説明

天然および再生可能な原料をベースとする潤滑剤組成物

本発明は、改質された、天然および再生可能な原料をベースとする潤滑剤組成物であって、その粘度を適用に応じて調整可能な潤滑剤組成物に関する。特に本発明は、生分解性の潤滑剤組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改質された天然および再生可能な原料をベースとする潤滑剤組成物であって、その粘度が適用に応じて調整可能である潤滑剤組成物に関する。特に本発明は、生分解性の潤滑剤組成物に関する。
【0002】
DE10329761A1から、天然および再生可能な油をイオン化放射線により改質することが公知である。その際、イオン化放射線の作用は複数の作用時間に区切って行われるが、これらの処理工程の間に、そのつど静止時間が存在する。この改質反応は開始剤、たとえば化学的な触媒添加物、化学的な錯化合物および/または有機促進剤を添加して行われる。さらに、イオン化放射線により処理すべき油の改質の程度は、供給、温度、線量により、酸素により、ならびに開始剤または防止剤の作用により影響を与えられる。しかし公知の改質法における欠点は、大工業的な規模では実施することができず、通常は不完全な再現性の結果につながることである。
【0003】
たとえばUS4327030Aは、トリグリセリドベースの天然油を改質する方法を記載しており、この場合、該天然油を100〜200℃の温度で過酸化物と反応させる。重合されたポリ不飽和脂肪酸エステルを残留している残留物中で分離し、廃棄する。この方法は、リノール酸の含有率を低減させてオレイン酸の含有率を高めるために役立つ。こうして高いオレイン酸割合を有する油が得られる。
【0004】
さらに、植物油の天然酸化が記載されている。原則として、天然のトリグリセリドの良好な潤滑特性が記載されている。しかしこれは著しく制限されている。というのも、これらの油は、その高い二重結合割合に基づいて酸化傾向が著しく、従ってその適用分野が著しく限定されているからである。さらに酸化残留物は、摩耗による部材、たとえばころ軸受けの損傷につながる。
【0005】
これらの油の酸化安定性を改善するために、油にフェノール性および芳香族のアミン酸化防止剤を添加するか、または油溶性の銅化合物を添加することが提案された。
【0006】
石油の鉱油成分は潤滑剤組成物を製造するためのベース材料として依然として使用されているが、石油はますます欠乏していることによって、これらの鉱油成分を将来は再生可能な原料によって代えることができることが必要となるであろう。しかし、潤滑剤としての天然および再生可能な原料をベースとする天然油の使用は、その低い粘度のために、わずかな適用分野に限られている。
【0007】
本発明の課題は、トリグリセリドを基礎とする天然の再生可能な油ベースの潤滑剤組成物であって、その粘度が所望の適用に応じて調整可能である潤滑剤組成物を提供することである。本発明のもう1つの課題は、改質された天然油を含有し、高温および低温の温度範囲での極端な温度において良好な摩擦学的特性および酸化に対する良好な安定性を有する潤滑剤組成物を提供することである。
【0008】
前記課題は、トリグリセリドベースの天然油を過酸化物と反応させ、ラジカル付加反応により脂肪酸の不飽和割合を相互に結合させる潤滑剤組成物により解決される。この反応により改質された油の粘度は変化する。粘度は過酸化物/油の比率に依存して、所望の値まで調整することができ、ひいてはそのつどの適用の要求に応じて調整することができる。改質される油の粘度に応じて、潤滑剤組成物は000.00のNLGIクラスの液状グリースとして、および集中注油システムとして、およびギヤ潤滑の枠内で、ならびに滑り軸受け、ころ軸受けおよび水ポンプにおける1〜4のNGLIクラスのいわゆるソフトグリースとして、または5〜6のNLGIクラスのいわゆるハードグリースとして、ガスケットまたはブリケットグリースとして使用することができる。
【0009】
本発明の潤滑剤組成物の基礎は、トリグリセリドベースの天然油の粘度を変更するための方法であり、この場合、天然油を165℃〜190℃の温度で3〜5時間、過酸化物化合物と反応させ、引き続き不飽和二重結合をラジカル付加反応により結合させる。引き続き、重合の際に生じる副生成物を高真空下で除去する。こうして製造した、粘度が変化された油を次いで現場で潤滑剤の製造のためにさらに加工することができる。天然油と過酸化物化合物との反応のために、製造すべき油の所望の粘度に応じて、相応する過酸化物化合物を4.8%〜10.3%使用する。この場合、100〜1250mm2/秒の粘度を有する油が得られる。図1は、過酸化物の濃度への粘度の依存性を示している。つまり、異なった量の過酸化物によって、高粘度の油も低粘度の油も、再現可能な簡単な方法で製造することができる。
