説明

媒体搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置

【課題】媒体の搬送路の内部の開閉を容易にしつつ、媒体の走行への影響を低減すること。
【解決手段】搬送装置本体(1)の内部を開放する内部開放位置と媒体(Gi)を案内可能な第2の搬送可能位置との間で移動可能に支持された第2の開閉部材(6)と、第2の開閉部材(6)に設けられ、予め設定された搬送可能な最大の媒体(Gi)の媒体幅方向の端の位置よりも外側に配置された前記被停止部(6)と、搬送装置本体(1)に対して着脱可能に支持された停止部材(8)であって、第2の搬送可能位置に移動した第2の開閉部材(6)の被停止部(6c)に対して、前記第2の開閉部材(6)の内部開放位置への移動方向の下流側に近接して配置されて、被停止部(6c)に接触して第2の開閉部材(6)の移動を規制可能な停止部材(8)と、を備えたことを特徴とする媒体搬送装置(U1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置や画像読取装置、いわゆる、スキャナーにおいて媒体を搬送する媒体搬送装置に関して、以下の特許文献1に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1としての特開2004−336275号公報には、複写機本体(1)の画像入力部(150)において、原稿(P)の第1面を読み取るスキャナーユニット(154)と、スキャナーユニット(154)に対して原稿搬送方向上流側の搬送路上に配置されて原稿(P)の第2面を読み取る第2読取ユニット(60)とを備えた構成において、ジャム処理時に開くことが可能なカバー(70)を開いた状態で、搬送路の外側ガイドが解放され、搬送路の内側ガイドの内部に支持された第2読取ユニット(60)が交換可能な構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−336275号公報(図1、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、媒体の搬送路の内部の開閉を容易にしつつ、媒体の走行への影響を低減することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の媒体搬送装置は、
媒体が搬送される媒体搬送路が内部に形成された搬送装置本体と、
前記搬送路を搬送される媒体を案内する第1の案内面を有し、前記搬送路を開放する搬送路開放位置と、前記搬送路を前記媒体が搬送可能な第1の搬送可能位置と、の間で、前記搬送装置本体に対して回転可能に支持された第1の開閉部材と、
前記第1の案内面に対向して配置され且つ前記搬送路を搬送される媒体を案内する第2の案内面を有し、前記第1の開閉部材が前記搬送路開放位置に移動した場合において、前記搬送装置本体の内部を開放する内部開放位置と、前記第2の案内面が媒体を案内可能な第2の搬送可能位置との間で移動可能に支持された第2の開閉部材と、
前記第2の開閉部材に設けられた被停止部であって、前記媒体の搬送方向に対して交差する媒体幅方向に対して、予め設定された搬送可能な最大の媒体の媒体幅方向の端の位置よりも外側に配置された前記被停止部と、
前記搬送装置本体に対して着脱可能に支持された停止部材であって、前記第2の搬送可能位置に移動した前記第2の開閉部材の前記被停止部に対して、前記第2の開閉部材の前記内部開放位置への移動方向の下流側に近接して配置されて、前記被停止部に接触して前記第2の開閉部材の移動を規制可能な前記停止部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の媒体搬送装置において、
前記第1の開閉部材に形成され、前記第1の開閉部材が前記第1の搬送可能位置に移動した場合に前記停止部材を収容する停止収容部と、
前記第1の開閉部材の外表面と前記停止収容部との間に配置され、且つ、前記停止部材の外部への露出を防止する露出防止部と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の媒体搬送装置において、
前記第2の開閉部材の前記第2の搬送可能位置から前記内部開放位置への移動方向に対して交差する方向に沿って、前記搬送装置本体に対して着脱される前記停止部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
