定着装置および加熱ローラ
【課題】本発明は、加熱ローラ1の長手方向の変化を防止し、薄膜である金属導電層1cを支持する発泡ゴム層1bの消耗や破泡を防ぐことにより、一定以上のニップ幅を確保でき、良好な画像を得られる。
【解決手段】この発明の定着装置1は、薄膜の金属導電層1bと、この金属導電層1bの端部と接着され、中央部には空隙部分が形成され金属導電層1bと接着されない発泡ゴム層1bとを有する加熱ローラにより、一定以上のニップ幅を確保できる。
【解決手段】この発明の定着装置1は、薄膜の金属導電層1bと、この金属導電層1bの端部と接着され、中央部には空隙部分が形成され金属導電層1bと接着されない発泡ゴム層1bとを有する加熱ローラにより、一定以上のニップ幅を確保できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置に搭載され、用紙上の現像剤像を定着させる定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
定着装置は、現像剤例えばトナーを溶融させる加熱部材と、この加熱部材に所定の圧力を提供する加圧部材とを備え、加熱部材と加圧部材との接触領域(ニップ部)には所定の接触幅(ニップ幅)が形成される。このニップ部を通過する用紙には、加熱部材からの熱によって溶かされた用紙上の現像剤像が、加圧部材からの圧力により定着する。
【0003】
定着装置の加熱部材を加熱する熱源としてハロゲンランプを用いる方法においては、被定着部材とトナーに、所定の圧力を提供可能に一対のローラを設け、少なくとも一方のローラの内部にハロゲンランプを配置する構成が広く用いられている。
【0004】
一方、誘導加熱を用いる方法においては、薄い金属層(導体膜)を有する耐熱性フィルム材を無端ベルト状または円筒形(ローラ)状として、被定着部材に接触させる例が知られている。
【0005】
なお、円筒形剛体と、その外側に低熱伝導性材料からなる層を設け、その外側にさらに導電体層および離型層を配置し、離型層の外側に対面して、導電体層を誘導加熱する誘導過熱源を配置する定着ローラを用いる定着装置において、低熱伝導性材料を、シリコーンゴムまたは発泡シリコーンゴムとした例がある(特許文献1)。
【0006】
また、表面から内側に向かって薄肉導電層、断熱層、支持層を、隣同士互いに密着させ、外部から励磁して加熱する像加熱装置において、断熱層の薄肉導電層と接する面または薄肉導電層の断熱層と接する面の一方もしくは両方の面を粗面化した例がある(特許文献2)。
【0007】
一方、導電発熱部材の弾性層中あるいは表層中に、導電性で高透磁率の粒子やウィスカーを分散させることにより、弾性層や導電発熱層として機能させた加熱装置の例がある(特許文献3)。
【0008】
さらに、弾性体層を含み、その外部に厚み10〜150μmの金属スリーブを設けた加熱回転体を、加熱手段により外部より加熱する加熱装置の例がある(特許文献4)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、消費電力を削減するため、熱容量の小さな薄膜の導電体層を低熱伝導性材料からなる層の外側に設けた加熱部材を用いて、クイック発熱を可能としている。低熱伝導性材料としては硬度の小さい発泡材等が用いられ、金属等の薄膜からなる導電体層との間に硬度の差が生じる。この硬度の差により、加圧部材からの圧力、熱膨張および熱収縮等の応力が加わると、低熱伝導性材料としての発泡材等の消耗や破泡を進行させる虞がある。破泡が加速されてより大きさの異なる空洞が形成されると、加熱ローラの長手方向において導電体層の外径が一定に確保されない問題ある。
【0010】
また、導電体層と発泡材との間を全面に耐熱性の接着剤等を塗布することにより接着している場合、金属層の熱が直接的に熱伝導された発泡層が、急激に熱膨張する虞がある。さらに、金属層が発熱することによる発泡層の熱膨張や、放熱のとき発泡層内に含まれる空気の体積が収縮されることによる発泡層の熱収縮が、金属層により規制される虞がある。
【0011】
このため、特に熱収縮により、発泡層は金属層側に引き伸ばされた状態となるため、発泡層の破泡がさらに進み、ライフ(寿命)が短くなる問題がある。また、発泡層の熱膨張あるいは熱収縮に伴い、金属層が変形し、加熱部材と加圧部材とが接する位置において、要求されるニップ幅が確保できないため、良好な定着画像が得られない問題がある。
【0012】
なお、金属層と発泡層の間が接着されていない場合や、金属層をスリーブ(ベルト)として備える場合、加熱ローラの回転に伴い金属層が蛇行し発泡層からズレることにより、破損する虞があり、金属層のライフを短くする問題がある。また、ベルト状の金属層を支持するためには、複雑な機構が要求される問題や、加圧機構からの圧力により従動される場合、金属ベルトがオイルローラ等により滑り、回転されない等の問題がある。
【0013】
本発明の目的は、ローラの長手方向の硬度の変化を防止することにより、一定以上のニップ幅を確保でき、良好な画像を得られる定着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、第1の外径を有する端部と上記第1の外径より小さい第2の外径を有する中央部とを含む芯部と、上記芯部の周りに形成される支持部材と、上記支持部材の周りに形成され、軸方向に一定の外径を有する円筒形の金属部材を有することを特徴としたローラを少なくとも1つ有する定着装置を提供する。
【0015】
また、本発明は、第1の材質を含む円筒形の第1の金属層と、この第1の金属層の周りに形成され、上記第1の材質と異なる第2の材質を含む円筒形の第2の金属層とを含む金属部材と、上記金属部材の内側に配置され、外力が提供されない環境で、上記金属部材の外径を一定に維持する支持部材を有することを特徴としたローラを少なくとも1つ有する定着装置を提供する。
【0016】
さらに、本発明は、円筒状の金属部材と、前記金属部材の内側に配置され、両端において最も大きく、中央に向かって次第に小さくなる外径を有する支持部材とを有する第1のローラと、前記第1のローラに所定の圧力を提供する第2のローラとを有することを特徴とした定着装置を提供する。
【0017】
またさらに、本発明は、中心に軸芯を有し、断熱性を有する発泡ゴム層と、この発泡ゴム層の外側に設けられた導電層とを少なくとも有し、常温時、外側から測定した長手方向中央部の硬度より端部の硬度が高いことを特徴とする加熱ローラを提供する。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したとおり、本願発明の定着装置は、加熱ローラ1の長手方向の硬さの変化を防止し、薄膜である金属導電層1cを支持する発泡ゴム層1bの消耗や破泡を防ぐことにより、一定以上のニップ幅を確保でき、良好な画像を得られる。
【0019】
また、加熱時の温度変化によって発泡ゴム内部の空気の膨張によるローラ硬さの変化を無くし、ニップ幅の変動を無くすことができる。
【0020】
さらに、軸方向に異なる外径を有する発泡ゴム層あるいは金属導電層もしくはこの両方を備える加熱ローラにより、加圧ローラとの間を通過する被転写材は、軸方向の両端に引っ張られるように搬送され、皺の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の定着装置の一例を示す概略図。
【図2】図1に示した定着装置に利用可能なローラの一例を説明する図。
【図3】図1に示した定着装置に利用可能なローラの一例を説明する図。
【図4】図1に示した定着装置に利用可能なローラの異なる例を説明する図。
【図5】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図6】図5に示した発泡ゴム層の端部の一例を説明する図。
【図7】図5に示した発泡ゴム層の端部の他の例を説明する図。
【図8】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図9】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図10】図5に示したスリーブの一例を説明する図。
【図11】図5に示したスリーブの異なる例を説明する図。
【図12】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図13】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図14】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図15】図14に示した芯棒の一例を説明する図。
【図16】図14に示した金属導電層の一例を説明する図。
【図17】図14に示した金属導電層の一例を説明する図。
【図18】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図19】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図20】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図21】図1に示した定着装置に利用可能なローラと硬さの関係を説明する図。
【図22】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図23】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図24】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図25】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図26】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図27】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図28】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図29】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の定着装置の一例を示す。
【0024】
図1に示すように、定着装置は、被転写材すなわち用紙PのトナーTが付着している面に接触可能で、トナーTおよび用紙Pを加熱する加熱部材(加熱ローラ)1と、加熱ローラ1に所定の圧力を与える加圧部材(加圧ローラ)2とを有する。
【0025】
加熱ローラ1は、所定の圧力で変形しない剛性(硬さ)を有する材質から構成されるシャフトである芯棒1aと、この芯棒1aのまわりに順に配置される弾性層(発泡ゴム層,スポンジ層,シリコンゴム層)1bと、金属部材(金属導電層)1cを有する。なお、本実施の形態では、金属導電層1cの外側に、さらに例えば耐熱シリコーンゴム等の薄膜層からなるソリッドゴム層1dおよび離型層1eを有することが好ましい。
【0026】
加圧ローラ2は、中心軸2aを有し、直径40mmであることが好ましい。この中心軸2aは、加圧スプリング3aにより加圧される加圧機構3から所定の圧力を受ける。これにより、加圧ローラ2は、加熱ローラ1に対して圧接され、両ローラの接触部(ニップ部)には、用紙Pの搬送方向に一定の幅(ニップ幅)が形成される。なお、加圧ローラ2は、これに限られず、加熱ローラ1と同様に金属導電層と弾性層を有するローラであってもよい。
【0027】
加圧機構3からの圧力により加圧ローラ2とのあいだに一定以上のニップ幅を維持しながら接触している加熱ローラ1は、駆動モータ(図示せず)により矢印方向(CW)に回転される。加熱ローラ1の回転に伴い、加圧ローラ2が、矢印方向(CCW)に回転される。
【0028】
加熱ローラ1の外側には、加熱ローラ1の金属導電層1cに所定の磁界を提供する励磁コイル5aと、この励磁コイル5aの外側に配置される磁性体コア5bを含む加熱機構5が配置される。なお、励磁コイル5aの電線の巻き数は、磁性体コア5bを備えることにより少なくできる。
【0029】
本実施の形態では、加熱機構5として誘導加熱方式を用いたが、放射熱等により金属導電層1cを加熱するものであってもよい。
【0030】
図示しない励磁回路(インバータ回路)から高周波電流が提供されると、励磁コイル5aは所定の磁界を発生する。この磁界が提供されることにより、金属導電層1cには渦電流が流れ、金属導電層1cの抵抗に応じて発生するジュール熱により加熱ローラ1は発熱する。
【0031】
この加熱ローラ1からの熱により溶融されたトナーTは、トナーTが付着している用紙Pが加熱ローラ1と加圧ローラ2の接触位置(ニップ部)を通過し、加圧ローラ2により所定の圧力が加えられることで、用紙Pに定着される。
【0032】
加熱ローラ1の周囲には、加熱ローラ1および加圧ローラ2のニップ部から回転方向の順に、用紙Pを加熱ローラ1から剥離するための剥離用ブレード6と、用紙Pを加圧ローラ2から剥離するための剥離用ブレード7と、加熱ローラ1に付着するトナーを除去するためのクリーニングローラ8が配置される。また、加熱ローラ1の長手方向の所定の位置に、加熱ローラ1の周面付近の温度を検知するためのサーミスタ9と、加熱ローラ1の表面温度が異常温度まで上昇したことを検知し、励磁コイル5aに供給されている電力を遮断するためのサーモスタッド10が配置される。
【0033】
なお、サーミスタ9およびサーモスタッド10は、複数設けられてもよい。また、剥離用ブレード6,7は、用紙Pが剥離されにくい場合は、それぞれ複数備えてもよく、用紙Pが剥離されやすい場合は、なくてもよい。
【0034】
本実施の形態においては、励磁コイル5aは、電線が架空の軸を中心に巻かれた形状を有し、加熱ローラ1の長手方向に、少なくとも通紙領域(用紙Pと接する領域)よりも長い長さを有する。このような形状の励磁コイル5aは、磁束を集中的に発生でき、加熱ローラ1の金属導電層1cを局所的に発熱可能である。
【0035】
なお、励磁コイル5aの電線としては、表面が絶縁処理された複数の電線を束ねたリッツ線を用いる。励磁コイル5aの電線としてリッツ線を用いることにより、浸透深さより線径を小さくすることが可能となる。よって、励磁コイル5aは、交流電流を供給された場合であっても有効に磁界を発生できる。本実施の形態では、表面を耐熱性のポリアミドイミドを用いて絶縁処理された、直径0.5mmの銅線材を16本束ねたリッツ線を用いる。
【0036】
また、励磁コイル5aに、インバータ回路の駆動周波数として20〜50kHzの範囲の高周波電流が供給される。これにより、加熱ローラ1から出力される発熱量は、300〜1500Wの範囲で変化可能である。
【0037】
(第1の実施の形態)
次に、図2,3を用いて、加熱ローラ1の一例についてより詳細に説明する。
【0038】
図2は、加熱ローラ1の斜視図を示す。
【0039】
上述したとおり、加熱ローラ1は、芯棒1a、発泡ゴム層1b、金属導電層1c、ソリッドゴム層1dおよび離型層1eを有する。
【0040】
発泡ゴム層1bは5〜10mm、金属導電層1cは10〜100μm、ソリッドゴム層1dは100〜200μmの厚みにそれぞれ形成されることが好ましい。本実施の形態では、発泡ゴム層1bは5mm、金属導電層1cは40μm、ソリッドゴム層1dは200μmおよび離型層1eは30μmの厚みにそれぞれ形成され、加熱ローラ1は直径40mmである。
【0041】
金属導電層1cは、導電性材料(たとえばニッケル、ステンレス鋼、アルミニウム、銅およびステンレス鋼とアルミニウムの複合材等)等により形成される。加熱ローラ1の長手方向の長さL1は、330mmであることが好ましい。
【0042】
図3は、発泡ゴム層1bと金属導電層1cの加熱ローラ1の軸方向の断面図を示す。
【0043】
発泡ゴム層1bは、軸方向の両方の端に位置され外径D1を有する端部101と、この端部101の間に位置され外径D2を有する中央部102とを含む。この外径D2は、外径D1に比べて短く、本実施の例においては、外径D1が39.7mm、外径D2が39.5mmであることが好ましい。
【0044】
(1)例えば、端部101は、加熱ローラ1の非通紙領域を含む軸方向の長さL11を有する。この非通紙領域とは、加熱ローラ1および加圧ローラ2の間を搬送される用紙Pが通過しない領域として定義される。長さL11は、15mmであることが好ましい。
【0045】
また、中央部102は、例えば、加熱ローラ1の通紙領域を含み軸方向の長さL12を有する。この通紙領域とは、加熱ローラ1および加圧ローラ2の間を搬送される用紙Pが加熱ローラ1と接する領域として定義される。すなわち、通紙領域は、加圧ローラ2からの圧力により、高い画質の画像を得るため、一定以上のニップ幅を確保できる硬度が要求される。
【0046】
長さL12は、A3サイズの用紙の短い方の一辺の長さよりわずかに長い長さとして、例えば300mmであることが好ましい。中央部102の外径D2が端部101の外径D1より短いすなわち中央部102の外周面が端部101の外周面より低いため、発泡ゴム層1bの外周面には、段差103が形成される。
【0047】
金属導電層1cは、発泡ゴム層1bの外側に配置され、軸方向に一定の内径および外径を有する円筒形のエンドレス部材である。金属導電層1cは、内側に配置される発泡ゴム層1bのうち端部101とのみ、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着される。この端部101において、所定の張力で保持されることにより、金属導電層1cの接着されていない領域は、端部101と接着されている金属導電層1cの外径と同じ外径に維持されている。なお、金属導電層1cの外側に配置されるソリッドゴム層1dおよび離型層1eが、一定の外径に維持されていることは言うまでもない。
【0048】
発泡ゴム層1bの中央部102と金属導電層1cの間には、空隙部分104が形成される。空隙部分104は、加熱ローラ1の半径方向に高さH1を有し、本実施の形態では、高さH1は100μmである。
【0049】
よって、金属導電層1cと接着されていない中央部102は、金属導電層1cからの熱による熱膨張や熱収縮の影響を軽減できる。すなわち、熱膨張した際、金属導電層1cに制限されることによる発泡ゴム層1bの消耗や破泡を軽減でき、高い画質の画像を得るため、一定以上のニップ幅を確保可能な硬度を維持できる。また、熱収縮した際、応力が集中した箇所において金属導電層1c側に引き伸ばされることによる発泡ゴム層1bの消耗や破泡を軽減でき、金属導電層1cが変形することによるニップ幅の変動の問題を改善できる。
【0050】
また、金属導電層1cと接着されていない中央部102は、接着されている場合加圧ローラ2からの圧力を受けながら回転される金属導電層1cから直接的に受けていた応力(以下、接着による応力と記す)が軽減されるため、発泡ゴム層1bの消耗や破泡を軽減でき、より長いライフ(寿命)を維持できる。
【0051】
(2)なお、端部101の長さL11は、非通紙領域の範囲内に限られず、画像形成に不良が発生しない範囲であれば、非通紙領域に加えて通紙領域の一部を含んでもよい。すなわち、長さL11は、非通紙領域として設定されている長さよりも長く、通紙領域の側に延長された長さであってもよい。
【0052】
(3)また、端部101の長さL11は、発泡ゴム層1bと金属導電層1cとの間に、十分な接着強度が確保される範囲で決定されてもよい。すなわち、十分な接着強度が確保される範囲は、加圧ローラ2からの圧力および図示しない駆動回路からの回転力による応力が提供された場合であっても、金属導電層1cが発泡ゴム層1bの端部101から離れない範囲であって、長さL11は、例えば、3〜15mmが好ましい。
【0053】
なお、上に説明したような端部101の長さL11の変更に伴って、端部101と中央部102の境目、すなわち段差103も移動する。このため、段差103が、画像に不良が発生しない範囲でニップ幅を確保できる位置に形成されるように、長さL11が変更されることが好ましい。
【0054】
また、発泡ゴム層1bの硬度が小さいことにより、金属導電層1cの内径より大きい外径を有する発泡ゴム層1bであっても、金属導電層1cに収納できる。
【0055】
(第2の実施の形態)
次に、図4を用いて、加熱ローラ1の異なる例について詳細に説明する。
【0056】
上述したとおり、加熱ローラ1は、芯棒1a、金属導電層1c、ソリッドゴム層1dおよび離型層1eを有し、芯棒1aの外側かつ金属導電層1cの内側には、発泡ゴム層200bを有する。
【0057】
図4は、発泡ゴム層200bと金属導電層1cの加熱ローラ1の軸方向の断面図を示す。
【0058】
発泡ゴム層200bは、第1の硬度を有する中央部201と、この中央部201の両端に配置され、第1の硬度より大きい第2の硬度を有する端部202を含む。本実施の形態では、第1,2の硬度は、デュロメータEタイプの測定で、それぞれ硬さE28,E35である。
【0059】
第1の硬度は、高い画質の画像を得るために、一定以上のニップ幅を確保できる範囲で決定される。なお、硬度がより小さいすなわちより柔らかい方がニップ幅が増す。
【0060】
第2の硬度は、発泡ゴム層200bと金属導電層1cとの間に、十分な接着強度が確保される範囲で決定される。なお、硬度がより大きいすなわちより硬い方が、上述した接着による応力が軽減され、発泡ゴム層200bの変形(破泡等を含む)が少ないため、金属導電層1cが剥がれにくい。
【0061】
発泡ゴム層200bは、それぞれ独立している中央部201および端部202で構成される。中央部201および端部202は、例えば境界面においてそれぞれ耐熱性の接着剤等により接着されて一体的に形成される。これにより、領域において硬度の異なる発泡ゴム層200bを、容易に形成できる。
【0062】
端部202は、加熱ローラ1の軸方向に長さL11を有し、中央部201は、加熱ローラ1の軸方向に長さL12を有する。端部202の長さL11は、第1の実施の形態と同様に、(1)非通紙領域として定義される範囲を含む長さであってもよく、(2)非通紙領域に加えて通紙領域の一部を含む画像形成に不良が発生しない範囲、あるいは、(3)十分な接着強度が確保される範囲で決定されてもよい。
【0063】
金属導電層1cは、内側に配置される発泡ゴム層200bの外周面において、全面あるいは一部と例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着される。なお、金属導電層1cは、内側に配置される発泡ゴム層200bのうち端部202とのみ、接着されることが好ましい。
【0064】
よって、中央部201は、要求されている一定以上のニップ幅が維持できるため、高い画質の画像が得られる。また、金属導電層1cと接着されていない中央部201により、上述した接着による応力が軽減されるため、発泡ゴム層1bの消耗および破泡を軽減でき、より長いライフを維持できる。さらに、十分な接着強度が確保される範囲の第2の硬度を有する端部202により、金属導電層1cが、加熱ローラ1の接着されている所定の位置から離れて破損することを防止できる。
【0065】
(第3の実施の形態)
次に、図5を用いて、加熱ローラ1のさらに異なる例について詳細に説明する。
【0066】
上述したとおり、加熱ローラ1は、芯棒1a、金属導電層1c、ソリッドゴム層1dおよび離型層1eを有し、芯棒1aの外側かつ金属導電層1cの内側には、発泡ゴム層300bを有する。
【0067】
