説明

安定化された過酸化物組成物

【課題】口腔用組成物における過酸化物水溶液の貯蔵安定性の改善及び患部組織と一過的にしか接触しないことの改善。
【解決手段】口腔用組成物への少なくとも2種の水溶性ガムの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この一部継続出願は、本明細書に十分に示されているように、その全体が本明細書に組み入れられる、2004年3月3日に提出された米国特許出願第10/792,370号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、安定化された口腔用組成物、そしてより特別には、過酸化化合物を含んでなるこうした組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
過酸化水素は、よく知られた消毒薬であり、ヒト及び家畜局所療法の両方において、感染プロセスの治療のため、水溶液で広く用いられてきた。この物質は、適切に希釈した後に、その本来の形で使用することが可能であり、または過酸化水素と塩または付加化合物を形成する固体化合物から誘導することが可能である。これらに含まれるのは、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、過リン酸ナトリウム、過酸化尿素、過硫酸カリウムなどである。水に加えられた場合、これらの化合物は過酸化水素と対応する運搬塩に加水分解する。
【0004】
過酸化水素は、体のすべての部分に広く用いられているが、口腔の粘膜を治療するために特に有用であると判明している。一部には、酸素組織代謝的および修復的要求性の結果として(明瞭には理解されていない機構による)、一部には、グラム陽性及びグラム陰性球菌、桿菌及びスピロヘータ形、ならびに酵母及び真菌の多くの変種に対するその広い抗菌効果の結果として、そして一部にはその清浄及び止血性効果のため、過酸化水素は、細菌及びウイルス感染に、及び非微生物起源の組織炎症に広範に推奨されそして使用されている。
【0005】
しかしながら、一般に使用されている過酸化物水溶液の主な限界は、室温での過酸化水素のガス状酸素及び水への分解により引き起こされるその乏しい貯蔵安定性、及び活性酸素化剤が患部組織と一過的にしか接触しないことである。加えて、こうした組成物が過酸化水素との付加化合物で形成されている場合、付加組成物を所望の組成物内に取り込ませる前にそれを調製するのが普通である。
【発明の開示】
【0006】
この限界に対処しようと、本発明の発明者は、過酸化物成分に加えて少なくとも2種の水溶性ガムを取り込んでいる口腔用組成物が、改善された過酸化物安定性を有していることを発見した。
【0007】
従って、本発明の一つの側面は、改善された口腔用組成物を提供することである。
【0008】
本発明の別の側面は、改善された過酸化物安定性を提供している口腔用組成物を提供することである。
【0009】
本発明のさらに一つの他の側面は、少なくとも2種の水溶性ガム及び改善された過酸化物安定性を有している過酸化化合物を含んでなる、口腔用組成物を提供することである。
【0010】
本発明のさらにまた一つの他の側面は、改善された口腔歯ホワイトニング(whitening)組成物、特にフィルムを提供することである。
【0011】
本発明のこれら及び他の目的及び特色は、以下のそれらの記述から明らかになるであろう。
【0012】
本発明は、少なくとも2種の水溶性ガムと過酸化化合物を含んでなる口腔用組成物又は固体口腔用組成物に関し、その組成物は、乾燥したとき、約10%未満の水アルコール成分を含有する。組成物中の、活性な酸素発生過酸化物成分は口腔用組成物中で安定化されている。
【発明の詳細な説明】
【0013】
本発明の口腔用組成物は、必須の要素、追加の又は任意の成分、又は本明細書に記載した限定を含んでなり、又はそれらから成り、又はそれらから本質的に成り得る。
【0014】
すべてのパーセンテージ、部及び比は、明記しない限り、乾燥前の本発明の口腔用組成物の総重量に基づいている。リストされた成分に関するすべてのこうした重量は、活性レベルに基づいており、そしてそれ故、明記しない限り、商業的に入手可能な材料に含まれているであろう坦体又は副生成物を含んでいない。
【0015】
本明細書において使用する、用語「安全な及び有効な量」とは、独立して本明細書に開示されている利点、例えば、歯ホワイトニング、抗菌及び/又は鎮痛性利点のような正の利点を有意に誘導するためには十分であるが、しかし重大な副作用を避けるためには十分に低い、即ち、当業者の健全な判断の範囲内において、合理的な対危険便益比を提供する、局所的又は全身的活性剤のような、化合物又は組成物の量を意味する。
