説明

孵化液酵素およびその使用

本発明は、魚の孵化液から得られる各種ポリペプチド、それらのコード化核酸配列、前記ポリペプチドおよび核酸分子を含む医薬組成物、並びに、皮膚に対する医療および美容上の様々な用途における、特に、動物の皮膚障害または疾患を治療または予防するために皮膚の角質層の角質除去および/または皮膚の保湿のためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に対する美容および医療上の様々な用途における、魚の孵化液から抽出可能なコリオリシンおよび強酸性タンパク質(VAPs)の単独または組み合わせでの使用に関する。本発明はまた、これらの使用に関して説明する強酸性タンパク質に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、身体の中でより外傷を受けやすい臓器の1つである。生命にかかわることは殆どないが、皮膚障害または疾患は不快である場合もあり、慢性障害を引き起こすこともある。更に、皮膚は非常に目に触れやすいため、皮膚障害や疾患は心理的ストレスにつながることもある。従って、皮膚疾患や障害の効果的な治療法に対する需要は継続的に存在している。
【0003】
皮膚は、身体における最大の臓器であり、人の体重の約12〜16パーセントを占める。皮膚は、身体内の制御された環境と外界との間のバリアおよび調節作用としての多くの極めて重要な役割を果たす。
【0004】
皮膚は、表皮、真皮および皮下組織の3層からなる。表皮は、皮膚の最上層の上皮層である。表皮は、物理的なバリアとして作用し、身体からの水分の損失を防ぎ、物質や生物の身体内への侵入を防ぐ。その厚さは、身体の部位によって異なる。
【0005】
表皮は、重層扁平上皮からなる。すなわち、表皮は、扁平細胞の複数層からなる。皮膚、毛髪および爪は、角質化されており、つまり、ケラチンと呼ばれるタンパク質からなる、死んで硬化した疎水性の表面を有する。表皮は、特に、表皮の中間層(透明層)において、角化細胞に付随する細胞外脂質を含有することにより不浸透性となっている。粘膜(例えば、食道、口腔咽頭腔、生殖器およびその他の粘膜)は、大抵の場合、角質化されておらず、湿性である。表皮には、大きく分けて、角化細胞(皮膚細胞)、メラノサイト(色素形成細胞)およびランゲルハンス細胞(免疫細胞)といった3つのタイプの細胞がある。メルケル細胞は、4番目の有病率の低い表皮細胞である。
【0006】
角化細胞は、外部に向かって移動するにつれ、ケラチンを蓄積することにより成熟し分化する。角化細胞は、やがて剥がれ落ちるかまたは摩擦により剥がれる。それらは、4層または5層の別個の層を形成し、最表層から最深層に向かって順番に、(i)死んで乾燥した硬質で核のない細胞を有する角質層(Stratum corneum/horny layer)、(ii)好塩基性顆粒を含有し、薄い透明層により角質層から外側方向に分離された細胞を有する顆粒層(Stratum granulosum/granular layer)、(iii)細胞が上方に移動するにつれ次第に扁平になる有棘層(有棘(spinous、spinyまたはprickle)細胞層)および(iv)円柱状の(長い)再生細胞を有する基底層(Stratum basale/basal layer)となっている。
【0007】
表皮のすぐ下には、表皮と真皮との間にある特殊構造体の基底膜がある。
【0008】
真皮は、皮膚の支持層または線維性結合組織である。その主な繊維は、コラーゲン線維とエラスチンであり、それらは複雑に絡み合っている。
【0009】
皮下組織は、真皮と表皮のすぐ下の脂肪層であり、「subcutaneous tissue」、「hypodermis」または「panniculus」とも言われる。皮下組織は主に、脂肪細胞 (fat cells/adipocytes)、神経および血管から成る。
【0010】
新しい上皮皮膚細胞は、皮膚の下層である顆粒層で作られる。細胞は徐々に皮膚の表面に移動し、酸性度が高くなる。細胞は、30日間かけて移動する間に、死んでケラチンで飽和した状態になる。ケラチンおよび関連する脂質は、外部要素から皮膚を保護するために重要である。
【0011】
疾病、外傷、環境因子、年齢、ホルモンレベル、薬剤、外用または内服物質、遺伝子疾患または他の多様な要因が、皮膚機能の異常を引き起こし、不整や異常が生じる場合もある。これらの不整や異常の中には、単に美容上の性質のもの、例えば、乾燥肌、しわ若しくは変色した色素沈着、またはより重度の高い、例えば、湿疹や乾癬など、痛み若しくは不快感につながる場合もある。
【0012】
乾燥肌は、最も一般的な皮膚疾患または異常の1つである。中には乾燥肌に、よりなりやすい人もいるが、この疾患は、年齢、性別または皮膚のタイプにかかわらず誰でもかかり得る。
【0013】
乾燥皮膚は、皮膚の外層(透明層を有する角質層)の水分が枯渇した際に生じる。この層が十分に湿潤である場合、皮膚を通しての水分喪失を最小限に抑え、刺激物質、アレルゲンおよび病原菌の侵入を防ぐのを助ける。しかし、角質層が乾燥した場合、その防御機能は低下する。これにより、更に多くの水分喪失が生じ、皮膚は環境因子に影響を受けやすい状態になる。
【0014】
本来、角質層の含水量は10%〜30%である。この水分が、柔らかく、滑らかで、弾力性のある質感を皮膚に与える。水分は、周囲環境、皮膚の下位層、および汗によりもたらされる。皮膚腺により産生される油と、皮膚細胞により産生される脂肪性の物質は、天然の保湿剤として作用し、角質層が水分を閉じ込めることを可能にする。
【0015】
身体は、蒸発により絶え間なく皮膚の表面より水分を失っている。本来、損失速度はゆっくりであり、水分は十分補給される。乾燥皮膚の特徴的な兆候および症状は、水分喪失が水分補給を上回り、角質層の含水量が10%を下回った場合に生じる。
【0016】
乾燥皮膚を改善または解消する保湿剤が非常に望ましい。当技術分野において多くの保湿剤が公知となっているが、効果的でありながら皮膚に優しい自然製品に対する需要は依然として存在している。
【0017】
もう1つの一般的な皮膚異常または疾患は、皮膚の過剰量の角質層である。これは、角質層が剥がれ落ちないか、または角質層における過剰なケラチンの沈着により生じ得る。前者は、皮膚びらんの自然な過程が不均一になることにより、皮膚が乾燥し荒れた性状になった場合に生じ得る。良性過剰増殖性障害としては、表皮溶解性角化症(すなわち、かさついた皮膚)や毛包性角化症が挙げられる。一般的な良性過剰増殖疾患の1つは、瘢痕の周りの周囲肥厚および/またはケロイドの形成である。その他の過剰増殖疾患には、魚の目、カルス、角質増殖性の疣贅(特に尋常性疣贅)、魚鱗癬および掌蹠角化症がある。
【0018】
現在の治療法では、角質除去または極端な場合には手術を伴う。過角化症は通常、角質層を軟化し、肥厚した皮膚を除去することにより治療する。
【0019】
角質除去は、損なわれた表皮細胞、例えば、色素沈着障害を示す表皮(例えば、肝斑)から表皮細胞を除去する際に行われる場合もある。
【0020】
角質除去は、表皮の外層を除去し、下方の新しい皮膚細胞を露出させる。角質除去は、物理的手段(すなわち、皮膚の剥削)または化学的手段で行い得る。化学的角質除去剤としては、サリチル酸、グリコール酸、フルーツ酵素、クエン酸またはリンゴ酸を含むスクラブが挙げられ、皮膚科医による高濃度のものまたは市販薬における低濃度のものを使用し得る。化学的角質除去は、α−ヒドロキシ酸(AHAs)若しくはβ−ヒドロキシ酸(BHAs)、または細胞間結合部位において細胞を結合する接着剤様の物質を薄め、結合部位を緩めるよう作用する酵素を含有する製品の使用を伴ってもよい。このタイプの角質除去は、ざ瘡を治療する人々に推奨される。
【0021】
角質除去の最大のデメリットは、角質除去を行うために使用される方法や製品が一部高価であることである。角質除去は、当初幾分か皮膚の紅赤をもたらすであろう。化学薬品によるピーリングの終了間近に、皮膚は白っぽくなり、皮膚表面は、明るい白色から灰色まで多種多様の色になるであろう。従って、より皮膚に優しいより効果的な方法が望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
よって、皮膚の保湿および/または皮膚の角質層の角質除去に適した治療法に対する需要が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
驚いたことに、魚の孵化液に含まれる特定の分子、すなわちコリオリシンおよび新たに同定された強酸性タンパク質(VAPs)群が、極めて有効な保湿剤および角質除去剤であることが新たに分かった。
【0024】
魚胚は、いわゆる孵化酵素であるコリオリシンによって、少なくとも部分的に孵化が行われる。コリオリシンは、魚の孵化液に含まれるメタロプロテイナーゼであり、通常2つの形態で含まれている。すなわち、高卵膜分解酵素(コリオリシンH、HCE)および低卵膜分解酵素(コリオリシンL、LCE)であり、これらは、いくつかの構造および触媒特性において類似しており、アスタシンファミリーに属するが、基質選択においては著しく異なる。
【0025】
サケにおいて、LCEは、他の魚類から得られる公知のコリオリシンと比べて比較的まれであり、以下に説明する目的に適用され得る。サケLCEの配列は、下記配列番号1に記載されている。
【0026】
上述のように、強酸性タンパク質(VAPs)群は、実施例に記載の如く、80%のアセトン中で他の構成成分から沈殿させ、遠心分離したペレットを蒸発させアセトンを除去することにより、魚の孵化液において新たに同定された。
【0027】
これらのVAPsは、孵化中、孵化酵素による重合および架橋した卵殻または絨毛膜のタンパク質切断により産生される。VAPsは、より詳細には下記に説明するように、卵形成中、絨毛膜に取り込まれたコリオジェニンHおよびLなどの構成成分の断片である。ここではVAPsと呼んでいる、これらの絨毛膜タンパク質の断片は、孵化中、囲卵液内に放出され、孵化液の構成成分となる。VAPsは、様々な形態で見られる。等電点電気泳動により分析する場合(実施例参照)、VAPsI、IIおよびIII(以下で説明する)は、それぞれ少なくとも2、6および3種類のアイソフォームとして見られる。
【0028】
以下に記述するように、驚くべき特性を有する同定済みの3種類のVAPsを本明細書において開示する。これらのVAPsの配列は、実施例に記載の如く、質量分析により求めたもので、配列番号2〜4に示す。
【0029】
本明細書に記載の如く、VAPsI、IIおよびIIIはそれぞれ、配列番号2、3および4に記載した配列を有する。
【0030】
VAPIは、サイズ的には117のアミノ酸から成り、分子量は約15.5kDaであり、等電点は約3.5である。このVAPは、439のアミノ酸の57kDaの卵殻タンパク質(放射帯タンパク質とも呼ばれる、配列番号5)の断片である。また、VAPIは、467のアミノ酸残基を有する相同放射帯タンパク質から抽出してもよい(配列番号:8)。
【0031】
VAPIIは、サイズ的には261のアミノ酸から成り、分子量は約35kDaであり、等電点は約4.0である。このVAPは、524のアミノ酸タンパク質の68kDaのコリオジェニンHβ(配列番号6)の断片である。
【0032】
VAPIIIは、サイズ的には224のアミノ酸から成り、分子量は約29kDaであり、等電点は約5.2である。このVAPは、438のアミノ酸タンパク質の57kDaのコリオジェニンL(配列番号7)の断片である。
【0033】
実施例に示し且つ上述したように、各VAPは様々なアイソフォームで存在し得る。
【0034】
従って、本発明は、第一の態様において、
(i)配列番号2〜4のいずれか1つに記載のアミノ酸配列若しくは少なくとも50%が前記配列と同一である配列、または、前記配列のいずれかの一部;および、任意に、
(ii)長さ1〜100のアミノ酸である、(i)におけるアミノ酸配列のNおよび/またはC末端におけるフランキングアミノ酸配列
から成るポリペプチドを提供する。
