帯電組立体及びこれを用いた画像形成装置
【課題】トナー、トナー外添剤、潤滑剤及びその分解物の帯電部材の表面への付着に起因する異常画像の発生を減少させることのできる帯電組立体を提供する。
【解決手段】本発明の帯電組立体12は導電性支持体12kに形成された電気抵抗調整層12mと電気抵抗調整層12mの表面を被覆する表面層12nとを有しかつその表面層12nの静止摩擦係数が1.0以上でありしかも感光体11の表面を回転しながら感光体11を帯電させる帯電ローラ12aと、帯電ローラ12aの表面層12nに接触して回転されて表面層12nに付着した異物を除去するクリーニング部材12bとを備えている。
【解決手段】本発明の帯電組立体12は導電性支持体12kに形成された電気抵抗調整層12mと電気抵抗調整層12mの表面を被覆する表面層12nとを有しかつその表面層12nの静止摩擦係数が1.0以上でありしかも感光体11の表面を回転しながら感光体11を帯電させる帯電ローラ12aと、帯電ローラ12aの表面層12nに接触して回転されて表面層12nに付着した異物を除去するクリーニング部材12bとを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体を帯電させる帯電部材を有する帯電組立体及びこの帯電組立体を用いた画像形成装置の改良に関し、特に、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に用いるのに好適な帯電組立体の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置には、静電潜像を担持する像担持体とこの像担持体の表面を露光して該表面に静電潜像を書き込む露光手段と像担持体の表面に形成された静電潜像を可視像化する現像手段と像担持体の表面に形成された可視像を被転写体に転写する転写手段と像担持体の表面をクリーニングする担持体表面クリーニング手段と像担持体の表面の削れを防止するための潤滑剤を像担持体の表面に塗布する潤滑剤塗布部材と、その像担持体の表面を帯電させる帯電手段とを備えた画像形成装置が知られている。
【0003】
図1はその画像形成装置の模式図を示し、この図1において、11は静電潜像を担持する像担持体としての感光体である。感光体11の上方にはその表面11aを帯電させるための帯電手段としての帯電組立体12が設けられている。
【0004】
この帯電組立体12は帯電部材としての帯電ローラ12aとこの帯電ローラ12aの表面層に接触してこの表面層に付着した異物を除去するクリーニング部材12bとを備えている。帯電ローラ12aは感光体11の表面11aに対して接触して又は非接触かつ近接配置される。
【0005】
感光体11の表面11aには図示を略す露光装置からの露光用の光Pによって静電潜像が書き込まれる。
【0006】
感光体11の回転方向前方には現像装置20が設けられている。この現像装置20はトナー担持体14を有し、トナー15を感光体11の静電潜像に付着させて静電潜像を可視像化させる現像手段としての役割を果たす。
【0007】
感光体11の下方には、感光体11の表面11aに形成された可視像(トナー像)を被転写体としての記録紙(記録媒体)17に転写処理する転写手段としての転写ローラ16が設けられている。
【0008】
転写処理後、感光体11の表面に残留するトナーは、像担持体の表面をクリーニングする担持体表面クリーニング手段としてのクリーニング部材18により除去され、廃トナー19は廃トナー収納箱21に集められる。
【0009】
ついで、感光体11の放電による摩耗の低減、トナークリーニング性向上を図るため、残留トナーの除去後感光体11の表面11aには、帯電ローラの表面の削れを防止するための潤滑剤22を塗布する潤滑剤塗布部材23により潤滑剤22が塗布される。
【0010】
なお、この図1では、その他の電子写真プロセスにおいて通常必要とする構成要素は、本発明には直接関係しないので、図示が略されている。
【0011】
この画像形成装置は以下に説明する処理手順で画像形成が行われる。
(1)帯電ローラ12aにより感光体11の表面11aを所望の電位に帯電させる。
(2)露光装置により感光体11の表面11aを露光して所望の画像に対応する静電潜像を感光体11の表面11aに形成する。
(3)現像装置20によりトナー15を静電潜像に付着させ、静電潜像を顕像化(可視像化)させ、感光体11の表面11aにトナー像を形成する。
(4)転写ローラ16によりトナー像を記録紙17に転写する。
(5)記録紙17に転写されずに感光体11の表面11aに残留したトナーをクリーニング部材18により除去して表面11aを清掃する。
(6)転写ローラ16によってトナー像が転写された記録紙17は、定着装置(図示を略)に向かって搬送される。定着装置は、トナーを加熱及び加圧して記録紙17にトナーを定着させる。
(7)ついで、感光体11の表面11aには潤滑剤22が塗布される。
【0012】
これら、(1)から(7)の処理手順を繰り返すことによって、記録紙17に所望の画像を形成することが繰り返される。
【0013】
感光体11の表面を帯電させる帯電方式には、感光体11の表面11aに帯電ローラ12aを接触させる接触帯電方式(特公平03-052058号公報、特公平08-030915号公報等)又は、感光体11の表面に帯電ローラ12aを近接配置する非接触帯電方式(特開平3-240076号公報、特開2001-312121号公報、特開2005-91818号公報)が知られている。両者の帯電方式には、以下のような問題がある。
(A)接触帯電方式の問題点
a:接触方式のため、帯電ローラ12aは弾性体でなければならず、帯電ローラ12aを構成する物質が帯電ローラ12aから染み出し、感光体11の表面11aにその物質が付着して、表面11aに帯電ローラの跡が付き、画像不良が発生する。
【0014】
b:感光体11の残トナー及びトナー構成物質が帯電ローラ12aに付着する
特に、帯電ローラ12aを構成する物質の染み出しによって、トナー付着が起こりやすくなるので、帯電ローラ12aの帯電性能の低下及び画像不良が発生の原因となる。
【0015】
c:放電により帯電ローラ12aの表面が劣化するため、更に、トナー及びトナー構成物質が帯電ローラ12aに付着しやすくなり、帯電性能の低下及び画像不良が発生の原因となる。
(B)非接触帯電方式の問題点
接触帯電方式の問題点a、bを解決するために、帯電ローラ12aを感光体11の表面11aに近接させるようにした非接触帯電方式(特開平3-240076号公報、特開2001-312121号公報、特開2005-91818号公報)が提案されている。
【0016】
この非接触帯電方式によれば、帯電ローラ12aと感光体11とが接触していないために、接触帯電装置で問題となる「帯電ローラ12aを構成している物質の感光体11への付着」、「感光体11の残トナー及びトナー構成物質の付着」という問題は解決される。
【0017】
なお、本発明に係わる帯電部材に類似の技術として以下のものがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)
【特許文献1】特開平10−161391号公報
【特許文献2】特開平11−149201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、均一帯電を行うために、直流電圧に加えて交流電圧を印加する場合、感光体11の表面11aに付着した付着物が帯電ローラ12aと感光体11の表面11aとの間で往復飛翔するため、非接触であっても帯電ローラ12aの表面にはトナー等が付着する。
【0019】
特に、感光体11の表面11aの削れ防止、トナークリーニング性向上のために、感光体11の表面11aにPTFE等のフッ素樹脂、ステアリン酸亜鉛のような金属石鹸等の潤滑剤22の塗布を行うことにすると、特に、金属石鹸のような低分子量の有機化合物は、帯電時(コロナ放電)のエネルギーにより、分解して帯電ローラ12aに付着して、経時的に帯電ローラ12aの表面に堆積する。
【0020】
トナー、トナー外添剤や潤滑剤22、その潤滑剤22の分解物質が経時的に帯電ローラ12aの表面に堆積して付着すると、これらの物質が付着している帯電ローラ12aの表面部分の抵抗が上昇し、放電が起こりにくくなるため、その帯電ローラ12aの表面部分に対向する感光体11の表面11aの部分の帯電電位がその表面11aの部分の周囲よりも低くなり、画像化した場合に、記録紙17上で濃いスジとなって現れる。
【0021】
帯電組立体12には、帯電ローラ12aの表面への付着物を除去するために、クリーニング部材12bが設けられてはいるが、このクリーニング部材12bを用いても帯電ローラ12aの表面への付着物を除去しきれないという問題がある。
【0022】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、その目的とするところは、トナー、トナー外添剤、潤滑剤及びその分解物の帯電部材の表面への付着に起因する異常画像の発生を減少させることのできる帯電組立体及びこれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
請求項1に記載の帯電組立体は、静電潜像を担持する像担持体と該像担持体の表面を露光して該表面に静電潜像を書き込む露光手段と前記像担持体の表面に形成された静電潜像を可視像化する現像手段と前記像担持体の表面に形成された可視像を被転写体に転写する転写手段と前記像担持体の表面をクリーニングする担持体表面クリーニング手段と前記像担持体の表面の削れを防止するための潤滑剤を前記像担持体の表面に塗布する潤滑剤塗布部材とを備えた画像形成装置に用いられる帯電組立体であって、
導電性支持体上に形成された電気抵抗調整層と該電気抵抗調整層の表面を被覆する表面層とを有しかつその表面層の静止摩擦係数が1.0以上でありしかも前記像担持体の表面を回転しながら該像担持体を帯電させる帯電部材と、該帯電部材の表面層に接触して回転されて該表面層に付着した異物を除去するクリーニング部材とを備えていることを特徴とする。
【0024】
請求項2に記載の帯電組立体は、前記表面層の静止摩擦係数が2.0以下であることを特徴とする。
【0025】
請求項3に記載の帯電組立体は、前記表面層を構成する樹脂材料がフッ素又はシリコンを含有する樹脂を含有していることを特徴とする。
【0026】
請求項4に記載の帯電組立体は、前記フッ素又はシリコンを含有する樹脂が水酸基を有し、硬化剤により縮合されて縮合生成物を形成していることを特徴とする。
【0027】
請求項5に記載の帯電組立体は、前記表面層を構成する樹脂材料がアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有するイオン導電剤とポリエーテルポリオール樹脂とが硬化剤により縮合された樹脂により形成されていることを特徴とする。
【0028】
請求項6に記載の帯電組立体は、前記帯電部材が円筒形状であることを特徴とする。
【0029】
請求項7に記載の帯電組立体は、前記帯電部材に直流電圧と交流電圧とが印加されることを特徴とする。
【0030】
請求項8に記載の帯電組立体は、前記クリーニング部材が多孔質のメラミン樹脂からなることを特徴とする。
【0031】
請求項9に記載の帯電組立体は、前記クリーニング部材の周速が前記帯電部材の周速と同一であることを特徴とする。
【0032】
請求項10に記載の帯電組立体は、前記クリーニング部材が前記帯電部材の回転に従動して回転されることを特徴とする。
【0033】
請求項11に記載の帯電組立体は、請求項1記載の帯電組立体の帯電部材が潜像を担持する像担持体に近接配置されていることを特徴とする。
【0034】
請求項12に記載の画像形成装置は、請求項1記載の潤滑剤がアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
請求項1、請求項2に記載の発明によれば、帯電部材とクリーニング部材との間でのスリップを確実に防止でき、帯電部材の表面層に付着した付着物をより一層確実に除去できるので、クリーニング性の向上を図ることができる。従って、画像形成装置にこの帯電組立体を用いた場合には、長期間に渡って高画質を維持することができる。
【0036】
従来、粘着性の高いトナーが帯電部材の表面層に付着するのを防止するためには、帯電部材の表面層の静止摩擦係数は小さいのが望ましいと考えられていた。
【0037】
これに対して、本発明では、あえて、静止摩擦係数の大きな表面層を構成する物質を用いることにしたのである。
【0038】
すなわち、帯電部材の回転起動時に帯電部材とクリーニング部材との間でスリップが生じ、この帯電部材とクリーニング部材との間でスリップ(線速差)が発生すると、クリーニング部材により付着物が除去できず、帯電部材の表面層に逆に強く付着し、この帯電部材の表面層に付着した付着物が異常画像の発生の原因であることが解析により判明した。
【0039】
そこで、本発明者等は、帯電部材の表面層を構成する物質として静止摩擦係数が大きなものを用いれば、帯電部材の回転起動時に帯電部材とクリーニング部材との間にスリップが生じにくくなるのではないかと考えて、帯電部材の表面層を構成する材料を各種実験により選択し、帯電部材の表面層として静止摩擦係数が1.0以上のものを用いることにしたのである。
【0040】
請求項3に記載の発明によれば、表面層として静止摩擦係数が1.0以上の材料を用いた場合でも、表面層へのトナー、トナー外添剤の固着を防止することができる。
【0041】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の効果に加えて、更に、表面層の粘着性を低減できると共に、耐摩耗性を向上させることができる。
【0042】
請求項5に記載の発明によれば、表面層の静止摩擦係数を高くするのに好適である。また、導電メカニズムをイオン導電系にすることができるため、局所的な電荷の集中を防止でき、ひいては、異常放電を防止することができる。
【0043】
すなわち、従来と同程度の抵抗値を有しかつ高摩擦係数の帯電部材を得ることができ、しかも異常放電の防止も図ることができる。
【0044】
請求項6に記載の発明によれば、同一箇所からの放電を防止でき、部品の長寿命化を図ることができると共に、回転させながらクリーニング部材と接触させることにしたので、クリーニング性をより一層向上させることができる。
【0045】
請求項7に記載の発明によれば、帯電ムラを防止して、長期に渡って安定した帯電を像担持体に付与することができる。
【0046】
請求項8に記載の発明によれば、帯電部材の表面層に付着した付着物がクリーニング部材の孔に取り込まれるので、帯電部材の表面から除去された付着物が帯電部材に再付着するのを防止することができる。
【0047】
請求項9、請求項10に記載の発明によれば、クリーニング部材の周速と帯電部材の周速とが同じであるので、帯電部材の表面層に付着した付着物を表面層に押しつけて広げることなく除去することができる。
【0048】
請求項11に記載の発明によれば、像担持体に対して帯電部材を非接触配置としたので、残留トナー、トナー外添剤、潤滑剤、その分解物等の像担持体の表面に存在する汚染物質の帯電部材への付着を低減させることができ、帯電部材の寿命を延ばすことができる。
【0049】
請求項12に記載の発明によれば、固形潤滑剤を像担持体に塗布したので、像担持体の摩耗防止、像担持体に付着したトナー及び、トナー外添剤のクリーニング性の向上を図り、長期に渡って高画質を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下に、本発明に係わる帯電組立体及びこの帯電組立体を用いた画像形成装置の発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0051】
図2はフルカラー画像を形成できる画像形成装置の一例を示す縦断面図である。この画像形成装置は、複数の支持ローラ4A、5A、6Aに巻き掛けられて矢印A方向に回転駆動される無端状の中間転写ベルト3と、その中間転写ベルト3に対向配置された第1〜第4のプロセスカートリッジ7Y,7C,7M,7BKを有している。
【0052】
各プロセスカートリッジ7Y〜7BKは、それぞれ異なった色のトナー像が形成されるドラム状の像担持体2Y,2C,2M,2BKを有する。
【0053】
その各像担持体上に異なった色のトナー像がそれぞれ形成され、その各トナー像が中間転写ベルト3上に重ねて転写される。中間転写ベルト3は、像担持体に形成されたトナー像が転写される転写手段の一例を構成する。なお、図2において、符号1は画像形成装置本体を示す。
【0054】
第1〜第4のプロセスカートリッジ7Y乃至7BKの各像担持体2Y〜2BK上にトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト3に転写する構成は、トナー像の色が異なるだけで、実質的に全て同一であるので、第1のプロセスカートリッジ7Yの像担持体2Yにトナー像を形成し、これを中間転写ベルト3に転写する構成のみを説明する。
【0055】
図3は第1プロセスカートリッジ7Yの拡大断面図である。このプロセスカートリッジ7Yの像担持体2Yは、ユニットケース8に回転自在に支持され、図示を略す駆動装置によって時計方向に回転駆動される。このとき、ユニットケース8に回転自在に支持された帯電ローラ12aに帯電電圧が印加され、これによって像担持体2Yの表面が所定の極性で帯電される。帯電後の像担持体2Yには、プロセスカートリッジ7Yとは別体の図2に示す光書き込み装置10から出射された光変調レーザ光Lが照射され、これによって、像担持体2Yに静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置20によってイエロートナー像として可視像化される。
【0056】
現像装置20は、ユニットケース8の一部によって構成された現像ケース20aを有し、この現像ケース20aには、トナーとキャリアを有する二成分系の乾式現像剤Dが収容されている。また、この現像ケース20aには、現像剤Dを撹拌する2本のスクリュー20b、20cと、反時計方向に回転駆動される現像ローラ20dとが配置されている。
【0057】
その現像ローラ20dの周面に汲み上げられた現像剤は、現像ローラ20dの周面に担持されて、現像ローラ20dの回転方向に搬送され、ドクターブレード20eを通過した現像剤が現像ローラ20dと像担持体2Yの間の現像領域に運ばれる。
【0058】
このとき、その現像剤中のトナーが像担持体2Yに形成された静電潜像に静電的に移行して、静電潜像がトナー像として可視像化される。現像領域を通過した現像剤は、現像ローラ20dから分離され、スクリュー20b、20cによって撹拌される。このようにして、像担持体2Yにトナー像が形成されるのである。なお、キャリアを有さない一成分系現像剤を用いる現像装置を採用することもできる。
【0059】
一方、中間転写ベルト3を挟んでプロセスカートリッジ7Yと反対側には一次転写ローラ25が配置され、この一次転写ローラ25に印加された転写電圧によって、像担持体2Y上のトナー像が矢印A方向に回転駆動される中間転写ベルト3上に一次転写される。
【0060】
トナー像転写後の像担持体2Y上に付着している残留トナーは、クリーニング装置26によって除去される。このクリーニング装置26は、ユニットケース8の一部によって構成されたクリーニングケース27と、先端エッジ部が像担持体2Yの表面に圧接されたクリーニングブレード28と、そのクリーニングブレード28を保持するブレードホルダ29と、クリーニングケース27内に配置されたトナー搬送スクリュー30とを有する。
【0061】
クリーニングブレード28は、像担持体2Yの回転方向に対して反対方向から対向するようにして配置されている。このクリーニングブレード28は、ゴム等の弾性体により構成され、そのクリーニングブレード28の基端側は例えば接着剤によってブレードホルダ29に固定されている。
【0062】
このクリーニングブレード28の先端エッジ部が像担持体2Yの表面に圧接され、これによって、像担持体2Y上の残留トナーが掻き取り除去される。
【0063】
除去トナーは、回転駆動されるトナー搬送スクリュー30によってクリーニングケース外に排出される。このようにして、クリーニングブレード28は、トナー像が転写手段(中間転写ベルト3)に転写された後、像担持体を清掃する。また、プロセスカートリッジ7Yには、像担持体2Yに潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置31と、像担持体2Yに塗布された潤滑剤をならす潤滑剤ならし手段としてのならしブレード32が設けられているが、これらは後述する。
【0064】
同様に図2に示す第2〜第4の像担持体2C、2M、2BK上にシアントナー像、マゼンタトナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成され、これらのトナー像がイエロートナー像の転写された中間転写ベルト3上に順次重ねて一次転写され、中間転写ベルト3上に合成トナー像が形成される。
【0065】
トナー像転写後の各像担持体2C、2M、2BK上の残留トナーがクリーニング装置により除去されることも第1像担持体2Yの場合と同様である。
【0066】
画像形成装置本体1内の下部には、図2に示すように、例えば、記録紙17を収容した給紙カセット14Aと、給紙ローラ15Aを有する給紙装置16Aが配置され、給紙ローラ15Aの回転によって最上位の記録紙17が矢印B方向に送り出される。
【0067】
送り出された記録紙17は、レジストローラ対17Aによって、所定のタイミングで支持ローラ4Aに巻き掛けられた中間転写ベルト3の部分と、これに対置された二次転写ローラ18Aとの間に給送される。このとき、二次転写ローラ18Aには所定の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト3上の合成トナー像が記録紙17に二次転写される。
【0068】