【0010】
使用される過酸化物は、芳香族の過酸化物化合物であっても、脂肪族の過酸化物化合物であってもよい。有利には、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、n−ブチル−4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシ)バレレート、1,1′−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンからなる群から選択される過酸化物化合物を使用する。特に有利であるのは、脂肪族過酸化物化合物、たとえば2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンまたはジ−t−ブチルペルオキシドである。
【0011】
上記の過酸化物との反応およびその後のラジカル付加反応のためには特に高い不飽和成分の割合を有する油が適切であり、この不飽和成分はモノ不飽和であってもポリ不飽和であってもよい。特に高いオレイン酸割合を有する植物油が適切である。遺伝子的に変性されていない天然油として、特に65〜85%のオレイン酸含有率を有するオリーブ油が適切である。さらに、少なくとも60%のオレイン酸含有率を有する植物油が有利である。これらはオレイン酸割合を高めるために遺伝子的に変性されていてもよい。天然油は高いオレイン酸含有率を有する紅花油、高いオレイン酸含有率を有するトウモロコシ油、高いオレイン酸含有率を有する菜種油、高いオレイン酸含有率を有するヒマワリ油、高いオレイン酸含有率を有する大豆油、高いオレイン酸含有率を有するアマニ油、高いオレイン酸含有率を有する落花生油、高いオレイン酸含有率を有する「レスケレラ(Lesquerella)」油、高いオレイン酸含有率を有するパーム油、高いオレイン酸割合を有するひまし油、高いオレイン酸割合を有するアマニ油、または高いオレイン酸割合を有するオリーブ油ならびに前記の油の混合物からなる群から選択される。
【0012】
こうして得られた改質油は、出発油と比較して高い粘度を有しており、その摩擦学的特性、酸化安定性および−30℃〜180℃の温度での適用分野に関して安価で、再現可能な方法で製造可能である。鉱油に対してこれらの改質油は生分解性であり、時間的に制限されることなく入手可能であるという利点を有する。
【0013】
すでに上記で記載したように、油中の不飽和成分を利用して、過酸化物との反応によりラジカル付加反応を介して不飽和脂肪酸を完全に、または部分的に相互に結合させる。この方法では、改質油の重合度は過酸化物に対する油の比率に依存する。重合度に対するもう1つの影響は、反応温度及び反応時間である。こうして得られた改質油は、低温で著しく改善された特性を有するが、しかし高温でも使用することができ、極めて高いVIを有し、これは>210である。さらに該改質油は極めて良好な摩擦学的特性および優れた酸化安定性を有している。
【0014】
本発明の天然の改質油をベースとする潤滑剤組成物は、極性を有しており、薄い付着膜として金属表面上に施与することができ、このことにより優れた潤滑作用が達成される。鉱油または炭化水素をベースとする潤滑剤に対してこの潤滑剤膜は、容易に金属表面から剥離することがなく、このことは本発明による潤滑剤の適用分野をさらに油圧/水圧系の適用へと拡大する。これらは特にその架橋構造によって熱負荷および機械的負荷に対して、線状の炭化水素組成物よりも安定している。
【0015】
再生可能な原料をベースとする高粘度の油は、多くの潤滑剤においてベース成分として使用されている、いわゆる「ブライトストック(Brightstock)」と完全に、または部分的に置き換えるために適切である。
【0016】
トリグリセリドベースの改質された天然油を含有する潤滑剤組成物は要するに、循環可能な原料から製造され、出発材料は生分解性であり、毒性を有しておらず、高い発火点を有し、熱に対して安定しており、かつ優れた低温特性を有するという利点を有している。さらに、金属表面上での改善された付着性が加わる。
【0017】
再生可能な天然油の動粘度は、以下に記載するとおり、潤滑剤組成物の見込まれる使用に応じて、40℃において100〜1250mm2/秒の範囲である。
【0018】
改質された天然油を用いて製造された潤滑剤組成物は、
(a)ヒマワリ油、菜種油、ヒマシ油、アマニ油、トウモロコシ油、紅花油、大豆油、アマニ油、落花生油、レスケレラ油、パーム油、オリーブ油または前記の油の混合物からなる群から選択される、高いオレイン酸割合を有するトリグリセリドベースの改質された天然油50〜90質量%、この場合、天然油は、過酸化物と反応され、ラジカル付加反応により不飽和二重結合が結合される、および
