説明

容器の内容物からサンプルを収集するためのバルブ

本発明は、容器(10)の内容物(11)からサンプルを抽出するためのバルブ(1,1’)に関する。サンプリングは汚染を伴うことなく行なわれなければならない。このために、本発明によれば、バルブ(1,1’)は、タンク(10)に強固に接続される固定部品(20,20’)と、固定部品(20,20’)に解放可能に接続される可動部品(40,40’)と、基本位置と切り換え位置との間を切り換えるための作動機構(24)とを備える。固定部品(20,20’)は、軸(A)周りに略回転対称な遮断体(30,30’)の、回転可能に支持される第1の部品本体(32,32’)を備える。可動部品(40,40’)は、遮断体(30,30’)の、回転可能に支持される第2の部品本体(34,34’)を備える。第1の部品本体(32,32’)および/または第2の部品本体(34,34’)は、サンプルを受けるため、または運ぶための凹部(50,70)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の内容物からサンプルを収集するための、請求項1に記載のバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
液体、気体、またはバルク材料を収容する容器は、しばしば、様々な部門のプロセス工学設備に設けられ、また他の製造装置、保管装置、および輸送装置にも設けられる。多くの場合には、容器が閉じられ、または容器が小さい開口のみを有しており、そのため、アクセスが困難な場合もある。それにもかかわらず、様々な理由により、例えば品質制御または他の分析のために、少量の内容物を容器から収集する必要がある。そのような少量の内容物は、内容物のサンプルとして、例えば化学実験室に利用可能にされる。
【0003】
容器またはパイプシステムからの簡単なタッピングをそこでの動作進行を妨げることなく可能にする出口スライドバルブ、またはサンプル取得バルブが知られている。そのような出口スライドバルブは、例えば独国特許出願公開第3109350(A1)号明細書から知られる。
【0004】
汚染物のないサンプル取得システムは、例えば、容器の内容物が有害物質である場合、または容器の内容物がそれらに関する限り汚染されてはならない、特に損傷を受けやすい物質である場合に必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第3109350(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、清浄な収集を可能にし、かつ環境的にシールされた態様で収集サンプルを保持する、前述したタイプのサンプル収集バルブを提供するという課題に基づいている。収集中にサンプルおよび環境の汚染の危険があってはならない。
【0007】
また、バルブは、可能な限り少ない危険で、かつ可能な限り少ない労力で、サンプルの安全な収集、および安全な輸送を可能にするために、取扱いが可能な限り容易でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、容器の内容物からサンプルを収集するための請求項1の特徴を有するバルブにより、本発明にしたがって解決される。
【0009】
本発明の有利な実施形態が、従属請求項に与えられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、容器に強固に接続される少なくとも1つの固定部品と、固定部品に取り外し可能に接続される可動部品と、基本位置と切り換え位置との間を切り換えるための作動装置とを有するバルブによる、容器からのサンプルの環境的にシールされた、または汚染物質のない収集を可能にする。
【0011】
固定部品および可動部品の表記における固定および可動という表現は、容器も移動しない基準系に対して選択されてきた。一方、容器および固定部品が移動する場合−すなわち、それらが可動式の場合−および、例えば可動部品だけが他の基準系に固定される場合、固定および可動という表現は、バルブ部品の実際の移動自由度の絶対的表示として理解されるべきではない。
【0012】
固定部品は、遮断体の第1の部品本体を支持し、この第1の部品本体は、前記第1の本体が回転できるように、軸周りに略回転対称である。第1の部品本体は、容器から離れて面する第1の分離表面を有するとともに、容器に面する第1の表面を有し、この第1の表面は、固定部品によって適合した態様で部分的に受けられる。
【0013】
