説明

密封機能を備える肺装置

【課題】
【解決手段】本発明は、全体として、経胸腔的術を安全に実行する肺装置の設計に関する。特に、本発明は、気胸又は血胸を引き起こす危険性が最小の状態にて胸腔にアクセスする装置及びこれらの装置を使用する方法を提供する。より具体的には、本発明は、大きい穴の器具を使用して診断及び治療目的にて気腔にアクセスすることを可能にする。本発明は、装置を引き抜いたとき、傷口を密封することのできる装置を使用して診断及び治療術を実行する方法も提供する。本発明は、アクセス穴を通して被験者の組織と接触し得るようにされた細長い本体と、シーラントの送り出し要素とを備える装置を含む。本発明は、被験者にて組織の治療又は診断を実行する方法も含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、その内容の全体を参考として引用し本明細書に含めた、2004年7月8日付けで出願された米国仮特許出願明細書60/586,683号の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、全体として、経胸部術を安全に実行する肺装置の設計に関する。特に、本発明は、気胸又は血胸を引き起こす危険性が最小限にて胸腔にアクセスするための装置及びこれらの装置を使用する方法を提供する。より具体的には、本発明は、診断及び治療目的にて大きい穴の器具を使用して胸腔にアクセスすることを可能にする。本発明は、また装置を引き抜いたとき、傷口を密封することができる装置を使用して診断及び治療する術の方法をも提供する。
【背景技術】
【0003】
肺の異常は、毎年何百万というアメリカ人及び世界中のより多くの人々に影響を与えている。一部の肺の異常は、慢性的(例えば、慢性的傷害性肺疾患(COPD))である一方、その多くは急性で且つ死に至る。例えば、肺癌は、男性及び女性の双方の癌に起因する代表的な死亡原因である。乳癌、前立腺癌及び大腸癌の死亡者の合計も多くの人が肺癌にて死亡している。米国単独にて、毎年17万以上の新たな肺癌の症例が診断されている。肺癌と診断されたこれらの人のうち、予後は厳しい、すなわち診断後1年以内に10人のうち6人が死亡し、また、診断後2年以内に7及び8名が死亡している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
殆どの肺癌は、気管支(複数の気管)のライニングにて発症する一方、肺癌は同様に、肺のその他の部分にて発症する可能性がある。肺癌が増殖するためには一般に、長い年数を必要とするため、肺癌が形成されるよりも遥かに以前に肺内にて前癌状の変化領域が生じる可能性がある。現在利用可能な技術によれば、前癌状の変化は検出されないことがしばしばであり、それは、その変化はX線にて検知することができず、また、患者が医療の検査を求めるほど早期に症状を生じないからである。この理由のため、肺癌の殆どの患者は、この疾患の重要な早期の段階にて診断されない。胸部X線撮影を行い、また、癌細胞の発生について顕微鏡下にて唾液を検査することは、検査のため実行されているが、不確実であることが判明しており、このため、これは、ハイリスクの人(例えば、喫煙者)に対して推奨できる検査法ではない。最近、スパイラルCTスキャン法が肺癌を早期の段階にて発見するための検査装置として有望であることが分かった。しかし、この点にてスパイラルCTスキャンを使用することが疾患の早期の検出を増すことにより、予後を向上させ長期間の生存を可能にするかどうかは不明である。前癌組織の存在を示すスキャンによってさえ、肺を萎ませることなく、試験のため生体組織検査法を行う能力を得ることは困難であり、その結果、入院が必要となる。
【0005】
このように、現在の技術によれば、胸部壁の切開部を通して器具を挿入することを必要とする術の任意の時点にて、肺を取り囲む胸膜層を突き刺し又は損傷させることになる。経胸部術は、例えば、気胸を引き起こす傾向がある結果、これら術のために使用される器具の外径が制限される。このことは、介入術者が生体組織検査針を胸部壁を通じて導入する、経皮的経胸部肺組織生体組織検査のような術にとって顕著な短所となる。経胸部術に適用されたとき制限されるその他の術は、経皮的経胸部針吸引(PTNA)、縦隔鏡検査法、胸部透視法及び胸膜浸出の排出法を含む。胸腔の胸膜ライニングの開口部を通して装置を挿入し又は除去する間、空気の漏れ又は出血が頻繁に生じる。19ないし23ゲージの細い針を使用するときでさえ、気胸の発生率は、30ないし40%の範囲と相対的に高く、血胸の発生率は25%である。この理由のため、胸腔を通して肺にアクセスするため、通常、大きい穴の器具(例えば、19以下のゲージを有し、従って大きい直径を有するもの)は使用されず、施術者は、経皮的術を使用してアクセスし又は治療可能な組織の量の点にて実質的に制限される。より具体的には、施術者が肺を治療するとき、身体のその他の領域(例えば、乳部)にて容易に実行できる診断及び治療術のために頻繁に使用される最小侵襲性技術による利益を完全に享受できない。
【0006】
気胸又は血胸の治療の選択肢は、チューブを胸部壁を通して胸膜空間内に挿入して空気又は流体を吸引する挿管法を含む。この場合、チューブは、典型的にその位置に残し且つ数日間排出システムに取り付けられ、このため、患者の入院が必要となる。出血が生じる場合のような一部の状況のとき、外科的介入が必要とされることがある。
【0007】
現在実行されている生体組織検査法の間でさえ、例えば、気胸の発生の可能性を減少させつつ、生体組織検査の効果を向上させようとして可能な限り最小ゲージの針を通して組織の多数の試料又はコアを採取している。しかし、針を再挿入する毎に気胸又は出血の可能性は増大する。更に、多数の試料の寸法が小さいため、病理学者は診断の精度を向上させるであろうより大きい試料の寸法による利点を享受できない。
【0008】
このように、診断及び治療のため肺に対する最小侵襲性のアクセスを提供するが、肺を萎ませる危険性がなく又は空気又は血液が胸膜空間に入る危険性がない、装置及び方法が顕著に必要とされている。更に、潜在的な癌性組織を除去する(例えば、生体組織検査法のため)ことを可能にするが、組織にアクセスするため器具が使用する経路に沿って細胞が移動するのを防止する器具が必要とされている。本発明は、これら必要性を満足させ且つ同様に関連した有利な効果を提供するものである。
【0009】
本発明は、気胸又は血胸のような合併症の危険性が最小の状態にて診断又は治療のため経胸部術を実行する装置及び方法を提供するものである。本発明は、また、治療又は診断の介入箇所を前治療し且つ(又は)密封するステップを含むこともできる。開示された方法及び装置と組み合わせて組成物が使用される。その他の方法及び組成物は、次の米国特許出願明細書に記載されている。すなわち、2005年7月8日付けで出願された「胸膜浸出の治療装置、方法及び材料(Pleural Effusion Treatment Device,Method and Material)」という名称の米国特許出願明細書11/(代理人事件番号30689−709.201号);2005年6月14日付けで出願された、「気管支内肺容量減少システム(Intra−Bronchial Lung Volume Reduction System)」という名称の米国特許出願明細書11/153,235号;2004年12月8日付けで出願された、「組成物を使用して損傷した肺組織にターゲットする方法(Targeting Damaged Lung Tissue Using Compositions)」という名称の米国特許出願明細書11/008,577号;2004年12月8日付けで出願された、「損傷した肺組織にターゲットする方法(Targeting Damaged Lung Tissue)」という名称の米国特許出願明細書11/008,092号;2004年12月8日付けで出願された、「組成物を使用して損傷した肺組織にターゲットする箇所(Targeting Sites of Damaged Lung Tissue Using Composition)」という名称の米国特許出願明細書11/008,094号;2004年12月8日付けで出願された、「損傷した肺組織の箇所にターゲットする方法(Targeting Sites of Damaged Lung Tissue)」という名称の米国特許出願明細書11/008,578号;2004年12月8日付けで出願された、「組成物を使用して損傷した肺組織を映像化する方法(Imaging Damaged Lung Tissue Using Compositions)」という名称の米国特許出願明細書11/008,649号;2004年12月8日付けで出願された、「損傷した肺組織を映像化する方法(Imaging Damaged Lung Tissue)」という名称の米国特許出願明細書11/008,777号;2004年12月8日付けで出願された、「糊組成物を使用する肺容量減少法(Lung Volume Reduction Using Glue Compositions)」;2004年12月8日付けで出願された、「肺容量減少用の糊組成物(Glue Composition for Lung Volume Reduction)」という名称の米国特許出願明細書11/008,087号;及び2004年12月8日付けで出願された、「糊組成物を使用する肺容量減少法(Lung Volume Reduction Using Glue Composition)」という名称の米国特許出願明細書11/008,782号に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書にて開示された本発明の1つの実施の形態は、アクセス穴を通して被験者のターゲット組織にアクセスをし得るようにされた細長い本体と、架橋結合した組織シーラントと、架橋結合した組織シーラントをアクセス穴を通して送り出し得るようにされたシーラントの送り出し要素とを備えるシステムを含む。このシステムの一部の実施の形態において、該システムは、被験者に対し治療法又は診断法を提供し得るようにされている。更に、シーラントの送り出し要素は、1つ又はより多くの位置にてターゲット組織に対する治療を実行する前に、シーラントをターゲット組織まで送り出し得るようにすることができる。更に、シーラントの送り出し要素は、システムを除去したとき、シーラントをアクセス穴まで送り出し得るようにされ且つ(又は)ターゲット組織にて診断を実行する前にシーラントをターゲット組織まで送り出し得るようにすることができる。1つ以上のシーラント(すなわち1つ以上の粘度を有するもの)が望まれる場合、1つ以上のシーラント送り出し要素を提供することができる。システムの細長い本体の末端は、その末端に切断要素と、映像化要素と、調剤の送り出し要素とを備えるような形態とすることができる。システムは、細長いスリーブ内に配設することもできる。血栓形成カスケードを加速するシーラントを含んで、多岐に亙るシーラントがこのシステムと共に使用するのに適している。一部の実施の形態において、シーラントは、ヒドロゲル、たんぱく質、ポリマー及び架橋結合剤から成る群から選ばれた材料を備えることができる。本発明のシーラントは、20.684kPa(3.0psi)以内の接着力を有することができる。その他の実施の形態において、シーラント内に検出可能な標識、酵素、放射性同位体、発光物質を含むことが望ましいことがある。典型的に、シーラントは、1.1センチポアズ以上の粘度を有することになろう。
