説明

導電性インク、透明導電層、入力デバイス及び表示デバイス

【課題】印刷適性に優れ、しかも印刷により高い導電性の透明導電層を形成できる導電性インクを提供する。
【解決手段】本発明の導電性インクは、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントと増粘剤とレベリング剤とを含み、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントの合計の含有量が0.05〜5質量%であり、増粘剤とレベリング剤の質量比(レベリング剤/増粘剤)が0.1以上1.5未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、π共役系導電性高分子を含む導電性インク及び透明導電層に関する。また、透明導電層を備える入力デバイス及び表示デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
透明タッチパネルなどの入力デバイス、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、液晶ディスプレイなどの表示デバイスの透明電極として、π共役系導電性高分子を導電成分として含むものが知られている。
特許文献1には、ポリチオフェンにポリアニオンをドープしたスクリーン印刷用ペーストが開示されている。このスクリーン印刷用ペーストでは、粘度を1〜200dPa・sにするために、ポリアクリル酸ナトリウムやメタクリレートのコポリマーなどを増粘剤として添加している。
具体的に、特許文献1の実施例2には、ポリアクリル酸ナトリウム及びNP14−メタクリレートのコポリマーである結合剤と、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸とを含むものが開示されている。
特許文献2には、置換チオフェン含有導電性ポリマーと、非ニュートニアン結合剤としてのポリアクリレートまたは多糖類とを含む印刷用の組成物が開示されている。
【特許文献1】特表2002−500408号公報
【特許文献2】特許第3855167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のスクリーン印刷用ペーストは、増粘剤がポリチオフェンのπ共役を阻害して導電性を低下させるため、透明電極用途として十分な電気特性が得られず、入力デバイスまたは表示デバイスに適用した際に動作不良を起こすことがあった。
また、一般に、ポリチオフェン溶液は減圧乾燥により水分を除去した際に、ゲル化及び固体粒子の生成を引き起こすことがあるため、濃縮率に限界があり、20〜30質量%の水分量が残留していた。インク中に低沸点成分である水分が20〜30質量%含有すると、スクリーン印刷において、粘度の変化、ポリチオフェンのゲル化、固体粒子の凝集などが生じて、連続印刷の安定性が得られず、印刷適性が低くなった。
特許文献2に記載の置換チオフェン含有導電性ポリマーも、特許文献1と同様に、非ニュートニアン結合剤が導電性ポリマーのπ共役を阻害するため、透明電極用として十分な導電性が得られなかった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、印刷適性に優れ、しかも印刷により高い導電性の透明導電層を形成できる導電性インクを提供することを目的とする。また、導電性の高い透明導電層を提供することを目的とする。さらには、動作不良が起こりにくい入力デバイス及び表示デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下の態様を包含する。
[1] π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントと増粘剤とレベリング剤とを含み、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントの合計の含有量が0.05〜5質量%であり、増粘剤とレベリング剤の質量比(レベリング剤/増粘剤)が0.1以上1.5未満であることを特徴とする導電性インク。
[2] 増粘剤が、グリシジル基及び/又はヒドロキシ基と、メタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基よりなる群から選ばれる1種の官能基とを含有する化合物であることを特徴とする[1]に記載の導電性インク。
[3] レベリング剤がポリヒドロキシ化合物であることを特徴とする[1]または[2]に記載の導電性インク。
[4] 架橋剤をさらに含有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の導電性インク。
[5] 架橋剤が多官能アクリル化合物であることを特徴とする[4]に記載の導電性インク。
[6] スクリーン印刷用であり、粘度が300〜10000mPa・sであることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の導電性インク。
[7] 残留水分量が20質量%以下であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の導電性インク。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の導電性インクがパターン印刷され、硬化されて形成されたことを特徴とする透明導電層。
[9] [8]に記載の透明導電層を備えることを特徴とする入力デバイス。
[10] [8]に記載の透明導電層を備えることを特徴とする表示デバイス。
【発明の効果】
【0005】
本発明の導電性インクでは、印刷適性に優れ、しかも印刷により高い導電性の透明導電層を形成できる。
本発明の透明導電層は、導電性が高い。
本発明の入力デバイス及び表示デバイスは、動作不良が起こりにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(導電性インク)
本発明の導電性インクは、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントと増粘剤とレベリング剤とを含むものである。また、本発明の導電性インクは、光透過率がより高くなることから、架橋剤を含むことが好ましい。
【0007】
[π共役系導電性高分子]
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば特に制限されず、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール類、ポリチオフェン類及びポリアニリン類が好ましい。
π共役系導電性高分子は無置換のままでも、充分な導電性、バインダ樹脂への相溶性を得ることができるが、導電性及び相溶性をより高めるためには、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基等の官能基をπ共役系導電性高分子に導入することが好ましい。
【0008】
π共役系導電性高分子の具体例としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(チオフェン)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
【0009】
[ポリアニオンドーパント]
ポリアニオンドーパントとしては、例えば、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステルであって、アニオン基を有する構成単位のみからなるポリマー、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるポリマーが挙げられる。
【0010】
ポリアルキレンとは、主鎖がメチレンの繰り返しで構成されているポリマーである。
