定着装置、画像形成装置、及び画像形成プログラム
【課題】印刷終了までの時間を短縮することを目的とする。
【解決手段】用紙サイズ、紙種、枚数(N)を認識し(100)、現在の定着装置の温度と、定着温度上昇率から定着目標温度への到達時間を算出し(102、104)、印刷条件、及び搬送速度より印刷開始から終了までの時間を算出して、印刷終了時間を算出する(106、108)。各印刷モードについて印刷終了時間を算出して印刷終了時間が短い印刷モードを選択する(110〜126)。
【解決手段】用紙サイズ、紙種、枚数(N)を認識し(100)、現在の定着装置の温度と、定着温度上昇率から定着目標温度への到達時間を算出し(102、104)、印刷条件、及び搬送速度より印刷開始から終了までの時間を算出して、印刷終了時間を算出する(106、108)。各印刷モードについて印刷終了時間を算出して印刷終了時間が短い印刷モードを選択する(110〜126)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置、画像形成装置、及び画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像データに応じたトナー像を記録媒体上に形成して、加熱や加圧してトナー像を記録媒体に定着させることにより、記録媒体上に画像を形成する画像形成装置が一般的に知られている。
【0003】
ところで、定着不良を起こすことなく画像形成するためには、定着温度と搬送速度を制御する必要があり、印刷速度が定着温度に依存する。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の技術では、用紙1枚毎にそのときの定着器の温度に応じて、用紙の排出までの時間が最短になるような搬送速度を設定して印刷することが提案されている。
【0005】
また、特許文献2に記載の技術では、省エネモードからの印刷では通常の定着制御温度以下でも通常よりも低速にて印刷を開始して、通常温度に達した時点で通常の搬送速度に切り替えることが提案されている。また、紙種(サイズ)や、枚数、環境状況等から印刷速度を算出することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−137407号公報
【特許文献2】特開2004−145086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、印刷終了までの時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、記録媒体種、記録媒体の大きさ、及び記録媒体数を含む印刷条件を認識する認識手段と、画像を記録媒体に定着させるための定着目標温度及び該定着目標温度に対応する記録媒体の搬送速度がそれぞれ異なる複数の印刷モードを有し、現在の定着温度、及び定着温度上昇率に基づいて、各前記印刷モードの前記定着目標温度になるまでの時間を各前記印刷モードについてそれぞれ算出する算出手段と、前記算出手段の算出結果及び前記認識手段の認識結果に基づいて、各前記印刷モードの印刷終了時間を演算する演算手段と、前記演算手段の演算結果に基づいて、複数の前記印刷モードのうち前記印刷終了時間が短い前記印刷モードを選択する選択手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、省電力優先または印刷時間優先を設定する設定手段と、前記認識手段の認識結果及び前記算出手段の算出結果に基づいて、各前記印刷モードの消費電力を算出する電力算出手段と、を更に備え、前記選択手段が、前記設定手段によって省電力優先が設定されている場合には、前記電力算出手段の算出結果に基づいて、複数の前記印刷モードのうち消費電力が小さい前記印刷モードを選択し、前記設定手段によって印刷時間優先が設定されている場合には、前記演算手段の演算結果に基づいて、複数の前記印刷モードのうち前記印刷終了時間が短い前記印刷モードを選択することを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記認識手段の認識結果及び前記算出手段の算出結果に基づいて、各前記印刷モードの消費電力を算出する電力算出手段と、前記演算手段の演算結果及び前記電力算出手段の算出結果を表示する表示手段と、前記印刷モードの選択操作を行うための操作手段と、を更に備え、前記選択手段が、前記操作手段によって前記印刷モードの選択操作が行われた場合に、前記操作手段の操作結果に応じた前記印刷モードを選択することを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の定着装置を備えることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の発明は、コンピュータを、請求項1〜3の何れか1項に記載の定着装置の各手段として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、本構成を採用しない場合に比べて、印刷終了までの時間を短縮することができる、という効果がある。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、消費電力の低減も可能となり、ユーザの状況によって変化する要求に応えることができる、という効果がある。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、消費電力の低減も可能となり、ユーザの状況によって変化する要求に応えることができる、という効果がある。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を採用しない場合に比べて、印刷終了までの時間を短縮することができる、という効果がある。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を採用しない場合に比べて、印刷終了までの時間を短縮することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係わる画像形成装置の該着構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係わる画像形成装置の制御部で行われる定着装置の制御の流れの一例を示す図である。
【図3】生産性毎の印刷開始温度テーブルの一例を示す図である。
【図4】通常印刷モードと、通常印刷モードよりも生産性が低い他の印刷モード(生産性A、生産性B、生産性C)の各印刷開始時間と印刷終了時間の算出結果の一例を示す図である。
【図5】各印刷モードにおける印刷開始温度の求め方を説明するための図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係わる画像形成装置の制御部で行われる印刷終了時間及び消費電力の算出処理の流れの一例を示す図である。
【図7】紙種毎の印刷モード、定着温度、及び搬送速度(プロセススピード)の一例を示す図である。
【図8】(A)上昇時間より到達時間の方が短い場合を示す図であり、(B)は上昇時間より到達時間の方が長い場合を示す図である。
【図9】N枚印刷する場合の印刷終了時間の算出を説明するための図である。
【図10】普通紙の紙種における印刷モード毎の印刷終了時間及び消費電力の算出結果の一例を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係わる画像処理装置の制御部で行われる印刷モード選択実行処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図12】2つの印刷モード(印刷モードA、印刷モードB)で印刷を実行した場合の定着装置の温度と印刷終了時間の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係わる画像形成装置の該着構成を示すブロック図である。
【0020】