【0011】
本発明の別の実施の形態において、アクセス穴を通して肺の内側部分又は肺の取り囲む組織と接触し得るようにされた細長い本体と、グルタルアルデヒド系シーラントと、グルタルアルデヒド系シーラントをアクセス穴を通して送り出し得るようにされた、アクセス穴を閉塞する穴閉塞要素とを備える肺装置システムが提供される。グルタルアルデヒド系シーラントは熱処理することができる。更に、穴閉塞要素は、肺と胸膜との間の空間内への空気の漏洩を緩和し得るようにすることができる。この装置の実施の形態にて漏洩を緩和することは、気胸及び血胸を緩和することになる。装置は、一部の実施の形態において、組織の切断装置、組織の映像化及び調剤組成物の送り出しを行い得るようにすることができる。本発明の実施の形態にて使用されるシーラントは、血栓形成カスケードを開始させ又は加速することができる。本発明の一部の実施の形態おいて、細長い本体は、末端と、基端とを有し、末端は切断要素を備えている。更に、スリーブを細長い本体の回りに配設することができる。本発明の実施の形態にて使用されるシーラントは、典型的に組織接合材料であるグルタルアルデヒド系シーラントである。本発明の実施の形態に適したグルタルアルデヒド系シーラントは、ヒドロゲル、タンパク質、ポリマー及び架橋結合剤を備えることができる。シーラントの接着力は1.378kPa(0.2psi)ないし20.684kPa(3.0psi)の範囲である。本発明の一部の実施の形態において検出可能な標識を含むことが望ましいことがある。典型的に、シーラントは1.1センチポアズ以上の粘度を有する。
【0012】
本発明の実施の形態は、架橋結合したシーラントを送り出し得るようにされたシーラントの送り出し装置を備える装置を切開部を通して被験者内のターゲット箇所まで送り出すステップと、該箇所にて治療又は診断を実行するステップと、架橋結合した組織シーラントを切開部まで送り出すステップとを備える、被験者にて組織の治療又は診断を実行する方法も含む。一部の実施の形態において、該方法は、装置を切開部を通してターゲット箇所まで送り出す前に、架橋結合した組織シーラントを切開部を通して送り出すステップを含む。更に、ターゲット箇所は被験者の肺とすることができる。装置を除去する過程の間、引き抜きを開始する前、引き抜く間又は引き抜いた後に、架橋結合した組織シーラントを施すことができる。一部の実施の形態の場合、シーラントの送り出し要素は、気胸及び血胸を含む、肺と胸膜との間の空間内に空気が漏洩するのを緩和し得るようにされることが予想される。
【0013】
該方法の一部の実施の形態は、映像化装置と、調剤化合物を送り出し得るようにされた要素と又は切断要素とを備える装置を採用することができる。更に、該方法の実施の形態は、注射器又はプランジャのようなシーラントの送り出し要素と共に、装置を使用することができる。使用されるシーラントは、組織接合材料である生物学的に適合可能な架橋結合した組織シーラントとすることができる。典型的に、生物学的に適合可能な架橋結合したシーラントは、ヒドロゲル、コラーゲン、ポリサラクティク酸(polysalactic acid)、シアノアクリレート及びグルタルアルデヒドを含むことができる。
【0014】
本明細書にて記載した全ての刊行物及び特許出願明細書は、その個別の刊行物又は特許出願明細書の各々が具体的に且つ個別に参考として引用し含まれている場合と同程度に参考として引用し本明細書に含めてある。
【0015】
本発明の新規な特徴は、特許請求の範囲に具体的に記載されている。本発明の特徴及び有利な効果は、本発明の原理が利用される一例としての実施の形態を記載する以下の詳細な説明及び添付図面を参照することにより、一層良く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
上述したように、本発明の主要な形態は肺機能を維持するために必要とされる負圧に影響を与えることなく、経胸部術を安全に実行することのできる肺装置のの設計である。特に、該装置は、アクセスする方法に関連した合併症の危険性を減少させつつ、治療又は診断機能を実行するため、肺又は取り囲む組織の内部へのアクセスを許容する。該装置及び方法は、架橋結合可能な成分と、糊が肺の組織に接着することを可能にする低毒性の接着成分とを有する接着組成物と共に使用される。糊のような適宜な接着剤は、液体又は気体の通過を防止するシーラントとして機能する。
【0017】
本発明は、液体又は気体の通過を阻止するシーラントして接着剤のような適宜な接着剤を使用して胸膜を互いに接着することにより、肺のような、ターゲット組織に対する診断及び治療を実現する方法、材料及び装置を提供するものである。この方法にて使用される材料は、3日以内、より好ましくは2日以内、更により好ましくは1日以内、最も好ましくは1時間以内にて硬化する急速発動性接着剤を含む。特定の硬化時間は、完全に硬化する前に糊の分配を許容するよう調節可能である。一部の糊のフォーミュレーションは、糊の硬化を引き起こすため、補助的な光源、プライマー、触媒、高周波数エネルギ、電気エネルギ又は放射線を必要とすることがある。
【0018】
本発明と共に使用される糊のフォーミュレーションは、固体、半固体、ヒドロゲル、発泡剤、寒天又はゾル−ゲルを含むことができる。一部の接着剤フォーミュレーションは、湿った又は乾燥した組織表面の状態にて作用する。一部の接着剤フォーミュレーションは、活発な出血を停止させることもできる(止血効果を提供する)。糊は生体適合性であることが好ましく、また、湿った状態にて組織を成功裏に融合させることができる。糊は可撓性であり且つ組織の幾何学的形態に順応可能であり、また、これらは高引っ張り強度を有する。糊を送り出して糊を組織内に押し込むため、溶剤を使用することができる。
【0019】
1つの好ましい実施の形態は、糊が施される生物組織に架橋結合する(化学的に接合する)糊のフォーミュレーションである。より具体的には、接着剤は、コラーゲンとの架橋結合を許容するか又は融合すべき隣接した2つの組織表面にてコラーゲンの架橋結合を促進し且つ確実な接着を許容するものとする。
【0020】
別の好ましい実施の形態は、放射線不透過性成分を有し、このため、糊付けした境界面は、術の間、又は術後、x線利用の映像技術を使用して識別することができるようにする糊のフォーミュレーションである。添加剤は、タンタル、白金、ビスマス、放射線不透過性金属及びポリマーを含むことができる。ポリマーは、例えば、ポリ(乳酸)及びポリ(グリコリド)を含むことができる。化学剤及び薬剤をプライマーとして添加することもできる。
【0021】
多くの代替的な糊のフォーミュレーションは、これらの目的を実現するのに適しているが、1つの好ましい糊のフォーミュレーションは、グルタルアルデヒド又は安定的なポリアルデヒドのような架橋結合剤と、アルブミン、豚アルブミン及びコラーゲンのようなタンパク質との組み合わせから成り、追加的な添加物を含み又は含まないものである。治療及び診断手順の間、シーラントとして使用する適したかかる材料の1つは、米国特許出願公告明細書2004/0081676号に記載されている。糊の本来的な粘度はターゲット肺領域を渡って急速又は遅い拡がりを許容し得るよう調節することができる。糊は、血管の麻酔のため及び肺構造体を空気の漏れ、出血又は流体の漏洩から密封するといったその他の目的に使用することができる。適するであろう別の接着剤は、シアノアクリレート接着剤である。
【0022】
エラスチン、フィブリン、糖タンパク質、リポソーム、トロンビン、カルシウム、神経弛緩薬、ビタミン、成長因子、糖質コルチコステロイド、ステロイド、抗生物質、抗菌化合物、殺菌作用及び静菌性化合物、抗ウイルス化合物、抗真菌薬、抗寄生虫性化合物、腫瘍破壊性化合物、抗腫瘍性化合物、毒素、酵素、酵素阻害薬、タンパク質、ペプチド、無機物、神経伝達物質、リポタンパク質、糖タンパク質、免疫賦活剤、免疫グロブリン及びそれらの断片、染料、放射性同位体標識、放射線不透過性化合物、蛍光化合物、脂肪酸、多糖類、細胞受容体結合分子、抗炎症薬、抗緑内障化合物、散瞳薬化合物、麻酔薬、核酸、ポリ核酸を含むことのできるその他の添加剤と上述した成分の任意の1つの組み合わせのような、代替的な糊のフォーミュレーションがこれらの目的を実現するのに適している。
【0023】
糊は、アプリケータ内にて単一部分又は2液体部分として滅菌状態に包装することができる。2部分フォーミュレーションを送り出したとき、液体成分が送り出される際にこれら液体成分をアプリケータ又は攪拌又は混合ノズル装置によって混合させることができる。施した後、フォーミュレーションは、急速に又はゆっくりと凝固して可撓性の固体の糊となることができる。糊は、予め混合させてその後に施してもよい。糊は、独立的に施すことができる2部分溶液として調合することができる。これを行うとき、第一の部分を施し且つ第二の部分が施される前に、拡がる時間を許容することができる。
【0024】
図1Aには、主として胸腔11内に配置された呼吸システム10が示されている。呼吸システム10は、空気を鼻8又は口9から右主要気管支14及び左主要気管支16内に運ぶ気管12を有している。空気は右主要気管支14から右肺18に入り、また、空気は、左主要気管支16から左肺20に入る。右肺18及び左肺19は共に肺19を構成する。左肺20は、2つの肺葉部のみから成る一方、右肺18は3つの肺葉部から成り、典型的に、胸部キャビティとも称される胸腔11の左側に位置する心臓に対する空間を提供する。
【0025】