図5は、発泡ゴム層300bと金属導電層1cの加熱ローラ1の軸方向の断面図を示す。
【0068】
発泡ゴム層300bは、軸方向の両方の端に位置され外径D1を有する端部301と、この端部301の間に位置され外径D2を有する中央部302とを含む。この外径D2は、外径D1に比べて短く、第1の実施の形態と同様に、外径D1が39.7mm、外径D2が39.5mmであることが好ましい。なお、発泡ゴム層300bは、上述した発泡ゴム層200bと同様に、それぞれ独立している端部301および中央部302で構成され、境界面においてそれぞれ耐熱性の接着剤等により接着されて一体的に形成されている。
【0069】
端部301は、上述した所定の範囲で決定される長さL11を有し、中央部302は、上述した所定の範囲で決定される長さL12を有する。
【0070】
さらに、第2の実施の形態と同様に、中央部302は第1の硬度を有し、端部301は、第1の硬度より大きい第2の硬度を有する。
【0071】
金属導電層1cは、内側に配置される発泡ゴム層300bのうち端部301とのみ、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着される。
【0072】
中央部302と金属導電層1cの間には、空隙部分303が形成される。空隙部分303は、加熱ローラ1の半径方向に高さH1を有し、高さH1は100μmであることが好ましい。
【0073】
よって、金属導電層1cと接着されていない中央部302は、熱膨張や熱収縮による発泡ゴム層1bの消耗や破泡を軽減でき、金属導電層1cが変形することによるニップ幅の変動の問題を改善できる。
【0074】
また、中央部302では、要求されている一定以上のニップ幅が維持できるため、高い画質の画像が得られる。さらに、金属導電層1cと接着されていない中央部302では、上述した接着による応力が軽減されるため、発泡ゴム層1bの消耗を軽減でき、より長いライフを維持できる。さらにまた、十分な接着強度が確保される範囲の第2の硬度を有する端部301では、金属導電層1cが加熱ローラ1の接着されている所定の位置から離れて破損することを防止できる。
【0075】
また、端部301の外周面上には、図6に示すように、加熱ローラ1の軸方向に所定の長さ(例えば端部301の軸方向の距離L11)のくぼみを設けた溝である通気孔304が、複数形成できる。通気孔304は、図面の矢印Aの方向から見て、端部301の外周面上に、例えば回転ローラの軸に向かって凹んでいる半円形状に形成される。
【0076】
金属導電層1cは、端部301のうち通気孔304が形成されていない領域と、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着される。
【0077】
発泡ゴム層300bに形成される気泡が、金属導電層1cにより提供される熱を蓄えることにより、この熱はより効率的に利用される。しかし、金属導電層1cとの接着により、発泡ゴム層300bの熱膨張や熱収縮が制限されている環境では、上述したような問題が発生する虞がある。
【0078】
通気孔304は、金属導電層1cと発泡ゴム層300bとが向かい合う領域に、すなわち空隙部分303に存在する熱を、空隙部分303の外に導くことができる。このため、発泡ゴム層300bの熱膨張や熱収縮による、発泡ゴム層1bの消耗や破泡を軽減でき、金属導電層1cが変形することによるニップ幅の変動の問題を改善できる。
【0079】
さらに、端部301には、図7に示すように、加熱ローラ1の軸方向に所定の長さを有する通気孔305が、複数形成できる。この通気孔305も上述した通気孔304と同様に、空隙部分303に存在する熱を、空隙部分303の外に導くことができる。
【0080】
通気孔305が形成される端部301は、一定の外径を有する円形が維持されているため、外周面の全面に接着剤を塗布できる。このため、製造工程の労力を軽減できるとともに、接着強度がより高まる。
【0081】
なお、空隙部分304,305の大きさを調整することで、放出する熱の量を調節し、定着に要求される熱量を確保できることは言うまでもない。
【0082】
また、図示しないが、加熱ローラ1の軸方向に所定の長さ(例えば中央部302の軸方向の距離L12)を有する通気孔305は、発泡ゴム層300bの中央部302に形成され、端部301に形成される通気孔305とつながっていてもよい。
【0083】
(第4の実施の形態)
次に、図8を用いて、加熱ローラ1のさらに異なる例について詳細に説明する。
【0084】
上述したとおり、加熱ローラ1は、芯棒1a、ソリッドゴム層1dおよび離型層1eを有し、芯棒1aの外側には、発泡ゴム層400bと金属導電層400cとを有する。
【0085】
図8は、発泡ゴム層400bと金属導電層400cの加熱ローラ1の軸方向の断面図を示す。
【0086】
発泡ゴム層400bは、加熱ローラ1の軸方向に一定の外径を有する。
【0087】
金属導電層400cは、加熱ローラ1の軸方向に一定の外径を有する円筒形のエンドレス部材である。また、金属導電層400cは、軸方向の両方の端に位置され、厚みD3を有する端部401と、この端部401の間に位置され厚みD4を有する中央部402とを含む。
【0088】
この厚みD3は、厚みD4に比べて厚く(長く)、本実施の例においては、厚みD3が100μm、厚みD4が40μmである。
【0089】
端部401は、上述した所定の範囲で決定される長さL11を有し、中央部402は、上述した所定の範囲で決定される長さL12を有する。
【0090】
発泡ゴム層400bは、外側に配置される金属導電層400cのうち端部401と、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着される。この端部401において、所定の張力で保持されることにより、金属導電層400cの接着されていない中央部402は、端部401の外径と同じ外径に維持されている。なお、金属導電層1cの外側に配置されるソリッドゴム層1dおよび離型層1eが、一定の外径に維持されていることは言うまでもない。
【0091】
従って、発泡ゴム層400bと金属導電層400cの中央部402の間には、空隙部分403が形成される。空隙部分403は、加熱ローラ1の半径方向に高さH2を有し、端部401に支持されることにより、高さH2は60μmに維持されることが好ましい。
【0092】
よって、発泡ゴム層400bと接着されている端部401において、金属導電層の厚みがより厚いことにより、発泡ゴム層400bと金属導電層400cとの接着強度がより高まる。このため、金属導電層400cが、加熱ローラ1の接着されている所定の位置から離れて破損することを防止できる。
【0093】
また、空隙部分403により、熱膨張や熱収縮による発泡ゴム層400bの消耗や破泡を軽減でき、金属導電層400cが変形することによるニップ幅の変動の問題を改善できる。さらに、発泡ゴム層400bは、金属導電層400cの中央部402と接着されていないため、上述した接着による応力が軽減され、発泡ゴム層400bの消耗や破泡を軽減でき、より長いライフを維持できる。
【0094】
なお、厚みD4を有する端部401は、長さL1の厚さD3の円筒形状の金属部材に、厚みD3とD4の差分の厚みを有する金属部材を蒸着、あるいは接着剤等による接着等の方法を用いて一体的に形成されてもよい。
【0095】
(第5の実施の形態)
次に、図9を用いて、加熱ローラ1のさらに異なる例について詳細に説明する。
【0096】
上述したとおり、加熱ローラ1は、芯棒1a、ソリッドゴム層1dおよび離型層1eを有し、芯棒1aの外側には、発泡ゴム層500bと金属導電層500cとを有する。
【0097】
図9は、発泡ゴム層500bと金属導電層500cの加熱ローラ1の軸方向の断面図を示す。
【0098】
発泡ゴム層500bは、加熱ローラ1の軸方向に一定の外径D5を有する。
【0099】
金属導電層500cは、加熱ローラ1の軸方向に一定の外径および内径D6を有する円筒形のエンドレス部材である。金属導電層500cの厚みは、40μmであることが好ましい。
【0100】
この内径D6は、外径D5に比べて長く、本実施の例においては、内径D6が39.7mm、外径D5が39.5mmである。よって、金属導電層500cの内側に発泡ゴム層500bが配置されると、間に空隙ができる。
【0101】
加熱ローラ1は、軸方向の両方の端に位置する端領域501と、この端領域501の間に位置する中央領域502とを含む。端領域501は、上述した所定の範囲で決定される長さL11を有し、中央領域502は、上述した所定の範囲で決定される長さL12を有する。
【0102】
この端領域501において、発泡ゴム層500bと金属導電層500cとの間には、スリーブ(スペーサ)503が配置される。スリーブ503は、長さL11の高さを有する円筒形に形成できる。しかしながら、スリーブ503は、円筒形に限られず、例えば、一定の厚みを有する縦が長さL11、横が直径D5の円の円周以下の長さである長方形に形成されてもよい。この場合、長方形状のスリーブ503は、丸めて発泡ゴム層500bと金属導電層500cとの間に収納される。
【0103】
スリーブ503の径および厚みD7は、外径D5と内径D6の差分から算出され、本実施の形態では、100μmである。
【0104】
スリーブ503の材質は、熱による変形,熱収縮および熱膨張等の影響を受けにくいもの、例えばポリイミド等の樹脂を含むものが好ましく、金属導電層500cに用いられる金属を含むものでもよい。
【0105】
スリーブ503は、例えば耐熱性の接着剤等を用いて、発泡ゴム層500bと金属導電層500cと接着されている。すなわち、発泡ゴム層500bと金属導電層500cは直接的に接着されていない。
【0106】
従って、発泡ゴム層500bと金属導電層500cの間のうち、加熱ローラ1の中央領域502において、空隙部分504が形成される。空隙部分504は、加熱ローラ1の半径方向に、スリーブ503の厚みと同じ高さD7を有し、高さD7は、スリーブ503に支持されて100μmに維持されることが好ましい。
【0107】
よって、スリーブ503で接着されている発泡ゴム層500bおよび金属導電層500cは、熱による変形,熱収縮および熱膨張等の影響が少ない。また、金属導電層500cと接着されていない発泡ゴム層500bは、金属導電層1cによって熱膨張や熱収縮が制限されにくい。また、発泡ゴム層500bの中央部において、上述した接着による応力が軽減できる。このため、発泡ゴム層1bの消耗や破泡を軽減でき、金属導電層1cが変形することによるニップ幅の変動の問題を改善できる。
【0108】
なお、スリーブ503の外周面上には、図10に示すように、加熱ローラ1の軸方向に所定の長さ(例えば長さL11)のくぼみを設けた溝である通気孔505が、複数形成できる。通気孔505は、スリーブ503の外周面上状に、例えば回転ローラの軸に向かって凹んでいる半円形状に形成される。この通気孔505は、空隙部分504に存在する熱を空隙部分504の外に案内できる。金属導電層1cは、スリーブ503のうち通気孔505が形成されていない領域と、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着される。
【0109】
よって、空隙部分504に存在する熱は、通気孔505から放出される。このため、発泡ゴム層500bの熱膨張や熱収縮による、消耗や破泡を軽減でき、金属導電層1cが変形することによるニップ幅の変動の問題を改善できる。
【0110】
さらに、スリーブ503の外周面上には、図11に示すように、加熱ローラ1の軸方向に所定の長さ(例えばスリーブ503の軸方向の距離L11)を有し、加熱ローラ2の軸方向に対して所定の角度傾く線状にスリーブ503の外周面を切り欠く通気孔506を、複数形成できる。この通気孔506も上述した通気孔505と同様に、空隙部分504に存在する熱を空隙部分504の外に案内できる。
【0111】
なお、空隙部分504の大きさを調整することで、放出する熱の量を調節し、定着に要求される熱量を確保できることは言うまでもない。
【0112】
(第6の実施の形態)
次に、図12を用いて、加熱ローラ1のさらに異なる例について詳細に説明する。
【0113】
上述したとおり、加熱ローラ1は、ソリッドゴム層1dおよび離型層1eを有し、さらに、芯棒600aと、芯棒600aの外側に配置される発泡ゴム層600bおよび金属導電層600cとを有する。
【0114】
図12は、芯棒600a,発泡ゴム層600bおよび金属導電層600cの加熱ローラ1の軸方向の断面図を示す。
【0115】
芯棒600aは、軸方向の両方の端に位置され、外径D8を有する端部601と、この端部601の間に位置され、外径D9を有する中央部602とを含む。この外径D8は、外径D9に比べて長い。外径D8と外径D9の差分は、後に詳細に説明するが、発泡ゴム層600bの材質等に応じて、高い画質の画像を得るために、一定以上のニップ幅を確保できる範囲で決定される。例えば、1mm以上の差分を有することが好ましい。
【0116】
端部601は、上述した所定の範囲で決定される長さL11を有し、中央部602は、上述した所定の範囲で決定される長さL12を有する。また、芯棒600aは、内側に中空部、例えば両方の端部601と中央部602の内側を貫く中空部、を有する形状が好ましい。
【0117】
発泡ゴム層600bは、軸方向に一定の外径を有する円筒形状の発泡体であって、例えば耐熱性の接着剤等を用いて芯棒600aに接着されている。あるいは、芯棒600aに発泡体が生成され、一定の外径に形成されるものであってもよい。なお、本実施の形態において、発泡ゴム層600bの外径は39.7mmである。
【0118】
発泡ゴム層600bは、長さL11を有し、芯棒600aの端部601の外側に位置する端部603と、長さL12を有し、芯棒600aの中央部602の外側に位置する中央部604とを含む。
【0119】
発泡ゴム層600bの端部603は、厚みD10を有する。発泡ゴム層600bの中央部604は、厚みD10より厚い(大きい)厚みD11を有する。一定の外径および内径を有する円筒形のエンドレス部材である金属導電層600cは、発泡ゴム層600bの全面と耐熱性の接着剤等で接着される。
【0120】
発泡ゴム層600bの中央部604は、より厚い厚みで形成されることにより、加圧ローラ2の圧力に対する反発力、すなわち芯棒600aの硬度に応じた抵抗力を吸収できる。従って、厚みD10より厚い厚みD11を有する中央部604は、端部603に比べて硬度が小さい。すなわち、中央部604は、しなやかに形状が変化できる。
【0121】
よって、中央部604は、高い画質の画像を得るために、一定以上のニップ幅を確保できる。
【0122】
また、図13に示すように、加熱ローラ1は、芯棒600aと金属導電層600cとの間に、加熱ローラ1の軸方向に一定の外径および内径を有する円筒形の発泡ゴム層700bを有するものであってもよい。
【0123】
発泡ゴム層700bは、芯棒600aの端部601とのみ、耐熱性の接着剤等で接着される。金属導電層600cは、発泡ゴム層700bの全面と耐熱性の接着剤等で接着される。発泡ゴム層700bと芯棒600aの中央部602との間には、芯棒600aの外径D8および外径D9の差分に応じた空隙部分605が形成される。
【0124】
この空隙部分605により芯棒600aの硬度に応じた反発力が吸収されて、硬度の小さい発泡ゴム層600bの中央部では、高い画質の画像を得るために、一定以上のニップ幅を確保できる。
【0125】
また、芯棒600aの端部601には、加熱ローラ1の軸方向に所定の長さ(例えば端部601の軸方向の距離L11)を有する通気孔606が、複数形成できる。この通気孔606は、空隙部分605に存在する熱を、空隙部分605の外に導くことができる。
【0126】
よって、熱膨張により加熱ローラ1の硬度が大きくなり、一定以上のニップ幅が確保されない問題を改善できる。
【0127】
なお、図12に示す金属導電層600cは、発泡ゴム層600bの端部603とのみ、接着されてもよい。また、図13に示す金属導電層600cは、発泡ゴム層700bの端部、すなわち、発泡ゴム層700bの長手方向の端から長さL11の領域、とのみ接着されてもよい。芯棒600a,発泡ゴム層700b,金属導電層600cは、それぞれ上述した所定の範囲で決定される長さL11を有する領域においてのみ、接着される。
【0128】
よって、上述した接着による応力が軽減されるため、発泡ゴム層600bの破泡および消耗が軽減され、より長いライフが維持される。
【0129】
(第7の実施の形態)
次に、図14ないし17を用いて、加熱ローラ1のさらに異なる例について詳細に説明する。
【0130】
図14に示すとおり、加熱ローラ1は、発泡ゴム層1bを有し、発泡ゴム層1bの内側に配置される芯棒800aと、外側に配置される金属導電層800cを有する。金属導電層800cの外側には、ソリッドゴム層1dおよび離型層1eが形成されてもよい。
【0131】
図15は、芯棒800aの斜視図を示す。
【0132】
芯棒800aは、円筒形状に形成され、内側に中空部801を有する。この中空部801は、芯棒800aに形成される換気口802によって、外周面の外側とつながれている。
【0133】
この芯棒800aの外周面は、発泡ゴム層1bと耐熱性の接着剤等により接着される。金属導電層800cの制限や加圧ローラ2から圧力等の応力が加わると、発泡ゴム層1bに含まれる空気は、換気口802を通って、中空部801から加熱ローラ1の外に案内される。従って、発泡ゴム層1bで熱膨張された空気は、中空部801から加熱ローラ1の外に案内されることにより、加熱ローラ1の硬度が要求されるニップ幅を確保するための硬度範囲より大きくなることを防止できる。
【0134】
図16は、金属導電層800cの斜視図を示す。
【0135】
金属導電層800cは、一定の外径および内径を有する円筒形のエンドレス部材である。金属導電層800cは、第1の材質により構成される第1の層803と、第1の層803の周りに位置し第2の材質により構成される第2の層804を含む。
【0136】
第1の層803は、厚みD12の円筒形に形成され、第2の層804は、厚みD13の円筒形に形成される。厚みD12,13が第1,2の材質に応じて任意に選択されることで、金属導電層800cの硬度は調節される。なお、金属導電層800cは、発泡ゴム層1bの硬度との差を縮めて応力による発泡ゴム層1bの消耗や破泡を防ぐため、小さい硬度を有することが好ましい。
【0137】
本実施の形態においては、第1の材質はニッケル、第2の材質は銅であり、第1,2の層803,804は、それぞれ20μmに形成される。また、第1,2の材質の組み合わせはこれに限られず、ニッケル、ステンレス鋼、アルミニウム、銅およびステンレス鋼とアルミニウムの複合材から任意に選択できる。なお、第1,2の層803,804は、境界面において耐熱性の接着剤等を用いて接着されてもよく、また、蒸着等により一体的に形成されてもよい。
【0138】
金属導電層800cは、発泡ゴム層1bの全面と耐熱性の接着剤等で接着される。なお、金属導電層800cは、発泡ゴム層1bの端部、すなわち、発泡ゴム層1bの長手方向の端から長さL11の領域、とのみ接着されてもよい。
【0139】
本実施の形態では、金属導電層800cは2層構造で説明したが、3層以上の構造であってもよい。なお、それぞれの層の材質は、ステンレス鋼、ニッケル、ステンレス鋼、アルミニウム、銅およびステンレス鋼とアルミニウムの複合材から任意に選択できる。
【0140】
また、金属導電層800cは、図17に示すように、加熱ローラ1の長手方向の両端に形成される第1の内層805と、長手方向の中央に形成される第2の内層806と、第1の内層805の外側に形成される第1の外層807と、第2の内層806の外側に形成される第2の外層808を含み、それぞれ所定の材質により構成される。なお、第1,2の内層805,806および第1,2の外層807,808は、境界面において耐熱性の接着剤等を用いて接着されてもよく、また、蒸着等により一体的に形成されてもよい。
【0141】
第1の内層805および第1の外層807は、それぞれ上述した所定の範囲で決定される長さL11を有する領域(第1の領域)を含み、第2の内層806および第2の外層808は、それぞれ上述した所定の範囲で決定される長さL12を有する領域(第2の領域)を含む。発泡ゴム層1bとの高い接着強度(固定強度)が要求される第2の領域でおいては硬度を大きくすることが求められ、一定以上のニップ幅が要求される第1の領域においては硬度を小さくすることが求められる。よって、構成される材質を任意に選択することで、上述したように、金属導電層800cの硬度を調整できる。
【0142】
本実施の形態においては、第1の内層805,第2の内層806および第1の外層807はニッケル、第2の外層808は銅であり、それぞれ厚み20μmの円筒形に形成される。従って、第1の領域の硬度は、第2の領域の硬度より大きい。
【0143】
また、第1,2の内層805,806および第1,2の外層807,808の材質の組み合わせはこれに限られず、ニッケル、ステンレス鋼、アルミニウム、銅およびステンレス鋼とアルミニウムの複合材から任意に選択できる。なお、第1,2の内層805,806および第1,2の外層807,808は、それぞれ境界面において耐熱性の接着剤等を用いて接着されてもよく、また、蒸着等により一体的に形成されてもよい。
【0144】
なお、上に説明した少なくとも2つ以上の層を含む金属導電層800cは、上述した芯棒1aおよび発泡ゴム層1bの外側にそなえられてもよい。
【0145】
以上第1〜7の実施の形態で説明した芯棒、発泡ゴム層および金属導電層は任意に組み合わせて使用できる。例えば、図3に示した発泡ゴム層1bと、図14ないし16に示した芯棒800aおよび金属導電層800cとを備える加熱ローラ1であってもよい。また、図5に示した発泡ゴム層300bと、図14ないし16に示した芯棒800aおよび金属導電層800cとを備える加熱ローラ1であってもよい。
【0146】
なお、上述した第1〜7の実施の形態で説明した加熱ローラ1の構成は、加圧ローラ2に適用されてもよい。
【0147】
(第8の実施の形態)
次に、図18(a)〜(g)を用いて、加熱ローラのさらに異なる例について説明する。
【0148】
図18(a)は、加熱ローラの軸方向の断面図を示す。
【0149】
加熱ローラ20は、金属導電層20c、発泡ゴム層20bを有する。発泡ゴム層20bの内側には、芯棒1aを、金属導電層20cの外側には、ソリッドゴム層1dおよび離型層1eを備えてもよい。
【0150】
金属導電層20cは、一様に内径D14の内周面を有する。
【0151】
発泡ゴム層20bは、最も大きい外径D14を有する端部21bと、最も小さい外径D15を有する中央部22bを含む。
【0152】
端部21bの内側には、中央に近づくに従って軸方向に次第に外径が小さくなるコーン部23bが、中央部22bの両端には、中央に近づくに従って軸方向に次第に外径が小さくなるコーン部24bが形成される。詳細に説明すると、コーン部23bの外径は、最大外径D14から外径D16まで次第に小さくなり、コーン部24bの外径は、外径D16から最小外径D15まで次第に小さくなる。なお、外径D16は、外径D14より小さくかつ外径D15より大きい所定の値を有する。
【0153】
コーン部23b,24bの外周面は、断面図で直線的に示されるように、一定の割合で外径が次第に減少している円錐状(テーパー状)であって、このような形状の面を以下テーパー面と記して説明する。なお、端部21b,中央部22bのように、軸方向に一定の外径を有する面を、以下、円筒面と記して説明する。
