損)等する問題がある。
【0015】
また、ビア穴に詰められた金属粒は、金属ペーストをスピンコートする前には電気的絶縁層に接着していないため、スピンコートの処理中に遠心力によって容易にビア穴から外部に飛び出す。その結果、ビア穴の金属粒の詰め量が減少してビア穴の十分な底上げが行なえない。その上、ビア穴に金属粒を詰める量にばらつきが生じ易く、そのため、ビア穴の金属粒が詰められた部分の厚み(深さ)がばらつき、該ばらつきに基づくビア穴の導通異常(不良)が発生する。そのため、ビア穴の導通信頼性が低下する問題もある。
【0016】
本発明は、この種の多層基板を製造する際に、高温の加熱処理を施すことなくビア穴に十分でばらつきのない底上げが確実に行なえるようにして、アスペクト比の大きなビア穴についても電気的絶縁層の高温加熱の損傷等なく良好な電気的導通性を確保し、ビア穴の導通信頼性を向上することを目的とし、また、ビア穴の導通信頼性が向上した新規な構成の多層基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記した目的を達成するために、本発明の多層基板の製造方法は、電気的絶縁層の裏面側に第一の導電層を形成する工程(A)と、前記電気的絶縁層に前記第一の導電層を底面とする有底のビア穴を少なくとも一つ形成する工程(B)と、前記ビア穴に導電性物質を一定の高さまで満たして導電性物質層を形成する工程(C)と、前記導電性物質層の形成後に前記電気的絶縁層及び前記導電性物質層の表面を覆うように無電解めっきおよび電解めっきにより第二の導電層を形成する工程(D)と、前記第二の導電層を加工して前記電気的絶縁層上に配線パターンを形成する工程(E)とを含むことを特徴としている(請求項1)。
【0018】
そして、前記工程(C)は、前記ビア穴内に導電性ペーストを充填して前記導電性物質層を形成するものであることが好ましい(請求項2)。
【0019】
また、前記工程(C)は、前記ビア穴内に電解めっきを成長させて前記導電性物質層を形成するものであることも好ましい(請求項3)。
【0020】
つぎに、前記導電性物質層は、前記ビア穴の深さをh1、前記ビア穴の径をaとして、前記ビア穴内に、(h1−h2)/a≦2の条件を満たす所定の高さh2に形成されることが望ましい(請求項4)。
【0021】
また、前記導電性物質層形成後の前記ビア穴が窪んだ状態になり、前記第二の導電層が前記電気的絶縁層の表面、前記ビア穴の内壁及び、前記導電性物質層の表面を覆うようにしてもよい(請求項5)。
【0022】
そして、表面の平坦化等を図るため、前記第二の導電層形成後の前記ビア穴の窪んだ隙間を前記第二の導電層と異なる物質で埋めてもよく(請求項6)、前記第二の導電層形成後の前記ビア穴の窪んだ隙間を非導電性ペーストの充填で埋めることがコスト面等からは好ましい(請求項7)。
【0023】
さらに、前記第二の導電層上に直接又は前記ビア穴の窪んだ隙間を埋めた後にめっきによって封穴用の第三の導電層が形成されることが、表面を平坦化して更に多層化する上から望ましい(請求項8)。
【0024】
つぎに、本発明の多層基板は、電気的絶縁層の裏面側に形成された第一の導電層と、前記電気的絶縁層に形成され、前記第一の導電層を底面とする有底のビア穴と、前記ビア穴に導電性物質を一定の高さまで満たして形成された導電性物質層と、前記電気的絶縁層及び前記導電性物質層の表面を覆い、前記電気的絶縁層上に配線パターンを形成する第二の導電層とを有することを特徴としている(請求項9)。
【0025】
そして、前記導電性物質層は、前記ビア穴内に充填された導電性ペーストの層であってよく(請求項10)、また、前記導電性物質層は、前記ビア穴内に成長した電解めっきの層であってもよい(請求項11)。
【0026】
さらに、前記導電性物質層は、前記ビア穴の深さをh1、前記ビア穴の径をaとして、前記ビア穴内に、(h1−h2)/a≦2の条件を満たす所定の高さh2に形成された層であることが実用的で好ましい(請求項12)。
【0027】
また、前記導電性物質層形成後の前記ビア穴が窪んだ状態になり、前記第二の導電層形成後の前記ビア穴の窪んだ隙間に前記第二の導電層と異なる物質が充填されることが実用的である(請求項13)。
【発明の効果】
【0028】
請求項1の発明によれば、工程(A)により電気的絶縁層の裏面側に第一の導電層が形成され、工程(B)により第一の導電層に接するようにビア穴が形成され、その後、前記特許文献1に記載のように金属粒を詰めてビア穴の底上げをするのではなく、工程(C)によりビア穴に導電性物質を一定の高さまで満たして導電性物質層を形成し、ビア穴の底上げが行なわれる。
【0029】
更に、工程(D)により、前記導電性物質層の形成後に前記電気的絶縁層及び前記導電性物質層の表面を覆うように無電解めっきおよび電解めっきにより第二の導電層を形成し、その後、工程(E)により、前記第二の導電層を加工して前記電気的絶縁性層上に配線パターンが形成される。
【0030】
この場合、ビア穴に導電性物質を一定の高さまで満たしてビア穴の底上げが行なわれるため、前記特許文献1に記載の超微粒子金属ペーストを、ビア穴に詰めた金属粒同士の隙間及び金属粒と電気的絶縁層との隙間に毛細管現象によって行き渡らせる高温の加熱処理は不要である。
【0031】
そして、電気的絶縁層に高温をかける必要がないので、電気的絶縁層等に多大な熱的負荷がかからず、電気的絶縁層等が損傷等することがない。
【0032】
また、金属粒が電気的絶縁層に接着していない状態で金属ペーストをスピンコートするのではなく、導電性物質層を形成した後に無電解めっきおよび電解めっきを施すので、前記特許文献1に記載の金属粒の飛び出しのような事態が生じない。
【0033】
そして、導電性物質層の底上げに基づき、アスペクト比が大きなビア穴についても第一、第二の導電層が導電性物質層を介して確実に導通し、しかも、導電性物質層は前記金属粒をビア穴に詰めた場合のような厚み(深さ)のばらつきがない。
【0034】
そのため、アスペクト比が大きなビア穴についてもビア穴の導通異常が発生することがない。
【0035】
したがって、高温の加熱処理を施すことなくビア穴の十分でばらつきのない底上げを確実に行なうことができ、アスペクト比の大きなビア穴についても電気的絶縁層の高温加熱の損傷等なく良好な電気的導通性を確保し、ビア穴の導通信頼性を向上することができる。
【0036】
請求項2の発明によれば、ビア穴内に導電性物質層として導電性ペーストの充填層を形成する実用的な構成で請求項1の発明の効果を奏することができる。
【0037】
請求項3の発明によれば、ビア穴内に電解めっきを成長させ、導電性物質層として電解めっきフィル層を形成する実用的でビア穴の電気抵抗が低い構成により請求項1の発明の効果を奏することができる。
【0038】
請求項4の発明によれば、実験等に基づき、アスペクト比の大きなビア穴であっても、底上げ後のビア穴のアスペクト比(h1−h2)/aが2以下になるように、すなわち、(h1−h2)/a≦2を満たすように、ビア穴に導電性物質層を所定の高さh2に形成すれば、第二の導電層が導電性物質層を確実に覆うことが判明したことから、ビア穴に導電性物質層を所定の高さh2まで形成することで、高価な導電性物質を適量だけ使用する安価で実用的な構成で請求項1の発明の効果を奏することができる。
【0039】
つぎに、請求項5の発明によれば、導電性物質層で完全には満たされず窪んだ状態のビア穴が形成された後、第二の導電層が電気的絶縁層の表面、ビア穴の内壁及び、前記導電性物質層を覆うため、導電性物質層形成後の窪んだビア穴についても、良好な電気的導通性を確保してビア穴の導通信頼性を向上することができる。
【0040】
そして、請求項6の発明によれば、第二の導電層形成後のビア穴の窪んだ隙間を導電性物質層と異なる物質で埋めて均すことができる。
【0041】
また、請求項7の発明によれば、第二の導電層形成後のビア穴の窪んだ隙間を安価な非導電性ペーストの充填で埋めて均すことができる。
【0042】
さらに、請求項8の発明によれば、第三の導電層のめっきによって、その上に均一な厚みの層を積層形成すること等が容易に行なえる。
【0043】
つぎに、請求項9の発明によれば、請求項1の発明の効果を奏する新規な多層基板を提供することができる。
【0044】
また、請求項10、11、12,13の発明によれば、さらに請求項2、3、4、5の発明それぞれと同様の効果を奏する新規な多層基板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
つぎに、本発明をより詳細に説明するため、実施形態について、図1〜図21にしたがって詳述する。
【0046】
(第1の実施形態)
請求項1、2、5、8、9、10に対応する第1の実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。
【0047】
図1はビア穴に導電性ペーストの導電性物質層を形成して多層基板1を製造する場合の製造工程の説明図であり、図2〜図8は図1の各工程における多層基板1の拡大断面図である。図9は製造された多層基板1の特徴的構造を示した断面図である。
【0048】
(基板構造)
まず、本実施形態の多層基板1の構造を図9を参照して説明する。
【0049】
多層基板1は電気的絶縁層2を有する。この電気的絶縁層2は、本発明においては電気的絶縁性基板、その上部の積層された層のいずれであってもよいが、本実施形態の場合、電気的絶縁性基板であり、周知の合成樹脂基板等からなる。
