大規模構造物計測装置及び大規模構造物計測方法
【課題】 より大規模な構造物をより精密に、かつ、より容易に計測すること。
【解決手段】 計測対象物6に取り付けられる複数のマーカ2、3、5と、互いに異なる複数位置8−1〜8−4から計測対象物6の全体を映し出す複数の画像にそれぞれ撮像するカメラと、複数位置8−1〜8−4に独立に画像のうちのマーカ2、3、5が映し出される位置に基づいて計測対象物6の複数の測量対象点の3次元位置関係を算出する計測装置本体61とを備えている。マーカ2、3、5は、その複数の測量対象点をそれぞれ指示する複数の第1マーカ2と、第1マーカ2と異なる位置に配置される複数の第2マーカ3とから形成される。大規模構造物計測装置1は、第2マーカ3を設けることにより、第1マーカ2のみを設けることより正確に、かつ、より容易に測量対象点の3次元位置関係を算出することができる。
【解決手段】 計測対象物6に取り付けられる複数のマーカ2、3、5と、互いに異なる複数位置8−1〜8−4から計測対象物6の全体を映し出す複数の画像にそれぞれ撮像するカメラと、複数位置8−1〜8−4に独立に画像のうちのマーカ2、3、5が映し出される位置に基づいて計測対象物6の複数の測量対象点の3次元位置関係を算出する計測装置本体61とを備えている。マーカ2、3、5は、その複数の測量対象点をそれぞれ指示する複数の第1マーカ2と、第1マーカ2と異なる位置に配置される複数の第2マーカ3とから形成される。大規模構造物計測装置1は、第2マーカ3を設けることにより、第1マーカ2のみを設けることより正確に、かつ、より容易に測量対象点の3次元位置関係を算出することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大規模構造物計測装置及び大規模構造物計測方法に関し、特に、画像を用いて被写体の大きさを計測する大規模構造物計測装置及び大規模構造物計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を用いて被写体の大きさを計測するフォトグラメトリが知られている。そのフォトグラメトリは、互いに異なる複数の地点から被写体を撮像し、その画像に基づいてその撮影位置に独立に被写体上の各点相互の距離・角度を算出し、これを数値や図面で表現する方法である。このようなフォトグラメトリを実行するソフトウェアとしては、アメリカGeodeticServices社製の製品である「V−Star」、カナダEosSystems社製の製品である「PhotoModelerPro.」が例示される。
【0003】
橋梁に例示される10mを越える大規模構造物は、そのフォトグラメトリにより計測するときに、その大規模構造物の全体を映し出す画像が用いられ、または、その大規模構造物を複数の部分に分割して、その境界部分をオーバーラップしてその各部分を映し出す多数の画像が用いられる。その大規模構造物の全体を映し出す画像が用いられるときに、その大規模構造物の計測対象点は、画像に精密に映し出されないで、精密に計測されないことがある。その大規模構造物の分割された各部分を映し出す画像が用いられるときに、撮像される画像の枚数が多数になり、その画像を撮像することに手間がかかる。フォトグラメトリにより10mを越える大規模構造物をより精密に、かつ、より容易に計測することが望まれている。
【0004】
特開平10−206131号公報には、ロボットハンドの姿勢を変えることなく、前方向と上下左右方向の被計測物の計測を高精度に行うことができ、これによって安価な構成で、かつ計測時間の短縮を図ることのできる立体形状計測装置が開示されている。その立体形状計測装置は、投光手段と撮像手段とよりなる三次元視覚センサが前方向とその前方向に直交する横方向とに向けてそれぞれ一組ずつ配されるとともに、前後方向軸回りに回動自在に構成される計測子を備えることを特徴としている。
【0005】
特許2512132号公報には、建築又は土木現場において、ターゲットの捕捉が人手を要さずに容易にでき、特に任意に移動する物体や、この物体が巨大(例えばドームの開閉式天井等)であって多数の任意に変位する測点を繰返し測定する場合において、人手を要することなくしかも容易に測定することのできる建築又は土木現場用三次元位置測定装置が開示されている。その建築又は土木現場用三次元位置測定装置は、建築又は土木現場で使用される三次元位置測定装置において、中心部分に向けた光線の反射光の輝度が高いターゲットである球体または楕円体の再帰性反射体と、少なくとも該反射体の対向する中心部分を照射する照射装置と、該照射装置近傍部に各光軸が該照射光軸と平行となるように設けられた光波距離計及びテレビカメラと、該テレビカメラの水平角高度角の検出及び該検出信号の出力機能とテレビカメラの姿勢制御機能を備えた該テレビカメラ支承用の雲台と、該テレビカメラに接続された画像処理装置と、前記照射装置、光波距離計、雲台並びに画像処理装置に接続されたマイクロコンピュータとを有してなることを特徴としている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−206131号公報
【特許文献2】特許2512132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、より大規模な構造物をより精密に、かつ、より容易に計測する大規模構造物計測装置及び大規模構造物計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、発明を実施するための最良の形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0009】
本発明による大規模構造物計測装置(1)は、計測対象物(6)に取り付けられる複数のマーカ(2、3、5)と、互いに異なる複数位置(8−1〜8−4)から計測対象物(6)の全体を映し出す複数の画像にそれぞれ撮像するカメラと、複数位置(8−1〜8−4)に独立に画像のうちのマーカ(2、3、5)が映し出される位置に基づいて計測対象物(6)の複数の測量対象点の3次元位置関係を算出する計測装置本体(61)とを備えている。マーカ(2、3、5)は、その複数の測量対象点をそれぞれ指示する複数の第1マーカ(2)と、第1マーカ(2)と異なる位置に配置される複数の第2マーカ(3)とから形成される。大規模構造物計測装置(1)は、第2マーカ(3)を設けることにより、第1マーカ(2)のみを設けることより正確に、かつ、より容易に測量対象点の3次元位置関係を算出することができる。
【0010】
マーカ(2、3、5)は、球形を形成している球形ターゲット(14、15、33)と、計測対象物(6)から離れた位置に球形ターゲット(14、15、33)を支持する留め具(11、12、13、31、32)とを備えていることが好ましい。すなわち、マーカ(2、3、5)は、球形ターゲット(14、15、33)が複数位置(8−1〜8−4)から見えるように、球形ターゲット(14、15、33)を支持することができる。さらに、球形ターゲット(14、15、33)は、球形を形成していることにより、その複数位置(8−1〜8−4)から見える形が等しく、好ましい。このため、大規模構造物計測装置(1)は、より正確に、かつ、より容易に測量対象点の3次元位置関係を算出することができる。
【0011】
球形ターゲット(14、15、33)は、表面に反射塗料が塗装されていることが好ましい。このとき、カメラは、ストロボを備えているときに、球形ターゲット(14、15、33)の像をより確実に撮像することができる。
【0012】
マーカ(2、3、5)は、第1ターゲット(14)と第2ターゲット(15)とを備えている外挿マーカ(2)を含んでいることが好ましい。外挿マーカ(2)は、第1ターゲット(14)の位置と第2ターゲット(15)の位置とを所定の比に外分する点が測量対象点に配置されるように、計測対象物(6)に取り付けられる。このような外挿マーカ(2)によれば、複数位置(8−1〜8−4)から見難い位置の測量対象点の位置をより精密に計測することができる。
【0013】
第1ターゲット(14)と第2ターゲット(15)とは、それぞれ、球形を形成している。このとき、外挿マーカ(2)は、第1ターゲット(14)の中心と第2ターゲット(15)の中心とを所定の比に外分する点が測量対象点に配置されるように、計測対象物(6)に取り付けられる。このような外挿マーカ(2)によれば、複数位置(8−1〜8−4)から見難い位置の測量対象点の位置をより精密に計測することができる。
【0014】
本発明による大規模構造物計測装置(1)は、計測対象物(6)に取り付けられる複数のマーカ(2、3、5)と、互いに異なる複数位置(8−1〜8−4)から計測対象物(6)の全体を映し出す複数の画像にそれぞれ撮像するカメラと、複数位置(8−1〜8−4)に独立に画像のうちのマーカ(2、3、5)が映し出される位置に基づいて複数の測量対象点の3次元位置関係を算出する計測装置本体(61)とを備えている。マーカ(2、3、5)は、球形を形成している球形ターゲット(14、15、33)と、計測対象物(6)から離れた位置に球形ターゲット(14、15、33)を支持する留め具(11、12、13、31、32)とを備えている。すなわち、マーカ(2、3、5)は、球形ターゲット(14、15、33)が複数位置(8−1〜8−4)から見えるように、球形ターゲット(14、15、33)を支持することができる。さらに、球形ターゲット(14、15、33)は、球形を形成していることにより、その複数位置(8−1〜8−4)から見える形が等しく、好ましい。このため、大規模構造物計測装置(1)は、より正確に、かつ、より容易に測量対象点の3次元位置関係を算出することができる。