合成トナー像を二次転写された記録紙17は、さらに上方に搬送されて定着装置19Aを通り、このとき記録紙17上のトナー像が熱と圧力の作用により定着される。定着装置19Aを通過した記録紙17は、画像形成装置本体1の上部の排紙部22Aに排出される。
【0069】
また、トナー像転写後の中間転写ベルト3上に付着する残留トナーはクリーニング部材18によって除去される。21’はそのクリーニング部材18によって除去された廃トナー収納箱である。
【0070】
この画像形成装置には、図3に示すクリーニングブレード28の摩耗と、像担持体2Yの摩耗とを抑え、かつ、小粒径の球形トナーを用いたときでも、クリーニングブレード28による高いクリーニング性能が維持されるように、既述の潤滑剤塗布装置31が設けられている。
【0071】
この潤滑剤塗布装置31は、第2ないし第4のプロセスカートリッジ7C,7M,7BKにも設けられているが、その構成、作用は全て同一であるので、図3に示すプロセスカートリッジ7Yの潤滑剤塗布装置31のみについて説明する。
【0072】
潤滑剤塗布装置31は、像担持体2Yの表面に当接する潤滑剤塗布部材(ブラシローラともいう)33と、このブラシローラ33に対向するようにして配置された固形潤滑剤34と、その固形潤滑剤34を固定支持する潤滑剤ホルダ35と、その潤滑剤ホルダ35を介して固形潤滑剤34を案内するガイド36と、加圧手段としの圧縮コイルばね37とを有している。
【0073】
ブラシローラ33は、芯軸38と、その芯軸38に基端部が固定された多数のブラシ繊維39とを有している。かかるブラシローラ33は、像担持体2Yに対してほぼ平行でかつその像担持体2Yに沿って長く延びていて、ブラシローラ33の芯軸38の長手方向各端部が図示を略す軸受を介してユニットケース8に回転自在に支持されている。
【0074】
画像形成装置の動作時には、ブラシローラ33は図3において反時計方向に回転駆動される。
【0075】
固形潤滑剤34は、ブラシローラ33に対して平行に長く延びた直方体状に形成され、その先端面がブラシローラ33のブラシ繊維39に当接し、基端部が潤滑剤ホルダ35に固定されている。
【0076】
ガイド36は、一対のガイド板40,41を有し、ガイド板40,41は連結板42によって一体化されている。一対のガイド板40,41と連結板42は、ユニットケース8の一部によって構成される。
【0077】
潤滑剤ホルダ35は、一対のガイド板40,41の間に配置され、その各ガイド板40,41の互いに対向した面に潤滑剤ホルダ35が摺動可能に当接されている。
【0078】
潤滑剤34のブラシローラ33への押圧には、例えば圧縮コイルばね37が用いられ、固形潤滑剤34は潤滑剤ホルダ35を介してブラシローラ33に圧接される。図3には圧接方向が矢印Cで示されている。圧縮コイルばね37に代えて、ねじりコイルばねや板ばねなどから成るばね手段を用いることもできる。
【0079】
固形潤滑剤34がブラシローラ33のブラシ繊維39に圧接されると共に、そのブラシ繊維39が像担持体2Yの表面に圧接され、ブラシローラ33が回転するので、固形潤滑剤34の潤滑剤がブラシ繊維39によって削り取られ、その削り取られた粉体状の潤滑剤が像担持体2Yの表面に塗布される。
【0080】
このように、ブラシローラ33は、固形潤滑剤34から削り取られた粉体状の潤滑剤を像担持体2Yの表面に供給する潤滑剤塗布材を構成する。
【0081】
固形潤滑剤34はブラシローラ33によって削り取られて消費され、経時的にその厚みが減少する。固形潤滑剤34は圧縮コイルばね37によって加圧されているので、常時ブラシローラ33のブラシ繊維39に当接する。
【0082】
像担持体2Yの表面には、潤滑剤が塗布されるので、像担持体表面の摩擦係数を低く抑えることができ、これによって像担持体2Yの摩耗とクリーニングブレード28の摩耗とを抑え、その寿命を伸ばすことができる。
【0083】
しかも、トナーとして後述するように、小粒径で球形のトナーを用いたときも、クリーニングブレード28による像担持体2Yのクリーニング性能が大きく低下することを阻止できる。
【0084】
この潤滑剤塗布装置31には、ガイド36が設けられ、そのガイド36によって、潤滑剤ホルダ35と固形潤滑剤34が、実質的に、ブラシローラ33に対して接近又は離間する方向、すなわち圧縮コイルばね37による加圧方向Cと、その逆の方向にだけ移動できるように、その潤滑剤ホルダ35と固形潤滑剤34が案内される。
【0085】
このため、固形潤滑剤34が、この方向と直交する方向Eに大きく振れ動くことはない。これによって、固形潤滑剤34は常にほぼ同じ面積でブラシローラ33に当接することができ、常にほぼ一定量の潤滑剤が、ブラシローラ33を介して、像担持体2Yの表面に供給され、像担持体2Yの表面への潤滑剤の塗布むらを防止できる。
【0086】
この画像形成装置では、潤滑剤ホルダ35が一対のガイド板40、41に当接し、固形潤滑剤34がその潤滑剤ホルダ35を介してガイド36によって案内される構成とされているが、固形潤滑剤34をガイド36によって直に案内する構成とすることもできる。
【0087】
また、固形潤滑剤34が、実質的に、ブラシローラ33に対して接近又は離間する方向Cにだけ移動できるように、固形潤滑剤34がガイド36により案内されるとは、固形潤滑剤34が、この方向Cに対して直交する方向Eに、多少の遊び分だけ遊動してもよいことを意味する。
【0088】
このように、潤滑剤塗布装置31は、回転しながら像担持体2Yに当接するブラシローラ33より成る潤滑剤塗布部材23(図1参照)と、その潤滑剤塗布部材23に対して配置された固形潤滑剤22、34と、固形潤滑剤22、34が、実質的に潤滑剤塗布部材23、33に対して接近又は離間する方向にのみ移動できるように固形潤滑剤22、34を案内するガイド36と、固形潤滑剤22、34を潤滑剤塗布部材22(図1参照)に対して加圧する加圧手段とを有している。
【0089】
この画像形成装置は、均しブレード(ならしブレード)32(潤滑剤均し手段)を有しており、この均しブレード32は、ゴムなどの弾性体より成り、その先端エッジ部が像担持体2Yの表面に当接し、その基端側がホルダ45に固定されている。
【0090】
均しブレード32は像担持体2Yの表面の移動方向(回転方向)に対してトレーリング向き(移動方向と同方向の向き)に配置されている。ブラシローラ33より成る潤滑剤塗布部材33は、図3に示すように、クリーニングブレード28よりも像担持体の回転方向下流側に配置されている。
【0091】
トナー像転写後の像担持体2Yの表面に残存している残留トナーはクリーニングブレード28により除去され、クリーンな状態となった像担持体2Yの表面に、ブラシローラ33によって潤滑剤が塗布される。
【0092】
ついで、その塗布された潤滑剤は、像担持体2Yの表面に当接した均しブレード32を通過するとき、像担持体2Yの表面に一様に押し広げられて均一にならされる。
【0093】
これにより、像担持体2Yの表面に厚みの均一な潤滑剤層が形成される。このように、像担持体2Yを清掃した直後に、潤滑剤を塗布し、その潤滑剤をならすことによって、像担持体2Yの表面への潤滑剤塗布量の偏りやその表面の摩擦係数の偏りが生じることを防止でき、記録媒体上に形成された画像の画質を高めることができる。
【0094】
しかも、均しブレード32は、像担持体2Yの表面の移動方向に対して同じ方向を向くように配置されているので、像担持体2Yの駆動トルクが過度に大きくなることを防止できる。
【0095】
潤滑剤塗布装置31のブラシローラ33のブラシ繊維の太さは、3〜8デニールが好ましく、ブラシ繊維39の密度は2万〜10万本/inch2が好ましい。
【0096】
ブラシ繊維の太さが細すぎると、ブラシローラ33が像担持体の表面に当接したときに毛倒れを起こしやすくなる。逆にブラシ繊維が太すぎると繊維の密度を高くすることができなくなる。また、ブラシ繊維の密度が低いと像担持体の表面に当接するブラシ繊維の本数が少なくなるため、潤滑剤を均一に塗布することができず、逆にブラシ繊維の密度が高すぎると繊維と繊維の隙間が小さくなり、掻き取った潤滑剤の粉体の付着量が減るため、塗布量が不足する。
【0097】
固形潤滑剤34としては、乾燥した固体疎水性潤滑剤を用いることが可能であり、ステアリン酸亜鉛の他にも、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウムなどのステアリン酸基を持つものを用いることができる。また、同じ脂肪酸基であるオレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレイン酸鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸銅、や、パルチミン酸、亜鉛パルチミン酸コバルト、パルチミン酸銅、パルチミン酸マグネシウム、パルチミン酸アルミニウム、パルチミン酸カルシウムを用いてもよい。他にも、カプリル酸鉛、カプロン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、及びリコリノレン酸カドミウム等の脂肪酸、脂肪酸の金属塩なども使用できる。さらに、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、オオバ油、みつろう、ラノリンなどのワックス等も使用できる。
【0098】
しかし、固形潤滑剤34として、アルカリ金属又はアルカリ土金属のものを用いるのが好ましい。
【0099】
また、現像装置20において使用するトナーとしては、体積平均粒径が10μm以下で、体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dnとの比Dv/Dn(分散度)が、1.00乃至1.40の範囲にあるトナーを用いることが好ましく、特に体積平均粒径が3〜8μmであることが望ましい。小粒径のトナーを用いることによって、静電潜像に対して緻密にトナーを付着させることができる。
【0100】
しかしながら、トナーの体積平均粒径が小さすぎると、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌において磁性キャリアの表面にトナーが融着し、磁性キャリアの帯電能力を低下させ、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のクリーニングブレードへのトナーの融着を発生させやすくなる。
【0101】
逆に、トナーの体積平均粒径が大きすぎると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒径の変動が大きくなる場合が多い。
【0102】
また、粒径分布を狭くすることにより、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、転写率を高くすることができる。しかしながら、Dv/Dnが1.40を超えると、帯電量分布が広くなり、解像力も低下するため好ましくない。
【0103】
なお、トナーの平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)を用いて測定することができる。ここでは、コールターカウンターTA−II型を用い個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科技研社製)及びパーソナルコンピュータ(PC9801:NEC社製)に接続して測定した。
【0104】
このようなトナーでは、小粒径化されることによって、トナーに内添又は外添されている離型性を向上させるためのワックスや、流動性を向上させるための無機微粒子等の添加剤のトナー中での占める割合が大きくなっており、これらの添加剤が像担持体上に発生する付着物質の要因となっている。
【0105】
ところが、潤滑剤塗布装置31を搭載することにより、像担持体表面全域にわたって均一な潤滑剤の薄膜を形成し、これらの付着物質の像担持体2Yの表面への付着力を低減させることができる。しかも、像担持体2Yの表面とクリーニング装置26のクリーニングブレード28、均しブレード32との間に働く摩擦力を低減させてクリーニングを良好に行うことができる。
【0106】
現像装置20において、平均円形度が0.93乃至1.00の範囲にあるトナーを用いた場合、像担持体に潤滑剤を塗布する効果を大きく得ることができる。像担持体に潤滑剤を塗布することによって、このような円形度の高いトナーを用いても、そのトナーがクリーニングブレード28をすり抜ける不具合を効果的に抑えることができるからである。
【0107】
トナーの平均円形度は、光学的に粒子を検知して、投影面積の等しい相当円の周囲長で除した値である。具体的には、フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000;シスメックス社製)を用いて測定を行う。所定の容器に、予め不純固形物を除去した水100〜150mLを入れ、分散剤として界面活性剤0.1〜0.5mLを加え、さらに、測定試料0.1〜9.5g程度を加える。試料を分散した懸濁液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3,000〜10,000個/μLにしてトナーの形状及び分布を測定する。
【0108】
また、現像装置20で使用するトナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることが好ましい。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、SF−1の値が100の場合のトナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、SF−2の値が100の場合、トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。これらについては、特開2002−244485号公報を参照されたい。
【0109】
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと像担持体との接触が点接触に近くなるために、トナー同士の吸着力は弱くなり、従って流動性が高くなる。
【0110】
また、トナーと像担持体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。一方、球形トナーはクリーニングブレード28と像担持体との間隙に入り込みやすいため、トナーの形状係数SF−1又はSF−2はある程度大きい方がよい。また、SF−1とSF−2とが大きくなると、画像上にトナーが散ってしまい画像品位が低下する。このために、SF−1とSF−2は180を越えない方が好ましい。尚、形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、このデータを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に入力して解析計算をした。
【0111】
この画像形成装置に用いるトナーは、例えば、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー組成物であるトナー材料液を、水系溶媒中で、樹脂微粒子の存在下で架橋反応、伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法の例を挙げて説明する。
(変性ポリエステル)
トナーはバインダ樹脂として変性ポリエステル(i)を含む。変性ポリエステル(i)としては、ポリエステル樹脂中にエステル結合以外の結合基が存在したり、またポリエステル樹脂中に構成の異なる樹脂成分が共有結合、イオン結合などで結合した状態をさす。具体的には、ポリエステル末端に、カルボン酸基、水酸基と反応するイソシアネート基などの官能基を導入し、さらに活性水素含有化合物と反応させ、ポリエステル末端を変性したものを指す。
【0112】
変性ポリエステル(i)としては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応により得られるウレア変性ポリエステルなどが挙げられる。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)との重縮合物で、かつ活性水素基を有するポリエステルを、さらに多価イソシアネート化合物(PIC)と反応させたものなどが挙げられる。
【0113】
このポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。ウレア変性ポリエステルは、以下のようにして生成される。
【0114】
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)及び3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、又は(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);この脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;このビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);その3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0115】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)及び3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、及び(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。
【0116】
なお、多価カルボン酸(PC)としては、これらの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0117】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0118】
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;そのポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0119】
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0120】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、更に好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化すると共に、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
【0121】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、更に好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0122】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
【0123】
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
【0124】
3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
【0125】
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0126】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、更に好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0127】
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0128】
変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。変性ポリエステル(i)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。 この時のピーク分子量は1000〜10000が好ましく、1000未満では伸長反応しにくくトナーの弾性が少なくその結果耐ホットオフセット性が悪化する。また10000を超えると定着性の低下や粒子化や粉砕において製造上の課題が高くなる。変性ポリエステル(i)の数平均分子量は、後述の未変性ポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。(i)単独の場合は、数平均分子量は、通常20000以下、好ましくは1000〜10000、更に好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0129】
変性ポリエステル(i)を得るためのポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋反応、伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、及びそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。尚、生成するポリマーの分子量は、THFを溶媒としゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
(未変性ポリエステル)
変性ポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、未変性ポリエステル(ii)をバインダ樹脂成分として含有させることもできる。(ii)を併用することで、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。(ii)としては、(i)のポリエステル成分と同様な多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、更に好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(i)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0130】
