説明

多層成形体の製造方法

【課題】熱可塑性樹脂材料からなる成形体の機械物性及び表面外観の両方を十分優れたものとすることができるとともに、このような成形体を効率的に製造する方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る多層成形体10の製造方法は、成形型100のキャビティV内に基材層1を配置する工程と、基材層1とこれに対向するキャビティ面21aとの間に形成されるクリアランスCに溶融状態の第2の熱可塑性樹脂材料を射出速度500mm/秒以上で供給し、基材層1の表面に被覆層2を形成する工程とを備え、第2の熱可塑性樹脂材料がメルトフローレート5〜400g/10分のポリオレフィン系樹脂と、無機充填材とを含有し、被覆層2の厚さが0.5mm以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の熱可塑性樹脂組成物材料からなる基材層と、この基材層上に設けられた第2の熱可塑性樹脂材料からなる被覆層とを有する多層成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形や圧縮成形によって製造される熱可塑性樹脂成形体は、経済性、軽量性、賦形性等が良好であることから、様々な分野で使用されている。この熱可塑性樹脂成形体は、高価な工業製品の部材としても使用されており、このような用途の場合、より高い品質が要求される。例えば、自動車の外装部品などに使用される熱可塑性樹脂成形体は、耐衝撃性や剛性などの機械物性に関する品質に加え、表面にウェルドラインなどの外観不良がないといった高い外観品質も要求される。
【0003】
熱可塑性樹脂成形体の機械物性と外観品質はトレードオフの関係にあることが多く、両者をバランス良く向上させる技術が望まれている。下記特許文献1〜3は、基材層と、この基材層上に設けられた被覆層とを有する多層成形体に関するものである。これらの文献には基材層及び被覆層を構成する樹脂材料として互いに異なるものを使用する手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3347892号公報
【特許文献2】特開2001−225348号公報
【特許文献3】特開2005−132016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、優れた機械物性を維持しながら、より高い外観品質が要求されるようになってきており、従来の技術では十分に対応することが困難であった。このため、上記のような高い品質の熱可塑性樹脂成形体を低コストで効率的に製造する技術の開発が望まれている。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、熱可塑性樹脂組成物からなる成形体の機械物性及び表面外観の両方を十分優れたものとすることができるとともに、このような成形体を効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1の熱可塑性樹脂材料からなる基材層と、この基材層上に設けられた第2の熱可塑性樹脂材料からなる被覆層とを有する多層成形体の製造方法であって、一対の金型間に形成されるキャビティ内に基材層を配置する工程と、基材層とこれに対向する金型のキャビティ面との間に形成される空間に溶融状態の第2の熱可塑性樹脂材料を射出速度500mm/秒以上で供給する工程とを備え、第2の熱可塑性樹脂材料がメルトフローレート5〜400g/10分のポリオレフィン系樹脂と、無機充填材とを含有し、被覆層の厚さが0.5mm以下であることを特徴とする。ここでいう射出速度とは、溶融した樹脂を金型内に充填する際の、スクリューの移動速度(スクリュー射出速度)をいう。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、熱可塑性樹脂組成物からなる成形体の機械物性及び表面外観の両方を優れたものとすることができるとともに、このような成形体を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の方法によって製造された多層成形体の一例を示す模式断面図である。
【図2】本発明の方法に用いる成形型の一例を示す模式断面図である。
【図3】成形型の金型が閉じた状態を示す模式断面図である。
【図4】成形型のキャビティ内に基材層を配置した状態を示す模式断面図である。
【図5】金型が開いた状態の成形型及び当該型から取り出された多層成形体を示す模式断面図である。
【図6】本発明の方法に用いる成形型の他の例を示す模式断面図である。
【図7】(a)−(c)は、多層成形体又は基材層のウェルド部を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<多層成形体>
