説明

媒体搬送装置及び画像形成装置

【課題】給紙トレイ又は排紙トレイを閉じるときの作業を簡素化することができ、媒体を円滑に載置することができるようにする。
【解決手段】画像形成装置の筐体に対して開閉自在に配設されるようになっている。筐体に対して移動自在に配設された保持部材と、筐体に対して移動自在に配設され、媒体を積載するための主積載部と、該主積載部に対して引出し自在に配設され、媒体を積載するための副積載部と、主積載部と副積載部との間に移動自在に配設され、前記副積載部の動作に連動して移動させられ、主積載部と副積載部との境界部分を覆う補助部材とを有する。主積載部と副積載部との間に補助部材が移動自在に配設され、副積載部の動作に連動して移動させられ、主積載部と副積載部との境界部分を覆うので、主積載部上に積載される媒体の前縁が主積載部の後端面に当たるのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置、例えば、カラーのプリンタにおいては、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色の画像形成ユニットが配設され、各画像形成ユニットにおいて各色のトナー像が形成されるようになっている。また、前記プリンタの本体、すなわち、装置本体の下部には、用紙カセットが配設され、用紙カセットから給紙された媒体としての用紙は、各画像形成ユニットに沿って走行自在に配設された転写ベルトの走行に伴って搬送され、各画像形成ユニットと転写ベルトとの間に形成された転写部に送られる。そして、該転写部において、前記各色のトナー像が順次重ねて用紙に転写され、カラーのトナー像が形成される。続いて、用紙は、定着器に送られ、定着器においてカラーのトナー像が定着させられ、カラー画像が形成される。そして、定着器においてカラー画像が形成された用紙は、装置本体の上面に形成されたスタッカに載置(積載)される。
【0003】
ところで、前記プリンタにおいては、薄紙、厚紙、幅狭、長尺、葉書、封筒等のように、用紙カセットから給紙することができない特殊な用紙を給紙するために、装置本体の側面又は前面に、給紙用の媒体搬送装置としての給紙トレイが装置本体に対して開閉自在に配設される。また、カラー画像が形成された後の前記特殊な用紙を排出するために、装置本体の側面又は後面に、排紙用の媒体搬送装置としての排紙トレイが前記装置本体に対して開閉自在に配設される。
【0004】
前記給紙トレイ又は排紙トレイは、給紙トレイ又は排紙トレイの開閉に伴って揺動させられる主トレイ、及び該主トレイに対して折畳み自在に配設された複数の補助トレイを備え、前記給紙トレイ又は排紙トレイを開き、主トレイを開くとともに、補助トレイを伸展させることによって、特殊な用紙を載置することができる。
【0005】
ところが、前記従来の給紙トレイ又は排紙トレイにおいては、給紙トレイ又は排紙トレイを閉じるために補助トレイを折り畳み、主トレイを閉じる際に、補助トレイが主トレイに配設された側面ガイド部材と干渉すると、補助トレイを折り畳むことができない。その場合、側面ガイド部材を補助トレイの両縁より外側に移動させ、退避させたうえで補助トレイを折り畳む必要があるので、給紙トレイ又は排紙トレイを閉じるときの作業が煩わしい。
【0006】
そこで、装置本体の側面、前面又は後面に、給紙トレイ又は排紙トレイの開閉に伴って開閉される主トレイ、及び該主トレイに対して引出し自在に配設された補助トレイを備えるようにした給紙トレイ又は排紙トレイが提供されている。
【0007】
該給紙トレイ又は排紙トレイにおいては、側面ガイド部材を補助トレイの両縁より外側に移動させることなく補助トレイを主トレイ内に挿入し、収納することができるので、給紙トレイ又は排紙トレイを閉じるときの作業を簡素化することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−137078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記給紙トレイ又は排紙トレイにおいては、主トレイと補助トレイとの間に段部、隙間等が形成されるので、段部、隙間等によって用紙に折曲り、座屈、破損等が生じることがあり、用紙を円滑に載置することができない。
【0010】
本発明は、前記従来の媒体搬送装置の問題点を解決して、閉じるときの作業を簡素化することができ、媒体を円滑に載置することができる媒体搬送装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのために、本発明の媒体搬送装置においては、画像形成装置の筐体に対して開閉自在に配設されるようになっている。
【0012】
そして、前記筐体に対して移動自在に配設された保持部材と、該保持部材と共に前記筐体に対して移動自在に配設され、媒体を積載するための主積載部と、該主積載部に対して引出し自在に配設され、媒体を積載するための副積載部と、前記主積載部と副積載部との間に移動自在に配設され、前記副積載部の動作に連動して移動させられ、主積載部と副積載部との境界部分を覆う補助部材とを有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、媒体搬送装置においては、画像形成装置の筐体に対して開閉自在に配設されるようになっている。
【0014】
そして、前記筐体に対して移動自在に配設された保持部材と、該保持部材と共に前記筐体に対して移動自在に配設され、媒体を積載するための主積載部と、該主積載部に対して引出し自在に配設され、媒体を積載するための副積載部と、前記主積載部と副積載部との間に移動自在に配設され、前記副積載部の動作に連動して移動させられ、主積載部と副積載部との境界部分を覆う補助部材とを有する。
【0015】
この場合、主積載部と副積載部との間に補助部材が移動自在に配設され、副積載部の動作に連動して移動させられ、主積載部と副積載部との境界部分を覆うので、主積載部上に積載される媒体の前縁が主積載部の後端面に当たるのを防止することができる。
【0016】
