説明

少なくとも1つの反射防止膜を組み込む多重窓ガラスユニット及び多重窓ガラスユニットにおける反射防止膜の使用

本発明は、フレーム構造(90)によって一緒に保持された少なくとも3枚の基板(10、20、30)を備える多重窓ガラスユニット(100)であって、少なくとも2つの中間ガス充填層(15、25)が各々、2枚の基板同士の間配置される、多重窓ガラスユニット(100)において、少なくとも1枚の基板(10、20、30)が、中間ガス充填層(15、25)と当接する少なくとも1つの表面(11、19、21、29)上において、前記中間ガス充填層(15、25)を挟んで赤外線及び太陽放射の両方又は一方の反射特性を有する断熱コーティング(14、26)と対向するように配置されたグレア防止コーティング(18、22)を備えることを特徴とする、多重窓ガラスユニット(100)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーム構造によって一緒に保持されたガラス基板型の、少なくとも3枚の基板を備える多重窓ガラスユニットに関する。この多重窓ガラスユニットにおいて、少なくとも2つの中間ガス充填キャビティが各々、2枚の基板同士の間に在る。
【0002】
特に、本発明は、フレーム構造によって一緒に保持された3枚の基板を備える三重窓ガラスユニットに関する。この三重窓ガラスユニットにおいて、2つの中間ガス充填キャビティが各々、2枚の基板の間に在る。
【0003】
また、本発明は、断熱多重窓ガラスユニット及び遮光多重窓ガラスユニットの両方又は一方を製造するための基板の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
このような多重窓ガラスユニットは同様に、特に空調の負荷を減少させ、過剰な暖房を防止し(それゆえ、この窓ガラスは「ソーラ制御(de controle solaire)」窓ガラスと呼ばれる。)、若しくは建物及び車両の客室におけるガラス張り表面の使用が増大し続けることによってもたらされる外部へのエネルギの散逸量を減少させ(窓ガラスは「低E」又は「低放射率」ガラスと呼ばれる。)、又はこれらの組み合わせを行う目的で、建物及び車両に取り付けることを目的とすることができる。
【0005】
また、このような窓ガラスユニットを、例えば暖房用窓ガラス又はエレクトロクロミック窓ガラス(des vitrages electrochromes)など特定の機能性を有する窓ガラスに組み込むことができる。
【0006】
基板にこのような断熱及び遮光特性の両方又は一方を与えるための公知の1つの型式の薄積層体は、赤外線及び太陽放射の両方又は一方の反射特性を有する機能金属層、特に銀又は銀含有合金を主原料とする金属機能層からなる。
【0007】
したがって、この型式の薄積層体において、機能層は2つの誘電体膜同士の間に在る。概して、各誘電体膜は数層を備え、これらの層は各々、窒化物タイプの誘電材料、特に窒化シリコン若しくは窒化アルミニウム、又は酸化物タイプの誘電材料から製造される。光学的見地から見ると、金属機能層の側面に位置するこれらの膜の目的は、この金属機能層の「反射を防止する」ことである。
【0008】
しかし、時には、1つの又はそれぞれの誘電体膜と機能金属層との間に遮断膜(un revetement de blocage)が挿入される。基板に面して機能層の下に配置される遮断膜は、曲げ及び焼戻しの両方又は一方のタイプの任意選択の高温熱処理の際に機能層を保護し、基板と反対側の機能層上に配置される遮断膜は、上側誘電体膜の溶着の際に、並びに曲げ及び焼戻しの両方又は一方のタイプの任意選択の高温熱処理の際にこの機能層をあらゆる劣化から保護する。
【0009】
現在、銀を主原料とする単一の機能層(以後、「機能単層コーティング」と呼ぶ)を有する低E薄膜薄積層体がある。この低E薄膜薄積層体は、アルゴン90%と空気10%とを含む厚さ16mmのガス充填キャビティによって分離された2枚の4mm板ガラスからなる従来の二重窓ガラスユニットであって、これらのガラス板のうち1枚、すなわち建物に入る太陽光の入射方向を考えると建物の内部から最も遠い1枚が、ガス充填キャビティに向くその面上において機能単層コーティングによって被覆された従来の二重窓ガラスユニット(機能単層コーティングが「面3」と呼ばれる内面にある4−16/(Ar−90%)−4構成)にこれらの薄積層体が取り付けられるときに、
− 約75%〜80%、又はさらにこれよりも大きい可視光線の光透過率T
− 約20〜10%、又はこれよりも小さい可視光線の光反射率R
− 少なくとも0.6であり、かつ約0.63〜0.68、又はこれよりも大きい日射透過率(g値とも呼ばれる)、及び、
− 1.5以下であり、かつ約1.2〜1.1又はこれよりもわずかに小さい熱伝達係数(U値とも呼ばれる)
を有する。
【0010】
三重窓ガラス構造において、断熱膜を有する基板は、最も外側の面1から始めて昇順の面を通過する太陽光の入射方向を考慮すると基板の面2、面3若しくは面5、又はこれらの組み合わせの面上にある。
【0011】
しかし、この断熱膜(又はこれらの断熱膜)を組み込むことにより、熱伝達係数を減少させることによって断熱を効果的に改良するが、可視光線の光透過率の減少及びg値の減少も生じる。
【0012】
