説明

容量性負荷駆動回路

ディスプレイの電場発光(EL)セグメントおよび高分子分散液晶(PDLC)セグメントを駆動するための駆動回路。AC出力電圧を発生するためのフライバックコンバータ(11)、前記ELセグメントに選択的に出力電圧を接続するための第1スイッチング回路(12)、および前記PDLCセグメントに選択的に出力電圧を接続するための第2スイッチング回路(13)を含む。所定の周波数で前記ELセグメントおよびPDLCセグメントを駆動するために、ELセグメントに関して出力電圧の極性が交換される周波数より低い周波数でPDLCセグメントに印加される出力電圧の極性が交換される。このようにして、ELとPDLCの両方のセグメントを駆動するために単一の高電圧電源のみが必要とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、必ずしも限定されるものではないが、電場発光(EL)ディスプレイで使用されるような、容量性負荷の駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
消費財に応用される2つの薄型フレキシブルディスプレイ技術が開発されている。すなわち、プリント電場発光(EL)ディスプレイおよび高分子分散液晶(PDLC)ディスプレイである。
【0003】
電界が電場発光物質を横切って生成されると、電場発光物質は発光し、輝く。最初に知られた電場発光物質は硫化亜鉛のような無機微粒子物質であったが、より最近に発見された電場発光物質としては、有機発光ダイオード(OLED)として知られる多数の小分子有機エミッタおよび、発光ポリマー(LEP)として知られるいくつかのプラスチック(合成有機ポリマー物質)が挙げられる。ドープされ封止された形態の無機微粒子は、特にバインダーと混合され、比較的厚い層として基板表面に塗布される場合に、今なお使用されている。LEPは、バインダーマトリックス中の微粒子材料として、また、いくつかの利点があって、それ自体で比較的薄い連続薄膜としての両方で使用することができる。
【0004】
この電場発光効果は、ディスプレイの製造に利用されている。これらのいくつかのタイプでは、広面積の電場発光(EL)物質(一般にこの場合蛍光体と呼ばれる)がバックライトを形成するため提供され、このバックライトはディスプレイが表示するどのような文字も形成するマスクを通して見られる。他のタイプでは、代わりに、EL物質の個別の小区画を多数有するものがある。これらのディスプレイには多くの用途があり、例としては、単純なデジタル日時ディスプレイ(腕時計または置時計で使用される)、携帯電話ディスプレイ、家庭用装置(皿洗い機または洗濯機など)のコントロールパネル、および手に持てるリモートコントローラ(テレビ、ビデオまたはDVDプレーヤー、デジボックス、ステレオまたはオーディオセット、あるいは同様のエンタテインメント装置用)がある。
【0005】
高分子分散液晶(PDLC)は、十分に透過性のある「オン」状態のフィールドと、吸収、反射および/または散乱プロセスによる、光学的透過性のない「オフ」状態の基本フィールドとの間での、無偏光子の高コントラスト電気光学的シャッター動作を、ディスプレイに与える装置を形成するために使用できる。キラルネマチック物質が特に適切であると思われ、今説明するように、キラルネマチック物質は、本発明の実施形態によく適している特別な性質を有する。したがって、液晶技術の比較的最近の進展は、光学シャッター(ある状態では、前記物質は入射光を吸収し、別の状態では入射光を透過する)として作用できる物質(NCAPまたは染色キラルネマチック(Dye Chiral Nematic)液晶という商品名でレイケム(Raychem)により製造されているようなネマチック曲線配向相(Nematic Curvilinear Aligned Phase)液晶など)を作り出した。
【0006】
全ての光源レベルで可視のディスプレイを製造するために同一の製品中で上記2つの技術を一緒に使用することは可能であり、製品はハイブリッド技術に依存すると考えられる。この種のセグメント化されたディスプレイは、装置の動作モードによって異なるキーを表示するためにキーパッドなどを再設定することができる携帯電話のような装置にとって望ましい。そのようなディスプレイは特許文献1に開示されている。