(ii)のピーク分子量は、通常1000〜10000、好ましくは2000〜8000、更に好ましくは2000〜5000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、10000を超えると低温定着性が悪化する。(ii)の水酸基価は5以上であることが好ましく、更に好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。
【0131】
5未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(ii)の酸価は1〜5が好ましく、より好ましくは2〜4である。ワックスに高酸価ワックスを使用するため、バインダは低酸価バインダが帯電や高体積抵抗につながるので二成分系現像剤に用いるトナーにはマッチしやすい。
【0132】
バインダ樹脂のガラス転移点(Tg)は通常35〜70℃、好ましくは55〜65℃である。35℃未満ではトナーの耐熱保存性が悪化し、70℃を超えると低温定着性が不十分となる。
【0133】
ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、この実施例のトナーでは、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。なお、ガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)によって測定することができる。
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0134】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、又はマスターバッチとともに混練されるバインダ樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSYVP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
【0135】
荷電制御剤の使用量は、バインダ樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダ樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電気的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダ樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルのような離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。
【0136】
ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。
【0137】
更に、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
【0138】
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダ樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
【0139】
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
【0140】
なかでも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
【0141】
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0142】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
(1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
【0143】
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
(2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
【0144】
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
【0145】
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0146】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0147】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0148】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0149】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン−アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0150】
これらの樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0151】
分散方法としては、特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
(3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
(4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
(5)このようにして得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
また、トナーの外観形状は略球形状であることが好ましく、これは以下の形状規定によって表すことができる。
【0152】
これによって製造されたトナーは、磁性キャリアを使用しない一成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。また、二成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、磁性キャリアとしては、鉄、マグネタイト、Mn、Zn、Cu等の2価の金属を含むフェライトであって、体積平均粒径20〜100μmが好ましい。平均粒径が20μm未満では、現像時に感光体1にキャリア付着が生じやすく、100μmを越えると、トナーとの混合性が低く、トナーの帯電量が不十分で連続使用時の帯電不良等を生じやすい。また、Znを含むCuフェライトが飽和磁化が高いことから好ましいが、画像形成装置のプロセスにあわせて適宜選択することができる。
【0153】
磁性キャリアを被覆する樹脂としては、特に限定されないが、例えばシリコーン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、含フッ素樹脂、オレフィン樹脂等がある。その製造方法は、コーティング樹脂を溶媒中に溶解し、流動層中にスプレーしコア上にコーティングしても良く、また、樹脂粒子を静電気的に核粒子に付着させた後に熱溶融させて被覆するものであってもよい。被覆される樹脂の厚さは、0.05〜10μm、好ましくは0.3〜4μmがよい。
【0154】
この画像形成装置では、像担持体がドラム状に形成され、中間転写体が中間転写ベルトによって構成されているが、像担持体が無端ベルトにより構成され、中間転写体がドラム状に構成されていても良い。また、トナー像が形成される像担持体が中間転写体より成り、その像担持体に形成されたトナー像が転写される転写材が記録紙17より成るときにも適用できる。この場合には、トナー像転写後の中間転写体上に付着する残留トナーを除去するクリーニングブレードと、その中間転写体上に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置とが設けられる。更に、感光体より成る1つの像担持体上に形成したトナー像を、記録紙17に直に転写する形式の画像形成装置にも適用できる。
<帯電装置>
図3に示す帯電組立体12は帯電ローラ12aの汚染を除去するためのクリーニング部材12bを備えている。クリーニング部材の形状は、ローラ状、パッド形状でもよいが、ローラ形状が好ましい。
【0155】
帯電ローラ12a、クリーニング部材12bは、図4に拡大して示す取り付け板12cに設けられる。取り付け板12cには軸受け板部12d、12eが設けられている。帯電ローラ12aは付勢スプリング12fによって感光体11に向けて付勢されつつ軸受け板部12dに回転可能に支承されている。これにより、機械的振動、導電性支持体(芯金)の偏位があっても一定の後述する間隙Gを形成することができる。付勢荷重は、4〜25Nにする。好ましくは、6〜15Nにする。帯電部材は、軸受板部12dに支持されていても、回転するときの振動、帯電部材の偏心、その表面の凹凸により間隙Gの大きさが変動し、間隙Gが適正な範囲からはずれる場合があるからである。
【0156】
軸受け板12eは軸12gに揺動可能に支承され、軸受け板12eにはクリーニング部材12bが回転可能に支承されている。軸12gは取り付け板12cの起立部12g’に固定されている。軸受け板12eはコイルスプリング12hによって帯電ローラ12aに接近する方向に付勢されている。
【0157】
クリーニング部材12bは、帯電ローラ12aに当接して、帯電ローラ12aの表面層をクリーニングする。帯電ローラ12aの表面層にトナー、紙粉、分解物、構成部材の破損物等の異物が付着すると、電界が異物部分に集中するために、その付着箇所から異常放電が生じる。
【0158】
逆に、電気的絶縁性の異物が広い範囲に付着すると、その異物が付着した部分では放電が生じにくくなり、像担持体に帯電ムラが生ずる。
【0159】
従って、帯電ローラ12aの表面をクリーニングするクリーニング部材12bを設けることが好ましい。クリーニング部材12bとしては、ポリエステル等の繊維によるブラシ、メラミン樹脂等の多孔質(スポンジ)のようなものを用いることができる。
【0160】
クリーニング部材12bは、帯電ローラ12aの周速と同じであることが望ましい。帯電ローラ12aは図示を略すギヤを介して駆動装置によって回転駆動される。クリーニング部材12bは帯電ローラ12aに摩擦接触により従動回転させる構成、クリーニング部材12bをギヤ(図示を略す)を用いて帯電ローラ12aの回転に同期回転させる構成のいずれでも良い。更に、帯電ローラ12aの回転停止中はクリーニング部材12bを帯電ローラ12aから離間させ、帯電ローラ12aの回転起動前にクリーニング部材12bを接触させ、クリーニング部材12bを間欠的に回転駆動させる構成を採用しても良い。
【0161】
というのは、クリーニング部材12bの周速と帯電ローラ12aの周速との間に線速差が生じていると、帯電ローラ12aの表面層に付着している付着物を帯電ローラ12aの表面に逆に押し着け、表面層から付着物(異物)を除去できない現象が生じ易くなるからである。
【0162】
帯電装置は、帯電ローラ12aに電圧を印加する電源(図示を略す)を備えている。印加電圧は、直流電圧のみでも良いが、直流電圧と交流電圧とを重畳することが好ましい。
【0163】
特に、非接触方式の場合、感光体11と帯電ローラ12aの空隙(ギャップ)の変動により帯電ムラが生じやすく、直流電圧のみを印加すると像担持体の表面電位が不均一になることがある。
【0164】
交流電圧を重畳した印加電圧によれば、帯電ローラ12aの表面を等電位とすることができ、放電が安定するため像担持体を均一に帯電させることができる。
【0165】
重畳する交流電圧は、ピ−ク間電圧を像担持体の帯電開始電圧の2倍以上にすることが好ましい。帯電開始電圧とは、帯電ローラ12aに直流のみを印加した場合に像担持体が帯電され始めるときの電圧の絶対値である。これにより、像担持体から帯電ローラ12aへの逆放電が生じ、そのならし効果によって像担持体をより安定した状態で均一に帯電させることができる。
【0166】
また、交流電圧の周波数は像担持体の周速度(プロセススピード)の7倍以上であることが望ましい。7倍以上の周波数にすることにより、目視による場合、モアレ画像が認識できなくなる。
【0167】
この実施例では、クリーニング部材12bは、メラミン樹脂のスポンジローラを用いられている。このクリーニング部材12bは、スプリングにより帯電ローラ12aに圧接され、摩擦により従動回転される。
【0168】
図5は、非接触帯電方式の画像形成装置の一例を示している。ここでは帯電ローラ12aと感光体11の感光層領域、画像形成領域、非画像形成領域の位置関係が概略示されている。
【0169】
帯電ローラ12aは、図5に示すように、感光体11に微小な間隙(空隙)Gを持たせて対向して配設される。
【0170】
帯電ローラ12aと感光体11の間隙Gは、空隙保持部材12jを感光体11の非画像形成領域に当接させて形成する。非画像形成領域に空隙保持部材12jを当接させることにより、感光層の塗布厚がばらついても、間隙(空隙)Gのばらつきを防止することができる。なお、12pはスプリング受け部材である。
【0171】
帯電ローラ12aは、導電性支持体12kに形成された電気抵抗調整層12mの両端に空隙保持部材12jが配置されている。電気抵抗調整層12mにはトナー及びトナー添加剤の付着を防止するため、図6に示すように表面層12nが形成されている。
【0172】
図7は接触方式の画像形成装置の一例を示している。帯電ローラ12aの構成は空隙保持部材12jが設けられていない点を除いて大略同一である。
【0173】
帯電部材の形状は、帯電ローラ12aのように円筒形状ではなく、ベルト状、ブレード(板)状、半円柱状でかつ固定して配設する構成でも良いが、これまで述べたように、帯電ローラ12aのように形状が円筒状で、かつ、両端がギヤ又は軸受けで回転可能に支承される構成のものが望ましい。
【0174】
このように、帯電部材を感光体11への最近接部から感光体11回転方向の上流・下流に向かって漸次離間する曲面形状とすると、感光体11をより均一に帯電させることができる。
【0175】
感光体11に対向する帯電部材に先鋭な部分があると、その部分の電位が高くなるため、この部分から局所的に放電が開始され、感光体11を均一に帯電させることが困難になる。円柱形状のような曲面を有する形状とすることにより均一に感光体11を帯電させることができる。
【0176】
また、帯電部材の表面は放電によって強いストレスを受ける。放電が常に同じ箇所で発生すると、その部分の劣化が促進され、ひいては、その部分が欠落することがある。従って、帯電部材を回転させることによってその全表面を放電面として利用できれば、帯電部材の早期劣化を防止でき、帯電部材の長寿命化を図ることができる。
<近接配置方法>
帯電ローラ12aと感光体11との間隙Gは、空隙保持部材12jにより100μm以下、特に、5〜70μm程度の範囲にする。これにより、帯電部材の作動時における異常画像の形成を抑えることができる。
【0177】
間隙Gが100μm以上では、放電が感光体11に到達するまでの距離が長くなるので、パッシェンの法則による放電開始電圧が大きくなる。また、帯電ローラ12aと感光体11との放電空間が大きくなるので、感光体11を所定の電位に帯電させるためには放電による放電生成物が多量に必要となり、この放電生成物が画像形成後も放電空間に多量に残留し、感光体11に付着して、感光体11の経時劣化を促進する原因になる。
【0178】
また、この間隙Gが小さいと、放電が感光体11に到達するまでの距離が短く、放電エネルギーが小さくても感光体11を帯電させることができる。
【0179】
しかし、帯電ローラ12aと感光体11との間の空間(放電空間)が狭くなり、空気の流れが悪くなる。その結果、放電空間で生成された放電生成物がこの放電空間内に滞留し、間隙Gが大きい場合と同様に、画像形成後も放電生成物が放電空間に多量に残留し、感光体11に付着して、感光体11の経時劣化を促進する原因になる。
【0180】
従って、放電エネルギーを小さくして放電生成物の生成を少なくし、かつ、空気が滞留しない程度の空間を形成することが好ましい。そのためには、間隙Gは、100μm以下であって、5〜70μmの範囲にすることが好ましい。これにより、ストリーマ放電の発生を防止し、放電生成物の生成を少なくして感光体11に堆積する量を少なくして、斑点状の画像ムラ・像流れを防止することができる。
【0181】
空隙保持部材12jはその外周面の一部が電気抵抗調整層12mの外周面と高低差を有している。空隙Gの形成方法には、電気抵抗調整層12mと空隙保持部材12jとを切削、研削等の除去加工により同時加工することにより形成することができる。空隙保持部材12jと電気抵抗調整層12mとを同時加工することにより、空隙Gを高精度に形成することが可能となる。
【0182】
空隙保持部材12jの電気抵抗調整層12nと隣接する部分の高さを、電気抵抗調整層12mの高さと同一又は低く形成することによって、空隙保持部材12jと感光体11との接触幅が低減され、帯電ローラ12aと感光体11との間隙(空隙)Gを高精度にすることができる。このようにすることにより、空隙保持部材12jの電気抵抗調整層12mの側の端部の外表面が感光体11に当接することを防止することができ、この端部を介して隣接する電気抵抗調整層12mが感光体11に接触してリーク電流が発生してしまうことを防止することが可能となる。
【0183】
また、空隙保持部材12jの電気抵抗調整層12mの側の端部を低く加工することによって、この端部の部分を除去加工を行う際の切削刃等の逃げ代(逃げ加工)とすることができる。なお、逃げ代(逃げ加工)の形状は、空隙保持部材12jの端部の外表面が感光体11に当接しないような形状であるなら、どのような形状でも良い。
【0184】
更に、表面層12nをコーティングする際のマスキングを電気抵抗調整層12mと空隙保持部材12jの境界で行うことは、ばらつきを考慮すると制御が難しいので、段差を形成する際に、電気抵抗調整層12mと同一もしくは低く形成された空隙保持部材12jまで表面層12nを形成することによって、電気抵抗調整層12mに確実に表面層12nを形成することができる。
<空隙保持部材の材料>
空隙保持部材12jに必要な特性としては、感光体11との間隙(空隙)Gを環境変動に対して及び長期(経時)に渡って安定して形成することであり、そのためには、吸湿性、耐摩耗性が小さい材料が望ましい。また、トナー及びトナー添加剤が付着しにくいことや、感光体11と当接して摺動するために、感光体11を摩耗させないということも重要であり、種々の条件に応じて、適宜選択される。
【0185】
具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)およびその共重合体(AS、ABS)等の汎用樹脂、ポリカーボネート(PC)、ウレタン、フッ素(PTFE)等があげられる。特に空隙保持部材12jを確実に固定するためには、接着剤を塗布して接着することができる。また、空隙保持部材12jは絶縁性材料が好ましく、体積固有抵抗で1013Ωcm以上であることが好ましい。絶縁性が必要である理由は、感光体11とのリーク電流の発生を無くすためである。空隙保持部材12jは、成型加工により成形される。
<電気抵抗調整層の材料>
電気抵抗調整層12mは高分子型イオン導電材料が分散された熱可塑性樹脂組成物により形成されている。電気抵抗調整層12mの体積固有抵抗は106Ωcm〜109Ωcmであることが望ましい。109Ωcmを越えると、帯電能力や転写能力が不足してしまい、106Ωcmよりも体積固有抵抗が低いと、感光体11の全体に電流集中によるリークが生じる。
【0186】
電気抵抗調整層12mに用いられる熱可塑性樹脂は特に限定されるものではないが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)およびその共重合体(AS、ABS)、ポリアミド、ポリカーボーネート(PC)等の汎用樹脂であれば、成形加工が容易であり好ましい。
【0187】
その熱可塑性樹脂に分散させる高分子型イオン導電材料としては、ポリエーテルエステルアミド成分を含有する高分子化合物が好ましい。ポリエーテルエステルアミドはイオン導電性の高分子材料であり、マトリックスポリマー中に分子レベルで均一に分散、固定化される。
【0188】
従って、金属酸化物、カーボンブラック等の電子伝導系導電剤を分散した組成物に見られるような分散不良に伴う抵抗値のばらつきが生じない。また、高印加電圧を掛ける際には、電子伝導系導電剤の場合、局所的に電気の流れやすい経路が形成さるため、感光体11へのリーク電流が発生し、帯電ローラ12aの場合、異常画像である白・黒ポチ画像が発生する。ポリエーテルエステルアミドは、高分子材料であるため、ブリードアウトが生じ難い。配合量については、抵抗値を所望の値にする必要があるので、熱可塑性樹脂を20〜70重量%、高分子型イオン導電剤を80〜20重量%とする必要がある。
【0189】
更に、抵抗値を調整するために、電解質(塩)を添加することも可能である。塩としては、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム等のアルカリ金属塩、リチウムビスイミド、リチウムトリスメチド等のリチウムイミド塩、エチルトリフェニルホスホニウム・テトラフルオロボレート、テトラフェニルホスホニウム・ブロマイド等の四級ホスホニウム塩が挙げられる。導電剤は物性を損なわない範囲で、単独若しくは複数のものをブレンドして用いても構わない。
【0190】
導電材料をマトリックスポリマー中に分子レベルで均一に分散させるためには、相溶化剤を適宜使用してもよい。相溶化剤を添加することにより、導電材料のミクロ分散が可能になる。
