説明

層間接着性に優れるポリビニルアセタール積層体およびその用途

【課題】
ポリビニルアセタールを含む層と炭化水素系重合体を含む層との積層体であって、これら層間の接着性に優れる積層体を提供する。
【解決手段】
ポリビニルアセタールを含む組成物AからなるA層と、炭化水素系重合体並びに炭素数8〜30のカルボン酸および/または炭素数8〜30のカルボン酸由来の塩を含む組成物BからなるB層とを積層してなる構成を含む積層体。さらには、組成物Bが、炭化水素系重合体100質量部に対して合計0.01〜5質量部の炭素数8〜30のカルボン酸および/または炭素数8〜30のカルボン酸由来の塩を含む積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層間接着性に優れるポリビニルアセタール積層体およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリビニルブチラールに代表されるポリビニルアセタールは、さまざまな有機・無機基材に対する接着性や相溶性、有機溶剤への溶解性に優れており、種々の接着剤やセラミック用バインダー、各種インク、塗料等や、安全ガラス中間膜として広範に利用されている。
【0003】
これらのうち合わせガラス中間膜用途において、合わせガラス中間膜に高い遮音性能を付与する目的で可塑化ポリビニルアセタール層と、高い遮音性能を有するスチレン−ジエンブロック共重合体層を積層した遮音合わせガラス中間膜(特許文献1〜3参照)、あるいはそのような合わせガラスを用いた遮音性の高いパチンコ機用全面板(特許文献4参照)の検討が行われている。ところが、このような可塑化ポリビニルアセタールとスチレン−ジエンブロック共重合体の積層体においては、可塑化ポリビニルアセタールとスチレン−ジエンブロック共重合体の接着性が非常に弱く、吸湿や外部からの衝撃、あるいは可塑化ポリビニルアセタールとスチレン−ジエンブロック共重合体との熱膨張率の違いにより生じる応力などによって界面で容易に剥離を起こし、合わせガラスとして機能が低下したり、あるいは外観を損なう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−091491号公報
【特許文献2】特開2005−306326号公報
【特許文献3】特表2001−506198号公報
【特許文献4】特開2007−136057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を解決するものであり、合わせガラス中間膜その他用途に好適に使用される、ポリビニルアセタールを含む層と炭化水素系重合体を含む層との積層体であって、これら層間の接着性に優れる積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると上記目的は、ポリビニルアセタールを含む組成物AからなるA層と、炭化水素系重合体並びに炭素数8〜30のカルボン酸および/または炭素数8〜30のカルボン酸由来の塩を含む組成物BからなるB層とを積層してなる構成を含む積層体を提供することで達成される。さらには、組成物Bが、炭化水素系重合体100質量部に対して合計0.01〜5質量部の炭素数8〜30のカルボン酸および/または炭素数8〜30のカルボン酸由来の塩を含む、積層体を提供することで達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の積層体は、組成物Bに炭素数8〜30のカルボン酸および/または炭素数8〜30のカルボン酸由来の塩を必須成分として含む。これら炭素数8〜30のカルボン酸および/または炭素数8〜30のカルボン酸由来の塩が有するカルボキシル基および/またはカルボキシレート基は、A層に含まれるポリビニルアセタールの水酸基と水素結合による相互作用を持つことができ、一方、炭素数8〜30のカルボン酸および/または炭素数8〜30のカルボン酸由来の塩が有する比較的長鎖の炭化水素基は、分子極性が比較的近い炭化水素系重合体とも相溶、接着可能である。そのため、本発明の組成物AからなるA層と組成物BからなるB層とを積層してなる構成を含む積層体は、A層とB層の層間接着性に優れ、特にこれら積層体を合わせガラス中間膜に使用する場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の積層体および結晶タイプの太陽電池セルを使用した、太陽電池モジュールの一例を表す概略図である。
【図2】本発明の積層体および薄膜タイプの太陽電池セルを使用した、太陽電池モジュールの一例を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず本発明で使用する組成物Aについて説明する。本発明で使用する組成物Aは、ポリビニルアセタールを含んでいれば特に限定されなく、またポリビニルアセタールの含有量も特に限定されないが、組成物Aの質量に対して30質量%以上であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上、最適には50質量%以上であると良い。組成物Aのポリビニルアセタールの含有量が、30質量%より低くなると、ポリビニルアセタールが本来有する物性が発現しないことがある。
【0010】
次に、本発明で使用するポリビニルアセタールについて説明する。本発明で使用するポリビニルアセタールは、通常、ビニルアルコール系重合体を原料として製造される。上記ビニルアルコール系重合体は、従来公知の手法、すなわちビニルエステル系単量体を重合し、得られた重合体をけん化することによって得ることができる。ビニルエステル系単量体を重合する方法としては、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法など、従来公知の方法を適用することができる。重合開始剤としては、重合方法に応じて、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤などが適宜選ばれる。けん化反応は、従来公知のアルカリ触媒または酸触媒を用いる加アルコール分解、加水分解などが適用でき、この中でもメタノールを溶剤とし苛性ソーダ(NaOH)触媒を用いるけん化反応が簡便であり最も好ましい。
【0011】
ビニルエステル系単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げられるが、とりわけ酢酸ビニルが好ましい。
【0012】
また、前記ビニルエステル系単量体を重合する場合、本発明の主旨に反しない限り他の単量体と共重合させることもできる。他の単量体の例としては、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレンなどのα−オレフィン;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、その4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミド誘導体;メタクリアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、その4級塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体などのメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸エステルまたはマレイン酸無水物、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル、などが挙げられるが、これに限定されない。これらの単量体は通常、ビニルエステル系単量体に対して10モル%未満の割合で用いられる。
【0013】
本発明に用いられるポリビニルアセタールの原料となるビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度は用途に応じて適宜選択されるが、150〜3,000のものが好ましく、200〜2,000のものがより好ましい。ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度が150より小さいと、A層の強度が不足する傾向があり、3,000より大きいと、A層成形時の取り扱い性が悪くなる傾向にある。
【0014】
