多重モード・スペクトル画像解析の方法および装置
多重モード・スペクトル画像解析の方法および装置が開示される。一つの実施態様において、本発明は、修正された照明プロファイルで対象物を照明する段階、照明された対象物の反射、透過、または蛍光画像を作成する段階、当該対象物をスキャンする段階、および光の状態を修正した後、当該反射光、透過光、または蛍光光の再解析を行う段階で構成される。本発明は、時間分解能が低い高スペクトル分解能画像および時間分解能が高い多重画像取得を行う他の画像解析手段と併用することが望ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分光システムおよび画像分光分析に広範に適用される。より具体的には、本発明は、分析中の画像の空間的完全性を維持しながら分光解析を可能にする多重スペクトル画像解析方法および装置から構成される。一つの実施態様を示すと、本方法は、顕微鏡や眼底カメラなど他の光学システムの少なくとも1つと併用することにより、一連のスペクトル的に不連続な二次元画像を作成する。こうして得られたデータ・キューブから画像の個々のピクセルで分解能の高いスペクトルおよび空間情報を得る。本装置では焦点を共有するようになっているため高分解能の画像が得られ、焦点の合ってない対象物内の映像面からの光線を排除することによりコントラストを改善する。
【背景技術】
【0002】
本発明は2004年1月21日に申請された「スリット・スキャニング焦点共有型画像解析スペクトロメータ」(米国仮特許出願番号60/537,839)の優先権を主張する。その申請の内容全体は、参照することにより本特許の一部を構成するものとする。
【0003】
一般的に、分光システムは対象物または場面のスペクトル(波長)の構成を決定する。通常これらのシステムは対象物の発するすべての光を集める。集められた光はその波長によって、プリズムまたは回折格子などの回折法といった分光法を用いて分光される。これらの分光装置によって反射されるか、または装置を通過した後、異なる波長を持つ光の成分は異なる方向へ伝播し、その強度は検知ピクセルの一次元配列ごとに記録される。標準的なスペクトロメータは対象物の発するすべての光のスペクトル構成を分析するには優れた装置であるが、こうしたスペクトロメータでは対象物の発するスペクトルの二次元空間図を作成することは通常不可能である。
【0004】
本発明は、概して、画像解析スペクトロメータの範疇に属する。画像スペクトロメータは対象物の各ポイントから発せられる光の波長組成の測定を行えるので、標準的なスペクトロメータより高度な装置である。高い分解能(2nm以下)を持つ画像スペクトロメータは、「スペクトル・スキャニング」または「空間スキャニング」のいずれかとして当該技術分野では知られている。
【0005】
スペクトル・スキャニング・システムは通常一連の画像を撮影し、各画像は対象を全視野で二次元的に描写し、特定のスペクトル帯域幅内の光から構成される。波長の異なった画像が次から次へまたは連続的に撮影される。スペクトル・スキャニング用の特定システムには、液晶同調フィルター(LCTF)、音響光学的可変フィルター(AOTF)、およびフーリエ変換スペクトロメータ(FTS)やファブリ−ペロー・スペクトロメータ(FPS)などの干渉計システムが含まれる。
【0006】
LCTFによるシステムでは、液晶の特性を調節してフィルターのスペクトル帯域を「同調させる」。これにより、時間の経過とともに、異なった、全視野にわたるスペクトル画像が得られる。これらのシステムにはいくつかの欠点がある。一例を挙げれば、これらのシステムには極性があり、その結果、光の透過率が低く、多くの光が伝わらない。他の欠点としては、最低のスペクトル帯域は普通10nm以上である。これはLCTFの原理および多くの光の喪失に由来するものである。したがって、このシステムでは分解能の高い(2nm以下)画像解析はほとんど不可能である。AOTFシステムを同調可能な帯域フィルターとして使用する際、AOTFを使用するシステムには同様の問題点がある。
【0007】
FTSシステムは通常ツワイマン−グリーン光学干渉計またはサニャク光学干渉計(米国特許第5,539,517号明細書で公表されている)の設計に基づいている。両干渉計とも点光源のスペクトル成分(content )の探索に使用されている。この種のシステムの操作では、通常は点光源からの光を凸レンズで平行光線に変換してから干渉計に入れている。テスト・アームまたはレフェレンス・アーム・ミラーのいずれかを光軸に沿ってスキャンし、各スキャン位置での光の強度を測定する。測定された信号の包絡線の逆フーリエ変換を取ることにより、対象物のスペクトル強度が周波数あるいは波長の関数として得られる。
【0008】
FPSシステムは、一般的に2つの反射率の高い鏡を使用しスペクトル・フィルターの役割を果たす光キャビティを形成する別の光学干渉設計に基づくものである。この種のシステムでは、入射する平行光は光キャビティ内で複数回反射する。この構成により、複数回の反射で消えることなく光キャビティを通り抜ける特定の波長のみが検知器に記録される。光フィルターを通過する特定の波長は反射率の高い2枚の鏡の間の距離に依存する。この距離を変更すると、フィルターを通過する波長も変化する。よって、FPSシステムのスペクトル帯域は鏡の横方向の距離の関数である。こうして1枚の鏡が光軸に沿ってスキャンされ、鏡の間の距離を効率的に変えることでスペクトル帯域が変更され、光源の異なるスペクトル成分が検知器に連続的に記録される。
【0009】
FTSおよびFPSシステムもまた画像スペクトル解析を行い、対象物の一点ごとのスペクトル構成を決定することが可能である。しかし、これらシステムの物理的形状のため、いくつかの制約がある。さらに、両システムとも視野が制限される。FTSシステムの場合を例に取ると、光は大きな角度では伝播しないため、システムの長さと鏡のサイズが小さいことにより視野が制限されることから、対象物上で測定が可能な点は限られる。他の問題は画像の位置合わせについてのものである。二次元画像は鏡のひとつをスキャンした際に得られる。鏡の振動や均一でないスキャン、ビームウォーキングなどスキャンに関連する問題から、異なるスペクトル帯域の画像の間で位置あわせの問題が生じる。FPSシステムの場合、二つの主な作用のため視野が狭められている。たとえば、光源からの光はシステムの外に出るまでに、鏡のある光キャビティの中で複数回反射する。入射光が対象物の光軸から離れた所から来た場合、この光はキャビティにゼロではない入射角度で入る。その結果、複数回の反射を繰り返しているうちに光は鏡に沿って動き、最終的には光キャビティから外へ漏れる。このことから、視野が増すにつれて、システムを通過する光は減少する。FPS構成のもう一つの問題点は、視野とともにスペクトルの帯域が変動することに関わる。鏡によるスペクトルの分離性能は視野角によって変わるので、スペクトルの帯域も変化する。視野角に依存するこのスペクトル変動を最小限に抑えるには、視野は必然的に狭いものとならざるを得ない。
【0010】
通常、スペクトル・スキャニング・システムには、本来その対象物の共焦点画像解析を行えるような設計になっていないという問題がある。共焦点画像解析システムには常に何らかの空間スキャニングが必要である。スペクトル・スキャニングには空間スキャニングの属性はなく、共焦点画像解析は不可能である。
【0011】
また、すべてのスペクトル・スキャニング・システムには、蛍光顕微鏡などの光量の少ない用途で使用される場合、根本的な欠陥がある。これらの用途では、対象物の蛍光性が露出時間とともに失われる光退色と呼ばれる現象や、また(フォトトキシシティ)現象が生じ、対象物を照射する光がその物質に有毒に作用する光毒症に悩まされている。すべてのスペクトル・スキャニング・システムでは波長をスキャンしている間、常に対象物全体に光を当てなければならない。その結果、後でスキャンして得られた画像(波長の長い画像)は光退色により最初の画像より暗くなる。画像取得後に画像の明るさを修正することは困難である。光毒症が問題となる場合、対象物が損傷を受けることで対象物の特性が時間とともに変化する。この作用を後ほど修正することはできない。
【0012】
空間スキャニング・システムではスペクトル・スキャニング・システムと同様の結果が得られるが、上述の問題は生じない。空間スキャニング・システムは光学的画像解析システムであり、二次元対象物の一部の画像が検出器で解析される。空間スキャニング・システムは通常、使用する分光機構により、プリズムによるシステム(米国特許第5,127,728号明細書で開示されたものなど)および格子を使用するシステムの2種類に分類される。一般的な空間スキャニング・システムでは、光路の分散要素が、検出器の1つの次元沿って画像にある各点の波長成分を拡散させる。この性質により検出器に一連の虹が効果的に作成される。プリズムを使用する場合、光の屈折により分散を行う。プリズムを使用するシステムの利点は、格子を使用するシステムより得られる光量が多いことである。しかし、プリズムを使用するシステムには、適切な視覚化および処理のため補間によるデータ補正を必要とする、非線形分散という大きな欠点がある。屈折による分散効果は回折によるものほど顕著ではないため、プリズムを使用するシステムには通常、格子によるシステムと同じ単位分散を得るため、より距離の長い光学ユニットが必要となる。格子によるシステムは線形分散を表示し、データ補正が不要である。格子によるシステムの分散はプリズムを使用するシステムより大きいので光学ユニットが短くなるが、効率はプリズムを使用するシステムより若干劣る。
【0013】
格子は光反射性もしくは透過性を有することが可能である。光反射に金属コートを使用する反射格子が、チェルニー−ターナー構成として知られる設計構成で画像解析スペクトロメータに使用されることが多い。この構成は、2枚の球形の鏡と平面状の反射格子のある対称光学設計を使用している。設計が対称なことで光の収差を最小限に抑えているが、適切な視野を得るには光学ユニットは長くなる傾向があり、コンパクトなシステムを開発することは難しい。さらに、チェルニー−ターナー構成で使用される反射格子は通常極性に非常に敏感な金属コートを使用して製作される。これによりP極性の光から得られる結果はS極性の光とは異なるものとなり、本質的に極性に依存する処理であることの多い蛍光顕微鏡を使用する際に重大な問題となる。「極性を問わない」コートを使用する透過格子および反射格子は極性にさほど左右されないので、同様の問題は生じない。本発明で開示しているとおり、よりコンパクトな設計を使用して相当の視野を得ることが可能である。
【0014】
空間スキャニングを行うためには、試料台(例としては電動式の台)を使用して対象物を1つの位置から次の位置に移動し、二次元画像を作成する。場合によっては、照明をスキャンし検知開口度を検出器(米国特許第6,166,373号明細書で開示されたものなど)と連動してスキャンする間、対象物は固定される。これらの方法は通常非常に遅く、生細胞顕微鏡画像解析法に必要とされる精度や時間分解能がない。
【0015】