(b)添加剤または添加剤混合物5〜10質量%、
を含有し、前記改質された天然油の粘度は、100〜1250mm2/秒の範囲である。
【0019】
このような組成物は有利にはトランスミッションオイルとして使用される。
【0020】
前記の潤滑剤組成物はさらに、
(c)増粘剤5〜30質量%
を含有していてもよい。
【0021】
このような潤滑剤組成物は通常、液状グリースとして使用される。
【0022】
潤滑剤組成物は、成分(a)〜(c)以外に、さらに
(d)固体潤滑剤5〜10質量%
を含有している場合には、これは有利には液状ギヤグリースとして使用することができる。
【0023】
すでに上記で記載したように、いわゆる「ブライトストック」を、改質された天然油に置き換えることが可能である。このような潤滑剤組成物では、成分(a)〜(d)に加えて
(e)1もしくは複数の別のベース油成分5〜45質量%
が含有されていてもよい。
【0024】
潤滑剤組成物の増粘剤は、尿素、アルミニウム錯体セッケン、周期律表の第1主族および第2主族の元素の金属の単純セッケン、周期律表の第1主族および第2主族の元素の金属錯体セッケン、ベントナイト、スルホネート、シリケート、ポリイミドまたはPTFEまたは前記の増粘剤の混合物からなる群から選択される。
【0025】
固体潤滑剤は、グラファイト、窒化ホウ素、MoS2、WS2、SnS、SnS2またはBi23または前記の固体潤滑剤の混合物からなる群から選択される。
【0026】
添加剤または添加剤混合物は、ブチルヒドロキシトルエン、ジアルキルジフェニルアミン、アルキル化フェニル−α−ナフチルアミン、高分子トリメチルジヒドロキノリン、硫化脂肪酸エステル、ジフェニルクレシルホスフェート、アミン、中和されたホスフェート、アルキル化されたトリアリールホスフェート、アルキル化されていないトリアリールホスフェート、アルキル化されたトリアリールチオホスフェート、アルキル化されていないトリアリールチオホスフェート、亜鉛ジアルキルジチオホスフェート、カルバメート、チオカルバメート、亜鉛−ジチオカルバメート、ジメルカプト−チアジアゾール、コハク酸半エステル、スルホン酸カルシウム、ベンゾトリアゾール誘導体、Kペンタボレート、チオ硫酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムからなる群から選択される。
【0027】
潤滑剤組成物のベース油成分は、パラフィンベースの鉱油、ナフテンベースの鉱油、合成炭化水素、ポリ−α−オレフィン(PAO)、ポリ−インターナルオレフィン(PIO)、エチレン−プロピレンコポリマー、群IIIのオイル、合成エステル、ポリアルキレングリコールまたはアルキル芳香族化合物ならびにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0028】
油は、適用前に過酸化物と反応させ、次いで相応する添加剤、たとえばシリケート、スルホネート、ポリイミド、金属セッケン、金属セッケン錯体、尿素およびベントナイトのような増粘剤を現場であらかじめ重合した油に導入することが特に有利である。重合された油は潤滑剤組成物中で他のベース油成分、たとえばパラフィンベースの鉱油、ナフテンベースの鉱油、合成炭化水素、(ポリ−α−オレフィン、ポリ−インターナルオレフィン、エチレン−プロピレンコポリマー)、群IIIのオイル、合成エステル、ポリアルキレングリコール(PAG)またはアルキル芳香族化合物と混合することもできる。慣用の摩耗防止添加剤および固体潤滑剤添加剤、たとえばトリアリールホスフェート、トリアリールチオホスフェート、亜鉛ジアルキルジチオホスフェート、カルバメート、チオカルバメート、亜鉛ジチオカルバメート、MoS2、グラファイト、窒化ホウ素、PTFE、チオ硫酸Na、ピロリン酸Naなどをここで使用することができる。酸化防止剤としては通常、フェノール性およびアミンの酸化防止剤が使用され、その際有利には重合されたトリメチルジヒドロキノリンまたは硫化脂肪酸エステルを使用することができる。
【0029】
本発明による潤滑剤組成物は、有利にはいわゆるワンポット反応で迅速かつ再現可能な方法で適用直前に混合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】過酸化物の濃度への粘度の依存性を示すグラフの図
【図2】ワームギヤ試験の結果を示すグラフの図
【図3】FE9試験の試験条件および結果を示すグラフの図
【図4】140℃でのFE9試験の結果を示すグラフの図
【実施例】
【0031】
