説明

平坦度検出装置、および平坦度検出方法

【課題】簡単な構成で容易に平坦度を検出可能な平坦度検出装置、および平坦度検出方法を提供する。
【解決手段】平坦度検出装置1は、三次元測定装置2から計測データを取得する計測データ取得手段141と、検査対象計測面上の第一計測点を取得する第一計測点取得手段143と、第一計測点から検査対象計測面の幾何形状式を算出する第一形状算出手段144と、計測データから隣接計測面に属する第二計測点を取得する第二計測点取得手段145と、第二計測点から隣接計測面の幾何形状式を算出する第二形状算出手段146と、検査対象計測面および隣接計測面の交線または交点を算出する外周縁算出手段147と、交線または交点に基づいて補正検査対象計測面の幾何形状式を算出する補正計測面算出手段148と、補正検査対象計測面の幾何形状式に基づいて検査対象面の平坦度を検出する平坦度検出手段149と、を具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元測定装置から得られたワークの計測データに基づいて、ワークの測定対象面における平坦度を検出する平坦度検出装置、および平坦度検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークの外周面における平坦度を検出する際、三次元測定装置によりワークの計測データを取得して平坦度を算出する。この際、検査開始前に治具によりワークを固定し、例えばワークの検査対象面がステージ面に対して平行となるように設置してから計測を行っていた。しかしながら、治具を用いる場合、高精度な治具が必要で、コスト高となり、治具を設置する工程等が必要なため生産効率も低下し、治具の長期使用により、治具が劣化するという問題があった。
【0003】
そこで、治具を用いずにワークの対象面の平坦度を計測する方法が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の装置は、以下に示す方法により、平坦度が算出されている。すなわち、まず、ワークに関するデータを受信して、受信したデータに基づいて撮像部の位置を設定する。次に、LED照明光源を点灯してワークの底面を照明し、その画像をCCDカメラで撮像し、二次元画像を取得する。そして、取得した二次元画像から、ワークが適正な位置に設置されているかを示す位置決めデータを算出し、位置決めデータに基づいて、撮像部の位置を補正する。この後、レーザーダイオードからレーザ光を射出して、ライン走査画像(三次元測定データ)を取得する。そして、取得した三次元測定データに基づいて、高さを算出し、平坦度を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−60800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1では、LED照明光源によりワーク底面を照明して位置決めのための二次元画像を取得し、位置決めを実施した後三次元測定により計測データを取得して平坦度を算出している。したがって、二次元データと三次元データの取得が必要となるため、装置の構成が複雑になり、装置コストも高くなってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述の様な問題に鑑みて、簡単な構成で容易に平坦度を検出可能な平坦度検出装置、および平坦度検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の平坦度検出装置は、平面状の検査対象面を有するワークを三次元測定装置により形状計測して得られた計測データに基づいて、前記検査対象面の平坦度を検出する平坦度検出装置であって、前記三次元測定装置は、前記検査対象面が上面となるように、ステージ面に前記ワークが載置された状態で、前記ワークの形状計測を行い、前記計測データは、前記ワークの外周面上に位置する複数の計測点を備え、当該平坦度検出装置は、前記三次元測定装置から前記計測データを取得する計測データ取得手段と、前記計測データの各計測点から、前記検査対象面に対応した検査対象計測面上の計測点である第一計測点を取得する第一計測点取得手段と、前記第一計測点から、前記検査対象計測面の幾何形状式を算出する第一形状算出手段と、前記計測データから、前記検査対象面に隣接する隣接面に対応した隣接計測面に属する計測点である第二計測点を取得する第二計測点取得手段と、前記第二計測点から、前記隣接計測面の幾何形状式を算出する第二形状算出手段と、前記検査対象計測面および前記隣接計測面の交線または交点を算出する外周縁算出手段と、前記外周縁算出手段により算出された前記交線または前記交点に基づいて前記検査対象計測面を補正した補正検査対象計測面の幾何形状式を取得する補正計測面算出手段と、前記補正検査対象計測面の幾何形状式、および前記計測データの各計測点に基づいて、前記検査対象面の平坦度を検出する平坦度検出手段と、を具備したことを特徴とする。
【0008】
ここで、本発明において、計測データは、三次元測定装置により得られる複数の計測点により構築される点群データであり、これらの計測点は、3次元の位置座標(x、y、z)を有している。
この発明では、第一計測点取得手段により、計測データ取得手段により取得された上述のような計測データから、検査対象面に対応した検査対象計測面に属する第一計測点を取得する。そして、第一形状算出手段は、取得した第一計測点に基づいて、検査対象計測面の幾何形状式、すなわち、検査対象計測面の平面式または検査対象計測面に含まれる直線の直線式を算出する。第二計測点取得手段は、この検査対象計測面から外れる計測点から、隣接計測面に属する第二計測点を取得し、第二形状算出手段は、取得された第二計測点に基づいて、隣接計測面の幾何形状式を算出する。