本発明の実施の形態に係わる画像形成装置10は、制御部12を備えており、該制御部12が画像形成装置10の動作を制御することにより、記録用紙に印刷を行う。
【0021】
制御部12は、CPU12A、RAM12B、ROM12C、及びI/O(インプットアウトプットインタフェース)Dがバス12Eに接続されたマイクロコンピュータで構成されている。ROM12Cには、画像形成装置10の各種動作を行うための制御プログラムが記憶されている。RAM12Bはワークメモリとして機能する。すなわち、CPU12Aは、ROM12Cに記憶された制御プログラムをRAM12Bに展開して実行することにより画像形成装置10の各種動作を制御する。
【0022】
I/O12Dには、操作部14、原稿送り部16、画像読取部18、画像処理部20、用紙送り部22、画像形成部24、定着装置26、及び通信制御部28が接続されている。
【0023】
操作部14は、タッチパネルディスプレイ等により構成され、表示機能及び操作入力機能を備えている。すなわち、ユーザが、タッチパネルディスプレイに指先等で接触することにより、画像形成装置10の各種設定、印刷時の指示入力や各種設定等を指示入力する。また、タッチパネルディスプレイには、画像形成装置10の動作状態等が表示される。なお、操作部14は、タッチパネルディスプレイに限るものではなく、操作入力キーと液晶等のディスプレイを適用するようにしてもよい。
【0024】
原稿送り部16は、所謂自動原稿装置であって、原稿置き台、給紙ローラ、原稿排紙台、給紙ローラを駆動する駆動部等により構成されている。原稿送り部16は、原稿置き台上に置かれた原稿束から、給紙ローラにより最上面の原稿を1枚ずつ分離し、プラテンガラス上に搬送する。プラテンガラス上に搬送された原稿は、画像読取部18によりスキャンされ、スキャンされた原稿が、原稿排紙台に排出されるか、もしくは再度原稿置き台に戻される。
【0025】
画像読取部18は、プラテンガラス上に置かれた原稿を照明する原稿照明ランプ、スキャナ等により構成されている。プラテンガラス上に置かれた原稿は、図示しないモータによって予め定めた方向に往復動作するスキャナによって走査される。原稿照明ランプにより照明された原稿からの反射光がスキャナを構成するCCDセンサ等の撮像素子に結像され、電気信号に変換されることによって画像データとして取り込まれる。
【0026】
また、画像処理部20は、画像読取部18から入力された画像データに対して濃度調整等の各種画像処理を施す。
【0027】
用紙送り部22は、図示しない多段の用紙格納部から記録用紙を画像形成部24に搬送する搬送経路、画像形成部24で画像形成された記録用紙を排出する排紙経路、及びこれら搬送経路や排紙経路に沿って配設された複数の搬送ローラを駆動する駆動部等を含んで構成されている。
【0028】
画像形成部24は、用紙送り部22により搬送された記録用紙に画像を形成することにより印刷を実行する。画像形成部24は、露光部、感光体、帯電器、現像器、転写機等を含んで構成されている。すなわち、帯電器により感光体が所望の電位に帯電された後、露光部から画像データに応じて変調されたレーザ光等の光が照射され、感光体上に潜像が形成される。露光部は、レーザ出力部及びポリゴンミラー等を含んで構成され、露光部より照射されるレーザ光は、画像読取部18で原稿が読み取られ画像処理部で画像処理された後の画像データや外部より入力される画像データに基づいて変調される。感光体上に形成された静電潜像は、現像器により現像されて、トナー像として可視かされる。感光体上に可視かされたトナー像は、転写機で、用紙送り部22により搬送された記録用紙に転写される。
【0029】
定着装置26は、画像形成部24によってトナー像が転写された記録用紙を加圧及び加熱して、上記転写されたトナー像を記録用紙に定着する。そして、画像が定着された記録用紙は、用紙送り部22によって画像形成装置10から排出される。また、定着装置26には、加熱温度を管理するために温度センサが設けられている。
【0030】
通信制御部28は、図示しないネットワーク等の通信手段に接続され、通信手段に接続されたクライアントコンピュータ等から画像形成指示を受信して、画像形成のための通信を制御する。
【0031】
ところで、定着装置26は、予め定めた定着目標温度で記録用紙を搬送して加熱及び加圧することにり記録用紙に転写されたトナー像を定着するが、本実施の形態では、予め定めた少量の印刷(以下、少量印刷モードという。)時に、予め定めた定着目標温度で記録用紙を搬送する通常印刷モードよりも低い温度で印刷を開始することにより、印刷開始時間の短縮を図るようにしている。すなわち、用紙の搬送速度を通常印刷モードよりも遅くして加熱時間を長くし、代りに定着装置26の印刷開始時の温度を低くすることにより印刷開始までの時間短縮を図るようにしている。
【0032】
また、定着目標温度を下げて印刷開始時間を早くしても、印刷枚数等によっては印刷終了時間が長くなってしまうので、印刷終了時間を算出して、印刷終了時間が早い印刷モードを実行することにより、印刷終了までの時間を短縮するようにしている。
(第1実施形態)
ここで、本発明の第1実施形態に係わる画像形成装置10の制御部12で行われる定着装置26の制御について説明する。図2は、本発明の第1実施形態に係わる画像形成装置10の制御部12で行われる定着装置26の制御の流れの一例を示す図である。
【0033】
まず、ステップ100では、印刷条件入力が行われてステップ102へ移行する。印刷条件入力は、オペレータによる操作部14の操作またはクライアントコンピュータ等からの印刷要求から印刷条件として用紙サイズ(搬送方向L[mm]×奥行d[mm])、紙種(普通紙や厚紙等)、枚数(N[枚])を認識する。
【0034】
ステップ102では、定着温度上昇率が算出されてステップ104へ移行する。定着温度上昇率(H[℃/秒])を加熱履歴から算出してもよいし、温度センサの検出結果から算出するようにしてもよいし、予め定めた定着温度上昇率を記憶しておいて読み出すようにしてもよい。
【0035】
ステップ104では、定着目標温度到達時間が算出されてステップ106へ移行する。定着目標温度到着時間の算出は、温度センサによって検出した定着装置26の現在の温度(Tcurrent[℃])と、ステップ102で算出した定着温度上昇率(H[℃/秒])から、定着目標温度(Tready[℃])への到達時間(Δtstart[秒])を以下の式によって算出する。
【0036】
Δtstart=(Tready−Tcurrent)/H
ステップ106では、印刷開始から終了までの時間が算出されてステップ108へ移行する。印刷開始から終了までの時間の算出は、印刷条件(用紙サイズL、枚数N)、生産性(P[枚/分])、及び搬送速度(S[mm/秒])より印刷開始(tstart[s])から印刷終了(tend[s])までの時間(Δtprint[s])を以下の式によって算出する。
【0037】
Δtprint=|tstart−tend|
ここで、定着目標温度到達時点で印刷開始とし、tready=tstartとすると、
Δtprint=|tready−tend|
=(L/S+LGAP)×N
なお、LGAPは、用紙1枚毎のオーバーヘッドである。オーバーヘッドは、1分間のうちの用紙搬送時間(L×P)/Pであり、残りの時間がLGAPとなり1枚あたりでは、{60−(L×P/S)}/Pとなる。
【0038】
ステップ108では、通常印刷モード時の印刷終了時間が算出されてステップ110へ移行する。印刷終了時間の算出は、上記で算出した2つの値(tready、tprint)を加算することにより算出する。
【0039】
Δtend=Δtstart+Δtprint
ステップ110では、予め生産性テーブルを記憶しておき、最も低い生産性の印刷モードのテーブルを読み出してステップ112へ移行する。例えば、図3に示す生産性毎の印刷開始温度テーブルを予め記憶しておき、当該テーブル中の最も生産性の低いテーブルを読み出す。
【0040】