その結果、媒体に折曲り、座屈、破損等が生じるのを防止することができ、媒体を円滑に載置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における給紙トレイの分解斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における給紙トレイの要部を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第1の状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第1の状態を示す要部斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第1の状態を示す第1の要部断面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第1の状態を示す第2の要部断面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第2の状態を示す斜視図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第2の状態を示す要部平面図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第3の状態を示す要部斜視図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第3の状態を示す第1の要部断面図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第3の状態を示す第2の要部断面図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第4の状態を示す要部斜視図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第4の状態を示す第1の要部断面図である。
【図17】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第4の状態を示す第2の要部断面図である。
【図18】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第5の状態を示す斜視図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第5の状態を示す断面図である。
【図20】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第5の状態を示す平面図である。
【図21】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第5の状態を示す要部斜視図である。
【図22】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第5の状態を示す第1の要部断面図である。
【図23】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第5の状態を示す第2の要部断面図である。
【図24】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第6の状態を示す斜視図である。
【図25】本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第6の状態を示す断面図である。
【図26】本発明の第2の実施の形態における主トレイを給紙位置に置いたときの第2の給紙機構部の斜視図である。
【図27】本発明の第2の実施の形態における主トレイを給紙位置に置いたときの第2の給紙機構部の断面図である。
【図28】本発明の第2の実施の形態における主トレイを給紙位置に置いたときの第2の給紙機構部の要部断面図である。
【図29】本発明の第2の実施の形態における主トレイを押下げ位置に置いたときの第2の給紙機構部の斜視図である。
【図30】本発明の第2の実施の形態における主トレイを押下げ位置に置いたときの第2の給紙機構部の断面図である。
【図31】本発明の第2の実施の形態における主トレイを押下げ位置に置いたときの第2の給紙機構部の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのカラーのプリンタについて説明する。
【0019】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
【0020】
図に示されるように、プリンタの本体、すなわち、装置本体78の下部には、給紙用の第1の媒体搬送装置としての、かつ、第1の媒体供給部としての用紙カセット11が、装置本体78に対して挿脱自在に配設され、用紙カセット11内に媒体としての用紙12が収容される。そして、前記用紙カセット11内には、媒体積載板13が揺動軸sh1を揺動中心にして揺動自在(回動自在)に配設され、媒体積載板13上に用紙12が積載される。
【0021】
また、用紙カセット11には、用紙12の積載位置を規制する図示されないガイド部材が配設され、該ガイド部材によって、用紙12の繰出し方向に対して直角の方向において、用紙12の側縁が案内されるとともに規制され、用紙12の位置が設定される。
【0022】
用紙カセット11における用紙12の繰出し側、すなわち、前端部(用紙12の搬送方向における前方の端部)には、リフトアップレバー14が揺動軸sh2を揺動中心にして揺動自在に配設され、該揺動軸sh2は、装置本体78に配設された媒体積載用及び媒体繰出用の駆動部としてのモータ15と係脱自在に連結され、前記用紙カセット11が装置本体78の筐体cs内に挿入され、装置本体78に対してセットされると、リフトアップレバー14とモータ15とが係合させられる。
【0023】
そして、図示されない制御部がモータ15を駆動すると、前記リフトアップレバー14が回動させられ、リフトアップレバー14の先端が媒体積載板13の底壁に当たり、媒体積載板13の前端を持ち上げ、媒体積載板13上に積載された用紙12の前端が上昇させられる。該用紙12の前端が所定の高さまで上昇すると、上昇検出部16は用紙12を検出し、検出信号を前記制御部に送る。そして、該制御部は、検出信号を受けると、モータ15を停止させ、リフトアップレバー14の回動を停止させる。
【0024】
また、前記用紙カセット11の前端部には、用紙12を1枚ずつ繰り出して給紙するための媒体繰出部20が配設される。前記用紙カセット11及び媒体繰出部20によって第1の給紙機構部30が構成される。
【0025】
前記媒体繰出部20は、所定の高さまで上昇した用紙12の前端に圧接するように配設され、用紙12を繰り出すための繰出部材を構成する繰出用ローラとしてのピックアップローラ21、該ピックアップローラ21によって繰り出された用紙12を1枚ずつ分離させるために配設され、第1の弁別用のローラとしての、かつ、フィード機構としてのフィードローラ22、及び第2の弁別用のローラとしての、かつ、リタード機構としてのリタードローラ23から成る弁別装置、前記上昇検出部16と隣接させて配設され、用紙12の有無を検出する媒体有無検出部24、前記上昇検出部16より所定の距離だけ下方に配設され、用紙12の残量を検出する媒体残量検出部25等を備える。
【0026】
