説明

妊娠結果を改善する方法および組成物

本発明は、雌性被検者の妊娠率を増加する方法であって、雌性被験者又は該雌性被験者に導入するための卵母細胞が雄性被験者由来の精子により受精させるものである、前記方法に関する。この方法は、受精の前に、(i)有効量の抗酸化剤と;(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質、とを雄性被検者に投与するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、妊娠率および妊娠結果を改善する方法および組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、雄性被検者の精子に対する損傷を低減する方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
生殖医療における様々な進歩にもかかわらず、かなりの割合のカップルが、男性の生殖能力の低下のために妊娠できない。男性の生殖能力の低下には多数の原因があるが、精子に対する遊離基損傷が、生殖能力の低下に寄与する主要因子の1つであると思われる。原因不明の不妊、喫煙者、精子運動性不良に起因する不妊の男性の精液、および精管復元手術後の男性の精液において、高レベルの遊離基が測定されている。
【0004】
遊離基は、3つのメカニズムの1つにより生殖能力を妨害することができる。第1に、精子膜に対する遊離基損傷が精子尾部の機能を妨害し、精子の運動性を低減する。第2に、頭部膜に対する遊離基損傷が、卵母細胞−精子融合および受精に不可欠な自然反応である先体反応を妨害する。最後に、精液遊離基レベルが非常に高いと、精子遺伝物質(DNA)を損傷する可能性があり、胚質の低下、ならびに不妊/流産を招くことになる。多数の研究では、父親の喫煙を原因とする精子DNA損傷は、その子孫における小児癌の発症にも関連していた。
【0005】
生殖補助技術の使用することにより、生殖能力不良の治療介入が可能になった。しかし、生殖補助の分野でなされた多数の進歩にもかかわらず、生殖補助の成功率は、一般に、依然として低いままである。体外受精(IVF)、細胞質内精子注入(ICSI)および子宮内受精(IUI)のような生殖補助技術の成功率が低いのは、一部には、男性において内因的に起こる精子の遊離基損傷による可能性が高い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、自然妊娠および補助妊娠の妊娠率および妊娠結果を改善する新規方法および組成物についてのニーズが存在する。本発明は、自然妊娠および補助妊娠の妊娠率および妊娠結果を改善する方法および組成物、ならびに、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せて抗酸化剤を雄性被検者に投与することにより、雄性被検者において生産される精子に対する損傷を低減する方法および組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書中、従来の技術として特許文献またはその他の刊行物を引用することは、その文献または刊行物が公知であること、またはそれらに含まれる情報が、特許請求の範囲のいずれかの優先日の時点において共通の一般的知識の一部であったことを承認するものと解釈すべきではない。
【0008】
本発明は、雌性被検者における妊娠率を増加する方法であって、雌性被験者又は該雌性被験者に導入される卵母細胞は雄性被験者由来の精子によって受精されるものであり、受精の前に、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0009】
本発明はまた、雌性被検者における妊娠結果を改善する方法であって、雌性被験者又は該雌性被験者に導入される卵母細胞は雄性被験者由来の精子によって受精されるものであり、受精の前に、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0010】
本発明はまた、雄性被検者により生産された精子に対する遊離基損傷を低減する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0011】
本発明はまた、雄性被検者の生殖管および/または精液における遊離基の生成を低減する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0012】
本発明はまた、雄性被検者の生殖管および/または精液における白血球の活性および/または濃度を低減する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0013】
本発明はまた、雄性被検者の生殖管および/または精液における1以上の炎症性物質のレベルおよび/または生産を低減する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0014】
本発明はまた、雄性被検者における精子機能を改善する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、雄性被検者における精子運動性を改善する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0016】
本発明はまた、雄性被検者における精子DNAに対する遊離基損傷を低減する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0017】
本発明はまた、雄性被検者における精子生産を改善する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0018】
本発明はまた、雄性被検者の生殖能力を改善する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0019】
本発明はまた、雄性被検者の不妊症を治療する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0020】
本発明はまた、雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精により形成される胚の質を改善する方法であって、雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精の前に、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0021】
本発明はまた、雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精により形成される胚の発生を改善する方法であって、雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精の前に、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0022】
本発明はまた、被検者の父親から遺伝する、被検者におけるDNA損傷の程度を低減する方法であって、該DNA損傷は被検者の父親の精子DNAに対する遊離基損傷に起因するものであり、被検者の受胎前に、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを前記父親に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0023】
本発明はまた、被検者における疾患または病状を予防する方法であって、該疾患または病状は、精子DNAに対する遊離基損傷に起因して被検者の父親から遺伝するDNA損傷に関連するものであり、被検者の受胎前に、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを前記父親に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0024】
本発明はまた、雄性被検者のテストステロン濃度を増加する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0025】
本発明はまた、下記成分:
ビタミンE;
ビタミンC、またはその塩;
リコピン;
セレン;
亜鉛;および
500 mg超のニンニク、またはそのエキスもしくは油、または前記成分いずれかの薬学的に許容可能な誘導体を含む組成物も提供する。この組成物は随意に、葉酸(folate)またはその塩、および/またはコエンザイムQ10をさらに含む。
【0026】
本発明はまた、下記を含む組成物も提供する:
約400 I.U.のビタミンE;
約100 mgのビタミンC、またはその塩;
約6mgのリコピン;
約26μgのセレン;
約25 mgの亜鉛;
約40 mgのコエンザイムQ10;および
約1000 mgのニンニク。
【0027】
本発明はまた、下記を含む組成物も提供する:
約400 I.U.のビタミンE;
約100 mgのビタミンC、またはその塩;
約6mgのリコピン;
約26μgのセレン;
約25 mgの亜鉛;
約500 μgの葉酸;および
約1000 mgのニンニク。
【0028】
本発明はまた、下記成分:
抗酸化剤;
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質;および/または
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質
を含む組合せ製品であって、組合せ製品中の前記成分は同じではなく、かつ該成分は、被検者に個別投与するための形態、または被検者に1以上の成分を共投与するための形態で提供される、前記組合せ製品を提供する。
【0029】
本発明はまた、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを含む組成物も提供する。
【0030】
本発明はまた、雄性被検者から精子を単離する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤を雄性被検者に投与するステップ;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質を雄性被検者に投与するステップ;ならびに
(iii)雄性被検者から精子を単離するステップ
を含む、上記方法を提供する。
【0031】
本発明は、少なくとも1種の抗酸化剤を含む組成物が、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質(例えば、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質)および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せて、雄性被検者に投与されると、該雄性被検者由来の精子で受精した雌性被検者における自然および補助妊娠率を改善するのに有効であるという知見に基づくものである。
【0032】
特定の理論に束縛されるわけではないが、妊娠率の改善は、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せて、少なくとも1種の抗酸化剤を投与することが、雄性被検者の精子に対する遊離基損傷を低減するのに有効であり、これにより、妊娠率を増加するという事実によるものと思われる。
【0033】
本明細書全体を通じて用いられる各種の用語の意味は、当業者により十分に理解されるであろう。しかし、容易に参照できるように、これらの用語の一部を以下に定義する。
【0034】
本明細書全体を通じて用いる用語「抗酸化剤」とは、細胞における酸素および/または遊離基の損傷作用を直接または間接的に低減することができる分子を意味すると理解すべきであり、酸素と反応する分子、あるいは、遊離基から保護するおよび/または遊離基と反応することができる分子を含む。
【0035】
これに関して、用語「抗酸化剤」は、被検者に投与されると、抗酸化活性を有する作用物質を生じるか、またはそのような作用物質に代謝される作用物質、またはプロドラッグを包含する。また、本発明が、例示した抗酸化剤の各々について、抗酸化剤の塩(適用可能な場合)、もしくは抗酸化剤の薬学的に許容可能な化学誘導体を包含することも理解されよう。
【0036】
本明細書全体を通じて用いる用語「雄性生殖管の炎症を低減する作用物質」とは、雄性生殖管の炎症の低減を直接または間接的にもたらす分子を意味する。このような作用物質は、被検者に投与されると、例えば、雄性生殖管における白血球数、白血球増殖もしくは白血球活性を直接または間接的に減少することができ、および/または白血球による1以上の炎症性サイトカイン(例えば、TNF-αおよびIL-1β)の産生の低減を直接または間接的に引き起こすことができる。この用語は、被検者に投与されると、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質を生じるか、またはそのような作用物質に代謝される作用物質、またはプロドラッグを包含する。また、本発明が、例示した前記作用物質の各々について、該作用物質の塩(適用可能な場合)、もしくは該作用物質の薬学的に許容可能な化学誘導体も包含することは理解されよう。
【0037】
これに関して、雄性生殖管とは、精巣上体、陰茎、前立腺、精嚢、精巣、精管および精液を包含するものとする。
【0038】
本明細書全体を通じて用いる用語「精巣テストステロン濃度を増加する作用物質」とは、精巣においてテストステロン濃度の増加を直接または間接的にもたらす分子を意味するものとする。この用語は、被検者に投与されると、精巣テストステロン濃度を増加する作用物質を生じるか、またはそのような作用物質に代謝される作用物質、又はプロドラッグを包含する。また、本発明が、例示した前記作用物質の各々について、該作用物質の塩(適用可能な場合)、もしくは該作用物質の薬学的に許容可能な化学誘導体も包含することは理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
発明の概要
前述のように、一実施形態では、本発明は、雌性被検者の妊娠率を増加する方法であって、雌性被験者または該雌性被験者に導入される卵母細胞は雄性被験者由来の精子により受精されるものであり、受精の前に、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0040】
本発明は、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与と組合せて、少なくとも1種の抗酸化剤を雄性被検者に投与することが、該雄性被検者由来の精子で受精した女性の自然および補助妊娠率および結果を改善するのに有効であるという知見に基づくものである。
【0041】
従って、本発明を用いて、自然妊娠(自然妊娠)ならびに、補助妊娠(生殖補助技術により達成された妊娠)の率および結果を改善することができる。
【0042】
生殖補助技術の例として、人工授精、体外受精、卵管内配偶子移植(GIFT)、子宮内授精(IUI)、細胞質内精子注入(ICSI)、精巣精子抽出(TESE)、ならびに経皮精巣上体精子吸引(PESA)が挙げられる。受精させる卵母細胞を単離する方法など、ヒトおよび動物において生殖補助技術を用いる方法は公知である。
【0043】
妊娠率を決定する方法は当分野で公知である。一般に、妊娠率は、自然または補助手段のいずれかにより、特定の雌性被検者が確認可能な妊娠を達成する見込みの尺度である。確認可能な妊娠とは、1以上の具体的結果(例えば、陽性βIICCG)、または第1期三半期スキャンでの生存可能な胎児の心臓の検出により測定される妊娠の成功である(一般に、生存可能な妊娠率と呼ばれる)。
【0044】
このように、本発明に従って治療を受ける個々の被検者に関して、妊娠率は、被検者が受精後に確認可能な妊娠を達成しそうな見込みである。被検者が治療を受けていない場合と比較して、妊娠率が増加すれば、被検者が確認可能な妊娠を達成する見込みが改善されたことを意味する。
【0045】
被検者の集団に関して、妊娠率は、本発明の治療を受けている間に確認可能な妊娠を達成する雌性被検者の割合である。例えば、IVF妊娠の場合では、胚の移植後に得られる生存可能な妊娠率の割合として妊娠率を測定することができる。
【0046】
さらに、自然または補助妊娠の結果は、雄性パートナーが先に雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与と組合せて少なくとも1種の抗酸化剤で治療を受けているカップルについても改善される。
【0047】
従って、別の実施形態では、本発明は、雌性被検者の妊娠結果を改善する方法であって、雌性被験者または該雌性被験者に導入する卵母細胞は雄性被験者由来の精子によって受精されるものであり、受精の前に、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0048】
妊娠結果を決定する方法は当分野で公知である。一般に、妊娠結果とは、自然または補助妊娠に関連する確認可能な結果、例えば、1以上の具体的なパラメーター(例えば、陽性βHCCG、または第1三半期スキャンでの生存可能な胎児の心臓の検出)、生存可能な出産(viable birth)を与える妊娠の見込み、または被験者が流産しない見込みにより測定される妊娠の成功である。
【0049】
また、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与と組合せて抗酸化剤を雄性被検者に投与すると、雄性被検者由来の精子に対する遊離基損傷を低減することもできる。
【0050】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者により生産された精子に対する遊離基損傷を低減する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0051】
また、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与と組合せて抗酸化剤を投与することにより、雄性生殖管および精子における遊離基レベルを低減することもできる。
【0052】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の生殖管および/または精子における遊離基の生成を低減する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0053】
理論に束縛されるわけではないが、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せて抗酸化剤を投与することは、以下に挙げるメカニズムの1以上により、遊離基損傷を低減する上で有効であると思われる:(i)雄性生殖管および/または精液中の遊離基のレベルを直接低減する;(ii)白血球による白血球炎症性サイトカイン産生を低減することにより、雄性生殖管および/または精液中に産生された遊離基のレベルを低減する;ならびに(iii)テストステロン産生ライジッヒ細胞に対する遊離基損傷を低減することにより精巣中のテストステロンレベルを増大することで、テストステロンレベルを増加し、精子機能を改善する。
【0054】
また、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せて抗酸化剤を投与すれば、雄性被検者の精子数の改善、精子運動性の改善、精子膜完全性の改善、ならびに精子のDNA損傷の低減も達成しうる。
【0055】
例えば泱盤胞を形成する胚の能力により決定される胚の質は、先に雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せて抗酸化剤で治療された雄性被験者由来の精子を用いることで改善することができる。
【0056】
これに関して、本発明を用いて、自然受胎または生殖補助技術の結果として得られる胚の質を改善することも可能である。
【0057】
一般に、原因不明の不妊、喫煙者、精子運動性不良に関連する不妊である男性の精液、および精管復元手術後の男性の精液には高レベルの遊離基が存在する。
【0058】
理論に束縛されるわけではないが、遊離基は、少なくとも3つのメカニズムにより雄性生殖能力を直接妨害することができると考えられる。第1に、精子膜に対する遊離基損傷が精子尾部の機能を妨害し、精子の運動性を低減する。第2に、頭部に対する遊離基損傷は、卵母細胞−精子融合および受精に不可欠な自然反応である先体反応を妨害することができる。最後に、精液遊離基レベルが精子遺伝物質を損傷することができるほど十分高ければ、胚質不良、ならびに不妊/流産を生じる。
【0059】
さらに、精子DNA損傷は、その子孫における小児癌の発症に関連している。いくつかの研究、例えば、Jiら、(1997) J. Natl. Cancer Inst. 89(3):238-244およびSunら(1997) Biol. Reprod. 56:602-607は、父親の喫煙を原因とする精子DNA損傷が、その子孫における小児癌の発症に関連することを示す。従って、本発明による雄性被検者の事前治療により、雄性被検者の子孫におけるDNA損傷を減少し、その結果、遺伝するDNA損傷に関連する子孫の疾患および/または病状を低減することができる。
【0060】
本発明の様々な実施形態において雄性被検者は、男性のヒト、雄性の哺乳動物(霊長類など)、家畜動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ)、ペット動物(例えば、イヌ、ネコ)、実験動物(例えば、マウス、ラット、モルモット)、あるいは遊離基が生殖管および/または精液において白血球により生成されるその他の雄性動物のいずれでもよい。一実施形態では、雄性被検者は、男性のヒトである。
【0061】
従って、本発明が、ヒトおよび動物の両者における使用にまで及び、本発明が、自然受胎および生殖補助技術の目的で、ヒトまたは動物のいずれかで使用しうることは理解されよう。
【0062】
これに関して、本発明は、人工授精、体外受精(IVF;卵母細胞の抽出、実験室での受精、およびレシピエントへの胚移植)、卵管内配偶子移植(GIFT;卵管への卵母細胞および精子の配置)、子宮内授精(IUI)、細胞質内精子注入(ICSI)、精巣精子抽出法(TESE)、ならびに経皮精巣上体精子吸引(PESA)などの生殖補助技術に適当である。