【特許文献1】国際公開WO2005/121878号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このハイブリッド技術の重大な弱点は、異なる性質の2つの容量性負荷であるELディスプレイおよびPDLCディスプレイは、通常異なるAC電圧および周波数で動作するということである。ELは、一般に約100Vのピークおよび400Hzで(バックライト目的では)駆動されるが、より高い容量のPDLCは約42Vのピークおよび60Hzで駆動されるべきである。これまで、2つの別個の高電圧電源およびアレイドライバを上記2つの技術のために使用する必要があると考えられてきた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、使用時に、第1出力ノードにおいて第1容量性負荷用の第1AC信号を、第2出力ノードにおいて第2容量性負荷用の第2AC信号を供給するように構成され、前記第1及び第2AC信号は電圧および周波数が異なる容量性負荷駆動回路が提供され、前記駆動回路は、電流源と、前記電流源および前記第1出力ノードに接続され、前記第1AC信号を発生するための第1スイッチング回路と、前記第2AC信号を発生するための第2スイッチング回路と備え、前記第1及び第2スイッチング回路の各々は、対応する出力ノードが電流源に接続される極性を制御可能にスイッチングするように構成され、使用時に、前記第1及び第2スイッチング回路が異なる周波数で極性をスイッチングするように構成される。
【0009】
そのような構成は、異なる周波数でスイッチングされた容量性負荷は異なるレートで充電され、従って異なる電圧に充電される(これは、第1及び第2負荷の容量の相対値に依存する)ということを利用する。これにより、異なる周波数および異なる電圧信号を発生するために、1つの共通の電流源(すなわち、1つの電流源のみが要求される)の使用が可能になる。
【0010】
好ましくは、電流源は電圧変換器を含む。電圧変換器は、低電圧、典型的にはDCの電流の入力、および高電圧(入力と比較した場合)、典型的にはDCの電流の出力を含み、これらは第1および第2の両方のスイッチング回路に提供される。典型的には、電圧変換器はコンバータスイッチを含み、コンバータスイッチの繰り返しのスイッチングにより前記高圧電流を発生させる。電圧変換器はフライバックコンバータを含んでもよい。従って、2つの容量性負荷はフライバックコンバータなどの単一の電圧変換器から駆動されてもよい。
【0011】
フライバックコンバータは、直列に配列されたインダクタおよびコンバータスイッチを含んでもよい。コンバータスイッチは、使用時に、第1状態と第2状態を順に交代させるように構成されており、これによって、第1状態では、インダクタおよびコンバータスイッチを通して電流通路が提供され、コンバータスイッチが第1状態から第2状態に変化する場合、インダクタは高圧電流電圧を発生するように前記電流通路は第2状態で遮断される。
【0012】
インダクタは前記形態、あるいは単純なインダクタまたはコイル、あるいは変圧器のような他のどのような誘導素子であってもよい。
【0013】
フライバックコンバータはまた、コンバータスイッチが第1状態である間、フライバックコンバータに電流が還流することを防ぐように構成された出力ダイオードを含んでもよい。
【0014】
出力ダイオードは、駆動回路の動作電圧の範囲で電流が実質的に一方向にのみ流れることを可能にするどのような適切な装置でもよい。例えば、ダイオードの実施形態としては、トランジスタ内の接合により提供されてもよい。出力ダイオードの役割は、容量性負荷からインダクタ方向への電流が還流することなく、容量性負荷上にDC電源電圧より高い電圧が蓄えさせるものと考えられてよい。
【0015】
コンバータスイッチはどのような適切なスイッチング装置であってもよく、一般に、トランジスタである。好ましい構成では、コンバータスイッチは電界効果トランジスタ(FET)である。特に好ましい構成では、コンバータスイッチはn−チャネルFETである。しかしながら、バイポーラトランジスタ、スイッチなどのような他のスイッチング手段が使用されてもよいことが考えられる。
【0016】