図1に示す多層成形体10は、平板状に形成された基材1の層(基材層)と、基材1の一方面を覆うように設けられた被覆層2とを有する。基材1及び被覆層2はいずれも熱可塑性樹脂材料からなる。
【0011】
基材1は、多層成形体10の本体部をなすものであり優れた機械物性を確保するため、高い耐衝撃性及び剛性を有する。基材1を構成する熱可塑性樹脂材料(第1の熱可塑性樹脂材料)の主成分をなす熱可塑性樹脂は、多層成形体10に求められる機械物性に応じて適宜選択すればよく、その種類は特に限定されるものではない。該熱可塑性樹脂の具体例として、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、アミド系樹脂、熱可塑性エステル系樹脂、ポリカーボネート、熱可塑性エラストマーなどを例示できる。これらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これら熱可塑性樹脂のうち、オレフィン系樹脂、又はオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーとの混合物が好ましく使用される。
【0012】
オレフィン系樹脂とはオレフィン由来の繰返し単位を50質量%以上含有する樹脂であり、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1などの炭素原子数が20以下のα−オレフィンの単独重合体、これらのα−オレフィンの中から選ばれる少なくとも2種類のモノマーを共重合してなる共重合体、前記α−オレフィンと共重合可能な他の不飽和単量体と前記α−オレフィンとの共重合体などが挙げられる。
【0013】
前記不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸;メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸のアルキルエステル誘導体;フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又は酸無水物;アクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、マレイン酸のモノ又はジエチルエステル、N−フェニルマレイミド、N,N’−メタフェニレンビスマレイミド等の不飽和カルボン酸又は不飽和ジカルボン酸の誘導体等が挙げられる。
【0014】
上記オレフィン系樹脂としてプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。プロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体、エチレン及び炭素原子数4〜12のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種とプロピレンとの共重合体が挙げられる。これら単独重合体又は共重合体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ここで、炭素原子数4〜12のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどを挙げることができる。
【0015】
エチレン及び炭素原子数4〜12のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種とプロピレンとの共重合体を用いる場合は、プロピレン由来の繰返し単位を、該共重合体100質量部に対して少なくとも50質量部含む共重合体を用いることが好ましい。また、該共重合体がプロピレン単位以外に2種以上の単量体由来の繰返し単位を有する場合には、そのプロピレン単位の単量体由来の繰返し単位の合計量は35質量部以下であることが好ましい。共重合体中のエチレンや炭素原子数4〜12のα−オレフィン由来の繰返し単位の量を調節することによって、該共重合体の柔軟性や耐衝撃性を制御することができる。プロピレン系樹脂が共重合体である場合、該共重合体は、ランダム共重合体でもよく、ブロック共重合体でもよい。
【0016】
オレフィン系樹脂として、例えば上記プロピレン系樹脂とエチレン・α−オレフィン共重合体との共重合体との混合物を用いることも好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体とは、エチレンと炭素原子数4〜12のα−オレフィンとの共重合体であり、例えば、エチレンとブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等との共重合体が挙げられる。好ましいエチレン・α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン・ブテン−1共重合体ゴム(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合体ゴム(EHR)、エチレン・オクテン共重合体ゴム(EOR)が挙げられる。