【0015】
球形ターゲット(14、15、33)は、表面に反射塗料が塗装されている。ことが好ましい。このとき、カメラは、ストロボを備えているときに、球形ターゲット(14、15、33)の像をより確実に撮像することができ、好ましい。
【0016】
マーカ(2、3、5)は、第1ターゲット(14)と第2ターゲット(15)とを備えている外挿マーカ(2)を含んでいることが好ましい。外挿マーカ(2)は、第1ターゲット(14)の位置と第2ターゲット(15)の位置とを所定の比に外分する点が測量対象点に配置されるように、計測対象物(6)に取り付けられる。このような外挿マーカ(2)によれば、複数位置(8−1〜8−4)から見難い位置の測量対象点の位置をより精密に計測することができる。
【0017】
第1ターゲット(14)と第2ターゲット(15)とは、それぞれ、球形を形成している。このとき、外挿マーカ(2)は、第1ターゲット(14)の中心と第2ターゲット(15)の中心とを所定の比に外分する点が測量対象点に配置されるように、計測対象物(6)に取り付けられる。このような外挿マーカ(2)によれば、複数位置(8−1〜8−4)から見難い位置の測量対象点の位置をより精密に計測することができる。
【0018】
本発明による大規模構造物計測装置(1)は、計測対象物(6)に取り付けられる複数のマーカ(2、3、5)と、互いに異なる複数位置(8−1〜8−4)から計測対象物(6)の全体を映し出す複数の画像にそれぞれ撮像するカメラと、複数位置(8−1〜8−4)に独立に画像のうちのマーカ(2、3、5)が映し出される位置に基づいて複数の測量対象点の3次元位置関係を算出する計測装置本体(61)とを備えている。マーカ(2、3、5)は、第1ターゲット(14)と第2ターゲット(15)とを備えている。外挿マーカ(2)を含んでいる。外挿マーカ(2)は、第1ターゲット(14)の位置と第2ターゲット(15)の位置とを所定の比に外分する点が測量対象点に配置されるように、計測対象物(6)に取り付けられる。このような外挿マーカ(2)によれば、複数位置(8−1〜8−4)から見難い位置の測量対象点の位置をより精密に計測することができる。
【0019】
第1ターゲット(14)と第2ターゲット(15)とは、それぞれ、球形を形成し、外挿マーカ(2)は、第1ターゲット(14)の中心と第2ターゲット(15)の中心とを所定の比に外分する点が測量対象点に配置されるように、計測対象物(6)に取り付けられる。このような外挿マーカ(2)によれば、複数位置(8−1〜8−4)から見難い位置の測量対象点の位置をより精密に計測することができる。
【0020】
計測対象物(6)は、複数の物体から形成されることが好ましい。すなわち、大規模構造物計測装置(1)は、複数の物体を1度に測量するときに好適である。
【0021】
本発明による大規模構造物計測方法は、カメラを用いて計測対象物(6)と概ね等しい大きさの範囲に分散配置される補正用マーカ(51−1〜51−m)を互いに異なる複数の位置から複数の補正用画像にそれぞれ撮像するステップ(S1、S2)と、複数の補正用画像に基づいてカメラの歪曲収差を補正する補正計数を算出するステップ(S3)と、カメラを用いて計測対象物(6)を複数の位置から複数の計測用画像にそれぞれ撮像するステップ(S11、S12)と、補正計数を用いて計測用画像を他の計測用画像に補正し、その複数位置(8−1〜8−4)に独立に他の計測用画像に基づいて計測対象物(6)の計測対象点の3次元位置関係を算出するステップ(S13、S14)とを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明による大規模構造物計測装置及び大規模構造物計測方法は、より大規模な構造物をより精密に、かつ、より容易に計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図面を参照して、本発明による大規模構造物計測装置の実施の形態を記載する。その大規模構造物計測装置1は、図1に示されているように、標準器7と複数の第1マーカ2と複数の第2マーカ3と複数の第3マーカ5とを備えている。標準器7は、既知の長さの棒状に形成されている。測量対象物6としては、10m以上の大規模構造物が例示される。そのような大規模構造物としては、橋梁の部品、建築物が例示される。その橋梁の部品としては、鈑桁、箱桁、床版が例示される。その建築物としては、LNGタンク、水門が例示される。標準器7の長さは、測量対象物6と概ね同じ長さであり、測量対象物6が10m〜20m程度の鈑桁であるときに、10mである。
【0024】
第1マーカ2は、それぞれ、測量対象物6に取り付けられ、測量対象物6の複数の測量対象点を指示している。第2マーカ3は、それぞれ、測量対象物6または測量対象物6以外のものに取り付けられ、測量対象物6の測量対象点以外の点を指示している。第2マーカ3は、10個以上が好ましい。標準器7は、測量対象物6の脇に配置されている。第3マーカ5は、それぞれ、標準器7に取り付けられ、標準器7の両端を指示している。
【0025】
大規模構造物計測装置1は、さらに、図示されていないデジタルカメラを備えている。そのデジタルカメラは、レンズとCCDとを備え、レンズを介して被写体から放射される光をCCDの感光面に結像させ、その感光面に結像される画像を電気信号として外部に出力する。そのデジタルカメラは、ストロボを備えている。そのストロボは、そのデジタルカメラが被写体の画像を撮影するときに、その被写体に光を照射する。
【0026】
そのデジタルカメラは、ユーザに手持ちされて移動し、複数の位置8−1〜8−4から測量対象物6の全体を映す画像を撮影する。その画像は、複数の位置8−1〜8−4のうちの1つの位置に対して複数が撮影される。測量対象物6の中心と複数の位置8−1〜8−4とは、概ね1つの平面上に配置されている。測量対象物6の中心と位置8−2とを結ぶ線分は、測量対象物6の中心と位置8−1とを結ぶ線分に概ね垂直である。測量対象物6の中心と位置8−3とを結ぶ線分は、測量対象物6の中心と位置8−2とを結ぶ線分に概ね垂直である。測量対象物6の中心と位置8−4とを結ぶ線分は、測量対象物6の中心と位置8−3とを結ぶ線分に概ね垂直である。測量対象物6の中心と位置8−1とを結ぶ線分は、測量対象物6の中心と位置8−4とを結ぶ線分に概ね垂直である。
【0027】
図2は、第1マーカ2を示している。第1マーカ2は、留め具11と支柱12と指示棒13と球形ターゲット14と球形ターゲット15とを備えている。留め具11は、マグネットから形成され、磁力により測量対象物6に吸い付いて固着している。なお、留め具11は、測量対象物6が磁性体から形成されていないときに、測量対象物6の一部を挟んで固着するクランプから形成されることもできる。
【0028】
支柱12は、第1支柱16と第2支柱17とユニバーサル機構19とを備えている。第1支柱16は、一端が固定具18を介して留め具11に固定され、他端がユニバーサル機構19に固定されている。第2支柱17は、一端がユニバーサル機構19に固定され、他端が固定具20を介して指示棒13に固定されている。ユニバーサル機構19は、任意の角度で二軸を連結する継ぎ手であり、第1支柱16と第2支柱17とを連結している。すなわち、支柱12は、指示棒13を留め具11に支持している。
【0029】
支持棒13は、直線状に形成され、その一端がとがって計測ポイント21を形成している。計測ポイント21は、測量対象物6の計測対象点にあてがわれて配置される。球形ターゲット14は、直径が30mmである球形を形成し、表面に反射塗料が塗布されている。その反射塗料は、光が入射した方向にその反射光を反射する。そのような反射塗料としては、ガラスビーズを含有する塗料が例示される。球形ターゲット14は、支持棒13の計測ポイント21と反対側の端に配置されている。球形ターゲット15は、直径が25mmである球形を形成し、表面に反射塗料が塗布されている。なお、球形ターゲット15は、直径を適宜変更することもできる。たとえば、球形ターゲット15の直径は、測量対象物6が10mより大きいときに、測量対象物6に比して大きくすることが好ましい。球形ターゲット15は、球形ターゲット15の中心とが計測ポイント21と球形ターゲット14の中心とを所定の比に内分する点に配置されるように、支持棒13の概ね中央に配置されている。すなわち、測量対象物6の計測対象点は、球形ターゲット14の中心と球形ターゲット15の中心とを所定の比に外分した点に配置される。
【0030】