【0050】
そして、電気的絶縁層2の裏面側には第一の導電層3が形成され、電気的絶縁層2には第一の導電層3を底面とする少なくとも一つの有底のビア穴4が形成されている。
【0051】
また、ビア穴4には導電性物質である導電性ペーストを一定の高さまで満たして導電性物質層5が形成されている。
【0052】
さらに、電気的絶縁層2、導電性物質層5の表面を覆うように第二の導電層6が形成されている。この第二の導電層6は、電気的絶縁層2、導電性物質層5に直接めっき等して形成してもよいが、本実施形態においては、第二の導電層6の接着性を向上するため、電気的絶縁層2の表面に銅(Cu)の薄膜層7が形成され、この薄膜層7を挟んで形成されている。
【0053】
なお、薄膜層7を挟むことにより、導電性物質層5とCuめっきの薄膜層7と間には金属間化合物が形成され、ビア穴4内の接合強度が一般的なCuめっき同士の接合とほぼ同等な接合強度になる利点があり、また、後述の配線パターンについても、Cuめっき同士の接合部が形成されて十分な接合強度が得られる利点もある。
【0054】
そして、多層基板1は以上の構成であってもよいが、第二の導電層6の形成後、第二の導電層6上にめっきによって封穴用の第三の導電層8が直接形成される。
【0055】
その後、第二の導電層6が薄膜層7、前記第三の導電層8とともにエッチング等でパターン加工されることにより、電気的絶縁層2上には所要の配線パターンが形成されている。
【0056】
(製造方法)
つぎに、多層基板1の製造方法を、図1〜図8を参照して説明する。
【0057】
まず、図1(a)の初期の工程(A)において、図2に示すように、転写板9上に第一の導電層3、電気的絶縁層2が積層されて電気的絶縁層2の裏面側に第一の導電層3が形成され、さらに、電気的絶縁層2の表面上に銅(Cu)の薄膜層7が形成される。このとき、薄膜層7は破線で囲まれた少なくとも一個所のビア穴形成位置のパターンが切り抜かれる。
【0058】
つぎに、図1(b)のビア穴形成の工程(B)に移行し、図3に示すように前記ビア穴形成位置に上方からレーザ光をビーム照射し、薄膜層7及び電気的絶縁層2を上下方向に貫通し、第一の導電層3を底面とする有底のビア穴4を少なくとも一つ形成する。このとき、ビア穴4は表面側が裏面側より径大の中空円錐台形状になる。
【0059】
つぎに、図1(c)の導電性ペースト充填の工程(C)に移行し、例えば周知の真空印刷法により、図4に示すようにビア穴4に導電性ペーストを一定の高さまで充填して堆積し導電性物質層5を形成する。第一の導電層3を底面としないスルーホールとは違い、ビア穴4は第一の導電層3を底面とする有底穴であるため、ビア穴4のアスペクト比が大きい場合にはめっき膜が形成しにくいという問題があるが、導電性ペーストの充填によって信頼性の高いめっき膜の形成が可能となる。
【0060】
このとき、導電性物質層5は、ビア穴4に完全に満たされてビア穴4を完全に埋めるように充填してもよいが、高価な導電性ペーストの使用量を少なくするため、ビア穴4に適量だけ充填し、第二の導電層6が確実に導電性物質層5を覆うようにビア穴4に途中の高さまで形成することが好ましい。
【0061】
そして、ビア穴4に導電性ペーストを充填した後、特許文献1のような高温の加熱処理を行わないので、電気的絶縁層2等に多大な熱的負荷がかからず、電気的絶縁層2等が損傷等することを抑制できる。また、導電性ペーストは工程(D)に移行する前に導電性物質層5として定着するため、前記金属粒をビア穴に詰め、前記超微粒子金属ペーストをスピンコートした場合のような厚み(深さ)のばらつきがなく、ビア穴4の導通異常が発生することもない。
【0062】
なお、導電性ペーストは具体的には導電材料(金属)を混入した樹脂ぺーストであり、この場合、樹脂ペーストの樹脂材が熱硬化性樹脂であっても、導電性ペーストは高々180°C程度の低温で硬化し、300℃もの高温の加熱処理は不要である。
【0063】
つぎに、充填した導電性ペーストが定着した後、図1(d)のビア穴内めっきの工程(D)に移行し、図5に示すように導電性物質層5の形成後に電気的絶縁層2及び導電性物質層5の表面を覆うように薄膜層7を挟んで無電解Cuめっきを施すことにより電気的絶縁層6をメタライズする。さらに電解めっきを施すことにより第二の導電層6を形成する。このとき、導電性物質層5とCuめっきの第二の導電層6との間には金属間化合物が形成され、ビア穴4内の接合強度は一般的なCuめっき同士の接合とほぼ同等な接合強度を得ることができる。
【0064】
つぎに、必要に応じて図1(e)の封穴処理の工程(D*)に移行し、図6に示すように第二の導電層6上に直接めっきによって封穴用の第三の導電層8を形成する。なお、このめっきは、無電解めっきおよび電解めっきの蓋めっきであることが好ましい。そして、この蓋めっきを形成すると、第二の導電層6上にさらに電気絶縁性基板等の電気的絶縁層2を載せて多層化することが容易に行える。
【0065】
つぎに、図1(f)のパターン形成の工程(E)に移行し、例えばエッチングにより図7に示すように第二の導電層6を薄膜層7、第三の導電層8とともにパターン加工し、電気的絶縁層2上に所要の配線パターンを形成する。なお、エッチングの処理は、例えば周知のサブトラクティブ法またはアディティブ法で行うことができる。
【0066】
最後に、図1(g)の転写板剥離の工程(F)に移行し、図8に示すように転写板9を引き剥がす。
【0067】
このようにして形成された図9の多層基板1は、製造する際に、ビア穴4に導電性ペーストを充填し、導電性物質層5を形成してビア穴4を底上げする構成であるので、300℃もの高温の加熱処理が不要である。
【0068】
そのため、製造過程において、電気的絶縁層2等に多大な熱的負荷がかからず、電気的絶縁層2等が損傷等することがない。
【0069】
また、導電性物質層5の導電性ペーストはビア穴4に隙間なく充填し硬化されるため、導電性物質層5は前記金属粒をビア穴に詰め、前記超微粒子金属ペーストをスピンコートした場合のような厚み(深さ)のばらつきがない。しかも、導電性物質層5の底上げに基づき、アスペクト比が大きなビア穴4についても第一、第二の導電層3、6が導電性物質層5を介して確実に導通する。そのため、ビア穴4の導通異常が発生することもない。
【0070】
したがって、アスペクト比の大きなビア穴4についても電気的絶縁層2の高温加熱の損傷等なく良好な電気的導通性を確保し、導通信頼性を向上することができ、ビア穴4の導通信頼性が向上した新規な構成の多層基板1を提供することができる。
【0071】
なお、例えば部品内蔵型の場合、部品を内蔵する電気的絶縁層2にアスペクト比の高いビア穴4が形成できるため、ビア穴4の径を従来より小さくし、同時に、ビアランドの径も小さくすることができ、部品搭載面積が小さくなって多層基板1が形成するモジュールの小型化を図ることが可能となる利点もある。
【0072】
さらに、密着性強化金属膜などの特殊材料を使用しないで、従来と同様のめっき工法を採用するので、その点でのコストアップがなく、一層安価に製造できる利点もある。
【0073】
(第2の実施形態)
請求項1、3、5、8、9、11に対応する第2の実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。
【0074】
本実施形態の多層基板1が前記第1の実施形態と異なる点は、図1(a)〜(g)に示した製造過程において、図1(c)の導電性ペースト充填の工程(C)に代えてビア穴4内で電解めっきを成長させる工程を実施し、ビア穴4内に電解めっきを成長させ、ビア穴4の図4の導電性物質層5を、電解めっきフィル層で形成する点である。
【0075】
このようにして多層基板1を製造した場合、前記第1の実施形態の場合と同様の効果を奏する他、電解めっきフィル層によってビア穴4の導通抵抗が一層小さくなり、ビア穴4の導通信頼性を一層向上することができる利点がある。
【0076】
(第3の実施形態)
つぎに、第3の実施形態について、図10〜図21を参照して説明する。
【0077】
本実施形態は、請求項4、5、6、7、8、9、10に対応する工程を含む製造過程を経ることで、多層基板1が請求項12、13の構造を更に備えるようにしたものである。
【0078】
そして、図10は第1の実施形態と同様にビア穴に導電性ペーストの導電性物質層を形成して多層基板1を製造する場合の製造工程の説明図であり、図11〜図17は図10の各工程における多層基板1の拡大断面図であり、図2〜図8に対応する。図18は製造された多層基板1の特徴的構造を示した断面図である。
【0079】
また、図19は導電性ペーストの充填可能な限界特性を示し、図20はアスペクト比と導通化率との実測例を示し、図21は導電性物質層の充填の高さと導通抵抗との関係の実測例を示す。
【0080】
(基板構造)
まず、本実施形態の多層基板1の構造を図18を参照して説明する。
【0081】
多層基板1は、電気的絶縁層2の裏面側に第一の導電層3が形成され、電気的絶縁層2には第一の導電層3を底面とする有底のビア穴4が形成され、このビア穴4は裏面側の開口縁が第一の導電層3に接している。
【0082】
また、ビア穴4には導電性物質である導電性ペーストを堆積して導電性物質層5が形成されている。
【0083】
この導電性物質層5の高さ(厚み)は、導電性ペーストが合成樹脂ペーストより極めて高価であり、その使用量を極力少なくしてコストダウンを図りつつビア穴の導通信頼性を確保するため、本実施形態の場合、後述の所定の高さ(厚み)に設定されている。