【0017】
エチレン・α−オレフィン共重合体におけるエチレン由来の繰返し単位の含量は、50〜90質量%であり、60〜90質量%であることが好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体中のエチレン由来の繰返し単位含量は、13C−NMR法により測定することができる。エチレンとα−オレフィンの共重合体の密度は通常、0.85〜0.89g/cm3であり、0.86〜0.88g/cm3であることが好ましい。なお、前記密度は、JIS K7112に従って測定される値である。
【0018】
更に、熱可塑性樹脂として、上記オレフィン系樹脂にビニル芳香族化合物含有エラストマーを添加したものを用いてもよい。ビニル芳香族化合物含有エラストマーとしては、例えば、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン系ゴム(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系ゴム(SEPS)、スチレン−ブタジエン系ゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴム(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン系ゴム(SIS)等のブロック共重合体又はこれらのゴム成分を水添したブロック共重合体等が挙げられる。
【0019】
また、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系ゴム(EPDM)等のオレフィン系共重合体ゴムとスチレン等のビニル芳香族化合物を反応させて得られるゴムも好適に使用することができる。また、2種類以上のビニル芳香族化合物含有エラストマーを併用されていてもよい。ビニル芳香族化合物含有エラストマーとは、ビニル芳香族化合物をモノマーの一種として用いて、重合して得られたエラストマーであり、例えば、ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体、前記ブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が水素添加されているブロック重合体等が挙げられ、ブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上水素添加されていることが好ましい。また、ビニル芳香族化合物含有エラストマー100質量%とした場合に、ビニル芳香族化合物モノマー由来の繰返し単位の含有量が10〜20質量%であることが好ましい。
【0020】
被覆層2は、主に多層成形体10の優れた外観品質を達成するため、基材1の表面を覆うように設けられたものである。被覆層2の厚さは0.5mm以下であり、0.4mm以下であることが好ましく、0.3mm以下であることが更に好ましい。被覆層2の厚さは0.01mm以上であることが好ましく、0.05mm以上であることがより好ましい。被覆層2の厚さが0.5mmを超えると、被覆層2の形成に要する樹脂材料の量が増大する。他方、被覆層2の厚さが0.01mm未満であると、多層成形体10の外観品質が不十分となりやすい。
【0021】
被覆層2を構成する熱可塑性樹脂材料(第2の熱可塑性樹脂材料)の主成分をなす熱可塑性樹脂としては、基材1に使用する熱可塑性樹脂と同様のものを使用することができるが、結晶性ポリオレフィン系樹脂を使用することが好ましい。結晶性ポリオレフィン系樹脂は、非晶性のものと比較し、機械物性に優れ且つ薄い被覆層を形成しやすいという特長を有する。したがって、被覆層2の厚さを0.5mm以下と薄くしても、被覆層2自体の高い機械物性を達成できる。また、被覆層2を薄くすることで第2の熱可塑性樹脂組成物の使用量を削減でき、製造コストを低く抑えることができる。
【0022】
ここでいう結晶性ポリオレフィン系樹脂とは、上述のポリオレフィン系樹脂のうち、JIS K7122に基づいて行う示差走査熱量測定において、−100℃〜300℃の範囲に観測される結晶の熱量が1J/gより大きい結晶融解ピーク、又は、結晶化熱量が1J/gより大きい結晶化ピークを有するポリオレフィン系樹脂を意味する。なお、結晶性ポリオレフィン系樹脂としては、成形体の剛性及び耐衝撃性の点から結晶性ポリプロピレン系樹脂が特に好適である。
【0023】
被覆層2に含まれる結晶性ポリオレフィン系樹脂は、メルトフローレート(MFR)が5〜400g/10分であり、10〜200g/10分であることが好ましい。MFRが5g/10分未満であると、樹脂充填に必要な圧力が著しく高くなることがある。他方、MFRが400g/10分を越えると、被覆層2の衝撃強度が低下する傾向にあるため、得られる多層成形体の衝撃強度が低下する傾向にある。なお、ここでいうメルトフローレート(MFR)とは、JIS K6758に基づいて温度条件230℃で測定される値を意味する。
