小型撮像モジュール
【課題】小型撮像モジュールのケースへの部品の取り付けが、従来、上下両方向からで手間がかかったのを一方向からにし、単体部品の絞りを不要にし、接着によらない部品の固定方法を用いて、部品数の削減と組み立ての容易化を図る。
【解決手段】ケース2の上端を天井2bで覆い、絞り穴2cを開けて絞り機能を持たせる。ケース内面に突起2dを設け、レンズ6を下方から突起を越えて押し込めば、レンズは突起で保持される。IRカットフィルタ7は下方からケースの段差部に当てて接着する。これにより部品の組付けは下方だけからになる。レンズの固定方法は、他に接着、リング圧入、ケースの熱かしめ、等によることができ、また上記一連の固定方法をIRカットフィルタにも適用できる。さらにIRカットフィルタをレンズと同輪郭にしてレンズとケースの天井の間に挟めば、2部品を同時に組み付けることができて組み立て工数が減る。
【解決手段】ケース2の上端を天井2bで覆い、絞り穴2cを開けて絞り機能を持たせる。ケース内面に突起2dを設け、レンズ6を下方から突起を越えて押し込めば、レンズは突起で保持される。IRカットフィルタ7は下方からケースの段差部に当てて接着する。これにより部品の組付けは下方だけからになる。レンズの固定方法は、他に接着、リング圧入、ケースの熱かしめ、等によることができ、また上記一連の固定方法をIRカットフィルタにも適用できる。さらにIRカットフィルタをレンズと同輪郭にしてレンズとケースの天井の間に挟めば、2部品を同時に組み付けることができて組み立て工数が減る。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビデオカメラ、監視カメラ、工業用カメラ、パソコン、携帯電話等に組み込んで映像を撮影するのに用いる小型撮像モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
図13は上記のような小型撮像モジュールの一例で、同図(A)は上面図、(B)は(A)のB−B断面図である。また、図14にその分解斜視図を示す。これらの図面に見るように、セラミックスやガラス入りエポキシ樹脂等の基板1とプラスチックのケース2からなるパッケージに、構成各要素を収容したものである。基板1にはIC(3)をダイボンデイングし、ワイヤ4でワイヤボンディングしてある。IC(3)には、フォトダイオード等の光電変換素子とMOSトランジスタあるいはCCD素子を組み合わせた検出要素を、多数、マトリクス配置した撮像回路が形成されている。
【0003】
図14に見るように、ケース2は下側が箱形、上側が円筒状で、図13(B)に示したように、基板1上のIC(3)に面して、ケース2の内側下部にIR(赤外線)カットフィルタ7が固定してあり、これにより屋外など赤外線が多い環境で電荷が飽和して、画像が真っ白になるのを防いでいる。ケース2の上側の円筒部の内壁に棚2aがあって、これにレンズ6が取り付けてある。
【0004】
レンズ6はガラスあるいは透明なプラスチック製で、円板状の基部6aの下面に凸レンズ6bを形成するとともに上面は平面、凹または凸の場合があり、基部6aの外周を棚2aに載せ、上面に絞り5を重ねてある。絞り5には光路となる絞り穴5aが開けてある。これらの部品相互の接合にはエポキシ等の接着剤を用いている。このような構成により、外界の映像はレンズ6を通してIC(3)の表面に結像し、電気信号に変換され処理される。
【0005】
これらの図に見るように、基板1の周辺には複数の窪み1aがあり、窪み1aの内壁は導電材料で被覆されていて、この導電材料は基板1の上下両面の導電パターンを接続し、図示してないが、基板1の下面における窪み1aの回りの導電材料のランド部が、組み込み先回路基板への接続用の端子電極になっている。従ってこの小型撮像モジュールは、基板1の下面の端子電極を用いて、電子機器の回路基板に表面実装するのに適している。
【0006】