本発明に用いられるポリビニルアセタールは、例えば次のような方法によって得ることができるが、これに限定されない。まず濃度3〜30質量%のビニルアルコール系重合体の水溶液を、80〜100℃の温度範囲に調整し、その温度を10〜60分かけて徐々に冷却する。温度が−10〜30℃まで低下したところで、アルデヒドおよび酸触媒を添加し、温度を一定に保ちながら、30〜300分間アセタール化反応を行う。その後反応液を30〜200分かけて、30〜80℃の温度まで昇温し、その温度を1〜6時間保持する。次に反応液を、好適には室温まで冷却し水洗した後、必要に応じてアルカリなどの中和剤を添加中和後、水洗、乾燥することにより、本発明で用いるポリビニルアセタールが得られる。
【0015】
アセタール化反応に用いる酸触媒としては特に限定されず、有機酸および無機酸のいずれでも使用可能であり、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。これらの中でも塩酸、硫酸、硝酸が好ましく用いられる。
【0016】
本発明のアセタール化反応に用いるアルデヒドは特に限定されないが、炭素数1〜8のアルデヒドでアセタール化されたポリビニルアセタールを用いることが好ましい。炭素数1〜8のアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよく、二種以上が併用されてもよい。これらの中でも炭素数4〜6のアルデヒド、特にn−ブチルアルデヒドが好ましく用いられる。すなわち、ポリビニルアセタールとしては、ポリビニルブチラールが特に好ましい。
【0017】
ポリビニルアセタールの平均アセタール化度は特に限定されないが、40〜85モル%であることが好ましく、好適には48〜82モル%、さらに好適には55〜81モル%である。アセタール化度がこの範囲にあるポリビニルアセタールを使用することで、透明性に優れ、また適切な力学強度を有するA層が得られる。また、本発明の目的をより好適に達成するためには、ポリビニルアセタールのビニルエステル単位含有量(通常は、酢酸ビニル単位含有量)は0.01〜30モル%、好適には0.05〜15モル%、より好適には0.1〜5モル%であることが好ましい。またビニルアルコール単位含有量は10〜50モル%、好適には12〜40モル%、最適には15〜35モル%であることが好ましい。なお、上記アセタール化度、ビニルエステル単位含有量、ビニルアルコール単位含有量の値は、アセタール化度(ビニルアセタール単位含有量)、ビニルエステル単位含有量、ビニルアルコール単位含有量の合計量に対する値である。
【0018】
本発明で使用する組成物Aは、本発明の主旨に反しない限り、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、接着性改良剤、その他添加剤を含んでいても良い。以下、これらを順に説明する。
【0019】
本発明で使用する組成物Aに酸化防止剤を添加する場合、その種類は特に限定されないが、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
【0020】
フェノール系酸化防止剤の例としては、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどのアクリレート系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−)ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物などがある。
【0021】
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレンなどのモノホスファイト系化合物、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(ジフェニルモノアルキル(C12〜C15)ホスファイト)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスファイトなどのジホスファイト系化合物などがある。これらの中でもモノホスファイト系化合物が好ましい。
【0022】
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどがある。
【0023】
これらの酸化防止剤は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の添加量は、組成物Aの質量に対して0.001〜5質量%、好ましくは0.01〜1質量%の範囲であるとよい。酸化防止剤が0.001質量%より少ないと十分な効果が得られないことがあり、また5質量%より多くしても格段の効果は望めない。
【0024】
本発明で使用する組成物Aに紫外線吸収剤を添加する場合、その種類は特に限定されない。使用される紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α’ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、4−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)−1−(2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのヒンダードアミン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0025】
これらの紫外線吸収剤の添加量は、組成物Aの質量に対して質量基準で0.001〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%の範囲であることがより好ましい。紫外線吸収剤が0.001質量%より少ないと十分な効果が得られないことがあり、また5質量%より多くしても格段の効果は望めない。これら紫外線吸収剤は単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0026】
また、本発明で使用する組成物Aに可塑剤を添加する場合、その可塑剤としては1価カルボン酸エステル系、多価カルボン酸エステル系などのカルボン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、有機亜リン酸エステル系可塑剤、ヒドロキシカルボン酸エステル系可塑剤などのほか、カルボン酸ポリエステル系、炭酸ポリエステル系、ポリエーテル系などの高分子可塑剤も使用することができる。これらは目的に応じて適宜選択可能であるが、一般に積層体にしたときにA層からB層に移行し、B層の強度や透明性、あるいはA層とB層の層間接着性を損なうような種類の可塑剤を使用すること、また、そのような弊害が生じるほどの添加量を添加することは、好ましくない場合が多い。
【0027】
1価カルボン酸エステル系可塑剤としては、ブタン酸、イソブタン酸、へキサン酸、2−エチルブタン酸、へプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリル酸などの1価カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールとの縮合反応により得られる化合物が挙げられる。具体的な化合物を例示すると、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジイソブタノエート、トリエチレングリコールジヘキサノエート、トリエチレングリコールジ2−エチルブタノエート、トリエチレングリコールジラウレート、エチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、ジエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、PEG#400ジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート、グリセリントリ2−エチルヘキサノエートなどが挙げられる。ここでPEG#400とは、平均分子量が350〜450であるポリエチレングリコールを表す。
【0028】
