説明

密閉型電池

【課題】蓋体とケース本体との合わせ目をレーザ溶接する際に該蓋体上の樹脂部材が変色する事象を防止して、外観品質に優れた密閉型電池を提供する。
【解決手段】ケース本体21と蓋体22との合わせ目25が蓋体22の外面22A側にあり、その合わせ目25がレーザ溶接された密閉型電池10が提供される。電池10の電極体に接続された端子40は、蓋体22の貫通孔から外部に引き出され、外側樹脂部材60によって蓋体外面22Aと隔てられている。合わせ目(溶接部)25と外側樹脂部材60との間は遮蔽部26により遮られている。遮蔽部26の上端の高さは、溶接部25と外側樹脂部材60の上端とを結ぶ直線の高さ以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極体が外装ケースに収容された密閉型電池に関する。
【背景技術】
【0002】
正極および負極を備えた電極体が外装ケース内に密閉された形態の電池が知られている。かかる形態を有する電池の一つの代表的な構成では、上記外装ケースが、開口部を有するケース本体と、その開口部に溶接(典型的にはレーザ溶接)された蓋体とを備える。この種の電池に関する技術文献として特許文献1が挙げられる。電池のレーザ溶接に関連する技術文献として、特許文献2,3が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−282847号公報
【特許文献2】特開2007−207453号公報
【特許文献3】特開2002−292486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された電池は、図12に示すように、蓋体22の貫通孔(端子引出孔)242から端子40が引き出されており、その端子40と蓋体22の外面22Aとは外側樹脂部材60により隔てられて絶縁されている。一般に、外側樹脂部材60の構成材料としては、電解液に対する耐性、耐熱性、強度等の観点から、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)が広く用いられている。ケース本体(ケース本体)21と蓋体22との合わせ目(すなわち溶接部)25は、蓋体22の側方(ケース本体21の側面側)に設けられている。
【0005】
この合わせ目25を、図2に示すように蓋体22の外面22A側とすると、レーザ溶接を一方向(蓋体外面22A側;図2では図の上方)から行うことができる。このことは電池の生産性向上等の観点から有利である。しかしながら、本発明者は、図2に示すように蓋体上に外側樹脂部材60(典型的にはPPS製)が配置された構造の電池では、蓋体外面22A側にある合わせ目25にレーザを照射して溶接すると外側樹脂部材60が黒っぽく変色する不都合が生じることを見出した。かかる変色は、電池の外観品質を低下させるので好ましくない。
【0006】
そこで本発明は、蓋体の端子引出孔から端子が引き出され、その引き出された端子と該蓋体とを隔てる外側樹脂部材を有し、該蓋体がその外面側からケース本体にレーザ溶接された密閉型電池(典型的には二次電池)において、上記外側樹脂部材が溶接により変色する事象を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により提供される密閉型電池は、開口部を有するケース本体と、前記ケース本体に収容された電極体と、前記ケース本体の開口部に固定された蓋体と、前記電極体に電気的に接続された端子と、前記端子と前記蓋体の外面とを隔てる外側樹脂部材と、を備える。前記蓋体は貫通孔(端子引出孔)を有し、前記端子は該貫通孔を通って前記電池の外部に引き出されている。前記蓋体と前記ケース本体との合わせ目は前記蓋体の外面側にあり、その合わせ目はレーザ溶接されている。前記電池は、さらに、前記合わせ目と前記外側樹脂部材との間を遮る遮蔽部を備える。前記遮蔽部の上端の高さは、前記合わせ目と前記外側樹脂部材の上端とを結ぶ直線の高さ以上である。
【0008】
かかる構造の電池では、上記合わせ目(すなわち、溶接用のレーザ光が照射される箇所)からみて、上記外側樹脂部材が上記遮蔽部の背後に隠れている。したがって、上記遮蔽部によって上記レーザ光の反射光や散乱光等(以下、「反射光等」と表記することもある。)から上記外側樹脂部材を遮蔽し、上記反射光等に起因する外側樹脂部材の変色(光による焼け、焦げ等)を防止または軽減することができる。
【0009】
ここに開示される技術は、あらかじめ外側樹脂部材が配置された蓋体をケース本体にレーザ溶接してなる密閉型電池に好ましく適用され得る。かかる密閉型電池は、例えば、前記電極体に接続された端子が前記外側樹脂部材を介して前記蓋体と一体化された蓋体ユニットを作製し、該蓋体ユニットを構成する蓋体外面の外縁と前記ケース本体との合わせ目をレーザ溶接してなる電池であり得る。このような電池では、本発明を適用して外側樹脂部材の変色を防止することが特に有意義である。
【0010】
上記遮蔽部の形態および配置は特に限定されない。例えば、上記遮蔽部が蓋体に固定された態様、上記遮蔽部が上記外側樹脂部材の表面に固定された態様、等を適宜採用することができる。前者の例としては、上記遮蔽部が蓋体と一体にプレス成形された態様、遮蔽部形成用の部材(遮蔽部材)が蓋体と一体に溶接された態様、等が挙げられる。後者の例としては、上記外側樹脂部材のうち少なくとも上記合わせ目に対向する表面に金属テープを貼り付け、その金属テープを遮蔽部として利用する態様が挙げられる。金属テープとしては、樹脂フィルム上に金属層(典型的には金属蒸着層)を有する金属層付フィルムを基材とし、該基材の片面に粘着剤層が設けられたもの等を使用することができる。上記基材が金属箔であってもよい。後者の他の例としては、上記外側樹脂部材の表面を金属層で被覆し、該金属層を遮蔽部として利用する態様が挙げられる。上記金属層は、金属の蒸着、メッキ、金属粉末を含むコーティング剤の塗布、等により形成されたものであり得る。
