小さいリッジ角度を有する一条ねじスクリューエレメント
本発明は、二つ一組で同方向に共回転し、二つ一組で正確にワイピングするスクリュー軸を有する多軸スクリュー式機械用スクリューエレメント、前記スクリューエレメントの多軸スクリュー式機械における使用、及びプラスチック材料の押出し方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つ一組で同方向に共回転し、二つ一組で完全セルフワイピングするスクリューを有する多軸押出機用スクリューエレメント、前記スクリューエレメントの多軸押出機における使用、及びプラスチック組成物の押出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ローターが完全セルフワイピングする同方向に共回転する二軸または多軸押出機は長年公知である(例えば、DP 862 668を参照されたい)。完全セルフワイピングするプロファイルの原理に基づく押出機はポリマー製造及び加工において多種多様に利用されてきた。これは主に、ポリマーメルトが一般的な加工温度で表面に付着し、経時的に分解するが、これが完全セルフワイピングスクリューのセルフクリーニング作用により防止されるという事実の結果である。完全セルフワイピングスクリュープロファイルを作成するための規則は、例えば[1]([1]=Klemens Kohlgruber:Der gleichaufige Doppelschneckenextruder[The co−rotating twin−screw element],Hanser Verlag Munich 2007,p.96以降)に記述されている。この文献には、二軸押出機の1番目のスクリューの所定のスクリュープロファイルがどのように二軸押出機の2番目のスクリューのスクリュープロファイルを決定するかも記載されている。従って、二軸押出機の1番目のスクリューのスクリュープロファイルは描かれているスクリュープロファイルとして公知である。二軸押出機の2番目のスクリューのスクリュープロファイルは二軸押出機の1番目のスクリューのスクリュープロファイルに続き、従って描かれるスクリュープロファイルとして公知である。多軸押出機の場合、隣接するスクリューは常に描かれているスクリュープロファイル及び描かれるスクリュープロファイルを有するように交互に配置されている。
【0003】
現在の二軸押出機は、各種スクリューエレメントがコア軸上に取り付けられている構成ブロックシステムを有している。こうして、当業者は二軸押出機を進行中の特定のタスクに改変し得る。
【0004】
プラスチック組成物は変形可能な組成物を意味すると考えられる。プラスチック組成物の例はポリマーメルト(特に、熱可塑性樹脂のメルト)、エラストマー、ポリマーメルトの混合物、または固体、液体または気体を含むポリマーメルトの分散物である。
【0005】
プラスチック組成物の押出しは、特にポリマーの製造、コンパウンディンク及び加工において重要な役割を発揮する。押出しは、[1]に概説されているように同方向に回転する二軸または多軸押出機における物質または物質の混合物の処理を意味すると考えられる。
【0006】
ポリマー製造中、押出しは例えばポリマーを脱気するために実施される(例えば、[1]のp.191−212を参照されたい)。
【0007】
ポリマーコンパウンディング中、押出しは例えば添加剤を配合するために、または例えば化学組成、分子量または分子構造が異なる各種ポリマーを混合するために実施される(例えば、[1]のp.59−93を参照されたい)。コンパウンディングは、通常可塑化されているプラスチック原料を用い、充填剤及び/または補強材、可塑剤、結合剤、スリップ剤、安定化剤、着色剤等を添加し、配合してポリマーを最終プラスック成形組成物(または、コンパウンド)に変換することを含む。コンパウンディングはしばしば揮発性成分(例えば、空気及び水)の除去をも含む。コンパウンディングは化学反応(例えば、グラフト化、官能基の修飾、または分子量を慎重に増加または減少させることによる分子量の修飾)をも含み得る。
【0008】
ポリマー加工中にポリマーを半完成製品、すぐ使用できる製品またはコンポーネントに変換することが好ましい。加工は、例えば射出成形、押出し、インフレーション、カレンダリングまたはスピニングにより起こり得る。加工は、ポリマーの充填剤、補助物質及び添加剤との混合、及び化学的修飾(例えば、加硫)をも含み得る。
【0009】
押出し中のプラスチック組成物の処理は、1つ以上の操作、すなわち搬送、溶融、分散、混合、脱気及び圧力発生を含む。
【0010】
一般的に公知であり、例えば[1]のp.169−190に記載されているように、混合は分配及び分散混合に分けられ得る。分配混合は、各種成分の所定容量での均一分配を意味すると考えられる。分配分布は、例えば類似のまたは手動で相容性のポリマーを混合するときに生ずる。分散混合では、固体粒子、流滴または気泡がまず細分される。細分は、例えばポリマーメルトと添加剤間の界面での表面張力を解消するのに十分に大きい剪断力を伴う。
【0011】
メルト搬送及び圧力発生は刊行物[1]のp.73以降に記載されている。押出機スクリュー中のメルト搬送ゾーンは生成物を1つの加工ゾーンから次のゾーンに輸送し、充填剤を取り入れるように働く。メルト搬送ゾーンは通常、例えば生成物を1つの加工ゾーンから次のゾーンに輸送している間、脱気している間及び保持ゾーンにおいて部分的に満たされる。搬送のために必要なエネルギーは散逸し、不利なことにポリマーメルトの温度上昇が見られる。従って、搬送ゾーンにおいて使用されるスクリューエレメントはできるだけ最小量のエネルギーしか散逸しないものでなければならない。1×押出機バレル直径Dのピッチを有するねじエレメントは単純なメルト搬送のために慣用されている[1]。
【0012】
押出機内の圧力消費者(例えば、逆方向搬送エレメント、混合エレメント、逆方向搬送または中立混練ブロック)の上流に、押出機の外側の圧力消費者(例えば、ダイプレート、押出しダイ及びメルトフィルター)の上流に、搬送を完全に満ちた状態で実施し、圧力消費者を解消するために圧力を発生させなければならない背圧ゾーンが押出機内に形成されている。メルトを出力させるために必要な圧力を発生させる押出機の圧力発生ゾーンは計量ゾーンとして公知である。ポリマーメルトに導入されるエネルギーは圧力発生のため及びメルトを搬送するための効果的なパワー及び不利なことにメルトの温度上昇により明らかとなるパワーの散逸に分けられる。圧力発生ゾーンではメルトの激しい還流がスクリュー歯先全体で生じ、よってエネルギー入力が多くなる[1]。従って、圧力発生ゾーンにおいて使用されるスクリューエレメントはできるだけ最小量のエネルギーしか散逸しないものでなければならない。
【0013】
更に、当業者は、公知のErdmengerスクリュープロファイルを有する二条ねじ搬送エレメントの圧力発生中の効率が約10%であることを周知している([1]のp.129−146)。1000kg/m2のメルト密度及び2000J/kg/Kのメルトの熱容量での50バールの圧力上昇は10%の効率で25Kの温度上昇を生ずる([1]のp.120)。この加熱により、臭い、色、化学組成または分子量が変化するように生成物が害され、またはゲル粒子または夾雑物のように生成物中にむらが形成される恐れがある。
【0014】
ポリエチレン及びポリエチレンコポリマーを押出すとき、温度が過度に高いと分子量、分岐及び架橋が増える。更に、ポリエチレン及びポリエチレンコポリマーは当業者公知の([2]Hepperle,J.;Schadigungsmechanismen bei Polymern[Damage mechanisms in polymers],Polymeraufbereitung 2002,VDI−K,VDI−Verlag GmbH;[3]Zweifel,H.:Stabilization of Polymeric Materials,Springer,Berlin,1997;[4]Schwarzenbach,K.ら;Antioxiants,Zweifel,H.編:Plastics Additives Handbook,Hanser,Munich,2001;[5]Cheng,H.N.,Schilling,F.C.,Bovey,F.A.:13C Nuclear Magnetic Resonance Observation of the Oxidation of Polyethylene,Macromolecules,9(1979)p.363−365)自己酸化サイクルにおいて大気酸素と反応して、臭いが強く、よって分裂した低分子量成分(例えば、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、ヒドロペルオキシド、エステル、ラクトン及びアルコール)が形成される。
【0015】
ポリエチレン及び酢酸ビニルを主成分とするコポリマーを押出すとき、温度が過度に高いと更に臭いが強い腐食性酢酸が形成される。
【0016】
ポリプロピレン及びポリプロピレンコポリマーを押出すとき、温度が過度に高いと分子量が低下する。ポリプロピレン及びポリプロピレンコポリマーは更に自己酸化サイクルにおいて大気酸素と反応して、臭いが強く、よって分裂した低分子量成分(例えば、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、ヒドロペルオキシド、エステル、ラクトン及びアルコール)が形成される。
【0017】
ポリ塩化ビニルを押出すとき、温度が過度に高いと生成物が脱色し、腐食性のガス状塩化水素が脱離し、この塩化水素は更に塩化水素の脱離を触媒する。
【0018】
ポリスチレンを押出すとき、温度が過度に高いと、分子量が低下し、対応して機械的特性が損なわれている有害なスチレン並びに二量体及び三量体スチレンが形成される。
【0019】
ポリスチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)を押出すとき、熱ストレスに曝されると生成物は黄色になって透明性が低下し、また分子量が低下し、機械的特性が損なわれている発癌性モノマーのアクリロニトリル及びスチレンが形成される。
【0020】
芳香族ポリカーボネートを押出すとき、過度の熱ストレスに曝されると、特に酸素の作用のために生成物は黄色になって透明性が低下し、特に水の作用のために分子量の低下を示す。高温に曝されるとビスフェノールAのようなモノマーも解離する。
【0021】
ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリトリメチレンテレフタレート)を押出すとき、過度の温度及び水の作用により分子量が低下し、分子中の末端基が置換される。これは、特にポリエチレンフレフタレートをリサイクルするとき厄介である。ポリエチレンテレフタレートは高温でアセトアルデヒドを脱離し、これにより例えば飲料水ボトルの内容物の臭いが変化する恐れがある。
【0022】
ジエンゴム(特に、ブタジエンゴム)で衝撃性を付与した熱可塑性樹脂、特に耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)及び耐衝撃性SAN(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン,ABS)を押出すとき、過度の温度により発癌性ブタジエン及びアクリロニトリル、及び有毒なビニルシクロヘキセンが脱離する。更に、ジエンゴムが架橋して、生成物の機械的特性が損なわれる。
【0023】
ポリオキシメチレンを押出すとき、過度の温度により有毒なホルムアルデヒドが脱離する。
【0024】
ポリアミド(例えば、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド4,6、ポリアミド11及びポリアミド12)を押出すとき、温度が過度に高いと生成物か脱色し、分子量が低下し、また特に水が存在するとモノマー及びダイマーが再形成され、その結果機械的特性が損なわれる。
【0025】
熱可塑性ポリウレタンを押出すとき、温度が過度に高いとトランスウレタン化により分子構造が変化し、水が存在すると分子量が低下する。望ましくないことに、これらの両方が熱可塑性ポリウレタンの特性に悪影響を与える。
【0026】
ポリメチルメタクリレートを押出すとき、過度の熱ストレスに曝されるとメチルメタクリレートが脱離し、分子量が低下し、その結果不愉快な臭いが生じ、機械的特性が損なわれる。
【0027】
ポリフェニレンスルフィドを押出すとき、温度が過度に高いと硫黄含有有機及び無機化合物が脱離し、その結果不愉快な臭いが生じ、押出ダイを腐食させる恐れがある。低分子量オリゴマー及びモノマーも形成され、分子量が低下して、ポリフェニレンスルフィドの機械的特性が損なわれる。
【0028】
ポリフェニレンスルホンを押出すとき、温度が過度に高いと、特に水が存在すると有機化合物が脱離する。分子量も低下し、その結果機械的特性が損なわれる。
【0029】
ポリフェニレンエーテルを押出すとき、温度が過度に高いと分子量が低下した低分子量有機化合物が脱離する。これにより、生成物の機械的特性が損なわれる。
【0030】
ジエンゴム(例えば、ポリブタジエン(BR)、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム(CIIR)、ブロモブチルゴム(BIIR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリクロロプレン(CR)、ブタジエン−アクリロニトリルゴム(NBR)、部分水素化ブタジエン−アクリロニトリルゴム(HMBR)及びエチレン−プロピレン−ジエンコポリマー(EPDM))を押出すとき、温度が過度に高いと架橋によりゲルが形成され、そのためにそこから生成される成分の機械的特性が損なわれる。クロロ−及びブロモブチルゴムの場合、温度が高いと腐食性塩化水素または臭化水素ガスが脱離するおそれがあり、これらは更にポリマーの分解を触媒する。
【0031】
押出中に温度が過度に高いと、加硫剤(例えば、硫黄及び過酸化物)を含有しているゴムコンパウンドが早期に加硫される。この結果、これらのゴムコンパウンドから生成物を生成することがもはやできない。
【0032】
1つ以上のポリマーの混合物を過度の高温で押出すと、個々のポリマーの押出の欠点がそれぞれ生ずる。
【0033】
二軸押出機へのエネルギー入力は、プロセスパラメーターの押出量及び回転速度により、生成物の材料特性により、使用するスクリューの形状寸法により決定される。
【0034】
従来技術[1](例えば、p.101を参照されたい)によれば、完全セルフワイピングスクリューエレメントの形状寸法は、完全セルフワイピング輪郭のねじ山の数z、中心線距離a及び外半径raの独立変数を明示することにより規定される。従来技術によれば、プロファイルのすべての点がバレルをクリーニングする歯先角は取り扱う問題に対して調節可能であり、改変可能な変数ではなく、代わりに方程式1により得られる。
【0035】
【数1】
上記数式中、KW0は完全セルフワイピングプロファイルのラジアンで表示される歯先角であり、πは円周率(π≒3.14159)である。
【0036】
従来技術によれば、エレメントの密接に噛み合う対の両エレメント全体の歯先角の合計SKW0は、
【0037】
【数2】
から必然的に得られる。
【0038】
1つ以上のスクリューねじ山を有するスクリュープロファイルが作成され得る。正確に1つのスクリューねじ山を有する公知のスクリュープロファイルの圧力発生中の良好な搬送能力及び剛性は公知である。これらは狭い間隙を有するスクリューバレルをクリーニングする非常に広いスクリュー歯先を有している。当業者には、間隙が狭いためにスクリュー歯先の領域で特に大量のエネルギーがメルト中に散逸し、よって生成物が局所的に異常に過熱されることが公知である。この点で大きな歯先角は特に有害である。
【0039】
従って、狭いスクリュー歯先しか有していない二条ねじスクリュープロファイルは主に従来技術の同方向に回転する二軸押出機に使用されている。しかしながら、これらは圧力発生の点で一条ねじスクリュープロファイルよりも余り効果的でない。
【0040】
運転エネルギーは、エネルギー入力をコスト及び環境的理由で減らすことが望ましいように高グレードの電気エネルギーの形態で二軸押出機に供給される。更に、多くの過程で高いエネルギー入力は二軸押出機の可能な押出量、よって経済的実行可能性をも制限する。
【0041】
US 3,900,187は、狭い歯先角を有する一条ねじスクリュープロファイルを記載している。十分に効果的な圧力発生を有しているならば、前記スクリュープロファイルを有するスクリューエレメントの剪断作用は他の公知の一条ねじスクリューエレメントよりも低い。しかしながら、US 3,900,187は、スクリュー歯先に隣接するプロファイルフランクゾーンが円形弧により表わされる軸対称スクリュープロファイルの作成を開示しており、前記円形弧の中心点は回転点を通っているプロファイルの対称軸に対して垂直上にある。よって、US 3,900,187は特定の問題に対して個々に改変することができず、用途が限られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献2】米国特許第3,900,187号明細書
【非特許文献】
【0043】
【非特許文献1】Klemens Kohlgruber:Der gleichaufige Doppelschneckenextruder[The co−rotating twin−screw element],Hanser Verlag Munich 2007
【非特許文献2】Hepperle,J.;Schadigungsmechanismen bei Polymern[Damage mechanisms in polymers],Polymeraufbereitung 2002,VDI−K,VDI−Verlag GmbH
【非特許文献3】Zweifel,H.:Stabilization of Polymeric Materials,Springer,Berlin,1997
【非特許文献4】Schwarzenbach,K.ら;Antioxiants,Zweifel,H.編:Plastics Additives Handbook,Hanser,Munich,2001