【0084】
さらに、電気的絶縁層2、導電性物質層5の表面を覆うように第二の導電層6が形成されている。この第二の導電層6は、電気的絶縁層2、導電性物質層5に直接めっき等して形成してもよい。
【0085】
つぎに、第二の導電層6の形成後のビア穴4が窪んだ状態になるので、本実施形態においては、その隙間が第二の導電層6と異なる物質で埋められている。
【0086】
前記隙間を埋める物質は、導電性、非導電性の種々の物質であってよいが、本実施形態の場合、極力安価にするために、非導電性ペーストを用い、第二の導電層6の形成後のビア穴4の窪みが非導電性ペーストの層10で埋められている。
【0087】
そして、ビア穴4の窪んだ隙間が非導電性ペーストの層10で埋められた後に第二の導電層6上にめっきによって封穴用の第三の導電層9が形成される。
【0088】
つぎに、多層基板1の具体的な製造方法を、図10〜図17を参照して説明する。
【0089】
まず、図10(a)の初期の工程(A)は、図11に示すように、図1の工程(A)と全く同じであり、転写板9上に第一の導電層3、電気的絶縁層2が積層されて電気的絶縁層2の裏面側に第一の導電層3が形成され、さらに、電気的絶縁層2の表面上に銅(Cu)の薄膜層7が形成される。このとき、薄膜層7は破線で囲まれた少なくとも一個所のビア穴形成位置のパターンが切り抜かれる。
【0090】
つぎに、図10(b)のビア穴形成の工程(B)に移行する。この工程(B)も図12に示すように、図1の工程(B)と全く同じであり、前記ビア穴形成位置に上方からレーザ光をビーム照射し、薄膜層7および電気的絶縁層2を上下方向に貫通し、第一の導電層3を底面とする有底のビア穴4を少なくとも一つ形成する。このとき、ビア穴4は表面側が裏面側より径大の中空円錐台形状になる。
【0091】
つぎに、図10(c)の導電性ペースト充填の工程(C)に移行する。この工程(C)は、例えば周知の真空印刷法により、ビア穴4に導電ペーストを充填し、図13に示すようにビア穴4に導電性ペーストの導電性物質層5を形成する。この点では図4の工程(C)と同じである。
【0092】
しかしながら、つぎに説明するように、導電性物質層5の高さ(深さ)は、所定の高さh2に規制される。
【0093】
すなわち、導電性物質層5は、ビア穴4の深さをh1、ビア穴4の表面側の径(直径)をaとして、ビア穴4内に、(h1−h2)/a≦2の条件を満たす所定の高さh2に形成される。
【0094】
このようにすると、導電性物質層5で底上げされた後のビア穴4は、底上げ前のビア穴4のアスペクト比の大小によらず、アスペクト比が(h1−h2)/a≦2、すなわち2以下になる。
【0095】
そして、アスペクト比が2以下になると、その後の第二の導電層6のめっき等が、底上げされたビア穴4の底、換言すれば、導電性物質層5の表面に確実に達し、導電層3、6が導電性物質層5を通して確実に導通することが、種々の実験等から判明した。
【0096】
また、底上げ前のビア穴4のアスペクト比h1/aが2以上の場合に導電性ペーストを所定の高さh2まで充填できることも、実験等によって確かめられた。
【0097】
具体的には、ビア穴4の径aと真空印刷機により樹脂(導電性ペースト)を充填することができる深さ(ビア高さ)h1との種々の組み合わせについて実験したところ、例えば図19の結果が得られた。
【0098】
図19において、実線αは真空印刷機を用いた真空印刷による導電性ペーストの充填可能な限界特性曲線、実線βは比較のために測定した大気印刷による導電性ペーストの充填可能な限界特性曲線である。また、破線a(6)、a(4)、a(2)、a(1)はアスペクト比h1/aが6、4、2、1となる点の集合を表わす。
【0099】
そして、図19からアスペクト比が2以上(2〜6)であっても、真空印刷による導電性ペーストの充填が十分可能であることが確かめられた。
【0100】
また、アスペクト比が2以下になることで導電層3、6が導電性物質層5を通して確実に導通すること、換言すれば、ビア穴4の底上げ後のアスペクト比を2以下にする必要性については、例えば無電解めっきで第二の導電層6を形成して得られた図20のアスペクト比と導通化率との実測の関係図から判明した。
【0101】
図20において、測定条件は、100rpmの回転めっき、めっき時間60分であり、図中の黒丸は導電性物質層5の高さ(樹脂厚)が400μm、白丸は導電性物質層5の高さ(樹脂厚)が500μm、黒塗りの四角は導電性物質層5の高さ(樹脂厚)が600μmの場合の実測値である。
【0102】
そして、図20から明らかなように、底上げ後のアスペクト比が2.0より大きくなると、導電層3、6を電気的に導通する率(導通化率)が100%より低下することが確かめられた。このことから、底上げ後のアスペクト比は2以下でなければならないことが判明した。
【0103】
なお、電気的絶縁層2の深さh1を200μm、ビア穴4の径aを50μmとして導電性物質層5の充填の高さh2と導通抵抗との関係を測定したところ、図21の結果が得られた。
【0104】
この図21の結果から、導通抵抗が20mΩ以上となる充填の高さh2を充填限界値とすると、充填の上限値が電気的絶縁層2の深さh1の約90%程度になる。
【0105】
そして、ビア穴4が深くなる程、導通抵抗は比例して大きくなり、例えばh1=600μmであれば、導通抵抗の上限は20mΩの3倍の60mΩとなり、充填の上限値は約90%の540μmになる。
【0106】
なお、導通抵抗=めっき部の抵抗+ペースト充填部の抵抗であり、めっきの抵抗=0.01mΩ、導電性ペーストの抵抗=0.1mΩとしている。これは、めっきの導通抵抗よりも導電性ペーストの導通抵抗の方が大きく、導電性ペーストの充填量を増やすとビア穴4全体の導通抵抗が上昇するからである。また、ビア穴4の深さ(樹脂の厚み)が200μmの場合、ビア穴4の導通抵抗の上限を20mΩとしたのは、薄層のビア穴においては、導通抵抗を20mΩ以下に抑えることが求められているからである。
【0107】
そして、導電性ペーストの充填に基づく導電性物質層5の高さh2を電気的絶縁層2の厚み、すなわちビア穴4の深さh1の90%以下とすることが、導通抵抗を前記薄層のビア穴4に要求される値以下に抑える点からは望ましいことも判明した。
【0108】
そして、導電性ペーストの充填によって導電性物質層5を高さh2に形成すると、図10(d)のビア穴内めっきの工程(D)に移行する。この工程(D)は図1の工程(D)と全く同じであり、図14に示すように導電性物質層の形成後に電気的絶縁層2及び導電性物質層5の表面を覆うように薄膜層7を挟んで第二の導電層6を形成する。このとき、導電性物質層5形成後のビア穴4が窪んだ状態になるため、第二の導電層6は、電気的絶縁層2の表面、ビア穴4の内壁及び、導電性物質層5を覆う。
【0109】
つぎに、図10(e)の封穴処理の工程(D*)に移行する。第二の導電層6の形成後のビア穴4が窪んだ状態になるので、この工程(D*)においては図15に示すように、まず、ビア穴4の窪んだ隙間が導電性物質層5と異なる物質の層で埋められている。
【0110】
そして、前記隙間を埋める物質は、導電性、非導電性の種々の物質であってよいが、極力安価にするため、本実施形態の場合は、樹脂ペーストのような安価な非導電性ペーストである。この非導電性ペーストの充填により、図15の非導電性ペーストの層10が形成されて前記隙間が埋められる。
【0111】
つぎに、図15に示すように第二の導電層6および非導電性ペーストの層10を覆う第三の導電層8を形成する。図1の工程(D*)と同じように、ビア穴4の窪んだ隙間が非導電性ペーストの層10で埋められた後に無電解めっきによって封穴用の第三の導電層8が形成される。
【0112】
つぎに、図10(f)のパターン形成の工程(E)に移行する。この工程(E)も図1の工程(E)と全く同じであり、例えばエッチングにより図16に示すように第二の導電層6を薄膜層7、第三の導電層8とともにパターン加工し、電気的絶縁層2上に所要の配線パターンを形成する。
【0113】
最後に、図10(g)の転写板剥離の工程(F)に移行して転写板9を引き剥がす。
【0114】
このようにして形成された図9の多層基板1は、導電性物質層5を所定の高さh2に規制して形成するので、アスペクト比の大きなビア穴4であっても、底上げ後のビア穴4のアスペクト比が2以下になり、高価な導電性物質を適量だけ使用する安価で実用的な構成により、第一の実施形態の場合と同様の効果を奏することができる。
【0115】
また、第二の導電層6の形成後のビア穴4の窪んだ隙間を安価な非導電性ペーストの層10で埋めて均らした上で第三の導電層8を形成することができ、第三の導電層8上にさらに電気的絶縁層を載せて多層化し、ビア穴4の上にビア穴を重ねるスタックビアを形成することも可能となる。
【0116】
したがって、一層経済的な手法により、アスペクト比の大きなビア穴4についても電気的絶縁層2の過剰な高温加熱の損傷等なく良好な電気的導通性を確保し、導通信頼性を向上することができ、しかも、基板の平面性に優れた新規な構成の多層基板1を提供することができる。
【0117】
なお、電気的絶縁層2、ビア穴4等の具体的な大きさの一例は、電気的絶縁層2の厚みh1が200μm、ビア穴4の径aが50μmであり、底上げ前のアスペクト比は4.0
であり、この場合、100μm以上を埋める導電性物質層5を形成する。