図3は、第2マーカ3を示している。第2マーカ3は、留め具31と支柱32と球形ターゲット33とを備えている。留め具31は、マグネットから形成され、磁力により測量対象物6に吸い付いて固着している。なお、留め具31は、測量対象物6が磁性体から形成されていないときに、測量対象物6の一部を挟んで固着するクランプから形成されることもできる。支柱12は、直径が3mmであり、長さが200mmであるステンレス製の棒から形成されている。支柱12は、一端が留め具31に固定され、他端が球形ターゲット33に固定されている。球形ターゲット33は、直径が25mmである球形を形成し、表面に反射塗料が塗布されている。
【0031】
図4は、標準器7を示している。標準器7は、複数の部品41−1〜41−n(n=2,3,4,…)から形成されている。複数の部品41−1〜41−nは、それぞれ、長さが概ね等しい。たとえば、標準器7は、長さが10mであるときに、5つの部品41−1〜41−5から形成され、その部品41−1〜41−5は、それぞれ、長さが2mである。部品41−1は、一端に第3マーカ5が配置され、他端に部品41−2の一端が接続されている。部品41−i(i=2,3,…,n−1)は、一端に部品41−(i−1)の一端が接続され、他端に部品41−(i+1)の一端が接続されている。部品41−1は、一端に部品41−(n−1)の一端が接続され、他端に第3マーカ5が配置されている。標準器7は、さらに、支え42を備えている。支え42は、部品41−1〜41−nの長さ以下の間隔ごとに地盤に配置され、標準器7をその地盤に支持している。
【0032】
複数の部品41−1〜41−nは、測量対象物6と熱膨張係数が概ね同じ材料から形成されている。このとき、標準器7は、測量対象物6と同様に外気温により伸縮する。このため、大規模構造物計測装置1は、このような標準器7を用いて測量対象物6を計測するときに、温度補正する必要がなく、測量対象物6をより容易に計測することができる。
【0033】
第3マーカ5は、直径が25mmである球形を形成し、表面に反射塗料が塗布されている球形ターゲットから形成されている。その球形ターゲットは、中心が標準器7の端と一致するように、部品41−1の一端に配置され、部品41−nの一端に配置されている。
【0034】
大規模構造物計測装置1は、さらに、図5に示されているように、複数の第4マーカ51−1〜51−m(m=2,3,4,…)と大型歪曲補正板52とを備えている。各第4マーカ51−j(j=1,2,3,…,m)は、つや消しシール台紙と反射塗料と粘着剤とから形成されている。そのつや消しシール台紙は、長方形状のシートであり、表は光沢がない黒色をしている。その反射塗料は、そのつや消しシール台紙の表に直径が25mmの円を描いている。その粘着剤は、つや消しシール台紙の裏に塗布され、つや消しシール台紙と大型歪曲補正板52とを接着している。
【0035】
第4マーカ51−1〜51−mは、大型歪曲補正板52に概ね均等に分散されて配置されている。大型歪曲補正板52としては、測量対象物6を製造する工場建家の壁面が例示される。第4マーカ51−1〜51−mが大型歪曲補正板52に分散される範囲53は、測量対象物6の大きさと概ね等しい。すなわち、第4マーカ51−1〜51−mは、測量対象物6が約10mであるときに、最も離れた2つの第4マーカの距離が約10mになるように、大型歪曲補正板52に概ね均等に分散されて配置される。
【0036】
なお、このような第4マーカ51−jは、測定対象物6に貼りつけられることもできる。すなわち、第4マーカ51−jは、測定対象物6の測量対象点が複数の位置8−1〜8−4のうちの2つ場所の位置から見えるときに、第1マーカ2の代わりに、反射塗料が描く円の中心がその測量対象点に一致するように貼りつけられる。さらに、第4マーカ51−jは、第2マーカ3の代わりに、測定対象物6の複数の位置8−1〜8−4のうちの2つ以上の場所から見える位置に貼りつけられる。
【0037】
大規模構造物計測装置1は、さらに、大規模構造物計測装置本体61を備えている。大規模構造物計測装置本体61は、情報処理装置(コンピュータ)であり、図示されていないCPUと記憶装置と入力装置と出力装置とを備えている。大規模構造物計測装置本体61は、図6に示されているように、コンピュータプログラムである画像収集部62と画像処理部63と歪曲収差補正部64とマーカ位置関係算出部65とがインストールされている。
【0038】
画像収集部62は、入力装置を介してデジタルカメラにより撮像された画像を収集する。その画像は、第4マーカ51−1〜51−mを撮像した複数の歪曲収差補正用画像と測量対象物6を撮像した複数の計測用画像とから形成される。画像処理部63は、画像収集部62により収集された画像を画像処理して、その画像のなかで球形ターゲットの位置が映し出される位置を算出する。
【0039】
歪曲収差補正部64は、その歪曲収差補正用画像に基づいて撮影に用いられたデジタルカメラの歪曲収差を補正する補正係数を算出する。デジタルカメラは、一般に、被写体から放射される光がレンズを介してCCDの感光面に結像するときに、その結像した画像が理想的に結像した画像と比べて歪む歪曲収差を有している。このため、その複数の歪曲収差補正用画像に映し出される第4マーカ51−1〜51−mの位置に基づいて、デジタルカメラの撮影位置に独立に第4マーカ51−1〜51−mの3次元位置関係を算出するときに矛盾が生じる。すなわち、歪曲収差補正部64は、様々な値を用いてその歪曲収差補正用画像を他の画像に変換し、その変換された画像を用いて第4マーカ51−1〜51−mの3次元位置関係を算出する。歪曲収差補正部64は、第4マーカ51−1〜51−mの3次元位置関係を矛盾が生じないように算出することができる画像に変換するときに用いられた値をその補正係数として算出する。
【0040】
マーカ位置関係算出部65は、歪曲収差補正部64により算出された補正係数を用いて、画像処理部63により算出された球形ターゲットの画像のなかでの位置を補正する。マーカ位置関係算出部65は、その補正された球形ターゲットの画像のなかでの位置に基づいて、球形ターゲットの3次元位置関係をデジタルカメラの撮影位置に独立に算出する。マーカ位置関係算出部65は、さらに、球形ターゲットのうちの距離が既知であるものに基づいて、球形ターゲットの相互の距離を算出し、これを数値で表現する。
【0041】
本発明による大規模構造物計測方法の実施の形態は、大規模構造物計測装置1を用いて実行され、歪曲収差補正する動作と測量対象物6の大きさを計測する動作とを備えている。
【0042】
図7は、歪曲収差補正する動作を示している。ユーザは、まず、測量対象物6の大きさと概ね等しい範囲に第4マーカ51−1〜51−mが概ね均等に分散するように、大型歪曲補正板52に複数の第4マーカ51−1〜51−mを貼り付ける(ステップS1)。ユーザは、デジタルカメラを用いて、第4マーカ51−1〜51−mの全部を映し出す複数の歪曲収差補正用画像を互いに異なる複数の位置から撮像する(ステップS2)。ユーザは、その歪曲収差補正用画像を大規模構造物計測装置本体61に入力する。大規模構造物計測装置本体61は、その歪曲収差補正用画像に基づいて撮影に用いられたデジタルカメラの歪曲収差を補正する補正係数を算出する(ステップS3)。
【0043】
デジタルカメラは、一般に、被写体から放射される光がレンズを介してCCDの感光面に結像するときに、その結像した画像が理想的に結像した画像と比べて歪む歪曲収差を有している。このため、大規模構造物計測装置本体61は、その複数の歪曲収差補正用画像に映し出される第4マーカ51−1〜51−mの位置に基づいて、デジタルカメラの撮影位置に独立に第4マーカ51−1〜51−mの3次元位置関係を算出するときに矛盾が生じる。
【0044】
すなわち、大規模構造物計測装置本体61は、様々な値を用いてその歪曲収差補正用画像を他の画像に変換し、その変換された画像を用いて第4マーカ51−1〜51−mの3次元位置関係を算出する。大規模構造物計測装置本体61は、第4マーカ51−1〜51−mの3次元位置関係を矛盾が生じないように算出することができる画像に変換するときに用いられた値をその補正係数として算出する。
【0045】
図8は、測量対象物6の大きさを計測する動作を示している。ユーザは、まず、部品41−1〜41−nを標準器7に組み立て、測量対象物6の脇に設置する。ユーザは、さらに、第1マーカ2が測量対象物6の計測対称点を指示するように、第1マーカ2を測量対象物6に取り付ける。ユーザは、さらに、第3マーカ5が標準器7の両端を指示するように、第3マーカ5を標準器7に取り付ける。ユーザは、さらに、第1マーカ2と第2マーカ3と第3マーカ5とが均一に分散するように、第2マーカ3を配置する(ステップS11)。
【0046】
ユーザは、デジタルカメラを用いて、測量対象物6の全部を映し出す複数の計測用画像を互いに異なる複数の位置8−1〜8−4から撮像し(ステップS12)、その計測用画像を大規模構造物計測装置本体61に入力する。大規模構造物計測装置本体61は、歪曲収差補正する動作により算出された補正係数を用いてその計測用画像を変換し、変換された画像に基づいて第1マーカ2と第2マーカ3と第3マーカ5との3次元位置関係をデジタルカメラの撮影位置に独立に算出する(ステップS13)。大規模構造物計測装置本体61は、さらに、第3マーカ5が指示する標準器7の長さに基づいて、第1マーカ2が指示する各計測対象点の相互の距離を算出し(ステップS14)、これを数値で表現する。
