多波長半導体レーザ素子および多波長半導体レーザ装置
【課題】 消費電力が少なく、熱的機械的に安定な多波長半導体レーザ素子および多波長半導体レーザ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 基板の主面に形成され、特定波長の発振光を放射する第1半導体レーザ素子12と、第1半導体レーザ素子12と発振光の光軸が実質的に同一光軸をなすように光軸平行に近接して配置され、第1半導体レーザ素子12の共振器長L1より短い共振器長L2を具備し、特定波長と異なる波長の発振光を放射する第2半導体レーザ素子13と、第1および第2半導体レーザ素子12、13の活性層にそれぞれ電気的導通を取るための電極17、18、19と、第1半導体レーザ素子12の光軸と平行な側面および第2半導体レーザ素子13の光軸と垂直な端面にそれぞれ近接して配置され、上面に絶縁膜20が形成された凸部14と、を有する。
【解決手段】 基板の主面に形成され、特定波長の発振光を放射する第1半導体レーザ素子12と、第1半導体レーザ素子12と発振光の光軸が実質的に同一光軸をなすように光軸平行に近接して配置され、第1半導体レーザ素子12の共振器長L1より短い共振器長L2を具備し、特定波長と異なる波長の発振光を放射する第2半導体レーザ素子13と、第1および第2半導体レーザ素子12、13の活性層にそれぞれ電気的導通を取るための電極17、18、19と、第1半導体レーザ素子12の光軸と平行な側面および第2半導体レーザ素子13の光軸と垂直な端面にそれぞれ近接して配置され、上面に絶縁膜20が形成された凸部14と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多波長半導体レーザ素子および多波長半導体レーザ装置に係わり、特に消費電力を低減するのに好適な構造を備えた半導体レーザ素子および半導体レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DVD(digital versatile disk)の記録・再生装置にはCD(Compact disk)の再生あるいは記録機能も備えている。例えば、一台の光ディスク駆動装置でDVD媒体への記録・再生とCD媒体の再生の機能を実現するために、光ピックアップヘッド(Optical Pick Up Head;PUH)にはDVD記録再生用光源並びにCD再生用光源として、それぞれ発振波長が650nm帯の高出力赤色半導体レーザと780nm帯の低出力赤外半導体レーザが搭載される。
【0003】
しかし、個別の650nm帯の高出力半導体レーザ素子と780nm帯の低出力半導体レーザ素子の両方を搭載した光ピックアップヘッドでは、組み立て工程において650nm帯半導体レーザ素子の光軸と780nm帯半導体レーザ素子の光軸を個別に調整する必要があるため、組み立て工程が煩雑となり、精度良く組み立てることが困難であった。
【0004】
そのため、650nm帯の半導体レーザ素子と780nm帯の半導体レーザ素子を同一の基板に集積した多波長半導体レーザ素子を用いることにより、組立て調整の容易化が図られている。
【0005】
従来、複数の半導体レーザ素子が同一の基板にモノリシックに集積された多波長半導体レーザ素子が知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0006】
特許文献1に開示された多波長半導体レーザ素子は、ステップ状構造を有する傾斜基板上に、ステップ状構造の段差からの距離が相互に異なるように配置され、ステップ状構造の高領域の段差近傍に形成された複数のインデックスガイド構造の光導波路と、劈開により形成された互いに長さが等しい複数の共振器とを有している。
【0007】
ステップ状構造を有する基板上にInを含む多重量子井戸構造の活性層を成長させたとき、活性層中のIn濃度がステップ状構造の段差に近いほど高く、遠ざかるにつれて低くなることを利用してIn濃度に応じて発振波長を徐々に変化させている。
【0008】
然しながら、特許文献1に開示された共振器の長さが互いに等しい多波長半導体レーザ素子では、高出力が必要な650nm帯の半導体レーザ素子と低出力で十分な780nm帯の半導体レーザ素子を同一の基板にモノリシックに集積する場合に、低出力で十分な780nm帯の半導体レーザ素子の共振器長が最適値よりも長くなり過ぎるので、閾値電流が高くなり消費電力が無駄になるという問題がある。
【0009】
これに対して、互いに長さの異なる共振器を有する複数の半導体レーザ素子が、同一基板にモノリシックに集積された多波長半導体レーザ素子が知られている(例えば特許文献2参照。)。
【0010】
特許文献2に開示された多波長半導体レーザ素子は、同一の活性層を用いて横方向にアレイ状に形成された複数のインデックスガイド構造の光導波路と、複数のバンドギャップに相当する波長光を発振するようにRIE(Reactive Ion Etching)法により形成された互いに長さが異なる複数の共振器長とを有している。
【0011】
半導体レーザの活性層の利得スペクトルは注入電流レベルに対して著しく変化するため、共振器の長さを変えてしきい利得を変化させることにより数十〜百数十nm程度発振波長を変化させている。
【0012】
然しながら、特許文献2に開示された共振器の長さが互いに異なる多波長半導体レーザ素子では、半導体レーザ素子として動作させない光導波路を全て除去している。
【0013】
従って、多波長半導体レーザ素子の光導波路側をサブマウントに載置、所謂ジャンクションダウンマウントする場合に、共振器の長さにより半導体レーザ素子がサブマウントに当接する面積が異なるので、各半導体レーザ素子にかかる応力が不均一になる問題がある。
【0014】
特に、共振器長の短い780nm帯の半導体レーザ素子に過大な応力が掛かり、特性が劣化する恐れがある。
【特許文献1】特開2004−87564(6−7頁、図1)
【特許文献2】特開平4−245494(5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、消費電力が少なく、熱的機械的に安定な多波長半導体レーザ素子および多波長半導体レーザ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様の多波長半導体レーザ素子では、基板の主面に形成され、特定波長の発振光を放射する第1半導体レーザ素子と、前記第1半導体レーザ素子と発振光の光軸が実質的に同一光軸をなすように光軸平行に近接して配置され、前記第1半導体レーザ素子の共振器より長さが短い共振器を具備し、前記特定波長と異なる波長の発振光を放射する第2半導体レーザ素子と、前記第1および第2半導体レーザ素子の活性層にそれぞれ電気的導通を取るための電極と、前記第1半導体レーザ素子の光軸と平行な側面および前記第2半導体レーザ素子の光軸と垂直な端面にそれぞれ近接して配置され、上面に絶縁膜が形成された凸部と、を有することを特徴としている。
【0017】
また、本発明の一態様の多波長半導体レーザ装置では、基板の主面に形成され、特定波長の発振光を放射する第1半導体レーザ素子と、前記第1半導体レーザ素子と発振光の光軸が実質的に同一光軸をなすように光軸平行に近接して配置され、前記第1半導体レーザ素子の共振器より長さが短い共振器を具備し、前記特定波長と異なる波長の発振光を放射する第2半導体レーザ素子と、前記第1および第2半導体レーザ素子の活性層にそれぞれ電気的導通を取るための電極と、前記第1半導体レーザ素子の光軸と平行な側面および前記第2半導体レーザ素子の光軸と垂直な端面にそれぞれ近接して配置され、上面に絶縁膜が形成された凸部と、を有する多波長半導体レーザ素子と、前記多波長半導体レーザの前記第1、第2半導体レーザおよび前記凸部の主面上に載置されたサブマウントと、前記電極と電気的接続されたリードピンと、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、消費電力が少なく、熱的機械的に安定な多波長半導体レーザ素子および多波長半導体レーザ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明の実施例1に係る多波長半導体レーザ素子を示す斜視図、図2は多波長半導体レーザ素子の構造を示す図で、図2(a)はその平面図、図2(b)は図2(a)のA−A線で切断し、矢印方向に眺めた断面図、図3乃至図5は多波長半導体レーザ素子の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0021】