下記の特許文献1には上記に類する小型撮像モジュールが開示されているが、鏡枠体にIRカットフィルタ、レンズ、絞り等を取り付ける構造の実際については発明の主眼でなく、模式的に描かれているだけで詳細は示されていない。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−245217号公報 (図1−図13)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図15は前記のような小型撮像モジュールの組み立て手順であって、ケース2にIRカットフィルタ7とレンズ6と絞り5を取り付け、これをIC(3)を実装した基板1に固定するのであるが、図に見るようにIRカットフィルタは下側からケース2に組み付け、一方、レンズ6と絞り5は上側からケース2に組み付けるのであって、反対の2方向からであるため製品組み立てに手間が掛かる。また小型撮像モジュールには不要の光を遮断して結像品質を上げるための絞り手段が必須で、そのため絞り5を用いているが、この部品を廃止できるならその分コストが低減する。本発明はこの絞り5を廃止と、組立の容易化を実現する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記の課題を解決するため、まず、従来は開放されていたケースの上側の円筒部上端に天井を設け、その中央部に絞り穴を開けることにより天井部を絞りにする。こうしてケースと絞りを一体化し、別部品の絞りを廃止する。ケースの上端が天井で塞がるので、レンズの組み付けも従来のように上方からでなく、下側からケースに入れて天井に突き当てる。IRカットフィルタは従来同様下側からケースに組み付ける。これにより部品の組み付け方向をケースの下側からに統一する。
【0010】
前記の従来例ではレンズ6をケース2の棚2aに載せて接着剤で接合していた。本発明ではケースに天井を設けることに伴って、前記のような棚2aによらずにレンズを組み付ける構造を取る。すなわちレンズ収容部のケース内面に突起を設け、これを乗り越えてレンズを押し込み、突起との係合で保持すること、突起のないケース内面に接着剤で接着すること、レンズの下部のケース内面にリングを圧入してこれにより保持すること、ケース天井の下面に囲いを設けてレンズを収容し、囲いの端面を熱かしめしてレンズの外周を押さえて保持すること、などである。これらの固定方法はケースへのIRカットフィルタの取り付けにも応用できる。さらに本発明では、IRカットフィルタをケースの天井とレンズの間に挟んで保持することにより、IRカットフィルタとレンズを同時にケースに取り付ける構造をも提案する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。なお、各実施形態とも、小型撮像モジュールとしての基本構造は先の従来例と同様であるから、対応する部品や部分については同じ符号をつけ、詳細な説明は省略する。
【0012】
図1に本発明の第1の実施形態の断面図を示す。図13〜15の従来例で用いている絞り5を廃止し、代わりにケース2の上端を天井2bで塞ぎ、その中央に絞り穴2cを設けて絞り作用を行わせている。そして図13のような棚2aに代えて、ケース2の円筒部内面に突起2dを設け、レンズ6の基部6aを支える。
【0013】
部品の組み付けは図2に示すように、レンズ6を下方からケース2の円筒部に入れ、ケース2の内面の突起2dを越えて押し込む。レンズ6は図1のように突起2dに係合して落ち着く。次いでケースの下方からIRカットフィルタ7を入れてケース2の円筒部下端の段差部に当て、従来と同様に接着剤で固定する。このようにして部品を取り付けたケース2を、IC(3)を搭載した基板1の上面に接合して完成する。この構造により、レンズ6とIRカットフィルタ7はいずれも下方からケース2に組み付ければよくなり、従来のように上下別々の方向から行う必要がなくなるとともに、レンズ6の接着が不要で組み立て作業が簡単になる。
【0014】
図1、図2のように突起2dがケース2の円筒部の内周を一周して取り巻く場合は、突起2dの高さの管理が厳しくなったり、レンズ6の押し込みが困難になったりすることがあるが、突起2dを全周連続でなく数カ所に分散して設ければ、その点が緩和される。
【0015】
図3に本発明の第2の実施形態の断面図を示す。この場合もケース2の円筒部の上端を天井2bで塞ぎ、絞り穴2cを設けてある。先の実施形態と異なってケース2の内面に突起は設けず、レンズ6を接着剤11でケース内面に接合してある。
【0016】
部品の組み付けは図4に示すように、レンズ6を下方からケース2の円筒部に入れ、天井に突き当てて接着剤で固定する。次いでケースの下方からIRカットフィルタ7を入れてケース2の円筒部下端の段差部に当て、接着剤で固定する。これによりケース2へのレンズ6とIRカットフィルタ7の組み付けは、いずれも下方から行えばよくなる。
【0017】
図5に本発明の第3の実施形態の断面図を示す。この場合もケース2の円筒部上端に天井2bを設け、絞り穴2cを開けてある。ここでの特徴はケース2の円筒部の内側に、樹脂あるいはゴム等のリング12を固定してレンズ6を保持することである。
【0018】