可動部品は、遮断体の第2の部品本体を、前記第2の部品本体が回転できるように支持する。第2の部品本体は、第1の部品本体の第1の分離表面に面する第2の分離表面を有する。第2の部品本体は、第1の分離表面から離れて面する第2の表面を有し、この第2の表面は、少なくとも一部が可動部品により適合した態様で受けられる。
【0014】
第1の部品本体および/または第2の部品本体が、少なくとも1つの凹部を有する。凹部は、凹部と内容物または器との間に流体接続をもたらすために、第1の表面へ向かう、または第2の表面へ向かう少なくとも1つの開口を有する。
【0015】
可動部品は、第1の部品本体および第2の部品本体が、何れの場合にも分離表面の領域で、または分離表面に隣接する領域で互いに接触するように、ドッキング位置で固定部品に固定される。この場合、有利な実施形態においては、分離表面は、特に、分離表面間で、例えば分離表面の環状溝内に配置されるシールリングにより、互いから密閉される。
【0016】
したがって、第1の部品本体および第2の部品本体を作動装置によりバルブ内で共に回転させることができる。回転中、遮断体のブロッキング機能は、依然として損なわれないままである。
【0017】
有利なことに、容器に接続される固定部品は、作動装置による切り換え直後であっても外側に向けて大部分が汚染されないままである。可動部品が固定部品から取り外された際、第1の部品本体の第1の分離表面は、容器から離れて面する態様で外側に方向付けられる。したがって、内容物による環境の汚染が起こり得ず、また、内容物自体の汚染も起こり得ないことがほぼ確かである。固定部品および可動部品において、それらが互いから分離されるときに、カバーで閉じることができる必要はないが、有利な実施形態においては、これがそうであるように提供される。
【0018】
有利なことには、遮断体の凹部は、切り換え位置でサンプルを受け、またはサンプルを通すように形成されている。このことは、容器内の内容物がバルブに存在するときには常に確保される。容器内の内容物がバルブに存在しない場合には、サンプルを収集するために、特に凹部を通じて外側から容器の内容物中へランスを導入することができる。
【0019】
特に可動部品全体を挿入できる内蔵型洗浄システムにおいて、各サンプルの収集後に凹部を洗浄できるように、凹部は、可動部品に設置されるのが好ましい。
【0020】
言及されるべき更なる利点は、特に動作上信頼できる態様で基本位置と切り換え位置との間を切り換えるために、ボールバルブの原理を用いることができるという点である。無論、異なる形態の遮断体を原理が伴う、本発明による他の実施形態も考えられる。したがって、プレート、円錐体、またはピストンも、遮断体として知られており、DIN EN 736−1において規格化されている。
【0021】
したがって、そのような代替として使用される遮断体を有する本発明による実施が、請求項1によって網羅される。
【0022】
有利な実施形態においては、第1の部品本体および第2の部品本体が、遮断体の2つの半体を形成する。
【0023】
遮断体を2つの半体に分割すること、およびこれらの半体を固定部品および可動部品に受けられるように更に処理することは、それぞれ、遮断体をバルブに取り付けるための有利な解決策であるとともに、コスト的理由のため遮断体の製造においても有利な解決策である。
【0024】
有利な実施形態においては、遮断体が略球である。
【0025】
特別な形態の回転対称体として、球は、プロセス工学設備において遮断バルブで用いるべく既知の利点を伴って形成される。
【0026】
有利な実施形態においては、ベアリングジャーナル半体が、遮断体の両側で軸方向に一体に形成され、または遮断体に固定される。
【0027】
シリンダジャーナルとして有利に形成されるそのようなベアリングジャーナル半体は、それぞれの部品本体を固定部品、または可動部品に取り付けるのを容易にする。同様に、遮断体のそのような回転対称延在部による、作動装置に回転的に固定される接続は、特に費用効率が高い態様で実現され得る。このため、ベアリングジャーナル半体が、本体部品の一方側だけに必要とされてもよい。
【0028】
有利な実施形態においては、ベアリング要素が固定部品および可動部品に設けられる。ベアリング要素は、少なくとも基本位置で部品本体が、固定部品および可動部品にそれぞれ固定されるように、対応する固定部品および可動部品の第1の部品本体および第2の部品本体を支持する。
【0029】
