説明

容器溝へのガラス板の挿入方法および装置

【課題】矩形状でフラットなガラス板をエッジ部だけの支持でガラス板面を非接触として箱状容器内の左右両溝内に1枚づつ離隔して縦姿勢で挿入する方法及び装置を提供する。
【解決手段】前工程の移載装置により受け渡された矩形状のガラス板Gの左右両縦辺エッジ部の左右両辺を挟持手段40によりガラス板Gを昇降自在に挟持し、該ガラス板Gの下端辺を進退自在な爪状支持部材51によってガラス板面と非接触で支持した状態で、ガラス昇降手段によってガラス板Gのみを昇降自在とし、左右の溝部5の位置ずれを検出してガラス板Gの位置のずれを補正し、左右側端辺と下端辺の各エッジ部だけの支持でガラス板Gを箱状容器3の左右両溝内に1枚づつ離隔して挿入し、溝状部内にガラス板Gを1枚挿入する毎に、箱状容器3を次の溝部位置まで1ピッチ分移動させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矩形状でフラットなガラス板をエッジ部だけの支持でガラス板面を非接触として箱状容器内の左右両溝内に1枚づつ離隔して縦姿勢で挿入する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、矩形でフラットな形状の薄板ガラスの保管や輸送においては、複数枚のガラス板を縦姿勢にしてガラス板用の合紙や緩衝材を挟み、パレット、木箱等に積載していた。
【0003】
しかしながら、ディスプレーパネル等に用いる一部のガラス基板等については、その表面に吸着跡や搬送ローラーの跡、汚れ、ホコリの付着等のない状態で梱包せざるを得ないものがあり、このようなガラス板の出荷に対しては、ガラス板を梱包容器内の左右の側壁および下辺両端部に設けた溝部内にガラス基板の左右両縦辺および下辺の両端部を挿入して倒れないように支持して、ガラス板同士が互いに接触することのない状態にして輸送や保管をしていた。
【0004】
このような箱状容器の溝部へのガラス板の積込み作業は、人手による手作業によって行われていたが、大きなガラスサイズについては、人手では対応困難な状況である。
【0005】
溝部を有した箱状容器内にガラス板を自動的に挿入するには、吸着跡の殆どない吸着パッドを使用する、あるいは、ガラス板の周辺部を把持、またはガラス板の対向辺のエッジ部を挟持してエッジ部だけでガラス板を支持して、ガラス面を移載する方法が必要になってきた。
【0006】
尚、ガラス面の片面だけクリーンな状態を要求し、もう一方の面について吸着が可能な場合には、この吸着可能な面を吸着パッドで吸着してハンドリングを行うことが可能である。
【0007】
ガラス基板をエッジで挟んで自動的に移載する装置として、例えば、特開平7−153816号公報には、半導体や液晶パネルのホトマスク等の原形基板を第1のカセットから第2のカセットへ移載する方法及び装置に関し、基板の端面を挟持し縦方向の状態で自動的に移載する旨の記載がある(特許文献1)。
【0008】
また、例えば、特開平9−40111号公報には、ガラス基板に液晶表示を形成するための領域外の周辺部に互いに対向する一対の係合部(切欠部)が形成されている液晶表示装置用ガラス基板を収納した実カセットから該ガラス基板を空カセットに移載する移載方法であって、前記実カセットと空カセットの載置部の間において、実カセットから前記ガラス基板を押し上げた後、当該押し上げられたガラス基板の係合部を把持し、ついで空カセット内へガラス基板を収納する液晶表示装置用ガラス基板の移載方法が開示されている(特許文献2)。
【0009】
さらにまた、例えば、特開2000−351448号公報には、収納ケース30に収納された複数のプラズマディスプレイパネル用のガラス基板が、収納ケースに収納された状態でハンドリングロボットにより吸着して、斜め積みパレット上に合紙と共に積載する方法および装置が開示されている(特許文献3)。