【0047】
このような大規模構造物計測方法によれば、境界部分をオーバーラップして大規模構造物の複数の部分を映し出す画像を用いることより少ない枚数の画像を用いてその大規模構造物を測量することができ、より容易にその大規模構造物を測量することができる。さらに、その大規模構造物の全体を映し出す画像がその大規模構造物の計測対象点をより精密に指示することができる。このため、大規模構造物計測装置1は、より精密に大規模構造物を測量することができる。
【0048】
図9は、計測対象物の他の配置を示している。その計測対象物は、複数の計測対象物76−1〜76−3から形成されている。計測対象物76−1〜76−3は、それぞれ、鋼鉄から形成され、板状に形成される橋梁の部品である床版である。計測対象物76−1〜76−3は、地盤の上に積み重ねられて配置されている。標準器7は、計測対象物76−1〜76−3の脇に配置されている。第1マーカ2は、それぞれ、計測対象物76−1〜76−3に取り付けられ、測量対象物76−1〜76−3の複数の測量対象点を指示している。第2マーカ3は、それぞれ、測量対象物76−1〜76−3または測量対象物76−1〜76−3以外のものに取り付けられ、測量対象物76−1〜76−3の測量対象点以外の点を指示している。第2マーカ3は、10個以上が好ましい。第3マーカ5は、それぞれ、標準器7に取り付けられ、標準器7の両端を指示している。このような配置によれば、大規模構造物計測装置1は、複数の計測対象物76−1〜76−3を1度に測量することができ、好ましい。
【0049】
図10は、計測対象物のさらに他の配置を示している。その計測対象物は、計測対象物86−1〜86−2は、それぞれ、鋼鉄から形成され、板状に形成される橋梁の部品である床版である。計測対象物86−1〜86−2は、地盤の上に積み重ねられないで並べて配置されている。標準器7は、計測対象物86−2の上に配置されている。第1マーカ2は、それぞれ、計測対象物86−1〜86−2に取り付けられ、測量対象物86−1〜86−2の複数の測量対象点を指示している。第2マーカ3は、それぞれ、測量対象物86−1〜86−2または測量対象物86−1〜86−2以外のものに取り付けられ、測量対象物86−1〜86−2の測量対象点以外の点を指示している。第2マーカ3は、10個以上が好ましい。第3マーカ5は、それぞれ、標準器7に取り付けられ、標準器7の両端を指示している。このような配置によれば、大規模構造物計測装置1は、複数の計測対象物86−1〜86−2を1度に測量することができ、好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明による大規模構造物計測装置の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、第1マーカを示す平面図である。
【図3】図3は、第2マーカを示す平面図である。
【図4】図4は、標準器を示す平面図である。
【図5】図5は、第4マーカを示す平面図である。
【図6】図6は、大規模構造物計測装置本体を示すブロック図である。
【図7】図7は、歪曲収差補正する動作を示すフローチャートである。
【図8】図8は、計測対象物の大きさを計測する動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は、計測対象物の他の配置を示す斜視図である。
【図10】図10は、計測対象物のさらに他の配置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
1 :大規模構造物計測装置
2 :第1マーカ
3 :第2マーカ
5 :第3マーカ
6 :測量対象物
7 :標準器
8−1〜8−4:位置
11:留め具
12:支柱
13:指示棒
14:球形ターゲット
15:球形ターゲット
16:第1支柱
17:第2支柱
18:固定具
19:ユニバーサル機構
20:固定具
21:計測ポイント
31:留め具
32:支柱
33:球形ターゲット
41−1〜41−n:複数の部品
42:支え
51−1〜51−m:第4マーカ
52:大型歪曲補正板
53:範囲
61:大規模構造物計測装置本体
62:画像収集部
63:画像処理部
64:歪曲収差補正部
65:マーカ位置関係算出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、大規模構造物計測装置及び大規模構造物計測方法に関し、特に、画像を用いて被写体の大きさを計測する大規模構造物計測装置及び大規模構造物計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を用いて被写体の大きさを計測するフォトグラメトリが知られている。そのフォトグラメトリは、互いに異なる複数の地点から被写体を撮像し、その画像に基づいてその撮影位置に独立に被写体上の各点相互の距離・角度を算出し、これを数値や図面で表現する方法である。このようなフォトグラメトリを実行するソフトウェアとしては、アメリカGeodeticServices社製の製品である「V−Star」、カナダEosSystems社製の製品である「PhotoModelerPro.」が例示される。
【0003】
橋梁に例示される10mを越える大規模構造物は、そのフォトグラメトリにより計測するときに、その大規模構造物の全体を映し出す画像が用いられ、または、その大規模構造物を複数の部分に分割して、その境界部分をオーバーラップしてその各部分を映し出す多数の画像が用いられる。その大規模構造物の全体を映し出す画像が用いられるときに、その大規模構造物の計測対象点は、画像に精密に映し出されないで、精密に計測されないことがある。その大規模構造物の分割された各部分を映し出す画像が用いられるときに、撮像される画像の枚数が多数になり、その画像を撮像することに手間がかかる。フォトグラメトリにより10mを越える大規模構造物をより精密に、かつ、より容易に計測することが望まれている。
【0004】
特開平10−206131号公報には、ロボットハンドの姿勢を変えることなく、前方向と上下左右方向の被計測物の計測を高精度に行うことができ、これによって安価な構成で、かつ計測時間の短縮を図ることのできる立体形状計測装置が開示されている。その立体形状計測装置は、投光手段と撮像手段とよりなる三次元視覚センサが前方向とその前方向に直交する横方向とに向けてそれぞれ一組ずつ配されるとともに、前後方向軸回りに回動自在に構成される計測子を備えることを特徴としている。
【0005】
特許2512132号公報には、建築又は土木現場において、ターゲットの捕捉が人手を要さずに容易にでき、特に任意に移動する物体や、この物体が巨大(例えばドームの開閉式天井等)であって多数の任意に変位する測点を繰返し測定する場合において、人手を要することなくしかも容易に測定することのできる建築又は土木現場用三次元位置測定装置が開示されている。その建築又は土木現場用三次元位置測定装置は、建築又は土木現場で使用される三次元位置測定装置において、中心部分に向けた光線の反射光の輝度が高いターゲットである球体または楕円体の再帰性反射体と、少なくとも該反射体の対向する中心部分を照射する照射装置と、該照射装置近傍部に各光軸が該照射光軸と平行となるように設けられた光波距離計及びテレビカメラと、該テレビカメラの水平角高度角の検出及び該検出信号の出力機能とテレビカメラの姿勢制御機能を備えた該テレビカメラ支承用の雲台と、該テレビカメラに接続された画像処理装置と、前記照射装置、光波距離計、雲台並びに画像処理装置に接続されたマイクロコンピュータとを有してなることを特徴としている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−206131号公報
【特許文献2】特許2512132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、より大規模な構造物をより精密に、かつ、より容易に計測する大規模構造物計測装置及び大規模構造物計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、発明を実施するための最良の形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0009】
本発明による大規模構造物計測装置(1)は、計測対象物(6)に取り付けられる複数のマーカ(2、3、5)と、互いに異なる複数位置(8−1〜8−4)から計測対象物(6)の全体を映し出す複数の画像にそれぞれ撮像するカメラと、複数位置(8−1〜8−4)に独立に画像のうちのマーカ(2、3、5)が映し出される位置に基づいて計測対象物(6)の複数の測量対象点の3次元位置関係を算出する計測装置本体(61)とを備えている。マーカ(2、3、5)は、その複数の測量対象点をそれぞれ指示する複数の第1マーカ(2)と、第1マーカ(2)と異なる位置に配置される複数の第2マーカ(3)とから形成される。大規模構造物計測装置(1)は、第2マーカ(3)を設けることにより、第1マーカ(2)のみを設けることより正確に、かつ、より容易に測量対象点の3次元位置関係を算出することができる。
【0010】