【0118】
そして、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能であり、例えば、第三の導電層8は無電解めっきでなく、電解めっきで形成してもよく、電解めっきで形成した場合は、無電解めっきの場合より厚い第三の導電層8を形成することが可能であり、より信頼性の高い配線パターンを形成することができる等の利点があり、また、第三の導電層8上に回路部品を搭載等することも可能となる。
【0119】
また、非導電性ペーストの層10に代えて、導電性ペーストの層、めっきフィル等の導電性の層で埋めるようにしてもよい。
【0120】
さらに、各実施形態において、電気的絶縁層2、導電層3、6、8、導電性物質層5等の厚み(高さ)等の寸法や材質は、種々に設定してよいのは勿論である。
【0121】
つぎに、本発明の多層基板の製造方法は少なくとも工程(A)、(B)、(C)、(D)、(E)を含むものであればよく、各実施形態と工程の個数や手順が異なっていてもよい。
【0122】
そして、本発明は、部品内蔵型のものを含む種々の多層基板及びその製造方法に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】第1の実施形態の製造工程の説明図である。
【図2】図1の初期の工程(A)における多層基板の拡大断面図である。
【図3】図1のビア穴形成の工程(B)における多層基板の拡大断面図である。
【図4】図1の導電ペースト充填の工程(C)における多層基板の拡大断面図である。
【図5】図1のビア穴内めっきの工程(D)における多層基板の拡大断面図である。
【図6】図1の封穴処理の工程(D*)における多層基板の拡大断面図である。
【図7】図1のパターン形成の工程(E)における多層基板の拡大断面図である。
【図8】図1の転写板剥離の工程(F)における多層基板の拡大断面図である。
【図9】第1の実施形態の製造された多層基板の断面図である。
【図10】第3の実施形態の製造工程の説明図である。
【図11】図10の初期の工程(A)における多層基板の拡大断面図である。
【図12】図10のビア穴形成の工程(B)における多層基板の拡大断面図である。
【図13】図10の導電ペースト充填の工程(C)における多層基板の拡大断面図である。
【図14】図10のビア穴内めっきの工程(D)における多層基板の拡大断面図である。
【図15】図10の封穴処理の工程(D*)における多層基板の拡大断面図である。
【図16】図10のパターン形成の工程(E)における多層基板の拡大断面図である。
【図17】図10の転写板剥離の工程(F)における多層基板の拡大断面図である。
【図18】第3の実施形態の製造された多層基板の断面図である。
【図19】導電性ペーストの充填可能な限界特性曲線図である。
【図20】アスペクト比と導通化率との実測例の図である。
【図21】導電性物質層の充填の高さと導通抵抗との関係の実測例の図である。
【図22】従来例のビア穴形成の原理図である。
【符号の説明】
【0124】
1 多層基板
2 電気的絶縁層
3 第一の導電層
4 ビア穴
5 導電性物質層
6 第二の導電層
8 第三の導電層
10 非導電性ペーストの層
【技術分野】
【0001】
この発明は、多層基板の製造方法および多層基板に関し、詳しくは、多層基板の電気的絶縁層の表面側、裏面側に形成された導電層間を電気的に接続するビア(Via)穴の導通信頼性の向上に関する。尚、本発明が適用される多層基板は部品内蔵型のものを含む。又、本発明の「電気的絶縁層」は電気的絶縁性基板を含む。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の多層基板は、最も簡単には電気絶縁性基板の表面及び裏面に配線パターンの導体層を設けて形成され、より多層の構成の場合は、更に、電気的絶縁層、導体層を必要数だけ積層して形成される。なお、部品内蔵型の多層基板にあっては電気絶縁性基板等の電気的絶縁層内にモジュールの部品内蔵層が形成される。
【0003】
そして、各電気的絶縁層の表面側、裏面側の導体層は、電気的絶縁層の一又は複数個所に形成されたビア(Via)穴を通して電気的な導通が図られ、部品内蔵型の場合は前記ビア穴を通して部品内蔵層が両導体層に電気的に接続される。
【0004】
前記導体層間の電気的導通は、従来は、ビア穴の内壁をめっきして実現されている。
【0005】
しかしながら、ビア穴の内壁をめっきして導体層間の電気的導通を図る場合、アスペクト比(ビア穴の径(直径)に対するビア穴の深さの比)が大きいビア穴については、内部に十分なめっき膜を形成することが困難であり、ビア穴の導通信頼性が低下することが知られている。
【0006】
そこで、つぎに説明するように、ビア穴に金属粒を詰めてビア穴の底上げをし、その上から超微粒子金属ペーストをスピンコートして電気的絶縁層及び前記金属粒の上面を覆うように金属膜を形成し、前記の導体層間の導通をとることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
すなわち、この種の多層基板を製造する際、図22のビア穴形成の原理図に示すようにしてビア穴の穴埋め等を行なう。
【0008】
具体的には、まず、ビア穴101が穴開けしてある絶縁層(電気的絶縁層)102の下面に第1の導電層103を形成し、ビア穴101の中にこれに較べて粒径が遙かに小さい金属粒104を複数個挿入して充填し、ビア穴101を底上げする(同図a)。
【0009】
つぎに、絶縁層102の上に超微粒子金属ペーストをスピンコートし、超微粒子金属ペーストを、毛細管現象の働きによって、第1の導電層103に到るまで注入し、これを加熱し、絶縁層102の上に超微粒子金属ペーストよりなる金属膜105を形成する(同図b)。
【0010】
つぎに、クロム(Cr)の密着性強化金属膜106と銅(Cu)の導電層形成金属膜107をスパッタ法などにより成膜形成し、アスペクト比が小さい場合と同様にビア穴101の中に一様に膜形成する(同図c)。
【0011】
つぎに、この上にレジスト109を被覆した後、配線パターン形成位置を窓開けし、この位置に導電層をメッキ形成して配線110を形成する(同図d)。
【0012】
このようにして形成された多層基板は、レジスト109を除いた後、レジスト存在位置を第1の絶縁層102に達するまでエッチングすることにより、アスペクト比が大きいビア穴であっても、その導通信頼性を損ねることがなく、断線のないビア穴を備えた導電層が形成される。
【特許文献1】特開平7−86737号公報(要約書、段落[0011]−[0012]、[0014]、図2等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記特許文献1に記載のようにビア穴に金属粒を詰め、その上から金属ペーストの膜で覆ってビア穴を埋める場合、ビア穴内での導通異常が発生しないようにするため、超微粒子金属ペーストをビア穴に詰めた金属粒同士の隙間及び金属粒と電気的絶縁層との隙間に毛細管現象によって行き渡らせ、金属ペーストを金属粒等に密着させて金属膜を形成しなければならない。
【0014】
そのために、300℃もの高温の熱処理が必要とされ、このような高温の加熱処理では電気的絶縁層等に多大な熱的負荷(ストレス)がかかり、電気的絶縁層(部品内蔵型にあってはその内部の部品内蔵層も含む)が損傷(破損)等する問題がある。
【0015】
また、ビア穴に詰められた金属粒は、金属ペーストをスピンコートする前には電気的絶縁層に接着していないため、スピンコートの処理中に遠心力によって容易にビア穴から外部に飛び出す。その結果、ビア穴の金属粒の詰め量が減少してビア穴の十分な底上げが行なえない。その上、ビア穴に金属粒を詰める量にばらつきが生じ易く、そのため、ビア穴の金属粒が詰められた部分の厚み(深さ)がばらつき、該ばらつきに基づくビア穴の導通異常(不良)が発生する。そのため、ビア穴の導通信頼性が低下する問題もある。
【0016】
本発明は、この種の多層基板を製造する際に、高温の加熱処理を施すことなくビア穴に十分でばらつきのない底上げが確実に行なえるようにして、アスペクト比の大きなビア穴についても電気的絶縁層の高温加熱の損傷等なく良好な電気的導通性を確保し、ビア穴の導通信頼性を向上することを目的とし、また、ビア穴の導通信頼性が向上した新規な構成の多層基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記した目的を達成するために、本発明の多層基板の製造方法は、電気的絶縁層の裏面側に第一の導電層を形成する工程(A)と、前記電気的絶縁層に前記第一の導電層を底面とする有底のビア穴を少なくとも一つ形成する工程(B)と、前記ビア穴に導電性物質を一定の高さまで満たして導電性物質層を形成する工程(C)と、前記導電性物質層の形成後に前記電気的絶縁層及び前記導電性物質層の表面を覆うように無電解めっきおよび電解めっきにより第二の導電層を形成する工程(D)と、前記第二の導電層を加工して前記電気的絶縁層上に配線パターンを形成する工程(E)とを含むことを特徴としている(請求項1)。
【0018】
そして、前記工程(C)は、前記ビア穴内に導電性ペーストを充填して前記導電性物質層を形成するものであることが好ましい(請求項2)。
【0019】
また、前記工程(C)は、前記ビア穴内に電解めっきを成長させて前記導電性物質層を形成するものであることも好ましい(請求項3)。
【0020】