本明細書でいう「ポリペプチド」は、好ましくは50、100、150、200若しくは250を超える残基および/または400、300、200若しくは100未満の残基を有するか、あるいはそれらから選択される範囲の分子である。本明細書でいう「一部」は、好ましくは、その一部が抽出される配列の少なくとも30、40、50、60、70、80、90、100、150、200以上のアミノ酸を含む。当該一部は、前記配列の中央部、N末端部またはC末端部から得ても良い。好ましい態様において、当該一部は、少なくとも1、2、3、4または5つのアミノ酸残基が、(好ましくはN末端から)除去された、前記一部が抽出される全長配列からなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、精製後のVAPsの等電点電気泳動を示す。
【図2A】図2は、ヒトの上皮へのタイセイヨウサケVAPsの作用を示し、図2AはVAPsを投与した皮膚培養物を示す。
【図2B】図2は、ヒトの上皮へのタイセイヨウサケVAPsの作用を示し、図2BはVAPsを投与した皮膚培養物を示す。
【図2C】図2は、ヒトの上皮へのタイセイヨウサケVAPsの作用を示し、図2Cは対照皮膚培養物を示す。
【図3A】図3は、ヒトの上皮へのタイセイヨウサケのコリオリシンLの作用を示し、図3AはコリオリシンLを投与した皮膚培養物を示す。
【図3B】図3は、ヒトの上皮へのタイセイヨウサケのコリオリシンLの作用を示し、図3Bは対照皮膚培養物を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本明細書に記載の如く、「フランキング(flanking)配列」は、通常のペプチド結合により中央部のアミノ酸配列の末端NまたはCの端部に付着し、連続アミノ酸配列を形成するアミノ酸配列である(但し、後述するように機能的に同等であるように修飾したものを除く)。フランキング配列は、中央部のアミノ酸配列のNまたはC末端端部に存在していてもよいし、両端部に存在していてもよい。フランキング配列の長さは、1つのアミノ酸のように短いものであっても、100のアミノ酸のように長いものであってもよく、好ましくは、1〜50(または5〜100若しくは10〜50)、例えば、1〜25、例えば、1〜5のアミノ酸であってもよい。フランキング配列が、NおよびC末端端部の両方に存在する場合、それらの配列は同一であっても異なっていてもよく、また、それらの長さは同一であっても異なっていてもよい。フランキング配列は、当該VAPがその断片である天然配列から抽出してもよく、同等の部分における天然配列に対し80、70、60または50%未満の同一性を有するものであってもよい(例えば、配列番号5〜7にそれぞれ含まれる、配列番号2〜4と比較する天然配列、および、配列番号2の代替天然配列を有する配列番号:8を参照)。
【0037】
好ましくは、上述の(i)における当該配列は、少なくとも55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98または99%が比較する配列(配列番号:2〜8)と同一である。
【0038】
配列同一性は、例えば、可変パムファクター(variable pamfactor)、12.0に設定されたギャップ生成ペナルティーおよび4.0に設定されたギャップ伸長ペナルティー、並びに2つのアミノ酸のウインドウを備えたFASTA pep−cmpを用いるSWISS−PROTのタンパク質配列データベースを使用することにより求め得る。好ましくは、当該比較は、配列の全長に渡って行われるが、小さい比較ウインドウで、例えば、200、100または50未満の連続アミノ酸について行われてもよい。
【0039】
好ましくは、かかる配列同一性関連ポリペプチドは、上述の配列番号に記載のポリペプチドに機能的に同等である。かかる機能的に同等のポリペプチドは、後述するように、誘導体の形を取ってもよい。同様に、前記配列番号に記載の配列を有するポリペプチドは、後述するようにポリペプチドの配列に影響を与えることなく修飾されてもよい。
【0040】
更に、本明細書に記載の「一部」は、機能的に同等であってもよい。好ましくは、これら一部は、本明細書に記載された同一性(同等の領域に対する同一性)条件を満たす。上記フランキング配列を含むポリペプチドと一部とを含む本発明の好ましいポリペプチドは、好ましくは、酸性であり、例えば、等電点が3〜5.5、好ましくは3.5〜5.2である。
【0041】
本明細書に記載の如く、「機能的同等性」を得るため、ポリペプチドは、親分子(つまり、例えば、アミノ酸置換によりポリペプチドが抽出された分子)と比較して、医療または美容上の機能を果たす上で有効性が幾分低下する場合があるが、好ましくは、同等に効果的であるかより効果的である。よって、機能的同等性は、本明細書に記載の如く、疾患若しくは障害を治療する上で、または皮膚の状態および/若しくは外観を外見上改善する上で、すなわち、以下に説明するように、例えば、皮膚の外観、質感、厚み若しくは水分量など、患者の1つ以上の症状を軽減する上で有効なポリペプチドに関する。これは、例えば、実施例に記載の分析を行うことにより、誘導体ポリペプチドの効能を、定性的又は定量的な方法で誘導体ポリペプチドが抽出されるポリペプチドに対し比較することでテストし得る。定量的結果が可能な場合、誘導体は、親ポリペプチドの少なくとも30、50、70または90%の効果を有する。
【0042】
天然に存在するタンパク質に関連するかまたは天然に存在するタンパク質から抽出される機能的に同等なタンパク質は、分子の機能を損なうことなく、1または複数(例えば、2〜20、好ましくは2〜10)のアミノ酸置換、付加および/または欠失(それらが、上述の配列同一性要件を満たす場合)によって天然アミノ酸配列を修飾することにより得られ得る。かかるタンパク質は、1つ以上の塩基の適切な置換、付加および/または欠失により生成される「機能的に同等な核酸分子」によりコード化される。
【0043】
好ましい機能的等価物は、アミノおよび/若しくはカルボキシ末端融合タンパク質またはポリペプチドが産生される「付加」変異体であり、親ポリペプチドに融合した付加タンパク質またはポリペプチドを含む。上述のように、中央部のポリペプチドに付加された場合、連続アミノ酸配列を形成する任意の配列は、上述のフランキング配列に限定される。
【0044】
更に好ましい機能的等価物は、タンパク質またはポリペプチドが産生される「欠失」または「切断」変異体であり、アミノおよび/またはカルボキシ末端残基は、中央部のポリペプチドから除去されている。特に好ましい実施の形態において、残基はアミノ末端から除去され、その際、少なくとも1、2、3、4または5つのアミノ酸残基が除去される。かかる機能的等価物は、上記において説明した一部である。
【0045】
特に好ましい機能的に同等な変異体は、天然の生物学的変異体(例えば、同種内における、または例えば、植物、動物または細菌、特に魚、特にサケ科、とりわけ、タイセイヨウサケ亜科およびタイヘイヨウサケ亜科の魚など、異なる属における対立遺伝子変異体または地理的変異体)並びに、公知の技術を用いて調製した誘導体である。例えば、機能的に同等なタンパク質をコードする核酸分子は、欠失、ランダム変異誘発、または核酸の酵素的切断および/若しくは連結を含む部位特異的変異誘発の公知の技術を用いて組み換え型の形態で生成しても、化学合成により生成してもよい。
【0046】
本発明はまた、当該ポリペプチドまたはその相補的配列のみをコードするヌクレオチド配列からなる核酸分子も提供する。
【0047】
従って、好ましい態様において、本発明は、
(i)配列番号10〜12のいずれか1つに記載のヌクレオチド配列、少なくとも50%が当該配列と同一である配列、または、室温で6xSSC/50%ホルムアミドといった非ストリンジェントな結合条件下で当該配列とハイブリッド形成し、ハイストリンジェンシーの条件下、例えば、2xSSC、65℃で洗浄する配列(但し、SSC=0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.2)、または前述の配列のいずれかに相補的な配列、またはその一部である配列;および、任意に、
(ii)長さ1〜300のヌクレオチドである、(i)におけるヌクレオチド配列の5’若しくは3’末端におけるフランキングヌクレオチド配列、
またはその相補的配列から成る核酸分子を提供する。
【0048】
好ましくは、当該核酸分子は、上述のようにポリペプチドをコードする。
【0049】
本明細書で言う「核酸分子」は、好ましくは、150、300、450、600若しくは750より多くの塩基および/または1200、900、600若しくは300未満の塩基またはそこから選択される範囲の分子である。上述の「一部」は、好ましくは、それが抽出される配列の少なくとも90、120、150、180、210、240、270、300、450または600ヌクレオチド塩基を含む。好ましくは、当該一部が、上述のように、N末端、中央部またはC末端ペプチドをコードする。好ましい態様において、当該一部は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15塩基が、好ましくは、5‘末端から除去された、当該一部が抽出される全長配列から成る。
【0050】
本明細書に記載の如く、「フランキング配列」は、通常のリン酸ジエステル結合により中央部のヌクレオチド配列の末端5’または3’端部に付着し、連続ヌクレオチド配列を形成するヌクレオチド配列である(但し、後述するように機能的に同等であるように修飾したものを除く)。フランキング配列は、中央部のヌクレオチド配列の5’若しくは3’末端端部に存在していてもよいし、両端部に存在していてもよい。フランキング配列の長さは、1つのヌクレオチドのように短いものであっても、300のヌクレオチドのように長いものであってもよく、好ましくは、1〜150(または15〜300若しくは30〜150)、例えば、1〜75、例えば、1〜15のヌクレオチドであってもよい。フランキング配列が、5’及び3’末端端部の両方に存在する場合、それらの配列は同一であっても異なっていてもよく、また、それらの長さは同一であっても異なっていてもよい。フランキング配列は、当該VAPコード化配列がその断片である天然配列から抽出してもよく、同等の部分における天然コード化配列に対し80、70、60または50%未満の同一性を有するものであってもよい(例えば、配列番号:13〜15にそれぞれ含まれる、配列番号10〜12と比較する天然配列、および、配列番号10の代替天然配列を含む配列番号:16を参照)。
【0051】
好ましくは、上述の(i)における当該配列は、少なくとも55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98または99%が比較される配列(配列番号:10〜16)と同一である。
【0052】
配列同一性は、例えば、初期値および可変パムファクターを有し、12.0に設定されたギャップ生成ペナルティーおよび4.0に設定されたギャップ伸長ペナルティーを有し、6つのヌクレオチドのウインドウを備えたGCGパッケージを用いてFASTA検索により求めても良い。
【0053】
好ましくは、核酸分子に関連するかまたは核酸分子をハイブリッド形成するかかる配列同一性は、上述の配列番号に記載の核酸分子に機能的に同等である。かかる機能的に同等の核酸分子は、後述するように、誘導体の形を取ってもよく、上述したテストによって機能的等価物とみなされるポリペプチドをコードする場合、機能的に同等であるとみなされる。好ましい機能的等価物は、上述のように好ましいポリペプチドをコードするもの、例えば、本明細書に記載された特定の分子とは異なる属または種に含まれるポリペプチドをコードする核酸分子である。
【0054】
更に、本明細書に記載の「一部」は、機能的に同等であってもよい。好ましくは、これら一部は、本明細書に記載された同一性(同等の領域に対する同一性)またはハイブリッド形成条件を満たす。好ましくは、上述のフランキング配列を含むヌクレオチド配列と一部とを含む本発明の核酸分子は、好ましくは、上述のように酸性ポリペプチドをコードする。
【0055】
本発明に係る核酸分子および本発明に従って使用する核酸分子は、一本鎖若しくは二本鎖DNA、cDNAまたはRNA、好ましくは、DNAであってもよく、上述のような実質的に同一でハイブリッド形成する縮重配列を含む。しかしながら、理想的には、前記分子はDNAまたはcDNAである。
