導電性繊維を含むポリマーEMIハウジング
1つ又は複数のシェルから構成されている電磁シールドハウジングを開示する。これらシェルは、ポリマーと導電性繊維とを含み、繊維が実質的に露出している所定の区域以外は繊維を覆っているポリマーリッチな表面を有する。導電性繊維は、金属コーティングされた非金属繊維、またはプレーン金属繊維であってもよく、好ましくはプレーンステンレス鋼繊維である。これら繊維を露出する方法も開示する。この方法は、これら繊維を露出するように、ある選択された凸部を折り取る工程か、又は選択された凹部においてシェルを破壊する工程を含む。このハウジングおよび方法は、ポリマースキンがこれらシェルの接合部においてシールド性能を低くするという問題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を吸収するか又は反射することによって、電磁妨害(EMI)を抑えるハウジングに関する。これらハウジングは、互いにきちんと嵌まり合う1つ又は複数のシェルから組立てられる。これらのシェルの少なくとも1つは、導電性繊維が中に分散されているポリマー材料からできている。これらの繊維は、異なるシェルの繊維間の接触が最適化されるように配置されている。また本発明は、このようなシェルの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器で使用する周波数がより分散されてきているとともに、このような電子機器の数が増え続けており、これらの放射線によって、電磁(EM)環境の汚染が進んでいる。そのため、ハウジングの中の電子デバイスが放出する放射線は維持する一方で、この電子デバイスの機能を妨げる外部からの放射線は防ぐというハウジングに対するニーズが増えている。このようなハウジングは、したがって、電磁放射線を少なくとも反射し、好ましくは吸収しなければならない。これら両方の合計は、一般に、ハウジングのシールド効率(SE)と呼ばれている。ハウジングが反射するだけの場合は、ハウジング内の異なるプリント基板(PCB)上に取り付けられた異なる構成要素において相互妨害が発生する。よって、このような相互妨害を防ぐために、吸収がより好ましい。また、電子デバイスのハウジングは、このような純粋な電磁的な条件の他に、価格等の経済性や、頑丈さ、衝撃吸収度、重さすなわち軽さ等の条件も満たさなければならず、また、電子機器を魅力的なデザインにする自由度も忘れてはならない。よって、金属ボックスは、シールド性能がたとえ優れていたとしても、最良の解決法でないことは明らかである。
【0003】
ポリマー、より詳しくは熱可塑性ポリマーは、機器ハウジング設計者にとって魅力的な特性を有する。すなわち、これらは比較的安く、容易に着色することができ、良好な衝撃吸収特性を有し、射出成形デバイスによって考え得る形状に高い生産効率で費用効率よく製造することができる。そして、射出成形した複数のシェルを互いにスナップフィットして、ハウジングを組み立てることができる。単一のシェルも、折り畳むために曲げることが可能なシームを備えていれば、ハウジングの製造に用いることができる。残念ながら、熱可塑性ポリマーは絶縁体であり、シールド特性を有していない。シェルを製造した後、このシェルに、例えば金属ペイントで内部をコーティングすることによって、または蒸発金属化または無電解金属メッキ、または他の技術によって、シールド特性を付与することができる。しかしながら、これらは、製品をより高コストにする追加の操作である。したがって、ハウジングの製造に用いる化合物に、導電性充填剤を添加することによって、ポリマー製のハウジングを導電性にすることが行われてきた。一般的な充填剤材料として、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ(米国特許出願第03/013199号等を参照)、亜鉛、ニッケル、アルミニウムなどのフレークや、ステンレス鋼などの合金のフレークといった金属フレーク、またはニッケルで被覆された炭素繊維、ニッケルで被覆されたガラス繊維、ステンレス鋼繊維(米国特許第5397608号明細書)等のプレーン金属繊維といった導電性繊維がある。これらの混合物の多くのタイプも、数例を挙げるならば、例えば国際公開第93/227744号パンフレット、米国特許第6685854号明細書、米国特許第4596670号明細書で提案されている。
【0004】
導電性繊維の長さ対直径の比が、射出成形ハウジング全体に、パーコレーションネットワークを形成するのを促進するため、特に導電性繊維が好ましい。これに加えて、これらは極端に細かいことから、これらの電気抵抗が整合することによって、放射線をより良く吸収する傾向がある。繊維と粒子との混合物は、次の形態で供給することができる。
・ポリマー粒子へ添加された繊維粒子。繊維粒子は、ハウジングのポリマーの外側ジャケット、またはこれと適合性があるポリマーによって互いに保持された、繊維の短い束である。ジャケッティングは、この束の押出しまたは引抜き成形を通して行なうことができる。次いで、この適量の粒子は、正しいマスターバッチを得るためにポリマー粒子と混合されなければならない。そして、マスターバッチはこのハウジングを生産するために用いられる。または、
・本質において、上記マスターバッチ(すなわちポリマーと繊維の接触の最終比を有する)のその後切り刻まれるモノフィラメント(直径3〜5mm)への押出し物である「化合物」として。この化合物粒子は、そのまま用いることができ、その場合、それ以上の混合は必要ない。
【0005】
このような「マスターバッチ」または「化合物」から製造された射出成形シェルは、例えば米国特許第4664971号明細書において証明されているように、良好なバルクシールド効率(SE)を示す。しかしながら導電性繊維は、大きい欠点を有することが明らかになる。これらの繊維は、可塑化されたポリマーによって金型中にエントレインされるので、これらはポリマーにしたがう。したがって、ポリマー流が停止される金型の境界において、繊維の相対的な欠如がある。同様にこれらの繊維は、冷却された金型と接触する時に固化するポリマーとは逆に、金型によって保持されず、したがって液体ポリマーによってシェルの中の方へ引かれるので、シェルの表面にあまり存在しなくなる傾向がある。これらの作用は、シェルの表面において、約50〜500μm薄さのポリマースキンの形成に導く。上記のことは、バルクSEに影響を与えないが、これは、ハウジングの全体的なシールド効率に影響を与える。その理由は、シェルが互いに組立てられた時、シェルの縁部が互いに触れる場所、すなわち接合部において、繊維網中の不連続性が発生するからである。したがって、これらのシェル間の接合部は、視覚的にはぴったりしているが、ポリマースキンによる電気的不連続性がある。この不連続性は結果として、放射線が洩れる電磁放射線ギャップを生じる。さらには、このギャップは一般的に長くて薄いので、これは、スロットアンテナとして作用する。したがって、シェルの表面におけるポリマースキンは「接触問題」を導く。
【0006】
接触問題の第一の解決法は、溝部と舌状部との接合部の使用である。溝部の深さおよび舌状部の幅に応じて、重なり全体を制御することができる。この「重なり」方法は、300MHz以上の周波数に対して合理的な解決法を与えるが、それは、この重なりが、本質的に完全に容量性である低いインピーダンスを与え、したがってこのギャップが、電磁波への短絡回路として現われるからである。より低い周波数の場合、重なりにおけるシェル間の接触抵抗が高すぎて、この重なりがスロットアンテナとして作用するという点で、依然として問題が残る。
【0007】
同様に、この重なりにおける従来技術のガスケットの使用は、DC〜500MHzの範囲におけるSEを改良しない。突出している導電性ピンを有する特別なガスケットが、例えばキャビネットのペインティングまたは酸化の結果としての絶縁性ギャップに架橋するために、米国特許第6818822号明細書(最も近い先行技術と考えられる)において提案されている。この型のガスケットは、合理的な規模の非常に導電性のハウジングを覆っている薄い絶縁層の場合、確かに助けになり得るが、この解決法もまた依然として、例えば手持ち電話機においても正常に機能するかどうかを検証すべきである。それは、これらのピンが、対応してより小さくなければならないし、したがってポリマーに浸透するために、これらの機械的強度を緩めるからである。したがって、本発明者らは先行技術によって残された問題を解決することを目標とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の主目的は、先行技術への改良である。このようなものであるので、本発明の第一目的は、現存技術と比較して改良されたシールド効率を有する生産が容易なハウジングを提供することである。本発明のさらなる目的は、「接触問題」を大幅に解決するハウジングを提供することである。さらには本発明は、10MHz〜10GHzの範囲の広い周波数にわたってこの問題を解決する。このようなハウジングを実践するための方法を提供することが、本発明のさらなる目的である。さらにはこの方法は、多くの追加の仕事または材料を必要とすることなく、ハウジングを生産する効率的方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様(独立請求項1)によれば、シールドシェルが提供される。このシェルは、ポリマー材料および導電性繊維を含む。このようなシェルは、当技術分野において公知である。これらは、補聴器用ハウジングから、手持ち電話のサイズ以上で、電気キャビネットのサイズまでの多様な寸法を有してもよい。本出願のためには、シェルとは、厚さと呼ばれる小さい第三寸法をともなう実質的に二次元の形状を意味する。この二次元形状は一般に平らではなく、ほとんどの場合(ただし常にそうである必要はないが)、凸状容積を画定する形状に成形される。このようなシェルは、内部表面(凸状容積の方へ向かう)、外部表面、および縁部に容易に再分割することができる表面を有する。さらにはこのシェルは、例えばディスプレー、指示器、ボタン、アンテナ貫通接続などを収容するために、その中に、0、1つ又は複数の孔を有してもよい。このシェルは、このようなシェルから予想される保護的機能を果たすために、ある強度、密度、および高度を有していなければならない。導電性繊維は、このポリマー全体に分散されている。しかしながら、「発明の背景」において記載されているように、シェルの表面に、ポリマースキンが存在する。その理由は、流れるポリマーが、導電性繊維をエントレインするからである。したがって、これらの繊維は、実質的にポリマーによって覆われている。このことは、無作為におよび稀に、単一繊維が表面において露出されていてもよいという事実を除外しない。これは、表面において目に見える、1平方単位あたりの繊維数として定量化することができる。この数は当然ながら、ポリマーの「負荷」、すなわち全体に対する繊維の容量比率による。
【0010】
本発明のシェルは今や、シェルの表面上の十分に画定された区域において、非常に多数の繊維がこの表面において露出されているという点において、現存する先行技術とは区別される。「露出された(uncovered)」とは、導電性繊維との電気的接触が可能であるという意味である。「非常に多数」とは、所定の区域の外の表面において1平方単位あたり目に見えるものよりも多いことを意味する。これらのポリマーはわずかに透明であり、これらの区域の中またはこれらの区域の外の1平方単位あたりの露出された繊維間の数の差を既にはるかに大きくしているので、画定された区域外の目に見える繊維のすべてが露出されているわけではないと考えられるべきであることに注目されたい。これらの区域の外で1平方単位あたり目に見える繊維が存在するよりも、画定された区域において1平方単位あたり2倍超の繊維が露出されているならば、より好ましい。これらの区域の外で1平方単位あたり目に見えるものが存在するよりも、所定の区域において1平方単位あたり10倍超もの繊維が露出されているならば、最も好ましい。これらの十分に画定された区域は、内部表面上にあってもよく、または縁部にあってもよく、またはシェルの外部表面にあってもよい。露出された区域は、これらの位置が、全体のハウジングを形成する対応部分とフィットしなければならないので、シェルの設計の間に画定される。