ポリアルケニレンとは、主鎖に不飽和二重結合(ビニル基)が1個含まれる構成単位からなる高分子である。
ポリイミドとしては、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−[4,4’−ジ(ジカルボキシフェニルオキシ)フェニル]プロパン二無水物等の酸無水物と、オキシジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン等のジアミンとからのポリイミドを例示できる。
ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10等を例示できる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を例示できる。
【0011】
上記ポリアニオンドーパントが置換基を有する場合、その置換基としては、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、フェニル基、フェノール基、エステル基、アルコキシ基等が挙げられる。有機溶媒への溶解性、耐熱性及び樹脂への相溶性等を考慮すると、アルキル基、ヒドロキシ基、フェノール基、エステル基が好ましい。
【0012】
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、へキシル、オクチル、デシル、ドデシル等のアルキル基と、シクロプロピル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等のシクロアルキル基が挙げられる。
ヒドロキシ基としては、ポリアニオンドーパントの主鎖に直接又は他の官能基を介在して結合したヒドロキシ基が挙げられ、他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基などが挙げられる。ヒドロキシ基は、これらの官能基の末端又は中に置換されている。
アミノ基としては、ポリアニオンドーパントの主鎖に直接又は他の官能基を介在して結合したアミノ基が挙げられ、他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基などが挙げられる。アミノ基は、これらの官能基の末端又は中に置換されている。
フェノール基としては、ポリアニオンドーパントの主鎖に直接又は他の官能基を介在して結合したフェノール基が挙げられ、他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基などが挙げられる。フェノール基は、これらの官能基の末端又は中に置換されている。
【0013】
置換基を有するポリアルキレンの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリヘキセン、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリ(3,3,3−トリフルオロプロピレン)、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリスチレン等を例示できる。
ポリアルケニレンの具体例としては、プロペニレン、1−メチルプロペニレン、1−ブチルプロペニレン、1−デシルプロペニレン、1−シアノプロペニレン、1−フェニルプロペニレン、1−ヒドロキシプロペニレン、1−ブテニレン、1−メチル−1−ブテニレン、1−エチル−1−ブテニレン、1−オクチル−1−ブテニレン、1−ペンタデシル−1−ブテニレン、2−メチル−1−ブテニレン、2−エチル−1−ブテニレン、2−ブチル−1−ブテニレン、2−ヘキシル−1−ブテニレン、2−オクチル−1−ブテニレン、2−デシル−1−ブテニレン、2−ドデシル−1−ブテニレン、2−フェニル−1−ブテニレン、2−ブテニレン、1−メチル−2−ブテニレン、1−エチル−2−ブテニレン、1−オクチル−2−ブテニレン、1−ペンタデシル−2−ブテニレン、2−メチル−2−ブテニレン、2−エチル−2−ブテニレン、2−ブチル−2−ブテニレン、2−ヘキシル−2−ブテニレン、2−オクチル−2−ブテニレン、2−デシル−2−ブテニレン、2−ドデシル−2−ブテニレン、2−フェニル−2−ブテニレン、2−プロピレンフェニル−2−ブテニレン、3−メチル−2−ブテニレン、3−エチル−2−ブテニレン、3−ブチル−2−ブテニレン、3−ヘキシル−2−ブテニレン、3−オクチル−2−ブテニレン、3−デシル−2−ブテニレン、3−ドデシル−2−ブテニレン、3−フェニル−2−ブテニレン、3−プロピレンフェニル−2−ブテニレン、2−ペンテニレン、4−プロピル−2−ペンテニレン、4−プロピル−2−ペンテニレン、4−ブチル−2−ペンテニレン、4−ヘキシル−2−ペンテニレン、4−シアノ−2−ペンテニレン、3−メチル−2−ペンテニレン、4−エチル−2−ペンテニレン、3−フェニル−2−ペンテニレン、4−ヒドロキシ−2−ペンテニレン、ヘキセニレン等から選ばれる一種以上の構成単位を含む重合体を例示できる。
【0014】
ポリアニオンドーパントのアニオン基としては、−O−SO、−SO、−COO(各式においてXは水素イオン、アルカリ金属イオンを表す。)が挙げられる。
すなわち、ポリアニオンドーパントは、スルホ基及び/又はカルボキシ基を含有する高分子酸である。これらの中でも、π共役系導電性高分子へのドーピング効果の点から、−SO、−COOが好ましい。
また、このアニオン基は、隣接して又は一定間隔をあけてポリアニオンドーパントの主鎖に配置されていることが好ましい。
【0015】
上記ポリアニオンドーパントの中でも、溶媒溶解性及び導電性の点から、ポリイソプレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸を含む共重合体、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリスルホエチルメタクリレートを含む共重合体、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)を含む共重合体、ポリメタリルオキシベンゼンスルホン酸、ポリメタリルオキシベンゼンスルホン酸を含む共重合体、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸を含む共重合体等が好ましい。
【0016】
ポリアニオンドーパントの重合度は、モノマー単位が10〜100,000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10,000個の範囲がより好ましい。
【0017】
ポリアニオンドーパントの含有量は、π共役系導電性高分子1モルに対して0.1〜10モルの範囲であることが好ましく、1〜7モルの範囲であることがより好ましい。ポリアニオンドーパントの含有量が0.1モルより少なくなると、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が弱くなる傾向にあり、導電性が不足することがある。その上、溶媒への分散性及び溶解性が低くなり、均一な分散液を得ることが困難になる。また、ポリアニオンドーパントの含有量が10モルより多くなると、π共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得られにくい。
【0018】
ポリアニオンドーパントは、π共役系導電性高分子に配位している。そのため、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントとは複合体を形成している。
【0019】
導電性インクにおけるπ共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントの合計の含有量は0.05〜5質量%であり、0.5〜4.0質量%であることが好ましい。π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントの合計の含有量が0.05質量%未満であると、充分な導電性が得られず、5質量%を超えると、ゲル化及び固体粒子の生成がしやすくなって、印刷適性が低下し、均一な透明導電層が得られなくなる。