【特許文献1】特開平7−153816号公報
【特許文献2】特開平9−40111号公報
【特許文献3】特開2000−351448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記特許文献1に記載のものは、ガラス基板の対向する縦辺エッジの上端部同士をクランプして吊下げるもので、ガラス板をカセット内で仕切る為の玉が上下に設けられているので、ガラス板のクランプ位置は上端部に限定され、ガラス板のサイズが大サイズの場合は落下等の危険性が大となり対応不可能であり、小サイズのガラス基板の移載に限定される。
【0011】
また、前記特許文献2に記載のものは、ガラス基板の対向辺に係合部S3として切欠部を設け、該切欠部を把持手段の爪でクランプしてガラス基板を吊下げるもので、ガラス板のサイズが大サイズの場合は切欠部から破損しガラス板が落下する危険性が大であり、小サイズのガラス基板の移載に限定される。
【0012】
さらにまた、前記特許文献3に記載のものは、ガラス基板を吸着パッドで吸着して移載するものであり、ガラス基板に吸着パッド跡が懸念される顧客の仕様においては不都合がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記問題点の解決を図る、すなわちディスプレイ表示用に使用するガラス基板の小サイズから1辺の長さが2メートルを越すような大サイズまでのガラス板を落下や破損の恐れもなく確実に移載でき、ガラス板の表面に吸着パッド跡等の汚れもなく、梱包容器内の左右の側壁および下辺両端部に設けた溝部内にガラス基板を1枚づつ自動的に離隔させて倒れないように挿入して支持できる方法および装置を提供する。
【0014】
すなわち、本発明は、前工程の移載装置により受け渡された矩形状のガラス板の左右両縦辺エッジ部の左右両辺を挟持手段によりガラス板を昇降自在に挟持し、該ガラス板の下端辺を進退自在な爪状支持部材によって支持した状態で、ガラス昇降手段によってガラス板のみを昇降自在とし、前記ガラス板を挟持するガラス昇降手段、挟持手段全体を主昇降手段および走行手段により、昇降自在かつ受取位置から箱状容器間を走行自在として、ガラス板面と非接触で、左右側端辺と下端辺の各エッジ部だけの支持でガラス板を箱状容器の左右両溝内に1枚づつ離隔して挿入するようにしたことを特徴とする容器溝内へのガラス板の挿入方法である。
【0015】
また、本発明は、前記箱状容器内の溝状部内にガラス板を1枚挿入する毎に、箱状容器を次の溝部位置まで1ピッチ分移動させるようにしたことを特徴とする上述の容器溝内へのガラス板の挿入方法である。
【0016】
あるいはまた、本発明は、前記箱状容器中のガラス板の左右の側端部を挿入する左右一対の溝部位置をCCDカメラで撮像し、左右の溝部の位置を検出する位置検出手段によって検出した溝部の位置とガラス板の位置のずれを、箱状容器を載置する搬送テーブルの回転、かつ/または前進後退により箱状容器の位置を補正し、かつ/または前記走行手段によりガラス板を走行移動させて位置補正を行うようにしたことを特徴とする上述の容器溝内へのガラス板の挿入方法である。
【0017】
あるいはまた、本発明は、前工程の移載装置により受け渡された矩形状のガラス板を、箱状容器の溝内に1枚づつ離隔して挿入する装置において、矩形状のガラス板の左右両縦辺部を挟持する複数のV溝形のフリー回転する挟持ローラと、該挟持ローラを上下に所定間隔で配設した挟持フレームを左右一対設け、該挟持フレームを横フレーム上で移動自在とする挟持手段と、前記横フレームの中央部にガラス昇降部材を昇降自在に設け、該ガラス昇降部材の下端辺に設けた爪状支持部材によって前記ガラス板の下端辺を支持しながらガラス板のみを昇降自在とするガラス板昇降手段と、前記爪状部材を前進後退させる爪状部材進退手段と、ガラス板の挟持手段を昇降自在とする主昇降手段と、該主昇降手段をガラス板受取ステーションと容器挿入ステーションに跨設した走行フレーム上で走行移動自在とする走行手段とからなり、ガラス板面を非接触で、左右側端辺と下端辺の各エッジ部だけの支持でガラス板を箱状容器の溝内に1枚づつ離隔して自動的に挿入するようにしたことを特徴とする容器溝内へのガラス板の挿入装置である。