【0011】
これらの区域は合体して、表面上に1つ又は複数の経路を形成し得る(独立請求項2)。これらの経路は、設計のニーズに応じて閉鎖されていてもよく、または閉鎖されていなくてもよい。例えば、シェルの縁部における導電性繊維は、露出されていてもよい。シェルの縁部は、前に説明されたように、特に難しい区域である。露出された繊維がシールドを改良するのを助ける別の区域は、貫通接続孔の周縁にある。円形または長方形、またはあらゆる他の多角形形状の凹部が、このような孔を画定し得る。これらの凹部は、連続溝部の形態をとってもよく、これらは分割されていてもよい。凹部がこれらの位置上のシェルの強度を弱化するにつれて、これらの形状は容易に押し通すことができる。このようにして、導電性繊維は露出される。次いで露出された繊維は、例えば、この孔を通って供給されたケーブルのシールドと電気的接触することが可能であり、このようにして全体的なシールドを改良する。
【0012】
導電性繊維が露出されているということで十分であるが、これらの露出された繊維の一部が、シェルの表面から突出しているならばより好ましい(独立請求項3)。このような突出繊維は、嵌め合わせ区域からの繊維との電気的接触をさらに一層容易にする。
【0013】
様々な型の導電性繊維が可能である。第一の種類のこのような繊維は、ニッケルまたは銅またはあらゆる他の適切な高導電性材料でコーティングされるガラス繊維もしくは炭素繊維である(独立請求項4)。金属繊維、例えば何らかの型の金属もしくは金属合金からできている繊維は、第二の種類の材料を形成する(独立請求項5)。この点に関して最も好ましいのは、良好な機械的強度と酸化抵抗および電気抵抗とを融合させているという点において、ステンレス鋼繊維である(独立請求項6)。好ましいステンレス鋼合金は、AISI300またはAISI400シリーズ合金であり、これらのうちで最も好ましいのは、AISI302である。国際公開第03/010353号パンフレットに主張されているようなAISI302HQ族メンバーは、高い破断点伸びと組み合わせたその高い強度によって最も好ましい。他の型、例えばAISI316LもしくはAISI347もまた除外されない。金属繊維はまた、ニッケルまたはニッケル合金からできていてもよい。このような金属繊維は、現在公知のあらゆる金属繊維製造方法、例えば束圧伸(bundle drawn)操作(大部分は5〜7辺の繊維断面を生じる)によって、または特許第3083144号公報に記載されているようなコイルシェービング操作(長方形断面を生じる)によって、またはワイヤシェービング操作(例えば鋼ウール)によって、または溶融金属合金浴からの金属繊維を生じる方法によって製造されてもよい。
【0014】
金属繊維は好ましくは、1μm〜50μmの相当直径を有し、0.5mm〜50mmの平均長を有する(独立請求項7)。これらが2〜15μmの相当直径、および0.5〜30mmの平均長を有するならばより好ましい。金属繊維の相当直径は、この繊維の横断面図のものと同じ面積を有する想像円の直径である。繊維の平均長は必ずしも、化合物中に混合されているような繊維の長さではない。すなわち、混合およびその後の射出成形の間、これらの繊維のいくつかは破壊される。いずれの場合も、繊維の平均長は、これらが化合物の中に入るので、この化合物の中の平均長へ上限を設定する。
【0015】
ポリマー材料は好ましくは、射出成形に適した熱可塑性材料である。これに加えて、ポリマー材料は、これが保護シェルの機械的必要条件に合致し得るように、十分な強度および硬度を有していなければならない。次の種および型(独立請求項8および9)は、本発明のシェルを生産するために用いることができる好ましい材料である。
ポリオレフィン、例えばポリプロピレン(PP)もしくはポリエチレン(PE)、
ポリ塩化ビニル(PVC)、
ポリスチレン、例えばポリ(アクリロニトリルブタジエンスチレン)(ABS)またはポリ(スチレンアクリロニトリル)(SAN)または耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、
熱可塑性ポリウレタン(TPU)、
ポリアミド(PA)、例えばPA6もしくはPA6.6、
ポリフェニレンスルフィド(PPS)、
ポリエステル、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリアセタール、例えばポリオキシメチレン(POM)、
ポリカーボネート(PC)、
ポリスルホン(PSU)、例えばポリエーテルスルホン(PES)、
ポリエーテルイミド(PEI)、
ポリエチレンエーテル(PPE)、例えばポリフェニレンオキシド(PPO(登録商標)、General Electricの商標)、
ポリアクリル化合物、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)、
融解性ポリイミドおよびポリアミド−イミド、
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)。
【0016】
上記材料の混合物、ならびに1つ又は複数のポリマーのブロックポリマーまたはコ−ポリマーは、除外されない。上記ポリマーの1つ又は複数を含むポリマーのブレンドも用いることができる。これらのポリマーは、様々な形態で、例えばホモポリマー、コポリマー、およびブロックコポリマーとして存在し得る。当業者はまた、これらの材料を射出成形機において用いるために、添加剤、例えば可塑剤、流動剤、核形成剤などが添加されなければならないことも知っている。これに加えて、顔料が、シェルへ所望の色彩を与えるために化合物混合物へ添加されてもよい。同様に、他の電気的に活性な化合物、例えば炭素繊維または炭素粒子が、米国特許出願公開第2002/0145131号明細書に示唆されているように、シェルの静電放電(ESD)特徴を改良するために添加されてもよい。
【0017】
本発明の第二の態様によれば、本発明のシェルによる1つ又は複数のシェルを含むシールドハウジングが提供される(独立請求項10)。電子機器用のハウジングは一般に、スナップフィット、ネジ、ボルト、クリップ、グルー、またはシェルを互いに保持するための当技術分野において公知のあらゆる他の手段によって互いに取り付けることができる、1、2以上のシェルから組立てられる。単一シェルもまた、この折り畳み区域においてシェルを曲げることによって、ハウジングを形成することができるように、折り畳み区域が備えられている時に用いることができる。折り畳み区域における導電性繊維が無傷のままに留まるように注意しなければならない。このハウジングはまた、これらのシェルの1つが確かに、請求項1〜9に記載の本発明のシェルであり、他方のシェルが、
プリント基板(の一部)によって形成されているか、
金属プレートまたはホイルから形成されているか、
国際公開第03/004261号パンフレットの通りに適切な形状に後形成されるか、または後形成されていない金属コーティングされたポリマーシートから形成されている、
当技術分野において公知であるような他の材料から形成されている
という点において、ハイブリッド性を有するものであってもよい。
【0018】
露出された繊維は、シェルそれ自体(ハウジングが1つのシェルのみを含む場合)と、または他のシェルと電気的接触をする必要はないが、そうであるならばより好ましい(従属請求項11)。実際、所定の区域において繊維間の電気的接触を改良することによって、インピーダンスは、接合部においてさらに減少され、より低い周波数においてでさえ、改良されたSEにつながる。前記露出繊維と、他のシェルの1つと、またはシェルそれ自体との電気的接触は、繊維と、例えば同じまたは別のシェル中の他の繊維との間、または例えばPCBまたは金属シールドプレートの導電性表面との間の直接接触を通して(従属請求項12)確立することができる。電気的接触はまた、中間導体、例えばガスケットまたはペーストまたはグルーを通しても確立することができる(従属請求項13)。このような導電性ガスケット、ペースト、またはグルーは、両側からのすべての接触繊維に対して共通の導体を与えるという利点を有する。このようにして、電気的接触の確率は、もはや露出繊維の位置によらない。ガスケットの例は、多くの形態において公知であり、網羅的ではないが、コーティングによって導電性にされたフォームから、または導電性メッシュによって取囲まれたフォームから、または導電性粒子が負荷されたポリマーからできている。硬化性ポリマーをベースとする導電性ペースト、例えば導電性材料、例えばニッケルフレークまたは炭素粒子が負荷されたシリコーンなども同様に公知であり、「現場」ガスケットを形成するために用いられる。導電性グルーは、同様な伝導メカニズムに基づいて、同様に十分に利用可能である。
【0019】
シールドハウジングの特に好ましい型は、容易にかつ反復して接合することができ、互いから取り外すことができ、このようにして一対の嵌め合わせコネクターを確立し得る2つのシェルを含む(独立請求項14)。これらのコネクターは、合わせフィットによって、またはネジ山によって、またはクランプもしくはクリップ系によって、または差し込みカップリングによって、またはスナップフィットによって、または当技術分野において通常公知のあらゆる他の手段によって、互いに機械的に嵌め込むことができる。これらのシェルの少なくとも1つは、表面において、露出された導電性繊維を有していなければならない。例えば(主要雌型コネクターを押し込むための)電気機器の差込ソケットは、中に導電性繊維を有し得るが、一方、特別な区域において、導電性繊維は、この機器の導電性ハウジングと接触し得る。もう1つの例は、プラグとソケットとの組み合わせである。プラグおよびソケットのハウジングの両方は、特定の向かい合った区域において露出されている導電性繊維を含む。機械的相互接続の時、導電性繊維間の電気的接触も確立される(直接接触によって、またはガスケットの仲介によって)。このようにして、プラグとソケットとの組み合わせの中でなされた連結は、外部の影響からシールドすることができる。プラグおよびソケットの両方は、プラグまたはソケットに入るケーブルの外部シールドと接触する繊維が露出されている追加の区域が備えられていてもよい。
【0020】
本発明の第三の態様は、シールドシェルを生産するための方法に関する(独立請求項15)。この方法における第一工程として、ポリマー粒子と導電性繊維との混合物が作られる。すなわちマスターバッチである。あるいはまた、繊維とポリマーとの混合物が、ポリマー粒子の形態で供給されてもよい。この中で、これらの繊維は、適切な量ですでに存在する。すなわち既製化合物である(独立請求項16)。導電性繊維の0.1%〜20%の容量比率が好ましい。ステンレス鋼繊維については、この容量比率は、有意に低くてもよいが、それは、シェル中に占められている1容積単位あたり、金属コーティングされた非金属繊維と比較して、より多くの導電性断面積が利用可能だからである。ステンレス鋼繊維については、0.1〜6%の容量比率が好ましい。さらにより好ましくは、0.5〜2容量%の容量比率であり、それは、これが、経済的必要条件と技術的要求事項とを均衡させることが分かるからである。適切に混合された時、これらの比率は、シェルにおいて均一であることを再び見出すことができる。
【0021】
