説明

小型記憶装置

【課題】ユーザが自然な姿勢で、指紋認証を行なわせることが可能な小型記憶装置を提供する。
【解決手段】筺体12の略中央部には被検出対象の指の向きが前記筺体の長手方向と直交するように配向される指紋読み取りセンサ13を配設している。また、筺体12の内部には、所定のデータを記憶するデータメモリと、指紋読み取りセンサにより読み取られる指紋画像データを予め記憶されている指紋データに基づいて指紋照合を可能とする認証部と、この認証部による照合結果に対応してデータメモリに対する前記電子機器からのアクセスの可否を制御する制御部とを有し、認証部は指紋読み取りセンサにて読み取られる指紋画像データと前記記憶されている指紋データとの照合に際して前記指紋画像データの上下を逆にした照合が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のデータを記憶する小型記憶装置に関し、特に指紋を基に使用者の認証を行なう小型記憶装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、所定のインタフェースに準じてパーソナルコンピュータ等の電子機器とデータの送受信を行なうことが可能な小型記憶装置が知られている。例えば、インタフェースとしてUSB(Universal Serial Bus)を用いてデータを送受信する小型記憶装置では、パーソナルコンピュータとUSBポートを介して接続し、このUSBポートを介してパーソナルコンピュータとの間で、データのやり取りを行なうことが可能である。
また、小型記憶装置に記憶されたデータに対するセキュリティーの観念からこのような小型記憶装置に対しても、使用者を限定するためのプロテクトが施される場合がある。
【0003】
具体的には、指紋認証に係る技術を用いて、記憶されたデータに対するアクセスの許可の可否を行なう小型記憶装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
このような小型記憶装置では、ユーザは、小型記憶装置の筺体に取り付けられたセンサに指紋を読み取らせ、読み取らせた指紋が登録された指紋情報等と一致すると認証された場合に、小型記憶装置に記憶されたデータに対してアクセスすることが可能となる。
【特許文献1】特開表2004−519791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図14は、パーソナルコンピュータに接続される小型記憶装置と、前記小型記憶装置を介して指紋認証を行なわせるユーザとの位置関係を説明する図である。従来の小型記憶装置1に配置されるセンサの読み取り方向は、指紋の上下方向をポートの着脱方向に対して略水平に読み取るよう構成されており、図14に示すように画面に対向して位置したユーザがコンピュータ2に接続された小型記憶装置1のセンサに指を載置するためには、登録した指を備える腕を図に示す矢印のように動かす必要があった。そのため、ユーザは指紋認証を行なわせるために、無理な体勢を強いられる場合があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、ユーザが自然な姿勢で、指紋認証を行なわせることが可能な小型記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一局面では、筺体と、前記筺体の一端に配置され、電子機器と抜き差しして接続するための端子とを有し、前記筺体には、被検出対象の指の上下の向きを前記端子の抜き差し方向に対して略垂直になるよう読み取る指紋読み取りセンサが配置され、前記筺体の内部には、所定のデータを記憶するデータメモリと、前記指紋読み取りセンサにより読み取られる指紋画像データを、予め読み取られた指紋に基づいて作成された指紋データを用いて指紋照合する認証部と、この認証部による照合結果に対応して前記データメモリに対する前記電子機器からのアクセスの可否を制御する制御部とを有し、前記認証部は、前記指紋読み取りセンサにより読み取られた前記指紋画像データと、同読み取られた指紋画像データの上下の向きを反転させた指紋画像データとの少なくとも一方を用いて照合を行なう構成としてある。
【0007】
上記のように構成された発明では、小型記憶装置は、筺体と、筺体の一端に配置され、電子機器と抜き差しして接続するための端子とを有する。また、筺体には、被検出対象の指の上下の向きを前記端子の抜き差し方向に対して略垂直になるよう読み取る指紋読み取りセンサが配置され、筺体の内部には、所定のデータを記憶するデータメモリと、指紋読み取りセンサにより読み取られる指紋画像データを、予め読み取られた指紋に基づいて作成された指紋データを用いて指紋照合する認証部と、この認証部による照合結果に対応して前記データメモリに対する前記電子機器からのアクセスの可否を制御する制御部とを有する。更に、認証部は、指紋読み取りセンサにより読み取られた指紋画像データと、同読み取られた指紋画像データの上下の向きを逆にした指紋画像データとを用いて照合を行なう。