【0020】
[増粘剤]
増粘剤としては、増粘性が高いことから、グリシジル基及びまたはヒドロキシ基と、メタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基から選ばれる1種とを含有する化合物(以下、化合物Aという。)が好ましい。このような化合物Aの具体例として以下のものが挙げられる。
グリシジル基とメタクリル基(アクリル基)を有する化合物として、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシ基とメタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基を有する化合物として、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、エチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート、ジペンタエリストリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド等が挙げられる。これらの化合物は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
化合物Aの中でも、2−ヒドロキシエチルアクリルアミドが好ましい。2−ヒドロキシエチルアクリルアミドは増粘性を示すだけではなく、極性が高いため、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントを含有する水溶液の水を、ゲル化または固体粒子化を生成せずに置換することができる。また、架橋点を有するため、架橋剤を共存させることにより、透明導電層の架橋密度を向上させることができ、耐熱性、耐高温高湿性を向上させることができる。
【0021】
増粘剤の含有量は、導電性インク100質量%に対して1〜200質量%であることが好ましい。増粘剤の含有量が1質量%未満であると、所望の粘度にできず、印刷適性が不足することがあり、200質量%を超えると、粘度が高くなりすぎて、やはり印刷適性が不足することがある。また、充分な導電性が得られなくなる傾向にある。
【0022】
[レベリング剤]
レベリング剤を含むことにより、導電性インクの印刷時の基材への濡れ性向上、導電性インクの粘度調整、チクソトロピー性調整、π共役系導電性高分子の分散性向上を図ることができる。
レベリング剤としては、例えば、ポリヒドロキシ化合物、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジフェニルエーテル、ジメチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロビレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジフェニルエーテル等が挙げられる。
【0023】
これらの中でも、レベリング剤としての効果が優れる点で、ポリヒドロキシ化合物が好ましい。ポリヒドロキシ化合物の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリグリセリン、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール等が挙げられる。
ポリヒドロキシ化合物の中では、導電性インクの印刷時の基材への濡れ性向上、連続印刷性の点から、プロピレングリコールが好ましい。
【0024】
導電性インクにおいて、増粘剤とレベリング剤の質量比(レベリング剤/増粘剤)は0.1以上1.5未満であり、0.2〜1.0であることが好ましい。増粘剤とレベリング剤の質量比が0.1未満であると、基材上での濡れ性が失われ、1.5以上であると、粘度が低くなって印刷適性が不足することがある。
【0025】
[架橋剤]
架橋剤は、不飽和二重結合を2つ以上有し、熱または光によって反応して、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントとの複合体を架橋させる化合物である。架橋剤の中でも、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントとの複合体を架橋しやすい点で、多官能アクリル化合物が好ましい。
多官能アクリル化合物は、不飽和二重結合を2つ以上有するアクリル化合物である。多官能アクリル化合物としては、例えば、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(以下、PEGと表記する。)400ジ(メタ)アクリレート、PEG300ジ(メタ)アクリレート、PEG600ジ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等の2官能アクリルモノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の3官能アクリルモノマー、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(ペンタ)(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等の4官能以上のアクリルモノマー、2官能以上のウレタンアクリレートが挙げられる。
【0026】
多官能アクリル化合物のうち、多官能アクリルモノマーは、分子量が3000以下であることが好ましい。分子量が3000を超える多官能アクリルモノマーでは、エチレンオキサイド基の繰り返し構造である長鎖PEGアクリレートが多く、溶媒溶解性が低くなる。また、架橋剤中の不飽和二重結合当量が少なくなるため、複合体を架橋させにくく、透明導電層形成後に十分な強度が得られない傾向にある。
また、多官能アクリル化合物のうち、多官能ウレタンアクリレートは、溶媒溶解性、耐摩耗性、低収縮の点で、分子量1000以下であることが好ましい。分子量が1000を超える多官能ウレタンアクリレートでは、イソシアネート基とポリオール(水酸基)により形成されるウレタン基の導入率が減少して、溶媒に対する溶解性が低くなる傾向にある。
【0027】
また、架橋剤として、例えば、3官能架橋剤:エトキシ化グリセリントリアクリレート等、5官能架橋剤:ソルビトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等、6官能架橋剤:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、アルキレンオキサイド変性ヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどを用いることもできる。
【0028】
架橋剤の含有量は、増粘剤100質量%対して0.05〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.03〜30質量%の範囲であることがより好ましい。架橋剤の含有量が、増粘剤100質量%に対して0.05質量%未満であると、耐水性、耐熱水性、耐高温高湿性が不足することがある。また、増粘剤100質量%に対して50質量%より多くなると、透明導電層中の導電性高分子の含有量が少なくなり、充分な導電性が得られにくいことがある。
【0029】
[添加剤]
添加剤としてはπ共役系導電性高分子及びドーパントと混合しうるものであれば特に制限されず、例えば、アルカリ性化合物、界面活性剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを使用できる。