図1に示すように、多波長半導体レーザ素子10は、n−GaAs基板11の主面に形成された発振波長が650nm帯の可視半導体レーザ素子12と、780nm帯の赤外半導体レーザ素子13と、赤外半導体レーザ素子13と同じ層構造を有するが、レーザ素子として利用しないダミー赤外半導体レーザ素子からなる凸部14とを有している。
【0022】
可視半導体レーザ素子12と赤外半導体レーザ素子13は発振光の光軸が実質的に同一光軸をなすように光軸平行に近接して配置され、分離溝15により素子分離されている。
【0023】
凸部14は可視半導体レーザ素子12の光軸と平行な側面および赤外半導体レーザ素子13の光軸と垂直な端面にそれぞれ近接して配置され、可視半導体レーザ素子12と分離溝15により素子分離され、赤外半導体レーザ素子13と分離溝16により素子分離されている。
【0024】
可視半導体レーザ素子12の共振器長L1は所定の高出力光が得られる長さに、また赤外半導体レーザ素子13の共振器L2は所定の低出力光が得られる範囲内で閾値電流が小さくなる長さに、それぞれ独立に設定されている。
【0025】
可視半導体レーザ素子12および赤外半導体レーザ素子13の活性層に電気的導通を取るために、n−GaAs基板11の裏面にはn側電極17が形成され、可視半導体レーザ素子12および赤外半導体レーザ素子13の上面にはp側電極18、19がそれぞれ形成されている。
【0026】
凸部14を構成する赤外半導体レーザ素子の活性層への電気的導通を防止するために、凸部14の上面には絶縁膜20、例えばシリコン酸化膜が形成されている。これにより、赤外半導体レーザ素子として機能しないダミー赤外半導体レーザ素子が構成される。
【0027】
図2に示すように、可視半導体レーザ素子12は、n−GaAs基板11上にn−GaAsバッファ層61と、例えばAlの組成が0.7のn−In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pクラッド層(以下、InGaAlPクラッド層と記す)42と、例えばAlの組成が0.6のn−In0.5(Ga0.4Al0.6)0.5P光ガイド層(以下、InGaAlP光ガイド層と記す)43と、例えばIn0.5Ga0.5P/In0.5(Ga0.5Al0.5)P0.5のMQW(Multi-Quantum Well)活性層44と、p−InGaAlP光ガイド層45と、第1p−InGaAlPクラッド層46とが形成されている。
【0028】
更に、第1p−InGaAlPクラッド層46上に、p−In0.5Ga0.5Pエッチングストップ層(以下、InGaPエッチングストップ層と記す)50と、第2p−InGaAlPクラッド層51と、p−InGaP通電容易層52とを具備するストライプ状のリッジ導波路53が形成されている。
【0029】
リッジ導波路53の上面以外の部分にn−InAlP電流ブロック層76が形成され、リッジ導波路53はn−InAlP電流ブロック層76を介してp−GaAsコンタクト層78で埋め込まれて平坦な表面が形成されている。p−GaAsコンタクト層78上にはp側電極18が形成されている。
【0030】
同様にして、赤外半導体レーザ素子13は、n−GaAs基板11上にn−GaAsバッファ層61と、n−InGaAlPクラッド層62と、例えばAlの組成が0.2のGa0.8Al0.2As(以下、GaAlAs活性層と記す)64と、第1p−InGaAlPクラッド層66とが形成されている。
【0031】
更に、第1p−InGaAlPクラッド層66上に、p−InGaPエッチングストップ層70と、第2p−InGaAlPクラッド層71と、p−InGaP通電容易層72とを具備するストライプ状のリッジ導波路73が形成されている。
【0032】
リッジ導波路73の上面以外の部分にn−InAlP電流ブロック層67が形成され、リッジ導波路73はn−InAlP電流ブロック層76を介してp−GaAsコンタクト層78で埋め込まれて平坦な表面が形成されている。p−GaAsコンタクト層78上にはp側電極19が形成されている。
【0033】
これにより、赤外半導体レーザ素子13の共振器長L2が可視光半導体レーザ素子12の共振器長L1とは独立に最適値に設定できるので、閾値電流が低減し無駄な消費電力を削減することが可能である。
【0034】
凸部14は、赤外半導体レーザ13と同様に、n−GaAs基板11上にn−GaAsバッファ層61と、InGaAlPクラッド層62と、GaAlAs活性層64と、第1p−InGaAlPクラッド層66と、p−InGaPエッチングストップ層70、第2p−InGaAlPクラッド層71およびp−InGaP通電容易層72を具備するストライプ状のリッジ導波路73と、n−InAlP電流ブロック層76と、p−GaAsコンタクト層78とを有し、p−GaAsコンタクト層78上面に絶縁膜20が形成されている。これにより、GaAlAs活性層64には、通電されず、ダミー赤外半導体レーザとして機能する。
【0035】
次に、多波長半導体レーザ素子10の可視半導体レーザ素子12および赤外半導体レーザ素子13の具体的な製造方法について詳しく説明する。
【0036】
始めに、赤外半導体レーザ素子13のレーザ構造が形成される。
図3(a)に示すように、n−GaAs基板11上に、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法によりn−GaAsバッファ層61と、n−InGaAlPクラッド層62と、GaAlAs活性層64と、第1p−InGaAlPクラッド層66と、p−InGaPエッチングストップ層70と、第2p−InGaAlPクラッド層71と、p−InGaP通電容易層72と、n−GaAsキャップ層74までをこの順に全面的にエピタキシャル成長させる。
【0037】
次に、図3(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術により、n−GaAsバッファ層61を残して、n−GaAsキャップ層74からn−InGaAlPクラッド層62の一部を選択的に除去する。
【0038】
次に、図3(c)に示すように、可視半導体レーザ素子12のレーザ構造を形成する。例えばMOCVD法により、n−InGaAlPクラッド層42からn−GaAsキャップ層54までを順次、エピタキシャル成長させる。なお、可視半導体レーザ構造において、本実施例では活性層としてMQW構造を用いており、さらにそのMQWを挟むように、n−InGaAlP光ガイド層43とp−InGaAlP光ガイド層45を形成している。MQW活性層を用いることにより、バルク活性層よりも高い光出力が得られる。
【0039】
次に、図3(d)に示すように、赤外半導体レーザ構造の上に積層した可視半導体レーザ構造を除去する。即ち、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、n−GaAsキャップ層54からn−InGaAlPクラッド層42の一部を除去する。
【0040】
次に、図4(a)に示すように、赤外半導体レーザ構造、可視半導体レーザ構造の上にストライプ状のSiO2マスク75を形成する。SiO2マスク75の間隔L3が発光点間隔となり、その距離は例えば110μmである。その上でウェットエッチング法を用いてn−GaAsキャップ層54、74、p−InGaP通電容易層52、72、第2p−InGaAlPクラッド層51、71をエッチングにより除去する。なおこのエッチングは、p−InGaPエッチングストップ層50および70に達したときに止まる。
【0041】
次に、図4(b)に示すように、例えばMOCVD法によりn−InAlP電流ブロック層76とn−GaAsキャップ層77を選択的にエピタキシャル成長させる。
【0042】
次に、図4(c)に示すように、可視および赤外半導体レーザ素子上部のSiO2マスク75とn−GaAsキャップ層54、74、77をエッチングにより除去する。その後、例えばMOCVD法により、p−GaAsコンタクト層78をエピタキシャル成長させる。
【0043】
次に、図4(d)に示すように、分離溝15を形成することで、赤外半導体レーザ素子と可視半導体レーザ素子とを互いに分離する。具体的には、RIE(Reactive Ion Etching)法により、選択的にエッチングする。
【0044】