そのため、ユーザが被検出対象たる指紋を有する指を、電子機器に対して略垂直な状態で前方に伸ばして小型記憶装置の筺体の指紋読み取りセンサに検出させることができるとともに、読み取られた指紋画像データの上下の向きが反対である場合でも、指紋画像データの上下の向きを反転させて指紋認証を行なわせることができる。
【0008】
好ましくは、前記指紋読み取りセンサは、スイープ型の指紋読み取りセンサである。
上記のように構成された発明では、スイープ型の指紋読み取りセンサを使用するものに対しても本発明を適応することができる。
【0009】
好ましくは、前記認証部は、前記指紋読み取りセンサに読み取られた指紋画像データが認証されない場合は、前記指紋画像データの上下の向きを反転させ、この反転させた指紋画像データを用いて照合を行なう。
上記のように構成された発明では、読み取られた指紋画像データの上下方向が指紋の上下方向と一致しない場合にのみ、指紋画像データの上下の向きを反転させるため、指紋認証に係る処理を低減させることができる。
【0010】
本発明の他の局面として、前記指紋読み取りセンサは、読み取り対象の指紋を有する指の動きを検出するタッチパッドとしての機能を有し、前記認証部は、前記タッチパッドが検出した前記指の動きに基づいて、前記読み取られた指紋の向きを検出し、前記検出された指紋の向きが、指紋の上下の向きと一致する場合は、前記読み取った指紋画像データを用いて照合を行い、前記検出された指紋の向きが、指紋の上下の向きと一致しない場合は、前記読み取った指紋画像データの上下の向きを反転させて前記照合を行なう。
上記のように構成された発明では、指紋の上下の向きを検出し、この検出結果に基づいて指紋画像データの上下の向きを反転させるため、指紋認証に係る処理をより低減させることができる。
【0011】
好ましくは、前記端子は、本小型記憶装置の筺体の一端に配置されるとともに、前記筺体には前記端子の抜き差し方向に対して略垂直に横切る溝状部分が形成されており、前記読み取りセンサは、前記溝状部分の略中央部に配設されている。
上記のように構成された発明では、溝状部分の両側面が被検出対象たる指をガイドする役割を果たすため、安定的に指を指紋認証させることができる。
【0012】
また、指紋を認証する処理は小型記憶装置内で実行されるものに限定されず、端子を用いて接続された電子機器に指紋認証を行なわせるものであってもよい。
そのため、本発明の他の局面として、前記認証部は、前記データメモリに記憶されるとともに、前記端子を用いて接続した前記電子機器に、前記指紋読み取りセンサにより読み取らせた指紋画像データを指紋照合させるアプリケーション・プログラムにより構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
1.第1の実施の形態:
(1)USBメモリの構成:
(2)パーソナルコンピュータの構成:
(3)指紋認証処理:
(4)指紋認証の方法:
2.第2の実施の形態:
3.第3の実施の形態:
4.その他の実施の形態:
【0014】
1.第1の実施の形態:
(1)USBメモリの構成:
図1は、本発明に係るUSBメモリの外観を示す斜視図である。USBメモリ100は、扁平な矩形形状の筺体12と、筺体12の一端に配置されて、筺体12の長手方向と平行に抜き差ししてパーソナルコンピュータ(以下、PCと記載する)のUSBポートとUSB(Universal Serial Bus)規格に準じて電気的に接続する機能を備えるUSBコネクタ(端子)11と、筺体12の略中央部に、指紋を読み取るための機能を備えるタッチパッド(指紋読み取りセンサ)13とを備えている。
【0015】
筺体12は、USBメモリ100の構成要素を収容する機能の他、ユーザの指をタッチパッド13の指紋読み取りセンサ(後述)上部に安定的に載置可能にするガイドとしての機能をも備えている。筺体12の長手方向の略中央部には上面をえぐるようにしつつ当該筺体12の短手方向に横切る溝状部分14が形成され、タッチパッド13は、同溝状部分14の略中央部に、被検出対象の指の向きが筺体12の長手方向と直交するように配向されるよう配設されている。そのため、溝状部分14は、内部側面が指紋を認証させる指をタッチパッド13上部に配置するためのガイドとしての役割を果たし、底面14aが鍔状に広がる座部として形成されていることで、指を安定的に載置させて指紋を読み取らせることができる。
なお、筺体12の形状はこれに限定されないことは言うまでもない。つまり、溝状部分14等は、必須の構成ではない
【0016】