アルカリ性化合物としては、公知の無機アルカリ化合物や有機アルカリ化合物を使用できる。無機アルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等が挙げられる。
有機アルカリ化合物としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、4級アミン、アミン以外の窒素含有化合物、金属アルコキシド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの中でも、導電性がより高くなることから、脂肪族アミン、芳香族アミン、4級アミンよりなる群から選ばれる1種もしくは2種以上が好ましい。
界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤;アミン塩、4級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤;カルボキシベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリウムベタイン等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド等の非イオン界面活性剤等が挙げられる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンレジン等が挙げられる。
カップリング剤としては、ビニル基、アミノ基、エポキシ基等を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類、ビタミン類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オギザニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
酸化防止剤と紫外線吸収剤とは併用することが好ましい。
【0030】
[重合開始剤]
架橋剤を含有する場合には、架橋剤の反応を促進できることから、導電性インクには、光重合開始剤やカチオン重合開始剤等の重合開始剤が含まれていることが好ましい。光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類などが挙げられる。さらに、光増感剤として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を混合できる。
また、カチオン重合開始剤としては、アリールジアゾニウム塩類、ジアリールハロニウム塩類、トリフェニルスルホニウム塩類、シラノール/アルミニウムキレート、α−スルホニルオキシケトン類等が挙げられる。
【0031】
[残留水分量]
導電性インクの残留水分量は20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、全くないことが最も好ましい。導電性インクの残留水分量が20質量%を超えると、印刷安定性が低下する傾向にある。
【0032】
[粘度]
導電性インクの粘度は、適用される印刷方法に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、平版印刷では、約5000〜10000mPa・sが好ましい。グラビア印刷及びフレキソグラフィー印刷では、約20〜1000mPa・sが好ましい。スクリーン印刷では、300〜10000mPa・sが好ましく、500〜5000mPa・sがより好ましい。インクジェット印刷では、3〜30mPa・sが好ましい。導電性インクの粘度が前記下限値未満であっても、前記上限値を超えても印刷適性が損なわれる傾向にある。ここで、粘度は、25℃にてB型回転粘度計による定剪断速度にて測定した値である。
導電性インクの粘度は、増粘剤とレベリング剤との比により適宜調整できる。
【0033】
[導電性インクの製造方法]
導電性インクの製造方法としては、例えば、ポリアニオンドーパントの水溶液中でπ共役系導電性高分子の前駆体モノマーを化学酸化重合して導電性高分子水溶液を調製し、この水溶液に、増粘剤、レベリング剤と必要に応じて任意成分とを添加し、水を除去する方法等が挙げられる。
このような導電性インクの製造方法によれば、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントの固形分濃度を低下させにくいため、導電性低下を防ぐことができる。
【0034】
水の除去法としては、例えば、限外ろ過法、エバポレーション法、凍結乾燥法等が挙げられる。これらの方法は、1種を単独でおこなってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する例としては、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントとを含む水溶液の水を限外ろ過により除去して濃縮し、その後、増粘剤、レベリング剤を添加し、エバポレーション法または凍結乾燥法により残留水分を除去する方法が挙げられる。また、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントとを含む水溶液に、増粘剤、レベリング剤を添加し、限外ろ過により除去して濃縮し、その後、エバポレーション法または凍結乾燥法により残留水分を除去する方法が挙げられる。
エバポレーション法を行う場合には、水と増粘剤との沸点差が大きいことが好ましく、増粘剤の沸点(気圧1013hPa)が200℃以上であることが好ましい。
【0035】
本発明者らが調べた結果、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントと増粘剤とレベリング剤とを含み、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントの合計の含有量が0.05〜5質量%であり、増粘剤とレベリング剤の質量比が0.1以上1.5未満である導電性インクでは、印刷適性に優れ、しかも印刷により高い導電性の透明導電層を形成できることが判明した。
【0036】
(透明導電層)
本発明の透明導電層は、上記導電性インクがパターン印刷され、硬化されて形成されたものである。
導電性インクのパターン印刷方法としては、例えば、平版印刷、グラビア印刷、フレキソグラフィー印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷等が適用される。
【0037】
導電性インクが印刷される基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどのフィルムまたはシートが挙げられる。また、ガラス基板、シリコン基板なども使用できる。
基材上には、導電性インクの密着性を向上させるために、プライマー層を形成したり、コロナ処理、プラズマ処理等の表面改質をしておいてもよい。プライマー層としては、公知の接着剤、熱硬化性化合物、光硬化性化合物などが挙げられる。
【0038】
硬化方法としては、加熱または光照射が適用される。加熱方法としては、例えば、熱風加熱や赤外線加熱などの通常の方法を採用できる。また、光照射により硬化する場合には、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプなどの光源から紫外線を照射する方法を採用できる。
【0039】
本発明の透明導電層は、上記導電性インクを用いたものであるため、導電性に優れる。
【0040】
[入力デバイス、表示デバイス]
本発明の入力デバイス及び表示デバイスは、上記透明導電層を備えるものである。透明導電層を有する入力デバイスの一例として透明タッチパネルが挙げられる。
透明タッチパネルとして、例えば、抵抗膜式タッチパネル、静電容量式タッチパネルが挙げられる。
抵抗膜式タッチパネルは、基材表面に透明導電膜が形成され、表面側に配置された可動電極と、基材表面に透明導電膜が形成された固定電極とが、透明導電膜同士が対向するように配置されて構成されたものである。また、可動電極と固定電極との間には、透明微小ドットスペーサーが配置されて、隙間が形成されている。