【0191】
相溶化剤としては、反応基であるグリシジルメタクリレート基を有するものが挙げられる。その他、物性を損なわない範囲で、酸化防止剤等の添加剤を使用しても構わない。
【0192】
樹脂組成物の製造方法に関しては特に制限はなく、各材料を混合し二軸混練機、ニーダー等で溶融混練することによって、容易に製造できる。
【0193】
電気抵抗調整層12mとしての導電性支持体12kへの形成は、押出成形や射出成形等の手段で導電性支持体12kに導電性樹脂組成物を被覆することによって、容易に行うことができる。
【0194】
導電性支持体12kに電気抵抗調整層12mのみを形成して帯電ローラ12aを構成すると、電気抵抗調整層12mにトナー及びトナーの添加剤等が固着して性能低下する場合がある。このような不具合は、電気抵抗調整層12mに表面層12nを形成することにより防止できる。
【0195】
また、接触方式の場合、帯電ローラ12aは、弾性体にする必要があるが、その場合、シリコーン、NBR、エピクロルヒドリン、EPDM等のゴム材料に種々の導電剤を添加することによって、弾性のある電気抵抗調整層12mを形成することができる。ゴム材料の加工方法は、従来より用いられている工法を使用することができる。
<表面層>
表面層12nへのトナー、トナー添加剤等の付着防止のためには、表面層12nに非粘着性の高い、フッ素、シリコン等の樹脂を用いることが有効である。
【0196】
しかし、これらの材料は同時に、滑り性が良いため、摩擦係数が低く、クリーニング部材12bが帯電ローラ12aの表面層12nに当接した際、クリーニング部材12bがスリップしやすい。特に、クリーニングしにくい、放電により分解した潤滑剤が、スリップにより、クリーニングされず、逆に、表面層12nに強固に付着するおそれがある。
【0197】
そこで、表面層12nにクリーニング部材12bが当接した際のスリップを防止するために、帯電ローラ12aの表面層12nの静止摩擦係数を高くすることにより、クリーニング部材12bとのスリップを防止して、帯電ローラ12aの表面層12nに付着したクリーニングしにくくてかつ放電により分解した潤滑剤の除去性を向上させることにした。
【0198】
従来、表面層12nはカーボンブラック等の導電剤を用いて導電性を付与していたが、このような導電剤を用いた場合、それ自身が固体潤滑剤としての作用を有しているために、静止摩擦係数が低くなりやすい。そこで、イオン導電剤を用いて導電性を付与することにより、帯電ローラ12aの表面層12nの静止摩擦係数を高くすることにした。
【0199】
更に、イオン導電剤を用いた場合、カーボンブラック等の導電剤を用いた場合と比べて、感光体11へのリークが発生しにくく、それに伴う白ポチあるいは黒帯画像の発生を低減できることが判明した。
【0200】
これは、イオン導電剤の分散が分子レベルであるのに対して、カーボンブラック等の導電剤の分散レベルは非常に大きく、そのため、導電性部材に高電圧が印加された場合、カーボンブラック等による導電系である電子導電系は、局所的に電流が流れやすい部分が存在してしまうため、その部分から電流のリークが発生するが、イオン導電剤を用いたイオン導電系は、分散が細かくて局所的に電流が流れやすい部分が存在しないため、リークしにくい。このことは、電子写真の特性上非常に重要なことであり、表面の汚れ性を改善したのみならず、放電余裕度を向上されることができた。
(1)イオン導電剤について
イオン導電系の表面層12nを形成するためには、イオン導電剤を表面層中に分散させる必要がある。イオン導電剤としては、四級アンモニウム塩、界面活性剤、アルカリ金属、アルカリ土類金属含有塩等がある。界面活性剤系は一般的なイオン導電剤であるが、内部から表面にブリードする傾向があるため、トナー固着、感光体の汚染を起こす可能性があり、使用には適さない。四級アンモニウム塩については帯電ローラ12aとして使用可能な抵抗を得ることが難しい。
【0201】
従って、帯電ローラ12aに使用するイオン導電剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属含有のイオン導電剤を使用することが好ましい。イオン導電剤は、マトリックスポリマー等に分散させてコーティングにより薄膜を形成する。更に、イオン導電性を発現して抵抗を下げるためは、マトリックスポリマーにポリエーテル結合が必要である。これは、マトリックスポリマーのポリエーテルの酸素原子にイオン導電剤の金属イオンが配位することにより、イオンが移動し易くなるため、電気が流れやすくなり、抵抗が低下するものである。アルカリ金属、アルカリ土類金属含有塩としては、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カリウム等のアルカリ金属塩や、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸カルシウム等の過塩素酸塩があげられる。
また、含フッ素有機アニオン塩類として、パーフルオロアルカンスルホン酸、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド酸、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩があげられる。
【0202】
そのパーフルオロアルカンスルホン酸塩としては、具体的には、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(CF3SO3Li)、パーフルオロエタンスルホン酸リチウム(C2F5SO3Li)、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム(C4F9SO3Li)があげられる。
【0203】
また、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド酸塩としては、具体的には、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸リチウム((CF3SO2)2NLi)、ビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミド酸リチウム((C2F5SO2)2NLi)、ビス(パーフルオロブタンスルホニル)イミド酸リチウム((C4F9SO2)2NLi)があげらる。
【0204】
また、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド酸塩としては、具体的には、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド酸リチウム((CF3SO2)3CLi)、トリス(パーフルオロエタンスルホニル)メチド酸リチウム((C2F5SO2)3CLi)、トリス(パーフルオロブタンスルホニル)メチド酸リチウム((C4F9SO2)3CLi)があげられる。
【0205】
これら過塩素酸塩類及び含フッ素有機アニオン塩類を帯電ローラ12aの抵抗値のレベルに合わせて、単独又は2種以上ブレンドして用いても構わない。
【0206】
マトリックスポリマーとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイド共重合体、ポリエチレン−ポリエチレングリコールグラフト共重合体からなる分子中にエーテル結合と、水酸基を有するポリエーテルポリオール類があげられる。これら、ポリエーテルポリオール類に過塩素酸塩、含フッ素有機アニオン塩類を添加することにより、導電性を上げることができる。通常、ポリエーテルポリオール類100重量部に対して、過塩素酸塩類及び含フッ素有機アニオン塩類の合計量が0.1〜50重量部の範囲で添加され、かつ取り扱い上の安全性を考慮して、過塩素酸塩類の添加量は、多くとも20重量部である。
(2)表面層12nの形成方法について
ポリエーテルポリオール類に過塩素酸塩、含フッ素有機アニオン塩類が添加されたものは液状である。これを電気抵抗調整層12m上にコーティングしても固まらない。薄膜として形成するためには、ポリエーテルポリオール類を硬化剤により縮合させ架橋させることにより硬化させる必要がある。硬化剤としては、分子中に水酸基を有する主剤及び、水酸基と架橋反応を起こす、イソシアネート系樹脂を用いることことが有効である。
【0207】
イソシアネート系樹脂としては、ポリイソシアネート樹脂が挙げられ、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、これらの三量体、これらのアダクト体やビュウレット体、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらにブロック化されたイソシアネート類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0208】
イソシアネート系樹脂を用いることにより、100℃以下の比較的低温で架橋反応、硬化反応が起こる。硬化剤の配合量は、官能基(−OH基)1当量に対して0.1〜5当量、好ましくは0.5〜1.5当量である。その他、メラミン、グアナミン樹脂などのアミノ樹脂の硬化剤も基材の耐熱性に応じて適宜使用することができる。
【0209】
帯電ローラ12aは、その表面層12nが感光体や、トナーと接触する場合がある。そのため、表面層12nは非粘着性(撥水・撥油性)が必要となる。そのような樹脂は、シリコン系樹脂あるいは、フッ素系等の樹脂が良好である。このような樹脂を、電気抵抗調整層12mに表面層12nとして形成するためには、分子中に水酸基を有する、シリコン系又はフッ素系樹脂を用いて、ポリエーテルポリオールと同様硬化剤を用いて縮合させて架橋させることが耐久性の面で有利である。
【0210】
硬化剤としては、イソシアネート系樹脂、メラミン、グアナミン樹脂などのアミノ樹脂を用いることができる。このように、フッ素系、シリコン系樹脂を用いると、通常は、その樹脂の特性上摩擦係数が低くなるところを、ポリエーテルポリオール類を含むイオン導電剤を添加することで、撥水・撥油性を維持しながら高摩擦係数の表面を得ることが可能となった。
【0211】
硬化剤を用いて加熱により縮合、架橋を行う場合、用いるポリオール樹脂(水酸基を有する樹脂)とイソシアネート等の種類によって、反応に時間が掛かる場合がある。生産性を向上させるためには、反応時間をより短時間に終了させて、塗膜を固定する必要がある。そのため、触媒を添加して反応性を向上させることもできる。触媒は、スズ、アルミニウム、ジルコニウム等の金属系触媒、3級アミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7)あるいは、DBN(1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5)と酸を組み合わせた有機系があり、適宜使用することができる。
【0212】
イオン導電系の場合、導電剤が無色であるが、導電性部材としての機能、特性を損なわない限りにおいては、顔料、染料等の着色剤の添加も可能である。
【0213】
表面層12nの電気抵抗調整層12m上への形成は、表面層12nの構成材料を有機溶媒に溶解して塗料を作製し、スプレー塗装、ディッピング、ロールコート等の種々のコーティング方法で行う。膜厚については、5〜30μm程度が望ましい。
【0214】
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0215】
<実施例及び、比較例>
電気抵抗調整層12mの作成(1)
ABS樹脂(GR3000、電気化学工業製)40重量%、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)60重量%、さらにポリカーボネート−グリシジルメタクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体(モディパーC L440-G、日本油脂製)を樹脂全量の100に対して4部添加して、溶融混練した樹脂組成物を、SUM(Niメッキ)からなる導電性支持体12k(外径10mm)に射出成形により成形して電気抵抗調整層12mを得た。
【0216】
その後、ゲートカット及び長さ調整を行った後、電気抵抗調整層12mの両端部にリング状の空隙保持部材(高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)12jを圧入した。
【0217】
次に、切削加工によって、空隙保持部材12jの外径を12.5mm、電気抵抗調整層12mの外径を12.4mmに同時加工により仕上げた。
【0218】
このような電気抵抗調整層12mに、表1に示す混合物よりなる塗料を、スプレーコーティングすることにより膜厚約10μmの表面層12nを形成して、その後、熱風炉で105℃、60分間、加熱硬化させて、空隙保持部材12jと表面層12aとの間に約40μmの段差が形成された帯電ローラ12aを得た。この帯電ローラ12aは非接触方式の画像形成装置に用いられる。
電気抵抗調整層12nの作成(2)
ステンレスからなる導電性支持体12k(外径8mmの芯軸)に、電気抵抗調整層12mとしてエピクロルヒドリンゴム(エピクロマーCG、タ゛イソー社製)100重量部に過塩素酸アンモニウム3重量部を配合したゴム組成物を、押出成形、加硫工程を経て被覆して、研削により外径12mmに仕上げ、帯電ローラ12aを得た。この帯電ローラ12aは接触方式の画像形成装置に用いられる。
【0219】
なお、表面層12nについては、各実施例、比較例毎に静止摩擦係数を測定した。
【0220】
なお、静止摩擦係数の測定方法は、図8に示すようなオイラーベルト法を用いて行った。
【0221】
すなわち、その最大静止摩擦係数μμの測定方法は、記録紙17(リコータイプ6200)の一辺部におもりGWを取り付け、その記録紙17の他辺部にフォーカスゲージFGを引っかけ、帯電ローラ12aを記録紙17に接触させた状態で、フォーカスゲージFGを矢印方向に引っ張ったとき、記録紙17が滑り始めるときの測定値fを用いて測定した。
【0222】
μμ=Ln(f/g)/(π/2)
なお、ここで、gはおもりGWの重量(100g)、Lnは表示数値の自然対数である。
<試験>
この帯電ローラ12aを図3に示すプロセスカートリッジに搭載し、図2に示した画像形成装置(imagioMP C3000 )を用いて、画像面積率が5%の画像(A4横)を連続画像出しを行い、10000枚毎に評価用画像として、600dpiの2×2ハーフトーン画像A3を出力し、画像の縦スジの発生状況を目視で確認した。
【0223】
図9は帯電ローラ12aに汚れがない場合の記録紙17の部分図を示し、図10は帯電ローラ12に汚れが生じたため、画像に縦スジ12’が発生した場合の記録紙17の部分図を示している。
【0224】
ここでは、帯電ローラ12aの表面層12nの汚れを加速させるため、ステアリン酸亜鉛の感光体11の表面への塗布量をアップさせることにし、図3に示す圧縮コイルばね37を通常使用する5.5Nから8Nに変更して縦スジ発生の有無の評価を行った。
【0225】
この評価では、8万枚(80k枚)以下で、画像に縦スジが発生した場合を、不良(×)と判断し、8万枚(80k枚)繰り返して記録紙17に画像を形成しても画像に縦スジが発生しなかった場合を良(○)と判断した。
【0226】
なお、画像出し環境は20〜25℃、30〜60%RHの通常環境で実施した。
【0227】
【表1】
【0228】
(1)日本カーリット社製PEL-20A
(2)日本カーリット社製PEL-AK1(TFMS;トリフルオロメタンスルホン酸)
(3)日本カーリット社製PEL-25
(4)三光化学工業社製PEO-30R 5)チタン工業社製EC700
(6)川上塗料社製ムキコート3000VH
(7)川上塗料社製T4硬化剤
(8) 大同塗料社製サーフキュアDSC-201
(9) 大同塗料社製サーフキュア硬化剤K-20
(10)富士化成工業社製ZX022
(11)旭化成ケミカルズ社製デュラネートMF-B60X
(12)大橋化学社製ネオポリナールNo.800(s)
(13)大橋化学社製ネオポリナールNo.800(s)硬化剤E
(14) 東洋紡社製バイロン20SS/30SS
(15)三和ケミカル社製BL-60
(16)旭硝子社製ルミフロン601C
(17)旭硝子社製ルミフロン601C硬化剤
この表1に基づき、導電材添加量と静止摩擦係数との関係を調べて図11に示すグラフを得た。
【0229】
図11に示すように、各実施例の帯電ローラでは、イオン導電系の導電剤の添加量を増すと静止摩擦係数が増大するが、各比較例のようにカーボンブラック系の導電剤を用いると、導電剤の添加量を増すと、静止摩擦係数が減少することが理解できる。
【0230】
その表1から明らかなように、表面層12nの静止摩擦係数が1.0以上の帯電ローラ(実施例)12aでは、この帯電ローラ12aを画像形成装置に組み込んで、現像した場合に、80万枚未満ではいずれも縦スジが発生しなかった。
【0231】
これに対して、表面層12nの静止摩擦係数が1.0未満の帯電ローラ(比較例)12aでは、この帯電ローラ12aを画像形成装置に組み込んで、現像した場合に、80万枚未満でいずれも縦スジが発生した。
【0232】
これらの実施例、比較例に用いた帯電組立体を用いて、帯電ローラ12aが回転を開始してからクリーニング部材(クリーニングローラ)12bが帯電ローラ12aの回転に追従して回転を開始するまでの時間(スリップ時間)と静止摩擦係数との関係を示す曲線Qを図12に示すように得た。
【0233】
この曲線Qから見てとれるように、静止摩擦係数が1.0未満では、スリップ時間が2msないし3ms以上であり、静止摩擦係数が1.3以上では2ms未満であり、スリップ時間は静止摩擦係数が1.00以上で安定しており、この図12に示す曲線Qと表1に示す実施例とから、帯電ローラ12aの表面層12nの静止摩擦係数は1.0以上ないし2.0以下、更には、1.53以上ないし1.60未満であることが望ましいことがわかった。
【0234】
なお、この発明で、像担持体という用語は、感光体、転写ベルト等を含む概念として用いている。
【図面の簡単な説明】
【0235】
【図1】従来の画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図2】本発明が適用されるフルカラー画像を形成する画像形成装置の一例を示す概要図である。
【図3】図2に示すプロセスカートリッジの拡大図である。
【図4】本発明に係わる帯電組立体の概要を示す図である。
【図5】非接触方式の画像形成装置の模式図である。
【図6】図4に示す帯電ローラの断面図である。
【図7】接触方式の画像形成装置の模式図である。
【図8】オイラーベルト法による静止摩擦係数の測定の一例を示す模式図である。
【図9】帯電ローラに汚れがない場合の記録紙の部分図である。
【図10】帯電ローラに汚れが生じたことにより、記録紙に縦スジができた状態を示す記録紙の部分図である。
【図11】導電剤の添加量と静止摩擦係数との関係を示すグラフである。
【図12】帯電ローラが回転を開始したときからクリーニング部材が帯電ローラの回転に追従して回転を開始するまでのスリップ時間と静止摩擦係数との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0236】
11…感光体
12…帯電組立体
12a…帯電ローラ
12b…クリーニング部材
12k…導電性支持体
12m…電気抵抗調整層
12n…表面層
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体を帯電させる帯電部材を有する帯電組立体及びこの帯電組立体を用いた画像形成装置の改良に関し、特に、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に用いるのに好適な帯電組立体の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置には、静電潜像を担持する像担持体とこの像担持体の表面を露光して該表面に静電潜像を書き込む露光手段と像担持体の表面に形成された静電潜像を可視像化する現像手段と像担持体の表面に形成された可視像を被転写体に転写する転写手段と像担持体の表面をクリーニングする担持体表面クリーニング手段と像担持体の表面の削れを防止するための潤滑剤を像担持体の表面に塗布する潤滑剤塗布部材と、その像担持体の表面を帯電させる帯電手段とを備えた画像形成装置が知られている。
【0003】
図1はその画像形成装置の模式図を示し、この図1において、11は静電潜像を担持する像担持体としての感光体である。感光体11の上方にはその表面11aを帯電させるための帯電手段としての帯電組立体12が設けられている。
【0004】
この帯電組立体12は帯電部材としての帯電ローラ12aとこの帯電ローラ12aの表面層に接触してこの表面層に付着した異物を除去するクリーニング部材12bとを備えている。帯電ローラ12aは感光体11の表面11aに対して接触して又は非接触かつ近接配置される。
【0005】
感光体11の表面11aには図示を略す露光装置からの露光用の光Pによって静電潜像が書き込まれる。
【0006】
感光体11の回転方向前方には現像装置20が設けられている。この現像装置20はトナー担持体14を有し、トナー15を感光体11の静電潜像に付着させて静電潜像を可視像化させる現像手段としての役割を果たす。
【0007】
感光体11の下方には、感光体11の表面11aに形成された可視像(トナー像)を被転写体としての記録紙(記録媒体)17に転写処理する転写手段としての転写ローラ16が設けられている。
【0008】
転写処理後、感光体11の表面に残留するトナーは、像担持体の表面をクリーニングする担持体表面クリーニング手段としてのクリーニング部材18により除去され、廃トナー19は廃トナー収納箱21に集められる。
【0009】
ついで、感光体11の放電による摩耗の低減、トナークリーニング性向上を図るため、残留トナーの除去後感光体11の表面11aには、帯電ローラの表面の削れを防止するための潤滑剤22を塗布する潤滑剤塗布部材23により潤滑剤22が塗布される。