図2は、パーソナルコンピュータに接続される本発明に係るUSBメモリと、USBメモリを介して指紋認証を行なわせるユーザとの位置関係を説明する図である。ユーザがPC200の画面に対向するよう位置した状態で、USBメモリ100をPC200の右側側面に配置されたUSBポート201に接続した場合(図2(A))、ユーザはこの位置関係を保ったままタッチパッド13の上に特定の指を載置し、図に示す方向(図中上から下へ)に指を動かすと、タッチパッド13の読み取り方向と指の動きの向きとが一致し、読み取られた指紋画像データの上下の向きは指の上下の向きと一致する。このため、読み取られた指紋画像データは認証される。
【0017】
一方、PC200のUSBポート201が図中左側面に配置されている場合、USBメモリ100を図中左側面に配置されたUSBポート201に接続すると、タッチパッド13の読み取り方向は上記した順方向と逆方向となる。そのため、この状態でユーザが図示する方向(図中上から下へ)に指を動かした場合(図2(B))、タッチパッド13の読み取り方向と指の動きの向きが一致しないため、読み取られた指紋画像データの上下の向きは指の上下の向きと一致しない。このため、読み取られた指紋画像データは認証されない。
【0018】
そこで、本発明に係る小型記憶装置では、PC200にUSBメモリ100を接続させた状態で、ユーザが指を画面に対して垂直に向けて指紋認証を行なわせることを可能とするとともに、USBメモリ100のタッチパッド13の読み取り方向と、センサ上部に載置された指の向きが一致しない場合であっても、指紋認証を行なえる構成としてある。
【0019】
図3は、USBメモリの構成を説明するブロック図である。USBメモリ100の筺体12内部には、記憶領域としての機能を備えるFLASHメモリ(データメモリ)40,50と、USBメモリ100の駆動を制御する機能を備えるコントローラ30と、PC200とコントローラ30との間に介在して、PC200との間でデータの授受を可能にする機能を備えるPC・I/F20と、タッチパッド13とを備えている。また、コントローラ30は、PC・I/F20と、タッチパッド13と、FLASHメモリ40,50とにバス60を介してそれぞれ接続している。
【0020】
PC・I/F20は、PC200との間でデータの送受を可能にする機能を備えている。本発明に係るPC・I/F20は、USB規格によりUSBメモリ100とPC200との間でデータの送受を可能にするものである。そのため、PC・I/F20は、USBコネクタ11や、USBコネクタ11を介して受信したデータをコントローラ30が受信可能な形式に変換する回路等の要素を含むものである。
【0021】
コントローラ30は、USBメモリ100の駆動を制御する機能を備えている。具体的には、コントローラ30は、FLASHメモリ40,50に対するアクセスを制御するための機能を備えるアクセス制御部31、FLASHメモリ50に記憶されたデバイス・ドライバ(後述)をPC・I/F20を介してPC200に送信する機能を備えるデバイス・ドライバ送信部32、タッチパッド13の駆動を制御する機能を備えるデバイス制御部33、タッチパッド13が生成した指紋画像データをFLASHメモリ50又はPC200のいずれかに送信する機能を備える指紋画像データ送信部34とを備えている。
上記したコントローラ30の各部は、図示しない演算部と、この演算部に上記各部の機能を付与するアプリケーション・プログラムにより実行されるものであってもよいし、各部をその機能を備えるIC(Integrated Circuit)により構成するものであってもよい。
【0022】
図4は、本実施の形態に係るタッチパッド13を説明する図である。実施の形態におけるタッチパッド13は、指紋を読み取る機能を備える指紋読み取りセンサ13aと、この指紋読み取りセンサ13aが読み取った指紋を指紋画像データに変換する制御部13bとを備えている。また、制御部13bは、指紋読み取りセンサ13aが読み取った指の動きを解析して、指紋読み取りセンサ13aに対する指の相対的な動きを検出することも可能である。そのため、タッチパッド13は、指紋読み取り機能に加えて、指紋読み取りセンサ13aを用いてユーザからの操作を受け入れるアナログ入力装置としての機能をも備えている。
【0023】
本実施の形態に係るタッチパッド13の指紋読み取りセンサ13aは、静電容量方式のスイープ型である。指紋読み取りセンサ13aは、受像素子としての複数のキャパシタアレイを直線状にM個配列させてセンサ面に載置される指の幅と略同寸のアレイ郡を形成するとともに、このアレイ郡を指の読み取り方向に対して2列配列させて構成されている。指紋読み取りセンサ13aが生成する画像データの1ピクセルはキャパシタアレイの検出領域に対応しており、各アレイ郡が読み取ったM個の画素は指紋における上下方向に短冊状に区切られたフレーム画像を形成する。制御部13bは、上記フレーム画像を時系列的に組み合わせ、フレーム間の同一の画像の修正を行うことで、指紋全体での画像を形成する。
なお、指紋読み取りセンサ13aは、感熱方式や光学方式であってもよく、更に、スイープ型以外にも、面型静電容量センサ、プリズム型センサ、指内散乱光方式センサを用いるものであってもよい。