【0011】
好ましい一態様では、上記遮蔽部が上記蓋体と一体にプレス成形されている。かかる態様は、部品点数を増やすことなく上記遮蔽部を設けることができるので好都合である。
【0012】
ここに開示される技術の好ましい適用対象として、前記ケース本体および前記蓋体が扁平な角型の外装ケースを形成しており、その幅狭面の一つに前記蓋体が用いられている密閉型電池が挙げられる。かかる形態の電池では、蓋体が細長形状であるため、溶接部(すなわち、蓋体とケース本体との合わせ目)と外側樹脂部材との距離が小さくなりがちである。したがって、本発明を適用して外側樹脂部材の変色を防止することが特に有意義である。
【0013】
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記外側樹脂部材は前記蓋体の長手方向端部に配置されており、前記遮蔽部は、前記蓋体と一体に、該蓋体の両方の長辺および一方の短辺に沿う三方向から前記外側樹脂部材を囲むように設けられている。かかる態様によると、上記三方向に設けられた遮蔽部によって、外側樹脂部材のうち合わせ目(溶接部)に近い箇所を、上記反射光等から効果的に遮蔽することができる。かかる態様において、上記遮蔽部のうち前記蓋体の一方の短辺に沿う部分は、該遮蔽部のうち前記蓋体の両方の長辺に沿う部分とは不連続に(換言すれば、隙間をあけて)形成することができる。このことによって、蓋体の上面に結露水等が溜まる事象を防止することができる。
【0014】
ここに開示される密閉型電池の好ましい一態様において、該電池は、頭部と脚部とを有するボルトであって前記端子の外側端部に設けられたボルト挿通孔に前記脚部を挿通させて配置されたボルトをさらに備える。前記外側樹脂部材は、前記貫通孔を囲む蓋体外面と前記端子との間に挟まれる取付部と、前記端子の外側端部に沿って延びる延長部とを有する。前記外側樹脂部材の延長部には、前記ボルトの前記頭部を受け入れ且つ該ボルトの回転を制限するボルト受け穴が形成されている。そして、前記遮蔽部は、前記外側樹脂部材が前記ボルトとともに回転する(共回りする)ことを阻止し得るように設けられている。かかる態様によると、上記遮蔽部によって、外側樹脂部材の変色を防止するとともに、前記外側樹脂部材の共回りを阻止することができる。これにより、上記ボルトを利用した締結を効率よく且つ高精度に行うことができる。
【0015】
本発明によると、また、ここに開示されるいずれかの電池を単電池とし、該単電池を複数備えてなる組電池が提供される。それらの単電池の端子間は、接続部材を介して接続されている。好ましい一態様では、上記単電池は上記ボルトを備えた態様の密閉型電池であり、前記接続部材は、該接続部材のボルト挿通孔に前記ボルトの脚部を通してナットを締め付けることにより前記端子の外側端部に締結されている。かかる態様の組電池は、外側樹脂部材の変色が防止されているので外観品質に優れる。また、前記遮蔽部によって前記外側樹脂部材が前記ボルトとともに回転することが阻止された態様では、さらに、品質安定性向上(形状および性能のバラツキ低減)および生産性向上の少なくとも一方の効果が実現され得る。
【0016】
なお、本明細書において「二次電池」とは、リチウムイオン二次電池、金属リチウム二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する概念である。また、「非水電解質二次電池」とは、非水電解質(典型的には、非水溶媒中に支持塩(支持電解質)を含む電解質)を備えた電池をいう。また、「リチウム二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間のリチウムイオンの移動により充放電する二次電池をいう。一般にリチウムイオン電池と称される二次電池は、上記リチウム二次電池に包含される典型例である。ここに開示される技術は、典型的には密閉型の非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)に適用される。
【0017】
ここに開示されるいずれかの密閉型電池(例えばリチウムイオン二次電池)は、典型的には組電池の形態で、車両に搭載される電源として好ましく使用され得る。例えば、ハイブリッド自動車、電気自動車のような電動機を備える自動車等の車両に搭載されるモータ用の電源(典型的には駆動電源)として好適である。したがって、本発明によると、ここに開示されるいずれかの密閉型電池(組電池の形態であり得る。)を備えた車両(例えば自動車)が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態に係る密閉型電池を示す部分断面図である。
【図2】図1の一部を拡大して示す断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】一実施形態に係る外側樹脂部材を示す平面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】一実施形態に係る密閉型電池の蓋体および端子を示す分解斜視図である。
【図7】外側樹脂部材の高さと遮蔽部の高さとの関係を示す説明図である。