このように、多重窓ガラスユニットは、上記のような二重窓ガラスユニットよりも可視光線の透過が少なく、太陽放射による家屋内部のエネルギ節約がより小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2007/104874号
【特許文献2】国際公開第2008/059170号
【特許文献3】米国特許第2490662号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第867752号明細書
【特許文献5】欧州特許第831360号明細書
【特許文献6】米国特許第5239406号明細書
【特許文献7】国際公開第93/09460号
【特許文献8】欧州特許第88126号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第268877号明細書
【特許文献10】欧州特許第238164号明細書
【特許文献11】欧州特許第357234号明細書
【特許文献12】欧州特許第409442号明細書
【特許文献13】欧州特許第964288号明細書
【特許文献14】国際公開92/19695号
【特許文献15】欧州特許第253713号明細書
【特許文献16】欧州特許出願公開第670346号明細書
【特許文献17】欧州特許出願公開第867752号明細書
【特許文献18】欧州特許第831360号明細書
【特許文献19】国際公開第00/57243号
【特許文献20】国際公開第00/03289号
【特許文献21】欧州特許第240226号明細書
【特許文献22】欧州特許出願公開第1775625号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、高い光透過率及び高いg値を有する、少なくとも断熱が強化されつつ二重窓ガラスユニットと同様の光透過率及びg値を有する新規な型式の多重窓ガラスユニットを開発することによって、先行技術の欠点を改善することに成功することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明の1つの主題は、そのもっとも広義の意味で、請求項1に記載の多重窓ガラスユニットである。この窓ガラスユニットは、フレーム構造によって一緒に保持された少なくとも3枚の基板を備える。この窓ガラスユニットにおいて、少なくとも2つの中間ガス充填キャビティが各々、2枚の基板同士の間に在り、少なくとも1枚の基板が、中間ガス充填キャビティと当接する少なくとも1つの面上に、反射防止膜を有する。反射防止膜は、前記中間ガス充填キャビティを挟んで、赤外線及び太陽放射の両方又は一方の反射特性を有する断熱膜と対面関係にある。
【0016】
「反射防止膜」という用語は、ガラスの屈折率(指数n、約1.5)と空気の屈折率(指数n、約1)との間に在る正確な屈折率又は平均屈折率を有する光学的干渉要素又はシステムを意味すると理解されるべきである。
【0017】
本明細書において言及される光学指数(「屈折率」とも呼ばれる)は、550nmの波長で通常通りに測定されたものである。
【0018】
好ましくは、中間ガス充填キャビティとそれぞれ当接する2つの面を有する中央の基板は、中間ガス充填キャビティと当接する少なくとも一方の面上に、好ましくはその両面上に反射防止膜を有する。
【0019】
好ましくは、全ての中間ガス充填キャビティに対する対面関係において、一方の基板の一方の面は反射防止膜を有し、他方の基板の他方の面は赤外線及び太陽放射の両方又は一方の反射特性を有する断熱膜を有する。
【0020】
1つの変形形態において、前記断熱膜は、エレクトロクロミックシステム型の活性システムを備え、別の変形形態において、前記断熱膜は低E又はソーラ制御の薄積層体を備える。この薄積層体は、赤外線及び太陽放射の両方又は一方の反射特性を有する少なくとも1つの機能層、特に、具体的には銀又は銀含有合金を主原料とする少なくとも1つの金属機能層を備える。
【0021】
上記の変形形態において、前記薄積層体は、銀又は銀含有合金を主原料とする少なくとも1つの金属機能層と、2つの誘電体膜とを備えることが好ましく、前記膜は各々、少なくとも1つの誘電体層を備え、前記機能層は2つの誘電体膜同士の間に配置され、機能層は、任意選択には、機能層と機能層の下側の誘電体膜との間に配置される下方遮断膜の上に直接溶着され、また、機能層は、任意選択には、機能層と機能層の上側の誘電体膜との間に配置される上方遮断膜の下に直接溶着される。
【0022】
また、銀又は銀含有合金を主原料とする単一金属機能層を備える薄積層体を使用することも可能である。機能層の下側の(すなわち、薄積層体を支える基板と機能層との間に位置した)誘電体膜の光学的厚さは、この場合好ましくは、機能層の上側の誘電体膜の光学的厚さよりも厚く、下側誘電体膜の光学的厚さ対上側誘電体膜の光学的厚さの比は、1.05以上かつ1.4以下であり、任意選択には、1.08以上かつ1.3以下である。
【0023】
また、上記の解決法とは別に又はこれに加えて、銀又は銀含有合金を主原料とする単一金属機能層を備える薄積層体を使用することが可能であり、好ましくは、機能層の下側の前記誘電体膜は高屈折性誘電体層を備え、この高屈折層は2.2よりも大きい光学指数、好ましくは2.3以上かつ2.8以下の光学指数、任意選択には2.4以上2.7以下の光学指数を有する。