部品の組み付けは図6に示すように、レンズ6を下方からケース2の円筒部に入れ、その下からリング12を円筒部の内側に軽圧入して、レンズ6を天井に突き当てる。次いでケースの下方からIRカットフィルタ7を入れてケース2に接着する。これにより部品の組み付けを下方からだけ行えばよくなるとともに、レンズ6の接着が不要になる。
【0019】
図7に本発明の第4の実施形態の断面図を示す。この場合もケース2の円筒部上端に天井2bを設け、絞り穴2cを開けてある。さらに天井2bの下面に、レンズ6を取り巻く短円筒状の囲い2eを設け、その下端を「熱かしめ」して変形させ、レンズ6の基部6aを押さえて保持している。熱かしめには超音波、ヒーター、レーザー等を用い、囲い2e端面の何カ所かで行えばよい。さらに囲い2e自体を、連続した形状でなく、何本かの支柱状に分散して設けてもよい。
【0020】
部品の組み付けは図8に示すように、レンズ6を下方からケース2の天井2b下面の囲い2eの中に入れ、囲い2eの下端を熱かしめしてレンズ6を押さえる。次いでケースの下方からIRカットフィルタ7を入れてケース2に接着する。これにより部品の組み付けは下方からだけ行えばよくなるとともにレンズ6の接着が不要になる。
【0021】
以上の各実施形態において、ケース2へのレンズ6の取り付けを突起、接着剤、リング、囲い等の手段で行うのに対し、IRカットフィルタ7の固定はもっぱら接着によっていたが、レンズ6の取り付けと同様の手段をIRカットフィルタ7にも用いることができる。その一例を第5の実施形態として図9に示す。レンズ6は第1の実施形態(図1)と同様、ケース2内面の突起2dとの係合により取り付けてある。さらにIRカットフィルタ7もケースと一体で突起のあるフック2fに係合させて取り付ける。
【0022】
図10は部品の組み付け状況の下方からの斜視図で、レンズをすでにケース2に固定済みであり、これからIRカットフィルタ7を取り付けるところである。この場合も部品の組み付けは下方からだけであり、IRカットフィルタ7はフック2fに係合させるだけでよくて、接着工程が不要になる。このほか図示は省くが、レンズ6の固定に用いたリングの圧入やケース部分の熱かしめ等を、IRカットフィルタ7の組み付けにも応用できる。
【0023】
図11に本発明の第6の実施形態の断面図を示す。先の各実施形態と異なり、この実施形態ではIRカットフィルタ7を単独でケース2に取り付けることをせず、IRカットフィルタ7の輪郭をレンズ6とほぼ同形状にして、ケース2の天井2bとレンズ6の間に挟んで保持する。この図ではレンズ6の固定を接着剤11で行っているが、すでに見た他の手段である突起、リング、囲い等によることも可能なのはいうまでもない。
【0024】
部品の組み付けは図12に示すように、IRカットフィルタ7とレンズ6を、順次、下方からケース2の円筒部に入れ、レンズ6を前記のように適宜の方法でケース2に固定する。この場合も部品の組み付けは下方からだけ行えばよく、さらにIRカットフィルタ7はレンズ6と同時に組み付けることができて、組み立て工数が削減される。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、小型撮像モジュールにおいて絞りとケースを一体化することにより、従来のような単体部品の絞りを廃止できる。これによって部品点数が減り、絞り製作用の金型が不要になる。さらに、ケースに対しレンズやIRカットフィルタを一方向からだけ組み付ければよいので、組立作業が容易になる。もっとも図5、図6の第3の実施形態においては、絞りを廃止する代わりにリング12を導入するから、部品数は変らないが、組み付けを一方向から行う利点は保たれる。また、レンズやIRカットフィルタの固定は、従来同様に接着剤によることもできるが、突起やフックとの係合やケースの一部の熱かしめなどの方法により、接着剤を使う工程を廃止できる。こうして高性能で廉価な小型撮像モジュールが実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の小型撮像モジュールの第1の実施形態の断面図である。
【図2】図1の実施形態の組み立て手順を示す図である。
【図3】本発明の小型撮像モジュールの第2の実施形態の断面図である。
【図4】図3の実施形態の組み立て手順を示す図である。
【図5】本発明の小型撮像モジュールの第3の実施形態の断面図である。
【図6】図5の実施形態の組み立て手順を示す図である。
【図7】本発明の小型撮像モジュールの第4の実施形態の断面図である。