【0056】
本発明のポリペプチドまたは本発明に従って使用するポリペプチドは、ポリペプチドの配列に影響を及ぼすことなく、例えば、糖鎖除去または糖鎖付加を含む化学修飾により修飾されるものを含む。かかるポリペプチドは、機能性に影響を及ぼすことなく、例えば、特定の残基の一定の糖鎖付加やメチル化等、ポリペプチドを合成後修飾/単離修飾することにより調製してもよい。
【0057】
本発明のポリペプチドまたは本発明に従って使用するポリペプチドはまた、ポリペプチドの機能的特性が、保持はされるが異なった、例えば、非ペプチド構造として提示される誘導体とみなされ得るペプチド模倣薬の形を取ってもよい。かかるペプチド模倣薬は、成功裏に開発されており、特に他の医療用途に使用されている。
【0058】
ペプチド模倣薬、特に非ペプチド性分子は、立体配座をベースとする薬物設計、スクリーニング、集中ライブラリーデザインおよび古典的医薬品化学を含む様々なプロセスを通じて生成し得る。非天然アミノ酸のオリゴマーまたは他の有機的構成要素を使用し得るのみならず、炭水化物、複素環若しくは大環状化合物またはペプチドの三次元立体配座の同様の特性を模倣する分子の静電表面を与える立体配座および構造要素を含む任意の有機分子も当技術分野で公知の方法により使用し得る。
【0059】
従って、ペプチド模倣薬は、ペプチド骨格に殆どまたは全く類似していない場合もある。ペプチド模倣薬は、完全に合成の非ペプチド型(例えば、適切な置換基を有する炭水化物骨格をベースとするもの)を含んでいてもよく、また、例えば、1つ以上のアミノ酸を誘導体化すること若しくは1つ以上のアミノ酸を代替非ペプチド構成成分で置換することにより、ベースとするペプチドの1つ以上の要素を保持していてもよい。ペプチド様鋳型には、偽ペプチドおよび環状ペプチドが含まれる。ペプチドの機能に不必要だと思われる構造要素は、足場機能のみを保持するよう最小限に抑えるかまたは必要に応じて除去してもよい。
【0060】
ペプチド模倣薬が1つ以上のペプチド成分、すなわち2つ以上のアミノ酸を保持する場合、かかるアミノ酸は、その非標準または構造類似体で置換してもよい。配列中に保持されるアミノ酸はまた、本発明のポリペプチドまたは本発明に従って使用するポリペプチドの機能特性が保持される限り、誘導体化または修飾(例えば、標識化、グリコシル化若しくはメチル化)してもよい。ペプチド模倣薬は、一定のポリペプチド配列「から誘導可能」であるとされる。これは、ペプチド模倣薬は、機能する上で不可欠なペプチドの構造特性を保持するように、定義したポリペプチド配列を基準にしてデザインされるということを意味する。これは、ポリペプチドの特定の側鎖、またはその構造の水素結合能であってもよい。かかる特性は、非ペプチド構成成分若しくは1つ以上のアミノ酸残基により付与されてもよく、またポリペプチドの当該アミノ酸残基を結びつける結合は、機能する上で不可欠なポリペプチドの構造特性を保持しながら、安定性またはプロテアーゼ耐性といった、ポリペプチドの一定の機能が向上するよう修飾されてもよい。
【0061】
使用可能な非標準または構造類似体アミノ酸の例としては、Dアミノ酸、アミド同配体(N−メチルアミド、反転(retro-inverse)アミド、チオアミド、チオエステル、ホスホン酸塩、ケトメチレン、ヒドロキシメチレン、フルオロビニル、(E)−ビニル、メチレンアミノ、メチレンチオまたはアルカン等)、L−Nメチルアミノ酸、D−[α]メチルアミノ酸、D−N−メチルアミノ酸があげられる。新規アミノ酸の例は、表1に記載している。
【0062】
【表1】




【0063】
使用可能な非標準アミノ酸としては、例えば、Tic(Fを置換する)、Aib(Aを置換する)またはピペコリン酸(プロリンを置換する)など、配座固定された類似体が挙げられる。
【0064】
上述のポリペプチドおよび核酸分子はまた、例えば、親油性、細胞輸送、溶解性および/または安定性を向上させるため、例えば、標的基または官能基の付加により、例えば、医薬用途(後述する)における使用を容易にするよう修飾された誘導体も含む。従って、オリゴ糖、脂肪酸、脂肪アルコール、アミノ酸、ペプチドまたはポリペプチドを、前述のポリペプチドまたは核酸分子に共役させてもよい。核酸分子は、以下に記述するようにウイルスキャリア内に存在していてもよい。
【0065】
ポリペプチドはまた、投与後、切断、例えば、エステラーゼの作用により除去され得るエステル化を通して付加された置換基の切断によって付加構成成分が除去され得るように、「プロドラッグ」または「プロペプチド」の形態で誘導体も含む。かかるプロドラッグは、対象のポリペプチドを得るため、例えば、タンパク質分解により切断される天然に存在するタンパク質の天然前駆物質を含む。かかる前駆物質は、前駆物質の形態では不活性であってもよいが、タンパク質切断により活性化されてもよい。しかしながら、中央部のポリペプチドに付加された場合、連続アミノ酸配列を形成する任意の配列は、上述のようにフランキング配列に限定される。あるいは、それらの配列は、より長いフランキング配列を有していてもよいが、但し、VAP断片が抽出される天然配列(例えば、アミノ酸配列に関する配列番号5〜8およびヌクレオチド配列に関する配列番号13〜16)、または同等の部分において、その配列と少なくとも50、60、70、80または90%の配列同一性を有する配列である分子までは及ばない場合に限る。
【0066】
従って、本発明の核酸分子または本発明に従って使用する核酸分子は同様に、かかるプロドラッグまたは前駆物質をコードする分子を包含する。しかしながら、中央部のポリヌクレオチドに付加された場合、連続ヌクレオチド配列を形成する任意の配列は、上述のようにフランキング配列に限定される。あるいは、それらの配列は、より長いフランキング配列を有していてもよいが、但し、VAP断片が抽出される天然配列、または同等の部分において、その配列と少なくとも50、60、70、80または90%の配列同一性を有する配列である分子までは及ばない場合に限る。
【0067】
上述のような修飾ポリペプチドまたは核酸分子は、検査を行い、同一または同様の医療または美容上の効果を有するかどうかを判定することにより、無修飾分子と比較して、確実に機能活性を保持するようにしてもよい。
【0068】
上述の核酸分子は、発現制御配列、または、組換えDNAクローニング媒体若しくはそのような組換えDNA分子を含むベクターに有効に結合させてもよい。これにより、遺伝子産物として、本発明のポリペプチドまたは本発明に従って使用するポリペプチドの細胞内発現が可能となり、その発現は、対象の細胞に導入された遺伝子により導かれる。遺伝子発現は、対象の細胞において活性なプロモーターから導かれ、ゲノムにおける取り込み、または非依存的複製若しくは一過性形質移入/発現のため、直鎖または環状DNAベクターの任意の形態で挿入されてもよい。適した形質転換または形質移入技術は、文献において十分な説明がなされている。また、本明細書に記載している使用のために、裸のDNA分子を細胞に直接導入してもよい。
【0069】
適切な発現ベクターは、例えば、以下に記述するように、本発明の方法を実施するために必要とされる核酸分子と読み枠を対応させる際に結合された翻訳調節領域(例えば、開始および停止コドン、リボソーム結合部位)および転写調節領域(例えば、プロモーター−オペレーター領域、終結停止配列)などの適切な制御配列を含む。適切なベクターは、プラスミドおよびウイルス(バクテリオファージおよび真核生物ウイルスの双方を含む)を含んでいてもよい。適したウイルスベクターとしては、バキュロウイルスや、またアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスおよびワクシニア/ポックスウイルスも含まれる。多くの他のウイルスベクターが、当技術分野において説明されている。好ましいベクターとしては、細菌および哺乳類発現ベクター、pGEX−KG、pEF−neoおよびpEF−HAが含まれる。核酸分子は、便宜上、付加ポリペプチドをコードするDNA、例えば、グルタチオンS−転移酵素と融合し、発現に際して融合タンパク質を生成してもよい。
【0070】
従って、本発明は、別の態様において、上記に記載の核酸分子を含むベクター、好ましくは、発現ベクターを提供する。
【0071】
本発明の他の態様は、本発明に係る組換え核酸分子を調製する方法を含み、この方法は、本発明のポリペプチドをコードする本発明のヌクレオチド配列を、ベクター核酸に挿入することを含む。
【0072】
以下に記述する方法では、ポリペプチドは、本発明の核酸分子または本発明に従って使用する核酸分子を用いて細胞の形質移入により細胞に投与してもよい。従って、上述のように、本発明は、本明細書に記載の本発明のポリペプチドをコードする配列から成るまたは含む核酸分子、および本明細書に記載の方法におけるそれらの使用にまで及ぶ。好ましくは、当該核酸分子は、ベクター、例えば、発現ベクターに含まれる。
【0073】
好ましくは、ベクターに含まれた、本発明の核酸分子または本発明に従って使用する核酸分子は、任意の適切な手段により細胞に導入し得る。適した形質転換または形質移入技術は文献において十分説明されている。様々な技術が知られており、それらの技術をかかるベクターを発現する原核または真核細胞に導入するために使用してもよい。これを目的とした好ましい宿主細胞には、昆虫細胞株、真核細胞株またはBL21/DE3株などの大腸菌が挙げられる。本発明はまた、核酸分子、特に上記のベクターを含む形質転換または形質移入された原核または真核宿主細胞にも及ぶ。
【0074】
本発明の別の態様は、上記に記載の本発明のポリペプチドを調製する方法を提供する。この方法は、上記に記載の核酸分子を含む宿主細胞を、当該ポリペプチドが発現させる条件下で培養することと、このようにして産生された当該分子を回収することとを含む。発現したポリペプチドは、本発明の別の態様を成す。
【0075】
本発明はまた、前述のような核酸分子によってコード化されたポリペプチドにも及ぶ。これは、上述のような宿主細胞の発現により産生されてもよい。
【0076】
本発明のポリペプチドを産生および分泌する細胞であるが、コード化核酸物質の発現によりネイティブ細胞に対して修飾が為されている細胞は、本発明の別の態様を成す。
【0077】
後述する本発明の組成物および用途において使用されるポリペプチドまたは核酸分子は、天然に存在する供給源から得られるか若しくは抽出されるものであってもよく、また全体的に若しくは部分的に合成により生成してもよい。
【0078】
便宜上、ポリペプチドおよび核酸分子は、実施例および下記に記載のプロトコールまたは、コリオリシン関して、特に単離方法に関しては、Yasumasu et al.,1989,J. Biochem.,105,p212-218(これは参照により本明細書に援用される)に記載されているようなプロトコールに従って単離される。本明細書に記載のVAPsに関連するこのような方法およびこのような方法の生成物は、本発明の別の態様を成す。
【0079】
よって、本発明は、別の態様において、本明細書に記載しているような1つ以上のポリペプチド(VAPsまたは関連配列)を、(例えば、サケの)孵化液から単離する方法を提供するものであって、少なくとも以下の工程を含む:
a)最小量(例えば、卵より少ない量)の水に卵を懸濁させる工程;
b)当該卵の同期化させた急速孵化を(好ましくは、95%を超える胚ついて、3時間未満内に孵化が完了するように)誘発する工程;
c)孵化した卵を濾過し、孵化液を得る工程;
d)最終濃度80容量%(v/v)まで当該孵化液にアセトンを添加する工程;および
e)当該液を低速遠心分離する工程(その際、このように形成されたペレット中に当該ポリペプチドが存在する);および、任意に、
f)工程e)の前記ペレット中に存在するポリペプチドを分離し、例えば、イオン交換カラムの使用により、個々のポリペプチドを単離する工程。
【0080】
好ましいイオン交換カラムは、DEAE−Sepharose(登録商標)CL−6Bカラムであるが、適した代替品を容易に入手することができる。
【0081】