【非特許文献5】Cheng,H.N.,Schilling,F.C.,Bovey,F.A.:13C Nuclear Magnetic Resonance Observation of the Oxidation of Polyethylene,Macromolecules,9(1979)p.363−365
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0044】
従って、従来技術に基づいて、目的は、公知の一条ねじスクリューエレメントに匹敵する圧力を発生させるが、加工しようとする材料に対して少ない剪断しか与えず、よって生成物の品質を損なわないスクリューエレメントを提供することである。加工しようとするポリマーに対して回転剪断プロファイルにより加えられる剪断及び歪み応力を取り扱う特定問題に対して改変することができるようにできるだけ様々な方法で所望のスクリューエレメントが作製されなければならない。
【0045】
驚くことに、上記目的を達成し得、対のエレメントの歯先角の合計が
【0046】
【数3】
未満であり、軸対称スクリュープロファイルの場合にはフランク円の中心点のいずれもが回転点を通っているプロファイルの対称軸に対して垂直上にないスクリューエレメントが知見された。
【0047】
従って、本発明は、二つ一組で同方向に共回転し、二つ一組で完全にセルフワイピングするスクリューを有し、それぞれ正確に1つのスクリューねじ山を有し、中心線距離a及び外半径raを有する多軸押出機用スクリューエレメントを提供し、描かれている及び描かれるスクリュープロファイルの歯先角の合計は
【0048】
【数4】
未満であり、軸対称のスクリュープロファイルの場合にはフランク円の中心点のいずれもが回転点を通っているプロファイルの対称軸に対して垂直上にないことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1a】従来技術に従う一条ねじセルフクリーニングスクリュープロファイルの一部を断面で示す。
【図1b】従来技術に従う一条ねじセルフクリーニングスクリュープロファイルの一部を断面で示す。
【図1c】従来技術に従う一条ねじセルフクリーニングスクリュープロファイルの一部を断面で示す。
【図1d】従来技術に従う一条ねじセルフクリーニングスクリュープロファイルの一部を断面で示す。
【図2a】小さい歯先角を有する本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルの断面の例を示す。
【図2b】小さい歯先角を有する本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルの断面の例を示す。
【図2c】小さい歯先角を有する本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルの断面の例を示す。
【図2d】小さい歯先角を有する本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルの断面の例を示す。
【図2e】小さい歯先角を有する本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルの断面の例を示す。
【図2f】例示の目的で、スクリュープロファイル2aから2eから構成され、搬送ねじとして組み立てられるスクリューの縦断面図を示す。
【図2g】例示の目的で、スクリュープロファイル2aから2eから構成され、搬送ねじとして組み立てられるスクリューの縦断面図を示す。
【図2h】例示の目的で、スクリュープロファイル2aから2eから構成され、搬送ねじとして組み立てられるスクリューの縦断面図を示す。
【図2i】例示の目的で、スクリュープロファイル2aから2eから構成され、搬送ねじとして組み立てられるスクリューの縦断面図を示す。
【図2j】例示の目的で、スクリュープロファイル2aから2eから構成され、搬送ねじとして組み立てられるスクリューの縦断面図を示す。
【図3a】RA=0.58、図3aの47.6°から図3dの11.9°に変化する半歯先角α1を有する本発明の描かれているスクリュープロファイルの部分プロファイルの例を示す。
【図3b】RA=0.58、図3aの47.6°から図3dの11.9°に変化する半歯先角α1を有する本発明の描かれているスクリュープロファイルの部分プロファイルの例を示す。
【図3c】RA=0.58、図3aの47.6°から図3dの11.9°に変化する半歯先角α1を有する本発明の描かれているスクリュープロファイルの部分プロファイルの例を示す。
【図3d】RA=0.58、図3aの47.6°から図3dの11.9°に変化する半歯先角α1を有する本発明の描かれているスクリュープロファイルの部分プロファイルの例を示す。
【図4a】キンクを持たない本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルを示す。
【図4b】キンクを持たない本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルを示す。
【図4c】キンクを持たない本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルを示す。
【図4d】キンクを持たない本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルを示す。
【図5a】本発明のスクリュープロファイルをx軸方向に変位させることによるセルフクリーニングスクリューの対の作製を一例として示す。
【図5b】本発明のスクリュープロファイルをx軸方向に変位させることによるセルフクリーニングスクリューの対の作製を一例として示す。
【図5c】本発明のスクリュープロファイルをx軸方向に変位させることによるセルフクリーニングスクリューの対の作製を一例として示す。
【図6a】1つ及び同一のスクリュープロファイルに対する4つの変位を一例として示し、それぞれプロファイル輪郭の異なる半径によりバレルボアがクリーニングされる。
【図6b】1つ及び同一のスクリュープロファイルに対する4つの変位を一例として示し、それぞれプロファイル輪郭の異なる半径によりバレルボアがクリーニングされる。
【図6c】1つ及び同一のスクリュープロファイルに対する4つの変位を一例として示し、それぞれプロファイル輪郭の異なる半径によりバレルボアがクリーニングされる。
【図6d】1つ及び同一のスクリュープロファイルに対する4つの変位を一例として示し、それぞれプロファイル輪郭の異なる半径によりバレルボアがクリーニングされる。
【図7a】間隙(クリアランス)を有する本発明のスクリューエレメントのプロファイルの例を示す。
【図7b】間隙(クリアランス)を有する本発明のスクリューエレメントのプロファイルの例を示す。
【図7c】間隙(クリアランス)を有する本発明のスクリューエレメントのプロファイルの例を示す。
【図7d】間隙(クリアランス)を有する本発明のスクリューエレメントのプロファイルの例を示す。
【図8a】本発明に従う偏心プロファイルが間隙を有するスクリュープロファイルを設計した後、プロファイルを間隙内で変位させることによっても得られ得ることを示している。
【図8b】本発明に従う偏心プロファイルが間隙を有するスクリュープロファイルを設計した後、プロファイルを間隙内で変位させることによっても得られ得ることを示している。
【図8c】本発明に従う偏心プロファイルが間隙を有するスクリュープロファイルを設計した後、プロファイルを間隙内で変位させることによっても得られ得ることを示している。
【図8d】本発明に従う偏心プロファイルが間隙を有するスクリュープロファイルを設計した後、プロファイルを間隙内で変位させることによっても得られ得ることを示している。
【図9a】本発明の搬送ねじ山の縦断面図を一例として示す。
【図9b】60°のオフセット角で軸上に配置されている7つの混練ディスクを有する混練エレメントの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明のスクリューエレメントの断面プロファイル(以下、略してプロファイルまたはスクリュープロファイルと称する)は円形弧の配置により明白に描かれ得る。
【0051】
本発明のスクリューエレメントのスクリュープロファイルは、好ましくは断面でn(ここで、nは4を超える整数である)個の円形弧から構成される。n個の円形弧の各々は起点及び終点を有している。
【0052】
各円形弧j(j=1からn)の位置は、2つの異なる点を示すことにより明白に確定され得る。円形弧の位置を中心点及び起点または終点を示すことにより確定することが好都合である。個々の円形弧jの大きさは半径rj及び起点と終点の間の中心点の周りの角度αjにより確定され、半径rjは0以上且つスクリュー間の中心線距離a以下であり、ラジアンで表示される角度αjは0以上且つ2π(ここで、πは円周率(π≒3.14159))以下である。
【0053】
本発明のスクリューエレメントのプロファイルは1つ以上の「キンク」をも含み得る。キンクは便宜上半径r=0を有する円形弧として処理される。「キンクの大きさ」は半径r=0を有する円形弧の対応する角度により決定され、すなわちキンクでは半径r=0を有する第2円形弧の角度の周りを回転させることによる第1円形弧から第3円形弧への遷移がある。また、半径r=0を有する第2円形弧の中心点中の第1円形弧に対する接線は、第2円形弧の角度に対応する角度で第2円形弧の中心点中の第3円形弧に対する接線と交差する。第2円形弧を考慮して、すべての隣接円形弧(第1→第2→第3)は相互に接線方向で合流する。半径r=0を有する円形弧をeps(epsは0に向かう傾向にある非常に小さな正の実数である(eps≪1,eps→0))に等しい半径を有する円形弧として処理することが好都合である。
【0054】
本発明のプロファイルでは、円形弧は常にその起点及び終点で相互に接線方向で合流する。
【0055】
外側スクリュー半径に等しいスクリュープロファイルのゾーンは歯先ゾーンとして公知である。コア半径に等しいスクリュープロファイルのゾーンは溝付きゾーンとして公知である。外側スクリュー半径よりも小さく且つコア半径よりも大きいスクリュープロファイルのゾーンはフランクゾーンとして公知である。
【0056】
本発明のスクリューエレメントは、その断面で
−描かれているスクリュープロファイル及び描かれるスクリュープロファイルは1つの平面にある;
−距離a(中心線距離)での描かれているスクリュープロファイルの回転軸及び描かれるスクリュープロファイルの回転軸はそれぞれスクリュープロファイルの前記平面に対して垂直であり、描かれているスクリュープロファイルの回転軸と前記平面の交差点は描かれているスクリュープロファイルの回転点として称され、描かれるスクリュープロファイルの回転軸と前記平面の交差点は描かれるスクリュープロファイルの回転点として称される;
−描かれているスクリュープロファイルの円形弧の数はnである;
−描かれているスクリュープロファイルの外半径raは0以上(ra>0)であり且つ中心線距離以下(ra≦a)である;
−描かれているスクリュープロファイルのコア半径riは0以上(ri≧0)であり且つra以下(ri≦ra)である;
−描かれているスクリュープロファイルの円形弧は閉鎖プロファイルを形成し、すなわち円形弧jのすべての角度αjの合計は2πに等しい;
−描かれているスクリュープロファイルの円形弧は凸状プロファイルを形成する;
−描かれているスクリュープロファイルの円形弧の各々が外半径ra及びコア半径riを有する円形環の範囲内またはその境界線上にあり、その中心点は描かれているスクリュープロファイルの回転点上にある;
−描かれているスクリュープロファイルの円形弧の正確に1つが描かれているスクリュープロファイルの外半径raを有している;
−描かれているスクリュープロファイルの円形弧の正確に1つが描かれているスクリュープロファイルのコア半径riを有している;
−描かれるスクリュープロファイルの円形弧の数n’は描かれているスクリュープロファイルの円形弧の数nに等しい;
−描かれるスクリュープロファイルの外半径ra’は描かれているスクリュープロファイルの中心線距離と外半径riの差(ra’=a−ri)に等しい;
−描かれるスクリュープロファイルのコア半径ri’は描かれているスクリュープロファイルの中心線距離と外半径raの差(ri’=a−ra)に等しい;
−描かれるスクリュープロファイルのj’番目の円形弧の角度αj’は描かれているスクリュープロファイルのj番目の円形弧の角度αjに等しく、j及びj’はそれぞれ1から円形弧の数nまたはn’の範囲のすべての値を共に通る整数である;
−描かれるスクリュープロファイルのj’番目の円形弧の半径rj’と描かれているスクリュープロファイルのj番目の円形弧の半径rjの合計は中心線距離aに等しく、j及びj’はそれぞれ1から円形弧の数nまたはn’の範囲の値のすべてを共に通る整数である;
−描かれるスクリュープロファイルのj’番目の円形弧の中心点は描かれているスクリュープロファイルのj番目の円形弧の中心点からの距離(この距離は中心線距離aに等しい)にあり、描かれるスクリュープロファイルのj’番目の円形弧の中心点は描かれるスクリュープロファイルの回転点からの距離(この距離は描かれているスクリュープロファイルのj番目の円形弧の中心点の描かれているスクリュープロファイルの回転点からの距離に等しい)にあり、描かれるスクリュープロファイルのj’番目の円形弧の中心点と描かれているスクリュープロファイルのj番目の円形弧の中心点間の接続線は描かれるスクリュープロファイルの回転点と描かれているスクリュープロファイルの回転点間の接続線に平行な線であり、j及びj’はそれぞれ1から円形弧の数nまたはn’の範囲の値のすべてを共に通る整数である;
−描かれるスクリュープロファイルのj’番目の円形弧の起点は、描かれているスクリュープロファイルのj番目の円形弧の起点の描かれているスクリュープロファイルのj番目の円形弧の中心点に対する方向と反対にある描かれるスクリュープロファイルのj’番目の円形弧の中心点に対する方向にあり、j及びj’はそれぞれ1から円形弧の数nまたはn’の範囲の値のすべてを共に通る整数である;
−描かれている及び描かれるスクリュープロファイルの歯先角の合計は
【0057】
【数5】
未満である;及び
−軸対称のスクリュープロファイルの場合にはフランク円の中心点のいずれもが回転点を通っているプロファイルの対称軸に対して垂直上にない;
ことを特徴とする。
【0058】
描かれている及び描かれるスクリュープロファイルの歯先角の合計は、
【0059】
【数6】
未満であり、好ましくは
【0060】
【数7】
未満であり、特に好ましくは
【0061】
【数8】
未満であり、最も好ましくは
【0062】
【数9】
未満である。
【0063】
本発明のスクリューエレメントにおいて、それぞれ1つの断面プロファイルが0以上且つa以下である半径を有する5個以上の円形弧から構成され、これらの円形弧がその終点で相互に接線方向で合流することが好ましい。
【0064】
本発明のスクリューエレメントのプロファイルは、それぞれ各スクリューエレメントの回転点を通っている軸に対して非対称であっても、対称であってもよい。本発明のスクリューエレメントの軸対称プロファイルは、フランクゾーンを形成する円形弧の中心点のいずれもが回転点を通っているプロファイルの対称軸に対して垂直上にない点で区別される。
【0065】
本発明のスクリューエレメントのプロファイルは三角定規とコンパスだけを用いて設計され得る点で区別される。よって、描かれているスクリュープロファイルのj番目の円形弧と(j+1)番目の円形弧間の接線方向遷移はj番目の円形弧の終点の周りに半径rj+1の円を描くことにより設計され、描かれているスクリュープロファイルの回転点の近くに位置決めされるこの弧とj番目の円形弧の中心点及び終点により規定される直線との交差点は(j+1)番目の円形弧の中心点である。
【0066】
スクリュープロファイルの作成方法をコンピューターを用いて実施することが推奨される。この場合、スクリューエレメントの寸法は、スクリューエレメントを作製するためのCADフライス盤に供給し得る形で存在させる。
【0067】
本発明のスクリューエレメントの中心線距離に対して正規化した外側スクリュー半径は、好ましくは0.51から0.7の範囲、特に好ましくは0.52から0.66の範囲、非常に特に好ましくは0.57から0.63の範囲である。
【0068】
本発明のスクリューエレメントは搬送エレメント、混練エレメントまたは混合エレメントとして組み立てられ得る。
【0069】
搬送エレメントは、スクリュープロファイルが連続して軸方向に螺旋状に回転し、延びている点で区別されることは公知である(例えば、[1],p.227−248を参照されたい)。スクリューの回転方向に応じて、搬送エレメントは左回りまたは右回りである。逆方向搬送エレメントは、それぞれ反対のねじれにより得られる。搬送エレメントのピッチは好ましくは中心線距離の0.1から10倍の範囲であり、ピッチはスクリュープロファイルの1回完全回転のために必要な軸方向長さを意味すると考えられ、搬送エレメントの軸方向長さは好ましくはスクリュー直径の0.1から10倍の範囲である。
【0070】
混練エレメントは、スクリュープロファイルが混練ディスクの形で軸方向に不連続に延びている点で区別されることは公知である(例えば、[1],p.227−248を参照されたい)。混練ディスクは左回りまたは右回りに、或いは中立に配置され得る。混練ディスクの軸方向長さは好ましくは中心距離の0.05から10倍の範囲である。2つの隣接する混練ディスク間の距離は好ましくはスクリュー直径の0.002から0.1倍の範囲である。
【0071】
公知のように(例えば、[1],p.227−248を参照されたい)、混合エレメントはスクリュー歯先に開口部を有する搬送エレメントを組み立てることにより形成される。混合エレメントは左回りでも右回りでもよい。ピッチは好ましくは中心線距離の0.1から10倍の範囲であり、エレメントの軸方向長さは好ましくは中心線距離の0.1から10倍の範囲である。開口部は好ましくはU型またはV型溝の形態であり、反搬送方向にまたは軸に平行に配置されていることが好ましい。
【0072】
本発明のスクリューエレメントを好ましくはコンピューターを用いて、上記した設計要件を考慮して設計したら、このスクリューエレメントを例えばフライス盤を用いて作製し得る。スクリューエレメントを作製するために好ましい材料は鉄鋼(特に、窒化鋼、クロム鋼、工具鋼及び特殊鋼)、並びに鉄、ニッケルまたはコバルトを主成分とし、粉末冶金により製造される金属複合材料である。