【図8】一実施形態に係る組電池の一部を示す側面図である。
【図9】一実施形態に係る組電池の一部を示す平面図である。
【図10】他の実施形態に係る密閉型電池の一部を拡大して示す断面図である。
【図11】一実施形態に係る電池を搭載した車両(自動車)を示す模式的側面図である。
【図12】従来の密閉型電池を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0020】
特に限定することを意図したものではないが、以下では主として本発明を扁平な角型の外装ケースを備えたリチウムイオン二次電池に適用する場合を例として、本発明をより詳細に説明する。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。
【0021】
図1,2に示すように、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池10は、扁平な直方体形状(すなわち角型)の外装ケース20に、所定の電池構成材料(正負極それぞれの集電体に正負極それぞれの活物質が保持されたシート状の電極、セパレータ等)を具備する捲回電極体30が、適当な電解液(図示せず)とともに収容された構成を有する。
【0022】
<外装ケース>
外装ケース20は、上記扁平直方体形状における幅狭面の一つが開口部21Aとなっている箱形(すなわち有底四角筒状)のケース本体21と、その開口部を塞ぐ蓋体22とを備える。詳しくは、本体21の開口部21Aに蓋体22が嵌め込まれ、蓋体22の外面22Aの外縁と開口部21A周囲の本体21との合わせ目25をレーザ溶接することにより蓋体22が本体21に固定されている。かかるレーザ溶接は、図2,3に示すように、蓋体外面22Aに対して非平行な方向(すなわち外面22Aと交差する方向、典型的には合わせ目25の上方(図2,3の上方))からレーザ光を照射することにより行われる。エネルギー効率等の観点から、レーザ照射方向と蓋体外面22Aとのなす角θは、典型的には60度〜120度程度であり、通常は75度〜105度(例えば80度〜100度)程度とすることが適当である。
【0023】
ケース20を構成する材質は、本体21と蓋体22との合わせ目(溶接部)25を溶接により接合し得る限り、一般的なリチウムイオン二次電池で使用されるものと同様のもの等を適宜使用することができる。放熱性等の観点から、本体21および蓋体22のほぼ全体が金属製(例えばアルミニウム製、ステンレススチール(SUS)製、スチール製等)であるケース20を好ましく採用し得る。ここに開示される技術は、本体21および蓋体22のほぼ全体がアルミニウム製である電池(例えばリチウムイオン二次電池)に好ましく適用され得る。SUS等に比べてアルミニウムは熱伝導率が高い(熱が逃げやすい)ので、レーザ溶接に要するエネルギーが多くなりがちであるところ、ここに開示される技術によると、このように高エネルギーが付与される溶接態様においても、外側樹脂部材60の変色を効果的に防止することができる。本実施形態に係る電池10では、本体21および蓋体22がいずれもアルミニウム製である。
【0024】
蓋体22の外形は、開口部21Aの形状(本体21の開口形状)に適合する略長方形状である。蓋体22の長手方向の一端および他端には、正極用および負極用の端子引出孔(貫通孔)242,244が設けられている。蓋体22の外面22Aには、端子引出孔242,244から引き出された正負の端子40,80と蓋体外面22Aとの間を隔てる外側樹脂部材60が配置されている。
【0025】
蓋体22の上面には、外側樹脂部材60を三方向から囲む遮蔽部26が、蓋体22と一体にプレス形成されている。遮蔽部26は、蓋体22の短辺に沿って直線状に設けられた第一壁部26Aと、蓋体22の両長辺に沿って直線上に設けられた第二壁部26Bおよび第三壁部26Cとから構成されている。この遮蔽部26については後に詳しく説明する。
【0026】
ここに開示される技術は、例えば、蓋体22の幅(上記略長方形状における短辺の長さ;図4,6参照)W0が凡そ10mm〜28mm(好ましくは10mm〜15mm)である電池に好ましく適用され得る。このように蓋体22の幅W0が比較的狭い電池では、蓋体22の幅方向において、外側樹脂部材60の外縁から合わせ目(溶接部)25までの距離D1(図4参照)が短くなりがちである。したがって、ここに開示される技術を適用して外側樹脂部材60の変色を防止することが特に有意義である。本実施形態における蓋体22は、幅(W0)12.5mm、長さ136mmの長方形状である。
【0027】
特に限定するものではないが、蓋体22の厚み(板厚)は、例えば0.3mm〜2mm(典型的には0.5mm〜2mm)程度であり得る。蓋体22の厚さが0.5mm以上1.5mm未満であってもよい。また、本体21の厚み(板厚)は、例えば0.5mm〜3mm程度とすることができ、典型的には1mm〜3mmである。本実施形態に係る電池10では、本体21を構成するアルミニウム材の板厚が0.4mmであり、蓋体22を構成するアルミニウム材の板厚が0.7mmである。
【0028】
<捲回電極体>
