層形成方法、アクティブマトリクス基板の製造方法、および多層配線基板の製造方法
【課題】下地表面に液滴を配置して良好なべた状パターンを設ける方法を提供すること。
【解決手段】層形成方法が、下地表面上で互いから孤立した2つのドット状パターンが得られるように、前記下地表面の2つの部位のそれぞれに、第1の液滴を配置する第1の工程と、前記2つのドット状パターンを前記下地表面に対して固定させる第2の工程と、少なくとも前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面を第2の液滴に対して親液化する第3の工程と、前記第3の工程の後で、前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面に、前記2つのドット状パターンを繋げる前記第2の液滴を配置する第4の工程と、を包含している。
【解決手段】層形成方法が、下地表面上で互いから孤立した2つのドット状パターンが得られるように、前記下地表面の2つの部位のそれぞれに、第1の液滴を配置する第1の工程と、前記2つのドット状パターンを前記下地表面に対して固定させる第2の工程と、少なくとも前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面を第2の液滴に対して親液化する第3の工程と、前記第3の工程の後で、前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面に、前記2つのドット状パターンを繋げる前記第2の液滴を配置する第4の工程と、を包含している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液滴の配置工程を伴う層形成方法、アクティブマトリクス基板の製造方法、および多層配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出装置を用いて線状パターンを形成することが知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−34837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェットプロセスは、液滴吐出装置を用いて機能液と呼ばれる液状材料を物体表面に配置する工程を含んでいる。この液滴吐出装置は、通常、機能液を液滴として吐出するヘッドと、対象となる下地表面に対してそのヘッドを2次元的に相対移動させる機構と、を備えており、このような構成のおかげで下地表面の任意の位置に、機能液からなる液滴を配置できる。
【0005】
このようなインクジェットプロセスを利用して、1つの液滴が濡れ拡がる面積よりも大きい面積を有する下地表面を機能液で隙間無く覆う場合には、その下地表面上で、濡れ拡がる範囲が互いに重なるように複数の液滴を配置する。そうすれば、その下地表面を隙間無く覆うパターンが得られる。ところが、その下地表面が機能液に対して撥液性を有している場合には、下地表面と液滴とが引き合う力よりも、互いに接する液滴同士が表面張力によって引き合う力の方が強いので、機能液が局所的に集中し得る。このような集中が生じると、下地表面が機能液で均一に覆われないし、最悪の場合には、下地表面の一部が機能液の欠如のために露出してしまう。
【0006】
本発明は、このような課題を鑑みてなされ、その目的の一つは、下地表面に液滴を配置して良好なべた状パターンを設ける方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の層形成方法は、下地表面上で互いから孤立した2つのドット状パターンが得られるように、前記下地表面の2つの部位のそれぞれに、第1の液滴を配置する第1の工程と、前記2つのドット状パターンを前記下地表面に対して固定させる第2の工程と、少なくとも前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面を第2の液滴に対して親液化する第3の工程と、前記第3の工程の後で、前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面に、前記2つのドット状パターンを繋げる前記第2の液滴を配置する第4の工程と、を包含している。ここで、前記第3の工程は、固定された前記2つのドット状パターンのそれぞれ上に第3の液滴をそれぞれ配置する工程を含んでいてもよい。また、前記第3の工程は、前記下地表面に紫外線を照射する工程、または前記下地表面をプラズマに曝す工程を含んでいてもよい。
【0008】
第2の工程によれば、2つのドット状パターンが下地表面に対して固定される。このため、第2の工程によって、下地表面上で2つのドット状パターンを動きにくくできる。
【0009】
さらに第3の工程によれば、2つのドット状パターンを繋げる第2の液滴が配置される前に、2つのドット状パターンの間の下地表面が第2の液滴に対して親液化される。この第3の工程によって下地表面に対して第2の液滴を動きにくくできる。
【0010】
以上のことから、第2の工程と第3の工程とによって、下地表面上で、第4の工程の際に2つのドット状パターンと第2の液滴とが互いに繋がっても、ドット状パターンも第2の液滴も下地表面に対して動きにくい。したがって、機能液の局所的な集合が生じにくくなり、そしてこの結果、下地表面上に得られる層に穴が生じる可能性が低下する。
【0011】
本発明の他の態様では、上記層形成方法は、前記第4の工程の後で、繋げられた前記2つのドット状パターンを活性化または乾燥させる第5の工程をさらに包含している。
【0012】
上記特徴によれば、液滴の配置によって生じるドット状パターンから最終的に得られる層に穴の生じる可能性が少ない。
【0013】
なお、上記層形成方法において、前記第2の液滴の1つあたりの体積と、前記第3の液滴の1つあたりの体積と、の少なくとも1つは、前記第1の液滴の1つあたりの体積と異なっていてもよい。
【0014】
本発明の層形成方法は、下地表面上で第1の方向と前記第1の方向とは異なる第2の方向とで決まるアレイ状に並んだ複数のドット状パターンが得られるように、前記下地表面の複数の部位のそれぞれに、第1の液滴を配置する第1の工程と、前記複数のドット状パターンを前記下地表面に対して固定させる第2の工程と、前記第2の工程の後で、前記第1の方向に並んだ前記複数のドット状パターンのそれぞれの間に第2の液滴をそれぞれ配置して、前記複数のドット状パターンを前記第1の方向に繋げる第3の工程と、前記第3の工程の後で、前記第2の方向に並んだ前記複数のドット状パターンのそれぞれの間に第3の液滴をそれぞれ配置して、前記複数のドット状パターンを前記第2の方向に繋げる第4の工程と、前記第4の工程の後で、前記第1の方向と前記第2の方向との合成方向に並んだ前記複数のドット状パターンのそれぞれの間に第4の液滴をそれぞれ配置する第5の工程と、を包含している。
【0015】
上記特徴によれば、第1の液滴を配置して得られる複数のドット状パターンのそれぞれが、下地表面の複数の部位のそれぞれに対して固定される。この結果、たとえ下地表面が第1の液滴に対して撥液性を有していても、第2の液滴および第3の液滴が第1の液滴に重なる際に第1の液滴が移動しない。
【0016】
好ましくは、上記層形成方法が、前記第2の工程と前記第3の工程との間で前記下地表面を親液化する第6の工程をさらに包含している。ここで、前記第6の工程は前記複数のドット状パターンのそれぞれ上に第5の液滴をそれぞれ配置する工程を含んでいてもよい。または、前記第6の工程は、前記下地表面に紫外線を照射する工程、または前記下地表面をプラズマに曝す工程を含んでいてもよい。
【0017】
上記特徴によって得られる効果の一つは、既に形成された複数のドット状パターンに第2の液滴が重なっても、第2の液滴が複数のドット状パターン側に引き寄せられないことである。
【0018】
本発明のさらに他の態様では、上記層形成方法が、前記第5の工程の後で前記複数のドット状パターンを活性化または乾燥させる第7の工程をさらに包含している。
【0019】
上記特徴によれば、液滴の配置によって生じるドット状パターンから最終的に得られる層に穴の生じる可能性が少ない。
【0020】
なお、上記層形成方法において、前記第2の液滴の1つあたりの体積と、前記第3の液滴の1つあたりの体積と、前記第4の液滴の1つあたりの体積と、前記第5の液滴の1つあたりの体積と、の少なくとも1つは、前記第1の液滴の1つのあたりの体積と異なっていてもよい。
【0021】
本発明のアクティブマトリクス基板の製造方法は、下地表面上で互いから孤立した2つのドット状パターンが得られるように、前記下地表面の2つの部位のそれぞれに、第1の液滴を配置する第1の工程と、前記2つのドット状パターンを前記下地表面に対して固定させる第2の工程と、少なくとも前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面を第2の液滴に対して親液化する第3の工程と、前記第3の工程の後で、前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面に、前記2つのドット状パターンを繋げる前記第2の液滴を配置する第4の工程と、を包含している。
【0022】
本発明の多層配線基板の製造方法は、下地表面上で互いから孤立した2つのドット状パターンが得られるように、前記下地表面の2つの部位のそれぞれに、第1の液滴を配置する第1の工程と、前記2つのドット状パターンを前記下地表面に対して固定させる第2の工程と、少なくとも前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面を第2の液滴に対して親液化する第3の工程と、前記第3の工程の後で、前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面に、前記2つのドット状パターンを繋げる前記第2の液滴を配置する第4の工程と、を包含している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下で説明する層形成方法によれば、下地表面としての基板10Aの表面(図1)に液滴が配置されることで、最終的にべた状の導電層8(図10)が設けられる。そして、層形成方法において液滴を配置する工程は、好適には液滴吐出装置によって実行される。ここで、液滴吐出装置の一例は、インクジェット装置である。
【0024】
液滴吐出装置は、具体的には、液滴を吐出するヘッドと、液滴が配置されることになる基板10Aを載せるステージと、ヘッドおよびステージの少なくとも一方を他方に対して相対移動させることで基板10A上の任意の位置にヘッドを対面させる機構と、を備えている。そして、ヘッドから吐出される液滴の体積は、1.5pl以上42pl(ピコリットル)以下の間で可変である。このような構成の液滴吐出装置において、ヘッドが基板10A上の所定位置に向けて液滴を吐出すると、その所定位置に液滴が配置される。
【0025】
ただし、場合によっては、液滴吐出装置が利用されなくてもよい。具体的には、機能液が液滴の形態で下地表面に配置されるのであれば、本発明の層形成方法は実行され得る。例えば、液滴吐出装置の代わりにマイクロピペットで液滴を配置してもよい。そして、液滴の体積も、1.5plより小さくてもよいし、42plより大きくてもよい。
【0026】
以下では、本実施形態の層形成方法を具体的に説明する。
【0027】
(1.ブロック)
図1に示すように、基板10Aの表面のうち、少なくとも導電層が形成される範囲に、仮想的な複数のブロック1を対応付ける。これら複数のブロック1は、X軸方向とY軸方向とで決まるアレイ状に並んでいる。ここでは、複数のブロック1のそれぞれのX軸方向に沿った長さは11μmであり、Y軸方向に沿った長さは15μmである。また、X軸方向とY軸方向とは互いに直交する方向である。そして、基板10Aは、ポリイミドからなる基板であり、テープ状の形状を有している。本実施形態では、基板10Aの表面が本発明の下地表面の一例である。このような下地表面のうち、導電層が形成されるべき範囲を「層形成範囲」とも表記する。
【0028】
複数のブロック1のそれぞれは、液滴が配置され得る領域、すなわち部位である。本実施形態では、ある1つのブロック1に液滴が配置される場合には、そのブロック1の中心と、配置される液滴の中心とがほぼ一致するように、液滴が配置される。また、複数のブロック1のX軸方向のピッチは、X軸方向に隣り合う2つの液滴の最小中心間距離に対応する。同様に、複数のブロック1のY軸方向のピッチは、Y軸方向に隣り合う2つの液滴の最小中心間距離に対応する。なお、図1では、説明の便宜上、144個(12×12)のブロック1が描かれているが、実際のブロック1の数はこの数に限定されない。
【0029】
さて、4ブロック×4ブロックで決まる16個のブロック1の集合ごとに、ブロック群1Gが定義されている。そして、1つのブロック群1Gにおける16個のブロック1のそれぞれを識別する目的で、それら16個のブロック1のそれぞれは、文字「C」と2桁のサフィックスとからなる符号(例えばC11)で表記されている。ここで、サフィックスの右側の数値はブロック群1GにおけるY軸方向に沿った位置を表しており、1から4までの整数である。一方、サフィックスの左側の数値はブロック群1GにおけるX軸方向の位置を表しており、1から4までの整数である。
【0030】
そして、複数のC11に着目すると、基板10Aの表面上では、複数のC11が、X軸方向およびY軸方向で決まるアレイ状に並んでいる。具体的には、複数のC11が、X軸方向にも、Y軸方向にも、それらの合成方向Uにも、周期的に位置している。本実施形態では、X軸方向に隣り合う任意の2つのC11の中心間の距離は、いずれも44.0μmである。また、Y軸方向に隣り合う任意の2つのC11の中心間の距離も、いずれも60.0μmである。さらに、X軸方向とY軸方向との合成方向Uに隣り合う任意の2つのC11の中心間距離は、いずれも74.4μmである。なお、X軸方向とY軸方向との合成方向Uは、ブロック1の対角線の方向である。
【0031】
(2.機能液)
ここで、導電層8を設ける工程は、機能液の液滴を配置する工程を含んでいる。「機能液」とは、液滴吐出装置のヘッドに設けられたノズルから液滴として吐出されうる粘度を有する液状材料をいう。「機能液」が水性であると油性であるとを問わない。ノズルから吐出可能な流動性(粘度)を備えていれば十分で、固体物質が混入していても全体として流動体であればよい。「機能液」の粘度は1mPa・s以上50mPa・s以下であるのが好ましい。粘度が1mPa・s以上である場合には、「機能液」の液滴を吐出する際にノズルの周辺部が「機能液」で汚染されにくい。一方、粘度が50mPa・s以下である場合は、ノズルにおける目詰まり頻度が小さく、このため円滑な液滴の吐出を実現できる。
【0032】
本実施形態の機能液は、分散媒と、導電材料としての銀と、を含有する。ここで、機能液における銀は、銀粒子の形態をしており、その銀粒子の平均粒径は10nm程度である。そして、機能液において、銀粒子はコーティング剤で被覆されていて、コーティング剤で被覆された銀粒子は、分散媒中に安定して分散されている。なお、平均粒径が1nm程度から数100nmまでの粒子は、「ナノ粒子」とも表記される。この表記によれば、機能液は銀のナノ粒子を含んでいる。