前記技術的課題を解決するために、請求項4に記載の発明の画像読取装置は、
画像が記録された原稿により構成された前記媒体を、予め設定された画像読み取り位置に向けて搬送する請求項1ないし3のいずれかに記載の媒体搬送装置と、
前記画像読み取り位置において原稿の画像を読み取る画像読取部と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
前記技術的課題を解決するために、請求項5に記載の発明の画像形成装置は、
原稿の画像を読み取る請求項4に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置で読み取られた画像を媒体に記録する画像記録部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、4、5に記載の発明によれば、最大の媒体の媒体幅方向の端の位置よりも外側に配置された被停止部を停止させる着脱可能な停止部材を有しない構成に比べて、媒体の搬送路の内部の開閉を容易にしつつ、媒体の走行への影響を低減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、露出防止部を有しない場合に比べて、停止部材の損傷を低減することができる。
請求項3に記載の発明によれば、第2の開閉部材の移動方向に沿った方向に停止部材が着脱される構成に比べて、第2の開閉部材に押されて停止部材が脱落することを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の斜視図である。
【図2】図2は実施例1の画像形成装置の縦断面図である。
【図3】図3は実施例1の自動原稿搬送装置において第1の開閉部材が搬送路開放位置に移動し且つ第2の開閉部材が第2の搬送可能位置に移動した状態の説明図であり、図3Aは斜視図、図3Bは図3Aの矢印IIIB方向から見た図である。
【図4】図4は実施例1の自動原稿搬送装置において第1の開閉部材が搬送路開放位置に移動し且つ第2の開閉部材が内部開放位置に移動した状態の説明図である。
【図5】図5は実施例1の停止部材の説明図であり、図5Aは停止部材が装着された状態の説明図、図5Bは停止部材が取り外された状態の説明図である。
【図6】図6は実施例1の停止部材の説明図であり、図6Aは斜視図、図6Bは図6Aの矢印VIB方向から見た図、図6Cは図6Aの矢印VIC方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例としての実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の斜視図である。
図2は実施例1の画像形成装置の縦断面図である。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置の一例としてのデジタル式の複写機Uは、媒体搬送装置の一例としての自動原稿搬送装置U1と、前記自動原稿搬送装置U1を支持する透明な原稿台の一例としてのプラテンガラスPGを上端に有する画像形成装置本体の一例としてのデジタル式の複写機本体U2とを有する。自動原稿搬送装置U1は、前記プラテンガラスPG上面に着脱可能且つ図示しない回転軸を中心として上方に回転可能に装着されている。
【0015】
図2において、前記自動原稿搬送装置U1は、媒体の一例としての複写しようとする原稿Giが収容される原稿供給部の一例としての原稿給紙トレイTG1を有する。前記原稿給紙トレイTG1に収容された複数の各原稿Giは、原稿送出部材の一例としての原稿ピックアップロールRg1により取り出され、原稿分離部材の一例としての原稿捌きロールRg2に搬送される。原稿捌きロールRg2は、複数枚の原稿が搬送されてきた場合には1枚づつ分離して、媒体搬送路の一例としての原稿搬送路SH0を搬送されて、原稿捌きロールRg2の下流側に配置された原稿搬送部材の一例としての原稿搬送ロールRg3に搬送する。
【0016】
原稿搬送ロールRg3により下流側に搬送された原稿Giは、時期調整部材の一例としての原稿レジロールRg4により一旦停止してから、予め設定された時期に前記プラテンガラスPG上に設定された画像読取位置の一例としての原稿読込位置PG1に搬送される。
