説明

容器の方向規制装置

【課題】容器の方向を規制するまでは充分な摩擦力により容器を回転させ、方向を規制した後は、過大な負荷がかからないようにする。
【解決手段】複数のポケット14を有する供給スターホイール6と、各ポケット14に設けられ、容器4の位置決め部(凹部)4aに係合可能なストッパ20と、容器4に当接して摩擦力により容器4を回転させる摩擦ベルト36、38とを備えており、この摩擦ベルト36、38は、クラッチ36eによって回転を停止され、所定以上の負荷が作用するとクラッチ36eが切れて回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器の方向規制装置に係り、特に、方向性のある容器を一定の方向を向けて揃える容器の方向規制装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
方向性のある容器に、ラベルを貼付する場合等には、全ての容器を所定の方向に位置決めしてラベラに供給しなければならない。このように供給スターホイール内で容器の方向を一定の方向に揃えてラベラに供給するようにした装置は、従来から知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、以下の構成の容器の方向規制装置(この文献に記載された発明の名称は容器の姿勢制御装置)が記載されている。すなわち、繰り入れ装置のスターホイール等の外周部位にこの繰り入れ装置によって移動される容器の移動軌跡に沿って無端状のベルトが配設されている。さらに、駆動モータによって回転駆動される駆動ローラによってこのベルトを駆動するベルト駆動機構が設けられている。また、繰り入れ装置のスターホイールには内側から容器を支持する一対の回転ローラおよびストッパがそれぞれ配置されている。そして、繰り入れ装置のスターホイール等によって保持されている容器が回転ローラによってベルトに押し付けられるようになっている。そのため、ベルトを駆動させることによって容器を回転(自転)させることができる
【0004】
また、繰り入れ装置のスターホイール等の上の容器の自転時には、ストッパが容器の非円形状部分の外周面の外周円に沿って摺動し、ストッパの先端部が容器の取っ手部の一側部の係止部に突き当たった状態で係合する。ストッパが容器の取っ手部の一側部の係止部に当たると、容器の外周面とベルトとの間の接触部の摩擦抵抗に打ち勝って容器の回転は停止する。これ以後は、容器の外周面はベルトに沿って滑る状態で、受渡位置まで移動される。
【特許文献1】特開2002−362734号公報(第11−12頁、図16)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載された発明の構成のように、ベルトを容器に接触させて容器を回転させる場合には、ベルトの摩擦係数をある程度高くする必要があり、しかも、ストッパと容器の係止部が当接した後は、容器とベルトとが滑らなくてはならない。しかしながら、容器の表面状態が乾燥しているか湿っているか等の条件によって、容器がうまく回転しない場合があり、ストッパがうまく係止部に当接せずに乗り越えてしまったり、あるいはスターホイール側に過負荷が作用する等の問題が発生した。
【0006】
また、前記引用文献1の図16に示す構成では、ベルト駆動機構にクラッチは設けられていないが、仮に、クラッチ機構を介してベルトと駆動機構を接続して、負荷がかかった際に、駆動モータからの駆動の伝達を遮断する構成としたとしても、図16の構成では、一本のベルトが、スターホイールが容器を受け取ってから次のホイールに引き渡すまでの搬送行程全体に亘って配置されており、スターホイールに4個以上の容器収容部(ポケット)がある場合には、一本のベルトに複数の容器が同時に接触し、個々の容器の状況に対応できないという問題がある。つまり、一つの容器の係合部にストッパが係合し、他の容器の係合部にはストッパが係合していない場合には、クラッチが切れてベルトがフリー回転する状態になると、ストッパに係合していない容器はうまく回転せず、方向規制ができない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の容器収容部を有するスターホイールと、前記各容器収容部に設けられ、容器に形成された位置決め部に係合するストッパと、前記容器収容部に収容された容器の搬送経路に沿って設けられた無端状のベルトとを備え、前記スターホイールの容器収容部に収容されて搬送される容器を前記無端状ベルトに当接させることにより自転させ、前記ストッパを位置決め部に係合させて容器の方向を規制する容器の方向規制装置において、前記無端状ベルトを、クラッチ機構を介して配置することにより、前記ストッパが位置決め部に係合するまでは、ベルトを回転させずにこのベルトとの摩擦力により容器を自転させ、前記ストッパが容器の位置決め部に係合した際には、クラッチが切れてベルトが回転するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、前記無端状ベルトを複数配置し、一つのベルトの容器への当接区間を、同時に複数の容器が当接しない長さとしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る容器の方向規制装置は、無端状ベルトをクラッチによって回転を停止し、所定以上の負荷で回転するように配置したので、ベルトの摩擦係数を大きくして、容器の位置決め部とストッパとが係合するまでは容器の表面状態に影響されずに容器に回転力を伝達することができ、位置決め部とストッパとが係合した後は、クラッチを切ることにより過大な負荷がかかることを防止するという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、複数の容器収容部を有するスターホイールの各容器収容部に、容器に形成された位置決め部に係合するストッパを設けるとともに、前記スターホイールに収容された容器の搬送経路に沿って無端状のベルトを配置し、さらにこの無端状ベルトを、クラッチの断接によって回転の停止または回転を可能に構成し、位置決め部にストッパが係合するまでは、容器を回転(自転)させるとともにベルトの回転を停止させ、位置決め部にストッパが係合した後は、クラッチを切って無端状ベルトを回転させるという構成により、容器をスムーズに回転させて方向規制を行い、かつ、方向規制を完了した後は大きい負荷がかからないようにするという目的を達成する。
【実施例1】
【0011】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係る容器の方向規制装置を備えたラベラの全体の構成を示す平面図である。搬送コンベヤ2によって搬送されてきた容器4が、供給スターホイール6を介してラベラ8に供給され、ラベリングが行われた後、排出スターホイール10を介して前記搬送コンベヤ2上に排出されて次の工程に送られる。この実施例に係る容器の方向規制装置は、前記供給スターホイール6およびこの供給スターホイール6によって回転搬送される容器4の外側を案内するメインガイド12に設けられている。
【0012】
供給スターホイール6は、その外周部に円周方向等間隔で4箇所の容器収容部(ポケット)14が形成されており、前記搬送コンベヤ2によって搬送されてきた容器4を各ポケット14に1本ずつ収容して回転搬送し、ラベラ8内に供給する。供給スターホイール6によって回転搬送される容器4は、前記メインガイド12の円弧状ガイド面12aによって案内される。供給スターホイール6の各ポケット14には、それぞれ2個の回転可能なローラ16、18が設けられており(図2参照)、収容した容器4が回転し易いようになっている。なお、メインガイド12の排出スターホイール10側にも、供給スターホイール6側と同様の円弧状ガイド面12bが形成されており、排出スターホイール10のポケット11内に収容されてラベラ8から排出される容器4の外側を案内するようになっている。
【0013】
この実施例に係る容器の方向規制装置によって方向が規制される容器4は、図2および図3(b)に示すように、その外面の底部寄りに位置決め部(凹部)4aが設けられている。そして、供給スターホイール6の各ポケット14には、このポケット14内に保持されている容器4の位置決め部4aに係合可能なストッパ20が設けられている。このストッパ20の構成について、図2および図3(a)、(b)により説明する。各ポケット14の回転方向(図1および図2の矢印A参照)前方側に、円板状のスターホイール6を上下に貫通するピン22が、ベアリング24によって回転自在に支持されている。この貫通ピン22の下端部に、ロッド26の先端に取り付けたストッパ20が固定されている。このストッパ20は、その先端の係合部20aが各ポケット14のほぼ中央部に位置している。また、貫通ピン22の上端に、前記ストッパ20のロッド26とほぼ直角な方向を向いたアーム28が固定され、このアーム28の先端にカムフォロア30が取り付けられている。カムフォロア30のアーム28の途中にスプリング32が連結されて、このアーム28の先端に取り付けたカムフォロア30を供給スターホイール6の回転中心方向へ引き付けている。従って、ストッパ20は常時半径方向外方側へ、つまり、ポケット14内に突出する方向に付勢されている。
【0014】