多価カルボン酸エステル系可塑剤としては、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメット酸などの多価カルボン酸と、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、2−エチルブタノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、ブトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノール、ベンジルアルコールなどの炭素数1〜12の1価アルコールとの縮合反応により得られる化合物が挙げられる。具体的な化合物を例示すると、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルブチル、アジピン酸ジヘプチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ(ブトキシエチル)、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)、アジピン酸モノ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ(2−エチルブチル)、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ジドデシルなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0029】
リン酸系可塑剤、また、亜リン酸系可塑剤としては、リン酸または亜リン酸とメタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、2−エチルブタノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、ブトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノール、ベンジルアルコールなどの炭素数1〜12のアルコールとの縮合反応により得られる化合物が挙げられる。具体的な化合物を例示すると、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)、リン酸トリ(ブトキシエチル)、亜リン酸トリ(2−エチルヘキシル)などが挙げられる。
【0030】
ヒドロキシカルボン酸エステル系可塑剤としては、ヒドロキシカルボン酸の1価アルコールエステル;リシノール酸メチル、リシノール酸エチル、リシノール酸ブチル、6−ヒドロキシヘキサン酸メチル、6−ヒドロキシヘキサン酸エチル、6−ヒドロキシヘキサン酸ブチル、ヒドロキシカルボン酸の多価アルコールエステル;エチレングリコールジ(6−ヒドロキシヘキサン酸)エステル、ジエチレングリコールジ(6−ヒドロキシヘキサン酸)エステル、トリエチレングリコールジ(6−ヒドロキシヘキサン酸)エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(6−ヒドロキシヘキサン酸)エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(2−ヒドロキシ酪酸)エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(3−ヒドロキシ酪酸)エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(4−ヒドロキシ酪酸)エステル、トリエチレングリコールジ(2−ヒドロキシ酪酸)エステル、グリセリントリ(リシノール酸)エステル、L−酒石酸ジ(1−(2−エチルヘキシル))、ひまし油などが挙げられる。
【0031】
カルボン酸ポリエステル系可塑剤としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの多価カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなどの多価アルコールを交互共重合して得られるカルボン酸ポリエステルや、ε−カプロラクトンなどのラクトン化合物を開環重合して得られるカルボン酸ポリエステルが挙げられる。これらカルボン酸ポリエステルの末端構造は特に限定されず、水酸基やカルボキシル基でも良いし、また、末端水酸基や末端カルボキシル基を1価カルボン酸あるいは1価アルコールと反応させてエステル結合としたものでも良い。
【0032】
炭酸ポリエステル系可塑剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなどの多価アルコールと、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルなどの炭酸エステルをエステル交換反応により交互共重合して得られる炭酸ポリエステル化合物が挙げられる。これら炭酸ポリエステル化合物の末端構造は特に限定されないが、炭酸エステル基、または水酸基などであるとよい。
【0033】
ポリエーテル系可塑剤としては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−プロピレングリコール)、ポリ(1,3−プロピレングリコール)、ポリ(1,2−ブチレングリコール)、ポリ(1,3−ブチレングリコール)、ポリ(1,4−ブチレングリコール)、ポリ(2,3−ブチレングリコール)などの他、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコールから選ばれる2種類以上の化合物のランダム共重合体、またはブロック共重合体などが挙げられる。
【0034】
本発明においてこれら可塑剤を使用する場合、これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。その使用量は特に限定されないが、組成物Aに含まれるポリビニルアセタール100質量部に対して1〜100質量部、好適には5〜70質量部、最適には20〜60質量部使用することが好ましい。組成物Aに含まれるポリビニルアセタール100質量部に対して、可塑剤の使用量が1質量部より少ないと、十分な可塑化効果が得られないことがあり、100質量部より多くしても、格段の可塑化効果は得られない。
【0035】
また、本発明の積層体を特に合わせガラス中間膜、太陽電池モジュールなど、ガラスとの接着性を適切に調節する必要がある用途に使用する場合、本発明で使用する組成物Aには接着性改良剤が添加されていることが好ましい。接着性改良剤としては、例えば、国際公開第03/033583号に開示されているものを使用することができ、有機酸のアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を添加することが好ましく、特に酢酸カリウムおよび/または酢酸マグネシウムが好ましい。添加量は、組成物Aの質量に対して0.0001〜1質量%であることが好ましく、0.0005〜0.1質量%がより好ましく、0.001〜0.03質量%が更に好ましい。接着性改良剤の最適な添加量は使用する添加剤、あるいは目的により異なるが、ガラスとの接着性を適切に調節するという観点からは、本発明の積層体であって、ガラスと接する面がA層である積層体とガラスを接着した積層体をパンメル試験(Pummel test;国際公開第03/033583号等に記載)で評価した場合、一般には3〜10に調整することが好ましく、特に高い耐貫通性を必要とする場合は3〜6、高いガラス飛散防止性を必要とする場合は7〜10に調整することが好ましい。高いガラス飛散防止性が求められる場合は、接着性改良剤を添加しないことも有用な方法である。
【0036】
本発明の組成物Aは、ポリビニルアセタール、必要に応じて可塑剤や添加剤を従来公知の方法で混合することにより得ることができる。混合方法を具体的に例示するとミキシングロール、プラストミル、押し出し基などを用いた溶融混錬、あるいは組成物Aの成分を適当な有機溶剤に溶解した後、溶剤を留去する方法などが挙げられるが、本発明の主旨に反しない限り特に限定されない。
【0037】
本発明で使用する組成物Aの酸価は特に限定されないが、10mgKOH/g以下の酸価を有していることが好ましく、より好ましくは7mgKOH/g以下、さらに好ましくは5mgKOH/g以下であると良い。本発明で使用する組成物Aが上記範囲の酸価を有していることで、長期使用時の劣化が起こりにくいため、好適である。
【0038】
本発明で使用する組成物Aのガラス転移温度は特に限定されず、目的に応じて適宜選択可能であるが、0〜50℃の範囲であることが好ましく、0〜45℃であることがより好ましく、0〜40℃であることがさらに好ましい。本発明で使用する組成物Aのガラス転移温度が上記範囲を満たすことで、当該組成物Aを使用して得られる積層体が常温付近で柔軟性に優れるため、好適である。
【0039】