固定部品および可動部品のそれぞれに部品本体を配置する固定は、冒頭で言及された安全性の理由に関して重要である。収集されたサンプルが、可動部品の凹部内で運ばれるちょうどそのときに、第2の部品本体が可動部品から落下できないように第2の部品本体を可動部品に強固に取り付けることが重要である。
【0030】
有利な実施形態においては、少なくとも1つの部品本体は、固定部品または可動部品に対して意図せずに回転しないように、戻り止めによって固定される。このため、固定部品および/または可動部品は、ロックおよび戻り止めを有する。ロックは、固定部品に対して可動部品をロックするとともに、それがロックされるか否かに応じて、戻り止めを間接的にまたは直接的に解除する。戻り止めの解除は、それぞれの本体部品の回転を阻止し、または回転を許容する。
【0031】
これは、例えば固定部品が可動部品に接続されていなければ部品本体が偶発的にまたは誤って回転し得ないという利点を有する。
【0032】
有利な実施形態においては、固定部品および/または可動部品が、少なくとも部分的にプラスチックから成る。
【0033】
そのようなプラスチック部品の費用効率の高い製造の利点に加え、容器の内容物によってもたらされる腐食または反応に関しては、材料の選択も有利である。したがって、このようにすると、金属バルブと比べてバルブの耐久性を高めることができる。
【0034】
有利な実施形態においては、凹部は、止まり穴として、特に円筒状の止まり穴として、それぞれの部品本体の径方向外側の面からそれぞれの部品本体内へと、部品本体の回転用の軸に対して略垂直に径方向内側に延びる。
【0035】
そのような凹部では、外側へ向けてシールされる態様でサンプリングが確保される。更なる利点は、そのような止まり穴の形成が容易でかつ洗浄が容易であるという点である。
【0036】
有利な実施形態においては、排出器が凹部内に設けられる。凹部が止まり穴の形態を成す場合には、排出器を、例えば厚いディスクまたは短い円柱体にすることができる。排出器は、収集されたサンプルを排出するために凹部内で移動できる。
【0037】
そのような排出器は、サンプルがそれ自体で凹部から落下せずに凹部に固着されたまま残る場合に有利である。この場合、凹部からサンプルをほぼ完全に除去することは、排出器によって可能であり、サンプルを更なる工具によって凹部から除去する必要がない。
【0038】
有利な実施形態においては、凹部が部品本体のうちの一方を貫通する貫通穴として延び、この場合、前記貫通穴の経路は、遮断体の回転のための軸に対して略垂直に、かつ部品本体の分離表面間の遮断体の分離平面と略平行に形成される。
【0039】
そのような形態の凹部により、有利なことには、遮断体を通じたサンプリングを可能にできる。これは、容器の充填レベルが非常に低く、そのため、容器内の内容物の充填レベルがバルブのレベルを超えない場合に、特に必要となり得る。この場合、例えば外側から容器に係合できなければならない。これは、制御され、かつシールされた態様で穴を介して有利に行なわれる。
【0040】
有利な実施形態においては、可動部品および/または固定部品が吸引抽出器を有する。吸引抽出器により、空気およびバルク材料の大部分を可動部品と固定部品との間の領域から除去することができる。
【0041】
基本位置と切り換え位置との間で切り換えている間、容器の内容物からのバルク材料が部品本体間を通り過ぎるようになっている場合には、分離表面が汚染される。そのような吸引抽出器により、分離前または分離中に前記領域が洗浄される。
【0042】
有利な実施形態においては、可動部品は、固定部品から離れて面する固定装置を有する。この場合に、固定装置を収集装置に接続することができる。
【0043】
特に有利なことには、このように、例えばサンプル取得容器の可動部品への接続に対して解決策が与えられる。また、収集装置は、器を有することができ、またはそれ自体に器を形成することができる。
【0044】
サンプル取得のランスを保持するための収集装置が、サンプル取得容器としての機能を果たすことができる。そのようなランスは、容器の内側に入り込んで、サンプルを収集し、サンプルと共に容器から除去される。有利なことには、完全に閉じられるランスガイドでは、これが特に入れ子式ガイドおよび/またはベローズを有する端部によって実現される。
【0045】
更なる有利な実施形態によれば、可動部品および/または固定部品が圧力バルブを有する。圧力バルブにより、一方側の凹部および/または収集装置と他方側の環境との間の圧力を等しくすることができる。
【0046】
したがって、ユーザは、制御された態様でサンプルにアクセスできるようにするため、サンプリング後に負圧下または正圧下にあるかもしれないサンプルに空気を供給し、あるいはサンプルから空気を除去することができる。