この混合物は、ホッパーへの供給に先立って乾燥される。混合物は、射出成形機のバレル中に重力によって供給され、ポリマーの適切な軟化温度または加工温度へ加熱される。次いで、軟化されたポリマーは適切な圧力下に、往復スクリューまたはラム式インジェクターによって金型に注入される。
【0022】
この金型は、成形されることになるシェルの雌型である。この金型は、これが特定の凸部および凹部をシェル上で画定すること、これら自体は、導電性繊維が露出されるシェルの表面上にいくつかの区域を画定することにおいて、特別である。この金型は、シェルにおける気泡形成を防ぐかまたは排除するように設計されなければならず、これらは、シェルの外観および強度を損なうことがある気泡である。
【0023】
繊維を露出する工程は、シェルの突出しおよび冷却後にオフラインで実施することができる。当然ながら、露出工程が、新たに製造されたシェルの突出しの前またはその間に行なわれるならば、より都合がよい。それは、これがシェルの追加処理の必要性を排除するからである(独立請求項17)。導電性繊維の露出工程は好ましくは、凸部を折り取ることによって、または所定の凹部においてシェルを壊すことによって実施される(独立請求項18)。凸部ならびに凹部は、ギザギザをともなわないが、良好な接合部を有するのに十分な露出区域を有するきれいな破壊を可能にするように設計される。凹部は、縁部においてこれらの繊維を露出するために用いることができる。あるいはこれらは、特定の位置において、押し通し孔を形成するために用いることができる。露出工程は、手動で、またはロボットによって行なうことができる。しかしながら破壊操作は、シェルの突出しの間に導入されるのが最もよい。このために、互いに対して独立して動かすことができる二重ダイペアを有する射出成形機を用いることができる。
【0024】
これらの繊維を露出するための他の方法も、当然ながら用いることができる(独立請求項19)。このような方法は、切断、磨砕、バフ磨き、やすり仕上げ、ノコ引き、削り取り、引っ掻き、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0025】
主張されたシェルまたはハウジングを製造するための他の方法も、当然ながら考えることができる。例として、次の方法が挙げられる。
例えばケーブルのシールドシェルの押出し。
ポリマーおよび繊維を含む既製プレートまたはシートの熱成形。これらのプレートは、射出成形によって製造することができるか、またはこれらのプレートは、ポリマー−繊維混合物の注型によって製造することができる。
既製プレートまたはシートの深絞り成形。
スクリュー圧力が遠心分離力によって置換されている回転成形。
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、2つのシェル110、120からできている電子デバイス150のためのハウジング100の概略図である。両方のシェル110、120が互いに対して嵌め合わされた時、接合部130が形成される。このハウジングは、例えばディスプレー140を収容するため、または制御ボタンもしくは取っ手150、150’、150”を導入するため、またはケーブルおよびフィード155を連結するために異なる開口部を含んでいてもよい。接合部130を形成するシェルの境界において、接触区域160が備えられる。
【0028】
シェルの内部構造が、図2aに明らかにされている。そこには、シェルの断面図200が示されている。導電性繊維210が、ポリマー材料220中にカプセル化されている。シェルの境界における畝部の形態にある凸部230および円形凹部240は、金型の設計の間にシェル中に予め画定されている。実質的にすべての繊維がポリマー材料によって覆われているが、その理由は、導電性繊維が、シェルの表面を避ける傾向があるからである。導電性繊維は、凸部230を折り取ることによって、または図2bに図解されているようにディスク250を押出すことによって露出することができる。このようにして、表面からわずかに突出している、露出された繊維260、270の「ブラシ」が形成される。これらのブラシは、これらのシェル間に優れた電気接触点を形成する。
【0029】
この電気的接触は例えば、図3aに示されているように、両方のシェルからの繊維間の直接接触によって得ることができる。そこには、この接合部の断面図300が示されている。第一シェル320は、クランプ330によって、第二シェル320に対して直接クランプされている。両方のシェル340のブラシは、良好な電気的接触を確立し、良好な接合部を形成する。接合は、図3bに描かれているように、ガスケット360の導入によってさらに改良することさえできる。クランプの代わりに、他の付着手段、例えばスナップオン取付け具、ネジなどを用いることができることは、当業者には明白である。
【0030】
これらの繊維の露出はさらに、図4によって図解されている。400は、シェルの境界のところで縁を前にして撮られた写真の複製である。2つの領域が識別される。すなわち、畝部例えば230の亀裂によって得られた、露出繊維420を有する区域、および実質的に覆われた繊維を有するシェル430の表面を有する領域である。領域420は、露出されてこの区域から突出している多くの繊維例えば410を示している。同様に、散発的に繊維例えば440が、領域430に見られることに注目されたい。しかしながらこの露出は、シェル間に良好な接合部を確立するのに十分であるとはとうてい言えない。同様に、シェルの表面へより近い側面450、450’に、繊維の減耗があることにも注意されたい。図5は本質的に同じ情報を示しているが、より詳細であり、より焦点が合っているが、それは、これが走査電子顕微鏡写真500だからである。ここでもまた、2つの領域が識別される。すなわち、実質的に覆われた繊維を含有するシェルの表面である520、および露出された導電性繊維510、510’、510”を含有する区域である530である。これらの写真中の繊維は、8μmの相当直径および5mmの平均長を有するステンレス鋼繊維である。これらは、2%の容量比においてポリカーボネート中に混合された。
【0031】
本発明による一連のシェルは、繊維とポリマーとの様々な組み合わせで製造された。これらのシェルは、下に挙げられた仕様を有するCISPR22(EN55022)規準にしたがって測定された。このハウジングは、互いに嵌め込まれて12cm高さの閉鎖ボックスを形成する、17cm×23cm×6cmの2つのシェルからできていた。このボックスの中に、円形磁気ループアンテナ(直径30mm、Eaton Corporationからのモデル96021)が、ループの平面をこれらのシェルの接合部と直角にして置かれた。このループの中心は、接合部の平面において、このボックスの17cm×12cmの側面から3cmのところに配置された。次の装置が、この測定に用いられた。
トラッキング発生器としてのAdvantest TR4153A(100kHz−2Ghz)。
スペクトル分析器としてのAdvantest TR4131(10kHz−3.5GHz)。
ENI603L(1MHz−1GHz)電力増幅器。
対数周期(log−per)アンテナ。
【0032】
測定は無響室で行なわれた。対数周期アンテナが、3メートルの距離に配置された。測定に先立って、「ノーボックス」掃引周波数(f)実験(run)が、対照として記録された。E0(f)。接合されたシェルの適切な取り付け後、別の実験が記録された。E1(f)。シールド有効性(dBで表示される)が、その場合、次のように計算された。
SE(f)=20log10(E0/E1)
【0033】
図6〜8において、これらの測定の結果が、測定された周波数範囲にわたって描かれている。この一連の図面において、横軸610、710、810は常に、対数尺での周波数(MHz)を表わし、縦軸620、720、820は、デシベル(dB)のSEを表わす。線630、730、830は、15dBボックスと呼ばれるものについての仕様を表わす。線640、740、840は、30dBボックスについての仕様を表わす。
【0034】
第一実施形態において、粒子は75重量%のステンレス鋼繊維を含有する(残りは、25重量%のポリマー材料である)。ステンレス鋼繊維は、8μmの相当直径を有し、5mmの長さである。これらの繊維は、AISI302型のステンレス鋼から製造された。これらは、最終シェルにおいて3容量%のステンレス鋼繊維を得るように、マスターバッチとしてPC粒子と混合された。シェル(図1に描かれているもののようなハーフボックスの形態にあるが、開口部を有していない)が、射出圧力、背圧、射出速度、温度、および他のプロセスパラメーターについての最適化条件下、この混合物から射出成形された。すなわち、当業者に公知の手順である。シェルの幅は3mmであった。接合部を作るための第一の試みにおいて、シェルの縁部間の重ね合わせが実施された。境界において、金型は、シェルの厚さが、縁部から5mmのところで半分になるようなものであった。2つの部品を互いに嵌め合わせて接合部を形成し、接合部がその後測定された。これらの結果は、点線650として図6に示されている。その後、半分の縁部が、微粉砕除去され、境界のところで導電性繊維を露出した。このようにして3mm面積が露出された。ここでもまた、接合部は、これらのシェルを互いに接して配置することによって作られた。この接合部の測定結果が、図6のダッシュ−点線655として示されている。その後ガスケット(型番号E62 5 3−xxx、3.2mm厚さおよび9.5mm幅を有する、Schlegelから入手されたもの)が、接合部に導入され、再びSEが測定された。実線660は、トレースを示している。SEは、特に30〜100MHzの周波数領域において露出された電気繊維を有することによって改良されることは明白である。重なり接合部は、この周波数領域において高すぎるインピーダンスの問題がある。最大周波数範囲における最良のシールド効率は、ガスケットを導入することによって得られる。300MHz以上の周波数において、これらの差は、重なりにおける静電結合が接合部においてインピーダンスを減少させるにつれて減少するが、ガスケットを用いた結果は、優れたままである。
【0035】
図7は、第二実施形態の結果を描いている。テストサンプルは、同じ寸法を有し、測定手順は、第一実施形態についてと同一であった。前の実施形態との差は、ここでは次のとおりである。
繊維の別の型が用いられた。すなわち、国際公開第03/010353号パンフレットにおいて主張されているもの(AISI302HQ)、および
これらのシェルは、マスターバッチミックスから出発する代わりに、化合物粒子から射出成形された。
露出は、縁部において立っているリップ部を折り取ることによって行なわれた。
【0036】
ここでもまた、シールド効率が測定され、重なり接合部については750として、およびガスケットとともに露出された繊維については760として表わされている。改良は、第一実施形態に関しては同様であり、30〜300MHzの臨界領域においてより良好である。
【0037】
第三実施形態において(この結果は図8に表わされているが)マスターバッチは、繊維粒子とPCおよびABSポリマー粒子とを混合することによって調製された。このマスターバッチは、型AISI302の30重量%ステンレス鋼繊維を含有しており、残りはポリエステルジャケットであった。繊維は、8μmの相当直径および5mmの長さを有する。繊維の容量濃度は、6%へ上げられた。ここでもまた、重なり接合部および露出繊維との接合部およびガスケットが作られ、測定された。ここでもまた、これらの繊維は、リップ部を折り取ることによって露出された。これらの結果は、図8に示されている。850は、重なりについての曲線であり、860は、ガスケットとの組み合わせにおける露出繊維についての曲線である。増加された繊維容量の影響は明白である。
【0038】