そして、外周縁算出手段は、上記のように算出された検査対象計測面の幾何形状式と、隣接計測面の幾何形状式とに基づいて、これらの検査対象計測面と隣接計測面との交線(検査対象計測面の外周縁)又は、交点(検査対象計測面の外周縁上の頂点)を算出する。すなわち、三次元測定装置から取得された計測データの点群データにおいて、検査対象面の外周縁に対応した測定点がない場合であっても、外周縁算出手段により、交線や交点を算出することで、検査対象計測面の外周縁を正確に特定することができる。
この後、補正計測面算出手段は、上記のように特定した検査計測面の外周縁や外周縁上の頂点を含めて、検査対象計測面を補正し、補正された補正検査対象計測面の幾何形状を算出し直す。これにより、より精度の高い検査計測面の幾何形状を示す式を算出することが可能となる。
そして、平坦度検出手段は、このように算出された補正検査対象計測面の幾何形状式と、計測データとに基づいて、例えば検査計測面上の計測点の一致状態を検査して、平坦度を検出する。
【0009】
上記のような構成では、三次元測定装置から一度計測データを取得すれば、そのデータに基づいて、平坦度を検査することができる。したがって、例えば、従来のように、位置決めのための二次元データの取得を実施する必要がなく、治具等を用いる必要もないため、容易に、かつ簡単な構成で平坦度検査を実施することができる。
【0010】
本発明の平坦度検出装置では、前記第一計測点取得手段は、前記計測データに対して、前記検査対象面の互いに対向する外周縁に対応した一対のエッジ部を抽出するエッジ抽出フィルターを適用し、これらの一対のエッジ部により挟まれる領域から前記第一計測点を取得することが好ましい。
【0011】
この発明では、第一計測点取得手段は、エッジ抽出フィルターを用いて検査対象計測面の外周縁に対応したエッジ部を抽出し、エッジ部に挟まれる領域内から第一計測点を取得する。すなわち、エッジ部近傍の計測点は、検査対象面に対応した計測点であるか、隣接面に対応した計測点であるかが不明であり、このような点を第一計測点として用いると、誤差の原因となる。これに対して、上述のように、エッジ部に挟まれる領域から第一計測点を取得する場合、確実に検査対象面に対応した計測点を第一計測点として取得することができ、正確な検査対象計測面の幾何形状を示す式を算出することができる。
【0012】
本発明の平坦度検出装置では、前記第一計測点取得手段は、前記一対のエッジ部の間の距離が、第一閾値以上である場合、これらのエッジ部の間の領域から第一計測点を取得し、前記一対のエッジ部の間の距離が、第一閾値未満である場合、前記計測データに対して、前記検査対象面の中心点に対応した突出頂点を抽出するピーク抽出フィルターを適用して、抽出された前記突出頂点を第一計測点として取得し、前記第一形状算出手段は、前記エッジ抽出フィルターにより前記第一計測点が取得された場合、前記検査対象計測面の平面式を算出し、前記ピーク抽出フィルターにより前記第一計測点が取得された場合、前記検査対象計測面に属する直線の直線式を算出することが好ましい。
【0013】
上述したように、第一計測点取得手段は、エッジ抽出フィルターを用いてエッジ部を抽出することで、検査対象面に対応した第一計測点を精度よく抽出することができる。例えば、計測データに対して微分フィルターを適用すると、検査対象面の外周縁に対応する部分において、変化率が大きくなるため、外周縁がピークとして検出される。しかしながら、検査対象面の幅寸法が小さい場合は、検査対象面の外周縁の第一辺に対応したピークと、この第一辺に対向する第二辺に対応したピークとが連続し、エッジ部の間の領域(ピーク間の領域)を特定できない場合がある。このような場合、本発明では、ピーク抽出フィルターを用いて、検査対象面の互いに対向する外周縁間の中点に対応した突出頂点を抽出する。そして、第一形状算出手段は、エッジ抽出フィルターにより第一計測点が取得される場合、平面上に分布される第一計測点を取得可能であるので、これらの第一計測点から検査対象計測面の平面式を算出する。一方、第一形状算出手段は、ピーク抽出フィルターにより突出頂点である第一計測点が計測された場合、直線上に分布される第一計測点が取得されるので、これらの突出頂点の軌跡である直線式を算出する。
これにより、検査対象面として、エッジ抽出フィルターのみでは、第一計測点を取得できない場合でも、突出頂点に基づいた直線式を算出して、直線式上の計測点の平坦度を検出することで、検査対象面における平坦度を検査することができる。
【0014】
本発明の平坦度検出装置では、前記第二計測点取得手段は、前記エッジ抽出フィルターが適用された前記計測データに基づいて、前記隣接対象面の互いに対向する外周縁に対応した一対の第二エッジ部を検出し、これらの一対の第二エッジ部により挟まれる領域から前記第二計測点を取得することが好ましい。
【0015】
この発明では、第二計測点取得手段は、第一計測点取得手段と同様、計測データに対してエッジ抽出フィルターを適用して、検出されたエッジ部に挟まれる領域から第二計測点を取得する。
このため、確実に隣接面に対応した計測点を第二計測点として取得することができ、正確な隣接面の幾何形状を示す式を算出することができる。
【0016】
本発明の平坦度検出装置では、前記計測データ取得手段により取得された前記計測データの各計測点に対して、位置データを平滑化する平滑化フィルターを適用する平滑化手段を備えることが好ましい。
【0017】
この発明では、計測データに対して平滑化フィルターを適用することで、計測データの各計測点のばらつきをなくして平滑化する。これにより、エッジ抽出フィルターを適用した際に、エッジ部のみをピークとして強調することができ、適切な第一計測点や第二計測点の取得することができる。また、三次元測定装置による計測誤差を軽減でき、正確な平坦度検出を実施することができる。
【0018】