【0016】
本明細書において使用する、用語「接着剤」とは、局所適用又は投与の部位へ固着できるいずれかの材料又は組成物を意味し、限定されるわけではないが、粘膜付着、感圧接着(圧力の適用により接着する)、給湿(moistenable)接着(水の存在下で接着)及び粘着型接着(表面との接触直後に接着)が含まれる。
【0017】
本明細書において使用する、用語「外来物質」とは、ほこり、感染性微生物などを意味する。
【0018】
場合により、本発明のフィルム組成物は透明である。本明細書において定義する、用語「透明」とは、裸眼で観察して、透明から半透明の範囲である。
【0019】
必須の及び任意の成分を含む、本発明のフィルム組成物は、以下に詳細に記載されている。
【0020】
必須成分
水溶性ガム
本発明の組成物は、好ましくは、水溶性の合成又は天然ガムを含む。本明細書での使用に適したガムには、限定されるわけではないが、アルギン、アルギン酸、アルギン酸塩、カミチン、カラジーナン、カラヤガム、デキストリン(デンプンガム)、グァーガム、ジェランガム、アイルランドゴケ、ビーガム(レギュラー)、タラガム、オクラガム、アラビアガム、アカシアガム、アミロペクチン、ペクチナ(pectina)又はペクチン、ガティガム、納豆ガム、トラガカントガム、キサンタンガム、スクレロチウムガム、ケルプ、ローカストビーンガム、オオバコ種子、タマリンドガム、デストリアガム、キトサン、それらのエステル(ヒドロキシプロピルキトサン及びヒドロキシプロピルグァーのような)、それらの塩(アルギン酸アンモニウム、アミロペペクチン、アルギン酸カルシウム、カラジーナンカルシウム、グァーヒドロキシプロピルトリモニウムのような)、及びそれらの混合物が含まれる。追加のガムまたは塩、又はそれらの誘導体は、その全体が本明細書において援用される、Beck et al. による米国特許第6,551,604号に見ることができる。
【0021】
特定の態様において、水溶性ガムは、キサンタンガム(CP Kelco, Chicago, IL により供給されている)、ローカストビーンガム(Degussa Texturant System, Atlanta, GA により供給されている)、カラジーナン(FMC Biopolymer, Philadelphia, PA により供給されている)又はそれらの混合物を含むことが可能である。
【0022】
本発明の口腔用組成物内へ取り込まれた場合、水溶性ガムは、湿潤フィルム組成物の重量で、約0.01%〜約10%、場合により約0.1%〜約5%、場合により約0.1%〜約1%、そして場合により、約0.1%〜約2%の濃度で存在している。
【0023】
過酸化化合物
本発明の組成物内にまた取り込まれているのは、過酸化化合物である。適した過酸化化合物には、限定されるわけではないが、過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化尿素、過酸化カルバミド、及びそれらの混合物が含まれる。特定の態様において、過酸化物は過酸化水素である。
【0024】
過酸化物材料の有効性は、場合により、触媒の手段により増強することが可能である、即ち、二成分、過酸化物−触媒システム。有用な過酸化物触媒又は触媒剤は、その全体が本明細書において援用される、McLaughlin, Gerald らによる米国特許第6,440,396号に見ることができる。
【0025】
本発明の口腔用組成物内へ取り込まれた場合、過酸化物は、湿潤フィルム組成物の重量で、約0.1%〜約20%、場合により約0.5%〜約15%、場合により約1%〜約12%、そして場合により、約5%〜約10%の濃度で存在している。
【0026】
特定の態様において、水溶性ガム:過酸化物成分の比は、少なくとも約1:25、場合により約1:25〜約1:5、場合により約1:20〜約1:7、そして場合により約1:16〜約1:10である。
【0027】
水アルコール成分
本発明の固体口腔用組成物は、乾燥したとき、実質的に水アルコール成分を含んでいない。本明細書において使用する用語「水アルコール」とは、水又はアルコール又はそれらの混合物を意味する。本発明の特定の態様において、本発明の組成物は、10%未満(又は約10%)、場合により、6%未満(又は約6%)、又は場合により、3%未満(又は約3%)の水アルコール成分を含む。
【0028】
任意の成分