ステップ112では、参照中の印刷モード時の定着目標到達時間が算出されてステップ114へ移行する。例えば、図3に示すテーブルから、印刷条件に該当する印刷開始温度Tstartを読出し、定着装置の温度上昇率Hから印刷開始温度Tstartの到達時間Δtstart'を以下の式によって算出する。
【0041】
Δtstart'=(Tstart−Tcurrent)/H
ステップ114では、参照中の印刷モード時の印刷開始から終了までの時間が算出されてステップ116へ移行する。印刷開始から終了までの時間の算出は、印刷条件(用紙サイズL、枚数N)、生産性(P[枚/分])、及び搬送速度(S[mm/秒])より印刷開始(tstart'[s])から印刷終了(tend'[s])までの時間(Δtprint'[s])を以下の式によって算出する。
【0042】
Δtprint'=|tstart'−tend'|
=(L/S+LGAP)×N
ステップ116では、他の印刷モード時の印刷終了時間が算出されてステップ118へ移行する。印刷終了時間の算出は、上記で算出した2つの値(tstart'、tprint')を加算することにより算出する。
【0043】
Δtend'=Δtstart'+Δtprint'
続いてステップ118では、参照印刷モード時の印刷終了時間と、通常印刷モード時の印刷終了時間が比較され、参照印刷モードの方が早いか否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ120へ移行し、否定された場合にはステップ122へ移行する。なお、参照中の印刷モードと通常印刷モードの印刷終了時間が同じ場合には、ステップ120へ移行して参照中の印刷モードを選択して印刷を実行する。
【0044】
ステップ120では、参照中の印刷モードが選択されて印刷が実行されて一連の処理を終了する。
【0045】
また、ステップ122では、1段階高い生産性テーブルがあるか否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ124へ移行し、否定された場合にはステップ126へ移行する。
【0046】
ステップ124では、1段階高い生産性の印刷モードのテーブルを読み出してステップステップ112に戻って上述の処理が繰り返される。
【0047】
一方、ステップ126では、通常印刷モードが選択され、印刷が実行されて一連の処理を終了する。
【0048】
例えば、通常印刷モードと、通常印刷モードよりも生産性(1分間当たりの印刷枚数)が低い他の印刷モード(生産性A、生産性B、生産性C)の各印刷開始時間と印刷終了時間の算出結果を図4に示す。
【0049】
通常印刷モードの印刷開始時間tstartと他の印刷モードの印刷開始時間tstart'を比較すると、印刷開始温度が低い印刷モードの印刷開始時間tstartの方が印刷開始時間が早くなる。
【0050】
しかしながら、定着時の熱量を確保するためには搬送速度を遅くする必要があるため、印刷開始を低くしても印刷終了時間が早くなる訳ではない。
【0051】
例えば、図4の例では、生産性Cが印刷開始時間が最も早いが、印刷終了時間は最も遅くなる。
【0052】
そこで、上述のように制御部12が処理を行うことにより、通常印刷モードより早い印刷終了時間の印刷モードを検索して印刷を実行するので、印刷終了までの時間が短縮される。
【0053】
続いて、図3に示したテーブルの各印刷モードにおける印刷開始温度の求め方について図5を参照して説明する。
【0054】
通常印刷モード以外の印刷開始時間を早くした印刷モード(例えば、図4の生産性A、生産性B、生産性C)の印刷開始温度は、通常の定着目標温度未満、トナー融解の下限温度(定着性能下限温度)以上、かつ印刷開始から終了までの間に定着性能下限温度を下回らないことが条件とされる。
【0055】
図3のテーブル中の印刷開始温度は、実験により求めることも可能であるが、以下のように計算によって算出するようにしてもよい。なお、以下では、印刷開始後から終了まで必要最低限の定着熱量が得られる温度を印刷開始温度とし、定着装置26加熱量と定着に必要な熱量の計算により算出する。
【0056】
まず、印刷条件(用紙サイズL×d)、紙種(比熱c)、枚数N)から定着に必要な熱量Qを以下の式により算出する。
【0057】
Q=(L×d)×c×N
次に定着温度が定着性能下限温度TLowに到達した時点tLowで印刷開始可能とし、印刷終了までこの温度以上を維持する。
【0058】
ここで、印刷開始から終了までのの加熱量は温度上昇率Hと加熱時間Δtの積であり、定着熱量との関係は以下の通りである。
【0059】
Q=H×Δt
ここで、加熱時間Δtは定着性能下限到達時間tLowから印刷終了tendまでであり、
Q=H×(|tLow−tend|)
となる。さらに加熱時間Δtは、印刷可能定着性能下限温度到達時間tLowから印刷開始時間tstartまでの時間Δtwaitと、印刷開始時間tstartから印刷終了時間tendまでの時間Δtprintに分割できる。
【0060】
ここで、Δtprintは用紙の生産性に依存して決定するので、上式を変形してΔtwaitを求めると、
Q=H×Δt
=H×(Δtwait+Δtprint)
∵Δtwait=Q/H−Δtprint
となり、定着性能下限温度到達時間tLowからΔtwait経過した時間がtstartとなる。
【0061】
tstart=tLow+Δtwait
但し、tLow=(|Tcurrent−TLow|)/Hとする。
【0062】
従って、印刷開始温度Tstart=H×tstartとなる。
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態に係わる画像形成装置の制御部で行われる定着装置26の制御について説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係わる画像形成装置の制御部12で行われる印刷終了時間及び消費電力の算出処理の流れの一例を示す図である。なお、本実施形態では、図7に示すように紙種に対して複数(2種類)の搬送速度(プロセススピード)を持つ場合を一例として説明する。
【0063】
まず、ステップ200では、印刷条件入力が行われてステップ202へ移行する。印刷条件入力は、オペレータによる操作部14の操作またはクライアントコンピュータ等からの印刷要求から印刷条件として用紙サイズ(搬送方向L[mm]×奥行d[mm])、紙種(普通紙や厚紙等)、枚数Nを認識する。
【0064】
ステップ202では、印刷モード数が確認されてステップ204へ移行する。印刷モード数の確認は、予め設定されている印刷モード数を確認する。
【0065】
ステップ204では、定着目標温度までの上昇時間が算出されてステップ204へ移行する。上昇時間の算出は、印刷を指示された時点の温度センサによって検出された定着装置26の温度Tcurrent[℃]と、定着装置26の一秒当たりの温度上昇率H[℃/秒]とから、定着目標温度Treadyまでの時間Δtup[sec]を以下の式によって算出する。
【0066】
Δtup=(Tready−Tcurrent)/H
なお、Tcurrent>Treadyの印刷モードについては候補から除外して、これ以降の印刷時間算出の処理は行わない。但し、全ての印刷モードに対して、Tcurrent>Treadyが成り立つ場合は、一番定着温度目標が高い印刷モードで印刷を実行する。
【0067】
ステップ206では、用紙の定着位置までの到達時間が算出されてステップ208へ移行する。到達時間の算出は、印刷の際に記録用紙を供給する供給部から定着装置26までの距離X[mm]と搬送速度v[mm/s]より、記録用紙が供給部から定着装置26まで到達する時間Δt0を以下の式によって算出する。
【0068】
Δt0=X/v
ステップ208では、算出した上昇時間と到達時間を比較して、上昇時間<到達時間か否か判定される。該判定が否定された場合にはステップ210へ移行し、肯定された場合にはステップ212へ移行する。
【0069】