【図8】図7の実施形態の組み立て手順を示す図である。
【図9】本発明の小型撮像モジュールの第5の実施形態の断面図である。
【図10】図9の実施形態の組み立て手順を示す下方からの斜視図である。
【図11】本発明の小型撮像モジュールの第6の実施形態の断面図である。
【図12】図11の実施形態の組み立て手順を示す図である。
【図13】従来の小型撮像モジュールの図面で、(A)は上面図、(B)は(A)のB−B断面図である。
【図14】図13の従来例の分解斜視図である。
【図15】図13の従来例の組み立て手順を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 ケース
2a 棚
2b 天井
2c 絞り穴
2d 突起
2e 囲い
2f フック
3 IC
5 絞り
6 レンズ
7 IRカットフィルタ
11 接着剤
12 リング
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビデオカメラ、監視カメラ、工業用カメラ、パソコン、携帯電話等に組み込んで映像を撮影するのに用いる小型撮像モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
図13は上記のような小型撮像モジュールの一例で、同図(A)は上面図、(B)は(A)のB−B断面図である。また、図14にその分解斜視図を示す。これらの図面に見るように、セラミックスやガラス入りエポキシ樹脂等の基板1とプラスチックのケース2からなるパッケージに、構成各要素を収容したものである。基板1にはIC(3)をダイボンデイングし、ワイヤ4でワイヤボンディングしてある。IC(3)には、フォトダイオード等の光電変換素子とMOSトランジスタあるいはCCD素子を組み合わせた検出要素を、多数、マトリクス配置した撮像回路が形成されている。
【0003】
図14に見るように、ケース2は下側が箱形、上側が円筒状で、図13(B)に示したように、基板1上のIC(3)に面して、ケース2の内側下部にIR(赤外線)カットフィルタ7が固定してあり、これにより屋外など赤外線が多い環境で電荷が飽和して、画像が真っ白になるのを防いでいる。ケース2の上側の円筒部の内壁に棚2aがあって、これにレンズ6が取り付けてある。
【0004】
レンズ6はガラスあるいは透明なプラスチック製で、円板状の基部6aの下面に凸レンズ6bを形成するとともに上面は平面、凹または凸の場合があり、基部6aの外周を棚2aに載せ、上面に絞り5を重ねてある。絞り5には光路となる絞り穴5aが開けてある。これらの部品相互の接合にはエポキシ等の接着剤を用いている。このような構成により、外界の映像はレンズ6を通してIC(3)の表面に結像し、電気信号に変換され処理される。
【0005】
これらの図に見るように、基板1の周辺には複数の窪み1aがあり、窪み1aの内壁は導電材料で被覆されていて、この導電材料は基板1の上下両面の導電パターンを接続し、図示してないが、基板1の下面における窪み1aの回りの導電材料のランド部が、組み込み先回路基板への接続用の端子電極になっている。従ってこの小型撮像モジュールは、基板1の下面の端子電極を用いて、電子機器の回路基板に表面実装するのに適している。
【0006】
下記の特許文献1には上記に類する小型撮像モジュールが開示されているが、鏡枠体にIRカットフィルタ、レンズ、絞り等を取り付ける構造の実際については発明の主眼でなく、模式的に描かれているだけで詳細は示されていない。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−245217号公報 (図1−図13)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図15は前記のような小型撮像モジュールの組み立て手順であって、ケース2にIRカットフィルタ7とレンズ6と絞り5を取り付け、これをIC(3)を実装した基板1に固定するのであるが、図に見るようにIRカットフィルタは下側からケース2に組み付け、一方、レンズ6と絞り5は上側からケース2に組み付けるのであって、反対の2方向からであるため製品組み立てに手間が掛かる。また小型撮像モジュールには不要の光を遮断して結像品質を上げるための絞り手段が必須で、そのため絞り5を用いているが、この部品を廃止できるならその分コストが低減する。本発明はこの絞り5を廃止と、組立の容易化を実現する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記の課題を解決するため、まず、従来は開放されていたケースの上側の円筒部上端に天井を設け、その中央部に絞り穴を開けることにより天井部を絞りにする。こうしてケースと絞りを一体化し、別部品の絞りを廃止する。ケースの上端が天井で塞がるので、レンズの組み付けも従来のように上方からでなく、下側からケースに入れて天井に突き当てる。IRカットフィルタは従来同様下側からケースに組み付ける。これにより部品の組み付け方向をケースの下側からに統一する。