【0063】
本発明はまた、本発明に従って治療した雄性被検者から単離した精子(および/または精液)を提供する。このような精子(例えば、単離した精子、または精液サンプルの形態)は、ヒトおよび動物の両方で、生殖補助に用いることができる。ヒトおよび動物から精子を単離する方法は当分野において公知である。
【0064】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者から精子を単離する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤を雄性被検者に投与するステップと;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質を雄性被検者に投与するステップと;
(iii)雄性被検者から精子を単離するステップ
とを含む上記方法を提供する。
【0065】
本発明はまた、雄性被検者から単離した精子(または精液)、およびヒト以外の雌性動物の受精から生まれるヒト以外の動物、もしくは前記精子と卵母細胞との受精から生まれるヒト以外の動物を提供する。精子を単離する方法は当分野において公知である。受精によりヒト以外の動物を作製する方法も公知である。
【0066】
このようにして単離した精子は、凍結および解凍の影響に優れた耐性を有する可能性が高い。これに関して、低温保存および解凍は、酸化的ストレスによって誘導される精子機能(精子運動性など)の有意な低下に関連する。従って、本発明はまた、有効量の抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質とで、雄性被検者を治療することにより、精子の低温保存を改善する方法にも及ぶ。
【0067】
一実施形態では、本発明の雄性被検者は、以下のものからなる群より選択される:精子膜酸化レベルが増加した被検者、例えば、マロンジアルデヒドまたは酸化的ストレスの他の生化学的マーカーのレベルが増加した被検者;喫煙者;生殖能力が低下した被検者、例えば、精子運動性不良により生殖能力が低下した、もしくは原因不明で生殖能力が低下した被検者;精管復元手術を受けた被検者;精巣上体炎のような生殖管感染に罹患した被検者;精索静脈瘤を有する被検者。
【0068】
一実施形態では、本発明の精子に対して起こる遊離基損傷は、雄性生殖器系(精液を含む)に生成されるおよび/または存在する遊離基により媒介される損傷である。別の実施形態では、遊離基損傷は、雄性生殖管および/または精液において白血球および/または精子により生成される遊離基によるものである。
【0069】
精子に対する遊離基損傷の程度を評価する方法は、当分野において公知である。例えば、TBARアッセイ(精子膜酸化のマーカーであるマロンジアルデヒドの測定を含む)またはLPO-856分光測光アッセイを用いることができる。これらの方法は、例えば、Gomezら(1998) International Journal of Andrology 21(2):81-96およびAitkenら(1993) Molecular Reproduction and Development 35:302-315に記載されている。
【0070】
一実施形態では、被検者への投与により、投与前と比較して、精子中のマロンジアルデヒドレベル(107個の精子当たりのpmol)の測定による精子に対する遊離基損傷の10%以上の低減がもたらされる。別の実施形態では、被検者への投与により、投与前と比較して、精子中のマロンジアルデヒドレベル(107個の精子当たりのpmol)の測定による精子に対する遊離基損傷の15%以上の低減がもたらされる。
【0071】
本発明の様々な実施形態において、抗酸化剤は、1以上の個別の抗酸化剤でもよい。これに関して、抗酸化剤は、細胞における酸素および/または遊離基の損傷作用を直接または間接的に低減することができる分子であり、酸素と反応する分子、あるいは、遊離基に対して保護しうる、および/または遊離基と反応しうる分子を包含する。
【0072】
一実施形態では、抗酸化剤は、βカロチノイド、例えば、リコピン(トマトの皮由来のカロチノイド)、ルテイン、およびゼアキサンチン;ビタミンC;ビタミンE;コエンザイムQ10;セレン;亜鉛;L‐カルニチン;アセチルカルニテン;N-アセチルシステイン;グルタチオニン;ピルベート;ならびにヒポタウリン;あるいは上に列挙した作用物質のいずれかの塩(適用可能であれば)または薬学的に許容可能な誘導体からなる群の1以上から選択される。
【0073】
その他の抗酸化剤については、概ねAgarwalら、(2004) Reproductive Biomedicine Online 8(6): 616-27に記載されている通りである。
【0074】
本発明の様々な実施形態において、1以上の抗酸化剤の有効量は、所望の効果または治療効果を有する限り特に限定されず、投与する特定の抗酸化剤に左右される。
【0075】
これに関して、本発明の様々な実施形態における多くの抗酸化剤に好適な濃度は下記の通りである:
ビタミンE(d-α-トコフェリルアセテート):40〜4000 I.U.、通常の範囲は200〜1200 I.U.、典型的には200〜600 I.U.。
【0076】
ビタミンC(アスコルビン酸またはその塩):10〜1000 mg、通常の範囲は20〜200 mg。
【0077】
リコピン;0.5〜50 mg、通常の範囲は1〜20 mg、および2〜10 mg。
【0078】
コエンザイムQ10:4〜400 mg、通常の範囲は10〜100 mg。
【0079】
セレン:10〜250μg、通常の範囲は20〜50μg。
【0080】
亜鉛;2.5〜100 mg、通常の範囲は10〜50 mg。
【0081】
グルタチオン:100〜1000 mg、通常の範囲は400〜600 mg。
【0082】
L-カルニテン:1〜5グラム、通常の範囲は2〜3グラム。
【0083】
ペントキシフィリン:200〜1500 mg、通常の範囲は300〜1200 mg。
【0084】
一実施形態では、被検者に投与する抗酸化剤は、下記の抗酸化剤:リコピン、ビタミンC、ビタミンE、セレンおよび亜鉛の組合せである。また、抗酸化剤コエンザイムQ10を投与してもよい。
【0085】
一実施形態では、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質は、白血球の数、増殖および/または産生を低減する作用物質、および/または白血球サイトカイン産生を阻害する作用物質である。
【0086】
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質、例えば、白血球サイトカイン産生を阻害する作用物質の例を以下に挙げる:
ニンニク(Hodgeら、(2002) Cytometry 48: 209-215に記載される)、またはニンニク由来の油、エキスもしくは活性化合物。
【0087】
緑茶または緑茶由来のエキスもしくは活性化合物。
【0088】
N-3脂肪酸(Weissら、(2002) British Journal of Nutrition 87(sup 1): S89-94に記載される)。
【0089】
ドコサヘキサエン酸(Kelleyら、(1999) Lipids 34(4):317-24に記載される)、またはその塩もしくは薬学的に許容される誘導体。
【0090】
ショウガおよびその誘導体(例:Zerumbone)(Murakamiら、 (2002) Carcinogenesis 23(5):795-802に記載される)、またはショウガ由来のエキスもしくは活性化合物。
【0091】
TNFαの白血球産生を減少する作用物質、例えば、ペントキシフィリン(Meinersら、(2004) J Neural Transm 111(3): 441-447に記載される)。
【0092】
いったん生産されたTNFαの作用を阻止する作用物質、例えば、インフリキシマブ。
【0093】
海洋軟体動物(Lyprinol-Blackmores)由来の脂質エキス、5-リポキシゲナーゼ阻害剤(Dugas B (2000). Allerg Immunol (Paris) 32(7):284-9に記載される)。
【0094】
一実施形態では、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質は、白血球増殖をも阻害する。そのような作用物質の例として、ニンニク(またはニンニク由来の油、エキスもしくは活性化合物)、またはショウガ(またはショウガ由来のエキス、誘導体もしくは活性化合物)がある。
【0095】
本発明の様々な実施形態において、精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の例を以下に挙げる:
ニンニク(Oiら、(2001) J. Nutr. 131(8):2150-2156に記載される)またはニンニク由来の油、エキスもしくは活性化合物。
【0096】
亜鉛(Fuseら、(1999) Int. Urol. Nephrol. 31(3):401-408に記載される)。
【0097】
アセチルカルニチン。
【0098】
ハマビシ(tribulus terrestris)、またはハマビシ由来のエキスもしくは活性化合物。
【0099】
マクロファージにおける誘導性一酸化窒素シンターゼ(iNOS)を低減する作用物質、例えば、アリシンまたはアホエン(ajoene)、ニンニク由来の活性化合物。
【0100】
一酸化窒素(NO)生成を低減する作用物質。
【0101】
一実施形態では、本発明のテストステロン濃度を増加する作用物質は、白血球増殖も阻害する。
【0102】
ある作用物質がテストステロン濃度を増加するかどうかを判定する好適な方法は、例えば、Luboshitzkyら、(2002) Int. J. Androl. 25(6):345に記載されているように、精漿中のテストステロン濃度を測定することである。
【0103】
一実施形態では、本発明の雄性生殖管の炎症を低減する作用物質と、精巣テストステロン濃度を増加する作用物質とは、これら両方の活性を備える同じ物質である。このような作用物質の例として、ニンニクおよび亜鉛がある。
【0104】
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の有効量は、所望の効果または治療効果を有する限り特に限定されず、投与される特定の作用物質に左右される。
【0105】
一実施形態では、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、ニンニク、ニンニク油、ニンニクエキス、もしくはニンニク由来の活性成分、例えば、アリシンおよび/またはアホエンである。好適なニンニクエキスは、新鮮なニンニクを用意し、ニンニクの皮を剥き、粉砕し、一連のフィルターで粉砕エキスをろ過することにより製造することができる。
【0106】
ニンニク油の場合、抗酸化剤と組合せて投与するための有効量は、500 mg超、典型的には501〜10000 mgである。一実施形態では、投与するニンニク油の量は、1000 mgもしくはその付近の量である。
【0107】
本発明の様々な実施形態において、抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質とを、好適な投与計画に従って、個別にまたは組合せて被検者に投与することができる。
【0108】
従って、投与は、連続的であっても同時であってもよく、一般に、医薬組成物が特定の時間間隔の間、被検者に存在することを意味する。典型的には、ある作用物質が第1の作用物質の半減期内に投与される場合、これらの作用物質は共投与されたものとみなされる。
【0109】
従って、別の実施形態では、本発明は、下記成分:
抗酸化剤;および
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または;
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質
を含む組合せ製品であって、その際、組合せ製品中の前記成分は同じではなく、これらの成分は、雄性被検者に個別投与の形態で、または雄性被検者に1以上の成分を共投与する形態で提供される、上記組合せ製品を提供する。
【0110】
組合せ製品は、本明細書に記載するように、本発明の様々な用途に用いることができる。
【0111】
一実施形態では、本明細書で述べるように、妊娠率を改善する、妊娠結果を改善する、または雄性被検者により生産された精子に対する遊離基損傷を低減するために、組合せ製品を用いる。
【0112】
本発明の様々な組合せ製品における抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、複数回投与剤形または単位剤形のいずれかで、アンプル、ボトル、もしくはバイアルのような適当な滅菌容器に個別にパッケージングすることができる。容器は、一般に、充填後に密閉する。あるいは、1以上の成分の共投与のために様々な成分をパッケージングしてもよい。各種成分をパッケージングする方法は当分野では公知である。
【0113】
一実施形態では、抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質とを、単一製剤の形態の組成物として被検者に投与する。
【0114】
従って、別の実施形態では、本発明は、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを含む組成物を提供する。
【0115】
この組成物は、本明細書に記載されるように、本発明の様々な用途に用いることができる。
【0116】
一実施形態では、この組成物は、本明細書で議論されるように、妊娠率を改善する、妊娠結果を改善する、または雄性被検者により生産された精子に対する遊離基損傷を低減する目的で、雄性被験者への投与のために用いる。
【0117】
本明細書で既述したように、一実施形態では、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質は、白血球増殖も阻害する。
【0118】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載する本発明の様々な用途のための、例えば、妊娠率を改善する、妊娠結果を改善する、雄性被検者により生産された精子に対する遊離基損傷を低減するための薬剤の製造における、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せた抗酸化剤の使用を提供する。
【0119】
好適な組成物(OSMI製剤と称する)は次の通りである:
ビタミンE(d-α-トコフェリルアセテート)、400 I.U.;
ビタミンC(アスコルビン酸もしくはその塩)100 mg;
リコピン6mg;
コエンザイムQ10 40 mg;
セレン26μg;
亜鉛25 mg;および
ニンニク油1000 mg、または上記と同等量の各種成分を含む組成物。
【0120】
前記製剤(栄養補助剤)は、例えば、被検者への経口送達用のカプセルの形態で投与してもよい。
【0121】
本発明の様々な実施形態の組成物または組合せ製品の被験者への投与には、個別投与または他の作用物質の共投与も含まれうる。例えば、精子機能を増強する作用物質および/または細胞DNA合成に関与する作用物質を被検者に投与して、雄性被検者の精子に対する遊離基損傷の程度を軽減することもできる。精子機能を改善し、かつ細胞DNA合成に重要な役割を果たす作用物質の例は葉酸である。精子機能を高める作用物質の例はL-カルニチンである。
【0122】
葉酸を含む好適な製剤(Menevit製剤と称する)は、次の通りである:
ビタミンE(d-α-トコフェリルアセテート)、400 I.U.;
ビタミンC(アスコルビン酸もしくはその塩)100 mg;
リコピン6mg;
葉酸 500μg;
セレン26μg;
亜鉛25 mg;および
ニンニク油1000 mg、または上記と同等量の各種成分を含む組成物。
【0123】
上記製剤(栄養補給剤)は、例えば、被検者への経口送達用のカプセルの形態で投与してもよい。また、上記製剤は、40 mgのコエンザイムQ10を含んでもよい。
【0124】
従って、別の実施形態では、本発明は
ビタミンE;
ビタミンC、もしくはその塩;
リコピン;
セレン;
亜鉛;および
500 mg超のニンニク、またはそのエキスもしくは油を含む組成物を提供する。この組成物は、随意に、葉酸もしくはその塩、および/またはコエンザイムQ10;または上記いずれかの薬学的に許容可能な誘導体をさらに含む。
【0125】
本発明の様々な実施形態において、被検者への抗酸化剤の投与と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与は、所望の結果、例えば、妊娠率または妊娠結果の改善、または精子に対する遊離基損傷の低減を達成するのに好適な形態である。投与しようとする抗酸化剤および他の作用物質各々の有効量は、所望の効果または治療効果を概ね呈示する量および形態である限り特に限定されない。
【0126】
これに関して、抗酸化剤および他の作用物質の有効量は、例えば、治療しようとする生殖能力の低下の程度、被検者の年齢および体重、投与頻度、ならびに他の活性物質の存在に応じて適切に選択することができる。
【0127】
一実施形態では、抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与頻度は、連日投与である。
【0128】
一実施形態では、投与計画の期間は6週間以上である。別の実施形態では、投与計画の期間は10週間以上である。別の実施形態では、投与計画の期間は12週間以上である。
【0129】
これに関して、下記製剤のいずれかに好適な投与計画は、12週間の期間の間、下記製剤のうち1つを毎日1回投与するものである:
OSMI製剤:
ビタミンE(d-α-トコフェリルアセテート)、400 I.U.;
ビタミンC(アスコルビン酸もしくはその塩)100 mg;
リコピン6mg;
コエンザイムQ10 40 mg;
セレン26μg;
亜鉛25 mg;
ニンニク油1000 mg、
Menevit製剤:
ビタミンE(d-α-トコフェリルアセテート)、400 I.U.;
ビタミンC(アスコルビン酸もしくはその塩)100 mg;
リコピン6mg;
葉酸 500μg;
セレン26μg;
亜鉛25 mg;
ニンニク油1,000 mg
しかし、本発明の様々な実施形態において、抗酸化剤と他の作用物質の投与は、所望の効果をもたらすのに適したあらゆる時間および頻度の範囲で実施してもよい。抗酸化剤と他の作用物質は、経口、非経口、局所または他の好適な手段のいずれにより投与してもよい。
【0130】
本発明の作用物質の製剤化およびその投与は、当分野で公知の好適な方法により達成することができる。
【0131】
例えば、抗酸化剤と他の作用物質の投与は、本発明の様々な実施形態において、投与されるべき様々な作用物質の特定の物理的および化学的特性を考慮に入れて、1以上の薬学的に許容可能な添加剤(薬学的に許容可能な塩、アミノ酸、ポリペプチド、ポリマー、溶剤、緩衝剤、賦形剤および増量剤など)の使用を含んでもよい。
【0132】
例えば、抗酸化剤と他の作用物質は、個別にまたは一緒に、例えば、水溶液、油性製剤、脂肪乳剤、乳剤、ゲルなどの形態で、多様な医薬組成物に調製することができ、これらの調製物は、筋内または皮下注射もしくは器官(心臓など)への注射として、あるいは、包埋調製物として、または鼻腔、直腸、肺などを介した経粘膜調製物として、投与することができる。
【0133】
本明細書で既述したように、本発明の様々な実施形態において、作用物質は、経口製剤(例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤もしくは粉末剤のような固体調製物;シロップ剤、乳剤または懸濁剤のような液体調製物)の形態で、一緒にまたは個別に投与してもよい。本発明の様々な実施形態において、抗酸化剤と他の作用物質を一緒にまたは個別に含む組成物は、防腐剤、安定剤、分散剤、pH調節剤もしくは等張剤をさらに含んでもよい。本発明の様々な実施形態における好適な防腐剤の例としては、グリセリン、プロピレングリコール、フェノールもしくはベンジルアルコールが挙げられる。本発明の様々な実施形態における好適な安定剤の例としては、デキストラン、ゼラチン、a-トコフェロールアセテートまたはα−チオグリセリンが挙げられる。本発明の様々な実施形態における好適な分散剤の例としては、ポリオキシエチレン(20)、ソルビタンモノオレエート(Tween 80)、ソルビタンセスキオレエート(Span 30)、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(PluronicF68)もしくはポリオキシエチレン水素化ヒマシ油60が挙げられる。本発明の様々な実施形態における好適なpH調節剤の例として、塩酸、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。好適な等張剤の例としては、グルコース、D-ソルビトールもしくはD-マンニトールが挙げられる。
【0134】
本発明の様々な実施形態において、抗酸化剤と他の作用物質の個別または共投与は、投与する抗酸化剤および他の作用物質の物理的および化学的特性を考慮に入れて、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤、懸濁剤、潤滑剤、アジュバント、ビヒクル、送達系、乳化剤、崩壊剤、吸収剤、防腐剤、界面活性剤、着色剤、香料または甘味料を含む組成物の形態であってもよい。
【0135】
これらの目的のために、上記作用物質は、経口、非経口、吸入スプレーによって、吸収、局所、直腸、鼻、口腔経路で投与してもよいし、慣用の無毒性の薬学的に許容される担体を含む投与製剤において移植レザーバーを介して投与してもよいし、あるいは、他の便利な剤形のいずれかにより投与してもよい。本明細書で用いる用語「非経口」とは、皮下、静脈内、筋内、腹腔内、鞘内、胸骨内、および頭蓋内注射または注入技術などを含む。
【0136】