図1Bにより詳細に示すように、例えば、左肺20のような肺内に達する、主要気管支、例えば、左主要気管支16は、二次的気管支22に分岐し、更に、第三の気管支24に更に分岐し、また、細気管支26、終末細気管支28及び最後に肺胞30に更に達する。胸膜腔38は、肺と胸壁との間の空間である。胸膜腔38は、肺18、20を保護し、呼吸する間、肺が動くのを許容する。図1Cに示すように、胸膜40は、胸膜腔38を画成し且つ臓側胸膜42及び壁側胸膜44という2つの層から成っており、その間に薄い胸膜流体層がある。胸膜流体が占める空間は、胸膜空間46と称される。2つの胸膜層42、44の各々は、極めて多孔質の間葉漿膜から成っており、少量の隙間間流体が該膜を通って連続的に胸膜空間46内に浸出する。胸膜空間46内の流体の全体量は、通常、僅かである。通常の状態下にて、余剰な流体は、典型的にリンパ管によって胸膜空間46外に圧送される。
【0026】
肺19は、胸腔11内にて浮く弾性的構造体である。肺19を取り囲む胸膜流体の薄い層は、胸腔11内の肺の動きを潤滑する。余剰な流体を胸膜空間46からリンパ通路内に吸引することは、肺胸膜42の臓側胸膜面と胸腔41の壁側胸膜面との間にて僅かな吸引力を維持することになる。この僅かな吸引力は、肺19を胸腔11内にて拡張し且つ浮いた状態に維持する負圧を形成する。負圧が無いならば、肺19は、バルーンのように萎み且つ空気を気管12から追い出すことになる。このように、自然な呼吸過程は、肺19の及び胸部ケージ構造体の弾性的な反発力のため、ほぼ完全に受動的である。この生理学的配置の結果、胸膜42、44に穴が開いたとき、肺19を懸架状態に保つ負圧は消滅し、肺19は、弾性的な反発効果によって萎む。
【0027】
完全に拡張したとき、肺19は、胸膜38を完全に充填し、壁側胸膜44と臓側胸膜42は接触する。空気の吸引及び排気による膨張及び収縮過程の間、肺19は胸膜38内にて前後に摺動する。胸膜38内のこの動きは、壁側胸膜44と臓側胸膜42との間の胸膜空間46内に位置する薄い粘液状流体の層によって促進される。
【0028】
図示するため、図1Dには、血液が胸膜空間50内にある(血胸とも称する)肺20が示されている。図面から明らかであるように、血液50が胸膜空間46内に存在する結果、肺20は収縮して遥かに小さい寸法となる。臨床的には、呼吸動作は負圧状態にて懸架されている肺に依存するから、患者は萎んだ肺内に空気を呼吸することが困難となるであろう。当該技術の当業者により理解されるように、胸膜空間46内の流体又は空気は、図1Dに示すように、血胸のとき、胸腔に対する肺の寸法に同様の臨床的影響を与えるであろう。
【0029】
多岐に渡る事象によって胸膜空間が妨害され且つ気体(空気のような)又は流体にて充填される可能性がある。例えば、胸膜下心尖気腫性嚢胞の破裂、喫煙及び身体の高さの結果、長期間に渡って肺胞に大きい拡張圧力が加わり、その結果、自然気胸となる。一方、経胸腔針吸引術、鎖骨下及び鎖骨上針突き刺し術、胸腔穿刺、機械的換気、胸膜生体組織検査、経気管支肺生体組織検査、心肺機能蘇生及び気管開口術の結果、医原性気胸となる可能性がある。胸膜空間は、血液のような流体にて充填される可能性があり、その原因は、例えば、抗凝血合併症を含む鈍的外傷、穿通性外傷(医原性を含む)、非外傷性又は自然の腫瘍(原発又は転移性)、血液疾患、梗塞に伴う肺塞栓、自然気胸に関連する裂けた胸膜の癒着、嚢胞性肺気腫、壊死性感染症、結核、肺動静脈瘻、遺伝性出血性毛細管拡張症、非肺胸郭内の脈管病変(例えば、胸部大動脈神経叢、内胸動脈の動脈瘤)、葉内及び肺葉外肺分画症、腹部病変(例えば、膵偽嚢胞、脾動脈瘤、腹腔内出血)、及び(又は)月経である。気胸又は血胸が肺構造体に与えるであろう影響を示す目的のため、図2A及び図2Bには、組織試料82を得るため、生体組織検査装置80が配備され、胸膜に穴を開ける術を行う間の肺19が示されている。穴を開けた結果として、影響を受けた肺18内の空気は、装置80により形成されたライニング内の穴84の回りにて肺から出る(矢印で図示)。図2Bに示すように、装置86は気管12内に挿入され且つ右主要気管支14の下方に沿って送り込み、そのとき、装置86は該右主要気管支にて偶発的に気管支14の壁を穿刺することがある。上記の例におけるように、影響を受けた肺18内の空気は、装置86が気管支14の壁を穿刺したときに形成された開口部88の回りにて肺から出る(矢印で図示)。
【0030】
当該技術の当業者により理解されるように、肺組織の診断及び治療に関して示すことを目的として本発明及びその実施の形態について説明した。しかし、例えば、密封構成要素のような装置及び方法の特定の形態は、治療形態を含む診断及び治療方法にて及び試験者の別の箇所にて使用するのに適した装置に適合可能である。治療又は診断に適した身体のその他の領域は、肝臓、結合組織、膵臓、乳部、腎臓、胃腸管、脳、縦隔、関節、膀胱及び前立腺を含むが、これらにのみ限定されるものではない。治療形態は、空隙の充填、組織の裂傷部の修復、及び切開部の修復を含むが、これらにのみ限定されるものではない。
【0031】
図3Aには、針90が左肺20内に挿入され且つ壁側胸膜44及び臓側胸膜42に穴を開ける、精密な針吸引術を行う間に撮影した胸腔11の断面の像が示されている。この術を行う間、注意を払ったものの、図3Bに示すように気胸が生じた。図示するように、直後に撮影した同一の胸腔11の断面図にて、気胸は進行しており、胸膜空間46は空気にて充填され、左肺20の寸法は萎んで壁側胸膜44から離れている。
【0032】
図4A及び図4Bには、肺の内部にアクセスするため、壁側胸膜44、胸膜空間46及び臓側胸膜42に侵入する前の、胸郭内の隣接する肋骨99、99´の間に配置された本発明の1つの実施の形態とされた装置100が示されている。図4Bに示すように、装置100は、例えば、装置100が除去されたとき、生体適合性の熱処理したグルタルアルデヒド糊120にてその入口路110を密封し得るようにされている。入口路110を密封することにより、この術の結果として、胸膜空間46が気体(空気のような)又は流体(血液のような)にて充填されるのを防止することを含む、幾つかの有利な効果が得られる。更に、入口管又は傷口110を密封することは、術を実行した後、細胞が入口路110に沿って移動するのを防止することになる。このように、例えば、生体組織検査のため組織試料を得るため装置100が挿入される場合、また、試料箇所付近の組織が癌性細胞を有する場合、入口管を密封することは、潜在的に危険な癌細胞を含む細胞がその他の領域に移動するのを防止することになる。
【0033】
図5には、本明細書に説明したように所期の入口路110をシーラント220、222、224にて前治療し得るようにされた本発明の1つの実施の形態に従った形態とされた装置200が示されている。図示する目的のため、装置200は、壁側胸膜44の基端面(外面)にて第一のシーラント220を送り出し、また、胸膜空間46内にて第二のシーラント222及び臓側胸膜42の末端面(内面)にて第三のシーラント224を送り出している。当該技術の当業者により理解されるように、本発明の範囲から逸脱せずに、図示した3つのシーラントの1つを送り出すようにしてもよい。更に、本発明の範囲から逸脱せずに、図示した3つのシーラントの2つの組み合わせ体を送り出すこともできる。最後に、上述したように、この技術は、本発明の範囲から逸脱せずに、身体のその他の領域及びその他の治療形態に関して使用することが可能である。
【0034】
図6に示すように、ワイヤースタイレット102にて肺空間内のターゲット組織104にアクセスするのを可能にし得るよう装置100がシーラント220、222、224を通じて挿入されている。予め送り出されたシーラントを通じて病変部にアクセスすることは、この術の結果、気胸又は血胸を引き起こすのを更に防止することになる。更に、シーラントをアクセス箇所に予め送り出す結果、従来、肺にアクセスするため採用することが実際的ではなかった、以下に説明する大きい穴の器具を使用することを可能にすることになる。図6に示すように、配備された装置が小さい穴の装置である場合、装置を引き抜いたとき、シーラントを入口管を通して送り出す追加的なステップを行わずに、装置を挿入し且つ予め送り出したシーラントを通して除去することができる。しかし、当該技術の当業者は、小さい穴を装置の場合でさえ、装置を除去したとき、シーラントを入口管まで送り出す更なるステップを実施することが可能であることが理解されよう。更に、シーラントがアクセス箇所に予め送り出される場合、予め治療する接着剤の粘度は、入口路を閉塞するために使用した接着剤の粘度と異なるようにする。この過程の間、1つ以上の粘度の接着剤を送り出すことが望まれるならば、装置は、該装置内にて多数の接着剤送り出し機構を提供し得るようにすることができる。
【0035】
図7には、装置300が図示されてあり、該装置300は、ターゲット組織104にアクセスするため、シーラントにて予め治療された壁側胸膜44、胸膜空間46及び臓側胸膜42に侵入すべく隣接する肋骨99、99´に侵入する吸引注射器302と連通し得るようにされている。図示した実施の形態において、シーラント220、222、224は、ターゲット組織104と相互接続すべく大きい穴を有するカニューレ付き器具の使用を容易にすべく注射管の箇所まで予め送り出されている。
【0036】
更に別の実施の形態を参照すると、図8A及び図8Bには、治療装置400が図示されており、該装置400は、シーラント220、222、224を有する、予め治療した胸膜に侵入するカニューレ108を通してターゲット組織104を除去し得るようにされている。上述したように、大きい穴の装置(直径0ないし25.4mm(1インチ)又はゲージ寸法1ないし22の切断装置のような)を使用することは、送り出し管110がシーラントにて予め治療され、装置400は、図8Bに示すように、除去する間、シーラント120を送り出し管110内に送り出し得るようにされている場合、一層有益に採用することができる。図9Aには、装置500が低温外科手術用プローブである、本発明の別の実施の形態が示されている。低温外科手術用プローブ500は、スイッチ502、調整弁504及びCO又は液体窒素供給源と接続されている。低温外科手術用プローブに関する追加的な情報は、米国特許明細書5,452,582号にて得られる。低温外科手術用プローブは、隣接する肋骨99、99´の間に侵入するように挿入され、ターゲット組織104にアクセスするため、シーラント220、222、224にて予め治療された壁側胸膜44、胸膜空間46及び臓側胸膜42に侵入する。当該技術の当業者が知るように、低温外科手術用プローブは、外科手術にて組織を死滅させるような低温外科手術を実行するのに適している。図9Bには、装置500を除去する前、又は除去すると同時に、装置500は、シーラントを送り出し管内に送り出し得るようにされたシーラントの送り出し装置501を有する、本発明の別の実施の形態が示されている。
【0037】
図10には、真空ポンプ602と接続し得るようにされた腫瘍切開又は切除装置600が示されている。真空ポンプ602は、吸引のため、例えば、流体を除去するため使用される。