【0047】
本発明によるバルブは、プロセス工学設備において特に有利な態様で使用される。
【0048】
以下の本文では、2つの例示的な実施形態により本発明を更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1の例示的な実施形態によるバルブであって、可動部品が、既に固定部品と対向して方向付けられて、固定部品から離間した態様で、すなわち、まだ固定部品とドッキングされない態様で位置しているバルブの斜視図を示している。
【図2】軸Aに沿う図1のバルブの断面図を示している。
【図3】可動部品が固定部品とドッキングされて、作動装置によって遮断体が軸Aを中心に切り換え位置へと回転された、図2のバルブの断面図を示している。
【図4】作動装置によって遮断体が基本位置へと回転された、図3のバルブの断面図を示している。
【図5】第2の例示的な実施形態によるバルブの断面であって、遮断体の軸Aに対して垂直に延びる断面図を示している。
【図6】図5の場合とは異なり、可動部品が基本位置で固定部品とドッキングされた図5のバルブの断面図を示している。
【図7】作動装置によって遮断体が切り換え位置へと回転された図6のバルブの断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1〜図4は、本発明に係るバルブ1の第1の例示的な実施形態を示している。バルブ1は固定部品20と可動部品40とから成る。
【0051】
図1および図2において、可動部品40は、固定部品20と対向して方向付けられるが固定部品20から離間される態様で示されている。
【0052】
固定部品20は、容器10に固定されており、遮断体30の部品本体32によって外側へ向けて容器10を閉じる。部品本体32は、ベアリングジャーナル半体39を介して作動装置24に接続されており、それを固定部品20内でベアリングジャーナル半体39と共に回転させることができるように取り付けられる。作動装置24は、固定部品20の側部に適合するレバーアームとして実現される。したがって、作動装置24と第1の遮断部品本体32との間には、ベアリングジャーナル半体39を介した回転可能な固定接続が存在する。
【0053】
第1の部品本体32は、それが軸A周りに回転できるように、固定部品20に接続される。このために、第1の部品本体32が固定部品20から脱落できないように、固定部品20のベアリング要素38が第1の部品本体32に係合する。
【0054】
第1の部品本体32は、容器10と対向する第1の表面36を有する。第1の表面36は、少なくとも部分的に固定部品20の適合表面によって接触態様で受けられ、または支持される。表面36と対向する適合表面は、固定部品20内に環状態様で挿入されるシール部26上で案内される。表面36は、遮断体30が容器10を環境から確実に密閉するようにシール部26上に受けられる。
【0055】
シール部26は、密閉シールとして形成される。図5は、シール部26の構造を断面図で示している。
【0056】
径方向内側で、シール部26は、第1の部品本体32と固定部品20との間でリップ262によりそれ自体を成形する。このために、リップ262は、シール部26のコア266の周囲の全体密閉部264と同様に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成される。密閉部264の内側のコア266は、任意の所望のエラストマから成る。
【0057】
第1の部品本体32は、更なる凹部として、容器10と対向する窪み360を第1の表面36に有する。窪み360の形状は、容器10の膨らみにほぼ対応する。したがって、前記容器10の壁を越えてブラシがけをする容器10の撹拌器は、基本位置において妨げられない態様で窪み360も越えてブラシがけをする。窪み360に起因して最小のデッドスペースが形成される。そのようなデッドスペースでは、基本位置と収集位置との間で切り換えが行なわれる間、少量の内容物11がバルブ1および1’の内側に沿って運ばれ、これが汚染をもたらす可能性がある。また、この同伴は、作動要素24が180°にわたる回転をもたらしたときに、切り換え位置で窪み360を容器の上側に配置させることができるため、サンプルの第1の収集であるとして理解されなければならない。
【0058】
デッドスペースが殆どない変形例では、第1の表面に窪みが存在しない。この場合には撹拌器の自由回転を妨げないように、遮断体がバルブ内で容器の外側方向に後退される。