前記媒体繰出部20によって繰り出され、前記フィードローラ22及びリタードローラ23によって分離させられた用紙12は、媒体搬送路Rtを搬送され、第1の媒体検出部としての媒体センサ31を通過し、該媒体センサ31によって前端が検出された後、ローラr1、r2から成る第1のローラ対としての搬送ローラ対32に送られる。前記媒体センサ31は、用紙12の前端を検出すると、検出信号を前記制御部に送る。
【0027】
続いて、前記搬送ローラ対32から送られた用紙12は、第2の媒体検出部としての入口センサ33を通過し、該入口センサ33によって前端が検出された後、ローラr3、r4から成る第2のローラ対としてのレジストローラ対34に送られ、該レジストローラ対34によってスキューが矯正される。なお、前記レジストローラ対34において、ローラr3、r4のうちの一方のローラは、表面がゴム等の高摩擦部材によって形成され、他方のローラは、金属、プラスチック等の低摩擦部材によって形成される。
【0028】
レジストローラ対34から送られた用紙12は、第3の媒体検出部としての書込センサ35を通過し、該書込センサ35によって前端が検出された後、画像形成部40に送られる。
【0029】
なお、前記入口センサ33は、用紙12の搬送方向におけるレジストローラ対34より上流側の近傍に、前記書込センサ35は、用紙12の搬送方向におけるレジストローラ対34より下流側の近傍に配設され、いずれも、用紙12の前端を検出すると、検出信号を前記制御部に送る。
【0030】
前記画像形成部40は、直列に並べられたイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Bk、並びに該画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Bkによって形成された現像剤像としてのトナー像をクーロン力によって用紙12に転写する転写装置としての転写ユニット51を備え、用紙12に画像を形成する。
【0031】
前記各画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Bkは、トナー像を担持する像担持体としての感光体(OPC)ドラム43、該感光体ドラム43の表面を一様に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ44、前記感光体ドラム43の表面に形成された潜像としての静電潜像に各色のトナー像を摩擦帯電によって形成する現像剤担持体としての現像ローラ46、現像剤としての各色のトナーを前記画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Bkの本体、すなわち、画像形成ユニット本体内に供給するトナー供給部47、前記感光体ドラム43上に残留したトナーを除去する第1のクリーニング部材としてのクリーニングブレード48等を備える。なお、前記帯電ローラ44によって帯電させられた感光体ドラム43の表面を露光して静電潜像を形成するために、露光装置としての、かつ、印刷ヘッドとしてのLEDヘッド45が、感光体ドラム43の上方に、かつ、感光体ドラム43と対向させて配設される。なお、前記各LEDヘッド45はLEDアレイを備える。
【0032】
前記転写ユニット51は、搬送用の駆動部としての図示されない搬送用モータ、回転自在に配設され、前記搬送用モータの駆動に伴って回転させられるドライブローラ53、該ドライブローラ53と所定の距離を置いて回転自在に配設されたテンションローラ54、前記ドライブローラ53とテンションローラ54とによって張設され、前記ドライブローラ53の回転に伴って走行させられ、用紙12を静電吸着して搬送するベルト部材としての転写ベルト52、該転写ベルト52を挟んで、前記各画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Bkと対向させて、かつ、転写ベルト52を介して感光体ドラム43に圧接させて配設され、トナー像を用紙12に転写する転写部材としての転写ローラ55、前記転写ベルト52上に付着したトナーを掻き取ることによって除去する第2のクリーニング部材としてのクリーニングブレード56、該クリーニングブレード56によって掻き取られたトナー、すなわち、廃棄トナーを堆積させて収容する廃棄現像剤収容部としての廃棄トナーボックス57等を備える。
【0033】
前記画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Bkにおける各色のトナー像の形成と転写ベルト52の走行とは同期させられ、各色のトナー像が転写ベルト52上の用紙12に順次重ねて転写され、カラーのトナー像が形成される。このようにして、カラーのトナー像が形成された用紙12は定着装置としての定着器60に送られる。
【0034】
該定着器60は、表面が弾性体で形成された第1のローラとしてのアッパローラ61、及び第2のローラとしてのロワローラ62から成るローラ対を備え、前記アッパローラ61内には第1の熱源としてのハロゲンランプ63が、ロワローラ62内には第2の熱源としてのハロゲンランプ64が配設される。前記アッパローラ61は、定着用の駆動部としての図示されない定着用モータを駆動することによって回転させられる。前記定着器60において、カラーのトナー像は、加熱され加圧されて用紙12に定着させられ、カラー画像が形成される。カラー画像が形成された用紙12は、媒体搬送路Rt上の複数の箇所に配設された排出ローラ対65によって、装置本体78の上面に形成されたスタッカ66に載置(積載)される。
【0035】
なお、前記排出ローラ対65に隣接させて搬送切換器としての図示されないセパレータを配設し、カラー画像が形成された用紙12の排出方向を上部とストレートとに切り換えることができる。排出方向が上部である場合、用紙12は、装置本体78の上面に形成された前記スタッカ66に載置(積載)され、排出方向がストレートである場合、用紙12は、装置本体78の側面において装置本体78に対して開閉自在に配設された排紙用の媒体搬送装置としての、かつ、媒体排出部としての図示されない排紙トレイに載置(積載)される。
【0036】
ところで、薄紙、厚紙、幅狭、長尺、葉書、封筒等のように、用紙カセット11から給紙することができない用紙12を給紙し、画像形成部40に供給するために、装置本体78の側面に、給紙用の第2の媒体搬送装置としての、かつ、第2の媒体供給部としての給紙トレイ70が、前記筐体csの一部を構成する支持部材としての後述されるフレームfrに対して重ね合わせて収めることができるように、かつ、装置本体78に対して開閉自在及び揺動自在に配設される。前記給紙トレイ70は、使用するときに装置本体78に対して開けられ、使用しないときは前記装置本体78に対して閉じられ、MPT(Multi Purpose Tray)又は手差しトレイとして機能する。