上記3つの実施形態の他に、多くの他のものが作られ、テストされた。他の露出方法を用いて、次の一般的な結果が得られた。
シェルの縁部におけるポリマーリッチ層を削り取ると、折り取り露出よりも平均して5dBも悪い結果を生じる。
縁部の磨砕は、折り取り露出と同等の結果を生じる。
縁部の切断は、利用可能な接触面積の減少を結果として生じるが、その理由は、この繊維の断面のみが接触可能であり、突出繊維はまったく利用可能でない。この減少された接触により、性能は、より低い周波数においてより小さい。
縁部の微粉砕は、考えられたすべての方法のうちで最悪の結果を生じる。
【0039】
全体として、繊維が所定の区域において縁部を折り取ることによって露出される方法が最良であり、最も実際的な方法であることが分かった。縁部における破壊が常に、接合部において小さい不均一さを導入する小さいギザギザを結果として生じるので、この方法はさらに、この不均一さに受け入れる接合部において、弾性導電性ガスケットを用いることによってさらに改良することができる。
【0040】
図9は、シールドハウジングが、回転対称プラグおよびソケットの組み合わせ900の形態で作製されている、さらに好ましい実施形態を示している。この図面の対称線の上で、プラグおよびソケットの組み合わせの断面図が、射出成形機から突出されたままとして示されている。対称線の下で、この組み合わせはその最終形態で示されている。基本的にはこの組み合わせは、凹部908に係合するクリップ906によって機械的に互いにスナップフィットされる2つの射出成形された部分902および902’からなる。公差は、部分902および902’間に、良好であるが取り外し可能なフィットが得られるようなものである。特定区域910、910’、および912、912’において、射出の時にポリマー導電性繊維ミックスで満たされた凸部が備えられる。この実施形態の回転対称によって、これらの凸部はリング形状を有することに注目されたい。射出成形後、これらのリング912、912’および910、910’が折り取られる。金型は、成形サイクルの突出し段階において凸部が折り取られるように設計されるならば、さらに良好である。この作用によって、導電性繊維は覆いが取られ、表面916、916’、および914、914’において目に見えるようになる。コネクター本体930、930’(電気コネクターピンおよびブッシュ(bush)が具体的に示されている)は、連結されることになるケーブル920のワイヤ926と連結された後、部分902および902’の中に挿入される。ケーブル920もまた、絶縁ジャケット922の下にシールド層924が備えられている時、電気的接触が、露出繊維914、914’およびケーブルシールド924、924’間に容易に確立され得る。ケーブルシールドとコネクターとの間の緊密接触は例えば、部分902、902’のネジ込み末端断面919、919’の上に、ナット918、918’をボルト締めすることによって確立することができる。末端断面に、長手方向スリットが備えられている場合、残りの尾部は、ボルトが末端断面で閉まる時に互いに接近する。このようにして、良好な電気的接触が、シールドとコネクターとの間に確立されるのみならず、ケーブルとコネクターとの間にも強力な機械的グリップがある。最後に、導電性環状ガスケット932が、本発明のコネクターペアの環状区域916、916’間の電気接続を改良するように、両方のコネクター間に備えられてもよい。
【0041】
ここで、特許請求の範囲において、本発明の真の精神および範囲が記載されており、これは、当業者の到達範囲内にあるすべての改変例および修正例を含む。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1a】様々な要素を有するハウジングを示す。
【図1b】シェルを示す。
【図2a】繊維の露出前のシェル境界の断面図を示す。
【図2b】露出後のシェル境界の断面図を示す。
【図3a】直接接触している繊維を有する2つのシェル境界の接合部を示す。
【図3b】間に導電性ガスケットを有する2つのシェル境界の接合を示す。
【図4】シェルの縁部の白黒写真である。
【図5】シェルの縁部の走査電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の第一実施形態による接合部の周波数依存性シールド効率を示す。
【図7】本発明の第二実施形態による接合部の周波数依存性シールド効率を示す。
【図8】本発明の第三実施形態による接合部の周波数依存性シールド効率を示す。
【図9】本発明によるプラグとソケットとの組み合わせの横断面図を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を吸収するか又は反射することによって、電磁妨害(EMI)を抑えるハウジングに関する。これらハウジングは、互いにきちんと嵌まり合う1つ又は複数のシェルから組立てられる。これらのシェルの少なくとも1つは、導電性繊維が中に分散されているポリマー材料からできている。これらの繊維は、異なるシェルの繊維間の接触が最適化されるように配置されている。また本発明は、このようなシェルの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器で使用する周波数がより分散されてきているとともに、このような電子機器の数が増え続けており、これらの放射線によって、電磁(EM)環境の汚染が進んでいる。そのため、ハウジングの中の電子デバイスが放出する放射線は維持する一方で、この電子デバイスの機能を妨げる外部からの放射線は防ぐというハウジングに対するニーズが増えている。このようなハウジングは、したがって、電磁放射線を少なくとも反射し、好ましくは吸収しなければならない。これら両方の合計は、一般に、ハウジングのシールド効率(SE)と呼ばれている。ハウジングが反射するだけの場合は、ハウジング内の異なるプリント基板(PCB)上に取り付けられた異なる構成要素において相互妨害が発生する。よって、このような相互妨害を防ぐために、吸収がより好ましい。また、電子デバイスのハウジングは、このような純粋な電磁的な条件の他に、価格等の経済性や、頑丈さ、衝撃吸収度、重さすなわち軽さ等の条件も満たさなければならず、また、電子機器を魅力的なデザインにする自由度も忘れてはならない。よって、金属ボックスは、シールド性能がたとえ優れていたとしても、最良の解決法でないことは明らかである。
【0003】
ポリマー、より詳しくは熱可塑性ポリマーは、機器ハウジング設計者にとって魅力的な特性を有する。すなわち、これらは比較的安く、容易に着色することができ、良好な衝撃吸収特性を有し、射出成形デバイスによって考え得る形状に高い生産効率で費用効率よく製造することができる。そして、射出成形した複数のシェルを互いにスナップフィットして、ハウジングを組み立てることができる。単一のシェルも、折り畳むために曲げることが可能なシームを備えていれば、ハウジングの製造に用いることができる。残念ながら、熱可塑性ポリマーは絶縁体であり、シールド特性を有していない。シェルを製造した後、このシェルに、例えば金属ペイントで内部をコーティングすることによって、または蒸発金属化または無電解金属メッキ、または他の技術によって、シールド特性を付与することができる。しかしながら、これらは、製品をより高コストにする追加の操作である。したがって、ハウジングの製造に用いる化合物に、導電性充填剤を添加することによって、ポリマー製のハウジングを導電性にすることが行われてきた。一般的な充填剤材料として、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ(米国特許出願第03/013199号等を参照)、亜鉛、ニッケル、アルミニウムなどのフレークや、ステンレス鋼などの合金のフレークといった金属フレーク、またはニッケルで被覆された炭素繊維、ニッケルで被覆されたガラス繊維、ステンレス鋼繊維(米国特許第5397608号明細書)等のプレーン金属繊維といった導電性繊維がある。これらの混合物の多くのタイプも、数例を挙げるならば、例えば国際公開第93/227744号パンフレット、米国特許第6685854号明細書、米国特許第4596670号明細書で提案されている。
【0004】
導電性繊維の長さ対直径の比が、射出成形ハウジング全体に、パーコレーションネットワークを形成するのを促進するため、特に導電性繊維が好ましい。これに加えて、これらは極端に細かいことから、これらの電気抵抗が整合することによって、放射線をより良く吸収する傾向がある。繊維と粒子との混合物は、次の形態で供給することができる。
・ポリマー粒子へ添加された繊維粒子。繊維粒子は、ハウジングのポリマーの外側ジャケット、またはこれと適合性があるポリマーによって互いに保持された、繊維の短い束である。ジャケッティングは、この束の押出しまたは引抜き成形を通して行なうことができる。次いで、この適量の粒子は、正しいマスターバッチを得るためにポリマー粒子と混合されなければならない。そして、マスターバッチはこのハウジングを生産するために用いられる。または、
・本質において、上記マスターバッチ(すなわちポリマーと繊維の接触の最終比を有する)のその後切り刻まれるモノフィラメント(直径3〜5mm)への押出し物である「化合物」として。この化合物粒子は、そのまま用いることができ、その場合、それ以上の混合は必要ない。
【0005】
このような「マスターバッチ」または「化合物」から製造された射出成形シェルは、例えば米国特許第4664971号明細書において証明されているように、良好なバルクシールド効率(SE)を示す。しかしながら導電性繊維は、大きい欠点を有することが明らかになる。これらの繊維は、可塑化されたポリマーによって金型中にエントレインされるので、これらはポリマーにしたがう。したがって、ポリマー流が停止される金型の境界において、繊維の相対的な欠如がある。同様にこれらの繊維は、冷却された金型と接触する時に固化するポリマーとは逆に、金型によって保持されず、したがって液体ポリマーによってシェルの中の方へ引かれるので、シェルの表面にあまり存在しなくなる傾向がある。これらの作用は、シェルの表面において、約50〜500μm薄さのポリマースキンの形成に導く。上記のことは、バルクSEに影響を与えないが、これは、ハウジングの全体的なシールド効率に影響を与える。その理由は、シェルが互いに組立てられた時、シェルの縁部が互いに触れる場所、すなわち接合部において、繊維網中の不連続性が発生するからである。したがって、これらのシェル間の接合部は、視覚的にはぴったりしているが、ポリマースキンによる電気的不連続性がある。この不連続性は結果として、放射線が洩れる電磁放射線ギャップを生じる。さらには、このギャップは一般的に長くて薄いので、これは、スロットアンテナとして作用する。したがって、シェルの表面におけるポリマースキンは「接触問題」を導く。
【0006】
接触問題の第一の解決法は、溝部と舌状部との接合部の使用である。溝部の深さおよび舌状部の幅に応じて、重なり全体を制御することができる。この「重なり」方法は、300MHz以上の周波数に対して合理的な解決法を与えるが、それは、この重なりが、本質的に完全に容量性である低いインピーダンスを与え、したがってこのギャップが、電磁波への短絡回路として現われるからである。より低い周波数の場合、重なりにおけるシェル間の接触抵抗が高すぎて、この重なりがスロットアンテナとして作用するという点で、依然として問題が残る。
【0007】