最後に、これらすべての高スペクトル分解能画像解析システムでは、時間分解能の低い高スペクトル分解能画像解析しか行えない。多くの場合、高スペクトル分解能画像解析を使用して単独または複数の検出器(時間分解能の高いもの)で同時に得られる一連の最適な波長を特定することが望ましい。顕微鏡で使用する単独マルチモード・スペクトル画像解析システムの有効性の例は、「生細胞顕微鏡におけるスペクトル画像解析およびその利用(Spectral imaging and its applications in live cell microscopy )」 Timo Zimmermann, Jens Rietdorf, and Rainer Pepperkok, FEBS Letters 543, Advanced Light Microscopy Facility and Cell Biology/Cell Biophysics Programme, Heidelberg, Germany (May 2003), pages 87-92 で議論されている。
【0016】
さまざまな方法を使用して画像解析スペクトロメトリーを行えるが、従来の方法ではコンパクトで高速、フレキシブルなモジュール式システム内で必要とされる性能を実現することはできない。従来の方法はまた単独システム内で複数の画像解析モダリティを行うこともできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
顕微鏡の単独システム内でさまざまな画像解析モダリティ実現に適した、コンパクトで高速、フレキシブルなモジュール式システムに対するニーズは非常に高い。本発明はこのニーズを満たすものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
以下の発明の要旨は本発明に独自の革新的機能の一部についての理解を促進するために提供されるものであり、当業者にとっては明らかな変形形態をも完全に説明しようとするものではない。明細書、特許請求の範囲、図面、および要約書の全体を1つのものとして把握すれば、本発明のさまざまな側面が完全に理解されよう。
【0019】
本発明は多次元画像取得のためのスペクトル画像解析の方法および装置である。1つの実施態様において、本発明は、修正された照明プロファイルで対象物を照射する段階、照明された対象物の反射、透過、または蛍光画像を作成する段階、対象物をスキャンする段階、光の状態の変更後に反射光、透過光、または蛍光光の再解析を行う段階からなる対象物の多重モード・スペクトル画像解析の方法を具備する。
【0020】
1つの実施態様では、光の分散のための格子および対象物の空間スキャニングのための結晶ベースの圧電性試料台を使用する。格子サブアセンブリは全視野での画像解析が可能なように取り外し可能、もしくは異なる光学特性を持つ複数の成分画像の同時取得が可能になるよう光学ビーム・スプリット・モジュールと交換可能であることが望ましい。少なくとも1つの開口部が評価の対象物(画像解析を行っているのと同じ部分)の一部を照射し、共焦点操作ならびに光退色の不自然な結果および光毒性の抑制を可能とする。
【0021】
本発明の新規な点は、好ましい実施態様についての以下の詳細な説明を考察する際に、当業者にとっては明白となるか、または本発明の実行により確認することが可能である。しかし、本発明の特定の実施態様を示す、好ましい実施態様および提示された特定例の詳細な説明は、発明の精神および範囲内でのさまざまな変更および修正が以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲から当業者にとっては明白となることから、図示目的でのみ提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
添付図は本発明をさらに図示し、好ましい実施態様の詳細な説明と共に、本発明に関する一般的原理の説明の一助となるものである。
本発明の追加態様は、明細書に記載された非限定的実施態様および特許請求の範囲を添付図面とともに精査により明らかとなる。なお、図面全体において、同一の参照符号は同様な構成要素を示す。
【0023】
本発明は多次元画像取得用のマルチモード・スペクトル画像解析法および装置である。本発明により2つ以上の波長、極性、または強度で同一の二次元画像に対応する1つ以上の画像データ・キューブの作成が可能になる。1つの実施態様において、このデータ・キューブは2つのモードで作成可能である。モード1では、複数の高空間分解能画像を少数の波長(低空間分解能)または少数の極性状態、少数の強度のいずれかで同時に取得し、それにより高時間分解能の画像を取得する。モード2では高空間分解能画像作成に合わせて高空間分解能でスキャンを行う。しかし、モード2のスキャニングの性格上、時間分解能はスキャン・レートの制約を受ける。重要な照明条件を充足する際、モード2を追加の共焦点画像解析機能で稼動させることが可能である。すべての画像解析モードは対象物からの光を異なる光学特性の要素に分解する必要性に対応している。本発明の異なる操作モードにより、実験で必要となるさまざまな要素を柔軟に選択し、光による対象物の損傷を最小限に抑えつつ最高品質の画像が記録可能になる。単一の装置でこれら画像解析モードすべてを提供可能であることは、測定ごとに異なる装置を使用する際に常に惹起されるエラーを回避する上で極めて重要である。
【0024】
本発明のさまざまな態様の図示に用いられた図において、xおよびy座標を使用してスペクトロメータの光軸に直交する平面を表す。X軸およびy軸はそれぞれ水平方向および垂直方向に対応する。Z座標は機器の光軸沿った方向に対応する。
【0025】
本開示の目的において、波面の光の状態は波面の振幅、位相、極性、および周波数(波長)の組み合わせとして定義される。光フィルターは、入射波面の光の状態を修正するスペクトル・フィルターまたはNDフィルターまたは偏光子などのあらゆる構成部品として定義される。ビームスプリッターは単一の光ビームを複数の光ビームに分離する光学構成部品として定義される。例には二色フィルター(波長分離)および極性ビームスプリッター(極性分離)、振幅ビームスプリッター(振幅/強度分離)が含まれるがそれらに限定されるものではない。分散要素は入射光を成分波長に分解する構成部品として定義される。本開示の目的においては、格子は光の分散法として回折を使用する極性のないあらゆる分散要素として定義される。格子の例には平面格子、ブレーズ型格子、ボリューム・ホログラフィック格子、または音響光学同調フィルター(AOTF)を含むがそれらに限定されるものではない。重要な照明という用語は、照明光の焦点が対象物に当たっている光照明構成を意味するものとして定義される。
【0026】
図1に示された1つの実施態様において、本発明の方法は、以下の4つの段階を備えるものであるが、この段階は特定の順序である必要はない。その4つの段階とは、修正された照明プロファイルで対象物101を照明する段階、照明された対象物101の反射画像、透過画像、または蛍光画像を作成する段階、対象物101をスキャンする段階、および光の光学的状態の修正後に反射光、透過光、または蛍光光の再画像解析を行う段階である。再画像解析を行う段階で作成された画像はコンピュータ106またはその他の表示機器を使用して視覚化することが可能である。
【0027】
評価を行う対象物の反射画像、透過画像、または蛍光画像を作成する段階を実行するための典型的な装置103には対物レンズ、顕微鏡、または眼底カメラなどのさまざまな光学システムが含まれる場合がある。装置は対象物に照明を当て、照明を当てる対象物の反射画像、透過画像、または蛍光画像を形成するように構成されていることが望ましい。画像を作成する段階は当該技術分野で周知であるが、本発明で開示された、単一装置内で多重モード・スペクトル画像解析を可能とする特定の段階は、これまでに開示されていない。
【0028】
修正された照明プロファイルで対象物に照明を当てる段階では、光を対象物に発し、次いで、その光は、反射されるか、透過するか、または吸収されて蛍光として再放射される。また、この段階では対象物の位置で生成される照明プロファイルを修正する。たとえば蛍光顕微鏡システムでは、この点は、画像解析の対象となる部位にのみ照明が当てられるので対象物の光退色および光毒性を抑える上で大きく有利である。さらに、照明プロファイルの修正により照明の空間域が限定される際に、焦点画像平面から光を除去し画像のコントラストおよび解像度が改善することで共焦点効果が生まれる。修正が照明ビームの焦点を対象物上に当て重要な照明を作成するという形で行われる場合、照明のエネルギー密度がそれに対応して増加し共焦点効果がさらに大きくなる。当業者には知られているように、重要な照明の利用により光源に必要な電力も減少する。
【0029】
修正された照明プロファイルで対象物に照明を当てる段階を実行する代表的な装置201には最低1つの調整可能な開口部202および207、ならびに最低1つの光学構成部品203が含まれる場合がある。1つの実施態様において、調整可能な開口部202および207は顕微鏡またはその他の光学機器の照明光学システム201の視野絞り205に配置される場合がある。たとえば、視野絞り205に配置された開口部202および207(単一スリット開口部202など)は対象物204の照明プロファイルの空間域を制限する。この実施態様の一例として、調整可能な開口部202(図2bに図示)を使用することによって、照明を当てられる対象物204上で細い長方形状の領域を形成することが可能になる。あるいは(図2cに図示)、複数のスリットのある開口部207を使用して、データ多重化を行うことが可能である。これは、対象物204の複数の空間域からデータを同時に取得することができるからであり、それにより、対象物のスキャン時間を効果的に減少させることができる。
【0030】
代表的な光学構成部品203は顕微鏡の光源206または光源の画像またはその他の光学システムと照明システム201の視野絞り205との間にある。この代表的な光学構成部品203は光源構成部品206からの光を受けるようになっている必要がある。この光は疑似平行光線であり照明プロファイルに焦点を当て調整可能な開口部202および207のパターンに一致することが望ましい。調整可能な開口部202および207については、代表的な光学構成部品203は屈折光学部品209と回折光学部品210を組み合わせて使用し、視野絞り205で調整可能な開口部202および207のパターンに一致する空間パターンを生成する(例として、図2dから2fに図示)。
【0031】
照明サブアセンブリの調整可能な開口部の代表例が1つの実施態様において手動または電動(当該例としては電子制御モーター)制御されるように適合されている。図3aに示されたように、手動制御の実施態様300では、調整ノブ301および302、303が開口部304の正確な位置決めに用いられる。開口部304はマイクロメートルの精度で調整可能であることが望ましい。あるいは、電動制御の実施態様307(図3bに表示)では、ステッパー・モーター305はソフトウェアまたはハードウェア(またはその組み合わせ306)により制御され、開口部304の位置および大きさを正確に調整する。開口部装置202および207の両方、ならびに光学サブアセンブリ203は可動式であることが望ましい。開口部202および207ならびに光学サブアセンブリ203が光路にある場合、当該の照明プロファイルが修正された後に共焦点操作が行われるが、標準照明が必要な場合にはこれらサブアセンブリを取り外し、対象物に未修正の照明プロファイルを作成することも可能である。
【0032】