【0024】
FLASHメモリ40,50は、所定のデータ等を記憶する機能を備えている。FLASHメモリ40,50は、USBメモリ100における記憶領域として機能し、その主たる機能として、PC・I/F20を介して入力されたデータを記憶する。また、FLASHメモリ50は、その管理領域に、PC200に指紋認証処理を含めたセキュリティー機能を実行させるための機能を付与するデバイス・ドライバ300を記憶している。さらに、FLASHメモリ50の管理領域には、管理情報や、USBメモリ100のアクセスに対するセキュリティーをパスワードを用いて行なう際に参照される参照用パスワード等も記憶されている。
【0025】
デバイス・ドライバ300は、複数の機能を備えるアプリケーション・ソフトから成るプログラムとしてFLASHメモリ50に記憶されている。その一例として、デバイス・ドライバ300には、タッチパッド13が生成した指紋画像データをPC200に照合させる機能を付与する指紋認証プログラム(指紋認証部)や、この指紋認証の際に、PC200にディスプレイ(後述)を用いてユーザが視覚可能なUI(User Interface)画面を表示させる機能を付与するUI表示プログラム等が含まれている。
【0026】
(2)パーソナルコンピュータの構成:
図5は、パーソナルコンピュータ200の構成を説明するブロック図である。本発明における主たる機能を実現するためのPC200は、PC200の駆動を制御するための機能を備えるメイン制御部210と、USBメモリ100と接続するUSBポートをその構成要素に含み、USBメモリ100とメイン制御部210との間でデータの送受を可能にするための機能を備えるUSB・I/F240と、キーボート及びマウス等により構成される入力装置230と、画像を表示する機能を備えるディスプレイ220とを備えている。また、メイン制御部210と、USB・I/F240と、入力装置230と、ディスプレイ220との間には、バス250が介在しており、このバス250を介してデータの送受信を行なうことができる。
【0027】
メイン制御部210は、PC200の駆動を制御するための機能を備えている。具体的には、メイン制御部は、演算中枢としての機能を備えるCPU(Central Processing Unit)211と、CPU211に所定の処理を実行するための機能を付与するプログラム等を記憶するハードディスク213と、CPU211がデータを処理するワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)212と、ディスプレイ220、入力装置230、USB・I/F240等のハードウェアと、CPU211との間に介在して、データの送受信を可能にするI/F214とを備えている。また、メイン制御部210内の各部は、バス215を介して接続されており、このバス215を介してデータの送受信を実行する。
【0028】
ハードディスク(以下、HDDと記載)213には、OS(Operating System)400が記憶されており、このOS400により、CPU211はPC200における各種ハードウェアを制御することが可能となる。更には、CPU211は、USB・I/F240を介してUSBメモリ100からロードされたデバイス・ドライバ300の機能をOS400の機能に組み込むことにより、デバイス・ドライバ300により付与される種々の機能を実行することが可能となる。
【0029】
(3)指紋認証処理:
図6は、USBメモリ及びPCを用いて実行される指紋認証の流れを概略的に説明する流れ図である。以下、図6を参照しつつ、第1の実施の形態に係る指紋認証処理を説明する。第1の実施の形態における指紋認証処理は、USBメモリ100とPC200とが一体となって指紋認証を実現するものである。
【0030】
ユーザが所定の操作によりPC200を起動させると、CPU211はHDD213に記憶されたOS400をRAM212に展開し、OS400の機能の基、各ハードウェアの制御を開始する。この状態で、USBメモリ100をPC200のUSBポートに接続すると、USBメモリ100のコントローラ30はPC200に接続されたことを検知し、デバイス・ドライバ送信部32の機能により、FLASHメモリ50に記憶されたデバイス・ドライバ300をPC・I/F20を介してPC200にロードする(S110)。PC200では、メイン制御部210がUSB・I/F240を介して受信したデバイス・ドライバ300をHDD213に記憶する(ステップS410)。この後、CPU211はOS400及びRAM212に展開されるデバイス・ドライバ300により付与される機能に基づいて本発明の指紋認証に係る処理を実行していく。
【0031】