【0038】
図11には、本発明の一般的な装置700が示されている。装置700は、細長い本体702の末端にツール710を有しており、該ツール710はアクセス穴又はその他の穴を通して肺の内側部分又は取り囲む組織と接触すると共に、該組織にて何らかの機能を実行し得るようにされている。肺装置700は、アクセス穴を閉塞する穴閉塞要素720も有している。図11に示すように、本体702は、スリーブ704又はその他の拡張装置内に配設され、ツール710はスリーブの末端から伸びている。ツール710及び本体702は、スリーブが体内の所要位置となった後、スリーブ704を通して挿入することができる。これと代替的に、ツール710及び本体702は、スリーブ704をアクセス穴を通して患者の体内に挿入する間、スリーブ704内に部分的に又は完全に配設してもよい。スリーブ704は、アクセス穴を形成するため、鋭角な末端706を有するものとすることができる。
【0039】
1つの実施の形態において、穴閉塞要素720は、アクセス穴を閉塞するため生物学的に適合可能なシーラントを送り出し得るようにされている。操作者は、注射器722を作動させ、シーラントをスリーブ704の末端の開孔708を通して穴又は切開又は切除領域まで送り出すことができる。好ましくは、シーラントをその箇所に送り出す前に、ツールをスリーブ704から引き出すものとする。これと代替的に、シーラントは、ツール本体703の回りにてスリーブ704を通して送り出してもよい。
【0040】
多くの代替的なシーラントのフォーミュレーションがこの目的に適しているが、1つの好ましいシーラントは、添加剤を使用し又は使用せずに安定的なポリアルデヒド、豚アルブミン及びコラーゲンを含むアルブミンの組合わせ体から主として成るものである。シーラントは、血栓形成カスケードを開始させ又は加速してシーラントを止血剤として使用することができるようにする薬剤を有することができる。例えば、適宜な材料は、米国特許出願公告明細書2004/0081676号に記載されている。このシーラントは、炎症又は発熱を生じることなく、数分以内にて硬化して胸膜層を密封する生物学的糊として作用する。糊の本来的な粘度は、上記に示し、また、1.1センチポアズ以上の糊粘度を有するもののように、送り出しシステムを通して急速に又はゆっくりと送り出すことを許容するよう調節することができる。この糊フォーミュレーションは肺の全ての組織及び肺系統並びに肺血管組織内の構造体と共に使用するのに適している。該フォーミュレーションは、血管及び気管/気管支の麻酔、また、肺構造体を空気の漏洩、出血又は流体の漏洩から密封することを含む任意の接着剤又は接着防止目的のため、調合し且つ使用することも可能である。理想的には、シーラントは数分以内にて硬化し、湿気がある又は濡れた環境にて十分に作用し、また、空気又は流体が胸膜空間に入るのを妨害するようにする。典型的に、糊は、豚アルブミンを含む架橋結合したアルブミンから成るグルタルアルデヒドの凝縮生成物から成るものである。糊の接着値は、10.342kPa(1.5psi)以上、より好ましくは、1.379ないし4.137kPa(0.2ないし0.6psi)の範囲とすることができる。
【0041】
エラスチン、フィブリン、糖タンパク質、リポソーム、トロンビン、カルシウム、神経弛緩薬、ビタミン、成長因子、糖質コルチコステロイド、ステロイド、抗生物質、抗菌化合物、殺菌作用及び静菌性化合物、抗ウイルス化合物、抗真菌薬、抗寄生虫性化合物、腫瘍破壊性化合物、抗腫瘍性化合物、毒素、酵素、酵素阻害薬、タンパク質、ペプチド、無機物、神経伝達物質、リポタンパク質、糖タンパク質、免疫賦活剤、免疫グロブリン及びそれらの断片、染料、放射性同位体標識、放射線不透過性化合物、蛍光化合物、脂肪酸、多糖類、細胞受容体結合分子、抗炎症薬、抗緑内障化合物、散瞳薬化合物、麻酔薬、核酸、ポリ核酸を含むことのできるその他の添加剤と上述した成分の任意の1つの組み合わせのような、代替的なシーラントのフォーミュレーションがこれらの目的を実現するのに適している。
【0042】
本明細書の実施の形態に従ったシーラントの送り出し装置は、切開又は切除箇所から引き出されるとき、例えば、胸膜ライニング、血管、気道又はその他の穴、開口又は手術中に形成された通路を密封するためシーラントを切開又は切除箇所まで送り出すことができる。これと代替的に、装置を切開部から引き抜く前に、シーラントを送り出してもよい。シーラント及びその送り出しシステムは、キットにて1つ又はより多くのツールと共に組み合わせ、特定の治療又は診断術を実行するようにすることもできる。
【0043】
図11に示した実施の形態において、ツール710は把持器である。別の実施の形態において、ツールは切断要素(例えば、直径0ないし25.4mm(1インチ)又はゲージ寸法1ないし22を有するもののような)、針、鉗子、メス、掻破器、ブラシ、鋏、RFループのようなその他のアブレーションツール、ヒータ、レーザアブレーション、プローブ、機械的切開又は切除装置、x線、放射線、低温外科手術用プローブ及びその他の装置とすることができる。密封機能は、本発明の目的のため、これらの広範囲の異なる寸法の切断要素を使用することも可能にする。特に、本発明の生体組織検査装置は、さもなければ、気胸又は血胸を引き起こす傾向のため、肺の生体組織検査に不適当であろう大きい寸法の切断要素を含むことができる。装置のツール部分の設計の詳細は、当該技術の当業者に明らかであろう。適宜なツールの設計の詳細は、米国特許明細書6,902,536号、米国特許明細書5,599,294号、米国特許明細書5,916,210号、米国特許明細書6,080,113号、米国特許明細書6,267,732号、米国特許明細書6,540,694号、米国特許明細書6,638,275号、米国特許明細書6,689,072号、米国特許明細書6,716,180号、米国特許明細書6,730,044号、米国特許明細書6,808,525号、米国特許明細書6,825,091号、米国特許明細書6,840,948号、米国特許明細書6,902,526号、米国特許明細書6,902,536号に見ることができる。
【0044】
これら薬剤の多くは、組織の結合を生じさせ、恒久的な胸膜接合状態を維持するのを助ける局所的な接着又は生体応答性を形成する。これらの材料を導入することは、組織の形態変更カスケード過程の1つ又はより多くの要素を開始させることになる。この過程は、以下の1つ又はより多くを含む細胞レスポンデントを補充するに至る組織のポリマーの分解及び(又は)壊死を含む。すなわち、好中球、白血球、マクロファージ、CD8+、MMP’s、インタールーケン、サイトカイン及びプロトシリン(protocylin)である。次に、組織は形態変更し、最終的に、組織の接着状態を形成するに至る組織の形成及び増厚化を開始させる。
【0045】
この効果を開始させることのできるその他の材料は、カドミウム、スモーク形成物、タール、アルコールのような組織を刺激する材料、溶剤、有機質溶剤、酸、塩基性である材料及び酸性の材料である。これらの材料は、1ないし6.9の範囲のpHレベルを有する化合物又は組成物を含み、1に最も近い材料が好ましい酸性材料である。更に、7.5ないし14の範囲のpHレベルを有する化合物又は材料は極めて良好に作用し、14に最も近い材料が最も良好に機能する。
【0046】
一部の接着剤は、例えば、2成分組成物として形成することができる。図12Aには、装置900のシーラント送り出し部分が示されている。装置900の基端902は、二重チャンバ904の送り出しハウジング901を特徴とする。シーラントの送り出しハウジングは、送り出すべきシーラントの成分を分離させ得るように少なくとも2つのチャンバ906、906´に分離されている。2成分接着剤組成物の2つの部分は、装置900の別個の通路に沿って下方に送り出すことができる。送り出しハウジングの各チャンバに沿って下方に糊成分を前進させるため、プランジャ908が提供される。糊成分は、別個の密封した先端900、910を通って前進し、詰まった場合、攪拌チャンバ920を容易に置換し易いようにする。シーラントの送り出しハウジング901は、術を行う間、置換を容易にし得るよう攪拌チャンバ920から容易に分離可能である。
【0047】
撹拌チャンバ920は、シーラント送り出しハウジングの少なくとも2つのポートから糊成分を受け取る。成分が撹拌チャンバ920に沿って下方に進むとき、糊成分を共に混合させるため混合要素又は反らせ板922が内部に設けられている。混合チャンバは、該混合チャンバが装置と接続されたとき、先端と相互作用してそのシールを破る二股部を有することができる。撹拌チャンバ920の末端は、多孔質プラグフィルタ924を特徴としており、該多孔質プラグフィルタは、その末端にて撹拌チャンバ920の側部に配置された空気放出穴926を通って空気が撹拌チャンバ920から逃げるのを可能にする。適宜なフィルタは、ゼンプローブ(GenProbe)から入手可能なマイクロフィルタを含む。接着剤がフィルタを通って軸方向に押し出される間、空気を糊の軸線に対して横方向にフィルタを通って分散させることができるようなフィルタの性質のものとされる。図12Bには、空気953が多孔質プラグフィルタ924を通って前進する間、糊952をチャンバを通して前進させるプランジャ950を有する別の送り出し装置が示されており、糊がカニューレを通してターゲット箇所内に送り出される前に、空気は空気放出穴926を通って該多孔質プラグフィルタから出ることができる。
【0048】
装置の実施の形態は、状態を診断し且つ(又は)治療するのを助ける映像化要素を備えることもできる。映像化要素は、細長い本体の末端と接続することができる。細長い本体と連結すべき映像化要素の型式は、当該装置を採用すべき所期の用途に依存して変更されよう。全体として、被験者の肺、又はその特定の部分を視認するため、映像化要素は、カメラ、好ましくはマイクロカメラ、更により好ましくは、肺の組織の実時間像を伝送する装置が設けられたデジタルマイクロカメラを備えることができる。更に、映像化要素は、視覚化光ファイバ束と、レーザ光ファイバと、光ケーンと、光管とを備えることができる。更に、映像化要素は、超音波プローブ、又は好ましくは、磁気共鳴映像化(MRI)プローブを備え、肺及び取り巻く組織の異なる層の高解像度の像を提供することができる。特に適したMRIプローブは、米国特許明細書6,549,800号に記載されている。
【0049】