【0024】
また、本発明は、請求項8において主張されるような使用に関する。その結果、フレーム構造によって一緒に保持された少なくとも3枚の基板を備える、本発明に係る多重窓ガラスユニットを製造するために、少なくとも1枚の基板の少なくとも1つの面上において反射防止膜が使用される。この多重窓ガラスユニット内には、少なくとも2つのガス充填キャビティが各々、2枚の基板の間に在り、前記反射防止膜は、中間ガス充填キャビティと当接すると共に、前記中間ガス充填キャビティを挟んで赤外線及び太陽放射の両方又は一方の反射特性を有する断熱膜と対面関係にある。
【0025】
このような使用において、好ましくは、前記反射防止膜を有する面は多重窓ガラスユニットの中央の基板の面であり、前記面は各々、中間ガス充填キャビティと当接する。
【0026】
好ましくは、全ての中間ガス充填キャビティを挟んだ対面関係において、一方の基板の一方の面は反射防止膜を有し、他方の基板の他方の面は赤外線及び太陽放射の両方又は一方の反射特性を有する断熱膜を有する。
【0027】
1つの使用の変形形態において、前記断熱膜は、エレクトロクロミックシステム型の少なくとも1つの活性システムを備え、別の使用の変形形態において、前記断熱膜は低E又はソーラ制御の薄積層体を備える。この薄積層体は、赤外線及び太陽放射の両方又は一方の反射特性を有する少なくとも1つの機能層、特に、具体的には銀又は銀含有合金を主原料とする少なくとも1つの金属機能層を備える。
【0028】
上記の変形形態においてさらに、前記薄積層体は、好ましくは、銀又は銀含有合金を主原料とする少なくとも1つの金属機能層と、2つの誘電体膜とを備える。前記膜は各々、少なくとも1つの誘電体層を備え、機能層は2つの誘電体膜同士の間に配置され、機能層は、任意選択には、機能層と機能層の下側の誘電体膜との間に配置された下方遮断膜上に直接溶着され、また、機能層は、任意選択には、機能層と機能層の上側の誘電体膜との間に配置される上方遮断膜の下に直接溶着される。
【0029】
この機能単層コーティングは、低Eコーティングであるときに、特に薄積層体側における反射において(ただし、「基板側」と呼ばれる反対側においても)、低シート抵抗(ひいては低放射率)、高光透過率及び比較的に無彩色を有する。薄積層体が曲げ、焼き入れ若しくは焼き戻し、又はこれらの組み合わせのタイプの1つ又は複数の高温熱処理を受けるか否かに関係なく、これらの特性は、限られた範囲内に維持されることが好ましい。
【0030】
少なくとも上述のように各誘電体膜内部にある誘電体層は、1.6以上かつ2.8以下の、又は高屈折誘電体層の場合を除いて好ましくは1.9以上かつ2.2以下の光学指数を有する。
【0031】
本発明に係る低E薄積層体は、機能層の平方あたりのオームで表されるシート抵抗R(放射率に直接関連する)が10オーム/平方未満であり、おおよそ5〜3オーム/平方の程度である。
【0032】
1つの具体的な変形形態において、下側誘電体膜及び上側誘電体膜の両方又は一方である少なくとも1つの誘電体膜は、窒化シリコンを主原料とする少なくとも1つの誘電体層を備え、この窒化シリコンは、任意選択には、アルミニウムなどの少なくとも他の1つの要素がドープされる。
【0033】
1つの具体的な変形形態において、下側誘電体膜のための保護皮膜であって、基板から最も遠い保護皮膜は、任意選択にアルミニウムなどの少なくとも他の1つの要素がドープされた、酸化物を主原料とする、特に酸化亜鉛を主原料とする湿潤層である。
【0034】
もっとも具体的なの変形形態において、下側誘電体膜は、混合酸化物から作られた少なくとも1つの非結晶性平滑層(une couche de lissage non cristallisee)を備える。前記平滑層は結晶性の上側湿潤層、特に酸化亜鉛を主原料とする層と当接する。
【0035】
好ましくは、下方遮断膜及び上方遮断膜の両方又は一方は、0.2nm≦e≦1.8nmになるような幾何学的厚さeを有するニッケル(Ni)又はチタン(Ti)を主原料とする薄層を備える。
【0036】
1つの特定の形態においては、少なくとも1つのニッケルを主原料とする薄層、特に上方遮断膜の薄層は、クロム(Cr)を含み、好ましくは、質量でNi80%及びCr20%を含有する。
【0037】
別の特定の形態においては、少なくとも1つのニッケルを主原料とする薄層、特に上方遮断膜の薄層は、チタンを含み、好ましくは、質量でNi50%及びTi50%を含有する。
【0038】
上側誘電体膜の保護皮膜であって、基板から最も遠い保護皮膜は、任意選択に質量で最大10%の量の別の要素がドープされた酸化物、好ましくは不足当量的に溶着された酸化物、特に酸化チタン(TiO)、混合錫亜鉛酸化物(SnZnO)又は酸化ジルコニウム(ZrO)を主原料とすることが好ましい。
【0039】
薄積層体は、このように、保護皮膜、すなわち好ましくは不足当量的に溶着された保護皮膜を含むことができる。この保護皮膜又は保護層は、溶着後薄積層体において本質的に化学量論的に酸化される。
【0040】
好ましくは、この保護層は、0.5から10nmの間の厚さを有する。
【0041】
本発明に係る窓ガラスユニットにおいて、各基板を一体構造にすることができ、透明、エクストラクリア又は色つきにすることができる。