PC200は、ユーザからの指紋認証における初期登録を受け付ける(S420)。この初期登録は、指紋画像データを認証する際に、この指紋画像データと照合されるテンプレート・データ(指紋データ)を作成するためのものである。テンプレート・データは、初期登録により読み取られた指紋に基づいて作成されるデータであり、認証の手法によって作成されるテンプレート・データは様々である。この実施の形態では、認証アルゴリズムとして特徴点抽出方式を基に説明を行なうため、作成されるテンプレート・データはこの特徴点抽出方式に即して説明される。
【0032】
図7は、ディスプレイ220に表示される初期設定画面を説明する図である。初期設定画面は、ユーザがPC200の画面上のアイコン等を操作して初期設定画面の表示を選択することで、CPU211がデバイス・ドライバ300のUI表示プログラム及びOS400の機能によりディスプレイ220に表示するものである。初期設定画面では、テンプレート・データの元情報となる指紋を登録する指をユーザに選択させるための掌の画像500と、USBメモリ100のタッチパッド13を用いて読み取られた指紋に基づく指紋画像データが表示される指紋表示領域画像510とを備えて構成されている。
【0033】
ディスプレイ220に初期設定画面が表示された状態で、ユーザがUSBメモリ100のタッチパッド13に指を載置し、指を特定方向に動かすと、コントローラ30はデバイス制御部33の機能の基、タッチパッド13に指紋を読み取らせ、生成した指紋画像データをPC200に送信する(S120)。具体的には、タッチパッド13は読み取った指紋情報を画像データに変換し、コントローラ30に出力する。コントローラ30は、指紋画像データ送信部34の機能の基、PC・I/F20を介して指紋画像データをPC200に出力する。
【0034】
CPU211は、受信した指紋画像データに基づいてテンプレート・データを作成する(ステップS430)。CPU211は、受信した指紋画像データをRAM212に一時記憶した後、指紋表示領域画像の元データに重畳させて表示する(図7(b))。この状態で例えば、ユーザがアイコン操作等により表示された指紋画像をテンプレート・データを生成するための元画像として選択すると、CPU211は選択された指紋画像に基づいてテンプレート・データを作成し、HDD213に一時記憶する。テンプレート・データは、USBメモリ100のFLASH・メモリ40,50に記憶されるものであってもよい。
なお、ここまでが、初期登録の流れである。
【0035】
次に、指紋認証の流れを説明する。ユーザがUSBメモリ100のタッチパッド13を所定の動作で操作すると、コントローラ30は、タッチパッド13を通じてこの操作を受信し、指紋認証処理を開始する(ステップS130)。具体的には、コントローラ30はPC・I/F20を通じてPC200に対して指紋認証を開始するための信号を送信する。
【0036】
PC200では、CPU211が、USB・I/F240を介してこの信号を受信すると、デバイス・ドライバ300の機能の基、指紋認証画面をディスプレイ220に表示させる(ステップS440)。
【0037】
図8は、ディスプレイ220に表示される指紋認証画面を説明するための図である。指紋認証画面は、ユーザに指紋認証をする際の操作を説明する操作説明画面520と、タッチパッド13を介して読み取られた指紋に対応した指紋画像データを表示する指紋画像表示領域530とで構成されている。ユーザが操作説明画像に表示された操作に従いつつ、USBメモリ100のタッチパッド13に指紋を読み取らせると、タッチパッド13は読み取った指紋情報を画像データに変換し、コントローラ30に出力する。その後、コントローラ30は、PC・I/F20を通じて指紋画像データをPC200に送信する(ステップS140)。
【0038】
PC200は、受信した指紋画像データをテンプレート・データと照合して指紋認証を行なう(ステップS450)。まず、CPU211は、USB・I/F240を通じて指紋画像を受信し、指紋画像表示領域530の元データに重畳させて、読み取った指紋画像を表示する(図8(b))。次に、CPU211は、デバイス・ドライバ300の機能の基、登録されたテンプレート・データをHDD213から読み出し、指紋画像データと照合する。このときCPU211が実行する指紋認証は、後述する(4)指紋認証の方法にて詳細に説明する。
【0039】
CPU211は指紋認証の結果に基づいてUSBメモリ100のFLASHメモリ40,50へのアクセスの許可を判断する(ステップS460)。CPU211は、指紋画像データとテンプレート・データとの照合結果により、照合された指紋画像データが登録されたユーザのものであると判断した場合は、ユーザによるUSBメモリ100に対するアクセスを許可する。具体的には、CPU211は、USB・I/F240を介して、USBメモリ100のFLASHメモリ40,50の記憶領域(ユーザ領域)にアクセスを行い、所定のデータの読み書きを実行する。無論、ステップS450の照合結果により、指紋画像データが登録されたユーザのものであると判断されない場合は、CPU211はFLASHメモリ40,50へのアクセスを許可しない。
