説明

局所適応的な非線形ノイズ削減

撮像スキャナ(10)が撮像データを取得する。再構成プロセッサ(30)が撮像データを再構成してフィルタ処理前再構成画像にする。局所的ノイズマップ作成プロセッサ(64、120、136、140、142、152)が前記フィルタ処理前再構成画像における空間的変動のあるノイズ特性を表すノイズマップ(68、68′、68″)を生成する。局所適応的な非線形ノイズフィルタ(60)がノイズマップ(68、68′、68″)に従って前記フィルタ処理前再構成画像の異なる領域を異なる仕方でフィルタ処理してフィルタ処理済み再構成画像を生成する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は撮像技術に関する。磁気共鳴撮像において格別の用途を見出すもので、特にその関連で説明するが、他の種類の磁気共鳴撮像において、さらには透過型コンピュータ断層撮影(CT)、単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)、陽電子放射断層撮影(PET)その他の撮像様式にも用途は見出される。
【背景技術】
【0002】
多くの撮像方法において、生のデータはすぐ画像として解釈できる形では収集されない。たとえば磁気共鳴撮像では、撮像データは典型的にはk空間データ標本値として収集され、一方、断層撮影ではデータは典型的には一次元または二次元の投影として収集される。再構成プロセッサがその生のデータを処理して撮像対象の再構成画像を生成する。磁気共鳴撮像の場合、k空間のデータ標本値は共鳴周波数と位相によって空間情報をエンコードされており、再構成プロセッサは一般に二次元フーリエ変換を利用して共鳴測定値を空間的な画像に変換する。投影データの再構成には典型的にはフィルタ補正逆投影が利用される。
【0003】
収集された生のデータは典型的には、概して空間的に一様で典型的にはガウスノイズ型のプロファイルをもつ。たとえば従来の磁気共鳴撮像では、k空間データ標本値は、共鳴周波数がエンコードされた線の形で収集される。各線がある一定の大きさの位相エンコードに対応する。位相エンコードはきざみをつけて線から線へとデータが収集される。収集されたk空間データは実質一様なガウス型ノイズ特性をもち、この特性は概して信号強度からは独立している。従来のフーリエ変換に基づく再構成はこのガウス型ノイズ分布には実質影響しないので、結果として得られる再構成画像には、局所的な画像の強度とは独立な空間的に一様なノイズ分散がある。空間的に一様なノイズは通例見かけの構造上の特徴に組み込まれることはないので著しい解釈ミスのリスクを呈することがないという点で有利である。
【0004】
しかし、この有利なノイズの一様性は、より複雑な画像再構成の方法またはハードウェアを使うと失われることがある。たとえば、SENSE(登録商標)エンコードおよびその他の種類の感度エンコードでは、共鳴データは感度プロファイルの異なる複数の受信コイルによって並行して収集される。一つの技法では、そうしたコイルの出力が組み合わされていくつかのk空間データ線が合成される。SENSE(登録商標)技法では、各コイルの出力は別個に再構成され、コイルの数に相応する数の複数の折りたたまれた画像が生成される。コイル感度プロファイルの異なる複数の無線周波受信コイルによって並行して収集されたデータからの折りたたまれた画像は、展開工程において組み合わされて、スキップされたk空間線が復元され、展開された再構成画像が生成される。展開工程は、コイル感度因子を空間的に変えることによって画像要素に重みをかける。これにより展開された再構成画像は空間的に非一様なノイズ分散分布をもつことになる。ノイズの非一様性は組み込まれて見せかけの画像特徴を形成することがあり、その結果、放射線技師その他の解釈者を誤解に導くことがある。
【0005】
空間的ノイズ非一様性を導入することのあるもう一つの磁気共鳴撮像法は、定レベル表現処理(constant level appearance processing)(時にCLEARと呼ばれる)である。この方法では、単一コイルまたはコイルのフェーズドアレイが収集した撮像データがフーリエ変換により再構成画像に変換されるが、この再構成画像はコイル感度の空間的な変動のために信号強度の非一様性がある。定レベル表現処理は空間的に非一様なコイル感度に対処するために局所的に画像強度を調整する。この局所的な調節がノイズの局所的な変動を導入するのである。
【0006】
いま一つの例として、k空間から非一様に標本値を採る、螺旋磁気共鳴撮像(spiral magnetic resonance imaging)のような技法では空間的な変動のあるノイズ非一様性が導入されうる。螺旋磁気共鳴撮像では、より一般的なk空間格子でのデータ収集ではなく、k空間で螺旋状の軌跡をたどる。結果として、従来の二次元フーリエ変換再構成はそのままでは適用できない。螺旋状のk空間軌跡の再構成には、典型的には、補間量の変更、再分配(rebinning)、あるいはその他再構成画像に非一様なノイズ分布を導入しうる処理が関わってくる。
【0007】