【0154】
端部21bは、軸方向に長さL13を有し、外周面が金属導電層20cと接触している。金属導電層20cと端部21bは、この接触部分のうち全面あるいは一部で、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着されている。
【0155】
また、発泡ゴム層20bは、金属導電層20cと非接触となる部分において、軸方向の長さL14を有する。(4)長さL14は、中央部22b,コーン部23b,24bの軸方向の長さの和であって、長さL13が、(3)十分な接着強度が確保される範囲であればよい。
【0156】
さらに、端部21bとコーン部23bとの間には、段差25があり、加圧ローラ2から所定の圧力が提供されると、金属導電層20cの表面にも段差が形成される虞がある。このため、段差25は、画像形成領域外であることが好ましい。
【0157】
このように、金属導電層20cは、発泡ゴム層20bのコーン部23b,24bと接着されず、端部21b以外の発泡ゴム層と金属導電層20bとの間には空隙が形成されることが好ましい。発泡ゴム層20bは、金属導電層20cの端部21b、コーン部23b,24bと接着されず、間に空隙が形成されることが好ましい。なお、本実施の形態においては、外径D14と外径D15は、少なくとも直径で0.1〜2mm(すなわち半径0.05〜1mm)の差H3を有する。
【0158】
発泡ゴム層20bは、軸26に対称であって、軸と垂直な断面は、所定の半径を有する円である。また、発泡ゴム層20bは、径方向の中心線27に対称である。
【0159】
尚、発泡ゴム層としての端部、コーン部は一体に形成されてもよく、また、複数部材を組み合わせて構成してもよい。複数部材を組み合わせる場合には、組み合わせ部分を接着してもよいが、若干の空隙を設けてもよい。この場合、軸は、図15に示したものを用いることにより、ローラ外部と上記空隙との間に空気の通り道を形成することができ、ローラ内部の空気圧を調整することができる。
【0160】
ところで、加熱ローラおよび加圧ローラの間を、所定の熱および圧力が提供されながら搬送される被転写材は、膨張による伸びが吸収されずに、表面が皺になる問題がある。
【0161】
本実施の形態の加熱ローラ20は、両端において最も大きく、中央に向かって次第に小さくなる外径を有する発泡ゴム層20bを含むものであって、所定の張力を提供する加圧ローラ2との間を被転写材が通過する場合、中央に比べて外側の方が、被転写材の搬送スピードが早くなる。
【0162】
従って、加熱ローラ20と加圧ローラ2の間に位置され、ローラの回転により移動される被転写材は、軸方向の両端側に引っ張られるようにローラの間を通過するため、皺の形成を抑制できる。また、被転写材の中心が中心線915付近を通過する場合、偏った応力の発生を防止できるため、被転写材は、軸と垂直な方向に移動され、さらに皺が形成されにくい。
【0163】
また、金属導電層20cと接着されていない中央部22b,コーン部23b,24bは、金属導電層20cからの熱による熱膨張や熱収縮の影響が軽減される。すなわち、熱膨張した際、金属導電層20cに制限されることによる発泡ゴム層20bの消耗や破泡を軽減でき、高い画質の画像を得るため、一定以上のニップ幅を確保可能な硬度を維持できる。さらに、上述した接着による応力が軽減されるため、発泡ゴム層20bの破泡および消耗が軽減され、より長いライフが維持される。
【0164】
なお、金属導電層20cは、内径が端部21bの外径D14以下であればよく、内側に、後に図20(a),(b)を用いて説明する所謂しまり嵌めで発泡ゴム層20bが配置されてもよい。すなわち、発泡ゴム層20bは、長さL14で定義される領域においても、一部あるいは全部の外周面で、金属導電層20cと接触していてもよい。このような構成であっても、同様の効果が得られる。
【0165】
次に、発泡ゴム層20bの変形例を説明する。
【0166】
図18(b)に示す通り、発泡ゴム層31bは、最大外径D14の円筒面を有する端部311bと、最小外径D15の円筒面を有する中央部312bと、端部311bと中央部312bの間に位置され、中央部312bに向かって外径が次第に減少しているテーパー面を有するコーン部313bを含む。また、軸に対称であり、径の中心線に対称である。
【0167】
図18(c)に示す通り、発泡ゴム層32bは、最大外径D14の円筒面を有する端部321bと、最小外径D15に向かって外径が次第に減少しているテーパー面を有するコーン部322bを含む。また、軸に対称であり、径の中心線に対称である。
【0168】
図18(d)に示す通り、発泡ゴム層33bは、最大外径D14の円筒面を有する端部331bと、最小外径D15の円筒面を有する中央部332bと、端部331bと中央部332bの間に位置され、中央部332bに向かって外径が次第に減少しているテーパー面を有するコーン部333b,334bを含む。また、発泡ゴム層33bの外径が中央に向かって穏やかに減少するように、中央部332bは所定の長さL15、コーン部333bは所定の長さL16、コーン部334bは所定の長さL17を、それぞれ軸方向に有する。また、軸に対称であり、径の中心線に対称である。
【0169】
図18(e)に示す通り、発泡ゴム層34bは、最大外径D14の円筒面を有する端部341bと、最小外径D15の円筒面を有する中央部342bと、中央部342bの両端に位置され、中央部342bに向かって外径が次第に減少しているテーパー面を有するコーン部343bと、コーン部343bの外側に位置され、外径D14より小さくかつ外径D15より大きい外径D16の円筒面を有する円筒部344bとを含む。なお、円筒部344bと端部341bとの間には、段差345が形成され、段差955は、画像形成に不良が生じない位置、例えば非通紙領域の所定の位置であることが好ましい。また、軸に対称であり、径の中心線に対称である。
【0170】
図18(f)に示す通り、発泡ゴム層35bは、最大外径D14の円筒面を有する端部351bと、軸方向での中央において最小外径D15を有する中央部352bとを含む。中央部352bの外周面は、断面図で曲線的に示されるように、所定の割合で外径が両端から中央に向かって次第に減少しており、このような形状の面を以下曲面部と記して説明する。また、軸に対称であり、径の中心線に対称である。
【0171】
図18(g)に示す通り、発泡ゴム層36bは、軸方向での両端において最大外径D17を、中央において最小外径D15を有し、断面図で曲線的に示されるように、所定の割合で外径が中央に向かって次第に減少している曲面部361bを有する。また、軸に対称であり、径の中心線に対称である。
【0172】
また、発泡ゴム層36bは、上に説明した発泡ゴム層31b〜35bと異なり、両端において、金属導電層20cと接触する所定の領域として円筒面に形成されていないが、例えば両端から軸方向の長さL13の領域を、外側に配置される金属導電層20cの内径D14より大きい外径に形成することで、所謂しまり嵌めで金属導電層20cと接触するための所定の領域を確保できる。
【0173】
発泡ゴム層31b〜36bは、金属導電層20cの内側に配置された場合、金属導電層20cと接触する部分のうち全面あるいは一部において、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着されている。
【0174】
端部311b,321b,331b,341b,351bは、端部21bと同様に、軸方向に長さL13を有することが好ましく、両端部の間は、長さL14であることが好ましい。
【0175】
上に説明したとおり、発砲ゴム層31b〜36bは、両端において最も大きく、中央に向かって次第に小さくなる外径を有するため、中央に比べて外側の方が、被転写材の搬送スピードが早くなる。
【0176】
(第9の実施の形態)
次に、図19(a)〜(c)を用いて、加熱ローラのさらに異なる例について説明する。
【0177】
加熱ローラ40は、金属導電層40cと、両端において最も大きく、中央に向かって次第に小さくなる外径を有する発泡ゴム層として、例えば上に説明した発泡ゴム層20bを有する。発泡ゴム層20bの内側には、芯棒1aを、金属導電層40cの外側には、ソリッドゴム層1dおよび離型層1eが配置されてもよい。
【0178】
図19(a)は、発泡ゴム層20bと金属導電層40cの軸方向の断面図を示し、図19(b)は、金属導電層40cの概略斜視図を示す。
【0179】
発泡ゴム層20bは、例えば、図18(a)に示した通り、端の最大外径D14から、中央の最小外径D15に向かって軸方向に次第に小さくなる外径を有する。
【0180】
図19(b)に示す通り、金属導電層40cは、最大内径D14の円筒面を有する端部41cと、軸方向の中心で最小内径D18を有する中央部42cを含む。中央部42cは、両端から最小内径D18に向かって内径が次第に減少している曲面部を含む。また、金属導電層40cは、軸方向において一定の厚さ、例えば40μmに形成される。よって、金属導電層40cの外周面も内周面と同様に、外径が両端において最も大きく中央に向かって次第に小さくなる曲面部からなる。
【0181】
金属導電層40cの内径D18は、発泡ゴム層20bの最小外径D15より大きい。
【0182】
図19(a)に示す通り、金属導電層40cの端部41cは、軸方向に長さL13を有し、内周面において発泡ゴム層20bと接触している。金属導電層40cと発泡ゴム層20bは、この接触部分のうち全面あるいは一部で、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着されている。
【0183】
金属導電層40cの中央部42cは、軸方向に長さL14を有し、発砲ゴム20bと接着せず、間に空隙が形成されることが好ましい。
【0184】
なお、本実施の形態においては、内径D18と外径D15は、少なくとも直径で0.1〜2mm(すなわち半径0.05〜1mm)の差H4を有する。また、端部41cおよび中央部42cの和、すなわち金属導電層40cの軸方向の長さはL1であって、例えば330mmであることが好ましい。
【0185】
なお、端部41cと中央部42cとの間には、境界43が形成されており、これは、加圧ローラ2から圧力が提供されることにより、境界43と加圧ローラ2との間を通過した被転写材に、画像不良を招く虞がある。このため、境界43が、画像形成に不良が生じない所定の位置となるように、L14は、所定の長さに決定されることが好ましい。よって、上に説明した通り、(4)長さL14は、通紙領域以上の長さであって、通紙領域と非通紙領域を含んでもよい。また、(3)長さL13が、十分な接着強度が確保される範囲で決定されてもよい。
【0186】
上述の通り、加熱ローラ40は、軸方向に異なる外径の外周面を有し、両端において最も大きく中央に向かって次第に小さくなる外径を有する。これにより、軸方向の中央(内側)に比べて端部(外側)の方において、被転写材の搬送スピードが速い。従って、搬送される被転写材は、軸方向の両端に引っ張られるように加熱ローラ40と加圧ローラ2の間を通過するため、皺の発生を抑制できる。
【0187】
次に、図19(c)を用いて、両端において最も大きく中央に向かって次第に小さくなる金属導電層のさらに異なる例を説明する。
【0188】
金属導電層44cは、曲面部45だけからなる外周面を有する。
【0189】
また、金属導電層44cは、内側に例えば図18(g)に示した発泡ゴム層36bが配置されてもよい。発泡ゴム層36bは、例えば長さL13で定義される金属導電層44cの端部と接着され、少なくとも通紙領域を含む金属導電層44cの中央部とは非接着で、間に空隙を有することが好ましい。
【0190】
この構成により、金属導電層44cの表面には、境界が形成されず、画像不良が形成される虞がない。
【0191】
なお、本実施の形態においては、発泡ゴム層20bを例として説明したが、例えば、図18(b)〜18(f)に示した発泡ゴム層31b〜36bのいずれか1つを金属導電層40cの内側に備えるものであってもよい。
【0192】
また、金属導電層40c,44cは、軸に対称であり、径方向の中心線に対称であることは言うまでもない。
【0193】
(第10の実施の形態)
次に、図20(a)〜(e)を用いて、加熱ローラのさらに異なる例について説明する。
【0194】
図20(a)に示す通り、加熱ローラ50は、軸方向に長さL12を有する中央部51と、中央部51の両端に配置され、長さL11を有する端部52,53からなる。中央部51は、第3の硬度を有し、端部52,53は、第3の硬度より大きい(硬い)第4の硬度を有する。
【0195】
加熱ローラ50は、例えば、図20(b)に示すような、芯棒50aと、発泡ゴム層50bと、金属導電層50cとを有する。
【0196】
芯棒50aは、軸方向で一様に外径D20を有する。
【0197】
発泡ゴム層50bは、最小外径D21を有し、中央部51に対応する長さL12を有する中央発泡ゴム層51bと、最大外径D22を有する端部発泡ゴム層52b,53bからなり、端部発泡ゴム層52b,53bは、それぞれ端部52,53に対応する長さL11を有する。
【0198】
よって、中央発泡ゴム層51bは、周方向に均一の厚さ(D21−D20)/2を有し、端部発泡ゴム層52b,53bは、周方向に均一の厚さ(D22−D20)/2を有する。
【0199】
金属導電層50cは、軸方向で一様に内径D23を有する。
【0200】
このように、中央部と端部において異なる硬度を有する加熱ローラ50は、金属導電層の内側に、中央部と端部の外径が異なる発泡ゴム層を有する。
【0201】
次に、発泡ゴム層50bと金属導電層50cとの関係を説明する。
【0202】
図20(b)に示す通り、端部発泡ゴム層52b,53bの外径D22は、金属導電層50cの内径D23よりも大きく、中央部発泡ゴム層51bの外径D21は、内径D23よりも小さい。すなわち、D21<D23<D22が成り立つ。
【0203】
よって、端部発泡ゴム層52b,53bは、しまり嵌めで金属導電層50cに嵌め合わされ、両者の差分(D22−D23)/2である締めしろ54に応じて所定の大きさ硬度である第4の硬度を有する。また、中央発泡ゴム層51bと金属導電層50cとの間には、両者の差分(D23−D21)/2である隙間55(図20(a)参照)が形成される。このように、中央に隙間を有し、端部においてしまり嵌めされる構成をタイプαとして以下説明する。
【0204】
一方、図20(c)に示すように、中央部発泡ゴム層51bの外径D21が、金属導電層50cの内径D23と同等である場合、金属導電層50cと発泡ゴム層との間に隙間はないが、加熱ローラ50の端部52,53は、締めしろ54に応じた中央部51の第3硬度より大きい第4の硬度を有する。すなわち、D21=D23<D22が成り立つ。このように、中央で隙間がなく、端部においてしまり嵌めされる構成をタイプβとして以下説明する。
【0205】
また、図20(d)に示すように、中央部発泡ゴム層51bの外径D21が、金属導電層50cの内径D23より大きい場合、金属導電層50cと発泡ゴム層との間に隙間はなく、加熱ローラ50の中央部の第3の硬度と端部の第4の硬度は、端部の締めしろ54と中央部の締めしろ56の差分に応じた差を有する。すなわち、D23<D21<D22が成り立つ。このように、中央および端部においてしまり嵌めされる構成をタイプγとして以下説明する。
【0206】
さらに、図20(e)に示すように、端部発泡ゴム層52b,53bの外径D22が、金属導電層50cの内径D23と同等である場合、金属導電層50cと中央発泡ゴム層51bとの間に隙間が形成され、加熱ローラ50の中央部51は、発泡ゴム層の中央部の外径D21と端部の外径D22の差分に応じた端部の第4の硬度より小さい第3硬度を有する。すなわち、D21<D23<D22成り立つ。このように、中央で隙間があり、端部において隙間がなく嵌め合わされている構成をタイプδとして以下説明する。
【0207】
上に説明したタイプα〜δの加熱ローラは、いずれも、中央部51が、端部52,53の第4の硬度より小さい第3の硬度を有する。なお、第3の硬度は、高い画質の画像を得るため一定以上のニップ幅を確保できる範囲で、発泡ゴム層50b自身の硬度や、金属導電層50cとの間に形成される隙間の体積により変化する。
【0208】
また、第4の硬度は、しまり嵌めの場合、端部発泡ゴム層52b,53bが、外から制限を与える金属導電層50cに圧縮され、内側から金属導電層50cに所定の圧力を与えるため、締めしろ54の体積により変化する。なお、締めしろ54は、嵌め合いにより圧縮される半径方向の大きさで表わす。
【0209】
本実施の形態では、表1に示すとおり、発泡ゴム層としてサンプル1〜3を用意して、JIS6253−1997の加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの硬さ試験方法で規定されているタイプEデュロメータにより、加熱ローラの両端部および中央部の硬度を測定した。なお、金属導電層は、全て内径45mm、芯棒の外径は全て30mmである。
【0210】
サンプル1は、タイプβであって、発泡ゴム層50bは、中央部の外径D21が45.0mm、端部の外径D22が46.0mmに形成されている。端部発泡ゴム層52b,53bは、締めしろ0.5mmで金属導電層50cと嵌め合わされている。
【0211】
サンプル2は、タイプδであって、発泡ゴム層50bは、中央部の外径D21は43.4mm、端部の外径D22は、45.0mmに形成されている。中央部発泡ゴム層51bは、隙間0.8mmで、金属導電層とすきま嵌めされている。
【0212】
サンプル3は、タイプαであって、発泡ゴム層50bは、中央部の外径D21は44.4mm、端部の外径D22は、45.3mmに形成されている。すなわち、中央発泡ゴム層51bは、隙間0.3mmで、金属導電層とすきま嵌めされ、端部発泡ゴム層52b,53bは、締めしろ0.15mmで金属導電層50cと嵌め合わされている。
【0213】
サンプル4は、タイプαであって、発泡ゴム層50bは、中央部の外径D21は44.0mm、端部の外径D22は、45.3mmに形成されている。すなわち、中央発泡ゴム層51bは、隙間0.5mmで、金属導電層とすきま嵌めされ、端部発泡ゴム層52b,53bは、締めしろ0.15mmで金属導電層50cと嵌め合わされている。
【0214】
表1は、サンプル1〜4は、加圧ローラによる圧力の提供がなく、加熱機構による熱の提供もない常温状態(ここでは25℃)における、サンプル1〜4のそれぞれ端部52の硬さA,中央部51の硬さB,端部53の硬さCを示す。なお、硬さA〜Cは、一様の外径を有する発泡ゴム層の周方向の複数の点(ここでは4点)の平均値である。
【表1】
【0215】
図21は、この計測結果をまとめたものであって、縦軸はタイプEデュロメータの硬さYeを示し、横軸は金属導電層と発泡ゴム層の半径方向の差分Xe=(D23−D21)/2を示す。なお、横軸において、「0」は金属導電層と発泡ゴム層との間に隙間がなくぴったり嵌めあっている状態を示し、「プラス」領域は両者に隙間が生じるすきま嵌め状態を示し、「マイナス」領域は両者の間にしまり嵌め状態を示す。
【0216】
このように、金属導電層の内径D23と芯棒の外径D20が同一である場合、発泡ゴム層の中央部の外径D21と端部の外径D22を所定の範囲で変化させることにより、加熱ローラの硬さを変更できる。また、しまり嵌めである場合、その締めしろのサイズに応じて、すきま嵌めである場合は、隙間のサイズに応じて、加熱ローラは所定の硬さを有する。すなわち、タイプα〜δの加熱ローラのいずれであっても、金属導電層の内径D23と芯棒の外径D20の差分と、その間に配置される発泡ゴム層の厚さとの関係により、所定の第3,4の硬さを有することができる。
【0217】
なお、金属導電層の内径が変化する場合、芯棒の外径をその分変化させ、発泡導電層の厚さを本実施の形態と同じにすることで、例えば、金属導電層の内径D23が40mmであるとき、芯棒の外径D20が25mmとされることにより、上述のような範囲の第3,4の硬さを有するローラを実現できる。
【0218】
また、加熱ローラ50は、図18を用いて上に説明した発泡ゴム層20b,31b〜36bのように、両端において最大で、中央に向かって次第に小さくなる外径を有する発泡ゴム層を備えてもよい。
【0219】
なお、加熱ローラ50の中央部51は、高い画質の画像を得るため一定以上のニップ幅が確保できる範囲であればよく、例えば、図21に示す通り、外径D21が40.8で、内径が45.0mmの金属導電層との間に、2.1mmの隙間が形成されて、硬さE50であってもよい。また、両ローラは、図21で対応しているとおりのサイズに形成されて、硬さE50〜58の範囲であってもよい。
【0220】
(第11の実施の形態)
次に、図22(a),(b),(c),(d)を用いて、加熱ローラのさらに異なる例について説明する。
【0221】
図22(a)に示す通り、加熱ローラ60は、発泡ゴム層60bと、金属導電層60cを有する。
【0222】
発泡ゴム層60bは、外径D24を有する中央部61bと、外径D24より大きい外径D25を有する端部62bとを含む。本実施の形態においては、外径D24が39.5mm、外径D25が39.7mmである。
【0223】
図22(b)に示す通り、金属導電層60cは、軸方向に長さL14を有する中央部63cと、軸方向に長さL13を有する端部64cを含む。端部64cには、金属導電層60cの内側の空気を外側に案内できる複数の通気孔65が形成される。本実施の形態では、通気孔65は、直径1mmの概略円に形成されることが好ましい。
【0224】
金属導電層60cの端部64cは、この通気孔65の孔をつぶさないように、内側に配置される発泡ゴム層60bの外周面の一部と例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着される。
【0225】
金属導電層60cと発泡ゴム層60bの中央部61bは非接着であり、間に空隙66が形成されることが好ましい。空隙66の空気あるいは金属導電層60cと発泡ゴム層60b付近の空気は、発泡ゴム層60bの端部62bを通って、通気孔65の外側に案内される。
【0226】
従って、金属導電層60cが加熱され、内側の空気が熱膨張した場合であっても、通気孔65により、内側の空気は外側に案内される。
【0227】
また、金属導電層60cの中央部63cの長さL14は、(4)通紙領域以上の長さであって、通紙領域と非通紙領域を含んでもよい。また、端部64cの長さL13は、(1)非通紙領域として定義される範囲を含む長さであってもよく、(3)十分な接着強度が確保される範囲で決定されてもよい。なお、発泡ゴム60bの端部62bの長さL11は、長さL14以上であって、(2)非通紙領域に加えて通紙領域の一部を含む画像形成に不良が発生しない範囲を含んでもよい。このように、通気孔65は、画像形成に不良が生じないように、通紙領域以外に形成されることが好ましい。
【0228】
このため、加熱ローラ60は、金属導電層60cが加熱した場合であっても、熱膨張により硬さが高くなることが防止され、少なくとも通紙領域において、高い画質の画像を得るため、一定以上のニップ幅を確保可能な硬さを維持できる。
【0229】
また、通気孔65は、図22(b)に示した通り、無作為に複数形成されてもよいが、例えば、図22(c)に示す通り、径方向に並んで形成されてもよく、図22(d)に示す通り、端部64cが網の目状に形成されてもよい。また、発泡ゴム層60bのうち少なくとも端部62bは、発泡体同士がつながっている連続泡であることが好ましい。