多様な他の活性剤、特に口腔ケア活性剤もまた、本発明の口腔用組成物内に取り込むことが可能である。これらの活性剤が取り組むことができる状態の例には、それらの一つまたはそれ以上に限定されるわけではないが、歯の外観及び構造的変化、ホワイトニング、染色漂白、染色除去、プラーク除去、歯石除去、虫歯の穴予防及び治療、炎症性及び/又は出血歯肉、粘膜創傷、病変、潰瘍、アフタ性潰瘍、口唇ヘルペス、歯膿瘍、歯及び/又は歯肉疼痛、歯過敏(例えば、温度変化に対する)、歯加強、及び上記の状態及び微生物増殖のような他の原因により生じる口臭の除去が含まれる。加えて、本発明のフィルムは、唇及び一般的な皮膚の創傷、病変、潰瘍、口唇ヘルペス、などを治療する及び/又は予防するために有用である。
【0029】
口腔内及び周辺での使用に適した局所的活性剤には、口腔での使用に安全だと一般に考えられている、そして口腔の全体としての健康に変化を提供する、いずれかの物質が含まれる。本発明における局所的口腔ケア活性剤のレベルは、一般に湿潤フィルムの重量で、約0.01%〜約40%、又は、場合により、約0.1%〜20%であることができる。
【0030】
本発明の局所的口腔ケア活性剤は、当該技術分野で以前に開示されている多くの活性剤を含むことができる。以下は、本発明に使用することができる、口腔ケア活性剤の非全包括的リストである。
【0031】
精油を、本発明のフィルムに含ませる、又は付随させることができる。本明細書での使用に適した精油は、前にその全体が本明細書において援用された、Leung et al. による米国特許第6,596,298号に詳細に記載されている。
【0032】
追加の歯ホワイトニング活性剤を、本発明の口腔用組成物中に含ませることができる。ホワイトニングに適した追加の活性剤は、金属亜塩素酸塩、過葉酸塩、過炭酸塩、ペルオキソ酸及びそれらの混合物から成る群より選択される。適した金属亜塩素酸塩には、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム及び亜塩素酸カリウムが含まれる。次亜塩素酸塩及び二酸化塩素もまた、本発明の組成物内へ取り込ませることができる。好ましい亜塩素酸塩は亜塩素酸ナトリウムである。
【0033】
本明細書において有用な抗歯石剤にはリン酸が含まれる。リン酸には、ピロリン酸、ポリリン酸、ポリホスホン酸及びそれらの混合物が含まれる。ピロリン酸はなかでも、歯科ケア製品での使用において、最もよく知られている。ピロリン酸塩に由来するピロリン酸イオンは、歯へ送逹される。本発明に有用なピロリン酸塩には、二アルカリ金属ピロリン酸塩、四アルカリ金属ピロリン酸塩及びそれらの混合物が含まれる。水和されていないピロリン酸二水素二ナトリウム(Na)、ピロリン酸四ナトリウム(Na)及びピロリン酸四カリウム(K)、ならびに水和物形が好ましい。抗結石リン酸には、カリウム及びナトリウムピロリン酸塩;トリポリリン酸ナトリウム;エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホネート、1−アザシクロヘプタン−1,1−ジホスホネート及び直鎖アルキルジホスホネートのようなジホスホネート;直鎖カルボン酸及びクエン酸ナトリウム及び亜鉛、が含まれる。
【0034】
ピロリン酸塩の代わりに、又は組み合わせて使用することができる剤には、ポリアクリレートを含む合成アニオン性ポリマー、及び無水マレイン酸またはマレイン酸とメチルビニルエーテルのコポリマー(例えば、Gantrez により記載されている、例えば、その全体が本明細書において援用される、Gaffar et alによる米国特許第4,627,977号)、ならびに例えば、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物、ポリリン酸(例えば、トリポリリン酸;ヘキサメタリン酸)、ジホスホネート(例えば、EHDP、AMP)、ポリペプチド(ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸)、及びそれらの混合物が含まれる。
【0035】
一つまたはそれより多くのフッ素イオン源が、齲歯予防薬として、フィルム組成物内に取り込まれている。フッ素イオンは、この目的のために多くの口腔ケア組成物に含まれており、同様に、同じ様式で本発明においても取り込むことができる。こうしたフッ素イオン源の詳細な例は、その全体が本明細書において援用される、Nair et al. による米国特許第6,121,315号に見ることができる。
【0036】
