説明

完全デジタル位相ロックループにおける位相デジタル変換器

位相デジタル変換器と、完全デジタル位相ロックループと、完全デジタル位相ロックループを有する装置とについて、本明細書で説明する。位相デジタル変換器は、時間デジタル変換器を駆動する位相周波数変換器を含む。時間デジタル変換器は、位相周波数変換器によって出力された位相差の絶対値と符号とを判断する。時間デジタル変換器は、タップ付き遅延線とループフィードバックカウンタとを利用して、ループ追跡プロセスによくある小さいタイミング差およびループ収集プロセスによくある大きいタイミング差の測定を可能にする。タップ付き遅延線は、基準期間の部分の測定を可能にし、基準クロックの速度に関する要件を低減することによって位相デジタル変換器のより低電力の動作を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子回路の分野に関する。より詳細には、本発明は、発振器および位相ロックループ(PLL)の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
位相制御発振器および周波数制御発振器は、安定した、制御された周波数基準を与えるために様々な電子的適用例において使用される。デジタルデバイスは、タイミングのためのクロックソースとして、たとえば、デジタルマイクロプロセッサ回路のためのクロックとして周波数制御発振器を使用することができる。アナログデバイスは、無線周波(RF)信号を周波数変換するために使用される局部発振器として位相ロック発振器を含むことができる。位相制御発振器および周波数制御発振器は、固定の周波数発振器とすることも、プログラマブル周波数シンセサイザを使用して実装されるチューナブル発振器をとすることもできる。
【0003】
デジタルデバイスのための周波数制御発振器はデジタル的に実装できるが、アナログデバイスのための位相ロック発振器はもっぱらアナログビルディングブロックを使用して実装される。しかしながら、デジタル回路の動作速度が向上するにつれて、デジタルビルディングブロックを使用して旧来アナログの適用例のための位相ロック発振器の少なくとも一部分を実装することがより実現可能になりつつある。
【0004】
デジタル回路の動作速度の改善の一部は、デジタル回路を製造するために使用されるプロセスの改善に起因し得る。デジタル集積回路設計において利用される基礎をなすトランジスタのサイズを縮小するプロセスの改善は、動作速度の改善に関係する。CMOS回路は、90nm、65nm、45nm、または35nmプロセスなどのサブミクロンプロセスを使用して実装できる。
【0005】
CMOS回路において利用される供給電圧は、一部は寸法の縮小により、また一部は、そのようなデバイスによって消費される全体的な電力を低減したいという要望により、断続的に減少している。65nmなどの高度CMOSプロセスでは、電源電圧は一般に約1.1Vに低減されている。この低電圧では、演算増幅器および電流ミラーなどの従来のアナログビルディングブロックはうまく動作せず、設計が困難である。したがって、従来のアナログPLLはそのようなプロセスによる設計が困難である。さらに、アナログPLLは、フィルタ機能を実装するために一般に大きい面積を必要とするが、65nmでは、シリコン単位面積が、より大きいプロセス用のダイ(die)面積よりも費用がかかる。
【0006】
デジタルプロセスの進歩により、PLLなどの旧来のアナログ回路を実装する能力に関する制約はより大きくなる。さらに、高度デジタルプロセスにより、旧来のアナログ実装により費用がかかるようになる。旧来アナログビルディングブロックを使用して実装される回路への悪影響を最小限に抑えながら、デジタル領域におけるプロセス改善を利用することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
位相デジタル変換器と、完全デジタル位相ロックループと、完全デジタル位相ロックループを有する装置とについて、本明細書で説明する。位相デジタル変換器は、時間デジタル変換器を駆動する位相周波数変換器を含む。時間デジタル変換器は、位相周波数変換器によって出力された位相差の絶対値と符号(sign)とを判断する。時間デジタル変換器は、タップ付き遅延線とループフィードバックカウンタとを利用して、ループ追跡プロセスによくある小さいタイミング差およびループ収集プロセスによくある大きいタイミング差の測定を可能にする。タップ付き遅延線は、基準期間の部分の測定を可能にし、基準クロックの速度に関する要件を低減することによって位相デジタル変換器のより低電力の動作を可能にする。
【0008】
PDCは、基準クロック(FREF)と分数N分周器出力(NDIV)とを入力として取ることができ、それらの位相差のデジタル表現を出力として与えることができる。PDDCは、FREFエッジ(規定がない限り、FREFエッジによって立上りエッジを指す)ごとに出力を更新し、FREFエッジに続く出力は、前のFREFエッジが含まれていた、位相周波数検出器によって生成されたUP−DOWN信号ペアに対応する。UP−DOWNペアが2つ以上のFREFサイクルにわたって延びる(最初にFREFが入り、すなわちペアを開始し、次のFREFエッジの前にNDIVエッジが入らない場合に起こる)場合、位相差は、UP−DOWNペアがTREF(1/FREF)を超えず、あらゆる細分が別々のUP−DOWNペアと見なされるように、FREFエッジにおいて細分に分割される。PDCは、出力をタップ付き遅延線からのカウンタ出力およびデジタル出力として与えることができる。カウンタ出力(バイナリ符号化C<0:4>)がゼロでないとき、位相ロックループの収集期間によくあり、精度の低下が容認できる、位相差が大きい場合(>〜1.5ns)のように、遅延線出力(温度計符号化D<0:47>)は無視できる。
【0009】
本発明の態様は位相デジタル変換の方法を含む。本方法は、基準クロックおよび発振器信号の一方の、先に到着したエッジに基づいて第1のパルスを開始することと、遅延線を通して第1のパルスを結合することと、基準クロックおよび発振器信号の一方の後に到着したエッジに基づいて変換終了信号を判断することと、遅延線を通した第1のパルスの遷移に基づいて基準クロックと発振器信号との間の位相差のデジタル値を判断することとを含む。
【0010】
本発明の態様は位相デジタル変換の方法を含む。本方法は、発振器信号の遷移と基準クロックの遷移とに基づいて少なくとも1つの位相周波数検出信号を生成することと、少なくとも1つの位相周波数変換信号に基づいて信号パルスを生成することと、遅延線を通した信号パルスの遷移に基づいて位相差のデジタル値を生成することとを含む。
【0011】
本発明の態様は位相デジタル変換の方法を含む。本方法は、発振器信号を受信することと、基準クロックを受信することと、発振器信号の遷移と基準クロックの遷移とに基づいて、UP信号とDOWN信号とを含む少なくとも1つの位相周波数検出信号を生成することと、UP信号とDOWN信号とに基づいて読取り信号を生成することと、UP信号に基づいて第1の信号パルスを生成することと、DOWN信号に基づいて第2のパルス信号を生成することと、第1の信号パルスを第1の遅延線に結合することと、第2のパルス信号を第2の遅延線に結合することと、DOWN信号に対するUP信号の遷移に基づいて、そのそれぞれの遅延線を通した第1の信号パルスまたは第2の信号パルスの一方の完全遷移の数をカウントすることと、それぞれの第1の遅延線および第2の遅延線を通した第1の信号パルスまたは第2の信号パルスの一方の数または部分遷移のうちの少なくとも1つに基づいて位相差のデジタル値を判断することとを含む。
【0012】
本発明の態様は、第1の入力において基準クロック信号を受信し、第2の入力において発振器信号を受信するように構成され、制御入力信号に基づいて基準クロック信号または発振器信号の一方を出力するようにさらに構成された経路選択マルチプレクサと、経路選択マルチプレクサの出力に結合されたトリガ入力を有する第1のパルス生成器と、第1の入力においてパルス生成器出力を受信し、第2の入力において遅延されたパルス信号を受信するように構成され、ループ制御信号に基づいてパルス生成器出力または遅延されたパルス信号の一方を出力するように構成されたループマルチプレクサと、ループマルチプレクサの出力に結合され、遅延されたパルス信号を出力するように構成され、変換終了信号の受信時に部分パルス遷移を示すようにさらに構成された遅延線と、遅延線によって出力されたパルスの数をカウントするように構成され、変換終了信号の受信時にその数を出力するように構成されたカウンタとを含む位相デジタル変換器を含む。
【0013】
本発明の態様は、遅延線を通したパルスの部分遷移と遅延線を通したパルスの完全遷移の数との少なくとも一方に基づいて発振器信号と基準クロックとの間の位相差の絶対値を判断するように構成された第1の信号処理経路と、発振器信号と基準クロックとを受信するように構成され、位相差の符号を判断するように構成された符号生成器とを含む位相デジタル変換器を含む。
【0014】
本発明の態様は、発振器信号と基準クロックとに基づいてUP信号とDOWN信号とを生成するように構成された位相周波数検出器と、位相周波数検出器に結合され、UP信号およびDOWN信号の一方に基づいてパルス信号を生成するように構成されたパルス生成器と、パルス生成器に結合されたタップ付き遅延線と、遅延線の出力に基づいて増分するように構成されたカウンタと、タップ付き遅延線に結合されたレジスタと、UP信号とDOWN信号とに基づいて読取り信号を生成するように構成され、レジスタまたはカウンタの少なくとも一方における位相差のデジタル値をラッチするように構成された読取り制御生成器とを含む位相デジタル変換器を含む。
【0015】
本発明の態様は、発振器信号の遷移と基準クロックの遷移とに基づいてUP信号とDOWN信号とを含む位相周波数検出信号を生成するための手段と、UP信号とDOWN信号とに基づいて変換スタート信号と変換ストップ信号とを生成するための手段と、UP信号およびDOWN信号の一方に基づいてパルスを生成するための手段と、パルスを生成するための手段に結合された遅延のための手段と、遅延のための手段の出力に結合されたカウントするための手段と、スタート信号とストップ信号とに基づいて、さらに、カウントするための手段の出力と遅延のための手段を介したパルスの部分遷移とに基づいて、時間を位相差のデジタル値に変換するための手段とを含む位相デジタル変換器を含む。
【0016】
本発明の態様は完全デジタル位相ロックループ(ADPLL)を含む。ADPLLは、デジタル制御発振器(DCO)と、DCOに結合された入力と、デジタル分周出力信号を与えるように構成された出力とを有するデジタル分周器と、基準発振器クロックに結合された第1の入力と、デジタル分周器の出力に結合された第2の入力とを有する位相周波数検出器と、デジタル分周出力信号と基準発振器クロックとに基づいてUP信号とDOWN信号とを生成するように構成された位相周波数検出器と、UP信号を受信する第1の入力と、DOWN信号を受信する第2の入力と、基準発振器クロックを受信する第3の入力とを有する位相デジタル変換器と、UP信号またはDOWN信号の一方に基づいてパルス信号を生成するように構成され、遅延線を通したパルス信号の完全遷移と遅延線を通したパルスの部分遷移のうちの少なくとも1つに基づいてデジタル分周出力信号と基準発振器クロックとの間の位相差のデジタル値を判断するようにさらに構成された位相デジタル変換器と、位相デジタル変換器の出力に結合された入力とDCOの制御入力に結合された出力とを有するデジタルループフィルタとを含む。
【0017】