電圧変換器は、使用時に、「電流源」周波数のAC成分を有する高電圧DC信号を発生するように構成されてもよい。駆動回路は、使用時に、第1スイッチング回路がAC成分の1サイクル毎に極性を1度スイッチングするように構成されてもよく、したがって、第1スイッチング回路は電流源周波数の周波数の半分のところでスイッチングしてもよい。駆動回路は、第1スイッチング回路の半サイクル毎に1度、従ってAC成分の1サイクル毎に1度、第1容量性負荷を放電させるように構成されてもよい。
【0017】
第1スイッチング回路が、使用時に、スイッチングする周波数は、第2スイッチング回路が使用時にスイッチングする周波数の整数倍であってもよい。これは、第2スイッチング回路がスイッチングする場合、第1スイッチング回路は同時、または実質的に同時にスイッチングすることを保証する。両方のスイッチング回路が同時、または実質的に同時にスイッチングする場合、第1及び第2容量性負荷は同時にまたは実質的に同時に放電し得る。
【0018】
抵抗器が、一方または両方のスイッチング回路と、対応する出力ノードとの間に配置されてもよい。そのような抵抗器は、それぞれの出力ノードでの電圧出力、およびそれぞれの出力ノードに接続された負荷が放電する速度の両方を制御するために使用されてもよい。好ましい実施形態であり、上述されるように、電流源からの電流のAC成分の1サイクルを超えるサイクルが容量性負荷の1つに印加された場合(ここでは、低周波数負荷)、低周波数負荷に印加された電圧が、ソース電流と比較して、平滑化されるように、低周波数負荷に印加されるAC信号をフィルタリングすることが有用である。したがって、抵抗器は低周波数負荷のスイッチング回路に接続されてもよい。
【0019】
抵抗器Rおよび低周波数容量性負荷の容量により形成されるRCフィルタの特性周波数が、使用中に2つの容量性負荷の極性がスイッチングされる周波数の中間になるように、低周波数負荷に関連する抵抗器Rの抵抗を選択してもよい。これは、PDLC素子に印加される信号の所望でない高周波成分を排除する一方、有用な低周波数成分が拒絶されないことを保証する。低周波数容量性負荷の全容量をCとし、抵抗器Rの抵抗をRとすると、特性周波数は(1/2πRC)であってもよい。
【0020】
加えて、または他の態様では、回路は、いずれか一方または両方のスイッチング回路および対応する出力ノード間に接続されるフィルタキャパシタをさらに含んでもよい。好ましくは、フィルタキャパシタは低周波数負荷に接続される。フィルタキャパシタは上述の抵抗器に加えて提供されてもよく、その抵抗器と直列または並列であってもよい。上述の特性周波数の「C」の値は、したがってフィルタキャパシタおよび関連する容量性負荷の全容量であってもよい。
【0021】
第1及び第2容量性負荷の各々は、複数のセグメントを含んでもよく、駆動回路は各セグメントにAC信号を供給するように構成されている。各セグメントはセグメント電極を含んでいてもよく、第1または第2容量性負荷はさらに、セグメント間で共有される共通電極を含む。
【0022】
このような場合は、各セグメントを選択的に駆動することが望ましい。従って、各スイッチング回路は、セグメント電極を電流源に対してスイッチングするようにそれぞれが制御可能である複数のセグメントスイッチセットを含んでもよく、また共通電極を電流源に対してスイッチングするように制御可能な共通電極スイッチセット含んでもよい。各スイッチセットは、電流源とグラウンドなどの基準電圧との間で、対応する電極を選択的にスイッチングしてもよい。典型的には、各スイッチセットは、電極と電流源の間に接続されているトップスイッチ、および電極と基準電圧の間に接続されているボトムスイッチを含むハーフHブリッジを含む。
【0023】
AC信号が供給されるセグメント電極に対応するセグメントスイッチングセットが共通してスイッチングされ、そのスイッチング回路の共通スイッチングセットの反対にスイッチングされるように、駆動回路が構成されてもよい。従って、使用時に、電流源は、AC信号が供給されるセグメント電極または共通電極に接続され、他方の電極または一連の電極が、基準電圧に接続される。これは、明るくされるセグメント電極が電流源に接続され、共通電極が基準電圧に接続される第1状態、およびセグメント電極が基準電圧に接続され共通電極が電流源に接続される第2状態を有する、スイッチングセットにより表わされてもよい。
【0024】