【0042】
本発明に係る窓ガラスユニットにおいて、少なくとも1枚の基板は、ラミネート構造を有することができ、特にガラスタイプの少なくとも2枚の剛性の基板を少なくとも1枚の熱可塑性ポリマシートと組み合わせて、ガラス/ポリマシート/ガラスの構造を有することができる。ポリマは特に、ポリビニルブチラールPVB、エチレン/ビニルアセテートEVA、ポリエチレンテレフタレートPET及びポリ塩化ビニルPVCを主原料としてもよい。
【0043】
本発明に係る窓ガラスユニットの基板は、反射防止膜及び断熱膜の両方又は一方に損傷を与えることなく熱処理を受けることができると好ましい。
【0044】
したがって、これらの基板は、任意選択には、湾曲及び焼戻しの両方又は一方を加えられる。
【0045】
したがって、本発明は、有利には、二重窓ガラスの外観に非常に近い好ましい外観(TLvis≧60%、RLvis≦30%、反射において無彩色)を有するものの、匹敵する二重窓ガラスユニットに比べてずっと優れた断熱特性及び同様のg値を有する多重窓ガラスユニット、特に三重窓ガラスユニットの生産を可能にする。
【0046】
また有利には、多重窓ガラスユニットは、少なくとも一方の側に反射防止膜と、他方の側に赤外線及び太陽放射の両方又は一方の反射特性を有する断熱膜とを組み込み、これらの膜は、中間ガス充填キャビティを挟んで相互に対面関係にあり、このようにして、外部の攻撃から両方とも保護される。したがって、これらの膜が機械的及び化学的に抵抗する必要がない。
【0047】
さらに、本発明に係る窓ガラスユニットは、製造が容易であり、低い開発コストで有利なエネルギ特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】例1の先行技術の二重窓ガラスユニットの断面図。
【図2】例2の三重窓ガラスユニットの断面図。
【図3】本発明に係る三重窓ガラスユニット、すなわち例3の三重窓ガラスユニットの断面図。
【図4】本発明に係る別の三重窓ガラスユニット、すなわち例4の三重窓ガラスユニットの断面図。
【図5】本発明に係る四重窓ガラスユニットの断面図。
【図6】機能単層コーティングを備える本発明に係る断熱膜であって、機能単層コーティングには、下方遮断膜及び上方遮断膜が設けられ、さらに任意選択の保護膜が設けられる、断熱膜を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の詳細かつ有利な特徴は、以下の添付した図によって図解される以下の非限定的例から明らかになる。
【0050】
これらの図において、読みやすくするために各種の要素の比率は縮尺どおりには描かれていない。
【0051】
図1は、以下の構成を有する先行技術のDGU(二重窓ガラスユニット)80の構造を示す。この構成は、4−16(Ar90%)−4であり、すなわち2枚の4mmの透明板ガラスからなり、これらの板ガラスの各々が、アルゴン90%と空気10%を含む厚さ16mmの中間ガス充填キャビティ15によって分離された基板10、30を形成し、組立体全体がフレーム構造90によって共に保持される。
【0052】
板ガラスの一方すなわち基板30、すなわち図において左から右の方向に方向づけられた両側矢印で示された、建物に入る太陽光の入射方向を考えると、建物内部に最も近い板ガラスは、中間ガス充填キャビティに向いた内面29に、以下に記載されている機能単層コーディングからなる断熱膜26でコーティングされる(したがって、機能単層コーティングは「面3」と呼ばれる内面上にある。)。
【0053】
この構造は下の例1を構成する。
【0054】
図6は、ガラス基板30に溶着された機能単層コーティングの構造を示す。機能単層コーティングにおいて、単一の機能層140は、2つの誘電体膜、すなわち基板30に向かって機能層140の下に位置する下側誘電体膜120と、基板30から反対側の機能層140の上に位置する上側誘電体膜160との間に在る。
【0055】
これらの2つの誘電体膜120、160は、各々少なくとも1つの誘電体層122、124、126;162、164、166を備える。
【0056】
任意選択には、一方で下側誘電体膜120と機能層140との間に配置された下方遮断膜130の上に機能層140を溶着させ、他方で機能層140と上側誘電体膜160との間に配置された上方遮断膜150の下に機能層140を直接溶着させることができる。
【0057】
図6は、下側誘電体膜120が3つの誘電体層122、124、126を備えることと、上側誘電体膜160が3つの誘電体層162、164、166を備えることと、この誘電体膜160が、任意の保護層、具体的には酸化物、特に酸素が不足当量である酸化物を主原料とする保護層で終端することとを示す。
【0058】
下の表1は、下記の例2〜4の全てにおいて使用された断熱膜の各層の(光学的厚さではなく)幾何学的厚さをナノメートルの単位で示す。
【0059】
【表1】

【0060】
下側誘電体膜120は、酸化錫SnO(指数n=2.0)から製造された誘電体層122と、酸化チタンTiO(指数n=2.4)から製造された少なくとも1つの高屈折性誘電体層124とを備え、前記誘電体層124は上側誘電体湿潤層126と当接し、湿潤層は銀の結晶化を改良することを可能にし、それによってその伝導性を改良する。