可動電極または固定電極の基材としては、例えば、単層または2層以上のプラスチックフィルム、ガラス板、フィルムとガラス板との積層体が挙げられるが、可動電極の基材としては、プラスチックフィルムが好ましく、固定電極の基材としてはガラス板を用いたものが好ましい。
【0041】
この抵抗膜式タッチパネルでは、指またはペンにより可動電極を押した際に、可動電極と固定電極とを導通させ、電圧を取り込んで、位置を検出するようになっている。
【0042】
静電容量式タッチパネルは、一対の透明電極が基材を介して設けられた構成になっている。この電極全体に低圧の電界を形成し、指で触れることで表面電荷の変化を捉え、位置を検出するようになっている。
【0043】
表示デバイスとしては、例えば、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、液晶ディスプレイ等が挙げられる。表示デバイスにおいては、透明導電層は表面側の透明電極として利用される。
【0044】
本発明の入力デバイス及び表示デバイスは、導電性が高い上記透明導電層を備えたものであるため、動作不良が起きにくい。
【実施例】
【0045】
以下、本発明の実施例を具体的に示すが、本発明は実施例により限定されるものではない。
(製造例1)ポリスチレンスルホン酸の調製
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を2時間攪拌した。
これにより得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000mlと10000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いてポリスチレンスルホン酸含有溶液の約10000ml溶液を除去し、残液に10000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約10000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。
さらに、得られたろ液に約10000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約10000ml溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。
限外ろ過条件は下記の通りとした(他の例でも同様)。
限外ろ過膜の分画分子量:30K
クロスフロー式
供給液流量:3000ml/分
膜分圧:0.12Pa
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
【0046】
(製造例2)ポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)水溶液の調製
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gの製造例1で得たポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合した。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、上記ろ過処理が行われた処理液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの処理液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた処理液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの処理液を除去した。この操作を5回繰り返し、約1.5質量%の青色のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT−PSS)水溶液を得た。
【0047】
(実施例1)
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液500gに、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド500gを添加し、撹拌した。次いで、PEDOT−PSSの固形分が1.79質量%になるまで、ロータリーエバポレーションにより、60℃、真空下で濃縮して、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液を調製した。
この2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液に、エチレングリコールモノメチルエーテルを70g添加した。そして、ホモジナイザーにより5分間撹拌し、1分間脱泡させて、導電性インクAを得た。
導電性インクAについて以下の方法により残留水分量及び粘度を測定した。それらの測定結果を表1に示す。
また、導電性インクAをポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300、厚さ;38μm)に、スクリーン印刷法によりパターン印刷し、130℃、5分間、赤外線照射により乾燥した後、紫外線(高圧水銀灯80W、200mJ/cm)照射し、架橋させて、透明導電層を形成した。透明導電層の表面抵抗と透過率を以下の方法により測定し、印刷適性を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0048】
[残留水分量測定]
三菱化学社製微量水分測定装置CA−100型を用い、カールフィッシャー法により導電性インクの残留水分量を測定した。
[粘度測定]
温度25℃にて、(株)東京計器製のB型回転粘度計(回転数;30回転/分、ローターNo.;2)により粘度を測定した。
[印刷適性]
基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に、印刷機(スクリーン印刷)を用いて印刷した後、導電性インクの濡れ性、ハジキ、基材への乗りを目視観察により評価した。
[表面抵抗値]
三菱化学社製ロレスタMCP−T600を用い、JIS K 7194に準じて測定した。
[光透過率]
BYKガードナー社製光線透過率測定器を用いて光線透過率を測定した。
【0049】
【表1】

【0050】
(実施例2)
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液500gに、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド500gを添加し、撹拌した。次いで、PEDOT−PSSの固形分が1.15質量%になるまで、ロータリーエバポレーションにより、60℃、真空下で濃縮して、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液を調製した。
この2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液に、プロピレングリコールを200g添加し、ペンタエリスリトールトリアクリレートを100g、イルガキュア127(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を12g添加した。そして、ホモジナイザーにより5分間撹拌し、1分間脱泡させて、導電性インクBを得た。
導電性インクBについて実施例1と同様にして、残留水分量及び粘度を測定した。また、実施例1と同様にして、透明導電層を形成し、表面抵抗と光透過率を測定し、印刷適性を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0051】
(実施例3)