【0018】
あるいはまた、本発明は、前記箱状容器内の溝状部内にガラス板を1枚挿入する毎に、箱状容器を次の溝部挿入位置まで1ピッチ分移動させる容器搬送手段を設けたことを特徴とする上述の容器溝内へのガラス板の挿入装置である。
【0019】
あるいはまた、本発明は、前記箱状容器中の溝部の位置を撮像するCCDカメラと、該撮像した溝位置の座標を計算する画像処理装置とからなる溝部の位置検出手段と、検出した溝部5の位置の座標とガラス板1の端部の座標を一致させるように箱状容器3をX軸方向に移動させる前記容器走行手段、Y軸方向へ移動させる走行手段10によって位置を補正し、箱状容器を載置する搬送テーブルの回転により角度ずれを調整する位置調整手段を設けたことを特徴とする上述の容器溝内へのガラス板の挿入装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、ディスプレイ表示用に使用するガラス基板の小サイズのものから、1辺の長さが2メートルを越すような大サイズまでのガラス板であっても、ガラス板面に対して非接触で把持し、移載中の落下や破損の恐れもなく確実にガラス板を箱状容器内に自動的に移載できる。
【0021】
また、ガラス板の表面に吸着パッド跡等の汚れも与えず、箱状容器内の左右の側壁および下辺両端部に設けた溝部内にガラス基板を1枚づつ自動的に離隔させて倒れないように挿入して支持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、図示しない前工程の移載装置により受け渡された矩形状のガラス板を、箱状容器の左右の側壁に一定ピッチで設けられた溝内に1枚づつ離隔して挿入するガラス板の挿入装置1であり、その構成を下記に示す。
【0023】
図1、図5に示すように、矩形状のガラス板Gの左右両縦辺部を挟持する複数のV溝形のフリー回転する挟持ローラ42と、該挟持ローラ42を上下に所定間隔で配設した挟持フレーム41を左右一対設け、該一対の挟持フレーム41、41を横フレーム44上で移動自在とする挟持手段40と、前記横フレーム44の中央部にガラス昇降部材31を昇降自在に設け、該ガラス昇降部材31の下端辺に設けた爪状支持部材51によって前記ガラス板Gの下端辺を支持しながらガラス板Gのみを昇降自在とするガラス板昇降手段30と、前記爪状支持部材51を前進後退させる爪状部材進退手段50と、ガラス板Gの挟持手段40を昇降自在とする主昇降手段20と、図8〜図12に示すような該主昇降手段20をガラス板受入ステーションと容器挿入ステーション間に跨設した走行フレーム11上で走行移動自在とする走行手段10とから構成される。
【0024】
また、本発明は、前記構成に加えて、前記箱状容器3内の溝部5(図3参照)内にガラス板1を1枚挿入する毎に、図5に示すように箱状容器3を次のガラス板挿入のための溝部5の位置まで1ピッチ分移動させるようにした容器搬送手段70を有した構成とすると、連続的に容器3内の溝部5に次々とガラス板1を挿入できるので好ましい。
【0025】