次に、赤外半導体レーザ素子の共振器長を定める。先ず図5(a)に示すように、p−GaAsコンタクト層78の上に、フォトリソグラフィ法を用いて赤外半導体レーザ素子13の共振器長L2が得られる位置に、例えば共振器方向に幅1μm以上、5μm程度の開口部84を持つようなレジスト膜83を形成する。
【0045】
次に、図5(b)に示すように、p−GaAsコンタクト層78からn−GaAs基板11の一部分までをRIE法により基板に対してほぼ垂直な分離溝16を形成する。
【0046】
これにより、赤外半導体レーザ素子13の共振器の後端面85が形成され、凸部14が赤外半導体レーザ素子13から分離形成される。
【0047】
最後に、図5(c)に示すように、p−GaAsコンタクト層78の上面にp側電極19と、可視半導体レーザ素子のp側電極18(図示せず)と、凸部14の上面に絶縁膜20とを形成する。
【0048】
次に、n−GaAs基板11を研磨により薄くした後、n側電極17を形成する。この後熱処理を施すことで、p側電極18、19の合金化を行う。
【0049】
このように作製されたウエハを、ストライプに対して垂直な面でバー状に劈開し、バーをチップごとに分離することで、図2に示す多波長半導体レーザ素子10が完成する。
【0050】
本実施例では、赤外半導体レーザ素子13と凸部14との間にある分離溝16は、可視半導体レーザ素子12と赤外半導体レーザ素子13との間に形成した分離溝15を形成した後に形成している。勿論、分離溝16は、分離溝15と同時に形成しても何ら差し支えない。
【0051】
実験によれば、可視半導体レーザ素子12と赤外半導体レーザ素子13との発光点の間隔が、例えば110μm、共振器長L1、L2がともに1500μmの場合に、赤外半導体レーザ素子13の光出力を7mWで駆動させると、その消費電力は約140mWである。また、単体の赤外半導体レーザ素子において共振器長が400μmの場合は、同一光出力を得るための消費電力は約70mWである。このことから、共振器長が短い方が消費電力の低減に対して有利である。
【0052】
図6は、図1に示す多波長半導体レーザ素子10を用いた多波長半導体レーザ装置の構成を示す図で、図6(a)は外囲器の一部が切欠された斜視図、図6(b)は多波長半導体レーザ素子10がジャンクションダウンマウントされた状態を示す斜視図である。
【0053】
図6(a)に示すように、本実施例の多波長半導体レーザ装置100は、4本のリ−ドピン101が電気的絶縁されて植設された金属製のステム102に多波長半導体レーザ素子10及びレーザ光をモニタするためのモニタフォトダイオード103が固定されている。
【0054】
多波長半導体レーザ素子10は絶縁性サブマウント104にマウントされ、ステム102の対向側にレーザ光を取り出すようにステム102と垂直に固定されている。
【0055】
また、モニタフォトダイオード103は、多波長半導体レーザ素子10の下方においてステム102に固定されている。
【0056】
これら多波長半導体レーザ素子10及びモニタフォトダイオード103は、ワイヤ等によりリードピン101と電気的接続されている。
【0057】
また、金属製のキャップ105が多波長半導体レーザ素子10、モニタフォトダイオード103を内包してステム102に封着されている。
【0058】
このキャップ105の頂部には、レーザ光を取り出すためのウィンドウガラス106が設けられ、多波長半導体レーザ素子10からの可視レーザ光107および赤外レーザ光108は、多波長半導体レーザ素子10の一方の端面からウィンドウガラス106を通して外囲器の外部に向けて放射され、他方の端面からのレーザ光は、発光を制御するためのモニタフォトダイオード103に入射する。
【0059】
図6(b)に示すように、多波長半導体レーザ素子10は、p側電極18、19が、例えば金錫共晶ハンダにより絶縁性サブマウント104に固着され、ジャンクションダウンマウントされている。
【0060】
ここで、凸部14は絶縁性サブマウント104に固着せずとも当接するので、可視半導体レーザ素子12と赤外半導体レーザ素子13にかかる応力を均等化することが可能である。
【0061】
以上説明したように、本実施例によれば、赤外半導体レーザ素子13の共振器長L2が可視光半導体レーザ素子12の共振器長L1とは独立に最適値に設定できるので、赤外半導体レーザ素子13の閾値電流が低減し無駄な消費電力を削減することができる。
【0062】
更に、多波長半導体レーザ素子10をジャンクションダウンマウントした場合に、凸部14により可視光半導体レーザ素子12および赤外半導体レーザ素子13にかかる応力を均一化することができる。
【0063】
これにより、消費電力が少なく、熱的機械的に安定した多波長半導体レーザ素子および多波長半導体レーザ装置を提供することができる。
【0064】
ここでは、凸部14の上面に絶縁膜20を形成した場合について説明したが、更に絶縁膜20上に、p側電極18、19と同じ材料の金属膜を形成しておけば、電気的絶縁性を保ったまま凸部14も同時に共晶ハンダにより絶縁性サブマウント104に固着されるので、可視半導体レーザ素子12と赤外半導体レーザ素子13にかかる応力をより均等化することが可能である。
【0065】
また、赤外半導体レーザ素子13を形成した後、可視半導体レーザ素子12を形成した場合について説明したが、逆に可視半導体レーザ素子12を形成した後、赤外半導体レーザ素子13を形成しても構わない。
【0066】
更に、多波長半導体レーザ素子10が気密性のある所謂キャンパッケージに収納された場合について説明したが、気密性の無いパッケージ、例えばリードフレーム型パッケージに収納しても構わない。その場合に、モニタフォトダイオード103は内包しなくてもよい。
【実施例2】
【0067】
図7乃至図9は、本発明の実施例2に係る多波長半導体レーザ素子の構造を示す図である。本実施例において、上記実施例1と同一の構成部分には同一符号を付してその部分の説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0068】
本実施例が実施例1と異なる点は、赤外半導体レーザ素子13の共振器の後端面85に対向する凸部14の端面が傾斜していることにある。
【0069】
即ち、図7に示すように、多波長半導体レーザ素子120は、後端面85と対向し、赤外半導体レーザ素子13の光軸に対して水平な方向で外側面へ広がるように傾斜した端面121を有している。
【0070】
傾斜した端面121は、図5に示すレジスト膜83をフォトリソグラフィ法により赤外半導体レーザ素子13の外側面へ広がるパターン開口部84を形成した後、RIE法によりn−GaAs基板11に対して垂直な分離溝122を形成することにより得られる。
【0071】
これにより、赤外半導体レーザ素子13の共振器の後端面85から出射された赤外レーザ光aは傾斜した端面121で光軸に対して斜め方向に反射されるので、赤外半導体レーザ素子13への戻り光が防止される。
【0072】
従って、戻り光の干渉により赤外半導体レーザ素子13の縦モードがモードホッピングを起こし、赤外レーザ光の出力が揺らぐノイズを抑制することが可能である。
【0073】
端面121の傾斜角度は赤外レーザ光の出力が揺らぐノイズが抑制できる範囲内であれば特に限定されないが、0度より大きく45度以下程度が好ましい。
【0074】
以上説明したように、実施例2係る半導体レーザ素子120では、上記実施例1と同様の効果以外に、赤外半導体レーザ素子13の共振器の後端面85と対向する凸部14の端面121を傾斜面にしたので、赤外半導体レーザ素子13への戻り光が防止される。従って、戻り光の干渉による赤外レーザ光のノイズを抑制できる利点がある。
【0075】
ここでは、赤外半導体レーザ素子13の光軸に対して水平な方向で外側面へ広がるように傾斜させた場合について説明したが、図8に示すように、赤外半導体レーザ素子13の光軸に対して水平な方向で内側面、即ち可視半導体レーザ素子12側へ広がるように傾斜させても良い。
【0076】
また、図9に示すように、赤外半導体レーザ素子13の光軸に対して垂直な方向で上面側へ広がるように傾斜させても構わない。上面側へ広がるように傾斜させるには、例えば図5(b)に示す基板に垂直な分離溝16を形成した後、分離溝15、16を埋めるように全面にレジスト膜を形成し、上面側へ広がるように傾斜した端面141を形成する領域にレジスト開口部を形成する。次に、順メサになるようにメサエッチングを行うことにより形成することができる。