さらに、スイッチングセットは、セグメント電極および共通電極の両方の対応する電極が電流源および基準電位の両方から切断されている第3状態を有してもよい。このような場合は、容量性負荷の電位差は一般に一定のままであるが、どちらの電極の電圧も変動できる。これは、使用時に、高周波数負荷のスイッチングセットが第1状態から第2状態に切り替わる時、第3状態を経て切り替わるように回路が構成されてもよい高周波数負荷で特に有用である。これは、電流源からの電圧が高周波数負荷のスイッチング全体を通して高いままであることを可能にし、したがって、低周波数負荷から電荷がより失われにくい。
【0025】
さらなる態様では、第1及び第2容量性負荷の共通電極は、典型的には伝導性のバックプレーンの形態の、第1及び第2容量性負荷間で共有される共通の共通電極を含んでもよい。そのような場合、共通の共通電極は、使用時に、高周波数で極性がスイッチングされている第1または第2出力ノードのどちらに接続されてもよい(好ましい実施形態では、第1出力ノード)。これは、共通電極が、適用されるサイクルの半分で他の出力ノードに接続されたセグメント電極と同一の極性になることをもたらし、従って、さらなる、そして有用であり得る、第2容量性負荷に印加される電圧の削減をもたらす。
【0026】
好ましくは、第1容量性負荷は電場発光(EL)ディスプレイである。好ましくは、第2容量性負荷は高分子分散液晶(PDLC)ディスプレイである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施形態の一例について記述する。
【0028】
図1は従来の駆動回路を示す。
【0029】
図2は、図1の駆動回路で使用するドライブ信号を示す。
【0030】
図3は本発明の一実施形態による駆動回路を示す。
【0031】
図4は、図3の駆動回路で使用するドライブ信号を示す。
【0032】
図5は本発明の他の実施形態による回路を示す。
【0033】
図1は、任意のある1つの時点に1つだけの電圧および周波数のAC信号を生成することができる、典型的な従来の駆動回路を示す。容量性負荷(典型的には、ELまたはPDLCディスプレイ)はキャパシタCLa、CLbなどとして示される。このディスプレイは、典型的には別々に活性化されるいくつかのセグメントを含み、各セグメントは第1セグメント電極を含むが、他のセグメントと第2共通バックプレーン電極5を共有する。これは、各々の図示されたキャパシタの第2電極が、並列に接続されていることにより示されている。
【0034】
駆動回路は、VDCのDC入力をもち、ポイント2で高電圧変動DC信号VPPを出力するように構成された電圧変換器1を備えた電流源を備える。電圧変換器1はコンバータスイッチ(SW1)、インダクタ(L)、ダイオード(D)、平滑キャパシタ(CS)および放電スイッチ(SW2)を含む。
【0035】
高電圧信号(VPP)は、ハーフH−ブリッジスイッチ3a(スイッチSW3、SW4を含む)、3bなどによりディスプレイの様々なセグメント(CLa、CLb...)に分配され、そしてハーフH−ブリッジスイッチ4(スイッチSW5、SW6を含む)により共通バックプレーン電極に分配される。これらのハーフH−ブリッジは、セグメント電極であれ共通電極であれ、VPPとグラウンドの間で各電極を切り替えるように構成され、VPPに電極を選択的に接続する第1の「トップ」スイッチSW3、SW5、およびグラウンドに電極を選択的に接続する第2の「ボトム」スイッチ(SW4、SW6)を含む。ハーフH−ブリッジは、典型的に単一の高電圧アレイドライバICへ統合されてもよい。この実施形態では、グラウンドは基準電位と見なすことができる。
【0036】
図2は、この回路の動作を示す。セグメントが電力を受け取るには、一方のハーフH−ブリッジはVPPにスイッチングされなければならず、他方のハーフH−ブリッジはグラウンドにスイッチングされなければならない。図2に示される例では、SW3はセグメント電極をVPPに接続し、SW6がバックプレーンをグラウンドに接続する。
【0037】
コンバータスイッチSW1は、SW1が開くとダイオード(D)を通して平滑キャパシタ(CS)を通り、更にスイッチSW3を通って負荷キャパシタ(ディスプレイ素子、CLaなど)へディスチャージするようにインダクタ(L)に電流を発生させるために、パルス駆動される。これにより、ノードVPPの電圧を上昇させ、また負荷(VL)の両端間の電圧を上昇させる。
【0038】