非経口投与する場合には、個別または一緒に行なう抗酸化剤および他の作用物質の個別又は共投与は、通常、薬学的に許容される担体を含む、典型的にはレシピエントの血液と等張である単位用量の無菌注射形態(溶液、懸濁液もしくは乳剤)である。このような無菌注射形態の例として、無菌注射可能な水性または油性懸濁液がある。これらの懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、当分野で公知の技術に従って製剤化することができる。無菌注射形態はまた、無毒性で、非経口投与に許容される希釈剤もしくは溶剤中の無菌注射液または懸濁液、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液であってもよい。本発明の様々な実施形態において使用できる許容可能なビヒクルおよび溶剤として、水、塩水、リンガー液、デキストロース溶液、等張性塩化ナトリウム溶液、およびハンクス液が挙げられる。加えて、溶剤または懸濁媒体として、無菌の不揮発性油も慣用的に用いられる。この目的のために、あらゆる無菌の不揮発性油を用いてもよく、このような油として、合成モノ−またはジ−グリセリド、トウモロコシ油、綿実油、ピーナツ油、およびゴマ油が挙げられる。オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ならびにオレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸(オリーブ油およびヒマシ油など)、特にそのポリオキシエチル化形態が注射用の調製物に有用である。これらの油性溶液または懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含んでもよい。
【0137】
本発明の様々な実施形態において、担体は、微量の添加剤、例えば、溶解性、等張性、および化学的安定性を増強する物質等(例えば緩衝剤および防腐剤)を含んでもよい。
【0138】
経口投与する場合には、抗酸化剤および/または他の作用物質は、通常、当分野で公知の慣用の装置および技術を用いて、単位剤形、例えば、錠剤、カシェ剤、粉末剤、顆粒剤、ビーズ、チュアブルロゼンジ、カプセル剤、液体、水性懸濁液または溶液、あるいは、これと同様の剤形に製剤化する。このような製剤は、典型的には、固体、半固体、もしくは液体担体を含む。担体の例として、ラクトース、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、鉱油、ココアバター、カカオ脂、アルギナート、トラガカントゴム、ゼラチン、シロップ、メチルセルロース、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0139】
随意に1以上の補助成分と一緒に、抗酸化剤および/または他の作用物質を圧縮または成形することにより、錠剤を製造してもよい。圧縮錠剤は、好適な機械で、場合により結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤、もしくは分散剤と混合した、易流動形態(例えば、粉末または顆粒)の活性成分を圧縮することにより、調製することができる。成形錠剤は、好適な機械で、粉末状の活性成分と、不活性液体希釈剤で湿らせた適当な担体との混合物を成形することにより調製することができる。
【0140】
本発明の様々な実施形態において、抗酸化剤および/または他の作用物質の投与は、制御放出技術を用いてもよい。また、抗酸化剤および/または他の作用物質は、除放性医薬として投与してもよい。除放効果をさらに高めるために、抗酸化剤および/または他の作用物質を、以下に挙げるような追加の成分と一緒に製剤化してもよい:植物油(例えば、ダイズ油、ゴマ油、ツバキ油、ヒマシ油、ピーナツ油、ナタネ油);中鎖脂肪酸トリグリセリド;オレイン酸エチルなどの脂肪酸エステル;ポリシロキサン誘導体;あるいは、ヒアルロン酸のような水溶性の高分子量化合物又はその塩(重量平均分子量:約80,000〜2,000,000)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(重量平均分子量:約20,000〜400,000)、ヒドロキシプロピルセルロース(2%水溶液中の粘度:3〜4,000 cps)、アテロコラーゲン(重量平均分子量:約300,000)、ポリエチレングリコール(重量平均分子量:約400〜20,000)、ポリエチレンオキシド(重量平均分子量:約100,000〜9,000,000)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(1%水溶液中の粘度:4〜100,000 cSt)、メチルセルロース(2%水溶液中の粘度:15〜8,000 cSt)、ポリビニルアルコール(粘度:2〜100 cSt)、ポリビニルピロリドン(重量平均分子量:約25,000〜1,200,000)。
【0141】
あるいは、本発明の様々な実施形態において、抗酸化剤および他の作用物質は、数日間にわたる制御放出のために、疎水性ポリマーマトリックスに個別または一緒に組み込んでもよい。次に、抗酸化剤および/または他の作用物質は、何度も投薬する必要なく長時間にわたって有効な濃度の抗酸化剤および他の作用物質のいずれかまたは両方を提供するのに適した、固体インプラント、または外部適用パッチに成形することができる。このような制御放出フィルムは当分野では周知である。この目的のために一般に使用されるポリマーで使用可能な他の例として、非分解性エチレン−酢酸ビニルコポリマー、分解性乳酸-グリコール酸コポリマーが挙げられ、これらは外部または内部のいずれに用いてもよい。ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール)のような特定のヒドロゲルも有用であるが、前述したもの等、他のポリマー放出系より放出周期が短い場合に有用である。
【0142】
本発明の様々な実施形態において、担体は、適切な時間放出特性および放出速度を有する固体の生物分解性ポリマーまたは生物分解性ポリマーの混合物であってもよい。次に、抗酸化剤および/または他の作用物質は、何度も再投薬する必要なく長時間にわたり有効な濃度の抗酸化剤および/または他の作用物質を提供するのに適した固体インプラントに成形することもできる。抗酸化剤および/または他の物質は、当業者には公知の好適な様式で、生物分解性ポリマーまたはポリマー混合物に導入してもよいし、また、生物分解性ポリマーとの均質なマトリックスを形成しても、あるいは、何らかの方法でポリマー内にカプセル化しても、または固体インプラントに成形してもよい。
【0143】
本発明の様々な実施形態において、抗酸化剤および/または他の作用物質を送達する他の方法が企図されることは理解されるべきである。例えば、抗酸化剤および/または他の作用物質がタンパク質種である場合には、適切な標的細胞における発現を可能にする核酸またはベクターを用いて、これらを個別または一緒に送達することができる。例えば、雄性生殖管における標的細胞での発現をもたらすウイルスベクターを用いてこれらを送達することができる。酵素系抗酸化剤の例として、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼおよびグルタチオンペルオキシダーゼが挙げられる。
【0144】
本明細書に既述したように、本発明はまた、雄性生殖管および/または精液における遊離基の生成を低減することにも適している。
【0145】
これに関して、雄性生殖管は、精巣上体、陰茎、前立腺、精嚢、精巣、精管および精液を包含するものと理解されたい。
【0146】
雄性生殖管における遊離基のレベルを測定する方法は当分野では公知である。例えば、化学発光アッセイ(Kobayashiら、(2001)J Androl 22(4):568-74に記載される)を用いて、精子または精液白血球による遊離基生成を直接測定することができる。あるいは、精子脂質膜に対する遊離基関連損傷を測定するアッセイを用いてもよい。例えば、TBARアッセイ(精子膜酸化のマーカーであるマロンジアルデヒドの測定を含む)またはLPO-586分光測光アッセイを用いてもよい。これらの方法は、Gomezら、 (1998) International Journal of Andrology 21(2):81-96およびAitkenら、(1993) Molecular Reproduction and Development 35:302-315に記載されている。
【0147】
一実施形態では、遊離基は雄性生殖管および/または精液に存在する白血球および/または精子により生成される。
【0148】
好適な抗酸化剤の例は、本明細書に既に記載の通りである。白血球サイトカイン産生を阻害する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の例は本明細書に既に記載した通りである。
【0149】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の有効量は、所望の効果または治療効果を有する限り特に限定されず、投与する特定の作用物質に左右される。作用物質の好適な濃度は本明細書にすでに記載した通りである。
【0150】
抗酸化剤および他の作用物質の有効量は、例えば、治療しようとする生殖能力低下のタイプおよび程度、被検者の年齢および体重、投与頻度、ならびに他の活性作用物質の存在に応じて適切に選択することができる。
【0151】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、個別に、または組合せて被検者に投与することができる。
【0152】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の生殖管および/または精液における遊離基の生成を低減するための組合せ製品であって、下記成分:
抗酸化剤;および
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質;および/または
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質
を含み、その際、組合せ製品中の上記成分は同じではなく、上記成分は、被検者に個別投与するための形態、または被検者に1以上の成分を共投与するための形態で提供される、上記組合せ製品を提供する。
【0153】
一実施形態では、抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、単一製剤の形態の組成物として被検者に投与することができる。
【0154】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性の生殖管および/または精液における遊離基の生成を低減するための組成物であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを含む、上記組成物を提供する。
【0155】
別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の生殖管および/または精液における遊離基の生成を低減するための薬剤の製造における、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せた抗酸化剤の使用を提供する。
【0156】
好適な組成物は、本明細書に既述したもの、すなわち、OSMIおよびMenevit製剤である。
【0157】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与については、本明細書にすでに記載した通りである。
【0158】
既述したように、本発明はまた、雄性被検者の生殖管における白血球の活性および/または濃度を低減するのに適している。
【0159】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の生殖管および/または精液における白血球の活性および/または濃度を低減する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0160】
雄性生殖管における白血球の活性および/または濃度のレベルを測定する方法は、当分野では公知である。例えば、精液細胞スライドのペルオキシダーゼ染色または白血球表面抗原に対するモノクローナル抗体(例えば、CD45)を用いることができる(Henkelら、(2003) Andrologia 35(5):309-314に記載される)。あるいは、精液内の酸化的ストレスおよび白血球活性と相関するIL-6のような精液サイトカインを測定することができる(Nallellaら、(2004) Urology 64(5):1010-3に記載される)。
【0161】
好適な抗酸化剤の例は本明細書に既述の通りである。雄性生殖管の炎症を低減する作用物質、ならびに精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の例についても、本明細書にすでに記載した通りである。
【0162】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の有効量は、所望の効果または治療効果を有する限り特に限定されず、投与する特定の作用物質に左右される。作用物質の好適な濃度は本明細書にすでに記載した通りである。
【0163】
酸化剤および他の作用物質の有効量は、例えば、治療しようとする生殖能力低下のタイプおよび程度、被検者の年齢および体重、投与頻度、ならびに他の活性物質の存在に応じて適切に選択することができる。
【0164】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、個別に、または併用して被検者に投与することができる。
【0165】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の生殖管および/または精液における白血球の活性および/または濃度を低減するための組合せ製品であって、下記成分:
抗酸化剤;および
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質;および/または
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質
を含み、その際、組合せ製品中の上記成分は同じではなく、上記成分は、被検者に個別に投与するための形態、または雄性被検者に1以上の成分を共投与するための形態で提供される、上記組合せ製品を提供する。
【0166】
一実施形態では、抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、単一製剤の形態の組成物として被検者に投与する。
【0167】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の生殖管および/または精液における白血球の活性および/または濃度を低減するための組成物であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを含む、上記組成物を提供する。
【0168】
別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の生殖管における白血球の活性および/または濃度を低減するための薬剤の製造における、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せた抗酸化剤の使用を提供する。
【0169】
好適な組成物は、本明細書に既述したもの、すなわち、OSMIおよびMenevit製剤である。
【0170】
抗酸化剤の投与と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与については、本明細書にすでに記載した通りである。
【0171】
本発明はまた、生殖管における炎症性メディエーターのレベルおよび/または生成を低減する、例えば、雄性被検者の生殖管における炎症性サイトカインのレベルおよび/または産生を低減するのに適している。
【0172】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の生殖管および/または精液における炎症性サイトカインのレベルおよび/または産生を低減する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0173】
一実施形態では、炎症性サイトカインは、IL-1、IL-6、IL-8、TNF-αおよびインターフェロン-γのうちの1以上である。
【0174】
雄性生殖管における炎症性サイトカインのレベルを測定する方法は、当分野では公知であり、例えば、Depuydtら (1996) J Andrology 17(6):699-707、Maegawaら、(2002). J Reprod Immunology 54: 33-42、およびNallellaら、 (2004) Urology 64(5): 1010-3に記載されているように、プロ炎症性サイトカイン(IL-1、IL-6、IL-8、TNF-αおよびインターフェロン-γなど)の検出のためのELISAアッセイなどが挙げられる。
【0175】
好適な抗酸化剤の例は本明細書に既述の通りである。雄性生殖管の炎症を低減する作用物質、ならびに精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の例についても、本明細書にすでに記載した通りである。
【0176】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の有効量は、所望の効果または治療効果を有する限り特に限定されず、投与する特定の作用物質に左右される。抗酸化剤および他の作用物質の好適な濃度は本明細書にすでに記載した通りである。
【0177】
抗酸化剤および他の作用物質の有効量は、例えば、治療しようとする生殖能力低下のタイプおよび程度、被検者の年齢および体重、投与頻度、ならびに他の活性物質の存在に応じて適切に選択することができる。
【0178】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、個別に、または組合せて被検者に投与することができる。
【0179】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の生殖管および/または精液における炎症性サイトカイン産生を低減するための組合せ製品であって、下記成分:
抗酸化剤;および
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質;および/または
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質
を含み、その際、組合せ製品中の上記成分は同じではなく、上記成分は、被検者に個別に投与するための形態、または雄性被検者に1以上の成分を共投与するための形態で提供される、上記組合せ製品を提供する。
【0180】
一実施形態では、抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、単一製剤の形態の組成物として被検者に投与する。
【0181】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の生殖管および/または精液における炎症性サイトカイン産生を低減するための組成物であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを含む、上記組成物を提供する。
【0182】
別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の生殖管における炎症性サイトカイン産生を低減するための薬剤の製造における、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せた抗酸化剤の使用を提供する。
【0183】
好適な組成物は、本明細書に既述したもの、すなわち、OSMIおよびMenevit製剤である。
【0184】
抗酸化剤の投与と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与については、本明細書にすでに記載した通りである。
【0185】
本発明はまた、雄性被検者における精子機能を改善することに適している。
【0186】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者における精子機能を改善する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0187】
これに関し、用語「精子機能」とは、精子生理学の重要な要素のいずれかであり、卵母細胞への遊泳活動(運動性)、受精能獲得を経て卵母細胞の外被(透明帯)に侵入し、卵母細胞と融合する能力、配偶子融合時に機能的雄性前核を形成するための精子DNA完全性の維持を含む。
【0188】
精子のレベルを測定する方法は当分野では公知である。例えば、好適な方法は、ヒト精液および精子−子宮栩部粘膜相互作用の試験のための世界保健機関(WHO)実験マニュアル(World Health Organization laboratory manual for the examination of human semen and sperm-cervical mucous interation)(第4版)(Cambridge University Press 1999)に詳しく記載されている。
【0189】
好適な抗酸化剤の例は本明細書に既述の通りである。雄性生殖管の炎症を低減する作用物質、ならびに精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の例は、本明細書にすでに記載した通りである。
【0190】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の有効量は、所望の効果または治療効果を有する限り特に限定されず、投与する特定の作用物質に左右される。抗酸化剤および他の作用物質の好適な濃度は本明細書にすでに記載した通りである。
【0191】