【0230】
なお、本実施の形態の加熱ローラ60は、発泡ゴム層60bとして、軸方向に一様の外周面を有する円筒面からなるものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、図18(a)〜18(f)に示した発泡ゴム層20b,31b〜36bのいずれか1つを金属導電層60cの内側に備えるものであってもよい。
【0231】
(第12の実施の形態)
次に、図23(a),(b)および図24(a),(b)を用いて、加熱ローラのさらに異なる例について説明する。
【0232】
図23(a)は、発泡ゴム層70bの概略斜視図を示す。
【0233】
発泡ゴム層70bは、外径D1を有する端部71bと、外径D1より小さい外径D2を有する中央部72bからなり、軸方向に端部71bおよび中央部72bを貫通する通気孔73を少なくとも1つ有する。
【0234】
また、図23(b)は、発泡ゴム層70bを含む加熱ローラ70の端部71bにおける断面図を示す。
【0235】
加熱ローラ70は、一様に内径D1を有する金属導電層70cと、金属導電層70cの内側に配置される発泡ゴム層70bと、発泡ゴム層70bの内側に配置される芯棒1aを有する。
【0236】
端部71bは、金属導電層70cと接触し、この接触部分のうち全面あるいは一部で、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着されている。
【0237】
中央部72bは、金属導電層70cと非接着であり、間に空隙を有することが好ましい。
【0238】
端部71bは、芯棒1aと金属導電層70cとの距離である、厚さD26を有し、所定の領域に通気孔73を有する。
【0239】
通気孔73は、分割線74より外側かつ外径D2より内側、すなわち、分割線74より大きく外径D2より小さい直径を有する領域に形成される。分割線74は、加熱された金属導電層70cからの熱が伝達されやすい外側と、実質的に熱が伝達されにくい内側を、説明上、分ける線であって、例えば、端部71bの外径D1より厚さD26の50%の長さだけ半径が小さい円として定義される。
【0240】
これにより、金属導電層70cにより温められた発泡ゴム層70bの空気を、加熱ローラ70の外側に、効率よく排出できる。
【0241】
よって、加熱ローラ70は、金属導電層70cが加熱した場合であっても、熱膨張により硬度が高くなることが防止され、少なくとも通紙領域において、高い画質の画像を得るため、一定以上のニップ幅を確保可能な硬さを維持できる。
【0242】
なお、本実施の形態の加熱ローラ70は、発泡ゴム層70bとして、軸方向に一様の外周面を有する円筒面からなるものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、図18(a)〜18(f)に示した発泡ゴム層20b,31b〜36bのいずれか1つを金属導電層70cの内側に備えるものであってもよい。
【0243】
次に、図24(a),(b)を用いて、軸方向に貫通する通気孔を有する発泡ゴム層の異なる例について説明する。
【0244】
図24(a)は、発泡ゴム層80bの概略斜視図を示す。
【0245】
発泡ゴム層80bは、外径D1を有する端部81bと、外径D1より小さい外径D2を有する中央部82bからなり、軸方向に端部81bおよび中央部82bを貫通し、かつ端部81bおよび中央部82bの外周面を切り欠く形状の通気孔83を少なくとも1つ有する。
【0246】
また、図24(b)は、発泡ゴム層80bを含む加熱ローラ80の端部81aにおける断面図を示す。
【0247】
加熱ローラ80は、一様に内径D1を有する金属導電層80cと、金属導電層80cの内側に配置される発泡ゴム層80bと、発泡ゴム層80bの内側に配置される芯棒1aを有する。
【0248】
端部81bは、金属導電層80cと接触し、この接触部分のうち全面あるいは一部で、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着されている。
【0249】
中央部82bは、金属導電層80cと非接着であり、間に空隙を有することが好ましい。
【0250】
端部81bは、芯棒1aと金属導電層80cとの距離である、厚さD27を有し、分割線84より大きい直径を有する領域に形成される通気孔83を有する。通気孔83は、端部81bおよび中央部82bの外周面まで達する。なお、分割線84は、端部81bの外径D1より厚さD27の50%の長さだけ半径が小さい円として定義される。
【0251】
これにより、金属導電層80cと発泡ゴム層80bの中央部82bとの間に形成される空隙の空気を、より効率的に、通気孔83を介して、外部に案内できる。
【0252】
また、通気孔83は、単なる切込みであってもよい。
【0253】
なお、本実施の形態の加熱ローラ80は、発泡ゴム層80bとして、軸方向に一様の外周面を有する円筒面からなるものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、図18(a)〜18(f)に示した発泡ゴム層20b,31b〜36bのいずれか1つを金属導電層70cの内側に備えるものであってもよい。
【0254】
(第13の実施の形態)
次に、図25(a),(b)を用いて、加熱ローラのさらに異なる例について説明する。
【0255】
図25(a)は、発泡ゴム層90bの概略斜視図を示す。
【0256】
発泡ゴム層90bは、外径D1を有する端部91bと、外径D1より小さい外径D2を有する中央部92bからなり、軸方向に端部91bおよび中央部92bを貫通し、かつ端部91bおよび中央部92bを含む発泡ゴム層90bの外周面および内周面を切り欠く形状の通気孔93を少なくとも1つ有する。
【0257】
また、図25(b)は、発泡ゴム層90bを含む加熱ローラ90の端部91bにおける断面図を示す。
【0258】
加熱ローラ90は、一様に内径D1を有する金属導電層90cと、金属導電層90cの内側に配置される発泡ゴム層90bと、発泡ゴム層90bの内側に配置され、所定の接着方法で発泡ゴム層90bを保持する芯棒1aを有する。
【0259】
端部91bは、金属導電層90cと接触し、この接触部分のうち全面あるいは一部で、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着されている。
【0260】
中央部92bは、金属導電層90cと非接着であり、間に空隙を有することが好ましい。
【0261】
通気孔93は、発泡ゴム層90bの内周面から外周面に達する切り欠き形状であって、言い換えると、端部91bおよび中央部91bにおいて、それぞれの厚さと等しい、径方向の深さを有する。
【0262】
これにより、金属導電層90cと発泡ゴム層90bの中央部92bとの間に形成される空隙の空気、あるいは金属導電層90cの内側の空気を、より効率的に、通気孔93を介して、外部に案内できる。
【0263】
よって、加熱ローラ90は、金属導電層90cが加熱した場合であっても、熱膨張により硬度が高くなることが防止され、少なくとも通紙領域において、高い画質の画像を得るため、一定以上のニップ幅を確保可能な硬さを維持できる。
【0264】
なお、本実施の形態の加熱ローラ90は、発泡ゴム層90bとして、軸方向に一様の外周面を有する円筒面からなるものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、図18(a)〜18(f)に示した発泡ゴム層20b,31b〜36bのいずれか1つを金属導電層90cの内側に備えるものであってもよい。
【0265】
(第14の実施の形態)
次に、図26(a),(b)を用いて、加熱ローラのさらに異なる例について説明する。
【0266】
図26(b)は、加熱ローラ110の中央部の断面図を示す。
【0267】
加熱ローラ110は、一様に内径D14を有する金属導電層110cと、金属導電層110cの内側に配置される発泡ゴム層110bと、発泡ゴム層110bの内側に配置される芯棒110aを有する。
【0268】
芯棒110aは、中空部111aと換気口112aを有し、外周面側すなわち発泡ゴム層110bと外部すなわち換気口112aと隣接する両端部とをつなぐ構成を有する。なお、芯棒110aは、例えば、図15を用いて上に説明した芯棒800aのような構成でよい。
【0269】
発泡ゴム層110bは、図26(a)に示す通り、最大外径D14を有する端部111bと、最小外径D15を有する中央部112bと、中央に近づくに従って軸方向に外径が次第に小さくなるコーン部113b,114bからなり、内周面から外周面まで達する通気孔115を複数有する。
【0270】
端部111bは、金属導電層110cと接触し、この接触部分のうち全面あるいは一部で、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着されている。
【0271】
中央部112bは、金属導電層110cと非接着であり、間に空隙を有することが好ましい。
【0272】
通気孔115は、径方向に発泡ゴム層110bを貫通し、空隙(金属導電層110cの付近)と芯棒800aの外周面とをつなぐ。通気孔115とつながる芯棒800aの換気口111aは中空部112aを介して外部に空気を排出できる。
【0273】
これにより、金属導電層110cにより温められた発泡ゴム層110bの空気を、加熱ローラ110の外側に、効率よく排出できる。
【0274】
また、端部111bは軸方向の長さL13に形成され、中央部112b,コーン部113b,114bは、軸方向の長さの総和が長さL14に形成される。長さL14は、上に説明した通り、(4)通紙領域以上の長さであって、通紙領域と非通紙領域を含んでもよく、長さL13が、(3)十分な接着強度が確保される範囲で決定されてもよい。
【0275】
よって、通気孔115は、少なくとも通紙領域に形成される。また、通気孔115が形成されることにより、中央部112b,コーン部113b,114bの硬度は小さくなる。
【0276】
このため、通紙領域に、所定の大きさおよび数の通気孔115が形成されるとこにより、一定以上のニップ幅を確保可能な硬さを維持できる。
【0277】
なお、芯棒110aは、これに限られず、発泡ゴム層110bの通気孔115の位置に応じて、中央部112b,コーン部113b,114bと接する面に換気口を形成し、端部111bと接する面には形成されないものであってもよく、あるいは全面が網の目状であってもよい。
【0278】
また、通気孔115は、所定の大きさあるいは所定の数で形成されることにより、加熱ローラ110の硬度を小さくできる。さらに、発泡ゴム層110bが、気泡同士が連結され空気の移動が可能な連続泡からなる場合、加熱ローラ2から圧力が提供されて、端部111bから空気を排出できる。このため、芯棒110aとして、換気口および中空部が形成されないものであっても適用できる。
【0279】
(第15の実施の形態)
次に、図27(a)〜(e)を用いて、加熱ローラのさらに異なる例について説明する。
【0280】
図27(a)は、発泡ゴム層120bの概略斜視図を示す。
【0281】
発泡ゴム層120bは、長さL12を有する中央部121bと、中央部121bの両端に配置され、長さL11を有する端部122b,123bとを有し、軸方向に一様に外径D28に形成される。
【0282】
発泡ゴム層120bは、外周面上に、軸方向にわたってV字状に形成される通気孔123を少なくとも1つ有する。言い換えると、通気孔124は、軸方向の中心から端まで、軸と所定の角度で交わる直線状の切り欠きを、軸方向の中心で対称に有する。すなわち、通気孔124は、軸方向に発泡ゴム層120bの外周面を貫通している。
【0283】
また、図27(b)は、発泡ゴム層120bを含む加熱ローラ120の断面図を示す。
【0284】
加熱ローラ120は、一様に内径D28を有する金属導電層120cと、金属導電層120cの内側に配置される発泡ゴム層120bと、発泡ゴム層120bの内側に配置される芯棒1aからなる。
【0285】
端部122b,123bは、金属導電層120cと接触し、この接触部分のうち全面あるいは一部で、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着されている。中央部121bは、金属導電層120cと非接着である。
【0286】
加熱ローラ120は、加圧ローラ2から所定の圧力が提供された状態で回転される場合、発泡ゴム層120cのそれぞれの通気孔124(外部から外部までをつなぐ)のうち、V字の山が最も早く加圧ローラ2との接触位置(ニップ)に到達するように設けられる。すなわち、発泡ゴム層120bは、矢印Mの方向に回転するように、装置に備えられる。
【0287】
このため、移動する被転写材は、軸方向の両端に引っ張られるように加熱ローラ120と加圧ローラ2の間を通過するため、皺の形成を抑制できる。
【0288】
また、発泡ゴム層120cは、断面において、円中心すなわち軸に対称であって、通気孔124は、偶数であることが好ましい。これにより、被転写材が加熱ローラ120と加圧ローラ2との間を通過するとき、偏った応力の発生を防止できるため、被転写材は軸と垂直な方向に移動され、さらに皺が形成されにくい。
【0289】
なお、本実施の形態は、図27(b)に示す通り、断面において半円形状で所定の深さを有する通気孔124であってもよいが、図27(c)に示す通り、所定の深さを有する切り欠き125であってもよく、切り欠き125は、単なる切込みであってもよい。
【0290】
次に、図27(d)を用いて、発泡ゴム層120bの変形例を説明する。
【0291】
図27(d)に示すとおり、発泡ゴム層130bは、長さL12を有する中央部131bと、中央部131bの両端に配置され、長さL11を有する端部132b,133bとを有する。端部132b,133bは、外径D28に、中央部131bは、D28より小さい外径D29に、それぞれ形成される。
【0292】
発泡ゴム層130bの外周面には、発泡ゴム層120bと同様に、通気孔134,135が、回転方向上流側にV字の山がくるように、形成される。このため、中央部131bの外周面に形成される通気孔134と、端部132b,133bの外周面に形成される通気孔135とは、連続でなくてよい。通気孔135は、発泡ゴム層130bの外側に金属導電層が配置された場合、中央部の空気を外部に排出できる。
【0293】
なお、金属導電層の内径がD28である場合、中央部には、図27(e)に示すような隙間136ができる。しかしながら本願発明はこれに限られるものではなく、例えば図20(a)〜(e)に示したような所定の嵌め合いであってもよい。
【0294】
また、通気孔134,135は、図27(b),(c)に示した半円状の切り欠きあるいは単なる切込みのいずれであってもよい。
【0295】
(第16の実施の形態)
図28は、図1に示す加熱ローラと加圧ローラのさらに異なる例を示す。
【0296】
図28に示すとおり、加熱ローラ150は、軸方向に長さL12を有する中央部151と、中央部151の両端に配置され、長さL11を有する端部152,153からなる。中央部151は、第5の硬さを有し、端部152,153は、第6の硬さを有する。
【0297】
また、加熱ローラ150は、芯棒150a、発泡ゴム層150b、金属導電層150cとを含み、発泡ゴム層150bは、中央部151に対応する中央発泡ゴム層151bと、端部152に対応する端部発泡ゴム層152bと、端部153に対応する端部発泡ゴム層153bとからなる。また、中央発泡ゴム層151bは、外径D30、端部発泡ゴム層152b,153bは、外径D31、芯棒150aは、外径D32を有する。
【0298】
一方、加圧ローラ160は、軸方向に長さL12を有する中央部161と、中央部161の両端に配置され、長さL11を有する端部162,163からなる。中央部151は、第5の硬さより大きい第7の硬さを有し、端部152,153は、第6の硬さより大きい第8の硬さを有する。
【0299】
また、加圧ローラ160は、芯棒160a、発泡ゴム層160b、金属導電層160cを含み、発泡ゴム層160bは、中央部161に対応する中央発泡ゴム層161bと、端部162に対応する端部発泡ゴム層162bと、端部163に対応する端部発泡ゴム層163bとからなる。また、中央発泡ゴム層161bは、外径D33、端部発泡ゴム層162b,163bは、外径D34、芯棒160aは、外径D35を有する。
【0300】
加熱ローラ150と加圧ローラ160は、それぞれの中央部と端部とが向かい合うように配置され、加圧ローラ160は、加熱ローラ150に所定の圧力を提供する。このとき、加熱ローラ150の中央部151は、加圧ローラ160の中央部161よりも柔らかい(硬度が小さい)ため、加圧ローラ160より大きく変異する。
【0301】
すると、軸方向から見た加熱ローラ150および加圧ローラ160のニップ部分の断面を示す図28(b)の通り、加圧ローラ160のニップ部分が加熱ローラ150に食い込み、加熱ローラ150のニップ部分は、軸側(内側)に凹む。また、加熱ローラ150の中央部151の第5の硬さがより小さい(柔らかい)と、図28(b)に示す通り、用紙Pの搬送方向下流で、加熱ローラ150の中央部151の曲率が急激に変化する。すなわち、中央部151の下流側154は、加圧ローラ160側に凸に変形する。このため、加熱ローラ150の表面から、これに接触し溶融されたトナーが、剥離されやすくなる。
【0302】
よって、本実施の形態は、トナー量がより多いカラー画像形成が可能な画像形成装置に利用されて、トナー量が多いため、加熱ローラと用紙が密着して剥がれにくくなる問題を解決できる。
【0303】
次に、第5,6の硬さを有する加熱ローラ150と第7,8の硬さを有する加圧ローラ160の一例を説明する。
【0304】
加熱ローラ150は、第10の実施の形態で説明したサンプル2と同等のサイズに、加圧ローラ160はサンプル1と同等のサイズに、それぞれ形成される。すなわち、金属導電層150c、160cの外径は、45.0mm、芯棒150a,160aの外径D32,D35は、30.0mm、加熱ローラの中央発泡ゴム層151bの外径D30は、43.4mm、端部発泡ゴム層152b,153bの外径D31は、45.0mm、加圧ローラの中央発泡ゴム層161bの外径D33は、45.0mm、端部発泡ゴム層162b,163bの外径D34は、46.0mmに、それぞれ形成される。なお、加圧ローラ160は、サンプル3,4のいずれかであってもよい。すなわち、第10の実施の形態で説明したように、所定の硬さを形成可能なサイズに形成できる。
【0305】
このため、第5の硬さはE58、第6,7の硬さはE63、第8の硬さはE66となり、第5の硬さ<第7の硬さ、第6の硬さ<第8の硬さがそれぞれ成り立つ。
【0306】
なお、本実施の形態は、第5の硬さ<第7の硬さ、第6の硬さ<第8の硬さの少なくとも一方が成り立つ構成であればよく、上述の通り、図20に示した異なる外径を有する中央部と端部の発泡ゴム層を用いて硬さを変化させる構成や、図4,5に示した発泡ゴム層の硬さを変化させる構成、あるいは図17に示した金属導電層の硬さを変化させる構成を有するローラを、加熱ローラあるいは加圧ローラの少なくとも一方として利用するものであってもよい。
【0307】
(第17の実施の形態)
図29(a)〜(c)は、図1に示した加熱ローラとさらに異なる例を示す。
【0308】
図29(a)に示すとおり、軸方向に長さL12を有する中央部171と、中央部171の両端に配置され、長さL11を有する端部172,173からなる。さらに、加熱ローラ170は、均一の内径を有する金属導電層170cと、金属導電層170cの内径より僅かに小さい、あるいは同等の外径を軸方向に均一に有する発泡ゴム層170bを含み、両者は、端部172,173で接着剤により接続されている。
【0309】
端部172,173は、図29(b)に示すように、接着剤が配置される接着部分174と、中央部171と外部とを接続する軸方向非接着部分175とを有する。これにより、加熱ローラの温度上昇により温められた中央部171の空気が、非接着部分175を介して外部に排出される。よって、空気膨張により中央部171が硬くなることを防止できる。
【0310】
また、端部172,173は、図29(c)に示すように、接着部分174をローラの周方向に通される非接着部分176がさらに形成されてもよい。これにより、中央部171の空気の排出を円滑にできる。
【符号の説明】
【0311】
1・・・加熱ローラ、2・・・加圧ローラ、1a・・・芯棒、1b・・・発泡ゴム層、1c・・・金属導電層。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0312】
【特許文献1】特開2002−49261号公報(要約、図1、図2、段落[0016]、同[0022])
【特許文献2】特開2001−5315号公報(要約、請求項3、図1ないし図4、段落[0027]、同[0032]〜[0036])
【特許文献3】特開平8−76620号公報(要約、図1、請求項1ないし3項)
【特許文献4】特開平8−129313号公報(要約、請求項1、図2)
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置に搭載され、用紙上の現像剤像を定着させる定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
定着装置は、現像剤例えばトナーを溶融させる加熱部材と、この加熱部材に所定の圧力を提供する加圧部材とを備え、加熱部材と加圧部材との接触領域(ニップ部)には所定の接触幅(ニップ幅)が形成される。このニップ部を通過する用紙には、加熱部材からの熱によって溶かされた用紙上の現像剤像が、加圧部材からの圧力により定着する。
【0003】
定着装置の加熱部材を加熱する熱源としてハロゲンランプを用いる方法においては、被定着部材とトナーに、所定の圧力を提供可能に一対のローラを設け、少なくとも一方のローラの内部にハロゲンランプを配置する構成が広く用いられている。
【0004】
一方、誘導加熱を用いる方法においては、薄い金属層(導体膜)を有する耐熱性フィルム材を無端ベルト状または円筒形(ローラ)状として、被定着部材に接触させる例が知られている。
【0005】
なお、円筒形剛体と、その外側に低熱伝導性材料からなる層を設け、その外側にさらに導電体層および離型層を配置し、離型層の外側に対面して、導電体層を誘導加熱する誘導過熱源を配置する定着ローラを用いる定着装置において、低熱伝導性材料を、シリコーンゴムまたは発泡シリコーンゴムとした例がある(特許文献1)。
【0006】
また、表面から内側に向かって薄肉導電層、断熱層、支持層を、隣同士互いに密着させ、外部から励磁して加熱する像加熱装置において、断熱層の薄肉導電層と接する面または薄肉導電層の断熱層と接する面の一方もしくは両方の面を粗面化した例がある(特許文献2)。
【0007】
一方、導電発熱部材の弾性層中あるいは表層中に、導電性で高透磁率の粒子やウィスカーを分散させることにより、弾性層や導電発熱層として機能させた加熱装置の例がある(特許文献3)。
【0008】