捲回電極体30は、ケース本体21に、軸が横倒しとなる姿勢(すなわち、上記開口部が捲回軸に対して横方向に位置する向き)で収容されている。その電極体30の捲回軸両端には正極端子40および負極端子80がそれぞれ接続されている。これらの電極端子40,80は、端子引出孔242,244をそれぞれ貫通して、外装ケース20の内部から外部に引き出されている。すなわち、本実施形態では、正負の電極端子40,80が、扁平な角形の外装ケース20の幅狭面の一つ(端子引出面)を形成する蓋体22から外部に引き出されている。正極端子40は、図1、2、6に示すように、主としてケース20の内側に位置する正極内部端子420と、主としてケース20の外側に位置する正極外部端子460とが接続された構成を有する。負極端子80もまた、正極側と概ね同形状に形成された負極内部端子820と負極外部端子860とが接続された構成を有する(図1参照)。
【0029】
蓋体(端子引出面)22には、端子引出孔242,244の間(本実施形態では、端子引出面22の長手方向の略中央)に、ケース20の内圧が上昇した場合に該ケースの内外を連通させて内圧を開放するための安全弁27が設けられている。本実施形態における安全弁27は、蓋体22の開口部246を塞ぐように取り付けられた金属製(例えばアルミニウム製)のシートを主体に構成され、該シートに設けられた線状(例えば、二つのY字の下端を向かい合わせた形状)の薄肉部がケースの内圧を受けて破断することで該内圧を開放し得るようになっている。
【0030】
捲回電極体30は、通常のリチウムイオン二次電池の捲回電極体と同様、シート状の正極(正極シート)32および負極(負極シート)34を計二枚のシート状のセパレータ(セパレータシート)36とともに積層して長手方向に捲回し、得られた捲回体を側面方向から押圧して拉げさせることによって作製され得る。正極シート32と負極シート34とは幅方向に位置をややずらして、セパレータシート36の幅方向の一端および他端からシート32,34の幅方向の一端がそれぞれはみ出すように積層された状態で捲回されている。その結果として、捲回電極体30の捲回軸方向の一方および他方の端部には、正極シート32の幅方向の一端が捲回コア部分31(すなわち正極シート32と負極シート34とセパレータシート36とが密に捲回された部分)から外方にはみ出した部分(正極シートはみ出し部分)32Aと、負極シート34の幅方向の一端が捲回コア部分31から外方にはみ出した部分(負極シートはみ出し部分)34Aとがそれぞれ形成されている。これらのはみ出し部分32A,34Aは、典型的には、電極活物質が保持されない部分(活物質層非形成部)となっている。
【0031】
かかる捲回電極体30を構成する材料および部材自体は、従来のリチウムイオン二次電池に備えられる電極体と同様でよく、特に制限はない。本実施形態に係る正極シート32は、長尺状の正極集電体(例えばアルミニウム箔)上に正極活物質層が形成された構成を有する。この正極活物質層の形成に用いる正極活物質としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。好適例として、LiNiO,LiCoO,LiMn等のリチウム遷移金属酸化物が挙げられる。また、本実施形態に係る負極シート34は、長尺状の負極集電体(例えば銅箔)上に負極活物質層が形成された構成を有する。この負極活物質層の形成に用いる負極活物質としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。好適例として、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属窒化物等が挙げられる。上記セパレータシートの好適例としては、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。本実施形態では、正極シート32としてアルミニウム箔を、正極活物質としてLiNiOを、負極シートとして銅箔を、負極活物質として天然黒鉛を使用している。
【0032】
<電極端子>
正極シートはみ出し部分32Aには、正極内部端子420の下端422Aが、例えば超音波溶接により接続されている。この内部端子420は、下端422Aから蓋体22に対して略垂直に延びる板状(帯状)の第一リード部422と、第一リード部の上端に続いて形成され該上端から略直角に(図2では図の手前から奥側に)曲がって蓋体22の内面と略平行に広がる板状の第二リード部424と、第二リード部の板面中央部から電池の外方向に略垂直に延びる突出部426とを備える。本実施形態における突出部426はリベット部として構成されており、端子引出孔242および外部端子460の貫通孔(リベット孔)462Aに上記リベット部(例えば略円筒形状)を貫通させてリベッティングすることにより、内部端子420と外部端子460とが接続(締結)されている。正極側の内部端子420および外部端子460の構成材料としては導電性のよい金属材料が好ましく、典型的にはアルミニウムが用いられる。本実施形態の正極内部端子420および正極外部端子460はアルミニウム製である。
【0033】
一方、正極外部端子460は、上記リベッティング前において突出部426を挿通可能な貫通孔462Aが設けられた第一接続部462と、この第一接続部から蓋体22の長手方向中央側(すなわち安全弁側)に続き、ケース20の外方に階段状に持ち上がって形成された第二接続部464(正極外部端子460の外側端部に相当する。)とを有する。第二接続部464には、図6によく示されるように、ボルト670の脚部674を挿通可能なボルト挿通孔464Aが形成されている。このボルト挿通孔464Aにボルトの脚部674を下から上に通し、第二接続部464から上方に突出した脚部674に外部(他の電池の端子、外部回路等であり得る。)接続用の接続部材112を装着してナット113を締め付けることにより(図8、9参照)、外部端子460に接続部材112を連結(固定)することができる。