さらにまた、本発明の構成として、前記構成に加えて、図1、図2に示すように、前記箱状容器3の溝部5の位置を撮像するCCDカメラ61と、該撮像した溝部5の位置の座標を図示しない画像処理装置によって演算する溝部5の位置検出手段60と、検出した溝部5の位置の座標とガラス板1の端部の座標を一致させるように箱状容器3をX軸方向に移動させる前記容器搬送手段70、ガラス板GをY軸方向へ移動させる走行手段10によって位置を補正し、箱状容器3を載置する搬送テーブルの回転により角度を補正を調整する位置調整手段(図示せず)を設けた構成とすると、僅かに溝部5の位置、角度がずれていたとしても補正可能であるのでより望ましい。
【0026】
前記挟持ローラ42は、断面がV溝状部を有した鼓(つづみ)形状であり、フリー回転自在で、該挟持ローラ42の各V溝部面内でガラス板Gの左右両縦辺のエッジ部を挟むように当接させてガラス板Gを挟持する。また、該挟持ローラ42を上下方向に所定間隔で直線状に一列に複数個配設して挟持フレーム41を形成した。
【0027】
さらにまた、前記挟持手段40としては、ガラス板の左右に前記挟持フレーム41を一対設け、横フレーム44上に設けたボールネジを挟持用モーターによって回転させ、一対のガイド43、43をスライド移動自在として、夫々のガイド43に前記挟持フレーム41を垂直方向となるように配設し、ガラス板Gの左右両縦辺を一対の挟持フレーム41の挟持ローラ42で挟持した。
【0028】
尚、前記挟持手段40の一対の挟持フレーム41、41の片方の挟持フレーム41に設けた挟持ローラ42、42、・・については、挟持するガラス板1に過度な押圧力を与えないようにスプリングを介して伸縮自在に設けた。
【0029】
また、前記ガラス昇降手段30は、図1、図2に示すような前記横フレーム44の中央部に、図6、図7に示すようなガラス昇降部材31を昇降自在となるように設け、該ガラス昇降部材31の下端部には断面が略L字状の爪状支持部材51を少なくとも左右に一対設けて、該爪状支持部材51によって支持する前記ガラス板Gを昇降自在とした。
【0030】
また、前記ガラス昇降部材31の昇降機構については、横フレーム44の中央部にボールネジ34を設け、ガラス昇降モーター33によってボールネジ34を回転させることによって、一対のガイド32、32を直進運動に変換し、該ガイド32上に取り付けたガラス昇降部材31を昇降自在とするものである。
【0031】
前記爪状部材進退手段50(図13参照)は、図1、図2、図5〜図7に示すような、前記一対の爪状支持部材51、51によって支持しているガラス板1を箱状容器3内の所定の位置に載置した後、さらに若干爪状支持部材51、51を下降させ、ガラス板1と爪状支持部材51、51とが離れた時点で爪状支持部材51、51を後退させるが、その後退ストロークは爪状支持部材51、51を上昇させても積載したガラス板1と当接しない距離までとすることが必要である。
【0032】
前記主昇降手段20は、図1、図2、および図5〜図7に示すように、ガラス板Gの左右側辺を挟持する挟持手段40、およびガラス板の下端辺を爪状支持部材で支持するガラス昇降手段30を配設した主昇降部材22を昇降自在とするものであり、主フレーム21の中央部にボールネジ25を垂直方向に設け、主昇降モーター24によってボールネジ25を回転させることによって、ガイド23を直進運動に変換し、該ガイド23上に取り付けた主昇降部材22を昇降自在とするものである。
【0033】
前記走行手段10は、図5〜図7に示すように、主フレーム21上に配設した主昇降手段20を、ガラス板受入ステーションと箱状容器の載置ステーション間に跨設した走行フレーム11上で走行移動自在とするものであり、走行フレーム11上に設けた走行レール12上を走行する走行ガイド13に主フレーム21を走行自在に設けたものである。
【0034】
前記容器搬送手段70は、図5〜図7に示すように、前記箱状容器3内の溝部5内にガラス板1を1枚挿入する毎に、箱状容器3を次のガラス板挿入のための溝部5の位置まで1ピッチ分づつ搬送移動させるようにしたもので、予め1ピッチ分の間隔をコントローラに設定入力しておけばよい。