次に本発明で使用する組成物Bについて説明する。本発明で使用する組成物Bは、炭化水素系重合体並びに炭素数8〜30のカルボン酸および/または炭素数8〜30のカルボン酸由来の塩を含んでいれば特に限定されない。これら炭素数8〜30のカルボン酸および/または炭素数8〜30のカルボン酸由来の塩が有するカルボキシル基および/またはカルボキシレート基は、A層に含まれるポリビニルアセタールの水酸基と水素結合による相互作用を持つことができ、一方、炭素数8〜30のカルボン酸および/または炭素数8〜30のカルボン酸由来の塩が有する比較的長鎖の炭化水素基は、分子極性が比較的近い炭化水素系重合体とも相溶、接着可能である。そのため、本発明の組成物AからなるA層と組成物BからなるB層とを積層してなる構成を含む積層体は、A層とB層の層間接着性に優れるため好適である。特に本発明で当該カルボン酸を使用すると、B層に対する相溶性が優れるという観点で好適であり、また本発明で当該カルボン酸由来の塩を使用すると、B層の酸による劣化が起こりにくいという観点で好適である。
【0040】
本発明で使用する炭化水素系重合体は炭化水素成分を主成分とする重合体であれば特に限定されず、目的に応じて適宜選択可能であるが、特に炭素数2〜12の脂肪族不飽和炭化水素化合物、および、炭素数8〜12の芳香族不飽和炭化水素化合物から選ばれる1種類以上の化合物の重合体またはそれらの水添物であることが、層間接着性や種々の力学特性に優れ、また入手が容易である点で好ましい。ここで、炭素数2〜12の脂肪族不飽和炭化水素化合物、および炭素数8〜12の芳香族不飽和炭化水素化合物から選ばれる1種類以上の化合物の重合体またはそれらの水添物は、重合体に含まれる全単量体単位に占める炭素数2〜12の脂肪族不飽和炭化水素化合物および炭素数8〜12の芳香族不飽和炭化水素化合物の合計量の割合が、80質量%以上、好ましくは95質量%以上、最適には98質量%以上である重合体またはそれらの水添物であることが好ましい。重合体に含まれる全単量体単位に占める炭素数2〜12の脂肪族不飽和炭化水素化合物および炭素数8〜12の芳香族不飽和炭化水素化合物の合計量の割合が80質量%より低くなると、炭化水素系重合体が本来有する低吸水性や種々の力学特性、また後述するブロック共重合体が有する遮音性などの特性が低下する傾向がある。
【0041】
炭素数2〜12の脂肪族不飽和炭化水素化合物を具体的に例示すると、エチレン、プロピレン、ブチレン、2−ブチレン、イソブチレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、シクロヘキセン、シクロオクテンなどの脂肪族モノエン化合物、ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3,5−ヘキサトリエン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロオクタジエンなどの脂肪族共役ポリエン化合物、また、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエンなどの脂肪族非共役ポリエン化合物などが挙げられる。
【0042】
また、炭素数8〜12の芳香族不飽和炭化水素化合物を具体的に例示すると、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−ブチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、(1−ナフチル)エチレン、(2−ナフチル)エチレンなどの芳香族モノエン化合物、1−フェニルブタジエン、2−フェニルブタジエンなどの芳香族共役ポリエン化合物、1−フェニル−1,4−ペンタジエン、1−フェニル−1,3−シクロヘキサジエンなどの芳香族非共役ポリエン化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
上記に例示した化合物の他、本発明の効果を阻害しない範囲において、以下の化合物を共重合していてもかまわない。例えば、アクリル酸またはその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、N−メチロールメタクリルアミドまたはその誘導体などのメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸およびその塩またはそのエステルまたはその無水物;ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニルが挙げられる。
【0044】
炭素数2〜12の脂肪族不飽和炭化水素化合物、および炭素数8〜12の芳香族不飽和炭化水素化合物から選ばれる1種類以上の化合物の重合体またはその水添物を具体的に例示すると、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合体、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレンの他、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、および、それらの水添物などのブロック共重合体が挙げられる。また、これらの重合方法は特に限定されず、例えば従来公知の方法で重合したものを使用することが可能である。特に本発明の積層体を遮音性合わせガラス中間膜として使用する場合、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−イソプレン共重合体およびそれらの水添物などの、炭素数8〜12の芳香族不飽和炭化水素化合物の重合体からなるブロック(X)と、炭素数2〜12の脂肪族共役ポリエン化合物の重合体からなるブロック(Y)とのブロック共重合体およびその水添物(これ以降、これらをまとめて単にブロック共重合体と呼ぶ)が制振性、遮音性に優れるため、好適に使用される。以下、これについて説明する。
【0045】
本発明で使用されるブロック共重合体は、ブロック(X)部分とブロック(Y)部分を有していれば特に限定されず、例えば[(X)−(Y)]、[(X)−(Y)]−(X)、(Y)−[(X)−(Y)]などのブロック共重合体が使用可能である。ここでk、m、nは任意の自然数である。これらの中でも、ブロック(X)を2つ以上と、ブロック(Y)を1つ以上有するブロック共重合体が好適であり、(X)−(Y)−(X)からなるトリブロック共重合体が特に好適である。また、本発明で使用するブロック共重合体が、ブロック(X)を2つ以上含む場合、または、ブロック(Y)を2つ以上含む場合、ブロック(X)、ブロック(Y)はそれぞれ同一であっても良いし、異なっていても良い。
【0046】
ブロック共重合体に占めるブロック(X)およびブロック(Y)の含有割合は、本発明の目的に反しない限り特に限定されないが、制振性や遮音性の観点から、ブロック共重合体の全質量に対するブロック(X)の含有量が5〜95質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましい。
【0047】
ブロック共重合体におけるブロック(X)およびブロック(Y)の重量平均分子量は特に限定されず、本発明の積層体を使用する目的に応じて適宜選択可能であるが、ブロック(X)1つあたりの重量平均分子量が2,500〜75,000であることが好ましく、また、ブロック(Y)1つあたりの重量平均分子量が1,000〜100,000であることが好ましい。また、ブロック共重合体の重量平均分子量としては、10,000〜1,000,000であることが好ましく、15,000〜200,000であることがより好ましい。ブロック(X)、ブロック(Y)の重量平均分子量が小さすぎるとブロック共重合体としての性能が発現しないことがある。また、ブロック共重合体の重量平均分子量が小さすぎると、積層体にしたときの力学強度が低くなりすぎることがあり、ブロック共重合体の重量平均分子量が大きすぎると、成形時の取り扱い性が悪くなる。
【0048】
本発明で使用するブロック共重合体のガラス転移温度は特に限定されず、目的に応じて適宜選択可能であるが、−50〜50℃であるものが好ましく、−45〜30℃であるものがより好ましく、−40〜20℃であるものがさらに好ましい。ブロック共重合体のガラス転移温度が上記範囲を満たすことで、本発明の積層体の力学物性や種々の特性が好ましいものとなる。
【0049】
本発明で使用するブロック共重合体のtanδのピーク温度は特に限定されず、目的に応じて適宜選択可能であるが、−40〜30℃であることが好ましく、−35〜25℃であることがより好ましく、−30〜20℃であることがさらに好ましい。
【0050】
本発明で使用するブロック共重合体の力学強度は特に限定されず、目的に応じて適宜選択可能であるが、例えば引っ張り破断強度を指標として表すのであれば、0.1MPa以上であることが好ましく、0.5MPa以上であることがより好ましく、1.0MPa以上であることがさらに好ましい。
【0051】