つぎに、前記導電性物質層は、前記ビア穴の深さをh1、前記ビア穴の径をaとして、前記ビア穴内に、(h1−h2)/a≦2の条件を満たす所定の高さh2に形成されることが望ましい(請求項4)。
【0021】
また、前記導電性物質層形成後の前記ビア穴が窪んだ状態になり、前記第二の導電層が前記電気的絶縁層の表面、前記ビア穴の内壁及び、前記導電性物質層の表面を覆うようにしてもよい(請求項5)。
【0022】
そして、表面の平坦化等を図るため、前記第二の導電層形成後の前記ビア穴の窪んだ隙間を前記第二の導電層と異なる物質で埋めてもよく(請求項6)、前記第二の導電層形成後の前記ビア穴の窪んだ隙間を非導電性ペーストの充填で埋めることがコスト面等からは好ましい(請求項7)。
【0023】
さらに、前記第二の導電層上に直接又は前記ビア穴の窪んだ隙間を埋めた後にめっきによって封穴用の第三の導電層が形成されることが、表面を平坦化して更に多層化する上から望ましい(請求項8)。
【0024】
つぎに、本発明の多層基板は、電気的絶縁層の裏面側に形成された第一の導電層と、前記電気的絶縁層に形成され、前記第一の導電層を底面とする有底のビア穴と、前記ビア穴に導電性物質を一定の高さまで満たして形成された導電性物質層と、前記電気的絶縁層及び前記導電性物質層の表面を覆い、前記電気的絶縁層上に配線パターンを形成する第二の導電層とを有することを特徴としている(請求項9)。
【0025】
そして、前記導電性物質層は、前記ビア穴内に充填された導電性ペーストの層であってよく(請求項10)、また、前記導電性物質層は、前記ビア穴内に成長した電解めっきの層であってもよい(請求項11)。
【0026】
さらに、前記導電性物質層は、前記ビア穴の深さをh1、前記ビア穴の径をaとして、前記ビア穴内に、(h1−h2)/a≦2の条件を満たす所定の高さh2に形成された層であることが実用的で好ましい(請求項12)。
【0027】
また、前記導電性物質層形成後の前記ビア穴が窪んだ状態になり、前記第二の導電層形成後の前記ビア穴の窪んだ隙間に前記第二の導電層と異なる物質が充填されることが実用的である(請求項13)。
【発明の効果】
【0028】
請求項1の発明によれば、工程(A)により電気的絶縁層の裏面側に第一の導電層が形成され、工程(B)により第一の導電層に接するようにビア穴が形成され、その後、前記特許文献1に記載のように金属粒を詰めてビア穴の底上げをするのではなく、工程(C)によりビア穴に導電性物質を一定の高さまで満たして導電性物質層を形成し、ビア穴の底上げが行なわれる。
【0029】
更に、工程(D)により、前記導電性物質層の形成後に前記電気的絶縁層及び前記導電性物質層の表面を覆うように無電解めっきおよび電解めっきにより第二の導電層を形成し、その後、工程(E)により、前記第二の導電層を加工して前記電気的絶縁性層上に配線パターンが形成される。
【0030】
この場合、ビア穴に導電性物質を一定の高さまで満たしてビア穴の底上げが行なわれるため、前記特許文献1に記載の超微粒子金属ペーストを、ビア穴に詰めた金属粒同士の隙間及び金属粒と電気的絶縁層との隙間に毛細管現象によって行き渡らせる高温の加熱処理は不要である。
【0031】
そして、電気的絶縁層に高温をかける必要がないので、電気的絶縁層等に多大な熱的負荷がかからず、電気的絶縁層等が損傷等することがない。
【0032】
また、金属粒が電気的絶縁層に接着していない状態で金属ペーストをスピンコートするのではなく、導電性物質層を形成した後に無電解めっきおよび電解めっきを施すので、前記特許文献1に記載の金属粒の飛び出しのような事態が生じない。
【0033】
そして、導電性物質層の底上げに基づき、アスペクト比が大きなビア穴についても第一、第二の導電層が導電性物質層を介して確実に導通し、しかも、導電性物質層は前記金属粒をビア穴に詰めた場合のような厚み(深さ)のばらつきがない。
【0034】
そのため、アスペクト比が大きなビア穴についてもビア穴の導通異常が発生することがない。
【0035】
したがって、高温の加熱処理を施すことなくビア穴の十分でばらつきのない底上げを確実に行なうことができ、アスペクト比の大きなビア穴についても電気的絶縁層の高温加熱の損傷等なく良好な電気的導通性を確保し、ビア穴の導通信頼性を向上することができる。
【0036】
請求項2の発明によれば、ビア穴内に導電性物質層として導電性ペーストの充填層を形成する実用的な構成で請求項1の発明の効果を奏することができる。
【0037】
請求項3の発明によれば、ビア穴内に電解めっきを成長させ、導電性物質層として電解めっきフィル層を形成する実用的でビア穴の電気抵抗が低い構成により請求項1の発明の効果を奏することができる。
【0038】
請求項4の発明によれば、実験等に基づき、アスペクト比の大きなビア穴であっても、底上げ後のビア穴のアスペクト比(h1−h2)/aが2以下になるように、すなわち、(h1−h2)/a≦2を満たすように、ビア穴に導電性物質層を所定の高さh2に形成すれば、第二の導電層が導電性物質層を確実に覆うことが判明したことから、ビア穴に導電性物質層を所定の高さh2まで形成することで、高価な導電性物質を適量だけ使用する安価で実用的な構成で請求項1の発明の効果を奏することができる。
【0039】
つぎに、請求項5の発明によれば、導電性物質層で完全には満たされず窪んだ状態のビア穴が形成された後、第二の導電層が電気的絶縁層の表面、ビア穴の内壁及び、前記導電性物質層を覆うため、導電性物質層形成後の窪んだビア穴についても、良好な電気的導通性を確保してビア穴の導通信頼性を向上することができる。
【0040】
そして、請求項6の発明によれば、第二の導電層形成後のビア穴の窪んだ隙間を導電性物質層と異なる物質で埋めて均すことができる。
【0041】
また、請求項7の発明によれば、第二の導電層形成後のビア穴の窪んだ隙間を安価な非導電性ペーストの充填で埋めて均すことができる。
【0042】
さらに、請求項8の発明によれば、第三の導電層のめっきによって、その上に均一な厚みの層を積層形成すること等が容易に行なえる。
【0043】
つぎに、請求項9の発明によれば、請求項1の発明の効果を奏する新規な多層基板を提供することができる。
【0044】
また、請求項10、11、12,13の発明によれば、さらに請求項2、3、4、5の発明それぞれと同様の効果を奏する新規な多層基板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
つぎに、本発明をより詳細に説明するため、実施形態について、図1〜図21にしたがって詳述する。
【0046】
(第1の実施形態)
請求項1、2、5、8、9、10に対応する第1の実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。
【0047】
図1はビア穴に導電性ペーストの導電性物質層を形成して多層基板1を製造する場合の製造工程の説明図であり、図2〜図8は図1の各工程における多層基板1の拡大断面図である。図9は製造された多層基板1の特徴的構造を示した断面図である。
【0048】
(基板構造)
まず、本実施形態の多層基板1の構造を図9を参照して説明する。
【0049】
多層基板1は電気的絶縁層2を有する。この電気的絶縁層2は、本発明においては電気的絶縁性基板、その上部の積層された層のいずれであってもよいが、本実施形態の場合、電気的絶縁性基板であり、周知の合成樹脂基板等からなる。
【0050】
そして、電気的絶縁層2の裏面側には第一の導電層3が形成され、電気的絶縁層2には第一の導電層3を底面とする少なくとも一つの有底のビア穴4が形成されている。
【0051】
また、ビア穴4には導電性物質である導電性ペーストを一定の高さまで満たして導電性物質層5が形成されている。
【0052】
さらに、電気的絶縁層2、導電性物質層5の表面を覆うように第二の導電層6が形成されている。この第二の導電層6は、電気的絶縁層2、導電性物質層5に直接めっき等して形成してもよいが、本実施形態においては、第二の導電層6の接着性を向上するため、電気的絶縁層2の表面に銅(Cu)の薄膜層7が形成され、この薄膜層7を挟んで形成されている。
【0053】
なお、薄膜層7を挟むことにより、導電性物質層5とCuめっきの薄膜層7と間には金属間化合物が形成され、ビア穴4内の接合強度が一般的なCuめっき同士の接合とほぼ同等な接合強度になる利点があり、また、後述の配線パターンについても、Cuめっき同士の接合部が形成されて十分な接合強度が得られる利点もある。
【0054】
そして、多層基板1は以上の構成であってもよいが、第二の導電層6の形成後、第二の導電層6上にめっきによって封穴用の第三の導電層8が直接形成される。
【0055】
その後、第二の導電層6が薄膜層7、前記第三の導電層8とともにエッチング等でパターン加工されることにより、電気的絶縁層2上には所要の配線パターンが形成されている。
【0056】
(製造方法)
つぎに、多層基板1の製造方法を、図1〜図8を参照して説明する。
【0057】
まず、図1(a)の初期の工程(A)において、図2に示すように、転写板9上に第一の導電層3、電気的絶縁層2が積層されて電気的絶縁層2の裏面側に第一の導電層3が形成され、さらに、電気的絶縁層2の表面上に銅(Cu)の薄膜層7が形成される。このとき、薄膜層7は破線で囲まれた少なくとも一個所のビア穴形成位置のパターンが切り抜かれる。
【0058】