これまでに開発されてきたノイズ削減フィルタが用いる方法は、漸進的非凸化(graduated non-convexity)、可変伝導度拡散(variable conductance diffusion)、非等方拡散(anisotropic diffusion)、バイアス非等方拡散(biased anisotropic diffusion)、平均場アニーリング(mean field annealing)などである。これらのノイズフィルタリング法は典型的には画像全体にわたってノイズ分散を一様に低下させる。よって、これらのノイズ削減フィルタは、ノイズの高い局所的な領域をならして画像全体にわたって望ましい一様に近いノイズレベルにしてくれることはない。その非一様ノイズは放射線技師その他の画像を解釈する者を混乱させ、あるいは誤解に導くことがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述した限界を克服する改良された装置および方法その他を考察する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある側面によれば、撮像システムが開示される。撮像データを収集するための手段が提供される。撮像データを再構成してフィルタ処理前再構成画像にする手段が提供される。前記フィルタ処理前再構成画像における空間的変動のあるノイズ特性を表すノイズマップを生成する手段が提供される。前記ノイズマップに基づいて前記フィルタ処理前再構成画像の異なる領域を異なる仕方でフィルタ処理してフィルタ処理済み再構成画像を生成する手段が提供される。
【0010】
別の側面によれば、撮像方法が提供される。撮像データが収集される。前記撮像データが再構成されてフィルタ処理前再構成画像にされる。前記フィルタ処理前再構成画像における空間的変動のあるノイズ特性を表すノイズ利得マップが生成される。前記ノイズマップに基づいて前記フィルタ処理前再構成画像の異なる領域が異なる仕方でフィルタ処理されてフィルタ処理済み再構成画像が生成される。
【0011】
さらに別の側面によれば、撮像方法が提供される。撮像データが取得される。前記撮像データは再構成されたフィルタ処理前再構成画像にされる。前記フィルタ処理前再構成画像に対応する、空間的変動のある信号対雑音比マップが構築される。前記空間的変動のある信号対雑音比マップに基づいて前記フィルタ処理前再構成画像がフィルタ処理されてフィルタ処理済み再構成画像が生成される。
【発明の効果】
【0012】
一つの利点は、局所的な変動のあるノイズレベルを補償することにある。
【0013】
別の利点は、ノイズフィルタリングが、当該画像再構成プロセスの解析から、あるいは経験的な測定から抽出された空間的ノイズ分散の分布に関する情報を認識して利用しつつ実行されることにある。
【0014】
さらに別の利点は、実質上いかなる種類のノイズ分散の分布に対しても適用可能な汎用の局所適応的な非線形ノイズ削減フィルタを提供することにある。
【0015】
好ましい実施形態の以下の詳細な記載を読むことで、通常の当業者には数多くの追加的な利点および恩恵が明らかとなるであろう。
【0016】
本発明はさまざまな構成要素や構成要素の配列において、またさまざまな工程処理や工程処理の配列において具体化することができる。図面は好ましい実施形態を説明するためだけのものであって、本発明を限定するものと解釈してはならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1を参照すると、磁気共鳴撮像システムは磁気共鳴撮像スキャナ10を含む。これは代表例としての実施形態では、フィリップス社から発売されているインテラ3.0T(Intera 3.0T)短軸型高磁場(3.0T)磁気共鳴撮像スキャナである。しかし、実質いかなる磁気共鳴撮像スキャナであっても、主磁石、磁場勾配を与えるための傾斜磁場コイルおよび撮像対象の内部に核磁気共鳴を励起するための無線周波送信機を含むものであれば使用可能である。インテラ3.0Tは有利には全身撮像を提供するよう構成されるが、より小さな視野を撮像するスキャナ、ならびに、生成される主磁場がより低かったり、および/またはより長い軸長もしくは開放型筐体を有していたりするスキャナを用いることもできる。さらに、ここに記載する局所適応的な非線形ノイズフィルタリングは磁気共鳴撮像以外の撮像様式一般にも適用可能である。
【0018】
磁気共鳴撮像スキャナ10は検査領域12内の軸方向に主たる静磁場を与える。スキャナ10によって実装される典型的な磁気共鳴撮像シーケンスでは、シングルスライスまたはマルチスライス、3Dスラブ選択勾配がスライス選択方向に印加される。スライス選択方向が軸方向に平行な場合、前記選択勾配は軸方向に直交するスライスまたはスラブを定義する。スライス選択勾配が存在する間に無線周波励起パルスまたは波束がスキャナ10の検査領域12内に送信され、スライス選択勾配によって選択されている、撮像対象の定義されたスライスまたはスラブ中に磁気共鳴が励起される。無線周波励起およびスライス選択勾配を除去して少したったとき、前記スライス選択勾配方向にほぼ垂直な位相エンコード方向に沿って位相エンコード磁場勾配が印加される。スラブ撮像では、スライスまたはスラブ選択方向に平行な方向に第二の位相エンコード勾配が印加される。この一つまたは二つの位相エンコード勾配は、励起されたスライスまたはスラブの磁気共鳴を位相エンコード方向にエンコードする。位相エンコード磁場勾配を除去して少したったとき、前記の位相エンコード方向およびスライス選択方向にほぼ垂直な読み出し方向に読み出し磁場勾配プロファイルが印加される。読み出し磁場勾配プロファイルの印加の間、読み出し方向に磁気共鳴標本値が収集される。もちろん、これらの方向は回転させたり交換したりすることもでき、直交する必要はない。典型的な磁気共鳴撮像シーケンスでは、一連の位相エンコード勾配および読み出し勾配が交互に印加され、それにより磁気共鳴の標本値収集がk空間内を巡る。
【0019】