マーカ(2、3、5)は、球形を形成している球形ターゲット(14、15、33)と、計測対象物(6)から離れた位置に球形ターゲット(14、15、33)を支持する留め具(11、12、13、31、32)とを備えていることが好ましい。すなわち、マーカ(2、3、5)は、球形ターゲット(14、15、33)が複数位置(8−1〜8−4)から見えるように、球形ターゲット(14、15、33)を支持することができる。さらに、球形ターゲット(14、15、33)は、球形を形成していることにより、その複数位置(8−1〜8−4)から見える形が等しく、好ましい。このため、大規模構造物計測装置(1)は、より正確に、かつ、より容易に測量対象点の3次元位置関係を算出することができる。
【0011】
球形ターゲット(14、15、33)は、表面に反射塗料が塗装されていることが好ましい。このとき、カメラは、ストロボを備えているときに、球形ターゲット(14、15、33)の像をより確実に撮像することができる。
【0012】
マーカ(2、3、5)は、第1ターゲット(14)と第2ターゲット(15)とを備えている外挿マーカ(2)を含んでいることが好ましい。外挿マーカ(2)は、第1ターゲット(14)の位置と第2ターゲット(15)の位置とを所定の比に外分する点が測量対象点に配置されるように、計測対象物(6)に取り付けられる。このような外挿マーカ(2)によれば、複数位置(8−1〜8−4)から見難い位置の測量対象点の位置をより精密に計測することができる。
【0013】
第1ターゲット(14)と第2ターゲット(15)とは、それぞれ、球形を形成している。このとき、外挿マーカ(2)は、第1ターゲット(14)の中心と第2ターゲット(15)の中心とを所定の比に外分する点が測量対象点に配置されるように、計測対象物(6)に取り付けられる。このような外挿マーカ(2)によれば、複数位置(8−1〜8−4)から見難い位置の測量対象点の位置をより精密に計測することができる。
【0014】
本発明による大規模構造物計測装置(1)は、計測対象物(6)に取り付けられる複数のマーカ(2、3、5)と、互いに異なる複数位置(8−1〜8−4)から計測対象物(6)の全体を映し出す複数の画像にそれぞれ撮像するカメラと、複数位置(8−1〜8−4)に独立に画像のうちのマーカ(2、3、5)が映し出される位置に基づいて複数の測量対象点の3次元位置関係を算出する計測装置本体(61)とを備えている。マーカ(2、3、5)は、球形を形成している球形ターゲット(14、15、33)と、計測対象物(6)から離れた位置に球形ターゲット(14、15、33)を支持する留め具(11、12、13、31、32)とを備えている。すなわち、マーカ(2、3、5)は、球形ターゲット(14、15、33)が複数位置(8−1〜8−4)から見えるように、球形ターゲット(14、15、33)を支持することができる。さらに、球形ターゲット(14、15、33)は、球形を形成していることにより、その複数位置(8−1〜8−4)から見える形が等しく、好ましい。このため、大規模構造物計測装置(1)は、より正確に、かつ、より容易に測量対象点の3次元位置関係を算出することができる。
【0015】
球形ターゲット(14、15、33)は、表面に反射塗料が塗装されている。ことが好ましい。このとき、カメラは、ストロボを備えているときに、球形ターゲット(14、15、33)の像をより確実に撮像することができ、好ましい。
【0016】
マーカ(2、3、5)は、第1ターゲット(14)と第2ターゲット(15)とを備えている外挿マーカ(2)を含んでいることが好ましい。外挿マーカ(2)は、第1ターゲット(14)の位置と第2ターゲット(15)の位置とを所定の比に外分する点が測量対象点に配置されるように、計測対象物(6)に取り付けられる。このような外挿マーカ(2)によれば、複数位置(8−1〜8−4)から見難い位置の測量対象点の位置をより精密に計測することができる。
【0017】
第1ターゲット(14)と第2ターゲット(15)とは、それぞれ、球形を形成している。このとき、外挿マーカ(2)は、第1ターゲット(14)の中心と第2ターゲット(15)の中心とを所定の比に外分する点が測量対象点に配置されるように、計測対象物(6)に取り付けられる。このような外挿マーカ(2)によれば、複数位置(8−1〜8−4)から見難い位置の測量対象点の位置をより精密に計測することができる。
【0018】
本発明による大規模構造物計測装置(1)は、計測対象物(6)に取り付けられる複数のマーカ(2、3、5)と、互いに異なる複数位置(8−1〜8−4)から計測対象物(6)の全体を映し出す複数の画像にそれぞれ撮像するカメラと、複数位置(8−1〜8−4)に独立に画像のうちのマーカ(2、3、5)が映し出される位置に基づいて複数の測量対象点の3次元位置関係を算出する計測装置本体(61)とを備えている。マーカ(2、3、5)は、第1ターゲット(14)と第2ターゲット(15)とを備えている。外挿マーカ(2)を含んでいる。外挿マーカ(2)は、第1ターゲット(14)の位置と第2ターゲット(15)の位置とを所定の比に外分する点が測量対象点に配置されるように、計測対象物(6)に取り付けられる。このような外挿マーカ(2)によれば、複数位置(8−1〜8−4)から見難い位置の測量対象点の位置をより精密に計測することができる。
【0019】
第1ターゲット(14)と第2ターゲット(15)とは、それぞれ、球形を形成し、外挿マーカ(2)は、第1ターゲット(14)の中心と第2ターゲット(15)の中心とを所定の比に外分する点が測量対象点に配置されるように、計測対象物(6)に取り付けられる。このような外挿マーカ(2)によれば、複数位置(8−1〜8−4)から見難い位置の測量対象点の位置をより精密に計測することができる。
【0020】
計測対象物(6)は、複数の物体から形成されることが好ましい。すなわち、大規模構造物計測装置(1)は、複数の物体を1度に測量するときに好適である。
【0021】
本発明による大規模構造物計測方法は、カメラを用いて計測対象物(6)と概ね等しい大きさの範囲に分散配置される補正用マーカ(51−1〜51−m)を互いに異なる複数の位置から複数の補正用画像にそれぞれ撮像するステップ(S1、S2)と、複数の補正用画像に基づいてカメラの歪曲収差を補正する補正計数を算出するステップ(S3)と、カメラを用いて計測対象物(6)を複数の位置から複数の計測用画像にそれぞれ撮像するステップ(S11、S12)と、補正計数を用いて計測用画像を他の計測用画像に補正し、その複数位置(8−1〜8−4)に独立に他の計測用画像に基づいて計測対象物(6)の計測対象点の3次元位置関係を算出するステップ(S13、S14)とを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明による大規模構造物計測装置及び大規模構造物計測方法は、より大規模な構造物をより精密に、かつ、より容易に計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図面を参照して、本発明による大規模構造物計測装置の実施の形態を記載する。その大規模構造物計測装置1は、図1に示されているように、標準器7と複数の第1マーカ2と複数の第2マーカ3と複数の第3マーカ5とを備えている。標準器7は、既知の長さの棒状に形成されている。測量対象物6としては、10m以上の大規模構造物が例示される。そのような大規模構造物としては、橋梁の部品、建築物が例示される。その橋梁の部品としては、鈑桁、箱桁、床版が例示される。その建築物としては、LNGタンク、水門が例示される。標準器7の長さは、測量対象物6と概ね同じ長さであり、測量対象物6が10m〜20m程度の鈑桁であるときに、10mである。
【0024】
第1マーカ2は、それぞれ、測量対象物6に取り付けられ、測量対象物6の複数の測量対象点を指示している。第2マーカ3は、それぞれ、測量対象物6または測量対象物6以外のものに取り付けられ、測量対象物6の測量対象点以外の点を指示している。第2マーカ3は、10個以上が好ましい。標準器7は、測量対象物6の脇に配置されている。第3マーカ5は、それぞれ、標準器7に取り付けられ、標準器7の両端を指示している。
【0025】
大規模構造物計測装置1は、さらに、図示されていないデジタルカメラを備えている。そのデジタルカメラは、レンズとCCDとを備え、レンズを介して被写体から放射される光をCCDの感光面に結像させ、その感光面に結像される画像を電気信号として外部に出力する。そのデジタルカメラは、ストロボを備えている。そのストロボは、そのデジタルカメラが被写体の画像を撮影するときに、その被写体に光を照射する。
【0026】
そのデジタルカメラは、ユーザに手持ちされて移動し、複数の位置8−1〜8−4から測量対象物6の全体を映す画像を撮影する。その画像は、複数の位置8−1〜8−4のうちの1つの位置に対して複数が撮影される。測量対象物6の中心と複数の位置8−1〜8−4とは、概ね1つの平面上に配置されている。測量対象物6の中心と位置8−2とを結ぶ線分は、測量対象物6の中心と位置8−1とを結ぶ線分に概ね垂直である。測量対象物6の中心と位置8−3とを結ぶ線分は、測量対象物6の中心と位置8−2とを結ぶ線分に概ね垂直である。測量対象物6の中心と位置8−4とを結ぶ線分は、測量対象物6の中心と位置8−3とを結ぶ線分に概ね垂直である。測量対象物6の中心と位置8−1とを結ぶ線分は、測量対象物6の中心と位置8−4とを結ぶ線分に概ね垂直である。