【実施例3】
【0077】
図10は、本発明の実施例3係る多波長半導体レーザ装置の構造を示す図で、図10(a)は外囲器の一部が切欠された斜視図、図10(b)は多波長半導体レーザ素子がジャンクションダウンマウントされた状態を示す斜視図である。
【0078】
本実施例において、上記実施例1と同一の構成部分には同一符号を付してその部分の説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0079】
本実施例が実施例1と異なる点は、多波長半導体レーザ装置が記録媒体に記録された情報を読み出す機能を一体に備えたことにある。
【0080】
即ち、図10に示すように、本実施例の多波長半導体レーザ装置200は、多波長半導体レーザ素子10の前方の送信方向光軸上に配置された波長選択性を有する光路分岐手段201と、光路分岐手段201を透過し、光路分岐手段201の前方の送信方向光軸上に設けられた反射板(図示せず)で反射された光が、光路分岐手段に入射して分岐された光信号を検出する受光素子202とを有することにある。
【0081】
光路分岐手段201は、例えばガラスなどの表面に細かい溝を多数刻んだ回折格子で、ホログラムとも呼ばれている。回折格子の境界面を通過したレーザ光は、回折作用によりそのまま直進する0次回折光、左右に曲げられる±1次回折光などの複数のビームに分離される。
【0082】
受光素子202は、例えば可視から近赤外領域まで受光感度を有するシリコンフォトダイオードで、絶縁性サブマウント104を載置する台座部203の送信方向側面にマウントされて反射板(図示せず)で反射されて戻ってきたレーザ光107あるいはレーザ光108を受光する。台座部203はヒートシンクとしても機能している。
【0083】
図11は、多波長半導体レーザ装置200の動作原理を示す図である。図11(a)に示すように、多波長半導体レーザ素子10から出たレーザ光107または108は光路分岐手段201をまっすぐに透過して(0次回折光)、レンズ204により平行光になり、レンズ205により集光されて記録媒体206面に達する。
【0084】
次に、図11(b)に示すように、記録媒体206面に達したレーザ光107または108は記録媒体206面で反射され、記録媒体206の反射率の差による記録情報を有する信号として同じ光路を通って戻ってくる。
【0085】
戻ってきたレーザ光107または108は、光路分岐手段201によって曲げられて(1次回折光)、受光素子202に達し、電気信号に変換されて外部に取り出される。
【0086】
DVD記録媒体に記録された情報を読み出す場合に可視半導体レーザ素子12が、CD記録媒体に記録された情報を読み出す場合に赤外半導体レーザ素子13がそれぞれ駆動され、受光素子202により記録された情報がそれぞれ読み出される。
【0087】
以上説明したように、本実施例によれば、上記実施例1と同様の効果以外に記録媒体206に記録された情報を読み出す機能を一体に備えた多波長半導体レーザ装置200の消費電力を低減できる利点がある。従って、無駄な発熱により精密光学部品である回折格子の特性に影響を及ぼす恐れが無い。
【0088】
上述した実施例においては、多波長半導体レーザ素子10が可視半導体レーザ素子12と赤外半導体レーザ素子13の2の波長の異なる半導体レーザ素子を有する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、3以上の半導体レーザ素子を有する多波長半導体レーザに適用しても構わない。
【0089】
更に、凸部14が赤外半導体レーザ素子13として機能させないダミー赤外半導体レーザ素子構造である場合について説明したが、このダミー赤外半導体レーザ素子構造を除去した領域に絶縁性樹脂、例えばポリイミド樹脂やシリコン樹脂などをp側電極18と同一平面になるように充填したものであっても構わない。これによれば、凸部14の電気的絶縁性が向上する利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施例1に係る多波長半導体レーザ素子を示す斜視図。
【図2】本発明の実施例1に係る多波長半導体レーザ素子の構造を示す図で、図2(a)はその平面図、図2(b)は図2(a)のA−A線に沿って切断し矢印方向に眺めた断面図。
【図3】本発明の実施例1に係る多波長半導体レーザ素子の製造方法を工程順に示す断面図。
【図4】本発明の実施例1に係る多波長半導体レーザ素子の製造方法を工程順に示す断面図。
【図5】本発明の実施例1に係る多波長半導体レーザ素子の製造方法を工程順に示す断面図。
【図6】本発明の実施例1に係る多波長半導体レーザ装置の構成を示す図で、図6(a)は外囲器の一部が切欠された斜視図、図7(b)は多波長半導体レーザ素子がジャンクションダウンマウントされた状態を示す斜視図。
【図7】本発明の実施例2に係る多波長半導体レーザ素子の構造を示す図で、図7(a)はその斜視図、図7(b)はその平面図。
【図8】本発明の実施例2に係る多波長半導体レーザ素子の構造を示す図で、図8(a)はその斜視図、図8(b)はその平面図。
【図9】本発明の実施例2に係る多波長半導体レーザ素子の構造を示す図で、図9(a)はその斜視図、図9(b)はその平面図。
【図10】本発明の実施例3に係る多波長半導体レーザ装置の構成を示す図で、図10(a)は外囲器の一部が切欠された斜視図、図10(b)は受光素子が台座部にマウントされた部分を示す斜視図。
【図11】本発明の実施例3に係る多波長半導体レーザ装置の動作原理を示す図。
【符号の説明】
【0091】
10、120、130、140 多波長半導体レーザ素子
11 n−GaAs基板
12 可視半導体レーザ素子
13 赤外半導体レーザ素子
14 凸部
15、16、122、132、142 分離溝
17 n側電極
18、19 p側電極
20 絶縁膜
L1、L2 共振器長
L3 発光点間隔
【技術分野】
【0001】
本発明は、多波長半導体レーザ素子および多波長半導体レーザ装置に係わり、特に消費電力を低減するのに好適な構造を備えた半導体レーザ素子および半導体レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DVD(digital versatile disk)の記録・再生装置にはCD(Compact disk)の再生あるいは記録機能も備えている。例えば、一台の光ディスク駆動装置でDVD媒体への記録・再生とCD媒体の再生の機能を実現するために、光ピックアップヘッド(Optical Pick Up Head;PUH)にはDVD記録再生用光源並びにCD再生用光源として、それぞれ発振波長が650nm帯の高出力赤色半導体レーザと780nm帯の低出力赤外半導体レーザが搭載される。
【0003】
しかし、個別の650nm帯の高出力半導体レーザ素子と780nm帯の低出力半導体レーザ素子の両方を搭載した光ピックアップヘッドでは、組み立て工程において650nm帯半導体レーザ素子の光軸と780nm帯半導体レーザ素子の光軸を個別に調整する必要があるため、組み立て工程が煩雑となり、精度良く組み立てることが困難であった。
【0004】
そのため、650nm帯の半導体レーザ素子と780nm帯の半導体レーザ素子を同一の基板に集積した多波長半導体レーザ素子を用いることにより、組立て調整の容易化が図られている。
【0005】
従来、複数の半導体レーザ素子が同一の基板にモノリシックに集積された多波長半導体レーザ素子が知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0006】
特許文献1に開示された多波長半導体レーザ素子は、ステップ状構造を有する傾斜基板上に、ステップ状構造の段差からの距離が相互に異なるように配置され、ステップ状構造の高領域の段差近傍に形成された複数のインデックスガイド構造の光導波路と、劈開により形成された互いに長さが等しい複数の共振器とを有している。
【0007】
ステップ状構造を有する基板上にInを含む多重量子井戸構造の活性層を成長させたとき、活性層中のIn濃度がステップ状構造の段差に近いほど高く、遠ざかるにつれて低くなることを利用してIn濃度に応じて発振波長を徐々に変化させている。
【0008】
然しながら、特許文献1に開示された共振器の長さが互いに等しい多波長半導体レーザ素子では、高出力が必要な650nm帯の半導体レーザ素子と低出力で十分な780nm帯の半導体レーザ素子を同一の基板にモノリシックに集積する場合に、低出力で十分な780nm帯の半導体レーザ素子の共振器長が最適値よりも長くなり過ぎるので、閾値電流が高くなり消費電力が無駄になるという問題がある。