十分な電圧が達成された場合、コンバータスイッチSW1はパルス化を止め、SW2は負荷と平滑容量が電荷を放出するためオン状態になる。一実施形態では、SW2を流れる電流は、抵抗器または他の手段(図示せず)を設けることにより制限されてもよい。これは、負荷の過度に速い電荷の放出を防ぐ。
【0039】
一旦電圧がグラウンド近くに放出されたならば、H−ブリッジスイッチの状態が反転される。この場合、スイッチSW3およびSW6が開かれ、SW4とSW5が閉じられる。そして、SW1のパルシングが再開し、VPPが再び上昇するが、H−ブリッジスイッチの極性の変化により、負荷キャパシタ(CL)の電圧は今度は負ピークまで落ちる。このように、ディスプレイセグメントを横切って1つの単一電圧および周波数のAC駆動信号が生成される。
【0040】
多数の電圧および周波数の供給が所望される場合は、これまでは、上述のような、複数のそのような回路が必要であった。しかしながら、本発明者は、これが必要でない可能性があることを認識した。
【0041】
図3は本発明の一実施形態による駆動回路を示し、この駆動回路は単一の電源供給要素と単一の電圧変換器を使用して、2つの異なるディスプレイ装置に2つの異なるピーク電圧および周波数を供給することができる。2つのELセグメントCL1aおよびCL1bならびに2つのPDLCセグメントCL2aおよびCL2bが示されているが、このような回路には任意数のセグメントを接続可能であると考えられる。
【0042】
電圧変換器11は図1に関して上述された通りであり、対応する要素には同一の参照符号が付されている。第1スイッチング回路12は、第1容量性負荷(ELセグメントCL1a、CL1bなど)を電流源電圧変換器からの出力VPPに選択的に接続し、第2スイッチング回路13は、第2容量性負荷(PDLCセグメントCL2a、CL2bなど)を同一の電圧変換器出力VPPに選択的に接続する。
【0043】
スイッチング回路内では、ハーフH−ブリッジスイッチセットSW5およびSW6が、共通ELバックプレーン電極14にVPPまたはグラウンド(この実施形態では基準電圧)への選択接続を提供する。SW3およびSW4などの複数のハーフH−ブリッジスイッチセットは、各ELセグメント電極にグラウンドまたはVPPへの選択接続を提供する。多数のセグメントスイッチセットSW3およびSW4が、単一のバックプレーン接続と共に使用することができる。同様に、ハーフH−ブリッジスイッチセットSW5およびSW6は、共通PDLCバックプレーン電極15にVPPまたはグラウンドへの選択接続を提供する。SW3およびSW4などの複数のハーフH−ブリッジスイッチセットは、各PDLCセグメント電極にグラウンドまたはVPPへの選択接続を提供する。多数のセグメントスイッチセットSW3およびSW4が、単一のバックプレーン接続と共に使用することができる。
【0044】
電圧変換器要素(SW1、L、D、CSおよびSW2)の動作は、従来技術に関して記述されたものと同一である(図2参照)。ELスイッチセット(SW3、SW4、SW5およびSW6)の動作も、従来技術に関して記述されたものと同一である(図2参照)。
【0045】
PDLCスイッチセット(SW7〜SW10)の動作は図4に記載されている。本質的には、これらは、容量性負荷に印加される電圧の極性が電圧変換器11が動作するよりも低い周波数で交換されるということを除いて従来技術と同様に動作する。この低周波数は図4に示され、そこではPDLCスイッチセット(SW7〜SW10)は、スイッチSW2(すなわち電圧変換器11の周期)の周波数より低い周波数でスイッチングし、これは複数のVPPパルスがPDLCスイッチセット(SW7〜SW10)のいずれかの単一周期の間に発生するということに表れる。PDLCスイッチセットの各期間に整数のVPPパルス数があること、および示されている実施形態中では、PDLCスイッチセット期間ごとに8つのVPPパルスがあることがわかる。
【0046】
他の実施形態では、異なった数のVPPパルスが十分にありえる。例えば、PDLC期間毎に、およそ2、3、4、5、6、7、9、10、15または20以上のVPPパルスがあってもよい。
【0047】
これにより、多数の高周波数半サイクルが、正極性、それから負極性で、PDLCに印加されることになる。これは、図4中のVBP2およびVS2のグラフに示される。当然のことながら、スイッチSW7およびSW10が電流を通過させる場合(ならびにSW9およびSW8が開回路である場合)、VS2は周期波形を示す。さらに、スイッチSW8およびSW9が電流を通過させる場合(ならびにSW7およびSW10が開回路である場合)、VBP2は周期波形を示す。したがって、VS2−VBP2のグラフからわかるように、これにより、セグメントおよび共通バックプレーン電極スイッチセットの出力の電圧差である電圧が形成される。