同様に、この重なりにおける従来技術のガスケットの使用は、DC〜500MHzの範囲におけるSEを改良しない。突出している導電性ピンを有する特別なガスケットが、例えばキャビネットのペインティングまたは酸化の結果としての絶縁性ギャップに架橋するために、米国特許第6818822号明細書(最も近い先行技術と考えられる)において提案されている。この型のガスケットは、合理的な規模の非常に導電性のハウジングを覆っている薄い絶縁層の場合、確かに助けになり得るが、この解決法もまた依然として、例えば手持ち電話機においても正常に機能するかどうかを検証すべきである。それは、これらのピンが、対応してより小さくなければならないし、したがってポリマーに浸透するために、これらの機械的強度を緩めるからである。したがって、本発明者らは先行技術によって残された問題を解決することを目標とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の主目的は、先行技術への改良である。このようなものであるので、本発明の第一目的は、現存技術と比較して改良されたシールド効率を有する生産が容易なハウジングを提供することである。本発明のさらなる目的は、「接触問題」を大幅に解決するハウジングを提供することである。さらには本発明は、10MHz〜10GHzの範囲の広い周波数にわたってこの問題を解決する。このようなハウジングを実践するための方法を提供することが、本発明のさらなる目的である。さらにはこの方法は、多くの追加の仕事または材料を必要とすることなく、ハウジングを生産する効率的方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様(独立請求項1)によれば、シールドシェルが提供される。このシェルは、ポリマー材料および導電性繊維を含む。このようなシェルは、当技術分野において公知である。これらは、補聴器用ハウジングから、手持ち電話のサイズ以上で、電気キャビネットのサイズまでの多様な寸法を有してもよい。本出願のためには、シェルとは、厚さと呼ばれる小さい第三寸法をともなう実質的に二次元の形状を意味する。この二次元形状は一般に平らではなく、ほとんどの場合(ただし常にそうである必要はないが)、凸状容積を画定する形状に成形される。このようなシェルは、内部表面(凸状容積の方へ向かう)、外部表面、および縁部に容易に再分割することができる表面を有する。さらにはこのシェルは、例えばディスプレー、指示器、ボタン、アンテナ貫通接続などを収容するために、その中に、0、1つ又は複数の孔を有してもよい。このシェルは、このようなシェルから予想される保護的機能を果たすために、ある強度、密度、および高度を有していなければならない。導電性繊維は、このポリマー全体に分散されている。しかしながら、「発明の背景」において記載されているように、シェルの表面に、ポリマースキンが存在する。その理由は、流れるポリマーが、導電性繊維をエントレインするからである。したがって、これらの繊維は、実質的にポリマーによって覆われている。このことは、無作為におよび稀に、単一繊維が表面において露出されていてもよいという事実を除外しない。これは、表面において目に見える、1平方単位あたりの繊維数として定量化することができる。この数は当然ながら、ポリマーの「負荷」、すなわち全体に対する繊維の容量比率による。
【0010】
本発明のシェルは今や、シェルの表面上の十分に画定された区域において、非常に多数の繊維がこの表面において露出されているという点において、現存する先行技術とは区別される。「露出された(uncovered)」とは、導電性繊維との電気的接触が可能であるという意味である。「非常に多数」とは、所定の区域の外の表面において1平方単位あたり目に見えるものよりも多いことを意味する。これらのポリマーはわずかに透明であり、これらの区域の中またはこれらの区域の外の1平方単位あたりの露出された繊維間の数の差を既にはるかに大きくしているので、画定された区域外の目に見える繊維のすべてが露出されているわけではないと考えられるべきであることに注目されたい。これらの区域の外で1平方単位あたり目に見える繊維が存在するよりも、画定された区域において1平方単位あたり2倍超の繊維が露出されているならば、より好ましい。これらの区域の外で1平方単位あたり目に見えるものが存在するよりも、所定の区域において1平方単位あたり10倍超もの繊維が露出されているならば、最も好ましい。これらの十分に画定された区域は、内部表面上にあってもよく、または縁部にあってもよく、またはシェルの外部表面にあってもよい。露出された区域は、これらの位置が、全体のハウジングを形成する対応部分とフィットしなければならないので、シェルの設計の間に画定される。
【0011】
これらの区域は合体して、表面上に1つ又は複数の経路を形成し得る(独立請求項2)。これらの経路は、設計のニーズに応じて閉鎖されていてもよく、または閉鎖されていなくてもよい。例えば、シェルの縁部における導電性繊維は、露出されていてもよい。シェルの縁部は、前に説明されたように、特に難しい区域である。露出された繊維がシールドを改良するのを助ける別の区域は、貫通接続孔の周縁にある。円形または長方形、またはあらゆる他の多角形形状の凹部が、このような孔を画定し得る。これらの凹部は、連続溝部の形態をとってもよく、これらは分割されていてもよい。凹部がこれらの位置上のシェルの強度を弱化するにつれて、これらの形状は容易に押し通すことができる。このようにして、導電性繊維は露出される。次いで露出された繊維は、例えば、この孔を通って供給されたケーブルのシールドと電気的接触することが可能であり、このようにして全体的なシールドを改良する。
【0012】
導電性繊維が露出されているということで十分であるが、これらの露出された繊維の一部が、シェルの表面から突出しているならばより好ましい(独立請求項3)。このような突出繊維は、嵌め合わせ区域からの繊維との電気的接触をさらに一層容易にする。
【0013】
様々な型の導電性繊維が可能である。第一の種類のこのような繊維は、ニッケルまたは銅またはあらゆる他の適切な高導電性材料でコーティングされるガラス繊維もしくは炭素繊維である(独立請求項4)。金属繊維、例えば何らかの型の金属もしくは金属合金からできている繊維は、第二の種類の材料を形成する(独立請求項5)。この点に関して最も好ましいのは、良好な機械的強度と酸化抵抗および電気抵抗とを融合させているという点において、ステンレス鋼繊維である(独立請求項6)。好ましいステンレス鋼合金は、AISI300またはAISI400シリーズ合金であり、これらのうちで最も好ましいのは、AISI302である。国際公開第03/010353号パンフレットに主張されているようなAISI302HQ族メンバーは、高い破断点伸びと組み合わせたその高い強度によって最も好ましい。他の型、例えばAISI316LもしくはAISI347もまた除外されない。金属繊維はまた、ニッケルまたはニッケル合金からできていてもよい。このような金属繊維は、現在公知のあらゆる金属繊維製造方法、例えば束圧伸(bundle drawn)操作(大部分は5〜7辺の繊維断面を生じる)によって、または特許第3083144号公報に記載されているようなコイルシェービング操作(長方形断面を生じる)によって、またはワイヤシェービング操作(例えば鋼ウール)によって、または溶融金属合金浴からの金属繊維を生じる方法によって製造されてもよい。
【0014】
金属繊維は好ましくは、1μm〜50μmの相当直径を有し、0.5mm〜50mmの平均長を有する(独立請求項7)。これらが2〜15μmの相当直径、および0.5〜30mmの平均長を有するならばより好ましい。金属繊維の相当直径は、この繊維の横断面図のものと同じ面積を有する想像円の直径である。繊維の平均長は必ずしも、化合物中に混合されているような繊維の長さではない。すなわち、混合およびその後の射出成形の間、これらの繊維のいくつかは破壊される。いずれの場合も、繊維の平均長は、これらが化合物の中に入るので、この化合物の中の平均長へ上限を設定する。
【0015】
ポリマー材料は好ましくは、射出成形に適した熱可塑性材料である。これに加えて、ポリマー材料は、これが保護シェルの機械的必要条件に合致し得るように、十分な強度および硬度を有していなければならない。次の種および型(独立請求項8および9)は、本発明のシェルを生産するために用いることができる好ましい材料である。
ポリオレフィン、例えばポリプロピレン(PP)もしくはポリエチレン(PE)、
ポリ塩化ビニル(PVC)、
ポリスチレン、例えばポリ(アクリロニトリルブタジエンスチレン)(ABS)またはポリ(スチレンアクリロニトリル)(SAN)または耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、
熱可塑性ポリウレタン(TPU)、
ポリアミド(PA)、例えばPA6もしくはPA6.6、
ポリフェニレンスルフィド(PPS)、
ポリエステル、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリアセタール、例えばポリオキシメチレン(POM)、
ポリカーボネート(PC)、
ポリスルホン(PSU)、例えばポリエーテルスルホン(PES)、
ポリエーテルイミド(PEI)、
ポリエチレンエーテル(PPE)、例えばポリフェニレンオキシド(PPO(登録商標)、General Electricの商標)、
ポリアクリル化合物、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)、
融解性ポリイミドおよびポリアミド−イミド、
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)。
【0016】
上記材料の混合物、ならびに1つ又は複数のポリマーのブロックポリマーまたはコ−ポリマーは、除外されない。上記ポリマーの1つ又は複数を含むポリマーのブレンドも用いることができる。これらのポリマーは、様々な形態で、例えばホモポリマー、コポリマー、およびブロックコポリマーとして存在し得る。当業者はまた、これらの材料を射出成形機において用いるために、添加剤、例えば可塑剤、流動剤、核形成剤などが添加されなければならないことも知っている。これに加えて、顔料が、シェルへ所望の色彩を与えるために化合物混合物へ添加されてもよい。同様に、他の電気的に活性な化合物、例えば炭素繊維または炭素粒子が、米国特許出願公開第2002/0145131号明細書に示唆されているように、シェルの静電放電(ESD)特徴を改良するために添加されてもよい。
【0017】
本発明の第二の態様によれば、本発明のシェルによる1つ又は複数のシェルを含むシールドハウジングが提供される(独立請求項10)。電子機器用のハウジングは一般に、スナップフィット、ネジ、ボルト、クリップ、グルー、またはシェルを互いに保持するための当技術分野において公知のあらゆる他の手段によって互いに取り付けることができる、1、2以上のシェルから組立てられる。単一シェルもまた、この折り畳み区域においてシェルを曲げることによって、ハウジングを形成することができるように、折り畳み区域が備えられている時に用いることができる。折り畳み区域における導電性繊維が無傷のままに留まるように注意しなければならない。このハウジングはまた、これらのシェルの1つが確かに、請求項1〜9に記載の本発明のシェルであり、他方のシェルが、
プリント基板(の一部)によって形成されているか、
金属プレートまたはホイルから形成されているか、
国際公開第03/004261号パンフレットの通りに適切な形状に後形成されるか、または後形成されていない金属コーティングされたポリマーシートから形成されている、
当技術分野において公知であるような他の材料から形成されている
という点において、ハイブリッド性を有するものであってもよい。
【0018】