つぎに、図1(b)のビア穴形成の工程(B)に移行し、図3に示すように前記ビア穴形成位置に上方からレーザ光をビーム照射し、薄膜層7及び電気的絶縁層2を上下方向に貫通し、第一の導電層3を底面とする有底のビア穴4を少なくとも一つ形成する。このとき、ビア穴4は表面側が裏面側より径大の中空円錐台形状になる。
【0059】
つぎに、図1(c)の導電性ペースト充填の工程(C)に移行し、例えば周知の真空印刷法により、図4に示すようにビア穴4に導電性ペーストを一定の高さまで充填して堆積し導電性物質層5を形成する。第一の導電層3を底面としないスルーホールとは違い、ビア穴4は第一の導電層3を底面とする有底穴であるため、ビア穴4のアスペクト比が大きい場合にはめっき膜が形成しにくいという問題があるが、導電性ペーストの充填によって信頼性の高いめっき膜の形成が可能となる。
【0060】
このとき、導電性物質層5は、ビア穴4に完全に満たされてビア穴4を完全に埋めるように充填してもよいが、高価な導電性ペーストの使用量を少なくするため、ビア穴4に適量だけ充填し、第二の導電層6が確実に導電性物質層5を覆うようにビア穴4に途中の高さまで形成することが好ましい。
【0061】
そして、ビア穴4に導電性ペーストを充填した後、特許文献1のような高温の加熱処理を行わないので、電気的絶縁層2等に多大な熱的負荷がかからず、電気的絶縁層2等が損傷等することを抑制できる。また、導電性ペーストは工程(D)に移行する前に導電性物質層5として定着するため、前記金属粒をビア穴に詰め、前記超微粒子金属ペーストをスピンコートした場合のような厚み(深さ)のばらつきがなく、ビア穴4の導通異常が発生することもない。
【0062】
なお、導電性ペーストは具体的には導電材料(金属)を混入した樹脂ぺーストであり、この場合、樹脂ペーストの樹脂材が熱硬化性樹脂であっても、導電性ペーストは高々180°C程度の低温で硬化し、300℃もの高温の加熱処理は不要である。
【0063】
つぎに、充填した導電性ペーストが定着した後、図1(d)のビア穴内めっきの工程(D)に移行し、図5に示すように導電性物質層5の形成後に電気的絶縁層2及び導電性物質層5の表面を覆うように薄膜層7を挟んで無電解Cuめっきを施すことにより電気的絶縁層6をメタライズする。さらに電解めっきを施すことにより第二の導電層6を形成する。このとき、導電性物質層5とCuめっきの第二の導電層6との間には金属間化合物が形成され、ビア穴4内の接合強度は一般的なCuめっき同士の接合とほぼ同等な接合強度を得ることができる。
【0064】
つぎに、必要に応じて図1(e)の封穴処理の工程(D*)に移行し、図6に示すように第二の導電層6上に直接めっきによって封穴用の第三の導電層8を形成する。なお、このめっきは、無電解めっきおよび電解めっきの蓋めっきであることが好ましい。そして、この蓋めっきを形成すると、第二の導電層6上にさらに電気絶縁性基板等の電気的絶縁層2を載せて多層化することが容易に行える。
【0065】
つぎに、図1(f)のパターン形成の工程(E)に移行し、例えばエッチングにより図7に示すように第二の導電層6を薄膜層7、第三の導電層8とともにパターン加工し、電気的絶縁層2上に所要の配線パターンを形成する。なお、エッチングの処理は、例えば周知のサブトラクティブ法またはアディティブ法で行うことができる。
【0066】
最後に、図1(g)の転写板剥離の工程(F)に移行し、図8に示すように転写板9を引き剥がす。
【0067】
このようにして形成された図9の多層基板1は、製造する際に、ビア穴4に導電性ペーストを充填し、導電性物質層5を形成してビア穴4を底上げする構成であるので、300℃もの高温の加熱処理が不要である。
【0068】
そのため、製造過程において、電気的絶縁層2等に多大な熱的負荷がかからず、電気的絶縁層2等が損傷等することがない。
【0069】
また、導電性物質層5の導電性ペーストはビア穴4に隙間なく充填し硬化されるため、導電性物質層5は前記金属粒をビア穴に詰め、前記超微粒子金属ペーストをスピンコートした場合のような厚み(深さ)のばらつきがない。しかも、導電性物質層5の底上げに基づき、アスペクト比が大きなビア穴4についても第一、第二の導電層3、6が導電性物質層5を介して確実に導通する。そのため、ビア穴4の導通異常が発生することもない。
【0070】
したがって、アスペクト比の大きなビア穴4についても電気的絶縁層2の高温加熱の損傷等なく良好な電気的導通性を確保し、導通信頼性を向上することができ、ビア穴4の導通信頼性が向上した新規な構成の多層基板1を提供することができる。
【0071】
なお、例えば部品内蔵型の場合、部品を内蔵する電気的絶縁層2にアスペクト比の高いビア穴4が形成できるため、ビア穴4の径を従来より小さくし、同時に、ビアランドの径も小さくすることができ、部品搭載面積が小さくなって多層基板1が形成するモジュールの小型化を図ることが可能となる利点もある。
【0072】
さらに、密着性強化金属膜などの特殊材料を使用しないで、従来と同様のめっき工法を採用するので、その点でのコストアップがなく、一層安価に製造できる利点もある。
【0073】
(第2の実施形態)
請求項1、3、5、8、9、11に対応する第2の実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。
【0074】
本実施形態の多層基板1が前記第1の実施形態と異なる点は、図1(a)〜(g)に示した製造過程において、図1(c)の導電性ペースト充填の工程(C)に代えてビア穴4内で電解めっきを成長させる工程を実施し、ビア穴4内に電解めっきを成長させ、ビア穴4の図4の導電性物質層5を、電解めっきフィル層で形成する点である。
【0075】
このようにして多層基板1を製造した場合、前記第1の実施形態の場合と同様の効果を奏する他、電解めっきフィル層によってビア穴4の導通抵抗が一層小さくなり、ビア穴4の導通信頼性を一層向上することができる利点がある。
【0076】
(第3の実施形態)
つぎに、第3の実施形態について、図10〜図21を参照して説明する。
【0077】
本実施形態は、請求項4、5、6、7、8、9、10に対応する工程を含む製造過程を経ることで、多層基板1が請求項12、13の構造を更に備えるようにしたものである。
【0078】
そして、図10は第1の実施形態と同様にビア穴に導電性ペーストの導電性物質層を形成して多層基板1を製造する場合の製造工程の説明図であり、図11〜図17は図10の各工程における多層基板1の拡大断面図であり、図2〜図8に対応する。図18は製造された多層基板1の特徴的構造を示した断面図である。
【0079】
また、図19は導電性ペーストの充填可能な限界特性を示し、図20はアスペクト比と導通化率との実測例を示し、図21は導電性物質層の充填の高さと導通抵抗との関係の実測例を示す。
【0080】
(基板構造)
まず、本実施形態の多層基板1の構造を図18を参照して説明する。
【0081】
多層基板1は、電気的絶縁層2の裏面側に第一の導電層3が形成され、電気的絶縁層2には第一の導電層3を底面とする有底のビア穴4が形成され、このビア穴4は裏面側の開口縁が第一の導電層3に接している。
【0082】
また、ビア穴4には導電性物質である導電性ペーストを堆積して導電性物質層5が形成されている。
【0083】
この導電性物質層5の高さ(厚み)は、導電性ペーストが合成樹脂ペーストより極めて高価であり、その使用量を極力少なくしてコストダウンを図りつつビア穴の導通信頼性を確保するため、本実施形態の場合、後述の所定の高さ(厚み)に設定されている。
【0084】
さらに、電気的絶縁層2、導電性物質層5の表面を覆うように第二の導電層6が形成されている。この第二の導電層6は、電気的絶縁層2、導電性物質層5に直接めっき等して形成してもよい。
【0085】
つぎに、第二の導電層6の形成後のビア穴4が窪んだ状態になるので、本実施形態においては、その隙間が第二の導電層6と異なる物質で埋められている。
【0086】
前記隙間を埋める物質は、導電性、非導電性の種々の物質であってよいが、本実施形態の場合、極力安価にするために、非導電性ペーストを用い、第二の導電層6の形成後のビア穴4の窪みが非導電性ペーストの層10で埋められている。
【0087】
そして、ビア穴4の窪んだ隙間が非導電性ペーストの層10で埋められた後に第二の導電層6上にめっきによって封穴用の第三の導電層9が形成される。
【0088】
つぎに、多層基板1の具体的な製造方法を、図10〜図17を参照して説明する。
【0089】
まず、図10(a)の初期の工程(A)は、図11に示すように、図1の工程(A)と全く同じであり、転写板9上に第一の導電層3、電気的絶縁層2が積層されて電気的絶縁層2の裏面側に第一の導電層3が形成され、さらに、電気的絶縁層2の表面上に銅(Cu)の薄膜層7が形成される。このとき、薄膜層7は破線で囲まれた少なくとも一個所のビア穴形成位置のパターンが切り抜かれる。
【0090】
つぎに、図10(b)のビア穴形成の工程(B)に移行する。この工程(B)も図12に示すように、図1の工程(B)と全く同じであり、前記ビア穴形成位置に上方からレーザ光をビーム照射し、薄膜層7および電気的絶縁層2を上下方向に貫通し、第一の導電層3を底面とする有底のビア穴4を少なくとも一つ形成する。このとき、ビア穴4は表面側が裏面側より径大の中空円錐台形状になる。
【0091】
つぎに、図10(c)の導電性ペースト充填の工程(C)に移行する。この工程(C)は、例えば周知の真空印刷法により、ビア穴4に導電ペーストを充填し、図13に示すようにビア穴4に導電性ペーストの導電性物質層5を形成する。この点では図4の工程(C)と同じである。