【0033】
分散媒(または溶媒)としては、銀粒子などの導電性微粒子を分散できるもので凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、導電性微粒子の分散性と分散液の安定性、またインクジェットプロセスへの適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0034】
また、上述のコーティング剤は、銀原子に配位可能な化合物である。コーティング剤としては、アミン、アルコール、チオールなどが知られている。より具体的には、コーティング剤として、2−メチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、ジエチルメチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミンなどのアミン化合物、アルキルアミン類、エチレンジアミン、アルキルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、アルキルチオール類、エタンジチオールなどがある。コーティング剤で被覆された銀のナノ粒子は、分散媒中でより安定して分散され得る。
【0035】
(3.液滴の配置順序)
以下では、図2の右上のブロック1を基準にして9ブロック×9ブロックに対応する層形成範囲に、X軸方向にもY軸方向にも合成方向Uにも連続したべた状パターンを設ける。ここでの「べた状パターン」とは、後述する活性化工程を経て、導電層8になる層である。なお、配置された液滴は表面上で若干濡れ拡がるので、9ブロック×9ブロックに対応する層形成範囲の面積は、9ブロック×9ブロックの面積よりもやや大きい。
【0036】
もちろん、他の実施形態では層形成範囲が、9ブロック×9ブロック以外に対応してもよい。例えば、層形成範囲が、100ブロック×100ブロックに対応する範囲であってもよいし、1ブロック×5ブロックに対応する範囲であってもよい。あるいは、層形成範囲は、1)C11を含むロウまたはカラムが層形成範囲の最も外側に対応し、および/または、2)C11が層形成範囲の隅に対応するように、設定される。なお、ここでの「ロウ」とは、X軸方向に一列に並んだブロック1の集合を意味し、「カラム」とは、Y軸方向に一列に並んだブロック1の集合を意味する。
【0037】
図2を参照しながら、層形成範囲に液滴を配置する工程を説明する。図2に示すように、複数のブロック群1G(図1)のいずれにおいても、液滴を配置させる順番は同じである。具体的には、複数のブロック群1Gのそれぞれにおいて、液滴を配置する順番は、C11、C31,C13,C33の順番である。
【0038】
ただし、図2の左上に位置するブロック群1Gと、左中央に位置するブロック群1Gと、において、C11,C13は層形成範囲に対応するが、C31,C33は層形成範囲に対応しない。このため、これらのブロック群1Gでは、C31,C33への液滴の配置はスキップされる。同様に、図2の左下のブロック群1Gにおいて、C11は層形成範囲に対応するが、C31,C13,C33は層形成範囲に対応しない。このため、このブロック群1Gについては、C31,C13,C33への液滴の配置がスキップされる。さらに、図2の中央下に位置するブロック群1Gと、右下に位置するブロック群1Gと、において、C11,C31は層形成範囲に対応するが、C13,C33は層形成範囲に対応しない。このため、これらのブロック群1Gについては、C13,C33への液滴の配置がスキップされる。
【0039】
(3A.基本ドットの配置工程)
まず、液滴の着弾径を30μmに設定する。着弾径とは、基板10Aに配置された液滴が基板10A上で濡れ拡がる範囲の直径とも言える。ここで、液滴吐出装置のノズルから吐出された直後の液滴の形状は、吐出方向に関してほぼ軸対称なので、基板10Aに着弾後の液滴の範囲の形状はほぼ円形になる。本明細書では、基板10A上に着弾した液滴または液滴の範囲を「ドット」とも表記する。
【0040】
次に、図3に示すように、層形成範囲内の複数のC11のそれぞれに、1つの液滴Dをそれぞれ配置する。つまり、複数のブロック群1Gのそれぞれにおいて、四隅に対応する4つのブロック1の1つに、液滴Dを配置する。この際に、C11の中心に液滴Dの中心が位置するように、液滴Dを配置する。なお、1つのブロック群1Gに対応する範囲において、最初に配置された液滴Dを「基本ドット」とも表記する。
【0041】
さて、上述のように、液滴Dの着弾径が30μmなので、C11に液滴Dが配置されると、C11の中心から15μmの範囲に液滴Dが拡がる。そしてこの結果、ドット状パターン4が得られる。ここで、X軸方向に互いに隣り合う2つのC11の中心間の距離は44μmであり、そして、Y軸方向に互いに隣り合う2つのC11の中心間の距離は60μmである。さらに、X軸方向とY軸方向との合成方向Uに互いに隣り合う2つのC11の中心間の距離は約74.4μmである。したがって、任意のC11上のドット状パターン4はいずれも隣のC11上のドット状パターン4に接しない。つまり、任意のC11上のドット状パターン4はいずれも隣のC11上のドット状パターン4から孤立している。
【0042】
以上のような工程の結果、基板10Aの表面上で、複数のドット状パターン4がX軸方向とY軸方向とで決まるアレイ状にかつそれぞれ孤立して並ぶ。なお、複数のC11と複数のドット状パターン4とは対応しているので、C11の数とドット状パターン4の数とは同じである。なお、C11を「基準領域」とも表記する。
【0043】
(3B.基本ドットの固定工程)
次に、複数のC11のそれぞれに配置されたそれぞれの液滴Dを固定する。つまり、複数のドット状パターン4を対応するC11に固定する。具体的には、ドット状パターン4を構成する機能液から溶媒(または分散媒)が気化する程度にドット状パターン4を乾燥させる。本実施形態では、ドライヤーから熱風を複数のC11のそれぞれ上のドット状パターン4に吹き付ける。通常、撥液性を有する表面上で機能液は移動し易い。しかしながら、本実施形態では、機能液からなるドット状パターン4を、このように乾燥させるのでドット状パターン4が流動性を失う。そしてこのため、ドット状パターン4がC11に固定される。この結果、C11上のドット状パターン4が、後にC31,C13、およびC33に配置されるそれぞれの液滴Dに接しても、C31,C13、またはC33へ引き寄せられる可能性が低くなる。そしてこのため、最終的に得られる導電層に穴が開く可能性が低くなる。
【0044】
(3C.親液化)
次に、図示はしていないが、基板10Aの表面を親液化する。本実施形態では、固定されたドット状パターン4上に液滴Dを配置する。つまり、複数のC11のそれぞれに再び1つの液滴Dをそれぞれ配置する。そうすると、後にC31に配置される液滴Dに対して、C31が親液性を呈するようになる。この結果、C31に配置された液滴Dが、C11に配置された液滴Dまたはドット状パターン4に接しても、C11へ引き寄せられる可能性が低くなる。そしてこのため、最終的に得られる導電層に穴が開く可能性が低くなる。なお、C11に再び液滴Dを配置することによって基板10Aの表面(C31)が親液性を呈することのメカニズムは十分理解されていない。ただし、現時点で発明者らは、再び配置された液滴Dがもたらす溶媒雰囲気が基板10A、またはC31での親液性の発現に寄与している、と推測している。
【0045】
ここで、C11に再び配置される液滴Dの体積は、C11に最初に配置された液滴Dの体積よりも小さくてもよい。具体的には、C31が親液性を発現するとともに、C11上のドット状パターン4が隣のC11のドット状パターン4から孤立し続ける程度の体積の液滴DをC11に再び配置してもよい。もちろん、C11に再び配置される液滴Dの体積は、C11に最初に配置された液滴Dの体積以上であってもよい。
【0046】
なお、機能液に対して基板10Aがある程度親液性を呈する場合には、上記の親液化の工程は、省略されてもよい。
【0047】
(3D.第1の接続ドットの配置工程)
層形成範囲内のC11のすべてに液滴Dを配置した後で、液滴吐出装置から吐出される液滴Dの着弾径を32μmに設定する。つまり、C11に配置された液滴Dの体積よりも大きい体積の液滴Dを吐出するように、液滴吐出装置の駆動波形を変える。なお、液滴吐出装置の駆動波形を変える技術(いわゆるバリアブルドットを実現する技術)の詳細は、特開2001−58433号公報の図5〜図8において説明されているので、ここではその説明を省略する。
【0048】
そして、図4に示すように、層形成範囲内の複数のC31のそれぞれに、1つの液滴Dをそれぞれ配置する。この際に、C31の中心に液滴Dの中心が位置するように、液滴Dを配置する。ここで、C31は、X軸方向に隣り合う2つのC11の中間にある。このため、C31とC31に最も近いC11との間の距離は22μmである。そして、C11上のドット状パターン4は、C11の中心から15μmの範囲に拡がっている。一方、C31上では、液滴DがC31の中心から16μmの範囲に拡がるので、C31に配置された液滴Dは、C11上のドット状パターン4に接する。なお、本明細書では、C31,C13,C33に配置される液滴Dを「接続ドット」とも表記する。
【0049】
このようにこの工程では、C11に対してX軸方向に位置するC31に液滴Dを配置する。そしてこのことで、ドット状パターン4がX軸方向に延びる。さらに、この工程では、X軸方向に並んだ複数のドット状パターン4がX軸方向に繋がる。そして、層形成範囲内のC31のすべてに液滴Dを配置し終えると、図5に示すように、C11に配置された液滴Dと、C31に配置された液滴Dとから構成される複数のライン状パターン5が現れる。これら複数のライン状パターン5のそれぞれは、X軸方向に延びているとともに、互いから孤立している。
【0050】
(3E.第2の接続ドットの配置工程)
層形成範囲内のC31のすべてに液滴Dを配置した後で、液滴吐出装置から吐出される液滴Dの着弾径を32μmに設定する。そして、図6に示すように、層形成範囲内の複数のC13のそれぞれに、1つの液滴Dをそれぞれ配置する。この際に、C13の中心に液滴Dの中心が位置するように、液滴Dを配置する。ここで、C13は、Y軸方向に隣り合う2つのC11の中間にある。このため、C13とC13に最も近いC11との間の距離は30μmである。そして、C11に配置された液滴Dは、C11の中心から15μmの範囲に拡がっている。一方、C13上では、液滴DがC13の中心から16μmの範囲に拡がるので、C13に配置された液滴Dは、ライン状パターン5に接する。
【0051】
このようにこの工程では、C11に対してY軸方向に位置するC13に液滴Dを配置する。そしてこのことで、複数のライン状パターン5のそれぞれがY軸方向に延びる。さらに、この工程では、これら複数のライン状パターン5がY軸方向に繋がる。そして、図7に示すように、層形成範囲内のC13のすべてに液滴Dを配置し終えると、C11に配置された液滴Dと、C31に配置された液滴Dと、C13に配置された液滴Dと、から構成される格子状パターン6が現れる。
【0052】
(3F.第3の接続ドットの配置工程)
層形成範囲内のC13のすべてに液滴Dを配置した後で、液滴吐出装置から吐出される液滴Dの着弾径を32μmに設定する。そして、図8に示すように、層形成範囲内の複数のC33のそれぞれに、1つの液滴Dをそれぞれ配置する。この際に、C33の中心に液滴Dの中心が位置するように、液滴Dを配置する。ここで、C33は、X軸方向とY軸方向との合成方向Uに隣り合う2つのC11の中間にある。そして、C33に配置される液滴Dは、すでに配置された液滴Dから構成される格子状パターン6の穴を埋める。そしてこのため、C33への液滴Dの配置によって、すでに配置された液滴Dから構成された格子状パターン6は、合成方向Uに延びる。
【0053】
さらに、層形成範囲内のC33のすべてに液滴Dを配置し終えると、図9に示すように、C11に配置された液滴Dと、C31に配置された液滴Dと、C13に配置された液滴Dと、C33に配置された液滴Dと、から構成されるべた状パターン7が現れる。本実施形態では、基板10Aの表面上の9ブロック×9ブロックに対応する層形成範囲は、隙間無くべた状パターン7に覆われる。なお、上述のように、液滴Dは表面上で拡がるので、べた状パターン7が覆う面積(層形成範囲の面積)は、9ブロック×9ブロックの面積よりも若干大きくなる。
【0054】
このように、層形成範囲において、C11,C31,C13,C33に、この順番でそれぞれの液滴Dを配置する。そうすれば、たとえ基板10Aの表面が撥液性を有していても、これら4種類のブロック1に配置された液滴Dによって、C11からX軸方向、Y軸方向、および合成方向Uのそれぞれに連続したべた状パターン7が形成できる。つまり、穴のないべた状パターン7が形成される。
【0055】
(3G.活性化工程)
次に、べた状パターン7を活性化する。本実施形態では、具体的には、べた状パターン7における銀粒子が焼結または融着するように、べた状パターン7を加熱する。そうすると、焼結または融着した銀粒子によってべた状パターン7において導電性が発現し、そしてこの結果、図10に示すような、導電層8が得られる。
【0056】
ここで、得られる導電層8の厚さの均一性が十分ではない場合には、活性化に先立って、図11に示すように、それぞれのブロック群1Gにおいて、さらに12個の液滴Dを配置してもよい。具体的には、C11、C31,C13,C33の4つのブロック1に加えて、C21,C41,C23,C43,C12,C32,C14,C34,C22,C42,C24,C44の12ブロック1のそれぞれにこの順番で、液滴Dを配置してもよい。つまり、ブロック群1Gにおけるブロック1の全てに液滴Dを配置してもよい。そうすれば、より均一な厚さの導電層8が得られる。なお、追加で配置される12個の液滴の体積は、先に配置された4つの液滴の体積よりも小さくてもよい。
【0057】
このように、本実施形態によれば、まず、基板10A上に複数のドット状パターン4が配置される。その後、X軸方向に延びる複数のライン状パターン5が現れる。その次に、複数のライン状パターン5がY軸方向に繋がって、格子状パターン6が現れる。最後に、残ったスペースに液滴Dが配置されて、2次元的に連続なべた状パターン7が形成される。そして、べた状パターン7を活性化することで、穴のない導電層8が得られる。
【0058】
さて、ブロック群1G内の液滴Dの配置順序が上述の順序である限り、複数のブロック群1G間の順番になんら制限はない。例えば、同じ種類のブロック1(例えばC11)に液滴Dを配置する場合に、X軸方向に延びた1つの列を構成する複数のブロック群1Gがほぼ同時に処理されてよい。同様に、Y軸方向に延びた1つの列を構成する複数のブロック群1Gがほぼ同時に処理されてもよい。また、同じ種類のブロック1に液滴Dを配置する場合に、1つのブロック群1Gずつが順番に処理されてもよい。
【0059】