本発明のモード2操作は、対象物の各点の高スペクトル分解能画像を取得するよう適合していることが望ましい。データ・キューブを作成するには対象物のスキャンが必要である。本方法の望ましい実施態様では、対象物の空間情報を取得するための対象物の移動量はごく微量(マイクロメートルまたはマイクロメートル以下)である。
【0033】
図4に示されたように、対象物をスキャンする段階を行う装置の代表例には電動試料台が含まれる。この実施態様において、対象物をスキャンする段階は超高精度移動および高空間分解能を有する結晶ベースの圧電試料台400で行われる。結晶ベースの圧電式装置の代表的な実施態様は図4に示されている。図4の装置は、コンピュータ402で制御可能な圧電結晶スタックで構成される圧電アクチュエーター401を備えている。操作の際には、アクチュエーター401はカンチレバー403と接触状態に保持され、カンチレバー403のもう一方の終端は対象物保持装置404と接触状態に保持される。この台サブアセンブリは異なる形状の対象物保持装置404に対応している。アクチュエーター401の圧電結晶スタックに電圧が加えられるとスタックが膨張し、力が発生しまたは位置407でカンチレバーを押す。この力によりカンチレバー403は支点405を中心に回転し、対象物保持装置404を指定された方向に(図4で矢印が示す方向に)押す。電圧が下がるとアクチュエーター401の圧電結晶スタックは収縮し、位置408でカンチレバー403を引っ張る。これによりカンチレバー403は支点405を中心に逆方向に回転し、対象物保持装置404を逆方向に動かし元の位置に引き戻す。
【0034】
圧電アクチュエーターの動きを増幅することが可能となるので、カンチレバー403を使用することが望ましい。たとえば、アクチュエーター401の圧電スタックが距離xだけ膨張すると、対象物保持装置は距離Mx移動する。ここで、Mはアクチュエーター401の位置に対するカンチレバー403の支点405の位置により決定される。本発明でカンチレバー403を使用する利点は、対象物保持装置404が大型の圧電結晶スタックを使用せずに大きな距離を移動することが可能なことにある。
【0035】
最速の操作では、圧電アクチュエーター401はオープンループ・モード(位置のフィードバックを行う制御ループがない)で実行されることが望ましい。より高い精度と再現性が必要な場合には、圧電結晶スタックに位置センサー406を装着しループを効率的に閉じるフィードバックを行う。クローズドループ式圧電センサー406もコンピュータで制御可能である。
【0036】
光の再画像解析を行う段階は1つの実施態様において、光をその成分光の状態に分離する複数のモードで操作するために適用される。モード2では、この段階はたとえば対象物の1本(図5に図示)または複数本のスペクトル画像形成により実行される。1本の例では、対象物をスキャンすると各線の画像に関するスペクトル情報が図6に示されたように取得される。スキャンが終了すると情報の3次元データ・キューブが図6に例示されたように生成される(xおよびy、波長)。モード1の操作では、情報のデータ・キューブ取得は光の状態を修正した複数の画像を同時に取得して行う。モード1操作により2枚および4枚の画像を同時に取得する場合の例はそれぞれ図7aおよび7bに示されている。
【0037】
光の状態を修正後に光の再解析を行う装置の代表例は図8に示されている。この装置についてのその他の可能な実施態様の追加説明については米国特許第5,982,497号明細書および第5,926,283号明細書でも閲覧可能である。再解析装置の代表例は、画像収集サブアセンブリ801、分離サブアセンブリ830、画像解析サブアセンブリ880の3つのサブアセンブリから構成されている。本発明の1つの実施態様においては、画像収集サブアセンブリ801を対象物の中間画像生成に適用し、分離サブアセンブリ830を画像の各点からの光をその成分光の状態に分離することに適用し、画像解析サブアセンブリを別個の成分画像の焦点合わせおよび記録に適用することが望ましい。
【0038】
図8にあるように、画像収集サブアセンブリ801の代表例は単一または複数の要素からなる光学素子802、調整可能な検知開口部803、およびオプションの対物レンズ804から構成される。単一または複数の要素からなる光学素子802を使用し検知開口部803の位置で対象物の画像を作成することが望ましい。画像を作成する段階においてその他の光学システム(顕微鏡など)を使用する際には、光学素子802は顕微鏡の光学システムの一部となる(管レンズなど)。検知装置803はマイクロメートルの精度で調整可能であることが望ましい。操作では、検知開口部803を非常に小さくし顕微鏡で作成された画像のごく一部分のみが通過し対象物をスキャンする際に対象物の別の部分が検知開口部を通過するようにすることが望ましい。こうして対象物の空間寸法が得られる。オプションの対物レンズ804を検知開口部803のいずれかの側面に配置し、前の過程にある光学システム(顕微鏡など)の射出瞳が光の通過量を最大にしかつ空間およびスペクトル収差を最小とするため再解析装置内の正しい位置に置かれるようにする。
【0039】
分離サブアセンブリ830を適用して検知開口部803からの光を平行にし、その光を異なる光の状態の成分に分離することが望ましい。1つの実施態様において、分離サブアセンブリ830は検知開口部803の各点からの光を平行にする単一または複数の要素からなる光学素子831から構成される。この光学素子831は光の通過量を最大にしかつ空間およびスペクトル収差を最小とするために適用されることが望ましい。
【0040】
この光学素子に続くのが取り外し可能な機械サブアセンブリ840、940、1040、および1140である。このサブアセンブリはこの装置および方法の操作で異なるモードを実施するために適用され、またコンパクトな構造内にさまざまな光学部品を収納または安全に保持するために適用される場合がある。本発明のモード2操作では、機械サブアセンブリにはスペクトル成分を分離する格子844が含まれる場合がある。一例として、機械サブアセンブリを装置に完全に挿入すると、光は格子844を通過して分散し、スペクトル測定が可能となる。機械サブアセンブリが中間位置(バイパス・モード)に移動または取り外されると、格子844は光路から取り除かれ装置は光の状態を修正せずに再解析を行う。機械サブアセンブリ840、940、1040、および1140を光路から外すだけで良く、スペクトル画像解析が必要でない際にユーザーが再解析装置全体を取り外す必要がないなど、「バイパス・モード」の利点は極めて大きい。機械サブアセンブリ840、940、1040、および1140には互換性があることから、ユーザーは異なる用途に異なる機械サブアセンブリを使用することが可能となる。
【0041】
取り外し可能な機械サブアセンブリの1つの実施態様(図8に示された要素840)において、機械サブアセンブリ840はさまざまな光学部品を収納または安全に保持する場合がある。一例として、モード2では光は機械サブアセンブリ840の最初の反射鏡842の入射光線であり、分離サブアセンブリ830の第2の反射鏡に向かうように反射する。この光は第2の鏡843で再度反射し機械サブアセンブリ840の透過格子844に向かう。第2の鏡843は調整可能なので、格子844上の反射光線の入射角、すなわち回折角は検知器883で分離された波長成分882の正確な位置決めを行うよう調整が可能である。回折格子844も先端角や傾斜角、回転、軸方向の変位量について調整が可能であるので、回折ベクトルは検知器883の1次元に平行である。この機械サブアセンブリ840は二色、振幅、偏光ビームスプリッター、NDフィルター、スペクトル・フィルター、または偏光子などの1つ以上の光学部品841をオプションで保持し、入射光の光学的状態をさらに修正することが可能である。
【0042】
モード2における本発明操作のその他の例は図9に示されている。図9にあるように、取り外し可能な機械サブアセンブリ940は反射格子944の使用に適用される。この実施態様の例では、光は反射格子944に入射し、同時に分散、反射するので、分散光は分離サブアセンブリ930の反射鏡843に向かう。この光は鏡843で再度反射され画像解析サブアセンブリ880に向かう。反射格子944および反射鏡843の先端角、傾斜角、および軸方向の変位量は調整可能で、検知器883で分離された波長成分882の正確な位置決めを行うことが可能となる。回折格子944も回転について調整可能であり、分散ベクトルは検知器883の一次元に平行である。この機械サブアセンブリ940は二色、振幅、偏光ビームスプリッター、NDフィルター、スペクトル・フィルター、または偏光子などの1つ以上の光学部品841をオプションで保持し、入射光の光学的状態をさらに修正することが可能である。
【0043】
図10に示された取り外し可能な機械サブアセンブリのもう一つの実施態様例で、機械サブアセンブリ1040はさまざまな光学部品を収納または安全に保持し、検出器で異なる光の状態の複数の画像を同時に作成することが可能である。一例として、モード1ではビームスプリッターの特性に基づき入射光を複数の独立した光チャンネルに分離する光ビームスプリッター1041または一連の光ビームスプリッターに光は入射する。図10に示された例では、入射光を2つの独立した光チャンネル、すなわち反射ビームと透過ビーム1083に分離する単一の光ビームスプリッター1041が示されている。反射ビーム1082は分離サブアセンブリ1030の反射鏡843に伝播し、透過ビームは取り外し可能な機械サブアセンブリ1040の反射鏡1045に伝播する。これら反射鏡843および1045から反射した後、反射ビームは画像解析サブアセンブリ980に伝播する。透過ビームは分離サブアセンブリの第2の反射鏡843で反射され、画像解析サブアセンブリ980にも伝播する。反射鏡843も先端角、傾斜角、および軸方向の変位量について調整可能なことから、複数の成分画像が正確なピクセル単位の位置あわせにより検知器883上に形成される。この機械サブアセンブリ1040はNDフィルター、スペクトル・フィルター、または偏光子などの1つ以上の光学部品1044をオプションで保持し、分離した光チャンネルの光学的状態をさらに修正することが可能である。
【0044】
取り外し可能な機械サブアセンブリのもう一つの実施態様の例では、機械サブアセンブリはさまざまな光学部品を収納または安全に保持し、モード1およびモード2の画像解析特性を結合することが可能である。
【0045】
1つの実施態様の例において、図11の分離サブアセンブリ1130および取り外し可能な機械サブアセンブリ1140は図10について説明した文章に記載されているように機能するが、取り外し可能な機械サブアセンブリ1040の光フィルター1044は図11に示されているように透過格子844と交換される。このように、2つの異なる光の状態のスペクトルを検知器883上で同時に取得することが可能である。一例として、光ビームスプリッター1141が偏光ビームスプリッターの場合、入射光の各偏光状態についてスペクトル・データキューブを同時に取得することが可能である。
【0046】
さらに、この偏光ビームスプリッターは二色および/または偏光ビームスプリッターおよび/または振幅ビームスプリッターの組み合わせと置換し、追加の波長および/または偏光および/または強度チャンネルを同時に作成することが可能である。光ビームスプリッターのオプションの組み合わせはたとえば米国特許第5,982,497号明細書および第5,926,283号明細書で開示されている。