【0061】
この薄積層体において、誘電体層162と同様に、湿潤層は、質量でアルミニウム2%がドープされた亜鉛からなる金属ターゲットから溶着された、アルミニウムがドープされた酸化亜鉛ZnO:Al(指数n=1.9)から製造される。
【0062】
誘電体層164は、質量でアルミニウム8%がドープされた窒化シリコンSi(指数n=2.0)から製造される。
【0063】
誘電体層166は終端の保護層であり、この場合にはアンチモンがドープされた混合錫亜鉛酸化物(指数=2.0)から製造される。この層は、Zn/Sn/Sbそれぞれの質量比が65/34/1である金属ターゲットから溶着される。
【0064】
下側誘電体膜120の光学的厚さは、
15×2+15×2.4+5×1.9=75.5nm
であり、
上側誘電体膜160の光学的厚さは、
5×1.9+25×2+2×2=63.5nm
であることが分かる。すなわち、光学的厚さの比e120/e160は1.19である。
【0065】
三重窓ガラスユニット(TGU)はこの基準で構成された。
【0066】
三重窓ガラスユニットからなる多重窓ガラス100の例2が構成された。図2に示すこの窓ガラスユニットは以下の構成を有する。この構成は、4−12(Ar90%)−4−12(Ar90%)−4であり、すなわち、3枚の4mmの透明板ガラスからなり、これらの板ガラスの各々が、アルゴン90%と空気10%とを収容するそれぞれ厚さ12mmの中間ガス層15、25によってそれぞれ対の形で互いに分離された基板10、20、30を形成し、組立体全体はフレーム構造90によって共に保持される。
【0067】
この三重窓ガラスユニットの外側の2枚の基板10、30は、各々、中間ガス充填キャビティ15、25に向いた内面11、29に、上記の機能単層コーティングから形成された断熱膜14、26でコーティングされる。したがって、機能単層コーティングは「面2」及び「面5」と呼ばれる面上にある。
【0068】
この三重窓ガラスユニットの中央の基板20、すなわちそれぞれ中間ガス充填キャビティ15、25と当接する2つの面19、21を有する基板は、どちらの面も膜でコーティングされない。
【0069】
この例2によって、より低いU値によって明らかなように、例1の二重窓ガラスユニットよりも優れた断熱効果を得ることができるが、この窓ガラスの光透過率は、例1の二重窓ガラスの光透過率よりも低く、この窓ガラスのg値もより低い。
【0070】
この問題を解決するために、図3に示す三重窓ガラスの例3が本発明により構成された。この三重窓ガラスユニットは、例2と同じ多重窓ガラスユニットの構成を有する。この構成は、4-12(Ar90%)−4−12(Ar90%)−4であり、すなわち、3枚の4mmの透明板ガラスから構成され、これらの板ガラスの各々が、アルゴン90%と空気10%とを収容するそれぞれ厚さ12mmの中間ガス充填キャビティ15、25によってそれぞれ対の形で互いに分離された基板10、20、30を形成し、組立体全体はフレーム構造90によって保持される。
【0071】
例2の場合と同様、三重窓ガラスユニットの外側の2枚の基板10、30は、中間ガス充填キャビティ15、25に向いた内面11、29に、上記の機能単層コーティングからなる断熱膜14、26で各々コーティングされる。したがって、機能単層コーティングは「面2」及び「面5」と呼ばれる面上にある。
【0072】
しかし、例3においては、それぞれ中間ガス充填キャビティ15及び25と当接する三重窓ガラスユニットの中央の基板20の2つの面19、21は各々、反射防止膜18、22でコーティングされる。
【0073】
この例3は、同じU値から明らかであるように例2と同様に優れた断熱が得られるようにするが、この窓ガラスの光透過率は例2の三重窓ガラスの光透過率よりも高く、この窓ガラスのg値もより高い。したがって、例1の二重窓ガラスユニットと実質的に同じ光透過率及びg値を得ることができる。
【0074】
図4に示された三重ガラスの別の例すなわち例4が、本発明により構成された。この三重窓ガラスユニットは、例2及び例3と同じ構成、すなわち4-12(Ar90%)−4−12(Ar90%)−4を有する。すなわち、この窓ガラスユニットは、3枚の4mm透明板ガラスからなり、この板ガラスの各々が、アルゴン90%と空気10%とを収容する各々厚さ12mmの中間ガス充填キャビティ15、25によって、それぞれ対の形で互いに分離された基板10、20、30を形成し、組立体全体はフレーム構造90によって共に保持される。
【0075】
しかし、例4においては、この三重窓ガラスユニットの基板20、30は各々、中間ガス充填キャビティ15、25に向いた内面19、29に、上述の機能単層コーティングからなる断熱膜16、26でコーティングされる。したがって、機能単層コーティングは「面3」及び「面5」と呼ばれる面上にある。さらに、それぞれ中間ガス充填キャビティ15及び25と当接するこの三重窓ガラスユニットの基板10、20の2つの面11、21は各々、反射防止膜12、22でコーティングされる。
【0076】
この例4は、例3の三重窓ガラスユニットと同じU値及び同じ高さの光透過率によって明らかなように、例3と同様に優れた断熱を得ることが可能になり、しかしながら、例3のg値よりもさらに高いg値を有することが可能になる。