【0027】
図2は、第1マーカ2を示している。第1マーカ2は、留め具11と支柱12と指示棒13と球形ターゲット14と球形ターゲット15とを備えている。留め具11は、マグネットから形成され、磁力により測量対象物6に吸い付いて固着している。なお、留め具11は、測量対象物6が磁性体から形成されていないときに、測量対象物6の一部を挟んで固着するクランプから形成されることもできる。
【0028】
支柱12は、第1支柱16と第2支柱17とユニバーサル機構19とを備えている。第1支柱16は、一端が固定具18を介して留め具11に固定され、他端がユニバーサル機構19に固定されている。第2支柱17は、一端がユニバーサル機構19に固定され、他端が固定具20を介して指示棒13に固定されている。ユニバーサル機構19は、任意の角度で二軸を連結する継ぎ手であり、第1支柱16と第2支柱17とを連結している。すなわち、支柱12は、指示棒13を留め具11に支持している。
【0029】
支持棒13は、直線状に形成され、その一端がとがって計測ポイント21を形成している。計測ポイント21は、測量対象物6の計測対象点にあてがわれて配置される。球形ターゲット14は、直径が30mmである球形を形成し、表面に反射塗料が塗布されている。その反射塗料は、光が入射した方向にその反射光を反射する。そのような反射塗料としては、ガラスビーズを含有する塗料が例示される。球形ターゲット14は、支持棒13の計測ポイント21と反対側の端に配置されている。球形ターゲット15は、直径が25mmである球形を形成し、表面に反射塗料が塗布されている。なお、球形ターゲット15は、直径を適宜変更することもできる。たとえば、球形ターゲット15の直径は、測量対象物6が10mより大きいときに、測量対象物6に比して大きくすることが好ましい。球形ターゲット15は、球形ターゲット15の中心とが計測ポイント21と球形ターゲット14の中心とを所定の比に内分する点に配置されるように、支持棒13の概ね中央に配置されている。すなわち、測量対象物6の計測対象点は、球形ターゲット14の中心と球形ターゲット15の中心とを所定の比に外分した点に配置される。
【0030】
図3は、第2マーカ3を示している。第2マーカ3は、留め具31と支柱32と球形ターゲット33とを備えている。留め具31は、マグネットから形成され、磁力により測量対象物6に吸い付いて固着している。なお、留め具31は、測量対象物6が磁性体から形成されていないときに、測量対象物6の一部を挟んで固着するクランプから形成されることもできる。支柱12は、直径が3mmであり、長さが200mmであるステンレス製の棒から形成されている。支柱12は、一端が留め具31に固定され、他端が球形ターゲット33に固定されている。球形ターゲット33は、直径が25mmである球形を形成し、表面に反射塗料が塗布されている。
【0031】
図4は、標準器7を示している。標準器7は、複数の部品41−1〜41−n(n=2,3,4,…)から形成されている。複数の部品41−1〜41−nは、それぞれ、長さが概ね等しい。たとえば、標準器7は、長さが10mであるときに、5つの部品41−1〜41−5から形成され、その部品41−1〜41−5は、それぞれ、長さが2mである。部品41−1は、一端に第3マーカ5が配置され、他端に部品41−2の一端が接続されている。部品41−i(i=2,3,…,n−1)は、一端に部品41−(i−1)の一端が接続され、他端に部品41−(i+1)の一端が接続されている。部品41−1は、一端に部品41−(n−1)の一端が接続され、他端に第3マーカ5が配置されている。標準器7は、さらに、支え42を備えている。支え42は、部品41−1〜41−nの長さ以下の間隔ごとに地盤に配置され、標準器7をその地盤に支持している。
【0032】
複数の部品41−1〜41−nは、測量対象物6と熱膨張係数が概ね同じ材料から形成されている。このとき、標準器7は、測量対象物6と同様に外気温により伸縮する。このため、大規模構造物計測装置1は、このような標準器7を用いて測量対象物6を計測するときに、温度補正する必要がなく、測量対象物6をより容易に計測することができる。
【0033】
第3マーカ5は、直径が25mmである球形を形成し、表面に反射塗料が塗布されている球形ターゲットから形成されている。その球形ターゲットは、中心が標準器7の端と一致するように、部品41−1の一端に配置され、部品41−nの一端に配置されている。
【0034】
大規模構造物計測装置1は、さらに、図5に示されているように、複数の第4マーカ51−1〜51−m(m=2,3,4,…)と大型歪曲補正板52とを備えている。各第4マーカ51−j(j=1,2,3,…,m)は、つや消しシール台紙と反射塗料と粘着剤とから形成されている。そのつや消しシール台紙は、長方形状のシートであり、表は光沢がない黒色をしている。その反射塗料は、そのつや消しシール台紙の表に直径が25mmの円を描いている。その粘着剤は、つや消しシール台紙の裏に塗布され、つや消しシール台紙と大型歪曲補正板52とを接着している。
【0035】
第4マーカ51−1〜51−mは、大型歪曲補正板52に概ね均等に分散されて配置されている。大型歪曲補正板52としては、測量対象物6を製造する工場建家の壁面が例示される。第4マーカ51−1〜51−mが大型歪曲補正板52に分散される範囲53は、測量対象物6の大きさと概ね等しい。すなわち、第4マーカ51−1〜51−mは、測量対象物6が約10mであるときに、最も離れた2つの第4マーカの距離が約10mになるように、大型歪曲補正板52に概ね均等に分散されて配置される。
【0036】
なお、このような第4マーカ51−jは、測定対象物6に貼りつけられることもできる。すなわち、第4マーカ51−jは、測定対象物6の測量対象点が複数の位置8−1〜8−4のうちの2つ場所の位置から見えるときに、第1マーカ2の代わりに、反射塗料が描く円の中心がその測量対象点に一致するように貼りつけられる。さらに、第4マーカ51−jは、第2マーカ3の代わりに、測定対象物6の複数の位置8−1〜8−4のうちの2つ以上の場所から見える位置に貼りつけられる。
【0037】
大規模構造物計測装置1は、さらに、大規模構造物計測装置本体61を備えている。大規模構造物計測装置本体61は、情報処理装置(コンピュータ)であり、図示されていないCPUと記憶装置と入力装置と出力装置とを備えている。大規模構造物計測装置本体61は、図6に示されているように、コンピュータプログラムである画像収集部62と画像処理部63と歪曲収差補正部64とマーカ位置関係算出部65とがインストールされている。
【0038】
画像収集部62は、入力装置を介してデジタルカメラにより撮像された画像を収集する。その画像は、第4マーカ51−1〜51−mを撮像した複数の歪曲収差補正用画像と測量対象物6を撮像した複数の計測用画像とから形成される。画像処理部63は、画像収集部62により収集された画像を画像処理して、その画像のなかで球形ターゲットの位置が映し出される位置を算出する。
【0039】
歪曲収差補正部64は、その歪曲収差補正用画像に基づいて撮影に用いられたデジタルカメラの歪曲収差を補正する補正係数を算出する。デジタルカメラは、一般に、被写体から放射される光がレンズを介してCCDの感光面に結像するときに、その結像した画像が理想的に結像した画像と比べて歪む歪曲収差を有している。このため、その複数の歪曲収差補正用画像に映し出される第4マーカ51−1〜51−mの位置に基づいて、デジタルカメラの撮影位置に独立に第4マーカ51−1〜51−mの3次元位置関係を算出するときに矛盾が生じる。すなわち、歪曲収差補正部64は、様々な値を用いてその歪曲収差補正用画像を他の画像に変換し、その変換された画像を用いて第4マーカ51−1〜51−mの3次元位置関係を算出する。歪曲収差補正部64は、第4マーカ51−1〜51−mの3次元位置関係を矛盾が生じないように算出することができる画像に変換するときに用いられた値をその補正係数として算出する。
【0040】
マーカ位置関係算出部65は、歪曲収差補正部64により算出された補正係数を用いて、画像処理部63により算出された球形ターゲットの画像のなかでの位置を補正する。マーカ位置関係算出部65は、その補正された球形ターゲットの画像のなかでの位置に基づいて、球形ターゲットの3次元位置関係をデジタルカメラの撮影位置に独立に算出する。マーカ位置関係算出部65は、さらに、球形ターゲットのうちの距離が既知であるものに基づいて、球形ターゲットの相互の距離を算出し、これを数値で表現する。
【0041】
本発明による大規模構造物計測方法の実施の形態は、大規模構造物計測装置1を用いて実行され、歪曲収差補正する動作と測量対象物6の大きさを計測する動作とを備えている。
【0042】