【0035】
尚、箱状容器3の新たな搬入時、および積み込み満了時の箱状容器3の搬出には、箱状容器3を搬出入させるための搬送装置として使用する。
【0036】
前記位置検出手段60は、図1、図4に示すように、箱状容器3の溝部5の位置座標を検出するために設けるものであり、箱状容器3内の左右のL字状側壁部4、4のそれぞれに設けた溝部5の所定位置を検出する為に、前記挟持手段40の一対の挟持フレーム41、41のそれぞれの下端部近傍に照明62とCCDカメラ61を設けた。
【0037】
CCDカメラ61によって撮像後二値化した左右の溝部5、5の画像より得られた所定位置のX、Y座標とガラス板の左右エッジの位置座標により、XY方向の位置ズレと、角度ズレを算出する。
【0038】
前記位置調整手段は、図4に示すように、検出した箱状容器3の左右の溝部5、5の位置座標を、ガラス板1の端部の座標に一致するように、箱状容器3の角度を調整し、角度がθだけずれている場合には、箱状容器3を載置する図示しない搬送テーブルの回転により箱状容器3を回転させて検出した溝部間の中心線6の位置を6’となるように角度の調整を行い、また、容器搬送手段を前進後退させることによって箱状容器3をガラス板方向のX軸方向への調整を行うとともに、走行手段10を走行又は後退させてガラス板GをG’で表した位置までY軸方向への調整を行う。
【0039】
ガラス板を1枚挿入する毎に、箱状容器3を次のガラス板挿入のための溝部5の位置まで1ピッチ分づつ搬送移動させるようにしたが、箱状容器3の位置を固定させたまま、主フレーム21を箱状容器3上でX軸方向に1ピッチ分づつ搬送移動するようにしても良い。
【0040】
また、箱状容器3を図示しないXYθテーブルの上に載置し、ズレ量等の補正をすべてXYθテーブルが行うようにしても良い。
【0041】
あるいは、箱状容器3の位置を固定させたまま、位置検出手段60のCCDカメラ61で次に移載する溝部5の位置を検出し、主フレーム21を箱状容器3上でX軸、θ軸回転方向に搬送移動するようにしても良い。
【0042】
図1、図4、及び図5〜図7に示すように、前記箱状容器3の一対のL字状側壁部4、4にはそれぞれ複数の溝部5、5、・・を有し、該複数の溝部5、5、・・のうち、箱状容器3の搬送方向の下流側の溝部5から順次ガラス板Gを挿入していくが、ガラス板Gを挿入しようとする溝部5、5の真上にCCDカメラ61を取付困難な場合があり、対象となる溝部5の例えば隣の溝部5を撮像せざるを得ない場合がある。この場合には、箱状容器に1枚目のガラス板を積み込む時に、ガラス板Gのエッジの座標とCCDカメラが撮像する溝部の所定位置との差を実測して、次回以降実測値分だけずれた位置にガラスがあるものとして撮像した位置座標にこのずれた差の座標分を加減算すればよい。
【0043】
続いて、本発明の作用について記載する。
【0044】
前記ガラス板1の左右側辺エッジ部を挟持する挟持ローラ42、42、・・は、V溝状部を有した鼓(つづみ)形状であり、フリー回転し、さらに片方の挟持フレーム41に設けた挟持ローラ42、42、・・については、図示しないスプリングを介して伸縮自在に設けたので、挟持するガラス板1に過度な押圧力を与えず、また、ガラス板の下端辺を支持する爪状支持部材51、51を昇降することにより、ガラス板1は該左右の挟持ローラ42、42、・・間を自在に昇降できる。
【0045】
昇降手段として、主昇降手段20とガラス昇降手段3の二段式としたのは、ガラス受け入れステーションから箱状容器間にガラス板1を移動させるにあたり、挟持手段40の最下端を小サイズから大サイズまでのガラス板のサイズに合わせて作られた箱状容器3の高さより高い位置まで上昇させる必要があるためであり、溝検出用カメラの高さを溝部に合わせる必要があるためである。(図8の左側の容器挿入ステーションに挿入装置が位置している状態、及び図11参照)