【0059】
第1の部品本体32は、容器10から離れて面する側に第1の分離表面33を有する。第1の分離表面33は、球状の遮断体30の分離平面に一致して形成される。あるいは、分離表面を分離平面からそれる態様で、特に後退する態様で形成することもできる。この場合、そのような分離表面間にキャビティが形成されてもよい。作業環境に応じて、そのようなキャビティは、動作信頼性のために必要となり得る。そうでない場合は、閉塞中の障害が予期されるはずだからである。分離表面のそのような形態に起因して、重量を抑えることもできる。
【0060】
同様の態様で、可動部品40は、遮断体30の第2の部品本体34を支持する。図1および図2の例示では、第2の部品本体34が、第1の部品本体32と対向して配置されて第1の部品本体に面している。第2の部品本体34は、第1の部品本体32と同様の態様で形成される。第2の部品本体は、凹部50によって第1の部品本体32と異なる。凹部50は、軸Aに対して垂直で、かつ遮断体30の分離平面に対して垂直な円筒状の止まり穴として形成される。
【0061】
図1および図2では、可動部品40がまだ固定部品20とドッキングされていない態様で示されているため、無論、バルブ1もまだ基本位置にある。基本位置において、容器10から離れて面する凹部50は、外側へ向けて開口している。この開口は、環境的にシールされた接続が凹部50と器44との間に形成されるように、器44に対して構成される。これは、固定部品20から離れて面する態様で可動部品40に固定される収集装置54によって確保される。
【0062】
部品本体32および34は、固定部品20または可動部品40に対して意図せずに回転しないように、少なくとも1つの戻り止め28によって固定される。
【0063】
これは、固定部品20が可動部品40に接続されていなければ部品本体32および34が偶発的に、または誤って回転し得ないという利点を有する。
【0064】
可動部品40を固定部品20に固定するため、2つのロック42が互いに対向して設けられ、前記ロック42は、この例示的な実施形態によれば、バヨネット閉塞の原理に基づいて機能する。ロック42は、回転可能なテーパ状の円柱体を有し、その円錐端部41は、固定部品20の対応する受け入れ穴22内に入り込む。この場合、可動部品40は、心出しニップル25の捕捉領域に達するように固定部品20に対して大よそ方向付けられる。ロック42の円柱体は、L形状溝43を有しており、そのLの第1の肢は前記円柱体の外周の一部を取り囲み、また、Lの第2の肢は、外周上の一点で円柱体軸の方向に向けられて端部41へ向けて開口する。円柱体が受け入れ穴22に入り込めば、受け入れ穴22に一体形成されるジャーナル23が、溝43に沈み込む。可動部品40が固定部品20に対して中心付けられた態様で適合すれば、心出しニップル25が対応する穴に導入されていて、円柱体を回転させることができる。これは、ここでは、多くの選択肢のうちの1つとして、回転的に固定された態様で円柱体に接続されるレバー46によって行なわれる。円柱体の回転後、ジャーナル23が溝43の領域内に配置され、この溝43により、ジャーナル23は、円柱体の軸方向で自由に移動することができなくなる。
【0065】
可動部品40がロック42により固定部品20に対してロックされたときにだけ、作動要素24を回転させることができる。
【0066】
心出しニップル25は、固定部品20に対する可動部品40のロック42後に、作動要素24またはベアリングジャーナル半体39をロック解除する、または解放するためのトリガを構成する。前記心出しニップル25は、戻り止め28をベアリングジャーナル半体39から径方向に押し出すことができるピン27に接続される。ピン27により伝えられる圧力がなければ、戻り止め28がベアリングジャーナル半体39内に引き込まれ、そのため、ベアリングジャーナル半体39は、可動部品40において回転できない。同様に、図示しない例示的な実施形態においては、固定部品20のベアリングジャーナル半体39を抑えることができる。
【0067】
作動要素24の回転は、ロック解除が、約90°にわたる、または180°にわたる作動要素24の切り換え位置への完全な回転時においてのみ可能となるように、回転監視装置240によって監視される。同様に、回転監視装置240は、切り換え位置に達するために約90°または180°にわたる完全な回転を検出し、それにより、「収集実行信号」を発することができる。したがって、収集を完全に自動化できる。切り換え位置に達するための約90°にわたる回転は、凹部70を有する第2の例示的な実施形態に関連し、この場合、凹部70により、特に90°を幾分超える回転の場合に収集が可能となる。