前記原稿読込位置PG1を通過した原稿Giは、原稿搬送部材の一例としての原稿搬送ローラRg5、原稿排出部材の一例としての原稿排出ローラRg6により、原稿排出部の一例としての原稿排紙トレイTG2に排出される。
【0017】
図2において、前記複写機本体U2は、操作部の一例としてのユーザインタフェースUIと、前記プラテンガラスPGの下方に配置された画像読取部の一例としてのスキャナ部U2aと、スキャナ部U2aの下方に配置された画像記録部の一例としてのプリンタ部U2bとを有する。
上面に透明なプラテンガラスPGを有するスキャナ部U2aの内部には、露光系基準位置の一例としてのプラテンレジ位置に配置された検出部材の一例としての露光系レジセンサSpと、露光光学系Aとが配置されている。
【0018】
前記露光光学系Aは、左右方向に移動可能に支持されており、その移動および停止が露光系レジセンサSpの検出信号により制御され、常時は前記露光系レジセンサによって検出される初期位置の一例としてのホーム位置に停止している。
実施例1の自動原稿搬送装置U1を使用して複写を行う自動複写動作の場合は、前記露光光学系Aはホーム位置に停止した状態で、プラテンガラスPG上に設定された原稿読込位置PG1を順次通過する各原稿Giを露光する。
原稿Giを作業者が手でプラテンガラスPG上に置いて複写を行う手動複写動作の場合、露光光学系Aは右方に移動、すなわち、スキャンしながらプラテンガラスPG上の原稿を露光走査する。
【0019】
露光された前記原稿Giからの反射光は、前記露光光学系Aを介して撮像素子の一例としての受像部CCD上に収束される。前記受像部CCDは、その撮像面上に収束された原稿反射光を電気信号に変換する。
前記スキャナ部U2aおよび自動原稿搬送装置U1により、実施例1の画像読取装置U1+U2aが構成されている。
【0020】
また、受像部CCDからの信号は、画像処理部GSに入力され、画像処理部GSは、受像部CCDから入力された読込画像信号を読込画像情報の一例としてのデジタル画像データに変換して読込画像を作成、一時記憶し、デジタル画像データをプリンタ部U2bの書込駆動回路の一例としてのレーザ駆動回路DLに出力する。
前記レーザ駆動回路DLは、入力されたデジタル画像データに応じたレーザ駆動信号を潜像書込装置ROSに出力する。前記画像処理部GS、前記レーザ駆動回路DL、電源回路E等は、制御部の一例としてのコントローラCにより作動を制御される。
【0021】
前記潜像書込装置ROSの下方には、像保持体の一例として、矢印Yp方向に回転する感光体ドラムPRが配置されている。前記感光体ドラムPR表面は、帯電領域Q0において帯電部材の一例としての帯電ロールCRにより帯電された後、潜像書込位置Q1において潜像書込装置ROSの潜像書込み光の一例としてのレーザビームLにより露光走査されて静電潜像が形成される。
前記静電潜像が形成された感光体ドラムPR表面は回転移動して現像領域Q2、画像記録位置の一例としての転写領域Q4を順次通過する。
【0022】
前記現像領域Q2において、静電潜像を可視像に現像する現像器Dは、現像剤保持体の一例としての現像ロールR0を有し、現像剤を現像ロールR0により現像領域Q2に搬送し、前記現像領域Q2を通過する感光体ドラムPR表面の静電潜像を可視像の一例としてのトナー像Tnに現像する。
前記転写領域Q4において、感光体ドラムPRに対向する転写部材の一例としての転写ロールTRは、感光体ドラムPR表面のトナー像Tnを媒体の一例としてのシートSに転写する転写電圧が電源回路Eから供給される。前記帯電ロールCRに印加する帯電電圧や、現像ロールR0に印加する現像電圧、転写ロールTRに印加する転写電圧、後述の定着装置Fの加熱ロールのヒータを加熱する電力を供給する電源回路Eは前記コントローラCにより制御される。
【0023】
複写機本体U1の下部には、媒体給紙部の一例としての第1給紙トレイTR1および第2給紙トレイTR2が上下に並んで配置されている。
前記各給紙トレイTR1,TR2の左上端部には、取り出し部材の一例としてのピックアップロールRpが配置されており、ピックアップロールRpにより取り出されたシートSは、給紙トレイTR1,TR2の左側部分では上下に延び、給紙トレイTR1の上側部分では水平に延びる媒体搬送路の一例としての給紙路SH1に搬送される。
【0024】