【0024】
被覆層2に含まれる結晶性ポリオレフィン系樹脂は、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸誘導体で変性された変性ポリオレフィン樹脂(A)を用いることもできる。これら変性ポリオレフィン樹脂は単独でも、2種以上混合して用いてもよい。
変性ポリオレフィン樹脂(A):ビニル化合物(X)(一般式CH2=CH−R、Rは、炭素原子数3〜10の脂環式炭化水素基を表す。)で表されるビニル化合物に基づく単量体単位と、炭素原子数2〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位と、不飽和カルボン酸類に基づく単量体単位と、を有し、ビニル化合物(X)に基づく単量体単位と炭素原子数2〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位との総量を100モル%として、ビニル化合物(X)に基づく単量体単位の含有量が3〜50モル%であり、α−オレフィンに基づく単量体単位の含有量が97〜50モル%である。
【0025】
また、不飽和カルボン酸類に基づく単量体単位の含有量は、変性ポリオレフィン樹脂(A)を100質量%として、不飽和カルボン酸類に基づく単量体単位の含有量が0.01〜5質量%である。
被覆層2に含まれる結晶性ポリオレフィン樹脂として、このような樹脂を用いることで、表面にウェルドライン不良などのない優れた表面外観を有するとともに、塗装性能にも優れる成形体を得ることができる。
【0026】
前記変性ポリオレフィン樹脂(A)で用いられるビニル化合物(X)の置換基Rとしては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
【0027】
前記変性ポリオレフィン樹脂(A)で用いられる炭素原子数2〜20のα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1等が挙げられる。
【0028】
前記変性ポリオレフィン樹脂(A)に用いられる不飽和カルボン酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ナジック酸、メチルナジック酸、ハイミック酸、アンゲリカ酸、テトラヒドロフタル酸、ソルビン酸、メサコン酸などの不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、無水ハイミック酸などの不飽和カルボン酸無水物;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−i−プロピル、メタクリル酸−i−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−i−ブチル、メタクリル酸−i−ブチル、アクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸−t−ブチル、アクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸アクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸−t−ブチル、アクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジメチルエステルなどの不飽和カルボン酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸−N−モノエチルアミド、マレイン酸−N,N−ジエチルアミド、マレイン酸−N−モノブチルアミド、マレイン酸−N,N−ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸−N−モノエチルアミド、フマル酸−N,N−ジエチルアミド、フマル酸−N−モノブチルアミド、フマル酸−N,N−ジブチルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド;マレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどの不飽和カルボン酸イミド;塩化マレオイルなどの不飽和カルボン酸ハライド;アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウムなどの不飽和カルボン酸金属塩などが挙げられる。また、上記の不飽和カルボン酸類を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