【0034】
上記リベッティングは、端子引出孔242を囲む蓋体22の壁面と第二リード部424との間に内側樹脂部材50を挟み、さらに該壁面と外部端子の第一接続部462との間に外側樹脂部材60を挟んで行われる。かかるリベッティングにより、正極端子40を蓋体22に固定するとともに、蓋体22と第二リード部424との間で内側樹脂部材50を圧縮することにより端子引出孔242をシールしている。
【0035】
<内側樹脂部材>
以下、内側樹脂部材50の構成および機能を詳しく説明する。この内側樹脂部材50は、内部端子420の突出部426を挿通させる開口522が設けられた取付部520を有する。取付部520は、開口522を囲む部分が蓋体22と第二リード部424との間に挟み込まれて圧縮されることにより、内部端子420(第二リード部424)と蓋体22とを絶縁するとともに、端子引出孔242をシールするように構成されている。取付部520の下面(電極体側の面)には、内部端子420の第二リード部424を下方(すなわちケースの内方)から受け入れ可能な窪み524が形成されている。この窪み524は、第二リード部424の下端面が窪み524の内側に収まるように形成されている。これにより、電極体30の外周が第二リード部424(特にその外縁、すなわちエッジ部分)に直接接触し難くなり、該接触に起因して電極体30が損傷する事態を回避することができる。また、第二リード部424の外縁が窪み524の外周壁で覆われることにより、内部端子420(第二リード部424)とケース本体21との絶縁をより確実に行うことができる。
【0036】
<外側樹脂部材>
次いで、外側樹脂部材60の構成および機能を詳しく説明する。図2〜6によく示されるように、外側樹脂部材60は、端子引出孔242を囲む蓋体22の壁面と外部端子の第一接続部462との間に挟まれる取付部620と、外部端子の第二接続部464と蓋体22との間に延びる延長部640とを有する。取付部620は、端子引出孔242に外側から挿入されてリベット部426と蓋体22との直接接触を阻む(絶縁する)筒部622と、筒部622に続いて形成され蓋体22の外面に沿って広がる皿部624とを有する。この皿部624の窪みに合わせて外部端子の第一接続部462が配置されている。
【0037】
延長部640には、有底筒状であって概ね六角形の開口形状を有するボルト受け穴642が形成されている。本実施形態に係る二次電池10は、頭部672がボルト受け穴642に挿入されることで回転が制限され(共回りが阻止され)、且つ脚部674がボルト挿通孔464Aを通して突出するように配置(装着)されたボルト670を含んで構成されている。
【0038】
内側樹脂部材50および外側樹脂部材60の構成材料としては、使用する電解液に対して耐性を示す各種の絶縁性ポリマー材料を適宜選択して用いることができる。例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン樹脂(PEKK)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)等のポリマー材料を好ましく採用することができる。あるいは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系樹脂;テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル樹脂(PFA)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂;等のポリマー材料を用いてもよい。内側樹脂部材50の構成材料と外側樹脂部材60の構成材料とは同一であってもよく異なってもよい。本実施形態に係る内側樹脂部材50および外側樹脂部材60は、いずれもPPS製である。
【0039】
ここに開示される技術は、少なくとも外側樹脂部材60が芳香族性樹脂製(芳香族性樹脂をベースとする組成物により形成されていることをいう。)である態様で好ましく実施され得る。ここで芳香族性樹脂とは、芳香環(例えばベンゼン環)を有する樹脂を指す。一般に、PPSその他の芳香族性樹脂は、非芳香族性樹脂に比べて耐熱性や強度が高い傾向にある。かかる性質は、外側樹脂部材60の構成材料として好適である。一方、本発明者の検討によれば、非芳香族性樹脂製の外側樹脂部材60とは異なり、芳香族性樹脂製の外側樹脂部材60はレーザ溶接による変色を起こしやすいことが明らかになった。したがって、芳香族性樹脂製の外側樹脂部材60を備える態様では、遮蔽部26により外側樹脂部材60の変色を防止することが特に有意義である。
【0040】
<遮蔽部>
本実施形態に係る電池10は、上述のように、外側樹脂部材60を三方向から囲む第一壁部26A、第二壁部26B、および第三壁部26Cからなる遮蔽部26を備える。図4によく示されるように、第一壁部26Aは、外側樹脂部材60の幅と略同等またはそれより若干長い範囲に形成され得る。本実施形態に係る第一壁部26Aは、外側樹脂部材60の幅の両側にそれぞれ約0.5mmはみ出す範囲に形成されている。第二壁部26Bおよび第三壁部26Cは、外側樹脂部材60の長さと略同等またはそれより長い範囲に形成され得る。本実施形態に係る第二壁部26Bおよび第三壁部Cは、いずれも、外側樹脂部材60の長さから第一壁部A側に約0.5mm、その反対側(蓋体の長手方向中央側)に約1mmはみ出す範囲に形成されている。
【0041】