【0010】
前記の従来例ではレンズ6をケース2の棚2aに載せて接着剤で接合していた。本発明ではケースに天井を設けることに伴って、前記のような棚2aによらずにレンズを組み付ける構造を取る。すなわちレンズ収容部のケース内面に突起を設け、これを乗り越えてレンズを押し込み、突起との係合で保持すること、突起のないケース内面に接着剤で接着すること、レンズの下部のケース内面にリングを圧入してこれにより保持すること、ケース天井の下面に囲いを設けてレンズを収容し、囲いの端面を熱かしめしてレンズの外周を押さえて保持すること、などである。これらの固定方法はケースへのIRカットフィルタの取り付けにも応用できる。さらに本発明では、IRカットフィルタをケースの天井とレンズの間に挟んで保持することにより、IRカットフィルタとレンズを同時にケースに取り付ける構造をも提案する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。なお、各実施形態とも、小型撮像モジュールとしての基本構造は先の従来例と同様であるから、対応する部品や部分については同じ符号をつけ、詳細な説明は省略する。
【0012】
図1に本発明の第1の実施形態の断面図を示す。図13〜15の従来例で用いている絞り5を廃止し、代わりにケース2の上端を天井2bで塞ぎ、その中央に絞り穴2cを設けて絞り作用を行わせている。そして図13のような棚2aに代えて、ケース2の円筒部内面に突起2dを設け、レンズ6の基部6aを支える。
【0013】
部品の組み付けは図2に示すように、レンズ6を下方からケース2の円筒部に入れ、ケース2の内面の突起2dを越えて押し込む。レンズ6は図1のように突起2dに係合して落ち着く。次いでケースの下方からIRカットフィルタ7を入れてケース2の円筒部下端の段差部に当て、従来と同様に接着剤で固定する。このようにして部品を取り付けたケース2を、IC(3)を搭載した基板1の上面に接合して完成する。この構造により、レンズ6とIRカットフィルタ7はいずれも下方からケース2に組み付ければよくなり、従来のように上下別々の方向から行う必要がなくなるとともに、レンズ6の接着が不要で組み立て作業が簡単になる。
【0014】
図1、図2のように突起2dがケース2の円筒部の内周を一周して取り巻く場合は、突起2dの高さの管理が厳しくなったり、レンズ6の押し込みが困難になったりすることがあるが、突起2dを全周連続でなく数カ所に分散して設ければ、その点が緩和される。
【0015】
図3に本発明の第2の実施形態の断面図を示す。この場合もケース2の円筒部の上端を天井2bで塞ぎ、絞り穴2cを設けてある。先の実施形態と異なってケース2の内面に突起は設けず、レンズ6を接着剤11でケース内面に接合してある。
【0016】
部品の組み付けは図4に示すように、レンズ6を下方からケース2の円筒部に入れ、天井に突き当てて接着剤で固定する。次いでケースの下方からIRカットフィルタ7を入れてケース2の円筒部下端の段差部に当て、接着剤で固定する。これによりケース2へのレンズ6とIRカットフィルタ7の組み付けは、いずれも下方から行えばよくなる。
【0017】
図5に本発明の第3の実施形態の断面図を示す。この場合もケース2の円筒部上端に天井2bを設け、絞り穴2cを開けてある。ここでの特徴はケース2の円筒部の内側に、樹脂あるいはゴム等のリング12を固定してレンズ6を保持することである。
【0018】
部品の組み付けは図6に示すように、レンズ6を下方からケース2の円筒部に入れ、その下からリング12を円筒部の内側に軽圧入して、レンズ6を天井に突き当てる。次いでケースの下方からIRカットフィルタ7を入れてケース2に接着する。これにより部品の組み付けを下方からだけ行えばよくなるとともに、レンズ6の接着が不要になる。
【0019】
図7に本発明の第4の実施形態の断面図を示す。この場合もケース2の円筒部上端に天井2bを設け、絞り穴2cを開けてある。さらに天井2bの下面に、レンズ6を取り巻く短円筒状の囲い2eを設け、その下端を「熱かしめ」して変形させ、レンズ6の基部6aを押さえて保持している。熱かしめには超音波、ヒーター、レーザー等を用い、囲い2e端面の何カ所かで行えばよい。さらに囲い2e自体を、連続した形状でなく、何本かの支柱状に分散して設けてもよい。