給紙路SH1の上下に延びる部分である給紙トレイTR1,TR2の右側部分には、捌き部材の一例としての捌きロールRsが配置されている。捌きロールRsは、シートSを搬送する搬送部材の一例としてのフィードロールRs1と、シートSを停止させて分離する分離部材の一例としてのリタードロールRs2とを有する。ピックアップロールRpにより捌きロールRsにシートSが複数枚重なって搬送された場合、フィードロールRs1が接触するシートSを下流側に送ると共に、リタードロールRs2が重なったシートSを停止させることで1枚づつ分離されて、給紙路SH1に搬送される。給紙路SH1の上下に延びる部分の上端部には、正逆回転可能な搬送部材の一例としての搬送ロールRbが配置されている。給紙路SH1に搬送された前記シートSは正逆転回転可能な搬送ロールRbの正回転により上方に搬送され、後述するシート反転接続路SH5との分岐路に配置された搬送切替部材の一例としての第1のゲートGT1により、給紙路SH1の水平に延びる部分である第1給紙トレイTR1の上側部分を通って、媒体搬送路の一例としての上流側シート搬送路SH2に搬送される。
【0025】
上流側シート搬送路SH2に搬送されたシートSは、媒体搬送部材の一例としての搬送ロールRaにより、送出し時期調整部材の一例としてのレジロールRrに搬送される。前記レジロールRrに搬送されたシートSは、感光体ドラムPR表面のトナー像Tnが転写領域Q4に移動する時期に合わせて、案内部材の一例としての転写前シートガイドSG1から転写領域Q4に搬送される。
前記感光体ドラムPR表面のトナー像Tnは、前記転写領域Q4において、転写ロールTRによりシートSに転写される。転写された後の感光体ドラムPR表面は、清掃器の一例としての感光体クリーナCL1によりクリーニングされて残留トナーが除去され、序伝部材の一例としての感光体除電器JLにより除電されてから、前記帯電ロールCRにより再帯電される。
前記感光体ドラムPR、帯電ロールCR、潜像書込装置ROS、現像装置D、転写ロールTR、感光体クリーナCL1、感光体除電器JL等により画像記録部材PR+CR+ROS+D+TR+CL1+JLが構成されている。
【0026】
前記転写領域Q4のシート搬送方向下流側には、転写領域Q4でトナー像が転写されたシートSが搬送される媒体搬送路の一例としての下流側搬送路SH3が設けられている。前記下流側搬送路SH3には、案内部材の一例としてのシートガイドSG2や、媒体搬送部材の一例としてのシート搬送ベルトBH、定着装置Fが配置されている。
前記転写領域Q4において転写ロールTRによりトナー像が転写された前記シートSは、感光体ドラムPR表面から剥離され、下流側搬送路SH3のシートガイドSG2、シート搬送ベルトBHにより定着装置Fに搬送される。
【0027】
前記定着装置Fは、互いに接触して回転する加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhおよび加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとを有しており、それらの接触領域により定着領域Q5が形成されている。前記定着装置Fの加熱ロールFh内部には、図示しない発熱体の一例としてのヒータが内蔵されており、定着装置Fは定着領域Q5を通過する記録シートS上の未定着トナー像を加熱定着する。
トナー像が加熱定着されたシートSは、媒体搬送路の一例としてのシート排出路SH4を通って、媒体排出部の一例としての排紙トレイTRhに搬送される。
【0028】
前記シート排出路SH4には、前記定着装置Fの下流側に搬送切替部材の一例としての第2のゲートGT2が配置されている。第2のゲートGT2は、前記定着装置Fを通過したシートSの搬送方向を排紙トレイTRh側またはシート反転接続路SH5のいずれかの方向に切り替える。シート反転用接続路SH5は、前記シート排出路SH4の定着装置Fの下流側部分と前記給紙路SH1とを接続する。定着装置Fを通過して1面のトナー像が定着された1面目画像記録済の記録シートSは、前記シート反転用接続路SH5に搬送された場合、シート反転用接続路SH5と給紙路SH1との接続部に配置された第1のゲートGT1を下方に通過して搬送ロールRbの逆回転により前記給紙路SH1を下方に搬送される。前記シートSの後端が第1のゲートGT1を通過すると、搬送ロールRbが正回転することにより、搬送方向が逆転、いわゆるスイッチバックして上方に搬送される。前記スイッチバックして上方に搬送された記録シートSは、第1のゲートGT1により、給紙路SH1および上流側シート搬送路SH2を順次搬送されて前記レジロールRrに再送され、前記転写領域Q4を通過する際に2面目に画像が転写される。