【0047】
図12aおよび12bは取り外し可能な機械サブアセンブリ840、940、1040、および1140に関する機械構造の1つの実施態様を示すものである。1つの光ビームスプリッターまたは一連の光ビームスプリッターを位置1202で保持可能である。反射鏡1045および1145または反射格子944は位置1204で保持可能である。取り外し可能な機械サブアセンブリがバイパス・モードの中間位置にある場合、対象物からの光は影響を受けずに孔1203を通過する。透過格子および/または光フィルターは1205で保持可能である。先端角、傾斜角、および軸方向の変位量の調整は1206、1207、1208、および1209で行われる。
【0048】
取り外し可能な機械サブアセンブリ840、940、1040、および1140の構成部品通過後、検知開口部803の各点からの光は適宜修正されている(異なる光の状態の成分に分離されている)。画像解析サブアセンブリ880の機能は、対応する検知器883上に修正された光ビームの焦点を結ぶことである。高スペクトル分解能画像解析では、開口部803の各点での波長の画像は検知器883が記録し、コンピュータ106で取得可能なので、適切なソフトウェアを使用して視覚化および処理が可能である。画像解析サブアセンブリ880は単一または複数の要素からなる光学素子881および画像記録用の検知器883から構成されることが望ましい。
【0049】
図13に示された別の実施態様において、画像解析サブアセンブリ1380には別個の複数の要素からなる光学素子1381および対応する検出器1383を含めることが可能なので、各チャンネル1382の画像解析を別個の検出器1383で行うことが可能である。この構成には、視野またはスペクトル分解能を犠牲にすることなく複数のスペクトル画像解析方法を行えるという利点がある(米国特許第5,982,497号明細書および第5,926,283号明細書に記述のとおり)。
【0050】
本発明は方法または装置として実施することが可能であるが、当業者は、本発明がプロセス、またはシステムとしても実施可能であることを認識するようになろう。当該発明のその他の変形形態および変更形態は当業者にとっては明らかであり、添付された特許請求の範囲によらない限り限定されない。上述の細目の値および構成は異なる場合があり、本発明の実施態様の例を図示するためのものである。本発明を使用することで本書で開示された原則に従う限り異なる特性を有するコンポーネントを扱うことが可能であると考えられる。この点について、本システムは本書において機能ブロック・コンポーネントまたはさまざまな処理段階、インタフェースの観点から説明可能である。当然のことであるが、当該機能ブロックは、指定した機能を実行するように構成されたさまざまな光学素子および/またはハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア・コンポーネントにより実施可能である。当業者にとっては既知の当該一般機能およびコンポーネントは本書にて詳述されていないが、本発明の精神および範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】多重モード・スペクトル画像解析方法および装置の典型的な構成図である。
【図2a】顕微鏡など図1で特定した光学システムの典型的な照明アームの図である。
【図2b】視野絞りの位置に配置された調整可能な単一スリット開口部のある顕微鏡など図1で特定した光学システムの典型的な照明アームの図である。
【図2c】視野絞りの位置に配置された調整可能な単一スリット開口部のある顕微鏡など図1で特定した光学システムの典型的な照明アームの別の図である。
【図2d】視野絞りの位置に配置された調整可能な単一スリット開口部および重要な照明を行う照明路に配置された光学部品のある顕微鏡など図1で特定した光学システムの典型的な照明アームの別の図である。
【図2e】視野絞りの位置に配置された調整可能な単一スリット開口部および重要度な照明を行う照明路に配置された光学部品のある顕微鏡など図1で特定した光学システムの典型的な照明アームの別の図である。
【図2f】視野絞りの位置に配置された調整可能な単一スリット開口部および重要な照明を行うため照明路に配置された回折光学部品を備える光学部品のある顕微鏡など図1で特定した光学システムの典型的な照明アームの別の図である。
【図3a】照明サブアセンブリの調整可能な手動式開口部の典型例を図示したものである。
【図3b】照明サブアセンブリの調整可能な電動式開口部の典型例を図示したものである。
【図4】結晶ベースの圧電式スキャニング・サブアセンブリの実施態様の内面図の例を図示したものである。
【図5】特定のスキャン位置で取得された単一スリット開口部の分散画像の例を図示したものである。
【図6】本発明が高スペクトル分解能で稼働する際(モード2で稼動)にスキャン中に取得した一連のスペクトル画像の例を図示したものである。
【図7a】一例を挙げれば本発明が高時間分解能で稼動する際(モード1で稼動)に取得した2つの同時成分画像を図示したものである。
【図7b】一例を挙げれば本発明が高時間分解能で稼動する際(モード1で稼動)に取得した4つの同時成分画像を図示したものである。
【図8】透過格子を使用する取り外し可能な機械サブアセンブリを使用する再画像解析サブアセンブリの例を図示したものである。
【図9】反射格子を使用する取り外し可能な機械サブアセンブリを使用する再画像解析サブアセンブリの例を図示したものである。
【図10】光学式ビームスプリットを使用する取り外し可能な機械サブアセンブリを使用する再画像解析サブアセンブリの例を図示したものである。
【図11】組み合わせ格子およびビームスプリットを使用する取り外し可能な機械サブアセンブリを使用する再画像解析サブアセンブリの例を図示したものである。
【図12a】取り外し可能な機械サブアセンブリの透視図の例を図示したものである。
【図12b】取り外し可能な機械サブアセンブリの別の透視図の例を図示したものである。
【図13】複数の画像解析サブアセンブリを使用する再画像解析サブアセンブリの例を図示したものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は分光システムおよび画像分光分析に広範に適用される。より具体的には、本発明は、分析中の画像の空間的完全性を維持しながら分光解析を可能にする多重スペクトル画像解析方法および装置から構成される。一つの実施態様を示すと、本方法は、顕微鏡や眼底カメラなど他の光学システムの少なくとも1つと併用することにより、一連のスペクトル的に不連続な二次元画像を作成する。こうして得られたデータ・キューブから画像の個々のピクセルで分解能の高いスペクトルおよび空間情報を得る。本装置では焦点を共有するようになっているため高分解能の画像が得られ、焦点の合ってない対象物内の映像面からの光線を排除することによりコントラストを改善する。
【背景技術】
【0002】
本発明は2004年1月21日に申請された「スリット・スキャニング焦点共有型画像解析スペクトロメータ」(米国仮特許出願番号60/537,839)の優先権を主張する。その申請の内容全体は、参照することにより本特許の一部を構成するものとする。
【0003】
一般的に、分光システムは対象物または場面のスペクトル(波長)の構成を決定する。通常これらのシステムは対象物の発するすべての光を集める。集められた光はその波長によって、プリズムまたは回折格子などの回折法といった分光法を用いて分光される。これらの分光装置によって反射されるか、または装置を通過した後、異なる波長を持つ光の成分は異なる方向へ伝播し、その強度は検知ピクセルの一次元配列ごとに記録される。標準的なスペクトロメータは対象物の発するすべての光のスペクトル構成を分析するには優れた装置であるが、こうしたスペクトロメータでは対象物の発するスペクトルの二次元空間図を作成することは通常不可能である。
【0004】
本発明は、概して、画像解析スペクトロメータの範疇に属する。画像スペクトロメータは対象物の各ポイントから発せられる光の波長組成の測定を行えるので、標準的なスペクトロメータより高度な装置である。高い分解能(2nm以下)を持つ画像スペクトロメータは、「スペクトル・スキャニング」または「空間スキャニング」のいずれかとして当該技術分野では知られている。
【0005】
スペクトル・スキャニング・システムは通常一連の画像を撮影し、各画像は対象を全視野で二次元的に描写し、特定のスペクトル帯域幅内の光から構成される。波長の異なった画像が次から次へまたは連続的に撮影される。スペクトル・スキャニング用の特定システムには、液晶同調フィルター(LCTF)、音響光学的可変フィルター(AOTF)、およびフーリエ変換スペクトロメータ(FTS)やファブリ−ペロー・スペクトロメータ(FPS)などの干渉計システムが含まれる。
【0006】
LCTFによるシステムでは、液晶の特性を調節してフィルターのスペクトル帯域を「同調させる」。これにより、時間の経過とともに、異なった、全視野にわたるスペクトル画像が得られる。これらのシステムにはいくつかの欠点がある。一例を挙げれば、これらのシステムには極性があり、その結果、光の透過率が低く、多くの光が伝わらない。他の欠点としては、最低のスペクトル帯域は普通10nm以上である。これはLCTFの原理および多くの光の喪失に由来するものである。したがって、このシステムでは分解能の高い(2nm以下)画像解析はほとんど不可能である。AOTFシステムを同調可能な帯域フィルターとして使用する際、AOTFを使用するシステムには同様の問題点がある。
【0007】
FTSシステムは通常ツワイマン−グリーン光学干渉計またはサニャク光学干渉計(米国特許第5,539,517号明細書で公表されている)の設計に基づいている。両干渉計とも点光源のスペクトル成分(content )の探索に使用されている。この種のシステムの操作では、通常は点光源からの光を凸レンズで平行光線に変換してから干渉計に入れている。テスト・アームまたはレフェレンス・アーム・ミラーのいずれかを光軸に沿ってスキャンし、各スキャン位置での光の強度を測定する。測定された信号の包絡線の逆フーリエ変換を取ることにより、対象物のスペクトル強度が周波数あるいは波長の関数として得られる。
【0008】
FPSシステムは、一般的に2つの反射率の高い鏡を使用しスペクトル・フィルターの役割を果たす光キャビティを形成する別の光学干渉設計に基づくものである。この種のシステムでは、入射する平行光は光キャビティ内で複数回反射する。この構成により、複数回の反射で消えることなく光キャビティを通り抜ける特定の波長のみが検知器に記録される。光フィルターを通過する特定の波長は反射率の高い2枚の鏡の間の距離に依存する。この距離を変更すると、フィルターを通過する波長も変化する。よって、FPSシステムのスペクトル帯域は鏡の横方向の距離の関数である。こうして1枚の鏡が光軸に沿ってスキャンされ、鏡の間の距離を効率的に変えることでスペクトル帯域が変更され、光源の異なるスペクトル成分が検知器に連続的に記録される。
【0009】