抗酸化剤および他の作用物質の有効量は、例えば、治療しようとする生殖能力低下のタイプおよび程度、被検者の年齢および体重、投与頻度、ならびに他の活性物質の存在に応じて適切に選択する。
【0192】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、個別に、または組合せて被検者に投与することができる。
【0193】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者における精子機能を改善するための組合せ製品であって、下記成分:
抗酸化剤;および
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質;および/または
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質
を含み、その際、組合せ製品中の上記成分は同じではなく、上記成分は、被検者に個別に投与するための形態、または被検者に1以上の成分を共投与するための形態で提供される、前記組合せ製品を提供する。
【0194】
一実施形態では、抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、単一製剤の形態の組成物として被検者に投与する。
【0195】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者における精子機能を改善するための組成物であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する高める有効量の作用物質
とを含む、上記組成物を提供する。
【0196】
別の実施形態では、本発明は、雄性被検者における精子機能を改善するための薬剤の製造における、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せた抗酸化剤の使用を提供する。
【0197】
好適な組成物は、本明細書に既述したもの、すなわち、OSMIおよびMenevit製剤である。
【0198】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与については、本明細書にすでに記載した通りである。
【0199】
本発明はまた、雄性被検者における精子運動性を改善することに適している。
【0200】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者における精子運動性を改善する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する高める有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0201】
精子運動性を測定する方法は当分野では公知である。例えば、好適な方法は、ヒト精液および精子−子宮栩部粘膜相互作用の試験のための世界保健機関 (WHO) 実験マニュアル(第4版)、Cambridge University Press 1999に詳しく記載されている。
【0202】
好適な抗酸化剤の例は既述の通りである。雄性生殖管の炎症を低減する作用物質、ならびに精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の例は、すでに記載した通りである。
【0203】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の有効量は、所望の効果または治療効果を有する限り特に限定されず、投与する特定の作用物質に左右される。抗酸化剤および他の作用物質の好適な濃度は本明細書にすでに記載した通りである。
【0204】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、個別に、または組合せて被検者に投与することができる。
【0205】
抗酸化剤および他の作用物質の有効量は、例えば、治療しようとする生殖能力低下のタイプおよび程度、被検者の年齢および体重、投与頻度、ならびに他の活性物質の存在に応じて適切に選択するすることができる。
【0206】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者における精子運動性を改善するための組合せ製品であって、下記成分:
抗酸化剤;および
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質;および/または
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質
を含み、その際、組合せ製品中の上記成分は同じではなく、上記成分は、被検者に個別に投与するための形態、または被検者に1以上の成分を共投与するための形態で提供される、上記組合せ製品を提供する。
【0207】
一実施形態では、抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、単一製剤の形態の組成物として被検者に投与する。
【0208】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者における精子運動性を改善するための組成物であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを含む、上記組成物を提供する。
【0209】
別の実施形態では、本発明は、雄性被検者における精子運動性を改善するための薬剤の製造における、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せた抗酸化剤の使用を提供する。
【0210】
好適な組成物は、本明細書に既述したもの、すなわち、OSMIおよびMenevit製剤である。
【0211】
抗酸化剤の投与と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与については、本明細書にすでに記載した通りである。
【0212】
本発明はまた、雄性被検者における精子が担持するDNAに対する遊離基損傷を低減することに適している。
【0213】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者における精子DNAに対する遊離基損傷を低減する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0214】
精子DNA運動性に対する損傷を測定する方法は当分野では公知である。例えば、Evensonら、(2002) J Andrology 23(1):25-43およびShen ら、(2000) Free Radical Biol Med 28(4):529-36に記載されているように、精子クロマチン構造アッセイ(SCSA)、コメットおよびTunelアッセイはすべて、精子DNAに対する損傷を測定するのに用いることができる。
【0215】
好適な抗酸化剤の例は本明細書に既述の通りである。雄性生殖管の炎症を低減する作用物質、ならびに精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の例は、本明細書にすでに記載した通りである。
【0216】
抗酸化剤および他の作用物質の有効量は、所望の効果または治療効果を有する限り特に限定されず、投与する特定の作用物質に左右される。抗酸化剤および他の作用物質の好適な濃度はすでに記載した通りである。
【0217】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、個別に、または組合せて被検者に投与することができる。
【0218】
一実施形態では、この形態の本発明は、精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与を含まない。
【0219】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者における精子DNAに対する遊離基損傷を低減する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0220】
抗酸化剤および他の作用物質の有効量は、例えば、治療しようとする生殖能力低下のタイプおよび程度、被検者の年齢および体重、投与頻度、ならびに他の活性物質の存在に応じて適切に選択することができる。
【0221】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者における精子DNAに対する遊離基損傷を低減するための組合せ製品であって、下記成分:
抗酸化剤;および
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質;および/または
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質
を含み、その際、組合せ製品中の上記成分は同じではなく、上記成分は、被検者に個別に投与するための形態、または被検者に1以上の成分を共投与するための形態で提供される、上記組合せ製品を提供する。
【0222】
一実施形態では、抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、単一製剤の形態の組成物として被検者に投与する。
【0223】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者における精子DNAに対する遊離基損傷を低減するための組成物であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを含む、上記組成物を提供する。
【0224】
一実施形態では、前記組成物は、精巣濃度を増加する作用物質を含まない。
【0225】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者における精子DNAに対する遊離基損傷を低減するための組成物であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質
とを含む、上記組成物を提供する。
【0226】
別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の精子DNAに対する遊離基損傷を低減するための薬剤の製造における、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せた抗酸化剤の使用も提供する。
【0227】
好適な組成物は、本明細書に既述したもの、すなわち、OSMIおよびMenevit製剤である。
【0228】
抗酸化剤の投与と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与については、本明細書にすでに記載した通りである。
【0229】
本発明はまた、雄性被検者における精子生産を改善することに適している。
【0230】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者における精子生産を改善する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0231】
精子生産を測定する方法は当分野では公知である。
【0232】
好適な抗酸化剤の例は既述の通りである。雄性生殖管の炎症を低減する作用物質、ならびに精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の例は、本明細書にすでに記載した通りである。
【0233】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の有効量は、所望の効果または治療効果を有する限り特に限定されず、投与する特定の作用物質に左右される。抗酸化剤および他の作用物質の好適な濃度については本明細書にすでに記載した通りである。
【0234】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、個別に、または組合せて被検者に投与することができる。
【0235】
抗酸化剤および他の作用物質の有効量は、例えば、治療しようとする生殖能力低下のタイプおよび程度、被検者の年齢および体重、投与頻度、ならびに他の活性物質の存在に応じて適切に選択することができる。
【0236】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者における精子生産を改善するための組合せ製品であって、下記成分:
抗酸化剤;および
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質;および/または
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質
を含み、その際、組合せ製品中の上記成分は同じではなく、上記成分は、被検者に個別に投与するための形態、または雄性被検者に1以上の成分を共投与するための形態で提供される、上記組合せ製品を提供する。
【0237】
一実施形態では、抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、単一製剤の形態の組成物として被検者に投与する。
【0238】
従って、別の形態では、本発明は、雄性被検者における精子生産を改善するための組成物であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを含む、上記組成物を提供する。
【0239】
別の形態では、本発明は、雄性被検者における精子生産を改善するための薬剤の製造における、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せた抗酸化剤の使用を提供する。
【0240】
好適な組成物は、本明細書に既述したもの、すなわち、OSMIおよびMenevit製剤である。
【0241】
抗酸化剤の投与と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与は、すでに記載した通りである。
【0242】
本発明はまた、本発明に従って治療した雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精により形成された胚における胚質を改善することに適している。
【0243】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精により形成された胚の質を改善する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0244】
これに関し、「胚質」という用語は、胚が生存可能な妊娠を生じる可能性の測度であると理解される。胚の形態は、通常、その質の最良の指標であると考えられる。胚形成から2〜3日目に、胚内の卵割球数、それら同士の相対サイズ、細胞質断片化の程度ならびに核形態などの形態学的特徴はすべて、妊娠可能性の良好な指標と考えられる(Rienziら、(2005) Reproductive Biomedicine Online 10(5):669に記載される)。さらに、卵割期(2〜3日目)から胚盤胞(5日目の胚)まで進行する能力は、良好な胚質のマーカーと考えられる(Boriniら、(2005) Reproductive Biomedicine Online 10(5): 653-658に記載される)。
【0245】
胚は、自然受胎により形成された胚であってもよいし、または生殖補助技術、例えば、人工授精、体外受精、卵管内配偶子移植(GIFT)、子宮内授精(IUI)、細胞質内精子注入(ICSI)、精巣精子抽出(TESE)、ならびに経皮精巣上体精子吸引(PESA)などにより形成された胚であってもよい。胚を作製する方法は当分野では公知である。
【0246】
本発明はまた、この方法により生産された単離胚、およびこの胚から生じる非ヒト動物を提供する。
【0247】
このようにして作製した質の改善された胚は、凍結および解凍の影響に優れた耐性を有する可能性が高い。従って、本発明は、有効量の抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質で治療した雄性被検者から単離した精子で卵母細胞を受精させることにより、胚の低温保存を改善する方法にも及ぶ。
【0248】
胚は、ヒト胚、または哺乳動物胚、例えば、霊長類、家畜動物(例:ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ)、ペット動物(例:イヌ、ネコ)、もしくは実験動物(例:マウス、ラット、モルモット)由来の胚などであってもよい。一実施形態では、胚はヒト胚である。
【0249】
従って、この形態の本発明が、ヒトおよび動物において、自然受胎または生殖補助の目的で胚質を改善するために使用できることが理解されよう。
【0250】
胚質を決定する方法は当分野では公知であり、すでに述べた通りである。
【0251】
好適な抗酸化剤の例は既述の通りである。雄性生殖管の炎症を低減する作用物質、および精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の例は、すでに記載した通りである。
【0252】
抗酸化剤と他の作用物質の有効量は、胚質を改善する所望の効果を有する限り特に限定されず、投与する特定の作用物質に左右される。抗酸化剤および他の作用物質の好適な濃度はすでに記載した通りである。
【0253】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、個別に、または組合せて被検者に投与することができる。
【0254】
抗酸化剤および他の作用物質の有効量は、例えば、被検者の年齢および体重、投与頻度、ならびに他の活性物質の存在に応じて適切に選択することができる。
【0255】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精により形成された胚の質を改善する目的で投与するための組合せ製品であって、下記成分:
抗酸化剤;および
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質;および/または
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質
を含み、その際、組合せ製品中の上記成分は同じではなく、上記成分は、被検者に個別に投与するための形態、または被検者に1以上の成分を共投与するための形態で提供される、上記組合せ製品を提供する。
【0256】
一実施形態では、抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、単一製剤の形態の組成物として被検者に投与する。
【0257】
従って、別の形態では、本発明は、雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精により形成された胚の質を改善する目的で雄性被検者に投与するための組成物であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを含む、上記組成物を提供する。
【0258】
別の形態では、本発明はまた、雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精により形成された胚の質を改善する目的で雄性被検者に投与するための薬剤の製造における、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せた抗酸化剤の使用を提供する。
【0259】
好適な組成物は、本明細書に既述したもの、すなわち、OSMIおよびMenevit製剤である。
【0260】
抗酸化剤の投与と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与は、すでに記載した通りである。
【0261】
本発明はまた、雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精により形成される胚の発生を改善するのに適している。
【0262】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精により形成される胚の発生を改善する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを該被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0263】
胚は、自然受胎により形成された胚であってもよいし、または生殖補助技術、例えば、人工授精、体外受精、卵管内配偶子移植(GIFT)、子宮内授精(IUI)、細胞質内精子注入(ICSI)、精巣精子抽出(TESE)、ならびに経皮精巣上体精子吸引(PESA)などにより形成された胚であってもよい。生殖補助技術により胚を作製する方法は当分野では公知である。
【0264】
本発明はまた、この形態の本発明に従って作製された単離胚を提供する。
【0265】
胚は、ヒト胚、または哺乳動物胚、例えば、霊長類、家畜動物(例:ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ)、ペット動物(例:イヌ、ネコ)、もしくは実験動物(例:マウス、ラット、モルモット)由来の胚であってもよい。一実施形態では、胚はヒト胚である。
【0266】
従って、この形態の本発明が、ヒトおよび動物において、自然受胎目的及び生殖補助目的で胚の発生を改善するために使用できることが理解されよう。
【0267】
胚の発生を評価する方法は当分野では公知であり、胚質に関して既述した通りである。
【0268】
好適な抗酸化剤の例はすでに記載した通りである。雄性生殖管の炎症を低減する作用物質、および精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の例は既述の通りである。
【0269】
抗酸化剤と他の作用物質の有効量は、胚の発生を改善する所望の効果を有する限り特に限定されず、投与する特定の作用物質に左右される。抗酸化剤および他の作用物質の好適な濃度はすでに記載した通りである。