好ましくは、当該孵化液は、魚、特にサケ科、とりわけサケ、例えば、タイセイヨウサケ(Salmo salar)およびタイヘイヨウサケ(Oncorhynchus)から得られるものである。
【0082】
本発明は更に、上記の方法により調製されたポリペプチドに及ぶ。
【0083】
本発明のまたは本発明に従って使用するポリペプチド若しくは核酸分子は、好ましくは、原料物質または単離処理若しくはそれらを合成により調製する際に使用する物質に由来する汚染成分を実質的に含まない。とりわけ好ましくは、この化合物を、重量%(w/w;乾燥重量)で評価し、50または60%を超える純度、例えば、70、80または90%を超える純度、好ましくは、95または99%を超える純度まで精製する。かかる純度水準は、対象の特定分子に当てはまるものであるが、その分解生成物を含む。必要に応じて、純度の低い、例えば、含まれる対象の分子が1、2、5または10%を超える、例えば、20または30%を超える濃縮調製物を使用してもよい。本発明のポリペプチドまたは本発明に従って使用するポリペプチドは、例えば、クロマトグラフィー(例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、分子ふるい、イオン交換、アフィニティー、疎水性相互作用、逆相)またはキャピラリー電気泳動によって精製し得る。
【0084】
本発明のポリペプチドまたは本発明に従って使用するポリペプチドは、例えば、合成によって生成された小さいペプチドの連結、またはより好都合には、上述したような当該ポリペプチドをコードする核酸分子の組換え発現により合成的に生成され得る。
【0085】
本発明の核酸分子または本発明に従って使用する核酸分子は、例えば、本明細書に記載されているような核酸配列の増幅により合成的に生成され得る。本明細書に記載のVAPポリペプチドおよび核酸分子は、後述するように使用され、様々な美容および/または医療上の効果をもたらし、これを目的とした好ましい分子を形成し得る。
【0086】
更に、全長未変性タンパク質など、上述の断片を含むより長いタンパク質(およびそれらのコード化配列)を、後述する方法に使用してもよい。従って、後述の用途を目的として、使用し得るポリペプチドは、配列番号2〜8のいずれか1つに記載されているアミノ酸配列若しくは少なくとも50%が当該配列と同一である配列、または当該配列のうちのいずれかの一部を含むポリペプチドに及ぶ。
【0087】
ポリペプチド、一部、配列同一性および機能的に同等なタンパク質に関する定義が同様に適用され、上述の好ましい配列同一性の値も適用可能である。好ましくは、ポリペプチドは、上述したような未変性タンパク質(任意に、フランキング配列を有する)の断片である。同様に、後述の用途を目的として、使用し得る核酸分子は、本発明のポリペプチド若しくは上述したようなより長いポリペプチド、またはその相補的配列をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子に及ぶ。好ましくは、上述したような未変性コード化配列(任意に、フランキング配列を有する)の断片を用いてその用途を果たす。
【0088】
従って、後述の用途を目的として、使用し得る核酸分子は、配列番号10〜16のいずれか1つに記載のヌクレオチド配列、少なくとも50%が当該配列と同一である配列、室温で6xSSC/50%ホルムアミドといった非ストリンジェントな結合条件下で当該配列とハイブリッド形成し、ハイストリンジェンシーの条件下、例えば、2xSSC、65℃で洗浄する配列(但し、SSC=0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.2)、若しくは前述の配列のいずれかに相補的な配列、または当該配列のいずれかの一部である配列を含む核酸分子に及ぶ。
【0089】
本発明の使用に関して後述するように、ポリペプチドおよび核酸分子に関する記述は、このより広い定義、すなわち、上述のように任意にフランキング配列を含む天然分子の断片のみではないことに言及するものである。
【0090】
上述のVAPsに加えて、魚の孵化液中に発見された新たなタンパク質は、VAPsの用途を補完する、美容および/または医療上の有利な用途を有することも分かっており、具体的には、上述したようなコリオリシンLである。
【0091】
従って、本明細書に開示しているポリペプチドまたは核酸分子は、体外または体内で、動物の一部または製品、例えば、皮膚サンプルにおいて使用してもよく、特に、それらが抽出される身体に、例えば、皮膚移植の形で再導入されることが考えられる場合に使用してもよい。
【0092】
しかしながら、本明細書に開示しているポリペプチドおよび核酸分子は、詳細に後述するように体内での使用が好ましい。
【0093】
本明細書に記載のポリペプチドおよび核酸分子は、以下に記述するような様々な異常、障害または疾患の治療に適用される。
【0094】
従って、本発明は、上述のようなポリペプチドまたは核酸分子および1つ以上の医薬上許容される賦形剤および/または希釈剤を含む医薬組成物に及ぶ。
【0095】
言い換えると、本発明は、
(i)配列番号1に記載のアミノ酸配列若しくは少なくとも50%が当該配列と同一である配列、または当該配列のいずれかの一部を含むポリペプチド;
(ii)配列番号2に記載のアミノ酸配列若しくは少なくとも50%が当該配列と同一である配列、または当該配列のいずれかの一部を含むポリペプチド;
(iii)配列番号3に記載のアミノ酸配列若しくは少なくとも50%が当該配列と同一である配列、または当該配列のいずれかの一部を含むポリペプチド;および/または
(iv)配列番号4に記載のアミノ酸配列若しくは少なくとも50%が当該配列と同一である配列、または当該配列のいずれかの一部を含むポリペプチド;
並びに、1つ以上の医薬上許容される賦形剤および/または希釈剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0096】
好ましい一態様において、配列番号2〜4に提示されたものより長い配列の使用を考える場合、上記記載において、配列番号2〜4はそれぞれ配列番号5〜7と置き換えてもよく、その際、配列番号:2は、代わりに配列番号:8と置き換えることも可能である。
【0097】
好ましいポリペプチドは、上述のように、特に、VAPsに関して、任意にフランキング配列を含む天然配列の断片である。本明細書における医薬組成物に関する記述は、美容組成物を包含するものと解釈してもよい。
【0098】
代わりに、または更に、当該組成物は、当該ポリペプチドのコード化配列、すなわち、上述の核酸分子(例えば、(v)上記(i)〜(iv)のいずれかに記載のポリペプチドをコードする1つ以上の核酸分子、またはその相補的配列)を含んでいても良い。好ましい核酸分子は、上述したもの、すなわち、配列番号9〜16、好ましくは、9〜12に関するものである。
【0099】
好ましい一態様において、当該組成物は、当該構成成分、例えば、上記構成成分(ii)〜(iv)(すなわち、上記VAPs全て)を組み合わせたもの、または上記の当該4構成成分を任意に組み合わせたものを含む。
【0100】
「医薬上許容される」または「生理学的に許容される」とは、成分が、組成物中の他の成分と混合可能であるだけでなく、レシピエントにとって生理学的に許容されるものでなければならないことを意味する。
【0101】
投与する有効成分は、医薬組成物に使用するため適宜調整してもよい。例えば、本発明に従って使用される化合物は、上述したような誘導体の使用により分解に対する安定性を付与してもよい。
【0102】
有効成分はまた、例えば、塩若しくは非電解質、酢酸塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(VAPsおよび関連ポリペプチド用)、クエン酸塩(VAPsおよび関連ポリペプチド用)、トリス、リン酸若しくは酢酸緩衝液、マンニトール、グリシン、ヒト血清アルブミン(HSA)またはポリソルベートなどの適切な添加物の使用により、組成物中において安定化させてもよい。
【0103】
本明細書に記載の核酸分子またはポリペプチドは、当該組成物中において唯一の有効成分として存在していてもよいし、または、例えば、治療効果を増強するため若しくは消費者にとって組成物をより魅力的なものにするため、他の成分、特に他の有効成分と組み合わせてもよい。当該他の構成成分は、上述の4つの任意の構成成分の1つまたは他の構成成分であってもよい。
【0104】
本明細書に記載の1つ以上のポリペプチドまたは核酸分子を含む組成物はまた、例えば、自然源からの本発明の当該1つ以上のポリペプチドまたは核酸分子を調整した後に、不純物を含んでいてもよい。本明細書に記載の当該1つ以上のポリペプチドまたは核酸分子を含む組成物において、当該ポリペプチドまたは核酸分子はそれぞれ、医薬組成物の0.0001〜30重量%(w/w)の範囲で存在していてもよい。好ましくは、当該ポリペプチドまたは核酸分子は、0.01〜10%の範囲または後述する範囲で存在する。
【0105】
本発明の別の態様において、本明細書に記載の組成物は、治療に使用されるものである。
【0106】
上述のごとく、本発明のポリペプチドおよび核酸分子は、皮膚の異常、障害または疾患の治療において、皮膚の保湿および/または角質除去により、治療特性を発揮する。
【0107】
治療対象となる好ましい皮膚の異常、疾患または障害は、乾燥皮膚、例えば、過角化症状態において角質層が望ましい厚みより厚い皮膚、または表皮に望ましくない色素沈着、例えば、肝班、年齢や日焼けによる斑点若しくは褐色斑点を有する皮膚である。治療は、例えば、正常だが乾燥した皮膚若しくは肥厚した皮膚(カルス、魚の目または角質増殖性の疣贅など)の治療または肝斑などの色素沈着障害の治療といった、美容のためのもの、あるいは、例えば、痛みをもたらす疣贅、乾癬、湿疹またはざ瘡を治療するための治療的なものであってもよい。
【0108】
本明細書に記載の「障害」とは、例えば、感染または後天的もしくは先天的遺伝子欠陥により生じ得る、正常な生物と比べて症候性または無症候性の生物における根本的な病理学的障害のことを言う。「異常」または「疾患」は、正常で最適な皮膚に対し、皮膚における不整または欠損のことを言うが、これは、病理学的障害の結果として生じたものではない。むしろ、欠損/不整は、年齢、外傷、環境因子、ホルモンレベル、薬剤、外用若しくは内服物質、遺伝子疾患、または不整を生じさせる皮膚機能の異常につながる様々な他の要因によって生じ得る。
【0109】
障害、異常または疾患は、単なる美容上のもの若しくは非美容上の治療を必要とするもの、またはその組み合わせであってもよい。
【0110】
本明細書に記載の如く、「美容上の」とは、疾病若しくは障害を治癒、治療、または予防するものではないが、スキンケア製品としてまたは皮膚の外観、例えば、皮膚の色、質感若しくは水分量を変更若しくは改善する役割を果たす処置のことを意味するものである。
【0111】
本明細書に記載の治療に使用される「非美容上の」(つまり医療用の)成分は、障害、例えば、痛みまたは不快感などの1つ以上の症状を治癒、緩和、治療または予防する役割を果たす。
【0112】
本明細書に記載の治療の基本は、本明細書に開示しているVAPsおよび/またはコリオリシンの皮膚の保湿と角質除去効果である。これらの効果は、本明細書に記載されている実施例に示されている。
【0113】
よって、VAPsおよび/またはコリオリシンの保湿および/または角質除去特性に基づく治療が考えられる。
【0114】
従って、本発明は、動物の皮膚の角質除去および/または保湿をする美容上または非美容上の方法であって、上述のポリペプチド、核酸分子または医薬組成物を当該動物に投与する方法を提供する。
【0115】