【0073】
当業者は、完全セルフワイピングするスクリュープロファイルを直接二軸押出機に使用できないことを周知している。代わりに、スクリュー間にクリアランスが必要である。このための各種戦略が[1]のp.28以降に記載されている。本発明のスクリューエレメントのスクリュープロファイルの場合、スクリュープロファイルの直径に対して0.001から0.1の範囲、好ましくは0.002から0.05の範囲、特に好ましくは0.004から0.02の範囲のクリアランスを使用する。当業者には公知のように、クリアランスはスクリューとバレル間及びスクリュー間の寸法と同一でも異なっていてもよい。クリアランスは一定であっても、または指定されている範囲で変更させてもよい。また、スクリュープロファイルをクリアランス内で移動させることもできる。可能なクリアランス戦略は、いずれもが当業者に公知である中心線距離拡大、縦方向断面オフセット及び三次元オフセットといった[1]のp.28以降に記載されている実現可能手段である。中心線距離拡大の場合、比較的小さい直径を有するスクリュープロファイルを作成し、スクリュー間のクリアランスの量だけ離間させる。縦方向断面オフセット方法の場合、縦方向断面プロファイル曲線(軸に対して平行)はスクリュー−スクリュークリアランスの半分だけ内側に変位させる。三次元オフセット方法の場合、スクリューエレメントを相互にクリーニングする三次元的曲線から出発して、スクリューエレメントの大きさを完全セルフワイピングプロファイルの面に対して垂直の方向にスクリュー−スクリュークリアランスの半分だけ小さくする。縦方向断面及び三次元オフセット方法が好ましく、三次元オフセット方法が特に好ましい。
【0074】
本発明のスクリュープロファイルはPCT/EP2009/003549に記載されている方法を用いて作成され得る。
【0075】
本発明は更に、本発明のスクリューエレメントの多軸押出機における使用を提供する。本発明のスクリューエレメントを二軸押出機において使用することが好ましい。スクリューエレメントを混練、混合または搬送エレメントの形態で多軸押出機中に存在させてもよい。また、混練、混合及び搬送エレメントを1つの押出機中に互いに組み合わせることも可能である。本発明のスクリューエレメントを例えば従来技術に従って公知の他のスクリューエレメントと組み合わせてもよい。
【0076】
本発明は更に、本発明のスクリューエレメントを用いる二軸または多軸押出機におけるプラスチック組成物の押出し方法を提供し、この方法は、1対のスクリューエレメントの歯先角の合計は
【0077】
【数10】
未満であり、軸対称のスクリュープロファイルの場合にはフランク円の中心点のいずれもが回転点を通っているプロファイルの対称軸に対して垂直上にないことを特徴とする。
【0078】
本発明に従って生成物を優しく処理しながら同時に非常に効率的に押出され得るプラスチック組成物は、例えば懸濁液、ペースト、ガラス、セラミック組成物、メルト形態の金属、プラスチック、プラスチックメルト、ポリマー溶液、エラストマー及びゴム組成物である。
【0079】
プラスチック及びポリマー溶液が好ましく使用され、特に好ましくは熱可塑性ポリマーが使用される。好ましい熱可塑性ポリマーは、好ましくはポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル(特に、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレート)、ポリエーテル、熱可塑性ポリウレタン、ポリアセタール、フルオロポリマー(特に、ポリフッ化ニリデン)、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン(特に、ポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリイミド、ポリアクリレート(特に、ポリ(メチル)メタクリレート)、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、スチレンポリマー(特に、ポリスチレン)及びスチレンコポリマー(特に、スチレン−アクリロニトリルコポリマー)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー及びポリ塩化ビニルのシリーズの少なくとも1つである。リストされているプラスチックのブレンドも同様に好ましく使用され、これらは当業者により2つ以上のプラスチックの組合せであると理解される。
【0080】
更に好ましい供給材料はエラストマーである。好ましいエラスマーは、好ましくはスチレン−ブタジエンゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ブチルゴム、ハロブチルゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、ポリウレタンゴム、熱可塑性ポリウレタン、グッタペルカ、アクリレートゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、スルフィドゴム、クロロスルホニル−ポリエチレンゴムのシリーズの少なくとも1つである。勿論、リストされているゴムの2つ以上の組合せ、または1つ以上のゴムと1つ以上のプラスチックの組合せも可能である。
【0081】
熱可塑性樹脂及びエラストマーは純粋な形態で、或いは充填剤及び補強材(特に、ガラス繊維)との混合物として、相互または他のポリマーとの混合物として、または慣用されているポリマー添加剤との混合物として使用され得る。
【0082】
1つの好ましい実施形態において、プラスチック組成物、特にポリマーメルト及びポリマーメルトの混合物に添加剤が混合されている。添加剤をポリマーと一緒に押出機中に固体、液体または溶液として導入しても、或いは添加剤の少なくとも一部または添加剤の全部を側流を介して押出機に供給してもよい。
【0083】
添加剤はポリマーに対して多くの各種特性を付与し得る。添加剤は、例えば着色剤、顔料、加工助剤、充填剤、抗酸化剤、補強材、UV吸収剤及び光安定化剤、金属失活剤、ペルオキシドスカベンジャー、基本的安定化剤、核剤、安定化剤または抗酸化剤としてのベンゾフラン及びインドリノン、離型剤、難燃剤、静電防止剤、染料及びメルト安定化剤であり得る。充填剤及び補強材の例はカーボンブラック、ガラス繊維、クレー、マイカ、黒鉛繊維、二酸化チタン、炭素繊維、カーボンナノチューブ、イオン性液体及び天然繊維である。
【0084】
以下、本発明を一例として図を参照してより詳細に説明するが、これらに限定されない。
【0085】
以下の用語が図面中で使用れている。
・寸法はすべて中心線距離aに対して正規化されている。正規化した寸法を大文字で示す。例えば、正規化した外半径:RA=ra/a。
・角度はラジアンで表示する。
・Mx及びMyは、起点がスクリュープロファイルの回転点に位置決めされている座標の直交座標中のプロファイル作成円形弧の円中心点のx及びy座標である。
・半径r=raを有する円形弧を「1」と呼ぶ。スクリュー歯先の輪郭を規定する。
・半径r=riを有する円形弧を「1’」と呼ぶ。スクリュープロファイルの溝ゾーンの輪郭を規定する。
・円形弧「2」と「2’」、「3」と「3’」等はスクリュープロファイルのフランクを規定する。
・Rは中心線距離aに対して正規化した半径であり、αは円形弧の弧角度である。
・更なる略語:RG=正規化したバレル半径、RV=正規化した仮想バレル半径、RA=完全セルフワイピングプロファイルの正規化した外半径、RF=作製しようとするスクリューの正規化した外半径、S=スクリューの相互に対する正規化したクリアランス(間隙)、D=バレルに対するスクリューの正規化したクリアランス、VPR=プロファイル変位の正規化した量、VPW=ラジアンで表示したプロファイル変位の角度、VLR=左ねじ変位の正規化した量、VLW=左ねじ変位の角度、VRR=右ねじ変位の正規化した量、VRW=右ねじ変位の角度。
【0086】
図1aから1dはそれぞれ[1]に記載されている従来技術に従う一条ねじセルフクリーニングスクリュープロファイルの一部を断面で示す。
【0087】
座標原点は回転点を示す。円形弧1、2、2’及び1’はスクリュープロファイルの半分を形成する。他の半分は、図示したプロファイルを回転点を通っている水平直線でミラーリングすることにより得られる。図示されていない第2スクリューのスクリュープロファイルは、図示し、ミラーリングしたスクリュープロファイルを回転点を通っている水平直線に沿って量A(正規化した中心線距離)だけ変位させることにより得られる。円形弧2’が描かれている円形弧2に対する描かれる円形弧であるように、円形弧1’は更に描かれている円形弧1に対する描かれる円形弧である。
【0088】
円形弧の中心点を小円で示す。円形弧の中心点は、関係する円形弧の起点及び終点を有する細い連続線により接続されている。スクリュープロファイルの外側には、外側スクリュー半径が細い波線で示されている。
【0089】
図1aから1dにおいて、正規化した外半径RAは 平切りプロファイル(図a)から深切りプロファイル(図1d)に変化して徐々に拡大する。
【0090】
円形弧「1」はそれぞれスクリュー歯先の半分に相当し、関連する角度α1は半分の歯先角である。[1]に従う設計では、α1は大きさ
【0091】
【数11】
を有し、2つのスクリューの歯先角の合計は
【0092】
【数12】
になる。図1cにおいて、半分の歯先角は例えば52.5°になり、両スクリューの歯先角のすべての合計は210°になる。
【0093】
図2a、2b、2d及び2eは、小さい歯先角を有する本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルの断面の例を示す。軸対称の完全プロファイルは、図示した部分プロファイルを中心点を通る水平直線でミラーリングすることにより作成され得る。第2スクリューのプロファイルは図示し、ミラーリングしたプロファイルを回転点を通っている水平直線に沿って量Aだけ変位させることにより作成され得る。円形弧2’及び3’が描かれている円形弧2及び3に対する描かれる円形弧であるように、円形弧1’は更に描かれている円形弧1に対する描かれる円形弧である。
【0094】
図1cにおけるように比RAは値0.63を有しているが、半歯先角α1は15°に減り、両スクリューの歯先角のすべての合計は60°に減る。図2aから図2dにおいて、エッジがスクリュー歯先とフランク間の遷移時に生じ、R2に対応する半径R2’が最大値R2’=Aと仮定するようにそれぞれ半径R2=0を選択した。これらの図において、半径R3はR3=0.915(図2a)とR3=0.5523(図2e)の間で変化した。図2aから2eは、所与の歯先角及び所与の比RAで角のあるプロファイル(図2a)から非常に丸いプロファイル(図2e)の範囲の設計を包含する本発明の設計の変化の可能性を示している。図2cは、所与の歯先角及び所与の比RAで更に変化する可能性がないUS 3,900,187の開示内容に従う設計を示している。US 3,900,187によれば、スクリュー歯先に隣接するフランク円の中心点(図2中、円“3”)は回転点を通っているプロファイルの対称軸(図2中、y座標軸)に対して垂直上にある。スクリュープロファイルのフランクに対する接線とスクリュー歯先とフランク間の遷移点でのバレル円に対する接線との間のかみ角がR3の変化により図2aから2eにおいてどのように影響されるかに注目されたい。プロセス要件に応じて、本発明に従って図2eに示すようにスクリューが回転すると加工しようとする材料がスクリュー歯先とハウジング壁間の間隙にかなり引っ張られる非常に鋭い角度を有する設計からスクリューフランクにより材料を大部分その前に押し出す大きなかみ角を有する設計の範囲で選択することができる。
【0095】
図2fから2jは、例示の目的で、スクリュープロファイル2aから2eから構成され、搬送ねじとして組み立てられるスクリューの縦断面図を示す。
【0096】
図3aから3dは、RA=0.58、図3aの47.6°から図3dの11.9°に変化する半歯先角α1を有する本発明の描かれているスクリュープロファイルの部分プロファイルの例を示す。スクリュー歯先からフランクへの遷移は、図3aから3dにおいて0以外の半径R2を選択することにより丸くなる。一方、半径R3は、対応する半径R3’が消えるように最大Aに等しいR3を選択した。こうすると、スクリュープロファイルのフランクにエッジが生ずるが、このエッジはバレルからかなり離れた距離で回転する。図3aから3dは、このエッジの顕著さの可能な変化を示している。小さい歯先角α1及び大きいフランク角α3を選択するとエッジは非常に顕著であり(図3d)であり、大きい歯先角α1及び小さいフランク角α3を選択すると僅かしか顕著でない(図3a)。
【0097】
図4aから4dは、キンクを持たない本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルを示す。図3aから3dと同様に、半歯先角α1は図4aの47.6°から図4dの11.9°に変化した。フランク半径は、R2=0.125及びR3=0.75として選択した。歯先幅を変化させると、いろいろなスクリュープロファイルが生じ、顕著な高剪断及び低剪断ゾーン(図4a)からプロファイルの周辺で剪断率が均一に分布しているプロファイル(図4d)に及ぶ。
【0098】
図5aから5cは、本発明のスクリュープロファイルをx軸方向に変位させることによるセルフクリーニングスクリューの対の作製を一例として示す。2つのスクリューの回転点がX軸上にあるならば、固定された回転点を維持しながらプロファイルをバレル半径内でx軸方向に変位させ得る。こうすると、スクリュープロファイルの完全手動クリーニングが維持される。図5aは、23.8°の半歯先角α1、R2=0.25及びR3=0.75のフランク半径を有する出発プロファイルを示している。図5bにおいて、プロファイルは負のx軸方向に変位している。ここで、バレルボアは大きく広がった間隙でクリーニングされる。その結果、スクリュー先端とバレル間の高剪断ゾーンはもはや存在しない。図5cは、プロファイルの最大の可能性ある変位を示す。元のプロファイルのスクリュー底または溝はスクリュー歯先の機能を仮定し、またはその逆である。
【0099】
本発明のスクリューエレメントの1つの特定実施形態を一例として図6aから6dに示す。図示したスクリュープロファイルは、図5aに示す部分プロファイルから回転点を通っている水平直線でミラーリングすることにより作成され得る。第2スクリューのプロファイルは、対称軸に沿って量Aだけ変位させた第1スクリューのプロファイルに対応している。
【0100】
この実施形態は、バレルボアがスクリュープロファイルの外半径RA=0.58よりも大きい正規化半径R=0.63で構成されることを特徴とする。スクリュープロファイルはバレルボアの中心点に対して二つ一組で変位している。しかしながら、(小円で示す)中心点はバレルボアの中心にとどまっている。こうして、偏心回転するスクリューエレメントが作製される。バレルボア内での変位は自由に選択され得る。図6aから6dは、1つ及び同一のスクリュープロファイルに対する4つの変位を一例として示し、それぞれプロファイル輪郭の異なる半径によりバレルボアがクリーニングされる。
【0101】
明細書は今まで完全にセルフワイピングするスクリュープロファイルに関する。しかしながら、工業的に組み立てられる機械では、完全セルフワイピング形状寸法から正確に規定された間隙がクリーニング中維持される程度まで外れていなければならない。このことは、金属「フレッティング」を防止するために、製造許容を補償するために、間隙中に過剰にエネルギーが散逸するのを避けるために必要である。均一の間隙を生じさせるために可能な戦略はいろいろある。最も普及しているのは、機械中の縦方向断面にわたり等距離にある間隙を生じさせることである。対応するスクリュープロファイルの作成方法は[1]のp.103以降に記載されている。
【0102】
図7aから7dは、間隙(クリアランス)を有する本発明のスクリューエレメントのプロファイルの例を示す。図7aにおいて、スクリューの手動クリーニング時に中心線距離に対して正規化した間隙Sはバレルのクリーニング時正規化した間隙Dと同一であるように選択した。図7bでは間隙SはDより小さく、図7c及び7dでは逆にDはSより小さい。
【0103】
図8aから8dは、本発明に従う偏心プロファイルが間隙を有するスクリュープロファイルを設計した後、プロファイルを間隙内で変位させることによっても得られ得ることを示している。図8aから8dのプロファイルは図7dのプロファイルと同一である。変位はスクリューエレメントの回転点を通っている直線に対して図8aでは0°の角度、図8bでは60°の角度、図8cでは120°の角度、図8dでは180°の角度だけ進める。図8aから8dは、両スクリューが同一変位ベクターだけ変位されている例を示す。原則、両スクリューをクリアラン内で異なるベクターだけ変位させることも可能である。この場合、スクリューの1つの回転で変化する間隙で相互にクリーニングするプロファイルが得られる。
【0104】
公知のように、1対のプロファイルの搬送作用は、プロファイルを連続的に軸方向にらせん回転させることにより生ずる。こうして、搬送ねじが得られる。図9aは、本発明の搬送ねじ山の縦断面図を一例として示す。
【0105】
搬送ねじ山に比して高い分散能力を有する混練エレメントは、セルフクリーニングプロファイルプリズムディスクを軸上に相互に偏らせて配置することにより得られる。図9bは、60°のオフセット角で軸上に配置されている7つの混練ディスクを有する混練エレメントの例を示す。
【0106】
例外なく、これらの図は対称スクリュープロファイルを示している。しかしながら、非対称スクリュープロファイルを作成することも可能である。このことは、PCT/EP2009/003549に詳細に説明されている。例えば、図2a及び2bに示したスクリュープロファイルの半分を、例えば図2bに示したプロファイルをx軸でミラーリングし、ミラーリングした部分で図2aのプロファイルの欠けている部分を完成させることにより合わせて、非対称スクリュープロファイルを形成し得る。
【0107】
これらの図では、描かれているまたは描かれるスクリュープロファイルを説明するために最高12個の円形弧を使用している。しかしながら、本発明の方法は決して最高12個の円形弧に限定されない。代わりに、スクリュープロファイルを描くために所望するだけ多くの円形弧が使用され得る。特に、円形弧から作られず、よってセルフクリーニング性でないスクリュープロファイルは、十分に多数の円形弧により所望の正確度で近似させることができる。