【0010】
なお、この図1では、その他の電子写真プロセスにおいて通常必要とする構成要素は、本発明には直接関係しないので、図示が略されている。
【0011】
この画像形成装置は以下に説明する処理手順で画像形成が行われる。
(1)帯電ローラ12aにより感光体11の表面11aを所望の電位に帯電させる。
(2)露光装置により感光体11の表面11aを露光して所望の画像に対応する静電潜像を感光体11の表面11aに形成する。
(3)現像装置20によりトナー15を静電潜像に付着させ、静電潜像を顕像化(可視像化)させ、感光体11の表面11aにトナー像を形成する。
(4)転写ローラ16によりトナー像を記録紙17に転写する。
(5)記録紙17に転写されずに感光体11の表面11aに残留したトナーをクリーニング部材18により除去して表面11aを清掃する。
(6)転写ローラ16によってトナー像が転写された記録紙17は、定着装置(図示を略)に向かって搬送される。定着装置は、トナーを加熱及び加圧して記録紙17にトナーを定着させる。
(7)ついで、感光体11の表面11aには潤滑剤22が塗布される。
【0012】
これら、(1)から(7)の処理手順を繰り返すことによって、記録紙17に所望の画像を形成することが繰り返される。
【0013】
感光体11の表面を帯電させる帯電方式には、感光体11の表面11aに帯電ローラ12aを接触させる接触帯電方式(特公平03-052058号公報、特公平08-030915号公報等)又は、感光体11の表面に帯電ローラ12aを近接配置する非接触帯電方式(特開平3-240076号公報、特開2001-312121号公報、特開2005-91818号公報)が知られている。両者の帯電方式には、以下のような問題がある。
(A)接触帯電方式の問題点
a:接触方式のため、帯電ローラ12aは弾性体でなければならず、帯電ローラ12aを構成する物質が帯電ローラ12aから染み出し、感光体11の表面11aにその物質が付着して、表面11aに帯電ローラの跡が付き、画像不良が発生する。
【0014】
b:感光体11の残トナー及びトナー構成物質が帯電ローラ12aに付着する
特に、帯電ローラ12aを構成する物質の染み出しによって、トナー付着が起こりやすくなるので、帯電ローラ12aの帯電性能の低下及び画像不良が発生の原因となる。
【0015】
c:放電により帯電ローラ12aの表面が劣化するため、更に、トナー及びトナー構成物質が帯電ローラ12aに付着しやすくなり、帯電性能の低下及び画像不良が発生の原因となる。
(B)非接触帯電方式の問題点
接触帯電方式の問題点a、bを解決するために、帯電ローラ12aを感光体11の表面11aに近接させるようにした非接触帯電方式(特開平3-240076号公報、特開2001-312121号公報、特開2005-91818号公報)が提案されている。
【0016】
この非接触帯電方式によれば、帯電ローラ12aと感光体11とが接触していないために、接触帯電装置で問題となる「帯電ローラ12aを構成している物質の感光体11への付着」、「感光体11の残トナー及びトナー構成物質の付着」という問題は解決される。
【0017】
なお、本発明に係わる帯電部材に類似の技術として以下のものがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)
【特許文献1】特開平10−161391号公報
【特許文献2】特開平11−149201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、均一帯電を行うために、直流電圧に加えて交流電圧を印加する場合、感光体11の表面11aに付着した付着物が帯電ローラ12aと感光体11の表面11aとの間で往復飛翔するため、非接触であっても帯電ローラ12aの表面にはトナー等が付着する。
【0019】
特に、感光体11の表面11aの削れ防止、トナークリーニング性向上のために、感光体11の表面11aにPTFE等のフッ素樹脂、ステアリン酸亜鉛のような金属石鹸等の潤滑剤22の塗布を行うことにすると、特に、金属石鹸のような低分子量の有機化合物は、帯電時(コロナ放電)のエネルギーにより、分解して帯電ローラ12aに付着して、経時的に帯電ローラ12aの表面に堆積する。
【0020】
トナー、トナー外添剤や潤滑剤22、その潤滑剤22の分解物質が経時的に帯電ローラ12aの表面に堆積して付着すると、これらの物質が付着している帯電ローラ12aの表面部分の抵抗が上昇し、放電が起こりにくくなるため、その帯電ローラ12aの表面部分に対向する感光体11の表面11aの部分の帯電電位がその表面11aの部分の周囲よりも低くなり、画像化した場合に、記録紙17上で濃いスジとなって現れる。
【0021】
帯電組立体12には、帯電ローラ12aの表面への付着物を除去するために、クリーニング部材12bが設けられてはいるが、このクリーニング部材12bを用いても帯電ローラ12aの表面への付着物を除去しきれないという問題がある。
【0022】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、その目的とするところは、トナー、トナー外添剤、潤滑剤及びその分解物の帯電部材の表面への付着に起因する異常画像の発生を減少させることのできる帯電組立体及びこれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
請求項1に記載の帯電組立体は、静電潜像を担持する像担持体と該像担持体の表面を露光して該表面に静電潜像を書き込む露光手段と前記像担持体の表面に形成された静電潜像を可視像化する現像手段と前記像担持体の表面に形成された可視像を被転写体に転写する転写手段と前記像担持体の表面をクリーニングする担持体表面クリーニング手段と前記像担持体の表面の削れを防止するための潤滑剤を前記像担持体の表面に塗布する潤滑剤塗布部材とを備えた画像形成装置に用いられる帯電組立体であって、
導電性支持体上に形成された電気抵抗調整層と該電気抵抗調整層の表面を被覆する表面層とを有しかつその表面層の静止摩擦係数が1.0以上でありしかも前記像担持体の表面を回転しながら該像担持体を帯電させる帯電部材と、該帯電部材の表面層に接触して回転されて該表面層に付着した異物を除去するクリーニング部材とを備えていることを特徴とする。
【0024】
請求項2に記載の帯電組立体は、前記表面層の静止摩擦係数が2.0以下であることを特徴とする。
【0025】
請求項3に記載の帯電組立体は、前記表面層を構成する樹脂材料がフッ素又はシリコンを含有する樹脂を含有していることを特徴とする。
【0026】
請求項4に記載の帯電組立体は、前記フッ素又はシリコンを含有する樹脂が水酸基を有し、硬化剤により縮合されて縮合生成物を形成していることを特徴とする。
【0027】
請求項5に記載の帯電組立体は、前記表面層を構成する樹脂材料がアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有するイオン導電剤とポリエーテルポリオール樹脂とが硬化剤により縮合された樹脂により形成されていることを特徴とする。
【0028】
請求項6に記載の帯電組立体は、前記帯電部材が円筒形状であることを特徴とする。
【0029】
請求項7に記載の帯電組立体は、前記帯電部材に直流電圧と交流電圧とが印加されることを特徴とする。
【0030】
請求項8に記載の帯電組立体は、前記クリーニング部材が多孔質のメラミン樹脂からなることを特徴とする。
【0031】
請求項9に記載の帯電組立体は、前記クリーニング部材の周速が前記帯電部材の周速と同一であることを特徴とする。
【0032】
請求項10に記載の帯電組立体は、前記クリーニング部材が前記帯電部材の回転に従動して回転されることを特徴とする。
【0033】
請求項11に記載の帯電組立体は、請求項1記載の帯電組立体の帯電部材が潜像を担持する像担持体に近接配置されていることを特徴とする。
【0034】
請求項12に記載の画像形成装置は、請求項1記載の潤滑剤がアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
請求項1、請求項2に記載の発明によれば、帯電部材とクリーニング部材との間でのスリップを確実に防止でき、帯電部材の表面層に付着した付着物をより一層確実に除去できるので、クリーニング性の向上を図ることができる。従って、画像形成装置にこの帯電組立体を用いた場合には、長期間に渡って高画質を維持することができる。
【0036】
従来、粘着性の高いトナーが帯電部材の表面層に付着するのを防止するためには、帯電部材の表面層の静止摩擦係数は小さいのが望ましいと考えられていた。
【0037】
これに対して、本発明では、あえて、静止摩擦係数の大きな表面層を構成する物質を用いることにしたのである。
【0038】
すなわち、帯電部材の回転起動時に帯電部材とクリーニング部材との間でスリップが生じ、この帯電部材とクリーニング部材との間でスリップ(線速差)が発生すると、クリーニング部材により付着物が除去できず、帯電部材の表面層に逆に強く付着し、この帯電部材の表面層に付着した付着物が異常画像の発生の原因であることが解析により判明した。
【0039】
そこで、本発明者等は、帯電部材の表面層を構成する物質として静止摩擦係数が大きなものを用いれば、帯電部材の回転起動時に帯電部材とクリーニング部材との間にスリップが生じにくくなるのではないかと考えて、帯電部材の表面層を構成する材料を各種実験により選択し、帯電部材の表面層として静止摩擦係数が1.0以上のものを用いることにしたのである。
【0040】
請求項3に記載の発明によれば、表面層として静止摩擦係数が1.0以上の材料を用いた場合でも、表面層へのトナー、トナー外添剤の固着を防止することができる。
【0041】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の効果に加えて、更に、表面層の粘着性を低減できると共に、耐摩耗性を向上させることができる。
【0042】
請求項5に記載の発明によれば、表面層の静止摩擦係数を高くするのに好適である。また、導電メカニズムをイオン導電系にすることができるため、局所的な電荷の集中を防止でき、ひいては、異常放電を防止することができる。
【0043】
すなわち、従来と同程度の抵抗値を有しかつ高摩擦係数の帯電部材を得ることができ、しかも異常放電の防止も図ることができる。
【0044】
請求項6に記載の発明によれば、同一箇所からの放電を防止でき、部品の長寿命化を図ることができると共に、回転させながらクリーニング部材と接触させることにしたので、クリーニング性をより一層向上させることができる。
【0045】
請求項7に記載の発明によれば、帯電ムラを防止して、長期に渡って安定した帯電を像担持体に付与することができる。
【0046】
請求項8に記載の発明によれば、帯電部材の表面層に付着した付着物がクリーニング部材の孔に取り込まれるので、帯電部材の表面から除去された付着物が帯電部材に再付着するのを防止することができる。
【0047】
請求項9、請求項10に記載の発明によれば、クリーニング部材の周速と帯電部材の周速とが同じであるので、帯電部材の表面層に付着した付着物を表面層に押しつけて広げることなく除去することができる。
【0048】
請求項11に記載の発明によれば、像担持体に対して帯電部材を非接触配置としたので、残留トナー、トナー外添剤、潤滑剤、その分解物等の像担持体の表面に存在する汚染物質の帯電部材への付着を低減させることができ、帯電部材の寿命を延ばすことができる。
【0049】
請求項12に記載の発明によれば、固形潤滑剤を像担持体に塗布したので、像担持体の摩耗防止、像担持体に付着したトナー及び、トナー外添剤のクリーニング性の向上を図り、長期に渡って高画質を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下に、本発明に係わる帯電組立体及びこの帯電組立体を用いた画像形成装置の発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0051】
図2はフルカラー画像を形成できる画像形成装置の一例を示す縦断面図である。この画像形成装置は、複数の支持ローラ4A、5A、6Aに巻き掛けられて矢印A方向に回転駆動される無端状の中間転写ベルト3と、その中間転写ベルト3に対向配置された第1〜第4のプロセスカートリッジ7Y,7C,7M,7BKを有している。
【0052】
各プロセスカートリッジ7Y〜7BKは、それぞれ異なった色のトナー像が形成されるドラム状の像担持体2Y,2C,2M,2BKを有する。
【0053】
その各像担持体上に異なった色のトナー像がそれぞれ形成され、その各トナー像が中間転写ベルト3上に重ねて転写される。中間転写ベルト3は、像担持体に形成されたトナー像が転写される転写手段の一例を構成する。なお、図2において、符号1は画像形成装置本体を示す。
【0054】
第1〜第4のプロセスカートリッジ7Y乃至7BKの各像担持体2Y〜2BK上にトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト3に転写する構成は、トナー像の色が異なるだけで、実質的に全て同一であるので、第1のプロセスカートリッジ7Yの像担持体2Yにトナー像を形成し、これを中間転写ベルト3に転写する構成のみを説明する。
【0055】
図3は第1プロセスカートリッジ7Yの拡大断面図である。このプロセスカートリッジ7Yの像担持体2Yは、ユニットケース8に回転自在に支持され、図示を略す駆動装置によって時計方向に回転駆動される。このとき、ユニットケース8に回転自在に支持された帯電ローラ12aに帯電電圧が印加され、これによって像担持体2Yの表面が所定の極性で帯電される。帯電後の像担持体2Yには、プロセスカートリッジ7Yとは別体の図2に示す光書き込み装置10から出射された光変調レーザ光Lが照射され、これによって、像担持体2Yに静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置20によってイエロートナー像として可視像化される。
【0056】
現像装置20は、ユニットケース8の一部によって構成された現像ケース20aを有し、この現像ケース20aには、トナーとキャリアを有する二成分系の乾式現像剤Dが収容されている。また、この現像ケース20aには、現像剤Dを撹拌する2本のスクリュー20b、20cと、反時計方向に回転駆動される現像ローラ20dとが配置されている。
【0057】
その現像ローラ20dの周面に汲み上げられた現像剤は、現像ローラ20dの周面に担持されて、現像ローラ20dの回転方向に搬送され、ドクターブレード20eを通過した現像剤が現像ローラ20dと像担持体2Yの間の現像領域に運ばれる。
【0058】
このとき、その現像剤中のトナーが像担持体2Yに形成された静電潜像に静電的に移行して、静電潜像がトナー像として可視像化される。現像領域を通過した現像剤は、現像ローラ20dから分離され、スクリュー20b、20cによって撹拌される。このようにして、像担持体2Yにトナー像が形成されるのである。なお、キャリアを有さない一成分系現像剤を用いる現像装置を採用することもできる。
【0059】
一方、中間転写ベルト3を挟んでプロセスカートリッジ7Yと反対側には一次転写ローラ25が配置され、この一次転写ローラ25に印加された転写電圧によって、像担持体2Y上のトナー像が矢印A方向に回転駆動される中間転写ベルト3上に一次転写される。
【0060】
トナー像転写後の像担持体2Y上に付着している残留トナーは、クリーニング装置26によって除去される。このクリーニング装置26は、ユニットケース8の一部によって構成されたクリーニングケース27と、先端エッジ部が像担持体2Yの表面に圧接されたクリーニングブレード28と、そのクリーニングブレード28を保持するブレードホルダ29と、クリーニングケース27内に配置されたトナー搬送スクリュー30とを有する。
【0061】
クリーニングブレード28は、像担持体2Yの回転方向に対して反対方向から対向するようにして配置されている。このクリーニングブレード28は、ゴム等の弾性体により構成され、そのクリーニングブレード28の基端側は例えば接着剤によってブレードホルダ29に固定されている。
【0062】
このクリーニングブレード28の先端エッジ部が像担持体2Yの表面に圧接され、これによって、像担持体2Y上の残留トナーが掻き取り除去される。
【0063】
除去トナーは、回転駆動されるトナー搬送スクリュー30によってクリーニングケース外に排出される。このようにして、クリーニングブレード28は、トナー像が転写手段(中間転写ベルト3)に転写された後、像担持体を清掃する。また、プロセスカートリッジ7Yには、像担持体2Yに潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置31と、像担持体2Yに塗布された潤滑剤をならす潤滑剤ならし手段としてのならしブレード32が設けられているが、これらは後述する。
【0064】
同様に図2に示す第2〜第4の像担持体2C、2M、2BK上にシアントナー像、マゼンタトナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成され、これらのトナー像がイエロートナー像の転写された中間転写ベルト3上に順次重ねて一次転写され、中間転写ベルト3上に合成トナー像が形成される。
【0065】
トナー像転写後の各像担持体2C、2M、2BK上の残留トナーがクリーニング装置により除去されることも第1像担持体2Yの場合と同様である。
【0066】
画像形成装置本体1内の下部には、図2に示すように、例えば、記録紙17を収容した給紙カセット14Aと、給紙ローラ15Aを有する給紙装置16Aが配置され、給紙ローラ15Aの回転によって最上位の記録紙17が矢印B方向に送り出される。
【0067】
送り出された記録紙17は、レジストローラ対17Aによって、所定のタイミングで支持ローラ4Aに巻き掛けられた中間転写ベルト3の部分と、これに対置された二次転写ローラ18Aとの間に給送される。このとき、二次転写ローラ18Aには所定の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト3上の合成トナー像が記録紙17に二次転写される。
【0068】
合成トナー像を二次転写された記録紙17は、さらに上方に搬送されて定着装置19Aを通り、このとき記録紙17上のトナー像が熱と圧力の作用により定着される。定着装置19Aを通過した記録紙17は、画像形成装置本体1の上部の排紙部22Aに排出される。
【0069】
また、トナー像転写後の中間転写ベルト3上に付着する残留トナーはクリーニング部材18によって除去される。21’はそのクリーニング部材18によって除去された廃トナー収納箱である。
【0070】
この画像形成装置には、図3に示すクリーニングブレード28の摩耗と、像担持体2Yの摩耗とを抑え、かつ、小粒径の球形トナーを用いたときでも、クリーニングブレード28による高いクリーニング性能が維持されるように、既述の潤滑剤塗布装置31が設けられている。
【0071】
この潤滑剤塗布装置31は、第2ないし第4のプロセスカートリッジ7C,7M,7BKにも設けられているが、その構成、作用は全て同一であるので、図3に示すプロセスカートリッジ7Yの潤滑剤塗布装置31のみについて説明する。
【0072】
潤滑剤塗布装置31は、像担持体2Yの表面に当接する潤滑剤塗布部材(ブラシローラともいう)33と、このブラシローラ33に対向するようにして配置された固形潤滑剤34と、その固形潤滑剤34を固定支持する潤滑剤ホルダ35と、その潤滑剤ホルダ35を介して固形潤滑剤34を案内するガイド36と、加圧手段としの圧縮コイルばね37とを有している。
【0073】
ブラシローラ33は、芯軸38と、その芯軸38に基端部が固定された多数のブラシ繊維39とを有している。かかるブラシローラ33は、像担持体2Yに対してほぼ平行でかつその像担持体2Yに沿って長く延びていて、ブラシローラ33の芯軸38の長手方向各端部が図示を略す軸受を介してユニットケース8に回転自在に支持されている。
【0074】
画像形成装置の動作時には、ブラシローラ33は図3において反時計方向に回転駆動される。
【0075】
固形潤滑剤34は、ブラシローラ33に対して平行に長く延びた直方体状に形成され、その先端面がブラシローラ33のブラシ繊維39に当接し、基端部が潤滑剤ホルダ35に固定されている。
【0076】
ガイド36は、一対のガイド板40,41を有し、ガイド板40,41は連結板42によって一体化されている。一対のガイド板40,41と連結板42は、ユニットケース8の一部によって構成される。
【0077】
潤滑剤ホルダ35は、一対のガイド板40,41の間に配置され、その各ガイド板40,41の互いに対向した面に潤滑剤ホルダ35が摺動可能に当接されている。
【0078】
潤滑剤34のブラシローラ33への押圧には、例えば圧縮コイルばね37が用いられ、固形潤滑剤34は潤滑剤ホルダ35を介してブラシローラ33に圧接される。図3には圧接方向が矢印Cで示されている。圧縮コイルばね37に代えて、ねじりコイルばねや板ばねなどから成るばね手段を用いることもできる。
【0079】
固形潤滑剤34がブラシローラ33のブラシ繊維39に圧接されると共に、そのブラシ繊維39が像担持体2Yの表面に圧接され、ブラシローラ33が回転するので、固形潤滑剤34の潤滑剤がブラシ繊維39によって削り取られ、その削り取られた粉体状の潤滑剤が像担持体2Yの表面に塗布される。
【0080】
このように、ブラシローラ33は、固形潤滑剤34から削り取られた粉体状の潤滑剤を像担持体2Yの表面に供給する潤滑剤塗布材を構成する。
【0081】
固形潤滑剤34はブラシローラ33によって削り取られて消費され、経時的にその厚みが減少する。固形潤滑剤34は圧縮コイルばね37によって加圧されているので、常時ブラシローラ33のブラシ繊維39に当接する。
【0082】
像担持体2Yの表面には、潤滑剤が塗布されるので、像担持体表面の摩擦係数を低く抑えることができ、これによって像担持体2Yの摩耗とクリーニングブレード28の摩耗とを抑え、その寿命を伸ばすことができる。