【0029】
(自動原稿搬送装置U1の説明)
図3は実施例1の自動原稿搬送装置において第1の開閉部材が搬送路開放位置に移動し且つ第2の開閉部材が第2の搬送可能位置に移動した状態の説明図であり、図3Aは斜視図、図3Bは図3Aの矢印IIIB方向から見た図である。
図4は実施例1の自動原稿搬送装置において第1の開閉部材が搬送路開放位置に移動し且つ第2の開閉部材が内部開放位置に移動した状態の説明図である。
図1、図3、図4において、自動原稿搬送装置U1は、複写機本体U2に対して、後端で左右方向に延びる図示しない回転軸を中心として上方に回転可能に支持された搬送装置本体1を有する。搬送装置本体1は、左部前端の前壁部1aと、後端部の後壁部1bと、前記原稿排紙トレイTG2が上面に形成された底壁部1cとを有する。前記前壁部1aの右端と後壁部1bとの間には、前記原稿給紙トレイTG1が回転中心2を中心として回転可能に支持されている。
【0030】
前記原稿給紙トレイTG1には、原稿Giの搬送方向に交差する幅方向の両端部に接触して揃える端揃え部材の一例としてのサイドタンパ3が、原稿Giの大きさに応じて前後方向に移動可能に支持されている。実施例1のサイドタンパ3は、予め設定された搬送可能な最大の原稿Giの幅L1に対応可能に設定されている。
前記原稿給紙トレイTG1の左側には、上流案内部材の一例としての上流ガイドプレート4が、搬送装置本体1に固定支持されている。前記上流ガイドプレート4には、捌きロールRg2の下側のロールRg2bが通過する開口4aが形成されている。
【0031】
図5は実施例1の停止部材の説明図であり、図5Aは停止部材が装着された状態の説明図、図5Bは停止部材が取り外された状態の説明図である。
図3〜図5において、上流ガイドプレート4の左方、すなわち、原稿搬送方向下流側には、第2の開閉部材の一例としての内カバー6が配置されている。実施例1の内カバー6の上面には、第2の案内面の一例として、原稿搬送路SH0を搬送される原稿Giの下面を案内する下ガイド面6aが形成されている。なお、実施例1の内カバー6の前後方向の幅L2は、最大の原稿Giの幅L1よりも長く設定されている。図5Aにおいて、内カバー6は、右端部の回転中心6bを中心として回転可能に支持されており、図3、図5Aに示す第2の搬送可能位置と、図4に示す内部開放位置との間で移動可能に支持されている。したがって、図4に示す内部開放位置に内カバー6が移動した状態では、内カバー6よりも内側に配置された部材、例えば、回転体の一例としてのローラRg4〜Rg6や、検出部材の一例としての図示しないセンサ等の点検や交換等の保守作業が可能になる。
前記内カバー6の後端部には、上方に延びる舌片状、板状の被停止部6cが形成されている。図3、図5において、実施例1の被停止部6cは、最大の原稿Giが通過する領域に対応する幅L1の端よりも外側、すなわち、幅L1の後端よりも後側に配置されている。
【0032】
図6は実施例1の停止部材の説明図であり、図6Aは斜視図、図6Bは図6Aの矢印VIB方向から見た図、図6Cは図6Aの矢印VIC方向から見た図である。
図5において、後壁部1bには、第2の搬送可能位置に内カバー6が移動した状態における被停止部6cの上方、すなわち、内カバー6の内部開放位置への移動方向の下流側には、停止支持部の一例としてロック支持口7が形成されており、ロック支持口7には、停止部材の一例としての内カバーロック8が着脱可能に支持されている。
図5、図6において、実施例1の内カバーロック8は、上下一対の板状のプレート部11,12と、各プレート部11,12の間に配置された中央板部13と、各プレート部11,12から中央板部13側に延びる連結部14とを有する。上側のプレート部11の上面の後端には、ロック支持口7の縁に接触可能に構成されて、内カバーロック8が過剰に押し込まれてロック支持口7を後方に通過しないようにするための押込み防止部16が、上方に張り出した爪状に形成されている。
【0033】