露出された繊維は、シェルそれ自体(ハウジングが1つのシェルのみを含む場合)と、または他のシェルと電気的接触をする必要はないが、そうであるならばより好ましい(従属請求項11)。実際、所定の区域において繊維間の電気的接触を改良することによって、インピーダンスは、接合部においてさらに減少され、より低い周波数においてでさえ、改良されたSEにつながる。前記露出繊維と、他のシェルの1つと、またはシェルそれ自体との電気的接触は、繊維と、例えば同じまたは別のシェル中の他の繊維との間、または例えばPCBまたは金属シールドプレートの導電性表面との間の直接接触を通して(従属請求項12)確立することができる。電気的接触はまた、中間導体、例えばガスケットまたはペーストまたはグルーを通しても確立することができる(従属請求項13)。このような導電性ガスケット、ペースト、またはグルーは、両側からのすべての接触繊維に対して共通の導体を与えるという利点を有する。このようにして、電気的接触の確率は、もはや露出繊維の位置によらない。ガスケットの例は、多くの形態において公知であり、網羅的ではないが、コーティングによって導電性にされたフォームから、または導電性メッシュによって取囲まれたフォームから、または導電性粒子が負荷されたポリマーからできている。硬化性ポリマーをベースとする導電性ペースト、例えば導電性材料、例えばニッケルフレークまたは炭素粒子が負荷されたシリコーンなども同様に公知であり、「現場」ガスケットを形成するために用いられる。導電性グルーは、同様な伝導メカニズムに基づいて、同様に十分に利用可能である。
【0019】
シールドハウジングの特に好ましい型は、容易にかつ反復して接合することができ、互いから取り外すことができ、このようにして一対の嵌め合わせコネクターを確立し得る2つのシェルを含む(独立請求項14)。これらのコネクターは、合わせフィットによって、またはネジ山によって、またはクランプもしくはクリップ系によって、または差し込みカップリングによって、またはスナップフィットによって、または当技術分野において通常公知のあらゆる他の手段によって、互いに機械的に嵌め込むことができる。これらのシェルの少なくとも1つは、表面において、露出された導電性繊維を有していなければならない。例えば(主要雌型コネクターを押し込むための)電気機器の差込ソケットは、中に導電性繊維を有し得るが、一方、特別な区域において、導電性繊維は、この機器の導電性ハウジングと接触し得る。もう1つの例は、プラグとソケットとの組み合わせである。プラグおよびソケットのハウジングの両方は、特定の向かい合った区域において露出されている導電性繊維を含む。機械的相互接続の時、導電性繊維間の電気的接触も確立される(直接接触によって、またはガスケットの仲介によって)。このようにして、プラグとソケットとの組み合わせの中でなされた連結は、外部の影響からシールドすることができる。プラグおよびソケットの両方は、プラグまたはソケットに入るケーブルの外部シールドと接触する繊維が露出されている追加の区域が備えられていてもよい。
【0020】
本発明の第三の態様は、シールドシェルを生産するための方法に関する(独立請求項15)。この方法における第一工程として、ポリマー粒子と導電性繊維との混合物が作られる。すなわちマスターバッチである。あるいはまた、繊維とポリマーとの混合物が、ポリマー粒子の形態で供給されてもよい。この中で、これらの繊維は、適切な量ですでに存在する。すなわち既製化合物である(独立請求項16)。導電性繊維の0.1%〜20%の容量比率が好ましい。ステンレス鋼繊維については、この容量比率は、有意に低くてもよいが、それは、シェル中に占められている1容積単位あたり、金属コーティングされた非金属繊維と比較して、より多くの導電性断面積が利用可能だからである。ステンレス鋼繊維については、0.1〜6%の容量比率が好ましい。さらにより好ましくは、0.5〜2容量%の容量比率であり、それは、これが、経済的必要条件と技術的要求事項とを均衡させることが分かるからである。適切に混合された時、これらの比率は、シェルにおいて均一であることを再び見出すことができる。
【0021】
この混合物は、ホッパーへの供給に先立って乾燥される。混合物は、射出成形機のバレル中に重力によって供給され、ポリマーの適切な軟化温度または加工温度へ加熱される。次いで、軟化されたポリマーは適切な圧力下に、往復スクリューまたはラム式インジェクターによって金型に注入される。
【0022】
この金型は、成形されることになるシェルの雌型である。この金型は、これが特定の凸部および凹部をシェル上で画定すること、これら自体は、導電性繊維が露出されるシェルの表面上にいくつかの区域を画定することにおいて、特別である。この金型は、シェルにおける気泡形成を防ぐかまたは排除するように設計されなければならず、これらは、シェルの外観および強度を損なうことがある気泡である。
【0023】
繊維を露出する工程は、シェルの突出しおよび冷却後にオフラインで実施することができる。当然ながら、露出工程が、新たに製造されたシェルの突出しの前またはその間に行なわれるならば、より都合がよい。それは、これがシェルの追加処理の必要性を排除するからである(独立請求項17)。導電性繊維の露出工程は好ましくは、凸部を折り取ることによって、または所定の凹部においてシェルを壊すことによって実施される(独立請求項18)。凸部ならびに凹部は、ギザギザをともなわないが、良好な接合部を有するのに十分な露出区域を有するきれいな破壊を可能にするように設計される。凹部は、縁部においてこれらの繊維を露出するために用いることができる。あるいはこれらは、特定の位置において、押し通し孔を形成するために用いることができる。露出工程は、手動で、またはロボットによって行なうことができる。しかしながら破壊操作は、シェルの突出しの間に導入されるのが最もよい。このために、互いに対して独立して動かすことができる二重ダイペアを有する射出成形機を用いることができる。
【0024】
これらの繊維を露出するための他の方法も、当然ながら用いることができる(独立請求項19)。このような方法は、切断、磨砕、バフ磨き、やすり仕上げ、ノコ引き、削り取り、引っ掻き、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0025】
主張されたシェルまたはハウジングを製造するための他の方法も、当然ながら考えることができる。例として、次の方法が挙げられる。
例えばケーブルのシールドシェルの押出し。
ポリマーおよび繊維を含む既製プレートまたはシートの熱成形。これらのプレートは、射出成形によって製造することができるか、またはこれらのプレートは、ポリマー−繊維混合物の注型によって製造することができる。
既製プレートまたはシートの深絞り成形。
スクリュー圧力が遠心分離力によって置換されている回転成形。
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、2つのシェル110、120からできている電子デバイス150のためのハウジング100の概略図である。両方のシェル110、120が互いに対して嵌め合わされた時、接合部130が形成される。このハウジングは、例えばディスプレー140を収容するため、または制御ボタンもしくは取っ手150、150’、150”を導入するため、またはケーブルおよびフィード155を連結するために異なる開口部を含んでいてもよい。接合部130を形成するシェルの境界において、接触区域160が備えられる。
【0028】
シェルの内部構造が、図2aに明らかにされている。そこには、シェルの断面図200が示されている。導電性繊維210が、ポリマー材料220中にカプセル化されている。シェルの境界における畝部の形態にある凸部230および円形凹部240は、金型の設計の間にシェル中に予め画定されている。実質的にすべての繊維がポリマー材料によって覆われているが、その理由は、導電性繊維が、シェルの表面を避ける傾向があるからである。導電性繊維は、凸部230を折り取ることによって、または図2bに図解されているようにディスク250を押出すことによって露出することができる。このようにして、表面からわずかに突出している、露出された繊維260、270の「ブラシ」が形成される。これらのブラシは、これらのシェル間に優れた電気接触点を形成する。
【0029】
この電気的接触は例えば、図3aに示されているように、両方のシェルからの繊維間の直接接触によって得ることができる。そこには、この接合部の断面図300が示されている。第一シェル320は、クランプ330によって、第二シェル320に対して直接クランプされている。両方のシェル340のブラシは、良好な電気的接触を確立し、良好な接合部を形成する。接合は、図3bに描かれているように、ガスケット360の導入によってさらに改良することさえできる。クランプの代わりに、他の付着手段、例えばスナップオン取付け具、ネジなどを用いることができることは、当業者には明白である。
【0030】
これらの繊維の露出はさらに、図4によって図解されている。400は、シェルの境界のところで縁を前にして撮られた写真の複製である。2つの領域が識別される。すなわち、畝部例えば230の亀裂によって得られた、露出繊維420を有する区域、および実質的に覆われた繊維を有するシェル430の表面を有する領域である。領域420は、露出されてこの区域から突出している多くの繊維例えば410を示している。同様に、散発的に繊維例えば440が、領域430に見られることに注目されたい。しかしながらこの露出は、シェル間に良好な接合部を確立するのに十分であるとはとうてい言えない。同様に、シェルの表面へより近い側面450、450’に、繊維の減耗があることにも注意されたい。図5は本質的に同じ情報を示しているが、より詳細であり、より焦点が合っているが、それは、これが走査電子顕微鏡写真500だからである。ここでもまた、2つの領域が識別される。すなわち、実質的に覆われた繊維を含有するシェルの表面である520、および露出された導電性繊維510、510’、510”を含有する区域である530である。これらの写真中の繊維は、8μmの相当直径および5mmの平均長を有するステンレス鋼繊維である。これらは、2%の容量比においてポリカーボネート中に混合された。
【0031】
本発明による一連のシェルは、繊維とポリマーとの様々な組み合わせで製造された。これらのシェルは、下に挙げられた仕様を有するCISPR22(EN55022)規準にしたがって測定された。このハウジングは、互いに嵌め込まれて12cm高さの閉鎖ボックスを形成する、17cm×23cm×6cmの2つのシェルからできていた。このボックスの中に、円形磁気ループアンテナ(直径30mm、Eaton Corporationからのモデル96021)が、ループの平面をこれらのシェルの接合部と直角にして置かれた。このループの中心は、接合部の平面において、このボックスの17cm×12cmの側面から3cmのところに配置された。次の装置が、この測定に用いられた。
トラッキング発生器としてのAdvantest TR4153A(100kHz−2Ghz)。
スペクトル分析器としてのAdvantest TR4131(10kHz−3.5GHz)。
ENI603L(1MHz−1GHz)電力増幅器。
対数周期(log−per)アンテナ。
【0032】
測定は無響室で行なわれた。対数周期アンテナが、3メートルの距離に配置された。測定に先立って、「ノーボックス」掃引周波数(f)実験(run)が、対照として記録された。E0(f)。接合されたシェルの適切な取り付け後、別の実験が記録された。E1(f)。シールド有効性(dBで表示される)が、その場合、次のように計算された。
SE(f)=20log10(E0/E1)
【0033】
図6〜8において、これらの測定の結果が、測定された周波数範囲にわたって描かれている。この一連の図面において、横軸610、710、810は常に、対数尺での周波数(MHz)を表わし、縦軸620、720、820は、デシベル(dB)のSEを表わす。線630、730、830は、15dBボックスと呼ばれるものについての仕様を表わす。線640、740、840は、30dBボックスについての仕様を表わす。
【0034】