本発明の平坦度検出方法は、平面状の検査対象面を有するワークを三次元測定装置により形状計測して得られた計測データに基づいて、前記検査対象面の平坦度を検出する平坦度検出方法であって、前記三次元測定装置は、前記検査対象面が上面となるように、ステージ面に前記ワークが載置された状態で、前記ワークの形状計測を行い、前記計測データは、前記ワークの外周面上に位置する複数の計測点を備え、当該平坦度検出方法は、前記三次元測定装置から前記計測データを取得する計測データ取得ステップと、前記計測データ取得ステップの後、前記計測データの各計測点から、前記検査対象面に対応した検査対象計測面上の計測点である第一計測点を取得する第一計測点取得ステップと、前記第一計測点取得ステップの後、前記第一計測点から、前記検査対象計測面の幾何形状式を算出する第一形状算出ステップと、前記第一形状算出ステップの後、前記計測データから、前記検査対象面に隣接する隣接面に対応した隣接計測面に属する計測点である第二計測点を取得する第二計測点取得ステップと、前記第二計測点取得ステップの後、前記第二計測点から、前記隣接計測面の幾何形状式を算出する第二形状算出ステップと、前記第二形状算出ステップの後、前記検査対象計測面および前記隣接計測面の交線または交点を算出する外周縁算出ステップと、前記外周縁算出ステップにより算出された前記交線または前記交点に基づいて前記検査対象計測面を補正した補正検査対象計測面の幾何形状式を取得する補正計測面取得ステップと、前記補正検査対象計測面の幾何形状式、および前記計測データの各計測点に基づいて、前記検査対象面の平坦度を検出する平坦度検出ステップと、を実施することを特徴とする。
【0019】
この発明では、上記発明と同様の効果を得ることができ、二次元データを別途取得する構成などを不要にでき、三次元測定装置により得られた三次元の計測データのみにより、容易にワークの検査対象面の平坦度検出を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態の平坦度検出装置の概略ブロック図である。
【図2】本実施形態の平坦度検出装置の制御部の詳細構成および処理の流れを示すブロック図である。
【図3】ワークの一例を示す図である。
【図4】xy平面での計測データの一例を示す図であり、(A)は、検査対象面がステージ面に対して平行となる状態で計測された計測データであり、(B)は、検査対象面がステージ面に対して傾斜した状態で計測された計測データである。
【図5】図4のA−B線での断面における計測データである。
【図6】図4(B)の計測データに対してエッジ抽出フィルターを適用した演算結果を示す図である。
【図7】ワークの検査対象面の幅寸法が小さい場合の、計測データの一部を示す図であり、(A)は、平滑化フィルター適用前の状態を示す図であり、(B)は、平滑化フィルター適用後の状態を示す図である。
【図8】図7(B)に示す計測データに対してピーク抽出フィルターを適用した演算結果を示す図である。
【図9】本実施形態の平坦度検出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る一実施形態の平坦度検出装置について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の平坦度検出装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、本実施形態の平坦度検出装置の制御部の詳細構成および処理の流れを示すブロック図である。
本実施形態の平坦度検出装置1は、ワーク30の欠陥を検出するための装置である。この平坦度検出装置1としては、例えばパーソナルコンピューター等の汎用コンピューターを用いることができる。そして、平坦度検出装置1は、図1に示すように、操作部11と、入出力端子部12と、記憶部13(記憶手段)と、制御部14と、を備えて構成されている。
【0022】
操作部11は、例えばキーボードやマウス等が例示でき、ユーザーの操作により、操作に応じた操作信号が入力される。入力された操作信号は、制御部14に出力される。
入出力端子部12は、外部接続機器と通信可能に接続する部位であり、三次元測定装置2や出力部121が接続される。出力部121としては、例えば制御部14で処理されて映像を表示するディスプレイや、データをプリントするプリンターなどを例示できる。
【0023】
また、入出力端子部12に接続される三次元測定装置2は、図2に示すように、ワーク30を載置可能なステージ面21と、ステージ面21に載置されたワーク30の外面形状を計測する計測センサー22と、計測センサー22を制御してワーク30の計測データ40(図4、図5参照)を取得する生成する三次元形状計測手段23と、を備えている。
計測センサー22および三次元形状計測手段23としては、ワーク30の外周表面を複数の計測点で精度よく取得できるものであれば特に限定されない。例えば、2台のカメラを用いステレオ法により各計測点の三次元座標を検出するものであってもよく、スリット光を照射して、各計測点の三次元座標を検出する光切断法や、光パターンを投影することで各計測点の三次元座標を検出するパターン投影法などを用いてもよい。
【0024】
図3は、本実施形態におけるワーク30の一例である。また、図4(A)および図5(A)は、図3のワーク30を治具等により固定して、検査対象面30Aがステージ面21に対して平行な状態で載置し、三次元測定装置2で計測した結果である計測データ40である。ここで、図4(A)は、計測データ40の各計測点41をxy平面で示す図であり、図5(A)は、図4(A)のA−B線での断面における計測データ40の一部を示す図である。また、図4(B)および図5(B)は、図3のワーク30を、治具等を用いないでステージ面に載置した状態を示す図である。ここで、図4(B)は、計測データ40の各計測点41をxy平面で示す図であり、図5(B)は、図4(B)のA−B線での断面における計測データ40の一部を示す図である。