第一壁部26Aと第二壁部26Bとの間および第一壁部26Aと第三壁部26Cとの間には、それぞれ、約0.5mmの隙間が設けられている。かかる隙間を設けることには、例えば、次のような利点がある。すなわち、車両に搭載される電池等においては、例えば低温時に車を始動した場合等に、電池の蓋に結露水が付着する。この結露水が遮蔽部に溜まると、その溜まる位置および貯留量によっては、該結露水が橋かけとなって端子と蓋との間が短絡することがあり得る。上記のように遮蔽部の間に隙間を設けることによって、上記結露水が溜まりにくくなるという効果が得られる。したがって、車両搭載用の密閉型電池(例えばリチウムイオン二次電池)では、上記隙間を設けた構成を採用することが特に有意義である。
【0042】
遮蔽部26の上端262および外側樹脂部材60の上端602と、蓋体22と本体21との合わせ目(溶接部)25との位置関係について、図7を参照しつつ説明する。図示するように、遮蔽部26の位置およびその上端262の高さは、溶接部25から外側樹脂部材60をみたとき(典型的には、溶接部25の延びる方向に垂直または外側樹脂部材60の表面に垂直な方向に沿ってみたとき)に、外側樹脂部材60が遮蔽部26の背後に隠れて見えなくなるように設定することが好ましい。換言すれば、遮蔽部26の上端262が、溶接部25と外側樹脂部材60の上端602とを結ぶ直線(図7中の点線)と同等以上の高さにあることが好ましい。この関係は、溶接部25の高さを基準面として、溶接部25から外側樹脂部材60までの距離をa、上記基準面から外側樹脂部材60の上端602までの高さをb、溶接部25から遮蔽部26までの距離をc、上記基準面から遮蔽部26の上端262までの高さをdとして、(b/a)≦(d/c)により表すことができる。かかる関係式を満たすように遮蔽部26の位置および高さを決定することが好ましい。遮蔽部26の高さの上限は特に限定されないが、組付け容易性、レーザ照射の容易性、遮蔽部26の成形容易性および形状維持性(強度)等の観点から、通常は、d≦1.2bとすることが適当であり、d≦1.0b(例えばd≦0.9)とすることが好ましい。
【0043】
遮蔽部26の材質および厚みは、上記反射光等を少なくとも部分的に(好ましくは略完全に)遮ることができるように選択される。本実施形態のように遮蔽部26をアルミニウム製の蓋体22と一体にプレス成形する場合には、成形性および形状維持性等の観点から、遮蔽部26の厚みを例えば0.3mm〜1mm程度とすることができる。また、上記プレス成形性やレーザ照射の容易性等の観点から、通常は、蓋体22の外縁から遮蔽部26の外側面までの距離を例えば0.3mm〜1mm(典型的には0.5mm〜1mm)程度とすることが適当である。遮蔽部26の内側面と外側樹脂部材60との間には、実質的に隙間がなくてもよいが、製造誤差や組付け性等を考慮して、通常は、例えば0.2mm〜0.8mm(典型的には0.5mm〜0.6mm)程度の隙間のある設計とすることが適当である。本実施形態に係る電池10は、遮蔽部26の厚みが0.5mm、蓋体22の外縁から遮蔽部26の外側面までの距離が0.5mm、遮蔽部26の内側面と外側樹脂部材60との隙間が0.5mmとなるように設計されている。
【0044】
なお、本実施形態のように遮蔽部26を構成する各壁部の間に隙間が設けられた構成において、上記隙間の位置(すなわち、各壁部の配置)は、溶接部25から該隙間を通して外側樹脂部材60が見えないように(換言すれば、溶接部25から外側樹脂部材60側を見たときに上記隙間が見えないように)設定することができる。このことによって、レーザ溶接に伴う外側樹脂部材60の変色を高度に防止することができる。あるいは、上記隙間から外側樹脂部材60が見える配置であっても、溶接部25から外側樹脂部材60側を見たときに上記隙間の幅が0.1mm以下(より好ましくは0.05mm以下)であれば、レーザ溶接に伴って外側樹脂部材60に照射される上記反射光等の量を大幅に低減することができ、外側樹脂部材60の変色を防止または軽減する効果が発揮され得る。
【0045】
ここに開示される技術は、外側樹脂部材60の外縁から溶接部25までの最小距離が5mm以下(例えば3mm以下)である電池に好ましく適用され得る。上記距離が2mm以下(例えば0.5〜2mm)の電池では特に適用効果が大きい。本実施形態では、蓋体22の幅方向については、外側樹脂部材60の外縁から溶接部25までの距離D1が1mmである。また、蓋体22の長手方向については、外側樹脂部材60の外縁から溶接部25までの距離D2が2.8mmである。また、レーザ光の軌道と外側樹脂部材60との最小距離が上記数値範囲にある態様で製造(溶接)される電池では、ここに開示される技術の適用効果が特によく発揮され得る。
【0046】
<負極側の構造>
本実施形態の電池10における負極側の構造(負極端子80の外形およびその引出構造等)は、負極端子80の材質を除いては正極側と概ね同様である。すなわち、電極体30の負極シートはみ出し部分34Aには、負極端子80の一端が、例えば抵抗溶接により接続されている。この負極端子80は、正極内部端子420と概ね同じ形状に形成された負極内部端子820と負極外部端子860とを備え、内部端子820の突出部(リベット部)を外部端子860の第一接続部にリベッティングすることにより端子820,860が接続されている。上記リベッティングは、正極側と同様に、端子820,860の間に内側樹脂部材50、蓋体22および外側樹脂部材60を挟んで行われる。外部端子860は、第一接続部と第二接続部とを有する階段状に形成されている。その第二接続部に設けられたボルト挿通孔にはボルト670が下から上に装着されており、その脚部674に外部接続用の接続部材112を連結(固定)し得るように構成されている。負極側の内部端子820および外部端子860の構成材料としては導電性のよい金属材料が好ましく、典型的には銅が用いられる。本実施形態の負極内部端子820および負極外部端子860は銅製である。内側樹脂部材50、外側樹脂部材60の材質や形状は正極側と同じである。