抗菌剤もまた、口腔剤又は局所的皮膚及び/又は全身的活性剤として、本発明のフィルム組成物に存在することが可能である。こうした剤には、限定されるわけではないが、通常トリクロサンと称されている、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−フェノール、クロルヘキシジン、アレキシジン、ヘキセチジン、サンギナリン、塩化ベンザルコニウム、サリチルアミド、臭化ドミフェン、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化テトラデシルピリジニウム(TPC);塩化N−テトラデシル−4−エチルピリジニウム(TDEPC);オクテニジン;デルモピノール、オクタピノール及び他のピペリジノ誘導体、ナイアシン調製物;亜鉛/第一スズイオン剤;及び上記の抗菌剤の類似体、誘導体及び塩、及びそれらの混合物が含まれる。
【0037】
麻酔剤もまた、本明細書において取り込むことができる。適した麻酔剤の例には、限定されるわけではないが、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェナミン、ブピバカイン、ブタカイン、塩酸ジブカイン、ジクロニン、リドカイン、メピバカイン、プロカイン、プロパニジド、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プロポフォール、塩酸プロポキシカイン、プソイドコカイン、塩酸テトラカイン及びそれらの混合物が含まれる。
【0038】
追加の有用な活性剤を、その全体が本明細書において援用される、米国特許第6,638,528号に見ることができる。
【0039】
追加の坦体材料もまた、口腔ケアフィルム組成物へ加えることができる。これらの材料は一般に湿潤剤であり、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコールなどが含まれる。口腔ヘルスケアフィルムは、活性物質それ自身と一緒に、一つまたはそれより多くの活性物質増強剤(例えば、触媒)、及び/又は活性物質の放出及び/又は活性を修飾するためのポテンシエーター(potentiator)を含んでなることができる。
【0040】
本発明のフィルム組成物は、場合により、例えば、フィルムの表面上に沈着する、又はフィルムの原体内へ含浸させることができる、芳香剤、着色剤その他のような追加の物質を含んでなることができる。
【0041】
例えば、追加の物質又は活性剤を含有するゲルを、層としてフィルム層の表面に直接沈着させることができる。もしくは、追加の物質又は活性剤を、上記のフィルム層内へ吸収させる、又はフィルム材料の原体内へ含浸させる、又は多層状フィルムの層間に沈着させることができる。
【0042】
pH調節剤もまた、ゲルの貯蔵安定性を最適にするため、及び口腔組織にとって物質を安全にするために加えることができる。これらのpH調節剤又は緩衝液は、口腔ケア物質のpHを調節するために適している、いずれかの材料であることが可能である。適した材料には、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、スズ酸ナトリウム、トリエタノールアミン 、クエン酸、塩酸、クエン酸ナトリウム及びそれらの組み合わせが含まれる。pH調節剤は、物質又は組成物のpHを適した値、例えば、約4.5〜約11、好ましくは約5.5〜約8.5、より好ましくは約6〜約7、に調節するために十分な量で加える。pH調節剤は、一般に、口腔ケア物質の重量で、約0.01%〜約15%、そして好ましくは約0.05%〜約5%の量で存在する。
【0043】
上述の活性物質又は追加の活性剤を、フィルム材料の表面上に沈着させる方法は既知である、例えば、印刷(printing)、例えば、シルクスクリーン印刷、含浸させたローラー間の通過、薬液注入(dosing)、ポンプ及びノズル、吹き付け、浸し塗りその他。物質をフィルム材料の原体内へ含浸させる方法も知られており、例えば、物質を細片(strip)材料と混合し、次ぎに細片を形成するか、又は細片内へ物質が含浸される条件下で、細片を物質に暴露する。もしくは、フィルム材料の一つの例は、気泡材料、特に連続気泡材料であることができ、物質を気泡のセル内へ導入することにより、細片材料内へ物質を含浸させることができる。
【0044】