【0040】
(4)指紋認証の方法
図9及び図10を参照しつつ、指紋認証の方法を詳細に説明する。図9は、図6におけるステップS450の指紋認証をより詳細に説明する流れ図である。また、図10は、指紋認証を説明するためのイメージ図である。本実施の形態での指紋認証に係るアルゴリズムは、USBメモリ100がPC200の左右どちらの側面に設置されたUSBポート201と接続しても、指紋認証を的確に実行できるよう、CPU211が、タッチパッド13が生成した指紋画像データの上下の向きをRAM212上で反転させつつ照合を行なうものである。
【0041】
まず、CPU211は指紋画像データを受信すると、デバイス・ドライバ300の機能に基づいて画像データの位置補正を行う(ステップS310)。図10(a)に示すように、指紋画像データは、指紋読み取りセンサ13aが時系列的に読み取ることで生成された複数のフレーム画像N(N:1〜8)を繋ぎ合わせて形成されている。また、この位置補正では、入力された指紋画像データを、HDD213に記憶されたテンプレート・データと照合させやすくするために、中心軸の角度やその位置を補正する処理であるが、従来技術であるため説明を省略する。
【0042】
次に、CPU211は、テンプレート・データをHDD213から読み出し、指紋画像データと照合する(ステップS320)。本実施の形態では、入力された指紋画像データを特徴点抽出方式を用いて指紋認証する。より具体的には、図10に示すように、指紋画像データにおける特徴点をその照合の際の比較対象として利用するものである。ここで特徴点とは、例えば、指紋の隆線における端点Eや分岐点Bであり、この特徴点の座標及び位置関係とを抽出して比較対象データとして利用するものである。テンプレート・データの作成の際、初期登録により読み取られた指紋画像データは、その特徴点のデータのみを残して処分されるため、指紋画像データは記憶されず、セキュリティーを高めることが可能となる。
【0043】
CPU211は、指紋画像データが登録されたユーザのものであると判断した場合は(ステップS330)、入力された指紋画像データを認証する。具体的には、指紋画像データから特徴点を抽出し、この抽出された特徴点の座標又は座標の位置関係がテンプレート・データとして記憶した特徴点の座標又は位置関係と一致している場合は、CPU211は指紋画像データが登録されたユーザのものであると判断する。
【0044】
一方、CPU211は、指紋画像データが登録されたユーザのものでないと判断した場合は、指紋画像データの上下の向きを反転させる(ステップS340)。図11は、上下方向に180度反転された指紋画像データを説明するためのイメージ図である。CPU211は、RAM212に展開された指紋画像データの上下の向きを180度反転させた新たな指紋画像データを生成する(図11(b))。このとき画像データを反転させる手法としては、複数のフレーム画像Nを下から順番に組みかえるものであっても良いし、フレーム画像が組み合わされた指紋画像データから新たな画像データを生成するものであってもよい。さらに、CPU211は反転させた指紋画像データに対しても位置補正を行なう(ステップS350)。
【0045】
CPU211は、反転させた指紋画像データと、テンプレート・データとを照合する(ステップS360)。このとき、指紋が読み取られた方向が指紋の上下の向きに対して逆方向になるよう、USBメモリ100がPC200に接続されている場合は、当然、指紋画像データの上下方向は反転しているため、指紋画像データの上下の向きを反転させることで指紋画像データの上下の向きは正しい向きに修正されるはずである。そのため、CPU211は反転させた指紋画像データの特徴点と、テンプレート・データの特徴点とが一致すると判定した場合は(ステップS370)、指紋画像データを認証する。また、CPU211は、反転させた指紋画像データの特徴点がテンプレート・データと一致しないと判断した場合は、指紋画像データを認証しない(ステップS380)。
以上、第1の実施の形態における認証アルゴリズムの説明を終了する。
【0046】
2.第2の実施の形態:
図12は、第2の実施の形態における指紋認証を説明する流れ図である。この実施の形態では、読み取られた指紋の向きを事前に検出し、指紋の向きが逆方向に読み取られている場合は、読み取った指紋画像データの上下方向を反転させて指紋の照合を行う。なお、この流れ図も、図9同様に、図6におけるステップS450で実行される処理であるため、図6において説明されるその他処理の説明は省略する。
【0047】
CPU211は、読み取られた指紋の向きを検出する(ステップS1310)。タッチパッド13は、指紋読み取りセンサ13aに接触した指の動きの向きを検出する機能を備えているため、タッチパッド13は検出した指の動きに基づいて指紋の読み取られた向きを検出する。