さらに、弾性体層を含み、その外部に厚み10〜150μmの金属スリーブを設けた加熱回転体を、加熱手段により外部より加熱する加熱装置の例がある(特許文献4)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、消費電力を削減するため、熱容量の小さな薄膜の導電体層を低熱伝導性材料からなる層の外側に設けた加熱部材を用いて、クイック発熱を可能としている。低熱伝導性材料としては硬度の小さい発泡材等が用いられ、金属等の薄膜からなる導電体層との間に硬度の差が生じる。この硬度の差により、加圧部材からの圧力、熱膨張および熱収縮等の応力が加わると、低熱伝導性材料としての発泡材等の消耗や破泡を進行させる虞がある。破泡が加速されてより大きさの異なる空洞が形成されると、加熱ローラの長手方向において導電体層の外径が一定に確保されない問題ある。
【0010】
また、導電体層と発泡材との間を全面に耐熱性の接着剤等を塗布することにより接着している場合、金属層の熱が直接的に熱伝導された発泡層が、急激に熱膨張する虞がある。さらに、金属層が発熱することによる発泡層の熱膨張や、放熱のとき発泡層内に含まれる空気の体積が収縮されることによる発泡層の熱収縮が、金属層により規制される虞がある。
【0011】
このため、特に熱収縮により、発泡層は金属層側に引き伸ばされた状態となるため、発泡層の破泡がさらに進み、ライフ(寿命)が短くなる問題がある。また、発泡層の熱膨張あるいは熱収縮に伴い、金属層が変形し、加熱部材と加圧部材とが接する位置において、要求されるニップ幅が確保できないため、良好な定着画像が得られない問題がある。
【0012】
なお、金属層と発泡層の間が接着されていない場合や、金属層をスリーブ(ベルト)として備える場合、加熱ローラの回転に伴い金属層が蛇行し発泡層からズレることにより、破損する虞があり、金属層のライフを短くする問題がある。また、ベルト状の金属層を支持するためには、複雑な機構が要求される問題や、加圧機構からの圧力により従動される場合、金属ベルトがオイルローラ等により滑り、回転されない等の問題がある。
【0013】
本発明の目的は、ローラの長手方向の硬度の変化を防止することにより、一定以上のニップ幅を確保でき、良好な画像を得られる定着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、第1の外径を有する端部と上記第1の外径より小さい第2の外径を有する中央部とを含む芯部と、上記芯部の周りに形成される支持部材と、上記支持部材の周りに形成され、軸方向に一定の外径を有する円筒形の金属部材を有することを特徴としたローラを少なくとも1つ有する定着装置を提供する。
【0015】
また、本発明は、第1の材質を含む円筒形の第1の金属層と、この第1の金属層の周りに形成され、上記第1の材質と異なる第2の材質を含む円筒形の第2の金属層とを含む金属部材と、上記金属部材の内側に配置され、外力が提供されない環境で、上記金属部材の外径を一定に維持する支持部材を有することを特徴としたローラを少なくとも1つ有する定着装置を提供する。
【0016】
さらに、本発明は、円筒状の金属部材と、前記金属部材の内側に配置され、両端において最も大きく、中央に向かって次第に小さくなる外径を有する支持部材とを有する第1のローラと、前記第1のローラに所定の圧力を提供する第2のローラとを有することを特徴とした定着装置を提供する。
【0017】
またさらに、本発明は、中心に軸芯を有し、断熱性を有する発泡ゴム層と、この発泡ゴム層の外側に設けられた導電層とを少なくとも有し、常温時、外側から測定した長手方向中央部の硬度より端部の硬度が高いことを特徴とする加熱ローラを提供する。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したとおり、本願発明の定着装置は、加熱ローラ1の長手方向の硬さの変化を防止し、薄膜である金属導電層1cを支持する発泡ゴム層1bの消耗や破泡を防ぐことにより、一定以上のニップ幅を確保でき、良好な画像を得られる。
【0019】
また、加熱時の温度変化によって発泡ゴム内部の空気の膨張によるローラ硬さの変化を無くし、ニップ幅の変動を無くすことができる。
【0020】
さらに、軸方向に異なる外径を有する発泡ゴム層あるいは金属導電層もしくはこの両方を備える加熱ローラにより、加圧ローラとの間を通過する被転写材は、軸方向の両端に引っ張られるように搬送され、皺の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の定着装置の一例を示す概略図。
【図2】図1に示した定着装置に利用可能なローラの一例を説明する図。
【図3】図1に示した定着装置に利用可能なローラの一例を説明する図。
【図4】図1に示した定着装置に利用可能なローラの異なる例を説明する図。
【図5】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図6】図5に示した発泡ゴム層の端部の一例を説明する図。
【図7】図5に示した発泡ゴム層の端部の他の例を説明する図。
【図8】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図9】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図10】図5に示したスリーブの一例を説明する図。
【図11】図5に示したスリーブの異なる例を説明する図。
【図12】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図13】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図14】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図15】図14に示した芯棒の一例を説明する図。
【図16】図14に示した金属導電層の一例を説明する図。
【図17】図14に示した金属導電層の一例を説明する図。
【図18】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図19】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図20】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図21】図1に示した定着装置に利用可能なローラと硬さの関係を説明する図。
【図22】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図23】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図24】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図25】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図26】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図27】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図28】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【図29】図1に示した定着装置に利用可能なローラのさらに異なる例を説明する図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の定着装置の一例を示す。
【0024】
図1に示すように、定着装置は、被転写材すなわち用紙PのトナーTが付着している面に接触可能で、トナーTおよび用紙Pを加熱する加熱部材(加熱ローラ)1と、加熱ローラ1に所定の圧力を与える加圧部材(加圧ローラ)2とを有する。
【0025】
加熱ローラ1は、所定の圧力で変形しない剛性(硬さ)を有する材質から構成されるシャフトである芯棒1aと、この芯棒1aのまわりに順に配置される弾性層(発泡ゴム層,スポンジ層,シリコンゴム層)1bと、金属部材(金属導電層)1cを有する。なお、本実施の形態では、金属導電層1cの外側に、さらに例えば耐熱シリコーンゴム等の薄膜層からなるソリッドゴム層1dおよび離型層1eを有することが好ましい。
【0026】
加圧ローラ2は、中心軸2aを有し、直径40mmであることが好ましい。この中心軸2aは、加圧スプリング3aにより加圧される加圧機構3から所定の圧力を受ける。これにより、加圧ローラ2は、加熱ローラ1に対して圧接され、両ローラの接触部(ニップ部)には、用紙Pの搬送方向に一定の幅(ニップ幅)が形成される。なお、加圧ローラ2は、これに限られず、加熱ローラ1と同様に金属導電層と弾性層を有するローラであってもよい。
【0027】
加圧機構3からの圧力により加圧ローラ2とのあいだに一定以上のニップ幅を維持しながら接触している加熱ローラ1は、駆動モータ(図示せず)により矢印方向(CW)に回転される。加熱ローラ1の回転に伴い、加圧ローラ2が、矢印方向(CCW)に回転される。
【0028】
加熱ローラ1の外側には、加熱ローラ1の金属導電層1cに所定の磁界を提供する励磁コイル5aと、この励磁コイル5aの外側に配置される磁性体コア5bを含む加熱機構5が配置される。なお、励磁コイル5aの電線の巻き数は、磁性体コア5bを備えることにより少なくできる。
【0029】
本実施の形態では、加熱機構5として誘導加熱方式を用いたが、放射熱等により金属導電層1cを加熱するものであってもよい。
【0030】
図示しない励磁回路(インバータ回路)から高周波電流が提供されると、励磁コイル5aは所定の磁界を発生する。この磁界が提供されることにより、金属導電層1cには渦電流が流れ、金属導電層1cの抵抗に応じて発生するジュール熱により加熱ローラ1は発熱する。
【0031】
この加熱ローラ1からの熱により溶融されたトナーTは、トナーTが付着している用紙Pが加熱ローラ1と加圧ローラ2の接触位置(ニップ部)を通過し、加圧ローラ2により所定の圧力が加えられることで、用紙Pに定着される。
【0032】
加熱ローラ1の周囲には、加熱ローラ1および加圧ローラ2のニップ部から回転方向の順に、用紙Pを加熱ローラ1から剥離するための剥離用ブレード6と、用紙Pを加圧ローラ2から剥離するための剥離用ブレード7と、加熱ローラ1に付着するトナーを除去するためのクリーニングローラ8が配置される。また、加熱ローラ1の長手方向の所定の位置に、加熱ローラ1の周面付近の温度を検知するためのサーミスタ9と、加熱ローラ1の表面温度が異常温度まで上昇したことを検知し、励磁コイル5aに供給されている電力を遮断するためのサーモスタッド10が配置される。
【0033】
なお、サーミスタ9およびサーモスタッド10は、複数設けられてもよい。また、剥離用ブレード6,7は、用紙Pが剥離されにくい場合は、それぞれ複数備えてもよく、用紙Pが剥離されやすい場合は、なくてもよい。
【0034】
本実施の形態においては、励磁コイル5aは、電線が架空の軸を中心に巻かれた形状を有し、加熱ローラ1の長手方向に、少なくとも通紙領域(用紙Pと接する領域)よりも長い長さを有する。このような形状の励磁コイル5aは、磁束を集中的に発生でき、加熱ローラ1の金属導電層1cを局所的に発熱可能である。
【0035】
なお、励磁コイル5aの電線としては、表面が絶縁処理された複数の電線を束ねたリッツ線を用いる。励磁コイル5aの電線としてリッツ線を用いることにより、浸透深さより線径を小さくすることが可能となる。よって、励磁コイル5aは、交流電流を供給された場合であっても有効に磁界を発生できる。本実施の形態では、表面を耐熱性のポリアミドイミドを用いて絶縁処理された、直径0.5mmの銅線材を16本束ねたリッツ線を用いる。
【0036】
また、励磁コイル5aに、インバータ回路の駆動周波数として20〜50kHzの範囲の高周波電流が供給される。これにより、加熱ローラ1から出力される発熱量は、300〜1500Wの範囲で変化可能である。
【0037】
(第1の実施の形態)
次に、図2,3を用いて、加熱ローラ1の一例についてより詳細に説明する。
【0038】
図2は、加熱ローラ1の斜視図を示す。
【0039】
上述したとおり、加熱ローラ1は、芯棒1a、発泡ゴム層1b、金属導電層1c、ソリッドゴム層1dおよび離型層1eを有する。
【0040】
発泡ゴム層1bは5〜10mm、金属導電層1cは10〜100μm、ソリッドゴム層1dは100〜200μmの厚みにそれぞれ形成されることが好ましい。本実施の形態では、発泡ゴム層1bは5mm、金属導電層1cは40μm、ソリッドゴム層1dは200μmおよび離型層1eは30μmの厚みにそれぞれ形成され、加熱ローラ1は直径40mmである。
【0041】
金属導電層1cは、導電性材料(たとえばニッケル、ステンレス鋼、アルミニウム、銅およびステンレス鋼とアルミニウムの複合材等)等により形成される。加熱ローラ1の長手方向の長さL1は、330mmであることが好ましい。
【0042】
図3は、発泡ゴム層1bと金属導電層1cの加熱ローラ1の軸方向の断面図を示す。
【0043】
発泡ゴム層1bは、軸方向の両方の端に位置され外径D1を有する端部101と、この端部101の間に位置され外径D2を有する中央部102とを含む。この外径D2は、外径D1に比べて短く、本実施の例においては、外径D1が39.7mm、外径D2が39.5mmであることが好ましい。
【0044】
(1)例えば、端部101は、加熱ローラ1の非通紙領域を含む軸方向の長さL11を有する。この非通紙領域とは、加熱ローラ1および加圧ローラ2の間を搬送される用紙Pが通過しない領域として定義される。長さL11は、15mmであることが好ましい。
【0045】
また、中央部102は、例えば、加熱ローラ1の通紙領域を含み軸方向の長さL12を有する。この通紙領域とは、加熱ローラ1および加圧ローラ2の間を搬送される用紙Pが加熱ローラ1と接する領域として定義される。すなわち、通紙領域は、加圧ローラ2からの圧力により、高い画質の画像を得るため、一定以上のニップ幅を確保できる硬度が要求される。
【0046】
長さL12は、A3サイズの用紙の短い方の一辺の長さよりわずかに長い長さとして、例えば300mmであることが好ましい。中央部102の外径D2が端部101の外径D1より短いすなわち中央部102の外周面が端部101の外周面より低いため、発泡ゴム層1bの外周面には、段差103が形成される。
【0047】
金属導電層1cは、発泡ゴム層1bの外側に配置され、軸方向に一定の内径および外径を有する円筒形のエンドレス部材である。金属導電層1cは、内側に配置される発泡ゴム層1bのうち端部101とのみ、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着される。この端部101において、所定の張力で保持されることにより、金属導電層1cの接着されていない領域は、端部101と接着されている金属導電層1cの外径と同じ外径に維持されている。なお、金属導電層1cの外側に配置されるソリッドゴム層1dおよび離型層1eが、一定の外径に維持されていることは言うまでもない。
【0048】
発泡ゴム層1bの中央部102と金属導電層1cの間には、空隙部分104が形成される。空隙部分104は、加熱ローラ1の半径方向に高さH1を有し、本実施の形態では、高さH1は100μmである。
【0049】
よって、金属導電層1cと接着されていない中央部102は、金属導電層1cからの熱による熱膨張や熱収縮の影響を軽減できる。すなわち、熱膨張した際、金属導電層1cに制限されることによる発泡ゴム層1bの消耗や破泡を軽減でき、高い画質の画像を得るため、一定以上のニップ幅を確保可能な硬度を維持できる。また、熱収縮した際、応力が集中した箇所において金属導電層1c側に引き伸ばされることによる発泡ゴム層1bの消耗や破泡を軽減でき、金属導電層1cが変形することによるニップ幅の変動の問題を改善できる。
【0050】
また、金属導電層1cと接着されていない中央部102は、接着されている場合加圧ローラ2からの圧力を受けながら回転される金属導電層1cから直接的に受けていた応力(以下、接着による応力と記す)が軽減されるため、発泡ゴム層1bの消耗や破泡を軽減でき、より長いライフ(寿命)を維持できる。
【0051】
(2)なお、端部101の長さL11は、非通紙領域の範囲内に限られず、画像形成に不良が発生しない範囲であれば、非通紙領域に加えて通紙領域の一部を含んでもよい。すなわち、長さL11は、非通紙領域として設定されている長さよりも長く、通紙領域の側に延長された長さであってもよい。
【0052】
(3)また、端部101の長さL11は、発泡ゴム層1bと金属導電層1cとの間に、十分な接着強度が確保される範囲で決定されてもよい。すなわち、十分な接着強度が確保される範囲は、加圧ローラ2からの圧力および図示しない駆動回路からの回転力による応力が提供された場合であっても、金属導電層1cが発泡ゴム層1bの端部101から離れない範囲であって、長さL11は、例えば、3〜15mmが好ましい。
【0053】
なお、上に説明したような端部101の長さL11の変更に伴って、端部101と中央部102の境目、すなわち段差103も移動する。このため、段差103が、画像に不良が発生しない範囲でニップ幅を確保できる位置に形成されるように、長さL11が変更されることが好ましい。
【0054】
また、発泡ゴム層1bの硬度が小さいことにより、金属導電層1cの内径より大きい外径を有する発泡ゴム層1bであっても、金属導電層1cに収納できる。
【0055】
(第2の実施の形態)
次に、図4を用いて、加熱ローラ1の異なる例について詳細に説明する。
【0056】
上述したとおり、加熱ローラ1は、芯棒1a、金属導電層1c、ソリッドゴム層1dおよび離型層1eを有し、芯棒1aの外側かつ金属導電層1cの内側には、発泡ゴム層200bを有する。
【0057】
図4は、発泡ゴム層200bと金属導電層1cの加熱ローラ1の軸方向の断面図を示す。
【0058】
発泡ゴム層200bは、第1の硬度を有する中央部201と、この中央部201の両端に配置され、第1の硬度より大きい第2の硬度を有する端部202を含む。本実施の形態では、第1,2の硬度は、デュロメータEタイプの測定で、それぞれ硬さE28,E35である。
【0059】
第1の硬度は、高い画質の画像を得るために、一定以上のニップ幅を確保できる範囲で決定される。なお、硬度がより小さいすなわちより柔らかい方がニップ幅が増す。
【0060】
第2の硬度は、発泡ゴム層200bと金属導電層1cとの間に、十分な接着強度が確保される範囲で決定される。なお、硬度がより大きいすなわちより硬い方が、上述した接着による応力が軽減され、発泡ゴム層200bの変形(破泡等を含む)が少ないため、金属導電層1cが剥がれにくい。
【0061】
発泡ゴム層200bは、それぞれ独立している中央部201および端部202で構成される。中央部201および端部202は、例えば境界面においてそれぞれ耐熱性の接着剤等により接着されて一体的に形成される。これにより、領域において硬度の異なる発泡ゴム層200bを、容易に形成できる。
【0062】
端部202は、加熱ローラ1の軸方向に長さL11を有し、中央部201は、加熱ローラ1の軸方向に長さL12を有する。端部202の長さL11は、第1の実施の形態と同様に、(1)非通紙領域として定義される範囲を含む長さであってもよく、(2)非通紙領域に加えて通紙領域の一部を含む画像形成に不良が発生しない範囲、あるいは、(3)十分な接着強度が確保される範囲で決定されてもよい。
【0063】
金属導電層1cは、内側に配置される発泡ゴム層200bの外周面において、全面あるいは一部と例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着される。なお、金属導電層1cは、内側に配置される発泡ゴム層200bのうち端部202とのみ、接着されることが好ましい。
【0064】
よって、中央部201は、要求されている一定以上のニップ幅が維持できるため、高い画質の画像が得られる。また、金属導電層1cと接着されていない中央部201により、上述した接着による応力が軽減されるため、発泡ゴム層1bの消耗および破泡を軽減でき、より長いライフを維持できる。さらに、十分な接着強度が確保される範囲の第2の硬度を有する端部202により、金属導電層1cが、加熱ローラ1の接着されている所定の位置から離れて破損することを防止できる。
【0065】
(第3の実施の形態)
次に、図5を用いて、加熱ローラ1のさらに異なる例について詳細に説明する。
【0066】
上述したとおり、加熱ローラ1は、芯棒1a、金属導電層1c、ソリッドゴム層1dおよび離型層1eを有し、芯棒1aの外側かつ金属導電層1cの内側には、発泡ゴム層300bを有する。
【0067】
図5は、発泡ゴム層300bと金属導電層1cの加熱ローラ1の軸方向の断面図を示す。
【0068】
発泡ゴム層300bは、軸方向の両方の端に位置され外径D1を有する端部301と、この端部301の間に位置され外径D2を有する中央部302とを含む。この外径D2は、外径D1に比べて短く、第1の実施の形態と同様に、外径D1が39.7mm、外径D2が39.5mmであることが好ましい。なお、発泡ゴム層300bは、上述した発泡ゴム層200bと同様に、それぞれ独立している端部301および中央部302で構成され、境界面においてそれぞれ耐熱性の接着剤等により接着されて一体的に形成されている。
【0069】
端部301は、上述した所定の範囲で決定される長さL11を有し、中央部302は、上述した所定の範囲で決定される長さL12を有する。
【0070】
さらに、第2の実施の形態と同様に、中央部302は第1の硬度を有し、端部301は、第1の硬度より大きい第2の硬度を有する。
【0071】
金属導電層1cは、内側に配置される発泡ゴム層300bのうち端部301とのみ、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着される。
【0072】
中央部302と金属導電層1cの間には、空隙部分303が形成される。空隙部分303は、加熱ローラ1の半径方向に高さH1を有し、高さH1は100μmであることが好ましい。
【0073】
よって、金属導電層1cと接着されていない中央部302は、熱膨張や熱収縮による発泡ゴム層1bの消耗や破泡を軽減でき、金属導電層1cが変形することによるニップ幅の変動の問題を改善できる。
【0074】
また、中央部302では、要求されている一定以上のニップ幅が維持できるため、高い画質の画像が得られる。さらに、金属導電層1cと接着されていない中央部302では、上述した接着による応力が軽減されるため、発泡ゴム層1bの消耗を軽減でき、より長いライフを維持できる。さらにまた、十分な接着強度が確保される範囲の第2の硬度を有する端部301では、金属導電層1cが加熱ローラ1の接着されている所定の位置から離れて破損することを防止できる。
【0075】
また、端部301の外周面上には、図6に示すように、加熱ローラ1の軸方向に所定の長さ(例えば端部301の軸方向の距離L11)のくぼみを設けた溝である通気孔304が、複数形成できる。通気孔304は、図面の矢印Aの方向から見て、端部301の外周面上に、例えば回転ローラの軸に向かって凹んでいる半円形状に形成される。
【0076】
金属導電層1cは、端部301のうち通気孔304が形成されていない領域と、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着される。
【0077】
発泡ゴム層300bに形成される気泡が、金属導電層1cにより提供される熱を蓄えることにより、この熱はより効率的に利用される。しかし、金属導電層1cとの接着により、発泡ゴム層300bの熱膨張や熱収縮が制限されている環境では、上述したような問題が発生する虞がある。
