説明

媒体を導くねじ式接続具、特に、ルアロック接続具をねじ止めする装置

【課題】
【解決手段】外側部分5と、該外側部分内に受け入れられた内側部分9とを備える、装置が開示されている。注射針の長手方向リブを受け入れ得るように内側部分9に長手方向溝11が設けられている。外側部分5に設けられた突出部13及び内側部分9に設けられた凹所14は、内側部分9が外側部分5に対して一方向にのみ捩れるのを許容する一方、該捩れ動作に対する抵抗力を提供する。ばね12は、外側部分5及び内側部分9を軸方向に互いに反対方向に緊張させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外側部分と、該外側部分内に回転可能に受け入れられた内側部分とを有する、媒体を導くねじ式接続具、特に、ルアロック接続具をねじ止めする装置であって、内側部分は1つのねじ支承接続部分又は該接続部分に回転可能に固定された追加的な部分を受け入れるのに利用可能な手段と、内側部分が外側部分に対して1方向にのみ回転するのを許容し且つ、この回転に対する抵抗力に対抗する、利用可能な妨害手段を備える、上記のねじ止め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ルアロック締結具は、その内部を媒体、特に、流体が流れる部分を互いに接続するため特に、医療技術分野にて使用されている。これら部分には、例えば、注入容器、関係した管又は注射器及び関係した針が属する。このような接続部がきつく且つ、緩まないようにするため、これらの接続具は、特定のトルクにて締め付けなければならない。他方、プラスチックで出来たねじ付き部分の殆んどは、過度に強く締め付けてはならず、それは、さもなければ、これらねじ付き部分は破断する可能性があるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、簡単に且つ、経済的に製造することができ、操作が簡単で且つ、ねじ式接続具を締め付けるときのトルクの上限値及び下限値を確実に制限する、流体を導くねじ式接続具、特に、ルアロック接続具を締め付ける装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、抵抗が回転するとき最大荷重まで上昇し、その後、急速に低下することによってこの課題を実現する。このように、抵抗力は、鋸歯の形状にて作用して装置のトルクの急速な低下が触覚的に且つ(又は)音響的に操作者に知らされることが好ましく、また、ねじ式接続具にてねじ止めするための所望のトルクが実現されたことが操作者に知らされるようにする。
【0005】
本発明の1つの好ましい形態によれば、受け入れ手段は、軸方向に配置された長手方向溝を有する内側部分に存在する穴から成っている。これらの長手方向溝は、ルアロック型の従来の針キャリア又は相補的な部品上に存在する長手方向リブを受け入れ、これにより、締め付けトルクの確実な伝達を保証する。該相補的な部品は、接続部分上に配置された針保護キャップであることが好ましい。
【0006】
本発明の別の形態に従って、妨害手段は、外側部分上に配置されて、内側部分上に配置された実質的に軸方向に向けられた凹所と協働して作用する、実質的に軸方向に向けた突出部を有し、また、外側部分及び内側部分を互いに対して軸方向に押すばね手段が存在する。これらの突出部及び凹所は、内側部分を外側部分に対し触覚的に且つ、視覚的に定期的に軸方向に変位させることができることが好ましい。この原理の運動力学を逆にすることも可能であり、この場合、凹所は外側部分内に配置され、突出部は内側部分上に配置されることが理解される。
【0007】
本発明の別の実施の形態は、妨害手段であって、外側部分上に配置された、内側部分上に配置された実質的に接線方向に向けたブレードと協働して作用する、実質的に半径方向に向けた突出部を有する上記妨害手段を提供し、この場合、ブレードは、実質的に半径方向に弾性的であるように形成される。このことは、2つの部品のみにて装置を特に簡単に具体化することを許容する。勿論、運動力学を逆にし、突出部が内側部分上に配置され、ブレードが外側部分上に配置されるようにすることが可能である。
【0008】
本発明の別の面は、本発明に従った装置を保持する注射装置を準備する装填ステーションに関する。この場合、該装填ステーションは、注射装置、特に、自動注射装置を準備する作用を果たすその他の機能的要素を保持することができる。本発明に従った装置は、装填ステーション内に取り外し可能に受け入れられることが好ましい。装填ステーションの特殊な実施の形態は、注射装置の部品を貯蔵する容器と同時に設計される。このことは、注射装置のユーザが自分で必要な個々の部品を簡単に携帯し且つ、それらを明確に見える位置に保存することを可能にする。
【0009】
本発明の特定の実施の形態について、添付図面を参照しつつ、一例として更に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1には、金属製のカニューレ3がその内部に鋳造されるプラスチック製の針キャリア2を有する注射針1の既知の実施例が示されている。該針キャリア2は、図面にてその上方領域に2つのタブ17を有しており、これらのタブは、注射針を注射器と接続するため、相応する内ねじ部内にねじ込むことのできる外ねじ部の機能を果たす。針キャリア2の外側には、リブ4が形成されており、これらのリブ4は、針保護キャップ18の相応する長手方向溝に受け入れられ、これによりキャップとの回転可能に固定された接続部を形成する。針保護キャップ18は、その一部分にて、同様に、トルクを伝達する作用を果たす外側リブ19を提供する。流体を導くねじ付き接続部にねじ込むための、本発明に従った装置の以下に説明する実施の形態は、この型式の注射針を特に目的とするものである。