つまり、図2に示すように、USBメモリ100をPC200の右側面に接続させた状態で指を所定方向に動かした場合(図2(A))と、USBメモリ100をPC200の左側に接続させた状態で指を同方向に動かした場合(図2(B))とでは、タッチパッド13が検出する指の動きは正反対となる。また、USBメモリ100をPC200の右側面に接続した状態で、指を指紋読み取りセンサ13aに対して読み取らせた指紋画像データが上下に正しい向きであるなら、USBメモリ100をPC200の左側面に接続した状態で指を同方向に動かして読み取らせた指紋の向きは逆となる。そのため、CPU211は、タッチパット13が検出した指の動きが逆方向(図2(B))である場合は指紋の上下の向きが逆であると判断する。
【0048】
読み取られた指紋の向きが正しい方向である場合(ステップS1320)は、CPU211は指紋画像データを反転させることなく照合を行なう。まず、CPU211は、指紋画像データに対して位置補正を行い(ステップS1330)。次に、CPU211は、指紋画像データをテンプレート・データを用いて照合する(ステップS1340)。
【0049】
読み取られた指紋の向きが逆方向である場合は(ステップS1320)、CPU211は、指紋画像データの上下方向に180度反転させる(ステップS1350)。そして、CPU211は、反転させた指紋画像データの位置補正を行い(ステップS1360)、指紋画像データをテンプレート・データを用いて照合する(ステップS1370)。
上記したどちらの場合でも、CPU211が指紋画像データが登録されたユーザの指紋であると判定した場合は(ステップS1380)、指紋画像データを認証する。また、指紋画像データが登録されたユーザの指紋ではないと判断した場合は、認証を拒否する(ステップS1390)。
【0050】
第2の実施形態では、先に指紋の読み取られた方向を検出するため、指紋の読み取られた方向が逆方向であっても指紋画像データの照合を1回で終了することが可能となり、CPU211が実行する処理を軽減させることができる。
【0051】
3.第3の実施の形態:
この実施の形態では、タッチパッド13が読み取った指紋画像データに対する照合をUSBメモリ100内で照合し、指紋認証を行なう。USBメモリ100により指紋が認証された場合は、他の実施の形態と同様にユーザは、FLASHメモリ40,50に対するアクセスを許可される。
【0052】
図13は、第3の実施の形態に係るUSBメモリ100を説明するブロック図である。第3の実施の形態に係るUSBメモリ100は、FLASHメモリ50の管理領域にコントローラ30に指紋認証を実行させる機能を付与する認証部としてのアプリケーション・ソフト600と、指紋認証を行なう際に使用されるテンプレート・データ610とを記憶している。そのため、ユーザがタッチパッド13の指紋読み取りセンサ13aに指紋を読み取らせた場合は、読み取った指紋画像データに基づいて例えば図5における一連の処理をコントローラ内で簡潔させることができる。そのため、PC等の電子機器にアプリケーション・ソフトを記憶させることなく指紋認証を行なうことができるため、電子機器のメモリを効率的に使用することが可能となる。
【0053】
4.その他の実施の形態
1〜3に係る実施の形態では、小型記憶装置として、USBメモリをその例に上げて説明を行なったが、小型記憶装置としてはUSBメモリに限定されない。例えば、小型記憶装置としてPCカードであってもよい。
【0054】
また、認証アルゴリズムとしては、特徴点抽出方式に限定されず、テンプレートマッチング方式であってもよい。
【0055】
更に、読み取られた指紋の方向を検出する手法としては、指紋画像データにおける指の輪郭をパターンマッチング等の従来の技術を用いて読み取るものであってもよい。
【0056】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。
上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること、上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること、上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること、は本発明の一実施例として開示されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係るUSBメモリの外観を示す斜視図である。
【図2】パーソナルコンピュータに接続される本発明に係るUSBメモリと、USBメモリを介して指紋認証を行なわせるユーザとの位置関係を説明する図である。
【図3】USBメモリの構成を説明するブロック図である。
【図4】本実施の形態に係るタッチパッド13を説明する図である。
【図5】パーソナルコンピュータ200の構成を説明するブロック図である。
【図6】USBメモリ及びPCを用いて実行される指紋認証の流れを概略的に説明する流れ図である。