前述した磁気共鳴撮像シーケンスは単に例示的なものである。当業者は前述のシーケンスを特定の用途に合わせてたやすく修正することができる。シーケンスは任意的に、一つまたは複数の180°反転パルス、一つまたは複数の磁気共鳴スポイラー勾配などといったその他の特徴を含んでいてもよい。前記磁気共鳴撮像シーケンスはまた、k空間で螺旋状の軌跡をたどる螺旋状の標本値収集を実装したり、あるいは他の撮像技法を実装したりすることもできる。
【0020】
以下では感度エンコードSENSE(登録商標)撮像用途について説明するが、ここに記載される局所適応的な非線形ノイズフィルタリングはSENSE(登録商標)に限定されるものではなく、定レベル表現(CLEAR)処理、螺旋状撮像などといった空間的なノイズ非一様性を導入する他の撮像技法一般にも適用可能である。さらに、前記フィルタ処理は磁気共鳴撮像用途に限定されず、断層撮像およびその他の撮像様式での用途も見出すものである。説明を簡単にするため二次元スライスとの関連で記載するが、記載される技法は三次元撮像または時間などを含めたより高次元の撮像にも適用可能である。
【0021】
SENSE(登録商標)撮像を実装するために、磁気共鳴撮像スキャナ10は複数コイルの受信コイルアレイ14を含んでいる。該受信コイルアレイは例示の実施形態では4つの受信コイルを含んでいる。異なる受信コイル数を用いることもでき、たとえば、組み合わされて6つの受信チャネル上に多重化される8つの受信コイルを含む感度エンコード(SENSE(登録商標))ヘッドコイルがフィリップス社から発売されている。読み出し磁場勾配プロファイルの印加中、標本値収集回路16は複数受信コイルアレイ14の4つのチャネルを読んで、検査領域12の同じ空間領域の磁気共鳴標本値を同時並行的に収集する。収集された磁気共鳴標本値は、受信コイルアレイ14の4つの受信コイルに対応するk空間メモリ20、22、24、26に保存される。再構成プロセッサ30は二次元高速フーリエ変換プロセッサ32を含んでおり、これが4つのk空間メモリ20、22、24、26のそれぞれの磁気共鳴標本値を処理して4つの対応する折りたたまれた再構成画像を生成し、生成された画像は折りたたみ画像メモリ40、42、44、46内に保存される。
【0022】
例示の4チャネルコイルアレイ14を使った感度エンコードでは、k空間線の4分の1しか読まれない。たとえば、位相エンコード線256本の画像を再構成する場合、感度エンコード撮像は、64の読み出し勾配を印加して64の位相エンコードステップでデータ線を生成するだけである。コイルの感度パラメータの設計は、各コイルが異なる空間的感度パターンで読むことにより長方形状エンコード方式において出力そのものまたは出力の組み合わせが効率的に256の位相エンコードステップに対応するデータを生成するようにされる。SENSE(登録商標)展開プロセッサ50は、受信コイルのコイル感度パラメータ[β]52に基づいて前記の折りたたまれた再構成画像を組み合わせて展開し、展開された再構成画像54を計算する。感度行列のコイル感度パラメータ[β]52は4チャネルコイルアレイ14のコイルの空間的感度を示し、典型的にはコイルアレイ14について経験的に測定されるものである。
【0023】
典型的には、各k空間メモリ20、22、24、26に保存されている撮像データのノイズは一様なガウス分布をもち、フーリエ変換プロセッサ32はこの一様なガウス分布をゆがめることはしない。よって、折りたたみ画像メモリ40、42、44、46に保存されている折りたたまれた再構成画像は典型的には実質一様なガウスノイズ分布をもつ。各コイルは異なる感度特性をもつため、利得を調整し、等化すると、組み合わされた画像のノイズ特性も調整され、相違が大きくなる傾向がある。より具体的には、展開プロセッサ50がコイル感度パラメータ52を適用して折りたたまれた再構成画像を組み合わせ、展開する際、フィルタ処理前再構成画像54の異なるボクセル、ピクセルまたはその他の同定される画像要素には異なる利得値が適用される。結果として、先には一様であったガウスノイズ分布は局所的にゆがめられ、あるいは他の仕方で変形され、フィルタ処理前再構成画像54には空間的に非一様なノイズ分布が生じる。
【0024】
この問題に対処するため、局所適応的な非線形ノイズフィルタ60がフィルタ処理前再構成画像54のノイズ削減フィルタ処理を実行し、フィルタ処理済み再構成画像62を生成する。フィルタ60は再構成処理によって導入されるノイズ非一様性について既知の情報を利用する。感度エンコードの場合、ノイズ非一様性についての情報は局所的なノイズ利得プロセッサ64によってコイル感度行列52から好適に抽出され、再構成プロセッサ30によって導入される局所的に変動のあるノイズ分散についての情報を含むノイズ利得マップ68が計算される。ノイズフィルタ60が受け取るのは、ノイズが乗った画像信号の情報を含んでいるフィルタ処理前再構成画像54および再構成プロセッサ30によって導入されるノイズ利得についての情報を含むノイズ利得マップ68である。したがって、ノイズフィルタ60は、フィルタ処理前再構成画像54上で局所的な信号対雑音比を示す実質精確な信号対雑音比マップを計算するのに十分な情報を有している。ノイズフィルタ60はこの信号およびノイズ情報に基づいて、局所適応的な逐次的非線形最適化により全体的なノイズを削減し、画像全体にわたるノイズ分散のゆらぎを実質削減することを実行する。
【0025】
ユーザーインターフェース72はフィルタ処理済み再構成画像62を受信し、好適な画像処理を実行して人間が見ることのできる表示画像を生成し、それが該ユーザーインターフェース72のディスプレイモニタ72上に表示される。たとえば、二次元スライスまたは三次元表現を生成して表示できる。代替的または追加的に、フィルタ処理済み再構成画像62は紙に印刷したり、電子的に保存したり、構内ネットワークもしくはインターネットを通じて送信したり、またはその他の処理をしたりすることもできる。また好ましくは、ユーザーインターフェース72によって放射線技師その他の操作者は、磁気共鳴撮像シーケンスコントローラ74と対話して、磁気共鳴シーケンスの生成、磁気共鳴シーケンスの修正、磁気共鳴シーケンスの実行、またはその他該撮像スキャナの操作といった磁気共鳴撮像スキャナ10の制御ができる。