よって、上記に鑑みて、本発明は、動物の皮膚の角質除去および/または保湿をする美容上または非美容上の方法であって、ポリペプチド、核酸分子または医薬組成物を当該動物に投与し、当該ポリペプチドは、配列番号1〜8(好ましくは、1〜4)のいずれか1つに記載のアミノ酸配列若しくは少なくとも50%が当該配列と同一である配列、または、当該配列のいずれかの一部を含み;当該核酸分子は、当該ポリペプチドをコードするか、あるいは、その相補的配列(例えば、配列番号9〜16(好ましくは、9〜12)のいずれか1つに記載のヌクレオチド配列若しくは少なくとも50%が当該配列と同一である配列、または、室温で6xSSC/50%ホルムアミドといった非ストリンジェントな結合条件下で当該配列とハイブリッド形成し、ハイストリンジェンシーの条件下、例えば、2xSSC、65℃で洗浄する配列(但し、SSC=0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.2)または前述の配列のいずれかに相補的な配列、または当該配列のいずれかの一部)であり、当該医薬組成物は、1つ以上の当該ポリペプチドまたは核酸分子および1つ以上の医薬上許容される賦形剤および/または希釈剤を含む、方法を提供する。
【0116】
上述され本明細書に記載されているように、配列番号2〜8および10〜16に言及し定義した上述のポリペプチドおよびヌクレオチド配列は、VAPsまたは関連配列であり、配列番号1および9に言及し定義したものは、コリオリシンまたは関連配列である。
【0117】
本明細書に記載の如く、「角質除去」は、上皮表面の表面細胞を除去することを言い、皮膚における表皮の角質層の落屑つまり剥離に等しい。本明細書に記載の「保湿」は、皮膚からの水分の損失を防ぐ保湿剤のみならず、皮膚に適用した場合水分を誘引し保持する保湿剤(湿潤剤)および皮膚軟化剤(不完全な剥離を改善する)が含まれる。
【0118】
言い換えれば、本発明は、動物の皮膚の角質除去および/または保湿に使用する本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子または医薬組成物を提供する。(これを目的として薬剤を調製するために、代わりに前記化合物または組成物を使用してもよい。)
【0119】
上述のように、そのような角質除去および/または保湿特性は、様々な皮膚の異常、障害または疾患を治療または予防する上で有益である。
【0120】
好ましい一態様において、治療または予防対象の皮膚の異常、疾患または障害は、乾燥皮膚である。これは、保湿および/または角質除去により治療し得る。
【0121】
本明細書に記載の「乾燥皮膚」とは、多くの場合、小皺のパターン、落屑、およびそう痒を特徴とする、水分または皮脂が欠乏している表皮のことを言う。乾燥皮膚は、それ自体皮膚疾患として起こることもあり(例えば、年齢、熱/寒さ/乾燥による損傷によって)、また、日焼けによる損傷、湿疹、接触性皮膚炎、乾癬若しくは魚鱗癬(皮膚の顕著な剥離を生じさせる遺伝性疾患)などの皮膚障害若しくは疾患の症状である場合もある。
【0122】
別の好ましい態様において、治療または予防対象の異常、疾患または障害は、皮膚の肥厚した角質層である。これは、保湿および/または角質除去により治療し得る。
【0123】
皮膚のそのように肥厚した角質層は、皮膚の部位または疣贅が繰り返し摩擦されることにより皮膚の肥厚した上層から成る保護パッドであるカルスまたは魚の目といった疾患において生じ得る。かかる方法はまた、その病態に角質化を含むざ瘡を治療または予防するために使用してもよい。皮膚の肥厚した角質層は、それ自体疾患である場合もあり、また、皮膚疾患もしくは障害の症状である場合もある。
【0124】
別の好ましい態様において、治療または予防対象の異常、疾患または障害は、皮膚の色素沈着障害または異常である。これは、角質除去により治療し得る。
【0125】
皮膚の色素沈着障害または異常は、年齢、ホルモンの変化、遺伝要因、疾病、または、日焼けなどによる損傷の結果として生じ得る。変化した色素沈着は、メラノサイトの局所的過多若しくはメラノサイト活性の増加、またはその両方によって生じ得る。色素沈着障害には、肝班、日焼けまたは年齢による斑点(日光黒子)およびそばかすなどの他の染みが含まれる。
【0126】
従って、言い換えれば、本発明は、動物の皮膚の疾患または障害を治療または予防する美容上または非美容上の方法であって、当該皮膚が異常に乾燥しているか、皮膚の角質層が異常に肥厚しているか、または皮膚に色素沈着障害があり、上述のポリペプチド、核酸分子または医薬組成物を当該動物に投与する方法を提供する。当該疾患または障害は、上述したようなものであることが好ましい。
【0127】
本明細書に記載の如く、「異常」は、正常で最適な皮膚、すなわち、健康で潤いがあり、正常に色素を有する老化していない皮膚と比較して判定される。
【0128】
更に別の言い方をすれば、本発明は、皮膚が異常に乾燥しているか、皮膚の角質層が異常に肥厚しているか、または皮膚に色素沈着障害のある、動物の当該皮膚の疾患または障害を治療または予防する美容上または非美容上の方法に使用するための、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子または医薬組成物を提供する。(これを目的として薬剤を調製するために、代わりに前記化合物または組成物を使用してもよい。)
【0129】
好ましい一態様において、医療および/または美容上の使用は、皮膚への局所投与によりなされる。
【0130】
好ましくは、少なくとも部分的に、有効成分の角質除去効果に依存する医療または美容上の適応を目的として、その目的のために使用される医薬組成物は、1つ以上のVAPs(若しくは、本明細書に記載のそれらの関連配列)および/またはコリオリシン(若しくは、本明細書に記載のそれらの関連配列)を含む。
【0131】
好ましくは、少なくとも部分的に、有効成分の保湿効果に依存する医療または美容上の適応を目的として、その目的のために使用される医薬組成物は、1つ以上のVAPs(若しくは、本明細書に記載のそれらの関連配列)を含む。
【0132】
従って、特に好ましい一態様において、1つ以上のVAPs(若しくは、本明細書に記載のそれらの関連配列)および/またはコリオリシン(若しくは、本明細書に記載のそれらの関連配列)を、例えば、カルス、魚の目、疣贅、湿疹、接触性皮膚炎、乾癬、魚鱗癬、ざ瘡および肝斑など、皮膚が異常に乾燥しているか、皮膚の角質層が異常に肥厚しているか、または皮膚に色素沈着欠損があるといった障害の治療に使用してもよい。
【0133】
別の特に好ましい一態様において、1つ以上のVAPs(または本明細書に記載のそれらの関連配列)を、皮膚が異常に乾燥している障害の治療に使用してもよい。
【0134】
本明細書において使用しているように、「治療(treating)」とは、皮膚に当該疾患または障害が発症しておらず、当該治療を受けることのない当該個人の身体の異なる部位、または、当該治療を受けることの無い類似の正常な個人において、存在する症状または影響と比較し、例えば、乾燥または肥厚した皮膚の存在または程度、色素沈着、そう痒または痛みの程度または部位などの当該疾患または障害の1つ以上の症状または影響を、好ましくは正常レベルまで、低下、軽減または除去することを言う。
【0135】
「予防(Preventing)」とは、完全な予防、またはその症状若しくは影響の発症のタイミング(例えば、遅延させる)若しくは程度の低下若しくは軽減のことを言う。例えば、乾燥、肥厚または異常に色素沈着した皮膚を典型とする疾患は、そのような疾患が発現する前に、本発明の組成物を定期的に投与することにより予防し得る場合もある。
【0136】
好ましくは、当該治療は、本発明のポリペプチドの方法を用いて行われる。しかしながら、コード化ポリヌクレオチドの使用も考えられる。
これは、例えば、遺伝子療法、例えば、皮膚において望ましい分子を発現させるためのセンス配列の使用により行われてもよい。
【0137】
本発明に係る治療または予防方法は、障害若しくは疾患の治療若しくは予防および/または保湿若しくは角質除去を行う上で有効な1つ以上の有効成分の投与と有利に組み合わせてもよい。従って、本発明の医薬組成物は、更にかかる有効成分を1つ以上含んでいてもよい。
【0138】
本発明の更に別の態様により、ヒトまたは動物の治療に、好ましくは、本明細書に記載のように、併用、個別使用または逐次使用するための混合製剤として、本明細書に記載の1つ以上のポリペプチドまたは核酸分子および任意に1つ以上の付加有効成分を含む製品を提供する。
【0139】
本発明の組成物は、容易に入手できる成分を使用する当技術分野で周知の技術により、1つ以上の生理学的に許容される担体、賦形剤および/または希釈剤を用いて従来の方法で調製してもよい。
【0140】
従って、錠剤、丸剤、粉末剤、トローチ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤(注射剤または注入液として)、乳濁剤、溶液剤、シロップ、エアロゾル(固体としてまたは液体媒体中)、軟膏剤、軟/硬ゼラチンカプセル剤、坐剤、滅菌注射剤、滅菌包装粉末剤などの従来のガレヌス製剤を生産するため、有効成分は、任意に、混合製剤として他の活性物質と共に、1つ以上の従来の担体、希釈剤および/または賦形剤を用いて取り入れてもよい。生分解性ポリマー(ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリ乳酸またはポリグリコール酸など)も、固体インプラントに使用し得る。この組成物は、凍結乾燥、過冷却またはパーマザイムの使用により安定化してもよい。
【0141】
適した賦形剤、担体または希釈剤としては、ラクトース、ブドウ糖、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシア・ゴム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、乳糖カルシウム、コーンスターチ、アグリネート(aglinates)、トラガント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水シロップ、水、水/エタノール、水/グリコール、水/ポリエチレン、グリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ミネラルオイル若しくは固い脂肪などの脂肪性の物質、または適したそれらの混合物が挙げられる。カルボキシポリメチレン、カルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースまたはポリ酢酸ビニルなどの徐放性製剤を得るための薬剤も使用してもよい。
【0142】
前記組成物は、潤滑剤、湿潤剤、乳化剤、増粘剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、浸透活性剤、懸濁剤、保存剤、甘味剤、香料添加剤、吸着促進剤(例えば、表面浸透剤または経鼻投与を目的とした、例えば、胆汁酸塩、レシチン、界面活性剤、脂肪酸、キレート剤)、褐色化剤、有機溶剤、抗酸化剤、安定化剤、皮膚軟化剤、シリコーン、αヒドロキシ酸、粘滑剤、消泡剤、保湿剤、ビタミン、芳香、イオン性または非イオン性増粘剤、界面活性剤、フィラー、イオン性または非イオン性増粘剤、金属イオン封鎖剤、ポリマー、推進剤、アルカリ性化または酸性化剤、乳白剤、着色剤および脂肪族化合物などを更に含んでいてもよい。
【0143】
本発明の組成物は、当技術分野で周知となっている技術を使用することにより身体に投与した後の有効成分の速放性、徐放性または遅放性を付与するよう調製されてもよい。
【0144】
前記組成物は、例えば、有効成分を吸収、吸着、取り込みまたは結合し得るリポソーム、ニオソーム、ミクロスフェア、ナノ粒子などにおいて、または乳濁剤として、投与を可能にするため、または特定細胞若しくは組織を標的とするため、任意の適切な剤形であってもよい。これにより、生成物を効果的に不溶型に変換することができる。これらの微粒子型は、安定性(例えば、分解)と投与の問題をいずれも克服し得る。
【0145】
これらの粒子は、循環時間を延ばすための適切な表面分子(例えば、血清構成成分、界面活性剤、ポリオキサミン908、PEGなど)または特定の細胞由来の受容体に対するリガンドなどの部位特異的標的のための部分を有していてもよい。薬物投与のためおよびターゲティングのための適切な技術は、当技術分野において周知となっており、WO99/62315に記載されている。
【0146】
溶液剤、懸濁剤、ゲル剤および乳濁剤の使用が好ましく、例えば、その有効成分は、水、気体、水性液剤、油、ゲル剤、乳濁剤、水中油型若しくは油中水型乳濁剤、分散剤またはそれらの混合剤で運搬されてもよい。