【0108】
縦断面プロファイルは、スクリューの断面プロファイルから計算され得る。スクリュープロファイルの各円形弧を陽関数を用いて当該円形弧に属する縦断面の部分を計算するために使用することが好ましい。
【0109】
スクリュープロファイルの円形弧の点の回転軸からの距離aは、第1ステップでスクリュープロファイルの平面にあり、スクリュープロファイルの回転点を通り、その方位が角度ρにより規定されることにより特徴づけられる直線gとその半径r及び中心点の位置(Ms,My)により特徴づけられる円形弧kbとの交差点(Sx,Sy)を測定することにより計算される。第2ステップで、交差点(Sx,Sy)のスクリュープロファイルの回転点からの距離を計算する。直線と円形弧の交差点の計算は陽関数により表され得る。同じことが距離計算に当てはまる。従って、s=s(ρ,r,Mx,My)が距離に対して当てはまる。スクリューエレメントの公知のピッチtを仮定すると、角度ρは、s=(z ax,r,Mx,My)=s(ρ/2π*t,r,Mx,My)が距離に当てはまるようにρ/2π*tにより軸位置z axに変換され得る。関数s(z ax,r,Mx,My)はスクリュープロファイルの円形弧に対する所望の縦断面を示す。
【0110】
本発明のスクリューエレメントのプロファイルを設計し得る方法を一例として以下に記載する。
【0111】
描かれている及び描かれるスクリュープロファイルの回転軸間の選択可能な中心線距離を有する密接に噛み合い、セルフクリーニングし、同方向に回転するスクリュープロファイルを描くための方法は、描かれているスクリュープロファイルがn個の円形弧から形成され、描かれるスクリュープロファイルはn’個の円形弧から形成されることを特徴とし、
−描かれているスクリュープロファイル及び描かれるスクリュープロファイルは1つの平面にある;
−描かれているスクリュープロファイルの回転軸及び描かれるスクリュープロファイルの回転軸はそれぞれスクリュープロファイルの前記平面に対して垂直であり、描かれているスクリュープロファイルの回転軸と前記平面の交差点は描かれているスクリュープロファイルの回転点として称され、描かれるスクリュープロファイルの回転軸と前記平面の交差点は描かれるスクリュープロファイルの回転点として称される、
−描かれているスクリュープロファイルの円形弧の数n(ここで、nは1以上の整数である)を選択する、
−描かれているスクリュープロファイルの外半径ra(ここで、raは0以上(ra>0)且つ中心線距離以下(ra≦a)である値を仮定し得る)を選択する、
−描かれているスクリュープロファイルのコア半径ri(ここで、riは0以上(ri≧0)且つra以下(ri≦ra)である値を仮定し得る)を選択する、
−描かれているスクリュープロファイルの円形弧は、以下の配置規則:
・描かれているスクリュープロファイルの円形弧のすべてが連続する凸状スクリュープロファイルが得られるように相互に接線方向で合流し、半径が0に等しい円形弧を好ましくは半径がeps(ここで、epsは0に向かう傾向にある非常に小さな正の実数(eps≪1,eps→0)である)に等しい円形弧として処理する;
・描かれているスクリュープロファイルの円形弧の各々は外半径ra及びコア半径riを有し、その中心点が描かれているスクリュープロファイルの回転点上にある円形環の内側またはその境界線上にある;
・描かれているスクリュープロファイルの円形弧の少なくとも1つは描かれているスクリュープロファイルの外半径raに接する;
・描かれているスクリュープロファイルの円形弧の少なくとも1つは描かれているスクリュープロファイルのコア半径riに接する;
に従って描かれているスクリュープロファイルの回転軸の周りに時計方向または反時計方向に配置される;
−角度α1及び半径r1により確定される描かれているスクリュープロファイルの第1円形弧の大きさは、ラジアンで表示される角度α1が0以上且つ2π(ここで、πは円周率(π≒3.14159)であることを意味するように考えられなければならない)以下であり、半径r1が0以上且つ中心線距離a以下であるように選択され、描かれているスクリュープロファイルの第1円形弧の2つの異なるポイントを位置づけることにより得られる第1円形弧の位置は上記配置規則に従って確定され、この第1円形弧の位置づけられる第1点は好ましくはこの第1円形弧に属する起点であり、この第1円形弧の位置づけられる第2点は好ましくは第1円形弧に属する中心点である、
−角度α2、…、αn−1及び半径r2、…、rn−1により確定される描かれているスクリュープロファイルの更なるn−2個の円形弧の大きさは、ラジアンで表示される角度α2、…、αn−1が0以上且つ2π以下であり、半径r2、…、rn−1が0以上且つ中心線距離a以下であるように選択され、描かれているスクリュープロファイルのこれらの更なるn−2個の円形弧の位置は上記配置規則に従って確定される、
−角度αn及び半径rnにより確定される描かれているスクリュープロファイルの最後の円形弧の大きさは、描かれているスクリュープロファイルのn個の円形弧のラジアンで表示されるn個の角度の合計は2πに等しく、ラジアンで表示される角度 nは0以上且つ2π以下であり、半径rnは描かれているスクリュープロファイルに近似しており、半径rnは0以上且つ中心線距離a以下であり、描かれているスクリュープロファイルのこの最後の円形弧の位置は上記配置規則に従って確定される、
−描かれるスクリュープロファイルのn’個の円形弧は描かれているスクリュープロファイルのn弧の円形弧から
・描かれるスクリュープロファイルの円形弧の数n’(ここで、n’は整数である)は描かれているスクリュープロファイルの円形弧の数nに等しい;
・描かれるスクリュープロファイルの外半径ra’は描かれているスクリュープロファイルの中心線距離とコア半径riの差(ra’=a−ri)に等しい;
・描かれるスクリュープロファイルのコア半径ri’は描かれているスクリュープロファイルの中心線距離と外半径raの差(ri’=a−ra)に等しい;
・描かれるスクリュープロファイルのi’番目の円形弧の角度αi’は描かれているスクリュープロファイルのi番目の円形弧の角度αiに等しく、i及びi’はそれぞれ1から円形弧nまたはn’の数の範囲のすべての値を共に通る整数である(α1’=α1,…,αn’=αn);
・描かれるスクリュープロファイルのi’番目の円形弧の半径ri’と描かれているスクリュープロファイルのi番目の円形弧の半径riの合計は中心線距離aに等しく、i及びi’はそれぞれ1から円形弧の数nまたはn’の範囲の値のすべてを共に通る整数である(r1’+r1=a,…,rn’+rn=a);
・描かれるスクリュープロファイルのi’番目の円形弧の中心点は描かれているスクリュープロファイルのi番目の円形弧の中心点からの距離(この距離は中心線距離aに等しい)にあり、描かれるスクリュープロファイルのi’番目の円形弧の中心点は描かれるスクリュープロファイルの回転点からの距離(この距離は描かれているスクリュープロファイルのi番目の円形弧の中心点の描かれているスクリュープロファイルの回転点からの距離に等しい)にあり、描かれるスクリュープロファイルのi’番目の円形弧の中心点と描かれているスクリュープロファイルのi番目の円形弧の中心点間の接続線は描かれるスクリュープロファイルの回転点と描かれているスクリュープロファイルの回転点間の接続線に平行な線であり、i及びi’はそれぞれ1から円形弧の数nまたはn’の範囲の値のすべてを共に通る整数である(i’=i);
・描かれるスクリュープロファイルのi’番目の円形弧の起点は、描かれているスクリュープロファイルのi番目の円形弧の起点の描かれているスクリュープロファイルのi番目の円形弧の中心点に対する方向と反対にある描かれるスクリュープロファイルのi’番目の弧の中心点に対する方向にあり、i及びi’はそれぞれ1から円形弧の数nまたはn’の範囲の値のすべてを共に通る整数である;
得られる。
【0112】
本発明によれば、描かれている及び描かれるスクリュープロファイルの円形弧は、描かれている及び描かれるスクリュープロファイルの歯先角の合計が
【0113】
【数13】
未満であり、軸対称のスクリュープロファイルの場合にはフランク円の中心点のいずれもが回転点を通っているプロファイルの対称軸に対して垂直上にないように相互に選択され、または改変されなければならない。
【0114】
平滑で密接に噛み合うセルフクリーニングの同方向に回転するスクリュープロファイルを作成するための記載されている方法から、描かれるスクリュープロファイルは、
−描かれるスクリュープロファイルが連続である;
−描かれるスクリュープロファイルが凸状である;
−描かれるスクリュープロファイルの円形弧の各々が描かれるスクリュープロファイルの次の円形弧に接線方向で合流し、その半径が0に等しい円形弧を好ましくはその半径がeps(ここで、epsは0に向かう傾向にある非常に小さな正の実数(eps≪1,eps→0)である)に等しい円形弧として処理する;
−描かれるスクリュープロファイルの円形弧の各々が外半径ra’及びコア半径ri’を有する円形環の範囲内またはその境界線上にあり、前記円形環の中心点は描かれるスクリュープロファイルの回転点上にある;
−描かれるスクリュープロファイルの円形弧の少なくとも1つは描かれるスクリュープロファイルの外半径ra’と接している;
−描かれるスクリュープロファイルの円形弧の少なくとも1つは描かれるスクリュープロファイルのコア半径ri’と接している;
という結果になる。
【0115】
更に、平滑で密接に噛み合うセルフクリーニングの同方向に回転するスクリュープロファイルを作成するための上記方法から、描かれているスクリュープロファイルのコア半径riが描かれているスクリュープロファイルの中心線距離aと外半径raの差(ri=a−ra)に等しい場合のみ、描かれるスクリュープロファイルの外半径ra’は描かれているスクリュープロファイルの外半径raに等しく、描かれるスクリュープロファイルのコア半径ri’は描かれているスクリュープロファイルのコア半径riに等しいという結果になる。
【0116】
描かれているスクリュープロファイルが半径ri=0を有する円形弧を有しているならば、スクリュープロファイルは円形弧の位置にキンクを有し、そのキンクの大きさは角度αiにより特徴づけられる。描かれるスクリュープロファイルが半径ri’=0を有する円形弧を有しているならば、スクリュープロファイルは円形弧の位置にキンクを有し、そのキンクの大きさは角度αi’により特徴づけられる。
【0117】
平滑で密接に噛み合うセルフクリーニングの同方向に回転するスクリュープロファイルを作成するための上記方法は、更に三角定規とコンパスを用いるだけで実施され得る点で区別される。よって、描かれているスクリュープロファイルのi番目の円形弧と(i+1)番目の円形弧間の接線方向遷移はi番目の円形弧の終点の周りに半径ri+1の円を描くことにより設計され、描かれているスクリュープロファイルの回転点のより近くに位置決めされるこの弧とi番目の円形弧の中心点及び終点により規定される直線との交差点は(i+1)番目の円形弧の中心点である。実際には、三角定規とコンパスの代わりに、スクリュープロファイルを設計するためにコンピューターソフトウェアを使用する。
【0118】
一般的方法を用いて描いたスクリュープロファイルはねじ山の数zと無関係である。
【0119】
描かれるスクリュープロファイルは、描かれているスクリュープロファイルと異なっていてもよい。当業者は説明から上記方法が異なる数のねじ山を有するスクリューエレメント間の遷移エレメントを作製するために特に適している。z個のねじ山のスクリュープロファイルに基づいて、zと異なるねじ山の数z’を有するスクリュープロファイルが最終的に得られるように描かれている及び描かれるスクリュープロファイルを段階的に変化させることができる。この点で、遷移中円形弧の数を減らしたり増やしたりすることができる。
【0120】
対称プロファイルの場合、上記方法はスクリュープロファイルの一部のみを設計し、設計した部分から対称操作により欠けている部分を描くことにより単純化され得る。このことはPCT/EP2009/003549に詳細に記載されている。
【0121】
スクリュープロファイルの作成方法をコンピューターを用いて実施することが推奨される。その後、スクリューエレメントの大きさをスクリューエレメントを作製するためのCADフライス盤に供給し得る形で存在させる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つ一組で同方向に共回転し、二つ一組で完全セルフワイピングするスクリューを有する多軸押出機用スクリューエレメント、前記スクリューエレメントの多軸押出機における使用、及びプラスチック組成物の押出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ローターが完全セルフワイピングする同方向に共回転する二軸または多軸押出機は長年公知である(例えば、DP 862 668を参照されたい)。完全セルフワイピングするプロファイルの原理に基づく押出機はポリマー製造及び加工において多種多様に利用されてきた。これは主に、ポリマーメルトが一般的な加工温度で表面に付着し、経時的に分解するが、これが完全セルフワイピングスクリューのセルフクリーニング作用により防止されるという事実の結果である。完全セルフワイピングスクリュープロファイルを作成するための規則は、例えば[1]([1]=Klemens Kohlgruber:Der gleichaufige Doppelschneckenextruder[The co−rotating twin−screw element],Hanser Verlag Munich 2007,p.96以降)に記述されている。この文献には、二軸押出機の1番目のスクリューの所定のスクリュープロファイルがどのように二軸押出機の2番目のスクリューのスクリュープロファイルを決定するかも記載されている。従って、二軸押出機の1番目のスクリューのスクリュープロファイルは描かれているスクリュープロファイルとして公知である。二軸押出機の2番目のスクリューのスクリュープロファイルは二軸押出機の1番目のスクリューのスクリュープロファイルに続き、従って描かれるスクリュープロファイルとして公知である。多軸押出機の場合、隣接するスクリューは常に描かれているスクリュープロファイル及び描かれるスクリュープロファイルを有するように交互に配置されている。
【0003】
現在の二軸押出機は、各種スクリューエレメントがコア軸上に取り付けられている構成ブロックシステムを有している。こうして、当業者は二軸押出機を進行中の特定のタスクに改変し得る。
【0004】
プラスチック組成物は変形可能な組成物を意味すると考えられる。プラスチック組成物の例はポリマーメルト(特に、熱可塑性樹脂のメルト)、エラストマー、ポリマーメルトの混合物、または固体、液体または気体を含むポリマーメルトの分散物である。
【0005】
プラスチック組成物の押出しは、特にポリマーの製造、コンパウンディンク及び加工において重要な役割を発揮する。押出しは、[1]に概説されているように同方向に回転する二軸または多軸押出機における物質または物質の混合物の処理を意味すると考えられる。
【0006】
ポリマー製造中、押出しは例えばポリマーを脱気するために実施される(例えば、[1]のp.191−212を参照されたい)。
【0007】
ポリマーコンパウンディング中、押出しは例えば添加剤を配合するために、または例えば化学組成、分子量または分子構造が異なる各種ポリマーを混合するために実施される(例えば、[1]のp.59−93を参照されたい)。コンパウンディングは、通常可塑化されているプラスチック原料を用い、充填剤及び/または補強材、可塑剤、結合剤、スリップ剤、安定化剤、着色剤等を添加し、配合してポリマーを最終プラスック成形組成物(または、コンパウンド)に変換することを含む。コンパウンディングはしばしば揮発性成分(例えば、空気及び水)の除去をも含む。コンパウンディングは化学反応(例えば、グラフト化、官能基の修飾、または分子量を慎重に増加または減少させることによる分子量の修飾)をも含み得る。
【0008】
ポリマー加工中にポリマーを半完成製品、すぐ使用できる製品またはコンポーネントに変換することが好ましい。加工は、例えば射出成形、押出し、インフレーション、カレンダリングまたはスピニングにより起こり得る。加工は、ポリマーの充填剤、補助物質及び添加剤との混合、及び化学的修飾(例えば、加硫)をも含み得る。
【0009】
押出し中のプラスチック組成物の処理は、1つ以上の操作、すなわち搬送、溶融、分散、混合、脱気及び圧力発生を含む。
【0010】
一般的に公知であり、例えば[1]のp.169−190に記載されているように、混合は分配及び分散混合に分けられ得る。分配混合は、各種成分の所定容量での均一分配を意味すると考えられる。分配分布は、例えば類似のまたは手動で相容性のポリマーを混合するときに生ずる。分散混合では、固体粒子、流滴または気泡がまず細分される。細分は、例えばポリマーメルトと添加剤間の界面での表面張力を解消するのに十分に大きい剪断力を伴う。
【0011】
メルト搬送及び圧力発生は刊行物[1]のp.73以降に記載されている。押出機スクリュー中のメルト搬送ゾーンは生成物を1つの加工ゾーンから次のゾーンに輸送し、充填剤を取り入れるように働く。メルト搬送ゾーンは通常、例えば生成物を1つの加工ゾーンから次のゾーンに輸送している間、脱気している間及び保持ゾーンにおいて部分的に満たされる。搬送のために必要なエネルギーは散逸し、不利なことにポリマーメルトの温度上昇が見られる。従って、搬送ゾーンにおいて使用されるスクリューエレメントはできるだけ最小量のエネルギーしか散逸しないものでなければならない。1×押出機バレル直径Dのピッチを有するねじエレメントは単純なメルト搬送のために慣用されている[1]。
【0012】