FTSおよびFPSシステムもまた画像スペクトル解析を行い、対象物の一点ごとのスペクトル構成を決定することが可能である。しかし、これらシステムの物理的形状のため、いくつかの制約がある。さらに、両システムとも視野が制限される。FTSシステムの場合を例に取ると、光は大きな角度では伝播しないため、システムの長さと鏡のサイズが小さいことにより視野が制限されることから、対象物上で測定が可能な点は限られる。他の問題は画像の位置合わせについてのものである。二次元画像は鏡のひとつをスキャンした際に得られる。鏡の振動や均一でないスキャン、ビームウォーキングなどスキャンに関連する問題から、異なるスペクトル帯域の画像の間で位置あわせの問題が生じる。FPSシステムの場合、二つの主な作用のため視野が狭められている。たとえば、光源からの光はシステムの外に出るまでに、鏡のある光キャビティの中で複数回反射する。入射光が対象物の光軸から離れた所から来た場合、この光はキャビティにゼロではない入射角度で入る。その結果、複数回の反射を繰り返しているうちに光は鏡に沿って動き、最終的には光キャビティから外へ漏れる。このことから、視野が増すにつれて、システムを通過する光は減少する。FPS構成のもう一つの問題点は、視野とともにスペクトルの帯域が変動することに関わる。鏡によるスペクトルの分離性能は視野角によって変わるので、スペクトルの帯域も変化する。視野角に依存するこのスペクトル変動を最小限に抑えるには、視野は必然的に狭いものとならざるを得ない。
【0010】
通常、スペクトル・スキャニング・システムには、本来その対象物の共焦点画像解析を行えるような設計になっていないという問題がある。共焦点画像解析システムには常に何らかの空間スキャニングが必要である。スペクトル・スキャニングには空間スキャニングの属性はなく、共焦点画像解析は不可能である。
【0011】
また、すべてのスペクトル・スキャニング・システムには、蛍光顕微鏡などの光量の少ない用途で使用される場合、根本的な欠陥がある。これらの用途では、対象物の蛍光性が露出時間とともに失われる光退色と呼ばれる現象や、また(フォトトキシシティ)現象が生じ、対象物を照射する光がその物質に有毒に作用する光毒症に悩まされている。すべてのスペクトル・スキャニング・システムでは波長をスキャンしている間、常に対象物全体に光を当てなければならない。その結果、後でスキャンして得られた画像(波長の長い画像)は光退色により最初の画像より暗くなる。画像取得後に画像の明るさを修正することは困難である。光毒症が問題となる場合、対象物が損傷を受けることで対象物の特性が時間とともに変化する。この作用を後ほど修正することはできない。
【0012】
空間スキャニング・システムではスペクトル・スキャニング・システムと同様の結果が得られるが、上述の問題は生じない。空間スキャニング・システムは光学的画像解析システムであり、二次元対象物の一部の画像が検出器で解析される。空間スキャニング・システムは通常、使用する分光機構により、プリズムによるシステム(米国特許第5,127,728号明細書で開示されたものなど)および格子を使用するシステムの2種類に分類される。一般的な空間スキャニング・システムでは、光路の分散要素が、検出器の1つの次元沿って画像にある各点の波長成分を拡散させる。この性質により検出器に一連の虹が効果的に作成される。プリズムを使用する場合、光の屈折により分散を行う。プリズムを使用するシステムの利点は、格子を使用するシステムより得られる光量が多いことである。しかし、プリズムを使用するシステムには、適切な視覚化および処理のため補間によるデータ補正を必要とする、非線形分散という大きな欠点がある。屈折による分散効果は回折によるものほど顕著ではないため、プリズムを使用するシステムには通常、格子によるシステムと同じ単位分散を得るため、より距離の長い光学ユニットが必要となる。格子によるシステムは線形分散を表示し、データ補正が不要である。格子によるシステムの分散はプリズムを使用するシステムより大きいので光学ユニットが短くなるが、効率はプリズムを使用するシステムより若干劣る。
【0013】
格子は光反射性もしくは透過性を有することが可能である。光反射に金属コートを使用する反射格子が、チェルニー−ターナー構成として知られる設計構成で画像解析スペクトロメータに使用されることが多い。この構成は、2枚の球形の鏡と平面状の反射格子のある対称光学設計を使用している。設計が対称なことで光の収差を最小限に抑えているが、適切な視野を得るには光学ユニットは長くなる傾向があり、コンパクトなシステムを開発することは難しい。さらに、チェルニー−ターナー構成で使用される反射格子は通常極性に非常に敏感な金属コートを使用して製作される。これによりP極性の光から得られる結果はS極性の光とは異なるものとなり、本質的に極性に依存する処理であることの多い蛍光顕微鏡を使用する際に重大な問題となる。「極性を問わない」コートを使用する透過格子および反射格子は極性にさほど左右されないので、同様の問題は生じない。本発明で開示しているとおり、よりコンパクトな設計を使用して相当の視野を得ることが可能である。
【0014】
空間スキャニングを行うためには、試料台(例としては電動式の台)を使用して対象物を1つの位置から次の位置に移動し、二次元画像を作成する。場合によっては、照明をスキャンし検知開口度を検出器(米国特許第6,166,373号明細書で開示されたものなど)と連動してスキャンする間、対象物は固定される。これらの方法は通常非常に遅く、生細胞顕微鏡画像解析法に必要とされる精度や時間分解能がない。
【0015】
最後に、これらすべての高スペクトル分解能画像解析システムでは、時間分解能の低い高スペクトル分解能画像解析しか行えない。多くの場合、高スペクトル分解能画像解析を使用して単独または複数の検出器(時間分解能の高いもの)で同時に得られる一連の最適な波長を特定することが望ましい。顕微鏡で使用する単独マルチモード・スペクトル画像解析システムの有効性の例は、「生細胞顕微鏡におけるスペクトル画像解析およびその利用(Spectral imaging and its applications in live cell microscopy )」 Timo Zimmermann, Jens Rietdorf, and Rainer Pepperkok, FEBS Letters 543, Advanced Light Microscopy Facility and Cell Biology/Cell Biophysics Programme, Heidelberg, Germany (May 2003), pages 87-92 で議論されている。
【0016】
さまざまな方法を使用して画像解析スペクトロメトリーを行えるが、従来の方法ではコンパクトで高速、フレキシブルなモジュール式システム内で必要とされる性能を実現することはできない。従来の方法はまた単独システム内で複数の画像解析モダリティを行うこともできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
顕微鏡の単独システム内でさまざまな画像解析モダリティ実現に適した、コンパクトで高速、フレキシブルなモジュール式システムに対するニーズは非常に高い。本発明はこのニーズを満たすものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
以下の発明の要旨は本発明に独自の革新的機能の一部についての理解を促進するために提供されるものであり、当業者にとっては明らかな変形形態をも完全に説明しようとするものではない。明細書、特許請求の範囲、図面、および要約書の全体を1つのものとして把握すれば、本発明のさまざまな側面が完全に理解されよう。
【0019】
本発明は多次元画像取得のためのスペクトル画像解析の方法および装置である。1つの実施態様において、本発明は、修正された照明プロファイルで対象物を照射する段階、照明された対象物の反射、透過、または蛍光画像を作成する段階、対象物をスキャンする段階、光の状態の変更後に反射光、透過光、または蛍光光の再解析を行う段階からなる対象物の多重モード・スペクトル画像解析の方法を具備する。
【0020】
1つの実施態様では、光の分散のための格子および対象物の空間スキャニングのための結晶ベースの圧電性試料台を使用する。格子サブアセンブリは全視野での画像解析が可能なように取り外し可能、もしくは異なる光学特性を持つ複数の成分画像の同時取得が可能になるよう光学ビーム・スプリット・モジュールと交換可能であることが望ましい。少なくとも1つの開口部が評価の対象物(画像解析を行っているのと同じ部分)の一部を照射し、共焦点操作ならびに光退色の不自然な結果および光毒性の抑制を可能とする。
【0021】
本発明の新規な点は、好ましい実施態様についての以下の詳細な説明を考察する際に、当業者にとっては明白となるか、または本発明の実行により確認することが可能である。しかし、本発明の特定の実施態様を示す、好ましい実施態様および提示された特定例の詳細な説明は、発明の精神および範囲内でのさまざまな変更および修正が以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲から当業者にとっては明白となることから、図示目的でのみ提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
添付図は本発明をさらに図示し、好ましい実施態様の詳細な説明と共に、本発明に関する一般的原理の説明の一助となるものである。
本発明の追加態様は、明細書に記載された非限定的実施態様および特許請求の範囲を添付図面とともに精査により明らかとなる。なお、図面全体において、同一の参照符号は同様な構成要素を示す。
【0023】
本発明は多次元画像取得用のマルチモード・スペクトル画像解析法および装置である。本発明により2つ以上の波長、極性、または強度で同一の二次元画像に対応する1つ以上の画像データ・キューブの作成が可能になる。1つの実施態様において、このデータ・キューブは2つのモードで作成可能である。モード1では、複数の高空間分解能画像を少数の波長(低空間分解能)または少数の極性状態、少数の強度のいずれかで同時に取得し、それにより高時間分解能の画像を取得する。モード2では高空間分解能画像作成に合わせて高空間分解能でスキャンを行う。しかし、モード2のスキャニングの性格上、時間分解能はスキャン・レートの制約を受ける。重要な照明条件を充足する際、モード2を追加の共焦点画像解析機能で稼動させることが可能である。すべての画像解析モードは対象物からの光を異なる光学特性の要素に分解する必要性に対応している。本発明の異なる操作モードにより、実験で必要となるさまざまな要素を柔軟に選択し、光による対象物の損傷を最小限に抑えつつ最高品質の画像が記録可能になる。単一の装置でこれら画像解析モードすべてを提供可能であることは、測定ごとに異なる装置を使用する際に常に惹起されるエラーを回避する上で極めて重要である。
【0024】
本発明のさまざまな態様の図示に用いられた図において、xおよびy座標を使用してスペクトロメータの光軸に直交する平面を表す。X軸およびy軸はそれぞれ水平方向および垂直方向に対応する。Z座標は機器の光軸沿った方向に対応する。
【0025】