【0068】
図3および図4は、固定部品20に対して可動部品40がドッキング位置にあるバルブ1を示している。
【0069】
図3は、切り換え位置にあるバルブ1の第1の例示的な実施形態を示している。ここでは、部品本体32および34から成る遮断体30の作動装置24による軸A周りの回転は、図4に示されるような基本位置への切り換えをもたらす。ここでは、サンプルを凹部50から収集することができる。
【0070】
部品本体32および34は、実質的に汚れていない分離表面33および35により互いに接触している。基本位置と切り換え位置との間の切り換え中に、分離表面33および35の汚染が生じないことを確保するために、シールリング60が、部品本体32および34間に設けられる。
【0071】
サンプルの収集後、可動部品40は、一般に固定部品20から分離されるべきである。このために、ロック42が解除される。しかしながら、汚染の危険に応じて、これは、分割された遮断体30の分離平面の方向で遮断体30を介して抽出するための吸引抽出器29が作動に切り換えられなければ行なわれるべきではない。そのような吸引抽出器29は、既存の真空システムに接続される管状吸引抽出器として形成することができる。
【0072】
器44および可動部品40は、サンプリングのタイプに応じて、正圧下または負圧下にある。したがって、収集装置54の器44が開放される前に、圧力が常圧に対して等しくされるべきである。このため、器または凹部と環境との間の流体接続を開閉する圧力バルブ49が設けられる。
【0073】
収集されたサンプルは、収集された後に凹部50から器44へと落下し、または流れなければならない。これは、バルク材料の多くのケースにおいて問題を構成しない。しかしながら、しばしば、バルク材料は、凹部50から容易に落下しない粘性材料、粘り気がある材料、または塊の多い材料である。凹部50からのサンプル排出を伴うそのような問題ケースにおける第1の例示的な実施形態が、図8に与えられている。この目的のために、凹部50内で軸方向に移動することができるディスク58が設けられる。サンプルが凹部50から排出されるようになっている場合には、ディスク58が軸Aに対して垂直に器44の方へ移動する。これは様々な方法で行なうことができる。例えば、サンプルから離れて面するディスク58の側の領域に圧力を加え、それによりディスク58の空気圧作動が実現されるようにすることが考えられる。
【0074】
図5〜図7は、本発明によるバルブ1’の第2の例示的な実施形態を示している。図5〜図7は、軸Aに対して垂直な断面図である。固定部品20’および可動部品40’は、第1の例示的な実施形態にほぼ匹敵する態様で構成される。バルブ1とバルブ1’との間の本質的な違いは、遮断体30および30’の第2の部品本体における凹部50および70にある。
【0075】
第2の例示的な実施形態(図5〜図7)によれば、凹部70は、遮断体30’の第2の部品本体34’を貫通する貫通穴として形成される。この穴は、第2の分離表面35と平行にかつ軸Aに対して垂直に配置される。軸Aを中心とする遮断体30’の回転は、収集位置で、開口のうちの一方が容器10へ向けて開放し、他方の開口が収集装置74への流体接続を形成するように、凹部70をその開口が面37’内にある状態で移動させる。
【0076】
収集装置74は、容器10から離れて面するランス78を保持する。ランス78は、収集装置74内にシール態様で案内され、それにより、容器10の内容物11への流体接続が確立された際に、それにもかかわらず、全体的に閉じられたシステムが形成される。ランス78は、容器10に面して、収集されたサンプルのための器76として設けられる切り欠きを有する。
【0077】
収集位置(図7)において、ランス78は、凹部70を通じて、容器10内およびその内容物11内に押し入ることができる。サンプルが収集されると、ランス78が、収集装置74内に引き戻され、それにより、遮断体30’が再び自由に回転できる。遮断体30’が基本位置へと回転され、それにより、第1の分離表面33が可動部品40’と対向するとともに、容器10が再びシール態様で閉じられる。
【符号の説明】
【0078】
1,1’ バルブ
10 容器
11 内容物
20,20’ 固定部品
22 受け入れ穴
23 ジャーナル
24 作動装置
25 心出しニップル
26 シール部
27 ピン
28 戻り止め
29 吸引抽出器
30,30’ 遮断体
32,32’ 第1の部品本体
33 第1の分離表面