当該装置は、調剤組成物を肺に供給し得るようにされた送り出し要素と連結することもできる。該要素は、通常、細長い本体の基端と接続されている。該要素は、当該技術の当業者に周知の任意のアクセス構造体とすることができ、該アクセス構造体は、調剤組成物を貯蔵し、また、肺又は取り巻く組織の所望の箇所に到達したとき、その調剤組成物を解放することができる。非限定的な例の送り出し要素は、当該技術にて既知の管及びカテーテルを含む。例えば、米国特許明細書4,739,760号参照。
【0050】
1つの代替的な実施の形態において、穴閉塞要素は、該穴を閉塞するプラグ、クリップ又は縫合糸を送り出すことができる。例えば、穴閉塞要素は、ポリマーにて被覆されたNiTiフレームを使用する膨張性プラグを送り出すことができる。中実コラーゲン、セラミック又はポリマープラグを配置し、プラグが肺の壁を胸部壁に対してクリップ止めすることができるようにすることができる。NiTi、Ti、ステンレス鋼又はポリマーで出来た膨張型ステントを配置して肺を定着させ且つ胸腔を内部に漏洩する空気から密封することができる。ステント装置は、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレン、ナイロン、ダクロン(Dacron)、ePTFE、PTFE、クロノプレーン(Chronoprene)、クロノフレックス(Chronoflex)又は空気の漏洩を防止するのを助けるその他の生体適合性ポリマー又はその他の折り畳んだ又は弾性的な材料にて被覆することができる。胸膜壁を固定するため、クリップ型式のものを配置し、その場合、胸膜空間内への潜在的な空気の漏洩を密封するためプラグをクリップの内部に配置することができる。スリーブ704及びツール710が引き出された後、スリーブ704を通して送り出し又は切開部内に挿入された最小侵襲性縫合ツールを使用して穴を縫合して閉塞してもよい。
【0051】
本発明の患者と接触する要素を製造するため、多岐に渡る材料が適している。全体として、材料は不活性であり、このため、これらの材料は生理学的緩衝状態及び(又は)身体温度の下、生物学的に適合可能なシーラントと容易に反応しない。かかる材料の非限定的な例は、ガラス、シリコン、及びゲルマニウムのような半導体、白金及び金のような金属及び極めて多数のプラスチックポリマーを含む。一例としてのプラスチックポリマーは、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリブチレン(PB)、ポリブタジエン(PBD)、ポリカプトラクタム(PCL)、ポリエチレン(PE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイソブチレン(PIB)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(PO)、重合系ポリイソシアネート(PPI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニリデンクロリド(PVDC)、ポリビニルフッ化物(PVF)、アクリロニトリル−アクリロイド−スチレン(AAS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、アクリロニトリル−クロリザート(chlorizate)エチレン−スチレン(ACS)、及び商業的販売業者により提供される任意のその他の不活性ポリマーを含む。
【0052】
本発明の装置は、多岐に渡る診断及び(又は)治療介入のため効果的なツールを提供する。従って、1つの実施の形態において、本発明は、試験者にて肺の生体組織検査を実行する方法を提供する。該方法は、生体組織検査試料を採取すべき試験者の肺又は肺の取り巻く組織内の箇所に送り出すステップと、生体組織検査試料を肺から入手するステップと、生体組織検査装置を使用して生物学的に適合可能なシーラントを肺に付与するステップとを備えている。
【0053】
上述したように、該装置は、胸膜薄膜の間の空間内への空気及び流体の漏洩を緩和し得るようにされている。該装置は、胸腔から組織にアクセスしつつ、気胸又は血胸を緩和するのに特に適している。図13に示すように、該方法は、(a)胸腔にアクセスするステップと、次に(b)肺又は取り巻く組織の任意の部分から生体組織検査試料を採取するステップと、(c)肺の一部分又は全体を映像化するステップと、(d)調剤組成物を送り出すステップと、(e)組織を切開又は切除するステップと又は(f)上記の任意の組み合わせステップとを含むことができる。所望の治療又は診断方法又はそれらの組み合わせが実行された後、装置のアクセス管を密封して、組織又は細胞が該管内に動くのを防止し且つ流体又は空気が胸腔に入るのを防止しつつ、装置を除去する。選択的に、シーラントはアクセス穴に予め取り付けることができる。
【0054】
その実施の形態において、本発明は、外部の装置を使用して被験者の肺又は肺の取り巻く組織にアクセスすることに起因する、例えば、気胸又は血胸を防止する方法を提供する。かかる方法は、被験者の肺又は取り巻く組織へのアクセスを得るため外部の装置を送り出すステップと、装置を使用して生物学的に適合可能なシーラントを肺に付与するステップとを備えている。所期の用途に依存して、該方法は、肺の1つ以上の肺葉部すなわち右上肺葉部、右中間葉部、右下葉部、左上葉部及び左下葉部を視認し、生体組織検査し且つ治療するため使用することができる。治療又は診断術を行う前、術を行う間又は術を行った後(例えば、装置を除去したとき)にシーラントを送り出すことができる。
【0055】
この出願用のシーラント成分は、フィブリン/トロンビン、活性化したPEG/PEG−ジアミン、アルブミン/PEG、及びアルブミン/グルタルアルデヒドシーラントを含むことができる。シーラントはカルボキシメチルキチン及びキトサン(1ないし100%の脱アセチル基)を含むが、これらにのみ限定されないキチン誘導体のような止血性薬剤を含むことができる植え込み可能な材料である。シーラント材料は、また、粘度、硬化時間、接着及び生体適合性に影響を与える添加剤を含むことができる。アルブミン成分は、10ないし50%の重量対重量比にて調合することができ、この場合、残る質量平衡は、塩、緩衝剤、及び添加剤又はそれらの組合わせの水溶性溶液である。シーラントのその他の成分は、1ないし25%の重量対容積比にてグルタルアルデヒド又はその誘導体を保持する架橋結合剤であり、この場合、残量は、添加剤を有し又は有しない、塩又は緩衝剤の水溶液又はそれらの組合わせ体である。これらの溶液はディスペンサから施すことができ、該ディスペンサは、一単位容積の架橋結合剤溶液当たり一単位容積のタンパク質溶液の比(1対1 タンパク質:架橋結合剤)にて送り出し、また、一単位容積の架橋結合剤溶液当たり10単位容積のタンパク質溶液までの比にて施すことができる。更に混合効率を向上させるヘリカル又はその他の幾何学的形態の装置にて溶液をスタティックミキシング先端を通すことにより、混合させることができる。これらの溶液から作成されたシーラントは、5ないし45%のタンパク質と、0.5ないし14%の架橋結合剤とを含む。
【0056】
その他の適宜なシーラント及びその他の薬剤は、米国特許出願公告明細書2004/0052850号、米国特許出願公告明細書2004/0081676号、USSN11/008,577号、USSN11/008,092号、USSN11/008,094号、USSN11/008,578号、USSN11/008,649号、USSN11/008,777号、USSN11/008,087号、USSN11/008,093号、USSN11/008,580号、USSN11/008,782号に記載されている。
【0057】
糊組成物のような凝固する材料は、典型的に、肺の組織の本来的な剛性よりも硬い構造体を形成する。具体的には、肺実質(肺胞嚢及びコラーゲンから成っている)部分を引っ張り試験した結果、複合材の剛性は極めて低いことが分かる。重なり合う生体適合性材料又は肺の組織よりも硬い構造体を形成する薬剤が組み合わされたとき、弾性率の不一致は、刺激、炎症、組織の増厚化、線維症、肺容量の減少を促進し且つ維持する形態変更カスケード及び接着状態を引き起こす。乾燥したすなわち2センチポアズ以上の粘度レベル(動粘度の測定値)を維持する組成物は、せん断作用を発生させ、この剛性の不一致は接着を促進するようにする。10センチポアズ以上の濃い薬剤及びヒドロゲル材料は、一層良く作用する。採用したグルタアルデヒド接着剤技術は、15センチポアズ粘度及び150センチポアズ以上の高レベルを有する組成物を生じさせることができる。接着剤の架橋結合の性質を増大させることにより、凝固してゲル又はより硬い物質となる薬剤を送り出すことができる。ゲル化してHOの10ないし20cm以上の弾性率を有する固体を生じさせる材料は、これと同一の効果を生じさせる。水20ないし100cmの範囲にてより硬い材料が一層良い。水100cmよりも硬い材料であることが好ましい。これらの効果を促進させる粘度促進剤を有する植え込み可能な材料が製造可能である。
【0058】
これら薬剤の多くは、組織の結合が生じさせ、恒久的な胸膜接合状態を維持するのを助ける局所的な接着又は生体応答性を形成する。これらの材料を導入することは、組織の形態変更カスケード過程の1つ又はより多くの要素を開始させることになる。この過程は、以下の1つ又はより多くを含む細胞レスポンデントを補充するに至る組織のポリマーの分解及び(又は)壊死を含む。すなわち、好中球、白血球、マクロファージ、CD8+、MMP’s、インタールーケン、サイトカイン及びプロトシリン(protocylin)である。次に、組織は形態変更し、最終的に、組織の接着状態を形成するに至る組織の形成及び増厚化を開始させる。
【0059】
この効果を開始させることのできるその他の材料は、カドミウム、スモーク形成物、タール、アルコールのような組織を刺激する材料、溶剤、有機質溶剤、酸、塩基性である材料及び酸性の材料である。これらの材料は、1ないし6.9の範囲のpHレベルを有する化合物又は組成物を含み、1に最も近い材料が好ましい酸性材料である。更に、7.5ないし14の範囲のpHレベルを有する化合物又は材料は極めて良好に作用し、14に最も近い材料が最も良好に機能する。
【0060】