【0083】
しかも、トナーとして後述するように、小粒径で球形のトナーを用いたときも、クリーニングブレード28による像担持体2Yのクリーニング性能が大きく低下することを阻止できる。
【0084】
この潤滑剤塗布装置31には、ガイド36が設けられ、そのガイド36によって、潤滑剤ホルダ35と固形潤滑剤34が、実質的に、ブラシローラ33に対して接近又は離間する方向、すなわち圧縮コイルばね37による加圧方向Cと、その逆の方向にだけ移動できるように、その潤滑剤ホルダ35と固形潤滑剤34が案内される。
【0085】
このため、固形潤滑剤34が、この方向と直交する方向Eに大きく振れ動くことはない。これによって、固形潤滑剤34は常にほぼ同じ面積でブラシローラ33に当接することができ、常にほぼ一定量の潤滑剤が、ブラシローラ33を介して、像担持体2Yの表面に供給され、像担持体2Yの表面への潤滑剤の塗布むらを防止できる。
【0086】
この画像形成装置では、潤滑剤ホルダ35が一対のガイド板40、41に当接し、固形潤滑剤34がその潤滑剤ホルダ35を介してガイド36によって案内される構成とされているが、固形潤滑剤34をガイド36によって直に案内する構成とすることもできる。
【0087】
また、固形潤滑剤34が、実質的に、ブラシローラ33に対して接近又は離間する方向Cにだけ移動できるように、固形潤滑剤34がガイド36により案内されるとは、固形潤滑剤34が、この方向Cに対して直交する方向Eに、多少の遊び分だけ遊動してもよいことを意味する。
【0088】
このように、潤滑剤塗布装置31は、回転しながら像担持体2Yに当接するブラシローラ33より成る潤滑剤塗布部材23(図1参照)と、その潤滑剤塗布部材23に対して配置された固形潤滑剤22、34と、固形潤滑剤22、34が、実質的に潤滑剤塗布部材23、33に対して接近又は離間する方向にのみ移動できるように固形潤滑剤22、34を案内するガイド36と、固形潤滑剤22、34を潤滑剤塗布部材22(図1参照)に対して加圧する加圧手段とを有している。
【0089】
この画像形成装置は、均しブレード(ならしブレード)32(潤滑剤均し手段)を有しており、この均しブレード32は、ゴムなどの弾性体より成り、その先端エッジ部が像担持体2Yの表面に当接し、その基端側がホルダ45に固定されている。
【0090】
均しブレード32は像担持体2Yの表面の移動方向(回転方向)に対してトレーリング向き(移動方向と同方向の向き)に配置されている。ブラシローラ33より成る潤滑剤塗布部材33は、図3に示すように、クリーニングブレード28よりも像担持体の回転方向下流側に配置されている。
【0091】
トナー像転写後の像担持体2Yの表面に残存している残留トナーはクリーニングブレード28により除去され、クリーンな状態となった像担持体2Yの表面に、ブラシローラ33によって潤滑剤が塗布される。
【0092】
ついで、その塗布された潤滑剤は、像担持体2Yの表面に当接した均しブレード32を通過するとき、像担持体2Yの表面に一様に押し広げられて均一にならされる。
【0093】
これにより、像担持体2Yの表面に厚みの均一な潤滑剤層が形成される。このように、像担持体2Yを清掃した直後に、潤滑剤を塗布し、その潤滑剤をならすことによって、像担持体2Yの表面への潤滑剤塗布量の偏りやその表面の摩擦係数の偏りが生じることを防止でき、記録媒体上に形成された画像の画質を高めることができる。
【0094】
しかも、均しブレード32は、像担持体2Yの表面の移動方向に対して同じ方向を向くように配置されているので、像担持体2Yの駆動トルクが過度に大きくなることを防止できる。
【0095】
潤滑剤塗布装置31のブラシローラ33のブラシ繊維の太さは、3〜8デニールが好ましく、ブラシ繊維39の密度は2万〜10万本/inch2が好ましい。
【0096】
ブラシ繊維の太さが細すぎると、ブラシローラ33が像担持体の表面に当接したときに毛倒れを起こしやすくなる。逆にブラシ繊維が太すぎると繊維の密度を高くすることができなくなる。また、ブラシ繊維の密度が低いと像担持体の表面に当接するブラシ繊維の本数が少なくなるため、潤滑剤を均一に塗布することができず、逆にブラシ繊維の密度が高すぎると繊維と繊維の隙間が小さくなり、掻き取った潤滑剤の粉体の付着量が減るため、塗布量が不足する。
【0097】
固形潤滑剤34としては、乾燥した固体疎水性潤滑剤を用いることが可能であり、ステアリン酸亜鉛の他にも、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウムなどのステアリン酸基を持つものを用いることができる。また、同じ脂肪酸基であるオレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレイン酸鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸銅、や、パルチミン酸、亜鉛パルチミン酸コバルト、パルチミン酸銅、パルチミン酸マグネシウム、パルチミン酸アルミニウム、パルチミン酸カルシウムを用いてもよい。他にも、カプリル酸鉛、カプロン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、及びリコリノレン酸カドミウム等の脂肪酸、脂肪酸の金属塩なども使用できる。さらに、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、オオバ油、みつろう、ラノリンなどのワックス等も使用できる。
【0098】
しかし、固形潤滑剤34として、アルカリ金属又はアルカリ土金属のものを用いるのが好ましい。
【0099】
また、現像装置20において使用するトナーとしては、体積平均粒径が10μm以下で、体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dnとの比Dv/Dn(分散度)が、1.00乃至1.40の範囲にあるトナーを用いることが好ましく、特に体積平均粒径が3〜8μmであることが望ましい。小粒径のトナーを用いることによって、静電潜像に対して緻密にトナーを付着させることができる。
【0100】
しかしながら、トナーの体積平均粒径が小さすぎると、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌において磁性キャリアの表面にトナーが融着し、磁性キャリアの帯電能力を低下させ、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のクリーニングブレードへのトナーの融着を発生させやすくなる。
【0101】
逆に、トナーの体積平均粒径が大きすぎると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒径の変動が大きくなる場合が多い。
【0102】
また、粒径分布を狭くすることにより、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、転写率を高くすることができる。しかしながら、Dv/Dnが1.40を超えると、帯電量分布が広くなり、解像力も低下するため好ましくない。
【0103】
なお、トナーの平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)を用いて測定することができる。ここでは、コールターカウンターTA−II型を用い個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科技研社製)及びパーソナルコンピュータ(PC9801:NEC社製)に接続して測定した。
【0104】
このようなトナーでは、小粒径化されることによって、トナーに内添又は外添されている離型性を向上させるためのワックスや、流動性を向上させるための無機微粒子等の添加剤のトナー中での占める割合が大きくなっており、これらの添加剤が像担持体上に発生する付着物質の要因となっている。
【0105】
ところが、潤滑剤塗布装置31を搭載することにより、像担持体表面全域にわたって均一な潤滑剤の薄膜を形成し、これらの付着物質の像担持体2Yの表面への付着力を低減させることができる。しかも、像担持体2Yの表面とクリーニング装置26のクリーニングブレード28、均しブレード32との間に働く摩擦力を低減させてクリーニングを良好に行うことができる。
【0106】
現像装置20において、平均円形度が0.93乃至1.00の範囲にあるトナーを用いた場合、像担持体に潤滑剤を塗布する効果を大きく得ることができる。像担持体に潤滑剤を塗布することによって、このような円形度の高いトナーを用いても、そのトナーがクリーニングブレード28をすり抜ける不具合を効果的に抑えることができるからである。
【0107】
トナーの平均円形度は、光学的に粒子を検知して、投影面積の等しい相当円の周囲長で除した値である。具体的には、フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000;シスメックス社製)を用いて測定を行う。所定の容器に、予め不純固形物を除去した水100〜150mLを入れ、分散剤として界面活性剤0.1〜0.5mLを加え、さらに、測定試料0.1〜9.5g程度を加える。試料を分散した懸濁液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3,000〜10,000個/μLにしてトナーの形状及び分布を測定する。
【0108】
また、現像装置20で使用するトナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることが好ましい。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、SF−1の値が100の場合のトナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、SF−2の値が100の場合、トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。これらについては、特開2002−244485号公報を参照されたい。
【0109】
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと像担持体との接触が点接触に近くなるために、トナー同士の吸着力は弱くなり、従って流動性が高くなる。
【0110】
また、トナーと像担持体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。一方、球形トナーはクリーニングブレード28と像担持体との間隙に入り込みやすいため、トナーの形状係数SF−1又はSF−2はある程度大きい方がよい。また、SF−1とSF−2とが大きくなると、画像上にトナーが散ってしまい画像品位が低下する。このために、SF−1とSF−2は180を越えない方が好ましい。尚、形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、このデータを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に入力して解析計算をした。
【0111】
この画像形成装置に用いるトナーは、例えば、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー組成物であるトナー材料液を、水系溶媒中で、樹脂微粒子の存在下で架橋反応、伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法の例を挙げて説明する。
(変性ポリエステル)
トナーはバインダ樹脂として変性ポリエステル(i)を含む。変性ポリエステル(i)としては、ポリエステル樹脂中にエステル結合以外の結合基が存在したり、またポリエステル樹脂中に構成の異なる樹脂成分が共有結合、イオン結合などで結合した状態をさす。具体的には、ポリエステル末端に、カルボン酸基、水酸基と反応するイソシアネート基などの官能基を導入し、さらに活性水素含有化合物と反応させ、ポリエステル末端を変性したものを指す。
【0112】
変性ポリエステル(i)としては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応により得られるウレア変性ポリエステルなどが挙げられる。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)との重縮合物で、かつ活性水素基を有するポリエステルを、さらに多価イソシアネート化合物(PIC)と反応させたものなどが挙げられる。
【0113】
このポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。ウレア変性ポリエステルは、以下のようにして生成される。
【0114】
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)及び3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、又は(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);この脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;このビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);その3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0115】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)及び3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、及び(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。
【0116】
なお、多価カルボン酸(PC)としては、これらの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0117】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0118】
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;そのポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0119】
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0120】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、更に好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化すると共に、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
【0121】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、更に好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0122】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
【0123】
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
【0124】
3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
【0125】
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0126】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、更に好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0127】
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0128】
変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。変性ポリエステル(i)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。 この時のピーク分子量は1000〜10000が好ましく、1000未満では伸長反応しにくくトナーの弾性が少なくその結果耐ホットオフセット性が悪化する。また10000を超えると定着性の低下や粒子化や粉砕において製造上の課題が高くなる。変性ポリエステル(i)の数平均分子量は、後述の未変性ポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。(i)単独の場合は、数平均分子量は、通常20000以下、好ましくは1000〜10000、更に好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0129】
変性ポリエステル(i)を得るためのポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋反応、伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、及びそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。尚、生成するポリマーの分子量は、THFを溶媒としゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
(未変性ポリエステル)
変性ポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、未変性ポリエステル(ii)をバインダ樹脂成分として含有させることもできる。(ii)を併用することで、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。(ii)としては、(i)のポリエステル成分と同様な多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、更に好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(i)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0130】
(ii)のピーク分子量は、通常1000〜10000、好ましくは2000〜8000、更に好ましくは2000〜5000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、10000を超えると低温定着性が悪化する。(ii)の水酸基価は5以上であることが好ましく、更に好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。
【0131】
5未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(ii)の酸価は1〜5が好ましく、より好ましくは2〜4である。ワックスに高酸価ワックスを使用するため、バインダは低酸価バインダが帯電や高体積抵抗につながるので二成分系現像剤に用いるトナーにはマッチしやすい。
【0132】
バインダ樹脂のガラス転移点(Tg)は通常35〜70℃、好ましくは55〜65℃である。35℃未満ではトナーの耐熱保存性が悪化し、70℃を超えると低温定着性が不十分となる。
【0133】
ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、この実施例のトナーでは、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。なお、ガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)によって測定することができる。
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0134】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、又はマスターバッチとともに混練されるバインダ樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSYVP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
【0135】
荷電制御剤の使用量は、バインダ樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダ樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電気的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダ樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルのような離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。
【0136】
ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。
【0137】
更に、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
【0138】
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダ樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
【0139】
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