【0092】
しかしながら、つぎに説明するように、導電性物質層5の高さ(深さ)は、所定の高さh2に規制される。
【0093】
すなわち、導電性物質層5は、ビア穴4の深さをh1、ビア穴4の表面側の径(直径)をaとして、ビア穴4内に、(h1−h2)/a≦2の条件を満たす所定の高さh2に形成される。
【0094】
このようにすると、導電性物質層5で底上げされた後のビア穴4は、底上げ前のビア穴4のアスペクト比の大小によらず、アスペクト比が(h1−h2)/a≦2、すなわち2以下になる。
【0095】
そして、アスペクト比が2以下になると、その後の第二の導電層6のめっき等が、底上げされたビア穴4の底、換言すれば、導電性物質層5の表面に確実に達し、導電層3、6が導電性物質層5を通して確実に導通することが、種々の実験等から判明した。
【0096】
また、底上げ前のビア穴4のアスペクト比h1/aが2以上の場合に導電性ペーストを所定の高さh2まで充填できることも、実験等によって確かめられた。
【0097】
具体的には、ビア穴4の径aと真空印刷機により樹脂(導電性ペースト)を充填することができる深さ(ビア高さ)h1との種々の組み合わせについて実験したところ、例えば図19の結果が得られた。
【0098】
図19において、実線αは真空印刷機を用いた真空印刷による導電性ペーストの充填可能な限界特性曲線、実線βは比較のために測定した大気印刷による導電性ペーストの充填可能な限界特性曲線である。また、破線a(6)、a(4)、a(2)、a(1)はアスペクト比h1/aが6、4、2、1となる点の集合を表わす。
【0099】
そして、図19からアスペクト比が2以上(2〜6)であっても、真空印刷による導電性ペーストの充填が十分可能であることが確かめられた。
【0100】
また、アスペクト比が2以下になることで導電層3、6が導電性物質層5を通して確実に導通すること、換言すれば、ビア穴4の底上げ後のアスペクト比を2以下にする必要性については、例えば無電解めっきで第二の導電層6を形成して得られた図20のアスペクト比と導通化率との実測の関係図から判明した。
【0101】
図20において、測定条件は、100rpmの回転めっき、めっき時間60分であり、図中の黒丸は導電性物質層5の高さ(樹脂厚)が400μm、白丸は導電性物質層5の高さ(樹脂厚)が500μm、黒塗りの四角は導電性物質層5の高さ(樹脂厚)が600μmの場合の実測値である。
【0102】
そして、図20から明らかなように、底上げ後のアスペクト比が2.0より大きくなると、導電層3、6を電気的に導通する率(導通化率)が100%より低下することが確かめられた。このことから、底上げ後のアスペクト比は2以下でなければならないことが判明した。
【0103】
なお、電気的絶縁層2の深さh1を200μm、ビア穴4の径aを50μmとして導電性物質層5の充填の高さh2と導通抵抗との関係を測定したところ、図21の結果が得られた。
【0104】
この図21の結果から、導通抵抗が20mΩ以上となる充填の高さh2を充填限界値とすると、充填の上限値が電気的絶縁層2の深さh1の約90%程度になる。
【0105】
そして、ビア穴4が深くなる程、導通抵抗は比例して大きくなり、例えばh1=600μmであれば、導通抵抗の上限は20mΩの3倍の60mΩとなり、充填の上限値は約90%の540μmになる。
【0106】
なお、導通抵抗=めっき部の抵抗+ペースト充填部の抵抗であり、めっきの抵抗=0.01mΩ、導電性ペーストの抵抗=0.1mΩとしている。これは、めっきの導通抵抗よりも導電性ペーストの導通抵抗の方が大きく、導電性ペーストの充填量を増やすとビア穴4全体の導通抵抗が上昇するからである。また、ビア穴4の深さ(樹脂の厚み)が200μmの場合、ビア穴4の導通抵抗の上限を20mΩとしたのは、薄層のビア穴においては、導通抵抗を20mΩ以下に抑えることが求められているからである。
【0107】
そして、導電性ペーストの充填に基づく導電性物質層5の高さh2を電気的絶縁層2の厚み、すなわちビア穴4の深さh1の90%以下とすることが、導通抵抗を前記薄層のビア穴4に要求される値以下に抑える点からは望ましいことも判明した。
【0108】
そして、導電性ペーストの充填によって導電性物質層5を高さh2に形成すると、図10(d)のビア穴内めっきの工程(D)に移行する。この工程(D)は図1の工程(D)と全く同じであり、図14に示すように導電性物質層の形成後に電気的絶縁層2及び導電性物質層5の表面を覆うように薄膜層7を挟んで第二の導電層6を形成する。このとき、導電性物質層5形成後のビア穴4が窪んだ状態になるため、第二の導電層6は、電気的絶縁層2の表面、ビア穴4の内壁及び、導電性物質層5を覆う。
【0109】
つぎに、図10(e)の封穴処理の工程(D*)に移行する。第二の導電層6の形成後のビア穴4が窪んだ状態になるので、この工程(D*)においては図15に示すように、まず、ビア穴4の窪んだ隙間が導電性物質層5と異なる物質の層で埋められている。
【0110】
そして、前記隙間を埋める物質は、導電性、非導電性の種々の物質であってよいが、極力安価にするため、本実施形態の場合は、樹脂ペーストのような安価な非導電性ペーストである。この非導電性ペーストの充填により、図15の非導電性ペーストの層10が形成されて前記隙間が埋められる。
【0111】
つぎに、図15に示すように第二の導電層6および非導電性ペーストの層10を覆う第三の導電層8を形成する。図1の工程(D*)と同じように、ビア穴4の窪んだ隙間が非導電性ペーストの層10で埋められた後に無電解めっきによって封穴用の第三の導電層8が形成される。
【0112】
つぎに、図10(f)のパターン形成の工程(E)に移行する。この工程(E)も図1の工程(E)と全く同じであり、例えばエッチングにより図16に示すように第二の導電層6を薄膜層7、第三の導電層8とともにパターン加工し、電気的絶縁層2上に所要の配線パターンを形成する。
【0113】
最後に、図10(g)の転写板剥離の工程(F)に移行して転写板9を引き剥がす。
【0114】
このようにして形成された図9の多層基板1は、導電性物質層5を所定の高さh2に規制して形成するので、アスペクト比の大きなビア穴4であっても、底上げ後のビア穴4のアスペクト比が2以下になり、高価な導電性物質を適量だけ使用する安価で実用的な構成により、第一の実施形態の場合と同様の効果を奏することができる。
【0115】
また、第二の導電層6の形成後のビア穴4の窪んだ隙間を安価な非導電性ペーストの層10で埋めて均らした上で第三の導電層8を形成することができ、第三の導電層8上にさらに電気的絶縁層を載せて多層化し、ビア穴4の上にビア穴を重ねるスタックビアを形成することも可能となる。
【0116】
したがって、一層経済的な手法により、アスペクト比の大きなビア穴4についても電気的絶縁層2の過剰な高温加熱の損傷等なく良好な電気的導通性を確保し、導通信頼性を向上することができ、しかも、基板の平面性に優れた新規な構成の多層基板1を提供することができる。
【0117】
なお、電気的絶縁層2、ビア穴4等の具体的な大きさの一例は、電気的絶縁層2の厚みh1が200μm、ビア穴4の径aが50μmであり、底上げ前のアスペクト比は4.0
であり、この場合、100μm以上を埋める導電性物質層5を形成する。
【0118】
そして、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能であり、例えば、第三の導電層8は無電解めっきでなく、電解めっきで形成してもよく、電解めっきで形成した場合は、無電解めっきの場合より厚い第三の導電層8を形成することが可能であり、より信頼性の高い配線パターンを形成することができる等の利点があり、また、第三の導電層8上に回路部品を搭載等することも可能となる。
【0119】
また、非導電性ペーストの層10に代えて、導電性ペーストの層、めっきフィル等の導電性の層で埋めるようにしてもよい。
【0120】
さらに、各実施形態において、電気的絶縁層2、導電層3、6、8、導電性物質層5等の厚み(高さ)等の寸法や材質は、種々に設定してよいのは勿論である。
【0121】
つぎに、本発明の多層基板の製造方法は少なくとも工程(A)、(B)、(C)、(D)、(E)を含むものであればよく、各実施形態と工程の個数や手順が異なっていてもよい。
【0122】
そして、本発明は、部品内蔵型のものを含む種々の多層基板及びその製造方法に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】第1の実施形態の製造工程の説明図である。
【図2】図1の初期の工程(A)における多層基板の拡大断面図である。
【図3】図1のビア穴形成の工程(B)における多層基板の拡大断面図である。
【図4】図1の導電ペースト充填の工程(C)における多層基板の拡大断面図である。
【図5】図1のビア穴内めっきの工程(D)における多層基板の拡大断面図である。
【図6】図1の封穴処理の工程(D*)における多層基板の拡大断面図である。
【図7】図1のパターン形成の工程(E)における多層基板の拡大断面図である。
【図8】図1の転写板剥離の工程(F)における多層基板の拡大断面図である。
【図9】第1の実施形態の製造された多層基板の断面図である。
【図10】第3の実施形態の製造工程の説明図である。
【図11】図10の初期の工程(A)における多層基板の拡大断面図である。