押出機内の圧力消費者(例えば、逆方向搬送エレメント、混合エレメント、逆方向搬送または中立混練ブロック)の上流に、押出機の外側の圧力消費者(例えば、ダイプレート、押出しダイ及びメルトフィルター)の上流に、搬送を完全に満ちた状態で実施し、圧力消費者を解消するために圧力を発生させなければならない背圧ゾーンが押出機内に形成されている。メルトを出力させるために必要な圧力を発生させる押出機の圧力発生ゾーンは計量ゾーンとして公知である。ポリマーメルトに導入されるエネルギーは圧力発生のため及びメルトを搬送するための効果的なパワー及び不利なことにメルトの温度上昇により明らかとなるパワーの散逸に分けられる。圧力発生ゾーンではメルトの激しい還流がスクリュー歯先全体で生じ、よってエネルギー入力が多くなる[1]。従って、圧力発生ゾーンにおいて使用されるスクリューエレメントはできるだけ最小量のエネルギーしか散逸しないものでなければならない。
【0013】
更に、当業者は、公知のErdmengerスクリュープロファイルを有する二条ねじ搬送エレメントの圧力発生中の効率が約10%であることを周知している([1]のp.129−146)。1000kg/m2のメルト密度及び2000J/kg/Kのメルトの熱容量での50バールの圧力上昇は10%の効率で25Kの温度上昇を生ずる([1]のp.120)。この加熱により、臭い、色、化学組成または分子量が変化するように生成物が害され、またはゲル粒子または夾雑物のように生成物中にむらが形成される恐れがある。
【0014】
ポリエチレン及びポリエチレンコポリマーを押出すとき、温度が過度に高いと分子量、分岐及び架橋が増える。更に、ポリエチレン及びポリエチレンコポリマーは当業者公知の([2]Hepperle,J.;Schadigungsmechanismen bei Polymern[Damage mechanisms in polymers],Polymeraufbereitung 2002,VDI−K,VDI−Verlag GmbH;[3]Zweifel,H.:Stabilization of Polymeric Materials,Springer,Berlin,1997;[4]Schwarzenbach,K.ら;Antioxiants,Zweifel,H.編:Plastics Additives Handbook,Hanser,Munich,2001;[5]Cheng,H.N.,Schilling,F.C.,Bovey,F.A.:13C Nuclear Magnetic Resonance Observation of the Oxidation of Polyethylene,Macromolecules,9(1979)p.363−365)自己酸化サイクルにおいて大気酸素と反応して、臭いが強く、よって分裂した低分子量成分(例えば、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、ヒドロペルオキシド、エステル、ラクトン及びアルコール)が形成される。
【0015】
ポリエチレン及び酢酸ビニルを主成分とするコポリマーを押出すとき、温度が過度に高いと更に臭いが強い腐食性酢酸が形成される。
【0016】
ポリプロピレン及びポリプロピレンコポリマーを押出すとき、温度が過度に高いと分子量が低下する。ポリプロピレン及びポリプロピレンコポリマーは更に自己酸化サイクルにおいて大気酸素と反応して、臭いが強く、よって分裂した低分子量成分(例えば、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、ヒドロペルオキシド、エステル、ラクトン及びアルコール)が形成される。
【0017】
ポリ塩化ビニルを押出すとき、温度が過度に高いと生成物が脱色し、腐食性のガス状塩化水素が脱離し、この塩化水素は更に塩化水素の脱離を触媒する。
【0018】
ポリスチレンを押出すとき、温度が過度に高いと、分子量が低下し、対応して機械的特性が損なわれている有害なスチレン並びに二量体及び三量体スチレンが形成される。
【0019】
ポリスチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)を押出すとき、熱ストレスに曝されると生成物は黄色になって透明性が低下し、また分子量が低下し、機械的特性が損なわれている発癌性モノマーのアクリロニトリル及びスチレンが形成される。
【0020】
芳香族ポリカーボネートを押出すとき、過度の熱ストレスに曝されると、特に酸素の作用のために生成物は黄色になって透明性が低下し、特に水の作用のために分子量の低下を示す。高温に曝されるとビスフェノールAのようなモノマーも解離する。
【0021】
ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリトリメチレンテレフタレート)を押出すとき、過度の温度及び水の作用により分子量が低下し、分子中の末端基が置換される。これは、特にポリエチレンフレフタレートをリサイクルするとき厄介である。ポリエチレンテレフタレートは高温でアセトアルデヒドを脱離し、これにより例えば飲料水ボトルの内容物の臭いが変化する恐れがある。
【0022】
ジエンゴム(特に、ブタジエンゴム)で衝撃性を付与した熱可塑性樹脂、特に耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)及び耐衝撃性SAN(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン,ABS)を押出すとき、過度の温度により発癌性ブタジエン及びアクリロニトリル、及び有毒なビニルシクロヘキセンが脱離する。更に、ジエンゴムが架橋して、生成物の機械的特性が損なわれる。
【0023】
ポリオキシメチレンを押出すとき、過度の温度により有毒なホルムアルデヒドが脱離する。
【0024】
ポリアミド(例えば、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド4,6、ポリアミド11及びポリアミド12)を押出すとき、温度が過度に高いと生成物か脱色し、分子量が低下し、また特に水が存在するとモノマー及びダイマーが再形成され、その結果機械的特性が損なわれる。
【0025】
熱可塑性ポリウレタンを押出すとき、温度が過度に高いとトランスウレタン化により分子構造が変化し、水が存在すると分子量が低下する。望ましくないことに、これらの両方が熱可塑性ポリウレタンの特性に悪影響を与える。
【0026】
ポリメチルメタクリレートを押出すとき、過度の熱ストレスに曝されるとメチルメタクリレートが脱離し、分子量が低下し、その結果不愉快な臭いが生じ、機械的特性が損なわれる。
【0027】
ポリフェニレンスルフィドを押出すとき、温度が過度に高いと硫黄含有有機及び無機化合物が脱離し、その結果不愉快な臭いが生じ、押出ダイを腐食させる恐れがある。低分子量オリゴマー及びモノマーも形成され、分子量が低下して、ポリフェニレンスルフィドの機械的特性が損なわれる。
【0028】
ポリフェニレンスルホンを押出すとき、温度が過度に高いと、特に水が存在すると有機化合物が脱離する。分子量も低下し、その結果機械的特性が損なわれる。
【0029】
ポリフェニレンエーテルを押出すとき、温度が過度に高いと分子量が低下した低分子量有機化合物が脱離する。これにより、生成物の機械的特性が損なわれる。
【0030】
ジエンゴム(例えば、ポリブタジエン(BR)、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム(CIIR)、ブロモブチルゴム(BIIR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリクロロプレン(CR)、ブタジエン−アクリロニトリルゴム(NBR)、部分水素化ブタジエン−アクリロニトリルゴム(HMBR)及びエチレン−プロピレン−ジエンコポリマー(EPDM))を押出すとき、温度が過度に高いと架橋によりゲルが形成され、そのためにそこから生成される成分の機械的特性が損なわれる。クロロ−及びブロモブチルゴムの場合、温度が高いと腐食性塩化水素または臭化水素ガスが脱離するおそれがあり、これらは更にポリマーの分解を触媒する。
【0031】
押出中に温度が過度に高いと、加硫剤(例えば、硫黄及び過酸化物)を含有しているゴムコンパウンドが早期に加硫される。この結果、これらのゴムコンパウンドから生成物を生成することがもはやできない。
【0032】
1つ以上のポリマーの混合物を過度の高温で押出すと、個々のポリマーの押出の欠点がそれぞれ生ずる。
【0033】
二軸押出機へのエネルギー入力は、プロセスパラメーターの押出量及び回転速度により、生成物の材料特性により、使用するスクリューの形状寸法により決定される。
【0034】
従来技術[1](例えば、p.101を参照されたい)によれば、完全セルフワイピングスクリューエレメントの形状寸法は、完全セルフワイピング輪郭のねじ山の数z、中心線距離a及び外半径raの独立変数を明示することにより規定される。従来技術によれば、プロファイルのすべての点がバレルをクリーニングする歯先角は取り扱う問題に対して調節可能であり、改変可能な変数ではなく、代わりに方程式1により得られる。
【0035】
【数1】
上記数式中、KW0は完全セルフワイピングプロファイルのラジアンで表示される歯先角であり、πは円周率(π≒3.14159)である。
【0036】
従来技術によれば、エレメントの密接に噛み合う対の両エレメント全体の歯先角の合計SKW0は、
【0037】
【数2】
から必然的に得られる。
【0038】
1つ以上のスクリューねじ山を有するスクリュープロファイルが作成され得る。正確に1つのスクリューねじ山を有する公知のスクリュープロファイルの圧力発生中の良好な搬送能力及び剛性は公知である。これらは狭い間隙を有するスクリューバレルをクリーニングする非常に広いスクリュー歯先を有している。当業者には、間隙が狭いためにスクリュー歯先の領域で特に大量のエネルギーがメルト中に散逸し、よって生成物が局所的に異常に過熱されることが公知である。この点で大きな歯先角は特に有害である。
【0039】
従って、狭いスクリュー歯先しか有していない二条ねじスクリュープロファイルは主に従来技術の同方向に回転する二軸押出機に使用されている。しかしながら、これらは圧力発生の点で一条ねじスクリュープロファイルよりも余り効果的でない。
【0040】
運転エネルギーは、エネルギー入力をコスト及び環境的理由で減らすことが望ましいように高グレードの電気エネルギーの形態で二軸押出機に供給される。更に、多くの過程で高いエネルギー入力は二軸押出機の可能な押出量、よって経済的実行可能性をも制限する。
【0041】
US 3,900,187は、狭い歯先角を有する一条ねじスクリュープロファイルを記載している。十分に効果的な圧力発生を有しているならば、前記スクリュープロファイルを有するスクリューエレメントの剪断作用は他の公知の一条ねじスクリューエレメントよりも低い。しかしながら、US 3,900,187は、スクリュー歯先に隣接するプロファイルフランクゾーンが円形弧により表わされる軸対称スクリュープロファイルの作成を開示しており、前記円形弧の中心点は回転点を通っているプロファイルの対称軸に対して垂直上にある。よって、US 3,900,187は特定の問題に対して個々に改変することができず、用途が限られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献2】米国特許第3,900,187号明細書
【非特許文献】
【0043】
【非特許文献1】Klemens Kohlgruber:Der gleichaufige Doppelschneckenextruder[The co−rotating twin−screw element],Hanser Verlag Munich 2007
【非特許文献2】Hepperle,J.;Schadigungsmechanismen bei Polymern[Damage mechanisms in polymers],Polymeraufbereitung 2002,VDI−K,VDI−Verlag GmbH
【非特許文献3】Zweifel,H.:Stabilization of Polymeric Materials,Springer,Berlin,1997
【非特許文献4】Schwarzenbach,K.ら;Antioxiants,Zweifel,H.編:Plastics Additives Handbook,Hanser,Munich,2001
【非特許文献5】Cheng,H.N.,Schilling,F.C.,Bovey,F.A.:13C Nuclear Magnetic Resonance Observation of the Oxidation of Polyethylene,Macromolecules,9(1979)p.363−365
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0044】
従って、従来技術に基づいて、目的は、公知の一条ねじスクリューエレメントに匹敵する圧力を発生させるが、加工しようとする材料に対して少ない剪断しか与えず、よって生成物の品質を損なわないスクリューエレメントを提供することである。加工しようとするポリマーに対して回転剪断プロファイルにより加えられる剪断及び歪み応力を取り扱う特定問題に対して改変することができるようにできるだけ様々な方法で所望のスクリューエレメントが作製されなければならない。
【0045】
驚くことに、上記目的を達成し得、対のエレメントの歯先角の合計が
【0046】
【数3】
未満であり、軸対称スクリュープロファイルの場合にはフランク円の中心点のいずれもが回転点を通っているプロファイルの対称軸に対して垂直上にないスクリューエレメントが知見された。
【0047】
従って、本発明は、二つ一組で同方向に共回転し、二つ一組で完全にセルフワイピングするスクリューを有し、それぞれ正確に1つのスクリューねじ山を有し、中心線距離a及び外半径raを有する多軸押出機用スクリューエレメントを提供し、描かれている及び描かれるスクリュープロファイルの歯先角の合計は
【0048】
【数4】
未満であり、軸対称のスクリュープロファイルの場合にはフランク円の中心点のいずれもが回転点を通っているプロファイルの対称軸に対して垂直上にないことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1a】従来技術に従う一条ねじセルフクリーニングスクリュープロファイルの一部を断面で示す。
【図1b】従来技術に従う一条ねじセルフクリーニングスクリュープロファイルの一部を断面で示す。
【図1c】従来技術に従う一条ねじセルフクリーニングスクリュープロファイルの一部を断面で示す。
【図1d】従来技術に従う一条ねじセルフクリーニングスクリュープロファイルの一部を断面で示す。
【図2a】小さい歯先角を有する本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルの断面の例を示す。
【図2b】小さい歯先角を有する本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルの断面の例を示す。
【図2c】小さい歯先角を有する本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルの断面の例を示す。
【図2d】小さい歯先角を有する本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルの断面の例を示す。
【図2e】小さい歯先角を有する本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルの断面の例を示す。
【図2f】例示の目的で、スクリュープロファイル2aから2eから構成され、搬送ねじとして組み立てられるスクリューの縦断面図を示す。
【図2g】例示の目的で、スクリュープロファイル2aから2eから構成され、搬送ねじとして組み立てられるスクリューの縦断面図を示す。
【図2h】例示の目的で、スクリュープロファイル2aから2eから構成され、搬送ねじとして組み立てられるスクリューの縦断面図を示す。
【図2i】例示の目的で、スクリュープロファイル2aから2eから構成され、搬送ねじとして組み立てられるスクリューの縦断面図を示す。
【図2j】例示の目的で、スクリュープロファイル2aから2eから構成され、搬送ねじとして組み立てられるスクリューの縦断面図を示す。
【図3a】RA=0.58、図3aの47.6°から図3dの11.9°に変化する半歯先角α1を有する本発明の描かれているスクリュープロファイルの部分プロファイルの例を示す。
【図3b】RA=0.58、図3aの47.6°から図3dの11.9°に変化する半歯先角α1を有する本発明の描かれているスクリュープロファイルの部分プロファイルの例を示す。
【図3c】RA=0.58、図3aの47.6°から図3dの11.9°に変化する半歯先角α1を有する本発明の描かれているスクリュープロファイルの部分プロファイルの例を示す。
【図3d】RA=0.58、図3aの47.6°から図3dの11.9°に変化する半歯先角α1を有する本発明の描かれているスクリュープロファイルの部分プロファイルの例を示す。
【図4a】キンクを持たない本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルを示す。
【図4b】キンクを持たない本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルを示す。
【図4c】キンクを持たない本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルを示す。
【図4d】キンクを持たない本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルを示す。
【図5a】本発明のスクリュープロファイルをx軸方向に変位させることによるセルフクリーニングスクリューの対の作製を一例として示す。
【図5b】本発明のスクリュープロファイルをx軸方向に変位させることによるセルフクリーニングスクリューの対の作製を一例として示す。
【図5c】本発明のスクリュープロファイルをx軸方向に変位させることによるセルフクリーニングスクリューの対の作製を一例として示す。
【図6a】1つ及び同一のスクリュープロファイルに対する4つの変位を一例として示し、それぞれプロファイル輪郭の異なる半径によりバレルボアがクリーニングされる。
【図6b】1つ及び同一のスクリュープロファイルに対する4つの変位を一例として示し、それぞれプロファイル輪郭の異なる半径によりバレルボアがクリーニングされる。
【図6c】1つ及び同一のスクリュープロファイルに対する4つの変位を一例として示し、それぞれプロファイル輪郭の異なる半径によりバレルボアがクリーニングされる。