本開示の目的において、波面の光の状態は波面の振幅、位相、極性、および周波数(波長)の組み合わせとして定義される。光フィルターは、入射波面の光の状態を修正するスペクトル・フィルターまたはNDフィルターまたは偏光子などのあらゆる構成部品として定義される。ビームスプリッターは単一の光ビームを複数の光ビームに分離する光学構成部品として定義される。例には二色フィルター(波長分離)および極性ビームスプリッター(極性分離)、振幅ビームスプリッター(振幅/強度分離)が含まれるがそれらに限定されるものではない。分散要素は入射光を成分波長に分解する構成部品として定義される。本開示の目的においては、格子は光の分散法として回折を使用する極性のないあらゆる分散要素として定義される。格子の例には平面格子、ブレーズ型格子、ボリューム・ホログラフィック格子、または音響光学同調フィルター(AOTF)を含むがそれらに限定されるものではない。重要な照明という用語は、照明光の焦点が対象物に当たっている光照明構成を意味するものとして定義される。
【0026】
図1に示された1つの実施態様において、本発明の方法は、以下の4つの段階を備えるものであるが、この段階は特定の順序である必要はない。その4つの段階とは、修正された照明プロファイルで対象物101を照明する段階、照明された対象物101の反射画像、透過画像、または蛍光画像を作成する段階、対象物101をスキャンする段階、および光の光学的状態の修正後に反射光、透過光、または蛍光光の再画像解析を行う段階である。再画像解析を行う段階で作成された画像はコンピュータ106またはその他の表示機器を使用して視覚化することが可能である。
【0027】
評価を行う対象物の反射画像、透過画像、または蛍光画像を作成する段階を実行するための典型的な装置103には対物レンズ、顕微鏡、または眼底カメラなどのさまざまな光学システムが含まれる場合がある。装置は対象物に照明を当て、照明を当てる対象物の反射画像、透過画像、または蛍光画像を形成するように構成されていることが望ましい。画像を作成する段階は当該技術分野で周知であるが、本発明で開示された、単一装置内で多重モード・スペクトル画像解析を可能とする特定の段階は、これまでに開示されていない。
【0028】
修正された照明プロファイルで対象物に照明を当てる段階では、光を対象物に発し、次いで、その光は、反射されるか、透過するか、または吸収されて蛍光として再放射される。また、この段階では対象物の位置で生成される照明プロファイルを修正する。たとえば蛍光顕微鏡システムでは、この点は、画像解析の対象となる部位にのみ照明が当てられるので対象物の光退色および光毒性を抑える上で大きく有利である。さらに、照明プロファイルの修正により照明の空間域が限定される際に、焦点画像平面から光を除去し画像のコントラストおよび解像度が改善することで共焦点効果が生まれる。修正が照明ビームの焦点を対象物上に当て重要な照明を作成するという形で行われる場合、照明のエネルギー密度がそれに対応して増加し共焦点効果がさらに大きくなる。当業者には知られているように、重要な照明の利用により光源に必要な電力も減少する。
【0029】
修正された照明プロファイルで対象物に照明を当てる段階を実行する代表的な装置201には最低1つの調整可能な開口部202および207、ならびに最低1つの光学構成部品203が含まれる場合がある。1つの実施態様において、調整可能な開口部202および207は顕微鏡またはその他の光学機器の照明光学システム201の視野絞り205に配置される場合がある。たとえば、視野絞り205に配置された開口部202および207(単一スリット開口部202など)は対象物204の照明プロファイルの空間域を制限する。この実施態様の一例として、調整可能な開口部202(図2bに図示)を使用することによって、照明を当てられる対象物204上で細い長方形状の領域を形成することが可能になる。あるいは(図2cに図示)、複数のスリットのある開口部207を使用して、データ多重化を行うことが可能である。これは、対象物204の複数の空間域からデータを同時に取得することができるからであり、それにより、対象物のスキャン時間を効果的に減少させることができる。
【0030】
代表的な光学構成部品203は顕微鏡の光源206または光源の画像またはその他の光学システムと照明システム201の視野絞り205との間にある。この代表的な光学構成部品203は光源構成部品206からの光を受けるようになっている必要がある。この光は疑似平行光線であり照明プロファイルに焦点を当て調整可能な開口部202および207のパターンに一致することが望ましい。調整可能な開口部202および207については、代表的な光学構成部品203は屈折光学部品209と回折光学部品210を組み合わせて使用し、視野絞り205で調整可能な開口部202および207のパターンに一致する空間パターンを生成する(例として、図2dから2fに図示)。
【0031】
照明サブアセンブリの調整可能な開口部の代表例が1つの実施態様において手動または電動(当該例としては電子制御モーター)制御されるように適合されている。図3aに示されたように、手動制御の実施態様300では、調整ノブ301および302、303が開口部304の正確な位置決めに用いられる。開口部304はマイクロメートルの精度で調整可能であることが望ましい。あるいは、電動制御の実施態様307(図3bに表示)では、ステッパー・モーター305はソフトウェアまたはハードウェア(またはその組み合わせ306)により制御され、開口部304の位置および大きさを正確に調整する。開口部装置202および207の両方、ならびに光学サブアセンブリ203は可動式であることが望ましい。開口部202および207ならびに光学サブアセンブリ203が光路にある場合、当該の照明プロファイルが修正された後に共焦点操作が行われるが、標準照明が必要な場合にはこれらサブアセンブリを取り外し、対象物に未修正の照明プロファイルを作成することも可能である。
【0032】
本発明のモード2操作は、対象物の各点の高スペクトル分解能画像を取得するよう適合していることが望ましい。データ・キューブを作成するには対象物のスキャンが必要である。本方法の望ましい実施態様では、対象物の空間情報を取得するための対象物の移動量はごく微量(マイクロメートルまたはマイクロメートル以下)である。
【0033】
図4に示されたように、対象物をスキャンする段階を行う装置の代表例には電動試料台が含まれる。この実施態様において、対象物をスキャンする段階は超高精度移動および高空間分解能を有する結晶ベースの圧電試料台400で行われる。結晶ベースの圧電式装置の代表的な実施態様は図4に示されている。図4の装置は、コンピュータ402で制御可能な圧電結晶スタックで構成される圧電アクチュエーター401を備えている。操作の際には、アクチュエーター401はカンチレバー403と接触状態に保持され、カンチレバー403のもう一方の終端は対象物保持装置404と接触状態に保持される。この台サブアセンブリは異なる形状の対象物保持装置404に対応している。アクチュエーター401の圧電結晶スタックに電圧が加えられるとスタックが膨張し、力が発生しまたは位置407でカンチレバーを押す。この力によりカンチレバー403は支点405を中心に回転し、対象物保持装置404を指定された方向に(図4で矢印が示す方向に)押す。電圧が下がるとアクチュエーター401の圧電結晶スタックは収縮し、位置408でカンチレバー403を引っ張る。これによりカンチレバー403は支点405を中心に逆方向に回転し、対象物保持装置404を逆方向に動かし元の位置に引き戻す。
【0034】
圧電アクチュエーターの動きを増幅することが可能となるので、カンチレバー403を使用することが望ましい。たとえば、アクチュエーター401の圧電スタックが距離xだけ膨張すると、対象物保持装置は距離Mx移動する。ここで、Mはアクチュエーター401の位置に対するカンチレバー403の支点405の位置により決定される。本発明でカンチレバー403を使用する利点は、対象物保持装置404が大型の圧電結晶スタックを使用せずに大きな距離を移動することが可能なことにある。
【0035】
最速の操作では、圧電アクチュエーター401はオープンループ・モード(位置のフィードバックを行う制御ループがない)で実行されることが望ましい。より高い精度と再現性が必要な場合には、圧電結晶スタックに位置センサー406を装着しループを効率的に閉じるフィードバックを行う。クローズドループ式圧電センサー406もコンピュータで制御可能である。
【0036】
光の再画像解析を行う段階は1つの実施態様において、光をその成分光の状態に分離する複数のモードで操作するために適用される。モード2では、この段階はたとえば対象物の1本(図5に図示)または複数本のスペクトル画像形成により実行される。1本の例では、対象物をスキャンすると各線の画像に関するスペクトル情報が図6に示されたように取得される。スキャンが終了すると情報の3次元データ・キューブが図6に例示されたように生成される(xおよびy、波長)。モード1の操作では、情報のデータ・キューブ取得は光の状態を修正した複数の画像を同時に取得して行う。モード1操作により2枚および4枚の画像を同時に取得する場合の例はそれぞれ図7aおよび7bに示されている。
【0037】
光の状態を修正後に光の再解析を行う装置の代表例は図8に示されている。この装置についてのその他の可能な実施態様の追加説明については米国特許第5,982,497号明細書および第5,926,283号明細書でも閲覧可能である。再解析装置の代表例は、画像収集サブアセンブリ801、分離サブアセンブリ830、画像解析サブアセンブリ880の3つのサブアセンブリから構成されている。本発明の1つの実施態様においては、画像収集サブアセンブリ801を対象物の中間画像生成に適用し、分離サブアセンブリ830を画像の各点からの光をその成分光の状態に分離することに適用し、画像解析サブアセンブリを別個の成分画像の焦点合わせおよび記録に適用することが望ましい。
【0038】
図8にあるように、画像収集サブアセンブリ801の代表例は単一または複数の要素からなる光学素子802、調整可能な検知開口部803、およびオプションの対物レンズ804から構成される。単一または複数の要素からなる光学素子802を使用し検知開口部803の位置で対象物の画像を作成することが望ましい。画像を作成する段階においてその他の光学システム(顕微鏡など)を使用する際には、光学素子802は顕微鏡の光学システムの一部となる(管レンズなど)。検知装置803はマイクロメートルの精度で調整可能であることが望ましい。操作では、検知開口部803を非常に小さくし顕微鏡で作成された画像のごく一部分のみが通過し対象物をスキャンする際に対象物の別の部分が検知開口部を通過するようにすることが望ましい。こうして対象物の空間寸法が得られる。オプションの対物レンズ804を検知開口部803のいずれかの側面に配置し、前の過程にある光学システム(顕微鏡など)の射出瞳が光の通過量を最大にしかつ空間およびスペクトル収差を最小とするため再解析装置内の正しい位置に置かれるようにする。
【0039】
分離サブアセンブリ830を適用して検知開口部803からの光を平行にし、その光を異なる光の状態の成分に分離することが望ましい。1つの実施態様において、分離サブアセンブリ830は検知開口部803の各点からの光を平行にする単一または複数の要素からなる光学素子831から構成される。この光学素子831は光の通過量を最大にしかつ空間およびスペクトル収差を最小とするために適用されることが望ましい。
【0040】