図4、図5に示すように、ワーク30を治具等により固定してステージ面21に載置した場合、検査対象面30Aを水平に維持することが可能であるが、この場合、検査対象面30Aを水平に維持するため、高精度に形成された治具を別途用意する必要があり、治具の経年劣化に伴い、治具を作り直すなどの問題もある。
本発明はこのような問題を解決するために考え出された発明であり、図4(B)、図5(B)のように、ステージ面21に対して、治具等を用いずにステージ面21に載置されたワーク30を、三次元測定装置2により計測し、その計測データ40から検査対象面30Aの平面度を検出する。
【0025】
記憶部13には、制御部14により処理されるプログラムや、プログラムを実行するために必要な各種データ等が記憶されている。
記憶部13に記憶される各種データとしては、三次元測定装置2から入力された計測データ40などが挙げられる。
計測データ40は、上述したように、ワーク30を三次元測定装置2により外周表面の形状計測を行って得られた点群データであり、ワーク30の外周面を構築する複数の計測点41を備えている。
【0026】
制御部14は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の制御回路により構成される。この制御部14は、平坦度検出装置1の全体の動作を制御するOS上で、記憶部13から読み出した各種プログラムを展開して処理を実施することで、図2に示すように、計測データ取得手段141、平滑化手段142、第一計測点取得手段143、第一形状算出手段144、第二計測点取得手段145、第二形状取得手段146、外周縁算出手段147、補正計測面算出手段148、および平坦度検出手段149として機能する。また、第一計測点取得手段143は、エッジ抽出部143Aと、ピーク抽出部143Bと、第一計測点抽出部143Cと、を備えている。
【0027】
計測データ取得手段141は、三次元測定装置2から入力された計測データ40を取得する。なお、計測データ取得手段141は、三次元測定装置2から入力され、記憶部13に記憶された計測データ40を読み出す処理を実施してもよい。
【0028】
平滑化手段142は、計測データ取得手段141により得られた計測データ40の各計測点41に対して、平滑化フィルターを適用して平滑化する。これにより、各計測点41にばらつきがあるでも、面形状を平滑にすることができる。これにより、後述するエッジ抽出部143Aによるエッジ抽出や、ピーク検出部143Bによるピーク抽出の精度を向上させることができ、平面度検出精度を向上させることが可能となる。
この平滑化フィルターとしては、例えば下記式(1)に示すような移動平均フィルターを用いることができる。
【0029】
[数 1]

【0030】
第一計測点取得手段143は、上述のように、エッジ抽出部143Aと、ピーク抽出部143Bと、第一計測点抽出部143Cと、を備え、ワーク30の検査対象面30Aに対応した計測データ40の面である検査対象計測面40Aを構成する計測点41を取得する。
エッジ抽出部143Aは、平滑化手段142により平滑化された計測データに対して、ワーク30の角部分に対応したエッジ部を抽出するためのエッジ抽出フィルターを適用する。このエッジ抽出フィルターとしては、例えば下記式(2)に示すような、一般的な微分フィルターを用いることができる。
【0031】
[数 2]

【0032】
エッジ抽出部143Aは、上記式(2)に示すようなエッジ抽出フィルターを計測データ40に適用することで、ワーク30の各外周面の外周縁において、図6に示すようなピークが検出される。図6は、図5(B)の計測データ40に対して、エッジ抽出フィルターを適用した際の演算結果を示す図である。
図6において、ピークP1,P4は、図5(B)におけるエッジ部E1,E4に対応したピークであり、ピークP2、P3は、検査対象面30Aの外周縁であるエッジ部E2,E3に対応したピークである。
ここで、このピークP1,P2,P3,P4の変化領域内に対応する計測点41は、エッジ抽出フィルターのみを適用した状態では、ワーク30のどの面に対応した計測点41である。一方、ピークP2,P3の間の領域Ar1内に含まれる点は、検査対象面30Aに対応した検査対象計測面40Aに属する計測点(第一計測点)として特定することができる。したがって、第一計測点抽出部143Cは、ピークP2,P3間の距離(領域Ar1の幅寸法)を計測し、その距離が予め設定された第一閾値以上である場合、この領域Ar1に属する計測点41を第一計測点41Aとして取得する。なお、本実施形態では、領域Ar1に含まれるすべての計測点41を第一計測点41Aとする構成とするが、これに限定されず、例えば、領域Ar1中のうちの数点のみを抽出するものであってもよい。すなわち、三次元の計測データ40に対して上記処理を実施することで、検査対象計測面40Aに属する3点が抽出されれば、第一形状算出手段144により平面式を算出することができる。したがって、第一計測点取得手段143は、少なくとも3点の計測点41を取得すればよい。ただし、この場合、3点のうちの1点が他の2点により結ばれる直線上に存在しないものとする。
なお、領域Ar1の取得方法としては、例えばピークP2の頂点から所定距離だけピークP3側に離れた位置から、ピークP3の頂点から所定距離だけピークP2側に離れた点までの範囲とすればよく、所定距離としては、例えば平滑化フィルターにより平滑化される度合いや、エッジ抽出フィルターのエッジ検出精度等により適宜設定される値を用いればよい。
【0033】
また、同様にして、ピークP1,P2間の領域Ar2、およびピークP3,P4間の領域Ar3に含まれる点は、検査対象面30Aに隣接した隣接面30Bに対応した隣接計測面40Bに属する計測点(第二計測点)として特定することができる。したがって、後述する第二計測点取得手段145は、この領域Ar2および領域Ar3に属する計測点をそれぞれ第二計測点41Bとして取得する。
【0034】