【図6d】1つ及び同一のスクリュープロファイルに対する4つの変位を一例として示し、それぞれプロファイル輪郭の異なる半径によりバレルボアがクリーニングされる。
【図7a】間隙(クリアランス)を有する本発明のスクリューエレメントのプロファイルの例を示す。
【図7b】間隙(クリアランス)を有する本発明のスクリューエレメントのプロファイルの例を示す。
【図7c】間隙(クリアランス)を有する本発明のスクリューエレメントのプロファイルの例を示す。
【図7d】間隙(クリアランス)を有する本発明のスクリューエレメントのプロファイルの例を示す。
【図8a】本発明に従う偏心プロファイルが間隙を有するスクリュープロファイルを設計した後、プロファイルを間隙内で変位させることによっても得られ得ることを示している。
【図8b】本発明に従う偏心プロファイルが間隙を有するスクリュープロファイルを設計した後、プロファイルを間隙内で変位させることによっても得られ得ることを示している。
【図8c】本発明に従う偏心プロファイルが間隙を有するスクリュープロファイルを設計した後、プロファイルを間隙内で変位させることによっても得られ得ることを示している。
【図8d】本発明に従う偏心プロファイルが間隙を有するスクリュープロファイルを設計した後、プロファイルを間隙内で変位させることによっても得られ得ることを示している。
【図9a】本発明の搬送ねじ山の縦断面図を一例として示す。
【図9b】60°のオフセット角で軸上に配置されている7つの混練ディスクを有する混練エレメントの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明のスクリューエレメントの断面プロファイル(以下、略してプロファイルまたはスクリュープロファイルと称する)は円形弧の配置により明白に描かれ得る。
【0051】
本発明のスクリューエレメントのスクリュープロファイルは、好ましくは断面でn(ここで、nは4を超える整数である)個の円形弧から構成される。n個の円形弧の各々は起点及び終点を有している。
【0052】
各円形弧j(j=1からn)の位置は、2つの異なる点を示すことにより明白に確定され得る。円形弧の位置を中心点及び起点または終点を示すことにより確定することが好都合である。個々の円形弧jの大きさは半径rj及び起点と終点の間の中心点の周りの角度αjにより確定され、半径rjは0以上且つスクリュー間の中心線距離a以下であり、ラジアンで表示される角度αjは0以上且つ2π(ここで、πは円周率(π≒3.14159))以下である。
【0053】
本発明のスクリューエレメントのプロファイルは1つ以上の「キンク」をも含み得る。キンクは便宜上半径r=0を有する円形弧として処理される。「キンクの大きさ」は半径r=0を有する円形弧の対応する角度により決定され、すなわちキンクでは半径r=0を有する第2円形弧の角度の周りを回転させることによる第1円形弧から第3円形弧への遷移がある。また、半径r=0を有する第2円形弧の中心点中の第1円形弧に対する接線は、第2円形弧の角度に対応する角度で第2円形弧の中心点中の第3円形弧に対する接線と交差する。第2円形弧を考慮して、すべての隣接円形弧(第1→第2→第3)は相互に接線方向で合流する。半径r=0を有する円形弧をeps(epsは0に向かう傾向にある非常に小さな正の実数である(eps≪1,eps→0))に等しい半径を有する円形弧として処理することが好都合である。
【0054】
本発明のプロファイルでは、円形弧は常にその起点及び終点で相互に接線方向で合流する。
【0055】
外側スクリュー半径に等しいスクリュープロファイルのゾーンは歯先ゾーンとして公知である。コア半径に等しいスクリュープロファイルのゾーンは溝付きゾーンとして公知である。外側スクリュー半径よりも小さく且つコア半径よりも大きいスクリュープロファイルのゾーンはフランクゾーンとして公知である。
【0056】
本発明のスクリューエレメントは、その断面で
−描かれているスクリュープロファイル及び描かれるスクリュープロファイルは1つの平面にある;
−距離a(中心線距離)での描かれているスクリュープロファイルの回転軸及び描かれるスクリュープロファイルの回転軸はそれぞれスクリュープロファイルの前記平面に対して垂直であり、描かれているスクリュープロファイルの回転軸と前記平面の交差点は描かれているスクリュープロファイルの回転点として称され、描かれるスクリュープロファイルの回転軸と前記平面の交差点は描かれるスクリュープロファイルの回転点として称される;
−描かれているスクリュープロファイルの円形弧の数はnである;
−描かれているスクリュープロファイルの外半径raは0以上(ra>0)であり且つ中心線距離以下(ra≦a)である;
−描かれているスクリュープロファイルのコア半径riは0以上(ri≧0)であり且つra以下(ri≦ra)である;
−描かれているスクリュープロファイルの円形弧は閉鎖プロファイルを形成し、すなわち円形弧jのすべての角度αjの合計は2πに等しい;
−描かれているスクリュープロファイルの円形弧は凸状プロファイルを形成する;
−描かれているスクリュープロファイルの円形弧の各々が外半径ra及びコア半径riを有する円形環の範囲内またはその境界線上にあり、その中心点は描かれているスクリュープロファイルの回転点上にある;
−描かれているスクリュープロファイルの円形弧の正確に1つが描かれているスクリュープロファイルの外半径raを有している;
−描かれているスクリュープロファイルの円形弧の正確に1つが描かれているスクリュープロファイルのコア半径riを有している;
−描かれるスクリュープロファイルの円形弧の数n’は描かれているスクリュープロファイルの円形弧の数nに等しい;
−描かれるスクリュープロファイルの外半径ra’は描かれているスクリュープロファイルの中心線距離と外半径riの差(ra’=a−ri)に等しい;
−描かれるスクリュープロファイルのコア半径ri’は描かれているスクリュープロファイルの中心線距離と外半径raの差(ri’=a−ra)に等しい;
−描かれるスクリュープロファイルのj’番目の円形弧の角度αj’は描かれているスクリュープロファイルのj番目の円形弧の角度αjに等しく、j及びj’はそれぞれ1から円形弧の数nまたはn’の範囲のすべての値を共に通る整数である;
−描かれるスクリュープロファイルのj’番目の円形弧の半径rj’と描かれているスクリュープロファイルのj番目の円形弧の半径rjの合計は中心線距離aに等しく、j及びj’はそれぞれ1から円形弧の数nまたはn’の範囲の値のすべてを共に通る整数である;
−描かれるスクリュープロファイルのj’番目の円形弧の中心点は描かれているスクリュープロファイルのj番目の円形弧の中心点からの距離(この距離は中心線距離aに等しい)にあり、描かれるスクリュープロファイルのj’番目の円形弧の中心点は描かれるスクリュープロファイルの回転点からの距離(この距離は描かれているスクリュープロファイルのj番目の円形弧の中心点の描かれているスクリュープロファイルの回転点からの距離に等しい)にあり、描かれるスクリュープロファイルのj’番目の円形弧の中心点と描かれているスクリュープロファイルのj番目の円形弧の中心点間の接続線は描かれるスクリュープロファイルの回転点と描かれているスクリュープロファイルの回転点間の接続線に平行な線であり、j及びj’はそれぞれ1から円形弧の数nまたはn’の範囲の値のすべてを共に通る整数である;
−描かれるスクリュープロファイルのj’番目の円形弧の起点は、描かれているスクリュープロファイルのj番目の円形弧の起点の描かれているスクリュープロファイルのj番目の円形弧の中心点に対する方向と反対にある描かれるスクリュープロファイルのj’番目の円形弧の中心点に対する方向にあり、j及びj’はそれぞれ1から円形弧の数nまたはn’の範囲の値のすべてを共に通る整数である;
−描かれている及び描かれるスクリュープロファイルの歯先角の合計は
【0057】
【数5】
未満である;及び
−軸対称のスクリュープロファイルの場合にはフランク円の中心点のいずれもが回転点を通っているプロファイルの対称軸に対して垂直上にない;
ことを特徴とする。
【0058】
描かれている及び描かれるスクリュープロファイルの歯先角の合計は、
【0059】
【数6】
未満であり、好ましくは
【0060】
【数7】
未満であり、特に好ましくは
【0061】
【数8】
未満であり、最も好ましくは
【0062】
【数9】
未満である。
【0063】
本発明のスクリューエレメントにおいて、それぞれ1つの断面プロファイルが0以上且つa以下である半径を有する5個以上の円形弧から構成され、これらの円形弧がその終点で相互に接線方向で合流することが好ましい。
【0064】
本発明のスクリューエレメントのプロファイルは、それぞれ各スクリューエレメントの回転点を通っている軸に対して非対称であっても、対称であってもよい。本発明のスクリューエレメントの軸対称プロファイルは、フランクゾーンを形成する円形弧の中心点のいずれもが回転点を通っているプロファイルの対称軸に対して垂直上にない点で区別される。
【0065】
本発明のスクリューエレメントのプロファイルは三角定規とコンパスだけを用いて設計され得る点で区別される。よって、描かれているスクリュープロファイルのj番目の円形弧と(j+1)番目の円形弧間の接線方向遷移はj番目の円形弧の終点の周りに半径rj+1の円を描くことにより設計され、描かれているスクリュープロファイルの回転点の近くに位置決めされるこの弧とj番目の円形弧の中心点及び終点により規定される直線との交差点は(j+1)番目の円形弧の中心点である。
【0066】
スクリュープロファイルの作成方法をコンピューターを用いて実施することが推奨される。この場合、スクリューエレメントの寸法は、スクリューエレメントを作製するためのCADフライス盤に供給し得る形で存在させる。
【0067】
本発明のスクリューエレメントの中心線距離に対して正規化した外側スクリュー半径は、好ましくは0.51から0.7の範囲、特に好ましくは0.52から0.66の範囲、非常に特に好ましくは0.57から0.63の範囲である。
【0068】
本発明のスクリューエレメントは搬送エレメント、混練エレメントまたは混合エレメントとして組み立てられ得る。
【0069】
搬送エレメントは、スクリュープロファイルが連続して軸方向に螺旋状に回転し、延びている点で区別されることは公知である(例えば、[1],p.227−248を参照されたい)。スクリューの回転方向に応じて、搬送エレメントは左回りまたは右回りである。逆方向搬送エレメントは、それぞれ反対のねじれにより得られる。搬送エレメントのピッチは好ましくは中心線距離の0.1から10倍の範囲であり、ピッチはスクリュープロファイルの1回完全回転のために必要な軸方向長さを意味すると考えられ、搬送エレメントの軸方向長さは好ましくはスクリュー直径の0.1から10倍の範囲である。
【0070】
混練エレメントは、スクリュープロファイルが混練ディスクの形で軸方向に不連続に延びている点で区別されることは公知である(例えば、[1],p.227−248を参照されたい)。混練ディスクは左回りまたは右回りに、或いは中立に配置され得る。混練ディスクの軸方向長さは好ましくは中心距離の0.05から10倍の範囲である。2つの隣接する混練ディスク間の距離は好ましくはスクリュー直径の0.002から0.1倍の範囲である。
【0071】
公知のように(例えば、[1],p.227−248を参照されたい)、混合エレメントはスクリュー歯先に開口部を有する搬送エレメントを組み立てることにより形成される。混合エレメントは左回りでも右回りでもよい。ピッチは好ましくは中心線距離の0.1から10倍の範囲であり、エレメントの軸方向長さは好ましくは中心線距離の0.1から10倍の範囲である。開口部は好ましくはU型またはV型溝の形態であり、反搬送方向にまたは軸に平行に配置されていることが好ましい。
【0072】
本発明のスクリューエレメントを好ましくはコンピューターを用いて、上記した設計要件を考慮して設計したら、このスクリューエレメントを例えばフライス盤を用いて作製し得る。スクリューエレメントを作製するために好ましい材料は鉄鋼(特に、窒化鋼、クロム鋼、工具鋼及び特殊鋼)、並びに鉄、ニッケルまたはコバルトを主成分とし、粉末冶金により製造される金属複合材料である。
【0073】
当業者は、完全セルフワイピングするスクリュープロファイルを直接二軸押出機に使用できないことを周知している。代わりに、スクリュー間にクリアランスが必要である。このための各種戦略が[1]のp.28以降に記載されている。本発明のスクリューエレメントのスクリュープロファイルの場合、スクリュープロファイルの直径に対して0.001から0.1の範囲、好ましくは0.002から0.05の範囲、特に好ましくは0.004から0.02の範囲のクリアランスを使用する。当業者には公知のように、クリアランスはスクリューとバレル間及びスクリュー間の寸法と同一でも異なっていてもよい。クリアランスは一定であっても、または指定されている範囲で変更させてもよい。また、スクリュープロファイルをクリアランス内で移動させることもできる。可能なクリアランス戦略は、いずれもが当業者に公知である中心線距離拡大、縦方向断面オフセット及び三次元オフセットといった[1]のp.28以降に記載されている実現可能手段である。中心線距離拡大の場合、比較的小さい直径を有するスクリュープロファイルを作成し、スクリュー間のクリアランスの量だけ離間させる。縦方向断面オフセット方法の場合、縦方向断面プロファイル曲線(軸に対して平行)はスクリュー−スクリュークリアランスの半分だけ内側に変位させる。三次元オフセット方法の場合、スクリューエレメントを相互にクリーニングする三次元的曲線から出発して、スクリューエレメントの大きさを完全セルフワイピングプロファイルの面に対して垂直の方向にスクリュー−スクリュークリアランスの半分だけ小さくする。縦方向断面及び三次元オフセット方法が好ましく、三次元オフセット方法が特に好ましい。
【0074】
本発明のスクリュープロファイルはPCT/EP2009/003549に記載されている方法を用いて作成され得る。
【0075】
本発明は更に、本発明のスクリューエレメントの多軸押出機における使用を提供する。本発明のスクリューエレメントを二軸押出機において使用することが好ましい。スクリューエレメントを混練、混合または搬送エレメントの形態で多軸押出機中に存在させてもよい。また、混練、混合及び搬送エレメントを1つの押出機中に互いに組み合わせることも可能である。本発明のスクリューエレメントを例えば従来技術に従って公知の他のスクリューエレメントと組み合わせてもよい。
【0076】
本発明は更に、本発明のスクリューエレメントを用いる二軸または多軸押出機におけるプラスチック組成物の押出し方法を提供し、この方法は、1対のスクリューエレメントの歯先角の合計は
【0077】
【数10】
未満であり、軸対称のスクリュープロファイルの場合にはフランク円の中心点のいずれもが回転点を通っているプロファイルの対称軸に対して垂直上にないことを特徴とする。
【0078】
本発明に従って生成物を優しく処理しながら同時に非常に効率的に押出され得るプラスチック組成物は、例えば懸濁液、ペースト、ガラス、セラミック組成物、メルト形態の金属、プラスチック、プラスチックメルト、ポリマー溶液、エラストマー及びゴム組成物である。
【0079】
プラスチック及びポリマー溶液が好ましく使用され、特に好ましくは熱可塑性ポリマーが使用される。好ましい熱可塑性ポリマーは、好ましくはポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル(特に、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレート)、ポリエーテル、熱可塑性ポリウレタン、ポリアセタール、フルオロポリマー(特に、ポリフッ化ニリデン)、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン(特に、ポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリイミド、ポリアクリレート(特に、ポリ(メチル)メタクリレート)、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、スチレンポリマー(特に、ポリスチレン)及びスチレンコポリマー(特に、スチレン−アクリロニトリルコポリマー)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー及びポリ塩化ビニルのシリーズの少なくとも1つである。リストされているプラスチックのブレンドも同様に好ましく使用され、これらは当業者により2つ以上のプラスチックの組合せであると理解される。
【0080】
更に好ましい供給材料はエラストマーである。好ましいエラスマーは、好ましくはスチレン−ブタジエンゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ブチルゴム、ハロブチルゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、ポリウレタンゴム、熱可塑性ポリウレタン、グッタペルカ、アクリレートゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、スルフィドゴム、クロロスルホニル−ポリエチレンゴムのシリーズの少なくとも1つである。勿論、リストされているゴムの2つ以上の組合せ、または1つ以上のゴムと1つ以上のプラスチックの組合せも可能である。
【0081】
熱可塑性樹脂及びエラストマーは純粋な形態で、或いは充填剤及び補強材(特に、ガラス繊維)との混合物として、相互または他のポリマーとの混合物として、または慣用されているポリマー添加剤との混合物として使用され得る。
【0082】
1つの好ましい実施形態において、プラスチック組成物、特にポリマーメルト及びポリマーメルトの混合物に添加剤が混合されている。添加剤をポリマーと一緒に押出機中に固体、液体または溶液として導入しても、或いは添加剤の少なくとも一部または添加剤の全部を側流を介して押出機に供給してもよい。
【0083】
添加剤はポリマーに対して多くの各種特性を付与し得る。添加剤は、例えば着色剤、顔料、加工助剤、充填剤、抗酸化剤、補強材、UV吸収剤及び光安定化剤、金属失活剤、ペルオキシドスカベンジャー、基本的安定化剤、核剤、安定化剤または抗酸化剤としてのベンゾフラン及びインドリノン、離型剤、難燃剤、静電防止剤、染料及びメルト安定化剤であり得る。充填剤及び補強材の例はカーボンブラック、ガラス繊維、クレー、マイカ、黒鉛繊維、二酸化チタン、炭素繊維、カーボンナノチューブ、イオン性液体及び天然繊維である。