以下に、ワームギヤのためのトランスミッションオイルとしての本発明による潤滑剤組成物の使用を記載する。リンおよび硫黄ベースの適切な添加剤ならびにブチルヒドロキシトルエン、ジアルキルジフェニルアミン、ジフェニルクレゾールホスフェート、アミンにより中和されたホスフェート、コハク酸半エステル、およびトリアゾール誘導体を用いて、ISO VG460標準に基づいて、高いオレイン酸割合を有する重合されたヒマワリ油を製造する。前記の添加剤の混合割合は約6%である。潤滑剤組成物は、ワームギヤ試験で300時間試験する。この試験により、改質ヒマワリ油は、70〜80%の効率を有し、ひいてはポリ−α−オレフィンおよびポリアルキレングリコールをベースとする従来のトランスミッションオイルの効率に達していることが判明した。摩耗の低減および流体潤滑膜を摩擦箇所において迅速に構築するということに関して、本発明による潤滑剤組成物は従来のトランスミッションオイルをはるかに上回っている。図2に示した結果は、ワームギヤ試験で確認した結果であるが、このことを明らかにしている。
【0032】
特に300時間の運転時間にわたる極めてわずかな摩耗および極めて迅速に調整される流体潤滑作用は、このような天然のトランスミッションオイルの良好な潤滑特性を明らかにしている。
【0033】
本発明による潤滑剤組成物の別の例として、NLGIクラス1の尿素グリースを製造した。このころ軸受け用グリースは、高いオレイン酸割合を有するISO VG460の重合された改質ヒマワリ油を52質量%、鉱油(ブライトストック)を38.3質量%、ならびに増粘剤を6.59質量%、およびジアルキルジチオリン酸亜鉛、硫化脂肪酸エステル、ベンゾトリアゾールおよび酸化防止剤からなる熱安定化のための添加剤混合物を3.05質量%含有している。このグリースのコンセプトによってFE9の試験機で140℃において>100時間のL50値を達成することが可能である。図3は、FE9試験の試験条件および結果を示している。
【0034】
図4に記載の結果から明らかであるように、<20%のブライトストック含有率では、運転時間が著しく延長することができ、かつ改質ヒマワリ油は、適切な添加剤を使用することにより熱に安定なものにすることができる。
【0035】
無色の生分解性液状グリースの1例は、改質ヒマワリ油からなり、増粘剤としてカルシウムセッケンが添加された組成物であり、これは40℃で700mm2/秒の粘度を有する。この潤滑剤組成物を、鉱油ベースで増粘剤としてアルミニウムセッケンを含有し、さらに固体潤滑剤としてグラファイトを含有する潤滑剤組成物と比較した。
【0036】
【表1】

【0037】
第1表に示されているように、本発明による潤滑剤組成物は、生分解性の改質ヒマワリ油をベースとしており、標準的な液状グリースよりも良好な結果を示していないとしても同等の結果である。さらに本発明による潤滑剤組成物は、生分解性であり、かつ無色である、つまりグラファイトのような固体の潤滑剤を断念することができる。つまり顧客の要求に応じて、できる限り黒色でない色が可能となる。
【0038】
トリグリセリドベースの改質天然油のもう1つの使用は、40℃で100〜1250mm2/秒の範囲、特に40℃で350〜550mm2/秒の範囲の動粘度を有する改質ヒマワリ油ポリマー 70〜90質量%、およびリチウムベースのセッケン30〜10質量%を含有し、これらの成分を使用の直前に相互に混合し、0〜2のNLGIクラスのグリースが得られ、かつリチウムベースのセッケンは、改質ヒマワリ油ポリマーを1:1のモル比でLiOH×H2Oにより直接けん化することにより製造される適用キットである。このようなキットはたとえば滑り軸受けにおいて使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤組成物であって、
(a)ヒマワリ油、菜種油、ヒマシ油、アマニ油、トウモロコシ油、紅花油、大豆油、アマニ油、落花生油、レスケレラ油、パーム油、オリーブ油または前記の油の混合物からなる群から選択される、少なくとも60%のオレイン酸割合を有するトリグリセリドベースの改質された天然油50〜90質量%、この場合、天然油は、過酸化物と反応され、ラジカル付加反応により不飽和二重結合が結合される、および
(b)添加剤または添加剤混合物5〜10質量%、
(c)増粘剤5〜30質量%、
を含有し、前記改質された天然油は、40℃で100〜1250mm2/秒の範囲の動粘度数を有する、潤滑剤組成物。
【請求項2】
さらに
(d)固体潤滑剤5〜10質量%
を含有する、請求項1記載の潤滑剤組成物。
【請求項3】
前記改質された天然油の5〜45質量%が、1もしくは複数の別のベース油成分によって代えられている、請求項1または2記載の潤滑剤組成物。
【請求項4】
前記増粘剤が、尿素、アルミニウム錯体セッケン、元素の周期律表の第1主族および第2主族の元素の金属単純セッケン、元素の周期律表の第1主族および第2主族の元素の金属錯体セッケン、ベントナイト、スルホネート、シリケート、ポリイミドまたはPTFEまたは前記の増粘剤の混合物からなる群から選択される、請求項1から3までのいずれか1項記載の潤滑剤組成物。