ピーク抽出部143Bは、エッジ抽出部143Aにより抽出されたピークP3,P4間の距離が前記第一閾値未満である場合に、計測データ40に検査対象計測面の突出点を抽出する処理を実施する。
例えば、図7(A)に示すように、ワーク30における検査対象面30Aの幅寸法が小さい場合では、平滑化手段142により平滑化フィルターを適用すると、図7(B)に示すように、例えば山型の突出形状となり、検査対象計測面40Aが不明確となる。したがって、検査対象計測面40Aに属する計測点41を特定することが困難となる。この場合、第一計測点取得手段143は、ピーク抽出部143Bによりピーク抽出フィルターを適用し、図7(B)における突出頂点Cを検出する。
ここで、ピーク抽出フィルターとしては、下記式(3)(4)に示すような微分フィルターを用いることができる。
【0035】
[数 3]

【0036】
ここで、ピーク抽出部143Bは、ピーク抽出フィルターIによりピーク頂点が検出できない場合では、ピーク抽出フィルターIIを用いて変化率を大きくし、ピーク頂点の検出精度を上げる。
図8は、図7(B)の計測データ40に対して、ピーク抽出フィルターを適用した際の演算結果を示す図である。
そして、第一計測点抽出部143Cは、演算結果におけるピークP2´およびピークP3´の間で符号が逆転するゼロクロス点C´を検出し、突出頂点に対応した第一計測点41Aとして取得する。
【0037】
第一形状算出手段144は、第一計測点取得手段143により抽出された第一計測点41Aを用い、最小二乗法により検査対象計測面40Aの平面式または直線式を算出する。
すなわち、エッジ抽出部143Aにより、ピークP2,P3間の領域Ar1内の第一計測点41Aが取得された場合、第一形状算出手段144は、これらの第一計測点41Aに基づいて、検査対象計測面40Bの最小二乗平面式を算出する。
また、ピーク抽出部143Bにより、突出頂点Cの第一計測点41Aが取得された場合、第一形状算出手段144は、これらの第一計測点41Aに基づいて、検査対象計測面40Aに属する、突出頂点Cにより構成された直線式を算出する。
【0038】
第二計測点取得手段145は、ワーク30の隣接面30Bに対応した、計測データ40の隣接計測面40Bに属する計測点41(第二計測点41B)を抽出する。
この第二計測点取得手段145は、上記した第一計測点取得手段143のエッジ抽出部143Aにより抽出されたエッジ部に基づいて、第二計測点41Bを取得する。例えば、図6に示す例において、ピークP1,P2間に対応した計測点41が隣接計測面40Bに属する第二計測点41Bとなる。したがって、第二計測点取得手段145は、これらのピークP1,P2間の領域Ar2の距離が、予め設定された第二閾値以上である場合に、領域Ar2内の計測点41を取得して第二計測点41Bとする。
【0039】
第二形状算出手段146は、第二計測点取得手段145により取得された第二計測点41Bに基づいて、隣接計測面40Bの平面式(最小二乗平面)を算出する。なお、上記第一形状算出手段144と同様に、隣接計測面40Bに属する直線式を最小二乗法により算出してもよい。この場合、第一形状算出手段144により算出された直線式に交差する直線式を算出する。
【0040】
外周縁算出手段147は、第一形状算出手段144および第二形状算出手段146により算出された検査対象計測面40Aおよび隣接計測面40Bの平面式または直線式から、検査対象計測面40Aの外周縁上の点を求める。これには、これらの検査対象計測面40Aおよび隣接計測面40Bの平面式が算出されている場合、これらの平面式の交線を算出する。
また、検査対象計測面40Aに属する直線式が算出された場合では、この検査対象計測面40Aに属する直線式と隣接計測面40Bとの交点、またはこの検査対象計測面40Aに属する直線式と隣接計測面40Bに属する直線式との交点を算出する。
【0041】
補正計測面算出手段148は、外周縁算出手段147により算出された検査対象計測面40Aの外周縁上の点を用いて、検査対象計測面40Aの平面式、または検査対象計測面40Aに属する直線式を補正する。これらの補正された平面式、または直線式が、本発明の補正検査対象計測面となる。
具体的には、補正計測面算出手段148は、第一計測点取得手段143により取得された第一計測点41A、外周縁算出手段147により算出された検査対象計測面40Aの外周縁上の計測点41を用い、最小二乗法により、検査対象計測面40Aの平面式、または検査対象計測面に属する直線式を算出する。
なお、補正計測面算出手段148は、第一形状算出手段144により算出された平面式、直線式を、外周縁算出手段147により算出された検査対象計測面40Aの外周縁を通るように変形して補正してもよい。
さらに、補正計測面算出手段148は、少なくとも検査対象計測面40Aの外周縁のうちの少なくとも2辺(2点)を用いて、新規に検査対象計測面40Aの平面式(直線式)を算出しなおしてもよい。
【0042】
平坦度検出手段149は、補正計測面算出手段148により算出された平面式(直線式)と、平滑化フィルターが適用されていない計測データ40の計測点41とを比較して、検査対象計測面40Aの平坦度を検査する。
具体的には、検査対象計測面40Aの面を高さ0とした際に、高さがプラスとなる凸側計測点41と、高さがマイナスとなる凹側計測点41との高低差を平坦度として算出する。
ここで、平坦度検出手段149は、算出された平坦度が平坦度閾値よりも大きい場合、平坦でないと判断し、算出された平坦度が平坦度閾値よりも小さい場合、平坦であると判断する。
【0043】
[平坦度検出方法]
次に、上述のような平坦度検出装置の動作について図面に基づいて説明する。
図9は、本実施形態の平坦度検出装置1の動作を示すフローチャートである。
【0044】
平坦度検出装置1により、ワーク30の検査対象面30Aにおける平坦度を検出するには、まず、ワーク30を三次元測定装置2のステージ面21に載置し、三次元測定装置2により計測データ40を計測させる(ステップS1)。