【0026】
図1との関連で記載される磁気共鳴撮像システムはまた、定レベル表現(CLEAR)処理を用いて撮像を実行するためにも好適である。CLEARでは、撮像k空間データが磁気共鳴撮像スキャナ10によって感度エンコードなしで収集され、そのk空間データは二次元フーリエ変換プロセッサ32によって処理される。次いで展開プロセッサ50がコイル感度の空間的非一様性を補償するためのSENSE(登録商標)因子を1として適用され、フィルタ処理前再構成画像54が生成される。感度エンコードの場合と同様、CLEAR処理はコイル感度行列52を用い、CLEAR処理された画像のノイズ分散の分布に空間的な非一様性を導入する。ノイズフィルタ60は、コイル感度行列52から計算するか別の仕方で得るかしたノイズ利得マップ68を使って、CLEAR処理によって導入されるノイズ非一様性をフィルタ処理する。
【0027】
局所適応的な非線形ノイズフィルタ60の好ましい実施形態は、次のベイズ則を基本としている。
【0028】
【数3】

ここで、iはピクセル、ボクセル、その他当該画像の画像要素の添え字である。diはフィルタ処理するデータ(data)、すなわちフィルタ処理前再構成画像54の画像要素、riは復元(restoration)、すなわちフィルタ処理済み再構成画像62の画像要素である。P(di)は画像要素diの確率だが、与えられたフィルタ処理前再構成画像54については定数である。P(ri)は復元画像要素の何らかの先験的な確率である。P(di/ri)は再構成画像要素riが与えられたときの対応する入力データ画像要素diの確率、P(ri/di)は入力画像要素diが与えられたときの対応する復元画像要素riの確率である。式(1)を変形すると、フィルタ処理済み再構成画像62は,
【数4】

を最大にする復元画像要素riからなるものである。所与のフィルタ処理前再構成画像54についてはP(di)が定数であることを認識すると、式(2)は両辺の対数を取って負号を付けることで積を次のような和に変換することによって分母が消えて好適に処理される。
【0029】
【数5】

式(3)はコスト関数または目的関数Hとして
H=HN+HP (4)
と書き直すことができる。ここで、
【数6】

である。式(5)のいちばん右側では標準偏差σのガウス型ノイズ分布を仮定している。画像全体にわたる非一様なノイズ分散は、一般に各画像要素iによって異なる画像要素依存利得giによって取り入れられている。差(ri−di)2は一般に画像要素iにおける局所的なノイズに対応する分散をもつので、ノイズ利得giで割ることで有利にも、ノイズ利得マップ68のノイズ利得giの範囲にわたってノイズ項HNが実質規格化される。コスト関数の成分HNはコスト関数全体Hの最尤成分またはノイズ(noise)成分を与える。HNはフィルタ処理済み再構成画像62がフィルタ処理前再構成画像54に忠実になるよう強制するものである。
【0030】
式(6)に示したHPは、基礎になっている画像が区分的になめらかであるという先験的な知識に基づいている。より一般には、HPの項は、追加的なモデルまたは基準または目標を反映する。区分的によりなめらかな画像を優先するといった目標である。すなわち、そのような基準を満たすことに関わる関数の項である。項HPはここではコスト関数Hの先験(prior)項または先験成分と称する。式(6)のいちばん右側は復元画像の期待される区分的ななめらかさを表す。先験成分HPが大きいと、エッジ保存性は悪化するものの、基礎になっている画像に期待される区分的になめらかな性質に従ったフィルタ処理が行われる傾向がある。式(6)のパラメータηは画像中のある方向を示しており、区分的ななめらかさはηに関する和によって示されるいくつかの方向について評価される。パラメータλは再構成プロセッサ30の大域的な利得を示すスケーリングまたはチューニングパラメータである。パラメータτiはここではアニーリング温度と呼ぶが、先験項HPのコスト関数Hへの非線形の寄与を制御するのに使われる。変動のあるノイズ統計をもつ画像上では、アニーリング温度τiは一般に画像要素iにおける局所的なノイズ統計に依存する。
【0031】
方向xηが二次元画像内の方向に制限されないことを理解しておくものとする。むしろ、任意的に第三の空間次元の一つまたは複数の方向をも含み、ボリューム画像表現のフィルタ処理を提供する。より一般には方向xηは次元と見なされ、たとえば時間次元を含みうる。次元xηはさらに、患者への外的刺激の変動や逐次的な収集における一連の値にわたる撮像データ収集パラメータの変動といった変動をさらに含むことができる。
【0032】
図2を参照すると、式(3)の先験項HP(ri′)(ここで、ri′=∂ri/∂xη)がある範囲のアニーリング温度τiについてプロットされている。アニーリング温度が高いと、HPは低域通過フィルタに近づく(図2では破線で示す)。アニーリング温度τiが低下するにつれ、先験項HPはなめらかに減少して振幅の低下した非線形な形に近づく。低下の度合いはri′の値が大きいほど大きい。大きな微分ri′は画像中のエッジその他の鋭い遷移を示しているので、アニーリング温度τiを下げると先験成分HPが低下し、フィルタHの最小二乗すなわち最尤成分HNが支配的となってデータへの忠実を維持しつつエッジを保存する。これに対し、τiが高いと先験項HPが大きくなり、これが前記最小二乗項より優勢になる。先験項HPが大きいとエッジ保存は弱くなり、画像のぼけが増したりする。