さらに、ブロック群1G間の順番に拘わらず、本実施形態の層形成方法によれば、目的とする導電層8を形成する過程で、X軸方向に延びるライン状パターン5が格子状パターン6よりも先に現れる。しかしながら、本発明はこのような形態に限定されない。具体的には、Y軸方向に延びるライン状パターン5が格子状パターン6よりも先に現れるように、液滴Dを配置してもよい。具体的には、図12に示すように、C11,C13,C31,C33の順番で、これら4つのブロック1のそれぞれに、それぞれの液滴Dを配置すればよい。さらに、図13に示すように、これらC11,C13,C31,C33に加えて、C12,C14,C32,C34,C21,C23,C41,C43,C22,C24,C42,C44のそれぞれにこの順番で、液滴Dを配置してもよい。そうすれば、より均一な厚さの層を得る。
【0060】
(4.アクティブマトリクス基板の製造方法)
本発明は、アクティブマトリクス基板を製造する際に適用できる。まず、本発明を適用したアクティブマトリクス基板の一例について、図を参照して説明する。本実施形態のアクティブマトリクス基板は、スイッチング素子としてTFT(Thin Film Transistor)素子を備えている。
【0061】
(4A.アクティブマトリクス基板の例)
図14は、本実施形態のアクティブマトリクス基板の一部を拡大した模式図である。図15は、本実施形態のアクティブマトリクス基板の断面を示す模式図である。
【0062】
アクティブマトリクス基板20は、図14に示すように、基板21と、ゲート絶縁膜31(図15参照)と、活性層32と、コンタクト層33と、ゲート配線40と、ゲート電極41と、ソース配線42と、ソース電極43と、ドレイン電極44と、を備えている。そして、ゲート絶縁膜31と活性層32とコンタクト層33とゲート電極41とソース電極43とドレイン電極44とを含む部分がTFT30である。さらに、本実施形態では、アクティブマトリクス基板20上に画素電極45が位置している。
【0063】
複数のゲート配線40は、基板21上でX軸方向に延びている。それぞれのゲート配線40は、基板21上のそれぞれのゲート電極41に接続されている。一方、ゲート絶縁膜31は、複数のゲート配線40と、複数のゲート電極41と、を覆っている。複数のソース電極41は、ゲート絶縁膜31上で、Y軸方向に延びている。なお、X軸方向と、Y軸方向と、は互いにほぼ垂直である。
【0064】
半導体層はゲート絶縁膜31上に位置している。ここで、半導体層のうち、半導体層と、1つのゲート電極41と、が互いに重なる部分を、TFT30の活性層32と表記する。以下では、1つのTFT30に着目して説明を進める。
【0065】
活性層32上に、互いから所定距離を置いて離れている2つのコンタクト層33が設けられている。一方のコンタクト層33上には、ソース電極43が位置しており、他方のコンタクト層33上には、ドレイン電極44が位置している。ソース電極43は、対応するソース配線42に電気的に接続されている。また、ドレイン電極44は、対応する画素電極45に、コンタクトホール65(後述)を介して電気的に接続されている。
【0066】
ゲート配線42と、ゲート電極43と、ドレイン電極44と、2つのコンタクト層33と、活性層32とは、層間絶縁層によって覆われている。層間絶縁層の機能の一つは、ゲート配線42、活性層32などに起因した下地の凹凸を吸収して、ほぼ平坦な表面Sを提供することである。なお、後に説明するが、本実施形態の層間絶縁層は、複数のバンク61と、複数の絶縁材料層65とを含んでいる。
【0067】
ドレイン電極44上には、層間絶縁層を貫いてドレイン電極44に達するコンタクトホール66が位置している。また、層間絶縁層の表面S上には、画素電極45が位置している。そして、ドレイン電極44と、画素電極45とは、コンタクトホール66内に設けられた導電体によって接続されている。
【0068】
(4B.アクティブマトリクス基板の製造方法の例)
続いて、本発明を適用したアクティブマトリクス基板の製造方法の一例について、図を参照して説明する。図16は、本実施形態のアクティブマトリクス基板の製造方法を説明する図である。まず、基板21を用意する。基板21の材料は、ガラス、石英ガラス、Siウエハ、プラスチックフィルム、金属板など各種のものを用いることができる。また、基板21は、これら各種の材料の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜などが下地表面層として形成されたものであってもよい。
【0069】
次に、図16(a)に示すように、洗浄した基板21の上面に、1画素ピッチの1/20〜1/10の開口部52を設けるためのバンク51を、例えばフォトリソグラフィ法を用いて形成する。本実施形態では、バンク51は形成後に光透過性と撥液性を備えるので、その材料として、アクリル、ポリイミド、オレフィン、メラミンなどの高分子材料が好適に用いられる。バンク51は形成後に表面の撥液性を向上させる処理を施すが、その代わりに、バンク51の材料自体に予め撥液成分(フッ素基等)を充填しておいてもよい。この場合には、表面の撥液性を向上させる処理等を省略することができる。
【0070】
次に、インクジェットプロセスにより、バンク51で区画された開口部52内を充填するように機能液の液滴を配置し、ゲート配線40(図示しない)とゲート電極41とを形成する。ここで、機能液が含有する導電性微粒子としては、例えば、金、銀、銅、錫、鉛等を含有する金属微粒子の他、これらの酸化物、並びに導電性ポリマーや超電導体の微粒子などを用いる。これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。
【0071】
このとき、バンク51には十分な撥液性が予め与えられているので、開口部52からはみ出ることなく微細なゲート配線40のパターンを形成することができる。そして、この後、予備乾燥、焼成工程を経ることにより、基板21上にバンク51とゲート配線40とゲート電極41とからなる平坦な上面を備えた層が形成される。なお、開口部52内における良好な吐出結果を得るためには、図16(a)に示すように、この開口部52の形状として、吐出元に向かって開く向きのテーパ形状を採用するのが好ましい。これにより、吐出された機能液の液滴を十分に奥深くまで入り込ませることが可能となる。
【0072】
次に、図16(b)に示すように、本発明の層形成方法を適用して、ゲート絶縁膜31を形成する。ただし、前述の実施形態におけるべた状の導電層の代わりに、べた状の絶縁層を形成する。べた状の絶縁層を形成するには、導電材料の代わりに絶縁材料を含有する機能液を準備すればよい。ここで、このような機能液は、好適には、絶縁材料として光硬化性の絶縁樹脂と、この絶縁樹脂を溶解する有機溶媒と、を含有している。そして、機能液がこのような絶縁材料を含有する場合には、前述の固定工程と活性化工程とは、どちらも絶縁樹脂が硬化するように、機能液からなるドット状パターンまたはべた状パターンに光を照射する工程、またはこれらドット状パターンまたはべた状パターンを加熱する工程である。なお、ここでは、バンク51と、ゲート配線40と、ゲート電極41と、の表面がゲート絶縁膜31にとっての下地表面である。
【0073】
次に、プラズマCVD法により、活性層32とコンタクト層33との連続成膜を行う。具体的には、活性層32としてアモルファスシリコン膜を、コンタクト層33としてn+型シリコン膜を、原料ガスやプラズマ条件を変化させることにより形成する。CVD法で形成する場合、300℃〜350℃の熱履歴が必要になるが、無機系の材料をバンクに使用することで、透明性、耐熱性に関する問題を回避することができる。
【0074】
次に、図16(c)に示すように、ゲート絶縁膜31の上面に、1画素ピッチの1/20〜1/10でかつ開口部52と交差する開口部62を設けるためのバンク61を、例えばフォトリソグラフィ法を用いて形成する。本実施形態では、バンク61は、形成後に光透過性と撥液性を備えるので、その材料として、アクリル、ポリイミド、オレフィン、メラミンなどの高分子材料が好適に用いられる。バンク61は形成後に表面の撥液性を向上させる処理を施すが、その代わりに、バンク61の材料自体に予め撥液成分(フッ素基等)を充填しておいてもよい。この場合には、表面の撥液性を向上させる処理等を省略することができる。
【0075】
次に、インクジェットプロセスにより、バンク61で区画された開口部62内の、ゲート絶縁膜31と活性層32とコンタクト層33との露出面を覆うように機能液の液滴を配置し、図16(d)に示すように、ゲート配線40に対して交差するソース配線42(図示しない)とソース電極43とドレイン電極44とを形成する。このとき、機能液が含有する導電性材料としては、金、銀、銅、アルミニウム等を含有する金属微粒子の他、これらの酸化物、並びに導電性ポリマー等が好適に用いられる。ソース配線42とソース電極43とドレイン電極44とは、バンク61に十分な撥液性が予め与えられているので、開口部62からはみ出ることなく微細な配線パターンを形成することができる。
【0076】
次に、ソース配線42とソース電極43とドレイン電極44とを配置した開口部62を充填するように絶縁材料層65を配置する。これにより、基板21上に、バンク61と絶縁材料層65とからなる平坦な上面を備えた層が形成される。次に、図15に示すように、絶縁材料層65にコンタクトホール66を形成する。以上により、アクティブマトリクス基板20を製造することができる。
【0077】
本実施形態では、さらに、バンク61と絶縁材料層65とコンタクトホール66との上面に、本発明の層形成方法を適用して、画素電極45を形成する。画素電極45を形成する方法としては、前述の実施形態におけるべた状の導電層の形成方法を適用することができる。画素電極45は透明電極であるため、その材料に含有される導電性微粒子として、例えばITOを用いる。画素電極45は、コンタクトホール66を介してドレイン電極44に電気的に接続される。なお、ここでは、バンク61と、絶縁材料層65と、コンタクトホール66と、の表面が画素電極45にとっての下地表面である。
【0078】
本実施形態では、ゲート絶縁膜31がべた状の絶縁層の形成方法に基づいて形成され、画素電極45がべた状の導電層の形成方法に基づいて形成されている。これにより、最終的に得られる絶縁層および導電層に穴の生じる可能性が少ない。なお、このアクティブマトリクス基板20を用いて液晶表示装置を構成する場合、画素電極45の上面に液晶の分子を一定方向に並べるための配向膜(図示しない)を形成するが、この配向膜を形成する際にも本発明の層形成方法を適用することができる。また、アクティブマトリクス基板20を用いて液晶表示装置を構成する場合、アクティブマトリクス基板20に保持容量線を設けてもよい。
【0079】
(5.多層配線基板の製造方法)
本発明は多層配線基板を製造する際にも適用できる。まず、本発明を適用した多層配線基板の一例について、図を参照して説明する。本実施形態の多層配線基板は、基板の片面側に多層配線が形成されている。
【0080】
(5A.多層配線基板の例)
図17は、本実施形態の多層配線基板の構造を示す模式図である。多層配線基板70は、図17に示すように、基板71と、導電パターン72と、導電ポスト73と、サブ絶縁層81,82からなる絶縁層74と、複数のダミーポスト75と、絶縁層76と、導電層77と、を備えている。
【0081】
(5B.多層配線基板の製造方法の例)
続いて、本発明を適用した多層配線基板の製造方法の一例について、図を参照して説明する。図18および図19は、本実施形態の多層配線基板の製造方法を説明する図である。
【0082】
まず、図18(a)に示すような基体70Aを準備する。基体70Aは、基板71と、基板71上に位置している導電パターン72と、を備えている。ここで、基板71は、ポリイミドからなるフレキシブル基板である。基板71はテープ状の形状を有しており、そしてこのため、基板71はテープ基板とも呼ばれる。なお、本実施形態において、「基体70A」とは、基板71と、基板71上に設けられた1つ以上のパターンまたは層と、をまとめた総称である。
【0083】
次に、図18(b)に示すように、導電パターン72上の一部に、インクジェットプロセスによって、導電ポスト73を設ける。導電ポスト73は、後述する導電層77に対して密着性のよい導電材料を含有するように構成される。本実施形態では、導電層77が銀からなるので、導電ポスト73も銀を含有するように構成される。そして、このことで、導電ポスト73と、導電層77とは、密着できる。
【0084】
導電ポスト73を形成した後に、図18(c)および(d)に示すように、絶縁層74を形成する。絶縁層74は、導電ポスト73の側面の下部を囲むとともに導電パターン72を覆うことになる。ここで、絶縁層74は、以下で説明するように、本発明の層形成方法を適用して形成され、互いに積層された2つのサブ絶縁層81,82からなる。
【0085】
まず、基板71の表面上の部分のうち、導電パターン72がない部分にサブ絶縁層81を形成する(図18(c))。サブ絶縁層81を形成する方法としては、べた状の絶縁層の形成方法を適用することができる。ここで、サブ絶縁層81の厚さは導電パターン72の厚さにほぼ一致するように設定されている。そしてこのため、サブ絶縁層81が形成された後では、サブ絶縁層81の表面と、導電パターン72の表面とは、ほぼ同じレベルに位置することになる。また、本実施形態のサブ絶縁層81は、アクリル樹脂を含有する。なお、ここでは、基板71の表面がサブ絶縁層81にとっての下地表面である。
【0086】
次に、導電パターン72とサブ絶縁層81との面上に、サブ絶縁層82を形成する(図18(d))。サブ絶縁層82を形成する方法としては、べた状の絶縁層の形成方法を適用することができる。ここで、サブ絶縁層82は、下地の導電パターン72とサブ絶縁層81とを覆うとともに、導電ポスト73の側面の下部を囲むように形成される。また、サブ絶縁層82は、アクリル樹脂を含有する。なお、ここでは、導電パターン72とサブ絶縁層81との表面がサブ絶縁層82にとっての下地表面である。
【0087】
次に、図19(a)に示すように、絶縁層74上にインクジェットプロセスによって、複数のダミーポスト75を形成する。ここで、複数のダミーポスト75のそれぞれの上部と、導電ポスト73の上部とが、ほぼ同じレベルに位置するように、複数のダミーポスト75が形成される。複数のダミーポスト75のそれぞれは、後述する導電層77に対して密着性のよい導電材料を含有するように構成される。本実施形態では、導電層77が銀からなるので、複数のダミーポスト75のそれぞれも銀を含有するように構成される。そして、このことで、複数のダミーポスト75のそれぞれと、導電層77とは、密着できる。
【0088】
次に、図19(b)に示すように、絶縁層74上に、複数のダミーポスト75のそれぞれの側面を囲むとともに、絶縁層74上に突出している導電ポスト73の側面を囲む絶縁層76を形成する。ここで、絶縁層76の厚さは、絶縁層76から複数のダミーポスト75のそれぞれの上部と、導電ポスト73の上部と、が露出するように、設定されている。絶縁層76を形成する方法としては、べた状の絶縁層の形成方法を適用することができる。なお、ここでは、絶縁層74の表面、すなわちサブ絶縁層82の表面が絶縁層76にとっての下地表面である。