【0147】
組成物は、局所投与(つまり、皮膚への)、経口投与、または、例えば、注射剤による非経口投与用であってもよい。
【0148】
しかしながら、局所組成物および局所投与が好ましく、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、噴霧剤、ローション剤、軟膏剤、粘着剤、石鹸剤、粉末剤、フィルム剤、エアロゾル、点滴剤、気泡剤、溶液剤、乳濁剤、懸濁剤、分散剤、例えば、非イオン性小胞分散剤、乳剤および当技術分野における他の任意の従来の医薬品または化粧品形態を含む。
【0149】
軟膏剤、ゲル剤およびクリーム剤は、例えば、適した増粘剤および/またはゲル化剤を添加し、水性または油性基剤を用いて調製してもよい。ローション剤は、水性または油性基剤を用いて調製してもよく、また一般的に、乳化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤または着色剤も1つ以上含む。粉末剤は、任意の適した粉末基剤を用いて形成してもよい。点滴剤および溶液剤は、分散剤、可溶化剤または懸濁剤も1つ以上含む水性または非水性基剤を用いて調製してもよい。エアロゾルスプレーは、便宜上、適した推進剤を用いて加圧パックから投与される。
【0150】
また、前記組成物は、経口または非経口投与に適した形態で提供してもよい。従って、他の医薬品形態には、任意に1つ以上の従来の不活性担体および/または希釈剤、例えば、コーンスターチ、ラクトース、ショ糖、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース若しくは固い脂肪などの脂肪性の物質、またはそれらの適した混合物と共に、活性構成成分を含む素錠またはコーティングされた錠剤、カプセル剤、懸濁剤および溶液剤が含まれる。
【0151】
本発明の組成物における有効成分の濃度は、使用される化合物(つまり、ポリペプチド若しくは核酸分子)の性質、投与様式、治療経過、患者の年齢および体重、医学的適応、治療対象である身体もしくは身体部位によって決まり、選択により変更または調整してもよい。しかしながら、一般に、本明細書に記載の化合物に関する濃度範囲は、0.0001、0.0005、0.001または0.01〜25%、例えば、0.0005〜15%、例えば、0.1若しくは0.5〜5など0.01〜10%、例えば、1〜5%(投与用、特に局所投与用の最終製剤の質量濃度(w/w))である。
【0152】
2つ以上の化合物、例えば、本明細書に記載の3VAPs(または関連分子)が存在する場合、各化合物は、上述の量で存在し得る。当該濃度は、化合物自体の量によって決定されるため、適度に加減し組成物の純度を考慮に入れるべきである。VAPs(および関連分子)の有効な単回投与量は、局所的に投与する場合、治療対象の動物によって、単回投与量として、一日につき0.1〜100mg/cm2、好ましくは、0.1〜10mg/cm2の範囲内であり得る。コリオリシン(および関連分子)に関しては、有効な単回投与量は、一日につき0.1〜100mU/cm2、好ましくは、0.5〜10、例えば、1〜5mU/cm2の範囲であり得る。
【0153】
投与は、例えば、経口、腸内、経皮、頬側、直腸内若しくは局所投与、または、吸入による投与を含む医薬品技術分野において公知となっている任意の適した方法により行われてもよい。好ましい投与形態では、経口的に、また最も好ましくは、局所的に投与される。言うまでもなく、有効成分が消化されやすい場合、経口投与には限界がある。かかる問題を克服するため、上述の如く、成分を安定化させてもよい。
【0154】
言うまでもなく、本発明を実施するための有効成分は、例えば、核酸分子(ベクター内にあってもよい)またはポリペプチドなど、様々な形態をとるため、組成物の形態および投与経路は様々である。しかしながら、好ましくは、液体溶液剤、クリーム剤または懸濁剤が、特に、例えば、経口投与または局所投与に使用される。
【0155】
本発明のポリペプチドまたは核酸分子のいずれかが、上記の医学的適応のために使用されてもよい。後者の遺伝子療法において、核酸分子は、好ましくは、医療用に当技術分野で公知の遺伝子療法を用いる上述のような形質移入/形質転換に適したベクター、例えば、アデノウイルスなどのウイルスベクターに含まれていてもよい。
【0156】
前記組成物を適用または投与する動物としては、哺乳類、爬虫類、鳥類、昆虫類および特に魚類養殖中の魚類(例えば、サケまたはタラ)が挙げられる。好ましくは、本発明の組成物を適用する動物は、哺乳類、特に、霊長類、飼育動物、家畜および実験動物である。従って、好ましい動物としては、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ネコ、イヌ、サル、ブタ、雌ウシ、ヤギ、ヒツジおよびウマが挙げられる。とりわけ好ましくは、本組成物は、人間に適用または投与される。
【0157】
以下の実施例は、単なる例として挙げるものであり、その中で参照する図は以下の通りである:
図1は、精製後のVAPsの等電点電気泳動を示す;
図2は、ヒトの上皮へのタイセイヨウサケVAPsの作用を示し、図2Aおよび図2BはVAPsを投与した皮膚培養物を示し、図2Cは対照皮膚培養物を示す;
図3は、ヒトの上皮へのタイセイヨウサケのコリオリシンLの作用を示し、図3AはコリオリシンLを投与した皮膚培養物を示し、図3Bは対照皮膚培養物を示す。
【実施例1】
【0158】
[VAPsの同定および特性評価]
タンパク質の単離
タイセイヨウサケの孵化液構成成分を分析する過程において、孵化液中に存在する新規タンパク質を同定した。
【0159】
本発明のVAPs(またはその前駆体配列)を単離するための出発物質として使用可能な孵化液(これからゾナーゼ(zonase)を調製してもよい)を部分的に調製する方法は、参照により本明細書に援用するWO99/29836に記載されている(特に、記述されている方法の実施例1、但し、任意に尿素工程はなくてもよい)。
【0160】
従って、以下の方法が単離に使用されている。VAPsは、孵化液(未精製または0.45μmフィルターでろ過)から単離された。次に、前記VAPsを、室温または4℃で4倍の容積のアセトンを添加することにより沈殿させた。20〜30分後、沈降したVAPsを、低速(約5000xg)で遠心分離した後、ペレットとして収集し、適切な緩衝液(例えば、10mMトリスHCl、pH8.0またはPBS)に再懸濁させた。
【0161】
図1は、上述のように精製後のVAPsの二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動を示す。
【0162】
配列解析
新たに同定されたVAPsを、トリプシン処理された斑点のMS分析により特性評価した。MS分析は、MALDI−TOF−TOF(マトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型質量分析。飛行時間x2)であった。
【0163】
最高得点により示されるベストマッチに関して、以下の結果が得られた。
【0164】
【表2】

【表3】

【表4】

【0165】
上記結果から、VAPsの配列は、MS分析によりVAP配列におけるペプチドを同定した後、比較対象とした公知の天然配列の適切な一部を用いて介在配列を挿入することにより生成された。この方法により同定されたVAP配列は、配列番号2〜4に記載されており、それらを比較した天然配列は配列番号5〜8に記載されている。
【実施例2】
【0166】
[生体外におけるVAPsの医療/美容上の適用]
材料および方法
以下の研究は、実施例1に記載の如く調製したタイセイヨウサケVAPsを用いて行われた。
【0167】
分化型ヒト皮膚上皮培養物を、栄養素が下方から上皮組織に届くようにする微細孔を有するプラスチック製の増殖基材への播種後16日目にスキネティクス(SkinEthics;フランス、ニース)から取得した。かかる培養物は、37℃での培養期間、分化後正常な皮膚形態を示す。これらの培養物は、角質上層部が空気に、基底層が増殖基材に暴露されるように、更に2日間生体外で保持した。
並行培養物を30℃の湿潤大気中に移動させ、0.5mg/ml(OD280で測定)のVAPsの存在または不在のもと6時間、中間カルシウム、マグネシウム含有リン酸緩衝食塩水に呈した。培養物は、標準手順に従いホルマリン固定およびパラフィン包埋を行い、ヘマトキシリン/エオシンで染色した。
【0168】
[結果]
A.保湿効果
この結果は、図2A〜図2Cに示されており、図2Aおよび図2BはVAPsを投与した皮膚培養物を示し、図2Cは対照皮膚培養物を示している。これらの図は、VAPsが皮膚の角質層薄膜を分離させることにより、「層間剥離」が生じることを示している。これらの薄膜は、剥離つまり剥脱することはなく、単に互いに分離するだけである。
【0169】
この分離は、角質層に介在する、両親媒性により水分を運搬して皮膚の薄膜を分離させる高電荷両親媒性タンパク質により引き起こされる。よって、水分は経表皮水分喪失(TEWL)を減少させるVAPsにより角質層に運ばれる。
【実施例3】
【0170】
[生体外におけるコリオリシンLの医療/美容上の適用]
材料および方法
以下の研究は、サケの孵化液からYasumasu et al.,1989(上記参照)に記載の如く調製したタイセイヨウサケのコリオリシンLを用いて行われた。
【0171】
ヒトの皮膚上皮培養物を、実施例2に記載した如く調製し、サケ孵化液から得たコリオリシンL0.15mU/mlを30℃で6時間適用した。
【0172】
[結果]
A.角質除去効果
この結果は、図3Aおよび図3Bに示されており、図3AはサケのコリオリシンLを投与した皮膚培養物を示し、図3Bは対照皮膚培養物を示す。この結果は、コリオリシンLが層間剥離および皮膚ラメラの破壊を引き起こすことを示している。
【0173】
角質除去はまた、処理中に皮膚培養物から除去される上皮細胞の量を算定するため皮膚培養液の上澄みを評価することにより解析してもよい。コリオリシンLが1mMのEDTAにより抑制されるため、その効力は容易に抑制でき、皮膚への作用を立証し得る。
【実施例4】
【0174】
[生体内におけるVAPsおよびコリオリシンLの医療/美容上の適用]
美容上の適用
乾燥皮膚および/または角質除去を必要とする皮膚(例えば、カルスまたは魚の目)に悩む個人に、後述のように美容クリーム剤またはプラセボクリーム剤を投与する。処置は、定期的に、例えば、8時間毎に反復する。
【0175】
皮膚に対するクリーム剤の作用を、外観および感触(例えば、そう痒)などの質的効果に基づき解析するか、またはより定量的に、例えば、含水量若しくは厚みに関して解析してもよい。
【0176】
医療上の適用
ざ瘡、湿疹または乾癬などの皮膚の疾患または異常に悩む個人に、後述のように治療用クリーム剤またはプラセボクリーム剤を投与する。治療は、定期的に、例えば、8時間毎に反復する。
【0177】
皮膚に対するクリーム剤の作用を、外観、感触(例えば、痛み)若しくは色などの質的効果に基づき解析するか、またはより定量的に、例えば、残存する異常のサイズや炎症若しくは厚みの程度に関して解析してもよい。
【0178】
【表5】

【表6】

【0179】
[配列]
配列番号1:コリオリシンL - タイセイヨウサケ
MDHRPTLSLL LLLLLLGLSQ ASGNEFHDEP DHVSITSVIL KSNNGTNELL
LDGDILAPRT RNAMKCFSSQ YSCLWKKSSD GLVYVPYILS AVYSSLEVET IETAMKYFQG KTCIRFIPRK TQTAYLDIQS SGGCFGTVGT VGDRQTLSLA
QFGCVQHGII QHELLHALGF YHEHNRSDRE QYIRINWQYI YDYAVGNFQK EDTNNLHTAY DYSSVMHYDR TAYTNDYGKE TITPIPDPSV AIGQRLGMSD IDVLKVNKLY QC
【0180】
配列番号2:VAPI - タイセイヨウサケ
TVTVQCTKDG QFVVVVSRDA TLPNLELDSI SLLGANGAHC TPVGTTSAFA IYQFKVTECG TVVTEEPDTI VYENRMSSSY VVGIGPFGDI TRDSHYDLVF QCRYTGTSVE TLVIEVK