本発明の装置は、適切なアラインメントで装置を歯に適用する際において使用者を助けるため、一つまたはそれより多くの視覚可能なシンボル、例えば、テキスト文、商標、会社ロゴ、色領域、又は視覚可能な線又は切り欠きのようなアラインメント特徴、で印を付けることができる。こうしたアラインメント特徴は、歯に装置を適用する間に、装置のどちらの方向を上にするか、又は装置の対のどちらが上の歯に、及びどちらが下の歯に意図されているかを使用者に示すためのシンボルを含んでなることができる。この様式で、装置をより視覚的に魅力のあるものへ及び/又はより容易に使用できるようにすることができる。こうしたシンボル(単数又は複数)は、吸着剤材料の層が付着される表面とは反対の、可塑的に変形可能な材料の表面に、慣用的印刷又は浮き出しプロセス、例えば、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷その他により付けることができる。
【0045】
もし、こうした視覚可能シンボルをこの表面に付けたら、場合により、例えば、それを保護するために、被覆層をシンボルの上にあてがうことが可能である。この被覆層は、この層を通して視覚可能なシンボルを見ることを可能にするため、透明又は半透明であろう。こうした被覆層は、場合により、フィルムと接触した被覆層の材料を圧縮すること(例えば、圧延)によりあてがうことが可能である。
【0046】
本出願のフィルム層は、Leung et al. による米国特許第6,596,298号及びXu et al. による米国特許第6,419,903号、両方ともその全体が本明細書において援用される、に開示されているような慣用フィルム作製技術を使用して製造する。
【0047】
加えて、本発明のフィルム層は、その全体が本明細書において援用される、Repka et al. による米国特許第6,375,963 B1号に記載されているような、ホットメルト押出技術を使用して製造することが可能である。
【0048】
局所及び全身的活性剤を送逹する方法
本発明は、過酸化物及び追加の局所又は全身的活性剤の保持が、局所活性又は適切な全身的吸収のために必要とされる所で使用することが可能である。本発明のフィルム組成物は、歯表面ホワイトニングに特に有用である。一般に、追加の活性剤を伴うか又は伴わない過酸化物の送逹は、米国特許第5,894,017;5,891,453;6,045,811;及び6,419,906号(これらの各々は、本明細書においてその全体が援用される)に記載されている様式で、一本の歯又は複数の歯及び歯肉へ、こうした化合物/活性剤の安全及び有効量を含有する発明フィルムを局所的に適用することを含んでいる。適用の頻度及び使用期間は、必要とされる又は望まれる治療のレベル、例えば、歯ホワイトニングの程度及び/又は望まれる局所創傷治癒/消毒の程度に依存して広く変動するであろう。
【実施例】
【0049】
実施例
以下の実施例に例示したフィルム組成物は、本発明のフィルム組成物の具体的態様を例示しているが、それらに限定されることは意図されていない。本発明の精神及び範囲から離れることなく、当業者は他の修飾を企てることが可能である。
【0050】
すべての例示されたフィルム組成物は、慣用的製剤及び混合技術により調製することが可能である。成分量は、重量パーセントとしてリストされており、希釈剤、賦形剤などのような副材料は除外されている。従って、リストされた製剤はリストされた成分とこうした成分に付随する何らかの副材料を含んでなる。
【0051】
実施例I
以下は、本発明の二層式歯ホワイトニングフィルムの例である。
【0052】
【表1】

【0053】
適したビーカー(ビーカーA)中、水、スクラロース、リン酸一カリウムを加え、混合物が均一になるまで混合する。
【0054】
別のビーカー(ビーカーB)中、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラジーナン、プルラン及びポビドンK−90を、乾燥混合物として、混合物が均一になるまで混合する。急速に混合又は攪拌しながら、ビーカーA内にビーカーBの内容物を混合する。合わせた混合物は、ガムが水和されるまで混合する。合わせた混合物に、混合しながらゆっくりと過酸化水素を加える。
【0055】
別のビーカー(ビーカーC)中、芳香剤、ポリソルベート80、グリセリン及びAtmos300が、溶解されそして一様になるまで混合する。次ぎにビーカーCの内容物をビーカーA内に注ぎ、混合物が一様でそして均一になるまで混合する。次ぎに1.0N 水酸化ナトリウムを使用して、pHを約5.5に調整する。
【0056】
さらに別のビーカー(ビーカーD)中、医薬用上薬(pharmaceutical glaze)、Cabosil、アルコール及びステアリン酸グリセリルを、一様でそして均一になるまで混合する。
【0057】
ビーカーDの内容物は次ぎに、室温にて、非粘着物(non−stick)上、所望の厚さで注型し、発明のフィルム又は二層式歯ホワイトニングフィルムの第一の層を形成させる。
【0058】