【0037】
そして、前記給紙トレイ70は、後述される主トレイ71、並びに複数の補助トレイ、本実施の形態においては、第1補助トレイ72及び第2補助トレイ73を備える。
【0038】
前記給紙トレイ70の前端部には、用紙12を1枚ずつ繰り出して給紙する媒体繰出部80が配設される。該媒体繰出部80は、所定の高さまで上昇させられた用紙12の前端に圧接するように配設され、用紙12を繰り出すための繰出部材を構成する繰出用ローラとしてのピックアップローラ81、及び該ピックアップローラ81によって繰り出された用紙12を1枚ずつ分離させる分離片86を有する。前記給紙トレイ70及び媒体繰出部80によって第2の給紙機構部90が構成され、前記分離片86によって弁別装置が構成される。
【0039】
なお、弁別装置として、前記分離片86に代えて、第1の弁別用のローラとしての、かつ、フィード機構としての図示されないフィードローラ、第2の弁別用のローラとしての、かつ、リタード機構としての図示されないリタードローラを使用することができる。また、前記媒体繰出部80には、用紙12の有無を検出する図示されない媒体有無検出部、及び用紙12の残量を検出する図示されない媒体残量検出部を配設することができる。
【0040】
前記媒体繰出部80によって繰り出され、前記分離片86によって分離させられた用紙12は、前記媒体搬送路Rtに送られる。
【0041】
次に、前記第2の給紙機構部90について説明する。
【0042】
図1は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の斜視図、図3は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の断面図、図4は本発明の第1の実施の形態における給紙トレイの分解斜視図、図5は本発明の第1の実施の形態における給紙トレイの要部を示す斜視図である。
【0043】
図において、90は第2の給紙機構部、frは前記筐体cs(図2)の一部を構成するフレーム、70は該フレームfrに対して重ね合わせて収めることができるように、かつ、装置本体78に対して矢印A方向に開閉及び揺動自在に配設された前記給紙トレイ、80は前記フレームfrに配設された前記媒体繰出部である。前記給紙トレイ70は、フレームfrに対して斜めに倒すことによって、装置本体78に対して開けられ、垂直に起こし、フレームfrと重ね合わせることによって、閉じられる。また、前記媒体繰出部80において、前記ピックアップローラ81はフレームfrによって回転自在に支持され、前記分離片86は、先端をピックアップローラ81に当接させてフレームfrに取り付けられる。
【0044】
さらに、前記給紙トレイ70は、フレームfrに対して図示されない軸部を揺動中心にして移動自在に、本実施の形態においては、揺動自在に配設され、給紙トレイ70の開閉に伴って開閉させられる保持部材としての外装カバー部75、該外装カバー部75及びフレームfrに対して移動自在に、本実施の形態においては、揺動自在に配設され、給紙トレイ70の開閉に伴って外装カバー部75と共に開閉され、用紙12を積載するための媒体積載板としての、かつ、主積載部としての主トレイ71、該主トレイ71に対して引出し自在に配設され、用紙12を積載するための第1の副積載部としての第1補助トレイ72、該第1補助トレイ72に対して揺動自在に支持され、用紙12を積載するための第2の副積載部としての第2補助トレイ73、前記主トレイ71上において媒体12の幅方向、すなわち、矢印B方向に移動自在に配設され、用紙12の側縁を規制する一対の側面ガイド部材74、前記主トレイ71に対して移動自在に、本実施の形態においては、回動自在に配設され、主トレイ71と第1補助トレイ72との境界部分を覆う補助部材としての補助積載板76等を備え、給紙トレイ70を開き、図1及び3に示されるように、主トレイ71から第1補助トレイ72を引き出し、第1補助トレイ72に対して第2補助トレイ73を回動させ、伸展させた状態で、給紙トレイ70上に用紙12を積載することができる。
【0045】
前記主トレイ71の後端部(用紙12の搬送方向における後方の端部)の両縁には、第1の軸支持部としてのボス支持部101が立ち上げて形成され、該ボス支持部101の上端に、給紙トレイ70の幅方向外方に向けて突出させて、第1の軸部としてのボス71aが形成される。また、外装カバー部75の後端部の両縁には、軸受け部102が立ち上げて形成され、該軸受け部102の上端に、軸穴75aが貫通させて形成される。そして、前記ボス71aを軸穴75aに挿入することによって、主トレイ71が外装カバー部75に対して揺動自在に支持される。
【0046】
なお、前記主トレイ71は、用紙12を給紙トレイ70にセットするために押し下げられた位置、すなわち、押下げ位置(図1及び3)、及び用紙12を繰り出して給紙するために用紙12をピックアップローラ81に押し付ける位置、すなわち、給紙位置を採り、そのために、前記給紙トレイ70に、前記主トレイ71を給紙位置に向けて付勢する付勢部材としての図示されないスプリング、用紙12を給紙トレイ70にセットする際に主トレイ71を押下げ位置に保持してロックするための図示されないロック部材、用紙12を給紙トレイ70にセットした後、前記ロック部材によるロックを解除し、主トレイ71を給紙位置に置くための図示されない操作レバー等が配設される。
【0047】
また、前記第1補助トレイ72の前端部(用紙12の搬送方向における後方部分)の両縁には、給紙トレイ70の幅方向外方に向けて突出させて、被案内部材としてのボス72cが形成され、外装カバー部75の両縁に形成された案内部としての溝状の軸受け部75cによって摺動自在に支持される。そして、前記ボス72cを軸受け部75c内に置くことによって、第1補助トレイ72が外装カバー部75に対して摺動自在に、かつ、引出し自在に支持される。
【0048】
さらに、第2補助トレイ73の前端部の両縁には、給紙トレイ70の幅方向外方に向けて突出させて、第2の軸部としてのボス73dが形成され、第1補助トレイ72の後端部の両縁には軸受け部103が一体的に形成され、該軸受け部103に軸穴72dが形成される。そして、前記ボス73dを軸穴72dに挿入することによって、第2補助トレイ73が第1補助トレイ72に対して揺動自在に支持される。
【0049】
なお、第2補助トレイ73は、揺動に伴い、用紙12を積載するための伸展状態(図1及び3)、及び給紙トレイ70を閉じるために、第1補助トレイ72と重ね合わされる折畳み状態を採る。
【0050】