【0089】
このように絶縁層76を設ければ、複数のダミーポスト75にZ軸方向の外力を加えることで複数のダミーポスト75を絶縁層76から抜き取ろうとしても、複数のダミーポスト75は絶縁層76を抜け出ることがない。つまり、複数のダミーポスト75のそれぞれは、絶縁層76に対して固定される。
【0090】
さらに、絶縁層76は、絶縁層74に対して密着性のよい絶縁材料を含有するように構成される。本実施形態では、絶縁層74がアクリル樹脂を含有するように構成されているので、絶縁層76も同様に、アクリル樹脂を含有するように構成されている。そして、このことから、絶縁層76と絶縁層74とは、互いに密着する。つまり、絶縁層76は絶縁層74に対して固定される。
【0091】
次に、図19(c)に示すように、絶縁層76上に、本発明の層形成方法を適用して、複数のダミーポスト75のそれぞれの上部に接続されるとともに、導電ポスト73の上部に接続される導電層77を形成する。導電層77を形成する方法としては、べた状の導電層の形成方法を適用することができる。ここでは、絶縁層76と複数のダミーポスト75との表面が導電層77にとっての下地表面である。
【0092】
本実施形態では、このような工程によって、基体70Aから多層配線基板70が得られる。ここで、導電層77は、銀を含有する。上述のように、複数のダミーポスト75のそれぞれも銀を含有するので、導電層77と、ダミーポスト75のそれぞれとは、互いに密着する。つまり、導電層77は、複数のダミーポスト75に対して固定される。
【0093】
上述のように、複数のダミーポスト75のそれぞれは絶縁層76に対して固定されているので、このため、導電層77も絶縁層76に対して固定される。しかも、絶縁層76は絶縁層74に対して固定されているので、結果として、導電層77は、より下地の絶縁層74に対しても固定される。
【0094】
本実施形態では、サブ絶縁層81,82からなる絶縁層74と絶縁層76とがべた状の絶縁層の形成方法に基づいて形成され、導電層77がべた状の導電層の形成方法に基づいて形成されている。これにより、最終的に得られる絶縁層および導電層に穴の生じる可能性が少ない。
【0095】
なお、本実施形態では、多層配線基板70は、その最下層を構成する基板71から最表層を構成する導電層77まで、Z軸方向に積層された5つの層からなる。しかしながら、実際には、基板71と、絶縁層74との間に、さらに多くの層が存在してもよい。また、多層配線基板70において、複数の絶縁層または絶縁パターンの間に、抵抗器、キャパシタ、LSIベアチップ、またはLSIパッケージなどの電子部品が埋め込まれていてもよい。また、ポリイミドからなる基板71に代えて、セラミック基板、ガラス基板、エポキシ基板、ガラスエポキシ基板、またはシリコン基板などが利用されても、上記実施形態で説明した効果と同様の効果が得られる。
【0096】
(変形例1)
上記実施形態では、C11上のドット状パターン4を乾燥した後で、C11に再度液滴Dを配置することで、C31の表面を親液化した。しかしながら、本発明はこのような形態に限定されない。具体的には、C11上の液滴Dを乾燥した後で、基板10Aの表面を酸素プラズマに曝すことで、C31を親液化してもよいし、基板10Aの表面に紫外域の波長を照射することで、C31を親液化してもよい。
【0097】
(変形例2)
上記実施形態では、べた状の導電層を形成するための機能液には、銀のナノ粒子が含まれている。しかしながら、銀のナノ粒子に代えて、他の金属のナノ粒子が用いられてもよい。ここで、他の金属として、例えば、金、白金、銅、パラジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、イリジウム、鉄、錫、亜鉛、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、タンタル、タングステン、インジウムのいずれか1つが利用されてもよいし、または、いずれか2つ以上が組み合わせられた合金が利用されてもよい。ただし、銀であれば比較的低温で還元できるため、扱いが容易であり、この点で、液滴吐出装置を利用する場合には、銀のナノ粒子を含有する機能液を利用することは好ましい。
【0098】
また、機能液が、金属のナノ粒子に代えて、有機金属化合物を含んでいてもよい。ここでいう有機金属化合物は、加熱による分解によって金属が析出するような化合物である。このような有機金属化合物には、クロロトリエチルホスフィン金(I)、クロロトリメチルホスフィン金(I)、クロロトリフェニルフォスフィン金(I)、銀(I)2,4−ペンタンヂオナト錯体、トリメチルホスフィン(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)銀(I)錯体、銅(I)ヘキサフルオロペンタンジオナトシクロオクタジエン錯体、などがある。
【0099】
このように、機能液に含まれる金属の形態は、ナノ粒子に代表される粒子の形態でもよいし、有機金属化合物のような化合物の形態でもよい。
【0100】
さらに、機能液は、金属に代えて、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリ(3,4エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)などの導電性高分子の可溶性材料を含んでいてもよい。
【0101】
(変形例3)
上記実施形態によれば、ポリイミドからなる基板10A上に液滴が配置される。しかしながら、このような基板10Aに代えて、セラミック基板、ガラス基板、エポキシ基板、ガラスエポキシ基板、またはシリコン基板などが利用されても、上記実施形態で説明した効果と同様の効果が得られる。また、液滴が配置される下地表面は、基板の表面に限定されない。ほぼ平坦な絶縁層の表面またはほぼ平坦な導電層の表面でもよい。
【0102】
(変形例4)
上記実施形態におけるブロック1の大きさ、ブロック群1Gに含まれるブロック1の数、および液滴Dの着弾径は、本実施形態の値に限定されない。具体的には、任意のC11上のドット状パターン4がいずれも隣のC11上のドット状パターン4から孤立するように、ブロック1の大きさ、ブロック群1Gに含まれるブロック1の数、および液滴Dの着弾径の少なくとも一つを設定すればよい。
【0103】
(変形例5)
上記実施形態によれば、C31に配置される液滴Dの着弾径と、C13に配置される液滴Dの着弾径と、C33に配置される液滴の着弾径とは、何れも同じである。ただし、このような構成に代えて、より均一な厚さの導電層8が得られるように、これらの着弾径を異ならせてもよい。なお、液滴Dの着弾径を異ならせる際には、吐出される液滴Dの体積を変えればよい。
【0104】
(変形例6)
C11,C31,C13,C33への液滴Dの配置に先立って、下地表面の撥液性の程度が上昇するように、基板10Aの表面に表面改質処理を施してもよい。そうすれば、べた状パターン7の縁の形状がよりシャープになる。なお、表面の撥液性を向上させる処理として、基板10Aの表面にフルオロアルキルシラン(FAS)膜を形成することが知られている。また、フッ素を含有する処理ガスを用いた大気圧プラズマ法にしたがって処理ガスに表面を曝しても、表面の撥液性を向上させることができる。
【0105】
(変形例7)
本実施形態では、べた状パターン7を活性化させ、目的とする導電層8を得る。ただし他の実施形態では、べた状パターン7を構成する材料に応じて、べた状パターン7を活性化する代わりに、べた状パターン7を乾燥させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】基板の表面に対応付けられたブロックを示す模式図。
【図2】ブロックに液滴を配置する順番を示す図。
【図3】C11に液滴を配置する工程を示す図。
【図4】C31に液滴を配置する工程を示す図。
【図5】C31に液滴が配置された後に得られるライン状パターンを示す模式図。
【図6】C13に液滴を配置する工程を示す図。
【図7】C13に液滴が配置された後に得られる格子状パターンを示す模式図。
【図8】C33に液滴を配置する工程を示す図。
【図9】C33に液滴が配置された後に得られるべた状パターンを示す模式図。
【図10】図9のべた状パターンを活性化して得られる導電層を示す模式図。
【図11】ブロックに液滴を配置する他の順番を示す図。
【図12】ブロックに液滴を配置するさらに他の順番を示す図。
【図13】ブロックに液滴を配置するさらに他の順番を示す図。
【図14】本実施形態のアクティブマトリクス基板の一部を拡大した模式図。
【図15】本実施形態のアクティブマトリクス基板の断面を示す模式図。
【図16】本実施形態のアクティブマトリクス基板の製造方法を説明する図。
【図17】本実施形態の多層配線基板の構造を示す模式図。
【図18】本実施形態の多層配線基板の製造方法を説明する図。
【図19】本実施形態の多層配線基板の製造方法を説明する図。
【符号の説明】
【0107】
D…液滴、1…ブロック、4…ドット状パターン、5…ライン状パターン、6…格子状パターン、7…べた状パターン、8…導電層、10A…基板、20…アクティブマトリクス基板、21…基板、30…TFT、31…ゲート絶縁膜、32…活性層、33…コンタクト層、40…ゲート配線、41…ゲート電極、42…ソース配線、43…ソース電極、44…ドレイン電極、45…画素電極、51…バンク、52…開口部、61…バンク、62…開口部、65…絶縁材料層、66…コンタクトホール、70…多層配線基板、70A…基体、71…基板、72…導電パターン、73…導電ポスト、74…絶縁層、75…ダミーポスト、76…絶縁層、77…導電層、81…サブ絶縁層、82…サブ絶縁層。
【技術分野】
【0001】
本発明は液滴の配置工程を伴う層形成方法、アクティブマトリクス基板の製造方法、および多層配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出装置を用いて線状パターンを形成することが知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−34837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェットプロセスは、液滴吐出装置を用いて機能液と呼ばれる液状材料を物体表面に配置する工程を含んでいる。この液滴吐出装置は、通常、機能液を液滴として吐出するヘッドと、対象となる下地表面に対してそのヘッドを2次元的に相対移動させる機構と、を備えており、このような構成のおかげで下地表面の任意の位置に、機能液からなる液滴を配置できる。
【0005】
このようなインクジェットプロセスを利用して、1つの液滴が濡れ拡がる面積よりも大きい面積を有する下地表面を機能液で隙間無く覆う場合には、その下地表面上で、濡れ拡がる範囲が互いに重なるように複数の液滴を配置する。そうすれば、その下地表面を隙間無く覆うパターンが得られる。ところが、その下地表面が機能液に対して撥液性を有している場合には、下地表面と液滴とが引き合う力よりも、互いに接する液滴同士が表面張力によって引き合う力の方が強いので、機能液が局所的に集中し得る。このような集中が生じると、下地表面が機能液で均一に覆われないし、最悪の場合には、下地表面の一部が機能液の欠如のために露出してしまう。
【0006】
本発明は、このような課題を鑑みてなされ、その目的の一つは、下地表面に液滴を配置して良好なべた状パターンを設ける方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の層形成方法は、下地表面上で互いから孤立した2つのドット状パターンが得られるように、前記下地表面の2つの部位のそれぞれに、第1の液滴を配置する第1の工程と、前記2つのドット状パターンを前記下地表面に対して固定させる第2の工程と、少なくとも前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面を第2の液滴に対して親液化する第3の工程と、前記第3の工程の後で、前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面に、前記2つのドット状パターンを繋げる前記第2の液滴を配置する第4の工程と、を包含している。ここで、前記第3の工程は、固定された前記2つのドット状パターンのそれぞれ上に第3の液滴をそれぞれ配置する工程を含んでいてもよい。また、前記第3の工程は、前記下地表面に紫外線を照射する工程、または前記下地表面をプラズマに曝す工程を含んでいてもよい。
【0008】
第2の工程によれば、2つのドット状パターンが下地表面に対して固定される。このため、第2の工程によって、下地表面上で2つのドット状パターンを動きにくくできる。
【0009】
さらに第3の工程によれば、2つのドット状パターンを繋げる第2の液滴が配置される前に、2つのドット状パターンの間の下地表面が第2の液滴に対して親液化される。この第3の工程によって下地表面に対して第2の液滴を動きにくくできる。
【0010】
以上のことから、第2の工程と第3の工程とによって、下地表面上で、第4の工程の際に2つのドット状パターンと第2の液滴とが互いに繋がっても、ドット状パターンも第2の液滴も下地表面に対して動きにくい。したがって、機能液の局所的な集合が生じにくくなり、そしてこの結果、下地表面上に得られる層に穴が生じる可能性が低下する。
【0011】
本発明の他の態様では、上記層形成方法は、前記第4の工程の後で、繋げられた前記2つのドット状パターンを活性化または乾燥させる第5の工程をさらに包含している。
【0012】
上記特徴によれば、液滴の配置によって生じるドット状パターンから最終的に得られる層に穴の生じる可能性が少ない。
【0013】
なお、上記層形成方法において、前記第2の液滴の1つあたりの体積と、前記第3の液滴の1つあたりの体積と、の少なくとも1つは、前記第1の液滴の1つあたりの体積と異なっていてもよい。
【0014】
本発明の層形成方法は、下地表面上で第1の方向と前記第1の方向とは異なる第2の方向とで決まるアレイ状に並んだ複数のドット状パターンが得られるように、前記下地表面の複数の部位のそれぞれに、第1の液滴を配置する第1の工程と、前記複数のドット状パターンを前記下地表面に対して固定させる第2の工程と、前記第2の工程の後で、前記第1の方向に並んだ前記複数のドット状パターンのそれぞれの間に第2の液滴をそれぞれ配置して、前記複数のドット状パターンを前記第1の方向に繋げる第3の工程と、前記第3の工程の後で、前記第2の方向に並んだ前記複数のドット状パターンのそれぞれの間に第3の液滴をそれぞれ配置して、前記複数のドット状パターンを前記第2の方向に繋げる第4の工程と、前記第4の工程の後で、前記第1の方向と前記第2の方向との合成方向に並んだ前記複数のドット状パターンのそれぞれの間に第4の液滴をそれぞれ配置する第5の工程と、を包含している。
【0015】