【0047】
<電池の製造方法>
かかる構成のリチウムイオン二次電池10は、例えば概ね以下の手順で好適に製造(構築)することができる。すなわち、上述した構成の蓋体22を用意し、その内側面に内側樹脂部材50を、外側面に外側樹脂部材60および正極外部端子460をセットする。このとき、外側樹脂部材60のボルト受け穴642にボルト670の頭部672を収容し、その上から外部端子460を配置するようにする。正極内部端子420の突出部426を端子引出孔424、外側樹脂部材60および外部端子460に通して外方に突出させ、その突出部をリベッティングすることにより、蓋体22の端子引出孔424に正極端子40を取り付ける。正極側と同様にして、蓋体22の端子引出孔244に負極端子80を取り付ける。このようにして、両電極端子40,80と蓋体22とが一体化された蓋体−端子アセンブリを得る。
【0048】
次いで、上記構成の捲回電極体30の軸方向両端部に正極端子40および負極端子80をそれぞれ接合(例えば溶接)する。これにより上記蓋体−端子アセンブリと電極体30とが一体化された蓋体ユニット(蓋体−端子−電極体アセンブリ)を得る。そして、電極体30をケース本体21の開口部から内部に収めるようにして該開口部に蓋体22を装着し、蓋体22とケース本体21との合わせ目25をレーザ溶接する。
【0049】
レーザ溶接の条件は、蓋体22とケース本体21とを溶接により気密に接合し得る条件であればよく、特に限定されない。例えば、使用するレーザ光としては、YAGレーザ、ファイバーレーザ、炭酸ガスレーザ、DOEレーザ、LDレーザ等を適宜採用することができる。連続発振(CW)、パルス発振のいずれも使用可能である。生産性向上の観点からは、溶接速度を高めやすいCW発振が有利である。また、一般にCW発振による溶接(典型的には、溶融金属からの熱伝導を利用して隣接する部位を溶融させることで合わせ目45に沿って次第に溶融部が移動するように、該溶融金属上にレーザを照射する態様で実施される。)では、パルス発振による溶接に比べて付与されるエネルギー量が多くなるため、本発明を適用して外側樹脂部材の変色を防止することが特に有意義である。ここに開示される技術は、例えば、エネルギー密度0.2〜100kW/mmの条件で蓋体22と本体21とをレーザ溶接する場合に好ましく適用され得る。また、溶接速度2〜10m/minの条件で蓋体22と本体21とをレーザ溶接する場合に好ましく適用され得る。
【0050】
その後、蓋体22に設けられた注液孔28からケース20内に電解液を注入する。電解液としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。本実施形態では、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(例えば、体積比1:1程度の混合溶媒)にLiPFを約1mol/リットルの濃度で含有させた電解液を用いる。その後、注液孔28に封止キャップ29を取り付けて(例えば溶接して)ケース20を封止する。このようにしてリチウムイオン二次電池10を製造(構築)することができる。
【0051】
<組電池>
次に、かかる構成のリチウムイオン二次電池10を単電池とし、該単電池を複数備えてなる組電池の一構成例を説明する。図8,9に示すように、この組電池100は、複数個(典型的には10個以上、好ましくは10〜30個程度、例えば20個)のリチウムイオン二次電池(単電池)10を、それぞれの正極端子40および負極端子80が交互に配置されるように一つづつ反転させつつ、ケース20の幅広な面が対向する方向(積層方向)に配列されている。当該配列された単電池10間には、所定形状の冷却板(図示せず)が挟み込まれている。この冷却板は、使用時に各単電池10内で発生する熱を効率よく放散させるための放熱部材として機能するものであって、単電池10間に冷却用流体(典型的には空気)を導入可能な形状(例えば、長方形状の冷却板の一辺から垂直に延びて対向する辺に至る複数の平行な溝が表面に設けられた形状)を有する。熱伝導性の良い金属製もしくは軽量で硬質なポリプロピレンその他の合成樹脂製の冷却板が好適である。
【0052】
図9に示すように、上記配列させた単電池10および冷却板の両端には、一対のエンドプレート(拘束板)118が配置されている(図9には上記配列の一端側のみを示している。)。上記配列された単電池10および冷却板は、両エンドプレートの間を架橋するように取り付けられた締め付け用の拘束バンド(図示せず)によって、規定の拘束圧が加わるように拘束されている。そして、隣接する単電池10間において、一方の正極端子40と他方の負極端子80とが、接続部材(バスバー)112によって電気的に接続されている。より詳しくは、接続部材112の両端設けられた貫通孔を隣接する単電池10の外部端子から突出するボルト脚部674にそれぞれ通し、その上からナット113を締め付けることにより、一方の正極端子40と他方の負極端子80とを電気的に接続することができる。このとき、外側樹脂部材60のボルト受け穴642によってボルト670の回転が阻止されるとともに、遮蔽部26によって外側樹脂部材60の回転が阻止されるので、ナット113の締結を容易かつ確実に行うことができる。このように各単電池10を直列に接続することにより、所望する電圧の組電池100が構築されている。なお、図9には単電池10および冷却板を一列に配列した例を示しているが、単電池10および冷却板は二列または三列以上に配列されていてもよい。