本開示の実施形態の特徴、目的、および利点は、同様の要素が同様の数字をもつ図面とともに、以下に記載する詳細な説明を読めばより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】完全デジタル位相ロックループを有するワイヤレス通信デバイスの一実施形態の簡略機能ブロック図。
【図2】完全デジタル位相ロックループの簡略機能ブロック図。
【図3A】位相周波数検出器および符号生成器の実施形態の簡略機能ブロック図。
【図3B】符号生成器の実施形態の簡略機能ブロック図。
【図4A】時間デジタル変換器の一実施形態の簡略機能ブロック図。
【図4B】位相デジタル変換器の一実施形態の簡略機能ブロック図。
【図5】パルス生成器の一実施形態の簡略機能ブロック図。
【図6】タップ付き遅延線の一実施形態の簡略機能ブロック図。
【図7】エッジアライナの一実施形態の簡略機能ブロック図。
【図8】カウンタの一実施形態の簡略機能ブロック図。
【図9】カウンタの代替実施形態の簡略機能ブロック図。
【図10】カウンタクリア生成器の一実施形態の簡略図。
【図11】「Sel」制御信号生成器の一実施形態の簡略図。
【図12】スタート/ストップ生成器の一実施形態の簡略図。
【図13A】Sel_1信号のための生成器の実施形態を示す図。
【図13B】Sel_2信号のための生成器の実施形態を示す図。
【図14A】フィードバック制御信号のための生成器の実施形態を示す図。
【図14B】フィードバック制御信号のための生成器の実施形態を示す図。
【図15】フラッシュ制御生成器の一実施形態の簡略図。
【図16】位相デジタル変換の方法の一実施形態の簡略フローチャート。
【図17】時間デジタル変換の方法の一実施形態の簡略フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
シリコン面積が低減され、オフチップ構成要素がないデジタル回路中にすべてのPLL機能を実装する完全デジタル位相ロックループ(ADPLL)について、本明細書で説明する。デジタルPLLは低電源電圧において動作することができる。本明細書で説明する位相デジタル変換器(PDC)設計は、完全デジタルPLLを可能にする主要な演算ブロックを形成する。
【0020】
提案されたPDCはアナログ位相情報をデジタルワードに変換し、デジタルワードはデジタル信号プロセッサに供給できる。PDCは、特にゼロ位相転移点の周りの、微細解像度および高線形性をもつ入力位相情報を変換するように動作する。デバイス不一致により、PDCは、様々な利得またはオフセットをもつ正相入力および逆相入力を変換することができる。様々な利得またはオフセットはPDC変換伝達関数における非線形性に等価である。この非線形性は、全体的なPLLパフォーマンスを劣化させ、位相ノイズおよびスプリアス応答を増加させるように動作する。PDCをもつ提案されたADPLLは対称トポロジを用いて非線形性を解決する。本明細書で説明するPDCはまた、PLL収集およびロックモード中の広い位相入力範囲をカバーする。本明細書で説明する提案されたADPLL、特にPDCは、電力消費量オーバーヘッドをほとんど与えないエッジリサイクルカウンタを実装することによって、一般に収集中に起こる広い位相入力範囲をサポートする。
【0021】
PDCは、位相信号の符号と絶対値の両方をデジタル信号処理のためのデジタルワードに変換することができ、ディープサブミクロンプロセスおよび低電源電圧における完全デジタルPLLにおいて使用できる。提案されたPDCは、数10ナノ秒のオーダーの大きい位相(広いパルス)入力と、数10ピコ秒までの小さい位相(狭いパルス)入力の両方を変換することができる。広い位相と狭い位相の両方のサポートは、様々なPLL動作状態、すなわち、収集およびロックモードをサポートするために必要である。大きい位相入力は、エッジリサイクルカウンタによって電力消費量オーバーヘッドなしに処理される。
【0022】
PDCは、小さい位相入力を処理するために微細遅延線を実装し、大きい位相入力を処理するためにエッジリサイクルカウンタを実装することによって、大きい入力位相信号と小さい入力位相信号の両方を処理する。PDCは、発振器信号と基準クロックとに基づいて生成されるUP信号およびDOWN信号のための対称トポロジを有することによって、逆相入力と正相入力の両方を処理するときでも高線形性を達成する。対称部分における遅延不一致は、一般にオフセットを導入するが、非線形性を導入しない。DFF(Dフリップフロップ)における遅延は、測定され、結果から減算される。さらに、パルス生成およびフラッシュ制御などの他の技法をPDC中で使用して、ADPLLの定常状態動作において利用される全体的な機能を達成する。
【0023】
細かい位相デジタル変換と粗い位相デジタル変換の両方を判断する能力ならびに線形的に実行する能力により、デジタルマイクロプロセッサ適用例のために発振器において一般に必要とされるよりも高いパフォーマンスを一般に必要とするRF適用例など、旧来アナログの構成において、ADPLLおよびPDCを実装することが可能になる。
【0024】
図1は、完全デジタル位相ロックループを有するワイヤレス通信デバイス100の一実施形態の簡略機能ブロック図である。ワイヤレス通信デバイス100は、別個の送信処理経路と受信処理経路とを有するトランシーバとして実装される。送信処理経路および受信処理経路の各々は、局部発振器回路の一部としてADPLLを実装し、利用することができる。別個の送信発振器および受信発振器は、ワイヤレス通信デバイス100が信号を同時に送信および受信する全二重動作を可能にする。
【0025】
ワイヤレス通信デバイス100は、送信処理経路と受信処理経路の両方によって共有できるアンテナ102を含む。アンテナ102は、アンテナ102からの受信信号を受信動作経路の残りに結合すると同時に、受信経路を送信信号から隔離するように構成できるデュプレクサ110に受信ワイヤレス信号を結合する。デュプレクサ110からの受信出力は、たとえば、低ノイズ増幅器(LNA)とすることができるフロントエンド増幅器120に結合される。フロントエンド増幅器120は、一般に総受信機ノイズ指数を実質的に支配するように動作し、したがって、一般に10〜20dBの利得を有するLNAとして実装される。フロントエンド増幅器120からの出力は受信RFフィルタ122に結合される。
【0026】
受信RFフィルタ122は、所望の受信RF動作帯域の外部の信号をなくすことまたは減衰させることによって、RF選択を実行するように動作する。RFフィルタ122は、たとえば、隣接チャネル阻止に寄与することができる。受信RFフィルタ122からの出力は、ここではミキサ130として示される周波数変換器のRF入力に結合できる。ミキサ130への第2の入力は、65nmプロセスなどの高度CMOSプロセスを使用して製造されるトランシーバ集積回路180内で実質的または完全に実装される第1のADPLL154によって生成できる局部発振器信号によって駆動される。
【0027】
ミキサ130からの出力は、ベースバンド信号のデジタル表現を生成するように動作するアナログデジタル変換器132に結合されたベースバンド信号とすることができる。デジタルベースバンド信号はトランシーバ集積回路180の受信入力に結合される。トランシーバ集積回路180の受信入力は、さらなる処理のためにデジタルベースバンド信号を受信ベースバンドプロセッサ140に結合する。
【0028】
トランシーバ集積回路180は、第1の周波数基準152と連携して第1の発振器信号を生成するように動作する第1のADPLL154を含む。第1の発振器信号は受信周波数変換動作のための局部発振器として使用できる。第1のADPLL154からの第1の発振器信号出力は、受信信号をベースバンドに周波数変換するためにミキサ130のLO入力に結合できる。
【0029】
図1に示す受信機実施形態は、受信RF信号が単一の周波数変換段においてベースバンドに変換される直接変換技法を実装する。もちろん、ワイヤレス通信デバイス100中の受信機は、特定の構成に限定されず、直接変換、スーパーヘテロダイン、または何らかの他の構成を利用することができる。
【0030】
ワイヤレス通信デバイス100は相補型送信機を含むことができる。送信機は、実質的に送信信号を生成するトランシーバ集積回路180中の信号生成部分を含むことができる。送信ベースバンドプロセッサ160は、データソース(図示せず)とインターフェースするように構成でき、後続の送信のためにデータをフォーマッティングすることができる。
【0031】
送信ベースバンドプロセッサ160は、たとえば、変調器170に送信ベースバンド信号を供給するように構成できる。変調器170は、ベースバンド信号を第2の発振器信号に直接変調するように構成できる。変調器170は、たとえば、2点変調器とすることができる。
【0032】
第2のADPLL158は、第2の周波数基準156と連携して、たとえば、所望の送信RFにおいて第2の発振器信号を生成することができる。第1の周波数基準152とは別個の第2の周波数基準156が示されているが、第1のADPLL154と第2のADPLL158の両方が同じ周波数基準、たとえば第1の周波数基準152を共有することができる。第2のADPLL158は、変調器170からの変調信号を受容するように構成でき、送信信号を第2の発振器信号に直接変調することができる。
【0033】
第2のADPLL158からの出力は、第2のADPLL158によって出力され得るスプリアス積と調波とを含む不要な積を実質的になくすように動作することができる送信RFフィルタ192に結合できる。送信RFフィルタ192からの出力は、代替的に高出力増幅器(HPA)と呼ばれる送信増幅器194に結合される。送信増幅器194は、可変利得または可変利得段を有することができ、変調された第2の発振器信号を所望の送信電力レベルに増幅するように構成できる。送信増幅器194からの出力は、デュプレクサ110の送信入力に結合され、そこでアンテナ102に結合される。
【0034】
トランシーバ集積回路180は、1.1Vなどの低電源電圧で動作する高度サブミクロンCMOSプロセスにおいて実装でき、オフチップ受動デバイス、オフチップアナログデバイス、またはオフチップ発振器などのオフチップ要素の必要なしに、第1のADPLL154および第2のADPLL158を集積回路上で完全に実装することができる。相対的に位相デジタル変換器の位相解像度よりもはるかに大きい周期を有する周波数基準クロックを使用する能力により、ADPLL154および158は、比較的低い電力消費量につながる比較的低い電流消費量レベルで動作することが可能になる。
【0035】
図2は、完全デジタル位相ロックループ200の簡略機能ブロック図である。図2のADPLL200は、たとえば、図1のワイヤレス通信デバイスの第2のADPLLとすることができ、変調部分を省略するかまたはさもなければ使用しない場合は、図1のワイヤレス通信デバイスの第1のADPLLとすることができる。
【0036】
ADPLL200は、その出力がADPLL200からの位相および周波数制御出力であるデジタル制御発振器(DCO)210とすることができる可変発振器を含む。DCO210からの出力は、たとえば、整数分周器または分数分周器とすることができる分周器220にも結合される。分周器220は、DCO210の出力周波数を所望の周波数に同調させる分周比を与えるようにプログラムまたはさもなければ制御できる。分周器220のための制御信号は、たとえば、ベースバンドコントローラまたは何らかの他のプロセッサ(図示せず)において判断できる。
【0037】