【0077】
本発明に係る例において、反射防止膜12、18、22は
基板/Si/SiO/Si/SiO
の構造を有する4つの薄層を備える薄積層体からなる。
【0078】
したがって、この膜は、基板から始まって、順に高指数層、低指数層、高指数層及び低指数層を有する。
【0079】
上記の膜は、特許文献1の教示により製造された。
【0080】
しかし、この種の薄膜コーティングを、任意の均等な反射防止膜、特に例えば特許文献2の教示から知られているような多孔質層をベースとした任意の反射防止膜と取り替えることができる。
【0081】
また、この種の薄膜コーティングを、例えば特許文献3から知られているようなエッチングによるガラス表面処理からなる任意の均等の反射防止膜と取り替えることができる。このようにして、ほぼ50〜200nmの厚さで、好ましくは60〜150nmの厚さにわたって1.0から1.3の間の屈折率を有するスケルトナイズドケイ酸塩構造(une structure silicate squeletisee)を基板表面に生成することができる。
【0082】
下の表2は例1〜4の主要な特性の要約を示す。
【0083】
【表2】

【0084】
上の表では、光学的特性及びエネルギ特性は、
− TLvis:光源D65の下で測定した可視光線の光透過率T(単位%)
− RLvis:光源D65の下で測定した可視光線の光反射率R(単位%)
− g値、及び
− U値(単位W・m−2・K−1
である。
【0085】
通常通り、本明細書全体を通して、
−g値は日射透過率、すなわち、窓ガラスを通過して或る場所に入るエネルギ全体対、入射太陽エネルギ全体の比を示す。EN410規格により計算されたこの比率は0から1の間であり、
−U値は時にはK係数とも呼ばれ、窓ガラスの熱伝達係数を示す。これは、フレーム構造の縁部の効果を考慮に入れずに、窓ガラスの両側に位置する環境の間の単位温度差に関して、定常状態において壁を通過する単位面積当たりの熱量を示す。概して、熱量は、この場合のように、EN673規格により計算され、W・m−2・K−1の単位で表される。
【0086】
例2、3及び4の場合、基板10、20、30が商標名DIAMANT(登録商標)としてSaint−Gobainが販売するエクストラクリアガラスから作られる。
【0087】
商標名PLANILUX(商標)としてSaint−Gobainが販売する標準的なガラス基板10、20、30を用いて、同様の例2’、3’及び4’を構成した。
【0088】
これらの基板から、下の表3で要約されている特性を得ることができる。
【0089】
【表3】

【0090】
さらに、三重窓ガラスユニットの外面上、すなわち面1上又は面6上に反射防止膜を加えることによって、g値及び光透過率をそれぞれ、少なくとも1%、概して約2%だけ増大することができることと、三重窓ガラスユニットの2つの外面上、すなわち面1上及び面6上に反射防止膜を加えることによって、g値及び光透過率をそれぞれ、少なくとも2%概して約4%だけ増大することができることとが確認された。
【0091】
エレクトロクロミック要素の形で断熱膜14を製造することによって、すなわち一体構造基板10を、特許文献4及び特許文献5の教示に係る、単純(非冗長)エレクトロクロミックシステム型の活性システムを組み込むラミネート基板に取り替えることによって、それぞれ例1〜3を基にして別の3つの例5、6及び7を構成した。
【0092】
下の表4は、エレクトロクロミックシステムが活性状態ではないときの例5〜7の主要な特性の要約を示す。
【0093】
【表4】

【0094】
これらの一連の例においてさらに、本発明に係る例7の三重窓ガラスユニットは、実質的に同一のU値から明らかなように、本発明によらない例6の三重窓ガラスユニットと同様に優れた断熱を得られるようにするが、例7の三重窓ガラスユニットの光透過率は、例6の三重窓ガラスユニットの光透過率よりも高く、またそのg値は同じである。したがって、例5の二重窓ガラスユニットの光透過率及びg値と実質的に同じ値を得ることが可能である。
【0095】
したがって、エレクトロクロミックシステム型の活性システムを組み込む三重窓ガラスユニットに反射防止膜を使用すると、漂白状態で高い程度の透明性(可視光線の光透過率)を維持できると共に、漂白状態で高いg値を得ることができる。このことは、建物のカーテンウォールの窓ガラスの場合に非常に有用である。
【0096】
本発明において、活性システムは概してエレクトロクロミックシステムであり、特に可変的なエネルギ及び光学的特性の両方又は一方を有するタイプの電気的に制御可能なシステムである。
【0097】
電気的に制御可能なシステムによって、特に、任意に減光作用/視覚度又は熱/太陽放射の濾過度を自由自在に修正できる窓ガラスが得られる。例えば、窓ガラスは、特許文献6に記載されるように光の透過又は吸収を調整するための、ビオロゲンを主原料とする窓ガラスである。
【0098】
また、電界の作用の下で優先方向に移動できる粒子を含有する微液滴が内部に分散するポリマを主原料とする膜を備える「オプティカルバルブ」システムと呼ばれるものもある。その例は、特許文献7に記載されている。
【0099】