34,34’ 第2の部品本体
35 第2の分離表面
36 第1の表面
37,37’ 第2の表面
38 ベアリング要素
39 円柱半体
40,40’ 可動部品
41 端部
42 ロック
43 溝
44 器
46 レバー
49 圧力バルブ
50 凹部
52 固定装置
54 収集装置
56 器
58 ディスク
60 シールリング
70 凹部
72 固定装置
74 収集装置
7 器
78 ランス
240 回転監視装置
262 リップ
264 密閉部
266 コア
360 窪み
A 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(10)の内容物(11)からサンプルを収集するためのバルブ(1,1’)であって、
(1.1) 前記容器(10)に強固に接続される固定部品(20,20’)を有し、
(1.1.1) 前記固定部品(20,20’)は、軸(A)周りに略回転対称な遮断体(30,30’)の第1の部品本体(32,32’)を、前記第1の部品本体(32,32’)が回転できるように支持し、
(1.1.2) 前記第1の部品本体(20,20’)は、前記容器(10)から離れて面する第1の分離表面(33)を有するとともに、
(1.1.3) 前記容器(10)に面する第1の表面(36)を有し、この第1の表面は、前記固定部品(20,20’)によって適合態様で部分的に受けられ、
(1.2) 前記固定部品(20,20’)に取り外し可能に接続される可動部品(40,40’)を有し、
(1.2.1) 前記可動部品(40,40’)は、前記遮断体(30,30’)の第2の部品本体(34,34’)を、前記第2の部品本体(34,34’)が前記軸(A)を中心に回転できるように支持し、
(1.2.2) 前記第2の部品本体(34,34’)は、前記第1の分離表面(33)に面する第2の分離表面(35)を有するとともに、
(1.2.3) 前記第1の分離表面(33)から離れて面する第2の表面(37,37’)を有し、この第2の表面は、少なくとも一部が前記可動部品(40,40’)によって適合態様で受けられ、
(1.3) 前記第1の部品本体(32,32’)および/または前記第2の部品本体(34)は、凹部(50,70,360)と前記容器(10)との間に流体接続をもたらすために、前記第1の表面(36)へ向かう、または前記第2の表面(37)へ向かう少なくとも1つの開口を有する少なくとも1つの前記凹部(50,70,360)を有し、
(1.4) 基本位置と切り換え位置との間で切り換えるための作動装置(24)を有する、バルブ(1,1’)。
【請求項2】
前記第1の部品本体(32,32’)および前記第2の部品本体(34,34’)が、前記分離表面(33,35)の領域で、または前記分離表面(33,35)に隣接する領域で、特に好ましくはシールリング(60)により、特に互いに密閉態様で、互いに接触することを特徴とする、請求項1に記載のバルブ(1,1’)。
【請求項3】
前記第1の部品本体(32,32’)および前記第2の部品本体(34,34’)が、前記遮断体(30,30’)の2つの半体を形成することを特徴とする、請求項1および請求項2のいずれかに記載のバルブ(1,1’)。
【請求項4】
前記遮断体(30,30’)が、略球であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のバルブ(1,1’)。
【請求項5】
ベアリングジャーナル半体(39)が、前記遮断体(30,30’)の両側に前記軸方向(A)で一体に形成され、または前記遮断体(30,30’)に固定されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のバルブ(1,1’)。
【請求項6】
ベアリング要素(38)が、前記固定部品(20,20’)および前記可動部品(40,40’)に設けられ、前記ベアリング要素(38)は、少なくとも前記基本位置で前記部品本体(32,32’;34,34’)が前記固定部品(20,20’)および前記可動部品(40,40’)にそれぞれ保持されるように、前記固定部品(20,20’)および前記可動部品(40,40’)の前記第1の部品本体(32,32’)および前記第2の部品本体(34,34’)を支持することを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のバルブ(1,1’)。
【請求項7】
前記ベアリング要素(38)が、L形状断面を有するブシュセグメントとして形成され、前記ブシュセグメントは、前記部品本体(32,34)にリングセグメントの形態で形成される溝に対応することを特徴とする、請求項6に記載のバルブ(1,1’)。