この光学素子に続くのが取り外し可能な機械サブアセンブリ840、940、1040、および1140である。このサブアセンブリはこの装置および方法の操作で異なるモードを実施するために適用され、またコンパクトな構造内にさまざまな光学部品を収納または安全に保持するために適用される場合がある。本発明のモード2操作では、機械サブアセンブリにはスペクトル成分を分離する格子844が含まれる場合がある。一例として、機械サブアセンブリを装置に完全に挿入すると、光は格子844を通過して分散し、スペクトル測定が可能となる。機械サブアセンブリが中間位置(バイパス・モード)に移動または取り外されると、格子844は光路から取り除かれ装置は光の状態を修正せずに再解析を行う。機械サブアセンブリ840、940、1040、および1140を光路から外すだけで良く、スペクトル画像解析が必要でない際にユーザーが再解析装置全体を取り外す必要がないなど、「バイパス・モード」の利点は極めて大きい。機械サブアセンブリ840、940、1040、および1140には互換性があることから、ユーザーは異なる用途に異なる機械サブアセンブリを使用することが可能となる。
【0041】
取り外し可能な機械サブアセンブリの1つの実施態様(図8に示された要素840)において、機械サブアセンブリ840はさまざまな光学部品を収納または安全に保持する場合がある。一例として、モード2では光は機械サブアセンブリ840の最初の反射鏡842の入射光線であり、分離サブアセンブリ830の第2の反射鏡に向かうように反射する。この光は第2の鏡843で再度反射し機械サブアセンブリ840の透過格子844に向かう。第2の鏡843は調整可能なので、格子844上の反射光線の入射角、すなわち回折角は検知器883で分離された波長成分882の正確な位置決めを行うよう調整が可能である。回折格子844も先端角や傾斜角、回転、軸方向の変位量について調整が可能であるので、回折ベクトルは検知器883の1次元に平行である。この機械サブアセンブリ840は二色、振幅、偏光ビームスプリッター、NDフィルター、スペクトル・フィルター、または偏光子などの1つ以上の光学部品841をオプションで保持し、入射光の光学的状態をさらに修正することが可能である。
【0042】
モード2における本発明操作のその他の例は図9に示されている。図9にあるように、取り外し可能な機械サブアセンブリ940は反射格子944の使用に適用される。この実施態様の例では、光は反射格子944に入射し、同時に分散、反射するので、分散光は分離サブアセンブリ930の反射鏡843に向かう。この光は鏡843で再度反射され画像解析サブアセンブリ880に向かう。反射格子944および反射鏡843の先端角、傾斜角、および軸方向の変位量は調整可能で、検知器883で分離された波長成分882の正確な位置決めを行うことが可能となる。回折格子944も回転について調整可能であり、分散ベクトルは検知器883の一次元に平行である。この機械サブアセンブリ940は二色、振幅、偏光ビームスプリッター、NDフィルター、スペクトル・フィルター、または偏光子などの1つ以上の光学部品841をオプションで保持し、入射光の光学的状態をさらに修正することが可能である。
【0043】
図10に示された取り外し可能な機械サブアセンブリのもう一つの実施態様例で、機械サブアセンブリ1040はさまざまな光学部品を収納または安全に保持し、検出器で異なる光の状態の複数の画像を同時に作成することが可能である。一例として、モード1ではビームスプリッターの特性に基づき入射光を複数の独立した光チャンネルに分離する光ビームスプリッター1041または一連の光ビームスプリッターに光は入射する。図10に示された例では、入射光を2つの独立した光チャンネル、すなわち反射ビームと透過ビーム1083に分離する単一の光ビームスプリッター1041が示されている。反射ビーム1082は分離サブアセンブリ1030の反射鏡843に伝播し、透過ビームは取り外し可能な機械サブアセンブリ1040の反射鏡1045に伝播する。これら反射鏡843および1045から反射した後、反射ビームは画像解析サブアセンブリ980に伝播する。透過ビームは分離サブアセンブリの第2の反射鏡843で反射され、画像解析サブアセンブリ980にも伝播する。反射鏡843も先端角、傾斜角、および軸方向の変位量について調整可能なことから、複数の成分画像が正確なピクセル単位の位置あわせにより検知器883上に形成される。この機械サブアセンブリ1040はNDフィルター、スペクトル・フィルター、または偏光子などの1つ以上の光学部品1044をオプションで保持し、分離した光チャンネルの光学的状態をさらに修正することが可能である。
【0044】
取り外し可能な機械サブアセンブリのもう一つの実施態様の例では、機械サブアセンブリはさまざまな光学部品を収納または安全に保持し、モード1およびモード2の画像解析特性を結合することが可能である。
【0045】
1つの実施態様の例において、図11の分離サブアセンブリ1130および取り外し可能な機械サブアセンブリ1140は図10について説明した文章に記載されているように機能するが、取り外し可能な機械サブアセンブリ1040の光フィルター1044は図11に示されているように透過格子844と交換される。このように、2つの異なる光の状態のスペクトルを検知器883上で同時に取得することが可能である。一例として、光ビームスプリッター1141が偏光ビームスプリッターの場合、入射光の各偏光状態についてスペクトル・データキューブを同時に取得することが可能である。
【0046】
さらに、この偏光ビームスプリッターは二色および/または偏光ビームスプリッターおよび/または振幅ビームスプリッターの組み合わせと置換し、追加の波長および/または偏光および/または強度チャンネルを同時に作成することが可能である。光ビームスプリッターのオプションの組み合わせはたとえば米国特許第5,982,497号明細書および第5,926,283号明細書で開示されている。
【0047】
図12aおよび12bは取り外し可能な機械サブアセンブリ840、940、1040、および1140に関する機械構造の1つの実施態様を示すものである。1つの光ビームスプリッターまたは一連の光ビームスプリッターを位置1202で保持可能である。反射鏡1045および1145または反射格子944は位置1204で保持可能である。取り外し可能な機械サブアセンブリがバイパス・モードの中間位置にある場合、対象物からの光は影響を受けずに孔1203を通過する。透過格子および/または光フィルターは1205で保持可能である。先端角、傾斜角、および軸方向の変位量の調整は1206、1207、1208、および1209で行われる。
【0048】
取り外し可能な機械サブアセンブリ840、940、1040、および1140の構成部品通過後、検知開口部803の各点からの光は適宜修正されている(異なる光の状態の成分に分離されている)。画像解析サブアセンブリ880の機能は、対応する検知器883上に修正された光ビームの焦点を結ぶことである。高スペクトル分解能画像解析では、開口部803の各点での波長の画像は検知器883が記録し、コンピュータ106で取得可能なので、適切なソフトウェアを使用して視覚化および処理が可能である。画像解析サブアセンブリ880は単一または複数の要素からなる光学素子881および画像記録用の検知器883から構成されることが望ましい。
【0049】
図13に示された別の実施態様において、画像解析サブアセンブリ1380には別個の複数の要素からなる光学素子1381および対応する検出器1383を含めることが可能なので、各チャンネル1382の画像解析を別個の検出器1383で行うことが可能である。この構成には、視野またはスペクトル分解能を犠牲にすることなく複数のスペクトル画像解析方法を行えるという利点がある(米国特許第5,982,497号明細書および第5,926,283号明細書に記述のとおり)。
【0050】
本発明は方法または装置として実施することが可能であるが、当業者は、本発明がプロセス、またはシステムとしても実施可能であることを認識するようになろう。当該発明のその他の変形形態および変更形態は当業者にとっては明らかであり、添付された特許請求の範囲によらない限り限定されない。上述の細目の値および構成は異なる場合があり、本発明の実施態様の例を図示するためのものである。本発明を使用することで本書で開示された原則に従う限り異なる特性を有するコンポーネントを扱うことが可能であると考えられる。この点について、本システムは本書において機能ブロック・コンポーネントまたはさまざまな処理段階、インタフェースの観点から説明可能である。当然のことであるが、当該機能ブロックは、指定した機能を実行するように構成されたさまざまな光学素子および/またはハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア・コンポーネントにより実施可能である。当業者にとっては既知の当該一般機能およびコンポーネントは本書にて詳述されていないが、本発明の精神および範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】多重モード・スペクトル画像解析方法および装置の典型的な構成図である。
【図2a】顕微鏡など図1で特定した光学システムの典型的な照明アームの図である。
【図2b】視野絞りの位置に配置された調整可能な単一スリット開口部のある顕微鏡など図1で特定した光学システムの典型的な照明アームの図である。
【図2c】視野絞りの位置に配置された調整可能な単一スリット開口部のある顕微鏡など図1で特定した光学システムの典型的な照明アームの別の図である。
【図2d】視野絞りの位置に配置された調整可能な単一スリット開口部および重要な照明を行う照明路に配置された光学部品のある顕微鏡など図1で特定した光学システムの典型的な照明アームの別の図である。
【図2e】視野絞りの位置に配置された調整可能な単一スリット開口部および重要度な照明を行う照明路に配置された光学部品のある顕微鏡など図1で特定した光学システムの典型的な照明アームの別の図である。
【図2f】視野絞りの位置に配置された調整可能な単一スリット開口部および重要な照明を行うため照明路に配置された回折光学部品を備える光学部品のある顕微鏡など図1で特定した光学システムの典型的な照明アームの別の図である。
【図3a】照明サブアセンブリの調整可能な手動式開口部の典型例を図示したものである。
【図3b】照明サブアセンブリの調整可能な電動式開口部の典型例を図示したものである。
【図4】結晶ベースの圧電式スキャニング・サブアセンブリの実施態様の内面図の例を図示したものである。
【図5】特定のスキャン位置で取得された単一スリット開口部の分散画像の例を図示したものである。
【図6】本発明が高スペクトル分解能で稼働する際(モード2で稼動)にスキャン中に取得した一連のスペクトル画像の例を図示したものである。
【図7a】一例を挙げれば本発明が高時間分解能で稼動する際(モード1で稼動)に取得した2つの同時成分画像を図示したものである。
【図7b】一例を挙げれば本発明が高時間分解能で稼動する際(モード1で稼動)に取得した4つの同時成分画像を図示したものである。
【図8】透過格子を使用する取り外し可能な機械サブアセンブリを使用する再画像解析サブアセンブリの例を図示したものである。
【図9】反射格子を使用する取り外し可能な機械サブアセンブリを使用する再画像解析サブアセンブリの例を図示したものである。
【図10】光学式ビームスプリットを使用する取り外し可能な機械サブアセンブリを使用する再画像解析サブアセンブリの例を図示したものである。
【図11】組み合わせ格子およびビームスプリットを使用する取り外し可能な機械サブアセンブリを使用する再画像解析サブアセンブリの例を図示したものである。