【0011】
図2ないし図4に示した装置の第一の実施の形態は、スナップ接続部7により基部6に接続される外側スリーブ5を提供する。スリーブ5が基部6に対して回転し得ないようにするため、2つの部分には、歯部8が設けられている。針保護キャップ18のリブ19を受け入れる長手方向溝11が存在する軸方向開口部を提供する回転部分9がスリーブ5内に支持されている。圧縮ばねとして形成されたばね12は、スリーブ5と回転部分9との間に配置されており、該ばねは、スリーブ5の外端縁15上にて且つ、回転部分9の下側フランジ10上にて軸方向に支持されて、また、回転部分9を基部6に対し押し付ける。この基部6には、多数の、この実施の形態において4つの突出部13が配置されており、これら突出部の各々は、垂直側部及び傾斜側部を有している。回転部分9の下方正面側部には、数及び形態の点にて突出部13に相応する凹所14が形成されている。この場合、例えば、注射針1が回転部分9内に導入されるならば、針キャリア2におけるリブ4は、回転部分9の長手方向溝11と係合し、このため、針キャリア2は、回転部分9内にて回転することはできない。このとき、注射器を時計回り方向に回したならば、注射器と針キャリア2との間に最初に、相対的な回転が生じ、これによりねじは締め付けられる。所定の最小トルクに達したならば、回転部分9は、スリーブ5に対し回転し始める。この過程において、回転部分の凹所14は、基部6の突出部13の上方に沿って摺動し、これにより回転部分は、ばね12の力に抗して、この実施例において、90°の回転角度の後、かなりの高さまで上昇する、すなわち凹所14は、再度、突出部13と面一となる。この時点にて、回転部分9は、ばね12によって下方に押され且つ、基部6を打撃し、これにより感触及び音によってユーザに対し所望のトルクに達した旨の警告が為される。スリーブ5の外周上に存在する長手方向リブ16は、一方にて、手で装置を保持するとき、一層良く把持されるように作用し、他方にて、以下に更に説明するように、装置が装填ステーション内に配置されたとき、回転に対する保護部として作用する。
【0012】
図5及び図6には、2つの部分、すなわち、スリーブ25と、該スリーブ内に配置された回転部分29とから成る、本発明に従った挿置の第二の好ましい実施の形態が示されており、これら2つの部分の双方は、射出成形過程によりプラスチックにて製造することができる。回転部分29は、その下方部分に、接線方向に形成されたブレード33を有している。これらのブレード33は、ら旋ばねとして作用し且つ、回転部分9が回転したとき、回転部分の内側に形成された長手方向リブ28を経て導かれ、ブレード33は弾性的に半径方向に曲がる。長手方向リブ28を通過した後、該ブレード33は、再度、外方に反発して、これによりユーザに対し所望のトルクに達したことを知らせるカチッという音がする。回転部分29が上方からスリーブ25内に押し込まれ、スリーブ25の上方の僅かに円錐形の部分におけるブレード33は、対称に内方に変形し、また、スリーブ25の段状部27を通過した後、外方にスナップ動作する点にてこの装置は、組み立てが極めて簡単である。このように、回転部分は頂部にて保持される。底部にて、回転部分29は、回転部分29に形成された上方端縁30によってスリーブ25内に保持され、該上方端縁は、スリーブ25の更なる段状部26に対し休止する。この一例としての実施の形態において、スリーブ25の外周には、長手方向リブ36も設けられており、該長手方向リブ36は、一方にて、手で装置を保持したとき、一層良好な保持状態とするよう作用し、又は、以下に説明するように、装置が装填ステーション内にて配置されたとき、回転保護部としても作用する。
【0013】
本発明の2つの実施の形態の上記の説明から、内側部分9又は、場合によっては、内側部分29は、一方向にのみ回すことができ、また、該部分は、反対方向へは阻止される結果となる。このように、本発明に従った装置は、ねじ式接続部を緩めるために使用することもできる。
【0014】
図7には、自動注射装置を準備する装填ステーション40が示されている。自動注射装置は、特に、当該患者自身が注射する薬剤を投与する作用を果たす。自動注射装置は、通常、ばねの力を介して作用し、これにより注射針は、最初に、自動的に突き刺し、その後に薬が押し出される。自動注射装置が充填された注射器と共に使用されるよう装着されるならば、ばねへの応力の付与、注射針の注射器への配置、及び注射器の自動注射装置内への導入は、全て、準備過程に属する。この準備を可能にし又は容易にする要素は、例えば、ばねに応力を付与する働きをする張力ピン43と、組み立て補助具として提供することのできる受け入れ部(44)(図示せず)とを有しており、注射器を導入した後、該受け入れ部の助けを受けて自動注射装置を互いに組み立てることができる。更に、装填ステーション40には、保存凹所40、41を設けることができ、該保存凹所は、自動注射装置又はその部分を保存し且つ(又は)上述した組み立て補助具を保存する働きをする。この装填ステーションは、一例としての2つの実施の形態により上述したような装置45を更に保持しており、該装置は、注射針と注射器との間のねじ式接続部を締め付ける働きをする。この装置45は、装填ステーションの円筒状凹所内に取り外し可能に受け入れられることが好ましく、該凹所は、装置の長手方向リブ16又は、場合によっては、リブ36がその内に嵌まる長手方向溝を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ルアロック接続具を有する注射針の斜視図である。