【図7】ディスプレイ220に表示される初期設定画面を説明する図である。
【図8】ディスプレイ220に表示される指紋認証画面を説明するための図である。
【図9】図6におけるステップS450の指紋認証をより詳細に説明する流れ図である。
【図10】指紋認証を説明するためのイメージ図である。
【図11】上下方向に180度反転された指紋画像データを説明するためのイメージ図である。
【図12】第2の実施の形態における指紋認証を説明する流れ図である。
【図13】第3の実施の形態に係るUSBメモリ100を説明するブロック図である。
【図14】パーソナルコンピュータに接続される小型記憶装置と、前記小型記憶装置を介して指紋認証を行なわせるユーザとの位置関係を説明する図である。
【符号の説明】
【0058】
11…USBコネクタ、12…筺体、13…タッチパッド、13a…指紋読み取りセンサ、13b…制御部、14…溝、14a…底面、20…PC・I/F、30…コントローラ、31…アクセス制御部、32…デバイス・ドライバ送信部、33…デバイス制御部、34…指紋画像データ送信部、40,50…FLASHメモリ、60…バス、100…USBメモリ、200…パーソナルコンピュータ、201…USBポート、210…メイン制御部、211…CPU、212…RAM、213…ハードディスク(HDD)、214…I/F、215…バス、220…ディスプレイ、230…入力装置、240…USB・I/F、250…バス、300…デバイス・ドライバ、400…OS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体と、
前記筺体の一端に配置され、電子機器と抜き差しして接続するための端子とを有し、
前記筺体には、被検出対象の指の上下の向きを前記端子の抜き差し方向に対して略垂直になるよう読み取る指紋読み取りセンサが配置され、
前記筺体の内部には、所定のデータを記憶するデータメモリと、
前記指紋読み取りセンサにより読み取られる指紋画像データを、予め読み取られた指紋に基づいて作成された指紋データを用いて指紋照合する認証部と、
この認証部による照合結果に対応して前記データメモリに対する前記電子機器からのアクセスの可否を制御する制御部とを有し、
前記認証部は、前記指紋読み取りセンサにより読み取られた前記指紋画像データと、同読み取られた指紋画像データの上下の向きを反転させた指紋画像データとの少なくとも一方を用いて照合を行なうことを特徴とする小型記憶装置。
【請求項2】
前記指紋読み取りセンサは、スイープ型の指紋読み取りセンサであることを特徴とする請求項1に記載の小型記憶装置。
【請求項3】
前記認証部は、前記指紋読み取りセンサに読み取られた指紋画像データが認証されない場合は、前記指紋画像データの上下の向きを反転させて、この反転させた指紋画像データを用いて照合を行なうことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の小型記憶装置。
【請求項4】
前記指紋読み取りセンサは、読み取り対象の指紋を有する指の動きを検出するタッチパッドとしての機能を有し、
前記認証部は、前記指紋読み取りセンサが検出した前記指の動きに基づいて、前記読み取られた指紋の向きを検出し、
前記検出された指紋の向きが、指紋の上下の向きと一致する場合は、前記読み取った指紋画像データを用いて照合を行い、
前記検出された指紋の向きが、指紋の上下の向きと一致しない場合は、前記読み取った指紋画像データの上下の向きを反転させて前記照合を行なうことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の小型記憶装置。
【請求項5】
前記端子は、本小型記憶装置の筺体の一端に配置されるとともに、
前記筺体には前記端子の抜き差し方向に対して略垂直に横切る溝状部分が形成されており、
前記読み取りセンサは、前記溝状部分の略中央部に配設されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の小型記憶装置。
【請求項6】
前記認証部は、前記データメモリに記憶されるとともに、前記端子を用いて接続した前記電子機器に、前記指紋読み取りセンサにより読み取らせた指紋画像データを指紋照合させるアプリケーション・プログラムにより構成されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の小型記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−251988(P2009−251988A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100006(P2008−100006)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】