【0033】
図3を参照すると、局所適応的非線形ノイズフィルタ60の好ましい実施形態により、復元画像要素riが逐次的に調整されて式(4)の目的関数またはコスト関数Hが最小化される。初期化プロセッサ80はフィルタ処理前画像54を処理画像メモリ82にロードすることによって反復工程を好適に初期化する。アニーリングスケジュールプロセッサ86は、画像要素依存アニーリング温度τiを計算することによってアニーリングスケジュールの初期温度および最終温度を構築する。好適な初期または最終アニーリング温度は次式によって与えられる。
【0034】
【数7】

ここで、c90は画像全体にわたる大域的定数であり、ノイズ利得giはノイズ利得マップ68からの局所的ノイズ情報を空間的に変動する初期または最終アニーリング温度にインポートする。アニーリングスケジュールは、Hの各最小化が終わるたびにすべてのτiに任意定数(画像全体にわたる大域的なもの)を乗じることによって生成される。これは式(7)内のcの値を変化させることと等価である。式(7)の初期または最終アニーリング温度は単に例示的なものである。一般に、好ましい初期または最終アニーリング温度は典型的には全体的な利得λgiとほぼ逆の相関をもつ。すなわち、全体的な利得λgiが増加するにつれ、より小さな最終アニーリング温度τiが適切になるのである。
【0035】
構築されたアニーリングスケジュールはノイズ利得マップ68およびチューニング定数λ94とともに、式(4)に対応する目的関数またはコスト関数H100を構築するために使われる。好ましい実施形態では、成分HNおよびHPはそれぞれ式(5)および(6)によって与えられるが、当業者は特定の用途に合うようHNおよびHPを修正することができる。特に、先験成分HPは、復元を選択された期待される画像特性に押しやるために容易に適応させることができる。
【0036】
プロセッサ102は、処理画像メモリ82に保存されている復元処理画像反復およびフィルタ処理前再構成画像54を含む入力について、コスト関数の値を計算する。処理画像の画像要素riは、コスト関数Hに基づいて、共役勾配降下アルゴリズムまたはその他の好適な最適化アルゴリズムを利用する更新プロセッサ104を使って調整され、更新された復元画像が処理画像メモリ82に保存される。コスト関数値プロセッサ102および画像更新プロセッサ104は逐次的に復元画像を調整してコスト関数Hを最小化する。各反復後、停止条件プロセッサ108が選択された反復停止条件が満たされているかどうかを判定する。該選択された停止条件としてはたとえば、反復段階どうしの間での最大割合のパラメータ変化が反復改良閾値より小さくなったときに停止する、最大の微分∂H/∂riがある傾き閾値より小さくなったときに停止する、などが含まれうる。停止条件プロセッサ108が停止条件が満たされていると示したとき、転送プロセッサ110が呼び出されて処理画像メモリ82に保存されている処理画像をフィルタ処理済み画像メモリ62に転送する。
【0037】
大域的チューニング入力cおよびλの選び方はいろいろある。考えられる一つの実施例では、これらの値は所与の感度エンコード磁気共鳴撮像スキャナ10およびコイルアレイ14についてあらかじめ設定され、放射線技師その他の操作者は、該操作者にとって透明な局所適応的な非線形ノイズフィルタリングを提供される。別の考えられる実施例では、ノイズフィルタ60は一方または複数の大域的入力についてある範囲のいくつかの値を順に取ってそれぞれの値について逐次的に最適化されたフィルタ処理済み再構成画像を生成し、そのいくつかのフィルタ処理済み再構成画像が放射線技師その他の操作者が好ましい復元を手動で選択するために表示される。式(5)および(6)の大域的なノイズの標準偏差σは好ましくは、第一の例では、フィルタ処理前再構成画像54にわたって平均その他の統計処理をされたノイズ分散に基づいて計算される。しかし、σを、復元を最適化するよう調整された大域的チューニングパラメータとすることも考えられる。さらに、特定の撮像用途のために式(7)の画像要素依存アニーリングスケジュールを修正することも考えられる。さらにまた、当業者は式(7)の先験成分HPを、例示的な区分的になめらかな画像特性ではなく別の期待される画像特性を組み込むよう修正することも容易にできる。
【0038】
最適化を反復し、一連のアニーリング値にわたって反復することの一つの利点は、結果として得られる処理された画像が、コスト関数の局所的な極小値に収束するのではなく、大域的な最適に誘導されるということである。
【0039】
当業者は、空間的に非一様なノイズ分散の分布に対処する局所適応的なフィルタ処理を提供するためにノイズ利得マップ68をノイズフィルタ60内に組み込むことの利を認識することであろう。図1を参照すると、例示的な感度エンコード磁気共鳴撮像の実施例において、ノイズ利得マップ68はコイル感度因子行列[β]52から局所的ノイズ利得プロセッサ64によって容易に計算される。展開プロセスはD=[β]Rによって記述される。ここで、ベクトルDは感度エンコードまたは折りたたみされた再構成画像要素の値を含んでおり、ベクトルRは展開された再構成画像の画像要素の値を含む。展開された画像要素ベクトルRについて解くことは、感度コイル行列[β]の一般化逆行列を取ることに関わってくる。感度コイル行列[β]は一般に非正方行列であり、条件が悪いこともあるので、行列[β]の擬似逆行列が好ましくは最小二乗最適化および行列正則化によってR=[K]Dを生成することによって計算される。ここで、[K]は[β]の擬似逆行列である。一般化逆行列[K]は展開の間に画像要素に加えられる非一様な重みを含んでいる。ノイズ利得gi