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液100gに、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド500gを添加し、撹拌した。次いで、PEDOT−PSSの固形分が0.58質量%になるまで、ロータリーエバポレーションにより、60℃、真空下で濃縮して、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液を調製した。
この2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液に、プロピレングリコールを200g添加し、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを180g、イルガキュア127を12g添加した。そして、ホモジナイザーにより5分間撹拌し、1分間脱泡させて、導電性インクCを得た。
導電性インクCについて実施例1と同様にして、残留水分量及び粘度を測定した。また、実施例1と同様にして、透明導電層を形成し、表面抵抗と光透過率を測定し、印刷適性を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0052】
(実施例4)
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液100gに、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド500gを添加し、撹拌した。次いで、PEDOT−PSSの固形分が0.23質量%になるまで、ロータリーエバポレーションにより、60℃、真空下で濃縮して、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液を調製した。
この2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液に、プロピレングリコールを200g添加し、ペンタエリスリトールエトキシテトラメタクリレートを80g、イルガキュア127を14g添加した。そして、ホモジナイザーにより5分間撹拌し、1分間脱泡させて、導電性インクDを得た。
導電性インクDについて実施例1と同様にして、残留水分量及び粘度を測定した。また、実施例1と同様にして、透明導電層を形成し、表面抵抗と光透過率を測定し、印刷適性を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0053】
(実施例5)
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液50gに、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド500gを添加し、撹拌した。次いで、PEDOT−PSSの固形分が0.11質量%になるまで、ロータリーエバポレーションにより、60℃、真空下で濃縮して、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液を調製した。
この2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液に、プロピレングリコールを200g添加し、トリメチロールプロパントリメタクリレートを70g、イルガキュア127を12g添加した。そして、ホモジナイザーにより5分間撹拌し、1分間脱泡させて、導電性インクEを得た。
導電性インクEについて実施例1と同様にして、残留水分量及び粘度を測定した。また、実施例1と同様にして、透明導電層を形成し、表面抵抗と光透過率を測定し、印刷適性を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0054】
(実施例6)
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液500gに、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド400gを添加し、撹拌した。次いで、PEDOT−PSSの固形分が1.41質量%になるまで、ロータリーエバポレーションにより、60℃、真空下で濃縮して、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液を調製した。
この2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液に、プロピレングリコールを170g添加し、ペンタエリスリトールトリアクリレートを80g、イルガキュア127を12g添加した。そして、ホモジナイザーにより5分間撹拌し、1分間脱泡させて、導電性インクFを得た。
導電性インクFについて実施例1と同様にして、残留水分量及び粘度を測定した。また、実施例1と同様にして、透明導電層を形成し、表面抵抗と光透過率を測定し、印刷適性を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0055】
(実施例7)
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液500gに、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド300gを添加し、撹拌した。次いで、PEDOT−PSSの固形分が1.79質量%になるまで、ロータリーエバポレーションにより、60℃、真空下で濃縮して、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液を調製した。
この2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液に、プロピレングリコールを140g添加し、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを120g、イルガキュア127を10g添加した。そして、ホモジナイザーにより5分間撹拌し、1分間脱泡させて、導電性インクGを得た。
導電性インクGについて実施例1と同様にして、残留水分量及び粘度を測定した。また、実施例1と同様にして、透明導電層を形成し、表面抵抗と光透過率を測定し、印刷適性を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0056】
(実施例8)
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液500gに、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド150gを添加し、撹拌した。次いで、PEDOT−PSSの固形分が3.40質量%になるまで、ロータリーエバポレーションにより、60℃、真空下で濃縮して、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液を調製した。
この2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液に、プロピレングリコールを70g添加し、ペンタエリスリトールエトキシテトラメタクリレートを30g、イルガキュア127を3.6g添加した。そして、ホモジナイザーにより5分間撹拌し、1分間脱泡させて、導電性インクHを得た。
導電性インクHについて実施例1と同様にして、残留水分量及び粘度を測定した。また、実施例1と同様にして、透明導電層を形成し、表面抵抗と光透過率を測定し、印刷適性を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0057】
(実施例9)