ビーカーAの内容物は次ぎに、室温にて、上記の第一のフィルム上で所望の厚さで注型し、二層式歯ホワイトニングフィルムの第二の層を形成させる。
【0059】
本発明のフィルムが多層又は二層フィルムの形である場合、第一の層又は裏当て層(backing layer)の厚さは、場合により、約1ミクロン〜約20ミクロン、場合により約3ミクロン〜約15ミクロン、場合により約5ミクロン〜約12ミクロンの範囲であることができる。いずれの追加の層の厚さも、第一又は裏当て層の厚さの範囲と等しいか、又は約30ミクロン〜約150ミクロン、場合により約45ミクロン〜約130ミクロン、場合により約70ミクロン〜約120ミクロンの範囲であることができる。
【0060】
実施例II
以下は、本発明の二層式歯ホワイトニングフィルムの例である。
【0061】
【表2】

【0062】
適したビーカー(ビーカーA)中、水、スクラロース、リン酸一カリウムを加え、混合物が均一になるまで混合する。
【0063】
別のビーカー(ビーカーB)中、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラジーナン及びポビドンK−90を、乾燥混合物として、混合物が均一になるまで混合する。急速に混合又は攪拌しながら、ビーカーA内にビーカーBの内容物を混合する。合わせた混合物は、ガムが水和されるまで混合する。合わせた混合物に、混合しながらゆっくりと過酸化水素を加える。
【0064】
別のビーカー(ビーカーC)中、芳香剤、ポリソルベート80、グリセリン及びAtmos300が、溶解されそして一様になるまで混合する。次ぎにビーカーCの内容物をビーカーA内に注ぎ、混合物が一様でそして均一になるまで混合する。次ぎに1.0N 水酸化ナトリウムを使用して、pHを約5.5に調整する。
【0065】
さらに別のビーカー(ビーカーD)中、医薬用上薬、Cabosil、アルコール及びステアリン酸グリセリルを、一様でそして均一になるまで混合する。
【0066】
ビーカーDの内容物は次ぎに、室温にて、ノン−スティック上、所望の厚さで注型し、発明のフィルム又は二層式歯ホワイトニングフィルムの第一の層を形成させる。
【0067】
ビーカーAの内容物は次ぎに、室温にて、上記の第一のフィルム上で所望の厚さで注型し、二層式歯ホワイトニングフィルムの第二の層を形成させる。
【0068】
実施例III
以下は、本発明の二層式歯ホワイトニングフィルムの例である。
【0069】
【表3】

【0070】
適したビーカー(ビーカーA)中、水、スクラロース、リン酸一カリウムを加え、混合物が均一になるまで混合する。
【0071】
別のビーカー(ビーカーB)中、キサンタンガム、ローカストビーンガム、プルラン及びポビドンK−90を、乾燥混合物として、混合物が均一になるまで混合する。急速に混合又は攪拌しながら、ビーカーA内にビーカーBの内容物を混合する。合わせた混合物は、ガムが水和されるまで混合する。合わせた混合物に、混合しながらゆっくりと過酸化水素を加える。
【0072】
別のビーカー(ビーカーC)中、芳香剤、ポリソルベート80、グリセリン及びAtmos300が、溶解されそして一様になるまで混合する。次ぎにビーカーCの内容物をビーカーA内に注ぎ、混合物が一様でそして均一になるまで混合する。次ぎに1.0N 水酸化ナトリウムを使用して、pHを約5.5に調整する。
【0073】
さらに別のビーカー(ビーカーD)中、医薬用上薬、Cabosil、アルコール及びステアリン酸グリセリルを、一様でそして均一になるまで混合する。
【0074】
ビーカーDの内容物は次ぎに、室温にて、ノン−スティック上、所望の厚さで注型し、発明のフィルム又は二層式歯ホワイトニングフィルムの第一の層を形成させる。
【0075】
ビーカーAの内容物は次ぎに、室温にて、上記の第一のフィルム上で所望の厚さで注型し、二層式歯ホワイトニングフィルムの第二の層を形成させる。
【0076】
実施例IV
以下は、本発明の二層式歯ホワイトニングフィルムの例である。
【0077】
【表4】

【0078】
適したビーカー(ビーカーA)中、水、スクラロース、リン酸一カリウムを加え、混合物が均一になるまで混合する。
【0079】
別のビーカー(ビーカーB)中、デンプンガム、アラビアガム、プルラン及びポビドンK−90を、乾燥混合物として、混合物が均一になるまで混合する。急速に混合又は攪拌しながら、ビーカーA内にビーカーBの内容物を混合する。合わせた混合物は、ガムが水和されるまで混合する。合わせた混合物に、混合しながらゆっくりと過酸化水素を加える。
【0080】