また、上記のものと同様の作動様式を有する液晶システムもある。これらの液晶システムは、2つの導電層同士の間に配置されたポリマ膜を使用し、前記膜内部に分散した液晶の液滴、特にネマチック液晶が正の誘電異方性を有する。膜が電圧を受けると、液晶は優先的軸線に沿った方向に向けられ、それによって見えるようになる。電圧を受けないときは、膜は散乱状態になる。この例は、特許文献8〜13に記載されている。特許文献14に記載されるようなコレステリック液晶ポリマと、光透過率Tが変動して切り替わる液晶システムとについて言及してもよい。
【0100】
光及び熱の透過率を調節できるようにするエレクトロクロミック窓ガラスもある。この種の窓ガラスは、特に特許文献15及び16に記載され、電解質膜はポリマ又はゲルの形をとり、他の層はミネラル型である。別のタイプの窓ガラスが、特許文献17〜20に記載されており、この場合、電解質層は本質的にミネラル層の形をとり、したがって、システムの全ての層は本質的にミネラルである。このタイプのエレクトロクロミックシステムは一般に、「オールソリッド(tout−solide)状態」エレクトロクロミックシステムと呼ばれる。また、全ての層がポリマ型であるエレクトロクロミックシステムもある。この場合は、「オールポリマ(tout−polymere)」エレクトロクロミックシステムと呼ばれる。
【0101】
概して、エレクトロクロミックシステムは、電解質層によって分離されると共に2つの電導層の側面に位置したエレクトロクロミック材料の2つの層を備える。
【0102】
いずれの活性システムも基板によって支持される。基板は基板10、20又は30であってもよい。また、この活性システムには、ミネラル材料又はプラスチック材料から作られていようといなかろうと、中間ガス充填キャビティなしに、少なくとも他の1枚の基板又は数枚の基板が付設されてもよい。この場合には、中間ガス充填キャビティがないので、システムの組立体全体は、本発明の意味する範囲内において断熱膜を形成すると考えられる。
【0103】
本発明において及び本明細書を通して、「層」という用語は最大限広義に取られるにべきである。ポリマ膜又はゲル膜の形を取ることができる有機材料、特にポリマと同様にミネラル材料から層を作ることができる。これは、ミネラル及び無機材料と有機又はポリマ材料を組み合わせたハイブリッド活性システムと呼ばれるものである。
【0104】
また、基板10/SA1/キャビティ15/基板20/キャビティ25/SA2/基板30の形式の三重窓ガラス構造を想定することも可能である。この形式の三重窓ガラス構造では、SA1及びSA2は、2つの同一の活性システム、又は2つの異なる活性システム、あるいは2つの相互に結合された活性システムを意味する。
【0105】
本発明において適切な活性システムの例を、特許文献21及び22にも確認することができる。
【0106】
図5は、本発明に係る四重窓ガラスユニットの例を示す。この四重窓ガラスユニットは以下の構成を有する。この構成は、4−12(Ar90%)−4−12(Ar90%)−4−12(Ar90%)−4であり、すなわち、4枚の4mmの透明板ガラスからなり、これらの板ガラスの各々が、アルゴン90%と空気10%を収容する各々厚さ12mmの中間ガス充填キャビティ15、25、35によってそれぞれ対の形で互いに分離された基板10、20、30、40を形成し、組立体全体はフレーム構造90によって共に保持される。
【0107】
例2の場合と同様、この四重窓ガラスユニットの2枚の外側基板10、40は各々、中間ガス充填キャビティ15、35に向いた内面11、39に、上述の機能単層コーティングからなる断熱膜14、36でコーティングされる。したがって、機能単層コーティングは「面2」及び「面7」と呼ばれる面上にある。
【0108】
この四重ガラス窓ガラスユニットにおいて、それぞれ中間ガス充填キャビティ15、25、35と当接する2枚の中央の基板20、30の4つの面19、21、29、31は各々、反射防止膜18、22、28、32でコーティングされる。
【0109】
この四重窓ガラスユニットは、光透過率及びg値が例3及び例4の値と実質的に同じでありながら、例3さらには例4よりもさらに優れた断熱を得ることを可能にする。
【0110】
以上、本発明を例として説明した。特許請求の範囲によって画定される特許の範囲から逸脱することなく、当業者が本発明の様々な変形を作り出せるものと理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム構造(90)によって一緒に保持された少なくとも3枚の基板(10、20、30)を備える多重窓ガラスユニット(100)であって、
そのフレーム構造内において、少なくとも2つの中間ガス充填キャビティ(15、25)が各々、2枚の基板同士の間に在る、
多重窓ガラスユニット(100)において、
少なくとも1枚の基板(10、20、30)が、中間ガス充填キャビティ(15、25)と当接する少なくとも1つの面(11、19、21、29)に反射防止膜(12、18、22)を有し、
該反射防止膜が、前記中間ガス充填キャビティ(15、25)を挟んで、赤外線及び太陽放射の両方又は一方の反射特性を有する断熱膜(14、16、26)と対面関係にあることを特徴とする、
多重窓ガラスユニット(100)。
【請求項2】