分周出力は位相デジタル変換器(PDC)230の入力に結合される。たとえば、水晶発振器とすることができる基準発振器(図示せず)はPDC230の基準入力に結合される。
【0038】
PDC230は、時間デジタル変換器(TDC)234に結合された位相周波数検出器232を含む。PDC230については、他の図に関してより詳細に説明する。一般に、PDC230は、基準発振器の位相を分周出力の位相と比較し、位相差を示すデジタル値を与える。PDC230からの出力は、たとえば符号および絶対値として、2の補数値として、または、何らかの他のデジタルフォーマットとして表すことができる。PDC230からのデジタル値出力は、デジタルループフィルタとして実装できるループフィルタ240に結合される。ループフィルタ240からの出力は、ここでは信号加算器として示される信号合成器250の第1の入力に結合される。
【0039】
信号合成器250は、変調回路の一部分として実装し、変調を必要としないADPLL200構成から省略することができる。コンバイナ250からの出力はDCO210の制御入力に結合される。
【0040】
変調回路は、2点変調を実装するように構成される。2点変調器260は、送信データソース(図示せず)から送信ベースバンド信号などの送信信号を受信するように構成される。2点変調器260は、送信信号を処理し、ADPLL200中の閉ループおよび開ループ変調入力を駆動する。
【0041】
2点変調器260の出力は、ADPLL200の閉ループ変調を実装するために分数分周器を駆動するデルタシグマ変調器(DSM)264に結合される。2点変調器260の出力はまた、ADPLL200出力の開ループ変調を導入するためにコンバイナ250への第2の入力を駆動するスケーラ262を駆動する。スケーラ262は、DCO210の利得を補償するように構成できる。しかしながら、スケーラ262の値は、DCO210の利得に関係する必要がなく、所望の変調を与えるために2点変調器260の出力と連携して動作する利得を与えるように構成できる。
【0042】
図3Aは、符号生成器320に結合された位相周波数検出器232の一実施形態の簡略機能ブロック図である。位相周波数検出器232は、たとえば、図2のADPLLの位相周波数検出器とすることができる。符号生成器320からの符号ビット出力は、たとえば、位相周波数検出器232への分周器入力が基準発振器からの基準クロックより進んでいるか遅れているかを示すことができる。
【0043】
位相周波数検出器232はUP/DOWNカウンタコントローラとして実装できる。UP出力およびDOWN出力を使用してUP/DOWNカウンタへの対応する入力を駆動することができるが、今後これらの名前を使用する。本明細書でPDCの一部として説明する時間デジタル変換器はUPカウントおよびDOWNカウントを利用しないが、PFD232の出力をUP出力信号およびDOWN出力信号と呼ぶことは、UP/DOWNカウンタを使用した実装形態との比較を可能にするために有用なことがある。もちろん、ラベルUPおよびDOWNは任意であり、PFD232出力は第1の出力および第2の出力として、または何らかの他の識別名によってラベル付けすることができる。
【0044】
PFD232は、D入力の各々に結合された高入力値Vddを有する、2つのDフリップフロップ(DFF)312および314を含む。2つのDFF312および314は、ともに立上りエッジでトリガされるものとして説明するが、立上りエッジと立下りエッジとの任意の組合せによるトリガを利用するように再構成することができる。
【0045】
PFD232は、第1のDFF312へのクロック入力において、DCO、NDIVに結合された分周器からの分周信号を受信する。第1のDFF312は、NDIV信号の立上りエッジにおいてアクティブハイDOWN信号を出力するように、Q出力へのVdd値をクロック制御する。同様に、第2のDFF314は、クロック入力において基準クロック、FREFを受信し、FREF信号の立上りエッジにおいてアクティブハイUP信号を出力するように、Q出力へのVdd値をクロック制御する。
【0046】
2入力ANDゲート318は、第1のDFF312からのQ出力に結合された第1の入力と、第2のDFF314からのQ出力に結合された第2の入力とを有する。ANDゲート318の出力は第1のDFF312および第2のDFF314のリセット入力に結合される。ANDゲート318は、各UP/DOWNペアの後にDFF312および314の両方をリセットするように動作する。
【0047】
符号生成器320は、PFD232からのUP出力およびDOWN出力、ならびにFREF信号に対して動作する。しかしながら、符号生成器320は、NDIV信号を使用するように動作するように再構成することもできる。
【0048】
符号生成器320からの出力は、UPまたはDOWNのどちらの入力が符号生成器320に最初に到着したかを示す。PFD232からのDOWN出力は第1の符号DFF322のD入力に結合され、PFD232からのUP出力は第1の符号DFF322のクロックに結合される。PFD232からのDOWN出力は、現在のUP/DOWNペアの符号を示すためにUP信号の立上りエッジによってサンプリングされる。
【0049】
UP/DOWNペアの符号は、基準クロックFREFによってクロック制御される第2の符号フリップフロップ324によって読み取られる。第2の符号DFF324からのQ出力はシステムの符号出力を示す。「符号」出力は、前のFREFエッジが含まれていたUP/DOWNペアの符号を示す。「DOWN」をサンプリングするために「UP」を使用する理由は、「UP」エッジはFREFエッジごとにあるが、「DOWN」信号にはそのような予測可能性がないことである。UP/DOWNペアの持続時間が1つのFREF期間よりも長い場合、FREFエッジごとに「UP」エッジが存在しない。しかし、この状況では、広い位相差に属するFREF期間ごとの符号は、現在の位相差の始めと同じである。したがって、第1の符号DFF322の出力は、第2の符号DFF324によってFREFエッジごとに読み取られる正しい符号となる。
【0050】
図3Bは、位相周波数検出器に依拠せず、代わりに、位相デジタル変換器への2つの入力FREFおよびNDIVから直接符号を判断する符号生成器320の代替実施形態である。
【0051】
図3Bの符号生成器320の実施形態は、Dフリップフロップ(DFF)330とORゲート332とを含む。基準クロック信号FREFはDFF330へのD入力に結合される。DCOに結合された分周器からの分周信号(NDIV)はDFF330の反転D入力(/D)に結合される。DFF330の出力は符号を示す。
【0052】
基準クロック信号、FREFは論理ORゲート332の第1の入力にも結合される。分周信号、NDIVは論理ORゲート332の第2の入力に結合される。ORゲート332からの出力はDFF330のクロック入力に結合される。したがって、FREF信号またはNDIV信号のうちの先にきたほうがDFF330をクロック制御する。DFF330への入力は、クロックエッジにおける位相が符号を示す、差動入力信号として効果的に動作する。
【0053】
図4Aは、時間デジタル変換器400の絶対値変換器部分の一実施形態の簡略機能ブロック図である。絶対値変換器部分400は、図2の位相デジタル変換器などの位相デジタル変換器を実装するために、図3Aの符号生成器およびPFDとともに使用できる。時間デジタル変換器の絶対値変換器部分400は、電流要件が低く、しかも高い位相解像度を実現するADPLLの実装を可能にするために、たとえば、図2のPDC内に実装できる。
【0054】
絶対値変換器部分400は対称的処理経路を含み、第1の処理経路はPFDからのUP信号によってトリガされ、第2の処理経路はPFDからのDOWN信号によってトリガされる。第1の処理経路または第2の処理経路の一方からの結果が、選択処理に基づいて絶対値に選択される。
【0055】
第1の処理経路は、処理経路を初期化するために使用される第1の制御マルチプレクサ410−1を含む。第1の処理経路は、UP信号または所定の信号の一方を処理経路に選択的に結合するフラッシュマルチプレクサ412−1を含む。図4Aの実施形態では、フラッシュマルチプレクサ412−1は、処理経路が既知の状態で開始するように処理経路の前の内容をフラッシングするために、ローまたはゼロ値を処理経路に選択的に結合する。時間デジタル変換中に、フラッシュマルチプレクサ412−1はUP信号を処理経路に結合する。
【0056】
フラッシュマルチプレクサ412−1からの出力は、処理経路における遅延全体を通過したパルスを選択的にフィードバックするように動作するフィードバック制御マルチプレクサ414−1の入力に結合される。フィードバック制御マルチプレクサ414−1は、最初にフラッシュマルチプレクサ412−1出力を選択し、時間デジタル変換がまだ完了していない場合はフィードバックパルスを選択する。
【0057】
制御マルチプレクサ410−1からの出力はパルス生成器420−1の制御入力に結合される。パルス生成器420−1の出力は、パルス生成器420−1からのパルス出力の立上りエッジと立下りエッジとのタイミングを実質的に整合させるように動作するエッジアライナ430−1に結合される。
【0058】
エッジアライナ430−1は、遅延線440−1に結合される差動出力を生成するものとして示されている。遅延線440−1は、パルス生成器420−1によって出力され、エッジアライナ430−1において整合されたパルス信号に、所定の固定遅延を導入する。
【0059】
遅延線440−1はタップ付き遅延線として構成でき、タップ付き遅延線の各タップは第1の経路選択マルチプレクサ450に結合できる。第1の経路選択マルチプレクサ450は、第1の処理経路または第2の処理経路の一方の差動タップ付き遅延線のタップ値をフェッチレジスタ460に選択的にルーティングする。フェッチレジスタ460の出力は遅延線を通した部分遅延を表す。
【0060】
遅延線440−1は、シングルエンド遅延パルス信号を出力するように構成できる。遅延線440−1からのシングルエンド出力は、フィードバック制御マルチプレクサ414−1の第2の入力にルーティングされるフィードバックパルスを表す。
【0061】
遅延線440−1からのシングルエンド出力はまた、第1の処理経路または第2の処理経路の一方をカウンタイネーブルマルチプレクサ454の入力に選択的にルーティングする第2の経路選択マルチプレクサ452に結合される。カウンタイネーブルマルチプレクサ454は、遅延線を通したパルスの完全遅延遷移の数をカウントするように動作するカウンタ470へのイネーブル信号を出力する。
【0062】
第2の処理経路は、第1の処理経路と実質的に同じに構成される。第2の制御マルチプレクサ410−2は、DOWN信号を受信するためにPFDに結合された1つの入力と、ロー論理レベルを受信するように構成された第2の入力とを有する第2のフラッシュマルチプレクサ412−2を含む。第2のフラッシュマルチプレクサ412−2の出力は、第2のフラッシュマルチプレクサ414−2からの出力または遅延パルス信号をその出力に選択的に結合する第2のフィードバック制御マルチプレクサ414−2に結合される。
【0063】
第2のフィードバック制御マルチプレクサ414−2からの出力は第2のパルス生成器420−2のトリガ入力に結合される。第2のパルス生成器420−2からのパルス出力は第2のエッジアライナ430−2に結合される。第2のエッジアライナ430−2の出力は第2の遅延線440−2に結合される。
【0064】
第2の遅延線440−2からのシングルエンド出力は第2のフィードバック制御マルチプレクサ414−2にフィードバックされる。第2の遅延線440−2中のタップは第1の経路選択マルチプレクサ450の第2の入力に結合される。同様に、シングルエンド遅延パルスは第2の経路選択マルチプレクサ452の第2の入力に結合される。