【0078】
通気孔304は、金属導電層1cと発泡ゴム層300bとが向かい合う領域に、すなわち空隙部分303に存在する熱を、空隙部分303の外に導くことができる。このため、発泡ゴム層300bの熱膨張や熱収縮による、発泡ゴム層1bの消耗や破泡を軽減でき、金属導電層1cが変形することによるニップ幅の変動の問題を改善できる。
【0079】
さらに、端部301には、図7に示すように、加熱ローラ1の軸方向に所定の長さを有する通気孔305が、複数形成できる。この通気孔305も上述した通気孔304と同様に、空隙部分303に存在する熱を、空隙部分303の外に導くことができる。
【0080】
通気孔305が形成される端部301は、一定の外径を有する円形が維持されているため、外周面の全面に接着剤を塗布できる。このため、製造工程の労力を軽減できるとともに、接着強度がより高まる。
【0081】
なお、空隙部分304,305の大きさを調整することで、放出する熱の量を調節し、定着に要求される熱量を確保できることは言うまでもない。
【0082】
また、図示しないが、加熱ローラ1の軸方向に所定の長さ(例えば中央部302の軸方向の距離L12)を有する通気孔305は、発泡ゴム層300bの中央部302に形成され、端部301に形成される通気孔305とつながっていてもよい。
【0083】
(第4の実施の形態)
次に、図8を用いて、加熱ローラ1のさらに異なる例について詳細に説明する。
【0084】
上述したとおり、加熱ローラ1は、芯棒1a、ソリッドゴム層1dおよび離型層1eを有し、芯棒1aの外側には、発泡ゴム層400bと金属導電層400cとを有する。
【0085】
図8は、発泡ゴム層400bと金属導電層400cの加熱ローラ1の軸方向の断面図を示す。
【0086】
発泡ゴム層400bは、加熱ローラ1の軸方向に一定の外径を有する。
【0087】
金属導電層400cは、加熱ローラ1の軸方向に一定の外径を有する円筒形のエンドレス部材である。また、金属導電層400cは、軸方向の両方の端に位置され、厚みD3を有する端部401と、この端部401の間に位置され厚みD4を有する中央部402とを含む。
【0088】
この厚みD3は、厚みD4に比べて厚く(長く)、本実施の例においては、厚みD3が100μm、厚みD4が40μmである。
【0089】
端部401は、上述した所定の範囲で決定される長さL11を有し、中央部402は、上述した所定の範囲で決定される長さL12を有する。
【0090】
発泡ゴム層400bは、外側に配置される金属導電層400cのうち端部401と、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着される。この端部401において、所定の張力で保持されることにより、金属導電層400cの接着されていない中央部402は、端部401の外径と同じ外径に維持されている。なお、金属導電層1cの外側に配置されるソリッドゴム層1dおよび離型層1eが、一定の外径に維持されていることは言うまでもない。
【0091】
従って、発泡ゴム層400bと金属導電層400cの中央部402の間には、空隙部分403が形成される。空隙部分403は、加熱ローラ1の半径方向に高さH2を有し、端部401に支持されることにより、高さH2は60μmに維持されることが好ましい。
【0092】
よって、発泡ゴム層400bと接着されている端部401において、金属導電層の厚みがより厚いことにより、発泡ゴム層400bと金属導電層400cとの接着強度がより高まる。このため、金属導電層400cが、加熱ローラ1の接着されている所定の位置から離れて破損することを防止できる。
【0093】
また、空隙部分403により、熱膨張や熱収縮による発泡ゴム層400bの消耗や破泡を軽減でき、金属導電層400cが変形することによるニップ幅の変動の問題を改善できる。さらに、発泡ゴム層400bは、金属導電層400cの中央部402と接着されていないため、上述した接着による応力が軽減され、発泡ゴム層400bの消耗や破泡を軽減でき、より長いライフを維持できる。
【0094】
なお、厚みD4を有する端部401は、長さL1の厚さD3の円筒形状の金属部材に、厚みD3とD4の差分の厚みを有する金属部材を蒸着、あるいは接着剤等による接着等の方法を用いて一体的に形成されてもよい。
【0095】
(第5の実施の形態)
次に、図9を用いて、加熱ローラ1のさらに異なる例について詳細に説明する。
【0096】
上述したとおり、加熱ローラ1は、芯棒1a、ソリッドゴム層1dおよび離型層1eを有し、芯棒1aの外側には、発泡ゴム層500bと金属導電層500cとを有する。
【0097】
図9は、発泡ゴム層500bと金属導電層500cの加熱ローラ1の軸方向の断面図を示す。
【0098】
発泡ゴム層500bは、加熱ローラ1の軸方向に一定の外径D5を有する。
【0099】
金属導電層500cは、加熱ローラ1の軸方向に一定の外径および内径D6を有する円筒形のエンドレス部材である。金属導電層500cの厚みは、40μmであることが好ましい。
【0100】
この内径D6は、外径D5に比べて長く、本実施の例においては、内径D6が39.7mm、外径D5が39.5mmである。よって、金属導電層500cの内側に発泡ゴム層500bが配置されると、間に空隙ができる。
【0101】
加熱ローラ1は、軸方向の両方の端に位置する端領域501と、この端領域501の間に位置する中央領域502とを含む。端領域501は、上述した所定の範囲で決定される長さL11を有し、中央領域502は、上述した所定の範囲で決定される長さL12を有する。
【0102】
この端領域501において、発泡ゴム層500bと金属導電層500cとの間には、スリーブ(スペーサ)503が配置される。スリーブ503は、長さL11の高さを有する円筒形に形成できる。しかしながら、スリーブ503は、円筒形に限られず、例えば、一定の厚みを有する縦が長さL11、横が直径D5の円の円周以下の長さである長方形に形成されてもよい。この場合、長方形状のスリーブ503は、丸めて発泡ゴム層500bと金属導電層500cとの間に収納される。
【0103】
スリーブ503の径および厚みD7は、外径D5と内径D6の差分から算出され、本実施の形態では、100μmである。
【0104】
スリーブ503の材質は、熱による変形,熱収縮および熱膨張等の影響を受けにくいもの、例えばポリイミド等の樹脂を含むものが好ましく、金属導電層500cに用いられる金属を含むものでもよい。
【0105】
スリーブ503は、例えば耐熱性の接着剤等を用いて、発泡ゴム層500bと金属導電層500cと接着されている。すなわち、発泡ゴム層500bと金属導電層500cは直接的に接着されていない。
【0106】
従って、発泡ゴム層500bと金属導電層500cの間のうち、加熱ローラ1の中央領域502において、空隙部分504が形成される。空隙部分504は、加熱ローラ1の半径方向に、スリーブ503の厚みと同じ高さD7を有し、高さD7は、スリーブ503に支持されて100μmに維持されることが好ましい。
【0107】
よって、スリーブ503で接着されている発泡ゴム層500bおよび金属導電層500cは、熱による変形,熱収縮および熱膨張等の影響が少ない。また、金属導電層500cと接着されていない発泡ゴム層500bは、金属導電層1cによって熱膨張や熱収縮が制限されにくい。また、発泡ゴム層500bの中央部において、上述した接着による応力が軽減できる。このため、発泡ゴム層1bの消耗や破泡を軽減でき、金属導電層1cが変形することによるニップ幅の変動の問題を改善できる。
【0108】
なお、スリーブ503の外周面上には、図10に示すように、加熱ローラ1の軸方向に所定の長さ(例えば長さL11)のくぼみを設けた溝である通気孔505が、複数形成できる。通気孔505は、スリーブ503の外周面上状に、例えば回転ローラの軸に向かって凹んでいる半円形状に形成される。この通気孔505は、空隙部分504に存在する熱を空隙部分504の外に案内できる。金属導電層1cは、スリーブ503のうち通気孔505が形成されていない領域と、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着される。
【0109】
よって、空隙部分504に存在する熱は、通気孔505から放出される。このため、発泡ゴム層500bの熱膨張や熱収縮による、消耗や破泡を軽減でき、金属導電層1cが変形することによるニップ幅の変動の問題を改善できる。
【0110】
さらに、スリーブ503の外周面上には、図11に示すように、加熱ローラ1の軸方向に所定の長さ(例えばスリーブ503の軸方向の距離L11)を有し、加熱ローラ2の軸方向に対して所定の角度傾く線状にスリーブ503の外周面を切り欠く通気孔506を、複数形成できる。この通気孔506も上述した通気孔505と同様に、空隙部分504に存在する熱を空隙部分504の外に案内できる。
【0111】
なお、空隙部分504の大きさを調整することで、放出する熱の量を調節し、定着に要求される熱量を確保できることは言うまでもない。
【0112】
(第6の実施の形態)
次に、図12を用いて、加熱ローラ1のさらに異なる例について詳細に説明する。
【0113】
上述したとおり、加熱ローラ1は、ソリッドゴム層1dおよび離型層1eを有し、さらに、芯棒600aと、芯棒600aの外側に配置される発泡ゴム層600bおよび金属導電層600cとを有する。
【0114】
図12は、芯棒600a,発泡ゴム層600bおよび金属導電層600cの加熱ローラ1の軸方向の断面図を示す。
【0115】
芯棒600aは、軸方向の両方の端に位置され、外径D8を有する端部601と、この端部601の間に位置され、外径D9を有する中央部602とを含む。この外径D8は、外径D9に比べて長い。外径D8と外径D9の差分は、後に詳細に説明するが、発泡ゴム層600bの材質等に応じて、高い画質の画像を得るために、一定以上のニップ幅を確保できる範囲で決定される。例えば、1mm以上の差分を有することが好ましい。
【0116】
端部601は、上述した所定の範囲で決定される長さL11を有し、中央部602は、上述した所定の範囲で決定される長さL12を有する。また、芯棒600aは、内側に中空部、例えば両方の端部601と中央部602の内側を貫く中空部、を有する形状が好ましい。
【0117】
発泡ゴム層600bは、軸方向に一定の外径を有する円筒形状の発泡体であって、例えば耐熱性の接着剤等を用いて芯棒600aに接着されている。あるいは、芯棒600aに発泡体が生成され、一定の外径に形成されるものであってもよい。なお、本実施の形態において、発泡ゴム層600bの外径は39.7mmである。
【0118】
発泡ゴム層600bは、長さL11を有し、芯棒600aの端部601の外側に位置する端部603と、長さL12を有し、芯棒600aの中央部602の外側に位置する中央部604とを含む。
【0119】
発泡ゴム層600bの端部603は、厚みD10を有する。発泡ゴム層600bの中央部604は、厚みD10より厚い(大きい)厚みD11を有する。一定の外径および内径を有する円筒形のエンドレス部材である金属導電層600cは、発泡ゴム層600bの全面と耐熱性の接着剤等で接着される。
【0120】
発泡ゴム層600bの中央部604は、より厚い厚みで形成されることにより、加圧ローラ2の圧力に対する反発力、すなわち芯棒600aの硬度に応じた抵抗力を吸収できる。従って、厚みD10より厚い厚みD11を有する中央部604は、端部603に比べて硬度が小さい。すなわち、中央部604は、しなやかに形状が変化できる。
【0121】
よって、中央部604は、高い画質の画像を得るために、一定以上のニップ幅を確保できる。
【0122】
また、図13に示すように、加熱ローラ1は、芯棒600aと金属導電層600cとの間に、加熱ローラ1の軸方向に一定の外径および内径を有する円筒形の発泡ゴム層700bを有するものであってもよい。
【0123】
発泡ゴム層700bは、芯棒600aの端部601とのみ、耐熱性の接着剤等で接着される。金属導電層600cは、発泡ゴム層700bの全面と耐熱性の接着剤等で接着される。発泡ゴム層700bと芯棒600aの中央部602との間には、芯棒600aの外径D8および外径D9の差分に応じた空隙部分605が形成される。
【0124】
この空隙部分605により芯棒600aの硬度に応じた反発力が吸収されて、硬度の小さい発泡ゴム層600bの中央部では、高い画質の画像を得るために、一定以上のニップ幅を確保できる。
【0125】
また、芯棒600aの端部601には、加熱ローラ1の軸方向に所定の長さ(例えば端部601の軸方向の距離L11)を有する通気孔606が、複数形成できる。この通気孔606は、空隙部分605に存在する熱を、空隙部分605の外に導くことができる。
【0126】
よって、熱膨張により加熱ローラ1の硬度が大きくなり、一定以上のニップ幅が確保されない問題を改善できる。
【0127】
なお、図12に示す金属導電層600cは、発泡ゴム層600bの端部603とのみ、接着されてもよい。また、図13に示す金属導電層600cは、発泡ゴム層700bの端部、すなわち、発泡ゴム層700bの長手方向の端から長さL11の領域、とのみ接着されてもよい。芯棒600a,発泡ゴム層700b,金属導電層600cは、それぞれ上述した所定の範囲で決定される長さL11を有する領域においてのみ、接着される。
【0128】
よって、上述した接着による応力が軽減されるため、発泡ゴム層600bの破泡および消耗が軽減され、より長いライフが維持される。
【0129】
(第7の実施の形態)
次に、図14ないし17を用いて、加熱ローラ1のさらに異なる例について詳細に説明する。
【0130】
図14に示すとおり、加熱ローラ1は、発泡ゴム層1bを有し、発泡ゴム層1bの内側に配置される芯棒800aと、外側に配置される金属導電層800cを有する。金属導電層800cの外側には、ソリッドゴム層1dおよび離型層1eが形成されてもよい。
【0131】
図15は、芯棒800aの斜視図を示す。
【0132】
芯棒800aは、円筒形状に形成され、内側に中空部801を有する。この中空部801は、芯棒800aに形成される換気口802によって、外周面の外側とつながれている。
【0133】
この芯棒800aの外周面は、発泡ゴム層1bと耐熱性の接着剤等により接着される。金属導電層800cの制限や加圧ローラ2から圧力等の応力が加わると、発泡ゴム層1bに含まれる空気は、換気口802を通って、中空部801から加熱ローラ1の外に案内される。従って、発泡ゴム層1bで熱膨張された空気は、中空部801から加熱ローラ1の外に案内されることにより、加熱ローラ1の硬度が要求されるニップ幅を確保するための硬度範囲より大きくなることを防止できる。
【0134】
図16は、金属導電層800cの斜視図を示す。
【0135】
金属導電層800cは、一定の外径および内径を有する円筒形のエンドレス部材である。金属導電層800cは、第1の材質により構成される第1の層803と、第1の層803の周りに位置し第2の材質により構成される第2の層804を含む。
【0136】
第1の層803は、厚みD12の円筒形に形成され、第2の層804は、厚みD13の円筒形に形成される。厚みD12,13が第1,2の材質に応じて任意に選択されることで、金属導電層800cの硬度は調節される。なお、金属導電層800cは、発泡ゴム層1bの硬度との差を縮めて応力による発泡ゴム層1bの消耗や破泡を防ぐため、小さい硬度を有することが好ましい。
【0137】
本実施の形態においては、第1の材質はニッケル、第2の材質は銅であり、第1,2の層803,804は、それぞれ20μmに形成される。また、第1,2の材質の組み合わせはこれに限られず、ニッケル、ステンレス鋼、アルミニウム、銅およびステンレス鋼とアルミニウムの複合材から任意に選択できる。なお、第1,2の層803,804は、境界面において耐熱性の接着剤等を用いて接着されてもよく、また、蒸着等により一体的に形成されてもよい。
【0138】
金属導電層800cは、発泡ゴム層1bの全面と耐熱性の接着剤等で接着される。なお、金属導電層800cは、発泡ゴム層1bの端部、すなわち、発泡ゴム層1bの長手方向の端から長さL11の領域、とのみ接着されてもよい。
【0139】
本実施の形態では、金属導電層800cは2層構造で説明したが、3層以上の構造であってもよい。なお、それぞれの層の材質は、ステンレス鋼、ニッケル、ステンレス鋼、アルミニウム、銅およびステンレス鋼とアルミニウムの複合材から任意に選択できる。
【0140】
また、金属導電層800cは、図17に示すように、加熱ローラ1の長手方向の両端に形成される第1の内層805と、長手方向の中央に形成される第2の内層806と、第1の内層805の外側に形成される第1の外層807と、第2の内層806の外側に形成される第2の外層808を含み、それぞれ所定の材質により構成される。なお、第1,2の内層805,806および第1,2の外層807,808は、境界面において耐熱性の接着剤等を用いて接着されてもよく、また、蒸着等により一体的に形成されてもよい。
【0141】
第1の内層805および第1の外層807は、それぞれ上述した所定の範囲で決定される長さL11を有する領域(第1の領域)を含み、第2の内層806および第2の外層808は、それぞれ上述した所定の範囲で決定される長さL12を有する領域(第2の領域)を含む。発泡ゴム層1bとの高い接着強度(固定強度)が要求される第2の領域でおいては硬度を大きくすることが求められ、一定以上のニップ幅が要求される第1の領域においては硬度を小さくすることが求められる。よって、構成される材質を任意に選択することで、上述したように、金属導電層800cの硬度を調整できる。
【0142】
本実施の形態においては、第1の内層805,第2の内層806および第1の外層807はニッケル、第2の外層808は銅であり、それぞれ厚み20μmの円筒形に形成される。従って、第1の領域の硬度は、第2の領域の硬度より大きい。
【0143】
また、第1,2の内層805,806および第1,2の外層807,808の材質の組み合わせはこれに限られず、ニッケル、ステンレス鋼、アルミニウム、銅およびステンレス鋼とアルミニウムの複合材から任意に選択できる。なお、第1,2の内層805,806および第1,2の外層807,808は、それぞれ境界面において耐熱性の接着剤等を用いて接着されてもよく、また、蒸着等により一体的に形成されてもよい。
【0144】
なお、上に説明した少なくとも2つ以上の層を含む金属導電層800cは、上述した芯棒1aおよび発泡ゴム層1bの外側にそなえられてもよい。
【0145】
以上第1〜7の実施の形態で説明した芯棒、発泡ゴム層および金属導電層は任意に組み合わせて使用できる。例えば、図3に示した発泡ゴム層1bと、図14ないし16に示した芯棒800aおよび金属導電層800cとを備える加熱ローラ1であってもよい。また、図5に示した発泡ゴム層300bと、図14ないし16に示した芯棒800aおよび金属導電層800cとを備える加熱ローラ1であってもよい。
【0146】
なお、上述した第1〜7の実施の形態で説明した加熱ローラ1の構成は、加圧ローラ2に適用されてもよい。
【0147】
(第8の実施の形態)
次に、図18(a)〜(g)を用いて、加熱ローラのさらに異なる例について説明する。
【0148】
図18(a)は、加熱ローラの軸方向の断面図を示す。
【0149】
加熱ローラ20は、金属導電層20c、発泡ゴム層20bを有する。発泡ゴム層20bの内側には、芯棒1aを、金属導電層20cの外側には、ソリッドゴム層1dおよび離型層1eを備えてもよい。
【0150】
金属導電層20cは、一様に内径D14の内周面を有する。
【0151】
発泡ゴム層20bは、最も大きい外径D14を有する端部21bと、最も小さい外径D15を有する中央部22bを含む。
【0152】
端部21bの内側には、中央に近づくに従って軸方向に次第に外径が小さくなるコーン部23bが、中央部22bの両端には、中央に近づくに従って軸方向に次第に外径が小さくなるコーン部24bが形成される。詳細に説明すると、コーン部23bの外径は、最大外径D14から外径D16まで次第に小さくなり、コーン部24bの外径は、外径D16から最小外径D15まで次第に小さくなる。なお、外径D16は、外径D14より小さくかつ外径D15より大きい所定の値を有する。
【0153】
コーン部23b,24bの外周面は、断面図で直線的に示されるように、一定の割合で外径が次第に減少している円錐状(テーパー状)であって、このような形状の面を以下テーパー面と記して説明する。なお、端部21b,中央部22bのように、軸方向に一定の外径を有する面を、以下、円筒面と記して説明する。
【0154】
端部21bは、軸方向に長さL13を有し、外周面が金属導電層20cと接触している。金属導電層20cと端部21bは、この接触部分のうち全面あるいは一部で、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着されている。
【0155】
また、発泡ゴム層20bは、金属導電層20cと非接触となる部分において、軸方向の長さL14を有する。(4)長さL14は、中央部22b,コーン部23b,24bの軸方向の長さの和であって、長さL13が、(3)十分な接着強度が確保される範囲であればよい。
【0156】
さらに、端部21bとコーン部23bとの間には、段差25があり、加圧ローラ2から所定の圧力が提供されると、金属導電層20cの表面にも段差が形成される虞がある。このため、段差25は、画像形成領域外であることが好ましい。
【0157】
このように、金属導電層20cは、発泡ゴム層20bのコーン部23b,24bと接着されず、端部21b以外の発泡ゴム層と金属導電層20bとの間には空隙が形成されることが好ましい。発泡ゴム層20bは、金属導電層20cの端部21b、コーン部23b,24bと接着されず、間に空隙が形成されることが好ましい。なお、本実施の形態においては、外径D14と外径D15は、少なくとも直径で0.1〜2mm(すなわち半径0.05〜1mm)の差H3を有する。
【0158】
発泡ゴム層20bは、軸26に対称であって、軸と垂直な断面は、所定の半径を有する円である。また、発泡ゴム層20bは、径方向の中心線27に対称である。
【0159】
尚、発泡ゴム層としての端部、コーン部は一体に形成されてもよく、また、複数部材を組み合わせて構成してもよい。複数部材を組み合わせる場合には、組み合わせ部分を接着してもよいが、若干の空隙を設けてもよい。この場合、軸は、図15に示したものを用いることにより、ローラ外部と上記空隙との間に空気の通り道を形成することができ、ローラ内部の空気圧を調整することができる。
【0160】
ところで、加熱ローラおよび加圧ローラの間を、所定の熱および圧力が提供されながら搬送される被転写材は、膨張による伸びが吸収されずに、表面が皺になる問題がある。
【0161】
本実施の形態の加熱ローラ20は、両端において最も大きく、中央に向かって次第に小さくなる外径を有する発泡ゴム層20bを含むものであって、所定の張力を提供する加圧ローラ2との間を被転写材が通過する場合、中央に比べて外側の方が、被転写材の搬送スピードが早くなる。
【0162】
従って、加熱ローラ20と加圧ローラ2の間に位置され、ローラの回転により移動される被転写材は、軸方向の両端側に引っ張られるようにローラの間を通過するため、皺の形成を抑制できる。また、被転写材の中心が中心線915付近を通過する場合、偏った応力の発生を防止できるため、被転写材は、軸と垂直な方向に移動され、さらに皺が形成されにくい。