【0140】
なかでも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
【0141】
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0142】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
(1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
【0143】
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
(2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
【0144】
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
【0145】
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0146】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0147】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0148】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0149】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン−アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0150】
これらの樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0151】
分散方法としては、特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
(3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
(4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
(5)このようにして得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
また、トナーの外観形状は略球形状であることが好ましく、これは以下の形状規定によって表すことができる。
【0152】
これによって製造されたトナーは、磁性キャリアを使用しない一成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。また、二成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、磁性キャリアとしては、鉄、マグネタイト、Mn、Zn、Cu等の2価の金属を含むフェライトであって、体積平均粒径20〜100μmが好ましい。平均粒径が20μm未満では、現像時に感光体1にキャリア付着が生じやすく、100μmを越えると、トナーとの混合性が低く、トナーの帯電量が不十分で連続使用時の帯電不良等を生じやすい。また、Znを含むCuフェライトが飽和磁化が高いことから好ましいが、画像形成装置のプロセスにあわせて適宜選択することができる。
【0153】
磁性キャリアを被覆する樹脂としては、特に限定されないが、例えばシリコーン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、含フッ素樹脂、オレフィン樹脂等がある。その製造方法は、コーティング樹脂を溶媒中に溶解し、流動層中にスプレーしコア上にコーティングしても良く、また、樹脂粒子を静電気的に核粒子に付着させた後に熱溶融させて被覆するものであってもよい。被覆される樹脂の厚さは、0.05〜10μm、好ましくは0.3〜4μmがよい。
【0154】
この画像形成装置では、像担持体がドラム状に形成され、中間転写体が中間転写ベルトによって構成されているが、像担持体が無端ベルトにより構成され、中間転写体がドラム状に構成されていても良い。また、トナー像が形成される像担持体が中間転写体より成り、その像担持体に形成されたトナー像が転写される転写材が記録紙17より成るときにも適用できる。この場合には、トナー像転写後の中間転写体上に付着する残留トナーを除去するクリーニングブレードと、その中間転写体上に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置とが設けられる。更に、感光体より成る1つの像担持体上に形成したトナー像を、記録紙17に直に転写する形式の画像形成装置にも適用できる。
<帯電装置>
図3に示す帯電組立体12は帯電ローラ12aの汚染を除去するためのクリーニング部材12bを備えている。クリーニング部材の形状は、ローラ状、パッド形状でもよいが、ローラ形状が好ましい。
【0155】
帯電ローラ12a、クリーニング部材12bは、図4に拡大して示す取り付け板12cに設けられる。取り付け板12cには軸受け板部12d、12eが設けられている。帯電ローラ12aは付勢スプリング12fによって感光体11に向けて付勢されつつ軸受け板部12dに回転可能に支承されている。これにより、機械的振動、導電性支持体(芯金)の偏位があっても一定の後述する間隙Gを形成することができる。付勢荷重は、4〜25Nにする。好ましくは、6〜15Nにする。帯電部材は、軸受板部12dに支持されていても、回転するときの振動、帯電部材の偏心、その表面の凹凸により間隙Gの大きさが変動し、間隙Gが適正な範囲からはずれる場合があるからである。
【0156】
軸受け板12eは軸12gに揺動可能に支承され、軸受け板12eにはクリーニング部材12bが回転可能に支承されている。軸12gは取り付け板12cの起立部12g’に固定されている。軸受け板12eはコイルスプリング12hによって帯電ローラ12aに接近する方向に付勢されている。
【0157】
クリーニング部材12bは、帯電ローラ12aに当接して、帯電ローラ12aの表面層をクリーニングする。帯電ローラ12aの表面層にトナー、紙粉、分解物、構成部材の破損物等の異物が付着すると、電界が異物部分に集中するために、その付着箇所から異常放電が生じる。
【0158】
逆に、電気的絶縁性の異物が広い範囲に付着すると、その異物が付着した部分では放電が生じにくくなり、像担持体に帯電ムラが生ずる。
【0159】
従って、帯電ローラ12aの表面をクリーニングするクリーニング部材12bを設けることが好ましい。クリーニング部材12bとしては、ポリエステル等の繊維によるブラシ、メラミン樹脂等の多孔質(スポンジ)のようなものを用いることができる。
【0160】
クリーニング部材12bは、帯電ローラ12aの周速と同じであることが望ましい。帯電ローラ12aは図示を略すギヤを介して駆動装置によって回転駆動される。クリーニング部材12bは帯電ローラ12aに摩擦接触により従動回転させる構成、クリーニング部材12bをギヤ(図示を略す)を用いて帯電ローラ12aの回転に同期回転させる構成のいずれでも良い。更に、帯電ローラ12aの回転停止中はクリーニング部材12bを帯電ローラ12aから離間させ、帯電ローラ12aの回転起動前にクリーニング部材12bを接触させ、クリーニング部材12bを間欠的に回転駆動させる構成を採用しても良い。
【0161】
というのは、クリーニング部材12bの周速と帯電ローラ12aの周速との間に線速差が生じていると、帯電ローラ12aの表面層に付着している付着物を帯電ローラ12aの表面に逆に押し着け、表面層から付着物(異物)を除去できない現象が生じ易くなるからである。
【0162】
帯電装置は、帯電ローラ12aに電圧を印加する電源(図示を略す)を備えている。印加電圧は、直流電圧のみでも良いが、直流電圧と交流電圧とを重畳することが好ましい。
【0163】
特に、非接触方式の場合、感光体11と帯電ローラ12aの空隙(ギャップ)の変動により帯電ムラが生じやすく、直流電圧のみを印加すると像担持体の表面電位が不均一になることがある。
【0164】
交流電圧を重畳した印加電圧によれば、帯電ローラ12aの表面を等電位とすることができ、放電が安定するため像担持体を均一に帯電させることができる。
【0165】
重畳する交流電圧は、ピ−ク間電圧を像担持体の帯電開始電圧の2倍以上にすることが好ましい。帯電開始電圧とは、帯電ローラ12aに直流のみを印加した場合に像担持体が帯電され始めるときの電圧の絶対値である。これにより、像担持体から帯電ローラ12aへの逆放電が生じ、そのならし効果によって像担持体をより安定した状態で均一に帯電させることができる。
【0166】
また、交流電圧の周波数は像担持体の周速度(プロセススピード)の7倍以上であることが望ましい。7倍以上の周波数にすることにより、目視による場合、モアレ画像が認識できなくなる。
【0167】
この実施例では、クリーニング部材12bは、メラミン樹脂のスポンジローラを用いられている。このクリーニング部材12bは、スプリングにより帯電ローラ12aに圧接され、摩擦により従動回転される。
【0168】
図5は、非接触帯電方式の画像形成装置の一例を示している。ここでは帯電ローラ12aと感光体11の感光層領域、画像形成領域、非画像形成領域の位置関係が概略示されている。
【0169】
帯電ローラ12aは、図5に示すように、感光体11に微小な間隙(空隙)Gを持たせて対向して配設される。
【0170】
帯電ローラ12aと感光体11の間隙Gは、空隙保持部材12jを感光体11の非画像形成領域に当接させて形成する。非画像形成領域に空隙保持部材12jを当接させることにより、感光層の塗布厚がばらついても、間隙(空隙)Gのばらつきを防止することができる。なお、12pはスプリング受け部材である。
【0171】
帯電ローラ12aは、導電性支持体12kに形成された電気抵抗調整層12mの両端に空隙保持部材12jが配置されている。電気抵抗調整層12mにはトナー及びトナー添加剤の付着を防止するため、図6に示すように表面層12nが形成されている。
【0172】
図7は接触方式の画像形成装置の一例を示している。帯電ローラ12aの構成は空隙保持部材12jが設けられていない点を除いて大略同一である。
【0173】
帯電部材の形状は、帯電ローラ12aのように円筒形状ではなく、ベルト状、ブレード(板)状、半円柱状でかつ固定して配設する構成でも良いが、これまで述べたように、帯電ローラ12aのように形状が円筒状で、かつ、両端がギヤ又は軸受けで回転可能に支承される構成のものが望ましい。
【0174】
このように、帯電部材を感光体11への最近接部から感光体11回転方向の上流・下流に向かって漸次離間する曲面形状とすると、感光体11をより均一に帯電させることができる。
【0175】
感光体11に対向する帯電部材に先鋭な部分があると、その部分の電位が高くなるため、この部分から局所的に放電が開始され、感光体11を均一に帯電させることが困難になる。円柱形状のような曲面を有する形状とすることにより均一に感光体11を帯電させることができる。
【0176】
また、帯電部材の表面は放電によって強いストレスを受ける。放電が常に同じ箇所で発生すると、その部分の劣化が促進され、ひいては、その部分が欠落することがある。従って、帯電部材を回転させることによってその全表面を放電面として利用できれば、帯電部材の早期劣化を防止でき、帯電部材の長寿命化を図ることができる。
<近接配置方法>
帯電ローラ12aと感光体11との間隙Gは、空隙保持部材12jにより100μm以下、特に、5〜70μm程度の範囲にする。これにより、帯電部材の作動時における異常画像の形成を抑えることができる。
【0177】
間隙Gが100μm以上では、放電が感光体11に到達するまでの距離が長くなるので、パッシェンの法則による放電開始電圧が大きくなる。また、帯電ローラ12aと感光体11との放電空間が大きくなるので、感光体11を所定の電位に帯電させるためには放電による放電生成物が多量に必要となり、この放電生成物が画像形成後も放電空間に多量に残留し、感光体11に付着して、感光体11の経時劣化を促進する原因になる。
【0178】
また、この間隙Gが小さいと、放電が感光体11に到達するまでの距離が短く、放電エネルギーが小さくても感光体11を帯電させることができる。
【0179】
しかし、帯電ローラ12aと感光体11との間の空間(放電空間)が狭くなり、空気の流れが悪くなる。その結果、放電空間で生成された放電生成物がこの放電空間内に滞留し、間隙Gが大きい場合と同様に、画像形成後も放電生成物が放電空間に多量に残留し、感光体11に付着して、感光体11の経時劣化を促進する原因になる。
【0180】
従って、放電エネルギーを小さくして放電生成物の生成を少なくし、かつ、空気が滞留しない程度の空間を形成することが好ましい。そのためには、間隙Gは、100μm以下であって、5〜70μmの範囲にすることが好ましい。これにより、ストリーマ放電の発生を防止し、放電生成物の生成を少なくして感光体11に堆積する量を少なくして、斑点状の画像ムラ・像流れを防止することができる。
【0181】
空隙保持部材12jはその外周面の一部が電気抵抗調整層12mの外周面と高低差を有している。空隙Gの形成方法には、電気抵抗調整層12mと空隙保持部材12jとを切削、研削等の除去加工により同時加工することにより形成することができる。空隙保持部材12jと電気抵抗調整層12mとを同時加工することにより、空隙Gを高精度に形成することが可能となる。
【0182】
空隙保持部材12jの電気抵抗調整層12nと隣接する部分の高さを、電気抵抗調整層12mの高さと同一又は低く形成することによって、空隙保持部材12jと感光体11との接触幅が低減され、帯電ローラ12aと感光体11との間隙(空隙)Gを高精度にすることができる。このようにすることにより、空隙保持部材12jの電気抵抗調整層12mの側の端部の外表面が感光体11に当接することを防止することができ、この端部を介して隣接する電気抵抗調整層12mが感光体11に接触してリーク電流が発生してしまうことを防止することが可能となる。
【0183】
また、空隙保持部材12jの電気抵抗調整層12mの側の端部を低く加工することによって、この端部の部分を除去加工を行う際の切削刃等の逃げ代(逃げ加工)とすることができる。なお、逃げ代(逃げ加工)の形状は、空隙保持部材12jの端部の外表面が感光体11に当接しないような形状であるなら、どのような形状でも良い。
【0184】
更に、表面層12nをコーティングする際のマスキングを電気抵抗調整層12mと空隙保持部材12jの境界で行うことは、ばらつきを考慮すると制御が難しいので、段差を形成する際に、電気抵抗調整層12mと同一もしくは低く形成された空隙保持部材12jまで表面層12nを形成することによって、電気抵抗調整層12mに確実に表面層12nを形成することができる。
<空隙保持部材の材料>
空隙保持部材12jに必要な特性としては、感光体11との間隙(空隙)Gを環境変動に対して及び長期(経時)に渡って安定して形成することであり、そのためには、吸湿性、耐摩耗性が小さい材料が望ましい。また、トナー及びトナー添加剤が付着しにくいことや、感光体11と当接して摺動するために、感光体11を摩耗させないということも重要であり、種々の条件に応じて、適宜選択される。
【0185】
具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)およびその共重合体(AS、ABS)等の汎用樹脂、ポリカーボネート(PC)、ウレタン、フッ素(PTFE)等があげられる。特に空隙保持部材12jを確実に固定するためには、接着剤を塗布して接着することができる。また、空隙保持部材12jは絶縁性材料が好ましく、体積固有抵抗で1013Ωcm以上であることが好ましい。絶縁性が必要である理由は、感光体11とのリーク電流の発生を無くすためである。空隙保持部材12jは、成型加工により成形される。
<電気抵抗調整層の材料>
電気抵抗調整層12mは高分子型イオン導電材料が分散された熱可塑性樹脂組成物により形成されている。電気抵抗調整層12mの体積固有抵抗は106Ωcm〜109Ωcmであることが望ましい。109Ωcmを越えると、帯電能力や転写能力が不足してしまい、106Ωcmよりも体積固有抵抗が低いと、感光体11の全体に電流集中によるリークが生じる。
【0186】
電気抵抗調整層12mに用いられる熱可塑性樹脂は特に限定されるものではないが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)およびその共重合体(AS、ABS)、ポリアミド、ポリカーボーネート(PC)等の汎用樹脂であれば、成形加工が容易であり好ましい。
【0187】
その熱可塑性樹脂に分散させる高分子型イオン導電材料としては、ポリエーテルエステルアミド成分を含有する高分子化合物が好ましい。ポリエーテルエステルアミドはイオン導電性の高分子材料であり、マトリックスポリマー中に分子レベルで均一に分散、固定化される。
【0188】
従って、金属酸化物、カーボンブラック等の電子伝導系導電剤を分散した組成物に見られるような分散不良に伴う抵抗値のばらつきが生じない。また、高印加電圧を掛ける際には、電子伝導系導電剤の場合、局所的に電気の流れやすい経路が形成さるため、感光体11へのリーク電流が発生し、帯電ローラ12aの場合、異常画像である白・黒ポチ画像が発生する。ポリエーテルエステルアミドは、高分子材料であるため、ブリードアウトが生じ難い。配合量については、抵抗値を所望の値にする必要があるので、熱可塑性樹脂を20〜70重量%、高分子型イオン導電剤を80〜20重量%とする必要がある。
【0189】
更に、抵抗値を調整するために、電解質(塩)を添加することも可能である。塩としては、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム等のアルカリ金属塩、リチウムビスイミド、リチウムトリスメチド等のリチウムイミド塩、エチルトリフェニルホスホニウム・テトラフルオロボレート、テトラフェニルホスホニウム・ブロマイド等の四級ホスホニウム塩が挙げられる。導電剤は物性を損なわない範囲で、単独若しくは複数のものをブレンドして用いても構わない。
【0190】
導電材料をマトリックスポリマー中に分子レベルで均一に分散させるためには、相溶化剤を適宜使用してもよい。相溶化剤を添加することにより、導電材料のミクロ分散が可能になる。
【0191】
相溶化剤としては、反応基であるグリシジルメタクリレート基を有するものが挙げられる。その他、物性を損なわない範囲で、酸化防止剤等の添加剤を使用しても構わない。
【0192】
樹脂組成物の製造方法に関しては特に制限はなく、各材料を混合し二軸混練機、ニーダー等で溶融混練することによって、容易に製造できる。
【0193】
電気抵抗調整層12mとしての導電性支持体12kへの形成は、押出成形や射出成形等の手段で導電性支持体12kに導電性樹脂組成物を被覆することによって、容易に行うことができる。
【0194】
導電性支持体12kに電気抵抗調整層12mのみを形成して帯電ローラ12aを構成すると、電気抵抗調整層12mにトナー及びトナーの添加剤等が固着して性能低下する場合がある。このような不具合は、電気抵抗調整層12mに表面層12nを形成することにより防止できる。
【0195】
また、接触方式の場合、帯電ローラ12aは、弾性体にする必要があるが、その場合、シリコーン、NBR、エピクロルヒドリン、EPDM等のゴム材料に種々の導電剤を添加することによって、弾性のある電気抵抗調整層12mを形成することができる。ゴム材料の加工方法は、従来より用いられている工法を使用することができる。
<表面層>
表面層12nへのトナー、トナー添加剤等の付着防止のためには、表面層12nに非粘着性の高い、フッ素、シリコン等の樹脂を用いることが有効である。
【0196】
しかし、これらの材料は同時に、滑り性が良いため、摩擦係数が低く、クリーニング部材12bが帯電ローラ12aの表面層12nに当接した際、クリーニング部材12bがスリップしやすい。特に、クリーニングしにくい、放電により分解した潤滑剤が、スリップにより、クリーニングされず、逆に、表面層12nに強固に付着するおそれがある。
【0197】
そこで、表面層12nにクリーニング部材12bが当接した際のスリップを防止するために、帯電ローラ12aの表面層12nの静止摩擦係数を高くすることにより、クリーニング部材12bとのスリップを防止して、帯電ローラ12aの表面層12nに付着したクリーニングしにくくてかつ放電により分解した潤滑剤の除去性を向上させることにした。
【0198】
従来、表面層12nはカーボンブラック等の導電剤を用いて導電性を付与していたが、このような導電剤を用いた場合、それ自身が固体潤滑剤としての作用を有しているために、静止摩擦係数が低くなりやすい。そこで、イオン導電剤を用いて導電性を付与することにより、帯電ローラ12aの表面層12nの静止摩擦係数を高くすることにした。
【0199】
更に、イオン導電剤を用いた場合、カーボンブラック等の導電剤を用いた場合と比べて、感光体11へのリークが発生しにくく、それに伴う白ポチあるいは黒帯画像の発生を低減できることが判明した。
【0200】
これは、イオン導電剤の分散が分子レベルであるのに対して、カーボンブラック等の導電剤の分散レベルは非常に大きく、そのため、導電性部材に高電圧が印加された場合、カーボンブラック等による導電系である電子導電系は、局所的に電流が流れやすい部分が存在してしまうため、その部分から電流のリークが発生するが、イオン導電剤を用いたイオン導電系は、分散が細かくて局所的に電流が流れやすい部分が存在しないため、リークしにくい。このことは、電子写真の特性上非常に重要なことであり、表面の汚れ性を改善したのみならず、放電余裕度を向上されることができた。
(1)イオン導電剤について
イオン導電系の表面層12nを形成するためには、イオン導電剤を表面層中に分散させる必要がある。イオン導電剤としては、四級アンモニウム塩、界面活性剤、アルカリ金属、アルカリ土類金属含有塩等がある。界面活性剤系は一般的なイオン導電剤であるが、内部から表面にブリードする傾向があるため、トナー固着、感光体の汚染を起こす可能性があり、使用には適さない。四級アンモニウム塩については帯電ローラ12aとして使用可能な抵抗を得ることが難しい。