【0065】
UPとDOWNの両方が、UP−DOWNペアの終了を示すハイになった後で、フラッシュ信号がしばらくの間ローになり、遅延線にゼロが入ることが可能になる。この動作は、遅延線をクリアし、次の測定のために遅延線をリセットする。
【0066】
フィードバック制御「FB−U_ctrl」は入力「UP」の回路の分岐用であり、「FB−D_ctrl」は入力「DOWN」の回路の分岐用である。UPまたはDOWNのどちらの入力が最初にきても、そのフィードバック制御信号はハイになり、パルスリサイクルが可能になる。フィードバック制御信号は、UP−DOWNペアが完了するとローになる。
【0067】
第1の経路選択マルチプレクサ450の制御入力におけるSel信号は、どちらの遅延線が読み取られるかを制御する。UPがDOWNより先にきた場合は、UP入力の遅延線の出力がフェッチレジスタ460に接続され、DOWNがUPに先行する場合は、DOWN入力の遅延線の出力が接続される。
【0068】
UPがDOWNに先行する場合、Sel_1制御信号は、それが制御する第2の経路選択マルチプレクサ452をFB−Uが通過できるようにし、DOWNがUPに先行する場合はFB−Dが通過できるようにする。
【0069】
Sel_2信号は、UPまたはDOWNのうちの先にきたほう|UP−DOWN|によってトリガされるスタート信号でハイになり、選択された遅延パルスがカウンタ470に入ることが可能になる。Sel_2信号はローになり、したがってパルスを阻止し、その立上りエッジはUP−DOWNペアの終了を意味する。したがって、ある意味で、必要なときにカウンタ470が使用可能になる。
【0070】
動作中、第1の処理経路および第2の処理経路の両方がPFCからのそれぞれのUP信号およびDOWN信号によってトリガされる。各処理経路におけるトリガ信号はパルス生成器をトリガする。パルス生成器からのパルスはタップ付き遅延線に結合される。タップ付き遅延線からの出力は、遅延パルスがパルス生成器を再トリガするように動作するように、パルス生成器のトリガ入力にフィードバックされる。遅延線を通したパルスの各完全遷移はカウンタを増分する。変換期間の終了時に、総遅延は、タップ付き遅延線のタップを考察することによって判断できる、カウンタの値と遅延線の遅延との積と、遅延線を通したパルスの部分遷移との和であると判断できる。選択器コントローラは、カウンタおよびタップ付き遅延レジスタが第1の処理経路からの値を記憶するか、第2の処理経路からの値を記憶するかを判断する。
【0071】
TDC400では、UP−DOWNペアが開始する前に、「フラッシュ」制御信号および「フィードバック」制御信号は、それらが制御するマルチプレクサが、遅延線440−1および440−2の内容をフラッシングし、カウンタ470をリセットするために「UP」入力および「DOWN」入力を通過させるように制御される。
【0072】
「UP」および「DOWN」の立上りエッジに応答して、対応するパルス生成器(PG)420−1および420−2は、UPハイまたはDOWNハイの期間とは無関係に、固定持続時間のパルスを生成する。次いで、このパルスは、その出力において、立上りエッジおよび立下りエッジを時間整合させるそれぞれのエッジアライナ(EA)430−1および430−2を通過する。立上りエッジおよび立下りエッジは位相差測定のために差動遅延線内で利用される。エッジ整合の後、パルスは絶対値測定のために遅延線440−1または440−2に入る。
【0073】
UPまたはDOWNのどちらの入力が最初にきても、立上りエッジがフィードバックマルチプレクサ414−1または414−2を通過した後で、その対応するフィードバック制御信号はハイになる。しかしながら、後に到着した入力に対応するフィードバック制御信号は、その立上りエッジが到着した後もローのままである。このように、位相差が遅延線時間長よりも大きい場合、最初に到着したパルスのみが遅延線を通過し、ループバックすることが許される。後に到着したパルスUPまたはDOWNは、立上り信号の遅延線を読み取るために使用され、したがってループバックすることが許される必要はない。
【0074】
最初に到着した入力の遅延線440−1または440−2のパルス出力は、「Sel_1」および「Sel_2」によって制御されるマルチプレクサ452および454を通してカウンタ470の入力に接続される。位相差が全遅延線持続時間を超える場合、遅延線440−1または440−2からきた遅延パルスは、そのカウントを増分するカウンタ470に入る。この遅延パルスはまた、ループバックして、再びそのそれぞれの遅延線440−1または440−2を通過する。図4Aの実施形態では、遅延パルスはパルス生成器を再トリガする。このサイクルは、第2のUP入力またはDOWN入力が到着するまで反復する。第2の入力は現在のUP−DOWNペアの終了を意味し、制御信号「Sel_2」がローになり、カウンタの入力を阻止する。この時点で、関係する遅延線も、後に到着した入力によって読み取ることができ、その状態は遅延線中のフリップフロップまたは他のレジスタに記憶される。
【0075】
次のUP−DOWNペアが開始すると、カウンタの読みはフリップフロップの中間層に記憶され、そこから後続のFREFエッジにおいて読み取られる。「Sel」制御信号は、選択された遅延線出力(フリップフロップ出力)をフェッチレジスタ460に接続する。フェッチレジスタ460は、たとえば、遅延線出力を読み取るFREFによってクロック制御されるフリップフロップのグループとすることができる。したがって、FREFエッジごとに、TDC400の出力C<0:4>およびD<0:47>が更新される。
【0076】
選択コントローラ480は、UP、DOWN、およびFREF信号に基づいて様々な制御信号を生成するように構成された1つまたは複数のモジュールとして実装できる。図11〜図15は、選択コントローラ280内のモジュールのいくつかの例を含む。
【0077】
図4Bは、図2のADPLLにおいて使用できるような、位相デジタル変換器230の代替実施形態の簡略機能ブロック図である。図4Bの位相デジタル変換器230の実施形態は図4Aの絶対値変換器400と同様である。ただし、図4Bの位相周波数変換器230は、位相周波数変換器の必要なしに、および対称処理経路の必要なしに、実質的に位相デジタル変換プロセス全体を実行するように構成できる。第1の信号処理経路は、第2の処理経路によって定義される時間期間中の位相差のデジタル値を判断する要素を含む。
【0078】
図4Bの位相周波数変換器230のいくつかの部分は明快のために省略されている。たとえば、遅延線440をフラッシングするためのハードウェアは省略されているが、図4Aに示すハードウェアと同様とすることができる。同様に、遅延線440のステータスを読み取ることに関連するハードウェアはブロック図から省略されているが、図4Aの絶対値変換器の図示の構成と実質的に同様とすることができる。
【0079】
図4Bの位相デジタル変換器(PDC)230は、単一の遅延経路とフィードバック経路とを含む。PDC230は、図4Aに示す変換器とほとんど同じ方法でデジタル値を判断するが、対称経路を使用しない。カウンタ470は、遅延線を通したパルスの完全遷移の数を示すカウント値を記憶し、遅延線値から読み取られる値は、遅延線440を通したパルスの遷移の部分を示す。
【0080】
PDC230は、それぞれ基準クロックと分周信号とを遅延させるように動作する第1の固定遅延490−1と第2の固定遅延490−2とを含む。固定遅延490−1および490−2は、2つの信号処理経路を通した信号の選択を制御するために使用される符号値の処理を可能にするわずかな遅延を導入するために使用される。固定遅延490−1および490−2からの出力は、第1の経路選択マルチプレクサ416−1の入力および第2の経路選択マルチプレクサ416−2の入力に結合される。
【0081】
第1の処理経路は第1の経路選択マルチプレクサ416−1を含む。第1の経路選択マルチプレクサ416−1の出力は、基準クロックから発生したか分周信号から発生したかにかかわらず、実質的に最初に到着した信号の遷移である。第1の経路選択マルチプレクサ416−1からの出力は第1のパルス生成器420−1の入力に結合される。第1のパルス生成器420−1の出力は、遅延線440からの出力に対応する、パルス生成器出力または遅延パルス出力の一方を選択するように構成されたループマルチプレクサ492の第1の入力に結合される。
【0082】
ループマルチプレクサ492の出力は遅延線440に結合される。遅延線440は遅延パルス出力をカウンタ470の入力に結合する。遅延線440からの各パルス出力はカウンタ470中のカウント値を増分する。遅延線440は遅延パルス出力をループマルチプレクサ492の第2の入力に結合する。
【0083】
ループマルチプレクサ492は、各PDC変換サイクルの開始時に第1のパルス生成器420−1出力を選択するように最初に構成される。ループマルチプレクサ492を通した初期パルス遷移に続いて、ループマルチプレクサ492によって選択された入力を制御するループ制御信号は、第2のフィードバック入力を選択するようにループマルチプレクサ492を制御する。ループマルチプレクサ492は、第2の処理経路によって示される変換サイクルの終了まで、フィードバック入力を選択し続ける。
【0084】
第2の経路選択マルチプレクサ416−2への入力は第1の経路選択マルチプレクサ416−1への入力に対して反転されている。マルチプレクサ416−1および416−2の両方の信号選択制御は符号信号に結合される。したがって、第2の処理経路中の第2の経路選択マルチプレクサ416−2は、第2の到着信号を選択するように動作する。
【0085】
第2の経路選択マルチプレクサ416−2からの出力は第2のパルス生成器420−2の入力に結合される。第2のパルス生成器420−2の出力は変換制御マルチプレクサ494の第1の入力に結合される。変換制御マルチプレクサ494の出力は、遅延線440の読取り入力、ならびにカウンタ470のクロック入力またはレジスタ入力に結合される。
【0086】
変換制御マルチプレクサ494の出力のローからハイへの遷移は、変換サイクルの終了を示す変換終了信号であり、レジスタへのタップ付き遅延線値をクロック制御するように、およびレジスタへのカウンタ470の値をクロック制御するように動作することができる。
【0087】
変換制御マルチプレクサ494は、各PDC変換サイクルの開始時に、ローまたはゼロ値などの所定の値を選択するように最初に構成される。変換制御マルチプレクサ494は、ループ制御信号に基づいて、第1の処理経路におけるパルス生成器出力が遅延線440に入ると、第2のパルス生成器420−2からの出力を選択するように動作する。第2のパルス生成器420−2および変換制御マルチプレクサ494の使用はまた、制御信号が受けた伝搬遅延を第1の信号処理経路における最初の信号の伝搬遅延に一致させるのを助ける。
【0088】
変換サイクルの終了時に、位相差のデジタル値は、カウンタ値とタップ付き遅延線440からの値とによって与えられる。カウンタ値は、遅延線を通したパルスの完全遷移の数を示し、タップ付き遅延線440からの値は、遅延線440を通したパルスの部分遷移を示す。
【0089】
図5は、図4AのTDCまたは図4BのPDCにおいて使用できるパルス生成器420の一実施形態の簡略機能ブロック図である。パルス生成器420は、その入力において立上りエッジに応答して固定幅のパルスを生成するように構成される。パルスの幅は、遅延線の全遅延よりも小さい、ほとんどどんな幅にも構成できる。図5のパルス生成器420は、150psのオーダーの狭いパルス幅を与えるように構成される。他のパルス生成器構成は、370psのオーダーまたは何らかの他の継続時間のパルス幅を与えるように構成できる。