不飽和カルボン酸類としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルが好ましく、とりわけ、無水マレイン酸、メタクリル酸ヒドロキシエチルが好ましい。
【0030】
本発明に用いられる前記変性ポリオレフィン樹脂(A)において、ビニル化合物(X)から誘導される単量体の含有量は、塗装性能を高める観点から、好ましくは6〜30モル%であり、より好ましくは7〜20モル%である。ただし、変性ポリオレフィン樹脂(A)中の全単量体単位を100モル%とする。
【0031】
本発明に用いられる変性ポリオレフィン樹脂(A)において、不飽和カルボン酸類の含有量は、塗装性能を高める観点から、好ましくは0.01〜30質量%であり、より好ましくは0.05〜20質量%であり、更に好ましくは0.1〜15質量%である。ただし、変性ポリオレフィン樹脂(A)中の全単量体単位を100質量%とする。
【0032】
上記ビニル化合物、不飽和カルボン酸類の含有量は、1H−NMRスペクトルや13C−NMRスペクトルを用いて求めることができる。
【0033】
変性ポリオレフィン樹脂(A)の製造方法としては公知の方法が用いられ、例えば、イソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド及びメチルアルモキサンを接触させて得られる触媒の存在下、ビニル化合物(X)と炭素原子数2〜20のα−オレフィンに基づく単量体、不飽和カルボン酸類とを共重合する方法などが挙げられ、具体的には欧州特許出願公開第1219648号明細書に記載の方法などを用いることができる。
【0034】
また、変性ポリオレフィン樹脂(A)の製造方法としては、多段重合法を用いてもよく、例えば、ビニル化合物(X)と、エチレン及び/又はα−オレフィンとを共重合した後、該共重合により得られた重合体と不飽和カルボン酸類とをグラフト重合する方法;不飽和カルボン酸類と、エチレン及び/又はα−オレフィンとを共重合した後、該共重合により得られた重合体とビニル化合物(I)及び/又はビニル化合物(II)とをグラフト重合する方法などをあげることができる。
【0035】
上記のグラフト重合方法としては、例えば、前駆体を溶融させたのち、単量体(ビニル化合物(X)、αオレフィン単量体、不飽和カルボン酸類など)を添加してグラフト重合せしめる方法;前駆体をトルエン、キシレンなどの溶媒に溶解したのち、単量体(ビニル化合物(X)、αオレフィン単量体、不飽和カルボン酸類など)を添加してグラフト重合せしめる方法などを用いることができる。グラフト重合の温度は、通常、40〜350℃程度である。また、グラフト重合には、通常、ラジカル開始剤が用いられ、ラジカル開始剤の使用量は、前駆体1kgに対して、通常0.001〜0.5モルであり、好ましくは0.005〜0.1モルである。
【0036】
本発明において、被覆層2における変性ポリオレフィン樹脂(A)の含有量は50〜100質量%であり、第1の樹脂組成物との接着性の観点から、60〜100質量%が好ましく、より好ましくは、80〜99質量%である。
【0037】
被覆層2は、充填材を更に含有してもよい。充填材としては、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ウォラストナイト、硫酸バリウム、ガラス繊維、カーボン繊維、シリカ、ケイ酸カルシウム、チタン酸カリウム、金属繊維、金属で被覆された有機繊維等が挙げられる。これらの充填材は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。充填材の含有量は、第2の熱可塑性樹脂材料100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、10〜40質量部であることがより好ましい。充填材の含有量を5質量部以上とすることで、被覆層2の機械物性や外観品質を向上させることが可能となる。他方、充填材の含有量を50質量部以下とすることで、被覆層2が剥離したり、多層成形体10の表面にウェルドが生じるといった不具合を十分に抑制できる。
【0038】
なお、基材1を形成する熱可塑性樹脂材料も上記のような無機充填材を含有してもよい。また、基材1及び被覆層2をそれぞれ形成する熱可塑性樹脂組成物は、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、滑剤、分解剤、金属不活性剤、難燃剤、有機顔料、無機顔料、有機充填剤、無機抗菌剤、有機抗菌剤、結晶核剤などを更に含有してもよい。
【0039】
<成形型>
図2,3を参照しながら、多層成形体の製造に用いる成形型の一例を説明する。成形型100は、図1に記載の基材1の表面上に被覆層2を設け、多層成形体10を製造するためのものである。成形型100は、互いに対向するように配置された上側取付板20と下側取付板30とを有する。上側取付板20は、溶融状態の樹脂材料を射出する射出装置側に固定されている。下側取付板30は、図示しない型開閉機構により図2,3に示すX軸方向に往復動する。