【0009】
これに対して、互いに長さの異なる共振器を有する複数の半導体レーザ素子が、同一基板にモノリシックに集積された多波長半導体レーザ素子が知られている(例えば特許文献2参照。)。
【0010】
特許文献2に開示された多波長半導体レーザ素子は、同一の活性層を用いて横方向にアレイ状に形成された複数のインデックスガイド構造の光導波路と、複数のバンドギャップに相当する波長光を発振するようにRIE(Reactive Ion Etching)法により形成された互いに長さが異なる複数の共振器長とを有している。
【0011】
半導体レーザの活性層の利得スペクトルは注入電流レベルに対して著しく変化するため、共振器の長さを変えてしきい利得を変化させることにより数十〜百数十nm程度発振波長を変化させている。
【0012】
然しながら、特許文献2に開示された共振器の長さが互いに異なる多波長半導体レーザ素子では、半導体レーザ素子として動作させない光導波路を全て除去している。
【0013】
従って、多波長半導体レーザ素子の光導波路側をサブマウントに載置、所謂ジャンクションダウンマウントする場合に、共振器の長さにより半導体レーザ素子がサブマウントに当接する面積が異なるので、各半導体レーザ素子にかかる応力が不均一になる問題がある。
【0014】
特に、共振器長の短い780nm帯の半導体レーザ素子に過大な応力が掛かり、特性が劣化する恐れがある。
【特許文献1】特開2004−87564(6−7頁、図1)
【特許文献2】特開平4−245494(5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、消費電力が少なく、熱的機械的に安定な多波長半導体レーザ素子および多波長半導体レーザ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様の多波長半導体レーザ素子では、基板の主面に形成され、特定波長の発振光を放射する第1半導体レーザ素子と、前記第1半導体レーザ素子と発振光の光軸が実質的に同一光軸をなすように光軸平行に近接して配置され、前記第1半導体レーザ素子の共振器より長さが短い共振器を具備し、前記特定波長と異なる波長の発振光を放射する第2半導体レーザ素子と、前記第1および第2半導体レーザ素子の活性層にそれぞれ電気的導通を取るための電極と、前記第1半導体レーザ素子の光軸と平行な側面および前記第2半導体レーザ素子の光軸と垂直な端面にそれぞれ近接して配置され、上面に絶縁膜が形成された凸部と、を有することを特徴としている。
【0017】
また、本発明の一態様の多波長半導体レーザ装置では、基板の主面に形成され、特定波長の発振光を放射する第1半導体レーザ素子と、前記第1半導体レーザ素子と発振光の光軸が実質的に同一光軸をなすように光軸平行に近接して配置され、前記第1半導体レーザ素子の共振器より長さが短い共振器を具備し、前記特定波長と異なる波長の発振光を放射する第2半導体レーザ素子と、前記第1および第2半導体レーザ素子の活性層にそれぞれ電気的導通を取るための電極と、前記第1半導体レーザ素子の光軸と平行な側面および前記第2半導体レーザ素子の光軸と垂直な端面にそれぞれ近接して配置され、上面に絶縁膜が形成された凸部と、を有する多波長半導体レーザ素子と、前記多波長半導体レーザの前記第1、第2半導体レーザおよび前記凸部の主面上に載置されたサブマウントと、前記電極と電気的接続されたリードピンと、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、消費電力が少なく、熱的機械的に安定な多波長半導体レーザ素子および多波長半導体レーザ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明の実施例1に係る多波長半導体レーザ素子を示す斜視図、図2は多波長半導体レーザ素子の構造を示す図で、図2(a)はその平面図、図2(b)は図2(a)のA−A線で切断し、矢印方向に眺めた断面図、図3乃至図5は多波長半導体レーザ素子の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0021】
図1に示すように、多波長半導体レーザ素子10は、n−GaAs基板11の主面に形成された発振波長が650nm帯の可視半導体レーザ素子12と、780nm帯の赤外半導体レーザ素子13と、赤外半導体レーザ素子13と同じ層構造を有するが、レーザ素子として利用しないダミー赤外半導体レーザ素子からなる凸部14とを有している。
【0022】
可視半導体レーザ素子12と赤外半導体レーザ素子13は発振光の光軸が実質的に同一光軸をなすように光軸平行に近接して配置され、分離溝15により素子分離されている。
【0023】
凸部14は可視半導体レーザ素子12の光軸と平行な側面および赤外半導体レーザ素子13の光軸と垂直な端面にそれぞれ近接して配置され、可視半導体レーザ素子12と分離溝15により素子分離され、赤外半導体レーザ素子13と分離溝16により素子分離されている。
【0024】
可視半導体レーザ素子12の共振器長L1は所定の高出力光が得られる長さに、また赤外半導体レーザ素子13の共振器L2は所定の低出力光が得られる範囲内で閾値電流が小さくなる長さに、それぞれ独立に設定されている。
【0025】
可視半導体レーザ素子12および赤外半導体レーザ素子13の活性層に電気的導通を取るために、n−GaAs基板11の裏面にはn側電極17が形成され、可視半導体レーザ素子12および赤外半導体レーザ素子13の上面にはp側電極18、19がそれぞれ形成されている。
【0026】
凸部14を構成する赤外半導体レーザ素子の活性層への電気的導通を防止するために、凸部14の上面には絶縁膜20、例えばシリコン酸化膜が形成されている。これにより、赤外半導体レーザ素子として機能しないダミー赤外半導体レーザ素子が構成される。
【0027】
図2に示すように、可視半導体レーザ素子12は、n−GaAs基板11上にn−GaAsバッファ層61と、例えばAlの組成が0.7のn−In0.5(Ga0.3Al0.7)0.5Pクラッド層(以下、InGaAlPクラッド層と記す)42と、例えばAlの組成が0.6のn−In0.5(Ga0.4Al0.6)0.5P光ガイド層(以下、InGaAlP光ガイド層と記す)43と、例えばIn0.5Ga0.5P/In0.5(Ga0.5Al0.5)P0.5のMQW(Multi-Quantum Well)活性層44と、p−InGaAlP光ガイド層45と、第1p−InGaAlPクラッド層46とが形成されている。
【0028】
更に、第1p−InGaAlPクラッド層46上に、p−In0.5Ga0.5Pエッチングストップ層(以下、InGaPエッチングストップ層と記す)50と、第2p−InGaAlPクラッド層51と、p−InGaP通電容易層52とを具備するストライプ状のリッジ導波路53が形成されている。
【0029】
リッジ導波路53の上面以外の部分にn−InAlP電流ブロック層76が形成され、リッジ導波路53はn−InAlP電流ブロック層76を介してp−GaAsコンタクト層78で埋め込まれて平坦な表面が形成されている。p−GaAsコンタクト層78上にはp側電極18が形成されている。
【0030】
同様にして、赤外半導体レーザ素子13は、n−GaAs基板11上にn−GaAsバッファ層61と、n−InGaAlPクラッド層62と、例えばAlの組成が0.2のGa0.8Al0.2As(以下、GaAlAs活性層と記す)64と、第1p−InGaAlPクラッド層66とが形成されている。
【0031】
更に、第1p−InGaAlPクラッド層66上に、p−InGaPエッチングストップ層70と、第2p−InGaAlPクラッド層71と、p−InGaP通電容易層72とを具備するストライプ状のリッジ導波路73が形成されている。
【0032】
リッジ導波路73の上面以外の部分にn−InAlP電流ブロック層67が形成され、リッジ導波路73はn−InAlP電流ブロック層76を介してp−GaAsコンタクト層78で埋め込まれて平坦な表面が形成されている。p−GaAsコンタクト層78上にはp側電極19が形成されている。
【0033】
これにより、赤外半導体レーザ素子13の共振器長L2が可視光半導体レーザ素子12の共振器長L1とは独立に最適値に設定できるので、閾値電流が低減し無駄な消費電力を削減することが可能である。