前記中央板部13には、前方に延びた後、左右方向外側に延びる略U字形状の摘み部17が形成されており、作業者や利用者が摘み部17を左右方向から挟むように摘むことで摘み部17が弾性変形可能に構成されている。前記摘み部17の左右方向外端には、停止固定部の一例として、外方に張り出すロック固定爪18が形成されており、内カバーロック8がロック支持口7に装着された状態で、ロック固定爪18の前面がロック支持口7の内側、すなわち、後側の縁に接触して、内カバーロック8の抜け止めがされるように構成されている。なお、実施例1の内カバーロック8は、前記符号11〜18を付した各部が、樹脂材料により一体形成されている。
【0034】
したがって、実施例1の内カバーロック8は、ロック支持口7に装着された状態では、押込み防止部16がロック支持口7の前側の縁に接触すると共に、ロック固定爪18がロック支持口7の後側の縁に接触した状態で保持される。
図3、図5Aにおいて、内カバーロック8がロック支持口7に装着された状態では、内カバー6が内部開放位置に向けて移動しようとしても、被停止部6cに近接して配置された内カバーロック8が被停止部6cに接触、干渉して、内カバー6の移動が規制される。
そして、内カバー6の内側の保守作業等を行う場合には、摘み部17を摘んだ状態で前方、すなわち、内カバー6が回転移動する上下方向に交差する媒体幅方向に移動させることで、図5Bに示すように内カバーロック8が取り外され、被停止部6cが内カバーロック8に干渉することが無くなり、内カバー6が図4に示す内部開放位置に移動可能になる。
【0035】
なお、図3〜図5において、内カバー6の原稿搬送方向下流側には、案内部材の一例としての原稿ガイド21,22,23や原稿搬送ロールRg3等が配置されている。
図1、図3〜図5において、内カバー6の上方には、第1の開閉部材の一例としての外カバー26が配置されている。前記外カバー26は、前壁部1aと後壁部1bの左端部において前後方向に延びる図示しない回転軸を中心として、図1に示す第1の搬送可能位置と、図3、図4に示す搬送路開放位置との間で移動可能に支持されている。したがって、実施例1の自動原稿搬送装置U1では、外カバー26が搬送路開放位置に移動し且つ内カバーロック8が取り外されると内カバー6が第2の搬送可能位置から内部開放位置に移動可能になると共に、内カバーが第2の搬送可能位置に移動すると外カバー26が搬送路開放位置から第1の搬送可能位置に移動して原稿Giの搬送が可能な状態となる。
【0036】
図3、図4において、外カバー26の下面には、第1の案内面の一例としての原稿上ガイド26aが形成されており、外カバー26が第1の搬送可能に位置に移動した状態で、原稿上ガイド26aが上流ガイドプレート4や下ガイド面6a、原稿ガイド21と対向し、原稿搬送路SH0を構成して、原稿搬送路SH0を搬送される原稿Giの上面を案内する。外カバー26の下面の右端部には、原稿ピックアップロールRg1と、原稿捌きロールRg2の上側のロールRg2aと、が回転可能に支持されており、上側のロールRg2は、外カバー26が第1の搬送可能位置に移動した場合に、図2に示すように、下側のロールRg2bに対向、接触する。
【0037】
図3A、図3Bにおいて、外カバー26の後端部には、外カバー26が第1の搬送可能位置に移動した状態における内カバーロック8に対応する位置に、停止収容部の一例として、凹部状に形成されたロック収容部27が形成されている。図3Bにおいて、外カバー26には、ロック収容部27の外側、すなわち、外カバー26が図1に示す第1の搬送可能位置に移動した状態における上側であって、外カバー26が図3、図4に示す搬送路開放位置に移動した状態における左側に、露出防止部の一例としてのロック隠し部28が形成されている。したがって、図1に示すように、外カバー26が第1の搬送可能位置に移動した状態では、内カバーロック8は、ロック収容部27に収容され、ロック隠し部28や後壁部1bにより外部への露出が制限されている。
前記各ローラRg1〜Rg6や原稿搬送路SH0、符号1〜28を付した各部材等により、実施例1の媒体搬送装置の一例としての自動原稿搬送装置が構成されている。
【0038】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の複写機Uでは、自動原稿搬送装置U1で紙詰まり等が発生した場合には、図3に示すように外カバー26が搬送路開放位置に移動して、原稿搬送路SH0が開放されて詰まった原稿Giの除去が可能となる。そして、内カバー6の内側に配置された部品の劣化や故障、損耗等に伴う点検や交換等の保守作業が行われる場合には、内カバーロック8が取り外され、内カバー6が内部開放位置に移動して、保守作業が可能となる。