【0048】
各PDLC素子(CL2aなど)と直列に抵抗器Rを設けることによって、この印加される信号がフィルタリングされ、PDLC素子(VL2)上に低電圧、低周波数信号をもたらす。抵抗器Rの効果は、PDLC素子(CL2aなど)の電荷の放出のための時定数が増加されるということであり、これにより、PDLC素子(CL2aなど)はVPP期間内に電荷放出しない。これは(VL2のグラフからわかるように)、正負両方に伸び、その上にACリップルが重畳された方形波に近似する結果になる。この波形はPDLC素子を駆動するのに適している。
【0049】
抵抗器Rおよび容量性負荷(ここではPDLC素子)の容量により形成されるRCフィルタの特性周波数が、ELの極性がスイッチングされる周波数とPDLC素子の極性がスイッチングされる周波数の間になるように、抵抗器Rのサイズが選択されるべきである。これは、PDLC素子に印加される信号の所望でない高周波成分が排除され、有用なより低周波数成分が遮断されないことを保証する。PDLC素子の全容量をCとし、抵抗器Rの抵抗をRとすると、特性周波数は(1/2πRC)である。
【0050】
他の実施形態(図示せず)では、回路は、さらに抵抗器Rに並列または直列に接続したフィルタキャパシタを含む。上に示す特性周波数の「C」の値は、したがって、フィルタキャパシタおよび関連する容量性負荷の全容量であってもよい。
【0051】
図2に示されるVLの周波数を参照すると、それがVPPと同一の周波数を有していることがわかる。図4に示されるVL2の周波数を参照すると、それがVPPより低い周波数を有し、したがって、VL2はVLより低い周波数を有していることがわかる。
【0052】
他の実施形態である、添付の図面の図5に示される回路のように、上記2つの装置に対して1つの共通バックプレーン駆動を使用して構成することも可能である。この場合、共通(ELおよびPDLC)バックプレーン20は高(EL)周波数、すなわちVPPの周波数でスイッチングされる。これは、先の共通ELおよびPDLCバックプレーン電極14および15を1つの電極20に統合した回路で示される。先のスイッチの符号を再利用すれば、先のスイッチペアSW3およびSW4、SW5およびSW6、ならびにSW7およびSW8はそのままであるが、スイッチSW9およびSW10は、共通の共通電極20がスイッチペアSW5およびSW6によりスイッチングされるので省かれる。スイッチペアの各々は図2および図4のようにスイッチングされ、SW9およびSW10のスイッチングは省かれる。PDLCセグメントに生じる電圧差は、印加される半サイクルの半分の間に高電圧においてのみであり、したがって、生じるPDLC電圧は減少する。
【0053】
好ましい構成では、上で言及されたどのようなスイッチも電界効果トランジスタ(FET)である。しかしながら、バイポーラトランジスタ、スイッチなど他のスイッチング手段が使用されてもよい。
【0054】
他の実施形態では、ELスイッチセットはセグメント電極および共通電極の両方電極が電流源とグラウンドの両方から切断されている第3状態を介して負荷の極性をスイッチングする。このような場合は、容量性負荷の電位差は一般に一定のままであるが、どちらの電極の電圧もフロート状態にできる。これは、電流源からの電圧がELセグメントのスイッチング全体を通じて高いままであることを可能にし、したがって、PDLCセグメントから電荷がより失われにくい(VL2上のリップルが減少する)。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は従来の駆動回路を示す。
【図2】図2は、図1の駆動回路で使用するドライブ信号を示す。
【図3】図3は本発明の一実施形態による駆動回路を示す。
【図4】図4は、図3の駆動回路で使用するドライブ信号を示す。
【図5】図5は本発明の他の実施形態による回路を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に、第1出力ノードにおいて第1容量性負荷用の第1AC信号を、第2出力ノードにおいて第2容量性負荷用の第2AC信号を供給するように構成され、前記第1及び第2AC信号は電圧および周波数が異なる容量性負荷駆動回路であって、