【0163】
また、金属導電層20cと接着されていない中央部22b,コーン部23b,24bは、金属導電層20cからの熱による熱膨張や熱収縮の影響が軽減される。すなわち、熱膨張した際、金属導電層20cに制限されることによる発泡ゴム層20bの消耗や破泡を軽減でき、高い画質の画像を得るため、一定以上のニップ幅を確保可能な硬度を維持できる。さらに、上述した接着による応力が軽減されるため、発泡ゴム層20bの破泡および消耗が軽減され、より長いライフが維持される。
【0164】
なお、金属導電層20cは、内径が端部21bの外径D14以下であればよく、内側に、後に図20(a),(b)を用いて説明する所謂しまり嵌めで発泡ゴム層20bが配置されてもよい。すなわち、発泡ゴム層20bは、長さL14で定義される領域においても、一部あるいは全部の外周面で、金属導電層20cと接触していてもよい。このような構成であっても、同様の効果が得られる。
【0165】
次に、発泡ゴム層20bの変形例を説明する。
【0166】
図18(b)に示す通り、発泡ゴム層31bは、最大外径D14の円筒面を有する端部311bと、最小外径D15の円筒面を有する中央部312bと、端部311bと中央部312bの間に位置され、中央部312bに向かって外径が次第に減少しているテーパー面を有するコーン部313bを含む。また、軸に対称であり、径の中心線に対称である。
【0167】
図18(c)に示す通り、発泡ゴム層32bは、最大外径D14の円筒面を有する端部321bと、最小外径D15に向かって外径が次第に減少しているテーパー面を有するコーン部322bを含む。また、軸に対称であり、径の中心線に対称である。
【0168】
図18(d)に示す通り、発泡ゴム層33bは、最大外径D14の円筒面を有する端部331bと、最小外径D15の円筒面を有する中央部332bと、端部331bと中央部332bの間に位置され、中央部332bに向かって外径が次第に減少しているテーパー面を有するコーン部333b,334bを含む。また、発泡ゴム層33bの外径が中央に向かって穏やかに減少するように、中央部332bは所定の長さL15、コーン部333bは所定の長さL16、コーン部334bは所定の長さL17を、それぞれ軸方向に有する。また、軸に対称であり、径の中心線に対称である。
【0169】
図18(e)に示す通り、発泡ゴム層34bは、最大外径D14の円筒面を有する端部341bと、最小外径D15の円筒面を有する中央部342bと、中央部342bの両端に位置され、中央部342bに向かって外径が次第に減少しているテーパー面を有するコーン部343bと、コーン部343bの外側に位置され、外径D14より小さくかつ外径D15より大きい外径D16の円筒面を有する円筒部344bとを含む。なお、円筒部344bと端部341bとの間には、段差345が形成され、段差955は、画像形成に不良が生じない位置、例えば非通紙領域の所定の位置であることが好ましい。また、軸に対称であり、径の中心線に対称である。
【0170】
図18(f)に示す通り、発泡ゴム層35bは、最大外径D14の円筒面を有する端部351bと、軸方向での中央において最小外径D15を有する中央部352bとを含む。中央部352bの外周面は、断面図で曲線的に示されるように、所定の割合で外径が両端から中央に向かって次第に減少しており、このような形状の面を以下曲面部と記して説明する。また、軸に対称であり、径の中心線に対称である。
【0171】
図18(g)に示す通り、発泡ゴム層36bは、軸方向での両端において最大外径D17を、中央において最小外径D15を有し、断面図で曲線的に示されるように、所定の割合で外径が中央に向かって次第に減少している曲面部361bを有する。また、軸に対称であり、径の中心線に対称である。
【0172】
また、発泡ゴム層36bは、上に説明した発泡ゴム層31b〜35bと異なり、両端において、金属導電層20cと接触する所定の領域として円筒面に形成されていないが、例えば両端から軸方向の長さL13の領域を、外側に配置される金属導電層20cの内径D14より大きい外径に形成することで、所謂しまり嵌めで金属導電層20cと接触するための所定の領域を確保できる。
【0173】
発泡ゴム層31b〜36bは、金属導電層20cの内側に配置された場合、金属導電層20cと接触する部分のうち全面あるいは一部において、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着されている。
【0174】
端部311b,321b,331b,341b,351bは、端部21bと同様に、軸方向に長さL13を有することが好ましく、両端部の間は、長さL14であることが好ましい。
【0175】
上に説明したとおり、発砲ゴム層31b〜36bは、両端において最も大きく、中央に向かって次第に小さくなる外径を有するため、中央に比べて外側の方が、被転写材の搬送スピードが早くなる。
【0176】
(第9の実施の形態)
次に、図19(a)〜(c)を用いて、加熱ローラのさらに異なる例について説明する。
【0177】
加熱ローラ40は、金属導電層40cと、両端において最も大きく、中央に向かって次第に小さくなる外径を有する発泡ゴム層として、例えば上に説明した発泡ゴム層20bを有する。発泡ゴム層20bの内側には、芯棒1aを、金属導電層40cの外側には、ソリッドゴム層1dおよび離型層1eが配置されてもよい。
【0178】
図19(a)は、発泡ゴム層20bと金属導電層40cの軸方向の断面図を示し、図19(b)は、金属導電層40cの概略斜視図を示す。
【0179】
発泡ゴム層20bは、例えば、図18(a)に示した通り、端の最大外径D14から、中央の最小外径D15に向かって軸方向に次第に小さくなる外径を有する。
【0180】
図19(b)に示す通り、金属導電層40cは、最大内径D14の円筒面を有する端部41cと、軸方向の中心で最小内径D18を有する中央部42cを含む。中央部42cは、両端から最小内径D18に向かって内径が次第に減少している曲面部を含む。また、金属導電層40cは、軸方向において一定の厚さ、例えば40μmに形成される。よって、金属導電層40cの外周面も内周面と同様に、外径が両端において最も大きく中央に向かって次第に小さくなる曲面部からなる。
【0181】
金属導電層40cの内径D18は、発泡ゴム層20bの最小外径D15より大きい。
【0182】
図19(a)に示す通り、金属導電層40cの端部41cは、軸方向に長さL13を有し、内周面において発泡ゴム層20bと接触している。金属導電層40cと発泡ゴム層20bは、この接触部分のうち全面あるいは一部で、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着されている。
【0183】
金属導電層40cの中央部42cは、軸方向に長さL14を有し、発砲ゴム20bと接着せず、間に空隙が形成されることが好ましい。
【0184】
なお、本実施の形態においては、内径D18と外径D15は、少なくとも直径で0.1〜2mm(すなわち半径0.05〜1mm)の差H4を有する。また、端部41cおよび中央部42cの和、すなわち金属導電層40cの軸方向の長さはL1であって、例えば330mmであることが好ましい。
【0185】
なお、端部41cと中央部42cとの間には、境界43が形成されており、これは、加圧ローラ2から圧力が提供されることにより、境界43と加圧ローラ2との間を通過した被転写材に、画像不良を招く虞がある。このため、境界43が、画像形成に不良が生じない所定の位置となるように、L14は、所定の長さに決定されることが好ましい。よって、上に説明した通り、(4)長さL14は、通紙領域以上の長さであって、通紙領域と非通紙領域を含んでもよい。また、(3)長さL13が、十分な接着強度が確保される範囲で決定されてもよい。
【0186】
上述の通り、加熱ローラ40は、軸方向に異なる外径の外周面を有し、両端において最も大きく中央に向かって次第に小さくなる外径を有する。これにより、軸方向の中央(内側)に比べて端部(外側)の方において、被転写材の搬送スピードが速い。従って、搬送される被転写材は、軸方向の両端に引っ張られるように加熱ローラ40と加圧ローラ2の間を通過するため、皺の発生を抑制できる。
【0187】
次に、図19(c)を用いて、両端において最も大きく中央に向かって次第に小さくなる金属導電層のさらに異なる例を説明する。
【0188】
金属導電層44cは、曲面部45だけからなる外周面を有する。
【0189】
また、金属導電層44cは、内側に例えば図18(g)に示した発泡ゴム層36bが配置されてもよい。発泡ゴム層36bは、例えば長さL13で定義される金属導電層44cの端部と接着され、少なくとも通紙領域を含む金属導電層44cの中央部とは非接着で、間に空隙を有することが好ましい。
【0190】
この構成により、金属導電層44cの表面には、境界が形成されず、画像不良が形成される虞がない。
【0191】
なお、本実施の形態においては、発泡ゴム層20bを例として説明したが、例えば、図18(b)〜18(f)に示した発泡ゴム層31b〜36bのいずれか1つを金属導電層40cの内側に備えるものであってもよい。
【0192】
また、金属導電層40c,44cは、軸に対称であり、径方向の中心線に対称であることは言うまでもない。
【0193】
(第10の実施の形態)
次に、図20(a)〜(e)を用いて、加熱ローラのさらに異なる例について説明する。
【0194】
図20(a)に示す通り、加熱ローラ50は、軸方向に長さL12を有する中央部51と、中央部51の両端に配置され、長さL11を有する端部52,53からなる。中央部51は、第3の硬度を有し、端部52,53は、第3の硬度より大きい(硬い)第4の硬度を有する。
【0195】
加熱ローラ50は、例えば、図20(b)に示すような、芯棒50aと、発泡ゴム層50bと、金属導電層50cとを有する。
【0196】
芯棒50aは、軸方向で一様に外径D20を有する。
【0197】
発泡ゴム層50bは、最小外径D21を有し、中央部51に対応する長さL12を有する中央発泡ゴム層51bと、最大外径D22を有する端部発泡ゴム層52b,53bからなり、端部発泡ゴム層52b,53bは、それぞれ端部52,53に対応する長さL11を有する。
【0198】
よって、中央発泡ゴム層51bは、周方向に均一の厚さ(D21−D20)/2を有し、端部発泡ゴム層52b,53bは、周方向に均一の厚さ(D22−D20)/2を有する。
【0199】
金属導電層50cは、軸方向で一様に内径D23を有する。
【0200】
このように、中央部と端部において異なる硬度を有する加熱ローラ50は、金属導電層の内側に、中央部と端部の外径が異なる発泡ゴム層を有する。
【0201】
次に、発泡ゴム層50bと金属導電層50cとの関係を説明する。
【0202】
図20(b)に示す通り、端部発泡ゴム層52b,53bの外径D22は、金属導電層50cの内径D23よりも大きく、中央部発泡ゴム層51bの外径D21は、内径D23よりも小さい。すなわち、D21<D23<D22が成り立つ。
【0203】
よって、端部発泡ゴム層52b,53bは、しまり嵌めで金属導電層50cに嵌め合わされ、両者の差分(D22−D23)/2である締めしろ54に応じて所定の大きさ硬度である第4の硬度を有する。また、中央発泡ゴム層51bと金属導電層50cとの間には、両者の差分(D23−D21)/2である隙間55(図20(a)参照)が形成される。このように、中央に隙間を有し、端部においてしまり嵌めされる構成をタイプαとして以下説明する。
【0204】
一方、図20(c)に示すように、中央部発泡ゴム層51bの外径D21が、金属導電層50cの内径D23と同等である場合、金属導電層50cと発泡ゴム層との間に隙間はないが、加熱ローラ50の端部52,53は、締めしろ54に応じた中央部51の第3硬度より大きい第4の硬度を有する。すなわち、D21=D23<D22が成り立つ。このように、中央で隙間がなく、端部においてしまり嵌めされる構成をタイプβとして以下説明する。
【0205】
また、図20(d)に示すように、中央部発泡ゴム層51bの外径D21が、金属導電層50cの内径D23より大きい場合、金属導電層50cと発泡ゴム層との間に隙間はなく、加熱ローラ50の中央部の第3の硬度と端部の第4の硬度は、端部の締めしろ54と中央部の締めしろ56の差分に応じた差を有する。すなわち、D23<D21<D22が成り立つ。このように、中央および端部においてしまり嵌めされる構成をタイプγとして以下説明する。
【0206】
さらに、図20(e)に示すように、端部発泡ゴム層52b,53bの外径D22が、金属導電層50cの内径D23と同等である場合、金属導電層50cと中央発泡ゴム層51bとの間に隙間が形成され、加熱ローラ50の中央部51は、発泡ゴム層の中央部の外径D21と端部の外径D22の差分に応じた端部の第4の硬度より小さい第3硬度を有する。すなわち、D21<D23<D22成り立つ。このように、中央で隙間があり、端部において隙間がなく嵌め合わされている構成をタイプδとして以下説明する。
【0207】
上に説明したタイプα〜δの加熱ローラは、いずれも、中央部51が、端部52,53の第4の硬度より小さい第3の硬度を有する。なお、第3の硬度は、高い画質の画像を得るため一定以上のニップ幅を確保できる範囲で、発泡ゴム層50b自身の硬度や、金属導電層50cとの間に形成される隙間の体積により変化する。
【0208】
また、第4の硬度は、しまり嵌めの場合、端部発泡ゴム層52b,53bが、外から制限を与える金属導電層50cに圧縮され、内側から金属導電層50cに所定の圧力を与えるため、締めしろ54の体積により変化する。なお、締めしろ54は、嵌め合いにより圧縮される半径方向の大きさで表わす。
【0209】
本実施の形態では、表1に示すとおり、発泡ゴム層としてサンプル1〜3を用意して、JIS6253−1997の加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの硬さ試験方法で規定されているタイプEデュロメータにより、加熱ローラの両端部および中央部の硬度を測定した。なお、金属導電層は、全て内径45mm、芯棒の外径は全て30mmである。
【0210】
サンプル1は、タイプβであって、発泡ゴム層50bは、中央部の外径D21が45.0mm、端部の外径D22が46.0mmに形成されている。端部発泡ゴム層52b,53bは、締めしろ0.5mmで金属導電層50cと嵌め合わされている。
【0211】
サンプル2は、タイプδであって、発泡ゴム層50bは、中央部の外径D21は43.4mm、端部の外径D22は、45.0mmに形成されている。中央部発泡ゴム層51bは、隙間0.8mmで、金属導電層とすきま嵌めされている。
【0212】
サンプル3は、タイプαであって、発泡ゴム層50bは、中央部の外径D21は44.4mm、端部の外径D22は、45.3mmに形成されている。すなわち、中央発泡ゴム層51bは、隙間0.3mmで、金属導電層とすきま嵌めされ、端部発泡ゴム層52b,53bは、締めしろ0.15mmで金属導電層50cと嵌め合わされている。
【0213】
サンプル4は、タイプαであって、発泡ゴム層50bは、中央部の外径D21は44.0mm、端部の外径D22は、45.3mmに形成されている。すなわち、中央発泡ゴム層51bは、隙間0.5mmで、金属導電層とすきま嵌めされ、端部発泡ゴム層52b,53bは、締めしろ0.15mmで金属導電層50cと嵌め合わされている。
【0214】
表1は、サンプル1〜4は、加圧ローラによる圧力の提供がなく、加熱機構による熱の提供もない常温状態(ここでは25℃)における、サンプル1〜4のそれぞれ端部52の硬さA,中央部51の硬さB,端部53の硬さCを示す。なお、硬さA〜Cは、一様の外径を有する発泡ゴム層の周方向の複数の点(ここでは4点)の平均値である。
【表1】
【0215】
図21は、この計測結果をまとめたものであって、縦軸はタイプEデュロメータの硬さYeを示し、横軸は金属導電層と発泡ゴム層の半径方向の差分Xe=(D23−D21)/2を示す。なお、横軸において、「0」は金属導電層と発泡ゴム層との間に隙間がなくぴったり嵌めあっている状態を示し、「プラス」領域は両者に隙間が生じるすきま嵌め状態を示し、「マイナス」領域は両者の間にしまり嵌め状態を示す。
【0216】
このように、金属導電層の内径D23と芯棒の外径D20が同一である場合、発泡ゴム層の中央部の外径D21と端部の外径D22を所定の範囲で変化させることにより、加熱ローラの硬さを変更できる。また、しまり嵌めである場合、その締めしろのサイズに応じて、すきま嵌めである場合は、隙間のサイズに応じて、加熱ローラは所定の硬さを有する。すなわち、タイプα〜δの加熱ローラのいずれであっても、金属導電層の内径D23と芯棒の外径D20の差分と、その間に配置される発泡ゴム層の厚さとの関係により、所定の第3,4の硬さを有することができる。
【0217】
なお、金属導電層の内径が変化する場合、芯棒の外径をその分変化させ、発泡導電層の厚さを本実施の形態と同じにすることで、例えば、金属導電層の内径D23が40mmであるとき、芯棒の外径D20が25mmとされることにより、上述のような範囲の第3,4の硬さを有するローラを実現できる。
【0218】
また、加熱ローラ50は、図18を用いて上に説明した発泡ゴム層20b,31b〜36bのように、両端において最大で、中央に向かって次第に小さくなる外径を有する発泡ゴム層を備えてもよい。
【0219】
なお、加熱ローラ50の中央部51は、高い画質の画像を得るため一定以上のニップ幅が確保できる範囲であればよく、例えば、図21に示す通り、外径D21が40.8で、内径が45.0mmの金属導電層との間に、2.1mmの隙間が形成されて、硬さE50であってもよい。また、両ローラは、図21で対応しているとおりのサイズに形成されて、硬さE50〜58の範囲であってもよい。
【0220】
(第11の実施の形態)
次に、図22(a),(b),(c),(d)を用いて、加熱ローラのさらに異なる例について説明する。
【0221】
図22(a)に示す通り、加熱ローラ60は、発泡ゴム層60bと、金属導電層60cを有する。
【0222】
発泡ゴム層60bは、外径D24を有する中央部61bと、外径D24より大きい外径D25を有する端部62bとを含む。本実施の形態においては、外径D24が39.5mm、外径D25が39.7mmである。
【0223】
図22(b)に示す通り、金属導電層60cは、軸方向に長さL14を有する中央部63cと、軸方向に長さL13を有する端部64cを含む。端部64cには、金属導電層60cの内側の空気を外側に案内できる複数の通気孔65が形成される。本実施の形態では、通気孔65は、直径1mmの概略円に形成されることが好ましい。
【0224】
金属導電層60cの端部64cは、この通気孔65の孔をつぶさないように、内側に配置される発泡ゴム層60bの外周面の一部と例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着される。
【0225】
金属導電層60cと発泡ゴム層60bの中央部61bは非接着であり、間に空隙66が形成されることが好ましい。空隙66の空気あるいは金属導電層60cと発泡ゴム層60b付近の空気は、発泡ゴム層60bの端部62bを通って、通気孔65の外側に案内される。
【0226】
従って、金属導電層60cが加熱され、内側の空気が熱膨張した場合であっても、通気孔65により、内側の空気は外側に案内される。
【0227】
また、金属導電層60cの中央部63cの長さL14は、(4)通紙領域以上の長さであって、通紙領域と非通紙領域を含んでもよい。また、端部64cの長さL13は、(1)非通紙領域として定義される範囲を含む長さであってもよく、(3)十分な接着強度が確保される範囲で決定されてもよい。なお、発泡ゴム60bの端部62bの長さL11は、長さL14以上であって、(2)非通紙領域に加えて通紙領域の一部を含む画像形成に不良が発生しない範囲を含んでもよい。このように、通気孔65は、画像形成に不良が生じないように、通紙領域以外に形成されることが好ましい。
【0228】
このため、加熱ローラ60は、金属導電層60cが加熱した場合であっても、熱膨張により硬さが高くなることが防止され、少なくとも通紙領域において、高い画質の画像を得るため、一定以上のニップ幅を確保可能な硬さを維持できる。
【0229】
また、通気孔65は、図22(b)に示した通り、無作為に複数形成されてもよいが、例えば、図22(c)に示す通り、径方向に並んで形成されてもよく、図22(d)に示す通り、端部64cが網の目状に形成されてもよい。また、発泡ゴム層60bのうち少なくとも端部62bは、発泡体同士がつながっている連続泡であることが好ましい。
【0230】
なお、本実施の形態の加熱ローラ60は、発泡ゴム層60bとして、軸方向に一様の外周面を有する円筒面からなるものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、図18(a)〜18(f)に示した発泡ゴム層20b,31b〜36bのいずれか1つを金属導電層60cの内側に備えるものであってもよい。
【0231】
(第12の実施の形態)
次に、図23(a),(b)および図24(a),(b)を用いて、加熱ローラのさらに異なる例について説明する。
【0232】
図23(a)は、発泡ゴム層70bの概略斜視図を示す。
【0233】
発泡ゴム層70bは、外径D1を有する端部71bと、外径D1より小さい外径D2を有する中央部72bからなり、軸方向に端部71bおよび中央部72bを貫通する通気孔73を少なくとも1つ有する。
【0234】
また、図23(b)は、発泡ゴム層70bを含む加熱ローラ70の端部71bにおける断面図を示す。
【0235】
加熱ローラ70は、一様に内径D1を有する金属導電層70cと、金属導電層70cの内側に配置される発泡ゴム層70bと、発泡ゴム層70bの内側に配置される芯棒1aを有する。
【0236】
端部71bは、金属導電層70cと接触し、この接触部分のうち全面あるいは一部で、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着されている。
【0237】
中央部72bは、金属導電層70cと非接着であり、間に空隙を有することが好ましい。
【0238】
端部71bは、芯棒1aと金属導電層70cとの距離である、厚さD26を有し、所定の領域に通気孔73を有する。
【0239】
通気孔73は、分割線74より外側かつ外径D2より内側、すなわち、分割線74より大きく外径D2より小さい直径を有する領域に形成される。分割線74は、加熱された金属導電層70cからの熱が伝達されやすい外側と、実質的に熱が伝達されにくい内側を、説明上、分ける線であって、例えば、端部71bの外径D1より厚さD26の50%の長さだけ半径が小さい円として定義される。
【0240】
これにより、金属導電層70cにより温められた発泡ゴム層70bの空気を、加熱ローラ70の外側に、効率よく排出できる。
【0241】
よって、加熱ローラ70は、金属導電層70cが加熱した場合であっても、熱膨張により硬度が高くなることが防止され、少なくとも通紙領域において、高い画質の画像を得るため、一定以上のニップ幅を確保可能な硬さを維持できる。
【0242】
なお、本実施の形態の加熱ローラ70は、発泡ゴム層70bとして、軸方向に一様の外周面を有する円筒面からなるものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、図18(a)〜18(f)に示した発泡ゴム層20b,31b〜36bのいずれか1つを金属導電層70cの内側に備えるものであってもよい。