上記特徴によれば、第1の液滴を配置して得られる複数のドット状パターンのそれぞれが、下地表面の複数の部位のそれぞれに対して固定される。この結果、たとえ下地表面が第1の液滴に対して撥液性を有していても、第2の液滴および第3の液滴が第1の液滴に重なる際に第1の液滴が移動しない。
【0016】
好ましくは、上記層形成方法が、前記第2の工程と前記第3の工程との間で前記下地表面を親液化する第6の工程をさらに包含している。ここで、前記第6の工程は前記複数のドット状パターンのそれぞれ上に第5の液滴をそれぞれ配置する工程を含んでいてもよい。または、前記第6の工程は、前記下地表面に紫外線を照射する工程、または前記下地表面をプラズマに曝す工程を含んでいてもよい。
【0017】
上記特徴によって得られる効果の一つは、既に形成された複数のドット状パターンに第2の液滴が重なっても、第2の液滴が複数のドット状パターン側に引き寄せられないことである。
【0018】
本発明のさらに他の態様では、上記層形成方法が、前記第5の工程の後で前記複数のドット状パターンを活性化または乾燥させる第7の工程をさらに包含している。
【0019】
上記特徴によれば、液滴の配置によって生じるドット状パターンから最終的に得られる層に穴の生じる可能性が少ない。
【0020】
なお、上記層形成方法において、前記第2の液滴の1つあたりの体積と、前記第3の液滴の1つあたりの体積と、前記第4の液滴の1つあたりの体積と、前記第5の液滴の1つあたりの体積と、の少なくとも1つは、前記第1の液滴の1つのあたりの体積と異なっていてもよい。
【0021】
本発明のアクティブマトリクス基板の製造方法は、下地表面上で互いから孤立した2つのドット状パターンが得られるように、前記下地表面の2つの部位のそれぞれに、第1の液滴を配置する第1の工程と、前記2つのドット状パターンを前記下地表面に対して固定させる第2の工程と、少なくとも前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面を第2の液滴に対して親液化する第3の工程と、前記第3の工程の後で、前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面に、前記2つのドット状パターンを繋げる前記第2の液滴を配置する第4の工程と、を包含している。
【0022】
本発明の多層配線基板の製造方法は、下地表面上で互いから孤立した2つのドット状パターンが得られるように、前記下地表面の2つの部位のそれぞれに、第1の液滴を配置する第1の工程と、前記2つのドット状パターンを前記下地表面に対して固定させる第2の工程と、少なくとも前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面を第2の液滴に対して親液化する第3の工程と、前記第3の工程の後で、前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面に、前記2つのドット状パターンを繋げる前記第2の液滴を配置する第4の工程と、を包含している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下で説明する層形成方法によれば、下地表面としての基板10Aの表面(図1)に液滴が配置されることで、最終的にべた状の導電層8(図10)が設けられる。そして、層形成方法において液滴を配置する工程は、好適には液滴吐出装置によって実行される。ここで、液滴吐出装置の一例は、インクジェット装置である。
【0024】
液滴吐出装置は、具体的には、液滴を吐出するヘッドと、液滴が配置されることになる基板10Aを載せるステージと、ヘッドおよびステージの少なくとも一方を他方に対して相対移動させることで基板10A上の任意の位置にヘッドを対面させる機構と、を備えている。そして、ヘッドから吐出される液滴の体積は、1.5pl以上42pl(ピコリットル)以下の間で可変である。このような構成の液滴吐出装置において、ヘッドが基板10A上の所定位置に向けて液滴を吐出すると、その所定位置に液滴が配置される。
【0025】
ただし、場合によっては、液滴吐出装置が利用されなくてもよい。具体的には、機能液が液滴の形態で下地表面に配置されるのであれば、本発明の層形成方法は実行され得る。例えば、液滴吐出装置の代わりにマイクロピペットで液滴を配置してもよい。そして、液滴の体積も、1.5plより小さくてもよいし、42plより大きくてもよい。
【0026】
以下では、本実施形態の層形成方法を具体的に説明する。
【0027】
(1.ブロック)
図1に示すように、基板10Aの表面のうち、少なくとも導電層が形成される範囲に、仮想的な複数のブロック1を対応付ける。これら複数のブロック1は、X軸方向とY軸方向とで決まるアレイ状に並んでいる。ここでは、複数のブロック1のそれぞれのX軸方向に沿った長さは11μmであり、Y軸方向に沿った長さは15μmである。また、X軸方向とY軸方向とは互いに直交する方向である。そして、基板10Aは、ポリイミドからなる基板であり、テープ状の形状を有している。本実施形態では、基板10Aの表面が本発明の下地表面の一例である。このような下地表面のうち、導電層が形成されるべき範囲を「層形成範囲」とも表記する。
【0028】
複数のブロック1のそれぞれは、液滴が配置され得る領域、すなわち部位である。本実施形態では、ある1つのブロック1に液滴が配置される場合には、そのブロック1の中心と、配置される液滴の中心とがほぼ一致するように、液滴が配置される。また、複数のブロック1のX軸方向のピッチは、X軸方向に隣り合う2つの液滴の最小中心間距離に対応する。同様に、複数のブロック1のY軸方向のピッチは、Y軸方向に隣り合う2つの液滴の最小中心間距離に対応する。なお、図1では、説明の便宜上、144個(12×12)のブロック1が描かれているが、実際のブロック1の数はこの数に限定されない。
【0029】
さて、4ブロック×4ブロックで決まる16個のブロック1の集合ごとに、ブロック群1Gが定義されている。そして、1つのブロック群1Gにおける16個のブロック1のそれぞれを識別する目的で、それら16個のブロック1のそれぞれは、文字「C」と2桁のサフィックスとからなる符号(例えばC11)で表記されている。ここで、サフィックスの右側の数値はブロック群1GにおけるY軸方向に沿った位置を表しており、1から4までの整数である。一方、サフィックスの左側の数値はブロック群1GにおけるX軸方向の位置を表しており、1から4までの整数である。
【0030】
そして、複数のC11に着目すると、基板10Aの表面上では、複数のC11が、X軸方向およびY軸方向で決まるアレイ状に並んでいる。具体的には、複数のC11が、X軸方向にも、Y軸方向にも、それらの合成方向Uにも、周期的に位置している。本実施形態では、X軸方向に隣り合う任意の2つのC11の中心間の距離は、いずれも44.0μmである。また、Y軸方向に隣り合う任意の2つのC11の中心間の距離も、いずれも60.0μmである。さらに、X軸方向とY軸方向との合成方向Uに隣り合う任意の2つのC11の中心間距離は、いずれも74.4μmである。なお、X軸方向とY軸方向との合成方向Uは、ブロック1の対角線の方向である。
【0031】
(2.機能液)
ここで、導電層8を設ける工程は、機能液の液滴を配置する工程を含んでいる。「機能液」とは、液滴吐出装置のヘッドに設けられたノズルから液滴として吐出されうる粘度を有する液状材料をいう。「機能液」が水性であると油性であるとを問わない。ノズルから吐出可能な流動性(粘度)を備えていれば十分で、固体物質が混入していても全体として流動体であればよい。「機能液」の粘度は1mPa・s以上50mPa・s以下であるのが好ましい。粘度が1mPa・s以上である場合には、「機能液」の液滴を吐出する際にノズルの周辺部が「機能液」で汚染されにくい。一方、粘度が50mPa・s以下である場合は、ノズルにおける目詰まり頻度が小さく、このため円滑な液滴の吐出を実現できる。
【0032】
本実施形態の機能液は、分散媒と、導電材料としての銀と、を含有する。ここで、機能液における銀は、銀粒子の形態をしており、その銀粒子の平均粒径は10nm程度である。そして、機能液において、銀粒子はコーティング剤で被覆されていて、コーティング剤で被覆された銀粒子は、分散媒中に安定して分散されている。なお、平均粒径が1nm程度から数100nmまでの粒子は、「ナノ粒子」とも表記される。この表記によれば、機能液は銀のナノ粒子を含んでいる。
【0033】
分散媒(または溶媒)としては、銀粒子などの導電性微粒子を分散できるもので凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、導電性微粒子の分散性と分散液の安定性、またインクジェットプロセスへの適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0034】
また、上述のコーティング剤は、銀原子に配位可能な化合物である。コーティング剤としては、アミン、アルコール、チオールなどが知られている。より具体的には、コーティング剤として、2−メチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、ジエチルメチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミンなどのアミン化合物、アルキルアミン類、エチレンジアミン、アルキルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、アルキルチオール類、エタンジチオールなどがある。コーティング剤で被覆された銀のナノ粒子は、分散媒中でより安定して分散され得る。
【0035】
(3.液滴の配置順序)
以下では、図2の右上のブロック1を基準にして9ブロック×9ブロックに対応する層形成範囲に、X軸方向にもY軸方向にも合成方向Uにも連続したべた状パターンを設ける。ここでの「べた状パターン」とは、後述する活性化工程を経て、導電層8になる層である。なお、配置された液滴は表面上で若干濡れ拡がるので、9ブロック×9ブロックに対応する層形成範囲の面積は、9ブロック×9ブロックの面積よりもやや大きい。
【0036】
もちろん、他の実施形態では層形成範囲が、9ブロック×9ブロック以外に対応してもよい。例えば、層形成範囲が、100ブロック×100ブロックに対応する範囲であってもよいし、1ブロック×5ブロックに対応する範囲であってもよい。あるいは、層形成範囲は、1)C11を含むロウまたはカラムが層形成範囲の最も外側に対応し、および/または、2)C11が層形成範囲の隅に対応するように、設定される。なお、ここでの「ロウ」とは、X軸方向に一列に並んだブロック1の集合を意味し、「カラム」とは、Y軸方向に一列に並んだブロック1の集合を意味する。
【0037】
図2を参照しながら、層形成範囲に液滴を配置する工程を説明する。図2に示すように、複数のブロック群1G(図1)のいずれにおいても、液滴を配置させる順番は同じである。具体的には、複数のブロック群1Gのそれぞれにおいて、液滴を配置する順番は、C11、C31,C13,C33の順番である。
【0038】
ただし、図2の左上に位置するブロック群1Gと、左中央に位置するブロック群1Gと、において、C11,C13は層形成範囲に対応するが、C31,C33は層形成範囲に対応しない。このため、これらのブロック群1Gでは、C31,C33への液滴の配置はスキップされる。同様に、図2の左下のブロック群1Gにおいて、C11は層形成範囲に対応するが、C31,C13,C33は層形成範囲に対応しない。このため、このブロック群1Gについては、C31,C13,C33への液滴の配置がスキップされる。さらに、図2の中央下に位置するブロック群1Gと、右下に位置するブロック群1Gと、において、C11,C31は層形成範囲に対応するが、C13,C33は層形成範囲に対応しない。このため、これらのブロック群1Gについては、C13,C33への液滴の配置がスキップされる。
【0039】
(3A.基本ドットの配置工程)
まず、液滴の着弾径を30μmに設定する。着弾径とは、基板10Aに配置された液滴が基板10A上で濡れ拡がる範囲の直径とも言える。ここで、液滴吐出装置のノズルから吐出された直後の液滴の形状は、吐出方向に関してほぼ軸対称なので、基板10Aに着弾後の液滴の範囲の形状はほぼ円形になる。本明細書では、基板10A上に着弾した液滴または液滴の範囲を「ドット」とも表記する。
【0040】
次に、図3に示すように、層形成範囲内の複数のC11のそれぞれに、1つの液滴Dをそれぞれ配置する。つまり、複数のブロック群1Gのそれぞれにおいて、四隅に対応する4つのブロック1の1つに、液滴Dを配置する。この際に、C11の中心に液滴Dの中心が位置するように、液滴Dを配置する。なお、1つのブロック群1Gに対応する範囲において、最初に配置された液滴Dを「基本ドット」とも表記する。
【0041】
さて、上述のように、液滴Dの着弾径が30μmなので、C11に液滴Dが配置されると、C11の中心から15μmの範囲に液滴Dが拡がる。そしてこの結果、ドット状パターン4が得られる。ここで、X軸方向に互いに隣り合う2つのC11の中心間の距離は44μmであり、そして、Y軸方向に互いに隣り合う2つのC11の中心間の距離は60μmである。さらに、X軸方向とY軸方向との合成方向Uに互いに隣り合う2つのC11の中心間の距離は約74.4μmである。したがって、任意のC11上のドット状パターン4はいずれも隣のC11上のドット状パターン4に接しない。つまり、任意のC11上のドット状パターン4はいずれも隣のC11上のドット状パターン4から孤立している。
【0042】
以上のような工程の結果、基板10Aの表面上で、複数のドット状パターン4がX軸方向とY軸方向とで決まるアレイ状にかつそれぞれ孤立して並ぶ。なお、複数のC11と複数のドット状パターン4とは対応しているので、C11の数とドット状パターン4の数とは同じである。なお、C11を「基準領域」とも表記する。
【0043】
(3B.基本ドットの固定工程)
次に、複数のC11のそれぞれに配置されたそれぞれの液滴Dを固定する。つまり、複数のドット状パターン4を対応するC11に固定する。具体的には、ドット状パターン4を構成する機能液から溶媒(または分散媒)が気化する程度にドット状パターン4を乾燥させる。本実施形態では、ドライヤーから熱風を複数のC11のそれぞれ上のドット状パターン4に吹き付ける。通常、撥液性を有する表面上で機能液は移動し易い。しかしながら、本実施形態では、機能液からなるドット状パターン4を、このように乾燥させるのでドット状パターン4が流動性を失う。そしてこのため、ドット状パターン4がC11に固定される。この結果、C11上のドット状パターン4が、後にC31,C13、およびC33に配置されるそれぞれの液滴Dに接しても、C31,C13、またはC33へ引き寄せられる可能性が低くなる。そしてこのため、最終的に得られる導電層に穴が開く可能性が低くなる。
【0044】
(3C.親液化)