【0270】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、個別に、または組合せて被検者に投与することができる。
【0271】
抗酸化剤および他の作用物質の有効量は、例えば、被検者の年齢および体重、投与頻度、ならびに他の活性物質の存在に応じて適切に選択することができる。
【0272】
従って、別の形態では、本発明は、雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精により形成される胚の発生を改善する目的で雄性被検者に投与するための組合せ製品であって、下記成分:
抗酸化剤;および
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質;および/または
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質
を含み、その際、組合せ製品中の上記成分は同じではなく、上記成分は、被検者に個別に投与するための形態、または1以上の上記成分を被検者に共投与するための形態で提供される、上記組合せ製品を提供する。
【0273】
一実施形態では、抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、単一製剤の形態の組成物として被検者に投与する。
【0274】
従って、別の形態では、本発明は、雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精により形成される胚の発生を改善する目的で雄性被検者に投与するための組成物であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを含む、上記組成物を提供する。
【0275】
好適な組成物は、既述したもの、すなわち、OSMIおよびMenevit製剤である。
【0276】
別の形態では、本発明はまた、雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精により形成される胚の発生を改善する目的で雄性被検者に投与するための薬剤の製造における、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せた抗酸化剤の使用を提供する。
【0277】
抗酸化剤の投与と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与は、すでに記載した通りである。
【0278】
本発明はまた、被検者の父親の精子DNAに対する遊離基損傷に起因する該被検者のDNA損傷の程度を低減することに適している。
【0279】
従って、別の形態では、本発明は、被検者の父親から遺伝する被検者におけるDNA損傷の程度を低減する方法であって、該DNA損傷は被検者の父親の精子DNAに対する遊離基損傷に起因するものであり、被検者の受胎前に、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを該父親に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0280】
この形態の本発明は、雄性被検者の子孫におけるDNA損傷を低減するのに有用である。この子孫は、自然生殖、または生殖補助技術、例えば、人工授精、体外受精、卵管内配偶子移植(GIFT)、子宮内授精(IUI)、細胞質内精子注入(ICSI)、精巣精子抽出(TESE)、ならびに経皮精巣上体精子吸引(PESA)などにより誕生しうる。
【0281】
この形態の本発明が、ヒトおよび動物において、種々の作用物質を子孫の受胎前に被験者に投与することによって子孫のDNA損傷を低減するために用いることができることが理解されたよう。
【0282】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の子孫におけるDNA損傷の程度を低減する方法であって、該子孫におけるDNA損傷は遊離基による雄性被験者の精子におけるDNA損傷の遺伝に起因するものであり、該子孫の受胎前に、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0283】
被検者におけるDNA損傷の程度を評価する方法は当分野で公知である。例えば、Evensonら、(2002) J Andrology 23(1):25-43およびShen ら、(2000) Free Radical Biol Med 28(4):529-36に記載されているように、精子クロマチン構造アッセイ(SCSA)、コメットおよびTunelアッセイはすべて、精子DNAに対する損傷を測定するのに用いることができる。
【0284】
好適な抗酸化剤の例はすでに記載した通りである。雄性生殖管の炎症を低減する作用物質、ならびに精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の例についても、既述の通りである。
【0285】
抗酸化剤および他の作用物質の有効量は、所望の効果を有する限り特に限定されず、投与する作用物質に左右される。抗酸化剤および他の作用物質の好適な濃度はすでに記載した通りである。
【0286】
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質の有効量および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の有効量は、所望の効果を有する限り特に限定されず、投与する特定の作用物質に左右される。
【0287】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、個別に、または組合せて被検者に投与することができる。
【0288】
一実施形態では、この形態の本発明は、精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与を含まない。
【0289】
抗酸化剤および他の作用物質の有効量は、例えば、被検者の年齢および体重、投与頻度、ならびに他の活性物質の存在に応じて適切に選択することができる。
【0290】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の精子DNAに対する遊離基損傷に起因する雄性被検者の子孫におけるDNA損傷の程度を低減する目的で雄性被検者に投与するための組合せ製品であって、下記成分:
抗酸化剤;および
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質;および/または
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質
を含み、その際、組合せ製品中の上記成分は同じではなく、上記成分は、被検者に個別に投与するための形態、または被検者に1以上の上記成分を共投与するための形態で提供される、上記組合せ製品を提供する。
【0291】
一実施形態では、抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、単一製剤の形態の組成物として被検者に投与する。
【0292】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の精子DNAに対する遊離基損傷に起因する雄性被検者の子孫におけるDNA損傷の程度を低減する目的で雄性被検者に投与するための組成物であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを含む、上記組成物を提供する。
【0293】
好適な組成物は、本明細書に既述したもの、すなわち、OSMIおよびMenevit製剤である。
【0294】
別の実施形態では、本発明はまた、雄性被検者の精子DNAに対する遊離基損傷に起因する雄性被検者の子孫におけるDNA損傷の程度を低減する目的で雄性被検者に投与するための薬剤の製造における、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せた抗酸化剤の使用を提供する。
【0295】
抗酸化剤の投与と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質の投与および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与は、すでに記載した通りである。
【0296】
本発明はまた、被検者の父親の精子DNAに対する遊離基損傷に関連して該被検者で発症する疾患または症状を予防することに適している。
【0297】
従って、別の実施形態では、本発明は、被検者における疾患または病状を予防する方法であって、該疾患または病状は精子DNAに対する遊離基損傷に起因して被検者の父親から遺伝するDNA損傷に関連するものであり、被検者の受胎前に、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを該被検者の父親に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0298】
本発明のこの実施形態は、雄性被検者の子孫における疾患または病状を予防するのに有用である。父親の精子に対するDNA損傷により、DNA損傷(接合前遺伝子損傷)が子孫に遺伝する可能性があり、これは、最終的には子孫において疾患または病状の発症を引き起こすか、あるいは、少なくともその発症に寄与する。理解されるように、子孫の受胎前に、父親を治療する。
【0299】
本発明のこの実施形態を用いてヒトまたは動物の疾患を予防できることは理解されよう。被検者の父親における精子DNAへの遊離基損傷に関連する疾患または症状の例として、急性リンパ性白血病などの多種の癌が挙げられる。
【0300】
一実施形態では、前記疾患または症状は、小児癌、例えば、15歳に達する前に発症する小児癌である。
【0301】
好適な抗酸化剤の例はすでに記載した通りである。雄性生殖管の炎症を低減する作用物質、ならびに精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の例は既述の通りである。
【0302】
抗酸化剤および他の作用物質の有効量は、所望の効果を有する限り特に限定されず、投与する特定の薬剤に左右される。抗酸化剤および他の作用物質の好適な濃度はすでに記載した通りである。
【0303】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、個別に、または組合せて被検者に投与することができる。
【0304】
抗酸化剤および他の作用物質の有効量は、例えば、被検者の年齢および体重、投与頻度、ならびに他の活性物質の存在に応じて適切に選択することができる。
【0305】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の子孫に発生する疾患または病状を予防する目的で雄性被検者に投与するための組合せ製品であって、該疾患または病状は該雄性被検者における精子DNAに対する遊離基損傷に関連するものであり、下記成分:
抗酸化剤;および
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質;および/または
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質
を含み、その際、組合せ製品中の上記成分は同じではなく、上記成分は、被検者に個別に投与するための形態、または1以上の上記成分を被検者に共投与するための形態で提供される、上記組合せ製品を提供する。
【0306】
一実施形態では、抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、単一製剤の形態の組成物として被検者に投与する。
【0307】
従って、別の実施形態では、本発明は、精子DNAに対する遊離基損傷に起因して被検者の父親から遺伝するDNA損傷に関連する被検者の疾患または病状を予防する目的で該被検者の父親に投与するための組成物であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを含む、上記組成物を提供する。
【0308】
好適な組成物は、既述したもの、すなわち、OSMIおよびMenevit製剤である。
【0309】
別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の子孫で発症する疾患または病状(該疾患または病状は、雄性被検者の精子DNAに対する遊離基損傷に関連する)を予防する目的で該雄性被検者に投与するための薬剤の製造における、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せた抗酸化剤の使用を提供する。
【0310】
抗酸化剤の投与と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与は、すでに記載した通りである。
【0311】
本発明はまた、雄性被検者における生殖能力を改善するのに適している。
【0312】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者における生殖能力を改善する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0313】
この発明を用いて雄性被検者における不妊症を治療できることも理解されよう。
【0314】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者における不妊症を治療する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0315】
この実施形態をヒトおよび動物に用いて生殖能力を改善できることも理解されよう。加えて、生殖能力の改善は、卵母細胞の体外または体内受精の改善にも関連する。
【0316】
雄性不妊症を評価する方法は当分野で公知である。通常のIVF(ICSIではない)により、精子が卵母細胞と体外で受精する能力の優れた試験が提供される。正常な受精率は60〜70%であり、受精率がこれより低ければ、精子または卵母細胞機能に問題があることを示している。これ以外の精子−卵母細胞受精能力のin vitro試験として、精子−透明帯(ZP)結合試験およびZP誘導先体反応試験(Liuら、(2004)Fert Steril 82(5):1251-630)が挙げられる。
【0317】
好適な抗酸化剤の例はすでに記載した通りである。雄性生殖管の炎症を低減する作用物質、ならびに精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の例は既述の通りである。
【0318】
抗酸化剤および他の作用物質の有効量は、所望の効果を有する限り特に限定されず、投与する特定の作用物質に左右される。抗酸化剤および他の作用物質の好適な濃度はすでに記載した通りである。
【0319】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、個別に、または組合せて被検者に投与することができる。
【0320】
抗酸化剤および他の作用物質の有効量は、例えば、被検者の年齢および体重、投与頻度、ならびに他の活性物質の存在に応じて適切に選択することができる。
【0321】
従って、別の実施形態では、本発明は、生殖能力を改善する目的で雄性被検者に投与するための組合せ製品であって、下記成分:
抗酸化剤;および
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質;および/または
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質
を含み、その際、組合せ製品中の上記成分は同じではなく、上記成分は、被検者に個別に投与するための形態、または被検者に1以上の上記成分を共投与するための形態で提供される、上記組合せ製品を提供する。
【0322】
この組合せ製品を雄性被験者の不妊症を治療するために使用できることも理解されよう。
【0323】
一実施形態では、抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、単一製剤の形態の組成物として被検者に投与する。
【0324】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の生殖能力を改善するための組成物であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質;および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを含む上記組成物を提供する。
【0325】
この組成物を雄性被験者における不妊症を治療するために使用できることも理解されよう。
【0326】
従って、別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の不妊症を治療するための組成物であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質;および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを含む上記組成物を提供する。
【0327】
好適な組成物は、既述したもの、すなわち、OSMIおよびMenevit製剤である。
【0328】
別の実施形態では、本発明は、雄性被検者の生殖能力を改善する、および/または不妊症を治療するための薬剤の製造における、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せた抗酸化剤の使用を提供する。
【0329】
抗酸化剤の投与と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与は、すでに記載した通りである。
【0330】
抗酸化剤の投与と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与は、雄性被検者のテストステロンレベルを増加するのに適していることも認められている。
【0331】
従って、本発明はまた、雄性被検者のテストステロン濃度を増加する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0332】
好適な抗酸化剤の例はすでに記載した通りである。雄性生殖管の炎症を低減する作用物質、および精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の例は既述の通りである。
【0333】
抗酸化剤および他の作用物質の有効量は、所望の効果を有する限り特に限定されず、投与する特定の薬剤に左右される。抗酸化剤および他の作用物質の好適な濃度は既述の通りである。
【0334】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質は、個別に、または組合せて被検者に投与することができる。
【0335】
抗酸化剤および他の作用物質の有効量は、例えば、被検者の年齢および体重、投与頻度、ならびに他の活性物質の存在に応じて適切に選択することができる。
【0336】
従って、本発明はまた、雄性被検者のテストステロン濃度を増加する目的で雄性被検者に投与するための組合せ製品であって、下記成分:
抗酸化剤;および
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質;および/または
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質
を含み、その際、組合せ製品中の上記成分は同じではなく、上記成分は、被検者に個別に投与するための形態、または1以上の上記成分を被検者に共投与するための形態で提供される、上記組合せ製品を提供する。
【0337】
抗酸化剤と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質とは、単一製剤の形態の組成物として被検者に投与してもよい。
【0338】
従って、本発明は、雄性被検者のテストステロン濃度を高める目的で該雄性被検者に投与するための組成物であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質;および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを含む組成物を提供する。
【0339】
テストステロン濃度を増加するのに好適な組成物は、既述したもの、すなわち、OSMIおよびMenevit製剤である。
【0340】
本発明はまた、雄性被検者のテストステロン濃度を増加する目的で雄性被検者に投与するための薬剤の製造における、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質と組合せた抗酸化剤の使用を提供する。
【0341】
抗酸化剤の投与と、雄性生殖管の炎症を低減する作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与は、すでに記載した通りである。
【0342】
好ましい実施形態の説明
以下、本発明の上記一般原則を具体化する実験を参照する。しかし、以下の記載は上記記載の一般原則を限定するものではないことは理解されるべきである。
【実施例】
【0343】
実施例1
既知の遊離基損傷を有する雄性被検者のグループでOSMI栄養補助剤を調査する試験
小規模の(n=17)試験的研究を実施して、既知の遊離基損傷を有する男性グループにおけるOSMI栄養補助剤の有用性を調べた。Gomezら(1998)International Journal of Andrology 21(2):81-96に記載されているように、TBARSアッセイを用いて、遊離基損傷について不妊男性をスクリーニングした。精子膜酸化のマーカーであるマロンジアルデヒド(MDA)のレベルが有意に上昇していると認められた男性が試験に参加した。12週間にわたり、全患者が活性OSMI投薬(すなわち、プラセボなし)を受けた。
【0344】
OSMI製剤は次の通りであった:
ビタミンE(d-α-トコフェリルアセテート)、400 I.U.