この後、平坦度検出装置1の計測データ取得手段141は、三次元測定装置2から入力された計測データ40を取得する(ステップS2:計測データ取得ステップ)。
【0045】
この後、平坦度検出装置1の平滑化手段142は、取得した計測データ40に対して、平滑化フィルターを適用し、計測データ40を平滑化する。(ステップS3:平滑化ステップ)。
【0046】
このステップS3の後、平坦度検出装置1の第一計測点取得手段143は、検査対象面30Aに対応する検査対象計測面40Aに属する第一計測点41Aを取得する第一計測点取得ステップを実施する。
この第一計測点取得ステップでは、まず、第一計測点取得手段143のエッジ抽出部143Aは、ステップS3において平滑化された計測データ40に対してエッジ抽出フィルターを適用し、エッジ部を抽出する(ステップS4:エッジ抽出ステップ)。すなわち、エッジ抽出部143Aは、エッジ抽出フィルターを適用した演算結果から、ピークP2,P3を検出する。
そして、第一計測点抽出部143Cは、エッジ抽出フィルターを適用した演算結果において、ピークP2,P3間の領域Ar1の距離(幅寸法)が、予め設定された第一閾値以上であるか否かを判断する(ステップS5)。
このステップS5において、第一計測点抽出部143Cは、領域Ar1の距離が第一閾値以上である場合、領域Ar1に含まれる計測点41を第一計測点41Aとして抽出する(ステップS6)。
【0047】
一方、ステップS5において、領域Ar1の距離が第一閾値未満である場合、ステップS3において、平滑化された計測データ40に対して、ピーク抽出部143Bは、ピーク抽出フィルターを適用する(ステップS7:ピーク抽出ステップ)。
そして、第一計測点抽出部143Cは、ピーク抽出フィルターを適用した演算結果から、ゼロクロス点C´を抽出し、ゼロクロス点C´に対応した計測点41を第一計測点41Aとして取得する(ステップS8)。
【0048】
以上のステップS4からステップS8の第一計測点取得ステップの後、第一形状算出手段144は、取得した第一計測点41Aから検査対象計測面40Aの演算式を求める(ステップS9:第一形状算出ステップ)。
すなわち、ステップS6により第一計測点41Aが抽出された場合、第一形状算出手段144は、抽出された第一計測点41Aから、検査対象計測面40Aの最小二乗平面(平面式)を算出する。一方、ステップS8により第一計測点41Aが抽出された場合、第一形状算出手段144は、抽出された第一計測点41Aから、検査対象計測面40Aに属する直線の直線式を最小二乗法により算出する。
【0049】
次に、平坦度検出装置1の第二計測点取得手段145は、ステップS4のエッジ抽出ステップの演算結果から、ピークP1,P2間の領域Ar2、およびピークP3、P4間の領域Ar3を検出し、これらの領域Ar2,Ar3に含まれる第二計測点41Bを取得する(ステップS10:第二計測点取得ステップ)。
【0050】
そして、第二形状算出手段146は、ステップS10で取得された第二計測点41Bを用い、最小二乗法により、隣接計測面40Bの平面式を算出する(ステップS11:第二形状算出ステップ)。
なお、ステップS10およびステップS11においても、上記ステップS4からステップS8の第一計測点取得ステップおよびステップS9の第一隣接計測面と同様に、隣接計測面40Bの平面式の算出が困難な場合は、隣接計測面40Bに属する直線の直線式を算出してもよい。
【0051】
この後、平坦度検出装置1の外周縁算出手段147は、ステップS9で算出された検査対象計測面40Aと、ステップS11で算出された隣接計測面40Bの交線、または交点を求め、検査対象計測面40Aの外周縁を特定する(ステップS12:外周縁算出ステップ)。
この時、検査対象計測面40Aおよび隣接計測面40Bとして平面式が算出されている場合、外周縁算出手段147は、検査対象計測面40Aおよび隣接計測面40Bの交線を算出する。また、検査対象計測面40Aに属する直線の直線式と、隣接計測面40Bの平面式とが算出されている場合、外周縁算出手段147は、検査対象計測面40Aに属する直線と、隣接計測面40Bとの交点を算出する。さらに、検査対象計測面40Aに属する直線の直線式と、隣接計測面40Bに属する直線の直線式とが算出されている場合、外周縁算出手段147は、これらの直線の交点を算出する。
【0052】
そして、ステップS12の後、平坦度検出装置1の補正計測面算出手段148は、ステップS12において算出された交線または交点を用いて、検査対象計測面40Aのより精度の高い平面式(補正検査対象計測面の平面式)、または検査対象計測面40Aに属する直線の直線式(補正検査対象計測面に属する直線の直線式)を算出する(ステップS13:補正計測面算出ステップ)。
この時、上述したように、補正計測面算出手段148は、ステップS6(またはステップS8)で抽出した第一計測点41Aと、ステップS12で算出した検査対象計測面40Aの外周縁の点を用いて、改めて最小二乗法により検査対象計測面40Aの平面式(または直線式)を算出してもよい。また、補正計測面算出手段148は、ステップS9で算出した平面式または直線と、ステップS12で算出した検査対象計測面40Aの外周縁の交線の式や交点を通るように、補正する処理をしてもよい。さらには、補正計測面算出手段148は、ステップS12で算出した検査対象計測面40Aの外周縁の交線の式や交点から、検査対象計測面40Aの平面式や、検査対象計測面40Aに属する直線の直線式を算出してもよい。
【0053】
このステップS13の後、平坦度検出装置1の平坦度検出手段149は、ステップS15で算出された補正検査対象計測面の平面式や直線式と、ステップS2で取得された計測データ40とに基づいて、検査対象面30Aの平坦度を検出する(ステップS14:平坦度検出ステップ)。
【0054】
[本実施形態の作用効果]