【請求項8】
前記固定部品(20,20’)および/または前記可動部品(40,40’)が、ロック(42)および戻り止め(28)を有し、前記ロック(42)は、前記固定部品(20,20’)に対して前記可動部品(40,40’)をロックし、前記戻り止め(28)は、前記遮断体(30,30’)の回転を妨げまたは許容し、前記ロック(42)は、前記戻り止め(28)を特にピン(27)によって間接的にまたは直接的にブロックし、あるいは有効にすることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のバルブ(1,1’)。
【請求項9】
前記固定部品(20,20’)および/または前記可動部品(40,40’)が、少なくとも部分的にプラスチックから成ることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のバルブ(1,1’)。
【請求項10】
前記凹部(50)が、径方向外側の前記表面(36,37)からそれぞれの前記部品本体(32,32’;34,34’)へと前記軸(A)に対して略垂直に径方向内側に延びる、特に円筒状の止まり穴であることを特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のバルブ(1,1’)。
【請求項11】
前記凹部(50)が、特にディスク(58)の形態を成す排出器を有し、前記排出器は、収集されたサンプルを排出するために前記凹部(50)内で移動できることを特徴とする、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載のバルブ(1,1’)。
【請求項12】
前記凹部(70)が、前記部品本体(32,32’;34,34’)のうちの一方を貫通する貫通穴として形成され、前記貫通穴は、前記軸(A)に対して略垂直に、かつ前記分離表面(33,35)のうちの一方と略平行に延びることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載のバルブ(1,1’)。
【請求項13】
前記可動部品(40,40’)および/または前記固定部品(20,20’)が、吸引抽出器(29)を有し、前記吸引抽出器(29)によって空気およびバルク材料の大部分を前記可動部品(40,40’)と前記固定部品(20,20’)との間の領域から除去することができることを特徴とする、請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載のバルブ(1,1’)。
【請求項14】
前記可動部品(40,40’)が、前記固定部品(20,20’)から離れて面する固定装置(52,72)を有し、前記固定装置(52,72)を収集装置(54,74)に接続することができることを特徴とする、請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載のバルブ(1,1’)。
【請求項15】
前記収集装置(54,74)が、器(56,76)を有することを特徴とする、請求項14に記載のバルブ(1,1’)。
【請求項16】
前記可動部品(20,20’)が、圧力バルブ(49)を有し、前記凹部(50)および/または前記収集装置(54,74)と環境との間の圧力を前記圧力バルブ(49)によって等しくすることができることを特徴とする、請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載のバルブ(1,1’)。
【請求項17】
プロセス工学設備において、請求項1〜請求項16のいずれか一項に記載のバルブを使用すること。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−524889(P2012−524889A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506356(P2012−506356)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001880
【国際公開番号】WO2010/121690
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(511256934)アンドックジステム ゲー. ウンチ ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】