挟持フレーム41の昇降時の下限位置をガラス板の高さよりやや高い位置とし、ガラス板を箱状容器の溝部内に挿入時は、挟持手段で挟持されたガラス板だけを爪状支持部材で支持しながらガラス昇降手段30で下降させるようにしたので、挟持フレームとL字状側壁部は干渉することない。
【0046】
また、ガラス板の下辺と両側辺の計3辺を挟持ローラと爪状支持部材によってエッジで支持しながら、箱状容器の溝部内に挿入するので、ガラス面に汚れや吸着パッド跡を与えることなくクリーンな状態で非接触にてガラス板を容器内の溝部に挿入できる。
【0047】
前記位置調整手段は、箱状容器3内の左右のL字状側壁部4に設けた溝部5のピッチの製作誤差や、箱状容器3の位置決め時の誤差等によりX軸、Y軸、θ軸方向に位置補正が必要となる。
【0048】
次に、本発明の実施例について、動作状況を説明する。
【0049】
まず、ガラス板の受け入れステーションにおいて、図示しない前工程の移載装置によって、1枚の矩形状のガラス板Gを本発明の挿入装置1のガラス昇降手段30の下端に設けた一対の爪状支持部材51、51上に載置するにあたり、一対の挟持フレーム41、41間にガラス板を載置できるように一対の挟持フレーム41、41をガラス板の幅より余裕を持った広い位置で待機させておく(図8の右図のガラス受け入れステーションに挿入装置が位置している状態、および図9参照)。
【0050】
前記図示しない移載装置によって、一対の爪状支持部材51、51上にガラス板Gが載置されると、図8の右図、及び図9に示されるように、挟持手段40の各挟持用モーターの駆動によって各ボールネジが回転し、ボールネジと軸着するガイド43、43に設けた一対の挟持フレーム41、41の挟持ローラ42、42、・・によってガラス板Gが挟持されると、前記図示しない移載装置は該ガラス板の支持を解放して退避する。
【0051】
該ガラス板Gを挟持する挟持手段40、及びガラス板の下端を爪状支持部材51で支持して昇降させるガラス昇降手段30は、主昇降手段20の主昇降モーター24の駆動によって上昇後、走行手段10の走行モーターの駆動によって走行フレームに沿ってガラス受け入れステーションより容器挿入ステーションに走行移動する(図10参照)。
【0052】
図2に示すように、容器挿入ステーション上において、主昇降手段20の主昇降モーター24の駆動によってガラス昇降手段30と挟持手段40を下降させ、図11に示したように、箱状容器のL字状側壁部の上端近傍位置で停止させ、一対の挟持フレーム41、41のそれぞれの下端部に位置検出手段60のCCDカメラ61と照明62を設け、ガラス板Gを挿入する溝部5に照明光を照射してCCDカメラ61によって撮像し、ガラス板Gとの位置ずれを検出する。
【0053】
図3に示すように、箱状容器3の一対の略L字状側壁部4、4にはそれぞれ複数の溝部5、5、・・を有し、該複数の溝部5、5、・・の一端側から順次ガラス板Gを挿入していくが、ガラス板Gのエッジの両端の座標と、一対のCCDカメラ61が撮像した溝部5、5の座標とを比較する。
【0054】
図4に示すように、まず、位置検出手段によって検出位置6に対し、角度補正がθだけ必要な場合は、図示しない搬送テーブル上の箱状容器を角度θだけ回転させ、符号6’の位置に補正し、角度調整した後の溝部5、5の座標とガラス板Gのエッジの両端の座標のずれ分だけ、箱状容器3をその搬送方向、すなわちX軸方向に、そして挿入装置1の主昇降手段20を走行フレーム11に沿った方向すなわちY軸方向に移動させると、ガラス板Gの両端エッジ部の位置座標とCCDカメラが撮像した溝部5、5の座標とが一致し、ガラス板Gを該溝部5、5内に挿入可能となる。
【0055】