ステップ210では、定着開始時間Δtstart=上昇時間Δtupとされてステップ214へ移行する。すなわち、図8(A)に示すように、定着装置26が定着目標温度まで上昇するまでの上昇時間より、記録用紙が定着位置まで到達する到達時間の方が短いので、定着装置26が定着目標温度に達した時点から定着を開始することができる。従って、定着開始時間を上昇時間とする。
【0070】
ステップ212では、定着開始時間Δtstart=到達時間Δt0とされてステップ214へ移行する。すなわち、図8(B)に示すように、定着装置26が定着目標温度まで上昇するまでの上昇時間より、記録用紙が定着位置まで到達するまで到達時間の方が長いので、定着装置26が定着目標温度に達しても、記録用紙が定着位置まで搬送されないために定着を開始することができない。従って、定着開始時間を到達時間とする。
【0071】
ステップ214では、印刷終了時間が算出されてステップ216へ移行する。印刷終了時間の算出は、定着開始時間tstart、印刷枚数N[枚]、用紙間距離LGAP[mm]、用紙サイズ奥行L[mm]より、算出する。例えば、図9のようにN枚印刷する場合には、記録用紙N[枚]に対して、用紙間LGAPは(N−1)となるようので、印刷終了時間tfinishを以下式によって算出する。
【0072】
tfinish=Δtstart+(NL+(N−1)LGAP)/v
なお、本実施形態では、用紙間距離が全て同じとして計算する場合を一例として説明したが、記録用紙毎に用紙間距離が異なる場合には、各用紙間距離について考慮する必要がある。
【0073】
ステップ216では、消費電力が算出されてステップ218へ移行する。消費電力の算出は、例えば、印刷が終了するまでに、記録用紙を搬送する際に印加する電力や、定着装置26へ印加する電力の合計等を算出する。これによって、図10に示すように、例えば、普通紙の紙種における印刷モード毎の印刷終了時間及び消費電力の算出結果が得られる。
【0074】
ステップ218では、全ての印刷モードの印刷終了時間(消費電力算出も含む)が算出されたか否か判定され、該判定が否定された場合にはステップ204に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定されたところで一連の処理を終了する。
【0075】
続いて、上述の印刷終了時間及び消費電力の算出処理が終了すると、図11に示す印刷モード選択実行処理が行われる。なお、図11は、本発明の第2実施形態に係わる画像処理装置の制御部12で行われる印刷モード選択実行処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0076】
ステップ300では、印刷終了時間が最小かつ消費電力が最小の印刷モードがあるか否か判定される。該判定は、印刷終了時間及び消費電力の算出処理の算出結果から、印刷終了時間が最小で、かつ消費電力が最小となっている印刷モードがあるか否かを判定し、該判定が肯定された場合にはステップ302へ移行し、否定された場合にはステップ304へ移行する。
【0077】
ステップ302では、印刷終了時間が最小かつ消費電力が最小の印刷モードが選択されてステップ310へ移行する。
【0078】
一方、ステップ304では、省エネ優先が設定されているか否か判定する。該判定は、操作部14の操作によって予め省エネ設定(消費電力が少ない印刷モードを優先的に選択)が予め行われているか否かが判定され、該判定が肯定された場合にはステップ306へ移行し、否定された場合にはステップ308へ移行する。なお、該判定は、操作部14の操作によって予め設定されているか否かを判定するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、操作部14のディスプレイ等に省エネ優先か印刷時間優先かを選択させるための画面を表示して、操作部14を操作させることによりユーザに選択させるようにしてもよい。
【0079】
ステップ306では、消費電力が最小の印刷モードが選択されてステップ310へ移行する。
【0080】
また、ステップ308では、印刷終了時間が最小の印刷モードが選択されてステップ310へ移行する。
【0081】
そして、ステップ310では、選択された印刷モードでの印刷が実行されて一連の処理を終了する。
【0082】
図12は、本実施形態において、2つの印刷モード(印刷モードA、印刷モードB)で印刷を実行した場合の定着装置26の温度と印刷終了時間の一例を示す図である。
【0083】
図12の場合には、印刷モードAは印刷モードBに比べて定着目標温度が低いために、1枚の定着に要する時間を長くする必要がある。しかし、定着目標温度に達するまでの時間が短いために、ある一定の印刷条件(印刷枚数)の場合は印刷時間が短縮され、印刷モードBよりも印刷終了時間が短くなる。図12の例では、印刷枚数が3枚以内の場合は印刷時間が短縮される。
【0084】
また、印刷モードAは印刷モードBに比べて4枚目以降は印刷時間が長くなるが、定着装置26の温度を低くして印刷を行うので、消費電力を低い。これによって、ユーザの状況(操作部14の設定)に合わせて印刷モードを選択することにより、印刷時間短縮と省エネを選択することが可能となる。
【0085】
なお、上記の実施の形態では、記録用紙に画像を形成する画像形成装置を例として説明したが、記録媒体はこれに限るものではなく、他の記録媒体を適用するようにしてもよい。
【0086】
また、上記の実施の形態では、電子写真方式によって記録用紙にトナー像を転写する画像形成装置を例として説明したが、これに限るものではなく、インクジェットプリンタのように、インクを記録用紙に吐出して定着装置で定着させる画像形成装置を適用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 画像形成装置
12 制御部
26 定着装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置、画像形成装置、及び画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像データに応じたトナー像を記録媒体上に形成して、加熱や加圧してトナー像を記録媒体に定着させることにより、記録媒体上に画像を形成する画像形成装置が一般的に知られている。
【0003】
ところで、定着不良を起こすことなく画像形成するためには、定着温度と搬送速度を制御する必要があり、印刷速度が定着温度に依存する。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の技術では、用紙1枚毎にそのときの定着器の温度に応じて、用紙の排出までの時間が最短になるような搬送速度を設定して印刷することが提案されている。
【0005】
また、特許文献2に記載の技術では、省エネモードからの印刷では通常の定着制御温度以下でも通常よりも低速にて印刷を開始して、通常温度に達した時点で通常の搬送速度に切り替えることが提案されている。また、紙種(サイズ)や、枚数、環境状況等から印刷速度を算出することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−137407号公報