【0053】
以上、本発明を好適な実施形態により説明したが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態では遮蔽部26が蓋体22と一体にプレス成形された例につき説明したが、図10に示すように、外側樹脂部材60に貼付けられた金属テープ126を遮蔽部として利用してもよい。この金属テープ(遮蔽部)126は、外側樹脂部材60のうち少なくとも合わせ目25に対向する表面に、外側樹脂部材60の上端まで貼り付けることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る密閉型電池(典型的には二次電池、例えばリチウムイオン二次電池)は、特に自動車等の車両に搭載されるモータ(電動機)用電源として好適に使用され得る。したがって、本発明の他の側面として、例えば図11に模式的に示すように、かかる電池10(典型的には、当該電池10を複数個直列に接続して形成される組電池100)を駆動用電源として備える車両(典型的には自動車、例えばハイブリッド自動車、電気自動車等)1が提供される。
【符号の説明】
【0055】
1 自動車(車両)
10 リチウムイオン二次電池(密閉型電池)
20 外装ケース
21 ケース本体
22 蓋体(端子引出面)
22A 外面
242,244 貫通孔(端子引出孔)
25 合わせ目(溶接部)
26,126 遮蔽部
26A 第一壁部
26B 第二壁部
26C 第三壁部
30 捲回電極体(電極体)
40 正極端子(端子)
420 正極内部端子
426 突出部(リベット部)
460 正極外部端子
462 第一接続部
464 第二接続部(外側端部)
464A ボルト挿通孔
50 内側樹脂部材
60 外側樹脂部材
620 取付部
622 筒部
624 皿部
640 延長部
642 ボルト受け穴
670 ボルト
672 頭部
674 脚部
80 負極端子(端子)
100 組電池
112 接続部材(バスバー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉型電池であって:
開口部を有するケース本体;
前記ケース本体に収容された電極体;
前記ケース本体の開口部に固定されており、貫通孔を有する蓋体;
前記電極体に電気的に接続されており、前記蓋体の貫通孔を通って前記電池の外部に引き出された端子;および、
前記端子と前記蓋体の外面とを隔てる外側樹脂部材;
を備え、
前記蓋体と前記ケース本体との合わせ目は前記蓋体の外面側にあり、該合わせ目はレーザ溶接されており、
前記合わせ目と前記外側樹脂部材との間を遮る遮蔽部をさらに備え、
前記遮蔽部の上端の高さは、前記合わせ目と前記外側樹脂部材の上端とを結ぶ直線の高さ以上である、電池。
【請求項2】
前記電極体に接続された端子が前記外側樹脂部材を介して前記蓋体と一体化された蓋体ユニットを作製し、該蓋体ユニットを構成する蓋体外面の外縁と前記ケース本体との合わせ目をレーザ溶接してなる、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記遮蔽部は、前記蓋体と一体にプレス成形により形成されている、請求項1または2に記載の電池。
【請求項4】
前記ケース本体および前記蓋体は、扁平な角型の外装ケースを形成しており、
前記蓋体は、前記外装ケースの幅狭面の一つを構成している、請求項1から3のいずれか一項に記載の電池。
【請求項5】
前記外側樹脂部材は前記蓋体の長手方向端部に配置されており、
前記遮蔽部は、前記蓋体と一体に、該蓋体の両方の長辺および一方の短辺に沿う三方向から前記外側樹脂部材を囲むように設けられており、かつ前記一方の短辺に沿う部分は、前記両方の長辺に沿う部分とは不連続に形成されている、請求項4に記載の電池。
【請求項6】
前記電池は、頭部と脚部とを有するボルトであって前記端子の外側端部に設けられたボルト挿通孔に前記脚部を挿通させて配置されたボルトをさらに備え、
前記外側樹脂部材は、前記貫通孔を囲む蓋体外面と前記端子との間に挟まれる取付部と、前記端子の外側端部に沿って延びる延長部とを有し、
前記外側樹脂部材の延長部には、前記ボルトの前記頭部を受け入れ且つ該ボルトの回転を制限するボルト受け穴が形成されており、
前記遮蔽部は、前記外側樹脂部材が前記ボルトとともに回転することを阻止し得るように設けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載の電池。
【請求項7】
請求項6に記載の電池を単電池とする組電池であって、
複数の前記単電池と、
それらの単電池の端子間を接続する接続部材とを備え、
前記接続部材は、該接続部材のボルト挿通孔に前記ボルトの脚部を通してナットを締め付けることにより前記端子の外側端部に締結されている、組電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−54964(P2013−54964A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193228(P2011−193228)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】