中央の基板(20)の2つの面(19、21)が各々、中間ガス充填キャビティ(15、25)と当接し、前記基板が、中間ガス充填キャビティと当接する少なくとも一方の面に、好ましくはその両面(19、21)に反射防止膜(18、22)を有することを特徴とする、
請求項1に記載の多重窓ガラスユニット(100)。
【請求項3】
全ての前記中間ガス充填キャビティ(15、25)を挟んだ対面関係において、一方の基板の一方の面(11、19、21、29)が反射防止膜(12、18、22)を有し、他方の基板の他方の面が、赤外線及び太陽放射の両方又は一方の反射特性を有する断熱膜(14、16、26)を有することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の多重窓ガラスユニット(100)。
【請求項4】
前記断熱膜(14、16、26)が、低E又はソーラ制御薄積層体を備え、該薄積層体が赤外線及び太陽放射の両方又は一方の反射特性を有する少なくとも1つの機能層、特に、具体的には銀又は銀含有合金を主原料とする少なくとも1つの金属機能層を備えること、又は、
前記断熱膜(14、16、26)がエレクトロクロミックシステム型の少なくとも1つの活性システムを備えることを特徴とする、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の多重窓ガラスユニット(100)。
【請求項5】
前記薄積層体が、銀又は銀含有合金を主原料とする少なくとも1つの金属機能層(140)と、2つの誘電体膜(120、160)とを備え、該膜が各々、少なくとも1つの誘電体層(122、124、126、162、164、166)を備え、前記機能層(140)が、前記2つの誘電体膜(120、160)同士の間に配置され、前記機能層(140)が、任意選択には、前記機能層(140)と前記機能層の下側の前記誘電体膜(120)との間に配置された下方遮断膜(130)の上に直接溶着されると共に、前記機能層(140)が、任意選択には、前記機能層(140)と前記機能層の上側の前記誘電体膜(160)との間に配置された上方遮断膜(150)の下に直接溶着されることを特徴とする、
請求項4に記載の多重窓ガラスユニット(100)。
【請求項6】
前記薄積層体が、銀又は銀含有合金を主原料とする単一金属機能層(140)を備え、該機能層の下側の前記誘電体膜(120)の光学的厚さが、前記機能層の上側の前記誘電体膜(160)の光学的厚さよりも厚く、前記下側誘電体膜(120)の光学的厚さe120対前記上側誘電体膜(160)の光学的厚さe160の比であるe120/e160が、好ましくは、1.05以上かつ1.4以下であり、任意選択には、1.08以上かつ1.3以下であることを特徴とする、
請求項4又は5に記載の多重窓ガラスユニット(100)。
【請求項7】
前記機能層の下側の前記誘電体膜(120)が高屈折性誘電体層(124)を備え、該高屈折性誘電体層が2.2よりも大きな屈折率、好ましくは2.3以上かつ2.8以下の屈折率、任意選択には、2.4以上かつ2.7以下の屈折率を有することを特徴とする、
請求項4〜6のいずれか1項に記載の多重窓ガラスユニット(100)。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の、フレーム構造(90)によって一緒に保持された少なくとも3枚の基板(10、20、30)を備える多重窓ガラスユニット(100)を製造するための、少なくとも1枚の基板(10、20、30)の少なくとも1つの面上における反射防止膜(12、18、22)の使用であって、
前記多重窓ガラスユニット内には、少なくとも2つの中間ガス充填キャビティ(15、25)が各々、2枚の基板同士の間に在り、前記反射防止膜(12、18、22)が、中間ガス充填キャビティ(15、25)と当接すると共に、前記中間ガス充填キャビティ(15、25)を挟んで赤外線及び太陽放射の両方又は一方の反射特性を有する断熱膜(14、16、26)と対面関係にあることを特徴とする、
使用。
【請求項9】
前記反射防止膜(18、22)を有する前記面(19、21)が、前記多重窓ガラスユニット(100)の中央の基板(20)の面であり、前記面(19、21)が各々、中間ガス充填キャビティと当接することを特徴とする、
請求項8に記載の使用。
【請求項10】
全ての中間ガス充填キャビティ(15、25)を挟んだ対面関係において、一方の基板の一方の面(11、19、21、29)が反射防止膜(12、18、22)を有し、他方の基板の他方の面が、赤外線及び太陽放射の両方又は一方の反射特性を有する断熱膜(14、16、26)を有することを特徴とする、
請求項8又は9に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−505984(P2012−505984A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531545(P2011−531545)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051982
【国際公開番号】WO2010/043828
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】