【特許文献2】特開2004−145086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、印刷終了までの時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、記録媒体種、記録媒体の大きさ、及び記録媒体数を含む印刷条件を認識する認識手段と、画像を記録媒体に定着させるための定着目標温度及び該定着目標温度に対応する記録媒体の搬送速度がそれぞれ異なる複数の印刷モードを有し、現在の定着温度、及び定着温度上昇率に基づいて、各前記印刷モードの前記定着目標温度になるまでの時間を各前記印刷モードについてそれぞれ算出する算出手段と、前記算出手段の算出結果及び前記認識手段の認識結果に基づいて、各前記印刷モードの印刷終了時間を演算する演算手段と、前記演算手段の演算結果に基づいて、複数の前記印刷モードのうち前記印刷終了時間が短い前記印刷モードを選択する選択手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、省電力優先または印刷時間優先を設定する設定手段と、前記認識手段の認識結果及び前記算出手段の算出結果に基づいて、各前記印刷モードの消費電力を算出する電力算出手段と、を更に備え、前記選択手段が、前記設定手段によって省電力優先が設定されている場合には、前記電力算出手段の算出結果に基づいて、複数の前記印刷モードのうち消費電力が小さい前記印刷モードを選択し、前記設定手段によって印刷時間優先が設定されている場合には、前記演算手段の演算結果に基づいて、複数の前記印刷モードのうち前記印刷終了時間が短い前記印刷モードを選択することを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記認識手段の認識結果及び前記算出手段の算出結果に基づいて、各前記印刷モードの消費電力を算出する電力算出手段と、前記演算手段の演算結果及び前記電力算出手段の算出結果を表示する表示手段と、前記印刷モードの選択操作を行うための操作手段と、を更に備え、前記選択手段が、前記操作手段によって前記印刷モードの選択操作が行われた場合に、前記操作手段の操作結果に応じた前記印刷モードを選択することを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の定着装置を備えることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の発明は、コンピュータを、請求項1〜3の何れか1項に記載の定着装置の各手段として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、本構成を採用しない場合に比べて、印刷終了までの時間を短縮することができる、という効果がある。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、消費電力の低減も可能となり、ユーザの状況によって変化する要求に応えることができる、という効果がある。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、消費電力の低減も可能となり、ユーザの状況によって変化する要求に応えることができる、という効果がある。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を採用しない場合に比べて、印刷終了までの時間を短縮することができる、という効果がある。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を採用しない場合に比べて、印刷終了までの時間を短縮することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係わる画像形成装置の該着構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係わる画像形成装置の制御部で行われる定着装置の制御の流れの一例を示す図である。
【図3】生産性毎の印刷開始温度テーブルの一例を示す図である。
【図4】通常印刷モードと、通常印刷モードよりも生産性が低い他の印刷モード(生産性A、生産性B、生産性C)の各印刷開始時間と印刷終了時間の算出結果の一例を示す図である。
【図5】各印刷モードにおける印刷開始温度の求め方を説明するための図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係わる画像形成装置の制御部で行われる印刷終了時間及び消費電力の算出処理の流れの一例を示す図である。
【図7】紙種毎の印刷モード、定着温度、及び搬送速度(プロセススピード)の一例を示す図である。
【図8】(A)上昇時間より到達時間の方が短い場合を示す図であり、(B)は上昇時間より到達時間の方が長い場合を示す図である。
【図9】N枚印刷する場合の印刷終了時間の算出を説明するための図である。
【図10】普通紙の紙種における印刷モード毎の印刷終了時間及び消費電力の算出結果の一例を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係わる画像処理装置の制御部で行われる印刷モード選択実行処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図12】2つの印刷モード(印刷モードA、印刷モードB)で印刷を実行した場合の定着装置の温度と印刷終了時間の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係わる画像形成装置の該着構成を示すブロック図である。
【0020】
本発明の実施の形態に係わる画像形成装置10は、制御部12を備えており、該制御部12が画像形成装置10の動作を制御することにより、記録用紙に印刷を行う。
【0021】
制御部12は、CPU12A、RAM12B、ROM12C、及びI/O(インプットアウトプットインタフェース)Dがバス12Eに接続されたマイクロコンピュータで構成されている。ROM12Cには、画像形成装置10の各種動作を行うための制御プログラムが記憶されている。RAM12Bはワークメモリとして機能する。すなわち、CPU12Aは、ROM12Cに記憶された制御プログラムをRAM12Bに展開して実行することにより画像形成装置10の各種動作を制御する。
【0022】
I/O12Dには、操作部14、原稿送り部16、画像読取部18、画像処理部20、用紙送り部22、画像形成部24、定着装置26、及び通信制御部28が接続されている。
【0023】
操作部14は、タッチパネルディスプレイ等により構成され、表示機能及び操作入力機能を備えている。すなわち、ユーザが、タッチパネルディスプレイに指先等で接触することにより、画像形成装置10の各種設定、印刷時の指示入力や各種設定等を指示入力する。また、タッチパネルディスプレイには、画像形成装置10の動作状態等が表示される。なお、操作部14は、タッチパネルディスプレイに限るものではなく、操作入力キーと液晶等のディスプレイを適用するようにしてもよい。
【0024】
原稿送り部16は、所謂自動原稿装置であって、原稿置き台、給紙ローラ、原稿排紙台、給紙ローラを駆動する駆動部等により構成されている。原稿送り部16は、原稿置き台上に置かれた原稿束から、給紙ローラにより最上面の原稿を1枚ずつ分離し、プラテンガラス上に搬送する。プラテンガラス上に搬送された原稿は、画像読取部18によりスキャンされ、スキャンされた原稿が、原稿排紙台に排出されるか、もしくは再度原稿置き台に戻される。
【0025】
画像読取部18は、プラテンガラス上に置かれた原稿を照明する原稿照明ランプ、スキャナ等により構成されている。プラテンガラス上に置かれた原稿は、図示しないモータによって予め定めた方向に往復動作するスキャナによって走査される。原稿照明ランプにより照明された原稿からの反射光がスキャナを構成するCCDセンサ等の撮像素子に結像され、電気信号に変換されることによって画像データとして取り込まれる。
【0026】
また、画像処理部20は、画像読取部18から入力された画像データに対して濃度調整等の各種画像処理を施す。
【0027】
用紙送り部22は、図示しない多段の用紙格納部から記録用紙を画像形成部24に搬送する搬送経路、画像形成部24で画像形成された記録用紙を排出する排紙経路、及びこれら搬送経路や排紙経路に沿って配設された複数の搬送ローラを駆動する駆動部等を含んで構成されている。
【0028】