【0090】
パルス生成器420は、パルス生成器420入力に結合された入力を有する第1のインバータ510を含む。p型FET520のソースおよびn型FET540のソースはまたパルス生成器420入力に結合される。
【0091】
第1のインバータ510からの出力は第2のインバータ512の入力に結合される。第1のインバータ510からの出力はまたn型FET540のゲートに結合される。第2のインバータ512からの出力は、p型FET520のゲートと、そのソースが接地または電圧復帰に結合されたプルダウンFET530のゲートとに結合される。p型FET520、n型FET540、およびプルダウンFET530のドレインは、共通接続を共有し、パルス生成器420の出力に共通である。
【0092】
最初のロー状態から開始し、p型FET520は導通せず、プルダウンFET530は導通せず、n型FET540は導通し、それによってロー入力状態を出力に結合し、補強する。
【0093】
入力信号の立上りエッジにおいて、第1のインバータ510は、伝搬遅延後にその出力をロー状態に遷移する。これはn型FET540上に否定ゲートソース電位を生成し、それによってn型FET540をハイインピーダンス状態に遷移する。
【0094】
p型FET520は、第2のインバータ512を通して伝搬する信号より前に否定ゲートソース電位に遭遇する。この時間期間中に、p型FET520が導通し、ハイ入力レベルを出力に結合する。
【0095】
第1のインバータ510のロー状態への遷移は、伝搬遅延後に第2のインバータ512の出力をハイ状態に遷移させる。第2のインバータ512の出力がハイに遷移すると、p型FET520のゲートの電圧が上がり、それによってp型FET520の導通を切断する。第2のインバータ512の出力のハイ状態への遷移はまた、プルダウンFET530を導通させ、それによって出力をプルダウンし、浮動出力を防ぐために出力から接地への経路を与える。
【0096】
入力におけるハイ状態からロー状態への遷移は、パルス生成器420の出力における状態の変化を引き起こさず、プルダウンFET530をハイインピーダンス状態に遷移させる。しかしながら、n型FETは導通状態に遷移し、それによってパルス生成器420出力のためのプルダウン経路を与える。
【0097】
図6は、タップ付き遅延線600の部分の一実施形態の簡略機能ブロック図である。タップ付き遅延線600の部分は、たとえば、図4AのTDCにおける遅延線の部分とすることができる。
【0098】
遅延線600は、3つの入力で構成できる。入力の2つは、遅延要素のチェーンに結合された差動入力に対応する。第3の入力は、その到着時に遅延チェーンの状態をラッチする「読取り」信号を受信する。遅延要素の状態は、後でフェッチレジスタブロックに読み取るか、またはさもなければFREFエッジにおいてフェッチレジスタブロックにラッチすることができる。
【0099】
図6の遅延線600は、65nm CMOSプロセスにおいて入手できる最小論理レベル再生遅延とほぼ同じであり、これは実質的にネイティブインバータの伝搬遅延と同じである22psの分解能を有する。この遅延分解能は、通常2つのインバータからなる、バッファを通した最小遅延の実質的に半分である。遅延要素としてバッファの代わりにインバータを使用することによる解像度改善が可能であるためには、その偶数と奇数の特性を一致させること、すなわち立上り時間と立下り時間とを同じにすることが必要である。
【0100】
遅延チェーン610は、直列に構成された平衡インバータ、たとえば612a、612bを使用して実装される。遅延チェーン610は、2つの並列インバータチェーンを使用して実装される。インバータチェーンは、非常に狭い(〜2ps)平衡準安定ウィンドウをもつ、差動フリップフロップ、たとえば662−kによって、交互に読み取られる。奇数のインバータに続くk番目のDフリップフロップ662−kは、第1のインバータチェーンに結合されたそのD入力と、第2の並列インバータチェーン上の対応するポイントに結合されたそのD−入力とを有する。(k+1)Dフリップフロップ662−(k+1)は、(k+1)インバータに続く第2の並列インバータチェーンに結合されたそのD入力、612−(k+1)と、(k+1)インバータに続く第1のインバータチェーンに結合されたそのD−入力、613−(k+1)とを有する。このようにして、各Dフリップフロップ、たとえば662−k、662−(k+1)、662−(k+2)からのレジスタ出力は、同じ極性を有し、各遅延要素に続く遅延線610をタップする。
【0101】
遅延線610は、48の要素(2つの並列遅延チェーン上の合計96のインバータ)、したがってほぼ1nsの公称時間期間で構成できる。2つのそのような遅延線610はPDCによって採用される。一方の遅延線では、UP信号によってトリガされたパルスが遅延チェーンを通過し、DOWN信号フリップフロップをクロック制御し、その到着時に遅延チェーン状態を読み取るが、他方の遅延線では、DOWN信号によってトリガされたパルスが遅延チェーンを通過し、UP信号がフリップフロップ、たとえば662をクロック制御する。
【0102】
選択コントローラは、UP信号とDOWN信号のどちらが最初に到着したかを判断し、関係する遅延がフリップフロップから読み取られる関係する遅延線を制御する。遅延線によって「UP」信号および「DOWN」信号に提示される負荷は符号に依存しない。したがって、「UP」遅延線および「DOWN」遅延線610のための別段の同じ経路における非理想性による時間不一致は、出力において単純な時間オフセットのように見え、これは、おそらく位相ロックに影響を及ぼさない。
【0103】
しかしながら、ただ1つの遅延線が使用され、それらの到着順序に応じて「UP」パルスおよび「DOWN」パルスが単一の遅延チェーン610にルーティングされる場合、遅延線入力を判断する符号依存ルーティング後の非理想性による時間不一致は非線形性に変わる。符号依存ルーティング後の不一致は、伝達関数を、原点におけるジャンプまたはオフセットとして表される非線形性を有する伝達関数に変更する。
【0104】
図7は、図3AのTDCにおいて使用されるエッジアライナなど、エッジアライナ430の一実施形態の簡略機能ブロック図である。
【0105】
エッジアライナ430は、遷移時間の差が小さい(〜30ps)立上りエッジと立下りエッジとを有する差動信号を取得し、立上りエッジと立下りエッジとが整合されたエッジ整合出力を与える。
【0106】
エッジアライナ430は並列インバータ経路を含み、立上り遅延と立下り遅延とを等化するために特定のインバータ出力の後に信号の相互結合が行われる。各インバータチェーンにおいて使用されるインバータのサイズは、エッジアライナ430の出力が、大きい負荷を提示するバッファを駆動できるように、チェーンに沿って徐々に増大させることができる。図7の実施形態では、長方形で囲まれた部分は、エッジ整合の作業を行うユニットである。より良い結果を得るために、2つのそのようなブロックが使用されている。第2のエッジ整合ブロックは、チェーンに沿って駆動機能を増大させるために、より大きいトランジスタを有することができる。
【0107】
図8は、カウンタ800の一実施形態の簡略機能ブロック図である。カウンタ800は、5ビットカウンタとして構成され、フリップフロップ810−1〜810−5の直列構成を含む。各フリップフロップ、たとえば810−1は、その反転出力をD入力に戻す。さらに、各フリップフロップ、たとえば810−1からの出力は次のフリップフロップをクロック制御し、たとえば、DFF810−1からの出力はDFF810−2をクロック制御する。
【0108】
クリア制御信号は、次のカウントサイクルが開始する前にカウンタ800をリセットする。図9に示す代替実施形態では、クリア制御信号は、カウンタ470の出力がフリップフロップの別の層に記憶された後に発生する。カウントサイクルの開始は、NDIVエッジによってトリガできるので、FREFエッジとは無関係である。その場合、カウンタ値が失われるのを防ぐために、新しいサイクルが開始する前に前のカウンタ出力を記憶しなければならない。したがって、カウンタ800の読みは、次のサイクルが開始する前に、フリップフロップ(図示せず)に記憶され、後続のFREFエッジにおいてフリップフロップの別の層によって読み取られる。
【0109】
図9は、フリップフロップの複数の層を有するカウンタ470の代替実施形態の簡略機能ブロック図であり、図4AのTDCにおいてカウンタとして使用できる。
【0110】
新しいUP−DOWNペアが開始すると、「Counter_clear」におけるパルスが続き、これがフリップフロップ910−1〜910−5の第1の層にカウンタ出力を記憶し、カウンタ800をクリアする。後でFREFエッジが到着した後、この層のフリップフロップ、910−1〜910−5からの出力はフリップフロップ920−1〜920−5の第2の層に記憶される。フリップフロップ920−1〜920−5の第2の層は、基準クロックFREFの遅延バージョンとすることができるDXOによってクロック制御される。たとえば、遅延基準クロックDXOは、3フリップフロップクロック対Q遅延だけFREFを遅延させることによって実装できる。
【0111】
遅延クロックを使用することは、UP−DOWNペアがFREFで開始する状況に対処するために好ましい。「Counter_clear」におけるパルスがこのFREFエッジに続き、フリップフロップ910−1〜910−5の第1の層において出力された信号は古く、FREFエッジにおいて更新された値でない可能性がある。
【0112】
図10は、各TDC変換動作より前にカウンタをクリアする際に使用するカウンタクリア生成器1000の一実施形態の簡略図である。カウンタクリア生成器1000は、第1のバッファ1012を有する第1のDフリップフロップ1010を含み、バッファ1012の入力は第1のDフリップフロップ1010のQ出力に結合され、バッファ1012の出力は第1のDフリップフロップ1010のリセット入力に結合される。D入力はハイに引き上げられる。クロック入力は基準発振器FREFに結合される。したがって、第1のDフリップフロップ1010は、FREFの各立上りエッジにおいてパルスを生成するように構成される。
【0113】
第1のDフリップフロップ1010からのQ出力はまた第2のDフリップフロップ1020のクロック入力に結合される。第2のDフリップフロップ1020のD入力はPFDからのUP信号を受信する。第2のDフリップフロップ1020のQ出力は第2のバッファ1022の入力に接続される。第2のバッファ1022の出力は第2のDフリップフロップ1020のリセット入力に接続される。
【0114】
第1のORゲートが、その入力においてUP信号とDOWN信号とを受信し、その2つの信号の論理ORを出力する。第1のORゲート1030の出力は第1のパルス生成器1042をトリガし、第1のパルス生成器1042の出力は第2のORゲート1050の入力に結合される。
【0115】
第2のDフリップフロップ1020のQ出力は第2のパルス生成器1044をトリガし、第2のパルス生成器1044の出力は第2のORゲート1050の第2の入力に結合される。第2のORゲートの出力はカウンタクリア信号である。
【0116】