別のビーカー(ビーカーC)中、芳香剤、ポリソルベート80、グリセリン及びAtmos300が、溶解されそして一様になるまで混合する。次ぎにビーカーCの内容物をビーカーA内に注ぎ、混合物が一様でそして均一になるまで混合する。次ぎに1.0N 水酸化ナトリウムを使用して、pHを約5.5に調整する。
【0081】
さらに別のビーカー(ビーカーD)中、医薬上薬、Cabosil、アルコール及びステアリン酸グリセリルを、一様でそして均一になるまで混合する。
【0082】
ビーカーDの内容物は次ぎに、室温にて、ノン−スティック上、所望の厚さで注型し、発明のフィルム又は二層式歯ホワイトニングフィルムの第一の層を形成させる。
【0083】
ビーカーAの内容物は次ぎに、室温にて、上記の第一のフィルム上で所望の厚さで注型し、二層式歯ホワイトニングフィルムの第二の層を形成させる。
【0084】
実施例V
以下は、本発明の二層式歯ホワイトニングフィルムの例である。
【0085】
【表5】

【0086】
適したビーカー(ビーカーA)中、水、スクラロース、リン酸一カリウムを加え、混合物が均一になるまで混合する。
【0087】
別のビーカー(ビーカーB)中、キサンタンガム、アラビアガム、プルラン及びカラジーナンを、乾燥混合物として、混合物が均一になるまで混合する。急速に混合又は攪拌しながら、ビーカーA内にビーカーBの内容物を混合する。合わせた混合物は、ガムが水和されるまで混合する。合わせた混合物に、混合しながらゆっくりと過酸化水素を加える。
【0088】
別のビーカー(ビーカーC)中、芳香剤、ポリソルベート80、グリセリン及びAtmos300が、溶解されそして一様になるまで混合する。次ぎにビーカーCの内容物をビーカーA内に注ぎ、混合物が一様でそして均一になるまで混合する。次ぎに1.0N 水酸化ナトリウムを使用して、pHを約5.5に調整する。
【0089】
さらに別のビーカー(ビーカーD)中、医薬用上薬、Cabosil、アルコール及びステアリン酸グリセリルを、一様でそして均一になるまで混合する。
【0090】
ビーカーDの内容物は次ぎに、室温にて、ノン−スティック上、所望の厚さで注型し、発明のフィルム又は二層式歯ホワイトニングフィルムの第一の層を形成させる。
【0091】
ビーカーAの内容物は次ぎに、室温にて、上記の第一のフィルム上で所望の厚さで注型し、二層式歯ホワイトニングフィルムの第二の層を形成させる。
【0092】
実施例V
以下は、本発明の二層式歯ホワイトニングフィルムの例である。
【0093】
【表6】

【0094】
適したビーカー(ビーカーA)中、水、スクラロース、リン酸一カリウムを加え、混合物が均一になるまで混合する。
【0095】
別のビーカー(ビーカーB)中、キサンタンガム、アラビアガム、デンプン及びカラジーナンを、乾燥混合物として、混合物が均一になるまで混合する。急速に混合又は攪拌しながら、ビーカーA内にビーカーBの内容物を混合する。合わせた混合物は、ガムが水和されるまで混合する。合わせた混合物に、混合しながらゆっくりと過酸化水素を加える。
【0096】
別のビーカー(ビーカーC)中、芳香剤、ポリソルベート80、グリセリン及びAtmos300が、溶解されそして一様になるまで混合する。次ぎにビーカーCの内容物をビーカーA内に注ぎ、混合物が一様でそして均一になるまで混合する。次ぎに1.0N 水酸化ナトリウムを使用して、pHを約5.5に調整する。
【0097】
さらに別のビーカー(ビーカーD)中、医薬用上薬、Cabosil、アルコール及びステアリン酸グリセリルを、一様でそして均一になるまで混合する。
【0098】
ビーカーDの内容物は次ぎに、室温にて、ノン−スティック上、所望の厚さで注型し、発明のフィルム又は二層式歯ホワイトニングフィルムの第一の層を形成させる。
【0099】
ビーカーAの内容物は次ぎに、室温にて、上記の第一のフィルム上で所望の厚さで注型し、二層式歯ホワイトニングフィルムの第二の層を形成させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔用組成物であって、
a)少なくとも2種の水溶性ガム;及び