画像形成部24は、用紙送り部22により搬送された記録用紙に画像を形成することにより印刷を実行する。画像形成部24は、露光部、感光体、帯電器、現像器、転写機等を含んで構成されている。すなわち、帯電器により感光体が所望の電位に帯電された後、露光部から画像データに応じて変調されたレーザ光等の光が照射され、感光体上に潜像が形成される。露光部は、レーザ出力部及びポリゴンミラー等を含んで構成され、露光部より照射されるレーザ光は、画像読取部18で原稿が読み取られ画像処理部で画像処理された後の画像データや外部より入力される画像データに基づいて変調される。感光体上に形成された静電潜像は、現像器により現像されて、トナー像として可視かされる。感光体上に可視かされたトナー像は、転写機で、用紙送り部22により搬送された記録用紙に転写される。
【0029】
定着装置26は、画像形成部24によってトナー像が転写された記録用紙を加圧及び加熱して、上記転写されたトナー像を記録用紙に定着する。そして、画像が定着された記録用紙は、用紙送り部22によって画像形成装置10から排出される。また、定着装置26には、加熱温度を管理するために温度センサが設けられている。
【0030】
通信制御部28は、図示しないネットワーク等の通信手段に接続され、通信手段に接続されたクライアントコンピュータ等から画像形成指示を受信して、画像形成のための通信を制御する。
【0031】
ところで、定着装置26は、予め定めた定着目標温度で記録用紙を搬送して加熱及び加圧することにり記録用紙に転写されたトナー像を定着するが、本実施の形態では、予め定めた少量の印刷(以下、少量印刷モードという。)時に、予め定めた定着目標温度で記録用紙を搬送する通常印刷モードよりも低い温度で印刷を開始することにより、印刷開始時間の短縮を図るようにしている。すなわち、用紙の搬送速度を通常印刷モードよりも遅くして加熱時間を長くし、代りに定着装置26の印刷開始時の温度を低くすることにより印刷開始までの時間短縮を図るようにしている。
【0032】
また、定着目標温度を下げて印刷開始時間を早くしても、印刷枚数等によっては印刷終了時間が長くなってしまうので、印刷終了時間を算出して、印刷終了時間が早い印刷モードを実行することにより、印刷終了までの時間を短縮するようにしている。
(第1実施形態)
ここで、本発明の第1実施形態に係わる画像形成装置10の制御部12で行われる定着装置26の制御について説明する。図2は、本発明の第1実施形態に係わる画像形成装置10の制御部12で行われる定着装置26の制御の流れの一例を示す図である。
【0033】
まず、ステップ100では、印刷条件入力が行われてステップ102へ移行する。印刷条件入力は、オペレータによる操作部14の操作またはクライアントコンピュータ等からの印刷要求から印刷条件として用紙サイズ(搬送方向L[mm]×奥行d[mm])、紙種(普通紙や厚紙等)、枚数(N[枚])を認識する。
【0034】
ステップ102では、定着温度上昇率が算出されてステップ104へ移行する。定着温度上昇率(H[℃/秒])を加熱履歴から算出してもよいし、温度センサの検出結果から算出するようにしてもよいし、予め定めた定着温度上昇率を記憶しておいて読み出すようにしてもよい。
【0035】
ステップ104では、定着目標温度到達時間が算出されてステップ106へ移行する。定着目標温度到着時間の算出は、温度センサによって検出した定着装置26の現在の温度(Tcurrent[℃])と、ステップ102で算出した定着温度上昇率(H[℃/秒])から、定着目標温度(Tready[℃])への到達時間(Δtstart[秒])を以下の式によって算出する。
【0036】
Δtstart=(Tready−Tcurrent)/H
ステップ106では、印刷開始から終了までの時間が算出されてステップ108へ移行する。印刷開始から終了までの時間の算出は、印刷条件(用紙サイズL、枚数N)、生産性(P[枚/分])、及び搬送速度(S[mm/秒])より印刷開始(tstart[s])から印刷終了(tend[s])までの時間(Δtprint[s])を以下の式によって算出する。
【0037】
Δtprint=|tstart−tend|
ここで、定着目標温度到達時点で印刷開始とし、tready=tstartとすると、
Δtprint=|tready−tend|
=(L/S+LGAP)×N
なお、LGAPは、用紙1枚毎のオーバーヘッドである。オーバーヘッドは、1分間のうちの用紙搬送時間(L×P)/Pであり、残りの時間がLGAPとなり1枚あたりでは、{60−(L×P/S)}/Pとなる。
【0038】
ステップ108では、通常印刷モード時の印刷終了時間が算出されてステップ110へ移行する。印刷終了時間の算出は、上記で算出した2つの値(tready、tprint)を加算することにより算出する。
【0039】
Δtend=Δtstart+Δtprint
ステップ110では、予め生産性テーブルを記憶しておき、最も低い生産性の印刷モードのテーブルを読み出してステップ112へ移行する。例えば、図3に示す生産性毎の印刷開始温度テーブルを予め記憶しておき、当該テーブル中の最も生産性の低いテーブルを読み出す。
【0040】
ステップ112では、参照中の印刷モード時の定着目標到達時間が算出されてステップ114へ移行する。例えば、図3に示すテーブルから、印刷条件に該当する印刷開始温度Tstartを読出し、定着装置の温度上昇率Hから印刷開始温度Tstartの到達時間Δtstart'を以下の式によって算出する。
【0041】
Δtstart'=(Tstart−Tcurrent)/H
ステップ114では、参照中の印刷モード時の印刷開始から終了までの時間が算出されてステップ116へ移行する。印刷開始から終了までの時間の算出は、印刷条件(用紙サイズL、枚数N)、生産性(P[枚/分])、及び搬送速度(S[mm/秒])より印刷開始(tstart'[s])から印刷終了(tend'[s])までの時間(Δtprint'[s])を以下の式によって算出する。
【0042】
Δtprint'=|tstart'−tend'|
=(L/S+LGAP)×N
ステップ116では、他の印刷モード時の印刷終了時間が算出されてステップ118へ移行する。印刷終了時間の算出は、上記で算出した2つの値(tstart'、tprint')を加算することにより算出する。
【0043】
Δtend'=Δtstart'+Δtprint'
続いてステップ118では、参照印刷モード時の印刷終了時間と、通常印刷モード時の印刷終了時間が比較され、参照印刷モードの方が早いか否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ120へ移行し、否定された場合にはステップ122へ移行する。なお、参照中の印刷モードと通常印刷モードの印刷終了時間が同じ場合には、ステップ120へ移行して参照中の印刷モードを選択して印刷を実行する。
【0044】
ステップ120では、参照中の印刷モードが選択されて印刷が実行されて一連の処理を終了する。
【0045】
また、ステップ122では、1段階高い生産性テーブルがあるか否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ124へ移行し、否定された場合にはステップ126へ移行する。
【0046】
ステップ124では、1段階高い生産性の印刷モードのテーブルを読み出してステップステップ112に戻って上述の処理が繰り返される。
【0047】
一方、ステップ126では、通常印刷モードが選択され、印刷が実行されて一連の処理を終了する。
【0048】
例えば、通常印刷モードと、通常印刷モードよりも生産性(1分間当たりの印刷枚数)が低い他の印刷モード(生産性A、生産性B、生産性C)の各印刷開始時間と印刷終了時間の算出結果を図4に示す。
【0049】
通常印刷モードの印刷開始時間tstartと他の印刷モードの印刷開始時間tstart'を比較すると、印刷開始温度が低い印刷モードの印刷開始時間tstartの方が印刷開始時間が早くなる。
【0050】
しかしながら、定着時の熱量を確保するためには搬送速度を遅くする必要があるため、印刷開始を低くしても印刷終了時間が早くなる訳ではない。
【0051】
例えば、図4の例では、生産性Cが印刷開始時間が最も早いが、印刷終了時間は最も遅くなる。