上記のように、本実施形態の平坦度検出装置1は、計測データ40から第一計測点取得手段143により、検査対象面30Aに対応した検査対象計測面40Aに属する第一計測点41Aを抽出し、第一形状算出手段144により、第一計測点41Aから検査対象計測面40Aの幾何形状式を算出させる。また、第二計測点取得手段145は、計測データ40から第一計測点41Aを除去し、隣接計測面40Bに属する第二計測点41Bを取得し、第二形状算出手段146は、これらの第二計測点41Bから隣接計測面40Bの幾何形状式を算出する。
そして、外周縁算出手段147は、これらの検査対象計測面40Aおよび隣接計測面40Bの幾何形状式から、検査対象計測面40Aおよび隣接計測面40Bの交線または交点を算出し、補正計測面算出手段148は、これらの交線や交点を用いて、検査対象計測面の幾何形状式をより精度の高い幾何形状式(補正検査対象計測面の幾何形状式)を算出する。平坦度検出手段149は、この補正検査対象計測面の幾何形状式に基づいて、計測データ40の検査対象計測面40Aの平坦度、すなわち、検査対象面30Aの平坦度を検出する。
この時、三次元測定装置2において、ワーク30の検査対象面30Aがステージ面21に対して平行となるように載置されている必要がないため、例えば治具等によるワーク30の固定が不要であり、検査対象面30Aに対して三次元測定装置2の計測センサー22の位置を合わせるための二次元画像データの取得等も不要となる。すなわち、本実施形態の平坦度検出装置1では、第一計測点取得手段143および第一形状算出手段144により、ワーク30がステージ面21に対して傾斜した状態の計測データ40が取得された場合でも、検査対象面30Aに対応した検査対象計測面40Aを取得できる。したがって、三次元測定装置2の構成、平坦度検出装置1の構成の双方を簡略化することができ、容易に検査対象面30Aの平坦度を検出することができる。また、補正計測面算出手段148により、精度の高い検査対象計測面40Aの幾何形状式を算出できるので、平坦度の検出精度も良好にできる。
【0055】
また、第一計測点取得手段143では、エッジ抽出フィルターを用いて、検査対象計測面40Aのエッジ部(ピークP2,P3)を検出し、一対のエッジ部を挟む領域Ar1から、第一計測点41Aを取得している。すなわち、検査対象計測面40Aにおいて、外周縁近傍の計測点41は、検査対象計測面40Aに属しているのか、隣接計測面40Bに属しているのか不明である。これに対して、領域Ar1に属する計測点41は、検査対象計測面40Aを構成する計測点41である可能性が非常に高く、これらの計測点を第一計測点41Aとすることで、精度の高い検査対象計測面40Aの幾何形状式を算出することができる。
第二計測点取得手段145においても同様であり、エッジ抽出フィルターを用いて、第二計測点41Bを取得している。したがって、精度の高い隣接計測面40Bの幾何形状式を算出することができる。
【0056】
さらに、第一計測点取得手段143は、計測データ40に対してエッジ抽出フィルターを適用した演算結果において、領域Ar1の距離が第一閾値未満である場合には、ピーク抽出部143Bによるピーク抽出ステップを実施する。
すなわち、一対のエッジ部(ピークP2,P3)間の領域Ar1に属する第一計測点41Aを十分に取得できない場合、これらの第一計測点41Aで検査対象計測面40Aの平面式を算出すると、平面式の精度が悪く正確な平坦度が検出できない場合がある。これに対して、本実施形態では、上記のように、ピーク抽出部143Bにより計測データ40中の検査対象計測面40Aに対応した突出頂点Cを第一計測点41Aとして検出し、第一形状算出手段144は、第一計測点41Aから検査対象計測面40Aに属する直線の直線式を算出する。この場合、算出された直線は、検査対象計測面40Aに属する直線であるため、この直線の平坦度を検出することで、検査対象計測面40Aの平坦度とすることができ、検出精度の低下を抑えることができる。
【0057】
そして、本実施形態では、平滑化手段142は、計測データ40に対して平滑化フィルターを適用し、平滑化された計測データ40に基づいて、平坦度の検出処理を実施している。
このため、例えばエッジ抽出部143Aや、ピーク抽出部143Bにおいて、微分フィルターを適用した場合に、エッジ部に対応する部分のみを精度よく検出することができ、エッジ部に起因しないピークが検出されてエッジ部が誤検出する不都合を回避できる。したがって、エッジ部等の誤検出による平坦度検出の精度低下を防止することができる。
【0058】
[変形例]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0059】
例えば、上記実施形態では、ワーク30の1つの検査対象面30Aに対して平坦度検出を実施する例を示したが、ワーク30のその他の面の平坦度検出においても同様の処理を用いて検出することができる。
【0060】
また、三次元測定装置2として、ステレオ法や光切断法、パターン投影法などの非接触型の三次元計測データを取得可能な例を示したが、これに限られず、例えばプローブをワーク30の表面に接触させてワーク30の外形形状を計測する接触型の三次元測定装置を用いてもよい。
【0061】
以上、本発明を実施するための最良の構成について具体的に説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、当業者が様々な変形および改良を加えることができるものである。
【符号の説明】
【0062】
1…平坦度検出装置、2…三次元測定装置、21…ステージ面、30…ワーク、30A…検査対象面、30B…隣接面、40…計測データ、40A…検査対象計測面、40B…隣接計測面、41…計測点、41A…第一計測点、41B…第二計測点、141…計測データ取得手段、142…平滑化手段、143…第一計測点取得手段、144…第一形状算出手段、145…第二計測点取得手段、146…第二形状算出手段、147…外周縁算出手段、148…補正計測面算出手段、149…平坦度検出手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の検査対象面を有するワークを三次元測定装置により形状計測して得られた計測データに基づいて、前記検査対象面の平坦度を検出する平坦度検出装置であって、