ビタミンC(アスコルビン酸もしくはその塩)100 mg
リコピン6mg
コエンザイムQ10 40 mg
セレン26μg
亜鉛25 mg
ニンニク油1000 mg。
【0345】
この製剤は、カプセルとして準備し、毎日1カプセルを経口投与した。
【0346】
試験期間中、精子の数、運動性、膜完全性およびDNA損傷の変化を分析した(当初、6週間、12週間の時点)。加えて、遊離基損傷によって起こった精子膜脂質過酸化のあらゆる改変を検出するため、MDAレベルの変化をモニタリングした。
【0347】
ヒト精液および精子−子宮栩部粘膜相互作用の調査のための世界保健機関 (WHO) 実験マニュアル(第4版)(Cambridge University Press 1999)に詳しく記載されている通常の実験室技術により、精子の数および運動性を評価した。
【0348】
精子生命力(膜完全性)はHOST試験により評価したが、これは、ヒト精液および精子−子宮栩部粘膜相互作用の調査のための世界保健機関 (WHO) 実験マニュアル(第4版)(Cambridge University Press 1999)に詳しく記載されているように、無傷の精子膜を有する精子の割合を測定するものである。
【0349】
精子DNAに対する損傷は、Lachaudら、(2004)Hum Reprod 19(3): 607-10に記載されているように、in situ細胞死検出キット、フルオレセイン(Roche Diagnostics)を用いて、DNA断片化(TUNEL)アッセイにより評価した。手短には、90%パーコール分画しかつ洗浄した精子を顕微鏡スライドに塗布し、4%パラホルムアルデヒドで固定し、透過性にして(0.1%トリトンX、0.1%クエン酸ナトリウム)から、37℃で1時間TUNELインキュベーションバッファーおよびTdT酵素ターミナルトランスフェラーゼ中でインキュベートし、PBSでしっかりと洗浄し、10μg/ml核ヨウド化プロピジウムで対比染色した。
【0350】
次に、Nikon TE2000Eエピフルオレセント顕微鏡を用いてスライドを処理し、Roper CS CCDカメラを、FITCフィルター励起465〜495 nm、バリアーフィルター515〜555 nm、ダイクロイックミラー505 nm(アポトーシスチャネル蛍光(apoptotic channel fluorescence)用)、PIフィルター励起540〜625 nm、バリアーフィルター605〜655 nm、ダイクロイックミラー565 nmで利用して画像化した。
【0351】
合計約200個を超える細胞をランダムに分析し、得られた複数の画像およびTUNEL緑色アポトーシス核蛍光を赤色核PI蛍光上に視覚的に重ねて、IP labイメージアナライザーソフトウエアを用いて、重複する陽性スコアを個別に定量した。断片化したDNAを有する集団における精子の最終平均%を計算し(TUNEL%と称する)、これを記録して、平均±3未満のアッセイ標準偏差を生じさせた。
【0352】
Gomezら(1998)International Journal of Andrology 21(2):81-96に記載されているように、精子脂質過酸化をTBARSアッセイによって評価した。
【0353】
12週間の記録によるこの試験の結果は下記の通りであった:
1.図1に示すように、運動性精子数は倍増(2,560万から5,360万)
2.HOST試験により評価した精子生命力の有意な改善(58%対67%)。遊離基損傷レベルが高いほど、HOST率(%)は低い。データを表2に示す
3.図3に示すように、精子DNA損傷の有意な低下(28.8%から19.8%)
4.図4に示すように、MDAの低減、これは遊離基精子膜脂質過酸化損傷の減衰を反映している
精子パラメーターは、試験の中間点(6週間)段階ではわずかにしか改善しておらず、十分有益な効果には12週間要したことに留意されたい。
【0354】
実施例2
妊娠およびIVF胚質に対するOSMI栄養補助剤の効果
妊娠およびIVF胚質は、初期OSMI試験の主要な評価項目ではなかった。しかし、数人の患者が、自然またはIVF補助により妊娠した。OSMI治療前およびその最中にIVFを受けた患者は、OSMI栄養補助剤がどのように胚質に作用できるかという測度をもたらした。
【0355】
カップルAは、事前に質が不良な胚(OSMI前 IVFサイクルで泱盤胞を形成したのは8個の胚のうち0個であった)で複数サイクルのIVFを受けていた。しかし、OSMI栄養補助剤で、9個の胚のうち3個が泱盤胞まで発生し、その後、女性パートナーは妊娠した。3日を超える胚の生存には、良好な胚DNAの質が必要であるため、泱盤胞の発生は、精子DNA健全性の良好なマーカーとなる。
【0356】
実施例3
IVF治療中の精子機能および妊娠結果に対する抗酸化剤薬剤療法(Menevit(登録商標))の効果を調べる無作為対照化試験
精子機能の損傷は、不妊症の全症例の半数を占める。男性の20人に1人は、精子機能に損傷があり、現在、米国で推定120万人の男性が男性不妊症に関与する。伝統的に、男性不妊治療は、不妊症の根本的な原因の改善に努めるものではなく、むしろ子宮内授精またはIVF-ICSIのような「機械的」技術を用いて、精子機能の欠陥を回避してきた。これら2つの技術は、大部分の患者において紛れもなく成功しているが、カップルによっては、単純に作用しない場合や、極めて限られた効果しかない。多くの症例において、ART治療にもかかわらず妊娠結果が不良なのは、精子DNA断片化が原因である可能性が高い。精子DNA断片化を予防することができる治療によって、自然およびART関連妊娠率を増強すると考えられる。
【0357】
精子DNA損傷の起源は十分に解明されているわけではない。精子断片化を低減する薬物療法手段を提供するために、Menevit栄養補助剤が開発された。Menevitの含有物を表1にまとめる。この仮定を試験するために、有望な無作為プラセボ対照試験を設計した。
【表1】

【0358】
材料および方法
この試験の参加者は、アデレード大学の生殖医療ユニットである、RepromedでIVF治療を受けているカップルから募集した。参加資格がある男性は、参加時の精液サンプルについて低運動性(Aitkenら、1993)もしくは不良のHOST試験結果のいずれかにより示される酸化関連精子損傷を有する可能性があるか、喫煙者(Salehら、2002)であるか、あるいは精索静脈瘤(Pasqualottoら、2000)および有意な精子DNA断片化(TUNELアッセイで、25%を超える精子DNA断片化)を有する者でなければならなかった。加えて、これら男性のパートナーは、参加の3週間以内にIVFの刺激サイクルを受け、正常に卵巣を保持する者でなければならなかった。卵巣保持に乏しいなど、女性の要因が試験の結果に影響を及ぼすことは望まなかったため、40歳以上の女性、事前のIVF反応に乏しい(5卵母細胞未満)または早期卵胞期FSH結果が上昇した(>10 iu/l)女性はすべて除外した。募集は2004年12月に開始し、試験は2006年4月に完了した。開始前に、婦人および小児病院研究倫理委員会(Women’s and Children’s Hospital research ethics committee)により、試験は承認された。
【0359】
人口統計、生殖能力および妊娠歴、ならびに事前のIVF治療結果に関する情報をすべての患者について収集し、その概要を表2にまとめる。
【0360】
参加資格のある被検者を活性Menevit栄養補助剤またはプラセボに2:1の比でランダムに割り当てた。この不均一な割り当ては、試験前の患者調査により、活性抗酸化剤治療を受ける50%の可能性を参加者に与えた場合に、多くが市販の抗酸化剤を自身で補給することが示唆されたときに、必要であるとみなした。活性およびプラセボ割り当てが2:1であれば、このようなことは起こりにくいと思われた。ランダム化スケジュールは、Bayer Consumer Care Australiaにより6つのブロックでコンピューター作成し、適切に番号付けしたカプセル瓶を、治験参加者の誰にも治療順序を知らせずに、臨床現場に配送した。患者が参加資格を有したら、次の番号を付けた治療パッケージ(1〜60)を患者に割り当てた。活性Menevitおよびプラセボの外観および味は同じにした。
【0361】
男性参加者には、そのパートナーのIVF卵母細胞の採卵の3ヶ月前から、1日当たり1カプセル、食後の服用を求めた。IVFサイクルが遅延した場合には、すべての参加者に4ヶ月分の薬剤を支給した。次に、男性に、6週および12週の評価時点で精液サンプルの提供を求め、精液機能の変化をモニタリングした。これらのサンプルは、3〜5日の禁欲期間後の自慰により取得したもので、WHO指針に従って、精子の数、運動性および形態について分析した。加えて、WHO精液分析マニュアルに概説されているように、低浸透圧膨化試験(HOST)を実施して、精子膜完全性を測定した。残ったサンプルは、後の精子DNA断片化および酸化的損傷の分析に備えて、凍結保護剤を用いずにそのまま凍結した。
【0362】
顕微鏡TUNELアッセイ(Lopesら(1998)Hum Reprod. 13(4):896-900)を用いて、精子DNA断片化を評価した。45%/90%パーコール密度勾配による密度勾配遠心分離(2000 rpm、20分)を用いて精子を取得し、ポリリシンスライドに塗布し、空気乾燥させ、PBS中の4%パラホルムアルデヒドで固定した。次に、精子を0.5%TritonX-100で透過性にし、PBSで洗浄した後、製品説明書(Roche、Mannhein, Germany)に従って、ターミナルデオキシリボヌクレオチジルトランスフェラーゼ媒介dUTPニックエンド標識(TUNEL)と共ににインキュベートした。塗沫を再度洗浄してから、ヨウ化プロピジウムで精子核を染色した後、蛍光顕微鏡で評価した。精液サンプルの密度勾配遠心分離は、精子残屑を除去する上で重要である。というのは、このような残屑は自動蛍光活性を有し、顕微鏡TUNELアッセイを困難にするからである。スライド1枚につき合計200個の精子を、画像分析ソフトウエアを用いて評価し、精子DNA断片化率(%)を精子核の総数(赤色)当たりのTUNEL陽性核(緑色)の数として計算した。陽性対照として、TUNEL混合物とインキュベートする前に、精子を3 iu DNAseと一緒にインキュベートし、また、陰性対照として、反応からターミナルトランスフェラーゼを省いた。
【0363】
精子脂質過酸化についてのLPO-586アッセイをGomezら(1998)Int J Androl. 21(2):81-94のプロトコルに従って実施した(Bioxytech SA(Bonneui sur Marne、France)から購入)。LPO-586アッセイは、発色試薬(N-メチル-2-フェニチンドール(phenytindole))を、脂質過酸化の副産物であるマロンアルデヒドおよび4-ヒドロキシアルケナルと反応させて、560 nmで最大吸光度を有する安定な発色団を形成することに基づくものである。多数の精子サンプルは、低い基線レベルの脂質過酸化を有するため、0.04 M硫酸第二鉄イオンプロモーターを用いて、アッセイ感度を改善した。精子数が純サンプル中1×106/mlを下回る場合を除いて、精子濃度を1×106/mlに標準化した。その際、数学的スケーリングを用いて、1ml当たり1×106個の精子について脂質過酸化を計算した。
【0364】
IVF法は、GnRHアゴニスト(酢酸ナフェリリン(naferilin acetate)または酢酸ロイプロリド)を用いた典型的な長期ダウンレギュレーションプロトコールからなり、先行サイクルの黄体期中ごろに開始する。刺激サイクルの2日目に、女性は、年齢および以前のIVF反応に応じて、150〜300 iuのrFSH(Puregon、OrganonまたはGonal-F、Serono)で開始した。骨盤超音波および血清エストラジオールにより卵巣反応を追跡し、少なくとも2個の卵胞が18 mmより大きいサイズで、適切なエストラジオール反応を有するとき、5000 IU hCG(Pregnyl、Organon)を投与した。hCG投与から36時間後、鎮静状態下で、経膣採卵を実施し、その後、標準的IVFまたはICSI授精を実施した。従来の形態学的基準(割球の形状、数および断片化率)に従って卵割期の胚を格付けし、卵母細胞回収から2または3日後、超音波ガイダンスの下で子宮に戻した。残った良質の胚は3日目に凍結し、質の劣る全ての胚は6日目まで培養した後、廃棄することにした。選択的泱盤胞培養および移植は、この試験における患者の少数によって使用された。全患者が、採卵から6日後に、Crinone8%膣プロゲステロン(Serono)とhCGの500 IU単回注射との併用により黄体支持(luteal support)を得た。月経期間の非存在下で、採卵から16日後に血清妊娠試験を実施した。7.5 MHz Toshiba経膣スキャナーを用いて、妊娠第8週に、妊娠第1三半期スキャンを実施した。
【0365】
採卵日に、男性パートナーが記入したアンケートにより、被検者コンプライアンスおよび副作用モニタリングを評価した。全参加者に、もし投薬を怠ったことがあればどの程度の頻度であるか、治療中に何らかの副作用に気付いたか否かを質問した。男性の投薬コンプライアンスとは無関係に、データを「治療の意図」に基づいて分析した。
【0366】
この試験の1次結果は、1IVFサイクルにつき得られる良質の胚の数であり、これは、妊娠可能性の合理的な代用マーカーである。本発明者らの研究室での以前の観察結果から、卵割期の胚の質は、DNA損傷がひどい男性では低下することが示唆されている。本発明者らのIVFユニットでは平均して、40歳未満の女性は、1IVFサイクルにつき3.6個の良質な胚を形成する。試験的観察結果は、高レベルのDNA断片化を有する男性によって良質な胚は2個しか形成されないことを示唆している。次に、検出力分析を実施して、開始した1IVFサイクルにつき1個の良質な胚(2〜3個の良質な胚から)の最小増加を検出した。80%の検出力、5%有意レベルでの両側試験および10%IVF脱落率を仮定すれば、60 IVFサイクルの試験により、グループ間に臨床的に有意な差が検出されたであろう。2次結果には、精子機能(数、運動性、形態、HOST結果、精子DNA断片化、精子脂質過酸化)およびIVF結果(受精率、胚質、妊娠率)を含んだ。
【0367】
市販のソフトウエア(Statistical Package for the Social sciences 11.5.1; SPSS,Chicago, IL)を用いて、データを分析した。連続変数については、対応のないt検定を、カテゴリー変数についてはカイ2乗検定を用いて、グループ間の基線人口統計的変数および生殖能力関連変数を分析した。試験中の患者間における精子機能の差は、対応のあるt検定により分析した。胚質および妊娠結果の差はカイ2乗分析により分析した。p値<0.05は有意であるとみなした。
【0368】
結果
合計82人の男性を試験への参加のためにスクリーニングし、そのうち、精子DNA損傷のレベルが低いこと、または酸化的ストレスの証拠がないことから、22人を除外した。6組の試験参加者は、IVF治療(2組は活性グループ、4組はプラセボ)からの脱退を自身で決めたため、試験を完了しなかった。これら脱退者のうち5組において、男性が継続してその試験薬を服用し、試験分析のために精液サンプルを提出した。活性薬グループの参加者の1組は、ICSIの時点で即座に卵母細胞が溶解し、移植に利用可能な胚がなかったため、胚移植には到らなかった。この女性は、IVF治療の際、厳しいカロリー制限食事療法中であった。食事療法を止めた次のサイクル(彼女の夫はまだ抗酸化剤治療中であったが、試験からは脱退していた)で妊娠したため、抗酸化剤治療というより、厳しい食事療法の代謝変化が卵母細胞溶解の原因と考えられる。もう一方の活性グループ参加者は、重度の卵巣過剰刺激により、新鮮な胚移植を達成することができなかった。試験終了前に自然受胎の理由で試験から脱退した参加者はいなかった。しかし、活性Menevit投薬の参加者の2組は、試験終了から1ヶ月以内に自然受胎した(データは試験分析に含まれていない)。
【0369】
試験参加者の基本的特徴を表2に記録する。
【表2】

【0370】
重要な基本的予後特徴、例えば、母/父の年齢、過去の生殖歴および不妊症の病因などに関して、活性およびプラセボグループ間で有意な差はなかった。さらに、以前のIVFサイクル数、以前のIVFサイクルで回収した卵母細胞の数および得られた胚質(表2)を考慮すると、グループの以前のIVF経験にも有意な相違はなかった。これは、ランダム化によって、2つのグループ間に重要な交絡変数を均一に分布させるのに成功したことを示唆している。
【0371】
妊娠結果は、プラセボと比較して、活性(Menevit)治療グループが有意に優れていた(表3)。
【表3】

【0372】