【0040】
上側取付板20と下側取付板30との間には、キャビティ固定板21及びコア固定板31が互いに対向するように配置されている。キャビティ固定板21は、X軸方向に移動可能に構成されており、上側取付板20の内面から突出する4本のガイドピン22によってガイドされる。また、コア固定板31は、スペーサーブロック32及び受け板33を介して下側取付板30に固定されており、下側取付板30の移動に伴ってX軸方向に往復動する。
【0041】
キャビティ固定板21とコア固定板31とは、下側取付板30の往復動に伴って、キャビティ固定板21とコア固定板31とが離間した開状態(図2参照)と、キャビティ固定板21とコア固定板31とが接触した閉状態(図3参照)との間を移行する。キャビティ固定板21とコア固定板31とは、閉状態において、その内部に矩形板状のキャビティVを形成する。キャビティ固定板21の表面21a及びコア固定板31の表面31aによってキャビティ面が形成される。なお、後述の通り、本実施形態においてはコア固定板31の表面31aに当接するように基材1が配置され、基材1とキャビティ固定板21の表面21aとの間にクリアランスCが形成される。
【0042】
上側取付板20の中央には、図示しない射出装置のノズル先端が入り込む略漏斗状のスプルーブッシュ25が設けられている。また、上側取付板20とキャビティ固定板21との間には、ガイドピン22に貫通されたランナストッパプレート23が配置されており、ランナストッパプレート23とキャビティ固定板21とは、溶融状態の樹脂材料の流路を構成するランナ成形部26を形成している(図3参照)。ランナ成形部26は、スプルーブッシュ25の出口側に接続されており、スプルーブッシュ25との接続部を中心としてY軸方向に延在している。
【0043】
キャビティ固定板21内には、キャビティ固定板21をX軸方向に貫通するスプル成形部27が形成されている。このスプル成形部27は、Y軸方向におけるランナ成形部26の先端部付近に形成されている。また、キャビティ固定板21とコア固定板31との間には、キャビティVの入口を構成するゲート部28が形成されている。ゲート部28とランナ成形部26とは、スプル成形部27を介して連通している。
【0044】
コア固定板31におけるキャビティVと反対側の面には、受け板33が固定されている。この受け板33と下側取付板30との間には、キャビティV内で形成された多層成形体10を型から外すための4本のエジェクタピン35を保持するエジェクタプレート36が設けられている。また、受け板33と下側取付板30との間には、X軸方向に移動するエジェクタプレート36の両側にスペーサーブロック32が配置されている。
【0045】
なお、本実施形態においては、射出装置として、例えば、インライン式スクリューを備えたものを使用できる。当該射出装置は、バレルと、バレル内を回転可能かつ軸方向にも前進後退可能なスクリューと、バレル内に樹脂材料を供給するホッパと、スクリューの前進、後進、回転を制御するモータとを備える。
【0046】
<多層成形体の製造方法>
多層成形体10を製造するには、まず、所定の形状に加工された基材1を準備する。基材1の成形方法は特に制限されず、基材1は射出成形や圧縮成形によって作製すればよい。
図4に示すように、コア固定板31の表面31aと基材1の一方面とが当接するように、基材1をキャビティV内に配置する(第1工程)。これにより、基材1の他方面とこれに対向するキャビティ固定板21の表面21aとの間にクリアランスCが形成される。このクリアランスCを熱可塑性樹脂材料で充填することによって被覆層2を形成する。被覆層2の厚さを0.5mm以下とするには、クリアランスCの幅も0.5mm以下に設定すればよい。このようにクリアランスCを設定することにより、被覆層2の厚みが所望の厚みよりも厚くなることを防止するとともに、被覆層2形成用の樹脂材料を円滑に流動させることができ、さらには、つやむらなどの外観不良の発生を抑制できる。なお、本実施形態においては、基材1の片面全体を被覆層2で覆う場合を例示するが、キャビティ面と基材1の表面を部分的に当接させ、残りの部分のみに被覆層2を設けるようにしてもよい。
【0047】
第1工程において基材1をキャビティV内に配置するには、予め作製された基材を前記一対の金型間に挿入して配置してもよいし、多層成形体を製造するために用いられる公知の方法、例えば、コアバック方式、コア回転方式、ストリッパプレート回転方式、コアスライド方式、キャビティスライド方式など方法を用いて、前記一対の金型内で作製してもよい。
【0048】