【請求項5】
前記固体潤滑剤が、グラファイト、窒化ホウ素、MoS2、WS2、SnS、SnS2またはBi23または前記の固体潤滑剤の混合物からなる群から選択される、請求項2または3記載の潤滑剤組成物。
【請求項6】
前記添加剤または添加剤混合物が、ブチルヒドロキシトルエン、ジアルキルジフェニルアミン、アルキル化フェニル−α−ナフチルアミン、高分子トリメチルジヒドロキノリン、硫化脂肪酸エステル、ジフェニルクレシルホスフェート、アミン、中和されたホスフェート、アルキル化されたトリアリールホスフェート、アルキル化されていないトリアリールホスフェート、アルキル化されたトリアリールチオホスフェート、アルキル化されていないトリアリールチオホスフェート、亜鉛ジアルキルジチオホスフェート、カルバメート、チオカルバメート、亜鉛ジチオカルバメート、ジメルカプト−チアジアゾール、コハク酸半エステル、スルホン酸カルシウム、ベンゾトリアゾール誘導体、Kペンタボレート、チオ硫酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項1から5までのいずれか1項記載の潤滑剤組成物。
【請求項7】
前記ベース油成分が、パラフィンベースの鉱油、ナフテンベースの鉱油、合成炭化水素、ポリ−α−オレフィン、ポリ−インターナルオレフィン、エチレン−プロピレンコポリマー、群IIIのオイル、合成エステル、ポリアルキレングリコールまたはアルキル芳香族化合物ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項3から6までのいずれか1項記載の潤滑剤組成物。
【請求項8】
天然油を、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、n−ブチル−4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシ)バレレート、1,1′−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンまたは2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンまたはジ−t−ブチルペルオキシドからなる群から選択される芳香族または脂肪族の過酸化物と反応させる、請求項1から7までのいずれか1項記載の潤滑剤組成物。
【請求項9】
トランスミッションオイルとして、カサ歯車および平歯車のトランスミッションの油潤滑のため、連続式ストランドキャスティングシステムにおける減摩ころ軸受けおよびトンネル炉における輸送用ころ軸受けのためのころ軸受けグリースとして、またはセメント工業、石灰工業、乾燥しっくい工業、鉱業および化学工業において使用されるロータリーキルン、ロータリーミル、ドラムおよびミキサーにおける開放型リングのギヤ潤滑のための液状トランスミッショングリースとしての請求項1から8までのいずれか1項記載の潤滑剤組成物の使用。
【請求項10】
適用キットであって、
40℃で100〜1250mm2/秒の範囲、有利には40℃で350〜550mm2/秒の範囲の動粘度を有する改質ヒマワリ油ポリマー 70〜90質量%、
リチウムベースのセッケン30〜10質量%、
を含有し、これらの成分を使用の直前に相互に混合し、0〜2のNLGIクラスのグリースが得られ、かつリチウムベースのセッケンは、改質ヒマワリ油ポリマーを1:1のモル比でLiOH×H2Oにより直接けん化することにより製造されるものである、適用キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−522933(P2011−522933A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512887(P2011−512887)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004147
【国際公開番号】WO2009/149902
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(509350664)クリューバー リュブリケーション ミュンヘン コマンディートゲゼルシャフト (6)
【氏名又は名称原語表記】Klueber Lubrication Muenchen KG
【住所又は居所原語表記】Geisenhausenerstrasse 7, D−81379 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】