次に、図示はしていないが、基板10Aの表面を親液化する。本実施形態では、固定されたドット状パターン4上に液滴Dを配置する。つまり、複数のC11のそれぞれに再び1つの液滴Dをそれぞれ配置する。そうすると、後にC31に配置される液滴Dに対して、C31が親液性を呈するようになる。この結果、C31に配置された液滴Dが、C11に配置された液滴Dまたはドット状パターン4に接しても、C11へ引き寄せられる可能性が低くなる。そしてこのため、最終的に得られる導電層に穴が開く可能性が低くなる。なお、C11に再び液滴Dを配置することによって基板10Aの表面(C31)が親液性を呈することのメカニズムは十分理解されていない。ただし、現時点で発明者らは、再び配置された液滴Dがもたらす溶媒雰囲気が基板10A、またはC31での親液性の発現に寄与している、と推測している。
【0045】
ここで、C11に再び配置される液滴Dの体積は、C11に最初に配置された液滴Dの体積よりも小さくてもよい。具体的には、C31が親液性を発現するとともに、C11上のドット状パターン4が隣のC11のドット状パターン4から孤立し続ける程度の体積の液滴DをC11に再び配置してもよい。もちろん、C11に再び配置される液滴Dの体積は、C11に最初に配置された液滴Dの体積以上であってもよい。
【0046】
なお、機能液に対して基板10Aがある程度親液性を呈する場合には、上記の親液化の工程は、省略されてもよい。
【0047】
(3D.第1の接続ドットの配置工程)
層形成範囲内のC11のすべてに液滴Dを配置した後で、液滴吐出装置から吐出される液滴Dの着弾径を32μmに設定する。つまり、C11に配置された液滴Dの体積よりも大きい体積の液滴Dを吐出するように、液滴吐出装置の駆動波形を変える。なお、液滴吐出装置の駆動波形を変える技術(いわゆるバリアブルドットを実現する技術)の詳細は、特開2001−58433号公報の図5〜図8において説明されているので、ここではその説明を省略する。
【0048】
そして、図4に示すように、層形成範囲内の複数のC31のそれぞれに、1つの液滴Dをそれぞれ配置する。この際に、C31の中心に液滴Dの中心が位置するように、液滴Dを配置する。ここで、C31は、X軸方向に隣り合う2つのC11の中間にある。このため、C31とC31に最も近いC11との間の距離は22μmである。そして、C11上のドット状パターン4は、C11の中心から15μmの範囲に拡がっている。一方、C31上では、液滴DがC31の中心から16μmの範囲に拡がるので、C31に配置された液滴Dは、C11上のドット状パターン4に接する。なお、本明細書では、C31,C13,C33に配置される液滴Dを「接続ドット」とも表記する。
【0049】
このようにこの工程では、C11に対してX軸方向に位置するC31に液滴Dを配置する。そしてこのことで、ドット状パターン4がX軸方向に延びる。さらに、この工程では、X軸方向に並んだ複数のドット状パターン4がX軸方向に繋がる。そして、層形成範囲内のC31のすべてに液滴Dを配置し終えると、図5に示すように、C11に配置された液滴Dと、C31に配置された液滴Dとから構成される複数のライン状パターン5が現れる。これら複数のライン状パターン5のそれぞれは、X軸方向に延びているとともに、互いから孤立している。
【0050】
(3E.第2の接続ドットの配置工程)
層形成範囲内のC31のすべてに液滴Dを配置した後で、液滴吐出装置から吐出される液滴Dの着弾径を32μmに設定する。そして、図6に示すように、層形成範囲内の複数のC13のそれぞれに、1つの液滴Dをそれぞれ配置する。この際に、C13の中心に液滴Dの中心が位置するように、液滴Dを配置する。ここで、C13は、Y軸方向に隣り合う2つのC11の中間にある。このため、C13とC13に最も近いC11との間の距離は30μmである。そして、C11に配置された液滴Dは、C11の中心から15μmの範囲に拡がっている。一方、C13上では、液滴DがC13の中心から16μmの範囲に拡がるので、C13に配置された液滴Dは、ライン状パターン5に接する。
【0051】
このようにこの工程では、C11に対してY軸方向に位置するC13に液滴Dを配置する。そしてこのことで、複数のライン状パターン5のそれぞれがY軸方向に延びる。さらに、この工程では、これら複数のライン状パターン5がY軸方向に繋がる。そして、図7に示すように、層形成範囲内のC13のすべてに液滴Dを配置し終えると、C11に配置された液滴Dと、C31に配置された液滴Dと、C13に配置された液滴Dと、から構成される格子状パターン6が現れる。
【0052】
(3F.第3の接続ドットの配置工程)
層形成範囲内のC13のすべてに液滴Dを配置した後で、液滴吐出装置から吐出される液滴Dの着弾径を32μmに設定する。そして、図8に示すように、層形成範囲内の複数のC33のそれぞれに、1つの液滴Dをそれぞれ配置する。この際に、C33の中心に液滴Dの中心が位置するように、液滴Dを配置する。ここで、C33は、X軸方向とY軸方向との合成方向Uに隣り合う2つのC11の中間にある。そして、C33に配置される液滴Dは、すでに配置された液滴Dから構成される格子状パターン6の穴を埋める。そしてこのため、C33への液滴Dの配置によって、すでに配置された液滴Dから構成された格子状パターン6は、合成方向Uに延びる。
【0053】
さらに、層形成範囲内のC33のすべてに液滴Dを配置し終えると、図9に示すように、C11に配置された液滴Dと、C31に配置された液滴Dと、C13に配置された液滴Dと、C33に配置された液滴Dと、から構成されるべた状パターン7が現れる。本実施形態では、基板10Aの表面上の9ブロック×9ブロックに対応する層形成範囲は、隙間無くべた状パターン7に覆われる。なお、上述のように、液滴Dは表面上で拡がるので、べた状パターン7が覆う面積(層形成範囲の面積)は、9ブロック×9ブロックの面積よりも若干大きくなる。
【0054】
このように、層形成範囲において、C11,C31,C13,C33に、この順番でそれぞれの液滴Dを配置する。そうすれば、たとえ基板10Aの表面が撥液性を有していても、これら4種類のブロック1に配置された液滴Dによって、C11からX軸方向、Y軸方向、および合成方向Uのそれぞれに連続したべた状パターン7が形成できる。つまり、穴のないべた状パターン7が形成される。
【0055】
(3G.活性化工程)
次に、べた状パターン7を活性化する。本実施形態では、具体的には、べた状パターン7における銀粒子が焼結または融着するように、べた状パターン7を加熱する。そうすると、焼結または融着した銀粒子によってべた状パターン7において導電性が発現し、そしてこの結果、図10に示すような、導電層8が得られる。
【0056】
ここで、得られる導電層8の厚さの均一性が十分ではない場合には、活性化に先立って、図11に示すように、それぞれのブロック群1Gにおいて、さらに12個の液滴Dを配置してもよい。具体的には、C11、C31,C13,C33の4つのブロック1に加えて、C21,C41,C23,C43,C12,C32,C14,C34,C22,C42,C24,C44の12ブロック1のそれぞれにこの順番で、液滴Dを配置してもよい。つまり、ブロック群1Gにおけるブロック1の全てに液滴Dを配置してもよい。そうすれば、より均一な厚さの導電層8が得られる。なお、追加で配置される12個の液滴の体積は、先に配置された4つの液滴の体積よりも小さくてもよい。
【0057】
このように、本実施形態によれば、まず、基板10A上に複数のドット状パターン4が配置される。その後、X軸方向に延びる複数のライン状パターン5が現れる。その次に、複数のライン状パターン5がY軸方向に繋がって、格子状パターン6が現れる。最後に、残ったスペースに液滴Dが配置されて、2次元的に連続なべた状パターン7が形成される。そして、べた状パターン7を活性化することで、穴のない導電層8が得られる。
【0058】
さて、ブロック群1G内の液滴Dの配置順序が上述の順序である限り、複数のブロック群1G間の順番になんら制限はない。例えば、同じ種類のブロック1(例えばC11)に液滴Dを配置する場合に、X軸方向に延びた1つの列を構成する複数のブロック群1Gがほぼ同時に処理されてよい。同様に、Y軸方向に延びた1つの列を構成する複数のブロック群1Gがほぼ同時に処理されてもよい。また、同じ種類のブロック1に液滴Dを配置する場合に、1つのブロック群1Gずつが順番に処理されてもよい。
【0059】
さらに、ブロック群1G間の順番に拘わらず、本実施形態の層形成方法によれば、目的とする導電層8を形成する過程で、X軸方向に延びるライン状パターン5が格子状パターン6よりも先に現れる。しかしながら、本発明はこのような形態に限定されない。具体的には、Y軸方向に延びるライン状パターン5が格子状パターン6よりも先に現れるように、液滴Dを配置してもよい。具体的には、図12に示すように、C11,C13,C31,C33の順番で、これら4つのブロック1のそれぞれに、それぞれの液滴Dを配置すればよい。さらに、図13に示すように、これらC11,C13,C31,C33に加えて、C12,C14,C32,C34,C21,C23,C41,C43,C22,C24,C42,C44のそれぞれにこの順番で、液滴Dを配置してもよい。そうすれば、より均一な厚さの層を得る。
【0060】
(4.アクティブマトリクス基板の製造方法)
本発明は、アクティブマトリクス基板を製造する際に適用できる。まず、本発明を適用したアクティブマトリクス基板の一例について、図を参照して説明する。本実施形態のアクティブマトリクス基板は、スイッチング素子としてTFT(Thin Film Transistor)素子を備えている。
【0061】
(4A.アクティブマトリクス基板の例)
図14は、本実施形態のアクティブマトリクス基板の一部を拡大した模式図である。図15は、本実施形態のアクティブマトリクス基板の断面を示す模式図である。
【0062】
アクティブマトリクス基板20は、図14に示すように、基板21と、ゲート絶縁膜31(図15参照)と、活性層32と、コンタクト層33と、ゲート配線40と、ゲート電極41と、ソース配線42と、ソース電極43と、ドレイン電極44と、を備えている。そして、ゲート絶縁膜31と活性層32とコンタクト層33とゲート電極41とソース電極43とドレイン電極44とを含む部分がTFT30である。さらに、本実施形態では、アクティブマトリクス基板20上に画素電極45が位置している。
【0063】
複数のゲート配線40は、基板21上でX軸方向に延びている。それぞれのゲート配線40は、基板21上のそれぞれのゲート電極41に接続されている。一方、ゲート絶縁膜31は、複数のゲート配線40と、複数のゲート電極41と、を覆っている。複数のソース電極41は、ゲート絶縁膜31上で、Y軸方向に延びている。なお、X軸方向と、Y軸方向と、は互いにほぼ垂直である。
【0064】
半導体層はゲート絶縁膜31上に位置している。ここで、半導体層のうち、半導体層と、1つのゲート電極41と、が互いに重なる部分を、TFT30の活性層32と表記する。以下では、1つのTFT30に着目して説明を進める。
【0065】
活性層32上に、互いから所定距離を置いて離れている2つのコンタクト層33が設けられている。一方のコンタクト層33上には、ソース電極43が位置しており、他方のコンタクト層33上には、ドレイン電極44が位置している。ソース電極43は、対応するソース配線42に電気的に接続されている。また、ドレイン電極44は、対応する画素電極45に、コンタクトホール65(後述)を介して電気的に接続されている。
【0066】
ゲート配線42と、ゲート電極43と、ドレイン電極44と、2つのコンタクト層33と、活性層32とは、層間絶縁層によって覆われている。層間絶縁層の機能の一つは、ゲート配線42、活性層32などに起因した下地の凹凸を吸収して、ほぼ平坦な表面Sを提供することである。なお、後に説明するが、本実施形態の層間絶縁層は、複数のバンク61と、複数の絶縁材料層65とを含んでいる。
【0067】
ドレイン電極44上には、層間絶縁層を貫いてドレイン電極44に達するコンタクトホール66が位置している。また、層間絶縁層の表面S上には、画素電極45が位置している。そして、ドレイン電極44と、画素電極45とは、コンタクトホール66内に設けられた導電体によって接続されている。
【0068】
(4B.アクティブマトリクス基板の製造方法の例)
続いて、本発明を適用したアクティブマトリクス基板の製造方法の一例について、図を参照して説明する。図16は、本実施形態のアクティブマトリクス基板の製造方法を説明する図である。まず、基板21を用意する。基板21の材料は、ガラス、石英ガラス、Siウエハ、プラスチックフィルム、金属板など各種のものを用いることができる。また、基板21は、これら各種の材料の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜などが下地表面層として形成されたものであってもよい。
【0069】
次に、図16(a)に示すように、洗浄した基板21の上面に、1画素ピッチの1/20〜1/10の開口部52を設けるためのバンク51を、例えばフォトリソグラフィ法を用いて形成する。本実施形態では、バンク51は形成後に光透過性と撥液性を備えるので、その材料として、アクリル、ポリイミド、オレフィン、メラミンなどの高分子材料が好適に用いられる。バンク51は形成後に表面の撥液性を向上させる処理を施すが、その代わりに、バンク51の材料自体に予め撥液成分(フッ素基等)を充填しておいてもよい。この場合には、表面の撥液性を向上させる処理等を省略することができる。
【0070】
次に、インクジェットプロセスにより、バンク51で区画された開口部52内を充填するように機能液の液滴を配置し、ゲート配線40(図示しない)とゲート電極41とを形成する。ここで、機能液が含有する導電性微粒子としては、例えば、金、銀、銅、錫、鉛等を含有する金属微粒子の他、これらの酸化物、並びに導電性ポリマーや超電導体の微粒子などを用いる。これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。
【0071】
このとき、バンク51には十分な撥液性が予め与えられているので、開口部52からはみ出ることなく微細なゲート配線40のパターンを形成することができる。そして、この後、予備乾燥、焼成工程を経ることにより、基板21上にバンク51とゲート配線40とゲート電極41とからなる平坦な上面を備えた層が形成される。なお、開口部52内における良好な吐出結果を得るためには、図16(a)に示すように、この開口部52の形状として、吐出元に向かって開く向きのテーパ形状を採用するのが好ましい。これにより、吐出された機能液の液滴を十分に奥深くまで入り込ませることが可能となる。
【0072】
次に、図16(b)に示すように、本発明の層形成方法を適用して、ゲート絶縁膜31を形成する。ただし、前述の実施形態におけるべた状の導電層の代わりに、べた状の絶縁層を形成する。べた状の絶縁層を形成するには、導電材料の代わりに絶縁材料を含有する機能液を準備すればよい。ここで、このような機能液は、好適には、絶縁材料として光硬化性の絶縁樹脂と、この絶縁樹脂を溶解する有機溶媒と、を含有している。そして、機能液がこのような絶縁材料を含有する場合には、前述の固定工程と活性化工程とは、どちらも絶縁樹脂が硬化するように、機能液からなるドット状パターンまたはべた状パターンに光を照射する工程、またはこれらドット状パターンまたはべた状パターンを加熱する工程である。なお、ここでは、バンク51と、ゲート配線40と、ゲート電極41と、の表面がゲート絶縁膜31にとっての下地表面である。