図8の左図、及び図12に示すように、ガラス昇降手段30によりガラス昇降モーターの駆動させると、ガラス昇降部材は下降し、ガラス昇降部材30の下端に設けた一対の爪状支持部材51、51によって支持されたガラス板Gは下降するが、挟持手段40の左右に設けた一対の挟持フレーム41、41は下降することなく停止状態にあり、一対の挟持フレーム41、41に回転自在に取り付けられた挟持ローラ42、42、・・によって挟持されたガラス板は挟持ローラのフリー回転によって挟持フレーム41、41間を下降する。
【0056】
下降するガラス板Gの下端が、箱状容器3の一対のL字状側壁部4、4の溝部5、5の下端上に載置された段階で、ガラス昇降部材31をさらに下降させて、一対の爪状支持部材51、51がガラス板Gの下端から離れた時点で、図13に示したように、爪状部材進退手段50によって一対の爪状支持部材51、51をガラス板G面より後方に後退させるとともに、箱状容器3は容器搬送手段70によって溝部5の1ピッチ分前進させる。
【0057】
次に、ガラス昇降部材30を上昇端まで上昇させ、一対の挟持フレーム41、41を開状態とし、主昇降部材22を上昇させ、主昇降部材22の下端または、爪状支持部材51、51、爪状部材進退手段50のそれぞれの最下端が、箱状容器3の最上端部より高い位置となった時点で、主昇降部材22を停止させ、これ以上上昇させる必要はなく、主フレーム21を容器挿入ステーションからガラス受け入れステーションに走行移動させる。
【0058】
ガラス受け入れステーションでは、次のガラス板Gを受け入れるために、ガラス昇降部材31は上昇端位置で一対の挟持フレーム41、41の位置は、受け入れるガラス板の幅より充分幅広の位置とした。また爪状部材進退手段50によって一対の爪状支持部材51、51を前進端まで前進させて次のガラス板Gを受け入れるために待機する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明によるりガラス板の箱状容器内への挿入方法を説明する正面図。
【図2】本発明によるりガラス板の箱状容器内への挿入方法を説明する側面図。
【図3】箱状容器内のL字状側壁部材と溝部の平面模式図。
【図4】容器位置の調整を説明する平面図。
【図5】箱状容器内へのガラス挿入前の側面模式図。
【図6】箱状容器内へのガラス挿入途中の側面模式図。
【図7】箱状容器内へのガラス挿入がほぼ完了時点の側面模式図。
【図8】受け入れステーションと、容器挿入ステーションを示す箱状容器の溝部へのガラス板を挿入する本発明の装置の全体正面図。
【図9】受け入れステーションでガラス板を保持した状態の本発明の装置の正面図。
【図10】受け入れステーションと容器挿入ステーション間を走行時の本発明の装置の側面図。
【図11】容器挿入ステーションでガラス板を容器の溝部に挿入する前の状態の本発明の装置の正面図。
【図12】箱状容器の溝部内へのガラス板を挿入状態を説明する本発明の装置の側面図。
【図13】本発明の装入装置の平面図
【符号の説明】
【0060】
G ガラス板
1 挿入装置
3 箱状容器
4 L字状側壁部
5 溝部
6 検出した溝部位置中心線
10 走行手段
11 走行フレーム
12 走行レール
13 走行ガイド
14 走行モーター
20 主昇降手段
21 主フレーム
22 主昇降部材
23 ガイド
24 主昇降モーター
25 ボールネジ
30 ガラス昇降手段
31 ガラス昇降部材
32 ガイド
33 ガラス昇降モーター
34 ボールネジ
40 挟持手段
41 挟持フレーム
42 挟持ローラ
43 ガイド
44 横フレーム
50 爪状部材進退手段
51 爪状支持部材
52 進退モーター
60 位置検出手段
61 CCDカメラ
62 照明
70 容器搬送手段