生体適合性材料、又は液体からゲル又は固体接着剤のようなその他の固体への物理的転位を受ける植え込み可能な液体のような植え込み可能なヒドロゲルを施すとき、堆積状態を制御することが極めて重要である。堆積状態を制御する方法は、シーラントを管腔を保持する適宜な装置に通し、また、植え込み可能な材料の1つ又はより多くの成分の粘度を増加させる薬剤を添加することを通じて局所的に分与するステップを含む。かかる薬剤は水の粘度よりも大きい粘度を有する生体適合性材料を含み、また、グリセロール、タンパク質のような重合系材料、カルボキシレート系ポリマー及びその誘導体、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレン酸化物(PEO)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール、「米国薬局方(United States Pharmacopia)」及びA.H.キベ(Kibbe)編集による「医療賦形剤のハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Excipients)」に記載されたような、その他の成分を含む合成材料を含む。粘度を制御するその他の材料は、油、油脂及びオレイン酸、及びホスホコリンを含む脂肪酸を含む。相分離は、ポリソルビン酸塩を含む乳化剤にて制御することができる。2つ又はより多くの成分を混合することにより作成されたシーラントの場合、1つ又はより多くの成分の粘度は、施した後の拡がりを制御すべく適宜な薬剤を添加することにより改変することができる。これら成分の粘度は、1ないし1000センチストーク(動粘度の測定値)の範囲とすることができる。
【0061】
2つ又はより多くの粘度を含むシーラントを堆積させ且つ拡がりを制御することは、混合したシーラントのゲル時間、すなわち硬化時間により実行することもできる。硬化時間が短いシーラントは、硬化時間が長いシーラントよりも好ましい。本発明及び方法にとって理想的な硬化時間は、1ないし600秒、また、好ましくは1ないし60秒の範囲である。硬化時間の改質剤が存在しないフォーミュレーションに対して硬化時間を減少させ又は増加させる薬剤を含む、硬化時間の改質剤を添加することにより、硬化時間を制御することができる。硬化時間を減少させる薬剤の一例は、カルボキシメチルセルロースである。硬化時間を増加させる薬剤の一例は、グリセロールである。
【0062】
現在、加工され且つ一部の商業的シーラントにて使用されている、グルタルアルデヒドは炎症の再発を引き起こす可逆反応を受ける。これらの性質は、グルタルアルデヒドの化学的改質によって改良することができる。かかる改質の1つは、G.T.ハマーソン(Hermanson)による「生物共役技術(Bioconjugate Techniques)」に記載されたようにグルタルアルデヒドの凝縮反応を含む。この凝縮は、酸又は塩基を含む水溶性溶液中でグルタルアルデヒドの誘導体を形成するステップを含む。この反応は、約280及び234ナノメートルの紫外線分光測定法により監視することができる。280ナノメートルのとき、純粋なグルタルアルデヒドは顕著な吸収率を有し、また、0.5%の重量対容積比の水溶性溶液として測定したとき、234ナノメートルにて殆ど又は全く吸収率を示さない。グルタルアルデヒドを化学的に改質したとき、グルタルアルデヒドは234ナノメートルにて顕著な吸収率を有する。これらの誘導体は、アルブミンを含むタンパク質のような求核基質と共に使用したとき、効果的な架橋結合剤である。更に、グルタルアルデヒド誘導体から作成されたシーラントは、化学的又は機械的手段、或いは化学的及び機械的手段の組み合わせを通じてin vivoの接着剤である。
【0063】
本発明のための植え込み可能な材料は、ヒドロゲル、タンパク質又はその他の生体適合性材料から成るものとすることができ、また、患者に有益となるように病変組織内に植え込むことができる、シーラントを含む組織内に投与される任意の薬剤である。ヒドロゲルの例は、カルボキシレート系材料を含む自然の由来物から作成されたものを含む。かかる材料は、ヒアルロナン、ヒアルロン酸、アルギン酸塩、キチン、キトサン及びそれらの誘導体を含む。本発明を可能にするタンパク質は、豚アルブミンを含むアルブミン、コラーゲン、ゼラチン及び架橋結合することができ又は水の粘度よりも大きい粘度を有する溶液を形成することもできるその他のタンパク質を含む。多岐に渡るコラーゲン状組織が採用可能ではあるが、肺の柔組織及び胸膜のようなコラーゲン含有量の低いコラーゲン状組織が特に適している。のその他の植え込み可能な材料は、粘性溶液、ゲル又は固体が形成されるように2つ又はより多くの成分を混合することにより作成されたものを含む。かかる植え込み可能な材料は、タンパク質基層から作成され、ここで、タンパク質は、自然、合成又は半合成過程から得られる。タンパク質はまた、遺伝子組み換えDNA技術から得ることもでき、また、細胞培養過程から、また、遺伝子導入植物及び動物から隔離することもできる。タンパク質の例は、豚アルブミンを含むアルブミン、コラーゲン及びゼラチンを含む。植え込み可能な材料の前駆体の一部として採用される架橋結合剤は、アルデヒド、ポリアルデヒド、エステル及びタンパク質の架橋結合に適したその他の化学的官能基を含む。ホモ2官能基の架橋結合剤の例は、G.T.ハマーソンによる「生物共役技術」に記載されている。
【0064】
本発明の材料、すなわち架橋結合したタンパク質接着剤及び熱処理したグルタルアルデヒド糊は、膨潤試験を受けたとき、100以下のパーセント範囲の値を有する。膨潤試験値を決定するため、材料は水中に配置し且つ加水化するのを許容する。次に、加水化した材料を計量する。加水化した材料を計量するステップの後に、加水化した材料を乾燥させ(例えば、加熱により)、再度、計量して乾燥重量を決定する。これら2つの重量(加水化状態対乾燥状態)の比は膨潤試験結果を含み、また、材料がその重量のパーセントにて吸収することのできる水分量を示す。このように、例えば、殆どの非グルタルアルデヒド糊は、典型的に100ないし150%の膨潤試験を有し、このことは糊を水分環境にて分離させることになる。フィブリン系糊は、更に高い膨潤試験値を有する。本発明の架橋結合したアルブミン系糊は、糊が水分環境内にて一層良く機能するのを可能にするより低い膨潤試験値を有し、膨潤試験値は、−50%ないし100%の範囲にある。
【0065】
架橋結合剤及び基層を含むインプラント構成要素は、pHを調節し且つ(又は)1ないし500mMの適宜な緩衝剤を添加することにより、5ないし10の範囲のpHにて調合することができる。緩衝剤の例は、リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、ホウ酸塩又はイミダゾール又はそれら混合体を含む。更に、1つ又はより多くの成分の安定性を向上させるため、添加剤又は安定化剤を添加することができる。更に、材料を検出することを許容するため、造影剤を添加することもできる。かかる造影剤は、ヨード、ヨード化合物、ガドリニウムのような金属、放射線同位体及びガンマシンチグラフィー、磁気共鳴映像法、蛍光透視法、CT、SPECT及びその他の画像形態用のその他の化合物を含む。更に、材料は、機械的性質が植え込み可能な材料が適用される特定の組織にて適用するのに適するように調合することができる。かかる性質は、弾性、弾性率、剛性、脆弱性、歪み、凝集、接着及び応力を含む。性質を改質する薬剤は、フィラー、可塑性剤、及び接着改質剤を含む。更に、インプラントは、自然の応答性を誘発させ得るようにインプラントに添加することのできる化学剤を添加し又は添加せずに、自然の接着機構を誘発させることもできる。かかる薬剤は、100nmないし1ミリメートルの範囲の粒子を含む。薬剤は、また、自然の応答を誘発させる化学的又は生物化学的剤(タンパク質又は核酸)を含む。かかる薬剤の例は、ブレオマイシン、サイトカイン及びケモカイン、及び単鎖RNA分子を含む。
【0066】
一部の実施の形態において、生体液のような水溶性流体の存在下にて膨張し又は膨潤する生物分解性シーラントを使用することが望ましいであろう。この型式の一般的に使用されているシーラントは、自然及び合成ヒドロゲルの双方を含む。合成ヒドロゲルは、次の型式のポリマーから作成することができ、またこれらは、全体として非生物分解性であると考えられる。すなわち、ポリ(グリセリルメタクリル樹脂)ポリ(アクリルアミド)及びポリ(メタアクリルアミド)及び誘導体ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、アニオン性及びカチオン性ヒドロゲルポリ(ビニルアルコール)ポリ(エチレングリコール)ジアクリレートのようなポリ(ヒドロキシアルキルメチルアクリレート)、及びポリ(エチレンオキサイド)−ポリ(プロピレンオキサイド)−ポリ(エチレンオキサイド)及びポリ(プロピレンオキサイド)−ポリ(エチレンオキサイド)−ポリ(プロピレンオキサイド)ブロックから構成されたブロック共ポリマーからのそれぞれ誘導体である。これら材料の全ては、エチレングリコールジメタアクリレート又はメチレン−ビス−アクリルアミドのような薬剤と架橋結合することができる。生物分解性の合成ヒドロゲルは、次のモノマーの1つ又はより多くを含有することにより上述したもののようなポリマーから作成することができる。すなわち、グリコリド、ラクチド、e−カプロラクトン、p−ジオキサノン及びトリメチレンカルボネートレン(Trimethylene Carbonateln)添加物である。自然の生成物に基づく一例としてのヒドロゲルは、ゼラチンのようなポリペプチド及びでん粉及びデキストランのような多糖類を含む。これら自然の生成物は、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド及び種々のその他のジアルデヒドと架橋結合することにより更に処理することができる。
【0067】
本発明の生物学的に適合可能なシーラントはまた、検出可能な標識を備えることもできる。本発明にて使用するのに適した検出可能な標識は、分光測定法、光化学的、生物化学的、免疫学的、電気、光学又は化学的手段によって検出可能な任意の組成物を含む。当該技術にて多岐に亙る検出可能な標識が既知であり、これらは、発光標識、放射性同位体標識、及び酵素系標識を含む。好ましい実施の形態において、蛍光性の染料又は標識を採用することを望むであろう。これら一例としての標識は、当該技術の当業者に周知の多数の手段によって組み込むことができる。これと代替的に、標識は、シーラント分子に対して化学的に共役させてもよい。
【0068】
胸膜領域を映像化するため、検出可能な標識を使用することが特に望ましい。特定の映像化手段は、使用される特定の標識の型式に依存する。例えば、放射性標識はX線影像法により検出することができる。蛍光性標識は当該分野の当業者が一般的に採用する蛍光透視装置アレイによって検出することができる。
【0069】
理想的には、シーラントの組成物は、シーラントが湿った組織環境にて機能することを可能にするものとする。当該技術にて既知であり且つ上述したように、フィブリン糊単独では、湿った環境にて十分に作用せず、このため、その湿った環境にて機能し得ないことを理由として多くの医療分野にて使用することが放棄されていた。装置及び方法と組み合わせて使用される本発明のシーラントは、湿った環境にて優れた接着性を提供する。シーラントの接着性は、フィブリンが湿った組織にて提供する低い閾値を上回る。