【図12】図10のビア穴形成の工程(B)における多層基板の拡大断面図である。
【図13】図10の導電ペースト充填の工程(C)における多層基板の拡大断面図である。
【図14】図10のビア穴内めっきの工程(D)における多層基板の拡大断面図である。
【図15】図10の封穴処理の工程(D*)における多層基板の拡大断面図である。
【図16】図10のパターン形成の工程(E)における多層基板の拡大断面図である。
【図17】図10の転写板剥離の工程(F)における多層基板の拡大断面図である。
【図18】第3の実施形態の製造された多層基板の断面図である。
【図19】導電性ペーストの充填可能な限界特性曲線図である。
【図20】アスペクト比と導通化率との実測例の図である。
【図21】導電性物質層の充填の高さと導通抵抗との関係の実測例の図である。
【図22】従来例のビア穴形成の原理図である。
【符号の説明】
【0124】
1 多層基板
2 電気的絶縁層
3 第一の導電層
4 ビア穴
5 導電性物質層
6 第二の導電層
8 第三の導電層
10 非導電性ペーストの層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的絶縁層の裏面側に第一の導電層を形成する工程(A)と、
前記電気的絶縁層に前記第一の導電層を底面とする有底のビア穴を少なくとも一つ形成する工程(B)と、
前記ビア穴に導電性物質を一定の高さまで満たして導電性物質層を形成する工程(C)と、
前記導電性物質層の形成後に前記電気的絶縁層及び前記導電性物質層の表面を覆うように無電解めっきおよび電解めっきにより第二の導電層を形成する工程(D)と、
前記第二の導電層を加工して前記電気的絶縁層上に配線パターンを形成する工程(E)と
を含むことを特徴とする多層基板の製造方法。
【請求項2】
前記工程(C)は、前記ビア穴内に導電性ペーストを充填して前記導電性物質層を形成するものであることを特徴とする請求項1に記載の多層基板の製造方法。
【請求項3】
前記工程(C)は、前記ビア穴内に電解めっきを成長させて前記導電性物質層を形成するものであることを特徴とする請求項1に記載の多層基板の製造方法。
【請求項4】
前記導電性物質層は、前記ビア穴の深さをh1、前記ビア穴の径をaとして、前記ビア穴内に、(h1−h2)/a≦2の条件を満たす所定の高さh2に形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層基板の製造方法。
【請求項5】
前記導電性物質層形成後の前記ビア穴が窪んだ状態になり、前記第二の導電層が、前記電気的絶縁層の表面、前記ビア穴の内壁及び、前記導電性物質層の表面を覆うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層基板の製造方法。
【請求項6】
前記第二の導電層形成後の前記ビア穴の窪んだ隙間を前記第二の導電層と異なる物質で埋めることを特徴とする請求項5に記載の多層基板の製造方法。
【請求項7】
前記第二の導電層形成後の前記ビア穴の窪んだ隙間を非導電性ペーストの充填で埋めることを特徴とする請求項6に記載の多層基板の製造方法。
【請求項8】
前記第二の導電層上に直接に又は前記ビア穴の窪んだ隙間を埋めた後にめっきによって封穴用の第三の導電層が形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の多層基板の製造方法。
【請求項9】
電気的絶縁層の裏面側に形成された第一の導電層と、
前記電気的絶縁層に形成され、前記第一の導電層を底面とする少なくとも一つの有底のビア穴と、
前記ビア穴に導電性物質を一定の高さまで満たして形成された導電性物質層と、
前記電気的絶縁層及び前記導電性物質層の表面を覆い、前記電気的絶縁層上に配線パターンを形成する第二の導電層と
を有することを特徴とする多層基板。
【請求項10】
前記導電性物質層は、前記ビア穴内に充填された導電性ペーストの層であることを特徴とする請求項9に記載の多層基板。
【請求項11】
前記導電性物質層は、前記ビア穴内に成長した電解めっきの層であることを特徴とする請求項9に記載の多層基板。
【請求項12】
前記導電性物質層は、前記ビア穴の深さをh1、前記ビア穴の径をaとして、前記ビア穴内に、(h1−h2)/a≦2の条件を満たす所定の高さh2に形成された層であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の多層基板。
【請求項13】
前記導電性物質層形成後の前記ビア穴が窪んだ状態になり、
前記第二の導電層形成後の前記ビア穴の窪んだ隙間に前記第二の導電層と異なる物質が充填されることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の多層基板。
【請求項1】
電気的絶縁層の裏面側に第一の導電層を形成する工程(A)と、
前記電気的絶縁層に前記第一の導電層を底面とする有底のビア穴を少なくとも一つ形成する工程(B)と、
前記ビア穴に導電性物質を一定の高さまで満たして導電性物質層を形成する工程(C)と、
前記導電性物質層の形成後に前記電気的絶縁層及び前記導電性物質層の表面を覆うように無電解めっきおよび電解めっきにより第二の導電層を形成する工程(D)と、
前記第二の導電層を加工して前記電気的絶縁層上に配線パターンを形成する工程(E)と
を含むことを特徴とする多層基板の製造方法。
【請求項2】
前記工程(C)は、前記ビア穴内に導電性ペーストを充填して前記導電性物質層を形成するものであることを特徴とする請求項1に記載の多層基板の製造方法。
【請求項3】
前記工程(C)は、前記ビア穴内に電解めっきを成長させて前記導電性物質層を形成するものであることを特徴とする請求項1に記載の多層基板の製造方法。
【請求項4】
前記導電性物質層は、前記ビア穴の深さをh1、前記ビア穴の径をaとして、前記ビア穴内に、(h1−h2)/a≦2の条件を満たす所定の高さh2に形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層基板の製造方法。
【請求項5】
前記導電性物質層形成後の前記ビア穴が窪んだ状態になり、前記第二の導電層が、前記電気的絶縁層の表面、前記ビア穴の内壁及び、前記導電性物質層の表面を覆うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層基板の製造方法。
【請求項6】
前記第二の導電層形成後の前記ビア穴の窪んだ隙間を前記第二の導電層と異なる物質で埋めることを特徴とする請求項5に記載の多層基板の製造方法。
【請求項7】
前記第二の導電層形成後の前記ビア穴の窪んだ隙間を非導電性ペーストの充填で埋めることを特徴とする請求項6に記載の多層基板の製造方法。
【請求項8】
前記第二の導電層上に直接に又は前記ビア穴の窪んだ隙間を埋めた後にめっきによって封穴用の第三の導電層が形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の多層基板の製造方法。
【請求項9】
電気的絶縁層の裏面側に形成された第一の導電層と、
前記電気的絶縁層に形成され、前記第一の導電層を底面とする少なくとも一つの有底のビア穴と、
前記ビア穴に導電性物質を一定の高さまで満たして形成された導電性物質層と、
前記電気的絶縁層及び前記導電性物質層の表面を覆い、前記電気的絶縁層上に配線パターンを形成する第二の導電層と
を有することを特徴とする多層基板。
【請求項10】
前記導電性物質層は、前記ビア穴内に充填された導電性ペーストの層であることを特徴とする請求項9に記載の多層基板。
【請求項11】
前記導電性物質層は、前記ビア穴内に成長した電解めっきの層であることを特徴とする請求項9に記載の多層基板。
【請求項12】
前記導電性物質層は、前記ビア穴の深さをh1、前記ビア穴の径をaとして、前記ビア穴内に、(h1−h2)/a≦2の条件を満たす所定の高さh2に形成された層であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の多層基板。
【請求項13】
前記導電性物質層形成後の前記ビア穴が窪んだ状態になり、
前記第二の導電層形成後の前記ビア穴の窪んだ隙間に前記第二の導電層と異なる物質が充填されることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の多層基板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図12】
【図13】
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【図15】
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【図19】
【図20】
【図21】
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【公開番号】特開2008−147235(P2008−147235A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329460(P2006−329460)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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