【0034】
凸部14は、赤外半導体レーザ13と同様に、n−GaAs基板11上にn−GaAsバッファ層61と、InGaAlPクラッド層62と、GaAlAs活性層64と、第1p−InGaAlPクラッド層66と、p−InGaPエッチングストップ層70、第2p−InGaAlPクラッド層71およびp−InGaP通電容易層72を具備するストライプ状のリッジ導波路73と、n−InAlP電流ブロック層76と、p−GaAsコンタクト層78とを有し、p−GaAsコンタクト層78上面に絶縁膜20が形成されている。これにより、GaAlAs活性層64には、通電されず、ダミー赤外半導体レーザとして機能する。
【0035】
次に、多波長半導体レーザ素子10の可視半導体レーザ素子12および赤外半導体レーザ素子13の具体的な製造方法について詳しく説明する。
【0036】
始めに、赤外半導体レーザ素子13のレーザ構造が形成される。
図3(a)に示すように、n−GaAs基板11上に、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法によりn−GaAsバッファ層61と、n−InGaAlPクラッド層62と、GaAlAs活性層64と、第1p−InGaAlPクラッド層66と、p−InGaPエッチングストップ層70と、第2p−InGaAlPクラッド層71と、p−InGaP通電容易層72と、n−GaAsキャップ層74までをこの順に全面的にエピタキシャル成長させる。
【0037】
次に、図3(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術により、n−GaAsバッファ層61を残して、n−GaAsキャップ層74からn−InGaAlPクラッド層62の一部を選択的に除去する。
【0038】
次に、図3(c)に示すように、可視半導体レーザ素子12のレーザ構造を形成する。例えばMOCVD法により、n−InGaAlPクラッド層42からn−GaAsキャップ層54までを順次、エピタキシャル成長させる。なお、可視半導体レーザ構造において、本実施例では活性層としてMQW構造を用いており、さらにそのMQWを挟むように、n−InGaAlP光ガイド層43とp−InGaAlP光ガイド層45を形成している。MQW活性層を用いることにより、バルク活性層よりも高い光出力が得られる。
【0039】
次に、図3(d)に示すように、赤外半導体レーザ構造の上に積層した可視半導体レーザ構造を除去する。即ち、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、n−GaAsキャップ層54からn−InGaAlPクラッド層42の一部を除去する。
【0040】
次に、図4(a)に示すように、赤外半導体レーザ構造、可視半導体レーザ構造の上にストライプ状のSiO2マスク75を形成する。SiO2マスク75の間隔L3が発光点間隔となり、その距離は例えば110μmである。その上でウェットエッチング法を用いてn−GaAsキャップ層54、74、p−InGaP通電容易層52、72、第2p−InGaAlPクラッド層51、71をエッチングにより除去する。なおこのエッチングは、p−InGaPエッチングストップ層50および70に達したときに止まる。
【0041】
次に、図4(b)に示すように、例えばMOCVD法によりn−InAlP電流ブロック層76とn−GaAsキャップ層77を選択的にエピタキシャル成長させる。
【0042】
次に、図4(c)に示すように、可視および赤外半導体レーザ素子上部のSiO2マスク75とn−GaAsキャップ層54、74、77をエッチングにより除去する。その後、例えばMOCVD法により、p−GaAsコンタクト層78をエピタキシャル成長させる。
【0043】
次に、図4(d)に示すように、分離溝15を形成することで、赤外半導体レーザ素子と可視半導体レーザ素子とを互いに分離する。具体的には、RIE(Reactive Ion Etching)法により、選択的にエッチングする。
【0044】
次に、赤外半導体レーザ素子の共振器長を定める。先ず図5(a)に示すように、p−GaAsコンタクト層78の上に、フォトリソグラフィ法を用いて赤外半導体レーザ素子13の共振器長L2が得られる位置に、例えば共振器方向に幅1μm以上、5μm程度の開口部84を持つようなレジスト膜83を形成する。
【0045】
次に、図5(b)に示すように、p−GaAsコンタクト層78からn−GaAs基板11の一部分までをRIE法により基板に対してほぼ垂直な分離溝16を形成する。
【0046】
これにより、赤外半導体レーザ素子13の共振器の後端面85が形成され、凸部14が赤外半導体レーザ素子13から分離形成される。
【0047】
最後に、図5(c)に示すように、p−GaAsコンタクト層78の上面にp側電極19と、可視半導体レーザ素子のp側電極18(図示せず)と、凸部14の上面に絶縁膜20とを形成する。
【0048】
次に、n−GaAs基板11を研磨により薄くした後、n側電極17を形成する。この後熱処理を施すことで、p側電極18、19の合金化を行う。
【0049】
このように作製されたウエハを、ストライプに対して垂直な面でバー状に劈開し、バーをチップごとに分離することで、図2に示す多波長半導体レーザ素子10が完成する。
【0050】
本実施例では、赤外半導体レーザ素子13と凸部14との間にある分離溝16は、可視半導体レーザ素子12と赤外半導体レーザ素子13との間に形成した分離溝15を形成した後に形成している。勿論、分離溝16は、分離溝15と同時に形成しても何ら差し支えない。
【0051】
実験によれば、可視半導体レーザ素子12と赤外半導体レーザ素子13との発光点の間隔が、例えば110μm、共振器長L1、L2がともに1500μmの場合に、赤外半導体レーザ素子13の光出力を7mWで駆動させると、その消費電力は約140mWである。また、単体の赤外半導体レーザ素子において共振器長が400μmの場合は、同一光出力を得るための消費電力は約70mWである。このことから、共振器長が短い方が消費電力の低減に対して有利である。
【0052】
図6は、図1に示す多波長半導体レーザ素子10を用いた多波長半導体レーザ装置の構成を示す図で、図6(a)は外囲器の一部が切欠された斜視図、図6(b)は多波長半導体レーザ素子10がジャンクションダウンマウントされた状態を示す斜視図である。
【0053】
図6(a)に示すように、本実施例の多波長半導体レーザ装置100は、4本のリ−ドピン101が電気的絶縁されて植設された金属製のステム102に多波長半導体レーザ素子10及びレーザ光をモニタするためのモニタフォトダイオード103が固定されている。
【0054】
多波長半導体レーザ素子10は絶縁性サブマウント104にマウントされ、ステム102の対向側にレーザ光を取り出すようにステム102と垂直に固定されている。
【0055】
また、モニタフォトダイオード103は、多波長半導体レーザ素子10の下方においてステム102に固定されている。
【0056】
これら多波長半導体レーザ素子10及びモニタフォトダイオード103は、ワイヤ等によりリードピン101と電気的接続されている。
【0057】
また、金属製のキャップ105が多波長半導体レーザ素子10、モニタフォトダイオード103を内包してステム102に封着されている。
【0058】
このキャップ105の頂部には、レーザ光を取り出すためのウィンドウガラス106が設けられ、多波長半導体レーザ素子10からの可視レーザ光107および赤外レーザ光108は、多波長半導体レーザ素子10の一方の端面からウィンドウガラス106を通して外囲器の外部に向けて放射され、他方の端面からのレーザ光は、発光を制御するためのモニタフォトダイオード103に入射する。
【0059】
図6(b)に示すように、多波長半導体レーザ素子10は、p側電極18、19が、例えば金錫共晶ハンダにより絶縁性サブマウント104に固着され、ジャンクションダウンマウントされている。
【0060】
ここで、凸部14は絶縁性サブマウント104に固着せずとも当接するので、可視半導体レーザ素子12と赤外半導体レーザ素子13にかかる応力を均等化することが可能である。
【0061】
以上説明したように、本実施例によれば、赤外半導体レーザ素子13の共振器長L2が可視光半導体レーザ素子12の共振器長L1とは独立に最適値に設定できるので、赤外半導体レーザ素子13の閾値電流が低減し無駄な消費電力を削減することができる。