【0070】
装置及び方法と共に使用される適宜なシーラントを決定するとき、薄いコラーゲン系組織(例えば、幅25.4mm(1インチ)×長さ50.8mm(2インチ))の2つの片を水(HO)又は食塩水に浸漬させる。次に、試験すべき糊又は接着剤を片の1つの表面に取り付け、その2つの片を水浴中で互いに配置する。試験環境及び材料は、19.44ないし20.55℃(67ないし69°F)に維持する。コラーゲンの2つの層の間の糊又はシーラントの接合部は、組織を流体から除去する2分間以内に、乾燥による利点を伴わずに、除去する。試験部分は、両端から伸びる余剰な組織と糊付けされる、重層する6.5416平方センチメートル(1平方インチ)のものであり、このため、2つの片を独立的に把持することができる。端部を把持し且つ反対方向に引張って25.4mm(1インチ)の部分をせん断するのに必要な力を試験する。その結果は、せん断応力又はせん断圧力として測定し、単位面積当たりのポンド力として記録する。この方法を使用して試験した、現在利用可能なフィブリン糊は、約0.0ないし1.379kPa(0.2ポンド力/平方インチ)にて破断する。本発明に適した組成物を有するシーラント及び糊は、フォーミュレーションに依存して0.2以上及び3.0以上のレベルにて破断する。
【0071】
別の実施の形態にて使用するのに適したシーラントを決定するとき、そのシーラントは、MEM回避試験及び寒天重層試験に基づいて、生体適合性を試験する。
MEM回避試験において、約<0.5mm:120cmの均一な表面積及び厚さを有する固体、>0.5mm:60cmの均一な表面積及び厚さを有する固体、均一な表面積無しの4グラムの固体又は10mL以内の液体を試験する。試料は、血漿補充した哺乳類細胞培養媒質(MEM)内にて抽出する。抽出は、所望であれば、血漿無しにて0.9%食塩水又は細胞培養媒質内にて実行することができる。次に、試料は5±1%CO内にて37±1℃にて24ないし25時間にて抽出する。次に、抽出液をろ過し、L−929細胞の単一層(マウスの線維芽細胞)と接触する位置に配置する。細胞は、48±3時間、72±3時間、又は所望の任意の培養時間、5±1%CO内で37±2℃にて培養する。次に、細胞変性効果について細胞の点数を付ける。L929細胞系は、その試験用として最も一般的に使用されるが、当該技術の当業者により理解されるように、その他の細胞系も同様に適している。
【0072】
300mm又は300mgの固体及び3mLの液体に対し寒天重層試験が通常、使用される。寒天重層試験において、細胞培養媒質と混合させた寒天層をL929細胞(マウスの線維芽細胞)の単一層の頂部に配置する。試料は、寒天層の頂部に配置する。細胞は、5±1%CO内にて37±1℃にて最小限24時間培養する。細胞変性効果について細胞の点数を付ける。L929細胞系は、試験のため最も一般的に使用される。しかし、当該技術の当業者に理解されるように、本発明の範囲から逸脱せずに、その他の細胞系を使用することができる。
【0073】
MEM回避試験又は寒天重層試験結果の何れかを使用して、組成物中の接着状態を向上させるためシーラントがグルタルアルデヒドを有する場合でさえ、シーラントは、0ないし4のスケールにて0又は1の細胞毒性を有する必要がある。 当該方法を実施するとき、生物学的に適合可能なシーラントを肺に施すと同時に、装置を除去することを選択することができる。これと代替的に、生物学的に適合可能なシーラントは、時間の経過が気胸の顕著な危険性を引き起こさない限り、装置を除去した直後に施してもよい。上述したように、本発明の装置は、治療介入のため使用することができる。従って、一部の実施の形態において、調剤組成物を送り出すためにのみ、又は非限定的に、映像化及び生体組織検査法を含む診断介入法と組み合わせて当該方法が実施される。所望であるならば、選んだ調剤組成物は、肺の1つ以上の葉部、すなわち右上葉部、右中間葉部、右下葉部、左上葉部及び(又は)左下葉部に送り出すことができる。好ましい実施の形態において、調剤組成物は、所望の効果を提供するのに治療上有効である活性な成分量を備えている。調剤組成物の非限定的な例は、抗炎症薬、化学療法薬、免疫抑制剤、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、精神安定剤、抗不安薬、麻薬拮抗薬、片頭痛薬、心臓発作、脳血管拡張薬又は抹消血管拡張剤、ホルモン剤、抗血栓剤、利尿薬、血圧降下薬、心臓脈管薬、オピオイド、及び同様のものである。好ましい調剤組成物は、慢性障害肺疾患及び肺癌を含むが、これらにのみ限定されない肺の疾患を治療する治療薬である。
【0074】
投与した薬理学的に活性な成分及び使用した投薬量は、勿論、選んだ特定の薬剤、年齢及び全身状態、試験される被験者の薬理学的状態、被験者の状態の重症度及び処方する外科医の判断に依存することになろう。
【0075】
特定の一例としての実施の形態及び特定の一例としての実施方法に関する上記の説明は、当該技術の通常の知識を有する外科医に対する1つの指針として掲げたものであり、何ら限定することを意味するものではない。
【0076】
本発明の好ましい実施の形態を本明細書にて示し且つ説明したが、当該技術の当業者には、かかる実施の形態は単に一例としてのみ掲げたものであることが明らかであろう。本発明から逸脱せずに、今や、多数の改変例、変更及び置換が当該技術の当業者により案出されよう。本明細書に記載した本発明の形態に対する色々な代替的な実施の形態は、本発明を実施するときに採用可能であることも理解すべきである。特許請求の範囲は、本発明の範囲を規定するものであり、これら請求の範囲及びその等価物に属する方法及び構造体がこれによってカバーされることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】1Aないし1Dは、血液が胸膜空間に入ることにより引き起こされる血胸の例と共に、呼吸系の解剖学的形態を示す図である。
【図2】2A及び2Bは、装置が胸膜に穴を開ける術を実行する間の肺を示す図である。
【図3】3A及び3Bは、経胸腔的術を実行する間、大きい気胸に進行した小さい気胸の像を示す図である。
【図4】4A及び4Bは、装置を除去するとき、装置が入口管を密封する、肺の内部にアクセスするため胸膜に侵入する装置を示す図である。
【図5】胸膜のようなターゲット組織位置に対する色々な位置の箇所にアクセスするためアクセス箇所を予め治療すべく使用される装置の図である。
【図6】シーラントにて予め治療した胸膜に侵入するワイヤースタイレットを有する装置の図である。
【図7】肺組織にアクセスするため、シーラントにて予め治療した胸膜に侵入する吸引注射器と連通し得るようにされた装置の図である。
【図8】8Aは、予め治療した胸膜に侵入するカニューレを通して肺組織を除去する治療装置の図である。
【0078】
8Bは、除去する間、その入口管を密封する装置を除去する状態を示す図である。
【図9】9A及び9Bは、低温外科手術用プローブと接続し得るようにされた装置の図である。
【図10】組織を除去するカッター及び真空トラップと接続し得るようにされた装置の図である。
【図11】シーラントの送り出し要素と共に診断及び治療用途にて使用するのに適したツールの図である。
【図12】12Aは、送り出す前に、シーラント成分を保持する二重チャンバを有する送り出し装置と、デリバリーカテーテルとの図である。
【0079】
12Bは、混合チャンバと、装置のデリバリートロカールとを示す図である。
【図13】本発明に基づいて実施される方法のステップを示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセス穴を通して被験者のターゲット組織にアクセスし得るようにされた細長い本体と、架橋結合した組織シーラントと、架橋結合した組織シーラントをアクセス穴を通して送り出し得るようにされたシーラントの送り出し要素とを備えるシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
被験者に治療法を施し得るようにされた、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、
被験者にて診断を実行し得るようにされた、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、
シーラントの送り出し要素は、標的組織にて治療法を実行する前に、シーラントをターゲット組織まで送り出し得るようにされる、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、
シーラントの送り出し要素は、システムを除去したとき、シーラントをアクセス穴まで送り出し得るようにされる、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、
シーラントの送り出し要素は、標的組織にて診断を実行する前に、シーラントをターゲット組織まで送り出し得るようにされる、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムにおいて、
細長い本体は、末端と、基端とを有し、該末端は組織を切開又は切除する(excising)切断要素(cutting element)を備える、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムにおいて、
切断要素は、針、把持器、鉗子、メス、掻破器、鋏、ブラシ、アブレーションツール、RFループ、ヒータ、レーザアブレーション、プローブ、機械的切開又は切除装置、x線、放射線及び低温外科手術用プローブから成る群から選ばれた要素を備える、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、
標的組織を映像化し得るようにされた、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、
調剤組成物をターゲット組織まで送り出し得るようにされた、システム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムにおいて、
その内部に細長い本体が配設されるスリーブを更に備える、システム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムにおいて、
架橋結合したシーラントは血栓形成カスケード(clotting cascade)を加速する、システム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムにおいて、