射出装置から供給される溶融状態の熱可塑性樹脂材料を、ゲート部28のゲート28aから射出し、クリアランスCに充填する。熱可塑性樹脂材料の射出速度は、500mm/秒以上であり、600mm/秒であることが好ましく、700mm/秒であることがより好ましい。射出速度を500mm/秒以上とすることで、樹脂材料の粘度を十分に低下させることができ、クリアランスCに溶融状態の樹脂材料を十分に行き渡らせることができる。これにより、優れた外観の被覆層2を形成しやすい。なお、射出する熱可塑性樹脂材料が充填材を含むものであると、一般に、成形体の表面にウェルドラインが生じやすいが、上述のように射出速度を高めるとともに被覆層2の厚さを薄くすることで、ウェルドラインの発生を十分に抑制できる。射出速度は、3000mm/秒以下であることが好ましく、2000mm/秒以下であることがより好ましい。射出速度を3000mm/秒以下とすることで、射出圧力の著しい上昇を防止できる。
【0049】
本実施形態においては、ゲート28aからこのゲート28aを通じて供給される流動末端部(図4に示す点P1)までの距離が100mm以上であることが好ましく、200mm以上であることがより好ましく、300mm以上であることが更に好ましい。この距離を100mm以上とすることで、大型の多層成形体を製造する場合でも金型に設けるゲートの数を比較的少なくすることができ、多層成形体の表面のウェルドなどの外観不良をより低減することが可能となる。また、この距離を200mm以上とすることで、大型の多層成形体を効率的に製造しやすくなる。
【0050】
キャビティ面の温度は用いる熱可塑性樹脂により適宜決定されるが、10〜150℃程度、好ましくは20〜140℃程度である。冷却時間は1〜60秒程度である。冷却後、下側取付板30を移動させ、キャビティ固定板21とコア固定板31とを開状態とし、エジェクタピン35を用いて多層成形体10をコア固定板31から取り外す(図5参照)。その後、不要な部分10a,10bを取り除く処理などを施して製品としての多層成形体10が完成する。
【0051】
本実施形態に係る方法によって得られた多層成形体10は、機械物性及び表面外観の両方が十分に優れ、自動車内装部品又は外装部品、二輪車部品、家具や電気製品の部品、建材などとして幅広く使用することができ、とりわけ、自動車外装部品として有用である。
また、本実施形態に係る方法によれば、このような成形体を効率的に製造することができる。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、図1に示すような形状の多層成形体10を製造する場合を例示したが、多層成形体の形状はこれに限定されるものではない。
【0053】
また、上記実施形態においては、1つのスプル成形部27と、1つのゲート部28とを有する装置を使用して1つのゲート28aから樹脂材料をキャビティV内に射出する場合を例示したが、複数のゲートから射出してもよい。この場合、各ゲートからそのゲートを通じて供給される樹脂材料の流動末端部までの距離は、各ゲートから射出される樹脂の単位時間当りの量、クリアランスの断面積等に基づいて算出される。
【0054】
図6に示す成形型200は、2つのスプル成形部27と、2つのゲート部28を有し、2つのゲート28aから同時に樹脂材料をキャビティV内に射出できるように構成されている。2つのゲート部28は、キャビティVをY軸方向で挟むように形成されている。ゲート部28とランナ成形部26とは、それぞれ対応するスプル成形部27を介して連通している。2つのゲート28aをキャビティVの両端部にそれぞれ設け、これらのゲート28aから単位時間あたり同量の樹脂材料を射出した場合、流動末端部はキャビティVのY軸方向の中心の位置(図6に示す点P2)となる。
【実施例】
【0055】
(実施例1)
被覆層形成用の熱可塑性樹脂材料として、結晶性ポリプロピレン、タルク及びゴムの混合物を使用した。表1に配合比率を示す。混合物のメルトフローレートは40.5g/10分であった。図6に示す装置と同様の構成、すなわち、キャビティ面に2つのゲートを有する装置を使用した。2つのゲートから熱可塑性樹脂材料をキャビティ内に供給し、熱可塑性樹脂材料からなる基材(横:200mm、縦:40mm、厚さ:2.7mm)の片面全体を覆うように被覆層を形成し、多層成形体を作製した。被覆層の形成は、表2の実施例1の欄に示す条件で行った。
【0056】
(比較例1〜3)
表2の比較例1〜3の欄に示す条件で被覆層をそれぞれ形成したことの他は、実施例1と同様にして多層成形体を作製した。
【0057】
(評価試験)
上記のようにして作製した実施例1及び比較例1〜3の多層成形体について、下記の項目について評価を行った。表2に結果を示す。
(1)ウェルド部の盛り上がり高さ
表面粗さ測定器(ミツトヨ社製、商品名:サーフコム)を使用し、多層成形体のウェルド部の盛り上がり高さを測定した。表2中、「盛り上がり高さH」は、図7(a)に示す被覆層2のウェルド部2aの高さHを意味する。
【0058】
(2)ウェルド部の目立つ程度