【0084】
以下、本発明を一例として図を参照してより詳細に説明するが、これらに限定されない。
【0085】
以下の用語が図面中で使用れている。
・寸法はすべて中心線距離aに対して正規化されている。正規化した寸法を大文字で示す。例えば、正規化した外半径:RA=ra/a。
・角度はラジアンで表示する。
・Mx及びMyは、起点がスクリュープロファイルの回転点に位置決めされている座標の直交座標中のプロファイル作成円形弧の円中心点のx及びy座標である。
・半径r=raを有する円形弧を「1」と呼ぶ。スクリュー歯先の輪郭を規定する。
・半径r=riを有する円形弧を「1’」と呼ぶ。スクリュープロファイルの溝ゾーンの輪郭を規定する。
・円形弧「2」と「2’」、「3」と「3’」等はスクリュープロファイルのフランクを規定する。
・Rは中心線距離aに対して正規化した半径であり、αは円形弧の弧角度である。
・更なる略語:RG=正規化したバレル半径、RV=正規化した仮想バレル半径、RA=完全セルフワイピングプロファイルの正規化した外半径、RF=作製しようとするスクリューの正規化した外半径、S=スクリューの相互に対する正規化したクリアランス(間隙)、D=バレルに対するスクリューの正規化したクリアランス、VPR=プロファイル変位の正規化した量、VPW=ラジアンで表示したプロファイル変位の角度、VLR=左ねじ変位の正規化した量、VLW=左ねじ変位の角度、VRR=右ねじ変位の正規化した量、VRW=右ねじ変位の角度。
【0086】
図1aから1dはそれぞれ[1]に記載されている従来技術に従う一条ねじセルフクリーニングスクリュープロファイルの一部を断面で示す。
【0087】
座標原点は回転点を示す。円形弧1、2、2’及び1’はスクリュープロファイルの半分を形成する。他の半分は、図示したプロファイルを回転点を通っている水平直線でミラーリングすることにより得られる。図示されていない第2スクリューのスクリュープロファイルは、図示し、ミラーリングしたスクリュープロファイルを回転点を通っている水平直線に沿って量A(正規化した中心線距離)だけ変位させることにより得られる。円形弧2’が描かれている円形弧2に対する描かれる円形弧であるように、円形弧1’は更に描かれている円形弧1に対する描かれる円形弧である。
【0088】
円形弧の中心点を小円で示す。円形弧の中心点は、関係する円形弧の起点及び終点を有する細い連続線により接続されている。スクリュープロファイルの外側には、外側スクリュー半径が細い波線で示されている。
【0089】
図1aから1dにおいて、正規化した外半径RAは 平切りプロファイル(図a)から深切りプロファイル(図1d)に変化して徐々に拡大する。
【0090】
円形弧「1」はそれぞれスクリュー歯先の半分に相当し、関連する角度α1は半分の歯先角である。[1]に従う設計では、α1は大きさ
【0091】
【数11】
を有し、2つのスクリューの歯先角の合計は
【0092】
【数12】
になる。図1cにおいて、半分の歯先角は例えば52.5°になり、両スクリューの歯先角のすべての合計は210°になる。
【0093】
図2a、2b、2d及び2eは、小さい歯先角を有する本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルの断面の例を示す。軸対称の完全プロファイルは、図示した部分プロファイルを中心点を通る水平直線でミラーリングすることにより作成され得る。第2スクリューのプロファイルは図示し、ミラーリングしたプロファイルを回転点を通っている水平直線に沿って量Aだけ変位させることにより作成され得る。円形弧2’及び3’が描かれている円形弧2及び3に対する描かれる円形弧であるように、円形弧1’は更に描かれている円形弧1に対する描かれる円形弧である。
【0094】
図1cにおけるように比RAは値0.63を有しているが、半歯先角α1は15°に減り、両スクリューの歯先角のすべての合計は60°に減る。図2aから図2dにおいて、エッジがスクリュー歯先とフランク間の遷移時に生じ、R2に対応する半径R2’が最大値R2’=Aと仮定するようにそれぞれ半径R2=0を選択した。これらの図において、半径R3はR3=0.915(図2a)とR3=0.5523(図2e)の間で変化した。図2aから2eは、所与の歯先角及び所与の比RAで角のあるプロファイル(図2a)から非常に丸いプロファイル(図2e)の範囲の設計を包含する本発明の設計の変化の可能性を示している。図2cは、所与の歯先角及び所与の比RAで更に変化する可能性がないUS 3,900,187の開示内容に従う設計を示している。US 3,900,187によれば、スクリュー歯先に隣接するフランク円の中心点(図2中、円“3”)は回転点を通っているプロファイルの対称軸(図2中、y座標軸)に対して垂直上にある。スクリュープロファイルのフランクに対する接線とスクリュー歯先とフランク間の遷移点でのバレル円に対する接線との間のかみ角がR3の変化により図2aから2eにおいてどのように影響されるかに注目されたい。プロセス要件に応じて、本発明に従って図2eに示すようにスクリューが回転すると加工しようとする材料がスクリュー歯先とハウジング壁間の間隙にかなり引っ張られる非常に鋭い角度を有する設計からスクリューフランクにより材料を大部分その前に押し出す大きなかみ角を有する設計の範囲で選択することができる。
【0095】
図2fから2jは、例示の目的で、スクリュープロファイル2aから2eから構成され、搬送ねじとして組み立てられるスクリューの縦断面図を示す。
【0096】
図3aから3dは、RA=0.58、図3aの47.6°から図3dの11.9°に変化する半歯先角α1を有する本発明の描かれているスクリュープロファイルの部分プロファイルの例を示す。スクリュー歯先からフランクへの遷移は、図3aから3dにおいて0以外の半径R2を選択することにより丸くなる。一方、半径R3は、対応する半径R3’が消えるように最大Aに等しいR3を選択した。こうすると、スクリュープロファイルのフランクにエッジが生ずるが、このエッジはバレルからかなり離れた距離で回転する。図3aから3dは、このエッジの顕著さの可能な変化を示している。小さい歯先角α1及び大きいフランク角α3を選択するとエッジは非常に顕著であり(図3d)であり、大きい歯先角α1及び小さいフランク角α3を選択すると僅かしか顕著でない(図3a)。
【0097】
図4aから4dは、キンクを持たない本発明のスクリュープロファイルの部分プロファイルを示す。図3aから3dと同様に、半歯先角α1は図4aの47.6°から図4dの11.9°に変化した。フランク半径は、R2=0.125及びR3=0.75として選択した。歯先幅を変化させると、いろいろなスクリュープロファイルが生じ、顕著な高剪断及び低剪断ゾーン(図4a)からプロファイルの周辺で剪断率が均一に分布しているプロファイル(図4d)に及ぶ。
【0098】
図5aから5cは、本発明のスクリュープロファイルをx軸方向に変位させることによるセルフクリーニングスクリューの対の作製を一例として示す。2つのスクリューの回転点がX軸上にあるならば、固定された回転点を維持しながらプロファイルをバレル半径内でx軸方向に変位させ得る。こうすると、スクリュープロファイルの完全手動クリーニングが維持される。図5aは、23.8°の半歯先角α1、R2=0.25及びR3=0.75のフランク半径を有する出発プロファイルを示している。図5bにおいて、プロファイルは負のx軸方向に変位している。ここで、バレルボアは大きく広がった間隙でクリーニングされる。その結果、スクリュー先端とバレル間の高剪断ゾーンはもはや存在しない。図5cは、プロファイルの最大の可能性ある変位を示す。元のプロファイルのスクリュー底または溝はスクリュー歯先の機能を仮定し、またはその逆である。
【0099】
本発明のスクリューエレメントの1つの特定実施形態を一例として図6aから6dに示す。図示したスクリュープロファイルは、図5aに示す部分プロファイルから回転点を通っている水平直線でミラーリングすることにより作成され得る。第2スクリューのプロファイルは、対称軸に沿って量Aだけ変位させた第1スクリューのプロファイルに対応している。
【0100】
この実施形態は、バレルボアがスクリュープロファイルの外半径RA=0.58よりも大きい正規化半径R=0.63で構成されることを特徴とする。スクリュープロファイルはバレルボアの中心点に対して二つ一組で変位している。しかしながら、(小円で示す)中心点はバレルボアの中心にとどまっている。こうして、偏心回転するスクリューエレメントが作製される。バレルボア内での変位は自由に選択され得る。図6aから6dは、1つ及び同一のスクリュープロファイルに対する4つの変位を一例として示し、それぞれプロファイル輪郭の異なる半径によりバレルボアがクリーニングされる。
【0101】
明細書は今まで完全にセルフワイピングするスクリュープロファイルに関する。しかしながら、工業的に組み立てられる機械では、完全セルフワイピング形状寸法から正確に規定された間隙がクリーニング中維持される程度まで外れていなければならない。このことは、金属「フレッティング」を防止するために、製造許容を補償するために、間隙中に過剰にエネルギーが散逸するのを避けるために必要である。均一の間隙を生じさせるために可能な戦略はいろいろある。最も普及しているのは、機械中の縦方向断面にわたり等距離にある間隙を生じさせることである。対応するスクリュープロファイルの作成方法は[1]のp.103以降に記載されている。
【0102】
図7aから7dは、間隙(クリアランス)を有する本発明のスクリューエレメントのプロファイルの例を示す。図7aにおいて、スクリューの手動クリーニング時に中心線距離に対して正規化した間隙Sはバレルのクリーニング時正規化した間隙Dと同一であるように選択した。図7bでは間隙SはDより小さく、図7c及び7dでは逆にDはSより小さい。
【0103】
図8aから8dは、本発明に従う偏心プロファイルが間隙を有するスクリュープロファイルを設計した後、プロファイルを間隙内で変位させることによっても得られ得ることを示している。図8aから8dのプロファイルは図7dのプロファイルと同一である。変位はスクリューエレメントの回転点を通っている直線に対して図8aでは0°の角度、図8bでは60°の角度、図8cでは120°の角度、図8dでは180°の角度だけ進める。図8aから8dは、両スクリューが同一変位ベクターだけ変位されている例を示す。原則、両スクリューをクリアラン内で異なるベクターだけ変位させることも可能である。この場合、スクリューの1つの回転で変化する間隙で相互にクリーニングするプロファイルが得られる。
【0104】
公知のように、1対のプロファイルの搬送作用は、プロファイルを連続的に軸方向にらせん回転させることにより生ずる。こうして、搬送ねじが得られる。図9aは、本発明の搬送ねじ山の縦断面図を一例として示す。
【0105】
搬送ねじ山に比して高い分散能力を有する混練エレメントは、セルフクリーニングプロファイルプリズムディスクを軸上に相互に偏らせて配置することにより得られる。図9bは、60°のオフセット角で軸上に配置されている7つの混練ディスクを有する混練エレメントの例を示す。
【0106】
例外なく、これらの図は対称スクリュープロファイルを示している。しかしながら、非対称スクリュープロファイルを作成することも可能である。このことは、PCT/EP2009/003549に詳細に説明されている。例えば、図2a及び2bに示したスクリュープロファイルの半分を、例えば図2bに示したプロファイルをx軸でミラーリングし、ミラーリングした部分で図2aのプロファイルの欠けている部分を完成させることにより合わせて、非対称スクリュープロファイルを形成し得る。
【0107】
これらの図では、描かれているまたは描かれるスクリュープロファイルを説明するために最高12個の円形弧を使用している。しかしながら、本発明の方法は決して最高12個の円形弧に限定されない。代わりに、スクリュープロファイルを描くために所望するだけ多くの円形弧が使用され得る。特に、円形弧から作られず、よってセルフクリーニング性でないスクリュープロファイルは、十分に多数の円形弧により所望の正確度で近似させることができる。
【0108】
縦断面プロファイルは、スクリューの断面プロファイルから計算され得る。スクリュープロファイルの各円形弧を陽関数を用いて当該円形弧に属する縦断面の部分を計算するために使用することが好ましい。
【0109】
スクリュープロファイルの円形弧の点の回転軸からの距離aは、第1ステップでスクリュープロファイルの平面にあり、スクリュープロファイルの回転点を通り、その方位が角度ρにより規定されることにより特徴づけられる直線gとその半径r及び中心点の位置(Ms,My)により特徴づけられる円形弧kbとの交差点(Sx,Sy)を測定することにより計算される。第2ステップで、交差点(Sx,Sy)のスクリュープロファイルの回転点からの距離を計算する。直線と円形弧の交差点の計算は陽関数により表され得る。同じことが距離計算に当てはまる。従って、s=s(ρ,r,Mx,My)が距離に対して当てはまる。スクリューエレメントの公知のピッチtを仮定すると、角度ρは、s=(z ax,r,Mx,My)=s(ρ/2π*t,r,Mx,My)が距離に当てはまるようにρ/2π*tにより軸位置z axに変換され得る。関数s(z ax,r,Mx,My)はスクリュープロファイルの円形弧に対する所望の縦断面を示す。
【0110】
本発明のスクリューエレメントのプロファイルを設計し得る方法を一例として以下に記載する。
【0111】
描かれている及び描かれるスクリュープロファイルの回転軸間の選択可能な中心線距離を有する密接に噛み合い、セルフクリーニングし、同方向に回転するスクリュープロファイルを描くための方法は、描かれているスクリュープロファイルがn個の円形弧から形成され、描かれるスクリュープロファイルはn’個の円形弧から形成されることを特徴とし、
−描かれているスクリュープロファイル及び描かれるスクリュープロファイルは1つの平面にある;
−描かれているスクリュープロファイルの回転軸及び描かれるスクリュープロファイルの回転軸はそれぞれスクリュープロファイルの前記平面に対して垂直であり、描かれているスクリュープロファイルの回転軸と前記平面の交差点は描かれているスクリュープロファイルの回転点として称され、描かれるスクリュープロファイルの回転軸と前記平面の交差点は描かれるスクリュープロファイルの回転点として称される、
−描かれているスクリュープロファイルの円形弧の数n(ここで、nは1以上の整数である)を選択する、
−描かれているスクリュープロファイルの外半径ra(ここで、raは0以上(ra>0)且つ中心線距離以下(ra≦a)である値を仮定し得る)を選択する、
−描かれているスクリュープロファイルのコア半径ri(ここで、riは0以上(ri≧0)且つra以下(ri≦ra)である値を仮定し得る)を選択する、
−描かれているスクリュープロファイルの円形弧は、以下の配置規則:
・描かれているスクリュープロファイルの円形弧のすべてが連続する凸状スクリュープロファイルが得られるように相互に接線方向で合流し、半径が0に等しい円形弧を好ましくは半径がeps(ここで、epsは0に向かう傾向にある非常に小さな正の実数(eps≪1,eps→0)である)に等しい円形弧として処理する;
・描かれているスクリュープロファイルの円形弧の各々は外半径ra及びコア半径riを有し、その中心点が描かれているスクリュープロファイルの回転点上にある円形環の内側またはその境界線上にある;
・描かれているスクリュープロファイルの円形弧の少なくとも1つは描かれているスクリュープロファイルの外半径raに接する;
・描かれているスクリュープロファイルの円形弧の少なくとも1つは描かれているスクリュープロファイルのコア半径riに接する;
に従って描かれているスクリュープロファイルの回転軸の周りに時計方向または反時計方向に配置される;
−角度α1及び半径r1により確定される描かれているスクリュープロファイルの第1円形弧の大きさは、ラジアンで表示される角度α1が0以上且つ2π(ここで、πは円周率(π≒3.14159)であることを意味するように考えられなければならない)以下であり、半径r1が0以上且つ中心線距離a以下であるように選択され、描かれているスクリュープロファイルの第1円形弧の2つの異なるポイントを位置づけることにより得られる第1円形弧の位置は上記配置規則に従って確定され、この第1円形弧の位置づけられる第1点は好ましくはこの第1円形弧に属する起点であり、この第1円形弧の位置づけられる第2点は好ましくは第1円形弧に属する中心点である、
−角度α2、…、αn−1及び半径r2、…、rn−1により確定される描かれているスクリュープロファイルの更なるn−2個の円形弧の大きさは、ラジアンで表示される角度α2、…、αn−1が0以上且つ2π以下であり、半径r2、…、rn−1が0以上且つ中心線距離a以下であるように選択され、描かれているスクリュープロファイルのこれらの更なるn−2個の円形弧の位置は上記配置規則に従って確定される、
−角度αn及び半径rnにより確定される描かれているスクリュープロファイルの最後の円形弧の大きさは、描かれているスクリュープロファイルのn個の円形弧のラジアンで表示されるn個の角度の合計は2πに等しく、ラジアンで表示される角度 nは0以上且つ2π以下であり、半径rnは描かれているスクリュープロファイルに近似しており、半径rnは0以上且つ中心線距離a以下であり、描かれているスクリュープロファイルのこの最後の円形弧の位置は上記配置規則に従って確定される、
−描かれるスクリュープロファイルのn’個の円形弧は描かれているスクリュープロファイルのn弧の円形弧から
・描かれるスクリュープロファイルの円形弧の数n’(ここで、n’は整数である)は描かれているスクリュープロファイルの円形弧の数nに等しい;
・描かれるスクリュープロファイルの外半径ra’は描かれているスクリュープロファイルの中心線距離とコア半径riの差(ra’=a−ri)に等しい;
・描かれるスクリュープロファイルのコア半径ri’は描かれているスクリュープロファイルの中心線距離と外半径raの差(ri’=a−ra)に等しい;
・描かれるスクリュープロファイルのi’番目の円形弧の角度αi’は描かれているスクリュープロファイルのi番目の円形弧の角度αiに等しく、i及びi’はそれぞれ1から円形弧nまたはn’の数の範囲のすべての値を共に通る整数である(α1’=α1,…,αn’=αn);