本発明で使用するブロック共重合体のMFR値は特に限定されず、目的に応じて適宜選択可能であるが、例えばASTM D1238に従い、荷重2.16kg、温度190℃で測定した場合のMFR値が0.1〜100g/10分であることが好ましく、0.1〜70g/10分であることがより好ましく、0.1〜50g/10分であることがさらに好ましい。
【0052】
本発明で使用するブロック共重合体は、そのブロック(Y)部分が水添されていても、水添されていなくてもかまわないが、耐候性の観点から水添されていることが好ましく、その水添率が好ましくは50モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であると良い。
【0053】
このようなブロック共重合体は、従来公知の方法で製造可能であるが、例えば有機リチウム試薬などを開始剤とし、炭素数8〜12の芳香族不飽和炭化水素化合物および炭素数2〜12の脂肪族共役ポリエン化合物を順次添加して反応させる方法が挙げられるが、これに限定されない。
【0054】
本発明で使用する組成物Bに含まれる炭化水素系重合体の含有量は、本発明の主旨に反しない限り特に限定されないが、組成物Bの質量に対して30質量%以上、より好ましくは80質量%以上、最適には90質量%以上であることが好ましい。炭化水素系重合体の含有量が組成物Bの質量に対して30質量%より低くなると、層間接着性が低下したり、炭化水素系重合体が本来有する低吸水性や種々の力学特性、また後述するブロック共重合体が有する遮音性などの特性が低下する傾向がある。
【0055】
次に、本発明で使用されるカルボン酸および/またはカルボン酸由来の塩について説明する。本発明で使用されるカルボン酸は、炭素数8〜30のカルボン酸であれば特に限定されない。また、本発明で使用されるカルボン酸由来の塩は、炭素数8〜30のカルボン酸由来の塩であれば特に限定されない。ここで炭素数8〜30のカルボン酸由来の塩とは、炭素数8〜30のカルボン酸から、カルボキシル基に含まれるプロトンを除いたカルボキシレートイオン(炭素数8〜30のカルボキシレートイオン)と、陽イオンとから形成される塩を表す。炭素数8〜30のカルボン酸および/または炭素数8〜30のカルボン酸由来の塩は単独で用いたり、あるいは2種以上を併用することも可能で、その合計添加量は、組成物Bに含まれる炭化水素系重合体100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましく、0.02〜3質量部であることがより好ましく、0.05〜2質量部であることがさらに好ましい。合計の添加量が0.01質量部より少ないと、十分な層間接着性が発現しないことがあり、また5質量部より多くしても、層間接着性向上の観点から格段の効果は望めず、また組成物Bに当該カルボン酸および/またはカルボン酸由来の塩を均一に分散することが難しくなるおそれがある。また、本発明で使用されるカルボン酸およびカルボン酸由来の塩の炭素数は8〜30であるが、8〜25であることが好ましく、8〜20であることがより好ましい。これらの炭素数が8より小さくなると、炭化水素系重合体との相溶性が悪くなり、A層とB層の層間接着性が低下し、炭素数が30より大きくなると、カルボキシル基またはカルボキシレート基と、A層に含まれるポリビニルアセタールの水酸基との水素結合による相互作用が十分でなくなり、A層とB層の層間接着性が低下する。
【0056】
前記炭素数8〜30のカルボン酸を具体的に例示すると、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸(オクチル酸)、デカン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、4−ブチル安息香酸、1−ナフチル酸、2−ナフチル酸などが挙げられ、また、炭素数8〜30のカルボキシレートイオンとは、上記炭素数8〜30のカルボン酸のカルボキシル基に含まれるプロトンを除いたものなどが挙げられるが、これに限定されない。これらの中でも特に、オクタン酸、オクチル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、また、オクタン酸、オクチル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸のカルボキシル基に含まれるプロトンを除いたカルボキシレートイオンと陽イオンとから形成される塩が、層間接着性、B層への相溶性の点から好適である。
【0057】
カルボン酸由来の塩を構成する前記陽イオンは特に限定されないが、一価の陽イオン:リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、ピリジニウムイオンなど、二価の陽イオン:バリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、銅イオン、鉄(II)イオンなど、三価の陽イオン:アルミニウムイオン、鉄(III)イオンなど、四価の陽イオン:チタニウムイオンなどが挙げられる。これらの中でもカルシウムイオンが、層間接着性、B層への相溶性の点から好適である。
【0058】
上記カルボキシレートイオン、陽イオンから形成される塩を具体的に例示すると、オクチル酸カルシウム、オクチル酸マグネシウム、オクチル酸バリウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カルシウム、リシノール酸カルシウムなどが挙げられるが、これに限定されない。これらの中でも、オクチル酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、または、リシノール酸カルシウムが、A層とB層の層間接着性に優れるという点から好適である。
【0059】
本発明で使用する炭素数8〜30のカルボン酸および/または炭素数8〜30のカルボン酸由来の塩の融点は特に限定されないが、230℃以下であることが好ましく、220℃以下であることがより好ましく、210℃以下であることがさらに好ましい。一般に組成物Bを調製する際、当該カルボン酸および/またはカルボン酸由来の塩を均一に分散、溶解させるために、当該カルボン酸および/またはカルボン酸由来の塩の融点より高い温度を必要とすることがあり、当該カルボン酸および/またはカルボン酸由来の塩の融点が230℃より高いと、生産性の観点から、また組成物B成形時の熱劣化を防ぐ観点から好ましくない。
【0060】
本発明で使用する組成物Bには、酸化防止剤、紫外線吸収剤、その他従来公知の添加剤を添加しても良い。以下にそれを説明する。
【0061】
本発明で使用する組成物Bに酸化防止剤を添加する場合、その種類は特に限定されないが、例えばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
【0062】
フェノール系酸化防止剤としては、組成物Aに添加しても良いフェノール系酸化防止剤として例示した化合物が挙げられる。リン系酸化防止剤としては、組成物Aに添加しても良いリン系酸化防止剤として例示した化合物が挙げられる。硫黄系酸化防止剤としては組成物Aに添加しても良い硫黄系酸化防止剤として例示した化合物が挙げられる。これらの酸化防止剤は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その添加量は、組成物Bの質量に対して0.001〜5質量%、好ましくは0.01〜1質量%の範囲であるとよい。酸化防止剤の添加量が0.001質量%より少ないと十分な効果が得られないことがあり、また5質量%より多くしても格段の効果は望めない。
【0063】
本発明で使用する組成物Bに紫外線吸収剤を添加する場合、その種類は特に限定されない。使用される紫外線吸収剤としては、例えば、組成物Aに添加しても良いものとして例示した紫外線吸収剤が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は2種以上組み合わせて用いることもでき、その添加量は、組成物Bの質量に対して0.001〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましい。紫外線吸収剤の添加量が0.001質量%より少ないと十分な効果が得られないことがあり、また5質量%より多くしても格段の効果は望めない。
【0064】
本発明の組成物Bは、炭化水素系重合体と、必要に応じて添加剤を従来公知の方法で混合することにより得ることができる。混合方法を具体的に例示するとミキシングロール、プラストミル、押し出し機などを用いた溶融混錬、あるいは組成物Bの成分を適当な有機溶剤に溶解した後、溶剤を留去する方法などが挙げられるが、本発明の主旨に反しない限り特に限定されない。
【0065】