図7は、歪曲収差補正する動作を示している。ユーザは、まず、測量対象物6の大きさと概ね等しい範囲に第4マーカ51−1〜51−mが概ね均等に分散するように、大型歪曲補正板52に複数の第4マーカ51−1〜51−mを貼り付ける(ステップS1)。ユーザは、デジタルカメラを用いて、第4マーカ51−1〜51−mの全部を映し出す複数の歪曲収差補正用画像を互いに異なる複数の位置から撮像する(ステップS2)。ユーザは、その歪曲収差補正用画像を大規模構造物計測装置本体61に入力する。大規模構造物計測装置本体61は、その歪曲収差補正用画像に基づいて撮影に用いられたデジタルカメラの歪曲収差を補正する補正係数を算出する(ステップS3)。
【0043】
デジタルカメラは、一般に、被写体から放射される光がレンズを介してCCDの感光面に結像するときに、その結像した画像が理想的に結像した画像と比べて歪む歪曲収差を有している。このため、大規模構造物計測装置本体61は、その複数の歪曲収差補正用画像に映し出される第4マーカ51−1〜51−mの位置に基づいて、デジタルカメラの撮影位置に独立に第4マーカ51−1〜51−mの3次元位置関係を算出するときに矛盾が生じる。
【0044】
すなわち、大規模構造物計測装置本体61は、様々な値を用いてその歪曲収差補正用画像を他の画像に変換し、その変換された画像を用いて第4マーカ51−1〜51−mの3次元位置関係を算出する。大規模構造物計測装置本体61は、第4マーカ51−1〜51−mの3次元位置関係を矛盾が生じないように算出することができる画像に変換するときに用いられた値をその補正係数として算出する。
【0045】
図8は、測量対象物6の大きさを計測する動作を示している。ユーザは、まず、部品41−1〜41−nを標準器7に組み立て、測量対象物6の脇に設置する。ユーザは、さらに、第1マーカ2が測量対象物6の計測対称点を指示するように、第1マーカ2を測量対象物6に取り付ける。ユーザは、さらに、第3マーカ5が標準器7の両端を指示するように、第3マーカ5を標準器7に取り付ける。ユーザは、さらに、第1マーカ2と第2マーカ3と第3マーカ5とが均一に分散するように、第2マーカ3を配置する(ステップS11)。
【0046】
ユーザは、デジタルカメラを用いて、測量対象物6の全部を映し出す複数の計測用画像を互いに異なる複数の位置8−1〜8−4から撮像し(ステップS12)、その計測用画像を大規模構造物計測装置本体61に入力する。大規模構造物計測装置本体61は、歪曲収差補正する動作により算出された補正係数を用いてその計測用画像を変換し、変換された画像に基づいて第1マーカ2と第2マーカ3と第3マーカ5との3次元位置関係をデジタルカメラの撮影位置に独立に算出する(ステップS13)。大規模構造物計測装置本体61は、さらに、第3マーカ5が指示する標準器7の長さに基づいて、第1マーカ2が指示する各計測対象点の相互の距離を算出し(ステップS14)、これを数値で表現する。
【0047】
このような大規模構造物計測方法によれば、境界部分をオーバーラップして大規模構造物の複数の部分を映し出す画像を用いることより少ない枚数の画像を用いてその大規模構造物を測量することができ、より容易にその大規模構造物を測量することができる。さらに、その大規模構造物の全体を映し出す画像がその大規模構造物の計測対象点をより精密に指示することができる。このため、大規模構造物計測装置1は、より精密に大規模構造物を測量することができる。
【0048】
図9は、計測対象物の他の配置を示している。その計測対象物は、複数の計測対象物76−1〜76−3から形成されている。計測対象物76−1〜76−3は、それぞれ、鋼鉄から形成され、板状に形成される橋梁の部品である床版である。計測対象物76−1〜76−3は、地盤の上に積み重ねられて配置されている。標準器7は、計測対象物76−1〜76−3の脇に配置されている。第1マーカ2は、それぞれ、計測対象物76−1〜76−3に取り付けられ、測量対象物76−1〜76−3の複数の測量対象点を指示している。第2マーカ3は、それぞれ、測量対象物76−1〜76−3または測量対象物76−1〜76−3以外のものに取り付けられ、測量対象物76−1〜76−3の測量対象点以外の点を指示している。第2マーカ3は、10個以上が好ましい。第3マーカ5は、それぞれ、標準器7に取り付けられ、標準器7の両端を指示している。このような配置によれば、大規模構造物計測装置1は、複数の計測対象物76−1〜76−3を1度に測量することができ、好ましい。
【0049】
図10は、計測対象物のさらに他の配置を示している。その計測対象物は、計測対象物86−1〜86−2は、それぞれ、鋼鉄から形成され、板状に形成される橋梁の部品である床版である。計測対象物86−1〜86−2は、地盤の上に積み重ねられないで並べて配置されている。標準器7は、計測対象物86−2の上に配置されている。第1マーカ2は、それぞれ、計測対象物86−1〜86−2に取り付けられ、測量対象物86−1〜86−2の複数の測量対象点を指示している。第2マーカ3は、それぞれ、測量対象物86−1〜86−2または測量対象物86−1〜86−2以外のものに取り付けられ、測量対象物86−1〜86−2の測量対象点以外の点を指示している。第2マーカ3は、10個以上が好ましい。第3マーカ5は、それぞれ、標準器7に取り付けられ、標準器7の両端を指示している。このような配置によれば、大規模構造物計測装置1は、複数の計測対象物86−1〜86−2を1度に測量することができ、好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明による大規模構造物計測装置の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、第1マーカを示す平面図である。
【図3】図3は、第2マーカを示す平面図である。
【図4】図4は、標準器を示す平面図である。
【図5】図5は、第4マーカを示す平面図である。
【図6】図6は、大規模構造物計測装置本体を示すブロック図である。
【図7】図7は、歪曲収差補正する動作を示すフローチャートである。
【図8】図8は、計測対象物の大きさを計測する動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は、計測対象物の他の配置を示す斜視図である。
【図10】図10は、計測対象物のさらに他の配置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
1 :大規模構造物計測装置
2 :第1マーカ
3 :第2マーカ
5 :第3マーカ
6 :測量対象物
7 :標準器
8−1〜8−4:位置
11:留め具
12:支柱
13:指示棒
14:球形ターゲット
15:球形ターゲット
16:第1支柱
17:第2支柱
18:固定具
19:ユニバーサル機構
20:固定具
21:計測ポイント
31:留め具
32:支柱
33:球形ターゲット
41−1〜41−n:複数の部品
42:支え
51−1〜51−m:第4マーカ
52:大型歪曲補正板
53:範囲
61:大規模構造物計測装置本体
62:画像収集部
63:画像処理部
64:歪曲収差補正部
65:マーカ位置関係算出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象物に取り付けられる複数のマーカと、
互いに異なる複数位置から前記計測対象物の全体を映し出す複数の画像にそれぞれ撮像するカメラと、
前記複数位置に独立に前記画像のうちの前記マーカが映し出される位置に基づいて前記計測対象物の複数の測量対象点の3次元位置関係を算出する計測装置本体とを具備し、
前記マーカは、
前記複数の測量対象点をそれぞれ指示する複数の第1マーカと、
前記第1マーカと異なる位置に配置される複数の第2マーカとから形成される
大規模構造物計測装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記マーカは、
球形を形成している球形ターゲットと、
前記計測対象物から離れた位置に前記球形ターゲットを支持する留め具とを備える
大規模構造物計測装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記球形ターゲットは、表面に反射塗料が塗装されている
大規模構造物計測装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかにおいて、
前記マーカは、第1ターゲットと第2ターゲットとを備える外挿マーカを含み、
前記外挿マーカは、前記第1ターゲットの位置と前記第2ターゲットの位置とを所定の比に外分する点が前記測量対象点に配置されるように、前記計測対象物に取り付けられる
大規模構造物計測装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1ターゲットと前記第2ターゲットとは、それぞれ、球形を形成し、
前記外挿マーカは、前記第1ターゲットの中心と前記第2ターゲットの中心とを所定の比に外分する点が前記測量対象点に配置されるように、前記計測対象物に取り付けられる
大規模構造物計測装置。
【請求項6】
計測対象物に取り付けられる複数のマーカと、
互いに異なる複数位置から前記計測対象物の全体を映し出す複数の画像にそれぞれ撮像するカメラと、
前記複数位置に独立に前記画像のうちの前記マーカが映し出される位置に基づいて前記複数の測量対象点の3次元位置関係を算出する計測装置本体とを具備し、
前記マーカは、
球形を形成している球形ターゲットと、