前記三次元測定装置は、前記検査対象面が上面となるように、ステージ面に前記ワークが載置された状態で、前記ワークの形状計測を行い、
前記計測データは、前記ワークの外周面上に位置する複数の計測点を備え、
当該平坦度検出装置は、
前記三次元測定装置から前記計測データを取得する計測データ取得手段と、
前記計測データの各計測点から、前記検査対象面に対応した検査対象計測面上の計測点である第一計測点を取得する第一計測点取得手段と、
前記第一計測点から、前記検査対象計測面の幾何形状式を算出する第一形状算出手段と、
前記計測データから、前記検査対象面に隣接する隣接面に対応した隣接計測面に属する計測点である第二計測点を取得する第二計測点取得手段と、
前記第二計測点から、前記隣接計測面の幾何形状式を算出する第二形状算出手段と、
前記検査対象計測面および前記隣接計測面の交線または交点を算出する外周縁算出手段と、
前記外周縁算出手段により算出された前記交線または前記交点に基づいて前記検査対象計測面を補正した補正検査対象計測面の幾何形状式を取得する補正計測面算出手段と、
前記補正検査対象計測面の幾何形状式、および前記計測データの各計測点に基づいて、前記検査対象面の平坦度を検出する平坦度検出手段と、
を具備したことを特徴とした平坦度検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の平坦度検出装置において、
前記第一計測点取得手段は、前記計測データに対して、前記検査対象面の互いに対向する外周縁に対応した一対のエッジ部を抽出するエッジ抽出フィルターを適用し、これらの一対のエッジ部により挟まれる領域から前記第一計測点を取得する
ことを特徴とした平坦度検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の平坦度検出装置において、
前記第一計測点取得手段は、
前記一対のエッジ部の間の距離が、第一閾値以上である場合、これらのエッジ部の間の領域から第一計測点を取得し、
前記一対のエッジ部の間の距離が、第一閾値未満である場合、前記計測データに対して、前記検査対象面の中心点に対応した突出頂点を抽出するピーク抽出フィルターを適用して、抽出された前記突出頂点を第一計測点として取得し、
前記第一形状算出手段は、
前記エッジ抽出フィルターにより前記第一計測点が取得された場合、前記検査対象計測面の平面式を算出し、
前記ピーク抽出フィルターにより前記第一計測点が取得された場合、前記検査対象計測面に属する直線の直線式を算出する
ことを特徴とする平坦度検出装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の平坦度検出装置において、
前記第二計測点取得手段は、前記エッジ抽出フィルターが適用された前記計測データに基づいて、前記隣接計測面の互いに対向する外周縁に対応した一対の第二エッジ部を検出し、これらの一対の第二エッジ部により挟まれる領域から前記第二計測点を取得する
ことを特徴とする平坦度検出装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれかに記載の平坦度検出装置において、
前記計測データ取得手段により取得された前記計測データの各計測点に対して、位置データを平滑化する平滑化フィルターを適用する平滑化手段を備える
ことを特徴とした平坦度検出装置。
【請求項6】
平面状の検査対象面を有するワークを三次元測定装置により形状計測して得られた計測データに基づいて、前記検査対象面の平坦度を検出する平坦度検出方法であって、
前記三次元測定装置は、前記検査対象面が上面となるように、ステージ面に前記ワークが載置された状態で、前記ワークの形状計測を行い、
前記計測データは、前記ワークの外周面上に位置する複数の計測点を備え、
当該平坦度検出方法は、
前記三次元測定装置から前記計測データを取得する計測データ取得ステップと、
前記計測データ取得ステップの後、前記計測データの各計測点から、前記検査対象面に対応した検査対象計測面上の計測点である第一計測点を取得する第一計測点取得ステップと、
前記第一計測点取得ステップの後、前記第一計測点から、前記検査対象計測面の幾何形状式を算出する第一形状算出ステップと、
前記第一形状算出ステップの後、前記計測データから、前記検査対象面に隣接する隣接面に対応した隣接計測面に属する計測点である第二計測点を取得する第二計測点取得ステップと、
前記第二計測点取得ステップの後、前記第二計測点から、前記隣接計測面の幾何形状式を算出する第二形状算出ステップと、
前記第二形状算出ステップの後、前記検査対象計測面および前記隣接計測面の交線または交点を算出する外周縁算出ステップと、
前記外周縁算出ステップにより算出された前記交線または前記交点に基づいて前記検査対象計測面を補正した補正検査対象計測面の幾何形状式を取得する補正計測面取得ステップと、
前記補正検査対象計測面の幾何形状式、および前記計測データの各計測点に基づいて、前記検査対象面の平坦度を検出する平坦度検出ステップと、
を実施することを特徴とする平坦度検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−198069(P2012−198069A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61424(P2011−61424)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】