80 位置調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前工程の移載装置により受け渡された矩形状のガラス板の左右両縦辺エッジ部の左右両辺を挟持手段によりガラス板を昇降自在に挟持し、該ガラス板の下端辺を進退自在な爪状支持部材によって支持した状態で、ガラス昇降手段によってガラス板のみを昇降自在とし、前記ガラス板を挟持するガラス昇降手段、挟持手段全体を主昇降手段および走行手段により、昇降自在かつ受取位置から箱状容器間を走行自在として、ガラス板面と非接触で、左右側端辺と下端辺の各エッジ部の支持でガラス板を箱状容器の左右両溝内に1枚づつ離隔して挿入するようにしたことを特徴とする容器溝内へのガラス板の挿入方法。
【請求項2】
前記箱状容器内の溝状部内にガラス板を1枚挿入する毎に、箱状容器を次の溝部位置まで1ピッチ分移動させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の容器溝内へのガラス板の挿入方法。
【請求項3】
前記箱状容器中のガラス板の左右の側端部を挿入する左右一対の溝部位置をCCDカメラで撮像し、左右の溝部の位置を検出する位置検出手段によって検出した溝部の位置とガラス板の位置のずれを、箱状容器を載置する搬送テーブルの回転、かつ/または前進後退により箱状容器の位置を補正し、かつ/または前記走行手段によりガラス板を走行移動させて位置補正を行うようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の容器溝内へのガラス板の挿入方法。
【請求項4】
前工程の移載装置により受け渡された矩形状のガラス板を、箱状容器の溝内に1枚づつ離隔して挿入する装置において、矩形状のガラス板の左右両縦辺部を挟持する複数のV溝形のフリー回転する挟持ローラと、該挟持ローラを上下に所定間隔で配設した挟持フレームを左右一対設け、該挟持フレームを横フレーム上で移動自在とする挟持手段と、前記横フレームの中央部にガラス昇降部材を昇降自在に設け、該ガラス昇降部材の下端辺に設けた爪状支持部材によって前記ガラス板の下端辺を支持しながらガラス板のみを昇降自在とするガラス板昇降手段と、前記爪状部材を前進後退させる爪状部材進退手段と、ガラス板の挟持手段を昇降自在とする主昇降手段と、該主昇降手段をガラス板受取ステーションと容器挿入ステーションに跨設した走行フレーム上で走行移動自在とする走行手段とからなり、ガラス板面を非接触で、左右側端辺と下端辺の各エッジ部の支持でガラス板を箱状容器の溝内に1枚づつ離隔して自動的に挿入するようにしたことを特徴とする容器溝内へのガラス板の装入装置。
【請求項5】
前記箱状容器内の溝状部内にガラス板を1枚挿入する毎に、箱状容器を次の溝部挿入位置まで1ピッチ分移動させるようにした容器搬送手段を設けたことを特徴とする請求項4記載の容器溝内へのガラス板の挿入装置。
【請求項6】
前記箱状容器中の溝部の位置を撮像するCCDカメラと、該撮像した溝位置の座標を計算する画像処理装置とからなる溝部の位置検出手段と、検出した溝部5の位置の座標とガラス板1の端部の座標を一致させるように箱状容器3をX軸方向に移動させる前記容器走行手段、Y軸方向へ移動させる走行手段10によって位置を補正し、箱状容器を載置する搬送テーブルの回転により角度ずれを調整する位置調整手段を設けたことを特徴とする請求項4または5記載の容器溝内へのガラス板の挿入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−273521(P2006−273521A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96360(P2005−96360)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】