カウンタクリア生成器1000は、あらゆるUP−DOWNペアの開始の後にパルスを生成する。このペアがUPまたはDOWNにおける立上りエッジにより開始する場合、所要のパルスを生じるパルス生成器P1においてパルスが生成される。ただし、このUP−DOWNペアが前のFREFサイクル中のアクティビティにより存在する場合、それに先行する第1のORゲート1030の出力はすでにハイなので、P1においてパルスは生成されないであろう。P2において第2のパルス生成器1044からのパルスが生成されるのは、この場合である。この状況では、「UP」は前のFREFエッジにおいてハイになり、それ以降ハイである。現在のFREFエッジにおいて、「UP」はハイのはずである。第1のDフリップフロップ1010の後続のFREFエッジ出力がハイになり、次いで少し後にリセットされる(事実上その出力においてパルスが生成される)。このパルスは「UP」をサンプリングし、それがハイである場合、P2においておよび「Counter_clear」において第2のパルス生成器1044からパルスを生成する。「UP」をサンプリングする前に1クロック対Q遅延だけFREFエッジを遅延させる理由は、NDIVがFREFの前であるがそれに極めて近接して到着する状況においてパルス生成を回避するためである。この場合、FREFを遅延させることはUPがローになるための時間を与える。ただし、明らかにこの状況では(収集期間など)位相差が大きく、精度がまだ適用には十分なので、遅延がないFREFを使用することで大きな誤差を生じない。
【0117】
図11は、「Sel」制御信号生成器の一実施形態の簡略図である。DOWN信号は第1のDフリップフロップDFF1、1110のD入力に結合され、UP信号はクロック入力に接続される。DFF1 1110からのQ出力は第2のDフリップフロップDFF2、1120のD入力に結合される。インバータ1130は、基準クロックFREFを反転させ、反転信号をDFF2 1120のクロック入力に結合する。
【0118】
Sel信号はFREFの立下りエッジごとに更新される。したがって、Sel信号は、目的とされる、FREFエッジより、基準クロック期間TREFの半分前に利用可能である。信号は、半分のTREF継続時間がそれを過ぎるまで有効なままである。「UP」が「DOWN」に先行する場合、DFF1 1110からの出力はFREFエッジの後、数ピコ秒間ハイであり(「UP」とFREFは同期される)、このイベントに続く立下りFREFエッジは、次のFREFエッジにおいて「Sel」として働くこの値をDFF2 1120にラッチする。
【0119】
図12は、そのスタート信号およびストップ信号がPDC内のいくつかの他のモジュールによって使用されるスタート/ストップ生成器1200の一実施形態の簡略図である。「UP」および「DOWN」から生成されるこれらの2つの信号は、様々な制御信号の生成のためにTDCにおいて使用される。「スタート」における立上りエッジはUP−DOWNペアの開始を示し、「ストップ」における立上りエッジはペアの終了を示す。
【0120】
UP信号はORゲート1210およびANDゲート1220の第1の入力に結合され、DOWN信号は同じゲートの第2の入力に結合される。ORゲート1210からの出力はスタート信号を表し、ANDゲートの出力はストップ信号を表す。
【0121】
図13Aおよび図13Bに、それぞれ制御マルチプレクサによって使用される、Sel_1およびSel_2信号のための生成器1300および1350を示す。2対1マルチプレクサのための2つの制御信号は、パルスがいつ、どの遅延線からカウンタに入ることができるかを判断する。「スタート」信号および「ストップ」信号は、これらの制御信号の生成において使用される。Sel_1は、「UP」によってクロック制御された遅延線からの出力パルスがカウンタに入るべきか、「DOWN」によってクロック制御された遅延線からの出力パルスがカウンタに入るべきかを判断し、Sel_2は、遅延線から来るパルスがカウンタに入るべきか、「0」がカウンタに入るべきかを判断する。
【0122】
Sel_1生成器1300は、そのD入力において/DOWNを有し、UP信号によってクロック制御される、Dフリップフロップ1310の/Q出力においてSel_1信号を生成する。バッファ1330をもつDフリップフロップ1320は、パルス生成器として構成され、ストップ信号の立上りエッジにおいてSel_1Dフリップフロップ1310へのリセット信号を供給するために使用される。最初に、「スタート」信号の受信後、「Sel_1」は、UPがDOWNに先行する場合はローであり、DOWNがUPに先行する場合はハイである。「ストップ」が到着すると、「Sel_1」はハイになる。
【0123】
Sel_2生成器1350は、スタート信号に基づいてSel_2信号を生成する。そのD入力をハイに引き上げられる第1のDフリップフロップ1360は、スタート信号を使用して、スタート信号の立上りエッジにおいてQ出力へのハイレベルをクロック制御する。第1のDフリップフロップ1360のQ出力は、そのD入力がハイに引き上げられた第2のDフリップフロップ1370をクロック制御するために使用される。したがって、Sel_2信号は、スタート信号によってトリガされ、2クロック対Qフリップフロップ遅延だけ遅延される。パルス生成器として構成された第3のDフリップフロップおよびバッファ1390は、ストップ信号の立上りエッジにおいて第1のDフリップフロップ1360および第2のDフリップフロップ1370のリセット入力にパルスを出力する。したがって、Sel_2は、「スタート」の立上りエッジとともにハイになり、立上り「ストップ」エッジとともにローになり、したがって遅延線出力パルスがカウンタに入るのを止める。
【0124】
図14Aおよび図14Bに、フィードバック制御信号のための生成器1400および1450を示す。これらのフィードバック制御信号は、遅延線パルス出力のそれぞれの遅延線の入力において別のパルスをトリガするために遅延線パルス出力をループバックすべきかどうかを判断する。最初に到着する入力信号「UP」または「DOWN」は、2番目の入力または「ストップ」信号が到着するまで、ループバックすることが可能である。ただし、2番目に到着する入力は、そのそれぞれの処理経路中の遅延パルスをループバックさせない。
【0125】
UPフィードバック制御生成器1400はUPフィードバック経路を制御するように動作する。「UP」が「DOWN」に先行する場合、DFF1 1410の出力は、UP信号の立上りエッジに続いてハイになる。Sel_2がハイである場合(スタート後に2クロック対Q遅延が生じる)、UPが通過する遅延線はフィードバックモードに入る。ANDゲート1412は、DFF1 1410出力と「Sel_2」との論理積を生成して、「Sel_2」はスタート後ハイになり、これはUP−DOWNペアのスタートから約1ゲート遅延後にハイになるので、入力パルスがフィードバックマルチプレクサを通ってパルス生成器の入力に到るのに十分な時間が与えられた後でのみ、入力経路が切断されてフィードバック経路を形成することを保証するリセットフリップフロップDFF2 1420は、ストップ信号の到着の後にリセットパルスを生成するようにバッファ1430で構成される。
【0126】
DOWNフィードバック制御生成器1450は、DOWNフィードバック経路を制御するように動作し、UPフィードバック制御生成器と実質的に同じように構成されるが、DOWN信号への接続とUP信号への接続とが反転される。DOWNがUPに先行する場合、DFF3 1460の出力はDOWN信号の立上りエッジに続いてハイになる。ANDゲート1462は、DFF3 1460出力とSel_2との論理積を生成する。リセットフリップフロップDFF4 1470は、ストップ信号の到着の後にリセットパルスを生成するようにバッファ1480で構成される。
【0127】
図15は、フラッシュ制御生成器1500の一実施形態の簡略図である。PDCは、各UP−DOWNペアの終了後、および入力信号が次のサイクルを開始する前に、パルスの両方の遅延線をフラッシングまたはさもなければクリーニングするように構成される。これは、フィードバック接続および入力接続を切断し、論理「0」を遅延線に注入し、入力を再接続する前に遅延チェーン時間長よりも長い継続時間にわたって待機することによって行われる。
【0128】
フラッシュ制御生成器1500はDフリップフロップ1510、1520、1530の直列接続を含み、その数は総遅延線遅延の継続時間に基づいて判断できる。すべてのD入力はハイに引き上げられる。チェーンにおける最初のDフリップフロップ1510はストップ信号によってクロック制御される。第1のDフリップフロップ1510からの出力は、フラッシュ制御信号を出力するインバータ1540を駆動する。各後続のDフリップフロップ、たとえば1520および1543は、先行するDフリップフロップからの出力によってクロック制御される。最後のDフリップフロップ1530は、チェーンにおけるすべてのDフリップフロップの状態をリセットするバッファ1550を駆動する。
【0129】
したがって、フリップフロップのチェーンは、ストップ信号に続いて1クロック対Q遅延および1伝搬遅延後にハイに遷移する出力を与えるように構成される。フラッシュ制御信号は、バッファ1550の伝搬遅延によってさらに遅延される後続のNクロック対Q遅延をリセットする。
【0130】
「ストップ」が到着した後、両方のフィードバック制御信号はローになり、フィードバック経路を切断し、次いで「フラッシュ」もローに設定され、したがって入力接続を切断し、遅延線に「0」を注入する。「フラッシュ」は、入力接続を再確立した少し後に(約5クロック対Q遅延)ハイになる。入力接続は、少しの間切断されるので、次のUP−DOWNペアがこの期間中にスタートすると失われる、すなわち、ブラインドゾーンが生じることになる。この設計では、フラッシュにより、ブラインドゾーンの継続時間は標準状態下で約1.5nsである。ただし、「フラッシュ」は実際に「ストップ」が来た後に起こり、UP−DOWNペアが終了した後は起こらないので、1つのTREF継続時間よりも長い位相差中にブラインドゾーンが生じないように留意することが重要である。
【0131】
図16は、位相デジタル変換の方法1600の一実施形態の簡略フローチャートである。方法1600は、たとえば、図2のADPLL中に示す位相デジタル変換器(PDC)によって実装できる。
【0132】
方法1600はブロック1610において開始し、PDCは、たとえば、電圧制御発振器からの分周信号とすることができる発振器信号を受信する。図2のADPLLの例では、PDCによって受信される発振器信号は、デジタル制御発振器からの分周信号である。
【0133】
PDCはブロック1620に進み、PDCは、たとえば水晶発振器信号とすることができる基準クロック信号を受信する。集積回路ADPLLの一実施形態では、オンチップ基準発振器とともに、集積回路の外部にある水晶を使用することができる。方法1600はPDCを発振器信号の受信の後に基準クロックを受信するものとして示すが、PDCは一般に両方の信号を同時に、直列でなく受信する。
【0134】
PDCは、ブロック1630に進み、発振器信号および基準クロックに基づいて位相周波数検出(PDC)信号(1つまたは複数)を生成する。図2の実施形態では、PFDはUP信号とDOWN信号とを生成するが、用語「UP」および「DOWN」は2つの信号を区別しているにすぎず、機能的な説明ではない。
【0135】
PDCはブロック1640に進み、PDC信号に基づいて時間デジタル変換を生成する。図2の実施形態では、TDCは、対称遅延線を使用して、位相差の符号と位相差の絶対値とを生成するように構成され、デジタル値は、1つの対称遅延線を通した1つまたは複数の部分パルス遷移と、遅延線を通した完全遷移の数とに基づく。