・描かれるスクリュープロファイルのi’番目の円形弧の半径ri’と描かれているスクリュープロファイルのi番目の円形弧の半径riの合計は中心線距離aに等しく、i及びi’はそれぞれ1から円形弧の数nまたはn’の範囲の値のすべてを共に通る整数である(r1’+r1=a,…,rn’+rn=a);
・描かれるスクリュープロファイルのi’番目の円形弧の中心点は描かれているスクリュープロファイルのi番目の円形弧の中心点からの距離(この距離は中心線距離aに等しい)にあり、描かれるスクリュープロファイルのi’番目の円形弧の中心点は描かれるスクリュープロファイルの回転点からの距離(この距離は描かれているスクリュープロファイルのi番目の円形弧の中心点の描かれているスクリュープロファイルの回転点からの距離に等しい)にあり、描かれるスクリュープロファイルのi’番目の円形弧の中心点と描かれているスクリュープロファイルのi番目の円形弧の中心点間の接続線は描かれるスクリュープロファイルの回転点と描かれているスクリュープロファイルの回転点間の接続線に平行な線であり、i及びi’はそれぞれ1から円形弧の数nまたはn’の範囲の値のすべてを共に通る整数である(i’=i);
・描かれるスクリュープロファイルのi’番目の円形弧の起点は、描かれているスクリュープロファイルのi番目の円形弧の起点の描かれているスクリュープロファイルのi番目の円形弧の中心点に対する方向と反対にある描かれるスクリュープロファイルのi’番目の弧の中心点に対する方向にあり、i及びi’はそれぞれ1から円形弧の数nまたはn’の範囲の値のすべてを共に通る整数である;
得られる。
【0112】
本発明によれば、描かれている及び描かれるスクリュープロファイルの円形弧は、描かれている及び描かれるスクリュープロファイルの歯先角の合計が
【0113】
【数13】
未満であり、軸対称のスクリュープロファイルの場合にはフランク円の中心点のいずれもが回転点を通っているプロファイルの対称軸に対して垂直上にないように相互に選択され、または改変されなければならない。
【0114】
平滑で密接に噛み合うセルフクリーニングの同方向に回転するスクリュープロファイルを作成するための記載されている方法から、描かれるスクリュープロファイルは、
−描かれるスクリュープロファイルが連続である;
−描かれるスクリュープロファイルが凸状である;
−描かれるスクリュープロファイルの円形弧の各々が描かれるスクリュープロファイルの次の円形弧に接線方向で合流し、その半径が0に等しい円形弧を好ましくはその半径がeps(ここで、epsは0に向かう傾向にある非常に小さな正の実数(eps≪1,eps→0)である)に等しい円形弧として処理する;
−描かれるスクリュープロファイルの円形弧の各々が外半径ra’及びコア半径ri’を有する円形環の範囲内またはその境界線上にあり、前記円形環の中心点は描かれるスクリュープロファイルの回転点上にある;
−描かれるスクリュープロファイルの円形弧の少なくとも1つは描かれるスクリュープロファイルの外半径ra’と接している;
−描かれるスクリュープロファイルの円形弧の少なくとも1つは描かれるスクリュープロファイルのコア半径ri’と接している;
という結果になる。
【0115】
更に、平滑で密接に噛み合うセルフクリーニングの同方向に回転するスクリュープロファイルを作成するための上記方法から、描かれているスクリュープロファイルのコア半径riが描かれているスクリュープロファイルの中心線距離aと外半径raの差(ri=a−ra)に等しい場合のみ、描かれるスクリュープロファイルの外半径ra’は描かれているスクリュープロファイルの外半径raに等しく、描かれるスクリュープロファイルのコア半径ri’は描かれているスクリュープロファイルのコア半径riに等しいという結果になる。
【0116】
描かれているスクリュープロファイルが半径ri=0を有する円形弧を有しているならば、スクリュープロファイルは円形弧の位置にキンクを有し、そのキンクの大きさは角度αiにより特徴づけられる。描かれるスクリュープロファイルが半径ri’=0を有する円形弧を有しているならば、スクリュープロファイルは円形弧の位置にキンクを有し、そのキンクの大きさは角度αi’により特徴づけられる。
【0117】
平滑で密接に噛み合うセルフクリーニングの同方向に回転するスクリュープロファイルを作成するための上記方法は、更に三角定規とコンパスを用いるだけで実施され得る点で区別される。よって、描かれているスクリュープロファイルのi番目の円形弧と(i+1)番目の円形弧間の接線方向遷移はi番目の円形弧の終点の周りに半径ri+1の円を描くことにより設計され、描かれているスクリュープロファイルの回転点のより近くに位置決めされるこの弧とi番目の円形弧の中心点及び終点により規定される直線との交差点は(i+1)番目の円形弧の中心点である。実際には、三角定規とコンパスの代わりに、スクリュープロファイルを設計するためにコンピューターソフトウェアを使用する。
【0118】
一般的方法を用いて描いたスクリュープロファイルはねじ山の数zと無関係である。
【0119】
描かれるスクリュープロファイルは、描かれているスクリュープロファイルと異なっていてもよい。当業者は説明から上記方法が異なる数のねじ山を有するスクリューエレメント間の遷移エレメントを作製するために特に適している。z個のねじ山のスクリュープロファイルに基づいて、zと異なるねじ山の数z’を有するスクリュープロファイルが最終的に得られるように描かれている及び描かれるスクリュープロファイルを段階的に変化させることができる。この点で、遷移中円形弧の数を減らしたり増やしたりすることができる。
【0120】
対称プロファイルの場合、上記方法はスクリュープロファイルの一部のみを設計し、設計した部分から対称操作により欠けている部分を描くことにより単純化され得る。このことはPCT/EP2009/003549に詳細に記載されている。
【0121】
スクリュープロファイルの作成方法をコンピューターを用いて実施することが推奨される。その後、スクリューエレメントの大きさをスクリューエレメントを作製するためのCADフライス盤に供給し得る形で存在させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つ一組で同方向に共回転し、二つ一組で完全にセルフワイピングするスクリューを有し、各々正確に1つのスクリューねじ山を有し、中心線距離a及び外半径raを有する多軸押出機用スクリューエレメントであって、1対のスクリューの歯先角の合計は
【数1】
未満であり、軸対称のスクリュープロファイルの場合にはフランク円の中心点のいずれもが回転点を通っているプロファイルの対称軸に対して垂直上にないことを特徴とする前記スクリューエレメント。
【請求項2】
各々1つの断面プロファイルは0以上且つa以下の半径を有する5個以上の円形弧から構成され、前記円形弧はその終点で互いに接線方向で合流する請求項1に記載のスクリューエレメント。
【請求項3】
スクリューエレメントは混合エレメントまたは搬送エレメントとして組み立てられる請求項1または2に記載のスクリューエレメント。
【請求項4】
スクリューエレメントは混練エレメントとして組み立てられる請求項1または2に記載のスクリューエレメント。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のスクリューエレメントから誘導され、スクリューエレメントとバレル間及び/または隣接するスクリューエレメント間にクリアランスを示すスクリューエレメント。
【請求項6】
中心線距離に対して正規化したスクリューエレメントの外側スクリュー半径は0.52から0.66の範囲にある請求項1から5のいずれか一項に記載のスクリューエレメント。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のスクリューエレメントの多軸押出機における使用。
【請求項8】
スクリューエレメントはその全周に一定の間隙を有する二つ一組で互いにクリーニングする請求項7に記載の使用。
【請求項9】
スクリューエレメントはその全周に一定でない間隙を有する二つ一組で互いにクリーニングする請求項7に記載の使用。
【請求項10】
スクリューエレメントのプロファイルはバレルボアの中心に位置決めされている回転点に対して二つ一組で変位されている請求項7に記載の使用。
【請求項11】
本発明のスクリューエレメントを用いる二軸または多軸押出機でのプラスチック組成物の押出し方法であって、描かれている及び描かれるスクリュープロファイルの歯先角の合計は
【数2】
未満であり、軸対称のスクリュープロファイルの場合にはフランク円の中心点のいずれもが回転点を通っているプロファイルの対称軸に対して垂直上にないことを特徴とする前記方法。
【請求項12】
プラスチック組成物は熱可塑性樹脂またはエラストマーである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
使用される熱可塑性樹脂はポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル(特に、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレート)、ポリエーテル、熱可塑性ポリウレタン、ポリアセタール、フルオロポリマー(特に、ポリフッ化ビニリデン)、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン(特に、ポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリイミド、ポリアクリレート(特に、ポリ(メチル)メタクリレート)、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、スチレンポリマー(特に、ポリスチレン)、スチレンコポリマー(特に、スチレン−アクリロニトリルコポリマー)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、ポリ塩化ビニル、または上記熱可塑性樹脂の少なくとも2つのブレンドである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
使用されるエラストマーはスチレン−ブタジエンゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ブチルゴム、ハロブチルゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、ポリウレタンゴム、熱可塑性ポリウレタン、グッタペルカ、アクリレートゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、スルフィドゴム、クロロスルホニル−ポリエチレンゴム、または上記エラストマーの少なくとも2つの組合せである請求項12に記載の方法。
【請求項15】
プラスチック組成物に対して充填剤、補強材、ポリマー添加剤、有機または無機顔料、或いはその混合物を添加する請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
二つ一組で同方向に共回転し、二つ一組で完全にセルフワイピングするスクリューを有し、各々正確に1つのスクリューねじ山を有し、中心線距離a及び外半径raを有する多軸押出機用スクリューエレメントであって、1対のスクリューの歯先角の合計は
【数1】
未満であり、軸対称のスクリュープロファイルの場合にはフランク円の中心点のいずれもが回転点を通っているプロファイルの対称軸に対して垂直上にないことを特徴とする前記スクリューエレメント。
【請求項2】
各々1つの断面プロファイルは0以上且つa以下の半径を有する5個以上の円形弧から構成され、前記円形弧はその終点で互いに接線方向で合流する請求項1に記載のスクリューエレメント。
【請求項3】
スクリューエレメントは混合エレメントまたは搬送エレメントとして組み立てられる請求項1または2に記載のスクリューエレメント。
【請求項4】
スクリューエレメントは混練エレメントとして組み立てられる請求項1または2に記載のスクリューエレメント。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のスクリューエレメントから誘導され、スクリューエレメントとバレル間及び/または隣接するスクリューエレメント間にクリアランスを示すスクリューエレメント。
【請求項6】
中心線距離に対して正規化したスクリューエレメントの外側スクリュー半径は0.52から0.66の範囲にある請求項1から5のいずれか一項に記載のスクリューエレメント。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のスクリューエレメントの多軸押出機における使用。
【請求項8】
スクリューエレメントはその全周に一定の間隙を有する二つ一組で互いにクリーニングする請求項7に記載の使用。
【請求項9】
スクリューエレメントはその全周に一定でない間隙を有する二つ一組で互いにクリーニングする請求項7に記載の使用。
【請求項10】
スクリューエレメントのプロファイルはバレルボアの中心に位置決めされている回転点に対して二つ一組で変位されている請求項7に記載の使用。
【請求項11】
本発明のスクリューエレメントを用いる二軸または多軸押出機でのプラスチック組成物の押出し方法であって、描かれている及び描かれるスクリュープロファイルの歯先角の合計は
【数2】
未満であり、軸対称のスクリュープロファイルの場合にはフランク円の中心点のいずれもが回転点を通っているプロファイルの対称軸に対して垂直上にないことを特徴とする前記方法。
【請求項12】
プラスチック組成物は熱可塑性樹脂またはエラストマーである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
使用される熱可塑性樹脂はポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル(特に、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレート)、ポリエーテル、熱可塑性ポリウレタン、ポリアセタール、フルオロポリマー(特に、ポリフッ化ビニリデン)、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン(特に、ポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリイミド、ポリアクリレート(特に、ポリ(メチル)メタクリレート)、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、スチレンポリマー(特に、ポリスチレン)、スチレンコポリマー(特に、スチレン−アクリロニトリルコポリマー)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、ポリ塩化ビニル、または上記熱可塑性樹脂の少なくとも2つのブレンドである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
使用されるエラストマーはスチレン−ブタジエンゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ブチルゴム、ハロブチルゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、ポリウレタンゴム、熱可塑性ポリウレタン、グッタペルカ、アクリレートゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、スルフィドゴム、クロロスルホニル−ポリエチレンゴム、または上記エラストマーの少なくとも2つの組合せである請求項12に記載の方法。
【請求項15】
プラスチック組成物に対して充填剤、補強材、ポリマー添加剤、有機または無機顔料、或いはその混合物を添加する請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図2g】
【図2h】
【図2i】
【図2j】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図9a】
【図9b】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図2g】
【図2h】
【図2i】
【図2j】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図9a】
【図9b】
【公表番号】特表2011−524285(P2011−524285A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513934(P2011−513934)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004251
【国際公開番号】WO2009/153003
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(504109610)バイエル・テクノロジー・サービシーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (75)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Technology Services GmbH
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004251
【国際公開番号】WO2009/153003
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(504109610)バイエル・テクノロジー・サービシーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (75)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Technology Services GmbH
【Fターム(参考)】
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