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液500gに、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド250gを添加し、撹拌した。次いで、PEDOT−PSSの固形分が2.36質量%になるまで、ロータリーエバポレーションにより、60℃、真空下で濃縮して、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液を調製した。
この2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液に、プロピレングリコールを190g添加し、トリメチロールプロパントリメタクリレートを50g、イルガキュア127を6g添加した。そして、ホモジナイザーにより5分間撹拌し、1分間脱泡させて、導電性インクIを得た。
導電性インクIについて実施例1と同様にして、残留水分量及び粘度を測定した。また、実施例1と同様にして、透明導電層を形成し、表面抵抗と光透過率を測定し、印刷適性を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0058】
(実施例10)
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液500gに、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド200gを添加し、撹拌した。次いで、PEDOT−PSSの固形分が2.55質量%になるまで、ロータリーエバポレーションにより、60℃、真空下で濃縮して、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液を調製した。
この2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液に、プロピレングリコールを190g添加し、ペンタエリスリトールトリアクリレートを40g、イルガキュア127を4.8g添加した。そして、ホモジナイザーにより5分間撹拌し、1分間脱泡させて、導電性インクJを得た。
導電性インクJについて実施例1と同様にして、残留水分量及び粘度を測定した。また、実施例1と同様にして、透明導電層を形成し、表面抵抗と光透過率を測定し、印刷適性を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0059】
(実施例11)
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液500gに、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド300gを添加し、撹拌した。次いで、PEDOT−PSSの固形分が1.79質量%になるまで、ロータリーエバポレーションにより、60℃、真空下で濃縮して、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液を調製した。
この2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液に、プロピレングリコールを190g添加し、トリメチロールプロパントリメタクリレートを60g、イルガキュア127を7.2g添加した。そして、ホモジナイザーにより5分間撹拌し、1分間脱泡させて、導電性インクKを得た。
導電性インクKについて実施例1と同様にして、残留水分量及び粘度を測定した。また、実施例1と同様にして、透明導電層を形成し、表面抵抗と光透過率を測定し、印刷適性を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0060】
(比較例1)
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液10gに、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド500gを添加し、撹拌した。次いで、PEDOT−PSSの固形分が0.02質量%になるまで、ロータリーエバポレーションにより、60℃、真空下で濃縮して、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液を調製した。
この2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液に、プロピレングリコールを200g添加し、トリメチロールプロパントリメタクリレートを150g、イルガキュア127を14g添加した。そして、ホモジナイザーにより5分間撹拌し、1分間脱泡させて、導電性インクLを得た。
導電性インクLについて実施例1と同様にして、残留水分量及び粘度を測定した。また、実施例1と同様にして、透明導電層を形成し、表面抵抗と光透過率を測定し、印刷適性を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0061】
(比較例2)
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液500gに、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド50gを添加し、撹拌した。次いで、PEDOT−PSSの固形分が7.05質量%になるまで、ロータリーエバポレーションにより、60℃、真空下で濃縮して、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液を調製した。
この2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液に、プロピレングリコールを20g添加し、ペンタエリスリトールトリアクリレートを10g、イルガキュア127を1.2g添加した。そして、ホモジナイザーにより5分間撹拌し、1分間脱泡させて、導電性インクMを得た。
導電性インクMについて実施例1と同様にして、残留水分量及び粘度を測定した。また、実施例1と同様にして、透明導電層を形成し、表面抵抗と光透過率を測定し、印刷適性を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0062】
(比較例3)
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液500gに、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド200gを添加し、撹拌して、次いで、PEDOT−PSSの固形分が2.80質量%になるまで、ロータリーエバポレーションにより、60℃、真空下で濃縮して、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液を調製した。
この2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液に、プロピレングリコールを300g添加し、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを50g、イルガキュア127を5.0g添加した。そして、ホモジナイザーにより5分間撹拌し、1分間脱泡させて、導電性インクNを得た。
導電性インクNについて実施例1と同様にして、残留水分量及び粘度を測定した。また、実施例1と同様にして、透明導電層を形成し、表面抵抗と光透過率を測定し、印刷適性を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0063】
(比較例4)
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液500gに、2−ヒドロキシエチルアクリレート400gを添加し、攪拌した。次いで、PEDOT−PSSの固形分が1.41質量%になるまで、ロータリーエバポレーションにより、60℃、真空下で濃縮して、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液を調製した。