第一実施形態において、粒子は75重量%のステンレス鋼繊維を含有する(残りは、25重量%のポリマー材料である)。ステンレス鋼繊維は、8μmの相当直径を有し、5mmの長さである。これらの繊維は、AISI302型のステンレス鋼から製造された。これらは、最終シェルにおいて3容量%のステンレス鋼繊維を得るように、マスターバッチとしてPC粒子と混合された。シェル(図1に描かれているもののようなハーフボックスの形態にあるが、開口部を有していない)が、射出圧力、背圧、射出速度、温度、および他のプロセスパラメーターについての最適化条件下、この混合物から射出成形された。すなわち、当業者に公知の手順である。シェルの幅は3mmであった。接合部を作るための第一の試みにおいて、シェルの縁部間の重ね合わせが実施された。境界において、金型は、シェルの厚さが、縁部から5mmのところで半分になるようなものであった。2つの部品を互いに嵌め合わせて接合部を形成し、接合部がその後測定された。これらの結果は、点線650として図6に示されている。その後、半分の縁部が、微粉砕除去され、境界のところで導電性繊維を露出した。このようにして3mm面積が露出された。ここでもまた、接合部は、これらのシェルを互いに接して配置することによって作られた。この接合部の測定結果が、図6のダッシュ−点線655として示されている。その後ガスケット(型番号E62 5 3−xxx、3.2mm厚さおよび9.5mm幅を有する、Schlegelから入手されたもの)が、接合部に導入され、再びSEが測定された。実線660は、トレースを示している。SEは、特に30〜100MHzの周波数領域において露出された電気繊維を有することによって改良されることは明白である。重なり接合部は、この周波数領域において高すぎるインピーダンスの問題がある。最大周波数範囲における最良のシールド効率は、ガスケットを導入することによって得られる。300MHz以上の周波数において、これらの差は、重なりにおける静電結合が接合部においてインピーダンスを減少させるにつれて減少するが、ガスケットを用いた結果は、優れたままである。
【0035】
図7は、第二実施形態の結果を描いている。テストサンプルは、同じ寸法を有し、測定手順は、第一実施形態についてと同一であった。前の実施形態との差は、ここでは次のとおりである。
繊維の別の型が用いられた。すなわち、国際公開第03/010353号パンフレットにおいて主張されているもの(AISI302HQ)、および
これらのシェルは、マスターバッチミックスから出発する代わりに、化合物粒子から射出成形された。
露出は、縁部において立っているリップ部を折り取ることによって行なわれた。
【0036】
ここでもまた、シールド効率が測定され、重なり接合部については750として、およびガスケットとともに露出された繊維については760として表わされている。改良は、第一実施形態に関しては同様であり、30〜300MHzの臨界領域においてより良好である。
【0037】
第三実施形態において(この結果は図8に表わされているが)マスターバッチは、繊維粒子とPCおよびABSポリマー粒子とを混合することによって調製された。このマスターバッチは、型AISI302の30重量%ステンレス鋼繊維を含有しており、残りはポリエステルジャケットであった。繊維は、8μmの相当直径および5mmの長さを有する。繊維の容量濃度は、6%へ上げられた。ここでもまた、重なり接合部および露出繊維との接合部およびガスケットが作られ、測定された。ここでもまた、これらの繊維は、リップ部を折り取ることによって露出された。これらの結果は、図8に示されている。850は、重なりについての曲線であり、860は、ガスケットとの組み合わせにおける露出繊維についての曲線である。増加された繊維容量の影響は明白である。
【0038】
上記3つの実施形態の他に、多くの他のものが作られ、テストされた。他の露出方法を用いて、次の一般的な結果が得られた。
シェルの縁部におけるポリマーリッチ層を削り取ると、折り取り露出よりも平均して5dBも悪い結果を生じる。
縁部の磨砕は、折り取り露出と同等の結果を生じる。
縁部の切断は、利用可能な接触面積の減少を結果として生じるが、その理由は、この繊維の断面のみが接触可能であり、突出繊維はまったく利用可能でない。この減少された接触により、性能は、より低い周波数においてより小さい。
縁部の微粉砕は、考えられたすべての方法のうちで最悪の結果を生じる。
【0039】
全体として、繊維が所定の区域において縁部を折り取ることによって露出される方法が最良であり、最も実際的な方法であることが分かった。縁部における破壊が常に、接合部において小さい不均一さを導入する小さいギザギザを結果として生じるので、この方法はさらに、この不均一さに受け入れる接合部において、弾性導電性ガスケットを用いることによってさらに改良することができる。
【0040】
図9は、シールドハウジングが、回転対称プラグおよびソケットの組み合わせ900の形態で作製されている、さらに好ましい実施形態を示している。この図面の対称線の上で、プラグおよびソケットの組み合わせの断面図が、射出成形機から突出されたままとして示されている。対称線の下で、この組み合わせはその最終形態で示されている。基本的にはこの組み合わせは、凹部908に係合するクリップ906によって機械的に互いにスナップフィットされる2つの射出成形された部分902および902’からなる。公差は、部分902および902’間に、良好であるが取り外し可能なフィットが得られるようなものである。特定区域910、910’、および912、912’において、射出の時にポリマー導電性繊維ミックスで満たされた凸部が備えられる。この実施形態の回転対称によって、これらの凸部はリング形状を有することに注目されたい。射出成形後、これらのリング912、912’および910、910’が折り取られる。金型は、成形サイクルの突出し段階において凸部が折り取られるように設計されるならば、さらに良好である。この作用によって、導電性繊維は覆いが取られ、表面916、916’、および914、914’において目に見えるようになる。コネクター本体930、930’(電気コネクターピンおよびブッシュ(bush)が具体的に示されている)は、連結されることになるケーブル920のワイヤ926と連結された後、部分902および902’の中に挿入される。ケーブル920もまた、絶縁ジャケット922の下にシールド層924が備えられている時、電気的接触が、露出繊維914、914’およびケーブルシールド924、924’間に容易に確立され得る。ケーブルシールドとコネクターとの間の緊密接触は例えば、部分902、902’のネジ込み末端断面919、919’の上に、ナット918、918’をボルト締めすることによって確立することができる。末端断面に、長手方向スリットが備えられている場合、残りの尾部は、ボルトが末端断面で閉まる時に互いに接近する。このようにして、良好な電気的接触が、シールドとコネクターとの間に確立されるのみならず、ケーブルとコネクターとの間にも強力な機械的グリップがある。最後に、導電性環状ガスケット932が、本発明のコネクターペアの環状区域916、916’間の電気接続を改良するように、両方のコネクター間に備えられてもよい。
【0041】
ここで、特許請求の範囲において、本発明の真の精神および範囲が記載されており、これは、当業者の到達範囲内にあるすべての改変例および修正例を含む。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1a】様々な要素を有するハウジングを示す。
【図1b】シェルを示す。
【図2a】繊維の露出前のシェル境界の断面図を示す。
【図2b】露出後のシェル境界の断面図を示す。
【図3a】直接接触している繊維を有する2つのシェル境界の接合部を示す。
【図3b】間に導電性ガスケットを有する2つのシェル境界の接合を示す。
【図4】シェルの縁部の白黒写真である。
【図5】シェルの縁部の走査電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の第一実施形態による接合部の周波数依存性シールド効率を示す。
【図7】本発明の第二実施形態による接合部の周波数依存性シールド効率を示す。
【図8】本発明の第三実施形態による接合部の周波数依存性シールド効率を示す。
【図9】本発明によるプラグとソケットとの組み合わせの横断面図を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー材料と、このポリマー材料中に分散した導電性繊維とを備えたシールドシェルにおいて、
前記導電性繊維が、前記シェルの表面の一部の区域で、表面に露出していることを特徴とするシールドシェル。
【請求項2】
前記導電性繊維が、前記表面上に少なくとも1つの経路を形成するために、1つ又は複数の区域で表面に露出している請求項1に記載のシールドシェル。
【請求項3】
前記表面に露出した導電性繊維の一部が、前記区域において、前記シェルの表面から突出している請求項1または2に記載のシールドシェル。
【請求項4】
前記導電性繊維が、金属でコーティングされた非金属繊維を含むものである請求項1〜3のいずれか一項に記載のシールドシェル。
【請求項5】
前記導電性繊維が金属繊維を含むものである請求項1〜3のいずれか一項に記載のシールドシェル。
【請求項6】
前記金属繊維がステンレス鋼繊維を含むものである請求項5に記載のシールドシェル。
【請求項7】
前記金属繊維が、1μm〜50μmの範囲の相当直径を有するとともに、0.5〜50mmの平均長さを有するものである請求項5または6に記載のシールドシェル。
【請求項8】
前記ポリマー材料が、ポリプロピレン(PP)もしくはポリエチレン(PE)といったポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)もしくはポリスチレンアクリロニトリル(SAN)もしくは耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)といったポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、PA6もしくはPA6.6といったポリアミド(PA)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)もしくはポリエチレンテレフタレート(PET)といったポリエステル、ポリオキシメチレン(POM)といったポリアセタール、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)といったポリスルホン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンオキシド(PPO(登録商標))といったポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)といったポリアクリル化合物、融解性ポリイミドおよびポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびこれらの混合物からなる群から選択される材料である請求項1〜7のいずれか一項に記載のシールドシェル。
【請求項9】