本発明の積層体は、A層とB層が積層してなる構成を含んでいればA層、B層のいずれかが2つ以上含まれていてもかまわず、また2つ以上含まれている場合には、それらは同一であっても異なっていても良い。また、本発明の積層体には上記以外の層(C層とする)を含んでいても構わない。C層を具体的に例示すると、ポリエステル層、ポリアミド層、ポリイミド層、ポリカーボネート層などが挙げられるがこれに限定されない。本発明の積層体の層構成を具体的に例示すると、A層/B層、A層/B層/A層、A層/B層/A層/B層/A層、B層/A層/B層、A層/B層/B層/A層、A層/B層/C層/B層/A層、A層/B層/C層などが挙げられるが、これに限定されない。
【0066】
本発明の積層体は、A層とB層が積層してなる構成を含んでいれば、各層の厚さは特に限定されないが、A層、B層については0.001〜5mm、好ましくは0.01〜3mm、最適には0.1〜1.6mmであると良い。本発明の積層体にこれらの層を2つ以上含む場合、それらの厚さは同一であっても異なっていてもかまわない。また、これら各層の厚さは均一であっても良いし、不均一であっても良い。
【0067】
本発明の積層体の製造方法は特に限定されず、共押し出し成形、多層射出成形、ドライラミネーションなど、従来公知の方法で製造可能である。例えば、A層とB層が積層してなる構成を含む積層体である場合には共押し出し成形することが好ましく、その方法はダイ内で各層成分を接触させるダイ内ラミネーションでも良いし、ダイ外で接触させるダイ外ラミネーションでも良い。また、押し出し温度は適宜選択されるが、150〜300℃、好ましくは180〜250℃であると良い。
【0068】
本発明の積層体は合わせガラス中間膜用途に好適に使用される。以下に、それを説明する。本発明の積層体を合わせガラス中間膜として使用する場合、その際に使用するガラスは特に限定されず、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、熱線吸収板ガラスなどの無機ガラスのほか、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネートなどの従来公知の有機ガラス等が使用でき、これらは無色、有色、あるいは透明、非透明のいずれであってもよい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ガラスの厚みは特に限定されないが、100mm以下であることが好ましい。
【0069】
本発明の積層体を合わせガラス中間膜として使用する場合、積層体の構成は特に限定されないが、本発明の積層体の最表層にガラスとの接着性が適切な層があることが好ましく、特にガラスとして無機ガラスを使用する場合には、最表層はガラスとの接着性に優れるA層であることが好ましい。最表層がA層である本発明の積層体を具体的に例示すると、A層/B層/A層、A層/B層/C層/B層/A層、A層/B層/C層/A層などが挙げられる。
【0070】
本発明の積層体を合わせガラス中間膜として使用する場合、積層体の最表面の形状は特に限定されないが、ガラスとラミネートする際の取り扱い性(泡抜け性)を考慮すると、積層体の最表面にメルトフラクチャー、エンボスなど、従来公知の方法で凹凸構造を形成したものが好ましい。
【0071】
さらに、本発明の積層体は太陽電池モジュールの充填材として使用することで、遮音性が求められる分野、特にBIPVなどの建築一体型太陽電池などに好適に使用される。以下、これを説明する。
【0072】
本発明の太陽電池モジュールに使用される太陽電池セルのタイプとしては特に限定されず、特に制限はないが単結晶シリコン、多結晶シリコン等の結晶タイプ、アモルファスシリコンおよびそれと多結晶薄膜等との積層物等の薄膜シリコンタイプ、CIS、CIGS、CdTe、GaAsなどを使用した化合物半導体タイプといった薄膜タイプおよび有機太陽電池タイプなどが例示される。
【0073】
本発明の太陽電池モジュールに使用される太陽電池セルが結晶タイプの場合、例えば、図1(a)に示すように結晶タイプの太陽電池セル3と充填材2およびガラス、バックシートなど(以下、ガラス等という)1を重ねた後、ラミネートして得られる、図1(b)のような構成が挙げられる。この場合に使用する充填材2は少なくとも1つが本発明の積層体であれば、それ以外の充填材、例えば、従来公知の架橋性エチレン−酢酸ビニル共重合体組成物を併用することも可能である。
【0074】
また、本発明の太陽電池モジュールに使用される太陽電池セルが薄膜タイプの場合、例えば、図2(a)に示すように太陽電池セル4が蒸着された表面ガラス(ITO、ATO、FTOなどを含む透明電極層を含んでいても良い)と、充填材2およびガラス等1を重ねた後、ラミネートして得られる、図2(b)のような構成が挙げられる。この場合にも、充填材2として、必要に応じて架橋性エチレン−酢酸ビニル共重合体組成物からなる組成物からなる充填材を併用して構わない。
【0075】
本発明の太陽電池モジュールに使用されるガラスは特に制限されず、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、熱線吸収板ガラスなどの無機ガラスのほか、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネートなどの従来公知の有機ガラスなどを用いることができる。また、バックシートも特に制限はないが、耐候性に優れ、透湿度の低いものが好ましく使用され、ポリエステル系フィルム、フッ素系樹脂フィルム、および、それらの積層物、および、それらに無機化合物が積層されたものなどが使用できる。
【0076】
その他、本発明の太陽電池モジュールには、公知のフレームやジャンクションボックス、シーリング剤、取り付け治具および架台、反射防止膜、太陽熱を利用した各種設備、雨樋構造などと組み合わせることが可能である。
【0077】
本発明の合わせガラス、および、太陽電池モジュールは従来公知の方法で製造することが可能であり、例えば、真空ラミネーター装置を用いる方法、真空バッグを用いる方法、真空リングを用いる方法、ニップロールを用いる方法等が挙げられる。また、仮圧着後に、オートクレーブ工程に投入する方法も付加的に行なうことができる。
【0078】
真空ラミネーター装置を用いる場合、例えば、太陽電池の製造に用いられる公知の装置を使用し、1×10−6〜3×10−2MPaの減圧下、100〜200℃、特に130〜160℃の温度でラミネートされる。真空バッグまたは真空リングを用いる方法は、例えば、欧州特許第1235683号明細書に記載されており、例えば約2×10−2MPaの圧力下、130〜145℃でラミネートされる。
【0079】
ニップロールを用いる場合、例えば、可塑化ポリビニルアセタール樹脂の流動開始温度以下の温度で1回目の仮圧着した後、さらに流動開始温度に近い条件で仮圧着する方法が挙げられる。具体的には、例えば、赤外線ヒーターなどで30〜70℃に加熱した後、ロールで脱気し、さらに50〜120℃に加熱した後ロールで圧着して接着または仮接着させる方法が挙げられる。
【0080】
仮圧着後に付加的に行なわれるオートクレーブ工程は、モジュールや合わせガラスの厚さや構成にもよるが、例えば、0.1〜0.15MPaの圧力下、130〜145℃の温度で0.5〜2時間実施される。
【0081】
このようにして得られた合わせガラスのヘイズ値は特に限定されないが、5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下であると良い。
【実施例】
【0082】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において「%」および「部」は特に断りのない限り、「質量%」および「質量部」を意味する。
【0083】
本発明で使用する炭化水素系重合体は以下のとおりである。
炭化水素系重合体−1;
ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重合体(ポリイソプレン部分は完全水添)、ポリスチレン部分の合計含有量=12%、ガラス転移温度=−32℃、tanδのピーク温度=−17℃、MFR値(ASTM D1238、荷重2.16kg)が190℃で0.5g/10分、−20℃でのtanδ=1.0、0℃でのtanδ=0.8、20℃でのtanδ=0.3
炭化水素系重合体−2;
ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重合体(ポリイソプレン部分は完全水添)、ポリスチレン部分の含有量=22%、ガラス転移温度=−12℃、tanδのピーク温度=−5℃、MFR値(ASTM D1238、荷重2.16kg)が190℃で0.7g/10分、−20℃でのtanδ=0.15、0℃でのtanδ=1.05、20℃でのtanδ=0.4