多層成形体の表面を目視により観察し、ウェルド部の目立つ程度を以下の基準に基づいて評価した。
A:ウェルドラインがほとんど確認できない。
B:わずかにウェルドラインが確認できる。
C:明確にウェルドラインが確認できる。
【0059】
(3)多層成形体の反り量
多層成形体を水平な台の上に載置し、当該成形体の両端部の下面と台面との距離をそれぞれ測定した。測定値を平均した値を多層成形体の反り量とした。
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
(実施例2)
キャビティ面の2つのゲートのうち一方のゲートのみを使用し、表面にウェルド部が既に存在する基材の片面全体を覆うように被覆層を形成したことの他は、実施例1と同様にして多層成形体を作製した。
【0063】
(比較例4)
表3の比較例4の欄に示す条件で被覆層を形成したことの他は、実施例2と同様にして多層成形体を作製した。
(評価試験)
上記のようにして作製した実施例2及び比較例4の多層成形体のウェルド部について以下の評価を行った。表面粗さ測定器(ミツトヨ社製、商品名:サーフコム)を使用し、被覆層を形成する前後のウェルド部の凹凸を測定した。表3中、被覆層の形成前の「盛り上がり高さHR1」は、図7(b)に示す基材1のウェルド部1aの高さHR1を意味し、被覆層の形成後の「深さHR2」は、図7(c)に示す被覆層2のウェルド部2bの深さHR2を意味する。なお、ウェルド部の「目立つ程度」は、基材層又は多層成形体の表面を目視により観察し、実施例1と同様の基準に基づいて評価した。表3に結果を示す。
【0064】
【表3】

【0065】
(実施例4)
キャビティ面の一方のゲートを用いて基材及び被覆層を形成し、多層成形体を作製した。被覆層の形成には表1に示す組成の混合物を使用した。また、被覆層の厚さが0.3mmとなるようにクリアランスの幅を調整するとともに、射出速度を800mm/秒に設定した。得られた多層成形体の機械物性の評価を行った。表4に結果を示す。Izod衝撃値は、ASTM D256に規定されるIzod衝撃試験方法により測定した。曲げ弾性率は、ASTM D790に規定される曲げ試験方法により測定した。引張伸度は、JIS K7127に規定される引張特性の試験方法により測定した。
【0066】
(比較例5)
被覆層形成用の熱可塑性樹脂材料として、表1に示す組成の混合物を使用する代わりに、結晶性ポリプロピレンを単独で使用したことの他は、実施例3と同様にして多層成形体の作製及びその評価を行った。表4に結果を示す。
【0067】
【表4】

【符号の説明】
【0068】
1…基材(基材層)、2…被覆層、10…多層成形体、20…上側取付板、21…キャビティ固定板(金型)、21a…キャビティ固定板の表面(キャビティ面)、28…ゲート部、28a…ゲート、30…下側取付板、31…コア固定板(金型)、31a…可動側型の表面(キャビティ面)、100,200…成形型、C…クリアランス、P1,P2…流動末端部、V…キャビティ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の熱可塑性樹脂材料からなる基材層と、この基材層上に設けられた第2の熱可塑性樹脂材料からなる被覆層とを有する多層成形体の製造方法であって、
一対の金型間に形成されるキャビティ内に前記基材層を配置する工程と、
前記基材層とこれに対向する前記金型のキャビティ面との間に形成される空間に溶融状態の前記第2の熱可塑性樹脂材料を射出速度500mm/秒以上で供給する工程と、を備え、
前記第2の熱可塑性樹脂材料がメルトフローレート5〜400g/10分のポリオレフィン系樹脂と、無機充填材とを含有し、前記被覆層の厚さが0.5mm以下である、多層成形体の製造方法。
【請求項2】
前記ポリオレフィン系樹脂は、結晶性ポリオレフィン系樹脂である、請求項1に記載の多層成形体の製造方法。
【請求項3】
前記第2の熱可塑性樹脂材料に含まれる前記無機充填材の量は、当該第2の熱可塑性樹脂材料100質量部に対して5〜50質量部である、請求項1又は2に記載の多層成形体の製造方法。
【請求項4】
溶融状態の前記第2の熱可塑性樹脂材料を前記キャビティ内に供給するゲートから当該ゲートを通じて供給される前記第2の熱可塑性樹脂材料の流動末端部までの距離が100mm以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多層成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−195039(P2010−195039A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18798(P2010−18798)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】