電流源と、
前記電流源および前記第1出力ノードに接続され、前記第1AC信号を発生するための第1スイッチング回路と、
前記電流源および前記第2出力ノードに接続され、前記第2AC信号を発生するための第2スイッチング回路と備え、
前記第1及び第2スイッチング回路の各々は、対応する出力ノードが電流源に接続される極性を制御可能にスイッチングするように構成され、
使用時に、前記第1及び第2スイッチング回路が異なる周波数で極性をスイッチングするように構成された容量性負荷駆動回路。
【請求項2】
前記電流源が電圧変換器を含む、請求項1に記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項3】
前記電圧変換器が、低電圧DC電流の入力と、前記第1および第2スイッチング回路の双方に供給される高電圧DC電流の出力を含む、請求項2に記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項4】
前記電圧変換器はコンバータスイッチを含み、前記コンバータスイッチの繰り返しのスイッチングにより前記高圧電流を発生させる、請求項3に記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項5】
前記電圧変換器がフライバックコンバータを含む、請求項2〜4のいずれかに記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項6】
前記電圧変換器が、使用時に、「電流源」周波数のAC成分を有する高電圧DC信号を発生するように構成された、請求項2〜5のいずれかに記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項7】
使用時に、前記第1スイッチング回路がAC成分の1サイクル毎に極性を1度スイッチングするように構成された、請求項6に記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項8】
前記第1スイッチング回路の半サイクル毎に1度、従って前記AC成分の1サイクル毎に1度、前記第1容量性負荷を放電させるように構成された、請求項7に記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項9】
前記第1スイッチング回路が、使用時に、スイッチングする周波数は、第2スイッチング回路が使用時にスイッチングする周波数の整数倍である、請求項6〜8のいずれかに記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項10】
前記第2スイッチング回路がスイッチングする場合、前記第1スイッチング回路は同時、または実質的に同時にスイッチングする、請求項9に記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項11】
使用時に両方のスイッチング回路が同時、または実質的に同時にスイッチングする場合、第1及び第2容量性負荷は同時、または実質的に同時に放電する、請求項10に記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項12】
抵抗器が、一方または両方のスイッチング回路と、対応する出力ノードとの間に配置された、請求項1〜11のいずれかに記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項13】
抵抗器が前記第2出力ノードのスイッチング回路に接続された、請求項9〜11のいずれかに記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項14】
前記抵抗器Rの抵抗は、前記抵抗器Rおよび前記第2出力ノードに接続された負荷の容量により形成されるRCフィルタの特性周波数が、前記2つの容量性負荷の極性が使用中にスイッチングされる周波数の中間に設定された、請求項13に記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項15】