【図12a】取り外し可能な機械サブアセンブリの透視図の例を図示したものである。
【図12b】取り外し可能な機械サブアセンブリの別の透視図の例を図示したものである。
【図13】複数の画像解析サブアセンブリを使用する再画像解析サブアセンブリの例を図示したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学システムの修正された照明プロファイルで対象物を照明する段階と、
第2の光学システム導入により前記照明された対象物の反射、透過、または蛍光画像を作成する段階と、
高スペクトルおよび高時間分解能画像解析を行うため、光の状態の修正後少なくとも1つの検出器上で光画像の再解析を行う段階と、
スキャン手段により前記対象物をスキャンする段階と、
からなる、光学システムにおける対象物のスペクトル画像生成の方法。
【請求項2】
前記対象物を照明する段階がさらに、前記対象物上で1つ以上の縮小された照明部分を得るために、前記対象物に光学的に接合する位置で、光学システムの照明路に開口部を挿入する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象物を照明する段階がさらに、前記対象物の重要な照明を得るために、視野絞りの位置で光源の解析を行う段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記対象物を照明する段階がさらに、前記対象物の重要な照明を得るために、視野絞りの位置で光源の画像解析を行う段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光画像の再解析を行う段階がさらに、
光学システムが、開口部と実質的に一致する位置で光軸に沿って対象物の中間画像を受信可能とする段階と、
前記開口部の各点からの光を平行にして平行光とする段階と、
前記平行光を異なる光の状態の成分に分離する段階と、
前記分離された成分を光フィルターに通し、さらに光の状態を修正して、高帯域の分散を除去する段階と、
少なくとも1つの検出器上で前記分離された成分の画像解析を行う段階と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記平行光を分離する段階がさらに、分離に使用される光コンポーネントを含む互換モジュールを使用することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記平行光を分離する段階がさらに、少なくとも1つの格子により光の状態を修正する段階を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記平行光を分離する段階がさらに、少なくとも1つのビームスプリッターにより光の状態を修正する段階を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記平行光を分離する段階がさらに、少なくとも1つの格子および少なくとも1つのビームスプリッターの組み合わせにより光の状態を修正する段階を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記互換モジュールを中間位置に移動させて光の状態を修正せずに再解析を可能にする、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記再解析を行う段階がさらに、
光学システムが、開口部と実質的に一致する位置で光軸に沿って対象物の中間画像を受信可能とする段階と、
前記開口部の各点からの光を平行にする段階と、
少なくとも1つの光ビームスプリッターを使用して、前記光を少なくとも2つの別個の光チャンネルに分割する段階と、
構成スペクトル分離のために、少なくとも1つの光チャンネルで前記平行光を分散する段階と、
少なくとも1つの検出器上で各光チャンネルの画像解析を行う段階と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記光を分散する段階がさらに、各チャンネルで前記光をフィルタリングして、前記光の状態を修正するか、または高帯域の分散を除去することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記スキャン手段により前記対象物をスキャンする段階がさらに、
結晶の膨張または収縮に対応して、圧電結晶に電圧を印加する段階と、
前記圧電結晶が、隣接するカンチレバー、カンチレバーの長さ、および所望の分解能および動作の増幅を得るため選択されているカンチレバーの回転支点の位置を移動可能とする段階と、
前記カンチレバーとの機械的な伝達においてエンクロージャーで対象物を保持する段階と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記スキャン手段により前記対象物をスキャンする段階がさらに、前記圧電結晶の位置を監視して制御し、クローズドループ作業を行う段階を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1の方法に準拠して作られた装置。
【請求項1】
光学システムの修正された照明プロファイルで対象物を照明する段階と、
第2の光学システム導入により前記照明された対象物の反射、透過、または蛍光画像を作成する段階と、
高スペクトルおよび高時間分解能画像解析を行うため、光の状態の修正後少なくとも1つの検出器上で光画像の再解析を行う段階と、
スキャン手段により前記対象物をスキャンする段階と、
からなる、光学システムにおける対象物のスペクトル画像生成の方法。
【請求項2】
前記対象物を照明する段階がさらに、前記対象物上で1つ以上の縮小された照明部分を得るために、前記対象物に光学的に接合する位置で、光学システムの照明路に開口部を挿入する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象物を照明する段階がさらに、前記対象物の重要な照明を得るために、視野絞りの位置で光源の解析を行う段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記対象物を照明する段階がさらに、前記対象物の重要な照明を得るために、視野絞りの位置で光源の画像解析を行う段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光画像の再解析を行う段階がさらに、
光学システムが、開口部と実質的に一致する位置で光軸に沿って対象物の中間画像を受信可能とする段階と、
前記開口部の各点からの光を平行にして平行光とする段階と、
前記平行光を異なる光の状態の成分に分離する段階と、
前記分離された成分を光フィルターに通し、さらに光の状態を修正して、高帯域の分散を除去する段階と、
少なくとも1つの検出器上で前記分離された成分の画像解析を行う段階と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記平行光を分離する段階がさらに、分離に使用される光コンポーネントを含む互換モジュールを使用することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記平行光を分離する段階がさらに、少なくとも1つの格子により光の状態を修正する段階を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記平行光を分離する段階がさらに、少なくとも1つのビームスプリッターにより光の状態を修正する段階を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記平行光を分離する段階がさらに、少なくとも1つの格子および少なくとも1つのビームスプリッターの組み合わせにより光の状態を修正する段階を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記互換モジュールを中間位置に移動させて光の状態を修正せずに再解析を可能にする、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記再解析を行う段階がさらに、
光学システムが、開口部と実質的に一致する位置で光軸に沿って対象物の中間画像を受信可能とする段階と、
前記開口部の各点からの光を平行にする段階と、
少なくとも1つの光ビームスプリッターを使用して、前記光を少なくとも2つの別個の光チャンネルに分割する段階と、
構成スペクトル分離のために、少なくとも1つの光チャンネルで前記平行光を分散する段階と、
少なくとも1つの検出器上で各光チャンネルの画像解析を行う段階と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記光を分散する段階がさらに、各チャンネルで前記光をフィルタリングして、前記光の状態を修正するか、または高帯域の分散を除去することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記スキャン手段により前記対象物をスキャンする段階がさらに、
結晶の膨張または収縮に対応して、圧電結晶に電圧を印加する段階と、
前記圧電結晶が、隣接するカンチレバー、カンチレバーの長さ、および所望の分解能および動作の増幅を得るため選択されているカンチレバーの回転支点の位置を移動可能とする段階と、
前記カンチレバーとの機械的な伝達においてエンクロージャーで対象物を保持する段階と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記スキャン手段により前記対象物をスキャンする段階がさらに、前記圧電結晶の位置を監視して制御し、クローズドループ作業を行う段階を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1の方法に準拠して作られた装置。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図13】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図13】
【公表番号】特表2007−522445(P2007−522445A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551210(P2006−551210)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/001585
【国際公開番号】WO2005/121724
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(500013500)オプティカル インサイツ,リミティド ライアビリティー カンパニー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/001585
【国際公開番号】WO2005/121724
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(500013500)オプティカル インサイツ,リミティド ライアビリティー カンパニー (1)
【Fターム(参考)】
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