前記ポリマー材料が、ポリプロピレン(PP)もしくはポリエチレン(PE)といったポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)もしくはポリスチレンアクリロニトリル(SAN)もしくは耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)といったポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、PA6もしくはPA6.6といったポリアミド(PA)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)もしくはポリエチレンテレフタレート(PET)といったポリエステル、ポリオキシメチレン(POM)といったポリアセタール、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)といったポリスルホン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンオキシド(PPO(登録商標))といったポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)といったポリアクリル化合物、融解性ポリイミドおよびポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、および上記ポリマーの1つ又は複数を含有するポリマーブレンドからなる群から選択される材料である請求項1〜7のいずれか一項に記載のシールドシェル。
【請求項10】
互いに嵌め合わされた時にハウジングを形成する1つ又は複数のシールドシェルを備えたシールドハウジングであって、前記シールドシェルの少なくとも1つが、請求項1〜9のいずれか一項に記載のシェルであることを特徴とするシールドハウジング。
【請求項11】
前記少なくとも1つのシェルの前記区域で表面に露出した前記繊維が、前記シェルの1つ又は複数と電気的に接触している請求項10に記載のシールドハウジング。
【請求項12】
前記電気的接触は、前記露出繊維が直接接触することによって得られる請求項11に記載のシールドハウジング。
【請求項13】
前記露出繊維の電気的接触は、ガスケットもしくはペーストもしくはグルーまたはこれらの組み合わせを通して得られる請求項10または11に記載のシールドハウジング。
【請求項14】
前記シールドシェルが、互いに嵌まり合うように接合可能で且つ取り外し可能な一対のコネクターを形成するものである請求項10〜13のいずれか一項に記載のシールドハウジング。
【請求項15】
シールドシェルを製造する方法であって、
ポリマー粒子と導電性繊維とを含む混合物を準備する工程と、
前記シェルの凹部及び凸部を規定する前記シェルの雌型を有する金型に、適切な圧力および温度下で前記混合物を射出成形する工程と、
前記凹部又は前記凸部において前記導電性繊維を表面に露出する工程と
を含む方法。
【請求項16】
前記混合物が、ポリマー粒子と、導電性繊維を含む粒子とを含むものである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記導電性繊維を露出する工程が、前記シェルを排出する前またはその間に、前記金型の中で実施される請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記導電性繊維を露出する工程が、前記シェルの前記凹部または凸部を破壊することによって実施される請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記導電性繊維を露出する工程が、切断、磨砕、バフ磨き、やすり仕上げ、ノコ引き、削り取り、引っ掻き、またはこれらの組み合わせを含む群からのいずれか1つの方法によって実施される請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
ポリマー材料と、このポリマー材料中に分散した導電性繊維とを備えたシールドシェルにおいて、
前記導電性繊維が、前記シェルの表面の一部の区域で、表面に露出していることを特徴とするシールドシェル。
【請求項2】
前記導電性繊維が、前記表面上に少なくとも1つの経路を形成するために、1つ又は複数の区域で表面に露出している請求項1に記載のシールドシェル。
【請求項3】
前記表面に露出した導電性繊維の一部が、前記区域において、前記シェルの表面から突出している請求項1または2に記載のシールドシェル。
【請求項4】
前記導電性繊維が、金属でコーティングされた非金属繊維を含むものである請求項1〜3のいずれか一項に記載のシールドシェル。
【請求項5】
前記導電性繊維が金属繊維を含むものである請求項1〜3のいずれか一項に記載のシールドシェル。
【請求項6】
前記金属繊維がステンレス鋼繊維を含むものである請求項5に記載のシールドシェル。
【請求項7】
前記金属繊維が、1μm〜50μmの範囲の相当直径を有するとともに、0.5〜50mmの平均長さを有するものである請求項5または6に記載のシールドシェル。
【請求項8】
前記ポリマー材料が、ポリプロピレン(PP)もしくはポリエチレン(PE)といったポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)もしくはポリスチレンアクリロニトリル(SAN)もしくは耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)といったポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、PA6もしくはPA6.6といったポリアミド(PA)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)もしくはポリエチレンテレフタレート(PET)といったポリエステル、ポリオキシメチレン(POM)といったポリアセタール、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)といったポリスルホン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンオキシド(PPO(登録商標))といったポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)といったポリアクリル化合物、融解性ポリイミドおよびポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびこれらの混合物からなる群から選択される材料である請求項1〜7のいずれか一項に記載のシールドシェル。
【請求項9】
前記ポリマー材料が、ポリプロピレン(PP)もしくはポリエチレン(PE)といったポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)もしくはポリスチレンアクリロニトリル(SAN)もしくは耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)といったポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、PA6もしくはPA6.6といったポリアミド(PA)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)もしくはポリエチレンテレフタレート(PET)といったポリエステル、ポリオキシメチレン(POM)といったポリアセタール、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)といったポリスルホン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンオキシド(PPO(登録商標))といったポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)といったポリアクリル化合物、融解性ポリイミドおよびポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、および上記ポリマーの1つ又は複数を含有するポリマーブレンドからなる群から選択される材料である請求項1〜7のいずれか一項に記載のシールドシェル。
【請求項10】
互いに嵌め合わされた時にハウジングを形成する1つ又は複数のシールドシェルを備えたシールドハウジングであって、前記シールドシェルの少なくとも1つが、請求項1〜9のいずれか一項に記載のシェルであることを特徴とするシールドハウジング。
【請求項11】
前記少なくとも1つのシェルの前記区域で表面に露出した前記繊維が、前記シェルの1つ又は複数と電気的に接触している請求項10に記載のシールドハウジング。
【請求項12】
前記電気的接触は、前記露出繊維が直接接触することによって得られる請求項11に記載のシールドハウジング。
【請求項13】
前記露出繊維の電気的接触は、ガスケットもしくはペーストもしくはグルーまたはこれらの組み合わせを通して得られる請求項10または11に記載のシールドハウジング。
【請求項14】
前記シールドシェルが、互いに嵌まり合うように接合可能で且つ取り外し可能な一対のコネクターを形成するものである請求項10〜13のいずれか一項に記載のシールドハウジング。
【請求項15】
シールドシェルを製造する方法であって、
ポリマー粒子と導電性繊維とを含む混合物を準備する工程と、
前記シェルの凹部及び凸部を規定する前記シェルの雌型を有する金型に、適切な圧力および温度下で前記混合物を射出成形する工程と、
前記凹部又は前記凸部において前記導電性繊維を表面に露出する工程と
を含む方法。
【請求項16】
前記混合物が、ポリマー粒子と、導電性繊維を含む粒子とを含むものである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記導電性繊維を露出する工程が、前記シェルを排出する前またはその間に、前記金型の中で実施される請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記導電性繊維を露出する工程が、前記シェルの前記凹部または凸部を破壊することによって実施される請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記導電性繊維を露出する工程が、切断、磨砕、バフ磨き、やすり仕上げ、ノコ引き、削り取り、引っ掻き、またはこれらの組み合わせを含む群からのいずれか1つの方法によって実施される請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2008−546193(P2008−546193A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514038(P2008−514038)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050645
【国際公開番号】WO2006/128741
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(592014377)ナムローゼ・フェンノートシャップ・ベーカート・ソシエテ・アノニム (81)
【氏名又は名称原語表記】N V BEKAERT SOCIETE ANONYME
【出願人】(507397087)サビック・イノヴェイティヴ・プラスティックス・ベスローテン・フェンノートシャップ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050645
【国際公開番号】WO2006/128741
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(592014377)ナムローゼ・フェンノートシャップ・ベーカート・ソシエテ・アノニム (81)
【氏名又は名称原語表記】N V BEKAERT SOCIETE ANONYME
【出願人】(507397087)サビック・イノヴェイティヴ・プラスティックス・ベスローテン・フェンノートシャップ (1)
【Fターム(参考)】
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