【0062】
更に、多波長半導体レーザ素子10をジャンクションダウンマウントした場合に、凸部14により可視光半導体レーザ素子12および赤外半導体レーザ素子13にかかる応力を均一化することができる。
【0063】
これにより、消費電力が少なく、熱的機械的に安定した多波長半導体レーザ素子および多波長半導体レーザ装置を提供することができる。
【0064】
ここでは、凸部14の上面に絶縁膜20を形成した場合について説明したが、更に絶縁膜20上に、p側電極18、19と同じ材料の金属膜を形成しておけば、電気的絶縁性を保ったまま凸部14も同時に共晶ハンダにより絶縁性サブマウント104に固着されるので、可視半導体レーザ素子12と赤外半導体レーザ素子13にかかる応力をより均等化することが可能である。
【0065】
また、赤外半導体レーザ素子13を形成した後、可視半導体レーザ素子12を形成した場合について説明したが、逆に可視半導体レーザ素子12を形成した後、赤外半導体レーザ素子13を形成しても構わない。
【0066】
更に、多波長半導体レーザ素子10が気密性のある所謂キャンパッケージに収納された場合について説明したが、気密性の無いパッケージ、例えばリードフレーム型パッケージに収納しても構わない。その場合に、モニタフォトダイオード103は内包しなくてもよい。
【実施例2】
【0067】
図7乃至図9は、本発明の実施例2に係る多波長半導体レーザ素子の構造を示す図である。本実施例において、上記実施例1と同一の構成部分には同一符号を付してその部分の説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0068】
本実施例が実施例1と異なる点は、赤外半導体レーザ素子13の共振器の後端面85に対向する凸部14の端面が傾斜していることにある。
【0069】
即ち、図7に示すように、多波長半導体レーザ素子120は、後端面85と対向し、赤外半導体レーザ素子13の光軸に対して水平な方向で外側面へ広がるように傾斜した端面121を有している。
【0070】
傾斜した端面121は、図5に示すレジスト膜83をフォトリソグラフィ法により赤外半導体レーザ素子13の外側面へ広がるパターン開口部84を形成した後、RIE法によりn−GaAs基板11に対して垂直な分離溝122を形成することにより得られる。
【0071】
これにより、赤外半導体レーザ素子13の共振器の後端面85から出射された赤外レーザ光aは傾斜した端面121で光軸に対して斜め方向に反射されるので、赤外半導体レーザ素子13への戻り光が防止される。
【0072】
従って、戻り光の干渉により赤外半導体レーザ素子13の縦モードがモードホッピングを起こし、赤外レーザ光の出力が揺らぐノイズを抑制することが可能である。
【0073】
端面121の傾斜角度は赤外レーザ光の出力が揺らぐノイズが抑制できる範囲内であれば特に限定されないが、0度より大きく45度以下程度が好ましい。
【0074】
以上説明したように、実施例2係る半導体レーザ素子120では、上記実施例1と同様の効果以外に、赤外半導体レーザ素子13の共振器の後端面85と対向する凸部14の端面121を傾斜面にしたので、赤外半導体レーザ素子13への戻り光が防止される。従って、戻り光の干渉による赤外レーザ光のノイズを抑制できる利点がある。
【0075】
ここでは、赤外半導体レーザ素子13の光軸に対して水平な方向で外側面へ広がるように傾斜させた場合について説明したが、図8に示すように、赤外半導体レーザ素子13の光軸に対して水平な方向で内側面、即ち可視半導体レーザ素子12側へ広がるように傾斜させても良い。
【0076】
また、図9に示すように、赤外半導体レーザ素子13の光軸に対して垂直な方向で上面側へ広がるように傾斜させても構わない。上面側へ広がるように傾斜させるには、例えば図5(b)に示す基板に垂直な分離溝16を形成した後、分離溝15、16を埋めるように全面にレジスト膜を形成し、上面側へ広がるように傾斜した端面141を形成する領域にレジスト開口部を形成する。次に、順メサになるようにメサエッチングを行うことにより形成することができる。
【実施例3】
【0077】
図10は、本発明の実施例3係る多波長半導体レーザ装置の構造を示す図で、図10(a)は外囲器の一部が切欠された斜視図、図10(b)は多波長半導体レーザ素子がジャンクションダウンマウントされた状態を示す斜視図である。
【0078】
本実施例において、上記実施例1と同一の構成部分には同一符号を付してその部分の説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0079】
本実施例が実施例1と異なる点は、多波長半導体レーザ装置が記録媒体に記録された情報を読み出す機能を一体に備えたことにある。
【0080】
即ち、図10に示すように、本実施例の多波長半導体レーザ装置200は、多波長半導体レーザ素子10の前方の送信方向光軸上に配置された波長選択性を有する光路分岐手段201と、光路分岐手段201を透過し、光路分岐手段201の前方の送信方向光軸上に設けられた反射板(図示せず)で反射された光が、光路分岐手段に入射して分岐された光信号を検出する受光素子202とを有することにある。
【0081】
光路分岐手段201は、例えばガラスなどの表面に細かい溝を多数刻んだ回折格子で、ホログラムとも呼ばれている。回折格子の境界面を通過したレーザ光は、回折作用によりそのまま直進する0次回折光、左右に曲げられる±1次回折光などの複数のビームに分離される。
【0082】
受光素子202は、例えば可視から近赤外領域まで受光感度を有するシリコンフォトダイオードで、絶縁性サブマウント104を載置する台座部203の送信方向側面にマウントされて反射板(図示せず)で反射されて戻ってきたレーザ光107あるいはレーザ光108を受光する。台座部203はヒートシンクとしても機能している。
【0083】
図11は、多波長半導体レーザ装置200の動作原理を示す図である。図11(a)に示すように、多波長半導体レーザ素子10から出たレーザ光107または108は光路分岐手段201をまっすぐに透過して(0次回折光)、レンズ204により平行光になり、レンズ205により集光されて記録媒体206面に達する。
【0084】
次に、図11(b)に示すように、記録媒体206面に達したレーザ光107または108は記録媒体206面で反射され、記録媒体206の反射率の差による記録情報を有する信号として同じ光路を通って戻ってくる。
【0085】
戻ってきたレーザ光107または108は、光路分岐手段201によって曲げられて(1次回折光)、受光素子202に達し、電気信号に変換されて外部に取り出される。
【0086】
DVD記録媒体に記録された情報を読み出す場合に可視半導体レーザ素子12が、CD記録媒体に記録された情報を読み出す場合に赤外半導体レーザ素子13がそれぞれ駆動され、受光素子202により記録された情報がそれぞれ読み出される。
【0087】
以上説明したように、本実施例によれば、上記実施例1と同様の効果以外に記録媒体206に記録された情報を読み出す機能を一体に備えた多波長半導体レーザ装置200の消費電力を低減できる利点がある。従って、無駄な発熱により精密光学部品である回折格子の特性に影響を及ぼす恐れが無い。
【0088】
上述した実施例においては、多波長半導体レーザ素子10が可視半導体レーザ素子12と赤外半導体レーザ素子13の2の波長の異なる半導体レーザ素子を有する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、3以上の半導体レーザ素子を有する多波長半導体レーザに適用しても構わない。
【0089】
更に、凸部14が赤外半導体レーザ素子13として機能させないダミー赤外半導体レーザ素子構造である場合について説明したが、このダミー赤外半導体レーザ素子構造を除去した領域に絶縁性樹脂、例えばポリイミド樹脂やシリコン樹脂などをp側電極18と同一平面になるように充填したものであっても構わない。これによれば、凸部14の電気的絶縁性が向上する利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施例1に係る多波長半導体レーザ素子を示す斜視図。
【図2】本発明の実施例1に係る多波長半導体レーザ素子の構造を示す図で、図2(a)はその平面図、図2(b)は図2(a)のA−A線に沿って切断し矢印方向に眺めた断面図。
【図3】本発明の実施例1に係る多波長半導体レーザ素子の製造方法を工程順に示す断面図。