前記補助積載板76の前端部の両縁には、給紙トレイ70の幅方向外方に向けて突出させて、第3の軸部としてのボス76bが形成される。また、外装カバー部75の後端部(前記軸受け部102より後方部分)の両縁には軸受け部104が立ち上げて形成され、該軸受け部104の上端に軸穴75bが貫通させて形成される。そして、前記ボス76bを軸穴75bに挿入することによって、補助積載板76が回動自在に、本実施の形態においては、外装カバー部75に対して揺動自在に支持される。
【0051】
ところで、用紙12を給紙トレイ70にセット(載置)するために、主トレイ71を押下げ位置に置き、用紙12を主トレイ71上に積載する際に、主トレイ71の上面の後端が補助積載板76の上面の前端より高いと、用紙12の前端が主トレイ71の後端面に当たることがある。その場合、用紙12に折曲り、座屈、破損等が生じ、用紙12を円滑にセットすることができない。
【0052】
そこで、本実施の形態においては、主トレイ71を押下げ位置に置いたときに、主トレイ71の上面の後端が補助積載板76の上面の前端と同じ高さになるように、又は補助積載板76の上面の前端よりわずかに低くなるように軸受け部104の高さが設定される。
【0053】
したがって、補助積載板76は、主トレイ71と第1補助トレイ72との間において、前端から後端にかけて斜め下方に垂下させて配設され、主トレイ71と第1補助トレイ72との境界部分を覆うので、主トレイ71上に積載される用紙12の前縁が主トレイ71の後端面に当たることがなくなる。その結果、用紙12に折曲り、座屈、破損等が生じるのを防止することができ、用紙12を円滑にセットすることができる。
【0054】
なお、主トレイ71の後端部の中央部に、所定の長さにわたり、くびれ部71cが形成され、補助積載板76の前端部の中央部の近傍の前記くびれ部71cに対応する位置に、所定の幅を有し、前記くびれ部71cを閉鎖するための凸片76kが前方に突出させて形成される。
【0055】
そして、主トレイ71から第1補助トレイ72を引き出す際に、第1補助トレイ72が給紙トレイ70の幅方向においてわずかに移動したり、主トレイ71に対して傾いたりすることがないように、補助積載板76の所定の位置、本実施の形態においては、給紙トレイ70の幅方向における一端の近傍の裏面に、給紙トレイ70の幅方向において第1補助トレイ72を案内し、主トレイ71に対して位置決めするための、円弧状の形状を有する第1の係止部としての凸部76eが、第1補助トレイ72に向けて突出させて、かつ、用紙12の搬送方向に延在させて形成され、第1補助トレイ72における凸部76eと対応する位置に、第2の係止部としての溝72eが形成され、凸部76eと溝72eとが係止させられる。なお、本実施の形態においては、凸部76e及び溝72eが給紙トレイ70の幅方向における一端側に形成されるが、給紙トレイ70の幅方向における両端に形成することができる。
【0056】
また、主トレイ71から第1補助トレイ72を引き出したり、主トレイ71に第1補助トレイ72を挿入したりする際に、補助積載板76を円滑に揺動させることができるように、前記補助積載板76の所定の箇所、本実施の形態においては、後端部の両縁に、当接部としての、かつ、補強部としてのリブ76hが、第1補助トレイ72の上面におけるリブ76hと対応する箇所に、リブ76hの先端が摺動する摺動面72hが形成される。
【0057】
該摺動面72hは、第1補助トレイ72の前端の近傍に形成された第1の面s1、該第1の面s1の後端に形成された第1の傾斜部p1、該第1の傾斜部p1に隣接させて、かつ、第1の傾斜部p1より後方に形成された第2の面s2、該第2の面s2の後端に形成された第2の傾斜部p2、及び該第2の傾斜部p2に隣接させて、かつ、第2の傾斜部p2より後方に形成された第3の面s3から成り、前記第2の面s2は第1の面s1よりわずかに高く、第3の面s3は第2の面s2よりわずかに高くされる。
【0058】
そして、主トレイ71から第1補助トレイ72を引き出したり、主トレイ71に第1補助トレイ72を挿入したりする際に、前記摺動面72hがカム面として、リブ76hがカムフォロアとして作用し、第1補助トレイ72の移動に伴って、リブ76hの先端が、摺動面72hに沿って、第1〜第3の面s1〜s3と順次当接して、補助積載板76を回動させ、補助積載板76の第1補助トレイ72に対する傾き、すなわち、傾斜角度を変える。主トレイ71から第1補助トレイ72が完全に引き出され、リブ76hの先端が第1の面s1と当接した状態で、補助積載板76の傾斜角度が最も大きくされ、主トレイ71に第1補助トレイ72が挿入されるのに伴って、補助積載板76の傾斜角度が小さくされ、主トレイ71に第1補助トレイ72が完全に挿入され、リブ76hの先端が第3の面s3と当接した状態で、補助積載板76は主トレイ71の上面と平行になる。
【0059】
さらに、前記補助積載板76の後端縁には、給紙トレイ70の幅方向における複数箇所、本実施の形態においては、7箇所に、凹部としてのスリット76gが形成され、第1補助トレイ72の前端部における各スリット76gと対応する箇所には、第1の凸部としての、かつ、補強部としてのリブ72gが、互いに平行に、かつ、用紙12の搬送方向における所定の距離にわたり形成される。
【0060】
また、各リブ72gの後端には、第2の凸部としての、かつ、補強部としてのリブ72kが給紙トレイ70の幅方向に延在させて形成され、各リブ72g間には、凹部としての窪み72iが形成される。
【0061】
さらに、前記補助積載板76の後端部の近傍には、給紙トレイ70上における各サイズの用紙12の積載箇所を示す文字が印刷された表示部76fが形成される。
【0062】
なお、補助積載板76と第1補助トレイ72とは、リブ76hと摺動面72hとだけで接触させられるので、主トレイ71から第1補助トレイ72を引き出したり、主トレイ71に第1補助トレイ72を挿入したりする際に、補助積載板76の後端縁におけるスリット76g以外の部分(以下「垂下縁」という。)76iと第1補助トレイ72の上面とが接触することはなく、垂下縁76iと第1補助トレイ72の上面との間にわずかな隙間が形成される。したがって、補助積載板76と第1補助トレイ72との間の摩擦抵抗を小さくすることができるので、主トレイ71から第1補助トレイ72を容易に引き出したり、主トレイ71に第1補助トレイ72を容易に挿入したりすることができる。
【0063】
次に、前記構成の給紙トレイ70を閉じるときの第2の給紙機構部90の動作について説明する。まず、第2の給紙機構部90において、第1補助トレイ72が主トレイ71から完全に引き出された状態を表す第1の状態について説明する。
【0064】