【0020】
部品の組み付けは図8に示すように、レンズ6を下方からケース2の天井2b下面の囲い2eの中に入れ、囲い2eの下端を熱かしめしてレンズ6を押さえる。次いでケースの下方からIRカットフィルタ7を入れてケース2に接着する。これにより部品の組み付けは下方からだけ行えばよくなるとともにレンズ6の接着が不要になる。
【0021】
以上の各実施形態において、ケース2へのレンズ6の取り付けを突起、接着剤、リング、囲い等の手段で行うのに対し、IRカットフィルタ7の固定はもっぱら接着によっていたが、レンズ6の取り付けと同様の手段をIRカットフィルタ7にも用いることができる。その一例を第5の実施形態として図9に示す。レンズ6は第1の実施形態(図1)と同様、ケース2内面の突起2dとの係合により取り付けてある。さらにIRカットフィルタ7もケースと一体で突起のあるフック2fに係合させて取り付ける。
【0022】
図10は部品の組み付け状況の下方からの斜視図で、レンズをすでにケース2に固定済みであり、これからIRカットフィルタ7を取り付けるところである。この場合も部品の組み付けは下方からだけであり、IRカットフィルタ7はフック2fに係合させるだけでよくて、接着工程が不要になる。このほか図示は省くが、レンズ6の固定に用いたリングの圧入やケース部分の熱かしめ等を、IRカットフィルタ7の組み付けにも応用できる。
【0023】
図11に本発明の第6の実施形態の断面図を示す。先の各実施形態と異なり、この実施形態ではIRカットフィルタ7を単独でケース2に取り付けることをせず、IRカットフィルタ7の輪郭をレンズ6とほぼ同形状にして、ケース2の天井2bとレンズ6の間に挟んで保持する。この図ではレンズ6の固定を接着剤11で行っているが、すでに見た他の手段である突起、リング、囲い等によることも可能なのはいうまでもない。
【0024】
部品の組み付けは図12に示すように、IRカットフィルタ7とレンズ6を、順次、下方からケース2の円筒部に入れ、レンズ6を前記のように適宜の方法でケース2に固定する。この場合も部品の組み付けは下方からだけ行えばよく、さらにIRカットフィルタ7はレンズ6と同時に組み付けることができて、組み立て工数が削減される。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、小型撮像モジュールにおいて絞りとケースを一体化することにより、従来のような単体部品の絞りを廃止できる。これによって部品点数が減り、絞り製作用の金型が不要になる。さらに、ケースに対しレンズやIRカットフィルタを一方向からだけ組み付ければよいので、組立作業が容易になる。もっとも図5、図6の第3の実施形態においては、絞りを廃止する代わりにリング12を導入するから、部品数は変らないが、組み付けを一方向から行う利点は保たれる。また、レンズやIRカットフィルタの固定は、従来同様に接着剤によることもできるが、突起やフックとの係合やケースの一部の熱かしめなどの方法により、接着剤を使う工程を廃止できる。こうして高性能で廉価な小型撮像モジュールが実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の小型撮像モジュールの第1の実施形態の断面図である。
【図2】図1の実施形態の組み立て手順を示す図である。
【図3】本発明の小型撮像モジュールの第2の実施形態の断面図である。
【図4】図3の実施形態の組み立て手順を示す図である。
【図5】本発明の小型撮像モジュールの第3の実施形態の断面図である。
【図6】図5の実施形態の組み立て手順を示す図である。
【図7】本発明の小型撮像モジュールの第4の実施形態の断面図である。
【図8】図7の実施形態の組み立て手順を示す図である。
【図9】本発明の小型撮像モジュールの第5の実施形態の断面図である。
【図10】図9の実施形態の組み立て手順を示す下方からの斜視図である。
【図11】本発明の小型撮像モジュールの第6の実施形態の断面図である。
【図12】図11の実施形態の組み立て手順を示す図である。
【図13】従来の小型撮像モジュールの図面で、(A)は上面図、(B)は(A)のB−B断面図である。
【図14】図13の従来例の分解斜視図である。
【図15】図13の従来例の組み立て手順を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 ケース