【0243】
次に、図24(a),(b)を用いて、軸方向に貫通する通気孔を有する発泡ゴム層の異なる例について説明する。
【0244】
図24(a)は、発泡ゴム層80bの概略斜視図を示す。
【0245】
発泡ゴム層80bは、外径D1を有する端部81bと、外径D1より小さい外径D2を有する中央部82bからなり、軸方向に端部81bおよび中央部82bを貫通し、かつ端部81bおよび中央部82bの外周面を切り欠く形状の通気孔83を少なくとも1つ有する。
【0246】
また、図24(b)は、発泡ゴム層80bを含む加熱ローラ80の端部81aにおける断面図を示す。
【0247】
加熱ローラ80は、一様に内径D1を有する金属導電層80cと、金属導電層80cの内側に配置される発泡ゴム層80bと、発泡ゴム層80bの内側に配置される芯棒1aを有する。
【0248】
端部81bは、金属導電層80cと接触し、この接触部分のうち全面あるいは一部で、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着されている。
【0249】
中央部82bは、金属導電層80cと非接着であり、間に空隙を有することが好ましい。
【0250】
端部81bは、芯棒1aと金属導電層80cとの距離である、厚さD27を有し、分割線84より大きい直径を有する領域に形成される通気孔83を有する。通気孔83は、端部81bおよび中央部82bの外周面まで達する。なお、分割線84は、端部81bの外径D1より厚さD27の50%の長さだけ半径が小さい円として定義される。
【0251】
これにより、金属導電層80cと発泡ゴム層80bの中央部82bとの間に形成される空隙の空気を、より効率的に、通気孔83を介して、外部に案内できる。
【0252】
また、通気孔83は、単なる切込みであってもよい。
【0253】
なお、本実施の形態の加熱ローラ80は、発泡ゴム層80bとして、軸方向に一様の外周面を有する円筒面からなるものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、図18(a)〜18(f)に示した発泡ゴム層20b,31b〜36bのいずれか1つを金属導電層70cの内側に備えるものであってもよい。
【0254】
(第13の実施の形態)
次に、図25(a),(b)を用いて、加熱ローラのさらに異なる例について説明する。
【0255】
図25(a)は、発泡ゴム層90bの概略斜視図を示す。
【0256】
発泡ゴム層90bは、外径D1を有する端部91bと、外径D1より小さい外径D2を有する中央部92bからなり、軸方向に端部91bおよび中央部92bを貫通し、かつ端部91bおよび中央部92bを含む発泡ゴム層90bの外周面および内周面を切り欠く形状の通気孔93を少なくとも1つ有する。
【0257】
また、図25(b)は、発泡ゴム層90bを含む加熱ローラ90の端部91bにおける断面図を示す。
【0258】
加熱ローラ90は、一様に内径D1を有する金属導電層90cと、金属導電層90cの内側に配置される発泡ゴム層90bと、発泡ゴム層90bの内側に配置され、所定の接着方法で発泡ゴム層90bを保持する芯棒1aを有する。
【0259】
端部91bは、金属導電層90cと接触し、この接触部分のうち全面あるいは一部で、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着されている。
【0260】
中央部92bは、金属導電層90cと非接着であり、間に空隙を有することが好ましい。
【0261】
通気孔93は、発泡ゴム層90bの内周面から外周面に達する切り欠き形状であって、言い換えると、端部91bおよび中央部91bにおいて、それぞれの厚さと等しい、径方向の深さを有する。
【0262】
これにより、金属導電層90cと発泡ゴム層90bの中央部92bとの間に形成される空隙の空気、あるいは金属導電層90cの内側の空気を、より効率的に、通気孔93を介して、外部に案内できる。
【0263】
よって、加熱ローラ90は、金属導電層90cが加熱した場合であっても、熱膨張により硬度が高くなることが防止され、少なくとも通紙領域において、高い画質の画像を得るため、一定以上のニップ幅を確保可能な硬さを維持できる。
【0264】
なお、本実施の形態の加熱ローラ90は、発泡ゴム層90bとして、軸方向に一様の外周面を有する円筒面からなるものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、図18(a)〜18(f)に示した発泡ゴム層20b,31b〜36bのいずれか1つを金属導電層90cの内側に備えるものであってもよい。
【0265】
(第14の実施の形態)
次に、図26(a),(b)を用いて、加熱ローラのさらに異なる例について説明する。
【0266】
図26(b)は、加熱ローラ110の中央部の断面図を示す。
【0267】
加熱ローラ110は、一様に内径D14を有する金属導電層110cと、金属導電層110cの内側に配置される発泡ゴム層110bと、発泡ゴム層110bの内側に配置される芯棒110aを有する。
【0268】
芯棒110aは、中空部111aと換気口112aを有し、外周面側すなわち発泡ゴム層110bと外部すなわち換気口112aと隣接する両端部とをつなぐ構成を有する。なお、芯棒110aは、例えば、図15を用いて上に説明した芯棒800aのような構成でよい。
【0269】
発泡ゴム層110bは、図26(a)に示す通り、最大外径D14を有する端部111bと、最小外径D15を有する中央部112bと、中央に近づくに従って軸方向に外径が次第に小さくなるコーン部113b,114bからなり、内周面から外周面まで達する通気孔115を複数有する。
【0270】
端部111bは、金属導電層110cと接触し、この接触部分のうち全面あるいは一部で、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着されている。
【0271】
中央部112bは、金属導電層110cと非接着であり、間に空隙を有することが好ましい。
【0272】
通気孔115は、径方向に発泡ゴム層110bを貫通し、空隙(金属導電層110cの付近)と芯棒800aの外周面とをつなぐ。通気孔115とつながる芯棒800aの換気口111aは中空部112aを介して外部に空気を排出できる。
【0273】
これにより、金属導電層110cにより温められた発泡ゴム層110bの空気を、加熱ローラ110の外側に、効率よく排出できる。
【0274】
また、端部111bは軸方向の長さL13に形成され、中央部112b,コーン部113b,114bは、軸方向の長さの総和が長さL14に形成される。長さL14は、上に説明した通り、(4)通紙領域以上の長さであって、通紙領域と非通紙領域を含んでもよく、長さL13が、(3)十分な接着強度が確保される範囲で決定されてもよい。
【0275】
よって、通気孔115は、少なくとも通紙領域に形成される。また、通気孔115が形成されることにより、中央部112b,コーン部113b,114bの硬度は小さくなる。
【0276】
このため、通紙領域に、所定の大きさおよび数の通気孔115が形成されるとこにより、一定以上のニップ幅を確保可能な硬さを維持できる。
【0277】
なお、芯棒110aは、これに限られず、発泡ゴム層110bの通気孔115の位置に応じて、中央部112b,コーン部113b,114bと接する面に換気口を形成し、端部111bと接する面には形成されないものであってもよく、あるいは全面が網の目状であってもよい。
【0278】
また、通気孔115は、所定の大きさあるいは所定の数で形成されることにより、加熱ローラ110の硬度を小さくできる。さらに、発泡ゴム層110bが、気泡同士が連結され空気の移動が可能な連続泡からなる場合、加熱ローラ2から圧力が提供されて、端部111bから空気を排出できる。このため、芯棒110aとして、換気口および中空部が形成されないものであっても適用できる。
【0279】
(第15の実施の形態)
次に、図27(a)〜(e)を用いて、加熱ローラのさらに異なる例について説明する。
【0280】
図27(a)は、発泡ゴム層120bの概略斜視図を示す。
【0281】
発泡ゴム層120bは、長さL12を有する中央部121bと、中央部121bの両端に配置され、長さL11を有する端部122b,123bとを有し、軸方向に一様に外径D28に形成される。
【0282】
発泡ゴム層120bは、外周面上に、軸方向にわたってV字状に形成される通気孔123を少なくとも1つ有する。言い換えると、通気孔124は、軸方向の中心から端まで、軸と所定の角度で交わる直線状の切り欠きを、軸方向の中心で対称に有する。すなわち、通気孔124は、軸方向に発泡ゴム層120bの外周面を貫通している。
【0283】
また、図27(b)は、発泡ゴム層120bを含む加熱ローラ120の断面図を示す。
【0284】
加熱ローラ120は、一様に内径D28を有する金属導電層120cと、金属導電層120cの内側に配置される発泡ゴム層120bと、発泡ゴム層120bの内側に配置される芯棒1aからなる。
【0285】
端部122b,123bは、金属導電層120cと接触し、この接触部分のうち全面あるいは一部で、例えば耐熱性の接着剤等を用いて接着されている。中央部121bは、金属導電層120cと非接着である。
【0286】
加熱ローラ120は、加圧ローラ2から所定の圧力が提供された状態で回転される場合、発泡ゴム層120cのそれぞれの通気孔124(外部から外部までをつなぐ)のうち、V字の山が最も早く加圧ローラ2との接触位置(ニップ)に到達するように設けられる。すなわち、発泡ゴム層120bは、矢印Mの方向に回転するように、装置に備えられる。
【0287】
このため、移動する被転写材は、軸方向の両端に引っ張られるように加熱ローラ120と加圧ローラ2の間を通過するため、皺の形成を抑制できる。
【0288】
また、発泡ゴム層120cは、断面において、円中心すなわち軸に対称であって、通気孔124は、偶数であることが好ましい。これにより、被転写材が加熱ローラ120と加圧ローラ2との間を通過するとき、偏った応力の発生を防止できるため、被転写材は軸と垂直な方向に移動され、さらに皺が形成されにくい。
【0289】
なお、本実施の形態は、図27(b)に示す通り、断面において半円形状で所定の深さを有する通気孔124であってもよいが、図27(c)に示す通り、所定の深さを有する切り欠き125であってもよく、切り欠き125は、単なる切込みであってもよい。
【0290】
次に、図27(d)を用いて、発泡ゴム層120bの変形例を説明する。
【0291】
図27(d)に示すとおり、発泡ゴム層130bは、長さL12を有する中央部131bと、中央部131bの両端に配置され、長さL11を有する端部132b,133bとを有する。端部132b,133bは、外径D28に、中央部131bは、D28より小さい外径D29に、それぞれ形成される。
【0292】
発泡ゴム層130bの外周面には、発泡ゴム層120bと同様に、通気孔134,135が、回転方向上流側にV字の山がくるように、形成される。このため、中央部131bの外周面に形成される通気孔134と、端部132b,133bの外周面に形成される通気孔135とは、連続でなくてよい。通気孔135は、発泡ゴム層130bの外側に金属導電層が配置された場合、中央部の空気を外部に排出できる。
【0293】
なお、金属導電層の内径がD28である場合、中央部には、図27(e)に示すような隙間136ができる。しかしながら本願発明はこれに限られるものではなく、例えば図20(a)〜(e)に示したような所定の嵌め合いであってもよい。
【0294】
また、通気孔134,135は、図27(b),(c)に示した半円状の切り欠きあるいは単なる切込みのいずれであってもよい。
【0295】
(第16の実施の形態)
図28は、図1に示す加熱ローラと加圧ローラのさらに異なる例を示す。
【0296】
図28に示すとおり、加熱ローラ150は、軸方向に長さL12を有する中央部151と、中央部151の両端に配置され、長さL11を有する端部152,153からなる。中央部151は、第5の硬さを有し、端部152,153は、第6の硬さを有する。
【0297】
また、加熱ローラ150は、芯棒150a、発泡ゴム層150b、金属導電層150cとを含み、発泡ゴム層150bは、中央部151に対応する中央発泡ゴム層151bと、端部152に対応する端部発泡ゴム層152bと、端部153に対応する端部発泡ゴム層153bとからなる。また、中央発泡ゴム層151bは、外径D30、端部発泡ゴム層152b,153bは、外径D31、芯棒150aは、外径D32を有する。
【0298】
一方、加圧ローラ160は、軸方向に長さL12を有する中央部161と、中央部161の両端に配置され、長さL11を有する端部162,163からなる。中央部151は、第5の硬さより大きい第7の硬さを有し、端部152,153は、第6の硬さより大きい第8の硬さを有する。
【0299】
また、加圧ローラ160は、芯棒160a、発泡ゴム層160b、金属導電層160cを含み、発泡ゴム層160bは、中央部161に対応する中央発泡ゴム層161bと、端部162に対応する端部発泡ゴム層162bと、端部163に対応する端部発泡ゴム層163bとからなる。また、中央発泡ゴム層161bは、外径D33、端部発泡ゴム層162b,163bは、外径D34、芯棒160aは、外径D35を有する。
【0300】
加熱ローラ150と加圧ローラ160は、それぞれの中央部と端部とが向かい合うように配置され、加圧ローラ160は、加熱ローラ150に所定の圧力を提供する。このとき、加熱ローラ150の中央部151は、加圧ローラ160の中央部161よりも柔らかい(硬度が小さい)ため、加圧ローラ160より大きく変異する。
【0301】
すると、軸方向から見た加熱ローラ150および加圧ローラ160のニップ部分の断面を示す図28(b)の通り、加圧ローラ160のニップ部分が加熱ローラ150に食い込み、加熱ローラ150のニップ部分は、軸側(内側)に凹む。また、加熱ローラ150の中央部151の第5の硬さがより小さい(柔らかい)と、図28(b)に示す通り、用紙Pの搬送方向下流で、加熱ローラ150の中央部151の曲率が急激に変化する。すなわち、中央部151の下流側154は、加圧ローラ160側に凸に変形する。このため、加熱ローラ150の表面から、これに接触し溶融されたトナーが、剥離されやすくなる。
【0302】
よって、本実施の形態は、トナー量がより多いカラー画像形成が可能な画像形成装置に利用されて、トナー量が多いため、加熱ローラと用紙が密着して剥がれにくくなる問題を解決できる。
【0303】
次に、第5,6の硬さを有する加熱ローラ150と第7,8の硬さを有する加圧ローラ160の一例を説明する。
【0304】
加熱ローラ150は、第10の実施の形態で説明したサンプル2と同等のサイズに、加圧ローラ160はサンプル1と同等のサイズに、それぞれ形成される。すなわち、金属導電層150c、160cの外径は、45.0mm、芯棒150a,160aの外径D32,D35は、30.0mm、加熱ローラの中央発泡ゴム層151bの外径D30は、43.4mm、端部発泡ゴム層152b,153bの外径D31は、45.0mm、加圧ローラの中央発泡ゴム層161bの外径D33は、45.0mm、端部発泡ゴム層162b,163bの外径D34は、46.0mmに、それぞれ形成される。なお、加圧ローラ160は、サンプル3,4のいずれかであってもよい。すなわち、第10の実施の形態で説明したように、所定の硬さを形成可能なサイズに形成できる。
【0305】
このため、第5の硬さはE58、第6,7の硬さはE63、第8の硬さはE66となり、第5の硬さ<第7の硬さ、第6の硬さ<第8の硬さがそれぞれ成り立つ。
【0306】
なお、本実施の形態は、第5の硬さ<第7の硬さ、第6の硬さ<第8の硬さの少なくとも一方が成り立つ構成であればよく、上述の通り、図20に示した異なる外径を有する中央部と端部の発泡ゴム層を用いて硬さを変化させる構成や、図4,5に示した発泡ゴム層の硬さを変化させる構成、あるいは図17に示した金属導電層の硬さを変化させる構成を有するローラを、加熱ローラあるいは加圧ローラの少なくとも一方として利用するものであってもよい。
【0307】
(第17の実施の形態)
図29(a)〜(c)は、図1に示した加熱ローラとさらに異なる例を示す。
【0308】
図29(a)に示すとおり、軸方向に長さL12を有する中央部171と、中央部171の両端に配置され、長さL11を有する端部172,173からなる。さらに、加熱ローラ170は、均一の内径を有する金属導電層170cと、金属導電層170cの内径より僅かに小さい、あるいは同等の外径を軸方向に均一に有する発泡ゴム層170bを含み、両者は、端部172,173で接着剤により接続されている。
【0309】
端部172,173は、図29(b)に示すように、接着剤が配置される接着部分174と、中央部171と外部とを接続する軸方向非接着部分175とを有する。これにより、加熱ローラの温度上昇により温められた中央部171の空気が、非接着部分175を介して外部に排出される。よって、空気膨張により中央部171が硬くなることを防止できる。
【0310】
また、端部172,173は、図29(c)に示すように、接着部分174をローラの周方向に通される非接着部分176がさらに形成されてもよい。これにより、中央部171の空気の排出を円滑にできる。
【符号の説明】
【0311】
1・・・加熱ローラ、2・・・加圧ローラ、1a・・・芯棒、1b・・・発泡ゴム層、1c・・・金属導電層。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0312】
【特許文献1】特開2002−49261号公報(要約、図1、図2、段落[0016]、同[0022])
【特許文献2】特開2001−5315号公報(要約、請求項3、図1ないし図4、段落[0027]、同[0032]〜[0036])
【特許文献3】特開平8−76620号公報(要約、図1、請求項1ないし3項)
【特許文献4】特開平8−129313号公報(要約、請求項1、図2)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外径を有する端部と上記第1の外径より小さい第2の外径を有する中央部とを含む芯部と、
上記芯部の周りに形成される支持部材と、
上記支持部材の周りに形成され、軸方向に一定の外径を有する円筒形の金属部材を有することを特徴としたローラを少なくとも1つ有する定着装置。
【請求項2】
第1の材質を含む円筒形の第1の金属層と、この第1の金属層の周りに形成され、上記第1の材質と異なる第2の材質を含む円筒形の第2の金属層とを含む金属部材と、
上記金属部材の内側に配置され、外力が提供されない環境で、上記金属部材の外径を一定に維持する支持部材を有することを特徴としたローラを少なくとも1つ有する定着装置。
【請求項3】
上記支持部材は、側面に複数の通気孔が形成される円筒形の芯部の周りに備えられる円筒形の発泡材であって、上記発泡材に含まれる空気が芯部を通って上記ローラの外に案内されることを特徴とした請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
円筒状の金属部材と、
前記金属部材の内側に配置され、両端において最も大きく、中央に向かって次第に小さくなる外径を有する支持部材とを有する第1のローラと、
前記第1のローラに所定の圧力を提供する第2のローラとを有することを特徴とした定着装置。
【請求項5】
前記金属部材は、端部において、内側に位置する前記支持部材と固定されていることを特徴とした請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
前記支持部材の中央部分は、前記金属部材との間に空隙が形成されることを特徴とした請求項4に記載の定着装置。
【請求項7】
前記支持部材の両端は、前記金属部材の内径より大きい外径を有し、前記金属部材の内側に前記支持部材が収容された状態で、軸方向の中央は、両端より高い硬度を有することを特徴とした請求項4に記載の定着装置。
【請求項8】
中心に軸芯を有し、断熱性を有する発泡ゴム層と、
この発泡ゴム層の外側に設けられた導電層とを少なくとも有し、
常温時、外側から測定した長手方向中央部の硬度より端部の硬度が高いことを特徴とする加熱ローラ。
【請求項1】
第1の外径を有する端部と上記第1の外径より小さい第2の外径を有する中央部とを含む芯部と、
上記芯部の周りに形成される支持部材と、
上記支持部材の周りに形成され、軸方向に一定の外径を有する円筒形の金属部材を有することを特徴としたローラを少なくとも1つ有する定着装置。
【請求項2】
第1の材質を含む円筒形の第1の金属層と、この第1の金属層の周りに形成され、上記第1の材質と異なる第2の材質を含む円筒形の第2の金属層とを含む金属部材と、
上記金属部材の内側に配置され、外力が提供されない環境で、上記金属部材の外径を一定に維持する支持部材を有することを特徴としたローラを少なくとも1つ有する定着装置。
【請求項3】
上記支持部材は、側面に複数の通気孔が形成される円筒形の芯部の周りに備えられる円筒形の発泡材であって、上記発泡材に含まれる空気が芯部を通って上記ローラの外に案内されることを特徴とした請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
円筒状の金属部材と、
前記金属部材の内側に配置され、両端において最も大きく、中央に向かって次第に小さくなる外径を有する支持部材とを有する第1のローラと、
前記第1のローラに所定の圧力を提供する第2のローラとを有することを特徴とした定着装置。
【請求項5】
前記金属部材は、端部において、内側に位置する前記支持部材と固定されていることを特徴とした請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
前記支持部材の中央部分は、前記金属部材との間に空隙が形成されることを特徴とした請求項4に記載の定着装置。
【請求項7】
前記支持部材の両端は、前記金属部材の内径より大きい外径を有し、前記金属部材の内側に前記支持部材が収容された状態で、軸方向の中央は、両端より高い硬度を有することを特徴とした請求項4に記載の定着装置。
【請求項8】
中心に軸芯を有し、断熱性を有する発泡ゴム層と、
この発泡ゴム層の外側に設けられた導電層とを少なくとも有し、
常温時、外側から測定した長手方向中央部の硬度より端部の硬度が高いことを特徴とする加熱ローラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2010−44411(P2010−44411A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255396(P2009−255396)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【分割の表示】特願2003−416958(P2003−416958)の分割
【原出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【分割の表示】特願2003−416958(P2003−416958)の分割
【原出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]