供給スターホイール6の上方の、前記カムフォロア30とほぼ同じ高さに、このカムフォロア30が係合する円形カム34が固定されており、供給スターホイール6の回転に伴ってカムフォロア30がこの円形カム34の外周面に沿って移動し、この円形カム34の形状に応じて半径方向に揺動する。円形カム34は、ほぼ半周が大径で、残りの半周が小径になっており、大径部34aではカムフォロア30が半径方向外方へ押し出されることにより、ストッパ20がポケット14内に収容されている容器4に係合しない位置まで後退し、小径部34bではカムフォロア30が半径方向内方側へ移動することにより、ストッパ20が半径方向外方へ振られてポケット14内に突出し、容器4の位置決め部4aに係合可能な状態になる。このようにストッパ20を常時容器4に係合可能な位置に固定せず、揺動させるようにしたのは、ポケット14内に容器4が収容される際に、容器2の方向によってはストッパ20に位置決め部4aが当たって容器4がスムーズに収容されない場合があるからであり、また、ポケット14から容器4を排出する際に、ストッパ20と位置決め部4aとが衝突してせっかく方向を規制した容器4の方向がずれてしまう場合があるからである。
【0015】
供給スターホイール6によって回転搬送される容器4の外側を案内するメインガイド12は、搬送コンベヤ2から容器4を受け取る入口部から、ラベラ8に容器4を引き渡す出口部までに亘って円弧状ガイド面12aが形成されている。この円弧状ガイド面12aに沿って、2本の摩擦ベルト(第1摩擦ベルト36および第2摩擦ベルト38)が設けられている。
【0016】
この摩擦ベルト36、38について図1および図4により説明する。なお、図4では第1摩擦ベルト36だけを図示している。上下の取り付けプレート40、42間に、それぞれ2本の垂直な軸36a、36b、38a、38bが固定され、これら垂直軸36a、36b、38a、38bの周囲にプーリー(上流側プーリー36c、38cおよび下流側プーリー36d、38d)が回転自在に支持されている。下流側のプーリー36d、38dはフリーな状態で回転自在になっており、一方、上流側のプーリー36c、38cにはクラッチ36e(図4参照、なお、第2摩擦ベルト38のクラッチは図示を省略)が設けられており、通常は回転を規制され、所定以上の負荷がかかるとこのクラッチ36eが切れて、上流側プーリー36c、38cが回転するようになっている。なお、このクラッチ36eの負荷の調整は、ナット36fの締め付け量を調整することにより行う。
【0017】
各摩擦ベルト36、38の2個のプーリー36c、36dおよび38c、38dの中間にそれぞれテンションプーリー36g、38gが設けられている。このテンションプーリー36g、38gは、上方の取り付けプレート40の下面側に支持されて供給スターホイール6から遠ざかる方向に付勢されたアーム36h、38hの先端に固定された垂直軸36j、38jの外周に回転自在に支持されており、各摩擦ベルト36、38の容器4に接触しない外側の部分を外方へ押し出してテンションをかけている。
【0018】
第1および第2の摩擦ベルト36、38は、供給スターホイール6のポケット14に保持されている容器4に当接する部分の長さが、各ポケット14間のピッチよりも短くなっており、一つの摩擦ベルト36、38に同時に2個の容器4が接触しないようになっている。
【0019】
前記ストッパ20のポケット14内への出没のタイミングについて説明すると、ストッパ20が半径方向内方側へ後退して、供給スターホイール6のポケット14内に突出していない状態のときに、搬送コンベヤ2によって搬送されてきた容器4が供給スターホイール6のポケット14に収容される。その後、カムフォロア30が円形カム34の大径部34aから小径部34bに移ることにより、ストッパ20が半径方向外方側へ揺動してポケット14内に突出し、その先端20aが容器4の位置決め部4aに係合可能な状態になる。この状態になった後、容器4が第1の摩擦ベルト36に当接を開始する。そして、容器4が第1摩擦ベルト36から第2摩擦ベルト38に移り、その後、容器4の第2摩擦ベルト38への当接が解除された後、ストッパ20が容器4に係合可能な位置から後退して係合しない位置に移動し、その後、容器4がポケット14から排出される。
【0020】
以上の構成に係る容器の方向規制装置の作動について説明する。搬送コンベヤ2によって搬送されてきた容器4は、供給スターホイール6の各ポケット14内に収容されるとともに、半径方向外方側をメインガイド12の円弧状ガイド面12aに支持されて搬送される。容器4がポケット14に収容される時点では、このポケット14のストッパ20を揺動させるカムフォロア30が円形カム34の大径部34a上を移動しており、ストッパ20は半径方向内方側へ後退してポケット14内に収容された容器4に係合しないようになっている。
【0021】
供給スターホイール6の回転に伴って、カムフォロア30が円形カム34上を移動して大径部34aから小径部34bに移ると、ストッパ20が半径方向外方側へ振られてポケット14内に突出し、容器4の位置決め部4aに係合可能な状態になる。続いて、容器4は第1の摩擦ベルト36に接触を開始する。容器4の位置決め部4aがストッパ20に係合していない状態では、容器4が二つのローラ16、18に支持されて自由に回転できる状態になっており、一方、第1摩擦ベルト36は、上流側のプーリー36cに設けられたクラッチ36eによりロックされているので、第1摩擦ベルト36は停止した状態であるとともに、この摩擦ベルト36に当接した容器4が回転(自転)する。