図6は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第1の状態を示す斜視図、図7は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第1の状態を示す要部斜視図、図8は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第1の状態を示す第1の要部断面図、図9は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第1の状態を示す第2の要部断面図である。
【0065】
第2の給紙機構部90の第1の状態においては、給紙トレイ70がフレームfrに対して回動させられて開かれ、第1補助トレイ72が主トレイ71から完全に引き出され、第2補助トレイ73が第1補助トレイ72に対して伸展させられる。主トレイ71上に用紙12は積載されておらず、主トレイ71は給紙位置に置かれる。
【0066】
また、リブ76hの先端が前記第1の面s1(図4)と当接させられ、このとき、スリット76g内にリブ72gがわずかに進入させられ、垂下縁76iは、各リブ72g間に形成された窪み72i内に進入させられる。
【0067】
このとき、リブ72gの頂壁は垂下縁76iの最下端より高くなるので、主トレイ71を押下げ位置に置き、給紙トレイ70に用紙12をセットしても、用紙12の前縁がリブ72gの頂壁より下方に位置することはなく、垂下縁76iの最下端より下方に位置することはない。したがって、用紙12の前端が垂下縁76iの最下端に当たることがない。
【0068】
また、前述されたように、主トレイ71の上面の後端が補助積載板76の上面の前端と同じ高さにされるか、又は補助積載板76の上面の前端よりわずかに低くされるので、用紙12の前端が主トレイ71の後端面に当たることがない。
【0069】
このように、補助積載板76によって主トレイ71と第1補助トレイ72との境界部分が覆われるので、主トレイ71上に積載される用紙12の前縁が主トレイ71の後端面に当たるのを防止することができる。その結果、用紙12に折曲り、座屈、破損等が生じるのを一層防止することができ、用紙12を一層円滑にセットすることができる。
【0070】
なお、図において、74は側面ガイド部材、102、104は軸受け部、76kは凸片、72kはリブである。主トレイ71は給紙位置に置かれているので、図8に示されるように、前記凸片76kは主トレイ71に対してわずかに下方に向けて傾斜させられる。
【0071】
次に、第2の給紙機構部90において、第2補助トレイ73が折り畳まれた状態を表す第2の状態について説明する。
【0072】
図10は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第2の状態を示す斜視図、図11は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第2の状態を示す要部平面図である。
【0073】
第2の給紙機構部90の第2の状態においては、給紙トレイ70がフレームfrに対して回動させられて開かれ、第1補助トレイ72が主トレイ71から完全に引き出され、第2補助トレイ73が第1補助トレイ72に対して折り畳まれる。また、主トレイ71上に用紙12は積載されておらず、主トレイ71は給紙位置に置かれる。なお、補助積載板76においては、第2の給紙機構部90の第1の状態と同様に、リブ76hの先端が第1の面s1と当接させられ、このとき、スリット76g内にリブ72gがわずかに進入させられ、垂下縁76iは窪み72i内に進入させられる。
【0074】
次に、第2の給紙機構部90において、第1補助トレイ72が主トレイ71内にわずかに挿入された状態を表す第3の状態について説明する。
【0075】
図12は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第3の状態を示す要部斜視図、図13は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第3の状態を示す第1の要部断面図、図14は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第3の状態を示す第2の要部断面図である。
【0076】
第2の給紙機構部90の第3の状態においては、給紙トレイ70(図1)がフレームfrに対して回動させられて開かれ、第1補助トレイ72が主トレイ71内にわずかに挿入され、第2補助トレイ73が第1補助トレイ72に対して折り畳まれる。また、主トレイ71上に用紙12は積載されておらず、主トレイ71は給紙位置に置かれる。
【0077】
この場合、第1補助トレイ72が主トレイ71内にわずかに挿入されると、補助積載板76が第1補助トレイ72と連動して移動、本実施の形態においては、回動させられ、リブ76hの先端が第2の面s2と当接させられ、補助積載板76の傾斜角度が小さくなり、このとき、スリット76gからリブ72gが抜け出る。また、垂下縁76iも窪み72iから抜け出て、垂下縁76iの最下端がリブ72kの頂壁よりわずかに上方に位置させられる。
【0078】
なお、第2の給紙機構部90の第3の状態において、補助積載板76が回動させられても、主トレイ71の後端が補助積載板76の前端より高くなることはない。
【0079】
次に、第2の給紙機構部90において、第1補助トレイ72が主トレイ71内に更に挿入された状態を表す第4の状態について説明する。
【0080】
図15は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第4の状態を示す要部斜視図、図16は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第4の状態を示す第1の要部断面図、図17は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第4の状態を示す第2の要部断面図である。
【0081】
第2の給紙機構部90の第4の状態においては、給紙トレイ70がフレームfrに対して回動させられて開かれ、第1補助トレイ72が主トレイ71内に更に挿入され、第2補助トレイ73が第1補助トレイ72に対して折り畳まれる。また、主トレイ71上に用紙12は積載されておらず、主トレイ71は給紙位置に置かれる。
【0082】
この場合、第1補助トレイ72が主トレイ71内に更に挿入されると、補助積載板76が第1補助トレイ72と連動して更に回動させられ、リブ76hの先端が第2の傾斜部p2と当接させられ、補助積載板76の傾斜角度が更に小さくなり、表示部76fが上方に向けられる。
【0083】
なお、第2の給紙機構部90の第4の状態において、補助積載板76が回動させられても、主トレイ71の後端が補助積載板76の前端より高くなることはない。
【0084】
次に、第1補助トレイ72が主トレイ71内に完全に挿入された状態を表す第2の給紙機構部90の第5の状態について説明する。
【0085】