b)少なくとも1種の過酸化化合物を含んでなり、乾燥したとき、約10%未満の水アルコール成分を含有する組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の口腔用組成物であって、少なくとも2種の水溶性ポリマーの濃度が、約0.01%〜約10%である組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の口腔用組成物であって、少なくとも1種の過酸化化合物の濃度が約0.1%〜約20%である組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の口腔用組成物であって、水溶性ガムが、アルギン、アルギン酸、アルギン酸塩、カミチン、カラジーナン、デキストリン、カラヤガム、グァーガム、ジェランガム、アイルランドゴケ、ビーガム(レギュラー)、タラガム、オクラガム、アラビアガム、アカシアガム、アミロペクチン、ペクチナ又はペクチン、ガティガム、納豆ガム、トラガカントガム、キサンタンガム、スクレロチウムガム、ケルプ、ローカストビーンガム、オオバコ種子、タマリンドガム、デストリアガム、キトサン、それらのエステル、それらの塩及びそれらの混合物から成る群より選択される組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の口腔用組成物であって、水溶性ガムが、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラジーナン、デキストリン、アラビアガム及びそれらの混合物である組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の口腔用組成物であって、過酸化化合物が、過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化尿素、過酸化カルバミド及びそれらの混合物から成る群より選択される組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の口腔用組成物であって、過酸化物が過酸化水素である組成物。
【請求項8】
活性剤をさらに含んでなる請求項1に記載の口腔用組成物であって、局所的又は全身的活性剤であるものが、追加のホワイトニング剤、抗歯石剤、フッ素イオン源、抗菌剤、麻酔剤及びそれらの混合物から成る群より選択される組成物。
【請求項9】
単又は多層フィルム組成物であって、
a)少なくとも2種の水溶性ガム;及び
b)少なくとも1種の過酸化化合物を含んでなる、少なくとも一つの層を含んでなり、乾燥したとき、約10%未満の水アルコール成分を含有する組成物。
【請求項10】
請求項9に記載のフィルム組成物であって、水溶性ガムが、アルギン、アルギン酸、アルギン酸塩、カミチン、カラジーナン、デキストリン、カラヤガム、グァーガム、ジェランガム、アイルランドゴケ、ビーガム(レギュラー)、タラガム、オクラガム、アラビアガム、アカシアガム、アミロペクチン、ペクチナ又はペクチン、ガティガム、納豆ガム、トラガカントガム、キサンタンガム、スクレロチウムガム、ケルプ、ローカストビーンガム、オオバコ種子、タマリンドガム、デストリアガム、キトサン、それらのエステル、それらの塩及びそれらの混合物から成る群より選択される組成物。
【請求項11】
請求項10に記載のフィルム組成物であって、過酸化物が、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラジーナン、デキストリン、アラビアガム及びそれらの混合物である組成物。
【請求項12】
請求項9に記載のフィルム組成物であって、過酸化化合物が、過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化尿素、過酸化カルバミド及びそれらの混合物から成る群より選択される組成物。
【請求項13】
請求項12に記載のフィルム組成物であって、過酸化物が過酸化水素である組成物。
【請求項14】
口腔用組成物であって、
a)少なくとも2種の水溶性ガム;及び
b)少なくとも1種の過酸化化合物を含んでなり、乾燥したとき、約10%未満の水アルコール成分を含有し、水溶性ガム:過酸化物の比が少なくとも約1:25である組成物。
【請求項15】
請求項14に記載の口腔用組成物であって、水溶性ガム:過酸化物の比が約1:25〜約1:5である組成物。

【公表番号】特表2007−526295(P2007−526295A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501365(P2007−501365)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000450
【国際公開番号】WO2005/092278
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(503181266)ワーナー−ランバート カンパニー リミテッド ライアビリティー カンパニー (167)
【Fターム(参考)】