この2−ヒドロキシエチルアクリルアミド置換PEDOT−PSS水溶液にエチレングリコールモノメチルエーテルを30g添加し、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを120g、イルガキュア127を10g添加した。そして、ホモジナイザーにより5分間攪拌し、1分間間脱泡させて、導電性インクOを得た。
導電性インクOについて実施例1と同様にして、残留水分量及び粘度を測定した。また、実施例1と同様にして、透明導電層を形成し、表面抵抗と光透過率を測定し、印刷適性を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0064】
π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントと増粘剤とレベリング剤とを含み、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントの合計の含有量(固形分濃度)が0.05〜5質量%であり、増粘剤とレベリング剤の質量比が0.1以上1.5未満である実施例1〜11の導電性インクによれば、印刷により高い導電性の透明導電層を形成でき、しかも印刷適性に優れる。また、充分な光透過性を有していた。
また、架橋剤をさらに含有する導電性高分子溶液から形成した実施例2〜11の導電性塗膜はより高い光透過性を有していた。
【0065】
π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントと増粘剤とレベリング剤と架橋剤とを含み、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントの合計の含有量が0.05質量%未満であり、増粘剤とレベリング剤の質量比が0.1以上1.5未満である比較例1の導電性インクでは、透明導電層の導電性が低かった。
π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントと増粘剤とレベリング剤と架橋剤とを含み、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントの合計の含有量が5質量%を超え、増粘剤とレベリング剤の質量比が0.1以上1.5未満である比較例2の導電性インクでは、ゲル化し、印刷に適用できるものではなかった。
π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントと増粘剤とレベリング剤と架橋剤とを含み、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントの合計の含有量が0.05〜5質量%であり、増粘剤とレベリング剤の質量比が1.5以上である比較例3の導電性インクでは、基材上への印刷性が低く、にじんでしまった。
π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントと増粘剤とレベリング剤と架橘剤とを含み、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントの合計の含有量が0.05〜5質量%であり、増粘剤とレベリング剤の質量比が0.1未満である比較例4の導電性インクでは、ハジキが見られ、印刷適性が低かった。
【0066】
(実施例12)静電容量式タッチパネル
実施例1の導電性インクをスクリーン印刷によりパターン印刷して導電層を形成し、その導電層を静電容量式タッチパネルの動作確認を行った。
具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)の一方の面に、図1に示すような、11本の直線11が平行に配列したパターンが形成されるように、導電性ペースト(信越ポリマー(株)製NST−1)をスクリーン印刷し、乾燥させて、第1の引き回し回路10を形成した。
次いで、前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの、第1の引き回し回路10を形成した面に、実施例1の導電性インクを、図2に示すようなパターンでスクリーン印刷し、130℃5分間乾燥させて、検出部20と第2の引き回し回路30を形成した。ここで、検出部20は、11個のスイッチ部21が集合して長方形を形成したパターンからなる。隣接するスイッチ部21,21同士の境界はジグザグになっている。第2の引き回し回路30は、スイッチ部21と第1の引き回し回路10の直線11とを接続するパターンからなる。
その後、第1引き回し回路10、第2の引き回し回路30及び検出部20のパターンが形成されたポリエチレンテレフタレートフィルムをトムソン刃により外形抜き加工を施して、電極アレイシートを得た。パターンを形成した面に、アクリル系両面テープ(東洋インキ製造(株)製R390)を介して、ポリカーボネートシート(厚さ200μm)を貼り合せて、スイッチアレイを得た。このスイッチアレイをサイプレス社製のCY3212(−CapSense評価キットに接続して)動作検証を実施したところ、正常に動作した。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施例12における第1の引き回し回路を示す上面図である。
【図2】実施例12における第1の引き回し回路、第2の引き回し回路及び検出部を示す上面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントと増粘剤とレベリング剤とを含み、π共役系導電性高分子とポリアニオンドーパントの合計の含有量が0.05〜5質量%であり、増粘剤とレベリング剤の質量比(レベリング剤/増粘剤)が0.1以上1.5未満であることを特徴とする導電性インク。
【請求項2】
増粘剤が、グリシジル基及び/又はヒドロキシ基と、メタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基よりなる群から選ばれる1種の官能基とを含有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の導電性インク。
【請求項3】
レベリング剤がポリヒドロキシ化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性インク。
【請求項4】
架橋剤をさらに含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性インク。
【請求項5】
架橋剤が多官能アクリル化合物であることを特徴とする請求項4に記載の導電性インク。
【請求項6】
スクリーン印刷用であり、粘度が300〜10000mPa・sであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電性インク。
【請求項7】
残留水分量が20質量%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の導電性インク。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の導電性インクがパターン印刷され、硬化されて形成されたことを特徴とする透明導電層。
【請求項9】
請求項8に記載の透明導電層を備えることを特徴とする入力デバイス。
【請求項10】
請求項8に記載の透明導電層を備えることを特徴とする表示デバイス。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−300063(P2008−300063A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141849(P2007−141849)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】