【0136】
PDCはブロック1650に進み、デジタル値を符号および絶対値として戻す。符号はPFD信号から判断され、絶対値はPFD信号とともに遅延線処理から判断される。
【0137】
図17は、時間デジタル変換の方法1700の一実施形態の簡略フローチャートである。本方法は、たとえば図2のTDCによって実行でき、符号は図3Aに示す方法で判断され、絶対値は図4Aに示す方法で判断される。
【0138】
方法1700はブロック1710において開始し、TDCがPFDからの1つまたは複数の信号を受信する。図3Aの実施形態では、PFDは、基準クロックと発振器信号、およびそれらの互いに関係するタイミング関係(位相)に基づいて、UP信号とDOWN信号とを生成する。
【0139】
TDCはブロック1720に進み、PFD信号に基づいて位相差の符号を判断する。符号は、基準クロックが発振器信号に先行するか、その逆であるかを示す。
【0140】
TDCはブロック1730に進み、PFD信号(1つまたは複数)に基づいて少なくとも1つのパルスを生成する。図4Aの実施形態では、TDCは対称処理経路を用いて構成され、TDCは各経路中のパルス生成器をトリガする。TDCは、UP信号に基づいてパルス生成器をトリガし、DOWN信号に基づいて第2の対称経路中の第2のパルス生成器をトリガする。
【0141】
TDCは、ブロック1740に進み、それぞれの処理経路中のそれぞれの遅延線にパルスを結合する。TDCはブロック1750に進み、どの経路がアクティブ経路であるかを判断する。すなわち、TDCは、TDC絶対値変換のためにどちらの対称処理経路を使用すべきかを判断する。アクティブ経路は、総時間差が完全遅延遷移を超える場合に使用されるパルスフィードバック経路が有効である経路を表す。
【0142】
TDは決定ブロック1760に進み、パルスが遅延線を通して完全に遷移したかどうかを判断する。完全に遷移していない場合、TDCは判断ブロック1762に進み、変換期間が終了したかどうかを判断する。終了していない場合、TDCはブロック1760に戻り、遅延線を通したパルスの経過を監視する。判断ブロック1762において、変換期間が終了したとTDCが判断した場合、TDCはブロック1790に進み、変換値を判断する。
【0143】
判断ブロック1760において、パルスが遅延線を完全に通過した場合、TDCはブロック1770に進み、アクティブ経路の遅延線をパルスが完全に通過した回数を示すカウンタを増分する。TDCは判断ブロック1780に進み、変換期間が終了したかどうかを判断する。
【0144】
変換期間がまだ終了していない場合、TDCはブロック1782に進み、パルスを遅延線の入力にフィードバックする。TDCは、アクティブ処理経路中で次のパルスをトリガするために、遅延パルスを供給することによって、パルスフィードバックを実行することができる。遅延パルスをアクティブ経路の遅延線の入力にフィードバックした後、TDCはブロック1740に戻る。
【0145】
判断ブロック1780において、変換期間が終了したとTDCが判断した場合、TDCはブロック1790に進み、変換値を判断する。
【0146】
変換値は、遅延の符号と絶対値とを含むことができる。遅延線を通した1全遅延よりも絶対値が小さい場合、絶対値は遅延線を通したパルスの部分遷移を表す細かい位相差値とすることができる。遅延線を通した1全遅延よりも絶対値が大きい場合、絶対値は粗い位相差と細かい位相差とを含むことができる。粗い位相差は、カウンタ値によって示される、遅延線を通した完全遷移の数によって表すことができる。細かい位相差は、前述したのと同様である。
【0147】
絶対値が1全遅延よりも大きい場合、ADPLLは収集モードとすることができ、細かい位相差によって分解能を提供する必要はない。このような実施形態では、粗い位相差のみによって絶対値を表すことができ、細かい位相差による寄与を省略することができる。
【0148】
本明細書で使用する、結合または接続という用語は、直接的な結合または接続と同様に、間接的な結合を意味するために使用される。2つ以上のブロック、モジュール、デバイス、または装置が結合される場合、2つの結合されたブロックとの間に1つまたは複数のブロックが介在することがある。
【0149】
本明細書で開示した実施形態に関して説明した様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、縮小命令セットコンピューティング(RISC)プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲートまたはトランジスタロジック、個別ハードウェア構成要素、あるいは本明細書で説明した機能を実行するように設計されたそれらの任意の組合せを用いて実装または実行できる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサとすることができるが、代替として、プロセッサは、任意のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態マシンとすることができる。プロセッサは、コンピューティングデバイスの組合せ、たとえば、DSPとマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、あるいは任意の他のそのような構成として実装することもできる。
【0150】
本明細書で開示した実施形態に関連して説明した方法、プロセス、またはアルゴリズムのステップは、直接ハードウェアで実施するか、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで実施するか、またはその2つの組合せで実施することができる。方法またはプロセスにおける様々なステップまたは行為は、示された順序で実行でき、または別の順序で実行することができる。さらに、1つまたは複数のプロセスまたは方法ステップを省略することができ、または1つまたは複数のプロセスまたは方法ステップを方法およびプロセスに追加することができる。追加のステップ、ブロック、またはアクションを、方法およびプロセスの開始、終了、または介在する既存の要素に追加することができる。
【0151】
開示した実施形態の上記の説明は、当業者が本開示を作成または使用できるように行ったものである。これらの実施形態への様々な修正は当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義した一般原理は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく他の実施形態に適用できる。したがって、本開示は、本明細書で示した実施形態に限定されるものではなく、本明細書で開示した原理および新規の特徴に合致する最も広い範囲を与えられるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準クロックおよび発振器信号の一方の先に到着したエッジに基づいて第1のパルスを開始することと、
遅延線を通して前記第1のパルスを結合することと、
前記基準クロックおよび前記発振器信号の一方の後に到着したエッジに基づいて変換終了信号を判断することと、
前記遅延線を通した前記第1のパルスの遷移に基づいて前記基準クロックと前記発振器信号との間の位相差のデジタル値を判断することと
を備える位相デジタル変換の方法。
【請求項2】
前記デジタル値を判断することが、前記遅延線を通した部分遅延を示すタップ付き遅延線値を判断することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記遅延線からの出力に基づいてカウンタ値を増分することと、
前記遅延線からの前記出力を前記遅延線の前記入力に戻して結合することと
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記デジタル値を判断することが、前記カウンタ値を判断することを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記デジタル値を判断することが、
前記遅延線を通した完全遷移の数を示すものとして前記カウンタ値を判断することと、
前記遅延線を通した部分遅延を示すタップ付き遅延線値を判断することと
を備える、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記変換終了信号を判断することが、前記基準クロックおよび前記発振器信号の一方の後に到着したエッジに基づいて第2のパルスを開始することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記変換終了信号を判断することが、変換制御マルチプレクサを通して前記第2のパルスを結合することをさらに備え、前記変換終了信号が前記変換制御マルチプレクサの出力を備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
基準クロックおよび発振器信号の一方の前記先に到着したエッジに基づいて前記第1のパルスを開始することが、
前記基準クロックおよび前記発振器信号の一方の前記先に到着したエッジを判断することと、
前記先に到着したエッジに基づいて第1のパルス生成器をトリガすることと
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記先に到着したエッジを判断することが、
前記基準クロックをDフリップフロップの非反転入力に結合することと、
前記発振器信号を前記Dフリップフロップの反転入力に結合することと、
前記基準クロックと前記発振器信号との論理和に基づいて前記Dフリップフロップをクロック制御することと、
前記Dフリップフロップの出力に基づいて前記先に到着したエッジを示すことと
を備える請求項8に記載の方法。
【請求項10】
発振器信号の遷移と基準クロックの遷移とに基づいて少なくとも1つの位相周波数検出信号を生成することと、
前記少なくとも1つの位相周波数変換信号に基づいて信号パルスを生成することと、
遅延線を通した前記信号パルスの遷移に基づいて位相差のデジタル値を生成することと
を備える位相デジタル変換の方法。
【請求項11】
前記位相差を生成することが、前記遅延線を通した前記信号パルスの部分遷移に部分的に基づいて細かい位相差値を生成することを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記細かい位相差を生成することが、
前記信号パルスを、複数の遅延要素の直列接続を有するタップ付き遅延線に結合することと、
前記少なくとも1つの位相周波数変換信号に基づいて前記タップ付き遅延線の各タップからの値を登録することと
を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記位相差を生成することが、前記遅延線を通した前記信号パルスの完全遷移の数に部分的に基づいて粗い位相差値を生成することを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記粗い位相差を生成することが、
前記少なくとも1つの位相周波数検出信号に基づいて読取り信号を生成することと、
前記読取り信号より前に前記遅延線を通した前記信号パルスの完全遷移の数をカウントすることと
を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記基準クロックの選択された遷移に対する前記発振器信号の選択された遷移の到着順序に基づいて前記位相差の符号を生成することをさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記遅延線に前記信号パルスを印加する前に前記信号パルスの立上り遷移のタイミングを立下り遷移のタイミングに整合させることをさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