Menevit移植率は、プラセボのそれのほぼ2倍(46.2%対24%、p=0.06)であり、妊娠第13週での生存可能な胎児の心臓に関する差(38.5%対16%)は統計的に有意であった。Repromed(2005、n=709移植方法)で、年齢が38歳以下の女性についての基本的着床率は35%であり、2以上の胎嚢があるのは7%にすぎなかった。このように多胎妊娠率が低いのは、36歳以下の女性の場合、最初の2サイクルのIVFでは単一胚移植を行なうというほぼ一般的な方針に起因する。本発明者らの試験では、第1三半期スキャンで、Menevitグループの女性のうち4人が双胎嚢を有した(合計25胎嚢のうちの8胎嚢、すなわち、双胎嚢32%)ことから、一般的IVF集団と比較して着床率が有意に高かった。双胎嚢率が高いのは、1サイクル当たりに移植される胚が平均数より高いからではなかった。活性Menevitグループでは平均数わずか1.39個の胚しか移植しておらず、これは、38歳以下の女性における1回の移植当たりのRepromed平均胚数1.3個と有意に相違していなかった。従って、活性Menevitグループに移植した胚は、本試験のプラセボグループまたは一般の非試験IVF集団から得られるいずれの胚よりも高い着床可能性があったと考えられる。
【0373】
卵割期の胚質に識別できる相違はなかったため(表4)、プラセボグループと比較して、Menevitグループからの胚がなぜ高い着床可能性を有したかは不明である。胚質の相違は、泱盤胞まで長期培養を実施していたら、検出できたであろう。しかし、泱盤胞培養はわずかな割合の試験患者にしか用いられなかったため、この分析は不可能であった。
【表4】

【0374】
一般的な精子パラメーターに対するMenevit栄養補助剤の作用の分析は、これが精子の濃度、運動性または形態に対する有意な作用がないことを示す(表5)。さらに、脂質過酸化損傷についてのLPO-586アッセイおよび精子膜完全性試験(HOST)のいずれも、両試験グループ間で、精子膜に対する遊離基損傷のレベルに有意な差を検出することはできなかった。プラセボおよびMenevitグループ両者のHOST結果は、ごくわずかではあるが、時間とともに統計的に有意な改善を示した。これらの差は両試験グループ間で同等であり、絶対値は非常に小さかった。包含(精子遊離基損傷の証拠)に関する基準として低いHOST結果が往々にして用いられているため、HOSTスコアにおけるこの小さな改善は、真の生物学的作用というよりはむしろ統計的「平均値への回帰」を表すと思われる。
【0375】
試験中の精子DNA断片化の変化を表5および表6にまとめる。
【表5】

【表6】

【0376】
興味深いことに、精子DNA損傷は、活性Menevitおよびプラセボグループの両方で低減し、両グループ間に注目すべき有意な差は認められなかった。両グループにおいて精子DNA断片化が低下しているのは、精子DNAの改善はすべて、真の生物学的反応というよりはむしろ統計的平均への回帰によるものであった。
【0377】
合計59人の男性が最低12週間の「薬剤療法」を完了し、55人が副作用アンケートを仕上げた(93%回収率)。全試験を通じた薬剤服用のコンプライアンスは、96%の参加者が服用しそこなったのは1週間に1カプセル未満と、優れていた。プラセボの男性に副作用を報告した人はいなかった。Menevitグループでは、37人のうち3人の男性が軽度の副作用を報告したアンケートを返却している。これら報告された副作用の2種は、軽度の胃食道逆流およびその他の便秘であった。患者のうち、試験からの脱退を考慮するほど副作用が重症であると感じた参加者はなかった。
【0378】
考察
本発明者らの知る限り、本研究は、抗酸化製剤がIVF治療中の妊娠率を高めることができることを示す最初の無作為対照化試験(RCT)である。
【0379】
本試験での妊娠率の改善幅は本発明者らの予想をはるかに超えるものであった。本試験を設計するとき、検出力算出が従来の25%という最小の臨床改善のために極めて膨大な調査が必要になることを示唆していたため、本発明者らは妊娠を一次結果として選択しなかった。それに代わり、改善された妊娠可能性のマーカーとして、卵割期胚質を用いた。卵割期胚質は、妊娠可能性と相関しており、これまでの研究から、精子DNA損傷度が高い男性は、DNA損傷レベルが低い男性と比較して、卵割期胚の形態が劣っていることが示されていた。本発明者らの研究では、妊娠率について観察された改善を説明する上で役立ち得る卵割期胚質に対する抗酸化剤薬剤療法の有意な何らかの作用を検出することができなかった。胚の培養は、恐らく、卵割期評価より優れた精子DNA完全性のマーカーである。残念ながら、本発明者らは、40歳以下の女性についての長期培養を実施するのは本発明者らのユニットでは一般的な医療ではなかったため、本試験で胚の発生率を分析することはできなかった。
【0380】
Menevit抗酸化剤治療は精子の数、運動性もしくは形態に有意な作用を与えなかった。本研究では、抗酸化剤がプラセボと比較して精子DNA損傷を低減できる能力も確認されなかった。
【0381】
抗酸化剤の補給による妊娠結果の大幅な向上が精子DNA断片化の改善と関連していないことが明らかになったとき、本発明者らは、第12週のDNA断片化結果と妊娠結果との相関を分析した。驚くべきことに、本発明者らは、第12週TUNEL結果全体と妊娠結果との間にはまったく何の関連もない(生存可能な妊娠=36%+10%DNA断片化、生存可能ではない妊娠=31%+13%)ことをみいだした。このことは、卵母細胞授精に用いた精液サンプルにおける精子DNA断片化を分析する本発明者らの研究室での以前の研究から、TUNEL結果と妊娠結果との有意な負の相関が示されていたため、予想外であった。本研究では、授精に用いた精液サンプルについて精子DNA断片化調査を実施しなかった。というのは、本研究アッセイでサンプルの大部分を消費し、臨床用途にはほとんど残らないと思われたからである。IVF用の精液サンプルを用意する前に、平均してさらに3週間の抗酸化剤治療があったため、この後半の臨床精子サンプルには精子DNAの改善があり、これにより、妊娠率増加を説明することが可能である。
【0382】
精子DNA断片化レベルと、妊娠結果を解釈しようとするとき生じる2つの最終的問題は、密度勾配「標準化」とIVF-ICSI「アイスバーグ現象」である(MakhloufおよびNiederberger (2006) J Androl. 27(3):316-23)。本調査に参加した患者全員が、密度勾配遠心分離を用いて調製する受精用の精子を有した。受精に用いる最高密度層の精子は、勾配遠心分離前の精子集団全体の質とは関係なく、通常非常に良好な質であるため、上記タイプの精子処理は「標準化効果」を有する。2つの調査から、密度勾配遠心分離により、TUNEL分析における精子DNA完全性結果が2〜4倍改善されることが示されている(Tomlinsonら、(2001) Hum Reprod. 16(10):2160-5);Morrellら、(2004) J Assist Reprod Genet. 21(6):217-22)。従って、抗酸化剤治療が純サンプル中の精子DNAの質を改善するが、密度勾配遠心分離を用いた「標準化」後にこの相違がもはや不明であった可能性がある。最後に、ICSI治療中、わずか数個の最高質の精子が受精に使用され、残りの数百万個は廃棄される(「アイスバーグ現象」)。従って、抗酸化剤治療により、基本的損傷の量が最も少ないこれら最高質の精子のDNAの質が改善される可能性もあるが、受精に用いない残り99.9%の精子のDNA損傷には有意な作用がないため、この改善は分析全体では失われてしまう。
【0383】
本試験は、抗酸化剤栄養補助剤(Menevit)がIVF治療中に妊娠率を高める能力を有することを示す初めての二重盲検無作為プラセボ対照試験である。これが起こるメカニズムについては現在不明である。しかし、先の議論で概説した多くの潜在的な理由のため、これは精子DNA損傷の改善(このような改善を検出することはできなかったが)によって媒介される可能性が最も高い。さらに感度の高いアッセイを用いたMenevit栄養補助剤の作用を調べる今後の研究により、妊娠率改善のメカニズムに光が当てられることが期待される。本発明者らは、60人の患者からなる今回の調査は比較的小規模にすぎず、観察される妊娠率の改善が「統計的フロック」(1型統計的誤差)でありうることは認めている。しかし、抗酸化剤治療中の、長期IVF患者におけるいくつかの「奇跡的」妊娠の発生は、観察される妊娠率の有意な改善は、統計的異常ではなく、真の生物学的現象であることを示唆している。
【0384】
あらゆる新規な薬剤療法は、以下の3つの主要な基準によって評価すべきである:臨床効果、費用および副作用プロフィール。本研究から、Menevit栄養補助剤が、基本的な精子パラメーターを改変することなく、IVF治療中の妊娠率を高めるのに有効であることが示された。最後に、Menevit栄養補助剤には、重度の副作用は一切なく、少数の患者が軽度の胃腸副作用を経験しただけである。
【0385】
本発明の前記方法および組成物の様々な修飾および変化は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者には明らかであることは理解されよう。具体的な好ましい実施形態に関して本発明を説明してきたが、請求項に記載する本発明がこのような具体的実施形態に不当に制限されないことは理解すべきである。実際、本発明を実施するための前記様式の様々な修飾は、当業者には明らかであり、これらは本発明の範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0386】
【図1】図1は、既知の遊離基損傷を有する男性グループにおける運動性精子総数に対するOSMI栄養補助剤の効果を示す。
【図2】図2は、既知の遊離基損傷を有する男性グループにおけるHOSTアッセイを用いた精子膜完全性に対するOSMI栄養補助剤の効果を示す。
【図3】図3は、既知の遊離基損傷を有する男性グループにおけるTUNELを用いた精子DNA断片化に対するOSMI栄養補助剤の効果を示す。
【図4】図4は、TBARSアッセイを用いた精子膜脂質過酸化に対するOSMI栄養補助剤の効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌性被検者における妊娠率を増加する方法であって、雌性被験者又は該雌性被験者に導入する卵母細胞は雄性被験者由来の精子により受精されるものであり、受精の前に、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項2】
雌性被検者における妊娠結果を改善する方法であって、雌性被験者又は該雌性被験者に導入される卵母細胞は雄性被験者由来の精子によって受精されるものであり、受精の前に、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項3】
前記妊娠が自然妊娠である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記妊娠が、生殖補助技術により達成された妊娠である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記生殖補助技術が、人工授精、体外受精、卵管内配偶子移植(GIFT)、子宮内授精(IUI)、細胞質内精子注入(ICSI)、精巣精子抽出法(TESE)、ならびに経皮精巣上体精子吸引(PESA)からなる群の1つから選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
雄性被検者により生産された精子に対する遊離基損傷を低減する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項7】
雄性被検者の生殖管および/または精液における遊離基の生成を低減する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項8】
雄性被検者の生殖管および/または精液における白血球の活性および/または濃度を低減する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項9】
雄性被検者の生殖管および/または精液における炎症性サイトカイン産生を低減する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項10】
雄性被検者における精子機能を改善する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項11】
雄性被検者における精子運動性を改善する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項12】
雄性被検者における精子DNAに対する遊離基損傷を低減する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項13】
雄性被検者における精子生産を改善する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項14】
雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精により形成される胚の質を改善する方法であって、雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精の前に、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項15】
雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精により形成される胚の発生を改善する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項16】
雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精により形成される胚の着床率を増加する方法であって、受精の前に、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項17】
前記胚が、生殖補助技術により形成された胚である、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記生殖補助技術が、人工授精、体外受精、卵管内配偶子移植(GIFT)、子宮内授精(IUI)、細胞質内精子注入(ICSI)、精巣精子抽出法(TESE)、ならびに経皮精巣上体精子吸引(PESA)からなる群の1つから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
雄性被検者の生殖能力を改善する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項20】
雄性被検者の不妊症を予防および/または治療する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項21】
雄性被検者のテストステロン濃度を増加する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを雄性被検者に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項22】
被検者の父親から遺伝する、被検者におけるDNA損傷の程度を低減する方法であって、該DNA損傷は、被検者の父親の精子DNAに対する遊離基損傷に起因するものであり、被検者の受胎前に、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを被検者の父親に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項23】
被検者における疾患または病状を予防する方法であって、該疾患または病状は精子DNAに対する遊離基損傷に起因する、被検者の父親から遺伝するDNA損傷に関連するものであり、被検者の受胎前に、
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを前記父親に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項24】
抗酸化剤が、リコピン、ルテインおよびゼアキサンチンなどのβカロチノイド、;ビタミンC;ビタミンE;コエンザイムQ10;セレン;亜鉛;L-カルニチン;アセチルカルニチン;N-アセチルシステイン;グルタチオニン;ピルベート;およびヒポタウリンからなる群の1以上から選択される、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
抗酸化剤が、リコピン、ビタミンC、ビタミンE、セレン、亜鉛、および随意にコエンザイムQ10の組合せである、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
被検者への投与が、1日あたり0.5〜50 mgのリコピン、10〜1000 mgのビタミンC、40〜4000 I.U.のビタミンE、10〜250μgのセレン、2.5〜100mgの亜鉛、および随意に4〜400 mgのコエンザイムQ10の投与である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
被検者への投与が、1日あたり2〜10 mgのリコピン、20〜200 mgのビタミンC、200〜600 I.U.のビタミンE、20〜50μgのセレン、10〜50 mgの亜鉛、および随意に10〜100 mgのコエンザイムQ10の投与である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