【0073】
次に、プラズマCVD法により、活性層32とコンタクト層33との連続成膜を行う。具体的には、活性層32としてアモルファスシリコン膜を、コンタクト層33としてn+型シリコン膜を、原料ガスやプラズマ条件を変化させることにより形成する。CVD法で形成する場合、300℃〜350℃の熱履歴が必要になるが、無機系の材料をバンクに使用することで、透明性、耐熱性に関する問題を回避することができる。
【0074】
次に、図16(c)に示すように、ゲート絶縁膜31の上面に、1画素ピッチの1/20〜1/10でかつ開口部52と交差する開口部62を設けるためのバンク61を、例えばフォトリソグラフィ法を用いて形成する。本実施形態では、バンク61は、形成後に光透過性と撥液性を備えるので、その材料として、アクリル、ポリイミド、オレフィン、メラミンなどの高分子材料が好適に用いられる。バンク61は形成後に表面の撥液性を向上させる処理を施すが、その代わりに、バンク61の材料自体に予め撥液成分(フッ素基等)を充填しておいてもよい。この場合には、表面の撥液性を向上させる処理等を省略することができる。
【0075】
次に、インクジェットプロセスにより、バンク61で区画された開口部62内の、ゲート絶縁膜31と活性層32とコンタクト層33との露出面を覆うように機能液の液滴を配置し、図16(d)に示すように、ゲート配線40に対して交差するソース配線42(図示しない)とソース電極43とドレイン電極44とを形成する。このとき、機能液が含有する導電性材料としては、金、銀、銅、アルミニウム等を含有する金属微粒子の他、これらの酸化物、並びに導電性ポリマー等が好適に用いられる。ソース配線42とソース電極43とドレイン電極44とは、バンク61に十分な撥液性が予め与えられているので、開口部62からはみ出ることなく微細な配線パターンを形成することができる。
【0076】
次に、ソース配線42とソース電極43とドレイン電極44とを配置した開口部62を充填するように絶縁材料層65を配置する。これにより、基板21上に、バンク61と絶縁材料層65とからなる平坦な上面を備えた層が形成される。次に、図15に示すように、絶縁材料層65にコンタクトホール66を形成する。以上により、アクティブマトリクス基板20を製造することができる。
【0077】
本実施形態では、さらに、バンク61と絶縁材料層65とコンタクトホール66との上面に、本発明の層形成方法を適用して、画素電極45を形成する。画素電極45を形成する方法としては、前述の実施形態におけるべた状の導電層の形成方法を適用することができる。画素電極45は透明電極であるため、その材料に含有される導電性微粒子として、例えばITOを用いる。画素電極45は、コンタクトホール66を介してドレイン電極44に電気的に接続される。なお、ここでは、バンク61と、絶縁材料層65と、コンタクトホール66と、の表面が画素電極45にとっての下地表面である。
【0078】
本実施形態では、ゲート絶縁膜31がべた状の絶縁層の形成方法に基づいて形成され、画素電極45がべた状の導電層の形成方法に基づいて形成されている。これにより、最終的に得られる絶縁層および導電層に穴の生じる可能性が少ない。なお、このアクティブマトリクス基板20を用いて液晶表示装置を構成する場合、画素電極45の上面に液晶の分子を一定方向に並べるための配向膜(図示しない)を形成するが、この配向膜を形成する際にも本発明の層形成方法を適用することができる。また、アクティブマトリクス基板20を用いて液晶表示装置を構成する場合、アクティブマトリクス基板20に保持容量線を設けてもよい。
【0079】
(5.多層配線基板の製造方法)
本発明は多層配線基板を製造する際にも適用できる。まず、本発明を適用した多層配線基板の一例について、図を参照して説明する。本実施形態の多層配線基板は、基板の片面側に多層配線が形成されている。
【0080】
(5A.多層配線基板の例)
図17は、本実施形態の多層配線基板の構造を示す模式図である。多層配線基板70は、図17に示すように、基板71と、導電パターン72と、導電ポスト73と、サブ絶縁層81,82からなる絶縁層74と、複数のダミーポスト75と、絶縁層76と、導電層77と、を備えている。
【0081】
(5B.多層配線基板の製造方法の例)
続いて、本発明を適用した多層配線基板の製造方法の一例について、図を参照して説明する。図18および図19は、本実施形態の多層配線基板の製造方法を説明する図である。
【0082】
まず、図18(a)に示すような基体70Aを準備する。基体70Aは、基板71と、基板71上に位置している導電パターン72と、を備えている。ここで、基板71は、ポリイミドからなるフレキシブル基板である。基板71はテープ状の形状を有しており、そしてこのため、基板71はテープ基板とも呼ばれる。なお、本実施形態において、「基体70A」とは、基板71と、基板71上に設けられた1つ以上のパターンまたは層と、をまとめた総称である。
【0083】
次に、図18(b)に示すように、導電パターン72上の一部に、インクジェットプロセスによって、導電ポスト73を設ける。導電ポスト73は、後述する導電層77に対して密着性のよい導電材料を含有するように構成される。本実施形態では、導電層77が銀からなるので、導電ポスト73も銀を含有するように構成される。そして、このことで、導電ポスト73と、導電層77とは、密着できる。
【0084】
導電ポスト73を形成した後に、図18(c)および(d)に示すように、絶縁層74を形成する。絶縁層74は、導電ポスト73の側面の下部を囲むとともに導電パターン72を覆うことになる。ここで、絶縁層74は、以下で説明するように、本発明の層形成方法を適用して形成され、互いに積層された2つのサブ絶縁層81,82からなる。
【0085】
まず、基板71の表面上の部分のうち、導電パターン72がない部分にサブ絶縁層81を形成する(図18(c))。サブ絶縁層81を形成する方法としては、べた状の絶縁層の形成方法を適用することができる。ここで、サブ絶縁層81の厚さは導電パターン72の厚さにほぼ一致するように設定されている。そしてこのため、サブ絶縁層81が形成された後では、サブ絶縁層81の表面と、導電パターン72の表面とは、ほぼ同じレベルに位置することになる。また、本実施形態のサブ絶縁層81は、アクリル樹脂を含有する。なお、ここでは、基板71の表面がサブ絶縁層81にとっての下地表面である。
【0086】
次に、導電パターン72とサブ絶縁層81との面上に、サブ絶縁層82を形成する(図18(d))。サブ絶縁層82を形成する方法としては、べた状の絶縁層の形成方法を適用することができる。ここで、サブ絶縁層82は、下地の導電パターン72とサブ絶縁層81とを覆うとともに、導電ポスト73の側面の下部を囲むように形成される。また、サブ絶縁層82は、アクリル樹脂を含有する。なお、ここでは、導電パターン72とサブ絶縁層81との表面がサブ絶縁層82にとっての下地表面である。
【0087】
次に、図19(a)に示すように、絶縁層74上にインクジェットプロセスによって、複数のダミーポスト75を形成する。ここで、複数のダミーポスト75のそれぞれの上部と、導電ポスト73の上部とが、ほぼ同じレベルに位置するように、複数のダミーポスト75が形成される。複数のダミーポスト75のそれぞれは、後述する導電層77に対して密着性のよい導電材料を含有するように構成される。本実施形態では、導電層77が銀からなるので、複数のダミーポスト75のそれぞれも銀を含有するように構成される。そして、このことで、複数のダミーポスト75のそれぞれと、導電層77とは、密着できる。
【0088】
次に、図19(b)に示すように、絶縁層74上に、複数のダミーポスト75のそれぞれの側面を囲むとともに、絶縁層74上に突出している導電ポスト73の側面を囲む絶縁層76を形成する。ここで、絶縁層76の厚さは、絶縁層76から複数のダミーポスト75のそれぞれの上部と、導電ポスト73の上部と、が露出するように、設定されている。絶縁層76を形成する方法としては、べた状の絶縁層の形成方法を適用することができる。なお、ここでは、絶縁層74の表面、すなわちサブ絶縁層82の表面が絶縁層76にとっての下地表面である。
【0089】
このように絶縁層76を設ければ、複数のダミーポスト75にZ軸方向の外力を加えることで複数のダミーポスト75を絶縁層76から抜き取ろうとしても、複数のダミーポスト75は絶縁層76を抜け出ることがない。つまり、複数のダミーポスト75のそれぞれは、絶縁層76に対して固定される。
【0090】
さらに、絶縁層76は、絶縁層74に対して密着性のよい絶縁材料を含有するように構成される。本実施形態では、絶縁層74がアクリル樹脂を含有するように構成されているので、絶縁層76も同様に、アクリル樹脂を含有するように構成されている。そして、このことから、絶縁層76と絶縁層74とは、互いに密着する。つまり、絶縁層76は絶縁層74に対して固定される。
【0091】
次に、図19(c)に示すように、絶縁層76上に、本発明の層形成方法を適用して、複数のダミーポスト75のそれぞれの上部に接続されるとともに、導電ポスト73の上部に接続される導電層77を形成する。導電層77を形成する方法としては、べた状の導電層の形成方法を適用することができる。ここでは、絶縁層76と複数のダミーポスト75との表面が導電層77にとっての下地表面である。
【0092】
本実施形態では、このような工程によって、基体70Aから多層配線基板70が得られる。ここで、導電層77は、銀を含有する。上述のように、複数のダミーポスト75のそれぞれも銀を含有するので、導電層77と、ダミーポスト75のそれぞれとは、互いに密着する。つまり、導電層77は、複数のダミーポスト75に対して固定される。
【0093】
上述のように、複数のダミーポスト75のそれぞれは絶縁層76に対して固定されているので、このため、導電層77も絶縁層76に対して固定される。しかも、絶縁層76は絶縁層74に対して固定されているので、結果として、導電層77は、より下地の絶縁層74に対しても固定される。
【0094】
本実施形態では、サブ絶縁層81,82からなる絶縁層74と絶縁層76とがべた状の絶縁層の形成方法に基づいて形成され、導電層77がべた状の導電層の形成方法に基づいて形成されている。これにより、最終的に得られる絶縁層および導電層に穴の生じる可能性が少ない。
【0095】
なお、本実施形態では、多層配線基板70は、その最下層を構成する基板71から最表層を構成する導電層77まで、Z軸方向に積層された5つの層からなる。しかしながら、実際には、基板71と、絶縁層74との間に、さらに多くの層が存在してもよい。また、多層配線基板70において、複数の絶縁層または絶縁パターンの間に、抵抗器、キャパシタ、LSIベアチップ、またはLSIパッケージなどの電子部品が埋め込まれていてもよい。また、ポリイミドからなる基板71に代えて、セラミック基板、ガラス基板、エポキシ基板、ガラスエポキシ基板、またはシリコン基板などが利用されても、上記実施形態で説明した効果と同様の効果が得られる。
【0096】
(変形例1)
上記実施形態では、C11上のドット状パターン4を乾燥した後で、C11に再度液滴Dを配置することで、C31の表面を親液化した。しかしながら、本発明はこのような形態に限定されない。具体的には、C11上の液滴Dを乾燥した後で、基板10Aの表面を酸素プラズマに曝すことで、C31を親液化してもよいし、基板10Aの表面に紫外域の波長を照射することで、C31を親液化してもよい。
【0097】
(変形例2)
上記実施形態では、べた状の導電層を形成するための機能液には、銀のナノ粒子が含まれている。しかしながら、銀のナノ粒子に代えて、他の金属のナノ粒子が用いられてもよい。ここで、他の金属として、例えば、金、白金、銅、パラジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、イリジウム、鉄、錫、亜鉛、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、タンタル、タングステン、インジウムのいずれか1つが利用されてもよいし、または、いずれか2つ以上が組み合わせられた合金が利用されてもよい。ただし、銀であれば比較的低温で還元できるため、扱いが容易であり、この点で、液滴吐出装置を利用する場合には、銀のナノ粒子を含有する機能液を利用することは好ましい。
【0098】
また、機能液が、金属のナノ粒子に代えて、有機金属化合物を含んでいてもよい。ここでいう有機金属化合物は、加熱による分解によって金属が析出するような化合物である。このような有機金属化合物には、クロロトリエチルホスフィン金(I)、クロロトリメチルホスフィン金(I)、クロロトリフェニルフォスフィン金(I)、銀(I)2,4−ペンタンヂオナト錯体、トリメチルホスフィン(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)銀(I)錯体、銅(I)ヘキサフルオロペンタンジオナトシクロオクタジエン錯体、などがある。
【0099】
このように、機能液に含まれる金属の形態は、ナノ粒子に代表される粒子の形態でもよいし、有機金属化合物のような化合物の形態でもよい。
【0100】
さらに、機能液は、金属に代えて、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリ(3,4エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)などの導電性高分子の可溶性材料を含んでいてもよい。
【0101】
(変形例3)
上記実施形態によれば、ポリイミドからなる基板10A上に液滴が配置される。しかしながら、このような基板10Aに代えて、セラミック基板、ガラス基板、エポキシ基板、ガラスエポキシ基板、またはシリコン基板などが利用されても、上記実施形態で説明した効果と同様の効果が得られる。また、液滴が配置される下地表面は、基板の表面に限定されない。ほぼ平坦な絶縁層の表面またはほぼ平坦な導電層の表面でもよい。
【0102】
(変形例4)
上記実施形態におけるブロック1の大きさ、ブロック群1Gに含まれるブロック1の数、および液滴Dの着弾径は、本実施形態の値に限定されない。具体的には、任意のC11上のドット状パターン4がいずれも隣のC11上のドット状パターン4から孤立するように、ブロック1の大きさ、ブロック群1Gに含まれるブロック1の数、および液滴Dの着弾径の少なくとも一つを設定すればよい。
【0103】
(変形例5)
上記実施形態によれば、C31に配置される液滴Dの着弾径と、C13に配置される液滴Dの着弾径と、C33に配置される液滴の着弾径とは、何れも同じである。ただし、このような構成に代えて、より均一な厚さの導電層8が得られるように、これらの着弾径を異ならせてもよい。なお、液滴Dの着弾径を異ならせる際には、吐出される液滴Dの体積を変えればよい。
【0104】
(変形例6)