カウンタを増分することと、
前記基準クロックの状態に基づいて後続の信号パルスを生成するために前記遅延線の出力からの遅延信号パルスをフィードバックすることと
をさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記位相差を生成することの後に前記遅延線をフラッシングすることをさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
発振器信号を受信することと、
基準クロックを受信することと、
前記発振器信号の遷移と前記基準クロックの遷移とに基づいて、UP信号とDOWN信号とを含む少なくとも1つの位相周波数検出信号を生成することと、
前記UP信号と前記DOWN信号とに基づいて読取り信号を生成することと、
前記UP信号に基づいて第1の信号パルスを生成することと、
前記DOWN信号に基づいて第2の信号パルスを生成することと、
前記第1の信号パルスを第1の遅延線に結合することと、
前記第2のパルス信号を第2の遅延線に結合することと、
前記DOWN信号に対する前記UP信号の遷移に基づいて、そのそれぞれの遅延線を通した、前記第1の信号パルスまたは第2の信号パルスの一方の完全遷移の数をカウントすることと、
前記それぞれの第1の遅延線および第2の遅延線を通した、前記第1の信号パルスまたは前記第2の信号パルスの一方の前記数または部分遷移の少なくとも一方に基づいて、位相差のデジタル値を判断することと
を備える位相デジタル変換の方法。
【請求項20】
前記第1の信号パルスを前記第1の遅延線に結合する前に前記第1の信号パルスの立上り遷移時間と立下り遷移時間とを整合させることをさらに備える、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の遅延線をフラッシングすることと、
前記第2の遅延線をフラッシングすることと、
前記数を所定の値にリセットすることと、
前記位相差の前記デジタル値を更新することと
をさらに備える、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の信号パルスを前記第1の遅延線に結合することが、前記第1の信号パルスを第1のタップ付き遅延線に結合することを備え、前記位相差の前記デジタル値が、前記第1のタップ付き遅延線の各タップにおけるデジタル値に基づくデジタル値を備える、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
第1の入力において基準クロック信号を受信し、第2の入力において発振器信号を受信するように構成され、さらに制御入力信号に基づいて前記基準クロック信号または発振器信号の一方を出力するように構成された経路選択マルチプレクサと、
前記経路選択マルチプレクサの出力に結合されたトリガ入力を有する第1のパルス生成器と、
第1の入力においてパルス生成器出力を受信し、前記第2の入力において遅延パルス信号を受信するように構成され、ループ制御信号に基づいて前記パルス生成器出力または前記遅延パルス信号の一方を出力するように構成されたループマルチプレクサと、
前記ループマルチプレクサの出力に結合され、前記遅延パルス信号を出力するように構成され、さらに変換終了信号の受信時に部分パルス遷移を示すように構成された遅延線と、
前記遅延線によって出力されたパルスの数をカウントするように構成され、前記変換終了信号の受信時に前記数を出力するように構成されたカウンタと
を備える位相デジタル変換器。
【請求項24】
第1の入力において前記基準クロックを受信するように構成され、第2の入力において前記発振器信号を受信するように構成され、さらに前記第1の入力および第2の入力において信号の前記論理和を生成するように構成された論理ORゲートと、
前記基準クロックを受信するように構成された非反転入力と、前記発振器信号を受信するように構成された反転入力と、前記論理ORゲートの出力に結合されたクロック入力とを有するDフリップフロップとをさらに備え、前記制御入力信号が前記Dフリップフロップの出力を備える
請求項23に記載の位相デジタル変換器。
【請求項25】
前記遅延線がタップ付き遅延線を備える、請求項23に記載の位相デジタル変換器。
【請求項26】
前記遅延線によって出力されたパルスの前記数がゼロでない場合、前記位相デジタル出力が前記数を備える、請求項23に記載の位相デジタル変換器。
【請求項27】
前記位相デジタル出力が前記部分パルス遷移を備える、請求項23に記載の位相デジタル変換器。
【請求項28】
前記部分パルス遷移が温度符号化デジタル値によって示される、請求項27に記載の位相デジタル変換器。
【請求項29】
遅延線を通したパルスの部分遷移および前記遅延線を通した前記パルスの完全遷移の数の少なくとも一方に基づいて、発振器信号と基準クロックとの間の位相差の絶対値を判断するように構成された第1の信号処理経路と、
前記発振器信号と前記基準クロックとを受信するように構成され、前記位相差の符号を判断するように構成された符号生成器と
を備える位相デジタル変換器。
【請求項30】
発振器信号と基準クロックとに基づいてUP信号とDOWN信号とを生成するように構成された位相周波数検出器と、
前記位相周波数検出器に結合され、前記UP信号および前記DOWN信号の一方に基づいてパルス信号を生成するように構成されたパルス生成器と、
前記パルス生成器に結合されたタップ付き遅延線と、
前記遅延線の出力に基づいて増分するように構成されたカウンタと、
前記タップ付き遅延線に結合されたレジスタと、
前記UP信号と前記DOWN信号とに基づいて読取り信号を生成するように構成され、前記レジスタまたは前記カウンタの少なくとも一方における位相差のデジタル値をラッチするように構成された読取り制御生成器と
を備える位相デジタル変換器。
【請求項31】
前記パルス生成器と前記タップ付き遅延線との間に挿入され、前記パルス信号の立上りエッジの遷移時間を前記パルス信号の立下りエッジの遷移時間と整合させるように構成されたエッジアライナをさらに備える、請求項30に記載の位相デジタル変換器。
【請求項32】
前記タップ付き遅延線が複数の遅延要素の直列接続を備え、前記タップ付き遅延線の各タップが、前記複数の遅延要素のうちの1つの出力に結合された、請求項30に記載の位相デジタル変換器。
【請求項33】
前記複数の遅延要素が複数の非反転バッファを備える、請求項32に記載の位相デジタル変換器。
【請求項34】
前記遅延線の前記出力が、前記読取り信号の状態に基づいて前記パルス生成器を再トリガするために前記パルス生成器にフィードバックされる、請求項30に記載の位相デジタル変換器。
【請求項35】
前記カウンタがゼロ値を保持するとき、前記位相差の前記デジタル値が前記レジスタ値を備える、請求項30に記載の位相デジタル変換器。
【請求項36】
前記カウンタがゼロでない値を保持する場合、前記位相差の前記デジタル値がカウンタ値を備える、請求項30に記載の位相デジタル変換器。
【請求項37】
前記発振器信号の遷移と前記基準クロックの遷移とに基づいて、UP信号とDOWN信号とを含む位相周波数検出信号を生成するための手段と、
前記UP信号とDOWN信号とに基づいて変換スタート信号と変換ストップ信号とを生成するための手段と、
前記UP信号および前記DOWN信号の一方に基づいてパルスを生成するための手段と、
前記パルスを生成するための前記手段に結合された遅延のための手段と、
遅延のための前記手段の出力に結合されたカウントするための手段と、
前記スタート信号と前記ストップ信号とに基づいて、さらに、カウントするための前記手段の出力と、遅延のための前記手段を通した前記パルスの部分遷移とに基づいて、時間を位相差のデジタル値に変換するための手段と
を備える位相デジタル変換器。
【請求項38】
遅延のための前記手段が、
タップ付き遅延線と、
マルチビットレジスタの各ビットが前記タップ付き遅延線のタップに対応する、マルチビットレジスタと
を備える、請求項37に記載の位相デジタル変換器。
【請求項39】
前記部分遷移を判断するために、遅延のための前記手段を通した部分遷移をラッチするための手段をさらに備え、
前記位相差の前記デジタル値が、ラッチするため前記手段からの符号化出力を備える
請求項37に記載の位相デジタル変換器。
【請求項40】
前記位相差の前記デジタル値が、カウントするための前記手段の0でない出力を備える、請求項37に記載の位相デジタル変換器。
【請求項41】
デジタル制御発振器(DCO)と、
前記DCOに結合された入力と、デジタル分周出力信号を与えるように構成された出力とを有するデジタル分周器と、
基準発振器クロックに結合された第1の入力と前記デジタル分周器の前記出力に結合された第2の入力とを有する位相周波数検出器であって、前記デジタル分周出力信号と前記基準発振器クロックとに基づいてUP信号とDOWN信号とを生成するように構成された前記位相周波数検出器と、
前記UP信号を受信する第1の入力と、前記DOWN信号を受信する第2の入力と、前記基準発振器クロックを受信する第3の入力とを有する位相デジタル変換器であって、前記UP信号または前記DOWN信号の一方に基づいてパルス信号を生成するように構成され、さらに、遅延線を通した前記パルス信号の完全遷移および前記遅延線を通した前記パルスの部分遷移の少なくとも一方に基づいて前記デジタル分周出力信号と前記基準発振器クロックとの間の位相差のデジタル値を判断するように構成された位相デジタル変換器と、
前記位相デジタル変換器の出力に結合された入力と、前記DCOの制御入力に結合された出力とを有するデジタルループフィルタと
を備える完全デジタル位相ロックループ(ADPLL)。
【請求項42】
変調器と、
前記デジタルループフィルタの前記出力に結合された第1の入力と、前記変調器の出力に結合された第2の入力と、前記DCOの前記制御入力に結合された出力とをもつコンバイナと
をさらに備える、請求項41に記載のADPLL。
【請求項43】
前記デジタル分周器が分数分周器を備える、請求項41に記載のADPLL。
【請求項44】
前記位相デジタル変換器が、
前記位相周波数検出器に結合され、前記UP信号および前記DOWN信号の一方に基づいて前記パルス信号を生成するように構成されたパルス生成器と、
前記遅延線の出力に基づいて増分するように構成されたカウンタと、
前記遅延線に結合され、前記遅延線を通した前記パルス信号の前記部分遷移を表すデジタル値を判断するように構成されたレジスタと、
前記UP信号と前記DOWN信号とに基づいて読取り信号を生成するように構成され、前記レジスタまたは前記カウンタの少なくとも一方に前記位相差のデジタル値をラッチするように構成された読取り制御生成器と
を備える、請求項41に記載のADPLL。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2011−519529(P2011−519529A)
【公表日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505145(P2011−505145)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/040555
【国際公開番号】WO2009/129258
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】