被検者への投与が、1日あたり約6mgのリコピン、約100 mgのビタミンC、約400 I.U.のビタミンE、約26μgのセレン、約25 mgの亜鉛、および随意に約40 mgのコエンザイムQ10の投与である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
被検者への投与が、少なくとも10週間の期間にわたる、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
抗酸化剤の投与が、被検者への経口投与である、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質が、ニンニク、またはニンニク由来の油、エキスもしくは活性化合物;緑茶、または緑茶由来のエキスもしくは活性化合物;N-3脂肪酸、ドコサヘキサエン酸、ショウガ、またはショウガ由来のエキスもしくは活性化合物;ペントキシフィリンなどの、TNFαの白血球産生を減少する作用物質;インフリキシマブなどの、いったん生産されたTNFαの作用を阻止する作用物質;海洋軟体動物由来の脂質エキスからなる群の1以上より選択される、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質が、ニンニク、またはニンニク由来のエキス、油もしくは活性化合物である、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質が、ニンニク、またはニンニク由来のエキス、油もしくは活性化合物;亜鉛;ハマビシ(tribulus terrestris)、またはハマビシ由来のエキスもしくは活性化合物;マクロファージにおける誘導性一酸化窒素シンターゼを低減する作用物質;ならびに、一酸化窒素生成を低減する作用物質からなる群の1以上より選択される、請求項1〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質が、ニンニク、またはニンニク由来のエキス、油もしくは活性化合物である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
被検者への投与が、1日あたり500 mg超のニンニク油の投与を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
1日あたり約1,000 mgのニンニク油の投与を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質の被験者への投与が、少なくとも10週間の期間にわたる、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質の投与および/または精巣テストステロン濃度を増加する作用物質の投与が経口投与である、請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
被検者への葉酸またはその塩の投与をさらに含む、請求項1〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
約500μg葉酸の投与をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
雄性被検者がヒト被検者である、請求項1〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
雄性被検者が、マロンジアルデヒドまたは酸化的ストレスの他の生化学的マーカーのレベルが増加した被検者などの、精子膜酸化レベルが増加した被検者;喫煙者;精子運動性不良により生殖能力が低下した又は原因不明で生殖能力が低下した被験者などの、生殖能力が低下した被検者;精管復元手術を受けた被検者;精巣上体炎のような生殖管感染症を患う被検者;精索静脈瘤を患う被検者からなる群より選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
請求項6〜13のいずれか一項に記載の方法に従って治療した雄性被検者から単離した精液または精子。
【請求項44】
ビタミンE;
ビタミンC、もしくはその塩;
リコピン;
セレン;
亜鉛;および
500 mg超のニンニク、またはそのエキスもしくは油;あるいは上記成分いずれかの薬学的に許容可能な誘導体を含む組成物であって、随意に、葉酸もしくはその塩、および/またはコエンザイムQ10をさらに含む、上記組成物。
【請求項45】
前記組成物が、0.5〜50 mgのリコピン、10〜1000 mgのビタミンC、40〜4,000 I.U.のビタミンE、10〜250μgのセレン、2.5〜100 mgの亜鉛、および随意に4〜400 mgのコエンザイムQ10を含む、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
前記組成物が、2〜10 mgのリコピン、20〜200 mgのビタミンC、200〜600 I.U.のビタミンE、20〜50μgのセレン、10〜50 mgの亜鉛、および随意に10〜100 mgのコエンザイムQ10を含む、請求項44に記載の組成物。
【請求項47】
前記組成物が、約6mgのリコピン、約100 mgのビタミンC、約400 I.U.のビタミンE、約26μgのセレン、約25 mgの亜鉛、および随意に約40 mgのコエンザイムQ10を含む、請求項44に記載の組成物。
【請求項48】
前記組成物が、約1,000 mgのニンニク油を含む、請求項44〜47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
前記組成物が、約500μgの葉酸を含む、請求項44〜48のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
約400 I.U.のビタミンE;
約100 mgのビタミンC、もしくはその塩;
約6mgのリコピン;
約26μgのセレン;
約25 mgの亜鉛;
約40 mgのコエンザイムQ10;および
約1,000 mgのニンニクを含む組成物。
【請求項51】
約400 I.U.のビタミンE;
約100 mgのビタミンC、もしくはその塩;
約6mgのリコピン;
約26μgのセレン;
約25 mgの亜鉛;
約500μgの葉酸;および
約1,000 mgのニンニクを含む組成物。
【請求項52】
抗酸化剤;および
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質;および/または
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質
を含む組合せ製品であって、該組合せ製品中の上記成分は同じではなく、上記成分は、被検者に個別に投与するための形態、または雄性被検者に1以上の成分を共投与するための形態で提供される、上記組合せ製品。
【請求項53】
抗酸化剤が、リコピン、ルテインおよびゼアキサンチンなどのβカロチノイド;ビタミンC;;ビタミンE;コエンザイムQ10;セレン;亜鉛;L-カルニチン;アセチルカルニチン;N-アセチルシステイン;グルタチオニン;ピルベート;およびヒポタウリンからなる群の1以上から選択される、請求項52に記載の組合せ製品。
【請求項54】
抗酸化剤が、リコピン、ビタミンC、ビタミンE、セレン、亜鉛、および随意にコエンザイムQ10の組合せである、請求項52または53に記載の組合せ製品。
【請求項55】
0.5〜50 mgのリコピン、10〜1000 mgのビタミンC、40〜4000 I.U.のビタミンE、10〜250μgのセレン、2.5〜100 mgの亜鉛、および随意に4〜400 mgのコエンザイムQ10を含む、請求項54に記載の組合せ製品。
【請求項56】
2〜10 mgのリコピン、20〜200 mgのビタミンC、200〜600 I.U.のビタミンE、20〜50μgのセレン、10〜50 mgの亜鉛、および随意に10〜100 mgのコエンザイムQ10を含む、請求項54に記載の組合せ製品。
【請求項57】
約6mgのリコピン、約100 mgのビタミンC、約400 I.U.のビタミンE、約26μgのセレン、約25 mgの亜鉛、および随意に約40 mgのコエンザイムQ10を含む、請求項54に記載の組合せ製品。
【請求項58】
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質が、ニンニク、またはニンニク由来の油、エキスもしくは活性化合物;緑茶、または緑茶由来のエキスもしくは活性化合物;N-3脂肪酸、ドコサヘキサエン酸、ショウガまたはショウガ由来のエキスもしくは活性化合物;ペントキシフィリンなどの、TNFαの白血球産生を減少する作用物質;インフリキシマブなどの、いったん生産されたTNFαの作用を阻止する作用物質;海洋軟体動物由来の脂質エキスからなる群の1以上より選択される、請求項52〜57のいずれか一項に記載の組合せ製品。
【請求項59】
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質が、ニンニク、またはニンニク由来のエキス、油もしくは活性化合物である、請求項52〜57のいずれか一項に記載の組合せ製品。
【請求項60】
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質が、ニンニク、またはニンニク由来のエキス、油もしくは活性化合物;亜鉛;ハマビシ(tribulus terrestris)またはハマビシ由来のエキスもしくは活性化合物;マクロファージにおける誘導性一酸化窒素シンターゼを低減する作用物質;ならびに、一酸化窒素生成を抑制する作用物質からなる群の1以上より選択される、請求項52〜59のいずれか一項に記載の組合せ製品。
【請求項61】
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質が、ニンニク、またはニンニク由来のエキス、油もしくは活性化合物である、請求項60に記載の組合せ製品。
【請求項62】
500 mg超のニンニク油を含む、請求項59〜61のいずれか一項に記載の組合せ製品。
【請求項63】
約1000 mgのニンニク油を含む、請求項62に記載の組合せ製品。
【請求項64】
さらに葉酸もしくはその塩を含む、請求項52〜63のいずれか一項に記載の組合せ製品。
【請求項65】
さらに約500 μgの葉酸を含む、請求項64に記載の組合せ製品。
【請求項66】
前記組合せ製品が、下記の1以上を目的として雄性被験者に投与するために使用される請求項52〜65のいずれか1項に記載の組合せ製品:雄性被検者により生産される精子に対する遊離基損傷を低減する;雄性被検者の生殖管および/または精液における遊離基生成を低減する;雄性被検者の生殖管および/または精液における白血球の活性および/または濃度を低減する;雄性被検者の生殖管および/または精液における炎症性サイトカイン産生を低減する;雄性被検者における精子機能を改善する;雄性被検者における精子運動性を改善する;雄性被検者における精子DNAに対する遊離基損傷を低減する;雄性被検者における精子生産を改善する;雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精により形成される胚の質を改善する;雄性被検者由来の精子による卵母細胞の受精により形成される胚の発生を改善する;雄性被検者により受精した雌性パートナーの妊娠結果または妊娠率を改善する;雄性被検者の精子DNAに対する遊離基損傷に起因する、雄性被検者の子孫におけるDNA損傷の程度を低減する;雄性被検者の精子DNAに対する遊離基損傷に起因して雄性被検者の子孫に発生する疾病または病状を予防する;雄性被検者における生殖能力を改善および/または治療する;ならびに雄性被検者におけるテストステロン濃度を増加する。
【請求項67】
(i)有効量の抗酸化剤と;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質
とを含む、組成物。
【請求項68】
抗酸化剤が、リコピン、ルテインおよびゼアキサンチンなどのβカロチノイド;ビタミンC;ビタミンE;コエンザイムQ10;セレン;亜鉛;L-カルニチン;アセチルカルニチン;N-アセチルシステイン;グルタチオニン;ピルベート;およびヒポタウリンからなる群の1以上から選択される、請求項67に記載の組成物。
【請求項69】
抗酸化剤が、リコピン、ビタミンC、ビタミンE、セレン、亜鉛、および随意にコエンザイムQ10の組合せである、請求項67または68に記載の組成物。
【請求項70】
0.5〜50 mgのリコピン、10〜1,000 mgのビタミンC、40〜4000 I.U.のビタミンE、10〜250μgのセレン、2.5〜100 mgの亜鉛、および随意に4〜400 mgのコエンザイムQ10を含む、請求項69に記載の組成物。
【請求項71】
2〜10 mgのリコピン、20〜200 mgのビタミンC、200〜600 I.U.のビタミンE、20〜50μgのセレン、10〜50 mgの亜鉛、および随意に10〜100 mgのコエンザイムQ10を含む、請求項69に記載の組成物。
【請求項72】
約6mgのリコピン、約100 mgのビタミンC、約400 I.U.のビタミンE、約26μgのセレン、約25 mgの亜鉛、および随意に約40 mgのコエンザイムQ10を含む、請求項69に記載の組成物。
【請求項73】
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質が、ニンニク、またはニンニク由来のエキス、油もしくは活性化合物;緑茶、または緑茶由来のエキスもしくは活性化合物;N-3脂肪酸、ドコサヘキサエン酸、ショウガまたはショウガ由来のエキスもしくは活性化合物;ペントキシフィリンなどの、TNFαの白血球生産を低減する作用物質;インフリキシマブなどの、いったん生産されたTNFαの作用を阻止する作用物質;海洋軟体動物由来の脂質エキスからなる群の1以上より選択される、請求項67〜72のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項74】
雄性生殖管の炎症を低減する作用物質が、ニンニク、またはニンニク由来のエキス、油もしくは活性化合物である、請求項67〜73のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項75】
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質が、ニンニク、またはニンニク由来のエキス、油もしくは活性化合物;亜鉛;ハマビシ(tribulus terrestris)またはハマビシ由来のエキスもしくは活性化合物;マクロファージにおける誘導性一酸化窒素シンターゼを低減する作用物質;ならびに、一酸化窒素生成を低減する作用物質からなる群の1以上より選択される、請求項67〜74のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項76】
精巣テストステロン濃度を増加する作用物質が、ニンニク、またはニンニク由来のエキス、油もしくは活性化合物である、請求項75に記載の組成物。
【請求項77】
500 mg超のニンニク油を含む、請求項74〜76のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項78】
約1000 mgのニンニク油を含む、請求項767に記載の組成物。
【請求項79】
葉酸もしくはその塩をさらに含む、請求項67〜78のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項80】
さらに約500 μgの葉酸を含む、請求項79に記載の組成物。
【請求項81】
雄性被検者から精子を単離する方法であって、
(i)有効量の抗酸化剤を雄性被検者に投与するステップ;
(ii)雄性生殖管の炎症を低減する有効量の作用物質および/または精巣テストステロン濃度を増加する有効量の作用物質を雄性被検者に投与するステップ;および
(iii)雄性被検者から精子を単離するステップ
を含む、上記方法。
【請求項82】
請求項81に記載の雄性被検者から単離した精子。
【請求項83】
請求項82に記載の精子を用いた雌性非ヒト動物の受精により生まれた非ヒト動物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−544994(P2008−544994A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519771(P2008−519771)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【国際出願番号】PCT/AU2006/000939
【国際公開番号】WO2007/003007
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(508172199)ファーティリティ テクノロジーズ ピーティーワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】