炭化水素系重合体−3;
ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重合体(ポリイソプレン部分は未水添)、ポリスチレン部分の含有量=20%、ガラス転移温度−12℃、tanδのピーク温度=−1℃、MFR値(ASTM D1238、荷重2.16kg)が190℃で3.8g/10分、−20℃でのtanδ=0.08、0℃でのtanδ=1.05、20℃でのtanδ=0.9
【0084】
(ポリビニルアセタールPVB−1の調製)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた10L(リットル)のガラス製容器に、イオン交換水8100g、ポリビニルアルコール(PVA−1)(粘度平均重合度1700、けん化度99モル%)660gを仕込み(PVA濃度7.5%)、内容物を95℃に昇温して完全に溶解させた。次に、120rpmで攪拌下、5℃まで約30分かけて徐々に冷却後、ブチルアルデヒド384gと20%の塩酸540mLを添加し、ブチラール化反応を150分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて120分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、過剰量の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、再洗浄し、乾燥してポリビニルブチラール(PVB−1)を得た。得られたPVB−1のブチラール化度(平均アセタール化度)は69モル%、酢酸ビニル基の含有量は1モル%であり、ビニルアルコール基の含有量は30モル%であった。PVB−1のブチラール化度、残存する酢酸ビニル基の含有量はJIS K6728にしたがって測定した。
【0085】
(ポリビニルアセタールPVB−2の調製)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた10L(リットル)のガラス製容器に、イオン交換水8100g、ポリビニルアルコール(PVA−1)(粘度平均重合度1700、けん化度99モル%)660gを仕込み(PVA濃度7.5%)、内容物を95℃に昇温して完全に溶解させた。次に、120rpmで攪拌下、5℃まで約30分かけて徐々に冷却後、ブチルアルデヒド330gと20%の塩酸540mLを添加し、ブチラール化反応を150分間行った。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて120分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、過剰量の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、再洗浄し、乾燥してポリビニルブチラール(PVB−2)を得た。得られたPVB−2のブチラール化度(平均アセタール化度)は60モル%、酢酸ビニル基の含有量は1モル%であり、ビニルアルコール基の含有量は39モル%であった。PVB−2のブチラール化度、残存する酢酸ビニル基の含有量はJIS K6728にしたがって測定した。
【0086】
(組成物A−1の調製)
40gのPVB−1と、16gのポリエステルジオール(アジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールとの共重合体、水酸基価に基づく数平均分子量=500)、0.12gの2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、0.04gの酢酸カリウムおよび0.05gの2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールをラボプラストミル(150℃、60rpm、5分)で溶融混錬し、組成物A−1を得た。
(組成物A−1の酸価測定)
JIS K6728に従って、組成物A−1の酸価を測定した。組成物A−1の酸価は0.1mgKOH/gであった。
(組成物A−1のガラス転移温度測定)
JIS K7198に従って、組成物A−1の動的粘弾性を測定し(周波数:1Hz)、tanδのピーク温度から求めた。組成物A−1のガラス転移温度は28℃であった。
【0087】
(組成物A−2の調製)
組成物A−1の調製において、PVB−1の代わりにPVB−2を使用した以外は同様にして、組成物A−2を調整し、同様の測定を行った。組成物A−2の酸価は0.1mgKOH/g、ガラス転移温度は31℃であった。
【0088】
(組成物B−1の調整)
100gの炭化水素系重合体−1と1gのステアリン酸(融点69℃)および0.1gの2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールをラボプラストミル(200℃、60rpm、5分)で溶融混錬し、組成物B−1を得た。
【0089】
(組成物B−2の調整)
組成物B−1の調製において、炭化水素系重合体−1の代わりに炭化水素系重合体−2を使用した以外は同様にして、組成物B−2を調整した。
【0090】
(組成物B−3の調整)
組成物B−1の調製において、炭化水素系重合体−1の代わりに炭化水素系重合体−3を使用した以外は同様にして、組成物B−3を調整した。
【0091】
(組成物B−4の調整)
組成物B−1の調製において、ステアリン酸の使用量を0.2gに変更した以外は同様にして、組成物B−4を調整した。
【0092】
(組成物B−5の調整)
組成物B−1の調製において、ステアリン酸の代わりにオクタン酸(融点16℃)を使用した以外は同様にして、組成物B−5を調整した。
【0093】
(組成物B−6の調整)
組成物B−1の調製において、ステアリン酸の代わりにオレイン酸(融点13℃)を使用した以外は同様にして、組成物B−6を調整した。
【0094】
(組成物B−7の調整)
組成物B−1の調製において、ステアリン酸の代わりにリシノール酸(融点5℃)を使用した以外は同様にして、組成物B−7を調整した。
【0095】
(組成物B−8の調整)
組成物B−1の調製において、ステアリン酸の代わりにステアリン酸カルシウム(融点150〜160℃)を使用した以外は同様にして、組成物B−8を調整した。
【0096】
(組成物B−9の調整)
組成物B−1の調製において、ステアリン酸の代わりにステアリン酸カルシウム(融点150〜160℃)を使用し、炭化水素系重合体−1の代わりに炭化水素系重合体−2を使用した以外は同様にして、組成物B−9を調整した。
【0097】
(組成物B−10の調整)
組成物B−1の調製において、ステアリン酸の代わりにステアリン酸カルシウム(融点150〜160℃)を使用し、炭化水素系重合体−1の代わりに炭化水素系重合体−3を使用した以外は同様にして、組成物B−10を調整した。
【0098】
(組成物B−11の調整)
組成物B−8の調製において、ステアリン酸カルシウムの使用量を0.2gに変更した以外は同様にして、組成物B−11を調整した。
【0099】
(比較例組成物−1の調整)
組成物B−1の調製において、ステアリン酸を使用しなかったこと以外は同様にして、比較例組成物−1を調整した。
【0100】
(実施例1)
組成物A−1を10cm×10cm×1mmの型枠内で熱プレス(150℃、12kg/cm、30分)して得たフィルム(フィルムA−1)と、組成物B−1を10cm×10cm×1mmの型枠内で熱プレス(200℃、12kg/cm、5分)して得たフィルム(フィルムB−1)を重ね、12kg/cmの圧力下、135℃で30分熱処理し、積層体−1(A層/B層)を得た。
【0101】
(接着性の評価)
積層体−1を1cm×10cmの短冊状に切り、23℃、50%RHで一晩調湿した。短冊の長辺方向を端から2cm程度、A層とB層の間で剥離し、オートグラフ(株式会社島津製、オートグラフAG−IS)を使用して、100mm/分で剥離試験を5回行い、層間接着力の5回の平均値を求めた。評価結果を表2に示す。
【0102】
(実施例2)
組成物A−1の代わりに組成物A−2を使用した以外は実施例1と同様の方法により、積層体−2を作成し、同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0103】
(実施例3)
組成物B−1の代わりに組成物B−2を使用した以外は実施例1と同様の方法により、積層体−3を作成し、同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0104】
(実施例4)