図18は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第5の状態を示す斜視図、図19は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第5の状態を示す断面図、図20は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第5の状態を示す平面図、図21は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第5の状態を示す要部斜視図、図22は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第5の状態を示す第1の要部断面図、図23は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第5の状態を示す第2の要部断面図である。
【0086】
第2の給紙機構部90の第5の状態においては、給紙トレイ70がフレームfrに対して回動させられて開かれ、第1補助トレイ72が主トレイ71内に完全に挿入され、第2補助トレイ73が第1補助トレイ72に対して折り畳まれる。また、主トレイ71上に用紙12は積載されておらず、主トレイ71は給紙位置に置かれる。なお、図19において、80は媒体繰出部、81はピックアップローラ、86は分離片である。
【0087】
この場合、第1補助トレイ72が主トレイ71内に完全に挿入されると、補助積載板76が第1補助トレイ72と連動して更に回動させられ、リブ76hの先端が第3の面s3と当接させられ、補助積載板76は第1補助トレイ72の上面と平行にされ、表示部76fが更に上方に向けられる。
【0088】
なお、第2の給紙機構部90の第5の状態において、補助積載板76が回動させられても、主トレイ71の後端が補助積載板76の前端より高くなることはない。
【0089】
次に、第2の給紙機構部90において、給紙トレイ70が閉じられた状態を表す第6の状態について説明する。
【0090】
図24は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第6の状態を示す斜視図、図25は本発明の第1の実施の形態における第2の給紙機構部の第6の状態を示す断面図である。
【0091】
第2の給紙機構部90の第6の状態においては、給紙トレイ70がフレームfrに対して閉じられ、第1補助トレイ72が主トレイ71内に完全に挿入され、第2補助トレイ73が第1補助トレイ72に対して折り畳まれる。また、補助積載板76は第1補助トレイ72の上面と平行にされる。図25において、80は媒体繰出部、81はピックアップローラ、86は分離片である。
【0092】
なお、前記構成の給紙トレイ70を開く場合は、第2の給紙機構部90を第6の状態から第1の状態まで逆に置く。
【0093】
このように、本実施の形態においては、補助積載板76が、主トレイ71と第1補助トレイ72との間に配設され、主トレイ71と第1補助トレイ72との境界部分を覆うので、用紙12に折曲り、座屈、破損等が生じるのを防止することができ、用紙12を円滑にセットすることができる。
【0094】
また、補助積載板76が揺動自在に配設され、第1補助トレイ72の動作に連動して回動させられるので、第1補助トレイ72が、主トレイ71から完全に引き出されていても、又は主トレイ71内に完全に挿入されていても、補助積載板76によって前記境界部分が覆われる。しかも、補助積載板76が回動させられる間、主トレイ71の上面の後端が補助積載板76の上面の前端より高くなることはない。
【0095】
したがって、用紙12に折曲り、座屈、破損等が生じるのを一層防止することができ、用紙12を一層円滑にセットすることができる。
【0096】
さらに、第1補助トレイ72が主トレイ71内に挿入されるほど、補助積載板76の傾斜角度が小さくされ、表示部76fが上方に向けられる。したがって、搬送方向における寸法が大きい用紙12を給紙トレイ70にセットする場合は、第1補助トレイ72が主トレイ71から完全に引き出され、補助積載板76の傾斜角度が大きくなるので、操作者は、表示部76fを横方向から見ることができる。また、はがき等のように搬送方向における寸法が小さい用紙12を給紙トレイ70にセットする場合は、第1補助トレイ72が主トレイ71内に挿入され、補助積載板76の傾斜角度が小さくなるので、操作者は、表示部76fを上方向から見ることができる。その結果、用紙12を給紙トレイ70にセットする際の取扱性を向上させることができる。
【0097】
また、第1補助トレイ72の動作に連動して補助積載板76が回動させられるので、第2の給紙機構部90を小型化することができる。
【0098】
ところで、本実施の形態においては、主トレイ71が外装カバー部75に対して揺動自在に配設され、押下げ位置及び給紙位置に置かれるようになっている。そして、主トレイ71を押下げ位置に置いたときに、主トレイ71の上面の後端が補助積載板76の上面の前端と同じ高さになるように、又は補助積載板76の上面の前端よりわずかに低くなるように軸受け部104の高さが設定される。
【0099】
ところが、主トレイ71及び補助積載板76がいずれも外装カバー部75に対して揺動自在に配設されるようになっているので、主トレイ71を押下げ位置に置いた場合は、主トレイ71の上面の後端と補助積載板76の上面の前端との隙間が小さいのに対して、主トレイ71を給紙位置に置いた場合は、主トレイ71の上面の後端と補助積載板76の上面の前端との隙間が大きくなってしまう。
【0100】
したがって、主トレイ71を給紙位置に置いた状態で主トレイ71上に用紙12を積載した場合、用紙12が水平にされていないと、主トレイ71上に積載される用紙12の前縁が主トレイ71の後端面に当たる可能性がある。
【0101】
そこで、主トレイ71を押下げ位置及び給紙位置のいずれの位置に置いても、主トレイ71上に積載される用紙12の前端が主トレイ71の後端面に当たることがないようにした、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0102】
図26は本発明の第2の実施の形態における主トレイを給紙位置に置いたときの第2の給紙機構部の斜視図、図27は本発明の第2の実施の形態における主トレイを給紙位置に置いたときの第2の給紙機構部の断面図、図28は本発明の第2の実施の形態における主トレイを給紙位置に置いたときの第2の給紙機構部の要部断面図、図29は本発明の第2の実施の形態における主トレイを押下げ位置に置いたときの第2の給紙機構部の斜視図、図30は本発明の第2の実施の形態における主トレイを押下げ位置に置いたときの第2の給紙機構部の断面図、図31は本発明の第2の実施の形態における主トレイを押下げ位置に置いたときの第2の給紙機構部の要部断面図である。