【0181】
配列番号3:VAPII - サケ
AVTVQCTKDG QFVVVVARDA TLPSLELDSI SLLGTNGPHC HAIGTTSVFA
IYQFKVTECG TVMTEETDTI IYENRMSSSY QVGVGPFGSI TRDSQYDLTF
QCRYKGSTIV AVVIDVKPVP PPNPDIAPGP LTVELRLGSG TCLTKGCNEE EVAYTSYYTE ADYPVTKVLR DPVYTEVRIL ARTDPNIVLT LGRCWATTNP NPLSLPQWDL LIDGCPYQDD RYLTTPINVG PSSGLSFPTH YRRFVLKMFT FVDPMSMTPL R
【0182】
配列番号4:VAPIII - サケ
AECRENMVHV EAKHDLLGIG QLIQLEDLTL GDCPMSGFDN INQVLIFESP LQSCGSQLRM TTNSLIYIFT LYYKPKPLAN TPLIRTNDAM INIECHYPRK HNVSSLALIP TWTPFSAAKY AEELLYFSMR LMTADWQYER AGNMYVLGDM VNIEASVMQY FHVPLRIFVD SCVATLEPNI NANPRYAFIE NHGCLIDAKM TGSHSQFMPR SADYKLYFQV EAFR
【0183】
配列番号5:全長zr−タンパク質 - タイセイヨウサケ
MKWSAVCLVA VATLGWLCDA QNFLEKPGWP PIQTPPSWPP QTPQRPVQPL PQRPAQPFLQ KPAQPIPQRI PYTEDDTKQT CEVVDKDKVS CGLSGITAAQ CQAISCCFDG RMCFYGKTVT VQCTKDGQFV VVVSRDATLP NLELDSISLL GANGAHCTPV GTTSAFAIYQ FKVTECGTVV TEEPDTIVYE NRMSSSYVVG IGPFGDITRD SHYDLVFQCR YTGTSVETLV IEVKTYPNPN PVVTVDAVLN VELRLANGRC LSKGCDEMQE AYTSYYTVAD YPVTKVLRDP VYAEVRILGM TDPNVVLTLE QCWATIDPTG DRLPRWDLLV NGCPYQDDRY LTVPIASDSS YIPPGEFLSH YKRFVFKMFT FVDPTSMVPL QENVYIHCRA TVCHALAGSC EQRCNRQRRD LSAQGQKKTK GDVVVSSQKV IMIDPSLYA
【0184】
配列番号6:全長コリオジェニンH - タイヘイヨウサケ
MKWSAVCLVA VATLGWLCDA QIYLEKPGWP PIQTPASWPA QPPEKPVQPP QRPAQPPQWP AQPPQWPAQP PQRPAQPPQR PAQTQQWPGQ PPQRPAQPPQ WPAQPPQRPA QPPQRPAQPP QRPAQPPPRP AQPPQWPVHP PQWPVQPGTP LQRPKFPSDP GSKQSCDVDS QHKVQCGLPD ITAAHCDAIN CCFDGRMCFY GKAVTVQCTK DGQFVVVVAR DATLPSLELD SISLLGTNGP HCHAIGTTSV FAIYQFKVTE CGTVMTEETD TIIYENRMSS SYQVGVGPFG SITRDSQYDLTFQCRYKGST IVAVVIDVKP VPPPNPDIAP GPLTVELRLG SGTCLTKGCN EEEVAYTSYY TEADYPVTKV LRDPVYTEVR ILARTDPNIV LTLGRCWATT NPNPLSLPQW DLLIDGCPYQ DDRYLTTPIN VGPSSGLSFP THYRRFVLKM FTFVDPMSMT PLRETVFIHC NTAVCLPSHG DSCEPRCYRK RRDIPAAVQK TTRIKSNLVS SGELILTDPR ELTN
【0185】
配列番号7:全長コリオジェニンL - タイヘイヨウサケ
MAMKWSVVCL VAVAMLGCLC VAQIWPPSIK PVQQPFRPNR PPPQQPQQPP YQKPRIPPKD QTQAKQKFET PLDWTYPLDP KPEPKIIGGS EARTPVAANS VRAECRENMV HVEAKHDLLG IGQLIQLEDL TLGDCPMSGF DNINQVLIFE SPLQSCGSQL RMTTNSLIYI FTLYYKPKPL ANTPLIRTND AMINIECHYP RKHNVSSLAL IPTWTPFSAA KYAEELLYFS MRLMTADWQY ERAGNMYVLG DMVNIEASVM QYFHVPLRIF VDSCVATLEP NINANPRYAF IENHGCLIDA KMTGSHSQFM PRSADYKLYF QVEAFRFQSQ RGSDPIIPQK TKIPFQPAAD YPATLDMIFL TCHLKATTIA FPIDFEYKAC SFINTWREAG GNDGVCGCCD STCSNRKGRD TTTHQKPANI WEGDVQLGPI FISEKVEQ
【0186】
配列番号8:代替zr−タンパク質 - タイセイヨウサケ
KWSYQLPQKL AQPLPQKPAQ PLPQWPVQPL PQRPAEPLPQ RPAQPLPQWP VQPLPQRPAE PLPQRPAQPL PQRPVQPLPQ RPAQPFLQKP AQPIPQRIPY TKDDTKQTCE VVDKDKVSCG LSGITAAQCQ AISCCFDGRM CFYGKTVTFQ CTKDGQFVVV VSRDATLPNL ELDSISLLGA NGAHCTPVGT TSAFAIYQFK VTECGTVVTE EPDTIVYENR MSSSYVVGIG PFGDITRDSH YDLVFQCRYT GTSVETLVIE VKTYPNPNPV VTVDAVLNVE LRLANGRCLS KGCDEMQEAY TSYYTVADYP VTKVLRDPVY AEVRILGMTD PNVVLTLEQC WATTDPTGDR LPRWDLLVNG CPYQDDRYLT VPIASDSSYI PPGEFLSHYK RFVFKMFTFV DPTSMVPLQE NVYIHCRATV CHALAGSCEQ RCNRQRRDLS AQGQKKTKGD VVVSSQKVIM IDPSLYA
【0187】
配列番号9:ヌクレオチド配列、コリオリシンL、タイセイヨウサケ
atggaccacagacccactcttagcctgcttctgctgctgctgctgctgggcctatcacaggccagtggaaatgagttccatgatgagccggaccatgtgtccatcacttcagtaatcctgaagtccaacaacggaaccaatgagctactgctggatggagacattctagctcctagaaccaggaacgccatgaagtgctttagcagccagtacagctgtctctggaagaagtcatctgacggcttggtgtacgtgccttacatcctcagcgctgtatattccagcttggaggtagagactattgagacggccatgaagtacttccaaggcaagacctgcatccgcttcattccacgtaagacacagactgcctacctggacattcagagcagcggcgggtgttttggtaccgtggggactgttggggacaggcagacattgtctcttgcacagtttggctgtgttcaacatggtatcatccagcatgagctgcttcacgccctgggcttctaccacgagcacaacaggagtgaccgtgaacagtatatcaggatcaactggcaatacatctatgactacgccgttgggaacttccagaaggaggacaccaacaacctgcacactgcatacgactactcctctgtcatgcactatgatagaaccgcttacactaacgactacggaaaggaaaccatcactcccatcccagacccatctgtggccattggacagagactgggcatgtccgacattgatgtcctgaaggtcaacaagctctaccaatgctaagaggaagagcgccattgttgaaaatgtgtgatgctggatgtgctgtcatgtgctgatgtattttattgttggaagtttgtatgtatccttttaatcacattggtaataataaagcatggttatggtaaaaaaaaa
【0188】
配列番号10:配列番号2をコードするヌクレオチド配列、VAPI
acagtgactgtccagtgtaccaaggatggccagtttgtggtggtggtttccagggatgccactctgcccaaccttgagctagattccatcagcctgctaggggcaaacggagcccactgcacccctgtcggcaccacatctgcctttgccatctaccagttcaaagttactgaatgtggaactgtggtgacggaggaacctgatactattgtctatgagaacaggatgtcctcttcatatgtagtggggattggacccttcggcgacattaccagggacagccactatgacctggtcttccagtgtcggtatactgggacttccgttgagacattggttatcgaggtgaaa
【0189】
配列番号11:配列番号3をコードするヌクレオチド配列、VAPII
gcagtgactgttcagtgtaccaaggatggccagtttgtggtggtggtggccagggatgccactctgcccagcctggaactggactccatcagcctgctggggacaaacggaccccactgccatgctattggcacaacttctgtctttgccatctaccagtttaaagtcactgaatgtggaactgtcatgacggaggaaactgatactattatctatgagaataggatgtcctcttcatatcaagtgggggttggcccctttggctccatcaccagggacagccaatatgatctaacattccagtgcagatataagggcagtaccattgtggctgtggttattgatgtgaagccggttcctcctccaaatcctgatatagctcctggacccctcacagttgagctcagactcggcagcggaacatgccttaccaagggatgtaatgaagaggaagtggcctacacctcttactacacagaggcagactaccctgtcaccaaggtcctcagggatcctgtgtacactgaggttcgcatcctggcgaggacagatcccaacattgtgctgaccctgggtcgctgctgggctaccacaaacccaaaccctctcagcctgccccagtgggaccttctcattgatggatgtccttaccaggatgaccgttacctgaccactcccatcaatgtgggaccctcttcgggtctgtccttcccaacccactacaggcgcttcgtccttaagatgttcacctttgtggatccaatgtctatgacccccctgagg
【0190】
配列番号12:配列番号4をコードするヌクレオチド配列、VAPIII
gctgagtgcagggagaacatggtccacgtggaagcgaagcatgacctgctggggatcggccagttgatccagctagaagacctcactttgggagactgccctatgtctggattcgacaatatcaaccaggtgctcatctttgagtctccgctgcagtcatgtggcagccagctaaggatgactaccaactccctcatctacatcttcactctatattacaaacccaaacctctggcaaacacccccctcatcaggacaaatgacgcgatgatcaatattgagtgccactatccaaggaaacacaatgtgagcagcctggccctgatcccaacctggacccctttctccgctgctaagtatgcagaggaactcctgtacttctccatgaggctcatgactgctgactggcagtatgagagggccggtaacatgtacgtgttgggtgatatggtgaacatcgaggcctctgtcatgcagtacttccacgttcccctgcgtatctttgtggacagctgtgtggccaccctggaacccaacataaacgccaatcccagatatgccttcattgagaatcatgggtgtctgatcgatgccaaaatgacaggttcccactcccagttcatgcctcgttccgcagactacaagctgtatttccaggtggaggctttcagg