【数8】

によって与えられる。ここで、ki,jはi番目の展開画像要素に対応する擬似逆行列[K]の要素である。従来のSENSE(登録商標)については、パラメータgpは、従来のSENSE(登録商標)撮像の特定の場合のために当業界で既知のPruessmanのSENSE(登録商標)利得パラメータに対応する。しかし、式(8)のいちばん右側はより一般的であり、可変密度感度エンコード、定レベル表現処理および画像要素依存コイル感度因子に基づく強度スケーリングを採用するその他の技法についてノイズ利得マップを計算するよう容易に適応される。
【0040】
式(8)は展開または定レベル表現処理の解析に基づいてノイズ利得マップ68を得る方法を与えている。同じような再構成の解析は、螺旋状磁気共鳴撮像再構成処理、三次元ヘリカル型コンピュータ断層撮影再構成処理などの他の再構成処理についても実行でき、フィルタ60を適用するための好適なノイズ利得マップを得ることができる。実際、ノイズフィルタ60は一般に、空間変動するノイズ利得についてそこそこの推定が得られる場合には、たとえノイズ変動が再構成以外のソースによって導入されるとしても常に一般に適用可能である。たとえば、ノイズ利得マップ68は、収集されたままの生の撮像データのノイズ分散に先験的な既知の変動、すなわち、画像再構成処理に先立ってデータ中に存在するノイズ分散非一様性を組み込むことができる。
【実施例1】
【0041】
図1に戻って参照しつつさらに図4を参照すると、感度エンコードのためにノイズ利得マップ68′を得るための別の方法が記載されている。磁気共鳴撮像スキャナ10によって実行されるノイズ利得プレスキャン120は、感度エンコードありと感度エンコードなしで撮像を行って、それぞれ感度エンコードされた撮像データ122および感度エンコードなしの撮像データ124を生成する。再構成プロセッサ30は感度エンコードされた画像データセット122を再構成して対応する展開された再構成画像130を生成する。再構成プロセッサ30はまた、感度エンコードなしの画像データセット124を再構成して第二の再構成画像132を生成する。再構成画像130と132の違いは、展開された再構成画像130は展開によって導入された空間的に非一様なノイズを含んでいるが、図1のフーリエ変換プロセッサ32によって処理されただけの第二の再構成画像132は実質空間的に一様なノイズを有しているという点である。組み合わせプロセッサ136は画像の引き算および好適な規格化を実行し、展開された再構成画像130の空間的ノイズ変動をノイズ利得マップ68′として抽出する。任意的に、このノイズ利得マップ68′は図1の解析的に計算されたノイズ利得マップ68の代わりに使われる。
【実施例2】
【0042】
図1の参照を続けつつさらに図5を参照すると、ノイズ利得マップ68″を得るためのさらに別の方法が記載されている。この手法では、データセットシミュレータ142がガウスノイズ発生器140にアクセスして、空間的に一様な信号レベル(信号レベル0でもよい)に空間的に一様なガウスノイズが乗った、ガウスノイズ磁気共鳴撮像データセット144をシミュレートする。ガウスノイズデータセット144は再構成プロセッサ30によってその通常の動作モードで処理されてフィルタ処理前ノイズ画像150を生成する。たとえば、ガウスノイズデータセット144は感度エンコードされた磁気共鳴撮像データセットをシミュレートできる。その場合、フィルタ処理前ノイズ画像150が展開された再構成画像である。
【0043】
入力データセットは空間的に一様な信号レベルと空間的に一様なガウスノイズとを有していたので、フィルタ処理前ノイズ画像150における空間的に非一様なノイズ分散は再構成プロセッサ30によって導入されたノイズ利得に起因するものである。規格化プロセッサ152はフィルタ処理前ノイズ画像150を好適に規格化して、たとえばガウスノイズが乗っている一定の信号レベルを除去するなどしてノイズ利得マップ68″を生成する。任意的に、このノイズ利得マップ68″は図1の解析的に計算されたノイズ利得マップ68の代わりに使われる。ノイズ利得マップを得るための図5に示した処理は感度エンコードされた磁気共鳴撮像に限定されず、さらに磁気共鳴撮像一般にも限定されない。むしろ、図5に示した処理は、撮像様式の種類によらず、実質いかなる画像再構成処理に関連するノイズ利得マップを測定するためにも一般に適用可能である。
【0044】
本発明について好ましい実施形態を参照しつつ説明してきた。明らかに、上記の詳細な記載を読み、理解すれば他の者にも修正および変更が思いつくであろう。本発明は、付属の特許請求またはその等価物の範囲にはいるそのようなすべての修正および変更を含んでいるものと解釈されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】感度エンコードを用いた撮像のための4チャネル磁気共鳴受信コイルを含み、さらに局所適応的な非線形ノイズ削減フィルタを含む磁気共鳴撮像システムを図式的に示す図である。
【図2】図1の局所適応的な非線形ノイズ削減フィルタの例示的な先験成分を示す図である。
【図3】図1の磁気共鳴撮像システムの局所適応的な非線形ノイズ削減フィルタを図式的に示す図である。図1の磁気共鳴撮像システムの構成要素として示されてはいるが、該ノイズ削減フィルタは実質上いかなる種類の撮像様式を使って収集されたフィルタ処理画像についても使用できる汎用ノイズフィルタである。