前記計測対象物から離れた位置に前記球形ターゲットを支持する留め具とを備える
大規模構造物計測装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記球形ターゲットは、表面に反射塗料が塗装されている
大規模構造物計測装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7のいずれかにおいて、
前記マーカは、第1ターゲットと第2ターゲットとを備える外挿マーカを含み、
前記外挿マーカは、前記第1ターゲットの位置と前記第2ターゲットの位置とを所定の比に外分する点が前記測量対象点に配置されるように、前記計測対象物に取り付けられる
大規模構造物計測装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記第1ターゲットと前記第2ターゲットとは、それぞれ、球形を形成し、
前記外挿マーカは、前記第1ターゲットの中心と前記第2ターゲットの中心とを所定の比に外分する点が前記測量対象点に配置されるように、前記計測対象物に取り付けられる
大規模構造物計測装置。
【請求項10】
計測対象物に取り付けられる複数のマーカと、
互いに異なる複数位置から前記計測対象物の全体を映し出す複数の画像にそれぞれ撮像するカメラと、
前記複数位置に独立に前記画像のうちの前記マーカが映し出される位置に基づいて前記複数の測量対象点の3次元位置関係を算出する計測装置本体とを具備し、
前記マーカは、第1ターゲットと第2ターゲットとを備える外挿マーカを含み、
前記外挿マーカは、前記第1ターゲットの位置と前記第2ターゲットの位置とを所定の比に外分する点が前記測量対象点に配置されるように、前記計測対象物に取り付けられる
大規模構造物計測装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記第1ターゲットと前記第2ターゲットとは、それぞれ、球形を形成し、
前記外挿マーカは、前記第1ターゲットの中心と前記第2ターゲットの中心とを所定の比に外分する点が前記測量対象点に配置されるように、前記計測対象物に取り付けられる
大規模構造物計測装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれかにおいて、
前記計測対象物は、複数の物体から形成される
大規模構造物計測装置。
【請求項13】
カメラを用いて計測対象物と概ね等しい大きさの範囲に分散配置される補正用マーカを互いに異なる複数の位置から複数の補正用画像にそれぞれ撮像するステップと、
前記複数の補正用画像に基づいて前記カメラの歪曲収差を補正する補正計数を算出するステップと、
前記カメラを用いて前記計測対象物を複数位置から複数の計測用画像にそれぞれ撮像するステップと、
前記補正計数を用いて前記計測用画像を他の計測用画像に補正し、前記複数位置に独立に前記他の計測用画像に基づいて前記計測対象物の計測対象点の3次元位置関係を算出するステップ
とを具備する大規模構造物計測方法。
【請求項1】
計測対象物に取り付けられる複数のマーカと、
互いに異なる複数位置から前記計測対象物の全体を映し出す複数の画像にそれぞれ撮像するカメラと、
前記複数位置に独立に前記画像のうちの前記マーカが映し出される位置に基づいて前記計測対象物の複数の測量対象点の3次元位置関係を算出する計測装置本体とを具備し、
前記マーカは、
前記複数の測量対象点をそれぞれ指示する複数の第1マーカと、
前記第1マーカと異なる位置に配置される複数の第2マーカとから形成される
大規模構造物計測装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記マーカは、
球形を形成している球形ターゲットと、
前記計測対象物から離れた位置に前記球形ターゲットを支持する留め具とを備える
大規模構造物計測装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記球形ターゲットは、表面に反射塗料が塗装されている
大規模構造物計測装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかにおいて、
前記マーカは、第1ターゲットと第2ターゲットとを備える外挿マーカを含み、
前記外挿マーカは、前記第1ターゲットの位置と前記第2ターゲットの位置とを所定の比に外分する点が前記測量対象点に配置されるように、前記計測対象物に取り付けられる
大規模構造物計測装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1ターゲットと前記第2ターゲットとは、それぞれ、球形を形成し、
前記外挿マーカは、前記第1ターゲットの中心と前記第2ターゲットの中心とを所定の比に外分する点が前記測量対象点に配置されるように、前記計測対象物に取り付けられる
大規模構造物計測装置。
【請求項6】
計測対象物に取り付けられる複数のマーカと、
互いに異なる複数位置から前記計測対象物の全体を映し出す複数の画像にそれぞれ撮像するカメラと、
前記複数位置に独立に前記画像のうちの前記マーカが映し出される位置に基づいて前記複数の測量対象点の3次元位置関係を算出する計測装置本体とを具備し、
前記マーカは、
球形を形成している球形ターゲットと、
前記計測対象物から離れた位置に前記球形ターゲットを支持する留め具とを備える
大規模構造物計測装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記球形ターゲットは、表面に反射塗料が塗装されている
大規模構造物計測装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7のいずれかにおいて、
前記マーカは、第1ターゲットと第2ターゲットとを備える外挿マーカを含み、
前記外挿マーカは、前記第1ターゲットの位置と前記第2ターゲットの位置とを所定の比に外分する点が前記測量対象点に配置されるように、前記計測対象物に取り付けられる
大規模構造物計測装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記第1ターゲットと前記第2ターゲットとは、それぞれ、球形を形成し、
前記外挿マーカは、前記第1ターゲットの中心と前記第2ターゲットの中心とを所定の比に外分する点が前記測量対象点に配置されるように、前記計測対象物に取り付けられる
大規模構造物計測装置。
【請求項10】
計測対象物に取り付けられる複数のマーカと、
互いに異なる複数位置から前記計測対象物の全体を映し出す複数の画像にそれぞれ撮像するカメラと、
前記複数位置に独立に前記画像のうちの前記マーカが映し出される位置に基づいて前記複数の測量対象点の3次元位置関係を算出する計測装置本体とを具備し、
前記マーカは、第1ターゲットと第2ターゲットとを備える外挿マーカを含み、
前記外挿マーカは、前記第1ターゲットの位置と前記第2ターゲットの位置とを所定の比に外分する点が前記測量対象点に配置されるように、前記計測対象物に取り付けられる
大規模構造物計測装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記第1ターゲットと前記第2ターゲットとは、それぞれ、球形を形成し、
前記外挿マーカは、前記第1ターゲットの中心と前記第2ターゲットの中心とを所定の比に外分する点が前記測量対象点に配置されるように、前記計測対象物に取り付けられる
大規模構造物計測装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれかにおいて、
前記計測対象物は、複数の物体から形成される
大規模構造物計測装置。
【請求項13】
カメラを用いて計測対象物と概ね等しい大きさの範囲に分散配置される補正用マーカを互いに異なる複数の位置から複数の補正用画像にそれぞれ撮像するステップと、
前記複数の補正用画像に基づいて前記カメラの歪曲収差を補正する補正計数を算出するステップと、
前記カメラを用いて前記計測対象物を複数位置から複数の計測用画像にそれぞれ撮像するステップと、
前記補正計数を用いて前記計測用画像を他の計測用画像に補正し、前記複数位置に独立に前記他の計測用画像に基づいて前記計測対象物の計測対象点の3次元位置関係を算出するステップ
とを具備する大規模構造物計測方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−119005(P2006−119005A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−307706(P2004−307706)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000236089)菱日エンジニアリング株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000236089)菱日エンジニアリング株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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