【図2】本発明に従った装置の第一の実施の形態を斜め上方から見た部分分解図である。
【図3】図2による第一の実施の形態を斜め下方から見た部分分解図である。
【図4】図2及び図3による第一の実施の形態の縦断面図である。
【図5】本発明に従った装置の第二の実施の形態を斜め下方から見た縦断面図である。
【図6】図5及び図6による第二の実施の形態を示す縦断面図である。
【図7】ねじ式接続具にねじ止めする装置を備える、注射装置に対する装填ステーションを示す斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側部分(5、25)と、該外側部分内に回転可能に受け入れられた内側部分(9、29)とを有する、媒体を導くねじ式接続具、特に、ルアロック接続具をねじ止めする装置であって、内側部分は1つのねじ支承接続部分(2)又は該接続部分(2)に回転可能に固定された追加的な部分(18)を受け入れるのに利用可能な手段(11)と、内側部分(9、29)が外側部分(5、25)に対して1つの回転方向にのみ回転するのを許容し且つ、この回転に対する抵抗力に対抗すべく設けられた、利用可能な妨害手段(13、14、28、33)とを備えるねじ止めする装置において、回転中の抵抗が最大荷重まで増大し、その後、急速に低下することを特徴とする、ねじ止め装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、受け入れ手段が、内側部分(9、29)に存在する穴から成り、該穴が、軸方向に配置された長手方向溝(11)を有することを特徴とする、装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置において、妨害手段(13、14)が、外側部分(5)上に配置されて実質的に軸方向に向けた突出部(13)を有し、該突出部が、内側部分(9)上に配置された実質的に軸方向に向けられた凹所(14)と協働して作用し、また、外側部分(5)及び内側部分(9)を互いに対して軸方向に押すばね手段(12)が存在することを特徴とする、装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の装置において、妨害手段(13、14)が、外側部分(5)上に配置されて実質的に軸方向に向けた凹所(14)を有し、該凹所が、内側部分(9)上に配置された実質的に軸方向に向けられた突出部と協働して作用し、また、外側部分(5)及び内側部分(9)を互いに対して軸方向に押すばね手段(12)が存在することを特徴とする、装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の装置において、妨害手段(28、33)が、外側部分(25)上に配置されて実質的に軸方向に向けた突出部(29)を有し、該突出部(29)が、内側部分(29)上に配置された実質的に接線方向に向けられたブレード(33)と協働して作用し、また、該ブレード(33)が実質的に半径方向に向けて弾性的であることを特徴とする、装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の装置において、妨害手段(28、33)が、内側部分(29)上に配置されて実質的に軸方向に向けた突出部を有し、該突出部が、内側部分(29)上に配置された実質的に接線方向に向けられたブレード(33)と協働して作用し、また、該ブレード(33)が実質的に半径方向に向けて弾性的であることを特徴とする、装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1つの項に記載の装置において、追加的な部分が、接続部分(2)上に配置された針保護キャップ(18)であることを特徴とする、装置。
【請求項8】
注射装置を準備する装填ステーションにおいて、請求項1から7の何れか1つの項に記載の装置(45)を保持することを特徴とする、注射装置を準備する装填ステーション。
【請求項9】
請求項8に記載の装填ステーションにおいて、装置(45)が装填ステーション内に取り外し可能に受け入れられることを特徴とする、装填ステーション。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の装填ステーションにおいて、注射装置の部品を貯蔵する容器として設計されることを特徴とする、装填ステーション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−507062(P2006−507062A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554141(P2004−554141)
【出願日】平成15年11月17日(2003.11.17)
【国際出願番号】PCT/CH2003/000759
【国際公開番号】WO2004/047883
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(503459785)テクファーマ・ライセンシング・アクチェンゲゼルシャフト (100)
【Fターム(参考)】