【図4】図3のノイズ削減フィルタにおいて感度エンコードのある磁気共鳴撮像を使って収集された画像のフィルタ処理のために使用できるノイズ利得マップを、経験的に抽出するための装置を図式的に示す図である。
【図5】図3のノイズ削減フィルタにおいて実質上いかなる種類の撮像様式を使って収集された画像のフィルタ処理のためにも使用できるノイズ利得マップを、経験的に抽出するための汎用装置を図式的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像データを収集する撮像手段と、
前記撮像データを再構成してフィルタ処理前再構成画像にする再構成手段と、
前記フィルタ処理前再構成画像における空間的変動のあるノイズ特性を表すノイズマップを生成するノイズマップ作成手段と、
前記ノイズマップに基づいて前記フィルタ処理前再構成画像の異なる領域を異なる仕方でフィルタ処理してフィルタ処理済み再構成画像を生成するフィルタ処理手段、
とを含むことを特徴とする撮像システム。
【請求項2】
前記ノイズマップが前記再構成手段によって生成される空間的変動のあるノイズ特性を表しており、前記ノイズマップ作成手段が:
フィルタ処理前ノイズ画像を生成するために前記再構成手段に入力されるガウスノイズデータセットを生成する手段と、
前記フィルタ処理前ノイズ画像に基づいて前記ノイズマップを推定する手段、
とを含むことを特徴とする、請求項1記載の撮像システム。
【請求項3】
前記撮像手段が感度エンコードされた撮像データを収集するための複数の無線周波受信コイルをもつ磁気共鳴撮像スキャナを含んでおり、前記ノイズマップ作成手段が:
前記撮像手段および前記再構成手段を:
感度エンコードされた第一の撮像データを測定し、該第一の撮像データを再構成して展開された再構成画像にし、
感度エンコードされていない第二の撮像データを測定し、該第二の撮像データを再構成して第二の画像にする、
ために呼び出す手段と、
前記第一および第二の再構成画像を組み合わせて前記ノイズマップを生成するための組み合わせ手段、
とを含むことを特徴とする、請求項1記載の撮像システム。
【請求項4】
前記撮像手段が感度エンコードされた撮像データを収集するための複数の無線周波受信コイルをもつ磁気共鳴撮像スキャナを含んでおり、前記再構成手段が前記複数の無線周波受信コイルに対応する感度行列を利用する展開プロセッサを含んでおり、前記ノイズマップ作成手段が:
前記感度行列から前記ノイズマップを計算する展開ノイズ計算手段、
を含んでいることを特徴とする、請求項1記載の撮像システム。
【請求項5】
前記再構成手段がさらに:
各無線周波受信コイルによって集められた画像データに対応する折りたたまれた再構成画像を計算するための二次元フーリエ変換プロセッサを含んでおり、前記折りたたまれた再構成画像が前記展開プロセッサによって組み合わされて前記フィルタ処理前再構成画像を生成する、
ことを特徴とする、請求項4記載の撮像システム。
【請求項6】
前記展開ノイズ計算手段が前記感度行列の一般化逆行列を得て該一般化逆行列から前記ノイズマップを導出することを特徴とする、請求項4記載の撮像システム。
【請求項7】
前記撮像手段が磁気共鳴撮像スキャナを含み、前記再構成手段がコイル感度情報を適用して前記フィルタ処理前再構成画像の均一性補正を実行する定レベル表現プロセッサを含み、前記ノイズマップ作成手段が:
前記適用されたコイル感度情報に基づいて前記ノイズマップを計算するための、定レベル表現利得計算手段、
を含むことを特徴とする、請求項1記載の撮像システム。
【請求項8】
前記フィルタ処理手段が:
前記ノイズマップに基づいて選択された局所的利得をもつコスト関数を計算する手段と、
前記コスト関数を最小化するために処理画像を逐次的に調整する最適化プロセッサとを含んでおり、該最適化された処理画像が前記フィルタ処理済み再構成画像に対応する、
ことを特徴とする、請求項1記載の撮像システム。
【請求項9】
前記フィルタ処理手段が:
前記ノイズマップを組み込んで非線形コスト関数を計算する手段と、
前記コスト関数を最小化するために処理画像を逐次的に調整する手段、
とを含むことを特徴とする、請求項1記載の撮像システム。
【請求項10】
撮像データを収集し、
前記撮像データを再構成してフィルタ処理前再構成画像にし、
前記フィルタ処理前再構成画像における空間的変動のあるノイズ特性を表すノイズマップを生成し、
前記ノイズマップに基づいて前記フィルタ処理前再構成画像の異なる領域を異なる仕方でフィルタ処理してフィルタ処理済み再構成画像を生成する、
ことを含むことを特徴とする撮像方法。
【請求項11】
前記の撮像データ収集が感度エンコードされた磁気共鳴撮像データを複数の無線周波受信コイルを使って測定することを含み、
前記の撮像データ再構成が:
各無線周波受信コイルによって収集された撮像データをフーリエ変換してその無線周波受信コイルに対応する折りたたまれた画像を生成し、
前記折りたたまれた画像を展開して前記フィルタ処理前再構成画像を生成する、
ことを含み、
前記のノイズマップ生成が前記展開の間に導入された空間依存のノイズ利得を得ることを含む、
ことを特徴とする、請求項10記載の撮像方法。
【請求項12】
前記の撮像データ収集が磁気共鳴撮像データを収集することを含み、
前記の撮像データ再構成が:
前記収集された磁気共鳴撮像データのフーリエ変換に基づく再構成を計算し、
前記収集の空間的変動のある感度を補正するために前記フーリエ変換に基づく再構成を局所的に調整する、
ことを含み、
前記のノイズマップ生成が前記フーリエ変換に基づく再構成の局所的調整によって導入された空間的変動のあるノイズ利得を計算することを含む、
ことを特徴とする、請求項10記載の撮像方法。