【0039】
特許文献1に記載の構成のような従来の構成では、原稿の案内面を有する内カバーは、ネジ等で固定されることが一般的である。ネジで固定された構成では、ネジが搬送路内に飛び出さないように、内カバーに切り欠き形状や孔や凹部等を形成する必要があるが、切り欠き等を形成すると、切り欠き等の部分で原稿が引っ掛かったり、こすれたり等して、原稿の走行に悪影響が与えることがあった。また、ネジの位置が奥まった位置に配置された場合には、工具の一例としての一般的なドライバーでネジを締めたり緩めたりすることができず、特殊工具が必要となり、保守作業が困難になるという問題もあった。
これらに対して、実施例1の複写機Uでは、画像形成動作が行われる通常時には内カバーロック8で内カバー6の回転が規制されて、原稿Giの案内が行われると共に、着脱可能な内カバーロック8を取り外されると内カバー6が開放可能になっており、ネジで固定された従来の構成に比べて保守作業が容易に実行可能になっている。また、内カバーロック8および被停止部6cは、最大の原稿Giの幅L1よりも外側に配置されており、内カバーロック8および被停止部6cが原稿Giの走行に影響を与えることが低減されており、原稿Giの引っ掛かりやこすれ等の発生が低減されている。
【0040】
また、実施例1の内カバーロック8は、ロック固定爪18でロック支持口7に装着されると共に、摘み部17が摘まれると弾性変形して、取り外しが可能な構成、いわゆるスナップフィットにより構成されている。したがって、内カバーロック8の着脱作業も容易に実行可能であると共に、装着時には位置決めされた状態で確実に固定されて内カバー6の移動が規制される。特に、実施例1の内カバーロック8は、着脱される方向が前後方向に設定され、内カバー6が移動する方向である上下方向と交差する方向に設定されており、内カバーロック8を取り外さずに内カバー6を誤って開放しようとしても、内カバー6に押されて内カバーロック8が脱落することが低減されており、内カバー6の移動の規制が確実に行われる。
さらに、実施例1の内カバーロック8は、ロック隠し部28や後壁部1bに囲まれて外部への露出が制限されており、外カバー26が第1の搬送可能位置に移動した状態で、内カバーロック8が外部に露出せず、外部からの異物が接触等して、内カバーロック8が破損等することが低減されている。
【0041】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H08)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としての複写機Uを例示したが、これに限定されず、例えば、プリンタ、FAXあるいはこれらの複数または全ての機能を有する複合機等により構成することも可能である。また、画像形成装置に限定されず、画像読取装置単体、いわゆるスキャナ単体の構成とすることも可能である。
(H02)前記実施例において、プリンタUとして、単色の現像剤が使用される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、2色以上の多色の画像形成装置にも適用可能である。
【0042】
(H03)前記実施例において、内カバー6等の構成を、原稿搬送路SH0に使用した構成を例示したが、これに限定されず、複写機本体U2側の媒体の搬送路SH1〜SH5に適用することも可能である。
(H04)前記実施例において、ロック隠し部28や後壁部1bのように内カバーロック8の露出を制限する構成を設けることが望ましいが、省略することも可能である。
(H05)前記実施例において、内カバーロック8の着脱方向は、内カバー6の移動方向に交差する方向に設定することが望ましいが、内カバー6の移動方向に沿った方向とすることも可能である。
【0043】
(H06)前記実施例において、内カバーロック8をロック支持口7に着脱可能に支持する構成は、スナップフィット構造を採用することが望ましいが、これに限定されず、従来公知の着脱可能な構成を採用可能である。例えば、バネ等を利用して装着するための爪が出没可能な構成としたり、軽圧入の構成としたり、磁力を利用して固定したり等の構成を採用可能である。また、鍵と鍵穴の関係を採用して、挿入した状態で回転させることで、装着された状態と取り外し可能な状態とを切り替え可能な構成とすることも可能である。