組成物B−1の代わりに組成物B−3を使用した以外は実施例1と同様の方法により、積層体−4を作成し、同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0105】
(実施例5)
組成物B−1の代わりに組成物B−4を使用した以外は実施例1と同様の方法により、積層体−5を作成し、同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0106】
(実施例6)
組成物B−1の代わりに組成物B−5を使用した以外は実施例1と同様の方法により、積層体−6を作成し、同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0107】
(実施例7)
組成物B−1の代わりに組成物B−6を使用した以外は実施例1と同様の方法により、積層体−7を作成し、同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0108】
(実施例8)
組成物B−1の代わりに組成物B−7を使用した以外は実施例1と同様の方法により、積層体−8を作成し、同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0109】
(実施例9)
組成物B−1の代わりに組成物B−8を使用した以外は実施例1と同様の方法により、積層体−9を作成し、同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0110】
(実施例10)
組成物B−1の代わりに組成物B−9を使用した以外は実施例1と同様の方法により、積層体−10を作成し、同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0111】
(実施例11)
組成物B−1の代わりに組成物B−10を使用した以外は実施例1と同様の方法により、積層体−11を作成し、同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0112】
(実施例12)
組成物B−1の代わりに組成物B−11を使用した以外は実施例1と同様の方法により、積層体−12を作成し、同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0113】
(実施例13)
組成物A−1を10cm×10cm×0.3mmの型枠内で熱プレス(150℃、12kg/cm、30分)して得たフィルム(フィルムA−1)と、組成物B−1を10cm×10cm×0.2mmの型枠内で熱プレス(200℃、12kg/cm、5分)して得たフィルム(フィルムB−1)を(フィルムA−1/フィルムB−1/フィルムA−1)の順に重ね、10cm×10cm×0.8mmの型枠内で12kg/cmの圧力下、135℃で30分熱処理し、積層体−13(A層/B層/A層)を得た。
【0114】
(合わせガラスの評価)
積層体−13を10cm×10cm×3mmのガラス2枚の間に挟んだものを50℃、ニップロール処理で脱気後、オートクレーブ処理し(140℃、12kg/cm、2時間)、合わせガラス−1を得た。スガ試験機株式会社製ヘイズメーターにより合わせガラスのヘイズを評価した。また合わせガラス−1を80℃、30%RHで1000時間処理した後のヘイズを同様に評価した。評価結果を表2に示す。
【0115】
(実施例14)
組成物B−1の代わりに組成物B−8を使用した以外は実施例13と同様の方法により、積層体−14、合わせガラス−2を作成し、同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0116】
(比較例−1)
組成物B−1の代わりに比較例組成物−1を使用した以外は実施例1と同様の方法により、比較例積層体−1を作成し、同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0117】
【表1】

【0118】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の積層体は、組成物Bに炭素数8〜30のカルボン酸および/または炭素数8〜30のカルボン酸由来の塩を必須成分として含む。これら炭素数8〜30のカルボン酸および/または炭素数8〜30のカルボン酸由来の塩が有するカルボキシル基および/またはカルボキシレート基と、A層に含まれるポリビニルアセタールの水酸基とは水素結合による相互作用を持つことができ、一方、炭素数8〜30のカルボン酸および/または炭素数8〜30のカルボン酸由来の塩が有する比較的長鎖の炭化水素基が、分子極性が比較的近い炭化水素系重合体とも相溶、接着可能である。そのため、本発明の組成物AからなるA層と組成物BからなるB層とを積層してなる構成を含む積層体は、A層とB層の層間接着性に優れ、特にこれら積層体を合わせガラス中間膜に使用する場合に好適である。
【符号の説明】
【0120】
1 ガラス等
2 充填材
3 太陽電池セル(結晶系)
4 太陽電池セル(薄膜タイプ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアセタールを含む組成物AからなるA層と、炭化水素系重合体並びに炭素数8〜30のカルボン酸および/または炭素数8〜30のカルボン酸由来の塩を含む組成物BからなるB層とを積層してなる構成を含む積層体。
【請求項2】
組成物Bが、炭化水素系重合体100質量部に対して合計0.01〜5質量部の炭素数8〜30のカルボン酸および/または炭素数8〜30のカルボン酸由来の塩を含む、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記炭化水素系重合体が、炭素数2〜12の脂肪族不飽和炭化水素および炭素数8〜12の芳香族不飽和炭化水素からなる群から選ばれる1種類以上の単量体単位からなる重合体、または、該重合体の水添物である、請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
前記炭化水素系重合体が、炭素数8〜12の芳香族不飽和炭化水素単位からなる重合体ブロック(X)と、炭素数2〜12の脂肪族共役ポリエン単位からなる重合体ブロック(Y)とを含むブロック共重合体、または、該ブロック共重合体の水添物である、請求項1または2に記載の積層体。
【請求項5】
前記炭素数8〜12の芳香族不飽和炭化水素がスチレンであり、前記炭素数2〜12の脂肪族共役ポリエンがブタジエン、イソプレン、または、ブタジエンおよびイソプレンの混合物である、請求項4に記載の積層体。
【請求項6】
前記カルボン酸の融点が230℃以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
【請求項7】
前記カルボン酸由来の塩の融点が230℃以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
【請求項8】
前記カルボン酸由来の塩がカルシウム塩である、請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
【請求項9】
前記ポリビニルアセタールが、粘度平均重合度150〜3000のポリビニルアルコールをアセタール化して得られるものである、請求項1〜8のいずれかに記載の積層体。
【請求項10】
前記ポリビニルアセタールがポリビニルブチラールである、請求項1〜9のいずれかに記載の積層体。
【請求項11】
前記ポリビニルアセタールの平均アセタール化度が40〜85モル%、平均酢酸ビニル基量が0.01〜30モル%である、請求項1〜10のいずれかに記載の積層体。
【請求項12】
前記A層が、ポリビニルアセタール100質量部に対して1〜100質量部の可塑剤を含有する、請求項1〜11のいずれかに記載の積層体。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の積層体を含有する合わせガラス。
【請求項14】
ヘイズが5%以下である、請求項13に記載の合わせガラス。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれかに記載の積層体を含有する太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−240676(P2011−240676A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116780(P2010−116780)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】