【請求項13】
前記撮像データの再構成が前記空間的変動のあるノイズ特性の少なくとも一部分を前記フィルタ処理前再構成画像に導入し、前記ノイズマップの生成が:
前記再構成によって生成される空間的変動のあるノイズ利得を計算することを含み、前記ノイズマップが前記計算された空間的変動のあるノイズ利得に対応する、
ことを特徴とする、請求項10記載の撮像方法。
【請求項14】
前記撮像データの再構成が前記空間的変動のあるノイズ特性の少なくとも一部分を前記フィルタ処理前再構成画像に導入し、前記ノイズマップの生成が:
前記再構成によって生成される空間的変動のあるノイズ利得を測定することを含み、前記ノイズマップが前記測定された空間的変動のあるノイズ利得に対応する、
ことを特徴とする、請求項10記載の撮像方法。
【請求項15】
前記フィルタ処理が:
処理画像の前記フィルタ処理前再構成画像への忠実さの指標となるノイズ成分と該処理画像の期待される画像特性への近さの指標となる先験成分とを含む目的関数を計算し、
前記目的関数を最適化するために前記処理画像を逐次的に調整する、
ことを含むことを特徴とする、請求項10記載の撮像方法。
【請求項16】
前記目的関数の前記ノイズ成分の計算が:
各画像要素について前記処理画像要素と前記フィルタ処理前再構成画像要素との間の最小二乗差を計算し、
各画像要素についての前記最小二乗差を前記ノイズマップの対応する要素によって規格化する、
ことを含むことを特徴とする、請求項15記載の撮像方法。
【請求項17】
前記目的関数のノイズ成分の計算が:
【数1】

に従って関数HNを計算することを含み、ここでiは前記フィルタ処理前再構成画像の画像要素にわたって総和され、diは前記フィルタ処理前再構成画像のi番目の要素を表し、riは前記処理画像のi番目の要素を表し、Aはスケーリング定数で、giは前記フィルタ処理前再構成画像のi番目の要素に対応する前記ノイズマップの要素に基づいて計算される、ことを特徴とする、請求項15記載の撮像方法。
【請求項18】
前記目的関数の先験成分の期待される画像特性が期待される区分的になめらかな画像特性を含んでおり、該期待される区分的になめらかな画像特性は前記ノイズマップの対応する局所的な値に局所的に依存する、ことを特徴とする、請求項15記載の撮像方法。
【請求項19】
前記目的関数の先験成分の計算が:
【数2】

に従って関数HPを計算することを含み、ここでiは前記フィルタ処理前再構成画像の画像要素にわたって総和され、ηは前記フィルタ処理前再構成画像における少なくとも一つの方向にわたって総和され、xηはη番目の方向を示し、riは前記処理画像のi番目の要素を表し、A、B、Cは定数であり、τiは前記フィルタ処理前再構成画像のi番目の要素に対応する前記ノイズマップの要素に基づいて計算される、ことを特徴とする、請求項15記載の撮像方法。
【請求項20】
前記目的関数の先験成分の計算が:
前記処理画像の空間微分の関数を一定のノイズ項と空間的に変動のあるアニーリング項との線形結合によってスケールさせる、
ことを含むことを特徴とする、請求項15記載の撮像方法。
【請求項21】
前記目的関数の先験成分の計算が:
前記先験成分を前記処理画像の空間微分の関数として、かつあるアニーリングパラメータの関数として構築することを含み、該先験成分が前記アニーリングパラメータのある範囲の値に対し、概して低域通過フィルタの形と非線形な形との間の範囲でなめらかに推移する、
ことを特徴とする、請求項15記載の撮像方法。
【請求項22】
撮像データを収集し、
前記撮像データを再構成してフィルタ処理前再構成画像にし、
前記フィルタ処理前再構成画像に対応する空間的変動のある信号対雑音比マップを構築し、
前記空間的変動のある信号対雑音比マップに基づいて前記フィルタ処理前再構成画像をフィルタ処理してフィルタ処理済み再構成画像を生成する、
ことを含むことを特徴とする撮像方法。
【請求項23】
前記収集が磁気共鳴撮像データを少なくとも一つの無線周波受信コイルを使って収集することを含み、
前記再構成が前記少なくとも一つの無線周波受信コイルの空間的変動のある感度に基づいて前記フィルタ処理前再構成画像を調整することを含み、
前記の空間的変動のある信号対雑音比マップの構築が、信号対雑音比において前記調整によって導入された空間的変動のある変化のマップを作成することを含む、
ことを特徴とする、請求項22記載の撮像方法。
【請求項24】
前記少なくとも一つの無線周波受信コイルが少なくとも二つの無線周波受信コイルを含み、前記収集が感度エンコードされた磁気共鳴撮像データを収集することを含み、前記フィルタ処理前再構成画像の調整が:
前記少なくとも二つの無線周波受信コイルによって収集された感度エンコードされた撮像データを組み合わせて前記フィルタ処理前再構成画像を展開された画像として生成する、
ことを含むことを特徴とする、請求項23記載の撮像方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2007−503903(P2007−503903A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525208(P2006−525208)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002834
【国際公開番号】WO2005/024724
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(501344315)コニンクリユケ フィリップス エレクトロニクス エヌ.ブイ. (174)
【Fターム(参考)】