(H07)前記実施例において、内カバーロック8は、内カバー6の後端部に1箇所設ける構成としたが、複数箇所に設ける構成とすることも可能である。
【0044】
(H08)前記実施例において、内カバー6の内側には保守作業の対象となる部品が配置される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、空気の流路や必要な空間、清掃対象の空間等の任意の構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…搬送装置本体、
6…第2の開閉部材と、
6a…第2の案内面、
6c…被停止部、
8…停止部材、
26…第1の開閉部材、
26a…第1の案内面、
27…停止収容部、
28…露出防止部、
Gi…原稿、
Gi,S…媒体、
PG1…画像読み取り位置、
SH0…媒体搬送路、
U…画像形成装置、
U1…媒体搬送装置、
U1+U2a…画像読取装置、
U2a…画像読取部、
U2b…画像記録部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が搬送される媒体搬送路が内部に形成された搬送装置本体と、
前記搬送路を搬送される媒体を案内する第1の案内面を有し、前記搬送路を開放する搬送路開放位置と、前記搬送路を前記媒体が搬送可能な第1の搬送可能位置と、の間で、前記搬送装置本体に対して回転可能に支持された第1の開閉部材と、
前記第1の案内面に対向して配置され且つ前記搬送路を搬送される媒体を案内する第2の案内面を有し、前記第1の開閉部材が前記搬送路開放位置に移動した場合において、前記搬送装置本体の内部を開放する内部開放位置と、前記第2の案内面が媒体を案内可能な第2の搬送可能位置との間で移動可能に支持された第2の開閉部材と、
前記第2の開閉部材に設けられた被停止部であって、前記媒体の搬送方向に対して交差する媒体幅方向に対して、予め設定された搬送可能な最大の媒体の媒体幅方向の端の位置よりも外側に配置された前記被停止部と、
前記搬送装置本体に対して着脱可能に支持された停止部材であって、前記第2の搬送可能位置に移動した前記第2の開閉部材の前記被停止部に対して、前記第2の開閉部材の前記内部開放位置への移動方向の下流側に近接して配置されて、前記被停止部に接触して前記第2の開閉部材の移動を規制可能な前記停止部材と、
を備えたことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記第1の開閉部材に形成され、前記第1の開閉部材が前記第1の搬送可能位置に移動した場合に前記停止部材を収容する停止収容部と、
前記第1の開閉部材の外表面と前記停止収容部との間に配置され、且つ、前記停止部材の外部への露出を防止する露出防止部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記第2の開閉部材の前記第2の搬送可能位置から前記内部開放位置への移動方向に対して交差する方向に沿って、前記搬送装置本体に対して着脱される前記停止部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
画像が記録された原稿により構成された前記媒体を、予め設定された画像読み取り位置に向けて搬送する請求項1ないし3のいずれかに記載の媒体搬送装置と、
前記画像読み取り位置において原稿の画像を読み取る画像読取部と、
を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
原稿の画像を読み取る請求項4に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置で読み取られた画像を媒体に記録する画像記録部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−8383(P2012−8383A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144946(P2010−144946)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】