いずれか一方または両方のスイッチング回路と、対応する前記出力ノード間に接続されたフィルタキャパシタをさらに含む、請求項1〜14のいずれかに記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項16】
請求項9に従属する場合、前記フィルタキャパシタが前記第2出力ノードに接続された、請求項15に記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項17】
前記第1及び第2容量性負荷の各々が複数のセグメントを含み、各セグメントはセグメント電極を有し、
各負荷の共通電極に対して相対的なAC信号を各セグメントに供給するように構成され、
各前記スイッチング回路は、前記セグメント電極を前記電流源に対してスイッチングするように制御可能である複数のセグメントスイッチセット、および前記共通電極を前記電流源に対してスイッチングするように制御可能な共通電極スイッチセットを含む、請求項1〜16のいずれかに記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項18】
前記スイッチセットが前記電流源と基準電圧との間で対応する電極をスイッチングするように構成された、請求項17に記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項19】
各スイッチセットが、前記電極と前記電流源との間に接続されたトップスイッチ、および前記電極と前記基準電圧との間に接続されたボトムスイッチを含むハーフHブリッジを備えた、請求項18に記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項20】
使用時に、AC信号が供給される前記セグメント電極に対応するセグメントスイッチングセットが共通してスイッチングされ、かつ、そのスイッチング回路の共通スイッチングセットの反対にスイッチングされるように構成された、請求項17〜19のいずれかに記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項21】
前記スイッチングセットは、明るくされる前記セグメント電極が前記電流源に接続され、共通電極が基準電圧に接続される第1状態と、前記セグメント電極が前記基準電圧に接続され前記共通電極が前記電流源に接続される第2状態を有し、さらに前記スイッチングセットが、前記セグメント電極および前記共通電極の両方の対応する電極が前記電流源および前記基準電位の両方から切断されている第3状態を有する、請求項17〜20のいずれかに記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項22】
請求項9に従属する場合、使用時に、前記第2容量性負荷のスイッチングセットが第1状態から第2状態にスイッチングする際、第3状態を経てスイッチングするように構成された、請求項21に記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項23】
前記第1及び第2容量性負荷の共通電極が、第1及び第2容量性負荷間で共有される共通の共通電極を含み、前記共通の共通電極は、使用時に、高周波数で極性がスイッチングされている前記第1または第2出力のどちらにでも接続される、請求項17〜22のいずれかに記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項24】
電場発光(EL)ディスプレイを含む第1容量性負荷、および高分子分散液晶(PDLC)ディスプレイを含む第2容量性負荷との組み合わせである、請求項1〜23ののいずれかに記載の容量性負荷駆動回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2009−526255(P2009−526255A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553816(P2008−553816)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際出願番号】PCT/GB2007/000252
【国際公開番号】WO2007/091020
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(503183640)ペリコン リミテッド (16)
【Fターム(参考)】