【図4】本発明の実施例1に係る多波長半導体レーザ素子の製造方法を工程順に示す断面図。
【図5】本発明の実施例1に係る多波長半導体レーザ素子の製造方法を工程順に示す断面図。
【図6】本発明の実施例1に係る多波長半導体レーザ装置の構成を示す図で、図6(a)は外囲器の一部が切欠された斜視図、図7(b)は多波長半導体レーザ素子がジャンクションダウンマウントされた状態を示す斜視図。
【図7】本発明の実施例2に係る多波長半導体レーザ素子の構造を示す図で、図7(a)はその斜視図、図7(b)はその平面図。
【図8】本発明の実施例2に係る多波長半導体レーザ素子の構造を示す図で、図8(a)はその斜視図、図8(b)はその平面図。
【図9】本発明の実施例2に係る多波長半導体レーザ素子の構造を示す図で、図9(a)はその斜視図、図9(b)はその平面図。
【図10】本発明の実施例3に係る多波長半導体レーザ装置の構成を示す図で、図10(a)は外囲器の一部が切欠された斜視図、図10(b)は受光素子が台座部にマウントされた部分を示す斜視図。
【図11】本発明の実施例3に係る多波長半導体レーザ装置の動作原理を示す図。
【符号の説明】
【0091】
10、120、130、140 多波長半導体レーザ素子
11 n−GaAs基板
12 可視半導体レーザ素子
13 赤外半導体レーザ素子
14 凸部
15、16、122、132、142 分離溝
17 n側電極
18、19 p側電極
20 絶縁膜
L1、L2 共振器長
L3 発光点間隔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の主面に形成され、特定波長の発振光を放射する第1半導体レーザ素子と、
前記第1半導体レーザ素子と発振光の光軸が実質的に同一光軸をなすように光軸平行に近接して配置され、前記第1半導体レーザ素子の共振器より長さが短い共振器を具備し、前記特定波長と異なる波長の発振光を放射する第2半導体レーザ素子と、
前記第1および第2半導体レーザ素子の活性層にそれぞれ電気的導通を取るための電極と、
前記第1半導体レーザ素子の光軸と平行な側面および前記第2半導体レーザ素子の光軸と垂直な端面にそれぞれ近接して配置され、上面に絶縁膜が形成された凸部と
を有することを特徴とする多波長半導体レーザ素子。
【請求項2】
前記第2半導体レーザ素子の光軸と垂直な端面に対向した前記凸部の端面が、前記端面に対して傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の多波長半導体レーザ素子。
【請求項3】
前記凸部は、前記第2半導体レーザと同一構成を有することを特徴とする請求項1に記載の多波長半導体レーザ。
【請求項4】
基板の主面に形成され、特定波長の発振光を放射する第1半導体レーザ素子と、
前記第1半導体レーザ素子と発振光の光軸が実質的に同一光軸をなすように光軸平行に近接して配置され、前記第1半導体レーザ素子の共振器より長さが短い共振器を具備し、前記特定波長と異なる波長の発振光を放射する第2半導体レーザ素子と、前記第1および第2半導体レーザ素子の活性層にそれぞれ電気的導通を取るための電極と、前記第1半導体レーザ素子の光軸と平行な側面および前記第2半導体レーザ素子の光軸と垂直な端面にそれぞれ近接して配置され、上面に絶縁膜が形成された凸部とを有する多波長半導体レーザ素子と、
前記多波長半導体レーザの前記第1、第2半導体レーザ素子および前記凸部の主面上に載置されたサブマウントと、
前記電極と電気的接続されたリードピンと
を有することを特徴とする多波長半導体レーザ装置。
【請求項5】
基板の主面に形成され、特定波長の発振光を放射する第1半導体レーザ素子と、
前記第1半導体レーザ素子と発振光の光軸が実質的に同一光軸をなすように光軸平行に近接して配置され、前記第1半導体レーザ素子の共振器より長さが短い共振器を具備し、前記特定波長と異なる波長の発振光を放射する第2半導体レーザ素子と、前記第1および第2半導体レーザ素子の活性層にそれぞれ電気的導通を取るための電極と、前記第1半導体レーザ素子の光軸と平行な側面および前記第2半導体レーザ素子の光軸と垂直な端面にそれぞれ近接して配置され、上面に絶縁膜が形成された凸部とを有する多波長半導体レーザ素子と、
前記多波長半導体レーザ素子の前方の送信方向光軸上に設けられた波長選択性を有する光路分岐手段と、
前記光路分岐手段を透過し、前記光路分岐手段の前方の送信方向光軸上に設けられた反射板で反射された光が、前記光路分岐手段に入射して分岐された光信号を検出する受光素子と
を有することを特徴とする多波長半導体レーザ装置。
【請求項1】
基板の主面に形成され、特定波長の発振光を放射する第1半導体レーザ素子と、
前記第1半導体レーザ素子と発振光の光軸が実質的に同一光軸をなすように光軸平行に近接して配置され、前記第1半導体レーザ素子の共振器より長さが短い共振器を具備し、前記特定波長と異なる波長の発振光を放射する第2半導体レーザ素子と、
前記第1および第2半導体レーザ素子の活性層にそれぞれ電気的導通を取るための電極と、
前記第1半導体レーザ素子の光軸と平行な側面および前記第2半導体レーザ素子の光軸と垂直な端面にそれぞれ近接して配置され、上面に絶縁膜が形成された凸部と
を有することを特徴とする多波長半導体レーザ素子。
【請求項2】
前記第2半導体レーザ素子の光軸と垂直な端面に対向した前記凸部の端面が、前記端面に対して傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の多波長半導体レーザ素子。
【請求項3】
前記凸部は、前記第2半導体レーザと同一構成を有することを特徴とする請求項1に記載の多波長半導体レーザ。
【請求項4】
基板の主面に形成され、特定波長の発振光を放射する第1半導体レーザ素子と、
前記第1半導体レーザ素子と発振光の光軸が実質的に同一光軸をなすように光軸平行に近接して配置され、前記第1半導体レーザ素子の共振器より長さが短い共振器を具備し、前記特定波長と異なる波長の発振光を放射する第2半導体レーザ素子と、前記第1および第2半導体レーザ素子の活性層にそれぞれ電気的導通を取るための電極と、前記第1半導体レーザ素子の光軸と平行な側面および前記第2半導体レーザ素子の光軸と垂直な端面にそれぞれ近接して配置され、上面に絶縁膜が形成された凸部とを有する多波長半導体レーザ素子と、
前記多波長半導体レーザの前記第1、第2半導体レーザ素子および前記凸部の主面上に載置されたサブマウントと、
前記電極と電気的接続されたリードピンと
を有することを特徴とする多波長半導体レーザ装置。
【請求項5】
基板の主面に形成され、特定波長の発振光を放射する第1半導体レーザ素子と、
前記第1半導体レーザ素子と発振光の光軸が実質的に同一光軸をなすように光軸平行に近接して配置され、前記第1半導体レーザ素子の共振器より長さが短い共振器を具備し、前記特定波長と異なる波長の発振光を放射する第2半導体レーザ素子と、前記第1および第2半導体レーザ素子の活性層にそれぞれ電気的導通を取るための電極と、前記第1半導体レーザ素子の光軸と平行な側面および前記第2半導体レーザ素子の光軸と垂直な端面にそれぞれ近接して配置され、上面に絶縁膜が形成された凸部とを有する多波長半導体レーザ素子と、
前記多波長半導体レーザ素子の前方の送信方向光軸上に設けられた波長選択性を有する光路分岐手段と、
前記光路分岐手段を透過し、前記光路分岐手段の前方の送信方向光軸上に設けられた反射板で反射された光が、前記光路分岐手段に入射して分岐された光信号を検出する受光素子と
を有することを特徴とする多波長半導体レーザ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−93466(P2006−93466A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−278289(P2004−278289)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(504136878)東芝ディスクリートテクノロジー株式会社 (95)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(504136878)東芝ディスクリートテクノロジー株式会社 (95)
【Fターム(参考)】
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