【0022】
容器4が最大限1回転する間に、その位置決め部4aがポケット14内に突出しているストッパ20に係合する。位置決め部4aがストッパ20に係合すると容器4のそれ以上の回転が規制され、ストッパ20の位置に対する容器4の方向が一定の方向に規制される。
【0023】
容器4の位置決め部4aがストッパ20に係合して回転が停止すると、クラッチ36eによって停止している摩擦ベルト36との摩擦が大きくなり、所定以上の負荷が作用するとクラッチ36eが切れて上流側プーリー36cが回転し、摩擦ベルト36が回転する。このように容器4の位置が規制された後は、クラッチ36eが切れて摩擦ベルト36が回転するので、容器4の位置決め部4aとストッパ20との間に大きな負荷がかかるおそれがない。
【0024】
第1摩擦ベルト36によって回転されることにより方向規制が行われた容器4は、この第1摩擦ベルト36から外れて次の第2摩擦ベルト38に当接を開始すると、第2摩擦ベルト38の上流側プーリー38cに設けられているクラッチ(図示せず)も直ちに切れて、第2摩擦ベルト38が走行を開始し、容器4の位置決め部4aとストッパ20との間に大きな負荷をかけることがない。また、第1摩擦ベルト36で方向規制が完了しなかった容器4は、クラッチが接になっている第2摩擦ベルト38との摩擦力によって回転を継続し、その位置決め部4aがストッパ20に係合して停止して回転を停止する。すると、この第2摩擦ベルト38との摩擦が大きくなり、第2摩擦ベルト38のクラッチが切れて第2摩擦ベルト38が走行する。
【0025】
このようにクラッチ36eを介して摩擦ベルト36、38を配置したので、摩擦ベルト36、38に充分な摩擦力を持たせることが可能になり、容器4の位置決め部4aにストッパ20が係合していない間は、充分な摩擦力により容器4をスムーズに回転させ、また、容器4の位置決め部4aにストッパ20が係合した後は、クラッチ36eを切って摩擦ベルト36を回転させて摩擦力を小さくすることにより、供給スターホイール6側に過負荷が作用することを防止できる。なお、この実施例に係る容器の方向規制装置は、2本の摩擦ベルト36、38を有し、各ベルト36、38には常に1個の容器4だけが当接するようになっているので、従来の装置(特許文献1に記載された発明)のように複数の容器が同時に一本のベルトに当接する場合のような不都合、つまり1個の容器がすでに方向規制が完了し、他方の容器はまだ回転を必要とする場合に発生する不具合等が起こるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】容器の方向規制装置を備えたラベラの全体の構成を示す平面図である。(実施例1)
【図2】供給スターホイールの平面図である。
【図3】(a)図は供給スターホイールの縦断面図、(b)図は容器にストッパが係合した状態を示す図である。
【図4】摩擦ベルトの縦断面図である。
【符号の説明】
【0027】
4 容器
4a 容器の位置決め部
6 スターホイール(供給スターホイール)
14 容器収容部(ポケット)
20 ストッパ
36 無端状ベルト(摩擦ベルト)
38 無端状ベルト(摩擦ベルト)
36e クラッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器収容部を有するスターホイールと、前記各容器収容部に設けられ、容器に形成された位置決め部に係合するストッパと、前記容器収容部に収容された容器の搬送経路に沿って設けられた無端状のベルトとを備え、
前記スターホイールの容器収容部に収容されて搬送される容器を前記無端状ベルトに当接させることにより自転させ、前記ストッパを位置決め部に係合させて容器の方向を規制する容器の方向規制装置において、
前記無端状ベルトを、クラッチ機構を介して配置することにより、前記ストッパが位置決め部に係合するまでは、ベルトを回転させずにこのベルトとの摩擦力により容器を自転させ、前記ストッパが容器の位置決め部に係合した際には、クラッチが切れてベルトが回転するようにしたことを特徴とする容器の方向規制装置。
【請求項2】
前記無端状ベルトを複数配置し、一つのベルトの容器への当接区間を、同時に複数の容器が当接しない長さとしたことを特徴とする請求項1に記載の容器の方向規制装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−261785(P2007−261785A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−91264(P2006−91264)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(393028357)シブヤマシナリー株式会社 (77)
【Fターム(参考)】