【0052】
そこで、上述のように制御部12が処理を行うことにより、通常印刷モードより早い印刷終了時間の印刷モードを検索して印刷を実行するので、印刷終了までの時間が短縮される。
【0053】
続いて、図3に示したテーブルの各印刷モードにおける印刷開始温度の求め方について図5を参照して説明する。
【0054】
通常印刷モード以外の印刷開始時間を早くした印刷モード(例えば、図4の生産性A、生産性B、生産性C)の印刷開始温度は、通常の定着目標温度未満、トナー融解の下限温度(定着性能下限温度)以上、かつ印刷開始から終了までの間に定着性能下限温度を下回らないことが条件とされる。
【0055】
図3のテーブル中の印刷開始温度は、実験により求めることも可能であるが、以下のように計算によって算出するようにしてもよい。なお、以下では、印刷開始後から終了まで必要最低限の定着熱量が得られる温度を印刷開始温度とし、定着装置26加熱量と定着に必要な熱量の計算により算出する。
【0056】
まず、印刷条件(用紙サイズL×d)、紙種(比熱c)、枚数N)から定着に必要な熱量Qを以下の式により算出する。
【0057】
Q=(L×d)×c×N
次に定着温度が定着性能下限温度TLowに到達した時点tLowで印刷開始可能とし、印刷終了までこの温度以上を維持する。
【0058】
ここで、印刷開始から終了までのの加熱量は温度上昇率Hと加熱時間Δtの積であり、定着熱量との関係は以下の通りである。
【0059】
Q=H×Δt
ここで、加熱時間Δtは定着性能下限到達時間tLowから印刷終了tendまでであり、
Q=H×(|tLow−tend|)
となる。さらに加熱時間Δtは、印刷可能定着性能下限温度到達時間tLowから印刷開始時間tstartまでの時間Δtwaitと、印刷開始時間tstartから印刷終了時間tendまでの時間Δtprintに分割できる。
【0060】
ここで、Δtprintは用紙の生産性に依存して決定するので、上式を変形してΔtwaitを求めると、
Q=H×Δt
=H×(Δtwait+Δtprint)
∵Δtwait=Q/H−Δtprint
となり、定着性能下限温度到達時間tLowからΔtwait経過した時間がtstartとなる。
【0061】
tstart=tLow+Δtwait
但し、tLow=(|Tcurrent−TLow|)/Hとする。
【0062】
従って、印刷開始温度Tstart=H×tstartとなる。
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態に係わる画像形成装置の制御部で行われる定着装置26の制御について説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係わる画像形成装置の制御部12で行われる印刷終了時間及び消費電力の算出処理の流れの一例を示す図である。なお、本実施形態では、図7に示すように紙種に対して複数(2種類)の搬送速度(プロセススピード)を持つ場合を一例として説明する。
【0063】
まず、ステップ200では、印刷条件入力が行われてステップ202へ移行する。印刷条件入力は、オペレータによる操作部14の操作またはクライアントコンピュータ等からの印刷要求から印刷条件として用紙サイズ(搬送方向L[mm]×奥行d[mm])、紙種(普通紙や厚紙等)、枚数Nを認識する。
【0064】
ステップ202では、印刷モード数が確認されてステップ204へ移行する。印刷モード数の確認は、予め設定されている印刷モード数を確認する。
【0065】
ステップ204では、定着目標温度までの上昇時間が算出されてステップ204へ移行する。上昇時間の算出は、印刷を指示された時点の温度センサによって検出された定着装置26の温度Tcurrent[℃]と、定着装置26の一秒当たりの温度上昇率H[℃/秒]とから、定着目標温度Treadyまでの時間Δtup[sec]を以下の式によって算出する。
【0066】
Δtup=(Tready−Tcurrent)/H
なお、Tcurrent>Treadyの印刷モードについては候補から除外して、これ以降の印刷時間算出の処理は行わない。但し、全ての印刷モードに対して、Tcurrent>Treadyが成り立つ場合は、一番定着温度目標が高い印刷モードで印刷を実行する。
【0067】
ステップ206では、用紙の定着位置までの到達時間が算出されてステップ208へ移行する。到達時間の算出は、印刷の際に記録用紙を供給する供給部から定着装置26までの距離X[mm]と搬送速度v[mm/s]より、記録用紙が供給部から定着装置26まで到達する時間Δt0を以下の式によって算出する。
【0068】
Δt0=X/v
ステップ208では、算出した上昇時間と到達時間を比較して、上昇時間<到達時間か否か判定される。該判定が否定された場合にはステップ210へ移行し、肯定された場合にはステップ212へ移行する。
【0069】
ステップ210では、定着開始時間Δtstart=上昇時間Δtupとされてステップ214へ移行する。すなわち、図8(A)に示すように、定着装置26が定着目標温度まで上昇するまでの上昇時間より、記録用紙が定着位置まで到達する到達時間の方が短いので、定着装置26が定着目標温度に達した時点から定着を開始することができる。従って、定着開始時間を上昇時間とする。
【0070】
ステップ212では、定着開始時間Δtstart=到達時間Δt0とされてステップ214へ移行する。すなわち、図8(B)に示すように、定着装置26が定着目標温度まで上昇するまでの上昇時間より、記録用紙が定着位置まで到達するまで到達時間の方が長いので、定着装置26が定着目標温度に達しても、記録用紙が定着位置まで搬送されないために定着を開始することができない。従って、定着開始時間を到達時間とする。
【0071】
ステップ214では、印刷終了時間が算出されてステップ216へ移行する。印刷終了時間の算出は、定着開始時間tstart、印刷枚数N[枚]、用紙間距離LGAP[mm]、用紙サイズ奥行L[mm]より、算出する。例えば、図9のようにN枚印刷する場合には、記録用紙N[枚]に対して、用紙間LGAPは(N−1)となるようので、印刷終了時間tfinishを以下式によって算出する。
【0072】
tfinish=Δtstart+(NL+(N−1)LGAP)/v
なお、本実施形態では、用紙間距離が全て同じとして計算する場合を一例として説明したが、記録用紙毎に用紙間距離が異なる場合には、各用紙間距離について考慮する必要がある。
【0073】
ステップ216では、消費電力が算出されてステップ218へ移行する。消費電力の算出は、例えば、印刷が終了するまでに、記録用紙を搬送する際に印加する電力や、定着装置26へ印加する電力の合計等を算出する。これによって、図10に示すように、例えば、普通紙の紙種における印刷モード毎の印刷終了時間及び消費電力の算出結果が得られる。
【0074】
ステップ218では、全ての印刷モードの印刷終了時間(消費電力算出も含む)が算出されたか否か判定され、該判定が否定された場合にはステップ204に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定されたところで一連の処理を終了する。
【0075】
続いて、上述の印刷終了時間及び消費電力の算出処理が終了すると、図11に示す印刷モード選択実行処理が行われる。なお、図11は、本発明の第2実施形態に係わる画像処理装置の制御部12で行われる印刷モード選択実行処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0076】
ステップ300では、印刷終了時間が最小かつ消費電力が最小の印刷モードがあるか否か判定される。該判定は、印刷終了時間及び消費電力の算出処理の算出結果から、印刷終了時間が最小で、かつ消費電力が最小となっている印刷モードがあるか否かを判定し、該判定が肯定された場合にはステップ302へ移行し、否定された場合にはステップ304へ移行する。
【0077】