【0191】
配列番号13:配列番号5をコードする全長ヌクレオチド配列、zr-タンパク質 タイセイヨウサケ
atgaagtggagtgcagtttgtctagtggcagtggccacgcttggctggctgtgtgatgctcagaatttcttggaaaaaccagggtggccacccatccagacaccaccgtcatggcctccccaaacccctcagaggcctgtccaaccccttcctcagagacctgctcaaccctttcttcagaagcctgcccaacccatacctcaacggataccctacaccgaagacgacacaaaacagacctgtgaggttgtggacaaggacaaggtgtcgtgtggactttctggcatcactgctgcccaatgccaggccatcagctgctgttttgatggacggatgtgcttctacgggaaaacagtgactgtccagtgtaccaaggatggccagtttgtggtggtggtttccagggatgccactctgcccaaccttgagctagattccatcagcctgctaggggcaaacggagcccactgcacccctgtcggcaccacatctgcctttgccatctaccagttcaaagttactgaatgtggaactgtggtgacggaggaacctgatactattgtctatgagaacaggatgtcctcttcatatgtagtggggattggacccttcggcgacattaccagggacagccactatgacctggtcttccagtgtcggtatactgggacttccgttgagacattggttatcgaggtgaaaacgtatccaaaccccaacccagtggtcactgttgatgcagttctcaacgtggagctccgactggccaatggacgttgtctctccaagggatgtgatgaaatgcaagaagcatacacctcttactacacggtggcagactaccctgtcaccaaggtcctcagggatcccgtgtacgctgaggttcgcatcctggggatgacagatcccaatgttgtcctgacactggagcagtgctgggccaccatagaccccacaggtgataggctgccccggtgggacctactagttaatgggtgtccctaccaggatgaccgttacctgaccgtgcccatcgcctcggacagctcctatatccctccgggagaattcttatcccactacaagcgcttcgtcttcaagatgttcacctttgtggatccgacatctatggtccccctgcaggagaacgtgtacatccactgtcgtgcaacagtgtgccacgctctagcaggatcctgtgaacaaaggtgcaacaggcaaaggagagatctttctgctcaaggccaaaagaagactaaaggagatgttgtggtttccagtcaaaaagtcatcatgattgacccaagtctttatgcttaa
【0192】
配列番号14:配列番号6をコードする全長ヌクレオチド配列、コリオジェニンH - タイヘイヨウサケ
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【0193】
配列番号15:配列番号7をコードする全長ヌクレオチド配列、コリオジェニンL - タイヘイヨウサケ
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【0194】
配列番号16:配列番号8をコードする全長ヌクレオチド配列、代替zr−タンパク質 タイセイヨウサケ
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【配列フリーテキスト】
【0195】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬または美容組成物であって、
(i)配列番号1に記載のアミノ酸配列若しくは少なくとも50%が前記配列と同一である配列、または前記配列のいずれかの一部を含むポリペプチド;
(ii)配列番号2に記載のアミノ酸配列若しくは少なくとも50%が前記配列と同一である配列、または前記配列のいずれかの一部を含むポリペプチド;
(iii)配列番号3に記載のアミノ酸配列若しくは少なくとも50%が前記配列と同一である配列、または前記配列のいずれかの一部を含むポリペプチド;
(iv)配列番号4に記載のアミノ酸配列若しくは少なくとも50%が前記配列と同一である配列、または前記配列のいずれかの一部を含むポリペプチド;および/または
(v)上記(i)〜(iv)のいずれかに記載のポリペプチドをコードする1つ以上の核酸分子、またはその相補的配列、
および1つ以上の医薬上または美容上許容される賦形剤および/または希釈剤
を含む医薬または美容組成物。
【請求項2】
(v)の前記核酸分子が、配列番号9〜12のいずれか1つに記載のヌクレオチド配列若しくは少なくとも50%が前記配列と同一である配列、または、室温で6xSSC/50%ホルムアミドといった非ストリンジェントな結合条件下で前記配列とハイブリッド形成し、ハイストリンジェンシーの条件下で洗浄する配列、または前述の配列のいずれかに相補的な配列、または前記配列のいずれかの一部を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、前記ポリペプチドおよび/またはそのコード化配列(好ましくは(ii)〜(iv)のそれぞれに記載のポリペプチド)の2つ以上を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
(ii)〜(iv)に記載の前記ポリペプチドのそれぞれが、存在する場合:
(a)配列番号2〜4のいずれか1つに記載のアミノ酸配列若しくは少なくとも50%が前記配列と同一である配列、または、前記配列のいずれかの一部;および、任意に、
(b)長さ1〜100のアミノ酸である、(i)におけるアミノ酸配列のNおよび/またはC末端におけるフランキングアミノ酸配列から成り、
かつ、(ii)〜(iv)に記載のポリペプチドをコードする前記核酸配列のそれぞれが、前記ポリペプチドのみをコードするヌクレオチド配列またはその相補的配列から成る、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
治療に使用する、請求項1〜4のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項6】
動物の皮膚の角質除去および/または保湿をする美容上または非美容上の方法であって、請求項1〜5のいずれか1つに記載のポリペプチド、核酸分子または医薬組成物を前記動物に投与する、方法。
【請求項7】
動物の皮膚の角質除去および/または保湿に使用するための請求項1〜5のいずれか1つに記載のポリペプチド、核酸分子または医薬組成物。
【請求項8】
動物の皮膚の疾患または障害を治療または予防する美容上または非美容上の方法であって、前記皮膚が異常に乾燥しているか、皮膚の角質層が異常に肥厚しているか、または皮膚に色素沈着障害があり、請求項1〜5のいずれか1つに記載のポリペプチド、核酸分子または医薬組成物を前記動物に投与する、方法。
【請求項9】
皮膚が異常に乾燥しているか、皮膚の角質層が異常に肥厚しているか、または皮膚に色素沈着障害のある動物の皮膚の疾患または障害を治療または予防する美容上または非美容上の方法に使用するための請求項1〜5のいずれか1つに記載のポリペプチド、核酸分子または医薬組成物。
【請求項10】
治療または予防対象の皮膚の疾患または障害が、湿疹、接触性皮膚炎、乾癬、魚鱗癬またはざ瘡である、請求項8または9に記載の方法、ポリペプチド、核酸分子または医薬組成物。
【請求項11】
治療または予防対象の皮膚の疾患または障害が、カルス、魚の目、疣贅または肝斑である、請求項8または9に記載の方法、ポリペプチド、核酸分子または医薬組成物。
【請求項12】
ポリペプチドであって、
(i)配列番号2〜4のいずれか1つに記載のアミノ酸配列若しくは少なくとも50%が前記配列と同一である配列、または前記配列のいずれかの一部:および、任意に、
(ii)長さ1〜100のアミノ酸である、(i)におけるアミノ酸配列のNおよび/またはC末端におけるフランキングアミノ酸配列
から成る、ポリペプチド。
【請求項13】
請求項12に記載のポリペプチドのみをコードするヌクレオチド配列またはその相補的配列からなる核酸分子。
【請求項14】
核酸分子であって、
(i)配列番号10〜12のいずれか1つに記載のヌクレオチド配列、少なくとも50%が前記配列と同一である配列、または室温で6xSSC/50%ホルムアミドといった非ストリンジェントな結合条件下で前記配列とハイブリッド形成し、ハイストリンジェンシーの条件下で洗浄する配列、または前述の配列のいずれかに相補的な配列、またはその一部;および、任意に、
(ii)長さ1〜300のヌクレオチドである、(i)におけるヌクレオチド配列の前記5’若しくは3’末端のフランキングヌクレオチド配列、
またはその相補的配列から成る、核酸分子。
【請求項15】
請求項13または14に記載した核酸分子を含む、ベクター、好ましくは、発現ベクター。
【請求項16】
請求項13または14に記載のヌクレオチド配列をベクター核酸に挿入することを含む、請求項15に記載の組換え核酸分子の調製方法。
【請求項17】
請求項12に記載のポリペプチドの調製方法であって、
請求項13または14に記載の核酸分子を含む宿主細胞を、前記ポリペプチドを発現させる条件下で培養することと、このようにして産生された前記分子を回収することとを含む調製方法。
【請求項18】
請求項17の方法により調製されたポリペプチド。
【請求項19】
請求項12に記載のポリペプチドを含む細胞であって、前記細胞がコード化核酸物質の発現によりネイティブ細胞に対して修飾が為されている、細胞。
【請求項20】
請求項12に記載の1つ以上のポリペプチドを孵化液から単離する方法であって、少なくとも:
a)最小量の水に卵を懸濁させる工程;
b)前記卵の同期化させた急速孵化を誘発する工程;
c)孵化した卵を濾過し、孵化液を得る工程;
d)最終濃度80容量%(v/v)まで前記孵化液にアセトンを添加する工程;および
e)前記液を低速遠心分離する工程(その際、このように形成されたペレット中に前記VAPが存在する);および、任意に、
f)工程e)の前記ペレット中に存在するポリペプチドを分離し、個々のポリペプチドを単離する工程を含む、方法。
【請求項21】
請求項20の方法により調製されたVAP。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2013−511971(P2013−511971A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540460(P2012−540460)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068509
【国際公開番号】WO2011/064384
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(512139777)アクア バイオ テクノロジー エーエスエー (1)
【Fターム(参考)】