C11,C31,C13,C33への液滴Dの配置に先立って、下地表面の撥液性の程度が上昇するように、基板10Aの表面に表面改質処理を施してもよい。そうすれば、べた状パターン7の縁の形状がよりシャープになる。なお、表面の撥液性を向上させる処理として、基板10Aの表面にフルオロアルキルシラン(FAS)膜を形成することが知られている。また、フッ素を含有する処理ガスを用いた大気圧プラズマ法にしたがって処理ガスに表面を曝しても、表面の撥液性を向上させることができる。
【0105】
(変形例7)
本実施形態では、べた状パターン7を活性化させ、目的とする導電層8を得る。ただし他の実施形態では、べた状パターン7を構成する材料に応じて、べた状パターン7を活性化する代わりに、べた状パターン7を乾燥させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】基板の表面に対応付けられたブロックを示す模式図。
【図2】ブロックに液滴を配置する順番を示す図。
【図3】C11に液滴を配置する工程を示す図。
【図4】C31に液滴を配置する工程を示す図。
【図5】C31に液滴が配置された後に得られるライン状パターンを示す模式図。
【図6】C13に液滴を配置する工程を示す図。
【図7】C13に液滴が配置された後に得られる格子状パターンを示す模式図。
【図8】C33に液滴を配置する工程を示す図。
【図9】C33に液滴が配置された後に得られるべた状パターンを示す模式図。
【図10】図9のべた状パターンを活性化して得られる導電層を示す模式図。
【図11】ブロックに液滴を配置する他の順番を示す図。
【図12】ブロックに液滴を配置するさらに他の順番を示す図。
【図13】ブロックに液滴を配置するさらに他の順番を示す図。
【図14】本実施形態のアクティブマトリクス基板の一部を拡大した模式図。
【図15】本実施形態のアクティブマトリクス基板の断面を示す模式図。
【図16】本実施形態のアクティブマトリクス基板の製造方法を説明する図。
【図17】本実施形態の多層配線基板の構造を示す模式図。
【図18】本実施形態の多層配線基板の製造方法を説明する図。
【図19】本実施形態の多層配線基板の製造方法を説明する図。
【符号の説明】
【0107】
D…液滴、1…ブロック、4…ドット状パターン、5…ライン状パターン、6…格子状パターン、7…べた状パターン、8…導電層、10A…基板、20…アクティブマトリクス基板、21…基板、30…TFT、31…ゲート絶縁膜、32…活性層、33…コンタクト層、40…ゲート配線、41…ゲート電極、42…ソース配線、43…ソース電極、44…ドレイン電極、45…画素電極、51…バンク、52…開口部、61…バンク、62…開口部、65…絶縁材料層、66…コンタクトホール、70…多層配線基板、70A…基体、71…基板、72…導電パターン、73…導電ポスト、74…絶縁層、75…ダミーポスト、76…絶縁層、77…導電層、81…サブ絶縁層、82…サブ絶縁層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地表面上で互いから孤立した2つのドット状パターンが得られるように、前記下地表面の2つの部位のそれぞれに、第1の液滴を配置する第1の工程と、
前記2つのドット状パターンを前記下地表面に対して固定させる第2の工程と、
少なくとも前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面を第2の液滴に対して親液化する第3の工程と、
前記第3の工程の後で、前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面に、前記2つのドット状パターンを繋げる前記第2の液滴を配置する第4の工程と、
を包含した層形成方法。
【請求項2】
請求項1記載の層形成方法であって、
前記第3の工程は、固定された前記2つのドット状パターンのそれぞれ上に第3の液滴をそれぞれ配置する工程を含んでいる、
層形成方法。
【請求項3】
請求項1記載の層形成方法であって、
前記第3の工程は、前記下地表面に紫外線を照射する工程、または前記表面をプラズマに曝す工程を含んでいる、
層形成方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載の層形成方法であって、
前記第4の工程の後で、繋げられた前記2つのドット状パターンを活性化または乾燥させる第5の工程、
をさらに包含した層形成方法。
【請求項5】
請求項2記載の層形成方法であって、
前記第2の液滴の1つあたりの体積と、前記第3の液滴の1つあたりの体積と、の少なくとも1つは、前記第1の液滴の1つあたりの体積と異なる、
層形成方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一つに記載の層形成方法であって、
前記第2の液滴の1つあたりの体積は前記第1の液滴の1つあたりの体積と異なる、
層形成方法。
【請求項7】
下地表面上で第1の方向と前記第1の方向とは異なる第2の方向とで決まるアレイ状に並んだ複数のドット状パターンが得られるように、前記下地表面の複数の部位のそれぞれに、第1の液滴を配置する第1の工程と、
前記複数のドット状パターンを前記下地表面に対して固定させる第2の工程と、
前記第2の工程の後で、前記第1の方向に並んだ前記複数のドット状パターンのそれぞれの間に第2の液滴をそれぞれ配置して、前記複数のドット状パターンを前記第1の方向に繋げる第3の工程と、
前記第3の工程の後で、前記第2の方向に並んだ前記複数のドット状パターンのそれぞれの間に第3の液滴をそれぞれ配置して、前記複数のドット状パターンを前記第2の方向に繋げる第4の工程と、
前記第4の工程の後で、前記第1の方向と前記第2の方向との合成方向に並んだ前記複数のドット状パターンのそれぞれの間に第4の液滴をそれぞれ配置する第5の工程と、
を包含した層形成方法。
【請求項8】
請求項7記載の層形成方法であって、
前記第2の工程と前記第3の工程との間で前記下地表面を親液化する第6の工程、
をさらに包含した層形成方法。
【請求項9】
請求項8記載の層形成方法であって、
前記第6の工程は、前記複数のドット状パターンのそれぞれ上に第5の液滴をそれぞれ配置する工程を含んでいる、
層形成方法。
【請求項10】
請求項8記載の層形成方法であって、
前記第6の工程は、前記下地表面に紫外線を照射する工程、または前記表面をプラズマに曝す工程を含んでいる、
層形成方法。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか一つに記載の層形成方法であって、
前記第5の工程の後で前記複数のドット状パターンを活性化または乾燥させる第7の工程、
をさらに包含した層形成方法。
【請求項12】
請求項7から11のいずれか一つに記載の層形成方法であって、
前記第2の液滴の1つあたりの体積と、前記第3の液滴の1つあたりの体積と、前記第4の液滴の1つあたりの体積と、の少なくとも1つは、前記第1の液滴の1つあたりの体積と異なる、
層形成方法。
【請求項13】
請求項9記載の層形成方法であって、
前記第2の液滴の1つあたりの体積と、前記第3の液滴の1つあたりの体積と、前記第4の液滴の1つあたりの体積と、前記第5の液滴の1つあたりの体積と、の少なくとも1つは、前記第1の液滴の1つのあたりの体積と異なる、
層形成方法。
【請求項14】
下地表面上で互いから孤立した2つのドット状パターンが得られるように、前記下地表面の2つの部位のそれぞれに、第1の液滴を配置する第1の工程と、
前記2つのドット状パターンを前記下地表面に対して固定させる第2の工程と、
少なくとも前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面を第2の液滴に対して親液化する第3の工程と、
前記第3の工程の後で、前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面に、前記2つのドット状パターンを繋げる前記第2の液滴を配置する第4の工程と、
を包含したアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項15】
下地表面上で互いから孤立した2つのドット状パターンが得られるように、前記下地表面の2つの部位のそれぞれに、第1の液滴を配置する第1の工程と、
前記2つのドット状パターンを前記下地表面に対して固定させる第2の工程と、
少なくとも前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面を第2の液滴に対して親液化する第3の工程と、
前記第3の工程の後で、前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面に、前記2つのドット状パターンを繋げる前記第2の液滴を配置する第4の工程と、
を包含した多層配線基板の製造方法。
【請求項1】
下地表面上で互いから孤立した2つのドット状パターンが得られるように、前記下地表面の2つの部位のそれぞれに、第1の液滴を配置する第1の工程と、
前記2つのドット状パターンを前記下地表面に対して固定させる第2の工程と、
少なくとも前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面を第2の液滴に対して親液化する第3の工程と、
前記第3の工程の後で、前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面に、前記2つのドット状パターンを繋げる前記第2の液滴を配置する第4の工程と、
を包含した層形成方法。
【請求項2】
請求項1記載の層形成方法であって、
前記第3の工程は、固定された前記2つのドット状パターンのそれぞれ上に第3の液滴をそれぞれ配置する工程を含んでいる、
層形成方法。
【請求項3】
請求項1記載の層形成方法であって、
前記第3の工程は、前記下地表面に紫外線を照射する工程、または前記表面をプラズマに曝す工程を含んでいる、
層形成方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載の層形成方法であって、
前記第4の工程の後で、繋げられた前記2つのドット状パターンを活性化または乾燥させる第5の工程、
をさらに包含した層形成方法。
【請求項5】
請求項2記載の層形成方法であって、
前記第2の液滴の1つあたりの体積と、前記第3の液滴の1つあたりの体積と、の少なくとも1つは、前記第1の液滴の1つあたりの体積と異なる、
層形成方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一つに記載の層形成方法であって、
前記第2の液滴の1つあたりの体積は前記第1の液滴の1つあたりの体積と異なる、
層形成方法。
【請求項7】
下地表面上で第1の方向と前記第1の方向とは異なる第2の方向とで決まるアレイ状に並んだ複数のドット状パターンが得られるように、前記下地表面の複数の部位のそれぞれに、第1の液滴を配置する第1の工程と、
前記複数のドット状パターンを前記下地表面に対して固定させる第2の工程と、
前記第2の工程の後で、前記第1の方向に並んだ前記複数のドット状パターンのそれぞれの間に第2の液滴をそれぞれ配置して、前記複数のドット状パターンを前記第1の方向に繋げる第3の工程と、
前記第3の工程の後で、前記第2の方向に並んだ前記複数のドット状パターンのそれぞれの間に第3の液滴をそれぞれ配置して、前記複数のドット状パターンを前記第2の方向に繋げる第4の工程と、
前記第4の工程の後で、前記第1の方向と前記第2の方向との合成方向に並んだ前記複数のドット状パターンのそれぞれの間に第4の液滴をそれぞれ配置する第5の工程と、
を包含した層形成方法。
【請求項8】
請求項7記載の層形成方法であって、
前記第2の工程と前記第3の工程との間で前記下地表面を親液化する第6の工程、
をさらに包含した層形成方法。
【請求項9】
請求項8記載の層形成方法であって、
前記第6の工程は、前記複数のドット状パターンのそれぞれ上に第5の液滴をそれぞれ配置する工程を含んでいる、
層形成方法。
【請求項10】
請求項8記載の層形成方法であって、
前記第6の工程は、前記下地表面に紫外線を照射する工程、または前記表面をプラズマに曝す工程を含んでいる、
層形成方法。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか一つに記載の層形成方法であって、
前記第5の工程の後で前記複数のドット状パターンを活性化または乾燥させる第7の工程、
をさらに包含した層形成方法。
【請求項12】
請求項7から11のいずれか一つに記載の層形成方法であって、
前記第2の液滴の1つあたりの体積と、前記第3の液滴の1つあたりの体積と、前記第4の液滴の1つあたりの体積と、の少なくとも1つは、前記第1の液滴の1つあたりの体積と異なる、
層形成方法。
【請求項13】
請求項9記載の層形成方法であって、
前記第2の液滴の1つあたりの体積と、前記第3の液滴の1つあたりの体積と、前記第4の液滴の1つあたりの体積と、前記第5の液滴の1つあたりの体積と、の少なくとも1つは、前記第1の液滴の1つのあたりの体積と異なる、
層形成方法。
【請求項14】
下地表面上で互いから孤立した2つのドット状パターンが得られるように、前記下地表面の2つの部位のそれぞれに、第1の液滴を配置する第1の工程と、
前記2つのドット状パターンを前記下地表面に対して固定させる第2の工程と、
少なくとも前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面を第2の液滴に対して親液化する第3の工程と、
前記第3の工程の後で、前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面に、前記2つのドット状パターンを繋げる前記第2の液滴を配置する第4の工程と、
を包含したアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項15】
下地表面上で互いから孤立した2つのドット状パターンが得られるように、前記下地表面の2つの部位のそれぞれに、第1の液滴を配置する第1の工程と、
前記2つのドット状パターンを前記下地表面に対して固定させる第2の工程と、
少なくとも前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面を第2の液滴に対して親液化する第3の工程と、
前記第3の工程の後で、前記2つのドット状パターンの間の前記下地表面に、前記2つのドット状パターンを繋げる前記第2の液滴を配置する第4の工程と、
を包含した多層配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−83227(P2007−83227A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207550(P2006−207550)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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