【0201】
従って、帯電ローラ12aに使用するイオン導電剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属含有のイオン導電剤を使用することが好ましい。イオン導電剤は、マトリックスポリマー等に分散させてコーティングにより薄膜を形成する。更に、イオン導電性を発現して抵抗を下げるためは、マトリックスポリマーにポリエーテル結合が必要である。これは、マトリックスポリマーのポリエーテルの酸素原子にイオン導電剤の金属イオンが配位することにより、イオンが移動し易くなるため、電気が流れやすくなり、抵抗が低下するものである。アルカリ金属、アルカリ土類金属含有塩としては、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カリウム等のアルカリ金属塩や、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸カルシウム等の過塩素酸塩があげられる。
また、含フッ素有機アニオン塩類として、パーフルオロアルカンスルホン酸、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド酸、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩があげられる。
【0202】
そのパーフルオロアルカンスルホン酸塩としては、具体的には、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(CF3SO3Li)、パーフルオロエタンスルホン酸リチウム(C2F5SO3Li)、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム(C4F9SO3Li)があげられる。
【0203】
また、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド酸塩としては、具体的には、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸リチウム((CF3SO2)2NLi)、ビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミド酸リチウム((C2F5SO2)2NLi)、ビス(パーフルオロブタンスルホニル)イミド酸リチウム((C4F9SO2)2NLi)があげらる。
【0204】
また、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド酸塩としては、具体的には、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド酸リチウム((CF3SO2)3CLi)、トリス(パーフルオロエタンスルホニル)メチド酸リチウム((C2F5SO2)3CLi)、トリス(パーフルオロブタンスルホニル)メチド酸リチウム((C4F9SO2)3CLi)があげられる。
【0205】
これら過塩素酸塩類及び含フッ素有機アニオン塩類を帯電ローラ12aの抵抗値のレベルに合わせて、単独又は2種以上ブレンドして用いても構わない。
【0206】
マトリックスポリマーとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイド共重合体、ポリエチレン−ポリエチレングリコールグラフト共重合体からなる分子中にエーテル結合と、水酸基を有するポリエーテルポリオール類があげられる。これら、ポリエーテルポリオール類に過塩素酸塩、含フッ素有機アニオン塩類を添加することにより、導電性を上げることができる。通常、ポリエーテルポリオール類100重量部に対して、過塩素酸塩類及び含フッ素有機アニオン塩類の合計量が0.1〜50重量部の範囲で添加され、かつ取り扱い上の安全性を考慮して、過塩素酸塩類の添加量は、多くとも20重量部である。
(2)表面層12nの形成方法について
ポリエーテルポリオール類に過塩素酸塩、含フッ素有機アニオン塩類が添加されたものは液状である。これを電気抵抗調整層12m上にコーティングしても固まらない。薄膜として形成するためには、ポリエーテルポリオール類を硬化剤により縮合させ架橋させることにより硬化させる必要がある。硬化剤としては、分子中に水酸基を有する主剤及び、水酸基と架橋反応を起こす、イソシアネート系樹脂を用いることことが有効である。
【0207】
イソシアネート系樹脂としては、ポリイソシアネート樹脂が挙げられ、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、これらの三量体、これらのアダクト体やビュウレット体、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらにブロック化されたイソシアネート類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0208】
イソシアネート系樹脂を用いることにより、100℃以下の比較的低温で架橋反応、硬化反応が起こる。硬化剤の配合量は、官能基(−OH基)1当量に対して0.1〜5当量、好ましくは0.5〜1.5当量である。その他、メラミン、グアナミン樹脂などのアミノ樹脂の硬化剤も基材の耐熱性に応じて適宜使用することができる。
【0209】
帯電ローラ12aは、その表面層12nが感光体や、トナーと接触する場合がある。そのため、表面層12nは非粘着性(撥水・撥油性)が必要となる。そのような樹脂は、シリコン系樹脂あるいは、フッ素系等の樹脂が良好である。このような樹脂を、電気抵抗調整層12mに表面層12nとして形成するためには、分子中に水酸基を有する、シリコン系又はフッ素系樹脂を用いて、ポリエーテルポリオールと同様硬化剤を用いて縮合させて架橋させることが耐久性の面で有利である。
【0210】
硬化剤としては、イソシアネート系樹脂、メラミン、グアナミン樹脂などのアミノ樹脂を用いることができる。このように、フッ素系、シリコン系樹脂を用いると、通常は、その樹脂の特性上摩擦係数が低くなるところを、ポリエーテルポリオール類を含むイオン導電剤を添加することで、撥水・撥油性を維持しながら高摩擦係数の表面を得ることが可能となった。
【0211】
硬化剤を用いて加熱により縮合、架橋を行う場合、用いるポリオール樹脂(水酸基を有する樹脂)とイソシアネート等の種類によって、反応に時間が掛かる場合がある。生産性を向上させるためには、反応時間をより短時間に終了させて、塗膜を固定する必要がある。そのため、触媒を添加して反応性を向上させることもできる。触媒は、スズ、アルミニウム、ジルコニウム等の金属系触媒、3級アミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7)あるいは、DBN(1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5)と酸を組み合わせた有機系があり、適宜使用することができる。
【0212】
イオン導電系の場合、導電剤が無色であるが、導電性部材としての機能、特性を損なわない限りにおいては、顔料、染料等の着色剤の添加も可能である。
【0213】
表面層12nの電気抵抗調整層12m上への形成は、表面層12nの構成材料を有機溶媒に溶解して塗料を作製し、スプレー塗装、ディッピング、ロールコート等の種々のコーティング方法で行う。膜厚については、5〜30μm程度が望ましい。
【0214】
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0215】
<実施例及び、比較例>
電気抵抗調整層12mの作成(1)
ABS樹脂(GR3000、電気化学工業製)40重量%、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)60重量%、さらにポリカーボネート−グリシジルメタクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体(モディパーC L440-G、日本油脂製)を樹脂全量の100に対して4部添加して、溶融混練した樹脂組成物を、SUM(Niメッキ)からなる導電性支持体12k(外径10mm)に射出成形により成形して電気抵抗調整層12mを得た。
【0216】
その後、ゲートカット及び長さ調整を行った後、電気抵抗調整層12mの両端部にリング状の空隙保持部材(高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)12jを圧入した。
【0217】
次に、切削加工によって、空隙保持部材12jの外径を12.5mm、電気抵抗調整層12mの外径を12.4mmに同時加工により仕上げた。
【0218】
このような電気抵抗調整層12mに、表1に示す混合物よりなる塗料を、スプレーコーティングすることにより膜厚約10μmの表面層12nを形成して、その後、熱風炉で105℃、60分間、加熱硬化させて、空隙保持部材12jと表面層12aとの間に約40μmの段差が形成された帯電ローラ12aを得た。この帯電ローラ12aは非接触方式の画像形成装置に用いられる。
電気抵抗調整層12nの作成(2)
ステンレスからなる導電性支持体12k(外径8mmの芯軸)に、電気抵抗調整層12mとしてエピクロルヒドリンゴム(エピクロマーCG、タ゛イソー社製)100重量部に過塩素酸アンモニウム3重量部を配合したゴム組成物を、押出成形、加硫工程を経て被覆して、研削により外径12mmに仕上げ、帯電ローラ12aを得た。この帯電ローラ12aは接触方式の画像形成装置に用いられる。
【0219】
なお、表面層12nについては、各実施例、比較例毎に静止摩擦係数を測定した。
【0220】
なお、静止摩擦係数の測定方法は、図8に示すようなオイラーベルト法を用いて行った。
【0221】
すなわち、その最大静止摩擦係数μμの測定方法は、記録紙17(リコータイプ6200)の一辺部におもりGWを取り付け、その記録紙17の他辺部にフォーカスゲージFGを引っかけ、帯電ローラ12aを記録紙17に接触させた状態で、フォーカスゲージFGを矢印方向に引っ張ったとき、記録紙17が滑り始めるときの測定値fを用いて測定した。
【0222】
μμ=Ln(f/g)/(π/2)
なお、ここで、gはおもりGWの重量(100g)、Lnは表示数値の自然対数である。
<試験>
この帯電ローラ12aを図3に示すプロセスカートリッジに搭載し、図2に示した画像形成装置(imagioMP C3000 )を用いて、画像面積率が5%の画像(A4横)を連続画像出しを行い、10000枚毎に評価用画像として、600dpiの2×2ハーフトーン画像A3を出力し、画像の縦スジの発生状況を目視で確認した。
【0223】
図9は帯電ローラ12aに汚れがない場合の記録紙17の部分図を示し、図10は帯電ローラ12に汚れが生じたため、画像に縦スジ12’が発生した場合の記録紙17の部分図を示している。
【0224】
ここでは、帯電ローラ12aの表面層12nの汚れを加速させるため、ステアリン酸亜鉛の感光体11の表面への塗布量をアップさせることにし、図3に示す圧縮コイルばね37を通常使用する5.5Nから8Nに変更して縦スジ発生の有無の評価を行った。
【0225】
この評価では、8万枚(80k枚)以下で、画像に縦スジが発生した場合を、不良(×)と判断し、8万枚(80k枚)繰り返して記録紙17に画像を形成しても画像に縦スジが発生しなかった場合を良(○)と判断した。
【0226】
なお、画像出し環境は20〜25℃、30〜60%RHの通常環境で実施した。
【0227】
【表1】
【0228】
(1)日本カーリット社製PEL-20A
(2)日本カーリット社製PEL-AK1(TFMS;トリフルオロメタンスルホン酸)
(3)日本カーリット社製PEL-25
(4)三光化学工業社製PEO-30R 5)チタン工業社製EC700
(6)川上塗料社製ムキコート3000VH
(7)川上塗料社製T4硬化剤
(8) 大同塗料社製サーフキュアDSC-201
(9) 大同塗料社製サーフキュア硬化剤K-20
(10)富士化成工業社製ZX022
(11)旭化成ケミカルズ社製デュラネートMF-B60X
(12)大橋化学社製ネオポリナールNo.800(s)
(13)大橋化学社製ネオポリナールNo.800(s)硬化剤E
(14) 東洋紡社製バイロン20SS/30SS
(15)三和ケミカル社製BL-60
(16)旭硝子社製ルミフロン601C
(17)旭硝子社製ルミフロン601C硬化剤
この表1に基づき、導電材添加量と静止摩擦係数との関係を調べて図11に示すグラフを得た。
【0229】
図11に示すように、各実施例の帯電ローラでは、イオン導電系の導電剤の添加量を増すと静止摩擦係数が増大するが、各比較例のようにカーボンブラック系の導電剤を用いると、導電剤の添加量を増すと、静止摩擦係数が減少することが理解できる。
【0230】
その表1から明らかなように、表面層12nの静止摩擦係数が1.0以上の帯電ローラ(実施例)12aでは、この帯電ローラ12aを画像形成装置に組み込んで、現像した場合に、80万枚未満ではいずれも縦スジが発生しなかった。
【0231】
これに対して、表面層12nの静止摩擦係数が1.0未満の帯電ローラ(比較例)12aでは、この帯電ローラ12aを画像形成装置に組み込んで、現像した場合に、80万枚未満でいずれも縦スジが発生した。
【0232】
これらの実施例、比較例に用いた帯電組立体を用いて、帯電ローラ12aが回転を開始してからクリーニング部材(クリーニングローラ)12bが帯電ローラ12aの回転に追従して回転を開始するまでの時間(スリップ時間)と静止摩擦係数との関係を示す曲線Qを図12に示すように得た。
【0233】
この曲線Qから見てとれるように、静止摩擦係数が1.0未満では、スリップ時間が2msないし3ms以上であり、静止摩擦係数が1.3以上では2ms未満であり、スリップ時間は静止摩擦係数が1.00以上で安定しており、この図12に示す曲線Qと表1に示す実施例とから、帯電ローラ12aの表面層12nの静止摩擦係数は1.0以上ないし2.0以下、更には、1.53以上ないし1.60未満であることが望ましいことがわかった。
【0234】
なお、この発明で、像担持体という用語は、感光体、転写ベルト等を含む概念として用いている。
【図面の簡単な説明】
【0235】
【図1】従来の画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図2】本発明が適用されるフルカラー画像を形成する画像形成装置の一例を示す概要図である。
【図3】図2に示すプロセスカートリッジの拡大図である。
【図4】本発明に係わる帯電組立体の概要を示す図である。
【図5】非接触方式の画像形成装置の模式図である。
【図6】図4に示す帯電ローラの断面図である。
【図7】接触方式の画像形成装置の模式図である。
【図8】オイラーベルト法による静止摩擦係数の測定の一例を示す模式図である。
【図9】帯電ローラに汚れがない場合の記録紙の部分図である。
【図10】帯電ローラに汚れが生じたことにより、記録紙に縦スジができた状態を示す記録紙の部分図である。
【図11】導電剤の添加量と静止摩擦係数との関係を示すグラフである。
【図12】帯電ローラが回転を開始したときからクリーニング部材が帯電ローラの回転に追従して回転を開始するまでのスリップ時間と静止摩擦係数との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0236】
11…感光体
12…帯電組立体
12a…帯電ローラ
12b…クリーニング部材
12k…導電性支持体
12m…電気抵抗調整層
12n…表面層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を担持する像担持体と該像担持体の表面を露光して該表面に静電潜像を書き込む露光手段と前記像担持体の表面に形成された静電潜像を可視像化する現像手段と前記像担持体の表面に形成された可視像を被転写体に転写する転写手段と前記像担持体の表面をクリーニングする担持体表面クリーニング手段と前記像担持体の表面の削れを防止するための潤滑剤を前記像担持体の表面に塗布する潤滑剤塗布部材とを備えた画像形成装置に用いられる帯電組立体であって、
導電性支持体上に形成された電気抵抗調整層と該電気抵抗調整層の表面を被覆する表面層とを有しかつその表面層の静止摩擦係数が1.0以上でありしかも前記像担持体の表面を回転しながら該像担持体を帯電させる帯電部材と、該帯電部材の表面層に接触して回転されて該表面層に付着した異物を除去するクリーニング部材とを備えていることを特徴とする帯電組立体。
【請求項2】
前記表面層の静止摩擦係数が2.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の帯電組立体。
【請求項3】
前記表面層を構成する樹脂材料がフッ素又はシリコンを含有する樹脂を含有していることを特徴とする請求項2に記載の帯電組立体。
【請求項4】
前記フッ素又はシリコンを含有する樹脂が水酸基を有し、硬化剤により縮合されて縮合生成物を形成していることを特徴とする請求項3に記載の帯電組立体。
【請求項5】
前記表面層を構成する樹脂材料がアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有するイオン導電剤とポリエーテルポリオール樹脂とが硬化剤により縮合された樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の帯電組立体。
【請求項6】
前記帯電部材が円筒形状であることを特徴とする請求項2に記載の帯電組立体。
【請求項7】
前記帯電部材に直流電圧と交流電圧とが印加されることを特徴とする請求項2に記載の帯電組立体。
【請求項8】
前記クリーニング部材が多孔質のメラミン樹脂からなることを特徴とする請求項2に記載の帯電組立体。
【請求項9】
前記クリーニング部材の周速が前記帯電部材の周速と同一であることを特徴とする請求項2に記載の帯電組立体。
【請求項10】
前記クリーニング部材が前記帯電部材の回転に従動して回転されることを特徴とする請求項2に記載の帯電組立体。
【請求項11】
請求項1記載の帯電組立体の帯電部材が潜像を担持する像担持体に近接配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1記載の潤滑剤がアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含むことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項1】
静電潜像を担持する像担持体と該像担持体の表面を露光して該表面に静電潜像を書き込む露光手段と前記像担持体の表面に形成された静電潜像を可視像化する現像手段と前記像担持体の表面に形成された可視像を被転写体に転写する転写手段と前記像担持体の表面をクリーニングする担持体表面クリーニング手段と前記像担持体の表面の削れを防止するための潤滑剤を前記像担持体の表面に塗布する潤滑剤塗布部材とを備えた画像形成装置に用いられる帯電組立体であって、
導電性支持体上に形成された電気抵抗調整層と該電気抵抗調整層の表面を被覆する表面層とを有しかつその表面層の静止摩擦係数が1.0以上でありしかも前記像担持体の表面を回転しながら該像担持体を帯電させる帯電部材と、該帯電部材の表面層に接触して回転されて該表面層に付着した異物を除去するクリーニング部材とを備えていることを特徴とする帯電組立体。
【請求項2】
前記表面層の静止摩擦係数が2.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の帯電組立体。
【請求項3】
前記表面層を構成する樹脂材料がフッ素又はシリコンを含有する樹脂を含有していることを特徴とする請求項2に記載の帯電組立体。
【請求項4】
前記フッ素又はシリコンを含有する樹脂が水酸基を有し、硬化剤により縮合されて縮合生成物を形成していることを特徴とする請求項3に記載の帯電組立体。
【請求項5】
前記表面層を構成する樹脂材料がアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有するイオン導電剤とポリエーテルポリオール樹脂とが硬化剤により縮合された樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の帯電組立体。
【請求項6】
前記帯電部材が円筒形状であることを特徴とする請求項2に記載の帯電組立体。
【請求項7】
前記帯電部材に直流電圧と交流電圧とが印加されることを特徴とする請求項2に記載の帯電組立体。
【請求項8】
前記クリーニング部材が多孔質のメラミン樹脂からなることを特徴とする請求項2に記載の帯電組立体。
【請求項9】
前記クリーニング部材の周速が前記帯電部材の周速と同一であることを特徴とする請求項2に記載の帯電組立体。
【請求項10】
前記クリーニング部材が前記帯電部材の回転に従動して回転されることを特徴とする請求項2に記載の帯電組立体。
【請求項11】
請求項1記載の帯電組立体の帯電部材が潜像を担持する像担持体に近接配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1記載の潤滑剤がアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含むことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−111872(P2008−111872A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293121(P2006−293121)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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