【0103】
本実施の形態においては、媒体としての用紙12を積載するための媒体積載板としての、かつ、主積載部としての主トレイ71の後端部(用紙12の搬送方向における後方の端部)の両縁に第1の軸支持部としてのボス支持部101が立ち上げて形成され、該ボス支持部101の上端に、給紙用第2の媒体搬送装置としての、かつ、第2の媒体供給部としての給紙トレイ70の幅方向外方に向けて突出させて、第1の軸部としてのボス71aが形成される。また、保持部材としての外装カバー部75の後端部の両縁に軸受け部102が立ち上げて形成され、該軸受け部102の上端に、軸穴75aが貫通させて形成される。そして、前記ボス71aを軸穴75aに挿入することによって、主トレイ71が外装カバー部75に対して揺動自在に支持される。
【0104】
また、補助部材としての補助積載板76の前端部の両縁に、給紙トレイ70の幅方向外方に向けて突出させて、第3の軸部としてのボス76bが形成される。そして、前記ボス支持部101の下端に、軸穴71bが貫通させて形成される。そして、前記ボス76bを軸穴71bに挿入することによって、補助積載板76が主トレイ71に対して揺動自在に支持される。
【0105】
この場合、主トレイ71を外装カバー部75に対して揺動させ、図29及び30に示される押下げ位置に置いたり、図26及び27に示される給紙位置に置いたりするのに伴って、補助積載板76が主トレイ71に対して連動して揺動させられる。
【0106】
したがって、図28及び31に示されるように、主トレイ71を押下げ位置及び給紙位置のいずれに置いても、主トレイ71の上面の後端と補助積載板76の上面の前端との隙間が等しく、主トレイ71を給紙位置に置いた状態で、主トレイ71の上面の後端と補助積載板76の上面の前端との隙間が大きくなることがない。
【0107】
その結果、用紙12をセットする角度によって、主トレイ71上に積載される用紙12の前縁が主トレイ71の後端面に当たることがなくなるので、用紙12に折曲り、座屈、破損等が生じるのを防止することができ、用紙12を円滑にセットすることができる。
【0108】
前記各実施の形態においては、給紙トレイ70について説明しているが、本発明を、排紙用の媒体搬送装置としての、かつ、媒体排出部としての排紙トレイに適用することができる。
【0109】
また、前記各実施の形態においては、カラーのプリンタについて説明しているが、本発明を、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
【0110】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0111】
12 用紙
70 給紙トレイ
71 主トレイ
72 第1補助トレイ
75 外装カバー部
76 補助積載板
cs 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の筐体に対して開閉自在に配設された媒体搬送装置において、
(a)前記筐体に対して移動自在に配設された保持部材と、
(b)該保持部材と共に前記筐体に対して移動自在に配設され、媒体を積載するための主積載部と、
(c)該主積載部に対して引出し自在に配設され、媒体を積載するための副積載部と、
(d)前記主積載部と副積載部との間に移動自在に配設され、前記副積載部の動作に連動して移動させられ、主積載部と副積載部との境界部分を覆う補助部材とを有することを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記補助部材は回動自在に配設される請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記補助部材は、前記副積載部の上面と当接する当接部を備え、前記副積載部の移動に伴って回動させられる請求項2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記補助部材は、前記副積載部が主積載部から引き出された状態で、副積載部に向けて所定の傾斜角度で傾斜させられ、副積載部が主積載部に挿入されるのに伴って前記傾斜角度が小さくされる請求項3に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記主積載部は、媒体をセットするための押下げ位置、及び媒体を給紙するための給紙位置に置かれる請求項1〜4のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記補助部材は、前記主積載部の上面の後端が補助部材の上面の前端以下の位置になるように支持される請求項1〜5のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
(a)前記副積載部は媒体搬送装置の幅方向に形成された凹部を備え、
(b)前記補助部材は前記凹部に進入させられる垂下縁を備える請求項1〜6のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
前記補助部材は前記保持部材によって支持される請求項1〜7のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項9】
前記補助部材は前記主積載部によって支持される請求項1〜7のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項10】
前記補助部材に、媒体搬送装置上における各サイズの媒体の積載箇所を示す表示部が形成される請求項1〜9のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項11】
画像形成装置の筐体に対して開閉自在に配設された媒体搬送装置を備えた画像形成装置において、
前記媒体搬送装置は、前記筐体に対して移動自在に配設された保持部材、該保持部材と共に、前記筐体に対して移動自在に配設され、媒体を積載するための主積載部、該主積載部に対して引出し自在に配設され、媒体を積載するための副積載部、及び前記主積載部と副積載部との間に移動自在に配設され、前記副積載部の動作に連動して移動させられ、前記主積載部と副積載部との境界部分を覆う補助部材を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2013−95542(P2013−95542A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238522(P2011−238522)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】