2a 棚
2b 天井
2c 絞り穴
2d 突起
2e 囲い
2f フック
3 IC
5 絞り
6 レンズ
7 IRカットフィルタ
11 接着剤
12 リング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板とケースでパッケージを構成し、絞り手段、レンズ、IRカットフィルタ、IC等を収容してなる小型撮像モジュールにおいて、
ケースと一体に天井を形成し、その中央部に穴を開けてこれを絞り手段とし、
レンズおよびIRカットフィルタを下方よりケースに組み付けることを特徴とする小型撮像モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の小型撮像モジュールにおいて、
ケースの内周に突起を設け、これを乗り越えて組み付けたレンズをこの突起により保持することを特徴とする小型撮像モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の小型撮像モジュールにおいて、
レンズを接着剤によりケースの内周に固定することを特徴とする小型撮像モジュール。
【請求項4】
請求項1に記載の小型撮像モジュールにおいて、
レンズ下側のケース内周にリングを圧入してレンズを保持することを特徴とする小型撮像モジュール。
【請求項5】
請求項1に記載の小型撮像モジュールにおいて、
ケースの一部を熱かしめしてレンズを固定することを特徴とする小型撮像モジュール。
【請求項6】
請求項1に記載の小型撮像モジュールにおいて、
IRカットフィルタを接着剤、突起、リング、またはケースの熱かしめのいずれかの方法によりケースに取り付けることを特徴とする小型撮像モジュール。
【請求項7】
請求項1ないし5に記載の小型撮像モジュールにおいて、
IRカットフィルタをケース天井とレンズの間に挟んで保持することを特徴とする小型撮像モジュール。
【請求項1】
基板とケースでパッケージを構成し、絞り手段、レンズ、IRカットフィルタ、IC等を収容してなる小型撮像モジュールにおいて、
ケースと一体に天井を形成し、その中央部に穴を開けてこれを絞り手段とし、
レンズおよびIRカットフィルタを下方よりケースに組み付けることを特徴とする小型撮像モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の小型撮像モジュールにおいて、
ケースの内周に突起を設け、これを乗り越えて組み付けたレンズをこの突起により保持することを特徴とする小型撮像モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の小型撮像モジュールにおいて、
レンズを接着剤によりケースの内周に固定することを特徴とする小型撮像モジュール。
【請求項4】
請求項1に記載の小型撮像モジュールにおいて、
レンズ下側のケース内周にリングを圧入してレンズを保持することを特徴とする小型撮像モジュール。
【請求項5】
請求項1に記載の小型撮像モジュールにおいて、
ケースの一部を熱かしめしてレンズを固定することを特徴とする小型撮像モジュール。
【請求項6】
請求項1に記載の小型撮像モジュールにおいて、
IRカットフィルタを接着剤、突起、リング、またはケースの熱かしめのいずれかの方法によりケースに取り付けることを特徴とする小型撮像モジュール。
【請求項7】
請求項1ないし5に記載の小型撮像モジュールにおいて、
IRカットフィルタをケース天井とレンズの間に挟んで保持することを特徴とする小型撮像モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2004−147032(P2004−147032A)
【公開日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−309043(P2002−309043)
【出願日】平成14年10月23日(2002.10.23)
【出願人】(000131430)株式会社シチズン電子 (798)
【出願人】(000124362)河口湖精密株式会社 (120)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年10月23日(2002.10.23)
【出願人】(000131430)株式会社シチズン電子 (798)
【出願人】(000124362)河口湖精密株式会社 (120)
【Fターム(参考)】
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