シーラントは、ヒドロゲル、タンパク質、ポリマー及び架橋結合剤から成る群から選ばれた材料を備える、システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムにおいて、
ヒドロゲル材料は、ヒアルロナン(hyalurons)、ヒアルロン酸、アルギン酸塩、キチン、キトサン及びそれらの誘導体の群から選ばれた材料を備える、システム。
【請求項15】
請求項13に記載のシステムにおいて、
タンパク質材料は、アルブミン、豚アルブミン、コラーゲン及びゼラチンから成る群から選ばれた材料を備える、システム。
【請求項16】
請求項13に記載のシステムにおいて、
ポリマー材料は、ポリ(乳酸)及びポリ(グリコリド)から成る群から選ばれた材料を備える、システム。
【請求項17】
請求項13に記載のシステムにおいて、
架橋結合剤材料は、グルタルアルデヒド及び安定的なポリアルデヒドから成る群から選ばれた材料を備える、システム。
【請求項18】
請求項1に記載のシステムにおいて、
架橋結合したシーラントは、1.379kPa(0.2psi)以上の接着力を有する、システム。
【請求項19】
請求項1に記載のシステムにおいて、
架橋結合したシーラントは、1.379kPa(0.2psi)ないし4.137kPa(0.6psi)の範囲の接着力を有する、システム。
【請求項20】
請求項1に記載のシステムにおいて、
架橋結合したシーラントは、4.137kPa(0.6psi)ないし20.684kPa(3.0psi)の範囲の接着力を有する、システム。
【請求項21】
請求項1に記載のシステムにおいて、
架橋結合した組織シーラントは、検出可能な標識(label)を更に備える、システム。
【請求項22】
請求項21に記載のシステムにおいて、
検出可能な標識は、酵素、放射性同位体又は発光物質である、システム。
【請求項23】
請求項1に記載のシステムにおいて、
架橋結合したシーラントは、1.1センチポアズ以上の粘度を有する、システム。
【請求項24】
アクセス穴を通して肺の内側部分又は肺の取り巻く組織と接触し得るようにされた細長い本体と、グルタルアルデヒド系シーラントと、グルタルアルデヒド系シーラントをアクセス穴を通して送り出し得るようにされた、前記アクセス穴を閉塞する穴閉塞要素とを備える、肺装置システム。
【請求項25】
請求項24に記載の肺装置システムにおいて、
グルタルアルデヒド系シーラントは、熱処理される、肺装置システム。
【請求項26】
請求項24に記載の肺装置システムにおいて、
穴閉塞要素は、肺と胸膜との間の空間内への空気又は流体の漏洩を緩和し得るようにされた、肺装置システム。
【請求項27】
請求項24に記載の肺装置システムにおいて、
穴閉塞要素は、気胸(pneumothorax)を緩和する、肺装置システム。
【請求項28】
請求項24に記載の肺装置システムにおいて、
穴閉塞要素は血胸(hemothorax)を緩和する、肺装置システム。
【請求項29】
請求項24に記載の肺装置システムにおいて、
装置は組織を切開又は切除し得るようにされる、肺装置システム。
【請求項30】
請求項24に記載の肺装置システムにおいて、
装置は身体組織を映像化し得るようにされる、肺装置システム。
【請求項31】
請求項24に記載の肺装置システムにおいて、
装置は調剤組成物を肺に送り出す、肺装置システム。
【請求項32】
請求項24に記載の肺装置システムにおいて、
シーラントは血栓形成カスケードを開始させ又は加速する、肺装置システム。
【請求項33】
請求項24に記載の肺装置システムにおいて、
細長い本体は、末端と、基端とを有し、該末端は切断要素を備える、肺装置システム。
【請求項34】
請求項24に記載の肺装置システムにおいて、
切断要素は、針、把持器、鉗子、メス、掻破器、鋏、ブラシ、アブレーションツール、RFループ、ヒータ、レーザアブレーション、プローブ、機械的切開又は切除装置、x線、放射線及び低温外科手術用プローブから成る群から選ばれた要素を備える、肺装置システム。
【請求項35】
請求項24に記載の肺装置システムにおいて、
その内部に細長い本体が配設されるスリーブを更に備える、肺装置システム。
【請求項36】
請求項24に記載の肺装置システムにおいて、
穴閉塞要素は注射器を備える、肺装置システム。
【請求項37】
請求項24に記載の肺装置システムにおいて、
グルタルアルデヒド系シーラントは組織接合材料である、肺装置システム。
【請求項38】
請求項24に記載の肺装置システムにおいて、
グルタルアルデヒド系シーラントは、1.379kPa(0.2psi)以上の接着力を有する、肺装置システム。
【請求項39】
請求項24に記載の肺装置システムにおいて、
グルタルアルデヒド系シーラントは、1.379kPa(0.2psi)ないし4.137kPa(0.6psi)の範囲の接着力を有する、肺装置システム。
【請求項40】
請求項24に記載の肺装置システムにおいて、
グルタルアルデヒド系シーラントは、4.137kPa(0.6psi)ないし20.684kPa(3.0psi)の範囲の接着力を有する、肺装置システム。
【請求項41】
請求項24に記載の肺装置システムにおいて、
グルタルアルデヒド系シーラントは、検出可能な標識を更に備える、肺装置システム。
【請求項42】
請求項41に記載の肺装置システムにおいて、
検出可能な標識は、酵素、放射性同位体及び発光物質である、肺装置システム。
【請求項43】
請求項24に記載の肺装置システムにおいて、
グルタルアルデヒド系シーラントは、1.1センチポアズ以上の粘度を有する、肺装置システム。
【請求項44】
請求項24に記載の肺装置システムにおいて、
シーラントは、ヒドロゲル、タンパク質、ポリマー及び架橋結合剤から成る群から選ばれた材料を備える、肺装置システム。
【請求項45】
請求項44に記載の肺装置システムにおいて、
ヒドロゲル材料は、ヒアルロナン、ヒアルロン酸、アルギン酸塩、キチン、キトサン及びそれらの誘導体の群から選ばれた材料を備える、肺装置システム。
【請求項46】
請求項44に記載の肺装置システムにおいて、
タンパク質材料は、アルブミン、豚アルブミン、コラーゲン及びゼラチンから成る群から選ばれた材料を備える、肺装置システム。
【請求項47】
請求項44に記載の肺装置システムにおいて、
ポリマー材料は、ポリ(乳酸)及びポリ(グリコリド)から成る群から選ばれた材料を備える、肺装置システム。
【請求項48】
請求項44に記載の肺装置システムにおいて、
架橋結合剤材料は、グルタルアルデヒド及び安定的なポリアルデヒドから成る群から選ばれた材料を備える、肺装置システム。
【請求項49】
被験者にて組織の治療又は診断を実行する方法において、
架橋結合したシーラントを送り出し得るようにされたシーラント送り出し要素を有する装置を切開部を通して被験者の体内のターゲット箇所まで送り出すステップと、
該箇所にて治療又は診断を実行するステップと、
架橋結合した組織シーラントを切開部まで送り出すステップとを備える、被験者にて組織の治療又は診断を実行する方法。
【請求項50】
請求項49に記載の方法において、
装置を切開部を通してターゲット箇所まで送り出す前に、架橋結合した組織シーラントを切開部を通して送り出すステップを更に備える、方法。
【請求項51】
請求項49に記載の方法において、
ターゲット箇所は被験者の肺である、方法。
【請求項52】
請求項49に記載の方法において、
生物学的に適合可能な架橋結合した組織シーラントを肺に施すと同時に、組織を除去するステップを更に備える、方法。
【請求項53】
請求項49に記載の方法において、
シーラントの送り出し要素は、肺と胸膜との間の空間内への空気の漏洩を緩和し得るようにされた、方法。
【請求項54】
請求項49に記載の方法において、
シーラントの送り出し要素は、気胸を緩和し得るようにされる、方法。
【請求項55】
請求項49に記載の方法において、
シーラントの送り出し要素は、血胸を緩和し得るようにされる、方法。
【請求項56】
請求項49に記載の方法において、
装置は、映像化要素を更に備える、方法。
【請求項57】
請求項49に記載の方法において、
装置は、調剤組成物を肺まで送り出し得るようにされた送り出し要素を更に備える、方法。
【請求項58】
請求項49に記載の方法において、
肺装置は、組織を切開又は切除する切断要素を有する末端を備えており、
組織を除去するステップを備える、方法。
【請求項59】
請求項49に記載の肺の生体組織検査法を実行する方法において、
シーラントの送り出し要素は注射器である、肺の生体組織検査法を実行する方法。
【請求項60】
請求項49に記載の肺の生体組織検査法を実行する方法において、
シーラントの送り出し要素はプランジャである、肺の生体組織検査法を実行する方法。
【請求項61】
請求項49に記載の肺の生体組織検査法を実行する方法において、
生物学的に適合可能な架橋結合した組織シーラントは組織接合材料である、肺の生体組織検査法を実行する方法。
【請求項62】
請求項49に記載の方法において、
シーラントは、ヒドロゲル、タンパク質、ポリマー及び架橋結合剤から成る群から選ばれた材料を備える、方法。
【請求項63】
請求項62に記載の方法において、
ヒドロゲル材料は、ヒアルロナン、ヒアルロン酸、アルギン酸塩、キチン、キトサン及びそれらの誘導体の群から選ばれた材料を備える、方法。
【請求項64】
請求項62に記載の方法において、
タンパク質材料は、アルブミン、豚アルブミン、コラーゲン及びゼラチンから成る群から選ばれた材料を備える、方法。
【請求項65】
請求項62に記載の方法において、
ポリマー材料は、ポリ(乳酸)及びポリ(グリコリド)から成る群から選ばれた材料を備える、方法。
【請求項66】
請求項62に記載の方法において、
架橋結合剤材料は、グルタルアルデヒド及び安定的なポリアルデヒドから成る群から選ばれた材料を備える、方法。

【公表番号】特表2008−505709(P2008−505709A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520517(P2007−520517)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/024173
【国際公開番号】WO2006/014568
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(506413203)ヌームアールエックス・インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】