ステップ302では、印刷終了時間が最小かつ消費電力が最小の印刷モードが選択されてステップ310へ移行する。
【0078】
一方、ステップ304では、省エネ優先が設定されているか否か判定する。該判定は、操作部14の操作によって予め省エネ設定(消費電力が少ない印刷モードを優先的に選択)が予め行われているか否かが判定され、該判定が肯定された場合にはステップ306へ移行し、否定された場合にはステップ308へ移行する。なお、該判定は、操作部14の操作によって予め設定されているか否かを判定するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、操作部14のディスプレイ等に省エネ優先か印刷時間優先かを選択させるための画面を表示して、操作部14を操作させることによりユーザに選択させるようにしてもよい。
【0079】
ステップ306では、消費電力が最小の印刷モードが選択されてステップ310へ移行する。
【0080】
また、ステップ308では、印刷終了時間が最小の印刷モードが選択されてステップ310へ移行する。
【0081】
そして、ステップ310では、選択された印刷モードでの印刷が実行されて一連の処理を終了する。
【0082】
図12は、本実施形態において、2つの印刷モード(印刷モードA、印刷モードB)で印刷を実行した場合の定着装置26の温度と印刷終了時間の一例を示す図である。
【0083】
図12の場合には、印刷モードAは印刷モードBに比べて定着目標温度が低いために、1枚の定着に要する時間を長くする必要がある。しかし、定着目標温度に達するまでの時間が短いために、ある一定の印刷条件(印刷枚数)の場合は印刷時間が短縮され、印刷モードBよりも印刷終了時間が短くなる。図12の例では、印刷枚数が3枚以内の場合は印刷時間が短縮される。
【0084】
また、印刷モードAは印刷モードBに比べて4枚目以降は印刷時間が長くなるが、定着装置26の温度を低くして印刷を行うので、消費電力を低い。これによって、ユーザの状況(操作部14の設定)に合わせて印刷モードを選択することにより、印刷時間短縮と省エネを選択することが可能となる。
【0085】
なお、上記の実施の形態では、記録用紙に画像を形成する画像形成装置を例として説明したが、記録媒体はこれに限るものではなく、他の記録媒体を適用するようにしてもよい。
【0086】
また、上記の実施の形態では、電子写真方式によって記録用紙にトナー像を転写する画像形成装置を例として説明したが、これに限るものではなく、インクジェットプリンタのように、インクを記録用紙に吐出して定着装置で定着させる画像形成装置を適用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 画像形成装置
12 制御部
26 定着装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体種、記録媒体の大きさ、及び記録媒体数を含む印刷条件を認識する認識手段と、
画像を記録媒体に定着させるための定着目標温度及び該定着目標温度に対応する記録媒体の搬送速度がそれぞれ異なる複数の印刷モードを有し、現在の定着温度、及び定着温度上昇率に基づいて、各前記印刷モードの前記定着目標温度になるまでの時間を各前記印刷モードについてそれぞれ算出する算出手段と、
前記算出手段の算出結果及び前記認識手段の認識結果に基づいて、各前記印刷モードの印刷終了時間を演算する演算手段と、
前記演算手段の演算結果に基づいて、複数の前記印刷モードのうち前記印刷終了時間が短い前記印刷モードを選択する選択手段と、
を備えた定着装置。
【請求項2】
省電力優先または印刷時間優先を設定する設定手段と、前記認識手段の認識結果及び前記算出手段の算出結果に基づいて、各前記印刷モードの消費電力を算出する電力算出手段と、を更に備え、
前記選択手段が、前記設定手段によって省電力優先が設定されている場合には、前記電力算出手段の算出結果に基づいて、複数の前記印刷モードのうち消費電力が小さい前記印刷モードを選択し、前記設定手段によって印刷時間優先が設定されている場合には、前記演算手段の演算結果に基づいて、複数の前記印刷モードのうち前記印刷終了時間が短い前記印刷モードを選択する請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記認識手段の認識結果及び前記算出手段の算出結果に基づいて、各前記印刷モードの消費電力を算出する電力算出手段と、前記演算手段の演算結果及び前記電力算出手段の算出結果を表示する表示手段と、前記印刷モードの選択操作を行うための操作手段と、を更に備え、
前記選択手段が、前記操作手段によって前記印刷モードの選択操作が行われた場合に、前記操作手段の操作結果に応じた前記印刷モードを選択する請求項1に記載の定着装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の定着装置を備えた画像形成装置。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1〜3の何れか1項に記載の定着装置の各手段として機能させるための画像形成プログラム。
【請求項1】
記録媒体種、記録媒体の大きさ、及び記録媒体数を含む印刷条件を認識する認識手段と、
画像を記録媒体に定着させるための定着目標温度及び該定着目標温度に対応する記録媒体の搬送速度がそれぞれ異なる複数の印刷モードを有し、現在の定着温度、及び定着温度上昇率に基づいて、各前記印刷モードの前記定着目標温度になるまでの時間を各前記印刷モードについてそれぞれ算出する算出手段と、
前記算出手段の算出結果及び前記認識手段の認識結果に基づいて、各前記印刷モードの印刷終了時間を演算する演算手段と、
前記演算手段の演算結果に基づいて、複数の前記印刷モードのうち前記印刷終了時間が短い前記印刷モードを選択する選択手段と、
を備えた定着装置。
【請求項2】
省電力優先または印刷時間優先を設定する設定手段と、前記認識手段の認識結果及び前記算出手段の算出結果に基づいて、各前記印刷モードの消費電力を算出する電力算出手段と、を更に備え、
前記選択手段が、前記設定手段によって省電力優先が設定されている場合には、前記電力算出手段の算出結果に基づいて、複数の前記印刷モードのうち消費電力が小さい前記印刷モードを選択し、前記設定手段によって印刷時間優先が設定されている場合には、前記演算手段の演算結果に基づいて、複数の前記印刷モードのうち前記印刷終了時間が短い前記印刷モードを選択する請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記認識手段の認識結果及び前記算出手段の算出結果に基づいて、各前記印刷モードの消費電力を算出する電力算出手段と、前記演算手段の演算結果及び前記電力算出手段の算出結果を表示する表示手段と、前記印刷モードの選択操作を行うための操作手段と、を更に備え、
前記選択手段が、前記操作手段によって前記印刷モードの選択操作が行われた場合に、前記操作手段の操作結果に応じた前記印刷モードを選択する請求項1に記載の定着装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の定着装置を備えた画像形成装置。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1〜3の何れか1項に記載の定着装置の各手段として機能させるための画像形成プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−181711(P2010−181711A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26074(P2009−26074)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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